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加齢疾患におけるAdvanced Glycation End

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加齢疾患におけるAdvanced Glycation End
Received: Aug. 9, 2010
Accepted: Aug. 30, 2010
Published online: Sep 16, 2010
Review Article
Significance of Advanced Glycation End Products in Aging-Related Disease
Ryoji Nagai 1), Takefumi Mori 2), Yasuhiko Yamamoto 3), Yuichi Kaji 4), Yoshikazu Yonei 5)
1) Department of Food and Nutrition, Laboratory of Biochemistry and Nutritional Science, Japan Women’s University
2) United Centers for Advanced Research and Translational Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine
3) Department of Biochemistry and Molecular Vascular Biology, Kanazawa University Graduate School of Medical Science
4) Department of Ophthalmology, University of Tsukuba Institute of Clinical Medicine
5) Anti-Aging Medical Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences, Doshisha University
Anti-Aging Medicine 7 (10) : 112-119, 2010
(日本語翻訳版)
加齢疾患におけるAdvanced Glycation End Products (AGEs)の意義
永井竜児 1)、森 建文 2)、山本靖彦 3)、加治優一 4)、米井嘉一
1)
2)
3)
4)
5)
5)
日本女子大学食物学科生化学・食品機能科学
東北大学大学院 医学系研究科創生応用医学研究センター
金沢大学医薬保健研究域医学系血管分子生物学
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 眼科学分野
同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター
抄録
炭水化物は生命維持に不可欠な栄養素であるが、グルコースなどの還元糖はカルボニル基を有するため、生体蛋白のアミ
ノ基と非酵素的に反応する。本反応は糖化反応(glycation)、もしくはメイラード反応と呼ばれ、大別するとアマドリ転位物が生
成するまでの前期反応と、その後、酸化・脱水・縮合などの反応を経てAGEs(advanced glycation end products)が生成する後
期反応に分けられる。翻訳後修飾のうち、リン酸化やアセチル化などは対象蛋白や修飾の時期が制御されているため『秩序あ
る翻訳後修飾』と言える。これに対して、glycationは糖による蛋白の翻訳後修飾が非酵素的、不可逆的、ランダムに進行し、さ
らに蛋白の種類よりも存在する時間(加齢)および糖濃度に依存して進行するため『無秩序な翻訳後修飾』と言える。当初AGEs
は単なる生体の錆もしくは老廃物として捉えられていたが、(I)蛋白の構造や機能を変えることによって生体に障害を与えること、
(II)生体にはAGEsを認識するRAGE(receptor for AGE)などの受容体が存在し、受容体を介した病態の惹起、(III)AGEs生成
阻害剤であるAminoguanidine, PyridoxamineやBenfotiamineは、糖尿病性腎症や網膜症の発症を遅延させることから、AGEsは
