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酸化ストレスマーカー

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酸化ストレスマーカー
Received: Aug. 17, 2009
Accepted: Feb. 10, 2010
Published online: Mar. 25, 2010
Review Article
Oxidative Stress Markers
Yuji Naito 1), Masaichi-Chang-il Lee 2), Yoji Kato 3), Ryoji Nagai 4), Yoshikazu Yonei 5)
1) Department of Molecular Gastroenterology and Hepatology, Kyoto Prefectural University of Medicine
2) Department of Clinical Care Medicine, Division of Pharmacology and ESR Laboratories, Kanagawa Dental College
3) School of Human Science and Environment, University of Hyogo
4) Department of Food and Nutrition, Laboratory of Biochemistry and Nutritional Science, Japan Women’s University
5) Anti-Aging Medical Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences, Doshisha University
Anti-Aging Medicine 7 (5) : 36-44, 2010
(日本語翻訳版)
酸化ストレスマーカー
内藤裕二 1)、李 昌一 2)、加藤陽二 3)、永井竜児 4)、米井嘉一
5)
1) 京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科
2) 神奈川歯科大学生体管理医学講座薬理学分野・ESR研究室
3) 兵庫県立大学環境人間学部
4) 日本女子大学食物学科生化学・食品機能科学
5) 同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター
抄録
酸化ストレスは老化を促進する危険因子のなかで重要な位置を占める。酸化ストレスを評価する目的で様々な指標が提案さ
れているが、検査方法や評価方法についてはまだ改善の余地がある。第9回日本抗加齢医学会総会(2009年)におけるカレ
ントコンセプト「酸化ストレスマーカー」のセッションでは、「酸化ストレスマーカー評価の現状と新展開」「タンパク質の酸化修飾
とその検出定量」「蛋白の修飾・変性とAGEs(advanced glycation endproducts)」のタイトルで最新の研究成果が提示された。
酸化ストレス状態を評価するいくつかの指標がすでに利用されている。新規マーカーとして酸化修飾物の質量分析計(MS)
による検出法が開発されている。チロシンホスファターゼやthioredoxin類縁蛋白などの物質は、いくつかの標的蛋白質中の反
応性の高いシステイン残基を酸化修飾することで、その分子機能を制御し、シグナル伝達に重要な役割を果たしている。
AGEsは加齢に伴って生体内に蓄積し、糖尿病合併症やアルツハイマー病、動脈硬化症などの発症に関与する。従って糖化
の指標について基本を学ぶことは重要である。本総説では、酸化ストレスの指標についての概説を行い、また最近注目されて
いる概念として蛋白質の酸化修飾、蛋白質の糖化について注目し、新規指標に関する情報を紹介した。
KEY WORDS:質量分析、活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)、活性窒素種(reactive nitrogen species:
RNS)、酸化的蛋白修飾、糖化反応最終生成物(advanced glycation endproducts: AGEs)
Anti-Aging Medicine 7 (5) : 36-44, 2010
本論文を引用する際はこちらを引用してください。
(c) Japanese Society of Anti-Aging Medicine
( 1 )
〒610-0321 京都府京田辺市多々羅都谷1-3
