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講演内容 - 新潟市民病院

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講演内容 - 新潟市民病院
第4回市民病院肝臓病教室 & 5大がん市民公開講座
2014/6/27
肝細胞癌の治療
その考え方と実際
消化器内科
和栗
暢生
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
肝細胞癌
の主な原因
中でも、アルコールと糖尿病は非常に重要な背景 !!
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
「肝細胞癌」の特徴
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
肝細胞の癌化と血流の変化
造影剤で早期に良く染まる腫瘍として発見される
(動脈の血の気の多い性質)
肝細胞癌
前癌病変
腫瘍血管
(新生動脈)
肝動脈
門脈
正常肝細胞
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
「肝細胞癌」の治療方法
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
1:
外科的肝切除
長所:
がんを完全に取り去ることができ、それを顕微鏡で確認できる。
もっとも確実な物理的治療・・・薬と違って効果は確実。
無再発率が高い。
短所:
侵襲が大きい。肝予備力が低いと切除できない(術後肝不全)。
もちろん、術後の再発はありうる。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
1:
外科的肝切除
勧められる患者さん
腫瘍が1ヶで、肝臓の予備力が良い方 (特に初発時)
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
1:
外科的肝切除
できれば勧めたい患者さん
内科的には制御困難で、腫瘍減量目的の切除
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
2:
経皮的局所療法・・・穿刺治療
物理的治療なので、薬剤と異なり耐性はない。
外科手術よりは低侵襲(在院日数も少ない)
ラジオ波焼灼療法(RFA):
高周波で針の周囲の水分子を振動させて熱を発生。
50~90℃に加温され、凝固壊死する。
エタノール注入療法(PEIT):
無水エタノールの細胞脱水固定による癌治療。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
2:
経皮的局所療法・・・穿刺治療
ラジオ波焼灼療法(RFA):
1回約12分の焼灼で、2~3cm程度の一定の範囲が焼ける。
2cm以内の腫瘍の制御は手術と同等。
→ 3cm、3ヶ程度までが良い適応
局所再発がある(大きいほど)。
針が高価。
針がやや太い。 12分は針を刺したまま。
→ すなわち危ない場所は刺しづらい。
エタノール注入(PEIT):
針が細く(採血針程度)、数秒~10秒程度で抜針するので、
やや危険な部位も治療しやすい。
安価。
治療効果が一定でない(エタノールの拡がりは予想できない)。
1日で終わらず、2~4日程度に分けて行う必要がある。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
2:
新たなRFAデバイスの登場!
マルチポーラー(多極)型電極で焼灼
範囲の拡大を狙える。
また腫瘍を直接穿刺せずに治療するこ
とができる可能性。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3:
経カテーテル的血管内治療 (IVR)
3-A:
肝動脈化学塞栓術(TACE)
3-B:
肝動注化学療法(TAI)
3-C:
埋込リザーバーカテーテルによる TAI
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-A:
肝動脈化学塞栓術(TACE)
 肝細胞癌が、肝動脈のみに栄養されていることを利用し
た治療。
 癌の栄養動脈から抗癌剤+油性造影剤(リピオドール)
を注入してさらに塞栓物質(ゼラチン)を注入する。
 抗癌剤が、癌組織内に長く留まり、よく効く。
 癌は栄養や酸素の供給ルートを断たれる(いわゆる兵糧
攻め)。
 1978年:日本からの
報告が世界初。
抗癌剤
+
塞栓物質
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-A:
肝動脈化学塞栓術(TACE)
長所
 大きな「癌」や、多数の「癌」を一度に治療でき、反復して治
療することもできる。
 肝細胞癌破裂や破裂予防の治療となる。
 癌の数や大きさ、肝臓の予備力に応じて、治療の範囲や強さを
適宜かえることができる。
 直接「癌」を刺さないので、播種(腹膜再発)がない。
短所
 局所の効果はRFAに劣る。
 肝予備能を超えて、広範囲に強く塞栓すると、肝不全のリスク
がある。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-A:
新しいTACE
B-TACE
バルーン閉塞下肝動脈化学塞栓術 (balloon occluded TACE)
抗癌剤+リピオドールが入りにくい腫瘍にも、栄養動脈を