単なる老廃物ではなく、創薬の標的分子としても注目されている。本稿では加齢および糖尿病の進展に伴う腎疾患、眼疾患の
進展に伴うAGEsの関与、RAGEの機能、AGEs研究の現状と今後の課題について紹介させて頂きたい。
KEY WORDS:advanced glycation end products(AGEs)、Receptor for AGE(RAGE)、D型アミノ酸、
糖尿病性腎症、加齢性黄斑変性症
Anti-Aging Medicine 7 (10) : 112-119, 2010
本論文を引用する際はこちらを引用してください。
(c) Japanese Society of Anti-Aging Medicine
( 1 )
〒610-0321 京都府京田辺市多々羅都谷1-3
同志社大学大学院生命医科学研究科 アンチエイジングリサーチセンター
教授 米井嘉一
電話:0774-65-6382 FAX:0774-65-6394 メール:[email protected]
加齢疾患と糖化反応最終生成物 (AGEs)
はじめに メイラード反応(糖化反応)とは
非酵素的産生経路と酵素的産生経路が挙げられる。非酵素的
経路では、グルコースの自己酸化から生成するグリオキサール、
フランス人のメイラード(Maillard)によって、食品の加熱調理・
アマドリ転位物の分解で生成する3-デオキシグルコソン(3DG)
貯蔵に伴う褐変反応が発見されてからおよそ100年が経つが、
などがある 3,4)。酵素的経路では、活性化されたマクロファージ等
生体におけるAGEs (advanced glycation end product)研究の
の炎症細胞が発現するミエロペルオキシダーゼが次亜塩素酸を
歴史は意外と浅い。現在、血糖コントロールの指標として臨床的
産生し、それがセリンと反応してグリコールアルデヒドを生成する
に測定されているHbA1cは、ヘモグロビンβ鎖のN末端バリン残
経路が存在する 4)。また、解糖系よりトリオースリン酸の分解から
基にグルコースが結合したアマドリ転位物であることが1970年代
メチルグリオキサール(MG)が生成する経路、フルクトースリジン
に明らかとなっている。さらに、1980年代にはAGE化蛋白の特徴
(アマドリ転位物)とフルクトサミン-3-キナーゼを解して3DGが生
の1つである蛍光性(excitation: 370 nm, emission: 440 nm)を
成する経路などがある(Fig. 1)。
示す物質が脳硬膜のコラーゲンに加齢に伴って蓄積すること 1)、
例えば、I型糖尿病患者の血中MG含量は正常者の6倍、硝子
また、その値は健常人よりも糖尿病患者で顕著に高値であること
体では2倍程度増加していることが報告されている 5)。したがって、
が示され、生体でのメイラード反応が注目されるに至った。しかし、
持続する高血糖状態は酸化ストレス、炎症、糖及び脂質代謝の
生体には蛍光性を示す物質が多く存在するため、蛍光性のみを
異常などから上述した反応性の高いアルデヒドの産生が亢進し、
指標とした定量法はAGEs特異的とは言い難い。その後、簡便さ
結果的に蛋白のAGEs化が短期間に進行している可能性が考え
や多検体測定の観点から抗AGEs抗体による測定が広まり、
られる。さらに、血管弛緩因子として知られる一酸化窒素(NO)と
AGEsが糖尿病性腎症及び慢性腎不全の腎臓、粥状動脈硬化病
スーパーオキシドアニオンラジカル(O2-・)との反応から産生され
変部などで蓄積していることも確認され、AGEsが老化および老化
るペルオキシナイトライト(ONOO-)を介して、グルコソンやグリオ
を基盤とした病態と密接な関連があることが明らかとなってきた。
キサールなどのアルデヒドが生成する経路も存在する
6)。NOの
産生がNO合成酵素に制御されているので、本経路も広義にア
ルデヒドの酵素的産生経路の一つと考えられる(Fig. 2)。
しかし、最近、脂肪細胞ではTCA回路中間体であるフマル酸
がシステインと反応してS-(2-succinyl)cysteine (2SC)が生成す
AGEs の生成経路について
ること、さらに脂肪細胞内で細胞骨格蛋白、サイトカイン、ヒート
糖化反応は還元糖のアルデヒド基と蛋白のアミノ基との非酵素
