...

製品情報概要 - Lilly オンコロジー製品情報

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

製品情報概要 - Lilly オンコロジー製品情報
7
(R2)
月作成
日本標準商品分類番号87 4224
総合製品情報概要
薬価基準収載
劇薬/処方箋医薬品(注意−医師等の処方箋により使用すること)
【警告】
1.本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、
がん化学療法に十分な知識・
経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施するこ
と。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を
得てから投与すること。
2.週1回投与を30分間点滴静注により行うこと。
[外国の臨床試験において、週2回以上あ
るいは1回の点滴を60分以上かけて行うと、
副作用が増強した例が報告されている。]
3.禁忌、慎重投与の項を参照して適応患者の選択に十分注意すること。
4.高度な骨髄抑制のある患者には投与しないこと。
[骨髄抑制は用量規制因子であり、感染
症又は出血を伴い、重篤化する可能性がある。骨髄抑制に起因したと考えられる死亡例が
報告されている。]
5.胸部単純X線写真で明らかで、
かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者
には投与しないこと。
[間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている。]
6.放射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること。
[外国の臨床
試験において、本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎
が発現し、死亡に至った例が報告されている。
「相互作用」の項参照]
7.投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎
機能検査等)
を、
また、定期的に胸部X線検査等を行い、異常が認められた場合には適切な
処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること。
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1.高度な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増悪し、致命的となることがある。]
2.胸部単純X線写真で明らかで、
かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者
[症状が増悪し、致命的となることがある。]
3.胸部への放射線療法を施行している患者[外国の臨床試験で本剤と胸部への根治的放射
線療法との併用により、重篤な食道炎、
肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報告されている。
「相互作用」の項参照]
4.重症感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。]
5.本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
6.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物実験(マウス、
ウサギ)
で催奇形作用及び胎
児致死作用が報告されている。]
INDEX
■開発の経緯 ■ジェムザールの特徴 ■ドラッグインフォメーション 警告・禁忌 組成・性状 有効成分に関する理化学的知見 効能・効果 用法・用量 使用上の注意 1.慎重投与 2.重要な基本的注意 3.相互作用 4.副作用 5.高齢者への投与 6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 7.小児等への投与 8.適用上の注意 9.その他の注意 ■臨床成績 ●非小細胞肺癌
国内後期第Ⅱ相試験 試験方法 患者背景 試験成績 副作用 ●膵 癌
海外第Ⅲ相試験(海外データ)
試験方法 試験成績 副作用 国内第Ⅰ相試験 試験方法 試験成績 副作用 ●胆 道 癌
国内第Ⅱ相試験 試験方法 患者背景 試験成績 副作用 ●尿路上皮癌
海外第Ⅲ相試験(海外データ)
試験方法 患者背景 試験成績 副作用 3
6
6
7
7
8
8
8
9
10
13
13
13
13
13
1
2
3
14
14
14
15
16
17
18
18
19
23
24
24
25
25
26
26
27
28
29
30
30
30
31
32
国内第Ⅱ相試験 試験方法 患者背景 試験成績 副作用 ●乳 癌
国内第Ⅱ相試験 試験方法 患者背景 試験成績 副作用 海外第Ⅲ相試験(海外データ)
試験方法 患者背景 試験成績 副作用 国内第Ⅱ相試験(ジェムザール単剤)
試験方法 患者背景 試験成績 副作用 ●副作用
副作用 主な副作用の注意とその対策 ■薬物動態 吸収 分布 代謝 排泄 ■薬効薬理 薬効薬理 ■一般薬理試験及び毒性試験 一般薬理試験 毒性試験 ■製剤学的事項 製剤の安定性 溶解後の安定性 配合変化試験成績 ■取扱い上の注意、包装、関連情報 ■主要文献 ■製造販売業者の名称及び住所 33
33
33
34
35
36
36
37
38
41
42
42
43
44
46
47
47
48
49
50
52
77
79
81
82
82
84
93
94
95
95
95
79
84
93
95
97
98
99
開発の経緯
ジェムザール
(一般名:ゲムシタビン塩酸塩)
は、1983年に米国イーライリリー社が合成した新しい抗悪性
腫瘍剤です。本剤は、
デオキシシチジンの糖鎖の2'位の水素をフッ素に置換したヌクレオシド誘導体であり、抗悪
性腫瘍剤のスクリーニングにおいて優れた抗悪性腫瘍作用を示し、強く特異性の高い代謝拮抗作用を有するこ
とが判明したことから、抗悪性腫瘍剤としての開発が進められました。
本剤は類似構造をもつヌクレオシド系代謝拮抗剤シタラビン
(ara-C)
と同様に細胞内に取り込まれた後、三リ
ン酸化物に代謝されてDNA合成を阻害します。
しかしこの際、ara-Cとは異なる作用機序と代謝特性(「マスク
されたDNA鎖終結」
と
「自己増強」;詳細は84~85ページをご参照ください)
を有し、in vitroと各種in vivo
腫瘍モデルの検討で、優れた抗腫瘍活性と広範な抗腫瘍作用スペクトルを有し、固形腫瘍に対しても抗腫瘍作
用を示すことが認められました
(88~92ページをご参照ください)。
海外では1987年より米国及び欧州各国において第Ⅰ相試験が開始され、1995年にイギリス、
オランダ、
オ
ーストラリア等で承認を受けるに至り、現在世界100ヵ国以上で承認又は販売されています。本邦においては、
1989年より臨床試験が開始され、非小細胞肺癌に対する有効性が確認されたことから、1999年3月に非小
細胞肺癌の治療薬として承認されました。
一方、膵癌に関しては、海外の臨床試験で腫瘍縮小効果の認められない症例においても「腫瘍関連症状の改
善」が認められたことから、抗癌剤による腫瘍関連症状の軽減を評価できる項目として「症状緩和効果」
(Clinical Benefit Response;CBR)が 開 発 さ れ ました。こ れ は、
「疼 痛」、
「一 般 状 態(Performance
Status;PS)」、
「体重」の改善をもとに抗癌剤の有効性を評価するもので
(詳細は21~22ページをご参照く
ださい)、症状緩和効果有効例では無効例に比べて生存期間が延長し、膵癌治療効果の主要評価項目として有
用なことが示唆されています。
海外での症状緩和効果を主要評価項目とした臨床試験において、膵癌に対する本剤の有効性が明らかになっ
たことから、本邦でも1998年8月より国内第Ⅰ相試験を実施しました。さらに米国、
カナダ及び南アフリカで実
施された第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験の成績と併せて膵癌に対する有効性が確認されたことから2001年4月に膵
癌の治療薬として承認されるに至りました。
一方、海外で実施された胆道癌患者に対する複数の臨床研究において、抗腫瘍効果が認められており、本邦
においても第Ⅱ相試験が2001年12月に開始されました。主要評価項目の抗腫瘍効果及び副次的評価項目の
生存期間、奏効期間などで有効性が確かめられたことから、2006年6月に胆道癌に対する適応が、本邦におい
て承認されました。
また、海外で実施された尿路上皮癌に対する臨床試験において、本剤とシスプラチンの併用投与(以下GC療
法)
と、
シスプラチン、
メトトレキサート、
ドキソルビシン及びビンブラスチンの4剤併用療法(以下M-VAC療法)
と比較し、有効性に統計的な有意差はなく
(生存期間中央値GC療法:12.8ヵ月、M-VAC療法:14.8ヵ月、P
=0.547、log-rank検定)、安全性については忍容性に優れていることが示されました
(有害事象により投与中
止に至った割合GC療法:9.9%、M-VAC14.4%)。国内においても、尿路上皮癌の化学療法既治療例に対す
る本剤単剤投与の第Ⅱ相試験を実施し、本剤の有効性及び安全性が確認されたことから、
2008年11月に尿路
上皮癌の治療薬として承認が追加されました。
また、
ゲムシタビンは海外において、
パクリタキセル単剤療法とゲムシタビンとパクリタキセル併用療法を比
較した切除不能、局所再発又は転移性乳癌に対する第Ⅲ相試験が実施されました
(詳細は42~46ページをご
参照ください)。この試験の結果に基づいて、米国ではアントラサイクリンを含む化学療法歴を有する転移性乳
癌患者に対して2004年5月に米国食品医薬品局(FDA)のpriority reviewにて承認されました。
ゲムシタビンの本邦における第Ⅱ相試験はゲムシタビン単剤試験とパクリタキセル併用試験の2つの試験が
実施されました
(詳細は36〜41、47~50ページをご参照ください)。
これら国内外の試験結果に基づき、2010年2月、手術不能または再発乳癌の適応症として承認されるに至
りました。
がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ腫に関しては、国内臨床試験は実施せずに
公知申請を行い、それぞれ2011年2月、2013年2月に承認されました。
なお、
2000年9月19日付、医薬発第935号通知「医療事故を防止するための医薬品の表示事項及び販売
名の取扱いについて」に基づき、2001年8月に200mg製剤の販売名を「ジェムザール注射用200mg」に、
1g製剤の販売名を「ジェムザール注射用1g」
と変更致しました。
1
ジェムザールの特徴
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
2つの活性代謝物が働き、細胞内濃度を高濃度に維持すると同時に、DNA合成を不可逆的に阻害する新しいヌクレ
オシド系代謝拮抗剤です
(in vitro)。84~87ページ参照。
非小細胞肺癌細胞株、膵癌細胞株、胆道癌細胞株、尿路上皮癌細胞株、乳癌細胞株に対して抗腫瘍作用が認められて
います
(in vivo)。90~92ページ参照。
非小細胞肺癌に対し23.6%(33/140例)
[後期第Ⅱ相試験;適格例]、胆道癌に対し17.5%(7/40例)
[第Ⅱ相試
験;適格例]、尿路上皮癌に対し25.0%(11/44例)
[第Ⅱ相試験;適格例]、転移・再発乳癌に対し8.1%(5/62例)
[第Ⅱ相試験;適格例]の奏効率を示しました。16、28、34、49ページ参照。
海外で実施された臨床試験において、症状緩和効果(Clinical Benefit Response;CBR)
が「有効」
と認められた
のは23.8%(15/63例)
でした
(膵癌)。19ページ参照。
国内第Ⅱ相試験における胆道癌患者での奏効率は17.5%
(7/40例)
でした。28ページ参照。
国内第Ⅱ相試験における化学療法既治療尿路上皮癌患者での奏効率は25.0%(11/44例)
でした。34ページ参照。
国内第Ⅱ相試験におけるアントラサイクリン及びタキサンによる化学療法歴を有する転移・再発乳癌患者での奏効率
は8.1%(5/62例)でした。なお、海外第Ⅲ相試験における切除不能、局所再発又は転移性乳癌患者でのゲムシタビ
ン+パクリタキセル併用療法の生存期間中央値は18.6ヵ月でした。49、44ページ参照。
週1回投与を30分間点滴静注により行うこと。
[外国の臨床試験において、週2回以上あるいは1回の点滴を60分
以上かけて行うと、副作用が増強した例が報告されています。]
国内臨床試験において発現した副作用は以下の通りでした。
<承認時> 本剤単独投与の臨床試験における全投与例は506例であり、そのうち安全性評価対象は481例でし
た。これらにおいて、本剤との因果関係が完全に否定できない死亡例が、全投与例506例中9例(1.8%)
に認められ
ました。9例の死因の内訳は、腫瘍死3例、間質性肺炎2例、感染性肺炎1例、敗血症2例及び急性呼吸不全1例でし
た。
転移・再発乳癌を対象とした本剤とパクリタキセルとの併用投与の臨床試験における全投与例は62例であり、そのう
ち安全性評価対象は62例でした。本剤及びパクリタキセルの因果関係が否定できない死亡例は認められませんでし
た。
安全性評価対象62例において認められた臨床検査値異常変動を含む副作用のうち、主なものは骨髄抑制
[特に、白
血球減少
(91.9%)
、好中球減少
(93.5%)
、
リンパ球減少
(51.6%)
、赤血球減少
(64.5%)
、ヘモグロビン減少
(77.4%)
及び血小板減少
(69.4%)
]
、AST
(GOT)
上昇
(77.4%)
、ALT
(GPT)
上昇
(64.5%)
、倦怠感
(62.9%)
、
脱毛
(61.3%)
、悪心
(48.4%)
、食欲不振
(46.8%)
、血管障害
(43.5%)
、関節痛
(38.7%)
、感覚鈍麻
(35.5%)
、
味覚異常
(33.9%)
、筋痛
(32.3%)
でした。
<再審査終了時> 使用成績調査(非小細胞肺癌)の結果、安全性評価対象例2110例のうち副作用発現症例は
1581例(74.9%)
であり、副作用発現件数は4974件でした。
市販後臨床試験の結果、安全性評価対象例238例のうち副作用発現症例は238例(100%)
であり、副作用発現件
数は4249件でした。
なお、重大な副作用として、骨髄抑制、間質性肺炎、アナフィラキシー 、心筋梗塞、
うっ血性心不全、肺水腫、気管支痙
攣、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、腎不全、溶血性尿毒症症候群、皮膚障害、肝機能障害、黄疸、白質脳症(可逆性後
白質脳症症候群を含む)
が報告されています。
2
「警告・禁忌を含む使用上の注意」の改訂には十分ご留意ください。
ドラッグインフォメーション
ドラッグインフォメーション 警告・禁忌
警告
1.本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医
師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、
患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【設定理由】
1.
「警告4.」及び「警告5.」の項で述べるように、高度の骨髄抑制や間質性肺炎に起因した死亡例が報告
されている。これらの副作用に適切な処置を講ずるため、副作用発現による緊急時に十分に対応でき
る医療施設及びがん化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症
例についてのみ投与することが望ましいと考えられる。本剤投与にあたっては、患者又はその家族に
対し本剤の有効性及び危険性について十分に説明を行い、同意を得てから投与を開始すること。
2.週1回投与を30分間点滴静注により行うこと。
[外国の臨床試験において、週2回以上あるいは1回の点
滴を60分以上かけて行うと、副作用が増強した例が報告されている。]
【設定理由】
2.投 与間隔については、外国で行われた3種類の第Ⅰ相試験[①5日間連日投与を3週毎に繰り返す試
験1)、②週2回投与を3週連続する試験2)、③週1回投与を3週連続する試験3)]
で検討を行った。①の
方法では副作用の発現頻度が最も高く、有効例が認められなかったこと、
また、②及び③の間欠投与
方法の比較においては両試験で有効例が報告されたが、安全性の点において③が②に比べて副作用
の発現頻度が低く、高度の副作用がみられなかったことから、③と同様の週1回投与で国内における
臨床試験を実施した。また、1回の点滴時間については、外国で行われた第Ⅰ相試験において、1回
875mg/m2 注)で週1回60分間点滴静注を3週連続して行い、その後1週間休薬するスケジュール
で行ったところ、高頻度に骨髄抑制や肝機能異常が認められ、更に低用量(1回300mg/m2 注))
を60
分間以上で投与した場合でも、副作用の増強が認められたことから、本剤の投与時間が60分以上と
なると毒性が増強されることが示唆された4)。
なお、臨床試験では、皮下、筋肉内投与の経験がなく、安全性及び有効性は確立されていない。
注)
ジェムザールの非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リン
パ腫に対する承認用量は1回1000mg/m2、手術不能又は再発乳癌に対する承認用量は1回1250mg/m2です。
3.禁忌、慎重投与の項を参照して適応患者の選択に十分注意すること。
【設定理由】
3.本剤の投与に際しては、安全性を考慮して患者の状態を十分に把握する必要があるため設定した。
3
4.高度な骨髄抑制のある患者には投与しないこと。
[骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症又は出血を伴
い、重篤化する可能性がある。骨髄抑制に起因したと考えられる死亡例が報告されている。]
【設定理由】
4.骨髄抑制(特に白血球減少、好中球減少及び血小板減少)
は本剤の用量規制因子であり、国内臨床試
験で本剤に起因すると考えられる、高度の白血球・血小板減少に伴う敗血症による死亡例が安全性評
価対象例481例中1例(0.2%)報告されており、市販後でも血小板減少を伴う脳出血により死亡に
至った報告がある。すでに高度の骨髄抑制がある症例では、重篤な経過をたどることが予想されるの
で、本剤は投与しないこと。
5.胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者には投与しない
こと。
[間質性肺炎に起因したと考えられる死亡例が報告されている。]
【設定理由】
5.国内臨床試験の安全性評価対象例481例において、本剤との因果関係が有りと判定された間質性肺
炎の発症又は増悪をきたした症例が5例(1.0%)報告されている。5例の重症度を担当医判定で分類
すると、軽度1例、中等度1例、高度1例、極めて高度2例であった。このうち、2例は間質性肺炎により
死亡しており、死亡と本剤の因果関係は有りと判定されている。また、死亡に至った1例を含め3例で
は肺線維症を合併していた。上述の481例中、間質性肺炎又は肺線維症の既往歴を有する患者は
10例で、
これら10例中3例(30.0%)で間質性肺炎が増悪している。既往のない患者での発症率
(471例中2例;0.4%)
と比較し、発現頻度は明らかに高いことから、間質性肺炎及び肺線維症の既往
歴を有する患者での投与は避ける必要があると考えられる。
6.放 射線増感作用を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避けること。
[外国の臨床試験におい
て、本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例
が報告されている。
「相互作用」の項参照]
【設定理由】
6.「3.相互作用
(1)併用禁忌」の項参照
7.投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)
を、また、定期的に胸部X線検査等を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うとともに、投与
継続の可否について慎重に検討すること。
【設定理由】
7.国内臨床試験では、1週間毎に血液検査を実施するように計画されていた。
高度の骨髄抑制や間質性肺炎などの重篤な有害事象の発症の予防又は早期の発見と適切な処置を
行うためにも、十分な検査・観察を実施すること
(「2.重要な基本的注意
(2) 2)間質性肺炎等の肺毒
性」の項参照)。また、
これらの発症を疑わせる所見を認めた場合には、投与の中止を含め、本剤の使用
について慎重に検討すること。
4
ドラッグインフォメーション
禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.高度な骨髄抑制のある患者
[骨髄抑制が増悪し、致命的となることがある。]
【設定理由】
1.「警告4.」の項参照
2.胸部単純X線写真で明らかで、かつ臨床症状のある間質性肺炎又は肺線維症のある患者
[症状が増悪し、致命的となることがある。]
【設定理由】
2.「警告5.」の項参照
3.胸部への放射線療法を施行している患者
[外国の臨床試験で本剤と胸部への根治的放射線療法との併用により、重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死
亡に至った例が報告されている。
(「相互作用」の項参照)]
【設定理由】
3.「3.相互作用
(1)併用禁忌」の項参照
4.重症感染症を合併している患者
[感染症が増悪し、致命的となることがある。]
【設定理由】
4.国内臨床試験で安全性評価対象例481例中、本剤との因果関係が否定できない感染性の肺炎によ
る死亡例が1例(0.2%)、偽膜性大腸炎を発症し敗血症の疑いによる死亡例が1例(0.2%)報告され
ている。すでに重症感染症を合併している症例では、本剤による白血球減少、好中球減少などの骨髄
抑制による感染症の増悪により致命的な経過をたどる可能性があるので、
このような症例には本剤を
投与しないこと。
5.本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
【設定理由】
5.国内臨床試験で安全性評価対象例481例中、本剤との因果関係が否定できないアレルギー性の呼
吸困難が1例(0.2%)報告されている。
6.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
[動物実験(マウス、
ウサギ)
で催奇形作用及び胎児致死作用が報告されている。]
【設定理由】
6.「6.妊婦、
産婦、授乳婦等への投与」の項参照
5
組成・性状
販売名
成分・含量
(1バイアル中)
ジェムザール注射用200mg
ジェムザール注射用1g
ゲムシタビン塩酸塩228mg
(ゲムシタビンとして200mg)
ゲムシタビン塩酸塩1140mg
(ゲムシタビンとして1000mg)
D-マンニトール
200mg
無水酢酸ナトリウム 12.5mg
pH調節剤
適量
添加物
性状・剤形
添加物
D-マンニトール
1000mg
無水酢酸ナトリウム 62.5mg
pH調節剤
適量
白色の軽質の塊又は粉末(凍結乾燥製剤)
(注射剤)
約3 ゲムシタビン16mg相当量/mL(生理食塩液)
pH*
約3 ゲムシタビン40mg相当量/mL(生理食塩液)
約2 ゲムシタビン16mg相当量/mL(生理食塩液)
浸透圧比*
(生理食塩液
に対する比)
約3 ゲムシタビン40mg相当量/mL(生理食塩液)
*ゲムシタビン16mg相当量/mL
(生理食塩液)
:平 均的な体表面積から換算した投与量を100mLに希釈した時の濃度(ゲムシタビン
1600mg相当量/100mL生理食塩液)
ゲムシタビン40mg相当量/mL
(生理食塩液)
:用法・用量における溶解時最高濃度(ゲムシタビン200mg相当量/5mL生理食塩液又はゲ
ムシタビン1g相当量/25mL生理食塩液)
有効成分に関する理化学的知見
一般名:ゲムシタビン塩酸塩(JAN)
Gemcitabine Hydrochloride
略 号:GEM
化学名:(+)–2'–Deoxy-2', 2'–difluorocytidine monohydrochloride
分子式:C9H11F2N3O4・HCl
分子量:299.66
構造式:構造式 :
NH2
N
O
O
HOH2C
H
H
OH
N
F ・HCI
H
F
性 状:白色~微黄白色の結晶性の粉末である。
水にやや溶けやすく、
メタノールに溶けにくく、
エタノール及びエーテルにほとんど溶けない。
融 点:約237℃
(分解)
6
ドラッグインフォメーション
効能・効果
非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、手術不能又は再発乳癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は
難治性の悪性リンパ腫
<効能・効果に関連する使用上の注意>
胆道癌の場合
本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
尿路上皮癌の場合
本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
手術不能又は再発乳癌の場合
1. 本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
2.本剤の投与を行う場合には、
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の増悪若しくは再発例
を対象とすること。
がん化学療法後に増悪した卵巣癌の場合
本剤の投与を行う場合には、白金製剤を含む化学療法施行後の症例を対象とし、白金製剤に対する感受性を
考慮して本剤以外の治療法を慎重に検討した上で、本剤の投与を開始すること。
用法・用量
1.非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ
腫の場合
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4
週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
2. 手術不能又は再発乳癌の場合
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3
週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
尿路上皮癌及び手術不能又は再発乳癌に本剤を使用する場合には、
「臨床成績」の項の内容を十分に理解し
た上で投与方法を選択すること。
(注射液の調製法)
本剤の200mgバイアルは5mL以上、
1gバイアルは25mL以上の生理食塩液に溶解して用いること。
7
使用上の注意
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)骨髄抑制のある患者[「重要な基本的注意」の項参照]
(2)間質性肺炎又は肺線維症の既往歴又は合併症がある患者[間質性肺炎等の重篤な肺毒性を起こすことがあ
る。]
(3)肝障害(肝転移、肝炎、肝硬変等)、アルコール依存症の既往又は合併のある患者
[肝機能の悪化を引き起こ
すことがある。]
(4)腎障害のある患者[腎機能が低下しているので、副作用があらわれやすくなることがある。]
(5)高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
(6)心筋梗塞の既往のある患者[心筋梗塞がみられることがある。]
2.重要な基本的注意
(1)腫瘍の明らかな増大、新病変の出現等、病態の進行が認められた場合には投与を中止し、他の適切な治療法
に切り替えること。
(2)骨髄抑制、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、
ときに致命的な経過をたどることがあるので、
投与に際しては臨床症状を十分に観察し、頻回に臨床検査(血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査等)
を、
ま
た、定期的に胸部X線検査を行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
1)骨髄抑制
本剤の投与にあたっては、
白血球数及び血小板数の変動に十分留意し、
投与当日の白血球数が2000/
μL未満又は血小板数が7万/μL未満であれば、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。また、前治
療により、骨髄機能が低下している患者では、骨髄抑制が強くあらわれることがあるので、
これらの患者で
は投与量を適宜減量し、臨床検査値に十分注意すること。本剤を週1回3週連続投与した場合、白血球数
及び好中球数の最低値は投与開始平均約2~3週間後にあらわれ、最低値発現日から約1週間で回復
する。
2)間質性肺炎等の肺毒性
本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)
を十分に観察し、定期的に胸部X
線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較
差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切
な処置を行うこと。間質性肺炎等の肺毒性の発症あるいは急性増悪が疑われた場合には、直ちに本剤に
よる治療を中止し、
ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。
(3)感染症の発現又は増悪に十分注意すること。
(4)過敏症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(5)本剤投与時に傾眠が認められることがあるので、
このような症状が発現しないことが確認されるまで、
自動車
の運転等は行わないように注意すること。
(6)動物実験(マウス、
ウサギ)
において、生殖毒性(先天性異常、胚胎発育、妊娠経過、周産期発育あるいは生後
発育に対する影響等)
が報告されているので、生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には生殖器
に対する影響を考慮すること。
(7)卵巣癌、悪性リンパ腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討
会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(卵巣癌)」、
「医療上の必要性の高い未承認
薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ゲムシタビン塩酸塩(再発・難治性悪性リンパ
腫)」等)
を熟読すること。
8
ドラッグインフォメーション
3.相互作用
(1)併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等
胸部放射線照射
臨床症状・措置方法
機序
外国の臨床試験で本剤(1000mg/m /日を週1回
放射線照射前に投与)
と胸部への根治的放射線療法
(2Gy/日を週5回)を6週連続して併用した場合に、
重篤な食道炎、肺臓炎が発現し、死亡に至った例が報
告されている。放射線照射を併用した場合の本剤の
至適用量は確立されていないので、放射線増感作用
を期待する胸部への放射線療法との同時併用は避け
ること。
2
基礎試験で本剤は濃度
依存的に放射線照射の
効果を増強し、本剤によ
る放射線感受性増加が
認められている。
(2)併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序
腹部放射線照射
腹部放射線療法(体外照射)
と同時併用する場合、重
篤となる局所の合併症が発現することがある。なお、
術中放射線照射と併用した際の本剤の安全性は確認
されていない。
基礎試験で本剤は濃度
依存的に放射線照射の
効果を増強し、本剤によ
る放射線感受性増加が
認められている。
他の抗悪性腫瘍剤
アルキル化剤
代謝拮抗剤
抗生物質
アルカロイド等
骨髄抑制が増強されることがある。
両剤とも骨髄抑制を有し
ている。
9
4.副作用
国内で実施された本剤の臨床試験において発現した副作用を記載した。
<承認時>
本剤単独投与の臨床試験における全投与例は506例であり、そのうち安全性評価対象は481例であった。こ
れらにおいて、本剤との因果関係が完全に否定できない死亡例が、全投与例506例中9例(1.8%)
に認められ
た。9例の死因の内訳は、腫瘍死3例、間質性肺炎2例、感染性肺炎1例、敗血症2例及び急性呼吸不全1例であっ
た。5~10)
転移・再発乳癌を対象とした本剤とパクリタキセルとの併用投与の臨床試験における全投与例は62例であり、
そのうち安全性評価対象は62例であった。本剤及びパクリタキセルの因果関係が否定できない死亡例は認めら
れなかった。
安全性評価対象62例において認められた臨床検査値異常変動を含む副作用のうち、主なものは骨髄抑制
[特
に、白血球減少(91.9%)、好中球減少(93.5%)、
リンパ球減少(51.6%)、赤血球減少(64.5%)、ヘモグロビン
減少(77.4%)及び血小板減少(69.4%)]、AST
(GOT)上昇(77.4%)、ALT
(GPT)上昇(64.5%)、倦怠感
(62.9%)、脱毛(61.3%)、悪心(48.4%)、食欲不振(46.8%)、血管障害(43.5%)、関節痛(38.7%)、感覚
鈍麻(35.5%)、味覚異常(33.9%)
、筋痛(32.3%)
であった。
<再審査終了時>
使用成績調査
(非小細胞肺癌)
の結果、
安全性評価対象例2110例のうち副作用発現症例は1581例
(74.9%)
であり、
副作用発現件数は4974件であった。
市販後臨床試験の結果、安全性評価対象例238例のうち副作用発現症例は238例(100%)であり、副作用
発現件数は4249件であった。
10
ドラッグインフォメーション
(1)重大な副作用
発現頻度については、国内の本剤単独投与の臨床試験において認められたものを記載した。
