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CIDIR
Annual Report
2011-2012
2012.6.1
東京大学大学院情報学環附属 総合防災情報研究センター
Center for Integrated Diaster Information Research,
Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo
表紙裏
第 3 回東京大学本部防災訓練(2011.12.21)
ライフライン・マスコミ連携講座(第 28 回 2011.12.1)
外部中間評価委員会(2011.6.9)
-口絵写真 1-
3.11net 東京 定期連絡会
実験室等への緊急災害情報端末の設置
東北地方太平洋沖地震の現地調査
(2011.6.15 大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター裏手にて)
インドネシアにおける地震火山の総合防災策
(2011.10.22 ケルート火山付近の避難訓練会場にて)
-口絵写真 2-
■はじめに
平成 23 年度は、4年目を迎えた CIDIR にとって“選択と集中“を目指し、首都直下地震像
の解明へと大きく舵を切る年だった。この目的を十分に果たせたとは言い難いが、研究活動面
ならびに組織運営面で特記すべき事項のあった 1 年と言えよう。
第 1 に、中間評価である。3 年目の折り返しを迎えた時点で自己評価と今後の研究方針を立
て、4 年目、5 年目に向けて着実な研究運営を行うことを目的に外部中間評価を受けた。昨年
の年報にも触れたとおり、東日本大震災の発生によって延期していたが、6 月 9 日の開催にこ
ぎ着けた。外部中間評価委員会では、ご多忙にもかかわらず各委員にご出席を頂き、貴重なご
指摘を受けた。詳しくは、本年報の CIDIR 外部中間評価委員会の項を参照頂きたいが、冒頭の
“選択と集中”という表現もそのひとつの方針だったと受け止めている。
第2に、東日本大震災への対応だった。CIDIR メンバーは個々にも多様なプロジェクトに巻
き込まれていったが、組織としては特別教育研究費によるプロジェクトの一環として、国立大
学および私立大学の震災対応調査などを実施した。その一方で、CIDIR の中核的研究テーマで
ある災害情報と避難とに関する実態調査は、聞き取り調査を行ったが、量的な調査は国の住民
調査の設計と分析に協力する形を選択した。調査公害とも言われる調査の乱立を防ぐ上での判
断だった。
第3に、幾つかの研究プロジェクトが最終年度を迎えた年でもあった。組織としては、平成
21 年度から継続してきた国土技術政策総合研究所から受託していた「水害時の状況に応じた避
、ならびに JST-JICA「地球規模課題対応国際科学技術
難及び避難情報提供に関する調査研究」
協力:防災研究分野「開発途上国のニーズを踏まえた防災科学技術」領域「インドネシアにお
ける地震火山の総合防災策」の2つである。いずれも多くの研究成果が得られたプロジェクト
であり、その成果を踏まえて新たな研究プロジェクトを開拓していく必要がある。
以下、CIDIR の活動について平成 23 年度分をとりまとめた。ご高覧の上、今後ともご教示、
ご鞭撻のほどをお願い申し上げる。
東京大学大学院情報学環
附属 総合防災情報研究センター長
田中 淳
CIDIR 年報 2011-2012
目
次
■はじめに
■目次
1. CIDIR Chronicle (2011.4-2012.3)
・・・・・・・ 1
2.CIDIR の目的・組織
・・・・・・・ 8
2.1 目的とミッション
・・・ 8
2.2 組織体制
・・・ 9
2.3 情報学環総合防災情報研究センター運営委員会
・・・ 10
3.CIDIR 外部中間評価委員会
・・・・・・・11
4.CIDIR 教育活動
・・・・・・・19
4.1 災害情報論Ⅰ
・・・ 19
4.2 災害情報論Ⅱ
・・・ 20
4.3 2011 年度全学自由研究ゼミナール
・・・ 21
「災害と情報:災害大国を生き抜く」
5.CIDIR 活動報告
・・・・・・・23
5.1 東日本大震災における仙台生活支障調査
・・・23
5.2 東日本大震災前後での緊急地震速報に関する
住民意識の変化に関する調査
・・・25
5.3 東日本大震災後における大学の対応に関する調査
・・・27
5.4 東日本大震災における大学生の行動に関する調査
・・・29
5.5 デジタルサイネージに関する調査
・・・31
5.6 東京大学災害情報横断ネットワークと
防災研究者ネットワークの活動報告
・・・33
5.7 特別教育研究経費
「災害緊急情報を活用した大学防災情報システムの開発」の進捗 ・・・35
5.8 学内ネットワークによる緊急地震速報の提供開始
・・・38
5.9 緊急災害情報端末(防災情報板)の
実験室等での利用開始について
・・・39
5.10 緊急地震速報の放送技術に関する研究と
緊急地震速報の放送設置の開発
・・・43
5.11 IT 強震計による学内建物地震観測
ネットワークの構築とデータ提供
5.12 CIDIR 災害情報調査アーカイブスの更新
・・・45
・・・50
5.13 災害情報の認知度や防災意識の動向に関する定期的調査
(CIDIR 定点調査)
・・・52
5.14 インドネシアにおける地震火山の総合防災策
・・・56
5.15 インド工科大学ハイデラバード校等との共同研究の2年目
・・・59
5.16 東京大学本部防災訓練と CIDIR の協力
・・・60
5.17 ライフライン・マスコミ連携講座
・・・62