ショック蛋白 7)、アディポネクチン 8) など様々な蛋白が2SC化を受
的な反応が初期段階であるため、グルコースに限らずアルデヒド
けるという新規な翻訳後修飾経路も明らかとなっている。組織や
基を有する物質であれば同様な反応が進行する 2)。グルコース
病態によって生成するAGEsは大きく異なると言える。
以外の蛋白を修飾する作用を有するアルデヒドの産生経路には、
Fig. 1. Production pathway of AGEs generating aldehyde
( 2 )
Fig. 2. CML generation accelerated by oxidative reaction
AGEs と腎疾患
の研究室(東北大学)では、最近、血中のカルボニル物質のうち
MGと3DGに着目し、糖尿病性腎症患者でその血中濃度を測定
腎疾患とくに慢性腎臓病による腎機能の低下は心筋梗塞や脳
した。MG、3DGはともに腎障害の指標である尿中アルブミン排
卒中といった心血管病の発症を増やし、それにとどまらず全死
泄の5年後における増加と有意な相関がみられた 15)。MGはさら
亡の危険因子でもある 9,10)。腎臓は加齢に伴い腎機能が除々に
に動脈硬化の指標である総頸動脈中内膜肥厚度に対する5年
低下し、70歳程度になると、多くの人が慢性腎臓病のレベルまで
後の増加とも相関がみられた。MGはまた年齢や血圧、中性脂
低下する 11)。加齢によるものの他に腎炎などの原発性糸球体疾
肪、HbA1c、BMIで補正してもなお5年後における総頸動脈中内
患や高血圧、糖尿病といった生活習慣病が腎機能の低下を加
膜肥厚の増加や血圧上昇に対する独立した危険因子であった。
速させる。
これらは3DGでは認められず、カルボニル物質全体が均一の病
怖いのは腎臓の機能がもともとの20%程度になって初めて自
態を示すわけではなく、病態ごとに独立したカルボニル物質が
覚症状が出ることであり、病院を受診した時には取り返しのつか
増加していることが明らかになった。
ない腎機能低下で発見されることも少なくない。腎臓では幸いに
カルボニル物質やAGEsは慢性腎臓病で単に血中濃度が増加
たとえ腎不全で腎機能が廃絶しても人工透析という代替え手段
するだけでなく、慢性腎臓病の病態に関与していることが明らか
があり、すぐに死には直結しない。しかしながらこの代替え手段で
になっている。これらカルボニル物質やAGEsによる細胞ストレス
も人工透析患者では5年生存率がわずか65%にとどまっている
はカルボニルストレスと呼ばれている 16)。我々の研究室(東北大
12)。したがって腎臓を保護することがアンチエイジングにつながる。
学)でラットの血中MG濃度が人工透析患者と同等になるように
慢性腎臓病や腎不全では解糖系から産生されるグリオキサー
ラットに経口飲水投与したところ、それ自身では血圧の上昇がみ
ルやMG、3DGといったカルボニル物質の血中濃度が増加し、ペ
られなかったものの、高食塩を負荷すると血圧が増加することを
ントシジンなどのAGEsが増加していることが報告されている 13)。
観察した。この時、腎臓の酸化ストレスを3-nitrotirosineの免疫
これは腎機能障害の程度で分類した慢性腎臓病のステージの
染色で観察するとMGと高食塩の投与により明らかな増加が認め
上昇に伴い増加していることから、一つは腎臓でカルボニル物
られた
質のクリアランス低下が関与していると考えられている。また、腎
泄を抑制する結果、高血圧になることが示されている 18)。MGは
17)。腎臓内の酸化ストレスの増加は腎臓で食塩と水の排
不全患者では尿毒素のクリアランスが低下し血中に増加すること
過酸化水素と反応し強いラジカルを発生することが示されており
から、尿毒素などによるカルボニル物質の産生亢進の機序も存
19)、MGの増加は高食塩摂取による軽度の過酸化水素増加と協
在する 14)。
調し、腎臓内に強い酸化ストレスをもたらしたと考えられた。
このように慢性腎臓病ではカルボニル物質やAGEsが増加して
一方、MGの経口飲水投与はグルコースクランプ法で検討した
いるため、バイオマーカーとしての利用が期待されている。我々
インスリン感受性を低下し、インスリン抵抗性を高めることが明ら
( 3 )
加齢疾患と糖化反応最終生成物 (AGEs)