バルーンで閉塞して押し込むことにより治療効果を上げる。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-A:
新しいTACE
DEB-TACE
薬剤溶出ビーズ(球状塞栓物質)によるTACE
抗癌剤をマイクロビーズ(非常に細かい塞栓物質)に含浸させて
注入することにより、治療効果を上げる。
リピオドールの溜まりにくい腫瘍、肝細胞癌以外の腫瘍(転移性
肝癌など)にも有効。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-A:
ビーズによる塞栓術 bland-TAE
ビーズによる抗癌剤を使わない塞栓術 bland-TAE
抗癌剤を使用しないので副作用が少なく、高齢者や、肝腎機能の
低下した症例にも使用しやすい。
TACEで腹痛や発熱、腫瘍壊死症候群の起こりやすい、巨大な
腫瘍の治療に向いている。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-B:
肝動注化学療法(TAI)
 癌の栄養動脈から高濃度の抗癌剤を注入する。
 TACEと異なり、塞栓剤を用いないため、治療効果はや
や劣るが、肝臓へのダメージが少ない。
 全肝に対して反復治療が可能。
 小さな多発癌に対して非常に有効性が高い。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-B:
肝動注化学療法(TAI)
TAIの適応
 肝内多発の症例
 TACEが効きにくい症例
 TACEによる負担が大きい症例(小さな腫瘍がまばら)。
 肝臓の予備力が低い症例
 まだ見えない微小転移に対する予防的治療
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-B:
TAIの実際
著効例
固有肝動脈から全肝にTAI(シスプラチン)
A6のみTACE施行
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-B:
TAIの実際
2回目治療
(2ヶ月後)
著効例
3回目治療
(4ヶ月後)
2か月後には腫瘍濃染はすべて消失していた(著効:CR)。
さらにTAI(シスプラチン)を2回反復した。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-C:
埋め込みリザーバーを用いたTAI
肝臓だけに薬液を流すことができるようにカテー
テルを挿入し、ポートを皮下に埋め込んで、いち
いち動脈を穿刺することなく、肝動注化学療法を
行うことができるシステム。
安静も不要で、外来で治療が可能。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-C:リザーバー埋設・血行改変・GDAコイル法
肝臓のみに薬液が流れる
よう、胃・十二指腸・膵
への動脈を閉塞処理
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
3-C:
埋め込みリザーバーを用いたTAI
適応・・・切除不能の進行肝細胞癌
具体的には・・・多発でかつ
・門脈腫瘍塞栓を有する
・塊状型(形が丸くない) TACEが効きにくい
・TACEが無効
濃度だけでなく、一定時間をかけることで効果を示す薬剤(5FUな
ど)はTAIよりリザーバー持続肝動注が有用な投与方法になる。
入院
シスプラチン + 5FU
週 5日 x 3週間
外来
2nd line
シスプラチン + 5FU
隔週
CDDP
20mg
ミリプラチン
5-FU or
500mg
MMC + DSM
Biweekly
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
4:
全身化学療法
 適応・・・切除不能の進行肝細胞癌、とくに肝外転移症例
 抗癌剤・・・癌細胞が分裂するときに働いて、癌細胞を殺す
CDDP + 5FU (点滴)
UFT-E(内服)、TS-1(内服)
タキサン、アントラサイクリン(点滴)
 分子標的治療薬
ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)
血
癌細胞が増えるしくみに関わる信号をブロックしたり、
血管新生を抑えることにより、癌が増殖できなくなる
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
4:
全身化学療法
ソラフェニブ
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
4:
ソラフェニブ特有の副作用
手足症候群
発疹などの皮膚症状
下痢
高血圧
などなど
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
5:
肝移植
肝癌を背景肝ごと全て摘出し、新たな肝臓と共
に生きる。
・・・肝硬変がひどく、癌の治療もままならない症例に適する。
最低条件:肝外転移がない、大血管浸潤がない
保険適応: ミラノ基準を満たす
①単発なら5cmまで、②3cm、3ヶまで
京都大学では予後に影響を与える因子を検討し、独自のKyoto基準:
①5cm以下、②10ヶ以内、③PIVKA-II 400mAU/mL以下、を用いて適
応決定している。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
「肝細胞癌」の治療方針の
わかりにくさは?