5.18 IT 強震計コンソーシアム・IT 強震計研究会 活動報告
・・・63
6.CIDIR 研究報告
・・・・・・ 66
6.1 災害用語に関する実験結果(田中淳)
・・・66
6.2 噴火災害に備えた避難システムの
実効性向上に関する研究(田中淳)
6.3 東日本大震災時の情報行動調査の概要(橋元)
・・・70
・・・72
6.4 東日本大震災での企業による緊急地震速報の
利用状況に関する調査(大原)
6.5
・・・74
2011 年 9 月台風 12 号での香川県内における
エリアメールによる情報伝達の実態調査(大原)・・・76
6.6 東日本大震災のマスコミ報道の分析(目黒・沼田*)
・・・78
6.7 東日本大震災後の学会などの活動調査(目黒・大原)
・・・80
6.8 地震―津波同時シミュレーションの開発(古村)
・・・82
6.9
・・・84
1605 年慶長地震における八丈島の津波高の再評価(古村)
6.10 住宅を対象とした地震観測網の
構築に関する予備的研究(鷹野)
・・・88
6.11 IT 強震計による学内地震速報伝達システム
(ベータ版)の開発(鷹野)
6.12 2011 年ブリスベンの水害生活困難調査(地引)
7.委託研究・共同研究・奨学寄附
・・・89
・・・91
・・・・・・93
7.1 委託研究
・・・93
7.2 共同研究
・・・94
7.3 奨学寄附
・・・95
8.CIDIR の出版物等
・・・・・・ 96
8.1 ニュースレター
・・・96
8.2 ホームページ
・・・97
9.個人業績
・・・・・・98
9.1 田中淳センター長、教授
・・・98
9.2 鷹野澄副センター長、教授
・・・101
9.3 目黒公郎教授
・・・103
9.4 古村孝志教授(流動)
・・・114
9.5 橋元良明教授(兼任)
・・・118
9.6 田中秀幸教授(兼任)
・・・119
9.7 大原美保准教授(流動)
・・・121
9.8 地引泰人特任助教
・・・125
9.9 前田拓人特任助教
・・・125
■資料
1.テレビ・報道一覧
・・・・・・128
2.新聞・雑誌記事掲載一覧
・・・・・・130
3.CIDIR について
・・・・・・140
3.1 CIDIR の概要
・・・140
3.2 CIDIR 規約集
・・・143
■About CIDIR
■付録 外部中間評価委員会資料
・・・・・・145
CIDIR
Annual Report 2011-2012
1.CIDIR Chronicle
(2011.4-2012.3)
年報ページ
【2011 年】
4月1日
日本政府、東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所事故による災害の呼称を「東日本
大震災」に
4月8日
遠野市にて復興に関する現地ヒアリングを実施(田中センター長、4 月 27 日遠野市・大槌町で同
様のヒアリング実施)
4月7日
宮城県沖で M7.1・最大震度 6 強の地震が発生(東北地方太平洋沖地震の余震)
*死者 4 名・負傷者多数、全壊 4 棟・半壊 1 棟・全焼 3 棟・一部損壊 94 棟等
(5 月 6 日緊急災害対策本部)
4 月 7 日~9 日 岩手県釜石市・宮城県仙台市などで被災地現地調査を実施(地引特任助教)
4 月 11 日~4 月 14 日
目黒教授、米国研究者(米国地震工学会、太平洋地震工学研究センター)を連れ、
「東
日本大震災」の現地調査
4 月 11 日
福島県浜通りで M7.0・最大震度 6 弱の地震が発生(東北地方太平洋沖地震の余震)
*死者 5 名・負傷者 12 名、住家全壊 3 棟、半壊 2 棟、一部損壊 1 棟(5 月 10 日緊急災害対策本部)
4 月 12 日
福島県浜通りで M6.3・最大震度 6 弱の地震が発生(東北地方太平洋沖地震の余震)
*負傷者 5 名(5 月 10 日緊急災害対策本部)
4 月 12 日
原子力安全・保安院、福島第一原子力発電所事故の評価を国際原子力事象評価尺度のレベル 7
(深刻な事故)に引き上げ
*3/11 日当初のレベル(局所的な影響を伴う事故)から修正、3/18 レベル 5(広範囲な影響を伴う
事故)に
4 月 14 日
田中センター長、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授会で講演:
「学生・教職員の身を守るために」
4 月 22 日 原子力災害対策特別措置法に基づき、福島第一原子力発電所から半径 20km 圏内が警戒区域に
4 月 27~28 日 アメリカ合衆国アラバマ州など南部で竜巻が発生、死者 350 名(4 月 30 日 AFP)
5 月 2 日~8 日 目黒・大原研究室、地域安全学会の活動の一環として、仙台市宮城野区の建物被災度判定業
務支援
5月6日
日本政府、浜岡原子力発電所の運転停止を中部電力に要請
5 月 20 日
目黒教授、市町村アカデミーにて講演:「災害対応力の強化と現在-地震-」
5 月 22 日
福島県南相馬市にて東日本大震災に係る現地ヒアリングを実施(田中センター長)
5 月 28 日
田中センター長・古村教授、東京大学第 84 回五月祭「メーデー:東日本大震災特別講座」にて
講演:
*「災害の被害者から支援者へなるために」
(田中センター長)
1
CIDIR
Annual Report 2011-2012
*「スパコンで検証、東日本大震災の強い揺れと津波・そして防災」
(古村教授)
5 月 28 日
田中センター長、東京大学「EMP 特別フォーラム―震災とこれから―」にて講演:
「今回の震災について」
6月2日
第 22 回ライフライン・マスコミ連携講座:「ライフライン・マスコミ連携講座