  1)骨髄抑制:白血球減少(72.6%、
ただし、2000/μL未満の減少は17.5%)、好中球減少(69.2%、
ただ
し、
1000/μL未満の減少は32.1%)
、
血小板減少
(41.4%、
ただし、
5万/μL未満の減少は4.2%)
、
貧血
[ヘモグロビン減少(66.5%、
ただし、8.0g/dL未満の減少は13.1%)、赤血球減少(52.6%)]等があら
われることがあるので、血液学的検査を頻回に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等適切な処
置を行うこと。なお、高度な白血球減少に起因したと考えられる敗血症による死亡例が報告されている。
  2)間質性肺炎(1.0%):間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分
に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎に起因した
と考えられる死亡例が報告されている。
  3)アナフィラキシー(0.2%):呼吸困難、血圧低下、発疹等の症状があらわれることがあるので、観察を十
分に行い、
このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
  4)心筋梗塞(0.2%):心筋梗塞がみられることがある。
  5)うっ血性心不全:うっ血性心不全があらわれることがある。
  6)肺水腫:肺水腫があらわれることがある。
  7)気管支痙攣:気管支痙攣があらわれることがある。
  8)成人呼吸促迫症候群(ARDS):成人呼吸促迫症候群(ARDS)
があらわれることがある。
  9)腎不全:腎不全があらわれることがある。
10)溶血性尿毒症症候群(0.2%):溶血性尿毒症症候群があらわれることがあるので、血小板減少、
ビリル
ビン上昇、
クレアチニン上昇、BUN上昇、LDH上昇を伴う急速なヘモグロビン減少等の微小血管症性溶
血性貧血の兆候が認められた場合には、
投与を中止すること。腎不全は投与中止によっても不可逆的であ
り、透析療法が必要となることもある。
11)皮膚障害(頻度不明):重篤な皮膚障害(紅斑、水疱、落屑等)
があらわれることがある。
12)肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-Pの上昇等の重篤な肝機能障害、黄疸が
あらわれることがある。
13)白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む):白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む)
があらわれる
ことがあるので、高血圧、痙攣、頭痛、視覚異常、意識障害等の症状が認められた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
波線部:2013年10月改訂
11
(2)その他の副作用
次のような副作用が認められた場合には、
臨床所見等の重篤度に応じ、
減量、
投与中止等の適切な処置を行うこ
と。国内の本剤単独投与の臨床試験において認められたその他の副作用をその発現頻度に基づき記載した。
副作用分類
10%以上又は頻度不明
(頻度不明には*)
1~10%未満
頻脈、血圧上昇
血圧低下、狭心痛、動悸、心
室性期外収縮、発作性上室
頻拍、心電図異常(ST上昇)
呼吸困難、高炭酸ガス血症注1)、
低酸素血、咳嗽
PIE
(肺好酸球浸潤)
症候群、
喘鳴、
喀痰、
息切れ
総蛋白低下、電解質異常、
アルブミン低下
BUN上昇、蛋白尿、血尿、
クレアチニン上昇
乏尿
食欲不振、悪心・嘔吐
下痢、便秘、口内炎、
胃部不快感
歯肉炎
AST(GOT)
上昇、
ALT(GPT)上昇、
LDH上昇、Al-P上昇
ビリルビン上昇、A/G比低下、
γ-GTP上昇、
ウロビリン尿
循環器
呼吸器
腎臓
消化器
肝臓
精神神経系
皮膚
発疹
頭痛、
めまい、
不眠、知覚異常注2)
嗜眠、
しびれ
脱毛注2)、そう痒感
蕁麻疹
注射部位
注射部位反応(静脈炎、疼痛、紅斑)
血管障害
末梢性血管炎注2)
その他
1%未満
末梢性壊疽
疲労感、発熱、インフルエン 体重減少、尿糖陽性、好酸球増多、 眼 底 出 血、体 温 低 下、耳 鳴
ザ 様 症 状(倦 怠 感、無 力 症、 関節痛 注2)、悪寒、味覚異常 注2)、鼻 り、眼脂、無力症、顔面浮腫
発 熱、頭 痛、悪 寒、筋 痛、発 出血、倦怠感 注2)、浮腫、CRP上昇、
*
汗、鼻炎等)
、放射線照射リ 体重増加、疼痛注2)、ほてり、胸部不
*
コール反応 、血小板増加
快感
注1)膵癌の臨床試験11例における発現頻度である
注2)国内における本剤とパクリタキセルとの併用投与の臨床試験においては30%以上の頻度で認められている
尿路上皮癌におけるシスプラチンとの併用時の安全性情報
外国で実施された本剤とシスプラチンとの併用投与による、尿路上皮癌の化学療法初回治療例に対する第Ⅲ相
試験において203例が割り付けられ、
これらの症例に認められた有害事象は以下のとおりであった。
項目
グレード3(%)
グレード4(%)
貧血
23.5
3.5
血小板減少
28.5
28.5
好中球減少
41.2
29.9
1.0
0 悪心/嘔吐
22.0
0 脱毛
10.5
0
感染
2.0
血液毒性
非血液毒性
粘膜炎
0.5
(続く)
12
ドラッグインフォメーション
尿路上皮癌におけるシスプラチンとの併用時の安全性情報(続き)
項目
グレード3(%)
グレード4(%)
下痢
3.0
0 肺毒性
2.5
0.5
血尿
4.5
0 便秘
1.5
0 出血
2.0
0 意識状態異常(State of consciousness)
0.5
0 注)WHO毒性基準により判定し、いずれかの投与群において2%を超えた事象のみ記載
5.高齢者への投与
高齢者では腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあ
るので、骨髄抑制等の副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
[動物実験(マウス、
ウサギ)
で催奇形作用が報
告されている。]
(2)授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。
[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されてい
る。]
7.小児等への投与
小児等に対する安全性は確立されていない。
[使用経験がない。]
8.適用上の注意
(1)30分間で点滴静脈内投与し、皮下、筋肉内には投与しないこと。
(2)溶解後は速やかに投与すること。溶液を冷蔵庫に保存すると結晶が析出することがあるので、保存する場合
でも室温(15~30℃)
で保存し、24時間以内に使用すること。溶解した残液は使用しないこと。
(3)皮膚に薬液が付着した場合は直ちに石けんでよく洗浄し、粘膜に付着した場合は直ちに多量の流水でよく洗
い流すこと。
9.その他の注意
変異原性試験のうち、
マウスリンフォーマ細胞を用いたin vitro 遺伝子突然変異試験及びマウスを用いた小核
試験において、いずれも陽性の結果が報告されている。
2013年10月改訂(第15版)添付文書に基づく
13
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等は3~13ページをご参照ください。
臨床成績 一部承認外の成績が含まれるデータがありますが、承認時評価資料ですのでご紹介します。
国内後期第Ⅱ相試験5)、6)
試験方法
ジェムザール単独療法による同一プロトコールの独立した2試験(試験A及び試験B)
が実施されました。
目的
試験デザイン
対象
投与方法
原発性非小細胞肺癌の初回治療例について本剤の有効性及び安全性を確認する
後期第Ⅱ相、多施設共同、非対照試験
切除不能の非小細胞肺癌で化学療法初回治療例142例(登録例)、
うち適格例は140例
1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬した。
これを1コースとし、原則として2コース以上繰り返した。
ただし、投与期間中に白血球数が2000/μL未満又は血小板数が7万/μL未満になった場合
は休薬し、回復を待つこととした。また、骨髄抑制の程度や副作用の発現状況に応じ1回投与
量を適宜増減した。
1コース
1週
ジェムザール
1000mg/m2 Day1
2週
Day8
2 コース以降
3週
Day15
4週(休薬)
繰り返す
評価項目
主要評価項目:抗腫瘍効果
副次的評価項目:奏効期間 など
解析計画
事前に規定された組織型別の腫瘍縮小効果、奏効例の効果発現時期と奏効期間についてサ
ブグループ解析を行った
5)福岡正博ほか:癌と化学療法, 23, 1825, 1996. 承認時評価資料
6)横山晶ほか:癌と化学療法, 23, 1681, 1996. 承認時評価資料
14
臨床成績 【非小細胞肺癌】
患者背景
症例数(%)
背景因子
試験B
合計
73
67
140
男性
54(74.0)
50(74.6)
104(74.3)
女性
19(26.0)
17(25.4)
  36(25.7)
適格例数
性別
年齢(歳)
Stage分類
PS
65.8
65.7
65.8
[32~79]
[36~80]
[32~80]
ⅢA
11(15.1)
11(16.4)
  22(15.7)
ⅢB
18(24.7)
21(31.3)
  39(27.9)
Ⅳ
44(60.3)
35(52.2)
  79(56.4)
腺癌
47(64.4)
36(53.7)
  83(59.3)
扁平上皮癌
16(21.9)
28(41.8)
  44(31.4)
大細胞癌
10(13.7)
  3 (4.5)
  13 (9.3)
0
  9(12.3)
13(19.4)
  22(15.7)
1
49(67.1)
36(53.7)
  85(60.7)
2
15(20.5)
18(26.9)
  33(23.6)
膵 癌
組織型
平均
[幅]
非小細胞肺癌
試験A
胆 道 癌
尿路上皮癌
乳 癌
15
試験成績
腫瘍縮小効果(主要評価項目)
非小細胞肺癌に対する奏効率は、試験Aで26.0%、試験Bで20.9%と、いずれにおいても20%を超える奏効
率を示し、全体の奏効率は23.6%でした
(適格例)。
抗腫瘍効果(症例数)
奏効率
奏効例数
(CR+PR) 適格例
完全例
試験
適格
例数
完全*1
例数
CR
PR
MR
NC
PD
A
  73
  69
0
19
  4
30
14
  6
19
26.0% 27.5%
B
  67
  64
0
14
  6
28
15
  4
14
20.9% 21.9%
140 133 0
33
10 58
29
10 33
23.6% 24.8%
合計
*1:3回以上投薬が行われた症例 *2:評価不能
NE
*2
奏効率の95%信頼区間:試験A 16.5~37.6(適格例) 17.5~39.6(完全例)
試験B 11.9~32.6(適格例) 12.5~34.0
(完全例)
合計  16.8~31.5(適格例) 17.7~33.0
(完全例)
<サブグループ解析>
組織型別腫瘍縮小効果
組織型別では、腺癌に30.1%、大細胞癌に30.8%の奏効率を示しました
(適格例;試験A、Bの合計)。
試験
組織型
適格
例数
完全*1
例数
CR
PR
MR
NC
奏効率
奏効例数
(CR+PR)
適格例
完全例
PD NE
腺癌
47
46
  0
15
  2
18
  9
  3
15
31.9% 32.6%
A
扁平上皮癌
16
15
  0
  1
  2
  9
  3
  1
  1
  6.3%   6.7%
大細胞癌
10
  8
  0
  3
  0
  3
  2
  2
  3
30.0% 37.5%
腺癌
36
34
  0
10
  3
13
  8
  2
10
27.8% 29.4%
扁平上皮癌
28
27
  0
  3
  3
14
  6
  2
  3
10.7% 11.1%
大細胞癌
  3
  3
  0
  1
  0
  1
  1
  0
  1
1/3例
腺癌
83
80
  0
25
  5
31
17
  5
25
30.1% 31.3%
扁平上皮癌
44
42
  0
  4
  5
23
  9
  3
  4
  9.1%   9.5%
大細胞癌
13
11
  0
  4
  0
  4
  3
  2
  4
30.8% 36.4%
B
合計
抗腫瘍効果(症例数)
*2
1/3例
*1:3回以上投薬が行われた症例 *2:評価不能
奏効例の効果発現時期と奏効期間(副次的評価項目)
全奏効例33例におけるC点(腫瘍が50%以上縮小)
までの期間の中央値は34日、有効(PR)期間の中央値は
100日、全奏効期間の中央値は137日でした。
上段:中央値 [ ]内:幅
試験
奏効例数
(PR)
A
効果が認められるまでの期間
*1
PRの期間
(日)
総投与回数(回)
全奏効期間*2
(日)
期間(日)
総投与量(mg/m2)
19
33
[4~82]
3000
[1000~10500]
3
[1~9]
98
137
[35~283][52~313]
B
14
34.5
[20~76]
4000
[2000~8000]
4
[2~8]
106.5
141
[28~241][62~285]
合計
33
34
[4~82]
4000
[1000~10500]
4
[1~9]
100
137
[28~283][52~313]
*1:50%以上の腫瘍縮小に到達したと認めた日 *2:投与開始日からPRが持続しなくなるまでの日数
16
臨床成績 【非小細胞肺癌】
副作用
非小細胞肺癌
Grade3以上の主な臨床検査値異常変動は、白血球数減少10.0%(14/140例)、好中球数減少28.3%
(39/138)、ヘモグロビン減少17.1%
(24/140)、血小板数減少2.9%(4/140)でした。また、Grade3以上
の主な自他覚的副作用は、食欲不振5.0%
(7/140)、悪心・嘔吐2.9%(4/140)、疲労感5.0%
(7/140)で
した。
また、重篤な副作用は心筋梗塞、Al-P上昇が各1例に認められ、副作用による死亡は間質性肺炎、敗血性ショッ
クが各1例でした。また、投与中止に至った副作用は、皮疹、食欲不振(家族希望)、白血球数減少、悪心・嘔吐が各1
例に認められました。
膵 癌
胆 道 癌
尿路上皮癌
乳 癌
17
(海外データ)
海外第Ⅲ相試験7)
試験方法
本剤の海外臨床試験では、進行膵癌患者を対象として、
5-FUとの第Ⅲ相無作為比較試験が米国を中心に実施
され、主要評価項目として症状緩和効果(Clinical Benefit Response;CBR)
が用いられました。
目的
試験デザイン
対象
進行膵癌患者を対象に本剤の有効性を評価する
第Ⅲ相、無作為化、実薬対照
切除不能の進行(病期Ⅱ、
Ⅲ、
Ⅳ)膵癌で、化学療法初回治療例160例。
[解析対象126例(ジェムザール群63例、
5-FU群63例)]
投与方法
ジェムザール群:週1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、第1コースでは最長
7週連続投与後、8週目を休薬とした。第2コース以降は、週1回3週
連続投与後、4週目は休薬とし、これを1コースとして投与を繰り返
した。
5-FU群:週1回600mg/m2点滴静注を繰り返した。
評価項目
主要評価項目:症状緩和効果(症状緩和効果の評価方法は21ページ参照)
副次的評価項目:生存期間 など
解析計画
事前に規定された症状緩和効果有効例の生存期間についてサブグループ解析を行った
7)Burris, H. A. Ⅲ. et al.:Journal of Clinical Oncology, 15, 2403, 1997. 承認時評価資料
[利益相反:本試験はイーライリリー社の支援により行われました]
【ジェムザールの膵癌に対する用法・用量】
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コ
ースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
【5-FU注射液の膵癌に対する用法・用量】
1. 単独で使用する場合
1)フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5〜15mg/kgを最初の5日間連日1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。以後
5〜7.5mg/kgを隔日に1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
2)フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5〜15mg/kgを隔日に1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
3)フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5mg/kgを10〜20日間連日1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
4)フルオロウラシルとして、通常、成人には1日10〜20mg/kgを週1回静脈内に注射又は点滴静注する。
また、必要に応じて動脈内に通常、成人には1日5mg/kgを適宜注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
18
臨床成績 【膵癌】
試験成績
症状緩和効果の評価(主要評価項目)
40
非小細胞肺癌
症状緩和効果の評価において、解析対象126例(ジェムザール群63例、
5-FU群63例)中、
「有効」
と認められ
たのは、
ジェムザール群23.8%
(15/63例)、5-FU群4.8%(3/63例)
で、
ジェムザール群が5-FU群に比較して
有意に高い有効率を示しました
(P=0.0022、
χ2検定)。
P=0.0022(χ2検定)
30
23.8%
膵 癌
有効率︵%︶
20
10
0
4.8%
5-FU群
(n=63)
ジェムザール群
(n=63)
胆 道 癌
尿路上皮癌
乳 癌
19
生存期間(副次的評価項目)
解析対象となった126例(ジェムザール群63例、5-FU群63例)
における生存期間中央値は、
ジェムザール群
5.7ヵ月、5-FU群4.4ヵ月であり、ジェムザール群で有意に延長することが認められました
(P=0.0025、
Logrank検定)。また、1年生存率はジェムザール群18%、5-FU群2%でした。
生存曲線
100
(P=0.0025,Log-rank検定)
80
生存率︵%︶
60
40
20
ジェムザール
(n=63)
5-FU
(n=63)
0
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
追跡期間(月)
生存率
60
6ヵ月生存率
9ヵ月生存率
1年生存率
生存率︵%︶
40
20
46%
0
31%
24%
18%
2%
6%
ジェムザール群
5-FU群
ジェムザール群
20
5-FU群
ジェムザール群
5-FU群
臨床成績 【膵癌】
症状緩和効果の判定方法
(1)疼痛の判定
「鎮痛剤の投与量」及び「痛みの強さ」から
「疼痛」について、
「改善」、
「不変」、
「増悪」の判定を行いました。
:改善15例
:不変25例
:増悪23例
5-FU群
疼痛「改善」
=15/63例(23.8%)
疼痛「改善」
=3/63例(4.8%)
鎮 改善
痛
剤
不変
投
与
量 増悪
痛みの強さ
痛みの強さ
改善 不変 増悪
改善 不変 増悪
6 5 0
4 25 2
7 8 6
鎮 改善
痛
剤
不変
投
与
量 増悪
非小細胞肺癌
疼痛
ジェムザール群
0 1 0
2 38 1
疼痛
:改善 3例
:不変38例
:増悪22例
0 14 7
ジェムザール群
5-FU群
CBR「有効」
=15/63例(23.8%)
CBR「有効」
=3/63例(4.8%)
CBR
:有効15例
:不変25例
:無効23例
痛
KPS
改善 不変 増悪
改善
4 11
0
不変
0
25
0
増悪
4 18
1
疼
痛
改善
0 2
1
不変
1
37
0
増悪
2 19
1
CBR
:有効 3例
:不変37例
:無効23例
胆 道 癌
疼
KPS
改善 不変 増悪
膵 癌
(2)一般状態と疼痛との総合判定
「一般状態(Karnofsky Performance Status;KPS)」を評価し、
「改善」、
「不変」、
「増悪」の判定を行いま
した。さらに
(1)
の「疼痛」の判定と組み合わせて「症状緩和効果(CBR)
」について検討しました。
【症状緩和効果の判定基準】
・「疼痛」及び「KPS」の両者とも「改善」、あるいは一方が「改善」で他方が「不変」の場合を症状緩和効果「有効」
としました。
・
「疼痛」及び「KPS」の両者ともに「不変」の場合には、さらに「体重」について評価し、7%以上の体重増加が4週間以上持続した時、
症状緩和効果「有効」
としました。
尿路上皮癌
・「疼痛」及び「KPS」の少なくとも一方が「増悪」
した場合、症状緩和効果「無効」
としました。
本試験において、
「疼痛」
「KPS」の両者が「不変」で体重が7%以上増加した症例は、
ジェムザール群及び5-FU
群ともに認められませんでした。
乳 癌
21
症状緩和効果(Clinical Benefit Response;CBR)
とは
症状緩和効果(CBR)は、化学療法による治療効果を腫瘍関連症状をもとに客観的に評価するものです。
膵癌は難治癌の一つで、化学療法が奏効しにくいことが知られています。
しかし、抗腫瘍効果が認められな
い症例でも腫瘍関連症状の改善を認めることがあります。その理由として次のことが指摘されています。
●膵癌では画像診断による正確な腫瘍径の計測が難しい
●膵癌は腫瘍の線維化を起こしやすく、化学療法が有効であっても腫瘍径が縮小しないことがある
●膵臓は内臓及び腹腔の神経等に近接しており、腫瘍のわずかな縮小により腫瘍関連症状が改善する
可能性がある
したがって、標準的治療がない膵癌の治療においては、腫瘍関連症状の改善が重要な治療目標となります。
以上のことから、米国National Cancer Institute
(NCI)及び米国Food and Drug Administration
(FDA)
による検討の結果、症状緩和効果(CBR)を膵癌治療効果の主要評価項目とすることが認められ、
その評価基準はFDAと米国イーライリリー社との共同で開発されました
(下図参照)。
評価方法フローチャート11,12)
鎮痛剤投与量
疼痛
症状緩和効果
痛みの強さ
KPS*
疼 痛:
「鎮痛剤投与量」
「痛みの強さ」の両者とも「改善」、あるいは
一方が「改善」で他方が「不変」の場合、
「改善」。
症状緩和効果:
「疼痛」
「KPS*」の両者とも「改善」、あるいは一方が「改善」で
他方が「不変」の場合、
「有効」。
項目
「改善」基準
鎮痛剤投与量
経口モルヒネ換算量 50%以上減量が4週間以上持続
痛みの強さ
疼痛スコア** 50%以上軽減が4週間以上持続
KPS*
20ポイント以上の上昇が4週間以上持続
*:Karnofsky Performance Status
**:疼痛スコアの評価には、
「Memorial Pain Assessment Card
(MPAC)
」、
「痛みのスケールカード」等が用いられる。
22
臨床成績 【膵癌】
副作用
非小細胞肺癌
副作用(臨床検査値異常変動を含む)はジェムザール群63例中63例
(100.0%)、5-FU群63例中63例
(100.0%)
に発現しました。主なものは以下の通りです。
また、主な重篤な有害事象としてインフルエンザ様症状(ジェムザール群10例、5-FU群5例)、末梢性浮腫
(ジェムザール群25例、5-FU群13例)、全浮腫(ジェムザール群1例、5-FU群1例)、浮腫(ジェムザール群4例、
5-FU群7例)が認められ、有害事象による死亡はジェムザール群2例、5-FU群2例に認められました。また、投与
中止に至った副作用は、
ジェムザール群では胃腸管出血、悪心が各2例、心電図異常、呼吸困難、斑状丘疹性皮疹、
うつ病、腹水が各1例でした。5-FU群では黄疸、悪心、癌が各1例でした。
臨床検査値異常変動の発現頻度(膵癌患者:126例)
項 目
*:好中球減少はWHO毒性基準の顆粒球数に従いWHOグレードに変換した
胆 道 癌
5-FU群(n=63)
発現 発現率 Grade3以上の
例数 (%)
発現率(%)
28
45.2
  9
14.5
  1.6
11
18.0
  4.9
  9
14.5
  1.6
40
63.5
12.7
24
38.1
33
52.4
  1.6
16
25.4
  9.5
  6
  9.5
  0
   0
  0
   0
  1
  1.6
膵 癌
ヘモグロビン減少
白血球減少
好中球減少
血小板減少
AI-P上昇
GPT上昇
GOT上昇
血清ビリルビン上昇
BUN上昇
血中クレアチニン上昇
血尿
蛋白尿
ジェムザール群(n=63)
評価 発現 発現率 Grade3以上の 評価
例数 例数 (%)
発現率(%) 例数
62
40
64.5
  9.7
62
62
44
71.0
  9.7
62
58
36
62.1
25.9
61
62
29
46.8
  9.7
62
61
43
70.5
16.4
63
61
44
72.1
  9.8
63
61
44
72.1
11.5
63
61
10
16.4
  3.3
63
61
  5
  8.2
63
61
  1
  1.6
63
63
  8
12.7
62
63
  6
  9.5
62
副作用の発現頻度(膵癌患者:126例)
項 目
23
5-FU群(n=63)
発現 発現率 Grade3以上の
例数 (%)
発現率(%)
  1
  1.6
10
16.1
  2
  3.2
1.6
  4
  6.5
  0
   0
  1
  1.6
  1
  1.6
  0
   0
  2
  3.2
  7
11.3
1.6
19
30.6
4.8
36
58.1
4.8
  9
14.5
  8
12.9
10
16.1
  1
  1.6
  4
  6.5
1.6
乳 癌
ジェムザール群(n=63)
発現 発現率 Grade3以上の 評価
例数 (%)
発現率(%) 例数
  0
   0
62
19
30.2
62
  5
  7.9
62
  6
  9.5
  1.6
62
  0
   0
62
  1
  1.6
62
  0
   0
61
  0
   0
62
  4
  6.3
62
  6
  9.5
  3.2
62
15
23.8
  1.6
62
40
63.5
12.7
62
  9
14.3
62
15
23.8
62
11
17.5
62
  1
  1.6
62
  3
  4.8
  1.6
62
尿路上皮癌
アレルギー
発熱
感染
疼痛
心機能低下
脈拍異常
出血傾向
心膜炎
呼吸器系障害
便秘
下痢
悪心・嘔吐
口内炎
皮膚障害
脱毛
末梢神経障害
意識状態異常
評価
例数
63
63
63
63
63
63
63
63
63
63
63
63
63
63
63
63
63
国内第Ⅰ相試験8)
試験方法
国内第Ⅰ相試験は、2種の用法・用量(レベル1、
レベル2:投与方法参照)
を用いて検討されました。
目的
試験デザイン
対象
日本人進行膵癌患者における本剤1000mg/m2週1回投与の忍容性を確認する
第Ⅰ相、用量対照試験
切除及び放射線療法の適応のない膵癌患者(病期Ⅳ)
で、化学療法初回治療例11例。
[解析対象11例]
投与方法
レベル1:週1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、
これを3週連続投与後、4週
目を休薬とした。
レベル2:週1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、第1コースでは最長7週連
続投与後、8週目を休薬とした。第2コース以降は週1回3週連続投与後、4週
目は休薬とし、
これを1コースとして投与を繰り返した。
※レベル1における用量規制毒性の発現率が50%未満の場合、
レベル2へ移行した。
評価項目
主要評価項目:用量制限毒性
副次的評価項目:抗腫瘍効果 など
8)Okada, S. et al.:Japanese Journal of Clinical Oncology, 31
(1), 7, 2001. 承認時評価資料
[利益相反:本試験はイーライリリー社の支援により行われました]
【ジェムザールの膵癌に対する用法・用量】
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを
1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
24
臨床成績 【膵癌】
試験成績
用量制限毒性及び抗腫瘍効果(外来への移行)
(主要評価項目及び副次的評価項目)
抗腫瘍効果(症例数)
適格例数
解析対象
例数
PD
奏効例数
(CR+PR)
奏効率
(%)
CR
PR
NC
レベル1
  3
  3
0
1
0
2
1
1/3
レベル2
  8
  8
0
1
4
3
1
1/8
合計
11
11
0
2
4
5
2
18.2
副作用
胆 道 癌
副作用(臨床検査値異常変動を含む)
は11例中11例(100.0%)
に発現しました。
主な臨床検査値異常変動は、白血球減少90.9%
(10/11例)、好中球減少72.7%
(8/11)、ヘモグロビン減
少、
γ-GTP上昇、Al-P上昇がそれぞれ63.6%
(7/11)、血小板減少、ALT
(GPT)上昇、AST(GOT)上昇がそれ
ぞれ54.5%(6/11)、CRP上昇、LDH上昇がそれぞれ45.5%
(5/11)などでした。また、主な自他覚的副作用
は、悪心・嘔吐90.9%(10/11)
、食欲不振72.7%(8/11)
などでした。
また、副作用による死亡は認められませんでした。投与中止に至った副作用は3例に認められました。
膵 癌
投与方法
非小細胞肺癌
レベル1の投与を行った3例において用量規制毒性の発現を認めなかったため、
レベル2へ移行し、
レベル1と
レベル2を合わせた解析対象11例における奏効率は18.2%でした。
また、本試験では、第1コースの投与で忍容性に問題の認められない患者においては、第2コース以降は外来で
の投与も可としていましたが、第1コースのみで試験を中止又は終了した4例を除く7例全例で入院から外来へ移
行することができました。
尿路上皮癌
乳 癌
25
国内第Ⅱ相試験9)
国内第Ⅱ相試験では、
「2段階試験による早期判定と早期中止法注)」が採用されました。
注)胆道癌患者を対象とした治験は、本治験が世界初であったため、無効な場合の早期中止を考慮して、
「抗悪性腫瘍薬ガイドライン」に記載
されている
「第Ⅱ相2段階試験による早期判定と早期中止法」を採用しました。本治験の第1段階では15~18例の症例を集積し、1例も
奏効例が認められない場合は治験を中止し、少なくとも1例の奏効例が認められた場合は第2段階に移行して40例まで症例を集積する
こととしました。
試験方法
目的
試験デザイン
対象
進行性又は転移性胆道癌患者におけるゲムシタビン単剤療法の有効性、安全性を評価す
る。
第Ⅱ相、多施設共同、無対照試験
切除不能な局所進行あるいは遠隔転移を有する胆道癌で化学療法初回治療例40例。
[解析対象40例]
投与方法
週1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、
これを3週連続投与後、4週目を休薬と
した。
評価項目
主要評価項目:抗腫瘍効果
副次的評価項目:生存期間、無増悪生存期間、抗腫瘍効果の持続期間
9)Okusaka, T. et al.:Cancer Chemotherapy and Pharmacology, 57
(5), 647, 2006. 承認時評価資料
[利益相反:本試験はイーライリリー社の支援により行われました]
26
臨床成績 【胆道癌】
患者背景
年齢
PS
原発巣
組織型
減黄処置
前治療
男
21(52.5)
女
19(47.5)
平均
60歳
[幅]
[33~73歳]
0
24(60.0)
1
16(40.0)
2
  0 (0.0)
肝外胆管
12(30.0)
胆嚢
22(55.0)
乳頭部
  6(15.0)
ⅣA
  2 (5.0)
ⅣB
21(52.5)
術後再発
17(42.5)
腺癌
38(95.0)
腺扁平上皮癌
  2 (5.0)
深部リンパ節
27(67.5)
肝
22(55.0)
腹膜
  4(10.0)
肺
  2 (5.0)
骨
  1 (2.5)
なし
26(65.0)
ステント挿入
  3 (7.5)
経皮的ドレナージ術
11(27.5)
なし
21(52.5)
手術のみ
19(47.5)
初発
23(57.5)
術後再発
17(42.5)
尿路上皮癌
初発・術後再発
40
胆 道 癌
転移巣
適格例数
膵 癌
Stage 分類
症例数(%)
非小細胞肺癌
性別
背景因子
乳 癌
27
試験成績
抗腫瘍効果(主要評価項目)
解析対象40例において、7例がPR、15例がNCと判定され、奏効率は17.5%
(7/40例)
でした。
適格例数
解析対象例数
40
40
抗腫瘍効果(症例数)
CR
PR
NC
PD
NE
奏効例数
(CR+PR)
奏効率(%)
0
7
15*
17
1**
7
17.5
*:NC15例中1例はMRを示した。この症例は、胆嚢癌で肝に直接浸潤したが、25~50%の腫瘍縮小効果が約5ヵ月間継続した。
**:早期に中止されたため、抗腫瘍効果の判定ができなかった。
奏効率の95%信頼区間:7.3~32.8
90%信頼区間:8.5~30.4
生存期間(副次的評価項目)
解析対象40例における生存期間中央値は7.6ヵ月
(95%信頼区間:5.4~9.3ヵ月)、1年生存率は25.0%
(95%信頼区間:11.6~38.4%)
でした。
100
90
80
生存率︵%︶
70
60
50
95%信頼区間上限
40
30
20
10
0
95%信頼区間下限
0
10
生存期間(ヵ月)
20
30
無増悪生存期間(Progression Free Survival : PFS)
(副次的評価項目)
解析対象40例における無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)中央値は2.6ヵ月
(95%信頼
区間:1.7~3.8ヵ月)
でした。
100
90
無増悪生存率
︵%︶
80
70
60
50
40
30
95%信頼区間上限
20
10
0