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
肝細胞癌の治療を決めるためには・・・
肝の予備能
癌の進行度
(はたらき・
余力)
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
肝細胞癌の治療を決めるためには・・・
癌の進行度
肝の予備能
Child-Pugh 分類
5~6点: grade A
7~9点: grade B
10~15点:grade C
1
2
3
脳症
なし
軽度
ときどき昏睡
腹水
なし
少量
中等量以上
ビリルビン (mg/dL)
<2.0
2.0~3.0
> 3.0
アルブミン (g/dL)
> 3.5
2.8~3.5
< 2.8
プロトロンビン時間(%)
> 70
40~70
< 40
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
この場合治療をどうする?
S8 2.5cm 単発
肝予備力良好なら
S8亜区域切除
or 前区域切除
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
この場合治療をどうする?
S8 2.5cm 単発
肝予備力やや不良
or
手術拒否 なら
TACE & RFA
しかし、体型や肝臓と腸管の位置関係などから、
エコーで見えないと・・・ RFAはできない!
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
おわりに
肝細胞癌は、移植・手術・ラジオ波などの穿刺
治療・カテーテル治療・全身化学療法など、他
の癌と異なり治療法が多い。
あきらめずに次々アイテムを繰り出して治療できる!
しかし全摘できない肝臓に発生する癌であり、
また背景の肝臓に病気を抱えているため、その
肝臓の余力によって可能な治療が異なる。
癌の進行度のみならず、癌の部位や個人の体型
など、治療の可否に影響する因子が多い。
同じような癌の状態でも、治療に個人差が出る。
画一的となりにくい。
Dep. Gastroenterology & Hepatology, Niigata City General Hospital
6階東病棟看護師
長谷部
麻衣子
外来で行える検査
血液検査
CT・MRI検査
腹部エコー検査
レントゲン
入院をして行う検査
*
肝生検
目的:原因の特定できない肝障害の原因検索
慢性肝炎から肝硬変に移行する段階の判定
肝腫瘍の判定
場所:1階受付9番
エコー室(171番)
方法:
・エコー下にて肝臓に針を刺し、組織を採取
・採取した組織を顕微鏡で検査し、病気を診断
・検査時間は20分~30分程度
肝生検当日
食事:朝食後は禁飲食です(昼食なし)
夕食から食事ができます。
検査前:術衣に着替え、点滴を行います。
検査時:ベッドに横になり、指示に従って体位をとります。
局所麻酔を行い、穿刺します
検査後
・病室へ帰室し、3時間はベッド上安静
→腹腔内の出血を防ぐため
・トイレはどうするの?
→ベッド上安静の間はベッド上
心配な方は、尿管を挿入することができます
*検査後に穿刺部近くや右肩の
痛み、発熱がまれに生じること
があります
→鎮痛、解熱剤の使用が可能
*検査結果は、約一週間ほどで
出ます
肝細胞癌と診断されたら・・・・
↓
治療方法
・経皮的局所療法
(ラジオ波焼灼療法・エタノール注入療法)
・肝動脈塞栓療法
・外科的肝切除療法
*ラジオ波灼療法とは
→エコー下で肝腫瘍に電極を穿刺し、電磁波で加熱し
腫瘍を壊死させる治療方法
場所:1階受付9番
処置・エコー室171番
治療前:朝食後禁飲食
術衣に着替え、点滴を行います
治療後:肝生検と同様
・3時間のベッド上安静
その他:処置後、腫瘍を加熱してきますので、穿刺部
痛のほかに、疼痛や発熱が出現することがあります
→鎮痛剤や解熱剤使用が可能です
肝動脈塞栓療法
*大腿動脈からカテーテルを挿入し、造
影剤を注入しながら、肝臓の血管を撮影
*肝細胞癌へ栄養を送っている動脈に抗
癌剤・塞栓物質などを注入し、閉塞する
ことにより、選択的に肝細胞癌を壊死に
導くことができる
*検査時間は1時間~2時間程度
肝動脈塞栓療法
治療場所:1階受付9番
血管撮影室194番
治療前
・下剤内服・浣腸を行います
なぜ??