同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター
教授 米井嘉一
電話・FAX:0774-65-6394 メール:[email protected]
酸化ストレスマーカー
老化危険因子の一つである糖化反応(メイラード反応)11)は、主
はじめに
に食品化学の分野で研究され、医学分野で注目された20年ほど
日々の健康増進と生活の質(Quality of Life: QOL)の向上、
前からである。AGEsは加齢に伴って生体内に蓄積し、糖尿病合
そして健康長寿を目指す抗加齢医療においては、老化の弱点と
併症やアルツハイマー病、動脈硬化症などの発症に関与する。
老化危険因子を早期に発見して、積極的に介入してゆくことが
糖化の指標に関する基本事項を学ぶことも重要であろう。
重要である。酸化ストレスは老化危険因子の中で大きな位置を
本総説では、酸化ストレスマーカーについての概説を行い、ま
占めている。しかし、その評価方法については数々の酸化ストレ
た最近注目されている概念として蛋白質の酸化修飾、蛋白質の
スマーカーが提示されているものの、その検査方法や評価方法
糖化について注目し、新規マーカーに関する情報を紹介する。
についてはまだまだ発展余地がある 1-4)。
2009年第9回日本抗加齢医学会総会におけるCurrent
concept「酸化ストレスマーカー」では3人の演者に最新の研究
・生体内の抗酸化ネットワーク
データについて発表していただいた。それぞれタイトルは「酸化
ストレスに対する防御機構として抗酸化ネットワーク(Fig. 1)が
ストレスマーカー評価の現状と新展開」李 昌一 5,6)、「蛋白質の
酸化修飾とその検出定量」加藤陽二
存在する 1,12) 。体内にはスーパオキシドディスムターゼ(SOD:
7,8)、「蛋白の修飾・変性と
superoxide dismutase)やグルタチオンペロキシダーゼ(glutathion
糖化反応最終生成物(advanced glycation endprodycts: AGEs)」
[GSH] peroxidase)、カタラーゼ(catalase)といったフリーラジカ
永井竜児 9,10) であった。
ルを除去する働きのある抗酸化酵素が備わっている。これらは
酸化ストレスは活性酸素による蛋白質、核酸、脂質など生体成
予防型抗酸化ネットワークを形成する。
分への酸化修飾であり、その結果として種々の臓器機能障害が
一般的な抗酸化物質はそれ自体がフリーラジカルと直接反応
惹起される。これら一連の傷害の蓄積が加齢による生体機能の
し消去する作用があるので、ラジカル補足型と呼ばれる。ビタミン
低下(老化)の一因とするのが「老化のフリーラジカル説」である。
しかしフリーラジカルのすべてが悪玉的物質というわけではなく、
近年、細胞は積極的にフリーラジカルを産生し、それを細胞機
Cなど水溶性のものと、ビタミンA・E・コエンザイムQ10など脂溶
性のものがある。水溶性抗酸化物質と脂溶性抗酸化物質は相
互作用しながら、それぞれ巧みなネットワークを形成して、生体
能制御に役立てていることが明らかとなってきた。チロシンホス
を酸化障害から守っている。
ファターゼやthioredoxin類縁蛋白など、いくつかの標的蛋白質
フリーラジカルによる酸化的損傷を受けた脂質、蛋白質、DNA
中の反応性の高いシステイン残基を酸化修飾することでその分
を修復・再生する機構がある(修復・再生型抗酸化作用)。ホスホ
子機能を制御し、シグナル伝達に重要な役割を果たす。新規
リパーゼ、プロテアーゼ、トランスフェラーゼ、DNA修復酵素など
マーカーとして酸化修飾物の質量分析計(MS)による検出法も
が主に作用する。
開発されている。
Fig. 1. Antioxidative network in biological system
( 2 )
・酸化ストレス対策
ント指導を行っている。
8-OHdG(8-hydroxy-2’-deoxyguanosine):
酸化ストレス対策には、
遺伝子DNAの構成成分であるグアニンが酸化ストレスにより障
① フリーラジカル発生源から逃れること
害を受けて生成される物質 21,22)。尿中に排泄される。喫煙や
② 自己の抗酸化能力を高めること
過剰な運動により高値になる。
③ 抗酸化物質の摂取
HEL(hexanoyl lysine):
がある。
脂肪酸の酸化と蛋白質を構成するリジンの付加修飾変化によ
体内に摂取された栄養素は酸素を消費して、主として細胞内のミ
る生成物 7,23,24)。尿中に排泄される。
トコンドリアにおいて生物エネルギーATP (adenosine tri-phosphate)
イソプラスタン:
が生成される。この過程でフリーラジカルである活性酸素が生成さ
体内で重要な働きをするリン脂質が酸化ストレスを受けて生じた
れ脂質をはじめ酵素蛋白や遺伝子に直接作用して、組織や細
生成物 25,26)。尿中に排泄される。
胞に酸化傷害を惹起する。フリーラジカルによる組織傷害は老
コエンザイムQ10酸化率:
化による退行性変化の一因であり、神経細胞や心筋細胞のよう
生体内抗酸化物質であるコエンザイムQ10における酸化型(ユ
にほとんど増殖することなく長期間活動する細胞にとって致命的
となる。フリーラジカル生成の要因には、紫外線、放射線、喫煙、
ビキノン)と還元型(ユビキノール)の割合 27)。酸化率が高いコエ
ンザイムQ10の機能が発揮できない。
公害物質(NO2、ダイオキシンなど)、食品添加物、残留農薬、病
血清LPO(lipid peroxide):
原菌、ストレス、過激な運動がある。抗酸化物質の指導前にフ
酸化によって生じた脂質の過酸化物。酸化ストレスが強いと高
リーラジカル発生源から逃れる指導を行う 1,12)。
値になる。
体内にはSODやGSHペロキシダーゼ、カタラーゼなどの予防
PAO(potential anti oxidant):
型抗酸化ネットワークが備わっている。適度な有酸素運動は、運
銅イオンの還元反応を利用して評価した、血液中にある抗酸
動時に生じる微量フリーラジカルの刺激によってこれらの酵素活
化物質による酸化ストレスに抵抗する能力(抗酸化能力)。この
性を高め、その効果は数日間持続する。結果として自己の抗酸
値が高いと抗酸化能力が高い。
化能が高まる。
STAS(serum total antioxidant status):
ヒトは抗酸化物質を体内で合成したり外部から摂取することに
水溶性抗酸化物質による酸化ストレスに対する総合的な能力。
より、フリーラジカルと対抗してきた。ビタミンA・C・E、コエンザイ
ムQ10、αリポ酸 13)、グルタチオンは代表的な抗酸化物質である。
ルテイン+ゼアキサンチン:ほうれん草やブロッコリーなど緑黄
色野菜に含まれる脂溶性抗酸化物質。橙色や黄色の色素成
食物として摂取される動植物にも抗酸化物質を豊富に含むもの
がある。トマトのリコピン、サケのアスタキサンチン 14,15)、緑茶のカ
分であるカロテノイドの一種。
テキン、赤ワインやカシスのポリフェノール 16)、ブルーベリーのア
β-クリプトキサンチン:
蜜柑の橙色色素に含まれるカロテノイド系抗酸化物質。
ントシアニジンなどである。セレン(Se)やマンガン(Mn)は抗酸化
リコピン:
酵素の活性維持に必要な微量元素である。GSHはペロキシダー
トマトやスイカの赤い色素に含まれるカロテノイド系抗酸化物質。
ゼと結合して抗酸化酵素活性を発揮する。ブロッコリー・ニラ・タ
α-カロテン:
マネギなどの野菜に多く含まれるスルフォラファンはDNA修復酵
蜜柑の橙色色素に含まれるカロテノイド系抗酸化物質。
素を助ける働きがある 17,18)。これら成分をバランスよく摂取するこ
β-カロテン:
とが重要である。
ニンジンやほうれん草の色素に含まれるカロテノイド系抗酸化
物質。
ユビキノール:
・酸化ストレスマーカーの評価
コエンザイムQ10における還元型成分 28)。
活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)、活性窒素種
(reactive nitrogen species: RNS)による酸化ストレスの評価はア
これまで述べた酸化ストレスマーカーは、ROSによって惹起さ
ンチエイジング医学の臨床において非常に重要である。これま
れる抗酸化システムの変動、酸化生成物を評価するものである
でROSによる酸化ストレス評価は抗加齢医療における検査へ応
が、酸化ストレスを惹き起こすROSやRNSを直接評価するもので
用する試みが進められている。個々のマーカーの資質評価につ
はなかった。電子スピン共鳴 (electron spin resonance: ESR)法
いてはまだ十分に確立されていないのが現状である 19,20)。
は電子スピン(不対電子)を有する物質であるフリーラジカルを
アンチエイジングドックの酸化ストレスプロファイル(Fig. 2)では
測定可能であり,フリーラジカルの性質を有するスーパーオキシ
ド (O2•–)やヒドロキシルラジカル(HO•)などのROSや一酸化窒素
酸化による損傷程度やラジカル補足型抗酸化物質を測定する
(NO•)を特異的かつ直接的に検出可能な測定する技術として知
(http://www.jaica.com/)。結果を踏まえて、偏った栄養バラン
られている 6,19,20,29-31)。ESR法の酸化ストレス評価における特徴