95%信頼区間下限
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
生存期間(ヵ月)
28
10
11
12
13
14
臨床成績 【胆道癌】
腫瘍縮小効果の持続期間(副次的評価項目)
腫瘍縮小効果の持続期間を評価するため、PR期間*と全奏効期間**を測定した。PR例7例のPR期間中央値は
9.4ヵ月
(95%信頼区間:3.8~9.4ヵ月)、全奏効期間中央値は11.2ヵ月
(95%信頼区間:6.3~13.5ヵ月)で
した。
副作用
膵 癌
副作用(臨床検査値異常変動を含む)
は40例中40例(100.0%)
に発現しました。
主な臨床検査値異常変動は、好中球数減少及び白血球数減少それぞれ75.0%(30/40例)、ヘモグロビン減
少62.5%(25/40)、血小板数減少及び血小板数増加それぞれ55.0%
(22/40)、
アラニン・アミノトランスフェ
ラーゼ増加及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加それぞれ32.5%(13/40)、血中アルカリホスファ
ターゼ増加22.5%(9/40)、総蛋白減少20.0%
(8/40)
などでした。また、主な副作用は、悪心及び食欲不振そ
れぞれ52.5%(21/40)
、発熱37.5%(15/40)
、疲労35.0%(14/40)
、嘔吐32.5%(13/40)
などでした。
また、重篤な副作用として嘔吐2例、脱水、吐血、出血性ショック、AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加、胆管炎、
浮動性めまい、溶血性尿毒症症候群、食欲不振、悪心1例が認められ、有害事象による死亡は認められませんで
した。
非小細胞肺癌
*PR期間:PRを認めた日から画像にてPDを認めた日までの期間
**全奏効期間:投与開始日から画像にてPDを認めた日までの期間
胆 道 癌
尿路上皮癌
乳 癌
29
(海外データ)
海外第Ⅲ相試験10),11)
試験方法
GC
(ジェムザール+シスプラチン)併用療法と、
M-VAC
(メトトレキサート+ビンブラスチ
ン+ドキソルビシン+シスプラチン)併用療法を局所進行又は遠隔転移を有する尿路上
皮癌患者で比較する
目的
試験デザイン
第Ⅲ相、実薬対照、非盲検、無作為化試験
対象
局所進行又は遠隔転移を有する尿路上皮癌の化学療法初回治療例405例
ジェムザール+シスプラチン併用投与群
(GC群203例)
メトトレキサート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+シスプラチン併用投与群(M-VAC
群202例)
投与方法
GC群(ジェムザール+シスプラチン併用投与群)
4週間を1コースとして、ゲムシタビン1000mg/m2を1日目、8日目及び15日目
に、
シスプラチン70mg/m2を2日目に投与した。
M-VAC群(メトトレキサート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+シスプラチン併用投与群)
4週間を1コースとして、
メトトレキサート30mg/m2を1日目、
15日目及び22日目
に、ビンブラスチン3mg/m2を2日目、15日目及び22日目に、
ドキソルビシン
30mg/m2を2日目に、
シスプラチン70mg/m2を2日目に投与した。
評価項目
主要評価項目:生存期間
副次的評価項目:無増悪期間、抗腫瘍効果(奏効率)、奏効期間、治療成功期間
10)Von der Maase, H. et al.:Journal of Clinical Oncology, 17
(17), 3068, 2000. 承認時評価資料
[利益相反:本試験はイーライリリー社の支援により行われました]
11)Von der Maase, H. et al.:Journal of Clinical Oncology, 23, 4602, 2005. 承認時評価資料
[利益相反:本試験はイーライリリー社の支援により行われました。著者の中にイーライリリー社のアドバイザーや社員などが含まれています]
【シスプラチンの尿路上皮癌に対する用法・用量】
◇M-VAC療法
1.メトトレキサート、
ビンブラスチン硫酸塩及びドキソルビシン塩酸塩との併用において、通常、
シスプラチンとして成人1回70mg/m2
(体表面積)
を静注する。標準的な投与量及び投与方法は、
メトトレキサート30mg/m2を1日目に投与した後に、2日目にビンブラス
チン硫酸塩3mg/m2、
ドキソルビシン塩酸塩30mg
(力価)/m2及びシスプラチン70mg/m2を静注する。15日目及び22日目にメト
トレキサート30mg/m2及びビンブラスチン硫酸塩3mg/m2を静注する。これを1コースとし、4週毎に繰り返す。
2. シスプラチンの投与時には腎毒性を軽減するために、
シスプラチン通常療法の【用法及び用量】の3.に準じた処置を行うこと。
患者背景
背景因子
適 格 例 数
性別
GC群
M-VAC群
203
202
男
160(78.8%)160(79.2%)
女
  43(21.2%)  42(20.8%)
年齢中央値
(最小値-最大値)
63
(34-83)
63
(38-83)
背景因子
原発巣
  60以下    1 (0.5%)   3 (1.5%)
  70
Karnofsky
Performance   80
Status
  90
  56(28.0%)  58(29.6%)
100
  44(22.0%)  47(24.0%)
Ⅳ
203 (100%)202 (100%)
Stage分類
  34(17.0%)  34(17.3%)
  65(32.5%)  54(27.6%) 前治療
30
GC群
M-VAC群
膀胱
170(83.7%)166(82.2%)
尿道
   8 (3.9%)   2 (1.0%)
尿管
   9 (4.4%)  12 (5.9%)
左腎
   1 (0.5%)   0   (0%)
右腎
   1 (0.5%)   0   (0%)
腎盂
  14 (6.9%)  22(10.9%)
手術
203 (100%)201(99.5%)
放射線療法
  27(13.3%)  23(11.4%)
化学療法
  17 (8.4%)   9 (4.5%)
免疫療法
  13 (6.4%)  10 (5.0%)
臨床成績 【尿路上皮癌】
試験成績
生存期間及び無増悪期間(主要評価項目、副次的評価項目)
100
90
非小細胞肺癌
評価対象405例を対象とした生存期間の中央値は、
ジェムザール+シスプラチン併用投与群(GC群)で12.8
ヵ月
(95%信頼区間:12.0~15.3ヵ月)、
メトトレキサート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+シスプラチン併用
投与群(M-VAC群)
で14.8ヵ月
(95%信頼区間:13.2~17.2ヵ月)
でした。
80
60
GC群
(n=203)
M-VAC群(n=202)
50
40
30
膵 癌
生存率
︵%︶
70
20
10
0
0
6
12
18
24
30
36
生存期間
(ヵ月)
1年生存率*2
5年生存率
無増悪期間中央値
GC群
12.8ヵ月
58.4%
13.0%
7.4ヵ月
M-VAC群
14.8ヵ月
62.6%
15.3%
7.6ヵ月
0.53
0.84*1
p値
0.40
0.55
*1
ハザード比(95%信頼区間) 1.08(0.84-1.40)
*3
―
―
胆 道 癌
生存期間中央値
1.02(0.82-1.28)
*1: log-rank検定、
*2: 社内資料、*3: 正規近似による
ジェムザ ール+シスプラチン併 用 投 与 群(GC群)は、奏 効 率49.4%
(81/164、95%信 頼 区 間:41.7~
57.1%)
で、
メトトレキサート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+シスプラチン併用投与群(M-VAC群)
は奏効率
は45.7%(69/151、95%信頼区間:37.7~53.7%)
でした。両群の奏効率の差は統計学的に有意ではありま
せんでした
(χ2検定)。
評価対象例数
GC群
M-VAC群
抗腫瘍効果(例数)
奏効例数
奏効率
(%)
95%信頼区間
CR
PR
SD
PD
NE
164
20
61
55
18
10
81
49.4
41.7-57.1
151
18
51
49
25
  8
69
45.7
37.7-53.7
CR:Complete Response、
PR:Partial Response、
SD:Stable Disease、
PD:Progressive Disease、
NE:Not Evaluable
31
乳 癌
薬剤
尿路上皮癌
抗腫瘍効果(副次的評価項目)
副作用
副 作 用(臨 床 検 査 値 異 常 変 動 を 含 む)はGC群203例 中191例(94.1%)、M-VAC群202例 中191例
(94.6%)
に発現しました。主なものは下表の通りです。
また、
重篤な副作用はGC群では貧血38例
(18.7%)
、
血小板減少症32例
(15.8%)
及び発熱22例
(10.8%)
等、
M-VAC群では白 血 球 減 少 症46例
(22.8%)
、発 熱40例
(19.8%)
、貧 血34例
(16.8%)及び嘔 吐21例
(10.4%)
等でした。死亡に至った副作用はGC群では敗血症1例
(0.5%)
、
好中球減少症を伴う麻痺性腸閉塞1例
(0.5%)
、
M-VAC群では肺塞栓症及び発熱を伴う好中球減少症1例
(0.5%)
、
腎不全及び低血圧1例
(0.5%)
、
好
中球減少を伴う敗血症2例
(1.0%)
、
低マグネシウム血症、
口内炎、
無気肺及び消耗1例
(0.5%)
でした。投与中止
に至った副作用はGC 群では16例
(7.9%)
、
M-VAC群では24例
(11.9%)
でした。
副作用の発現頻度(臨床検査値異常変動)
(尿路上皮癌患者:405例)
項 目
ALP上昇
ALT(GPT)上昇
AST(GOT)上昇
血清ビリルビン上昇
BUN上昇
血中クレアチニン上昇
ヘモグロビン減少
白血球数減少
好中球数減少
血小板数減少
評価
例数
195
197
197
197
191
200
200
200
194
200
GC群(n=203)
発現
発現率 Grade3以上の
発現率(%)
例数
(%)
  33
16.9
  2.1
  57
28.9
  0.5
  57
28.9
  0.5
  10
  5.1
  69
36.1
  0.5
  48
24.0
188
94.0
27.0
184
92.0
50.0
176
90.7
71.1
171
85.5
57.0
評価
例数
191
192
192
192
186
194
194
194
187
194
M-VAC群(n=202)
発現
発現率 Grade3以上の
例数
(%)
発現率(%)
  36
18.8
  0.5
  54
28.1
  1.6
  54
28.1
  1.6
  15
7.8
  1.0
  69
37.1
  44
22.7
  0.5
166
85.6
17.5
181
93.3
63.9
166
88.8
82.4
  90
46.4
20.6
Grade分類はWHOグレード
副作用の発現頻度(自覚症状・他覚所見)
(尿路上皮癌患者:405例)
項 目
アレルギー
便秘
皮膚障害
下痢
発熱
心機能低下
脱毛
血尿
出血傾向
感染
悪心・嘔吐
口内炎
心膜炎
末梢神経障害
蛋白尿
肺毒性
脈拍異常
意識状態異常
評価
例数
200
200
200
200
200
197
200
179
200
200
200
200
198
200
122
200
198
200
GC群(n=203)
発現
発現率 Grade3以上の
発現率(%)
例数
(%)
   5
  2.5
  75
37.5
  1.5
  45
22.5
  47
23.5
  3.0
  41
20.5
  15
  7.6
  4.1
122
61.0
10.5
  32
17.9
  4.5
  45
22.5
  2.0
  48
24.0
  2.5
156
78.0
22.0
  39
19.5
  1.0
   0
  0.0
  52
26.0
  0.5
  11
  9.0
  56
28.0
  3.0
  11
  5.6
  0.5
  33
16.5
  0.5
Grade分類はWHOグレード
32
評価
例数
192
192
192
192
192
183
192
173
193
192
193
192
185
191
119
192
189
192
M-VAC群(n=202)
発現
発現率 Grade3以上の
例数
(%)
発現率(%)
   3
  1.6
  74
38.5
  3.1
  30
15.6
  0.5
  66
34.4
  8.3
  57
29.7
  3.1
  14
  7.7
  2.7
170
88.5
55.2
  37
21.4
  2.3
  29
15.0
  2.1
  90
46.9
15.1
162
83.9
20.7
122
63.5
21.9
   0
  0.0
  47
24.6
  1.0
  17
14.3
  0.8
  40
20.8
  5.7
  15
  7.9
  0.5
  42
21.9
  3.6
臨床成績 【尿路上皮癌】
国内第Ⅱ相試験12)
試験方法
試験デザイン
対象
第Ⅱ相、多施設共同、非盲検試験
日本人の尿路上皮癌の化学療法既治療例44例
週1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、
これを3週連続投与後、4週目を休薬
とした。
評価項目
主要評価項目:奏効率(抗腫瘍効果)
副次的評価項目:奏効期間、無増悪生存期間(Progression Free Survival:PFS)、生
存期間
12)Akaza, H. et al.:Japanese Journal of Clinical Oncology, 37
(3), 201, 2007. 承認時評価資料
膵 癌
投与方法
非小細胞肺癌
シスプラチンを含んだ治療後の尿路上皮癌患者において、
ジェムザール単剤療法の有
効性と安全性を検討する
目的
患者背景
性別
原発巣
前治療
適 格 例 数
44
男
32 (72.7%)
女
12 (27.3%)
年齢中央値
(最小値-最大値)
65
(35-74)
0
30 (68.2%)
1
12 (27.3%)
2
  2  (4.5%)
膀胱
20 (45.5%)
腎盂・尿管
24 (54.5%)
Ⅲ
  1  (2.3%)
Ⅳ
  9 (20.5%)
術後再発
34 (77.3%)
M-VAC療法
35 (79.5%)
MEC療法
  4  (9.1%)
M-VAC療法+他剤
  4  (9.1%)
その他
  1  (2.3%)
尿路上皮癌
Stage分類
症 例 数(%)
胆 道 癌
PS
背 景 因 子
乳 癌
33
試験成績
抗腫瘍効果(主要評価項目)
有効性の主要評価項目である抗腫瘍効果は、PR11例が認められ、奏効率は25.0%
(11/44、95%信頼区
間:13.2~40.3%)
でした。
評価対象例数
44
抗腫瘍効果(例数)
CR
PR
NC
PD
NE
奏効
例数
奏効率
(%)
95%信頼区間
0
11
12
20
1
11
25.0
13.2-40.3
CR:Complete Response、
PR:Partial Response、
NC:No Change、
PD:Progressive Disease、
NE:Not Evaluable
生存期間(副次的評価項目)
評価対象例数44例における1年生存率は52.3%
(95%信頼区間:37.5~67.0%)であり、生存期間の中央
値は12.6ヵ月
(95%信頼区間:7.9~14.4ヵ月)
でした。
100
90
80
70
生存率
︵%︶
60
95%信頼区間上限
50
40
30
20
95%信頼区間下限
10
0
0
3
6
9
12
15
18
生存期間(ヵ月)
34
21
24
27
臨床成績 【尿路上皮癌】
無増悪生存期間(Progression Free Survival : PFS)
(副次的評価項目)
評価対象例数44例における無増悪生存期間の中央値は、3.1ヵ月
(95%信頼区間:2.0~4.1ヵ月)
でした。
非小細胞肺癌
100
90
80
無増悪生存率
︵%︶
70
60
50
40
95%信頼区間上限
30
膵 癌
20
10
0
95%信頼区間下限
0
3
6
9
12
生存期間(ヵ月)
15
18
21
奏効期間(副次的評価項目)
副作用
胆 道 癌
奏効例と判定された11例を対象とした奏効するまでの期間の中央値は1.7ヵ月
(95%信頼区間:0.7~2.6ヵ
月)、全奏効期間の中央値は7.5ヵ月
(95%信頼区間:4.5~10.3ヵ月)、PR期間の中央値は6.8ヵ月
(95%信頼
区間:2.1~9.1ヵ月)
でした。
有害事象及び副作用は44例全例で発現し、重篤な副作用は3例(6.8%)
に5件認められました
(呼吸困難、低
酸素症及び肺気腫1例、蜂巣炎1例、血小板数増加1例)。また、副作用による死亡は認められませんでした。投与
中止に至った副作用はALT(GPT)増加、
γ-GTP増加、呼吸困難、低酸素症、肺気腫が1例に認められました。
尿路上皮癌
乳 癌
35
国内第Ⅱ相試験13)
試験方法
目的
試験デザイン
対象
日本人の転移・再発乳癌患者におけるジェムザール、
パクリタキセル併用療法の有効性と
安全性を検討する
第Ⅰ/Ⅱ相、多施設共同、非無作為化、非盲検、無対照試験
アントラサイクリン系抗癌剤による術前・術後補助化学療法後の転移・再発乳癌患者62例
ステップ1:レベル1 n=6
レベル2 n=6
ステップ2:n=50
ステップ1とステップ2に分けて実施した。
ステップ1
レベル1、
レベル2の2群に分け、3週を1コースとして以下のように投与した。
投与方法
【レベル1】
Day1:パクリタキセル175mg/m2を3時間かけて点滴静注後、
ジェムザール
1000mg/m2を30分かけて点滴静注
Day8:ジェムザール1000mg/m2を30分かけて点滴静注
【レベル2】
Day1:パクリタキセル175mg/m2を3時間かけて点滴静注後、
ジェムザール
1250mg/m2を30分かけて点滴静注
Day8:ジェムザール1250mg/m2を30分かけて点滴静注
ステップ2
3週を1コースとして、
ステップ1のレベル2の用量で投与した。
評価項目
主要評価項目:奏効率(抗腫瘍効果)
副次的評価項目:奏効期間、無増悪期間(Time to Progression:TTP)、生存期間
解析計画
事前に規定された層別因子(Her2/neu 発現状況、
ホルモンレセプター 、
トリプルネガテ
ィブ乳癌、肝転移、骨転移、肺転移)
で抗腫瘍効果のサブグループ解析を行った。
13)Aogi, K. et al.:Cancer Chemotherapy and Pharmacology, 67
(5), 1007, 2011. 承認時評価資料
[利益相反:本試験はイーライリリー社の支援により行われました。著者の中にイーライリリー社のアドバイザーや社員などが含まれています]
【ジェムザールの手術不能又は再発乳癌に対する用法・用量】
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コ
ースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
【パクリタキセルの乳癌に対する用法・用量】
乳癌にはA法又はB法を使用する。
2
を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これ
A法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回210mg/m(体表面積)
を1クールとして、投与を繰り返す。
2
B法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m(体表面積)
を1時間かけて点滴静注し、週1回投与を6週連続し、少なく
とも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
※国内第Ⅱ相試験及び海外第Ⅲ相試験において、本剤とパクリタキセル175mg/m2併用以外の用法・用量で
の安全性・有効性は得られていません。
36
臨床成績 【乳癌】
患者背景
レベル1
レベル2
ジェムザール
ジェムザール
1000mg/m2 例数(%)1250mg/m2 例数(%)
背 景 因 子
56(100.0)
59
(51-63)
55
(30-73)
0
4 (66.7)
50 (89.3)
1
2 (33.3)
  6 (10.7)
6(100.0)
54 (96.4)
乳頭腺管癌
1 (16.7)
18 (32.1)
充実腺管癌
1 (16.7)
14 (25.0)
硬癌
2 (33.3)
28 (50.0)
不明
2 (33.3)
  6 (10.7)
特殊型
0  (0.0)
  1  (1.8)
不明
0  (0.0)
  1  (1.8)
なし
1 (16.7)
  6 (10.7)
あり
5 (83.3)
50 (89.3)
肺
3 (50.0)
29 (51.8)
骨
1 (16.7)
24 (42.9)
肝
2 (33.3)
20 (35.7)
脳
0  (0.0)
  2  (3.6)
リンパ節
2 (33.3)
18 (32.1)
皮膚
0  (0.0)
  4  (7.1)
その他部位
1 (16.7)
14 (25.0)
ER
陽性
1 (16.7)
35 (62.5)
PgR
陽性
1 (16.7)
26 (46.4)
0
4 (66.7)
19 (33.9)
1+
2 (33.3)
22 (39.3)
2+
0  (0.0)
  1  (1.8)
3+
0  (0.0)
  9 (16.1)
不明
0  (0.0)
  5  (8.9)
女
年齢中央値
(最小値-最大値)
PS
浸潤性乳管癌
(浸潤性乳管癌内訳:重複あり)
初発時の
組織型
転移の有無と
部位
Her2/neuの
発現状況
再発の有無
前化学療法
レジメン
3 (50.0)
17 (30.4)
あり
3 (50.0)
39 (69.6)
手術療法
3 (50.0)
42 (75.0)
化学療法
6(100.0)
56(100.0)
放射線療法
2 (33.3)
25 (44.6)
ホルモン療法
1 (16.7)
33 (58.9)
その他
2 (33.3)
16 (28.6)
アントラサイクリン+タキサン
2 (33.3)
25 (44.6)
アントラサイクリンのみ
4 (66.7)
31 (55.4)
37
乳 癌
前治療
なし
尿路上皮癌
6(100.0)
性別
胆 道 癌
56
膵 癌
6
非小細胞肺癌
症例数
試験成績
抗腫瘍効果(RECIST準拠)
(主要評価項目)
レベル2ジェムザール1250mg/m2における奏効率は44.6%(25/56例)で、二項分布に基づく両側95%
信頼区間は31.3%~58.5%でした。閾値奏効率25%未満とし、片側有意水準2.5%の二項分布に基づく検定
を行った結果、
レベル2ジェムザール1250mg/m2はp=0.001で有効性が示されました。
抗腫瘍効果
評価対象
例数
CR PR Long SD* SD PD NE
レベル2
ジェムザール1250mg/m2
56
0
25
3
14 11
3
奏効
例数
奏効率 両側95%
(%) 信頼区間
25
44.6
31.3~
58.5%
*Long SD:24週以上の持続が確認されたSD症例
CR=Complete Response
(完全奏効)、PR=Partial Response
(部分奏効)、SD=Stable Disease
(安定)、
PD=Progressive Disease
(進行)、NE=Not Evaluable
(評価不能)
<サブグループ解析>
転移臓器別抗腫瘍効果(RECIST準拠)
レベル2ジェムザール1250mg/m2における肝転移、骨転移、肺転移の有無別の抗腫瘍効果を次表に示し
ます。
◆肝転移の有無別の抗腫瘍効果(RECIST準拠)n=56
肝転移
評価対象例数
有
無
抗腫瘍効果
奏効例数
奏効率(%)
0
10
50.0
5
3
15
41.7
奏効例数
奏効率(%)
CR
PR
Long SD
SD
PD
NE
20
0
10
0
  4
6
36
0
15
3
10
◆骨転移の有無別の抗腫瘍効果(RECIST準拠)n=56
骨転移
評価対象例数
有
無
抗腫瘍効果
CR
PR
Long SD
SD
PD
NE
24
0
12
0
5
5
2
12
50.0
32
0
13
3
9
6
1
13
40.6
奏効例数
奏効率(%)
◆肺転移の有無別の抗腫瘍効果(RECIST準拠)n=56
肺転移
評価対象例数
有
無
抗腫瘍効果
CR
PR
Long SD
SD
PD
NE
29
0
14
1
6
6
2
14
48.3
27
0
11
2
8
5
1
11
40.7
38
臨床成績 【乳癌】
<サブグループ解析>
Her2/neu発現状況別の抗腫瘍効果(RECIST準拠)n=56
レベル2ジェムザール1250mg/m2におけるHer2/neu発現状況別の抗腫瘍効果を次表に示します。
評価対象例数
0
抗腫瘍効果
奏効例数
奏効率(%)
0
10
52.6
3
0
11
50.0
0
0
1
  0
0/1
1
0
4
2
  2
2/9
0
2
1
0
  2
2/5
CR
PR
Long SD
SD
PD
NE
19
0
10
0
6
3
1+
22
0
11
2
6
2+
  1
0
  0
0
3+
  9
0
  2
不明
  5
0
  2
非小細胞肺癌
Her2/neu
<サブグループ解析>
レベル2ジェムザール1250mg/m2におけるホルモンレセプター発現状況別の抗腫瘍効果を次表に示しま
す。ERあるいはPgRのいずれかが陽性の場合をホルモンレセプター陽性としています。
ホルモンレセプター 評価対象例数
抗腫瘍効果
CR
PR
Long SD
SD
PD
NE
奏効例数 奏効率(%)
陽性
38
0
18
3
10
4
3
18
47.4
陰性
18
0
  7
0
  4
7
0
  7
38.9
トリプルネガティブ乳癌の抗腫瘍効果(RECIST準拠)
レベル2ジェムザール1250mg/m2におけるトリプルネガティブ乳癌の抗腫瘍効果を次表に示します。Her2
が0又は1+で、
かつERとPgRが陰性の場合をトリプルネガティブとしています。
抗腫瘍効果
CR
PR
Long SD
SD
PD
NE
胆 道 癌
<サブグループ解析>
トリプルネガティブ 評価対象例数
膵 癌
ホルモンレセプター発現状況別の抗腫瘍効果(RECIST準拠)n=56
奏効例数 奏効率(%)
はい
14
0
  5
0
  4
5
0
  5
35.7
いいえ
42
0
20
3
10
6
3
20
47.6
尿路上皮癌
乳 癌
39
生存期間(副次的評価項目)
レベル2ジェムザール1250mg/m2の56例における1年生存率(両側95%信頼区間)は、78.6%(67.8%
~89.3%)
でした。生存期間中央値は、27.1ヵ月
(95%信頼区間:22.9〜算出不能)
でした。
100
90
95%信頼区間上限
80
生存率︵%︶
70
60
95%信頼区間下限
50
40
30
20
10
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516171819 20 21 22
観察期間(ヵ月)
奏効期間(副次的評価項目)
レベル2ジェムザール1250mg/m2の奏効期間の中央値は7.9ヵ月、奏効までの期間の中央値は2.60ヵ月で
した。
レベル2ジェムザール1250mg/m2
奏効までの期間
全奏効期間
症例数
25
25
中央値(95%信頼区間)
2.60ヵ月
(1.47~3.17ヵ月)
7.9ヵ月
(5.6~11.0ヵ月)
無増悪期間(Time to Progression:TTP)
(副次的評価項目)
レベル2ジェムザール1250mg/m2の56例における無増悪期間の中央値は、8.6ヵ月でした。
レベル2ジェムザール1250mg/m2
症例数
56
中央値(95%信頼区間)
8.6ヵ月
(6.5~10.3ヵ月)
40
臨床成績 【乳癌】
副作用
非小細胞肺癌
副作用
(臨床検査値異常変動を含む)
はレベル1の6例中6例
(100.0%)
、
レベル2の56例中56例
(100.0%)
に発現しました。
主な副作用は、
レベル1では倦怠感5例(83.3%)、脱毛症4例(66.7%)、食欲不振、悪心3例(50.0%)等でし
た。
レベル2では倦怠感、脱毛症34例(60.7%)、悪心27例
(48.2%)等でした。
重篤な副作用はレベル1ではヘモグロビン減少1例(16.7%)、
レベル2では食欲不振1例(1.8%)
に発現し、
副作用により死亡した患者はいませんでした。
投与中止に至った副作用は、
レベル2で発現し、
アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加、好中球数減少及び白
血球数減少、感覚障害、紅斑が1例(1.8%)
でした。
膵 癌
胆 道 癌
尿路上皮癌
乳 癌
41
海外第Ⅲ相試験(海外データ)14)
試験方法
目的
試験デザイン
対象
切除不能、局所再発又は転移性乳癌患者を対象としてゲムシタビン・パクリタキセル併
用療法群とパクリタキセル単剤療法群の全生存期間を比較する。
第Ⅲ相、無作為化、非盲検、実薬対照、群間比較試験
切除不能、局所再発又は転移性乳癌患者529例
3週を1コースとして以下のように投与した。
投与方法
評価項目
ジェムザール・パクリタキセル併用(GT)群
ジェムザール:Day1とDay8に1250mg/m2を30分かけて点滴静注
パクリタキセル:Day1のジェムザール投与前に175mg/m2を3時間かけて点滴
静注
パクリタキセル単剤(T)群
パクリタキセル:Day1に175mg/m2を3時間かけて点滴静注
主要評価項目:生存期間(OS)
副次的評価項目:無 増悪期間、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(WHOの抗腫瘍効果の
判定基準に基づく)、奏効期間
14)Albain, K. S. et al.:Journal of Clinical Oncology, 26
(24)
, 3950, 2008. 承認時評価資料
[利益相反:本試験はイーライリリー社の支援により行われました。著者の中にイーライリリー社のアドバイザーや社員、同社と金銭授受のある
人が含まれています]
【パクリタキセルの乳癌に対する用法・用量】
乳癌にはA法又はB法を使用する。
2
A法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回210mg/m(体表面積)
をⅢ時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これ
を1クールとして、投与を繰り返す。
2
B法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m(体表面積)
を1時間かけて点滴静注し、週1回投与を6週連続し、少なく
とも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
※国内第Ⅱ相試験及び海外第Ⅲ相試験において、本剤とパクリタキセル175mg/m2併用以外の用法・用量で
の安全性・有効性は得られていません。
42
臨床成績 【乳癌】
患者背景
両群の70%以上の患者が内臓転移巣を有し、KPSが90以上、両群の95%以上の患者がアントラサイクリン
による前治療歴、及び両群の約50%の患者がホルモン療法歴を有するように無作為割付しました。
a 複数のカテゴリーでカウントされることがある。b 内臓と非内臓両方の転移部位を有する患者を含む。c 胸水、胸膜及び胸膜腔液を含む。
d 腹水、卵巣、腹部、脾臓、副腎、子宮、心のう液、眼、骨髄、腹膜、網、横隔膜、気管、腎上体、腎周囲を含む。
e 中間のERの状態は陽性と判断した。
胆 道 癌
T群
263
52.9(26-75)
255 (97.0%)
   8  (3.0%)
90.0
60-100
195 (74.1%)
  67 (25.5%)
   1  (0.4%)
  63 (24.0%)
  91 (34.6%)
  61 (23.2%)
  24  (9.1%)
  24  (9.1%)
192 (73.0%)
134 (51.0%)
103 (39.2%)
  17  (6.5%)
  71 (27.0%)
  84 (31.9%)
261 (99.2%)
252 (95.8%)
131 (49.8%)
膵 癌
GT群
266
53.5(26-83)
258 (97.0%)
   8  (3.0%)
90.0
60-100
188 (70.7%)
  77 (28.9%)
   1  (0.4%)
  65 (24.4%)
  86 (32.3%)
  58 (21.8%)
  37 (13.9%)
  20  (7.5%)
195 (73.3%)
145 (54.5%)
102 (38.3%)
  13  (4.9%)
  71 (26.7%)
  88 (33.1%)
266(100.0%)
257 (96.6%)
137 (51.5%)
非小細胞肺癌
背 景 因 子
症例数
年齢中央値(最小値-最大値)
転移(遠隔)
登録時の病期
切除不能、局所再発
中央値
KPS
最小値-最大値
(Karnofsky
90以上
performance
80以下
status)
不明
1
2
3
転移病巣数
4
5以上
内臓b
肺c
a
転移部位
肝
その他d
非内臓のみ
ER
陽性e
化学療法
a
アントラサイクリン
前治療
ホルモン療法
尿路上皮癌
乳 癌
43
試験成績
生存期間(主要評価項目)
生存期間中央値は、GT群18.6ヵ月
(95%信頼区間:16.6~20.7ヵ月)、T群15.8ヵ月
(95%信頼区間:14.4
~17.4ヵ月)でした。ハザード比は0.82
(95%信頼区間:0.67~1.00;Log-rank検定p=0.0489)でGT群は
T群よりも統計学的に有意に長い生存期間を示しました。
生存に関する投与群間の比較では、12ヵ月~30ヵ月までの間のすべての評価時点においてGT群で統計学的
に有意に高い生存率を示しました。
100
GT群
0.88
80
0.84
GT群(n=182) T群(n=195)
T群
生存率
︵%︶
0.61
18.6
15.8
95%信頼区間
16.6∼20.7
14.4∼17.4
ハザード比 = 0.82 (95% 信頼区間 : 0.67∼1.00)
= 0.0489