2011 年度―首都直下:東日本大震災から見直す―」
・・・62
6月3日
目黒教授、駒場リサーチキャンパス公開にて講演:
「地震大国日本の地震頻発期を生き抜くために」
6月9日
CIDIR 外部中間評価委員会を実施
・・・11
6 月 10 日~11 日 宮城県東松島市・女川町にて東日本大震災に係る現地調査を実施(田中センター長)
6 月 11 日
大原准教授、災害・復興と男女共同参画 6.11 シンポジウムにて講演:
「東日本大震災における男女共同参画の視点で見た課題」
6 月 15 日~16 日 岩手県遠野市・大槌町にて現地調査を実施(田中センター長・地引特任助教)
6 月 16 日
目黒教授、平成 23 年度 APPLIC 総会にて講演:
「総合的な防災力を向上させる情報マネジメントのあり方と課題」
6 月 18 日
田中センター長、社会情報学会(JASI)第 129 回定例研究会にて講演:
「東日本大震災にみる災害情報」
6 月 22 日~28 日
インドネシアにおける地震火山の総合防災策プロジェクトに関する調査結果報
告およびメラピ火山視察(田中センター長・地引特任助教)
・・・56
6 月 28 日
目黒教授、緊急地震速報利用者評議会にて講演:「緊急地震速報の効果的な利用法について」
6 月 30 日
長野県中部で M5.4・最大震度 5 強の地震が発生、重傷 2 名・軽傷 13 名(7 月 4 日総務省消防庁)
7月5日
鷹野教授・目黒教授、東京大学安全の日講演会にて講演:
「緊急地震速報:その仕組みを知り防災に活かすには」
(鷹野教授)
「地震時の室内の安全性を確保するために―効果的な家具の転送防止について―」
(目黒教授)
7月7日
第 23 回ライフライン・マスコミ連携講座:
「計画停電で何が起きたか?」 ・・・62
7 月 13 日~14 日 岩手県大槌町・遠野市にて東日本大震災に係る現地調査を実施
(田中センター長・地引特任助教)
7 月 13 日
気象庁、高温注意情報を提供開始
7 月 18 日~21 日 平成 23 年台風第 6 号により、死者 2 名・行方不明1名等(7 月 28 日総務省消防庁)
* 19 日、高知県魚梁瀬で日降水量 851.5mm、国内観測史上 1 位を記録
7 月 22 日
目黒教授、アキバテクノクラブオープンセミナーにて講演:
「東日本大震災以降の防災まちづくり」
7 月 26 日~ フィリピンで台風 8 号(Nock-Ten)による洪水・地滑りが発生、死者 52 名(7 月 31 日 AFP)
7 月 26 日~29 日 韓国で豪雨により洪水害等が発生、死者 59 名(7 月 31 日 AFP)
7 月 27~30 日
平成 23 年 7 月新潟・福島豪雨
*27 日 12 時から 30 日 24 時までの総雨量、
福島県只見で 680.0mm、
新潟県加茂市宮寄上で 623.5mm
を記録
2
CIDIR
Annual Report 2011-2012
* 死者 4 名・行方不明 2 名・重傷 1 名・軽傷 9 名、住家全壊 21 棟、床上浸水 1,809 棟・床下浸水
7,480 棟等
*福島県 150 世帯・新潟県 6,030 世帯に避難指示、福島県 2,571 世帯・新潟県 147,484 世帯に避難
勧告(8 月 4 日内閣府)
7 月 28 日
田中センター長、第 27 回大学等環境安全協議会技術分科会にて特別講演:
「大学における災害対策について」
7 月 29 日
目黒教授、Japan-China Joint Workshop on Accident Prevention and Disaster Mitigation Policy
にて講演:
「Earthquake Safer Non-Engineered Houses by Technological and Social Approaches」
8月1日
目黒教授、International Student Symposium on Civil Infrastructure, AIT, Bangkok にて
講演:「Lessons learned from the 2011 East Japan Great Earthquake Disaster」
8月4日
第 24 回ライフライン・マスコミ連携講座:「千葉県内での 3.11 による被害と課題」
(浅尾班長(千葉県防災危機管理監防災危機管理課減災戦略班))
8 月 26 日
・・・62
古村教授、東京大学海洋アライアンスシンポジウムにて講演:
「東北地方太平洋沖地震の巨大津波の成因を探る」
8 月 30 日~9 月 6 日
平成 23 年台風第 12 号により紀伊半島を中心に広範囲で土砂災害・浸水害等が発生
*奈良県上北山で 72 時間降水量 1652.5mm を記録、国内観測史上 1 位を更新(9 月 7 日気象庁)
*死者 78 名・行方不明 16 名・重傷 28 名・住家全壊 371 棟・半壊 2,907 棟・床上浸水 5,657 棟等
(11 月 2 日内閣府)
*三重県熊野市・紀宝町、奈良県十津川村、和歌山県田辺市・新宮市・那智勝浦町で孤立状況発
生(9 月 7 日内閣府)
9 月1日
目黒教授、東京都庁セミナーにて講演:
「東京で大地震が起きたら ~東日本大震災以降のまちづくり~」
9月8日
第 25 回ライフライン・マスコミ連携講座:
「復旧作業で調整は?①」
「情報共有の課題①」
9 月 11 日
・・・62
田中センター長、日本社会情報学会 2011 年全国大会にて座長:
「自由論題Ⅲ-2:
(災害時の)情報の共有・地域情報1」
9 月 15 日~22 日
平成 23 年台風第 15 号により西日本から北日本にかけて土砂災害・浸水害・暴風害等が
