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日本災害看護学会 先遣隊活動報告 4 月 24 日(日)の活動 活動者:渡邊

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日本災害看護学会 先遣隊活動報告 4 月 24 日(日)の活動 活動者:渡邊
日本災害看護学会
先遣隊活動報告
4 月 24 日 ( 日 ) の 活 動
活動者:渡邊智恵、寺田英子
当 日 の 状 況 ( 2016 年 4 月 24 日 )
地 震 発 生 か ら 2 回 目 の 週 末 を 迎 え た 。仮 設 住 宅 の 建 設 が 一 部( 西 原 村 で 5 0 戸 )
で 出 て 、指 定 の 避 難 場 所 以 外 の 避 難 所 を 閉 所 し て い く と い う こ と で 、生 活 再 建 に
向けた歩みが少しずつ進んでいる状況である。
1. 行 程 な ら び に 訪 問 先
8:00
ホテルを出発
9:40~ 10:20
益城町内避難所③訪問
10:30~ 12:00
益城町内の避難所④訪問
15:20
レンタカーを博多駅に返却
2. 活 動 内 容
最 終 日 と な る こ の 日 は 、甚 大 な 被 害 を 出 し た 益 城 町 で 医 療 チ ー ム が 入 っ て い な
い 2 か所の避難所を回ることにした。
1) 益 城 町 内 の 避 難 所 ③
2 2 日 に 訪 問 を し た 避 難 所 を 再 度 訪 問 し て 、経 過 を う か が っ た 。臨 月 の 妊
婦 さ ん は 23 日 に 陣 痛 が 始 ま り 、 自 家 用 車 で 医 療 機 関 に 行 き 、 無 事 出 産 を
されていた。病院ではミルクやおむつがないため、持参をするようにとい
うことで避難所から必要な物を運ぶ必要があったという。避難所では、入
院 し て い る 母 親 に 代 わ っ て 、長 女( 1 3 歳 )が 6 人 の 弟 妹 の 面 倒 を 見 て い た 。
一昨日見た時よりも表情が硬く、目が充血しているように見えた。睡眠に
ついて尋ねると、長女は下の兄弟に夜中に起こされたとポツンと言った。
言葉が少なく、疲労の色は隠せなかった。頑張っていることを認め、一人
で頑張らずに大人の助けを借りてもよいことを伝えた。
股 関 節 痛 の あ っ た 女 児 は 昨 日 医 療 機 関 を 受 診 し 検 査 等 を 受 け 、そ の 後 痛
みが取れ、今日は動き回っており不在であった。
生 後 2 カ 月 の 乳 児 を 抱 え た 母 親 は 、 赤 ち ゃ ん が 2,400 グ ラ ム と や や 小 さ
め に 生 ま れ た た め 体 重 の 増 加 を 気 に し て い た 。し か し 保 健 師 の 訪 問 も 地 震
の た め に 途 絶 え 、予 防 接 種 の こ と な ど も 相 談 す る こ と も で き な い と 語 ら れ
た。授乳の状況や赤ちゃんの機嫌などに問題はないように感じたが、母親
は 、避 難 後 に 赤 ち ゃ ん が 夜 中 に よ く 起 き る よ う に な っ た と 変 化 を 敏 感 に 感
じ取っていた。母親は、地震の後そういった心配や不安を誰にも相談でき
ずにいたのか、看護師にずっと話つづけた。ホルモンの影響など体調が安
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定しない時期であり、心身のケアが必要であると感じた。
2度目の訪問で、ケア提供者の方々は笑顔で迎えてくださった。お 一人
は 、 普 段 の 血 圧 は 低 め で あ っ た が 、 血 圧 測 定 を す る と 普 段 よ り 20m m Hg
ほど高かった。他の2名も普段よりやや高めを示したが、大きな身体症状
は認められなかった。自宅が倒壊して他の避難所から、この避難所の世話
を し て い る ケ ア 提 供 者 、小 さ な 子 供 が い る の に こ の 避 難 所 の 世 話 を し て い
るケア提供者と、それぞれ被災されながらも、避難所のマネジメントを継
続されていた。お互いに家庭の事情や被害状況を理解しているため、立場
や心身の状態を気遣い、なんとか頑張っておられた。緊張をとる方法等に
ついて説明を行い、一緒に深呼吸等を行った。また、異常を感じたら受診
をするように勧めた。
物資については、必要な物が運ばれてくるようになっており、野菜等が
箱一杯に並べられていた。お米を炊いて、サランラップに茶碗一杯くらい
のコメを包み、保温をされていた。被災者の方々がほしい時にいつでもと
ることができ、温かい米を提供できるよう工夫されていた。水が使えるよ
うになっているが、貴重なので、災害時には無洗米が良いということを語
られた。
こ の 避 難 所 は 連 休 明 け に は 閉 所 す る 予 定 で あ る 。そ れ ま で は 自 助 と 共 助
でやっていくということであった。
2) 益 城 町 内 の 避 難 所 ④
上記の避難所から車で 5 分くらい走ったところに、この避難所がある。
約 30 人 が 避 難 さ れ て お り 、 こ の 近 く に 住 ん で い る 高 齢 の 方 や 子 ど も の い
る 家 族 が 入 居 し て い た( 遠 く の 避 難 所 は 自 宅 の 状 況 が 分 か ら な く な る た め 、
や は り 近 く が 良 い と い う )。 医 療 チ ー ム が 入 っ て い な い と い う こ と で 、 私
達 が 伺 う と 、気 に な る 4 人 の と こ ろ に 行 っ て 状 態 を み て ほ し い と い う こ と
をお世話役の人がすぐに言われた。ここでも、状況をよく理解している人
たちが寄り添いあって避難所生活を送っておられた。この避難所は、あと
3 日で閉所になるという。
気 に な る と 言 わ れ た 方 は 4 人 と も 高 齢 の 方 で あ っ た 。こ の 中 の 一 人 は 左
半身麻痺のある男性で、日常生活援助が必要であり、特にトイレはこの避
難所内ではできず、自宅に戻っているという。介護の方の疲労が重なり、
ご苦労されている話を傾聴した。その他には、杖や車いす等を使っている
方 々 で あ り 、福 祉 避 難 所 の 情 報 を 本 部 で 確 認 し て も ら う よ う に 助 言 を し た 。
3. 課 題
医療の介入が殆んどない避難所に、妊産婦や乳児、歩行が困難な高齢の方
など特別の支援が必要な方が暮らしている。福祉避難所に当初指定していた
場所も一般の方々が多数避難して来られたため、その機能を失っている状況
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である。また住民自治会等のお世話役の人や施設管理者の努力や避難者の
方々が協力しあうことで、なんとか避難所が運営されている現状である。
ケア提供者の方々はいずれも体調を崩しかけており、血圧も平常時より高
めになっていた。かなり疲労蓄積があるように見受けられる。
生活再建に向けた活動において、個人の格差が広がっている時期であり、
個々の被災者へのきめ細やかなケアが必要となる(避難所を転々とすること
に な る 人 も い る )。
4.おわりに
被災地の方々は、生活再建に向けて懸命な努力をされている。その歩みを
進 め て い く た め の サ ポ ー ト や 見 守 り が 必 要 で あ る 。2 回 目 の 訪 問 を し た 際 に 、
私達を迎えていただいた笑顔は忘れることができない。
復旧・復興に多忙を極めている中、お話を伺わせていただいた皆様に、こ
ころより感謝をいたします。
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