0.71
60
生存期間中央値
0.52
0.40
40
0.22
0.32
20
0
0.31
0.42
0.22
0.14
0.18
0.08
6
リスク集団
(at risk数)
GT群 266
227
T群
263
215
12
18
24
30
36
42
48
46
35
17
12
5
1
0
0
生存期間(ヵ月)
179
151
126
105
90
71
奏効率:治験責任医師の評価(副次的評価項目)
治験責任医師(GT群266例、
T群263例)が評価した奏効率は、GT群41.4%
(110/266)及びT群26.2%
(69/263)
で、両群の差は15.1%
(95%信頼区間:7.1%~23.2%)
でした。
治験責任医師の評価
GT群(n=266)
T群(n=263)
CR
最良効果
  21 (7.9%)
12 (4.6%)
PR
  89(33.5%)
57(21.7%)
奏効例計
110(41.4%)
69(26.2%)
95%信頼区間
35.4-47.3%
20.9-31.6%
SD
  86(32.3%)
93(35.4%)
PD
  44(16.5%)
70(26.6%)
   2 (0.8%)
  7 (2.7%)
  24 (9.0%)
24 (9.1%)
NE
ND
a
a 最良効果に関する記録のない患者をNDに含めた。
CR=完全奏効、PR=部分奏効、SD=安定、PD=進行、NE=評価不能、ND=評価せず
44
臨床成績 【乳癌】
奏効期間(副次的評価項目)
CR又はPR
(治験責任医師の評価)が得られた患者を奏効期間の解析対象としました
(GT群110例、T群69
例)。奏効期間中央値はGT群9.89ヵ月及びT群8.44ヵ月で、
ハザード比は0.81(95%信頼区間:0.59~1.12、
Log-rank検定p=0.2047)
でした。
中央値
T 群(n=69)
月
95%信頼区間
月
95%信頼区間
9.89
8.31-11.73
8.44
6.93-10.18
無増悪期間(副次的評価項目)
非小細胞肺癌
GT 群(n=110)
奏効期間
無増悪期間中央値はGT群5.49ヵ月、T群3.52ヵ月でした。ハザード比は0.71でした
(95%信頼区間:0.60~
0.85、Log-rank検定p=0.0002)
。
GT群(n=110)
中央値
T群(n=69)
月
95%信頼区間
月
95%信頼区間
5.49
4.86-6.21
3.52
2.86-4.04
100
膵 癌
無増悪期間
GT群
T群
80
胆 道 癌
生存率︵%︶
60
40
20
0
6
12
18
24
30
36
42
48
54
60
追跡期間(ヵ月)
尿路上皮癌
0
無増悪生存期間(PFS)
(副次的評価項目)
PFS中 央 値 はGT群5.32ヵ月、T群3.42ヵ月 でした。ハ ザ ード 比 は0.74でした
(95% 信 頼 区 間:0.62~
0.88、Log-rank検定p=0.0008)
。
中央値
GT群(n=266)
T群(n=263)
月
95%信頼区間
月
95%信頼区間
5.32
4.47-6.01
3.42
2.83-3.98
45
乳 癌
無増悪生存期間
副作用
副作用(臨床検査値異常変動を含む)はGT群262例中256例(97.7%)、T群259例中255例
(98.5%)
に
発現しました。主な副作用は下表の通りです。
また、重篤な副作用はGT群では発熱性好中球減少症8例(3.1%)、好中球数減少6例(2.3%)、ヘモグロビン
減少、発熱4例(1.5%)等、T群では筋痛5例(1.9%)
、嘔吐、好中球数減少4例(1.5%)等でした。
副作用により死亡した患者はGT群、T群とも各1例(0.4%)
でした。
投与中止に至った副作用は、GT群ではニューロパシー11例(4.2%)、不安、無力症1例(0.4%)、T群ではニュ
ーロパシー4例(1.5%)、薬物過敏症2例(0.8%)
、心拡大1例(0.4%)
でした。
主な副作用の発現頻度(10%以上の発現率)
T群(N=259)
GT群(N=262)
脱毛症
234(90.3)
231(88.2)
ニューロパシー
153(59.1)
167(63.7)
ヘモグロビン減少
  87(33.6)
158(60.3)
好中球数減少
  78(30.1)
182(69.5)
悪心
  78(30.1)
122(46.6)
筋痛
  79(30.5)
  78(29.8)
関節痛
  55(21.2)
  61(23.3)
嘔吐
  41(15.8)
  77(29.4)
疲労
  39(15.1)
  65(24.8)
下痢
  33(12.7)
  52(19.8)
無力症
  31(12.0)
  39(14.9)
発熱
   6 (2.3)
  34(13.0)
便秘
  29(11.2)
  31(11.8)
呼吸困難
   7 (2.7)
  19 (7.3)
食欲不振
  21 (8.1)
  34(13.0)
0      5 (1.9)
血小板数減少
  10 (3.9)
  65(24.8)
頭痛
   9 (3.5)
  21 (8.0)
骨痛
  19 (7.3)
  28(10.7)
腹痛
  13 (5.0)
  16 (6.1)
アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加
  11 (4.2)
  32(12.2)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
  10 (3.9)
  26 (9.9)
末梢性浮腫
   6 (2.3)
  12 (4.6)
発疹
   8 (3.1)
  25 (9.5)
四肢痛
   9 (3.5)
  14 (5.3)
白血球数減少
  19 (7.3)
  26 (9.9)
不眠症
   5 (1.9)
   6 (2.3)
白血球減少症
  11 (4.2)
  29(11.1)
口内炎
  13 (5.0)
  25 (9.5)
咳嗽
46
臨床成績 【乳癌】
国内第Ⅱ相試験(ジェムザール単剤)15)
試験方法
試験デザイン
対象
アントラサイクリン及びタキサンによる化学療法歴を有する転移・再発乳癌患者における
ジェムザール単剤療法の効果を検討する
第Ⅱ相、多施設共同、非対照試験
アントラサイクリン及びタキサンによる化学療法歴を有する転移・再発乳癌患者68例
ステップ1:レベル1 n=6
レベル2 n=6
ステップ2:n=56
非小細胞肺癌
目的
ステップ1とステップ2に分けて実施した。
投与方法
【レベル1】
ジェムザール1000mg/m2を30分かけて点滴静注
膵 癌
ステップ1
レベル1、
レベル2の2群に分け、3週を1コースとして以下のように投与した。
【レベル2】
ジェムザール1250mg/m2を30分かけて点滴静注
ステップ2
3週を1コースとして、
ステップ1のレベル2の用量で投与した。
評価項目
主要評価項目:奏効率(腫瘍縮小効果)
副次的評価項目:生存期間、無増悪期間、奏効期間
【ジェムザールの手術不能又は再発乳癌用法・用量】
2. 手術不能又は再発乳癌の場合
胆 道 癌
15)Suzuki, Y. et al.:Japanese Journal of Clinical Oncology, 39
(11), 699, 2009. 承認時評価資料
[利益相反:著者の中にイーライリリー社の社員が含まれています]
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1250mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを
1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
尿路上皮癌
※国内第Ⅱ相試験及び海外第Ⅲ相試験において、本剤とパクリタキセル175mg/m2併用以外の用法・用量で
の安全性・有効性は得られていません。
乳 癌
47
患者背景
背 景 因 子
症例数
性別
女
年齢中央値
(最小値-最大値)
0
PS(ECOG)
1
浸潤性乳管癌
(浸潤性乳管癌内訳:重複あり)
乳頭腺管癌
充実腺管癌
初発時の組織型
硬癌
不明
特殊型
なし
あり
肺
骨
転移の有無と部位
肝
脳
リンパ節
皮膚
その他部位
ER
陽性
PgR
陽性
0
1+
Her2/neuの
2+
発現状況
3+
不明
なし
再発の有無
あり
手術療法
化学療法
前治療
放射線療法
ホルモン療法
その他
48
レベル1
ジェムザール
1000mg/m2
例数(%)
6
  6(100.0)
53.5
(44-63)
  4 (66.7)
  2 (33.3)
レベル2
ジェムザール
1250mg/m2
例数(%)
62
62(100.0)
53.0
(25-74)
45 (72.6)
17 (27.4)
  5 (83.3)
59 (95.2)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
19 (30.6)
17 (27.4)
27 (43.5)
  3  (4.8)
  3  (4.8)
  5  (8.1)
57 (91.9)
27 (43.5)
24 (38.7)
25 (40.3)
  0  (0.0)
23 (37.1)
  6  (9.7)
13 (21.0)
37 (59.7)
23 (37.1)
27 (43.5)
20 (32.3)
  4  (6.5)
  9 (14.5)
  2  (3.2)
10 (16.1)
52 (83.9)
53 (85.5)
62(100.0)
32 (51.6)
36 (58.1)
25 (40.3)
1 (16.7)
1 (16.7)
3 (50.0)
0  (0.0)
1 (16.7)
0  (0.0)
6(100.0)
0  (0.0)
1 (16.7)
2 (33.3)
0  (0.0)
2 (33.3)
1 (16.7)
0  (0.0)
2 (33.3)
2 (33.3)
2 (33.3)
1 (16.7)
2 (33.3)
1 (16.7)
0  (0.0)
1 (16.7)
5 (83.3)
5 (83.3)
6(100.0)
3 (50.0)
3 (50.0)
1 (16.7)
臨床成績 【乳癌】
試験成績
奏効率(腫瘍抑制効果RECIST準拠)
(主要評価項目)
評価
例数
レベル2
ジェムザール1250mg/m2
62
抗腫瘍効果(例数)
CR PR Long SD* SD PD NE
1
4
4
16 32
5
奏効
例数
奏効率
(%)
両側95%
信頼区間
5
8.1
2.7~
17.8%
非小細胞肺癌
レベル2ジェムザール1250mg/m2における奏効率は8.1%(5/62例)
で、その両側95%信頼区間は2.7%
~17.8%でした。
*Long SD:24週以上の持続が確認されたSD症例
CR=Complete Response
(完全奏効)、PR=Partial Response
(部分奏効)、SD=Stable Disease
(安定)、
PD=Progressive Disease
(進行)、NE=Not Evaluable
(評価不能)
レ ベ ル2ジェム ザ ール1250mg/m2に お け る1年 生 存 率(両 側95% 信 頼 区 間)は67.7%
(56.1% ~
79.4%)
で、生存期間の中央値(両側95%信頼区間)
は17.8ヵ月
(14.9~算出不能)
でした。
レベル2
ジェムザール1250mg/m2
症例数
生存例数
1年生存率
(%)
両側95%
信頼区間
62
42
67.7
56.1~
79.4%
生存期間
両側95%
中央値(ヵ月) 信頼区間
17.8
80
生存率︵%︶
95%信頼区間上限
60
14.9~
胆 道 癌
100
90
70
膵 癌
生存期間(副次的評価項目)
50
40
30
95%信頼区間下限
10
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 111213141516171819 20 21222324252627282930
観察期間(ヵ月)
尿路上皮癌
20
無増悪期間(Time to Progression:TTP)
(副次的評価項目)
レベル2ジェムザール1250mg/m2
症例数
62
中央値(95%信頼区間)
92.0日
(78.0~121.0)
49
乳 癌
レベル2ジェムザール1250mg/m2の62例における無増悪期間の中央値は92.0日でした。
奏効期間(副次的評価項目)
レベル2ジェムザール1250mg/m2の奏効例5例における全奏効期間の中央値は10.07ヵ月、奏効するまで
の期間の中央値は3.30ヵ月でした。
レベル2ジェムザール1250mg/m2
奏効までの期間
全奏効期間
症例数
5
5
中央値(95%信頼区間)
3.30ヵ月
(1.23~14.43ヵ月)
10.07ヵ月
(5.43~13.80ヵ月)
副作用
副作用
(臨床検査値異常変動を含む)
はレベル1が6例中6例
(100.0%)
、
レベル2が56例中56例
(100.0%)
に発現しました。
レベル1において複数に発現した副作用(自覚症状・他覚所見)は、血管障害、咳嗽、咽喉頭疼痛、胃不快感、疲
労、倦怠感であり、臨床検査値異常は、好中球数減少、白血球数減少、AST増加、CRP増加、尿中血陽性、CPK減
少、ヘマトクリット減少、血小板数減少、血中ALP増加でした。
レベル2において発現率が20%以上の副作用(自覚症状、他覚所見)
は、悪心(46.8%)、食欲不振(45.2%)、
倦怠感(45.2%)、血管障害(40.3%)、頭痛(32.3%)、嘔吐(30.6%)、発疹(27.4%)、便秘(24.2%)、疲労
(22.6%)、発熱(21.0%)
でした。 また、発現率が20%以上の臨床検査値異常は、好中球数減少(95.2%)、白
血球数減少(88.7%)、ALT増加(77.4%)、ヘモグロビン減少(71.0%)、血小板数減少(67.7%)、AST増加
(64.5%)、赤血球数減少(33.9%)、
リンパ球減少(32.3%)、血中ALP増加(25.8%)、尿中血陽性(22.6%)
でした。
重篤な副作用はレベル2において蜂巣炎、食欲不振、急性呼吸不全、
レイノー現象、感染、急性心不全が各1例
(1.8%)
でした。
レベル1では認められませんでした。
副作用による死亡はレベル2において急性呼吸不全1例(1.8%)
でした。
投与中止に至った有害事象は、
レベル1では投与食欲不振と呼吸困難が各1例(16.7%)
レベル2では急性心
不全、悪心、嘔吐、感染、ALT増加、AST増加、
LDH増加が1例(1.6%)
でした。
50
臨床成績 【乳癌】
非小細胞肺癌
膵 癌
胆 道 癌
尿路上皮癌
乳 癌
51
副 作 用
国内で実施された本剤の臨床試験において発現した副作用は以下の通りでした。
<承認時>
本剤単独投与の臨床試験における全投与例は506例であり、そのうち安全性評価対象は481例でした。これら
において、本剤との因果関係が完全に否定できない死亡例が、全投与例506例中9例(1.8%)に認められまし
た。9例の死因の内訳は、腫瘍死3例、間質性肺炎2例、感染性肺炎1例、敗血症2例及び急性呼吸不全1例でし
た。
転移・再発乳癌を対象とした本剤とパクリタキセルとの併用投与の臨床試験における全投与例は62例であり、そ
のうち安全性評価対象は62例でした。本剤及びパクリタキセルの因果関係が否定できない死亡例は認められま
せんでした。
安全性評価対象62例において認められた臨床検査値異常変動を含む副作用のうち、主なものは骨髄抑制[特
に、白血球減少(91.9%)、好中球減少(93.5%)、
リンパ球減少(51.6%)、赤血球減少(64.5%)、ヘモグロビン
減少(77.4%)及び血小板減少(69.4%)]、AST
(GOT)上昇(77.4%)、ALT
(GPT)上昇(64.5%)、倦怠感
(62.9%)、脱毛(61.3%)、悪心(48.4%)、食欲不振(46.8%)、血管障害(43.5%)、関節痛(38.7%)、感覚
鈍麻(35.5%)、味覚異常(33.9%)
、筋痛(32.3%)
でした。
<再審査終了時>
使用成績調査(非小細胞肺癌)の結果、安全性評価対象例2110例のうち副作用発現症例は1581例(74.9%)
であり、副作用発現件数は4974件でした。
市販後臨床試験の結果、安全性評価対象例238例のうち副作用発現症例は238例(100%)であり、副作用発
現件数は4249件でした。
なお、重大な副作用として、骨髄抑制、間質性肺炎、
アナフィラキシー 、心筋梗塞、
うっ血性心不全、肺水腫、気管支
痙攣、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、腎不全、溶血性尿毒症症候群、皮膚障害、肝機能障害、黄疸、白質脳症(可逆
性後白質脳症症候群を含む)
が報告されています。
52
臨床成績 【副作用】
非小細胞肺癌承認時の国内臨床試験での副作用発現頻度一覧表
(各種固形癌および非小細胞肺癌患者:計318例)
発現例数
発現率
(%)
Grade別発現例数 Grade3以上
1
2
3
4 の発現率(%)
発 熱
101
31.8
47 53
疲労感
  97
30.5
51 31 11
疼 痛
   2
0.6
悪 寒
   1
0.3
1
体温低下
   1
0.3
1
体重減少
   8
2.5
6
体重増加
   1
0.3
1
頭 痛
   1
0.3
1
頭部ほてり感
   1
0.3
1
間質性肺炎
   5
1.6
1
呼吸困難
   3
0.9
   1
0.3
1
PIE症候群
   1
0.3
1
喘 鳴
   1
0.3
1
咳 嗽
   1
0.3
1
痰
   1
0.3
1
食欲不振
138
43.4
72 46 20
悪心・嘔吐
112
35.2
66 33 13
下 痢
   4
1.3
胃部不快感
   1
0.3
口角炎
   1
0.3
1
舌潰瘍
   1
0.3
1
便 秘
   1
0.3
1
発 疹
  31
9.7
24
6
そう痒感
   3
0.9
2
1
脱 毛
   3
0.9
3
血圧低下
   2
0.6
血圧上昇
   2
0.6
狭心痛
   1
0.3
頻脈
   7
2.2
心電図異常*
   1
1.1
心室性期外収縮
   1
1.1
1
発作性上室頻脈
   1
1.1
1
抵抗機構障害
敗血症性ショック
   1
0.3
筋・骨格系障害
関節痛
   2
0.6
1
中枢・末梢神経系障害
知覚異常
   1
0.3
1
視覚障害
眼底出血
   1
0.3
1
泌尿器系障害
乏尿
   1
0.3
1
自律神経系障害
動悸
   1
0.3
器官分類
一般的全身障害
呼吸器系障害
副作用項目
息切れ
※
消化管障害
皮膚・皮膚付属器障害
循環器系障害
*
*
0.3
4
4.7
2
2
1
1
2
0.9
1
1
1
0.6
3
6.3
4.1
1
0.3
1
0.3
1
1.1
1
2
1
1
1
6
1
1
0.3
1
1
Gradeは日本癌治療学会「副作用の記載様式」に準ずる。ただし、本様式に規定されていない項目については、
「0:なし、1:軽度、2:中等度、3:高度、4:極めて高度」の基準で判定。
※肺好酸球浸潤症候群
53
1
*は93例
非小細胞肺癌承認時の国内臨床試験での臨床検査値異常変動発現頻度一覧表
(各種固形癌および非小細胞肺癌患者:計318例)
分類
副作用項目
検査例数 発現例数
Grade別発現例数
発現率
(%)
1
2
3
4
Grade3以上の
発現率(%)
血 液 検 査
血液生化学検査
尿・糞便検査
ヘマトクリット値減少
318
215
67.6
73
92
48
  2
15.7
赤血球減少
318
214
67.3
74
90
48
  2
15.7
ヘモグロビン減少
318
213
67.0
70
91
50
  2
16.4
白血球減少
318
211
66.4
63 108 39
  1
12.6
好中球減少
292
174
59.6
34
72
15
23.3
単球増多
290
  12
  4.1
11
  1
単球減少
290
   8
  2.8
  8
リンパ球減少
293
   8
  2.7
  7
  1
好酸球増多
290
   7
  2.4
  5
  2
リンパ球増多
293
   7
  2.4
  5
  2
好塩基球増多
289
   3
  1.0
  3
好中球増多
292
   2
  0.7
  1
白血球増多
318
   1
  0.3
骨髄球出現
318
   1
  0.3
  1
血小板減少
318
  91
28.6
48
26
血小板増多
318
  10
  3.1
  7
  3
ALT(GPT)上昇
316
104
32.9
68
36
AST(GOT)
上昇
315
  91
28.9
66
25
総ビリルビン上昇
312
   7
  2.2
  6
  1
総ビリルビン低下
312
   1
  0.3
  1
γ-GTP上昇
318
   1
  0.3
  1
LDH上昇
311
  28
  9.0
21
  6
総蛋白低下
317
  28
  8.8
27
  1
Al-P上昇
313
  24
  7.7
19
  3
アルブミン低下
292
  22
  7.5
21
総Ca低下
260
   6
  2.3
  6
Na低下
312
   4
  1.3
  4
K上昇
313
   4
  1.3
  4
Cl低下
313
   3
  1.0
  3
Cl上昇
313
   1
  0.3
  1
K低下
313
   1
  0.3
  1
A/G比低下
151
   3
  2.0
  2
  1
BUN上昇
317
  12
  3.8
10
  2
クレアチニン上昇
317
   2
  0.6
  1
  1
血 尿
275
   7
  2.5
  6
  1
ウロビリン尿
279
   3
  1.1
  2
  1
尿蛋白陽性
285
   6
  2.1
  6
尿糖陽性
285
   1
  0.4
  1
アセトン体出現
318
   1
  0.3
  1
糞便中クロストリジウム
ディフィシル毒素陽性
318
   1
  0.3
53
  1
  0.3
  1
11
  6
  5.3
  1
  0.3
  2
  0.6
  1
  0.3
  1
Gradeは日本癌治療学会「副作用の記載様式」に準ずる。ただし、本様式に規定されていない項目については、
「0:なし、1:軽度、2:中等度、3:
高度、4:極めて高度」の基準で判定。
*:検査項目ではなかったため、検査例数は安全性評価例数とした。
54
臨床成績 【副作用】
非小細胞肺癌を対象とした使用成績調査での副作用発現頻度一覧表
調査施設数
  184 副作用等の種類
調査症例数
2110 副作用等の発現症例数
1581 副作用等の発現件数
4974 代謝および栄養障害
副作用等の発現症例率
74.93%
食欲減退
副作用等の種類別
電解質失調
副作用等の種類
発現症例(件数)率
高カリウム血症
(%)
低カリウム血症
感染症および寄生虫症
75  (3.55%) 高ナトリウム血症
細菌性肺炎
1  (0.05%) 脱水
ニューモシスティスカリニ
低血糖症
1  (0.05%)
感染
低アルブミン血症
ニューモシスティスカリニ
精神障害
2  (0.09%)
肺炎
神経症
白癬感染
1  (0.05%) 抑うつ症状
耳下腺炎
1  (0.05%) 不眠症
胃腸感染
1  (0.05%) 神経系障害
感染性腸炎
1  (0.05%) 頭痛
感染
12  (0.57%) 失調
術後感染
3  (0.14%) 意識レベルの低下
気道感染
1  (0.05%) 浮動性めまい
気管支炎
5  (0.24%) 味覚異常
急性気管支炎
3  (0.14%) 感覚減退
気管支肺炎
3  (0.14%) 末梢性ニューロパシー
肺炎
27  (1.28%) 眼障害
肺感染
2  (0.09%) 流涙増加
敗血症
4  (0.19%) 視力低下
敗血症性ショック
2  (0.09%) 耳および迷路障害
鼻咽頭炎
1  (0.05%) 乗物酔い
膀胱炎
1  (0.05%) 耳痛
尿路感染
2  (0.09%) 心臓障害
感染性静脈炎
1  (0.05%) 徐脈
単純ヘルペス
1  (0.05%) 頻脈
帯状疱疹
1  (0.05%) 心房細動
良性、悪性および詳細不明の新生
上室性頻脈
3  (0.14%)
物(嚢胞およびポリープを含む)
動悸
悪性新生物進行
3  (0.14%) 急性心筋梗塞
血液およびリンパ系障害
540(25.59%) 不安定狭心症
貧血
404(19.15%) 心筋梗塞
骨髄抑制
78  (3.70%) 心不全
汎血球減少症
3  (0.14%) 血管障害
播種性血管内凝固
3  (0.14%) ショック
血小板障害
1  (0.05%) 起立性低血圧
血小板減少症
44  (2.09%) 潮紅
赤血球減少症
2  (0.09%) ほてり
好酸球増加症
1  (0.05%) 血管障害
好中球増加症
1  (0.05%) 血管炎
白血球減少症
64  (3.03%) 静脈炎
発熱性好中球減少症
9  (0.43%) 呼吸器、胸郭および縦隔障害
顆粒球減少症
1  (0.05%) 喘息
好中球減少症
45  (2.13%) 嚥下性肺臓炎
免疫系障害
2  (0.09%) 肺臓炎
アナフィラキシー様反応
2  (0.09%) 肺気腫
代謝および栄養障害
119  (5.64%) 間質性肺疾患
食欲不振
101  (4.79%) 肺浸潤
副作用等の種類別
発現症例(件数)率
(%)
119  (5.64%)
15  (0.71%)
2  (0.09%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
4  (0.19%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
10  (0.47%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
8  (0.38%)
21  (1.00%)
3  (0.14%)
1  (0.05%)
2  (0.09%)
4  (0.19%)
3  (0.14%)
8  (0.38%)
2  (0.09%)
2  (0.09%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
2  (0.09%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
11  (0.52%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
2  (0.09%)
2  (0.09%)
3  (0.14%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
33  (1.56%)
2  (0.09%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
9  (0.43%)
14  (0.66%)
5  (0.24%)
69  (3.27%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
3  (0.14%)
1  (0.05%)
36  (1.71%)
2  (0.09%)
(続く)
55
非小細胞肺癌を対象とした使用成績調査での副作用発現頻度一覧表(続き)
副作用等の種類別
副作用等の種類
発現症例(件数)率
副作用等の種類
(%)
呼吸器、胸郭および縦隔障害
69  (3.27%) 皮膚および皮下組織障害
肺線維症
1  (0.05%) 皮膚炎
急性肺水腫
1  (0.05%) アレルギー性皮膚炎
急性呼吸窮迫症候群
1  (0.05%) 湿疹
胸水
1  (0.05%) 薬剤性皮膚炎
気胸
2  (0.09%) 中毒性皮疹
呼吸困難
3  (0.14%) 紅斑
労作性呼吸困難
1  (0.05%) 紅斑性皮疹
低酸素症
2  (0.09%) そう痒症
咳嗽
3  (0.14%) そう痒性皮疹
喀血
3  (0.14%) 全身性そう痒症
湿性咳嗽
1  (0.05%) 発疹
しゃっくり
6  (0.28%) 斑状丘疹状皮疹
咽喉頭疼痛
1  (0.05%) 脱毛症
咽頭不快感
1  (0.05%) 白血球破砕性血管炎
上気道の炎症
3  (0.14%) 筋骨格系および結合組織障害
喘鳴
1  (0.05%) 結晶性関節症
鼻出血
1  (0.05%) 関節痛
胃腸障害
224(10.62%) 筋痛
胃腸出血
2  (0.09%) 筋痙攣
メレナ
3  (0.14%) 筋緊張
大腸炎
1  (0.05%) 背部痛
胃炎
3  (0.14%) 顔面痛
腸炎
1  (0.05%) 四肢痛
下痢
22  (1.04%) 腎および尿路障害
便秘
36  (1.71%) 腎障害
腸運動低下
1  (0.05%) 腎機能不全
イレウス
3  (0.14%) 腎機能障害
消化不良
9  (0.43%) 血尿
腹痛
2  (0.09%) 生殖系および乳房障害
上腹部痛
1  (0.05%) 乳房痛
胃不快感
2  (0.09%) 全身障害および投与局所様態
悪心
115  (5.45%) 注射部位紅斑
レッチング
18  (0.85%) 注射部位硬結
嘔吐
57  (2.70%) 注射部位疼痛
胃潰瘍
1  (0.05%) 注射部位静脈炎
出血性胃潰瘍
3  (0.14%) 注射部位発疹
口唇炎
1  (0.05%) 注射部位小水疱
口内炎
13  (0.62%) 注射部位腫脹
腹膜炎
1  (0.05%) 熱感
舌炎
1  (0.05%) 発熱
舌潰瘍
1  (0.05%) 無力症
舌痛
1  (0.05%) 疲労
歯肉炎
1  (0.05%) 倦怠感
肝胆道系障害
169  (8.01%) 胸部不快感
肝機能異常
113  (5.36%) 異常感
肝細胞障害
6  (0.28%) 浮腫
肝毒性
1  (0.05%) 末梢性浮腫
肝障害
49  (2.32%) 臨床検査
皮膚および皮下組織障害
118  (5.59%) 血圧低下
顔面浮腫
2  (0.09%) 血中乳酸脱水素酵素減少
蕁麻疹
8  (0.38%) 血中乳酸脱水素酵素増加
副作用等の種類別
発現症例(件数)率
(%)
118  (5.59%)
2  (0.09%)
1  (0.05%)
4  (0.19%)
10  (0.47%)
1  (0.05%)
9  (0.43%)
2  (0.09%)
15  (0.71%)
6  (0.28%)
1  (0.05%)
63  (2.99%)
1  (0.05%)
9  (0.43%)
1  (0.05%)
21  (1.00%)
1  (0.05%)
6  (0.28%)
7  (0.33%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
5  (0.24%)
23  (1.09%)
4  (0.19%)
4  (0.19%)
14  (0.66%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
165  (7.82%)
5  (0.24%)
1  (0.05%)
14  (0.66%)
9  (0.43%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
106  (5.02%)
1  (0.05%)
5  (0.24%)
34  (1.61%)
2  (0.09%)
1  (0.05%)
3  (0.14%)
2  (0.09%)
1206(57.16%)
1  (0.05%)
4  (0.19%)
81  (3.84%)
(続く)
56
臨床成績 【副作用】
非小細胞肺癌を対象とした使用成績調査での副作用発現頻度一覧表(続き)
副作用等の種類別
副作用等の種類
発現症例(件数)率
副作用等の種類
(%)
臨床検査
1206(57.16%) 臨床検査
血中アルカリホスファターゼ
好酸球百分率増加
36  (1.71%)
増加
好中球百分率増加
白血球百分率数異常
1  (0.05%) ALT増加
INR増加
1  (0.05%) AST増加
血小板数減少
519(24.60%) 血中ビリルビン増加
血小板数増加
66  (3.13%) 肝機能検査値異常
ヘマトクリット減少
222(10.52%) 肝酵素上昇
ヘモグロビン減少
265(12.56%) C-反応性蛋白増加
ヘモグロビン増加
1  (0.05%) 酸素飽和度低下
赤血球数減少
240(11.37%) 血中アルブミン減少
好塩基球数減少
1  (0.05%) 血中クレアチニン増加
好塩基球数増加
15  (0.71%) 血中尿素増加
好酸球数減少
18  (0.85%) 尿蛋白
好酸球数増加
42  (1.99%) 血中カルシウム減少
顆粒球数減少
5  (0.24%) 血中カリウム増加
リンパ球数減少
1  (0.05%) 体重減少
好中球数減少
403(19.10%) 傷害、中毒および処置合併症
好中球数増加
15  (0.71%) 放射線性肺臓炎
白血球数減少
816(38.67%) 外科および内科処置
白血球数増加
15  (0.71%) 脱毛術
好塩基球百分率増加
2  (0.09%)
MedDRA version:V7.0J
57
副作用等の種類別
発現症例(件数)率
(%)
1206(57.16%)
1  (0.05%)
2  (0.09%)
128  (6.07%)
106  (5.02%)
1  (0.05%)
3  (0.14%)
7  (0.33%)
12  (0.57%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
23  (1.09%)
41  (1.94%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
1  (0.05%)
5  (0.24%)
5  (0.24%)
8  (0.38%)
8  (0.38%)
非小細胞肺癌を対象とした製造販売後臨床試験(FACS研)
における
本剤とシスプラチン併用群(安全性評価対象例151例)の副作用発現頻度一覧表
器官別大分類*1
血液およびリンパ系障害
代謝および栄養障害
精神障害
神経系障害
呼吸器、胸郭および縦隔障害
胃腸障害
皮膚および皮下組織障害
骨格系および結合組織障害
全身障害および投与局所様態
臨床検査
副作用項目*1
発熱性好中球減少症
食欲不振
不眠症
味覚異常
頭痛
運動障害
感覚障害
しゃっくり
便秘
下痢
悪心
胃不快感
口内炎
嘔吐
脱毛症
発疹(Rash)
関節痛
筋痛
疲労
注射部位反応
倦怠感
浮腫
発熱
ヘモグロビン減少
好中球数減少
血小板数減少
赤血球数減少
白血球数減少
血小板数増加
アラニン・アミノトランス
フェラーゼ増加
アスパラギン酸アミノ
トランスフェラーゼ増加