かになった。これらはN-アセチルシステインや抗カルボニル薬に
る。AGEsやD型アミノ酸を豊富に含んだ蛋白質は、立体構造が
より改善がみられたことから 17)、酸化ストレスおよびカルボニルス
変化することによって蛋白質本来の機能を果たすことができない。
トレスが関与していると考えられた。これら食塩感受性高血圧や
すなわち糖尿病などの生活習慣病に伴う眼合併症と眼の加齢
インスリン抵抗性は慢性腎臓病患者でしばしばみられる病態で
性変化の原因は、眼を構成するアミノ酸や原子レベルでの変化
あり、カルボニルストレスが慢性腎臓病の病態に関与しているこ
にまで及んでいることがわかる。生活習慣病に伴う眼合併症や
とが示された。しかしながら未だヒトにおけるカルボニルストレス
眼の加齢性変化はAGEsあるいはD型アミノ酸生成といった翻訳
の高血圧やインスリン抵抗性に対する関与は検討されておらず、
後修飾を受けた蛋白質の沈着病として捉えることができるだろう。
今後の検討が期待される。
多くの先進国において加齢黄斑変性症が最大の失明原因と
腎障害に対するカルボニルストレスやAGEsの役割については
なっている。加齢黄斑変性症により失明をする患者を減らすた
多くの研究がある。AGEsレセプターのRAGEを過剰発現する遺
めには、その疾患メカニズムの解明と、それに基づいた予防法・
伝子改変マウスを作成すると、糖尿病と同等の腎障害を呈した
治療法の開発が急務となっている。本章ではAGEsおよびD型ア
20)。また、MGの代謝酵素であるglyoxalase
ミノ酸に着目して、加齢黄斑変性症の病態を中心に解説する。
1 (GLO1)を過剰発
現した動物では虚血再灌流による腎障害を抑制することが明ら
加齢黄斑変性症は、視力障害を生じない軽微な変化から、失
かになった 21)。MGを慢性腎臓病のモデルでは、腎酸化ストレス
明に至るまで多彩な変化を生じる。初期には新生血管は認めら
が亢進したDahl食塩感受性高血圧ラットに経口飲水投与すると
れず、ドルーゼンと呼ばれる黄褐色の異常凝集蛋白質が黄斑領
高食塩を負荷しなくても高血圧を呈し、尿中アルブミン排泄が増
域に認められる。組織学的にドルーゼンは網膜色素上皮細胞と
22)。この時、腎臓の組織では糸球体尿細管障
その基底膜に挟まれた領域に沈着することが知られている。ド
えることを示した
害が認められ、腎内AGEsの指標であるN ε -(carboxyethyl)
ルーゼンに含まれる蛋白質のプロテオーム解析では、
lysine(CEL)と腎内酸化ストレスの指標である8-OHdG
clusterin、TIMP3、albuminをはじめとして129種類の蛋白質を同
(8-hydroxy-guanosine)の発現量が増加していた。これらの結果
定されている 28)。カニクイザルの加齢黄斑変性症モデルにおい
はアンジオテンシンII受容体拮抗薬の投与により抑制され、MG
てもドルーゼン中にannexin V、clusterin、complement components、
による高血圧および腎障害にはレニン・アンジオテンシン系の関
vitronectinなどの蛋白質が同定されている
与が示唆された。
AGEsを豊富に含む凝集物であることが明らかになった
上述のようにカルボニル物質やAGEsは慢性腎臓病や高血圧、
に高齢者で観察されるBruch膜の肥厚部位においても、蛋白糖
糖尿病の病態に深く関与することが明らかになっているにもかか
化最終産物が観察された
わらず、未だヒトにおいては充分に検討されておらず、カルボニ
着するだけではなく、それ自体が出血や滲出を伴う加齢黄斑変
ルストレスをターゲットとした、これらの疾患のための薬はほとん
性症の発症に関与している可能性がある。例えば体内にはAGEs
ど存在しない。現在、糖尿病性腎症に対するピリドキサミンの臨
に対する自己抗体が産生されれば、黄斑部におけるドルーゼン
床試験が行われおり、期待されている。ピリドキサミンは動物で非
の沈着は、その局所における炎症反応の原因となりうる 32)。
糖尿病の腎臓病でも腎障害を抑制することが明らかになっている
さらにAGEsはその受容体であるRAGEと相互作用することによ
23)。我々の研究室(東北大学)ではGMP
り、生物学的な作用を発揮する
(good manufacturing