スの是正指導、不足成分を補充するためのアドバイス、サプリメ
( 3 )
酸化ストレスマーカー
Fig. 2. Oxidative stress profile
A 50-year-old woman. HEL was remarkably high, possibly from eating too much cake and ice cream
( 4 )
は定性的評価として酸化ストレスを惹き起こすROSの種類を判別
・蛋白質の酸化修飾とバイオマーカーとしての可能性
可能であること,定量的評価としてどれくらいのROSが産生され
たのかを評価可能であること,さらに,実際に生体系(小動物)で
ROSが産生している証拠である酸化ストレスを含めたredox反応
の情報を与えることが可能であることである。in vitro ESR法によ
るROSの検出は実際には生体内フリーラジカルであるO2 •– ,
HO •などのROSは極めて不安定であることから,ESR法により検
出することは特殊な技術を必要とする。その技術はスピントラップ
法と呼ばれるもので,不安定なROSをトラップするスピントラップ
剤を用いてROSを安定なラジカル種に変換してからESR法により
測定する方法である 19,20,32).in vitro ESR法による抗酸化能評
価についてはこのin vitro ESR法によるROSの検出方法が基本と
なり,検討する薬物や飲食料品がいかなるROSに対して消去活
性があるのか(定性評価)、どれくらい消去活性を有しているの
か(定量評価)という直接的なROSに対する抗酸化能評価をする
ことが可能である。また、神奈川歯科大学ESR研究室では、これ
らin vitro ESR法による抗酸化能評価に加え、in vivo ESR法を用
いて酸化ストレスにより高血圧、脳卒中が惹き起こされる生活習
慣病のモデル動物の脳内酸化ストレス評価法を確立し、薬物の
脳内抗酸化能評価を実践している 5,6,31,33)。今後、これらのESR
法による評価法を用いて薬物、飲食料品、サプリメントの抗酸化
能評価をさらに進め、アンチエイジング効果に連関する優れた
抗酸化能を有する新規薬物、飲食料品,サプリメントの開発に寄
生体内の蛋白質は様々な翻訳後修飾を受けるが、酸化修飾
はその一つであり、加齢や疾病に大きく関わっている。蛋白質チ
ロシン残基およびリジン残基が酸化すると比較的安定した修飾
物が形成される。兵庫県立大学環境人間学部食品機能・フリー
ラジカル研究室では、これを化学的あるいは免疫化学的に定量
解析することで、酸化ストレスのバイオマーカーとなる可能性につ
いて検討している 34)。チロシン修飾物を測定することで、炎症性酸
化ストレスマーカーとしてハロゲン化やニトロ化反応を追跡できる
(Fig. 3)。ハロゲン化はミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:
MPO)などの酵素により生じることから好中球などの免疫細胞の
活性化を示し、ニトロ化を生じる窒素酸化物はNO•に由来するこ
とから誘導型一酸化窒素合成酵素(inducible nitric oxide synthase:
iNOS)を有するマクロファージの活性化を示すマーカーとなりうる
8)。特にMPO酵素については酵素阻害することで抗炎症につな
がるのではないかと考え、食品成分による抑制評価系について
も検討を行っており、フラボノイドなどポリフェノール類が強い阻
害効果を有することを見出している 35,36)。
生体内における脂質酸化についても蛋白質の付加修飾から推
測することができる(Fig. 4)。ω-6およびω-3多価不飽和脂肪酸の
初期酸化物に由来するヘキサノイルリジン(Hexanonyl
HEL) 7,23,24)やプロパノイルリジン(Propanoyl
lysine:
lysine:
PRL) 37)といっ
た脂質付加修飾リジンが注目されている。HELはアンチエイジング
与する評価技術として発展する可能性がある。
ドックにおける酸化ストレスプロファイルの測定項目の一つである。
Fig. 3. Modified tyrosines and sources of ROS
( 5 )
酸化ストレスマーカー
Fig. 4. Modification of proteins by lipid peroxidation (amido-type lysine adduct)
糖尿病患者の尿中にはチロシン修飾物や脂質酸化によるリジ
位などの複雑な多数の反応によって3-デオキシグルコソン
7,8)。実験的動脈硬化病変における組