→治療中の排便を起こらないようにするため
・朝食は半分摂取、その後禁飲食。夕食は摂取可
・尿管を挿入します
なぜ??
→翌日朝までベッド上安静のため
肝動脈塞栓療法
治療後
*翌朝までベッド上安静
穿刺した側の足を曲げることはできません
なぜ??
→出血予防・仮性動脈瘤予防のため
*その他
・当日は弾性ストッキング着用します
なぜ??
→肺塞栓(エコノミークラス症候群)予防
肝動脈塞栓療法
治療後
・疼痛(穿刺部付近、上腹部など)や発熱、吐き気
が生じることがあります。
→適宜、鎮痛剤や解熱などを使用することが可能
・長時間のベッド上安静になるため、苦痛緩和や床
ずれ予防のため、クッションを使用して体位交換を
行います。
検査や処置は不安かもしれません
が、医師や看護師も付いています
ので、何か疑問などあれば伝えて
ください。
第4回
肝臓病教室
治療の現場から
血管撮影室・エコー下穿刺治療室
での看護の実際
検査・放射線科・救急外来
IVR認定看護師
阿部 由紀子
肝細胞がんに対して血管撮影室で行われる治療
・肝動脈化学塞栓術(TACE)
足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、そのカテーテルを肝動脈まで進め、
化学療法剤(抗がん剤)、ゼラチンなどの塞栓物質の順で腫瘍の栄養動脈へ注入し、
腫瘍の壊死をおこさせます。
・肝動注化学療法(TAI)
足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、そのカテーテルを肝動脈まで進め、
化学療法剤(抗がん剤)を腫瘍の栄養動脈へ注入しますが、動脈は塞栓しません。
この治療は、塞栓術より肝臓に負担がかかりにくい治療になります。
・肝動注(化学療法用)リザーバーカテーテル埋め込み術
多発の肝細胞がんに対して、繰り返し、抗がん剤を直接注入するために挿入します。
足の付け根の動脈から肝動脈へ留置用のカテーテルを挿入し、そのカテーテルと
接続したリザーバーポートを太ももに埋め込み皮膚をとじます。
早ければ翌日から、直接リザーバーポート用の針を刺し、抗がん剤を注入できます。
血管撮影室の場所
正面
玄関
血管
撮影室
入退院
入口
血管撮影室での看護の実際
①患者確認・検査受付
患者間違いがないよう、患者さん本人にお名前を名乗ってもらい、確認します。
ネームバンドのバーコードでカルテ受付をします。
②検査台へ
心電図のシールを貼ったり、血圧を測定したりします。
足の付け根からカテーテルを挿入できるように準備します。
お部屋は少し寒く、硬く狭いベッドなので、できるだけ楽な体勢で検査や治療が
受けられるように調節します。
③消毒
足の付け根の消毒後、首から下の体全体に清潔なシーツをかけます。
自分で体を動かすと不潔になるので、体を動かしたいときは、声をかけてください。
④カテーテル挿入
局所麻酔後、足の付け根にある大腿動脈からカテーテルという細長い管を
血管内に挿入します。
痛みが強いときは、麻酔の追加をしますので、遠慮なさらずに
教えてください。
実際の治療風景
⑤血管造影
カテーテルから造影剤を注入して、内臓の動脈や肝動脈を血管造影装置を
用いて撮影します。
撮影時は、息を止めてもらいますので、指示に従ってください。
造影剤による副作用が起こる可能性がありますが、すぐに対処します。
造影剤を注入すると、その部位が熱くなることがありますが、これは有害な