29)。またドルーゼンは
30)。さら
31)。ドルーゼンは単に加齢とともに沈
33-35)。免疫組織化学的に検討し
practice)基準のピリドキサミンを合成し、前臨床試験の他、単回
た結果、網膜においてRAGEは網膜色素上皮をはじめ、様々な部
および連続投与によるヒトに対する安全性を確認している。我々
位に発現されていることが明らかになった
は今後このピリドキサミンを用いて、カルボニル物質およびAGEs
上皮細胞にAGEを作用させると、RAGEの発現が増大する
のヒトの慢性腎臓病に対する役割について検討していく予定で
ルーゼンは網膜色素上皮と、その基底膜であるBruch膜の間に沈
ある。これによりカルボニル物質およびAGEsをターゲットとした
着することを考えると、加齢黄斑変性症においては、AGEとRAGE
新しい腎臓病薬の開発をめざしている。
の相互作用が持続的に生じていると言える
36,37)。さらに網膜色素
38)。ド
36,39)。加齢黄斑変性
症の病態において、炎症性変化や血管新生が重要な役割を果た
していることが知られている。これらの変化の原因は、RAGEを発
現している網膜色素上皮細胞が、AGEを豊富に含んだドルーゼ
ンと持続的に接するために引き起こされている可能性がある。
AGEs と眼疾患
一方、D型アスパラギン酸(Asp)含有蛋白質に対するポリク
眼科領域においてもAGEsが関与する疾患がいくつかある。糖
ローナル抗体 40)を用いた検討では、高齢者の眼球において、ド
尿病合併症としての網膜症や角膜症をはじめ、眼の加齢性変化
ルーゼンや肥厚したBruch膜はD型Aspを含有する蛋白質である
としての白内障、瞼裂斑、spheroid degeneration、黄班変性症に
ことが明らかになった 24)。現在のところ、D型アミノ酸を含んだ蛋
24,25)。ま
白質の生物学的な役割には未知の点が多い。しかし、少なくとも
た興味深いことに、これら集積部位に一致して生体内には存在
蛋白質に含まれるアミノ酸がL型からD型に変換されることによっ
しないと考えられていたラセミ化したD型アミノ酸 26,27) が認められ
て、隣接するアミノ酸との結合角度が変わるために、蛋白質の立
おいてはAGEsを豊富に含んだ蛋白質が凝集している
( 4 )
体構造が大きく変化する結果、蛋白質の機能が低下することが
自身の転写を促進していることが分かった 43)。TNFαやエストロ
26,27)。加齢性変化については、AGEsだけではなくD
ゲンも、それぞれNFκBと転写因子Sp1を介してRAGE遺伝子の
予想される
型アミノ酸もまた重要な役割を果たしていることが明らかになりつ
転写を促進した 43)。
つある。現在のところ、D型アミノ酸含有蛋白質に対する受容体
最近、RAGEの細胞内ドメインと直接結合し細胞内シグナル伝
は見いだされていない。しかしながら、AGE化蛋白質とD型アミノ
達を引き起こす分子としてmammalian
homologue
of
the
1(mDia1)が同定された 44)。mDia1
酸含有蛋白質は共存することが多いことや、両者ともに加齢性変
Drosophila gene Diaphanous
化と深く関連することを考えると、D型アミノ酸含有蛋白質の加齢
は酵母から哺乳類まで広く存在するForminファミリー蛋白質の
黄斑変性症への関与がより詳細に明らかにされると予想される。
一員で、細胞質分裂や細胞の極性形成、アクチン重合による細
胞運動に関わることで知られている。未だRAGE細胞内シグナル
伝達機構の全貌は明らかとなっていないが、今後の研究で明ら
かになるものと思われる。
RAGE の加齢疾患における役割
グリケーションによる細胞・組織障害は、分泌蛋白、細胞外マト
リックス蛋白、膜蛋白、あるいは細胞内機能蛋白などが直接修
RAGE シグナルを惹起する AGEs
飾・構造変化を受けることによる障害のほかに、AGEsをリガンド
として認識する細胞表面受容体を介する系がある。現在のところ、
RAGEに結合するAGEsリガンドはすべての分子種ではなく、Nε-
AGEsが結合する細胞表面蛋白としては、RAGE、マクロファージ
(carboxymethyl)lysine (CML)、そしてグリセルアルデヒドおよび