発生
*死者 17 名・行方不明 1 名・重傷 29 名・住家全壊 13 棟・半壊 183 棟、床上浸水 1,801 棟・床下
浸水 5,071 棟等(11 月 2 日内閣府)
9 月 18 日
インド北東部ヒマラヤで M6.9 の地震が発生、死者 63 名(9 月 19 日 AFP)
9 月 24 日
田中センター長、日本認知学会第 28 回大会シンポジウムにて話題提供:
「科学技術社会のリスクに対処するために認知科学ができること」
9 月 25 日~27 日
奄美地方で大雨により、死者 1 名・住家全壊 4 棟・半壊 120 棟等(10 月 12 日鹿児島県)
9 月 25 日~27 日
八丈島にて慶長地震他、歴史地震津波の調査を実施(古村教授・前田特任助教)
3
CIDIR
9 月 30 日
10 月 6 日
Annual Report 2011-2012
田中センター長、東京大学「第3回クローネ交流会」にて講演:
「東日本大震災―突きつけた課題」
第 26 回ライフライン・マスコミ連携講座:
「復旧作業で調整は?②」
「情報共有の課題②」
10 月 8 日
・・・62
古村教授、筑波大学学園祭にて講演:「東北地方太平洋沖地震の謎に迫る 」
10 月 13~14 日
伊豆大島にて噴火警報時の対応と課題についてのヒアリングを実施
(田中センター長)
・・・70
10 月 13 日 鷹野教授、日本地震学会秋季大会(静岡)にて発表:
「IT 強震計でみた 3.11 の東大キャンパス建物の揺れ」
10 月 14 日 古村教授、日本地震学会秋季大会(静岡)にて発表:
「東北地方太平洋沖地震から考える南海トラフ地震4連動シナリオ」
10 月 15 日 古村教授、日本地震学会一般公開セミナーにて講演:
「東日本大震災から考える、東海地震への備え」
10 月 15 日 目黒教授、JSPS バンコクセミナーにて講演:
「Disaster Mitigation Systems considering Local Availablity, Applicablity and Acceptablity」
10 月 19 日 ミャンマー中部で暴風雨による洪水害が発生、死者 35 名・行方不明 71 名(10 月 23 日 AFP)
10 月 21 日~28 日
JST-JICA「インドネシアにおける地震火山の総合防災対策プロジェクト」に関する現地
調査を実施(田中センター長・目黒教授・地引特任助教)
10 月 23 日 トルコ東部で M7.2 の地震が発生、死者 596 名・負傷者 4,150 名以上(10 月 30 日 AFP)
10 月 24 日
古村教授、沼津市防災講座にて講演:
「東海地震の強い揺れと津波に備える~東日本大震災の発生を受けて~」
10 月 24 日
大原准教授、国立国会図書館にて講演:
「災害リスクを考慮した土地利用策および建物の耐震補強策に関する国際比較」
10 月 27 日
古村教授、国立大学附置研究所・センター長会議シンポジウムにて講演:
「東北地方太平洋沖地震-大津波と強い揺れの成因を探る-」
10 月 29 日
古村教授、国立大学フェスタ 2011 にて講演:
「東日本大震災から考える、南海地震巨大津波の可能性」
10 月 29 日 目黒教授、東京大学ホームカミングデー・情報学環講演会にて講演:
「災害レジリエンスの高い社会の実現を目指して」
10 月 29 日
地引特任助教、JST-JICA「インドネシアにおける地震火山の総合防災対策プロジェクト
Indonesia-Japan Workshop on Multi-disciplinary Hazard Reduction from Earthquakes
and Volcanoes in Indonesia にて発表(田中センター長、関谷客員研究員、Dicky
Pelupessy インドネシア大学 Lecturer と連名):「Disaster Warning and Evacuation
Behavior: the Case of Mt. Kelud in 2007」
10 月 29 日
・・・56
アメリカ東部で大雪により死者 3 名、Connecticut,New Jersey,Massachusetts,New York 州で
非常事態宣言(10 月 30 日 AP)
4
CIDIR
11 月 10 日
Annual Report 2011-2012
第 27 回ライフライン・マスコミ連携講座:「東日本大震災の概況と神奈川県の地震災
害対策の見直し」
(山本応急対策グループリーダー・春山情報通信グループリーダー(神奈川県))
・・・62
11 月 2 日~ 奄美地方で大雨による土砂災害・浸水害が発生
*鹿児島県古仁屋で最大1時間降水量 143.5mm を記録、同所観測史上1位を更新(11 月 2 日名瀬
測候所・鹿児島地方気象台)
11 月 3 日
タイで 7 月からの洪水害により、浸水地域がバンコク市内の 20%まで到達(11 月 3 日 AFP)
、死
者 506 名(11 月 6 日 AFP)
11 月 15 日
目黒教授、5th UN-CECAR International Conference in Tokyo にて講演およびパネリスト出演:
「Importance of Disaster Imagination」
11 月 18 日
地引特任助教、1st Asia-Europe Forum on Mthods and Perspectives of Risk Analyisis にて研
究成果を発表:"Tsunami Risk Perception facilitates Residents’ Evacuation?"