血中アルブミン減少
血中ビリルビン増加
血中カルシウム減少
血中クロール減少
血中クロール増加
血中クレアチニン増加
血中乳酸脱水素酵素増加
血中カリウム減少
血中カリウム増加
血中ナトリウム減少
血中尿素減少
血中尿素増加
尿中蛋白陽性
尿中ブドウ糖陽性
総蛋白減少
体重減少
血中アルカリホスファターゼ
増加
評価
例数
発現症例数
( )内は副作用発現
症例率(%)
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
3  (2.0%)
143(94.7%)
25(16.6%)
30(19.9%)
34(22.5%)
1  (0.7%)
19(12.6%)
38(25.2%)
80(53.0%)
48(31.8%)
140(92.7%)
17(11.3%)
17(11.3%)
113(74.8%)
93(61.6%)
41(27.2%)
10  (6.6%)
15  (9.9%)
42(27.8%)
56(37.1%)
74(49.0%)
15  (9.9%)
24(15.9%)
*3
138*3(91.4%)
*3
*3
142 (94.0%)
*3
*3
137 (90.7%)
*3
*3
136 (90.1%)
*3
*3
137 (90.7%)
*3
*3
45 (29.8%)
≧Grade*22の
発現症例数
( )内は副作用発現
症例率(%)
3  (2.0%)
88(58.3%)
2  (1.3%)
2  (1.3%)
5  (3.3%)
0  (0.0%)
0  (0.0%)
10  (6.6%)
63(41.7%)
13  (8.6%)
87(57.6%)
0  (0.0%)
2  (1.3%)
72(47.7%)
23(15.2%)
28(18.5%)
0  (0.0%)
0  (0.0%)
23(15.2%)
8  (5.3%)
30(19.9%)
7  (4.6%)
1  (0.7%)
*3
41*3(27.2%)
*3
*3
95 (62.9%)
*3
*3
53 (35.1%)
*3
*3
36 (23.8%)
*3
*3
50 (33.1%)
*3
*3
0  (0.0%)
151
82(54.3%)
21(13.9%)
151
57(37.7%)
13  (8.6%)
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
151
65(43.0%)
23(15.2%)
44(29.1%)
69(45.7%)
19(12.6%)
54(35.8%)
51(33.8%)
42(27.8%)
41(27.2%)
68(45.0%)
6  (4.0%)
89(58.9%)
68(45.0%)
38(25.2%)
84(55.6%)
53(35.1%)
10  (6.6%)
3  (2.0%)
14  (9.3%)
8  (5.3%)
0  (0.0%)
10  (6.6%)
4  (2.6%)
7  (4.6%)
10  (6.6%)
19(12.6%)
0  (0.0%)
1  (0.7%)
14  (9.3%)
6  (4.0%)
7  (4.6%)
15  (9.9%)
151
20(13.2%)
1  (0.7%)
*1:治験責任医師又は治験分担医師が症例報告書に記載した有害事象名を、医薬規制用語集日本語版(MedDRA/J ver.6.1)の用語に読
み替えて集計。
*2:NCI-CTC Version 2.0, Jan.30, 1998 日本語訳JCOG版に従って判定。
*3:Grade3以上の症例数
58
臨床成績 【副作用】
膵癌承認時の海外臨床試験(第Ⅲ相)での副作用発現頻度一覧表
項 目
Grade3以上の
発現率(%)
評価例数
発現例数
発現率(%)
アレルギー
63
  0
   0
発熱
63
19
30.2
感染
63
  5
  7.9
疼痛
63
  6
  9.5
心機能低下
63
  0
   0
脈拍異常
63
  1
  1.6
出血傾向
63
  0
   0
心膜炎
63
  0
   0
呼吸器系障害
63
  4
  6.3
便秘
63
  6
  9.5
  3.2
下痢
63
15
23.8
  1.6
悪心・嘔吐
63
40
63.5
12.7
口内炎
63
  9
14.3
皮膚障害
63
15
23.8
脱毛
63
11
17.5
末梢神経障害
63
  1
  1.6
意識状態異常
63
  3
  4.8
  1.6
  1.6
膵癌承認時の海外臨床試験(第Ⅲ相)での臨床検査値異常変動の発現頻度一覧表
評価例数
発現例数
発現率(%)
Grade3以上の
発現率(%)
ヘモグロビン減少
62
40
64.5
  9.7
白血球減少
62
44
71.0
  9.7
好中球減少
58
36
62.1
25.9
血小板減少
62
29
46.8
  9.7
AI-P上昇
61
43
70.5
16.4
GPT上昇
61
44
72.1
  9.8
GOT上昇
61
44
72.1
11.5
血清ビリルビン上昇
61
10
16.4
  3.3
BUN上昇
61
  5
  8.2
血中クレアチニン上昇
61
  1
  1.6
血尿
63
  8
12.7
蛋白尿
63
  6
  9.5
項 目
*:好中球減少はWHO毒性基準の顆粒球数に従いWHOグレードに変換した
59
膵癌承認時の国内臨床試験(第Ⅰ相)での副作用発現頻度一覧表
器官分類
一般的全身障害
呼吸器系障害
消化管障害
皮膚・皮膚付属器障害
視覚障害
循環器系障害
中枢・末梢神経系障害
聴覚・前庭障害
精神障害
副作用項目
発 熱
疲労感
胸部不快感
体重減少
頭 痛
低酸素血(症)
高炭酸ガス血症
呼吸困難
食欲不振
悪心・嘔吐
口内炎
下 痢
歯肉炎
発 疹
眼 脂
血圧上昇
めまい
耳 鳴
不 眠
発現例数
  3
  4
  1
  2
  1
  4
  1
  1
  8
10
  1
  2
  1
  3
  1
  3
  1
  1
  1
発現率
(%)
27.3
36.4
  9.1
18.2
  9.1
36.4
  9.1
  9.1
72.7
90.9
  9.1
18.2
  9.1
27.3
  9.1
27.3
  9.1
  9.1
  9.1
Grade別発現例数 Grade3以上
1
2
3
4 の発現率(%)
1
2
2
2
18.2
1
1
1
1
2
2 1
1
3
2
2
1
27.3
6
3
1
  9.1
1
1
1
1
3
1
3
1
1
1
Gradeは日本癌治療学会「薬物有害反応判定基準」に準ずる。ただし、本基準に規定されていない項目については、治験責任医師又は治験分
担医師が重症度判定を行い、その後、症例検討委員会において重症度を再確認した。
血液検査
膵癌承認時の国内臨床試験(第Ⅰ相)での臨床検査値異常変動発現頻度一覧表
Grade別発現例数
発現率
分類
副作用項目
検査例数 発現例数
(%)
1
2
3
4
ヘモグロビン減少
11
  7
63.6
3
3
1
白血球減少
11
10
90.9
3
4
2
1
好中球減少
11
  8
72.7
4
2
2
好酸球増多
11
  1
  9.1
1
血小板減少
11
  6
54.5
3
3
血小板増多
11
  4
36.4
1
3
CRP上昇
11
  5
45.5
5
ALT(GPT)上昇
11
  6
54.5
4
1
1
AST(GOT)
上昇
11
  6
54.5
4
1
1
血清ビリルビン上昇
11
  2
18.2
2
γ-GTP上昇
11
  7
63.6
4
3
LDH上昇
11
  5
45.5
5
総蛋白低下
11
  3
27.3
3
Al-P上昇
11
  7
63.6
6
1
アルブミン低下
11
  2
18.2
2
Na低下
11
  2
18.2
1
1
K上昇
11
  2
18.2
2
Cl低下
11
  1
  9.1
1
血 尿
11
  1
  9.1
1
尿蛋白陽性
11
  3
27.3
2
1
尿糖陽性
11
  3
27.3
1
2
Grade3以上の
発現率(%)
  9.1
27.3
36.4
血液生化学検査
  9.1
  9.1
尿・糞便検査
Gradeは日本癌治療学会「薬物有害反応判定基準」に準ずる。ただし、本基準に規定されていない項目については、治験責任医師又は治験分
担医師が重症度判定を行い、その後、症例検討委員会において重症度を再確認した。
60
臨床成績 【副作用】
胆道癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)での副作用発現頻度一覧表
分類
血液および
リンパ系障害
胃腸障害
全身障害
および
投与局所様態
肝胆道系障害
感染症および
寄生虫症
臨床検査
代謝および
栄養障害
筋骨格系および
結合組織障害
神経系障害
精神障害
呼吸器、胸郭
および
縦隔障害
皮膚
および
皮下組織障害
血管障害
副作用項目
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
溶血性尿毒症症候群
40
1
2.5
便秘
嘔吐
悪心
吐血
下痢
消化不良
胃炎
歯肉出血
口内炎
疲労
熱感
倦怠感
浮腫
発熱
悪寒
口渇
胆管炎
胆道感染
膀胱炎
肺炎
細菌感染
血圧上昇
体重減少
胆汁量増加
食欲不振
食欲減退
脱水
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
6
13
21
1
7
1
1
2
3
14
2
4
3
15
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
21
1
1
15.0
32.5
52.5
2.5
17.5
2.5
2.5
5.0
7.5
35.0
5.0
10.0
7.5
37.5
2.5
2.5
2.5
2.5
2.5
2.5
2.5
2.5
5.0
2.5
52.5
2.5
2.5
背部痛
40
1
2.5
浮動性めまい
味覚異常
頭痛
感覚減退
嗜眠
うつ病
咳嗽
呼吸困難
鼻出血
嗄声
咽喉頭疼痛
胸水
発疹(皮疹)
脱毛症
湿疹
紅斑
発疹(発疹)
そう痒症
蕁麻疹
高血圧
出血性ショック
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
40
3
3
4
2
1
1
1
1
3
1
2
1
3
5
2
1
4
3
1
2
1
7.5
7.5
10.0
5.0
2.5
2.5
2.5
2.5
7.5
2.5
5.0
2.5
7.5
12.5
5.0
2.5
10.0
7.5
2.5
5.0
2.5
1
1
8
13
2
2
6
6
1
1
1
2
2
13
2
4
2
12
1
1
1
1
1
2
15
3
3
2
4
Grade3以上
の発現率(%)
1
2.5
1
7.5
7.5
5.0
2.5
1
1
1
3
1
1
2.5
1
1
3
3
1
1
7.5
2.5
1
2
3
4
2
1
1
3
1
2
1
5
1
1
4
3
1
MedDRA/J ver.6.1
GradeはNCI-CTC Version 2.0, Jan.30, 1998 日本語訳JCOG版に従って判定。
61
Grade別発現例数
2
3
1
2.5
1
2.5
1
1
1
1
1
1
1
1
2.5
2.5
胆道癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)での臨床検査値異常変動発現頻度一覧表
Grade別発現例数
血液および
リンパ系障害
2
3
4
Grade3以上
の発現率(%)
  5
13
10
  2
30.0
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
1
赤血球減少症
40
1
2.5
1
好中球数減少
40
30
75.0
分類
副作用項目
臨 床 検 査
アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加
40
13
32.5
  5
  2
  6
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加
40
10
25.0
  3
  2
  4
白血球数減少
40
30
75.0
  3
22
  5
ヘモグロビン減少
40
25
62.5
11
10
  3
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
40
13
32.5
  7
  4
  2
  5.0
血中ナトリウム減少
40
  2
  5.0
  2
  5.0
赤血球数減少
40
  3
  7.5
  1
  2
  5.0
血中アルカリホスファターゼ増加
40
  9
22.5
  5
  2
  5.0
リンパ球数減少
40
  1
  2.5
  1
  2.5
尿潜血陽性
40
  1
  2.5
  1
  2.5
血中アルブミン減少
40
  7
17.5
  6
  1
血中ビリルビン増加
40
  5
12.5
  3
  2
血中塩化物減少
40
  2
  5.0
  2
血中塩化物増加
40
  1
  2.5
  1
血中コレステロール増加
40
  1
  2.5
  1
血中クレアチニン増加
40
  3
  7.5
  2
  1
血中ブドウ糖増加
40
  2
  5.0
  1
  1
血中乳酸脱水素酵素増加
40
  6
15.0
  5
  1
血中カリウム減少
40
  1
  2.5
  1
血中カリウム増加
40
  4
10.0
  3
血中尿素減少
40
  2
  5.0
  2
血中尿素増加
40
  3
  7.5
  3
血中尿酸増加
40
  1
  2.5
  1
C-反応性蛋白増加
40
  3
  7.5
  3
尿中ブドウ糖陽性
40
  2
  5.0
  2
ヘマトクリット減少
40
  2
  5.0
  2
ロイシンアミノペプチターゼ上昇
40
  1
  2.5
  1
好中球数増加
40
  5
12.5
  5
血小板数減少
40
22
55.0
15
総蛋白減少
40
  8
20.0
  8
尿蛋白
40
  2
  5.0
  1
白血球数増加
40
  5
12.5
  5
血中ビリルビン減少
40
  1
  2.5
  1
血小板数増加
40
22
55.0
12
代謝および 腎および
栄養障害 尿路障害
尿中蛋白陽性
40
  2
  5.0
高カリウム血症
40
  1
  2.5
  7
  1
10
  2
低血糖症
40
  1
  2.5
40
  1
  2.5
  1
血尿
40
  6
15.0
  2
62
  1
  1
低ナトリウム血症
MedDRA/J ver.6.1
GradeはNCI-CTC Version 2.0, Jan.30, 1998 日本語訳JCOG版に従って判定。
  2
  1
  4
15.0
  1
12.5
12.5
  1
10.0
臨床成績 【副作用】
尿路上皮癌承認時の海外臨床試験(第Ⅲ相)での有害事象(自覚症状・他覚所見)発現頻度一覧表
項 目
Grade3以上の
発現率(%)
評価例数
発現例数
発現率(%)
アレルギー
200
   5
  2.5
便秘
200
  75
37.5
皮膚障害
200
  45
22.5
下痢
200
  47
23.5
発熱
200
  41
20.5
心機能低下
197
  15
  7.6
  4.1
脱毛
200
122
61.0
10.5
血尿
179
  32
17.9
  4.5
出血傾向
200
  45
22.5
  2.0
感染
200
  48
24.0
  2.5
悪心・嘔吐
200
156
78.0
22.0
口内炎
200
  39
19.5
  1.0
心膜炎
198
   0
  0.0
末梢神経障害
200
  52
26.0
蛋白尿
122
  11
  9.0
肺毒性
200
  56
28.0
  3.0
脈拍異常
198
  11
  5.6
  0.5
意識状態異常
200
  33
16.5
  0.5
  1.5
  3.0
  0.5
Grade分類はWHOグレード
尿路上皮癌承認時の海外臨床試験(第Ⅲ相)での有害事象(臨床検査値異常変動)発現頻度一覧表
評価例数
発現例数
発現率(%)
Grade3以上の
発現率(%)
ALP上昇
195
  33
16.9
  2.1
ALT(GPT)上昇
197
  57
28.9
  0.5
AST(GOT)
上昇
197
  57
28.9
  0.5
血清ビリルビン上昇
197
  10
  5.1
BUN上昇
191
  69
36.1
血中クレアチニン上昇
200
  48
24.0
ヘモグロビン減少
200
188
94.0
27.0
白血球数減少
200
184
92.0
50.0
好中球数減少
194
176
90.7
71.1
血小板数減少
200
171
85.5
57.0
項 目
Grade分類はWHOグレード
63
  0.5
尿路上皮癌承認申請時の国内臨床試験(第Ⅱ相)での副作用発現頻度一覧表
評価例数
発現例数
発現率(%)
Grade3以上の
発現率(%)
44
  1
  2.3
2.3
44
  1
  2.3
44
  1
  2.3
眼脂
44
  1
  2.3
光視症
44
  1
  2.3
霧視
44
  1
  2.3
黄疸眼
44
  1
  2.3
副作用項目
血液およびリンパ系障害
貧血
心臓障害
心嚢液貯留
耳および迷路障害
耳鳴
眼障害
胃腸障害
悪心
44
24
54.5
4.5
嘔吐
44
14
31.8
2.3
2.3
上部消化管出血
44
  1
  2.3
便秘
44
  7
15.9
下痢
44
  4
  9.1
口内炎
44
  2
  4.5
上腹部痛
44
  1
  2.3
腹部不快感
44
  1
  2.3
倦怠感
44
10
22.7
発熱
44
20
45.5
疲労
44
14
31.8
注射部位反応
44
  7
15.9
胸痛
44
  3
  6.8
悪寒
44
  2
  4.5
異常感
44
  1
  2.3
浮腫
44
  1
  2.3
疼痛
44
  1
  2.3
圧迫感
44
  1
  2.3
口渇
44
  1
  2.3
全身障害および投与局所様態
2.3
感染症および寄生虫症
蜂巣炎
44
  1
  2.3
2.3
急性腎盂腎炎
44
  1
  2.3
2.3
膀胱炎
44
  1
  2.3
原発性異型肺炎
44
  1
  2.3
鼻咽頭炎
44
  1
  2.3
足部白癬
44
  1
  2.3
44
  1
  2.3
体重減少
44
  8
18.2
体重増加
44
  2
  4.5
血圧低下
44
  1
  2.3
血圧上昇
44
  1
  2.3
食欲不振
44
22
50.0
食欲減退
44
  3
  6.8
傷害、中毒および処置合併症
処置後局所反応
臨床検査
代謝および栄養障害
9.1
(続く)
64
臨床成績 【副作用】
尿路上皮癌承認申請時の国内臨床試験(第Ⅱ相)での副作用発現頻度一覧表(続き)
副作用項目
評価例数
発現例数
発現率(%)
関節痛
44
  3
  6.8
背部痛
44
  2
  4.5
殿部痛
44
  1
  2.3
関節炎
44
  1
  2.3
側腹部痛
44
  1
  2.3
筋攣縮
44
  1
  2.3
肩部痛
44
  1
  2.3
頭痛
44
  6
13.6
味覚異常
44
  4
  9.1
浮動性めまい
44
  3
  6.8
味覚減退
44
  1
  2.3
末梢性ニューロパシー
44
  1
  2.3
嗅覚錯誤
44
  1
  2.3
感覚障害
44
  1
  2.3
44
  1
  2.3
Grade3以上の
発現率(%)
筋骨格系および結合組織障害
神経系障害
精神障害
不眠症
呼吸器、胸郭および縦隔障害
肺気腫
44
  1
  2.3
2.3
低酸素症
44
  1
  2.3
2.3
咳嗽
44
  3
  6.8
喀血
44
  2
  4.5
咽喉頭疼痛
44
  2
  4.5
呼吸困難
44
  1
  2.3
鼻出血
44
  1
  2.3
湿性咳嗽
44
  1
  2.3
アレルギー性鼻炎
44
  1
  2.3
発疹
44
10
22.7
そう痒症
44
  7
15.9
脱毛症
44
  5
11.4
多汗症
44
  2
  4.5
皮膚炎
44
  1
  2.3
乾皮症
44
  1
  2.3
紅斑
44
  1
  2.3
潮紅
44
  1
  2.3
血管障害
44
  1
  2.3
ほてり
44
  1
  2.3
皮膚および皮下組織障害
血管障害
MedDRA/J ver.9.0
GradeはNCI-CTC Version 2.0, Jan.30, 1998 日本語訳JCOG版に従って判定。
65
2.3
尿路上皮癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)での臨床検査値異常変動発現頻度一覧表
評価例数
発現例数
発現率(%)
Grade3以上の
発現率(%)
好中球数減少
44
38
86.4
50.0
白血球数減少
44
37
84.1
20.5
ヘモグロビン減少
44
27
61.4
11.4
血小板数減少
44
36
81.8
  6.8
血小板数増加
44
17
38.6
  2.3
ALT
(GPT)増加
44
14
31.8
  2.3
赤血球数減少
44
11
25.0
  2.3
γ-GTP増加
44
11
25.0
  2.3
血中ALP増加
44
  7
15.9
  2.3
肺機能検査値低下
44
  1
  2.3
  2.3
AST
(GOT)増加
44
18
40.9
血中乳酸脱水素酵素増加
44
10
22.7
血中アルブミン減少
44
  7
15.9
C-反応性蛋白増加
44
  6
13.6
総蛋白減少
44
  6
13.6
血中カリウム増加
44
  5
11.4
ヘマトクリット減少
44
  3
  6.8
尿中蛋白陽性
44
  3
  6.8
血中ビリルビン増加
44
  3
  6.8
血中カルシウム減少
44
  2
  4.5
血中ナトリウム減少
44
  2
  4.5
血中尿素増加
44
  2
  4.5
尿蛋白
44
  2
  4.5
白血球数増加
44
  2
  4.5
酸素飽和度低下
44
  1
  2.3
AST
(GOT)減少
44
  1
  2.3
血中カルシウム増加
44
  1
  2.3
血中クロール減少
44
  1
  2.3
血中クロール増加
44
  1
  2.3
血中クレアチニン増加
44
  1
  2.3
血中乳酸脱水素酵素減少
44
  1
  2.3
血中カリウム減少
44
  1
  2.3
LAP上昇
44
  1
  2.3
好中球数増加
44
  1
  2.3
PO2低下
44
  1
  2.3
低ナトリウム血症
44
  1
  2.3
高カリウム血症
44
  1
  2.3
低クロール血症
44
  1
  2.3
副作用項目
臨床検査
代謝および栄養障害
MedDRA/J ver.9.0
GradeはNCI-CTC Version 2.0, Jan.30, 1998 日本語訳JCOG版に従って判定。
66
  2.3
臨床成績 【副作用】
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤及びパクリタキセル併用時に認められた副作用発現
頻度一覧表
Grade別発現例数
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
1
2
蜂巣炎
56
  3
  5.4
  1
  2
膀胱炎
56
  2
  3.6
鼻咽頭炎
56
  2
  3.6
胃腸炎
56
  1
  1.8
麦粒腫
56
  1
  1.8
  1
良性、悪性および詳細
不明の新生物(嚢胞お 黒子
よびポリープを含む)
56
  1
  1.8
  1
免疫系障害
季節性アレルギー
56
  1
  1.8
  1
食欲不振
56
26
46.4
23
食欲減退
56
  1
  1.8
高脂血症
56
  1
  1.8
  1
不眠症
56
  9
16.1
  8
激越
56
  1
  1.8
  1
感覚障害
56
13
23.2
  9
  3
感覚鈍麻
56
20
35.7
17
  3
味覚異常
56
19
33.9
18
  1
頭痛
56
15
26.8
14
  1
末梢性ニューロパシー
56
13
23.2
  7
  6
浮動性めまい
56
  4
  7.1
  4
知覚過敏
56
  2
  3.6
  2
体位性めまい
56
  1
  1.8
  1
神経痛
56
  1
  1.8
  1
神経毒性
56
  1
  1.8
  1
嗅覚錯誤
56
  1
  1.8
  1
末梢性運動ニューロパシー
56
  1
  1.8
  1
坐骨神経痛
56
  1
  1.8
  1
傾眠
56
  1
  1.8
  1
血管迷走神経性失神
56
  1
  1.8
  1
嗅神経障害
56
  1
  1.8
  1
眼充血
56
  3
  5.4
  3
眼脂
56
  2
  3.6
  2
結膜出血
56
  1
  1.8
  1
複視
56
  1
  1.8
  1
眼瞼浮腫
56
  1
  1.8
  1
流涙増加
56
  1
  1.8
  1
霧視
56
  1
  1.8
  1
項 目
感染症および
寄生虫症
代謝および
栄養障害
精神障害
神経系障害
眼障害
3
4
Grade3以上
の発現率(%)
  2
  2
  1
  2
  1
1.8
  1
1.8
  1
  1
(続く)
67
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤及びパクリタキセル併用時に認められた副作用発現
頻度一覧表(続き)
Grade別発現例数
項 目
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
耳および迷路障害 耳鳴
56
  1
  1.8
動悸
56
  2
  3.6
  2
不整脈
56
  1
  1.8
  1
心房細動
56
  1
  1.8
頻脈
56
  1
  1.8
  1
心室性期外収縮
56
  1
  1.8
  1
血管障害
56
25
44.6
24
ほてり
56
  6
10.7
  6
潮紅
56
  5
  8.9
  4
  1
血管炎
56
  3
  5.4
  2
  1
高血圧
56
  1
  1.8
  1
咽喉頭疼痛
56
  8
14.3
  8
咳嗽
56
  6
10.7
  5
鼻出血
56
  3
  5.4
  3
鼻漏
56
  3
  5.4
  3
呼吸困難
56
  2
  3.6
  2
しゃっくり
56
  1
  1.8
  1
湿性咳嗽
56
  1
  1.8
  1
下痢
56
10
17.9
  4
  4
悪心
56
27
48.2
24
  3
便秘
56
13
23.2
  7
  6
嘔吐
56
13
23.2
10
  3
胃不快感
56
  5
  8.9
  5
腹部膨満
56
  4
  7.1
  2
腹痛
56
  3
  5.4
  3
口唇炎
56
  3
  5.4
  3
痔核
56
  3
  5.4
  2
上腹部痛
56
  2
  3.6
  2
消化不良
56
  2
  3.6
  2
口内炎
56
  2
  3.6
  2
胃炎
56
  1
  1.8
  1
歯肉出血
56
  1
  1.8
  1
歯肉腫脹
56
  1
  1.8
  1
口の感覚鈍麻
56
  1
  1.8
  1
心臓障害
血管障害
呼吸器、胸郭
および
縦隔障害
胃腸障害
1
2
3
4
Grade3以上
の発現率(%)
  1
  1
  1
  1
  2
3.6
  2
  1
(続く)
68
臨床成績 【副作用】
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤及びパクリタキセル併用時に認められた副作用発現
頻度一覧表(続き)
皮膚および
皮下組織障害
発現
例数
発現率
(%)
1
2
脱毛症
56
34
60.7
10
24
発疹
56
15
26.8
  7
  8
湿疹
56
12
21.4
11
  1
そう痒症
56
10
17.9
  9
  1
紅斑
56
  7
12.5
  4
  3
全身性そう痒症
56
  4
  7.1
  4
手掌・足底発赤知
覚不全症候群
56
  3
  5.4
  2
多汗症
56
  2
  3.6
  2
中毒性皮疹
56
  2
  3.6
  2
薬疹
56
  1
  1.8
  1
多形紅斑
56
  1
  1.8
  1
爪の障害
56
  1
  1.8
  1
丘疹
56
  1
  1.8
  1
皮膚剥脱
56
  1
  1.8
  1
顔面腫脹
56
  1
  1.8
  1
蕁麻疹
56
  1
  1.8
関節痛
56
23
41.1
15
  7
  1
1.8
筋痛
56
19
33.9
15
  3
  1
1.8
四肢痛
56
12
21.4
  3
  8
  1
1.8
56
  6
10.7
  5
  1
56
  4
  7.1
  2
  2
56
  3
  5.4
  3
重感
56
  2
  3.6
  2
筋骨格硬直
56
  2
  3.6
  2
骨痛
56
  1
  1.8
残尿
56
  3
  5.4
  3
排尿困難
56
  1
  1.8
  1
膀胱炎様症状
56
  1
  1.8
月経困難症
56
  1
  1.8
  1
倦怠感
56
34
60.7
26
  7
  1
1.8
56
14
25.0
10
  3
  1
1.8
56
  7
12.5
  7
56
  6
10.7
  6
56
  5
  8.9
  2
背部痛
筋骨格系および
筋力低下
結合組織障害
筋骨格痛
腎および
尿路障害
生殖系および
乳房の異常
Grade別発現例数
評価
例数
項 目
発熱
全身の異常
および
疲労
投与局所の異常
末梢性浮腫
疼痛
3
4
Grade3以上
の発現率(%)
  1
  1
  1
  1
  3
(続く)
69
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤及びパクリタキセル併用時に認められた副作用発現
頻度一覧表(続き)
Grade別発現例数
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
1
胸部不快感
56
  4
  7.1
  4
悪寒
56
  4
  7.1
  4
顔面浮腫
56
  4
  7.1
  4
浮腫
56
  3
  5.4
  3
口渇
56
  2
  3.6
  2
無力症
全身の異常
および
胸痛
投与局所の異常
異常感
56
  1
  1.8
  1
56
  1
  1.8
  1
56
  1
  1.8
  1
酩酊感
56
  1
  1.8
  1
全身性浮腫
56
  1
  1.8
  1
宿酔
56
  1
  1.8
  1
注射部位反応
56
  1
  1.8
局所腫脹
56
  1
  1.8
  1
56
  1
  1.8
  1
項 目
傷害、中毒および
アルコール中毒
処置合併症
  1
MedDRA/J ver.10.0
GradeはCTCAE
(有害事象共通用語規準)V3.0 日本語訳JCOG/JSCO版に従って判定。
70
2
3
4
Grade3以上
の発現率(%)
臨床成績 【副作用】
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤及びパクリタキセル併用時に認められた臨床検査値
異常変動発現頻度一覧表
項 目
臨床検査
好中球数減少
白血球数減少
アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加
リンパ球数減少
血小板数減少
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
ヘモグロビン減少
赤血球数減少
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加
血中カリウム減少
血中ナトリウム減少
ヘマトクリット減少
血中アルブミン減少
血中アルカリホスファターゼ増加
血小板数増加
総蛋白減少
尿中血陽性
尿中蛋白陽性
血中ビリルビン増加
血中クレアチニン増加
血中乳酸脱水素酵素増加
血中尿素減少
白血球数増加
血圧上昇
好中球数増加
血中トリグリセリド増加
C-反応性蛋白増加
血中カルシウム減少
血中コレステロール増加
血中カリウム増加
血中尿素増加
クレアチンホスホキナーゼ減少
尿中ブドウ糖陽性
体重減少
尿中白血球陽性
アラニン・アミノトランスフェラーゼ減少
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ減少
血中カルシウム増加
血中クロール減少
血中コリンエステラーゼ増加
血中クレアチニン減少
血中ブドウ糖増加
血中ナトリウム増加
ヘマトクリット増加
高比重リポ蛋白増加
低比重リポ蛋白増加
リンパ球数増加
体重増加
尿中ウロビリン陽性
評価
例数
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
56
発現
例数
54
52
42
28
39
36
42
37
15
  9
  4
32
13
11
10
  9
  8
  7
  6
  6
  6
  6
  5
  4
  4
  3
  3
  2
  2
  2
  2
  2
  2
  2
  2
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
発現率
(%)
96.4
92.9
75.0
50.0
69.6
64.3
75.0
66.1
26.8
16.1
  7.1
57.1
23.2
19.6
17.9
16.1
14.3
12.5
10.7
10.7
10.7
10.7
  8.9
  7.1
  7.1
  5.4
  5.4
  3.6
  3.6
  3.6
  3.6
  3.6
  3.6
  3.6
  3.6
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
  1.8
1
  1
  5
12
  4
27
24
17
23
10
  8
  3
32
10
10
  7
  9
  7
  4
  5
  6
  5
  6
  5
  3
  4
  2
  2
  1
  1
  1
  2
  2
 