タイプI・IIクラスAスカベンジャー受容体 (macrophage type-I
グリコールアルデヒドによって修飾されたものであることが分かっ
and type-II class A scavenger receptors, MSR-A)、クラスBスカ
た 45)。また、AGEs以外にも、酸化損傷生成物で酸化ストレスのメ
ベンジャー受容体ファミリーに属するCD36・SR-BI、LOX-1
ディエーターと考えられているadvanced
(lectin-like oxidized low density lipoprotein reciptor-1)、
products (AOPP)、アルツハイマー病脳に蓄積するアミロイドβ
galectin-3複合体、FEEL1・2 (fasciclin, EGF-like, laminin-type
蛋白、家族性アミロイドポリニューロパチーで蓄積する
EGF-like, and link domain-containing scavenger receptor-1・
transthyretin、癌転移との関連および炎症との関連が指摘され
2)、メガリン(megalin)、Toll-like receptor (TLR)4などが知られ
ているHigh mobility group B-1 (HMGB-1)/amphoterin、免疫
ている。なかでもRAGEは、細胞内シグナル伝達から細胞応答を
系細胞から分泌される炎症メディエーターS100蛋白、白血球の
生じAGE受容体として病態形成に機能的に働いている。RAGE
細胞表面にあるMac1などがRAGEのリガンドになることが報告さ
以外のものも、血中AGEs量あるいは局所のAGEs蓄積・クリアラ
れている。このようにRAGEはマルチリガンドレセプターとして、最
ンスに影響を与えることによって、細胞・組織障害に関与してい
近ではTLRsと同様にパターン認識受容体(pattern-recognition
る可能性が考えられる。
receptors, PRRs)として様々な病態形成に関与しているものと考
RAGEはイムノグロブリンスーパーファミリーに属する一回膜貫
えられている。
oxidation
protein
通型の1型膜蛋白であり、AGEsと結合する細胞表面受容体とし
RAGEと糖尿病血管合併症の関係をin vivoで明らかにするた
てウシ肺から分離同定された 41)。RAGEの発現は肺胞上皮細胞、
め血管内皮細胞特異的にRAGEを過剰発現するトランスジェニッ
血管系細胞、免疫細胞など、広範な細胞・組織に認められてい
クマウスを作製し糖尿病を誘発すると、進行した糖尿病性腎症を
る。一般的に生理的な条件下での発現は肺以外では非常に低
発症した 19)。逆に全身でRAGEの発現を欠くRAGEノックアウトマ
いが、AGEsが蓄積している動脈硬化巣のような病変部位で発現
ウスを作製し糖尿病にすると、糖尿病性腎症の進行が対照糖尿
が増強するとされる。RAGEの細胞内シグナリング伝達経路の代
病マウスよりも有意に抑制された 46)。このような結果は、RAGEが
表的な一つは、細胞内酸化ストレスの増強とそれに引き続く
糖尿病性腎症の発症・進展に機能的に関与していることを個体
ras/MAPキナーゼ経路を介した転写因子NFκBの活性化である。
レベルで立証するとともにRAGEが糖尿病性腎症予防・治療の
血管内皮細胞においては、AGEs刺激によるRAGEシグナルに
ターゲットとなりうることを示している。
よってvascular endothelial growth factor (VEGF)の発現を誘導
最近になりRAGEの構造には多様性があり、その多様性によっ
し血管透過性の亢進や血管新生に関わったり、vascular
て病態に与える影響も複雑であることが分かってきた。つまり、
cell
adhesion molecule-1 (VCAM-1)を誘導し局所の炎症にも関与
RAGEには一つの遺伝子から選択的スプライシングによって作り
していると思われる 42)。単球系の細胞においてはtumor
necrosis
出される複数の分子種があり、さらに翻訳され蛋白となった後で
factor α (TNFα), interleukin 1β (IL1β), IL6, monocyte
も酵素による切断分解で修飾をうけるからである。選択的スプラ