11 月 18 日
鹿児島県徳之島町で竜巻が発生、死者 3 名・全壊1棟等(11 月 28 日鹿児島地方気象台・名瀬測
候所)
11 月 20 日
茨城県北部で M5.3 の地震が発生、日立市で最大震度 5 強を観測、軽傷 1 名(11 月 21 日総務省消
防庁)
11 月 24 日
古村教授、インド国立地球物理学研究所(NGRI)にて講演:
「Strong ground motion and Tsunami
due to the great 2011 Tokyo Off Tohoku Mw9.0 earthquake derived from dense seismic/tsunami
observation and computer simulation」
11 月 26 日
目黒教授、東大駒場祭公開講演会にて基調講演:
「地震大国の大地震頻発期に生きる皆様へ
~自分と自分の大切なものをどうやって守るか?~」
~1 月 27 日 日本海側を中心に大雪による被害が発生、2011 年 11 月から 2012 年 1 月 27 日までに死者 4 名・
重傷 325 名等(1 月 27 日総務省消防庁)
12 月 1 日
第 28 回ライフライン・マスコミ連携講座:「防災気象情報のさらなる改善に向けて -
台風第 12 号災害を振り返りつつ-」( 村中予報課長(気象庁予報部)) ・・・62
12 月7日
目黒教授、国立シンガポール大学で開催された A Joint Workshop of the Science,Technology,and
Society(STS) Research Clusters of ARI and FASS of NUS and RISTEX,JST にて講演:
「Implementation of Disaster Resilient Built Environment based on the Lessons Learned from
Recent Disasters including the 2011 East-Japan Great Earthquake Disaster」
12 月 16 日
古村教授、消防庁第 14 回全国消防救助シンポジウムにて講演:
「東日本大震災から考える巨大地震・津波への備え」
12 月 16 日~ フィリピン南部で台風 21 号(Washi)による地すべり・洪水害が発生、死者 957 名等(12 月 20
日 AFP)
5
CIDIR
12 月 17 日
Annual Report 2011-2012
宮城県気仙沼市で避難の意志決定に対する地域規範の効果等に関する住民ヒアリングを実施
(田中センター長)
12 月 18 日~24 日 CIDIR 災害情報の認知度や防災意識の動向に関する定期的調査(第 3 回)を
実施
12 月 21 日
・・・52
東京大学本部防災訓練を実施(企画・運営)
12 月 26~27 日
・・・60
和歌山県・三重県で平成 23 年台風第 12 号災害に関する現地調査を実施(田中センター長・
関谷客員研究員)
12 月 31 日 インド南部でサイクロンにより Tamil Nadu 州を中心に死者 33 名等(12 月 31 日 AFP)
【2012 年】
1月1日
14 時 28 分、鳥島近海深さ 370km で M7.0 の深発地震が発生、神奈川から宮城で最大震度4の強い
揺れを観測(異常震域現象)
1月5日
第 29 回ライフライン・マスコミ連携講座:「防災訓練」
・・・62
1月5日
フィリピンの Mindanao 島 Pantukan 近郊の山間部で地すべりが発生、死者 25 名、行方不明約 150
名(1 月 6 日 AFP)
1 月 11 日頃 ブラジル南東部 Rio de Janeiro・Espirito Santo・Minas Gerais を中心に大雨による地すべり・
洪水害が発生、死者 33 名等(1 月 11 日 AFP)
1 月 11 日
香川県で平成 23 年台風第 12 号でのエリアメールによる水害情報伝達状況についての
ヒアリングを実施(大原准教授)
・・・76
1 月 20 日
田中センター長、日本私立大学連盟金曜会にて講演:「東日本大震災:防災計画の論点」
1 月 24 日
田中センター長、内閣府第 9 回全国都道府県・政令指定都市関係部長等会議にて講演:
「東日本大震災の教訓を生かした地域防災の在り方」
1 月 24 日
目黒教授、ネパール全権大使公邸での日本大使館防災特別講演会にて講演:「Total Disaster
Management System considering Local Availability, Applicability and Acceptability」
1 月 27 日
古村教授、慶応義塾大学-SONY 公開シンポジウムにて講演:
「統合研究による地震津波災害予測・軽減」
2月1日
秋田県仙北市の岩盤浴場で雪崩が発生、死者 3 名
2月2日
第 30 回ライフライン・マスコミ連携講座:「東日本大震災のマスコミ報道の基礎分析」
・・・62
2月5日
欧州で 1 月末からの寒波により 積雪・寒冷等の被害が発生、死者ウクライナで 122 名・欧州全域
で 260 人以上(2 月 5 日 AFP)
2月6日
