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韓国映画『神から遣わされた人』 ハッピーエンドのない、非情な「現実」を

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韓国映画『神から遣わされた人』 ハッピーエンドのない、非情な「現実」を
北朝鮮難民救援基金 NEWS Aug 2014 № 089
韓国映画『神から遣わされた人』
ハッピーエンドのない、非情な「現実」を突きつける
大谷雅博
7月5日(土)、港区芝大門にある人権ライ
ブラリー会議室において、NO FENCE 主催
による韓国映画『神から遣わされた人』が日
本で初上映されました。この上映会に向けて、
NO FENCE の役員の皆さんで翻訳と字幕取
り付けのため徹夜で作業をされていたとの事
でした。北朝鮮における人権弾圧を無くすた
めに並々ならぬ情熱をもって尽力されている
姿を見て、頭が下がる思いでいっぱいになり
ました。
なければならないのでしょうか。
キリスト教徒に対する徹底した迫害と弾圧、
死に追い込むほどに残虐な拷問
北朝鮮政府は、キリスト教を金日成一族の
体制維持に敵対する宗教として捉えられてい
る様です。当局による徹底した取り締りや、
拘禁施設での残虐極まりない拷問の描写に、
正直ショックで言葉を失いました。
相互監視社会、キリスト教徒の間でも裏切り
がある非情な現実
同じ神を信ずる仲間同志でも、当局に拘束
され徹底した拷問を受ける中で、自らの生存
と条件に仲間を売る様は、残酷な社会としか
言いようがありません。北朝鮮社会では、
「生
き残る」ということが如何に難しい事か、生
き残るためには親しい仲間をも売らざるを得
ないまでの状況に追い込まれてしまう、そん
な残酷な世界が現実に日本の直ぐ近くに存在
しているという現実を突きつけられました。
終わりに
北朝鮮政府は、首都平壌に国家公認による
礼拝施設を設置しているにも拘わらず、実際
にはキリスト教徒を徹底して迫害し弾圧して
います。公の場で信仰することが出来ないど
ころか洞窟に追いやられ隠れて信仰を実践し
なければならず、またキリスト教徒であるこ
とが発覚すれば直ぐさま逮捕拘留され、それ
どころか拘禁施設で徹底した拷問が行われ、
死に追いやられています。まるでイエス・キ
リストが迫害を受けていた紀元前の話のよう
です。
私たちが平穏な日常生活を送っている今現
在も、彼の地では生きるか死ぬかの生活を送
っている人々がいて、今にも命を奪われるか
もしれないほどに残虐な拷問を受け弾圧され
迫害されている人々が存在している事を想像
すると、何とも言えない気持ちになります。
この映画が一人でも多くの人に鑑賞され、
映画を通じて少しでも国際世論が喚起され、
国連人権理事会と人権 NGO による活動が功
を奏し、北朝鮮の人々に自由と民主主義、基
本的人権が尊重される社会が一日も早くもた
らされることを願って止みません。
さて、この映画は、映画のタイトルから察
するとおり、北朝鮮国内におけるキリスト教
徒の生き様を、実話に基づき構成した映画で
す。一言で感想を述べるとするならば、ハッ
ピーエンドの無い、非情なまでに「現実」を突
きつけられた映画と言えます。とてもリアル
で、
「これが現実なのだろう」と思わせられま
した。
以下は、本映画を鑑賞したことで学んだ事
について述べていきたいと思います。
実質的に認められていない「信仰の自由」
まず、北朝鮮社会では「信仰の自由」が実
質的には認められていないばかりか、徹底し
て迫害し弾圧されています。キリスト教徒た
ちは、自分たちの住む集落から周囲の目や当
局による監視から逃れるように、人里離れた
山間の洞窟の中で信仰を実践せざるを得ない
様です。なぜこの21世紀という時代に、迫
害を恐れて生活せざるを得ない人々が存在し
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