chemotactic protein-1 (MCP-1)などのサイトカインの分泌を促
イシングによって生じる全長膜結合型RAGEのC端側の膜貫通
す。RAGE遺伝子の発現調節領域を解析すると、RAGEを介した
領域を欠き分泌型となる新たなRAGEを内在性分泌型RAGE蛋
AGEs刺激のシグナルがNFκBの活性化を通じてRAGE遺伝子
白(endogenous secretory RAGE, esRAGE)と命名した 47)。
( 5 )
加齢疾患と糖化反応最終生成物 (AGEs)
esRAGEはリガンド結合部位を持つため、細胞外でAGEsをはじ
esRAGEの分泌促進、esRAGE補充療法などが考えられる。アン
めとするリガンドを捕捉し細胞表面のRAGEとの相互作用を阻害
ジオテンシン変換酵素阻害薬、チアゾリジン系薬剤、スタチンは
しデコイ受容体としての働くと考えられる。このesRAGEは実際に
esRAGEの分泌促進に働いている可能性が考えられている
ヒト血中、様々な組織においても検出され 48)、マウスにも存在す
53,54)。また、ヘパリンを分解して分画した低分子ヘパリンには
る 49)。
RAGEのAGEs結合ドメインに結合しアンタゴニストとして働く作用
esRAGEの各種病態への関わり、機能的役割を調べるために、
があることが明らかとなった 46)。特異的なRAGEアンタゴニストで
我々の研究室(金沢大学)ではヒトesRAGEを特異的に測定でき
あるTTP488も現在米国においてアルツハイマー病での臨床治
るサンドイッチELISA(esRAGE
ELISA;第一ファインケミカル、
験の途中であり、その効果が期待されるところである。
B-Bridge)を確立した 50)。esRAGE
の低い症例においては、メタ
ボリックシンドローム 51)、粥状硬化、糖尿病網膜症 50) の罹患率が
高い。esRAGEはリスク予知因子となりうる可能性がある。血中
esRAGEレベルは、腎機能(血清クレアチニン、GFR)に強く影響
既知と新規 AGEs 生成阻害剤
を受けるので、腎症の解析の際には特に注意を払う必要がある
52)。
先に述べたとおり、AGEsは加齢依存的な病態の発症に関与し
また、全長膜結合型RAGEがmatrix metalloproteinase (MMP)
ている報告が多くなされており、これら病態を予防・治療する目
9やdisintegrin and metalloproteinase (ADAM)10などの酵素に
的で、国内外で活発にAGEs生成阻害剤の開発が行われている。
よって細胞膜直上で切断sheddingされ、可溶性RAGE(soluble
生体におけるAGEs関連疾患の予防と治療には、(1)AGEsの生
RAGE, sRAGE)を形成することが分かってきた。このsheddingを
成を阻害する、(2)生成したAGEsを分解する(AGE
増強することは、細胞内シグナル伝達を引き起こす全長膜結合
breaker)
55,56)、(3)AGEs受容体の拮抗阻害剤 57) などが考えられるが、本
型RAGEの量を減少させると同時に、デコイ受容体として働く
章ではヒトで最も研究が進んでいるAGEs生成阻害剤の開発に
sRAGEの量を増加させるというダブルのAGEs-RAGE系抑制効
ついて紹介したい。
果を生み出すことに繋がる。今後は、このようなメカニズムの詳細
AGEsの生成を抑制する方法として、メイラード反応の進行及
な解明とsheddingを増強させる薬剤の開発が重要と考えられる
び代謝経路から生成するアルデヒドを捕捉する方法と、CML、ペ
(Fig. 3)。
ントシジン等のAGEs構造体、さらにメイラード反応に伴う蛋白の
その他、RAGE作用の阻害による各種病態の予防・治療、老化
架橋形成は酸化的条件で促進することから 58)、金属キレーター
の防止・克服には膜型RAGE発現抑制、RAGEアンタゴニスト、
RAGE特異的シグナル遮断さらにはデコイ型レセプターである
等で酸化反応を抑制する方法が考えられている。アミノグアニジ
ンはアミノ基でアルデヒド基を捕捉する最も初期に報告された
Fig. 3. Strategies for blocking RAGE signaling. esRAGE, endogenous secretory RAGE.