フィリピン中部 Negros 島沖で M6.8 の地震が発生、死者 43 名等(2 月 7 日 AFP)
2月8日
佐渡付近で M5.7 の地震が発生、最大震度 5 強を観測、緊急地震速報(警報)発表
2 月 10 日
復興庁が発足
2 月 19 日
茨城県北部で M5.1 の地震が発生、最大震度 5 弱を観測、 緊急地震速報(警報)発表
6
CIDIR
2 月 21 日
Annual Report 2011-2012
田中センター長、目黒公郎教授、インドネシア大学で開催された Learning From Japan
4th Symposium 2012: Urban Society’s Vulnerability, Disaster Mitigation and Preparedness
in Indonesia and Japan にて講演:
(田中センター長)
「Tsunami Disaster」
「Lessons learned from Recent Natural Disasters in Japan -Towards Implementation of Safer
Built Environment」
(目黒教授)
2 月 29 日
3月1日
3月2日
アメリカ中西部で竜巻が発生、Illinois 州などで死者 9 名等(2 月 29 日 AFP)
第 31 回ライフライン・マスコミ連携講座:「仙台生活支障調査」
・・・62
目黒教授、読売新聞主催「首都直下地震への備えはどうあるべきか」を考えるシンポジウムにて
基調講演:「東日本大震災を踏まえた今後の地震防災対策のあり方」
3月5日
マダガスカルで 2 月末からの熱帯性低気圧(Irina)により、南東部を中心に死者 65 名(3 月 5 日
AFP)
3 月 10 日
茨城県北部で M5.4 の地震が発生、最大震度を 5 弱観測、緊急地震速報(警報)発表
3 月 11 日
田中センター長、フォス宮での日本・ポルトガル防災セミナーにて講演:
「From Japanese to Portuguese」
3 月 12 日
気象庁、桜島の火口周辺警報の切り替えを発表、警戒範囲を火口から居住地域近くまでに拡大
3 月 12 日
目黒教授、横浜市磯子区にて講演:「東日本大震災を踏まえた今後の地震防災対策のあり方」
3 月 14 日
三陸沖で M6.8 の地震が発生、最大震度 4 を観測
3 月 14 日
千葉県東方沖で M6.1 の地震が発生、最大震度 5 強を観測、死者1名・負傷者1名等
(3 月 15 日総務省消防庁)
3 月 18 日
田中センター長、2011 年度東京大学バリアフリーシンポジウム「大学の防災とバリアフリー」
にて話題提供:「災害被害者支援~大事な命を守るために~」
3 月 19 日
目黒教授、東京都水道局にて講演:「東日本大震災を踏まえて~私の考える『地震防災』~」
3 月 21 日
気象庁、桜島の火口周辺警報の切り替えを発表、警戒範囲を昭和火口及び南岳山頂火口から概ね
2km に縮小
3 月 25 日
古村教授、日本化学会第 92 春期年会市民公開講座にて講演:「東日本大震災と巨大津波」
3 月 27 日
岩手県沖で M6.4 の地震が発生、最大震度 5 弱を観測、緊急地震速報(警報)発表
3 月 27 日
目黒教授、土木研究所-東京大学生産技術研究所共同講演会にて講演:「今後のわが国の防災に必
要と考えている大きな方向性や視点について」
3 月 29 日
田中センター長、大島町防災講演会にて講演:「東日本大震災に学ぶ」
7
CIDIR
Annual Report 2011-2012
2.CIDIR の目的・組織
2.1
目的とミッション
CIDIR は、5つのミッションを果たすべく設立された。
ミッション1については、本年報の活動報告以下にも紹介したように、「c.緊急地震速報の
社会的利用策」ならびに「d.防災情報受容促進策」とを中心に展開した。
ミッション2については、東日本大震災時の仙台生活支障調査を実施し、また災害経済研究
会の開催に向けて準備会合を持つなどの活動を行った。
ミッション3については、国立大学および私立大学の防災対応の調査や東京大学本部防災訓
練の支援とともに、特別教育研究経費を用いて、学内強震計の展開と携帯端末への配信試行版
の開発を行った。
ミッション4については、防災研究者ネットワークに向けての学内防災研究者データベース
の改良を行った。
ミッション5については、平成 23 年度から、教養学部全学自由研究ゼミナールを新たに開
講した。
H20 H21 H22 H23
ミッション1:災害情報の生産ー伝達ー受容過程の解明:
予定
a. 災害情報調査研究アーカイブス
実績
b. 東大災害情報横断データベース
c. 緊急地震速報の社会的利用策
d. 防災情報受容促進策
ミッション2: 首都直下地震災害の全体像
ミッション3:大学SCMモデルの開発
a. 東大の人材と資源を守る防災情報研究
b. 学内強震観測システムによる防災対策
c. 大学SCMの作成と運用
ミッション4:防災制度の設計と運用に関する研究
a. UTオープン・パネル
b. 耐震化普及の総合的研究
ミッション5:災害情報教育の実施とプログラム開発
a. 災害情報教育プログラム
b. ライフライン・マスコミ連携講座
>>>>> >>>>>