(3-deoxyglucosone: 3DG)、グリオキサール(glyoxal)、メチルグリ
織化学検討ではCRP陽性の炎症反応部位に一致してHELや
オキサール(methylglyoxal)など反応性の高いジカルボニル
38)。食による健康維持・増進あるいはアンチ
(dicarbonyl)化合物を産生する。また、メチルグリオキサールは解
エイジングのバイオマーカーとして、これらの付加修飾物が活用
糖経路から 42)、3-deoxyglucosoneはフルクトサミン3-キナーゼか
できる可能性がある。この場合、疾病患者のみならず健常者も
ら 43)、グルコースの酸化からグルコソンやグリオキサールが 44)、
対象とするため、尿などの非侵襲的検体採取が望ましい。
グリコールアルデヒド(glycolaldehyde)は活性化した好中球が産
これまで酸化ストレスマーカーの微量検出定量はLC/MS/MS
生するミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase)より次亜塩素
などの質量分析器やELISAにより行ってきた。これら既存の方法
酸を介して生成する経路も知られている。これらジカルボニル及
は高感度が高い点(LC/MS/MS)や汎用性が高い点(ELISA)な
びカルボニル化合物は生体蛋白と迅速に反応し、最終産物であ
どが優れているが、一方で高額な測定機器や煩雑な前処理又
るAGEsを生成する 45)。この化学反応は生体蛋白の不可逆的な
は100μl程度のサンプル量を必要とする欠点がある。最近では
翻訳後修飾・変性機構の一つである。
アゾポリマーのコーティングによりガラススライドに特異抗体を固
AGEsは単一の物質ではなく、糖化反応による最終生成物の
総称で、カルボキシルメチルリジン(N ε -carboxymethyllisine:
ン修飾物が増加している
dityrosineを認める
定化するプロテインチップの開発が進んでいる。この手法は数
CML) 46)、ペントシジン(pentosidine: Pent) 47)、ピラリン(pyrraline)
48)、クロスリン(clossline) 49)、GA-ピリジン(GA-pyridine) 45)、Nε
μlの尿や血清試料で測定可能かつ多検体処理が可能のため、
簡便に酸化ストレスを評価できると期待している。
-carboxyethyllysine(CEL)
50)、Nω-carboxymethylarginine(CMA)
51)、 フ ロ イ ル フ ラ ニ ル イ ミ ダ ゾ ー ル ( 2 - ( 2 - f u r o y l ) - 4 ( 5 ) -
・糖化と抗糖化
(2-furanyl)-1H-imidazole)など多数の化合物が同定されている
糖と蛋白質が非酵素的に結合する反応はメイラード反応(以後
52)。AGEsを同定するために様々な抗体が開発され 10,53)、これら
糖化反応と呼ぶ)とよばれ、その後期産物としてAGEsを生成す
を用いて糖尿病性腎症患者の腎糸球体組織硬化部
る
11)。生体中の糖化反応によるAGEsの生成は、老化を促進さ
54)や腎動
脈 55)にAGEsの存在が確認されている。
せる危険因子の一つであり、糖尿病合併症の成因になる 39-41)。
AGEsが糖尿病合併症を進展させる機序については、細胞内
高血糖条件下では蛋白質のアミノ基とグルコースのアルデヒド基
蛋白質のAGEs化に伴う機能障害、AGEsの組織内蓄積による臓
が、非酵素的に結合して可逆的なシッフ塩基(Schiff base)が形成
器障害およびAGEs受容体(receptor for AGEs: RAGE)を介し
される(Fig. 5)。シッフ塩基はアマドリ転位(Amadori rearrangement)
た関与
によって安定なアマドリ化合物となり、その後脱水、縮合、酸化、転
糖化反応は蛋白質の架橋形成を進行させて弾力低下を起こし、
( 6 )
56)があげられる。また皮膚コラーゲンや角質層における
Fig. 5. Maillard reaction and advanced glycation endproducts (AGEs)
57)。さらに、加齢に
る。aminoguanideine は数々ある糖化反応経路中の1中間生成物
58)と共に、糖尿
である3DG分子内のカルボニル基を封鎖し、以降の反応を止める
病患者の皮膚、爪、髪中の糖化蛋白(glycated protein)量が、非
ようにデザインされた物質で、糖尿病性網膜症 62)、腎症 63)、動脈
糖尿病患者と比べて多いことが報告されている 59)。
硬化症 64)などへの有効性が示されている。またaminoguanideine