ことではありません。徐々におさまります。
⑥治療
腫瘍を栄養している肝動脈に抗がん剤や塞栓物質を注入していきます。
痛みや吐き気がおこる可能性がありますが、痛みどめ、吐き気止め等で対処
します。
検査・治療中は、必ず医師も看護師もそばにいるので、気分が悪くなったり、
かゆい所があるなどの場合は、ご自分で動いたり、我慢をしたりせずに、
声をかけてください。
⑦確認造影
治療が効果的に行われたかを、撮影して確認します。
撮影時は、息を止めてもらいますので、指示に従ってください。
⑧カテーテル抜去
検査・治療が終了したら、カテーテルを抜き、血が止まるように医師が
手でしっかり押さえます。
圧迫により痛みがある場合がありますが、痛みが強い場合は遠慮なく教えて
ください。
止血を確認して消毒後、絆創膏を貼り、テープで穿刺部を固定して病室に
もどります。
肝細胞がんに対して
エコー下穿刺治療室で行われる治療
・ラジオ波焼灼療法(RFA)
エコーガイド下で肝腫瘍に電極を穿刺し、電極周囲を450kHzの
電磁波で加熱し、腫瘍を壊死させます。
・エタノール注入療法(PEIT)
エコーガイド下で肝腫瘍に細経針を穿刺し、無水エタノールを注入して、
その協力な脱水効果で、腫瘍を凝固壊死させます。
エコー下穿刺治療室の場所
正
面
玄
関
エコー下
治療室
エコー下穿刺治療室での看護の実際
①患者確認・検査受付
患者間違いがないよう、患者さん本人に名前を名乗ってもらい、確認します。
ネームバンドのバーコードでカルテ受付をします。
②検査台へ
血圧を測定したり、体の中の酸素濃度の測定をします。
右胸から治療の針を挿入できるように右手を挙げた姿勢の準備をします。
狭いベッドなので、できるだけ楽な体勢になるよう調節します。
③消毒
消毒後、体全体に清潔なシーツをかけます。自分で体を動かすと不潔になるので
体を動かしたいときは、看護師に声をかけてください。
④治療針挿入
局所麻酔後、エコーガイド下で治療の針を挿入します。
痛みが強いときは、麻酔の追加、痛み止めの注射で対応します。
治療の実際
⑤治療
痛みがでますが、痛み止めの注射で対処します。
⑥治療針抜去、止血
治療が終了したら、治療の針を抜き、血が止まるように医師が
手でしっかり押さえます。
止血を確認して消毒後、絆創膏を貼り、病室にもどります。
ネクサバール®について
薬剤部 田中裕子
ネクサバール®はどんなお薬??
 ソラフェニブという成分名のお薬です。
(ネクサバール®は商品名です)
 肝細胞がんの治療に使われる分子標的薬と呼
ばれる種類の飲み薬です。

分子標的薬とは・・
一般的な抗がん剤とは異なり、
特定の分子にだけ作用する
お薬です。
ネクサバール®はどんなお薬??
 悪い細胞がふえ続けるのをおさます。
遺伝子の異常があると細胞が増え続け、周りの正常
な組織まで壊してしまいます。この悪い細胞が増え続
けないようにします。
 悪い細胞自身に栄養を送る新しい血管が
作られないようにします。
周りの血管から悪い細胞自身に酸素や栄養を送るための
新しい血管を作らないようにします。
飲み方は??
1回 2錠、1日 2回(通常)
食前または食後 ⇒どちらでも◎
飲み忘れたときは2回分まとめて飲まないでください。
1回お休みして次の飲む時間に1回分だけ飲んでください。
飲む時間の注意点
 高脂肪食を摂取した時は、薬の飲む時間を
ずらしましょう。
・・高脂肪食はネクサバール®の作用を弱め
てしまう事があります!