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
>>>>>
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
上段
は設立時の研究計画
下段
は実際の実施状況
図 2.1.1 CIDIR のミッションと達成状況
8
■ ■ ■ ■
CIDIR
2.2
Annual Report 2011-2012
組織体制
組織面では、特任教授のポストが 1 名減となり、8 名体制となった。その中で、東日本大震
災への研究的ならびに社会的活動に加えて、大学の防災体制への反映と、多様な活動を展開す
る必要に迫られた。
このことを受け、次年度に時限を迎える基幹教授のポスト確保に加えて、
「平成 25 年度 教
員採用可能数再配分」に 3 ポスト増で要求を出した。結果は現時点では不明であるが、いずれ
にせよ不足している領域は CIDIR 外の研究者と連携を図りながら、防災研究のハブとしての
機能を果たしていくことが重要である。
表 2.2.1
氏名
構成員
職位
専門
田中
淳
センター長,教授(2008.4~)
災害情報・社会心理
鷹野
澄
副センター長,教授(2008.4~)
情報地震学
目黒 公郎
教授(2010.4~)
都市防災マネジメント
橋元 良明
教授(兼任,2008.4~)
情報社会心理学
田中 秀幸
教授(兼任,2008.4~)
ネットワーク経済学
古村 孝志
教授(流動,2008.4~)
地震シミュレーション
大原 美保
准教授(流動,2008.5~)
防災管理工学
地引 泰人
特任助教(2010.7~)
国際関係論・人道支援
前田 拓人
特任助教(2011.4~)
地震波解析・シミュレーション
9
CIDIR
2.3
Annual Report 2011-2012
情報学環総合防災情報研究センター運営委員会
情報学環総合防災情報研究センター運営委員会は、平成 19 年 10 月 12 日付け大学院情報学
環教授会決定の「情報学環総合防災情報研究センター運営委員会規則」に基づき運営されてい
る。運営委員会は、情報学環、地震研究所及び生産技術研究所の各部局長及び各部局から選出
された委員各 1 名の合計 6 名をもって組織されている。運営委員会委員のうち、部局選出委員
は、2011 年 4 月 1 日現在で以下の 3 名である。
大学院情報学環
橋元良明教授
地震研究所
纐纈一起教授
生技術産研究所
古関潤一教授
【総合防災情報研究センター運営委員会の記録】
第 1 回 総合防災情報研究センター運営委員会(持ち回り)
日時 2011 年 11 月
議題 再配分申請に関する基本方針
第2回 総合防災情報研究センター運営委員会(持ち回り)
日時 2011 年 12 月
議題 再配分申請書案について
10
CIDIR
Annual Report 2011-2012
3.CIDIR 外部中間評価委員会
CIDIR は 2011 年 3 月で 3 年を経ることから、外部中間評価委員会を開催した。
CIDIR は、
学問横断型の研究を行う新たな研究組織であり、則るべき伝統も、参照すべき範例もない。常
に、課されたミッションに挑戦し、社会に成果を問うて行くべき組織である。したがって、通
常には 5 年を目途に実施されることの多い外部評価を 3 年目で実施し、
3 年間の活動と 4 年目、
5 年目の活動予定を、広い視野で評価を受け、間違うことなく進むための座標を得ることとし
た。
外部評価委員として、学術面、社会貢献面から 4 名に依頼した。学術面からは、日本の防災
研究をリードする京都大学防災研究所所長を務められ、CIDIR 設立に一石を投じられた河田惠
昭関西大学理事・社会安全学部長、および日本の災害情報研究の泰斗である吉井博明東京経済
大学コミュニケーション学部教授に評価をお願いした。社会貢献面からは、組織の安全対策に
一貫して取り組んでこられた小縣方樹東日本旅客鉄道株式会社副社長、および防災リスクマネ
ジメント Web 編集長として長年にわたり防災情報の現場から発信に取り組んでこられた中川和
之時事通信社山形支局長にお願いした。
外部中間評価は、CIDIR で策定した自己評価と課題ならびに改善方策報告書を事前に送付し、
それぞれ評価の主担当、副担当を依頼した。なお、自己評価と課題ならびに改善方策報告書は
巻末に添付した。
外部中間評価委員会は、2011 年 6 月 9 日に福武ホール応接室にて開催した。当初、3 月 17
日に予定をしていたものが、3 月 11 日に東日本大震災が発生し各委員の災害対応を優先して
頂くために、延期していた。日程変更に伴い、小縣委員は、ご多忙の折、日程が合わず、委員
会に先立つ 6 月 6 日に事前にご意見を頂いた。
委員会は、
午前 10 時から 12 時までの 2 時間にわたり開催された。
石田学環長の挨拶を受け、
座長として河田惠昭委員が選任された。その後、CIDIR からミッション毎の実績と自己評価、
改善方針を説明し、質疑がなされた。
質疑は、東日本大震災の発生もあり、防災研究の理念から具体的な研究評価まで、広い範囲
にわたり、活発になされた。事前評価および外部中間評価委員会における討議を踏まえ、外部
中間評価が取りまとめられた。