眼科領域においても糖尿病眼合併症としての網膜症や角膜症、
aminoguanideineは心臓への容量負荷や心不全が原因で生じる
眼の加齢性変化としての白内障、瞼裂斑、spheroid degeneration、
AGE化コラーゲンの架橋形成を抑制する 65)。
黄班変性症において、AGEsおよびD型アミノ酸を豊富に含んだ蛋
これらのAGEs生成阻害剤が糖尿病性腎症や網膜症の発症を
白質が凝集している 60)。さらにAGEやD型アミノ酸を豊富に含ん
遅延させることから、AGEsは単なる老廃物ではなく、これらの病
だ蛋白質は、立体構造が変化することによって蛋白質本来の機
因である可能性が高く、創薬の標的分子として注目されている。
能を果たすことができない。すなわち糖尿病などの生活習慣病
しかしaminoguanideineの投与には貧血、自己抗体の出現、肝機
に伴う眼合併症と眼の加齢性変化の原因は、眼を構成するアミ
能障害などの副作用が報告されている 66)。さらに安全で有効濃
ノ酸や原子レベルでの変化にまで及んでいることがわかる。生活
度の低い抗糖化物質(AGEs生成阻害物質)の開発が望まれて
習慣病に伴う眼合併症や眼の加齢性変化はAGEsあるいはD型
いる。
アミノ酸生成といった翻訳後修飾を受けた蛋白質の沈着病とし
天然物中の抗糖化物質としては、茶葉(tea leaf) 67)、ハーブ
て捉えることができる 60)。
68,69)、生薬(oriental
老化を進展させる要因の1つになっている
伴って皮膚コラーゲン中のAGEs量は増加する
medicines) 70)での存在が報告されている。
カモミールAnthemis nobilis (Chamomile: flower, AN)、西洋サン
ザシCrataegus oxyacantha (Hawthorn: berry, CO)、ドクダミ
・抗糖化物質
Houttuynia cordata (whole plants, HC)、ブドウ葉Vitis vinifera
高血糖状態による過剰なAGEsの形成、蓄積を阻害する目的
(Grape: leaf, VV)の混合ハーブエキスはAGに匹敵するAGEs生
ではaminoguanideine 61) やbenfotiamnie 42) の効果が研究されてい
成阻害活性を有する 41,71)。また、オウギ(Astragalus Radix)より
( 7 )
酸化ストレスマーカー
単離されたAstragaloside類は、酸化依存性AGE構造である
胞からのコレステロール搬出に関与するが、AGEがSR-BIに結合
CML及びpentosidineを顕著に抑制することが明らかとなり、今後
するとこれらの機能が抑制される
の生体における有効性が期待される 72)。
した血中AGEは、SR-BIを介したコレステロール転送系の阻害に
76)。従って糖尿病状態で増加
より、動脈硬化の進行を促すことが予想されている。
・AGE受容体と糖脂質代謝
これまで生体におけるAGEs生成は主にグルコースにより長期
的に生成すると考えられていたが、最近では蛋白修飾性が高い
アルデヒドが関与することが明らかになった。アルデヒドは解糖
おわりに
系、炎症反応、酸化反応から生じ、迅速にAGEsを生成し、糖脂
質代謝にも様々な影響を及ぼす 73)。高血糖状態の脂肪細胞で
アンチエイジングの観点から抗酸化療法への期待は大きい。
はフマル酸による翻訳後修飾経路が顕著であることが明らかに
巷には機能性食品やサプリメントに関する情報が氾濫している
されている 9)。
が、論文など検索する限り医学的証拠は十分ではない。
AGE受容体についても新たしい知見が広がりつつある。マクロ
また自己の抗酸化能力をあげるための生活習慣を改善するこ
ファージの存在するmacrophage scavenger receptor class A
とは、サプリメントに頼る前に実践すべきであろう。これらの抗酸
(SR-A)はAGE受容体としても機能している 74)。肝臓の類洞内皮
化療法が健全な形で広がるためには酸化ストレスマーカーを確
細胞にはSR-A以外にも、酸化LDL受容体として知られるCD36
立することが重要である。現在ばらばらに行われている臨床試験
75)
についても、将来的な大規模メタアナリシスを視野にいれたデー
およびHDL受容体として知られるクラスB・I型スカベンジャー
受容体SR-BI 76) はAGE受容体としても機能する。SR-BIはHDL
タの蓄積が重要である。
コレステロールエステルの肝細胞への選択的取り込みや末梢細
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