 
 
 
 
 
 
 
2
2
1
1
1
1
1
1
 
 
 
 
 
 
 
1
1
1
1
1
1
1
Grade別発現例数
2
3
  7
20
12
32
23
  7
17
  4
  7
  5
  8
  4
22
  3
11
  3
  4
  1
  1
  1
MedDRA/J ver.10.0
GradeはCTCAE
(有害事象共通用語規準)V3.0 日本語訳JCOG/JSCO版に従って判定。
71
  3
  1
  3
  1
  3
  1
  1
  1
 
 
 
 
 
1
1
1
1
1
  2
  1
4
26
  3
  3
Grade3以上
の発現率(%)
82.1
62.5
12.5
12.5
  8.9
  7.1
  5.4
  5.4
  1.8
  1.8
  1.8
手術不能・再発乳癌承認時の海外臨床試験(第Ⅲ相)の本剤及びパクリタキセル併用時に認められた有害事象
(自覚症状・他覚所見)発現頻度一覧表(評価例数:262例)
非臨床検査項目
発現例数(%)
全Grade
Grade3
Grade4
浮腫
  55(21.0)
  2 (0.8)
  1 (0.4)
高血圧
  55(21.0)
18 (6.9)
疲労
161(61.5)
22 (8.4)
  2 (0.8)
発熱
  73(27.9)
  3 (1.1)
  1 (0.4)
全身症状-その他
  29(11.1)
心血管系(一般)
全身症状
皮膚科/皮膚
脱毛*
238(90.8)
36(13.7)
10 (3.8)
発疹/落屑
  34(13.0)
  1 (0.4)
  1 (0.4)
皮膚-その他
  39(14.9)
  3 (1.1)
  1 (0.4)
消化管系
食欲不振
  92(35.1)
便秘
  61(23.3)
  3 (1.1)
下痢-人工肛門のない患者
  69(26.3)
11 (4.2)
悪心
145(55.3)
  5 (1.9)
口内炎/咽頭炎
  41(15.6)
  3 (1.1)
  1 (0.4)
嘔吐
  87(33.2)
  7 (2.7)
  1 (0.4)
消化器-その他
  43(16.4)
  2 (0.8)
好中球減少を伴わない感染
  30(11.5)
  6 (2.3)
筋骨格系-その他
  27(10.3)
  3 (1.1)
不眠症
  75(28.6)
  4 (1.5)
気分変動-不安、興奮
  33(12.6)
  2 (0.8)
気分変動-鬱
  74(28.2)
  2 (0.8)
  1 (0.4)
神経障害-運動性
  47(17.9)
  8 (3.1)
  1 (0.4)
神経障害-知覚性
174(66.4)
14 (5.3)
  1 (0.4)
腹痛又は差し込み
  44(16.8)
  5 (1.9)
関節痛
  81(30.9)
  7 (2.7)
骨痛
  81(30.9)
17 (6.5)
胸痛
  23 (8.8)
  3 (1.1)
頭痛
  53(20.2)
  2 (0.8)
筋痛
105(40.1)
15 (5.7)
疼痛-その他
  94(35.9)
12 (4.6)
咳
  78(29.8)
  1 (0.4)
呼吸困難
102(38.9)
18 (6.9)
肺-その他
  43(16.4)
  4 (1.5)
  1 (0.4)
神経学
疼痛
  2 (0.8)
  1 (0.4)
肺
項目はNCI-CTC Version 2.0
(NCI 1998)
*:中等度及び重度の脱毛をそれぞれGrade3及びGrade4とした。
72
  7 (2.7)
臨床成績 【副作用】
手術不能・再発乳癌承認時の海外臨床試験(第Ⅲ相)の本剤及びパクリタキセル併用時に認められた有害事象
(臨床検査値異常変動)発現頻度一覧表(評価例数:262例)
発現例数(%)
臨床検査項目
全Grade
Grade3
Grade4
ヘモグロビン
(Hgb)
181(69.1)
16 (6.1)
  3 (1.1)
白血球
  56(21.4)
27(10.3)
  3 (1.1)
リンパ球減少
  13 (5.0)
  5 (1.9)
好中球/顆粒球
182(69.5)
81(30.9)
46(17.6)
血小板
  68(26.0)
15 (5.7)
  1 (0.4)
アルカリホスファターゼ
  13 (5.0)
  1 (0.4)
ビリルビン
   3 (1.1)
  1 (0.4)
GGT
   4 (1.5)
  1 (0.4)
SGOT(AST)
  41(15.6)
  7 (2.7)
SGPT(ALT)
  47(17.9)
14 (5.3)
血液系
肝胆系
  1 (0.4)
代謝
高カルシウム血症
   5 (1.9)
高コレステロール血症
   5 (1.9)
  1 (0.4)
高血糖
  17 (6.5)
  8 (3.1)
高カリウム血症
   5 (1.9)
  1 (0.4)
低カルシウム血症
   5 (1.9)
  1 (0.4)
低カリウム血症
   7 (2.7)
  2 (0.8)
低マグネシウム血症
   1 (0.4)
低ナトリウム血症
   2 (0.8)
  2 (0.8)
  1 (0.4)
  1 (0.4)
ALT=アラニンアミノ基転移酵素 AST=アスパラギン酸アミノ基転移酵素
GGT=γ-グルタミルトランスペプチダーゼ SGOT=血清グルタミン・オキサロ酢酸トランスアミナーゼ
SGPT=血清グルタミン・ピルビン酸トランスアミナーゼ
項目はNCI-CTC Version 2.0
(NCI 1998)
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤単剤投与時に認められた副作用発現頻度一覧表
項 目
感染症および
寄生虫症
代謝および
栄養障害
精神障害
神経系障害
感染
蜂巣炎
食欲不振
食欲減退
高カルシウム血症
不眠症
頭痛
浮動性めまい
味覚異常
感覚鈍麻
傾眠
体位性めまい
知覚過敏
神経毒性
感覚障害
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
  1
  2
28
  3
  1
  3
19
  5
  5
  3
  2
  1
  1
  1
  1
  1.6
  3.2
45.2
  4.8
  1.6
  4.8
30.6
  8.1
  8.1
  4.8
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
1
21
  3
  1
  2
15
  5
  5
  3
  1
  1
  1
  1
  1
Grade別発現例数
2
3
4
  1
  2
  6
  1
5
Grade3以上
の発現率(%)
1.6
1.6
  1
  4
  1
(続く)
73
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤単剤投与時に認められた副作用発現頻度一覧表(続き)
項 目
眼障害
耳および
迷路障害
心臓障害
血管障害
呼吸器、胸郭
および
縦隔障害
胃腸障害
眼充血
眼瞼炎
複視
流涙増加
光視症
涙道の炎症
耳鳴
回転性めまい
動悸
レイノー現象
四肢壊死
血管障害
血管炎
ほてり
潮紅
静脈炎
急性呼吸不全
喘鳴
咳嗽
咽喉頭疼痛
胸水
呼吸困難
鼻出血
鼻閉
鼻漏
悪心
嘔吐
便秘
口内炎
下痢
上腹部痛
胃不快感
歯肉炎
腹痛
齲歯
口内乾燥
消化不良
痔核
口唇腫脹
食道痛
口腔内不快感
歯冠周囲炎
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
  2
  1
  1
  1
  1
  1
  2
  2
  1
  1
  1
24
  3
  2
  1
  1
  1
  1
  5
  4
  2
  1
  1
  1
  1
28
19
14
10
  8
  3
  3
  2
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  3.2
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
38.7
  4.8
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  8.1
  6.5
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
45.2
30.6
22.6
16.1
12.9
  4.8
  4.8
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
1
  2
Grade別発現例数
2
3
4
5
Grade3以上
の発現率(%)
  1
 
 
 
 
1
1
1
1
  2
  2
  1
  1
  1
24
  2
  2
  1
1.6
1.6
  1
  1
  1
  1
  5
  4
  2
  1
  1
  1
  1
23
15
13
10
  8
  3
  2
  2
  1
  1
  1
  1
1.6
1.6
  5
  4
  1
  1
  1
 
 
 
 
1
1
1
1
(続く)
74
臨床成績 【副作用】
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤単剤投与時に認められた副作用発現頻度一覧表(続き)
項 目
皮膚および
皮下組織障害
筋骨格系および
結合組織障害
腎および
尿路障害
生殖系および
乳房の異常
全身の異常
および
投与局所の異常
発疹
脱毛症
湿疹
そう痒症
色素沈着障害
皮膚嚢腫
紅斑
紅色汗疹
爪の障害
手掌・足底発赤知覚不全症候群
丘疹
皮膚剥脱
蕁麻疹
中毒性皮疹
四肢痛
背部痛
筋骨格硬直
関節痛
筋痛
筋骨格痛
頚部痛
顎痛
蛋白尿
着色尿
乳房痛
性器出血
倦怠感
発熱
疲労
注射部位反応
悪寒
末梢性浮腫
局所腫脹
疼痛
無力症
胸痛
顔面浮腫
注射部位内出血
浮腫
末梢冷感
腫脹
圧痛
傷害、中毒および
創合併症
処置合併症
静脈カテーテル留置
外科および
内科処置
中心静脈カテーテル除去
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
62
17
  7
  6
  4
  2
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  9
  7
  7
  4
  3
  2
  2
  2
  2
  1
  1
  1
27
13
14
  5
  3
  3
  2
  2
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
27.4
11.3
  9.7
  6.5
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
14.5
11.3
11.3
  6.5
  4.8
  3.2
  3.2
  3.2
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
43.5
21.0
22.6
  8.1
  4.8
  4.8
  3.2
  3.2
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
  1.6
62
  1
  1.6
62
62
  1
  1
  1.6
  1.6
1
  9
  6
  4
  4
  2
  1
  1
  1
  1
  1
  1
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
7
6
7
4
3
2
2
2
1
1
1
24
  9
13
  4
  3
  3
  2
  2
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
  1
Grade別発現例数
2
3
4
  8
  1
  2
 
 
 
 
 
1
1
1
1
1
Grade3以上
の発現率(%)
  1
1.6
  1
  1
1.6
1.6
  1
 
 
 
 
 