( 6 )
AGEs生成阻害剤である 59)。本剤は、糖尿病モデル動物で腎症、
はインスリン注射と同様であることが確認された 68)。
網膜症の発症を抑制し、さらに、1999年に米国で報告された糖
アセトールからのCEL生成は金属キレーターであるDTPA
尿病性腎症患者に対するphase IIIトライアルでは、尿蛋白を減
(diethylene-triamine-pentaacetic acid)で抑制されたことから酸
少する効果は認められたが、血中クレアチニン値の減少には有
化反応が必要であることが示唆される。しかしクエン酸も金属キ
意差が認められなかった。同様に、ビタミンB6誘導体であるピリ
レート能を有することが知られているが、予想に反して、アセトー
ドキサミンもアミノ基によってアルデヒド基を捕捉する作用を有す
ルからのCEL生成はクエン酸で抑制されなかった。これはクエン
るが、AGEs生成のみならず、脂質過酸化反応産物の生成も抑
酸のキレート能がDTPAより弱いことが考えられる。これら結果よ
制することが知られる。さらに、ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラッ
り、クエン酸はCELの生成を直接的には抑制しないが、クエン酸
トに対してピリドキサミンの投与は、血中グルコース濃度は変化さ
投与ラットにおける水晶体中CELを有意に抑制したことから、生
せないが、腎症 60) 及び網膜症 61) の進展が有意に遅延されてお
体におけるCEL生成抑制効果はクエン酸のケトン体低下作用に
り、現在、各国で臨床試験が進行中である。糖尿病ラットにチア
よる可能性が高い。クエン酸によるケトン体抑制効果はまだ不明
ミン及び、その疎水性を高めた誘導体であるベンフォチアミンを
な点があるが、ケトン体は1型糖尿病のみならず、妊娠初期のつ
投与することによって、腎メサンギウム細胞におけるトランスケト
わり、過度な運動や急激なダイエットでも血中濃度が上昇する。
ラーゼの発現が上昇すると共に、細胞内AGE含量が低下して微
クエン酸は多くの果物にも豊富に含まれており、有効に利用す
量アルブミン尿の発症を抑制することから 62)、高血糖に伴う細胞
れば糖尿病合併症のみならず、多くの疾患の予防にも役立てら
内AGEsの生成は、糖尿病性腎症の発症に関与している可能性
れる可能性がある。このようにAGEsの検出が容易になると、
が示唆される。これらの報告から、AGEsは特に糖尿病性合併症
AGEs生成抑制化合物の探索が可能となる。
に対する創薬の標的分子としても有用であることが指摘されてお
り、今後、生体におけるAGEs生成の詳細な分子機序をさらに解
析することによって、より効果的な薬剤の開発が期待される。
先に述べた通り、抗体によるAGEsの検出は機器分析に比較し
て簡便であるため、生体におけるAGEsの検出のみならず、
AGEs生成阻害剤の探索も容易になる。我々の研究室(日本女
子大学)ではCMLおよびペントシジンのELISAによる測定値が高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)による測定値と相関性を示す
ことを確認した後、ウシ血清アルブミンとリボースの反応から生成
するCMLおよびペントシジンを抑制する天然物由来化合物をオ
ウギより探索した。その結果、astragalosideが両AGEs構造体を
有意に抑制することが明らかとなったが 63)、生体における抑制効
果はまだ確認されていない。カモミール(Chamomile: Anthemis
nobilis)、西洋サンザシ(Hawthorn: Crataegus oxyacantha)、ドク
ダミ (Doku-dami: Houttuynia cordata)、ブドウ葉(Grape: Vitis
vinifera)の混合ハーブエキスについてもAGEs生成阻害活性が
報告されている 64,65)。
生成に酸化反応が関与するAGEs構造体が多く存在するため、
一般的に抗酸化作用を示すカテキン等のフラボノイドはAGEs生
成抑制作用を示すと考えられるが、フラボノイドは高濃度になる
と過酸化水素の産生を促進する化合物も存在するため 66)、過度
なフラボノイドの摂取は逆にAGEs生成を促進するケースも考え
られる
67)。最近、我々の研究室(日本女子大学)でケトン体より
AGEsが生成する可能性を抗AGE抗体のライブラリーを用いて検
討した結果、アセトンからacetone monooxygenaseの作用によっ
て生成するアセトールが蛋白と反応しCELが生成する新規経路
を見いだした。さらに、TCA回路の入り口に位置するクエン酸を
摂取することによってケトン体が低減される可能性を考え、ストレ
プトゾトシンで糖尿病を誘発したラットにクエン酸を経口投与した。
その結果、クエン酸投与はケトン体、白内障及び腎機能の進展
が抑制、さらに水晶体におけるCELの蓄積が低下し、その効果
( 7 )
加齢疾患と糖化反応最終生成物 (AGEs)
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