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"花のソコが知りたい!" vol.29 クレマチス編
春から秋にかけて優雅に愛らしく咲き誇るクレマチス。来歴にもよりますが咲き方も 様々で色彩豊かです。 今回の花のソコ知りは数ある品種の中から、観賞用品種に特化した形で“クレマチス” に迫ります。 M E M O キンポウゲ科 センニンソウ属 学名:Clematis 和名:センニンソウ(仙人草) ☆☆☆名前の由来☆☆☆ ギリシア語で蔓(かずら)を意味 する “klema” に由来するとされています。 つる性植物の性で、自立しない事 から、植栽も生垣や花壇等支柱を 用いた場所に限られていました。 しかし無支柱品種の開発以降徐々 に活躍の場を広げています。 “蔓(かずら)性植物の女王” なる称号も存在します(英国等) 主な産地 長野・岡山 ※福島・香川・福岡他。 ※最近はアフリカ中部タンザニアからの入荷も。 園芸分類と、市場流通されている主な品種 フロリダ(テッセン) 一般的に中国原産の種を指している。国内では本州中部 以南で見られる。5月中盤以降に開花する。テッセンの 名は茎が細く硬めである事に由来している。古くは江戸 時代の文献にもこのグループの記載が見える。 白万重 ジャックマニ- 英国ジャックマンにより1860年代に誕生。由来は彼の名から。やはり 現代の園芸品種への影響が大きい。開花期も5月頃から秋までと幅広い。 ピンクファンタジー ニオベ ロココーラ インテグリフォリア ヨーロッパほぼ全土からアジア、北米にかけた広い地域に自生している。 開花期は春から秋にわたり四季咲きの性質を持つ。中・小輪花の代表的な グループである。 デュランディー 篭口 アラベラ パテンス(カザグルマ) 日本国内の広範囲及び朝鮮半島に自生し、夏前に花を つける。白や青、或いは淡紫の花をつけるものが多く 季咲の性質が強い。 ラヌギノーサグループと共に現在の園芸品種に大なり 小なり影響を与えている。一重及び八重タイプで品種 構成も豊富。 花炎(Y) キリテカナワ(Y) 藤娘 カルセドニー(Y) ベルオブウォキング(Y) テキセンシス やはり現代の園芸種を代表するグループ。開花は釣鐘状で赤や紫の 花をつける為、 “ベルテッセン”なる呼び名も品種により存在する。 原産は北米説が有力である。 テキセンシススカーレット テキセンシスパープル テキセンシスレッド ラヌギノーサ 中国東部(寧波・ニンポウ)の原産とされるものの 明らかならず。英名の一部にこの地名が見える。 紫や青の花を 5~6月以降つける。 現在の園芸種に影響を与えているグループの一つで 四季咲性。 HFヤング クレマチスの生育・流通まで クレマチスの生育過程は、品種あるいは前述のグループにより若干異なります。 ここでは主な品種の一例を見てみます。 【デュランディーの場合】 挿し木 5~7 月頃 育苗に1年半余 定植 晩秋・初冬 株を養生(1年半)生育1年 収穫! 3年目 長野県の生産農家のハウスの風景 以上が品種を特定した生産ルーティンを簡略図にしましたが、他のグループ及び品種に ついても挿し木の時期や養生・生育期間に若干の差異はあるものの、大きく変わる事は 無いようです。 【クレマチスの特徴】 ★耐寒性に優れている。 ★日照を好むが高温多湿は、 生育を阻害する為避けたい。 ★土質を選ばず。 ※無論保水性良く有機質 である事がベスト。 ★根付けば同じ株で数年以上 収穫可能です。 ★水をよく吸います。枝切り 後は特にたっぷりと。 日本人の“侘び・寂び”等の風流あるいは 雅の境地を演出する茶道で、クレマチスは “茶花”としても、江戸時代から珍重され ており海外でも様々なステージで活躍して います。 今回は切花を中心に見ましたがつる性植物 の特性上、鉢物の生産も早くから行なわれ てきました。以前は“ドクターラッペル” 他の特定の品種に偏っていましたが最近は 切花同様、品種構成も増えてきているよう です。 最後に、産地に聞いてみました。 【クレマチスの選び方】ベルテッセン編 1.頂点・わき枝にしっかり花をつけるもの。 2.葉の小さいもの(トレンドです)。 3.頂点わきの枝がある。 ※ 他に、花の小さいもののほうが比較的花もちがよいようです。 今回、紹介したもの以外にも様々な品種・グループが存在します。それにあわせて 鑑賞・選別方法がありますので皆さんも探してみてください。 これから夏・秋に向けまさに旬を迎えつつあるクレマチス。儚げで一途な花姿は心 を癒し我々を魅了する事請け合いです。 出荷も今後ピークを迎えつつありバリエーション豊かとなるクレマチスを皆様の 身近に如何でしょうか。 【協力】渋谷花卉園芸 様 【参考文献】 花屋さんが知っておきたい花の辞典 宇田 明・桐生 進 著 最新園芸大辞典 3 C 誠文堂新光社 刊 農業技術体系 花卉編 9 宿根草 農山漁村文化協会 刊 (株)大田花き 品質カイゼン室