1
2
3
1
1
  1
  1
  1
MedDRA/J ver.10.0
GradeはCTCAE
(有害事象共通用語規準)V3.0 日本語訳JCOG/JSCO版に従って判定。
75
5
手術不能・再発乳癌承認時の国内臨床試験(第Ⅱ相)の本剤単剤投与時に認められた臨床検査値異常変動発現頻
度一覧表
Grade別発現例数
評価
例数
発現
例数
発現率
(%)
1
2
3
4
好中球数減少
62
59
95.2
  5
18
28
8
白血球数減少
62
55
88.7
  3
28
24
38.7
アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加
62
42
67.7
21
14
  7
11.3
リンパ球数減少
62
20
32.3
  6
11
  3
  4.8
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加
62
35
56.5
22
12
  1
  1.6
項 目
5
Grade3以上
の発現率(%)
58.1
62
13
21.0
11
  1
  1
  1.6
62
10
16.1
  6
  3
  1
  1.6
血中乳酸脱水素酵素増加
62
  8
12.9
  7
  1
  1.6
ヘモグロビン減少
62
44
71.0
26
18
血小板数減少
62
41
66.1
34
  7
赤血球数減少
62
21
33.9
19
  2
ヘマトクリット減少
62
12
19.4
12
尿中血陽性
62
11
17.7
10
血中アルブミン減少
62
10
16.1
10
尿中蛋白陽性
62
  9
14.5
  5
総蛋白減少
62
  7
11.3
  7
血小板数増加
62
  7
11.3
  4
  3
  2
臨床検査
血中アルカリホスファターゼ増加
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加
体重減少
62
  5
  8.1
  3
血中クロール増加
62
  4
  6.5
  4
ロイシンアミノペプチダーゼ上昇
62
  4
  6.5
  4
血中カルシウム減少
62
  3
  4.8
  2
血中尿素増加
62
  3
  4.8
  3
体重増加
62
  3
  4.8
  1
白血球数増加
62
  3
  4.8
  3
尿中白血球陽性
62
  3
  4.8
  3
血中カリウム減少
62
  2
  3.2
  2
血中カリウム増加
62
  2
  3.2
  1
血圧上昇
62
  2
  3.2
  2
血中ナトリウム増加
62
  2
  3.2
  2
血中尿素減少
62
  2
  3.2
  2
尿中ウロビリン陽性
62
  2
  3.2
  2
血中ビリルビン増加
62
  1
  1.6
  1
血中カルシウム増加
62
  1
  1.6
  1
血中クロール減少
62
  1
  1.6
  1
血中クレアチニン増加
62
  1
  1.6
  1
体温低下
62
  1
  1.6
C-反応性蛋白増加
62
  1
  1.6
尿中ブドウ糖陽性
62
  1
  1.6
好中球数増加
62
  1
  1.6
  1
  4
  1
  2
  1
  1
  1
  1
  1
MedDRA/J ver.10.0
GradeはCTCAE
(有害事象共通用語規準)V3.0 日本語訳JCOG/JSCO版に従って判定。
76
臨床成績 【副作用】
〈主な副作用の注意とその対策〉
骨髄抑制
ジェムザールの用量規制因子となる骨髄抑制(白血球減少、好中球減少、血小板減少)
について、前期・後期第Ⅱ
相試験で本剤を投与した肺癌例204例を対象に、発現率及び4コース目までの発現と回復状況を検討しました。
その結果を以下に示します。
白血球減少
白血球減少は204例中139例
(68.1%)
に発現し、Grade3以上
(2000/μL未満)の症例は22例
(10.8%)
でした。なお、発現例における最低値到達までの期間の中央値は14~20日、最低値からの回復期間の中央値は
7~10日でした。
1コース:週1回3回連続投与後1週間休薬 [ ]内:最小値-最大値
症例数
発現 例数
(発現率)
1
204
131
(64.2%)
2
162
3
4
コース
白血球数の中央値(/μL)
最低値までの
期間の中央値
最低値からの
回復*2期間の中央値
6700
2800
[4200-23800] [700-3900]
17日
[3-31]
7日
[1-42]
83
(51.2%)
5400
3000
[2700-12300] [1620-3900]
16日
[2-24]
7日
[1-96]
71
45
(63.4%)
5400
3100
[3600-9140] [1500-3910]
20日
[4-28]
7日
[1-29]
32
26
(81.3%)
5400
2855
[3300-8000] [2000-3950]
14日
[6-42]
10日
[1-28]
*1
コース前値
最低値
*1:白血球数4000/μL未満
*2:白血球数4000/μL以上又は投与前値のいずれか低い値に回復した時とする。ただし、いずれにも該当しない場合には次コース投与直
前で回復とみなす。また、次コース投与直前値及び最終コースの最終値が最低値の場合は回復期間の集計から除外。
特に注意すべき症例 投
与前の白血球数が6000/μL未満の症例ではGrade3以上の白血球減少の発現率が
高い傾向が認められています。
好中球減少
好中球減少は204例中201例で検査され、135例(67.2%)
に発現し、Grade3
(1000/μL未満)以上の症
例は58例(28.9%)
でした。なお、発現例における最低値到達までの期間の中央値は14~20日、最低値からの
回復期間の中央値は7~8日でした。
1コース:週1回3回連続投与後1週間休薬 [ ]内:最小値-最大値
コース
症例数
発現 例数
(発現率)
1
204
128
(62.7%)
2
162
3
4
好中球数の中央値(/μL)
最低値までの
期間の中央値
最低値からの
回復*2期間の中央値
4060
1202
[1872-21182] [49-1989]
19日
[3-31]
7日
[1-24]
69
(42.6%)
2976
1280
[1102-10209] [529-1992]
14日
[2-45]
7日
[1-96]
71
31
(43.7%)
2980
1348
[1488-6919] [486-1972]
20日
[6-40]
7日
[1-19]
32
22
(68.8%)
2845
1207
[1452-5112] [437-1937]
14日
[7-60]
8日
[1-21]
*1
コース前値
最低値
*1:好中球数2000/μL未満
*2:好中球数2000/μL以上又は投与前値のいずれか低い値に回復した時とする。ただし、いずれにも該当しない場合には次コース投与直
前で回復とみなす。また、次コース投与直前値及び最終コースの最終値が最低値の場合は回復期間の集計から除外。
特に注意すべき症例 投
与前の好中球数が3000/μL未満の症例ではGrade3以上の好中球減少の発現率が
高い傾向が認められています。
77
血小板減少
血小板減少は204例中54例(26.5%)
に発現し、Grade3以上(5万/μL未満)の症例は8例(3.9%)
でした。
なお、発現例における最低値到達までの期間の中央値は14~17日、最低値からの回復期間の中央値は7~9日
でした。
1コース:週1回3回連続投与後1週間休薬 [ ]内:最小値-最大値
血小板数の中央値(万/μL)
コース
症例数
発現 例数
(発現率)
コース前値
最低値
最低値までの
期間の中央値
最低値からの
回復*2期間の中央値
1
204
42
(20.6%)
22.7
[10.0-51.8]
7
[1.2-9.9]
14日
[7-50]
7日
[2-13]
2
162
18
(11.1%)
18.8
[6.7-60.6]
8.8
[3.4-9.9]
14日
[6-35]
7日
[2-14]
3
71
9
(12.7%)
30.3
[15.6-51.5]
8.3
[6.3-9.7]
16日
[14-21]
7日
[2-10]
4
32
4
(12.5%)
41.9
[17.9-58.9]
9.1
[8.1-9.7]
17日
[10-21]
9日
[3-17]
*1
*1:血小板数10万/μL未満
*2:血小板数10万/μL以上又は投与前値のいずれか低い値に回復した時とする。ただし、いずれにも該当しない場合には次コース投与直前
で回復とみなす。また、次コース投与直前値及び最終コースの最終値が最低値の場合は回復期間の集計から除外。
骨髄抑制の対策
投与に際しては血液学的検査を頻回に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行って
ください。投与当日の白血球数が2000/μL未満又は血小板数が7万/μL未満であれば、骨髄機能が回復す
るまで投与を延期してください。また、前治療により、骨髄機能が低下している患者では、骨髄抑制が強くあら
われることがあるので、
これらの患者では投与量を適宜減量し、臨床検査値に十分ご注意ください。
78
薬物動態
薬物動態 吸収
2コンパートメントモデル薬物動態解析16)
膵癌患者11例にジェムザール1回1000mg/m2を30分間かけて点滴静注し、高速液体クロマトグラフ
(HPLC)法にて未変化体(ゲムシタビン)の血漿中濃度を測定したところ、消失速度は速やかでその平均消失半
減期(T1/2β)
は18.9分でした。このときの血漿中ゲムシタビン濃度の推移と得られた薬物動態パラメータを以下
に示します。
膵癌患者11例における血漿中ゲムシタビン濃度の推移(1000mg/m2 30分間点滴静注時)
(ng/mL)10 5
血漿中ゲムシタビン濃度
10
症例番号
4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
10 3
10 2
10
0
0.5
1
1.5
2
2.5
投与開始後時間
3
(hr)
2コンパートメントモデル解析によるゲムシタビンの薬物動態パラメータ(1000mg/m2 30分間点滴静注時;n=11)
パラメータ
平均±標準偏差
血漿クリアランス
(CL)
85.6±17.8 L/hr/m2
中心コンパートメントの分布容積(V1)
8.80±7.49 L/m2
末梢コンパートメントの分布容積(V2)
6.95±2.26 L/m2
コンパートメント間分布クリアランス
(Q)
22.3±11.1 L/hr/m2
α相の消失半減期(t1/2α)
3.1±2.0 min
β相の消失半減期(t1/2β)
18.9±4.0 min
最高血漿中濃度(Cmax)
21865±4165 ng/mL
血漿中濃度時間下面積(AUC0~∞)
12100±2227 ng・hr/mL
79
Population Pharmacokinetics解析17)
非小細胞肺癌患者45例にジェムザール1回800~1250mg/m2 注)を、30分間かけて点滴静注し、未変化体
(ゲムシタビン)及びそのウラシル体代謝物(2’
-デオキシ-2’
, 2’
-ジフルオロウリジン:dFdU)の血漿中濃度を
HPLC法により測定し、
ジェムザールの薬物動態に対する症例背景(性・年齢など)の影響をNONMEM法を用い
たpopulation pharmacokinetics解析により検討しました。
その結果得られた未変化体の薬物動態パラメータを以下に示します。
Population Pharmacokinetics解析によるゲムシタビンの薬物動態パラメータ
(800~1250mg/m2 30分間点滴静注時;n=45)
母集団平均値の推定値
パラメータ
〈 〉
:個体間変動、
( )
:範囲
血漿クリアランス
(CL)
187L/hr 〈35.5%〉
中心コンパートメントの分布容積(V1)
17.1L 〈69.4%〉
末梢コンパートメントの分布容積(V2)
26.8L コンパートメント間分布クリアランス
(Q)
消失半減期(t1/2)
定常状態における分布容積(Vss)
男性 97.5L/hr 女性 33.2L/hr 男性
19.7min (15~27min)
女性
40.9min (36~44min)
46.1L (36.2~85.3L)
ゲムシタビンの血漿クリアランスは非常に大きく、187L/hrでした。また、消失半減期は男性で19.7分、女性
で40.9分と男性よりも女性で長い値を示しましたが、いずれも1時間以内と速やかであることから、男女間の差
は
は臨床的に有意ではないと考えられました。なお、1000mg/m2投与時の血漿中濃度時間下面積(AUC0~∞)
血漿クリアランス
(CL)
から、5347.6ng・hr/mLと算出されました。
【参考】Population Pharmacokinetics解析(外国人データ)17)
国内での成績とほぼ同様の結果が得られましたが、外国における試験では血漿クリアランスが年齢によって影
響を受けることが示唆されており、高齢者では血漿クリアランスが減少する傾向が認められました。
しかしなが
ら、血漿クリアランスは比較的高値のため、投与量を減じる必要はないものと考えられました。
【ジェムザールの非小細胞肺癌に対する用法・用量】
1.非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌、
がん化学療法後に増悪した卵巣癌、再発又は難治性の悪性リンパ腫の場合
通常、成人にはゲムシタビンとして1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを
1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
【パクリタキセルの乳癌に対する用法・用量】
乳癌にはA法又はB法を使用する。
2
を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これ
A法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回210mg/m(体表面積)
を1クールとして、投与を繰り返す。
2
B法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回100mg/m(体表面積)
を1時間かけて点滴静注し、週1回投与を6週連続し、少なく
とも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
80
薬物動態
乳癌患者におけるパクリタキセルとの併用(外国人データ)18)
外国で実施した臨床試験において、転移性乳癌患者に本剤とパクリタキセルを併用投与(3週を1コースとし
て、1日目に本剤1250mg/m2及びパクリタキセル175mg/m2を投与し、8日目に本剤1250mg/m2を投与)
しました。本剤とパクリタキセルを併用投与した1日目及び本剤を単独投与した8日目における本剤の未変化体の
薬物動態パラメータを以下に示します。
パラメータ
併用投与(1日目)
(n=15)
単独投与(8日目)
(n=13)
33500±18700(ng/mL)
30300±10200(ng/mL)
血漿中濃度時間下面積(AUC0-∞)
19100±9300(ng・hr/mL)
16900±4670(ng・hr/mL)
血漿クリアランス
(CL)
76.4±27.3(L/hr/m )
78.7±19.9(L/hr/m2)
定常状態における分布容積(VSS)
17.4±9.44
(L/m2)
15.9±10.1
(L/m2)
消失半減期(t1/2)
0.276±0.0531(hr)
0.318±0.103
(hr)
最高血漿中濃度(Cmax)
*
*
2
平均±標準偏差
*:投与量を1250mg/m2に基準化した値。
分 布19)
1.体組織への分布(マウス、ラット)
14C-ゲムシタビン塩酸塩をマウス又はラットに単回静脈内投与した後の臓器・組織内放射能分布では腎臓への
移行が高くみられましたが、各組織に移行した放射能の消失は速やかであり、特定の組織に残留する傾向はあまり
認められませんでした。
反復投与後の臓器・組織内放射能分布も単回投与と同様で、反復投与による影響は認められませんでした。
2.血漿蛋白との結合(ラット、イヌ)
14C-ゲムシタビン塩酸塩10mg/kgを雄ラット及び雄イヌに単回静脈内投与し、各動物におけるin vivoでの血
漿蛋白結合率を経時的に測定したところ、
ゲムシタビン塩酸塩の血漿蛋白との親和性は低く、投与5分後から8時
間後までの血漿蛋白結合率は、雄ラットでは10~16%、雄イヌでは1~7%でした。また、
これらの結合は可逆的
でした。
3.血球への分配(ラット、イヌ)
雄又は雌ラットもしくは雄イヌに14C-ゲムシタビン塩酸塩10mg/kgを単回静脈内投与し、各動物における血球
中放射能移行率を経時的に測定しました。ラットに単回静脈内投与後の血球移行率に経時的変化はあまり認めら
れず、50%未満と比較的低い値を示しましたが、
イヌでは経時的に上昇する傾向を示しました。
4.胎盤・胎児への移行性(ラット)
妊娠12日目及び18日目のラットに14C-ゲムシタビン塩酸塩10mg/kgを単回静脈内投与し、
全身オートラジオ
グラムの作製及び臓器・組織内放射能濃度の測定を行ったところ、
放射能の胎盤通過は速やかであり、
胎児に移行
した放射能の消失は緩慢であり、
妊娠18日目において投与後48時間では全例の胎児の死亡が確認されました。
5.乳汁中の移行性(ラット)
分娩後10日目の哺育中ラットに14C-ゲムシタビン塩酸塩10mg/kgを単回静脈内投与し、乳汁中放射能濃度
を経時的に測定したところ、放射能の乳汁移行性は低く、消失も速やかでした。
81
代 謝20)
本剤はシチジンデアミナーゼによりそのほとんどが活性を持たないウラシル体(dFdU)
に速やかに代謝されま
した。尿中には、未変化体及びdFdUとして排泄されました。なお、血漿クリアランスの大きさから、
シチジンデアミ
ナーゼが存在する肝、血液その他多くの組織において代謝されると考えられます。
排 泄21)
進行性癌患者5例に14C-ゲムシタビン塩酸塩1000mg/m2を単回点滴静注した後、7日間採取した尿・糞中か
ら92~98%の放射能が回収されました。回収された放射能の99%以上が尿中に排泄されたことから、
ゲムシタ
ビンの主な排泄経路は尿中と考えられました。尿中総放射能活性は未変化体(ゲムシタビン)の放射活性とウラシ
ル体代謝物(dFdU)の放射活性の和に等しく、尿中未変化体量は投与量の10%未満でした。
【参考】21)
膵癌患者11例にジェムザール1000mg/m2を30分間かけて点滴静注し、投与開始後24時間まで採尿を
実施し、高速液体クロマトグラフ
(HPLC)法にて未変化体(ゲムシタビン)及びそのウラシル体代謝物
(dFdU)の尿中排泄量を測定しました。投与開始後24時間までのゲムシタビン及びdFdUの尿中累積排泄率
はそれぞれ投与量の5.3%及び56.3%でした。また、
ゲムシタビンの腎クリアランスは4.75±2.50
L/hr/m2で、血漿クリアランスに対する腎排泄の寄与はきわめて小さいものでした。投与開始後24時間まで
のゲムシタビン及びdFdUの平均尿中排泄量の推移を以下に示します。
日本人膵癌患者11例におけるゲムシタビン及びそのウラシル体代謝物の平均尿中排泄量
の推移(1000mg/m2 30分間点滴静注時)
(mg)600
未変化体(ゲムシタビン)
500
ウラシル体代謝物(dFdU)
尿中排泄量
400
300
200
100
0
0-2.5
2.5-6
投与開始後時間
82
6-24
(hr)
薬物動態
83
薬効薬理 薬効薬理
1.作用機序と代謝特性
経路
N
O
O
HOH2C
H
N
H
H
OH
H
NH2
(再生経路)
NH2
N
dCyd
(デオキシシチジン)
H
H
N
H
F
OH
F
ジェムザール
(ゲムシタビン;dFdC)Cyd/dCyd
dFdU
デアミナーゼ
H
dCyd
キナーゼ
dCyd
キナーゼ
A
不活性化
抑 制
促 進
B2
経路
(新生経路)
中間体
CDP
O
O
HOH2C
リボヌクレオチド
レダクターゼ
dCMP
dFdCMP
dCDP
dFdCDP
dCMP
デアミナーゼ
dFdUMP
抑 制
B3
抑 制
B1
dFdCTP
dCTP
細胞内濃度
上昇・持続
濃度低下
促 進
抑 制
<略号>
dCyd
Cyd/dCyd
dCMP
dCDP
dCTP
CDP
CTP
dFdCMP
dFdCDP
dFdCTP
dFdU
dFdUMP
ジェムザール
DNA
ポリメラーゼ
DNA鎖への取り込み
:デオキシシチジン
:シチジン/デオキシシチジン
:デオキシシチジン一リン酸
:デオキシシチジンニリン酸
:デオキシシチジン三リン酸
:シチジンニリン酸
:シチジン三リン酸
:ゲムシタビン一リン酸
:ゲムシタビンニリン酸
:ゲムシタビン三リン酸
:デオキシジフルオロウリジン
:デオキシジフルオロウリジン一リン酸
C
ジェムザールによるDNA鎖伸長停止:
ジェムザールが取り込まれた後に別のヌクレオチドが
1つ付加してDNA合成が停止。
DNA鎖伸長停止
(マスクされたDNA鎖終結)
アポトーシス
84
薬効薬理
ジェムザール
(ゲムシタビン;dFdC)
は、
デオキシシチジン
(dCyd)の糖鎖の2'位の水素をフッ素に置換したヌク
レオシド誘導体で、DNA合成が主に行われているS期に特異的な作用を示します。類似構造をもつシタラビン
(ara-C)
と同様に細胞内に取り込まれた後、三リン酸化物(dFdCTP)に代謝され、デオキシシチジン三リン酸
(dCTP)
と競合してDNA鎖に取り込まれ、DNAの合成を阻害します。このとき、
ジェムザールは以下のような作用
機序と代謝特性を有するため、強い抗腫瘍活性を有し、固形腫瘍に対しても強い抗腫瘍作用を示すと考えられて
います。
●活性代謝物へのリン酸化促進(前頁図 A )
ジェムザールは、
細胞内でdCydキナーゼによりリン酸化を受けやすく、
活性代謝物であるゲムシタビン二リン酸
22)
(dFdCDP)
、
ゲムシタビン三リン酸(dFdCTP)
に代謝されます 。
●「自己増強」により細胞内活性代謝物の濃度が上昇・維持
◆活性代謝物がリボヌクレオチドレダクターゼを阻害(前頁図 B1)
ジェムザールの活性代謝物dFdCDPは、正常なDNA合成経路のdCTP産生に関わるリボヌクレオチドレ
ダクターゼを抑制し、細胞内のdCTP濃度を低下させます23)。
◆dCTP濃度低下によりリン酸化が増強(前頁図 B2 )
dCydキナーゼはdCTPによる負の制御を受けているため、細胞内のdCTP濃度が低下するとdCydキ
ナーゼが活性化されてジェムザールのリン酸化が促進されます。また、dFdCTPはdCTPとは異なり
dFdCTP濃度が上昇してもdCydキナーゼは抑制されないため、細胞内のdFdCTP濃度は経時的・濃度
依存的に上昇します24)。
◆不活性化酵素を抑制(前頁図 B3 )
ジェムザールは、Cyd/dCydデアミナーゼやdCMPデアミナーゼによる脱アミノ化を受けて不活性化さ
れます。このとき、dCTPはdCMPデアミナーゼのco-factorとして働いているため、細胞内のdCTP濃
度が低下するとdCMPデアミナーゼが抑制されます。
しかも、dFdCTP自体にもdCMPデアミナーゼ抑
制作用があり、
この2つのメカニズムにより、
ジェムザールの不活性化が抑制されます25)。
ジェムザールは、B1~ B3 の「自己増強;self-potentiation」
と呼ばれる代謝特性により細胞内のdFdCTP濃
度の上昇が長時間維持されるため、dCTPとの競合過程でDNA鎖へ有利に取り込まれ、その結果、強い抗腫
瘍作用を示すと考えられます22)。
●「マスクされたDNA鎖終結」によりDNA合成を不可逆的に阻害(前頁図 C )
ジェムザールによるDNA鎖の伸長停止は、dFdCTPがDNA鎖へ取り込まれた後、別のヌクレオチドが1つ
付加されたときに起こります26)。通常、DNA鎖に誤って取り込まれたヌクレオチドはDNAポリメラーゼにより
除去されてDNA鎖が修復されますが、
ジェムザールは、上述の作用によりDNA鎖内に閉じ込められるため、
27)
DNAポリメラーゼにより除去されず 、DNA鎖の修復が阻止されます
(これを「マスクされたDNA鎖終結;
masked chain termination」
といいます)。この結果、
アポトーシスが誘導されます28)。
※dFdCTPはDNA鎖ではdFdCMPとして存在
85
2.作用機序と代謝特性に関する試験
◆dCydキナーゼによる活性代謝物へのリン酸化反応(基質効率;in vitro)22)
CHO細胞野生株より調製したdCydキナーゼを用
いてdCyd、ジェムザール
(ゲムシタビン;dFdC)及び
ara-Cのリン酸化反応についての速度論的解析を行っ
た結果、
ジェムザールはdCydとほぼ同じ基質効率を示
しました。
dCyd キナーゼによるリン酸化反応の速度論的パラメータ
基 質
dCyd
基質効率
Km*
Vmax
(μM) (pmol/mg/min)(Vmax/Km)
1.4±0.2
24.5
17.6
dFdC
3.6±0.5
(ゲムシタビン)
54.7
15.3
26.9
  3.1
ara-C
8.8±1.6
*平均±SD
◆活性代謝物(dFdCDP)のリボヌクレオチドレダクターゼ抑制作用(in vitro)23)
(%)
100
リボヌクレオチドレダクターゼ抑制作用
dFdCTP
(ゲムシタビン三リン酸)
80
リボヌクレオチド
レダクターゼ活性
CCRF-CEM細胞より部分精製したリボヌクレオチド
レダクターゼの酵素活性に対するゲムシタビン二リン酸
(dFdCDP)
、
ゲムシタビン三リン酸
(dFdCTP)
の抑制
作用を検討した結果、
dFdCDPは濃度依存的にリボヌ
クレオチドレダクターゼを抑制し、
そのIC50値は約4μM
(1.7μg/mL)
でした。
dFdCTPの抑制作用はdFdCDP
に比べ弱いことが示されました。
60
dFdCDP
(ゲムシタビンニリン酸)
40
20
0
0
5
10
15
dFdCTP又はdFdCDP濃度
20
(μM)
◆活性代謝物(dFdCTP)のdCMPデアミナーゼ抑制作用(in vitro)25)
CCRF-CEM細胞より部分精製したdCMPデアミナ
ーゼ の 酵 素 活 性 に 対 す るゲ ムシタビ ン 三リン 酸
(dFdCTP)の抑制作用を検討した結果、dFdCTPは
高濃度においてdCMPデアミナーゼを抑制し、その
IC50値は0.46mM
(0.23mg/mL)
でした。
(%)
100
dCMPデアミナーゼ抑制作用
n=3 平均±SE
80
デアミナーゼ活性
dCMP
dFdCTP
(ゲムシタビン三リン酸)
60
40
20
0
86
0
0.5
dFdCTP濃度
1.0
(mM)
薬効薬理
◆活性代謝物(dFdCTP)の細胞内蓄積と細胞内濃度の維持(in vitro)22)
ジェムザール及びara-Cの三リン酸化物(dFdCTP、
ara-CTP)の細胞内蓄積を、各濃度の薬剤で処理した
CHO細胞を用いて検討A)した結果、下図に示すようにジェムザールでは、処理した濃度に比例して細胞内の
dFdCTP濃度が上昇しました。また、dFdCTP及びara-CTPの細胞内からの消失動態の検討B)では、右図に示す
ようにdFdCTPの細胞内消失は二相性であり、t1/2αは3.9時間、t1/2βは16時間以上でした。
(μM)
1500
三リン酸化物の細胞内蓄積量と薬剤濃度A)
細胞内三リン酸濃度
細胞内三リン酸濃度
1250
dFdCTP
(ゲムシタビン三リン酸)
1000
750
500
ara-CTP
(ara-C三リン酸)
250
0
0
3
10
30
dFdC又はara-C濃度
三リン酸化物の消失動態B)
(μM)
300
dFdCTP
(ゲムシタビン三リン酸)
100
30
10
ara-CTP
(ara-C三リン酸)
3
0
100
(μM)
各点は2回の分析の平均値
0
2
6
(hr)
4
経過時間
方法:A)CHO細胞に1∼100 Mのジェムザール
(dFdC)
又はara-Cを加え4時間インキュベート。
B)CHO細胞にdFdC10 M又はara-C300 Mを加え4時間インキュベートし、薬剤除去後の三リン酸化物の細胞内濃度を測定。
◆DNAポリメラーゼによるDNA修復作用の阻止(in vitro)27)
方法:CCRF-CEM 細胞から精製したDNAポリメラーゼεにジェム
ザール又はara-Cの一リン酸化物を含むプライマーあるいは
正常プライマーを加え0、5、10、20、40分間インキュベート。
除去率は、核バンド中の放射線量を測定し、総インプット放射線
量に対する百分率で表した。
(%)
100
DNAからの一リン酸化物の除去率
正常プライマー
80
除去率
ジェムザール又はara-Cの一リン酸化物
(dFdCMP、
ara-CMP)
を3'位末端に含むDNA及びdFdCMPを3'
位末端前位に含むDNAを作成し、
DNAポリメラーゼε
によるそれぞれの一リン酸化物の除去率を検討しまし
た。その結果、
dFdCMPはほとんど除去されませんで
した。
dFdCMPを3'位末端前位に
含むプライマー
ara-CMPを3'位末端に
含むプライマー
60
40
dFdCMPを3'位末端に
含むプライマー
20
0
0
10
20
30
培養時間
40
(min)
◆アポトーシスの誘導(in vitro)28)
CCRF-CEM細胞にジェムザール
(dFdC)
を加え、4
時間処理した後の形態変化を観察しました。dFdC処
置により細胞の萎縮、核の濃縮、核のフラグメンテー
ション、アポトーシスによる細胞の破裂の残骸など、ア
ポトーシス進行中の細胞にみられる典型的な形態変化
が観察されました。
細胞の形態変化
コントロール
87
ジェムザール
dFdC1µM(0.3µg/mL)
処理4時間後
3.抗腫瘍活性
◆培養細胞株に対する増殖抑制作用(in vitro)
非小細胞肺癌 第1継代ヒト非小細胞肺癌細胞にジェムザール8〜800μMを1時間処理し、
コロニー形成を調べました。ジェ
ムザールは、第1継代ヒト非小細胞肺癌細胞のコロニー形成に対し、濃度依存的に殺細胞作用を示しました。
第1継代ヒト非小細胞肺癌細胞のコロニー形成に対する抑制作用29)