☆高脂肪食とは
脂肪分が多く、高エネルギーな食事のこと。
約900~1,000kcal
外食には注意しましょう。
飲む時間の注意点
薬を飲んだら、最低1時間は高脂肪食の摂取
を避けてください。
 高脂肪食を摂取した時は、最低2時間あけて
薬を飲んでください。

高脂肪食の例
注意が必要なデザートの例
どんな副作用があるの??
 皮膚症状
手足症候群、発疹、かゆみ、脱毛など
 高血圧
 消化器症状
下痢、食欲不振、吐気など
 疲労感
 嗄声
どんな副作用があるの??
 出血 症状:鼻血、血便、血痰など
 心筋梗塞、心筋虚血
 肝機能障害、黄疸
 検査値の異常
すい臓のはたらきを示す酵素が上昇する
 呼吸器障害


急性肺障害
間質性肺炎
症状:呼吸困難、咳など
手足症候群
 症状:手のひらや足の裏のひりひり感(違和感)
ほてり感、赤くはれる、角質があつくなる
 出やすいところ:

手や足の圧力や摩擦のかかりやすいところ
例:ペンやお箸が当たるところ、かかと
 発現のピーク:1~2週間
手足症候群
軽症
初期
ひりひり感
中等症
ほてり感、角質が厚くなる 痛みを伴う症状:水ぶくれ、出血、
皮がむける
身の回り以外の日常生活
動作の制限を伴う。
重症
身の回りの日常生活動作
の制限を伴う。
強い痛みを伴う症状:水ぶくれ、出血、
皮がむける
使用量の目安:指の関節1本分
手足症候群
両手分
片足分
 予防・対策:
※両足の場合は2回
保湿(ハンドクリームなどを用いて)
 皮膚の乾燥を避ける(ガサガサ、ひび割れなど)
 硬くなった角質を除去する。
手を洗った後・入浴後
のスキンケア
 皮膚に強い刺激を与えない


薬を一時お休みして、症状が改善したら再び飲
むこともあります。
手足症候群
 日常生活で気をつけることは??



手の保護
木綿の手袋の着用。
保湿剤を塗って
その上にゴム手袋
木綿の手袋
水仕事をできるだけ避けましょう。
水仕事を行う際:保湿剤を塗布⇒木綿の手袋⇒ゴム手袋
足の保護
木綿の厚めの靴下の着用や、柔らかい中敷の使用。
足に合った履きやすい靴の使用。
屋内ではスリッパを使用。
その他
熱いお風呂は避けましょう。
長時間の入浴は避けましょう。
高血圧
 起こりやすい時期:飲み始めてから6週くらいまで
放置すると、心臓病、脳卒中、腎臓病を発症するリスクが高
まります!
 予防・対策:

定期的に血圧を測定する習慣をつけると
良いでしょう。
なるべく同じ時間帯、同じ腕で測定する
ことをおすすめします。
消化器症状(下痢、食欲不振)
 予防・対策:




脱水を避けるために、水分摂取を心がけましょう。
下痢のときは、特に脂肪の多いものを避けましょう。
食欲がないときは、無理して食べなくて良いです。
食べたいときに、ご自分で食べやすいものを見つ
けて食べるとよいでしょう。
症状が強く現れたときは、お薬(下痢止め、吐き気
止めなど)を使うこともあります。
治療費について
ネクサバール® 1錠 約4,700円
高額療養費制度が利用できます。
最後に・・
副作用に対して早めに対応することが大切です!
どんな副作用があるか理解していただいて、ご自分でのケ
アも症状を軽くするためのポイントです。
出来る限りネクサバール®錠を継続することで、治療の効
果も期待できます。
我慢せずに、気になる症状については相談をして下さい。
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