細胞タイプ
ジェムザールの投与量(μM)
抑制された試料数/評価可能な試料数
   8
0/12
  80
0/12
800
4/12
非小細胞肺癌細胞
膵 癌 ヒト膵癌細胞株
(PANC-1)
をジェムザール処置後10日間培養し、
殺細胞作用を調べました。ジェムザールは、
ヒ
ト膵癌細胞株(PANC-1)
の増殖を抑制し、10nM以下のIC50値を示しました。
ヒト膵癌細胞株に対する増殖抑制作用30)
細胞タイプ
*
IC50(nM)
処理時間
ヒト膵癌細胞 PANC-1
2
10日間
*50%増殖抑制濃度
ヒト膵癌細胞株(MIA PaCa-2、PANC-1)
をジェムザール処置後72時間培養し、MTTアッセイにて殺細胞作
用を調べました。ジェムザールは、
ヒト膵癌細胞株(MIA PaCa-2、PANC-1)の増殖を抑制し、IC50値は以下のと
おりでした。
ヒト膵癌細胞株に対するジェムザール及びドキソルビシンの増殖抑制作用31)
細胞タイプ
ヒト膵癌細胞
*
IC50(μg/mL)
ジェムザール
ドキソルビシン
MIA PaCa-2
0.019±0.001
0.929±0.071
PANC-1
0.015±0.001
0.583±0.046
3回の実験値の平均±SE *50%増殖抑制濃度
胆道癌 ヒト胆道癌細胞株(胆嚢癌:TGBC2TKB、胆管癌:HuCCT1)
に各種抗癌剤を24時間処置した後、薬剤を除い
て更に72時 間 培 養してMTTアッセイにて殺 細 胞 作 用を調 べました。ジェムザ ールは、ヒト胆 道 癌 細 胞 株
(TGBC2TKB、
HuCCT1)の増殖を抑制し、IC50値は以下のとおりでした。
ヒト胆道癌細胞株に対するジェムザール及びドキソルビシンの増殖抑制作用32)
細胞タイプ
IC50(nM)*
ジェムザール
ドキソルビシン
ヒト胆嚢癌 TGBC2TKB
17
140
ヒト胆管癌 HuCCT1
14
  80
IC50値は、濃度と細胞生存率の関係をプロットした曲線から求めた。
88
*50%増殖抑制濃度
薬効薬理
尿路上皮癌 ヒト尿路上皮癌細胞株(尿管癌:639-V、腎盂癌:BFTC-909、膀胱癌:RT-4及びRT-112)にジェムザールを約
72時間処置し、MTTアッセイにて殺細胞作用を調べました。ジェムザールは、ヒト尿路上皮癌細胞(尿管癌:
639-V、
腎盂癌:BFTC-909、膀胱癌:RT-4及びRT-112)の増殖を抑制し、IC50値は6.9~21nMでした。
ヒト尿路上皮癌細胞株に対する増殖抑制作用33)
細胞タイプ
IC50(nM)
ヒト尿管癌 639-V
16
ヒト腎盂癌 BFTC-909
6.9
ヒト膀胱癌 RT-4
21
ヒト膀胱癌 RT-112
14
各濃度における細胞生存率(n=3)の平均値を濃度に対してプロットした曲線から最小二乗
法を用いて算出した。
乳 癌 ジェムザールは、
ヒト乳癌細胞aのコロニー形成に対し、濃度及び時間依存的に殺細胞作用を示しました。
ヒト乳癌細胞のコロニー形成に対する抑制作用34)
細胞タイプ
ヒト乳癌細胞a
本剤処理群bの処理時間
抑制された試料数/評価可能な試料数
1時間
5/5
21~28日間
6/11
a 患者から生検により採取した乳癌組織(原発巣及び転移巣)及び滲出液から調整した懸濁液中の乳癌細胞
b ジェムザールの投与量4μg/mL
89
◆各種抗癌剤に低感受性のヒト非小細胞肺癌に対する抗腫瘍作用(マウス)35) 非小細胞肺癌 各種抗癌剤に低感受性のヌードマウス移植ヒト肺癌H-74に対し、
ジェムザール、
シスプラチン、
ビンデシンを各
々最大耐用量*1又はその1/2用量*2を投与した結果、治療終了時及び治療終了4週後におけるジェムザールの腫
瘍増殖抑制率はいずれの投与量においても高い値を示しました。
ヌードマウス移植ヒト肺癌H-74に対する腫瘍増殖抑制率
(各群n=7)
腫瘍増殖抑制率 (%)
**
薬剤名
投与量
(mg/kg/回)
治療終了時(治療開始4週後)
休薬期間後(治療終了4週後)
ジェムザール
*1
100
50*2
75.0
59.9
51.2
36.4
シスプラチン
5*1
2.5*2
61.2
25.0
65.7
19.3
ビンデシン
3*1
1.5*2
42.0
25.2
28.6
15.8
また、
ジェムザールとシスプラチン又はビンデシンとの併用による抗腫瘍作用を各薬剤の最大耐用量の1/2用
量を併用して検討した結果、治療終了時及び治療終了4週後における増殖抑制率は、以下の値を示しました。
ヌードマウス移植ヒト肺癌H-74に対する腫瘍増殖抑制率(シスプラチン、
ビンデシンとの併用)
薬剤名
投与量
(mg/kg/回)
ジェムザール+
シスプラチン
ジェムザール+
ビンデシン
(各群n=7)
腫瘍増殖抑制率 (%)
**
治療終了時(治療開始4週後)
休薬期間後(治療終了4週後)
50
2.5
76.6
70.3
50
1.5
73.9
62.9
方法:BALB/nuヌードマウスに肺癌H-74を移植し、治療期間を4週間としてジェムザールは3~4日ごとに計8回静脈内投与、
シスプラチンは
7日ごと計4回腹腔内投与した。その後4週間の休薬期間をもうけた。治療終了時(治療開始4週後)及び休薬期間後(治療終了4週後)
に
腫瘍増殖抑制率を検討した。
(
**:腫瘍増殖抑制率%= 1-
)
治療群の平均腫瘍体積
×100
対照群の平均腫瘍体積
90
薬効薬理
◆各種抗癌剤に低感受性のヒト膵癌細胞株に対する抗腫瘍作用(マウス)31) 膵 癌 a
各種抗癌剤に低感受性のヌードマウス移植ヒト膵癌細胞株(MIA
PaCa-2、PANC-1)
に対し、
ジェムザール、
5-FU、
ドキソルビシンを各々最大耐用量*1又はその1/2用量*2、1/4用量*3を腹腔内投与し、抗腫瘍作用を検討
しました。
その結果、
ジェムザールはMIA PaCa-2及びPANC-1細胞株に対し、各々最大69%、76%の腫瘍増殖抑制率
を示しました。
ヌードマウス移植ヒト膵癌細胞株に対する腫瘍増殖抑制率
薬剤名
投与量(mg/kg/回)
ジェムザール
160.0*1
80.0*2
40.0*3
(各群n=10)
腫瘍増殖抑制率*(%)
MIA PaCa-2a
PANC-1a
※
+
(69)
-
+
(76)
+
(60)
-
5-FU
40.0*1
20.0*2
10.0*3
※
-
-
※
-
-
ドキソルビシン
15.0*1
7.5*2
※
-
※
-
※:群の20%以上が死亡
抗腫瘍効果は、腫瘍増殖抑制率(%)*により以下の4段階に分類した。
+++:95-100% ++:80-94% +:60-79% -:60%未満
方法:CD1nu/nuヌードマウスにヒト膵癌細胞株(MIA PaCa-2、
PANC-1)を移植して7日後から、ジェムザールは3日ごと計4回、5-FUは
1日1回、計10回、
ドキソルビシンは4日ごと計3回腹腔内投与し、腫瘍増殖抑制率を検討。
(
*:腫瘍増殖抑制率%= 1-
)
治療群の平均腫瘍体積
×100
対照群の平均腫瘍体積
◆異種移植ヒト胆道癌モデルにおける抗腫瘍作用(マウス)36) 胆道癌 ヒト胆道癌細胞(胆嚢癌:TGBC2TKB、胆管癌:HuCCT1)
を移植したBALB/cAJc1-nuヌードマウスにジェム
ザールの最大耐用量である100mg/kg/回とその半量にあたる50mg/kg/回を週2回、4週間(計8回)静脈内
投与し、抗腫瘍効果を検討しました。ジェムザールはTGBC2TKB及びHuCCT1細胞株に対し、それぞれ最大
53.3%、72.2%の腫瘍増殖抑制率を示しました。
ヌードマウス移植ヒト胆嚢癌及び胆管癌細胞株に対する腫瘍増殖抑制率
投与スケジュール
移植後
7、11、14、
18、21、25、28、
32日目
(各群n=9)
腫瘍増殖抑制率(%)
投与量(mg/kg/回)
静脈内投与
TGBC2TKB
HuCCT1
50
51.2
57.6
100*
53.3
72.2
*
:最大耐用量:死亡例が認められず、薬物投与前後の体重減少が20%を超えない用量の上限。
各群の平均腫瘍重量(9例/群)
から計算した。
91
◆異種移植ヒト尿路上皮癌モデルにおける抗腫瘍作用(マウス)37) 尿路上皮癌 ヒト尿路上皮癌細胞(尿管癌:639-V、腎盂癌:BFTC-909、膀胱癌:RT-112)
を移植したBALB/cAJc1-nuヌ
ードマウスにジェムザールの最大耐用量である100mg/kg/回とその半量にあたる50mg/kg/回を週2回、4週
間(計8回:639-Vの100mg/kg群では、投与期間中に全例の腫瘍が完全退縮したため7回)静脈内投与し、抗腫
瘍 効 果 を 検 討しました。ジェム ザ ール は639-V、
BFTC-909及 びRT-112細 胞 株 に 対し、そ れ ぞ れ 最 大
100.0%、
97.2%、86.6%の腫瘍増殖抑制率を示しました。
ヌードマウス移植尿路上皮癌に対するゲムシタビンの抗腫瘍効果(腫瘍増殖抑制率)
投与スケジュール
移植後
7、11、14、
18、21、25、28、
32日目
腫瘍増殖抑制率(%)
投与量(mg/kg/回)
静脈内投与
639-V
BFTC-909
RT-112
50
99.9
74.3
69.5
100*
100.0
97.2
86.6
*最大耐用量:死亡例が認められず、薬物投与前後の体重減少が20%を超えない用量の上限とした。
各群の平均腫瘍重量(9例/群)
から計算した。
◆異種移植ヒト乳癌モデルにおける抗腫瘍作用(マウス) 乳 癌 ヒト乳癌細胞(MX-1)
を移植したCD-1nu/nuヌードマウスに、
ジェムザールの最大耐用量である80mg/kgと
その半量にあたる40mg/kgを3日に1回合計4回腹腔内投与し、抗腫瘍効果を検討しました。ジェムザールは
MX-1に対して、40mg/kgで80%、80mg/kgで92%の腫瘍増殖抑制率を示しました。38)
また、
ヒト乳癌細胞(H-31、H-71)を移植したBALB/c系ヌードマウスに、
ジェムザール100mg/kgを週2回
合計8回静脈内投与し、抗腫瘍効果を検討しました。ジェムザールはH-31及びH-71に対して、それぞれ99%及
び92%の腫瘍増殖抑制率を示しました。39)
ヌードマウス移植ヒト乳癌細胞に対する腫瘍増殖抑制率
細胞タイプ
用量(投与スケジュール)
腫瘍増殖抑制率(%)
MX-1
40、80mg/kg
(3日に1回、計4回)
92a
H-31
100mg/kg
(週2回、計8回)
99b
H-71
100mg/kg
(週2回、計8回)
92b
a 80mg/kgの用量での結果を示した。n=10
b n=7
92
一般薬理試験及び毒性試験
一般薬理試験及び毒性試験 一般薬理試験
1.一般症状・中枢神経系に対する作用40)
マウスを用いた静脈内投与試験において、一般症状及び行動の検討では投与量10mg/kgで四肢の脱力が、
20~200mg/kgで発声の増加がみられましたが、いずれも用量依存性は認められませんでした。鎮痛作用の検
討では投与量20mg/kgで酢酸writhing回数の減少がみられました。体温の検討では投与量10~100mg/kg
で投与前値よりも下降しましたが、用量依存性は認められませんでした。この他、
自発運動量、麻酔作用、痙攣作用
に対する影響は認められませんでした。
2.自律神経及び平滑筋に対する作用40)
モルモット及びラットの平滑筋、心筋標本(モルモット回腸、
モルモット気管、
ラット子宮、
ラット輸精管、
ラット大動
-9
-8
-4
脈、
ラット心房、
ラット胃底)
を用いたin vitroの検討において、濃度10 あるいは10 ~10 Mの範囲でアゴニ
スト活性は認められませんでした。また、標準的アゴニスト
(アセチルコリン、
ヒスタミン、
セロトニン、
ブラジキニ
ン、
アンジオテンシンⅠ、
オキシトシン、
ノルエピネフリン、
イソプロテレノール、
カルバミルコリン)
による収縮等の反
応に対する影響は認められませんでした。
3.呼吸・循環器系に対する作用40)
麻酔イヌに0.15~1.5mg/kg静脈内投与した結果、投与量0.5mg/kgで平均肺動脈圧が低下しましたが、用
量反応関係は認められませんでした。また、投与量1.5mg/kgで1回心拍出量の軽度増加がみられました。この
他、心拍数、平均動脈圧、心拍出量、末梢血管抵抗、肺毛細血管入圧、心電図、呼吸数及び毎分呼吸流量、大腿動脈
血流量に対する影響は認められませんでした。
4.消化器系に対する作用40)
マウスを用いた炭末輸送試験において、20~200mg/kg静脈内投与で腸管内輸送に影響は認められません
でした。
5.水及び電解質代謝に対する作用40)
ラットに20~200mg/kg静脈内投与した結果、投与量43.1及び92.7mg/kgで血清クレアチニン濃度の軽
度低下が、
200mg/kgで尿pHの軽度低下が認められましたが、尿量、尿電解質、血清及び尿中クレアチニン、血
清及び尿浸透圧、
クレアチニンクリアランス、浸透圧クリアランスに対する影響は認められませんでした。
6.その他(溶血及び血清凝結作用)41)
イヌ及びサルの血液を用いたin vitroの検討において、溶血作用、血清凝結作用は認められませんでした。
93
毒性試験42)
1.単回投与毒性
マウス、
ラット及びイヌの単回静脈内投与試験の結果、
マウスでは500mg/kg
(1500mg/m2)の投与量にお
いて死亡例は認められませんでした。ラットの致死量はマウスに比べて低く、LD50値は236mg/kg(1416mg/
m2)
であり、
マウス、
ラットのげっ歯類に共通してみられた一般症状は後肢脱力、脱毛、体重増加量の減少でした。
イヌでは、3~24mg/kg
(60~480mg/m2)の投与で、異常便が散見された他には毒性症状は認められず、好
中球減少がみられましたが、回復性のある変化でした。
2.反復投与毒性
マウスの3ヵ月及び6ヵ月間腹腔内投与試験で、低用量連日又は高用量間欠投与した結果、3ヵ月連日投与群で
は赤血球減少、白血球減少がみられました。6ヵ月連日投与群では死亡率増加、体重増加抑制、
リンパ球減少が認
められましたが、いずれの変化も2ヵ月又は6週間の回復期間後に回復の傾向を示し、可逆性の変化でした。間欠
投与群には明らかな毒性所見は認められませんでした。イヌの3ヵ月又は6ヵ月間静脈内投与試験で、低用量連日
又は高用量間欠投与した結果、連日投与群に赤血球減少が認められましたが、間欠投与群には明らかな毒性所見
は認められませんでした。
3.生殖・発生毒性
マウスの受胎能及び着床までの初期発生に関する試験及び胚・胎児発生に関する試験では、親動物では雄に精
巣重量減少、精子形成不全などが認められ、雌に体重増加抑制、脾臓重量増加が、胎児に着床後死亡率増加、生存
率低下などが認められました。ウサギの胚・胎児発生に関する試験では、雌の親動物に赤血球減少が、胎児に体重
低下、奇形及び小奇形胎児数/腹(%)の増加などが認められました。マウスの出生前及び出生後の発生ならびに
母体の機能に関する試験では、雌の親動物に赤血球減少、脾臓重量増加などが、胎児に発育・分化の遅延、体重低
下が認められました。
4.抗原性
ハートレー系アルビノモルモットを用いた能動的全身アナフィラキシー(ASA)試験及び受動的皮膚アナフィラ
キシー(PCA)試験で、
ゲムシタビン塩酸塩を単独で、あるいは卵白アルブミンと投与した結果、いずれにおいても
抗体産生は誘起されませんでした。
5.変異原性
マウスを用いた小核試験及びマウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験で変異原性を認めましたが、そ
の他の試験では変異原性は認めませんでした。
94
製剤学的事項
製剤学的事項 製剤の安定性
製剤の安定性試験の結果は以下の通りで、200mg製剤、1g製剤ともにいずれの試験においても試験開始時
と比較してほとんど変化を認めず、安定でした。
ジェムザールの安定性試験43)
試 験
温度
保存条件
湿度
25℃
-
加速試験
40℃
75%RH
苛酷
試験
60℃
光
室温
無色透明
ガラス
バイアル
暗所
-
-
保存期間
39ヵ月
長期保存試験
温度
保存形態
光
白色蛍光灯
(3000lux)
6ヵ月
6ヵ月
17日
結 果
200mg
1g
200mg
1g
ほとんど変化なし
ほとんど変化なし
ほとんど変化なし
ほとんど変化なし
類縁物質のわずかな増加が認め
200mg
られた以外、
ほとんど変化なし
類縁物質のわずかな増加が認め
1g
られた以外、
ほとんど変化なし
200mg ほとんど変化なし
1g
ほとんど変化なし
測定項目:性状、確認試験、浸透圧比、pH、溶状、類縁物質、乾燥減量、
エンドトキシン、不溶性異物、無菌試験、含量
溶解後の安定性
ジェムザールの生理食塩液溶液(ゲムシタビン濃度:40mg/mL)
は、
25℃・暗所、及び室温・室内散光条件下に
おいて少なくとも3日間安定でした。
ジェムザールの生理食塩液溶液の安定性試験44)
試 料
生理食塩液溶液
(ゲムシタビン濃度:
40mg/mL)
温度
25℃
保存条件
室温
光
暗所
白色蛍光灯
(3000lux)
保存形態
保存期間
結 果
無色透明
ガラス
バイアル
7日
3日間保存後までは全ての項目でほとん
ど変化がなかったが、7日間保存後にはβウリジンがわずかであるが増加した。
13ページの適用上の注意をご参照ください。
配合変化試験成績
ジェムザールの生理食塩液溶液(ゲムシタビン濃度:10mg/mL)150mLに各量の輸液を加え、
25℃、室内散
光、無色透明共栓フラスコ
(密栓)
で24時間保存し、外観、pH及びゲムシタビン残存率を調べました。
ゲムシタビン残存率は、各輸液との配合直後から24時間後までいずれも98.0%以上であり、外観及びpHに
も変化を認めず、本品は各輸液中において室温・室内散光下で少なくとも24時間安定でした。
各輸液との配合変化(25℃・室内散光条件下で24時間保存)45)
輸 液
日局生理食塩液
日局リンゲル液
KN3B輸液
EL-3号輸液
ソリタ-T3号輸液
フィジオゾール3号輸液
フルクトラクト注
容量(mL) 24時間後の変化
500
500
500
残存率:98.0%以上
500
外 観:変化なし
pH :変化なし
500
500
500
輸 液
配合量(mL) 24時間後の変化
ラクテック注
500
低分子デキストラン糖注
500
大塚糖液5%
500
残存率:98.0%以上
大塚糖液10%
500
外 観:変化なし
pH :変化なし
大塚糖液50%
500
キリット注5%
500
残存率:試験開始時のゲムシタビン定量値を100%とした場合
95
ジェムザールの生理食塩液溶液(ゲムシタビン濃度40mg/mL)
と試験薬剤又は投与法に従い調製した薬剤の
溶液を混合し、混合直後から室温で24時間保存し、外観、pH、及びゲムシタビンの残存率を測定しました。
[ジェム
ザール生理食塩液溶液の混合量は、
「手術不能又は再発乳癌の場合」を除く1日最大投与量(体表面積当たり
1000mg)
とし、
配合薬剤の混合量はそれぞれの薬剤における規定の最大投与量としました。なお、
計算の基準と
して投与対象者を、身長173cm、体重70kg、
体表面積1.8m2の男性としました。]
ラステット注*、5-FU注*及び注射用メソトレキセート*との配合では、混合直後の溶液は澄明であったものの3
時間から6時間後に結晶が析出するなどの外観上の変化を認めました。また、水溶性プレドニン、
ファンギゾン注射
用及びデノシン点滴静注用とは、混合直後から白濁又は混濁を認めました。
これら以外の薬剤との混合液は24時間まで、外観、pH、ゲムシタビン残存率ともにほとんど変化を認めず、安
定でした。
*:ジェムザールとの併用は「併用注意」
とされています。詳細については9ページをご参照ください。
各薬剤との配合変化(室温・24時間保存)45)
製 品 名(一般名・基準名)
ブリプラチン注*
製 品 名(一般名・基準名)
24時間後の変化
カイトリル注
(シスプラチン)
(グラニセトロン塩酸塩)
パラプラチン注射液
*
(カルボプラチン)
タキソテール点滴静注用*
(ドセタキセル水和物)
注射用エンドキサン*
(シクロホスファミド)
注射用イホマイド*
セルシン注射液
(ジアゼパム)
タガメット注射液
(シメチジン)
オーツカMV注
モルヒネ塩酸塩注射液
(イホスファミド)
(モルヒネ塩酸塩水和物)
マイトマイシン注用
*
(マイトマイシンC)
アドリアシン注用*
(ドキソルビシン塩酸塩)
ブレオ注射用*
(ブレオマイシン塩酸塩)
カンプト点滴静注*
(イリノテカン塩酸塩水和物)
注射用フィルデシン*
(ビンデシン硫酸塩)
エクザール注射用*
(ビンブラスチン硫酸塩)
オンコビン注射用
*
(ビンクリスチン硫酸塩)
デカドロン注射液
(デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム)
プリンペラン注射液
(塩酸メトクロプラミド)
セレネース注
(ハロペリドール)
ノバミン筋注
(プロクロルペラジンメシル酸塩)
ドグマチール筋注
(スルピリド)
ゾフラン注
24時間後の変化
(オンダンセトロン塩酸塩水和物)
ジフルカン静注液
残存率:98.0%以上
外 観:変化なし
pH :変化なし
(フルコナゾール)
フロリードF注
(ミコナゾール)
ゾビラックス点滴静注用
(アシクロビル)
アラセナーA点滴静注用
残存率:98.0%以上 (ビダラビン)
外 観:変化なし
pH :変化なし
ユニカリックL輸液
ラステット注*
(エトポシド)
5-FU注
*
(フルオロウラシル)
注射用メソトレキセート*
(メトトレキサート)
残存率:96.8%、外観
及びpHは変化なし
配合直後は澄明であ
ったものの6時間後か
ら結晶の析出を観察
したため、定量法の試
験を中止した。
水溶性プレドニン
(プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム) 配合直後から沈澱又
ファンギゾン注射用
(アムホテリシンB)
デノシン点滴静注用
は結晶を生じたため、
定量法は実施しなか
った。
(ガンシクロビル)
アミノトリパ1号輸液
ピーエヌツイン-2号輸液
*
:ジェムザールとの併用は「併用注意」
とされています。詳細については9ページをご参照ください。
96
混 合 薬 剤によるゲム
シタビンピークへの妨
害があったため、定量
法は実施しなかった。
取扱い上の注意、包装、関連情報
取扱い上の注意、包装、関連情報 取扱い上の注意
◆薬剤取扱い上の注意点
皮膚に薬液が付着した場合は直ちに石けんでよく洗浄し、粘膜に付着した場合は直ちに多量の流水でよく洗
い流すこと。
◆貯 法
室温保存
◆使用期限
外箱等に表示
◆規制区分
劇薬、処方箋医薬品
(注意−医師等の処方箋により使用すること)
包 装
ジェムザール注射用200mg:1バイアル
ジェムザール注射用1g
:1バイアル
関連情報
承認番号・承認年月
ジェムザール注射用200mg:21300AMY00405 2001年8月
ジェムザール注射用1g
:21300AMY00404 2001年8月
薬価基準収載年月
ジェムザール注射用200mg:2001年9月
ジェムザール注射用1g
:2001年9月
販売開始年月
1999年8月
国際誕生年月
1995年1月
効能・効果追加年月
膵 癌
:2001年4月
胆 道 癌
:2006年6月
尿路上皮癌
:2008年11月
手術不能又は再発乳癌
:2010年2月
がん化学療法後に増悪した卵巣癌:2011年2月
再発又は難治性の悪性リンパ腫 :2013年2月
再審査期間満了年月
膵 癌 :2011年4月3日
(10年)
再審査結果公表年月
非小細胞肺癌:2008年10月
承認条件
膵癌に対する本剤の国内における臨床的有効性及び安全性をより明確にすること
を目的として、国内で適切な市販後臨床試験を行い、その結果を含めた市販後調
査結果を報告すること。
本資材は、
「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」に則り、作成しています。
97
主要文献   1)O’
Rourke, T. J. et al.:European Journal of Cancer, 30A, 417, 1994.
  2)Poplin, E. A. et al.:Investigational New Drugs, 10, 165, 1992.
  3)Abbruzzese, J. L. et al.:Journal of Clinical Oncology, 9
(3), 491, 1991.
  4)Pollera, C. F. et al.:Investigational New Drugs, 15, 115, 1997.
  5)福岡正博ほか:癌と化学療法, 23, 1825, 1996.
  6)横山晶ほか:癌と化学療法, 23, 1681, 1996.
  7)Burris, H. A. Ⅲ. et al.:Journal of Clinical Oncology, 15, 2403, 1997. 承認時評価資料
  8)Okada, S. et al.:Japanese Journal of Clinical Oncology, 31
(1), 7, 2001. 承認時評価資料
  9)Okusaka, T. et al.:Cancer Chemotherapy and Pharmacology, 57
(5)
, 647, 2006.
10)Von der Maase, H. et al.:Journal of Clinical Oncology, 17
(17)
, 3068, 2000. 承認時評価資料
11)Von der Maase, H. et al.:Journal of Clinical Oncology, 23, 4602, 2005. 承認時評価資料
12)Akaza, H. et al.:Japanese Journal of Clinical Oncology, 37
(3)
, 201, 2007.
13)Aogi, K. et al.:Cancer Chemotherapy and Pharmacology, 67
(5)
, 1007, 2011. 承認時評価資料
14)Albain, K. S. et al.:Journal of Clinical Oncology, 26
(24), 3950, 2008. 承認時評価資料
15)Suzuki, Y. et al.:Japanese Journal of Clinical Oncology, 39
(11)
, 699, 2009. 承認時評価資料
16)社内資料:2コンパートメントモデル薬物動態に関する資料
17)社内資料:Population Pharmacokinetics解析に関する資料
18)社内資料:転移性乳癌患者におけるゲムシタビンとパクリタキセル併用投与時の薬物動態
19)社内資料:分布に関する資料
20)社内資料:代謝に関する資料
21)社内資料:排泄に関する資料
22)Heinemann, V. et al.:Cancer Research, 48, 4024, 1988.
23)Heinemann, V. et al.:Molecular Pharmacology, 38, 567, 1990.
24)Shewach, D. S. et al.:Molecular Pharmacology, 42, 518, 1992.
25)Heinemann, V. et al.:Cancer Research, 52, 533, 1992.
26)Gandhi, V. et al.:Purine and Pyrimidine Metabolism in Man Ⅶ, Part A, 125, 1991.
27)Huang, P. et al.:Cancer Research, 51, 6110, 1991.
28)Huang, P. et al.:Seminars in Oncology, 22
(Suppl. Ⅱ), 19, 1995.
29)Hanauske, A. et al.:Anti-Cancer Drugs, 3, 143, 1992.
30)Ban, J. et al.:Biochemical and Biophysical Research Communications, 184, 551, 1992.
31)Schultz, R. M. et al.:Oncology Research, 5, 223, 1993.
32)社内資料:ヒト胆道癌細胞株に対するジェムザール及びドキソルビシンの増殖抑制作用に関する資料
33)社内資料:ヒト尿路上皮癌細胞株に対する増殖抑制作用に関する資料
34)社内資料:ヒト乳癌細胞のコロニー形成に対する抑制作用に関する資料
35)藤田史子ほか:癌と化学療法, 21, 2595, 1994.
36)社内資料:異種移植ヒト胆道癌モデルにおける抗腫瘍作用に関する資料
37)社内資料:異種移植ヒト尿路上皮癌モデルにおける抗腫瘍作用に関する資料
38)社内資料:異種移植ヒト乳癌モデルにおける抗腫瘍効果に関する資料
39)藤田昌英ほか:癌と化学療法, 21, 517, 1994.
40)Turk, J. et al.:Arzneimittel Forschung/Drug Research, 44, 1089, 1994.
41)社内資料:溶血及び血清凝結作用に関する資料
42)社内資料:毒性に関する資料
43)社内資料:安定性に関する資料
44)社内資料:溶解後の安定性に関する資料
45)社内資料:配合変化に関する資料
98
製造販売業者の名称及び住所
製造販売業者の名称及び住所 製造販売元
日本イーライリリー株式会社
神戸市中央区磯上通7丁目1番5号
◇資料請求先
リリーアンサーズ
日本イーライリリー医薬情報問合せ窓口※1
0120-360-605(医療関係者向け)
受付時間:月∼金 8:45∼17:30※2
※1
※2
通話料は無料です。携帯電話、
PHSからもご利用いただけます
祝祭日及び当社休日を除きます
www.Iillyanswers.jp
ジェムザールRGEMZARRは Eli Lilly and Company の登録商標です
禁無断転載 © 2014 Eli Lilly Japan K.K.
製剤写真
●ジェムザール注射用200mg
●ジェムザール注射用1g
注射剤200mg:1バイアル
注射剤200mg:1バイアル
99
総
医療関係者向けウェブサイト: https://www.lillyonc.jp
GEM-A-C007(R2)
2016年6月作成
Fly UP