詳しくは 13 ページめ以降に付した外部中間評価の通りであるが、ここでは、そのうち全体
の方針にかかわる部分について概要をまとめる。
まず、設立から現在までの CIDIR の活動の全般について、組織や研究領域形を作りながら
設立目的に沿った活動をしてきているが、もっと高いレベルでの総合的な活動を期待するとの
評価を受けた。そのために、限定的で、総合化できる体系となっていない現在の各プロジェク
トの相互関係を「見える化」して、何を目指しているかをもっと具体的に提示する必要があると
11
CIDIR
Annual Report 2011-2012
ともに、CIDIR の特徴である社会科学系研究者の強化を早急にはかる必要があるとの指摘を受
けた。
また各ミッションを果たしていく上で、技術的限界がある災害情報の活用を図るためにこれ
まで対象としてきていないテーマの洗い出しと解析手法をオール東大の力を有効に活用して
提示していく必要がある。その際に、3.11における課題の分析をすべきであるし、研究に
際しては、人文社会科学的観点から意志決定や行動プロセスの解明研究を重視しつつ、東大内
外の研究者を統合するとともに、企業や NGO 等組織を視野に入れた社会全体での最適化、そ
れぞれの主体が得意な点を活かす日本の防災制度全体を見直す研究プロジェクトを手がける
ことを期待するとの指摘を受けた。
改善方針は具体的かつ改善に役立つが、資源が有限だという観点から集中と選択をすべきで
あり、問題・課題を網羅的に挙げてマップ化する、あるいはプロジェクトの相互関係を再点検
し、総合化すべきである。次年度・次々年度に実施すべき活動や今後向かうべき方向性につい
ては、研究を推進し、成果を挙げることが最重要である。その際に、東大という知の拠点をも
っと活かし、学内だけでなく、広く学外とつながり、そこから新たなテーマ、切り口の洗い出
しや、萌芽的研究を産出していくべきとの指摘を受けた。
いずれも容易な指摘ではないが、極めて具体的、生産的な指摘であり、与えられたミッショ
ンを果たしていく上での、具体的な指針として活かしていく所存である。
12
CIDIR
Annual Report 2011-2012
CIDIR 外部中間評価
東日本旅客鉄道株式会社代表取締役副社長 小縣方樹委員
【座長】関西大学理事・社会安全学部長 河田惠昭委員
株式会社時事通信社山形支局長・静岡大学防災総合センター客員教授 中川和之委員
東京経済大学コミュニケーション学部教授 吉井博明委員
開催日時:2011 年 6 月 9 日 午前 10 時から 12 時
開催場所:東京大学大学院情報学環 福武ホール応接室
1.設立から現在までの CIDIR の活動の全般について設立目的からの評価
組織を組み立てて、少ないスタッフで走りながら形を作ってきており、設立目的に沿った活動
をしていると評価する。しかし、もっと高いレベルでの総合的な活動を期待するが、そのため
に、限定的で、総合化できる体系となっていない現在の各プロジェクトの相互関係を「見える
化」して、何を目指しているかをもっと具体的に提示する必要がある。また、社会科学系研究
者の強化を早急にはかる必要がある。
・今後は、これらのプログラムの相互関係を「見える化」して、何を目指しているかをもっと具
体的に提示する必要がある。そうしないと、各プロジェクトの名称は魅力的でありながら、そ
の内容は非常に限定的で、とても総合化できる体系とはなっていないので、いずれ中途半端に
終わる危険性を有していると判断されます。
・東日本大震災の発生以降、CIDIR に対する、研究拠点としての社会的期待が非常に高まって
いることを考えると、体制(研究者)の強化が不可欠である。他の研究機関との役割分担を考
慮すると、特に社会科学系研究者の強化を早急にはかる必要がある。
・社会のつながりを、もっと生かした活動を期待したい。
・他大学とは異なるもっと高くレベルで、かつもっと総合的な活動を期待したい。
13
CIDIR
Annual Report 2011-2012
2.各ミッションの評価
(1)災害情報の生産-伝達-受容過程の解明
緊急地震速報の社会的利用策の研究や豪雨災害時の対応行動調査などで優れた成果を発表し
ている。今後は、技術的限界がある災害情報の活用を図るために、人文社会科学的観点から意
志決定や行動プロセスの解明研究をすべき。その際、企業や NGO 等組織を視野に入れた社会
全体での最適化を図るべき。
・緊急地震速報の社会的利用策の研究や豪雨災害時の対応行動調査などで優れた成果を発表し
ている。
・今後は、不完全で信頼性に限界がある予警報や長期予測などの曖昧な災害情報を社会的に活
用するための条件を、自然科学とは違う視点で具体的に明らかにする研究が重要であり、東大
の使命。
・マスとしての一般人だけでなく、自治体や企業という法人や、地域防災組織やボランティア
などの一定の枠組みに対して、どう届けばより全体最適な意志決定や行動につながるのかとい
うプロセスの解明に、もっと取り組んで欲しい。
・緊急地震速報については、プレート型巨大地震で M の増大をどう伝えていくかという情報
の作り方および携帯やテレビでの受信を前提にしてどう伝えるかの研究が必要。
・緊急地震速報の利用は、今、考える必要がある。狼少年的にならないように、またすべての
人に伝えていくために、提言に結びつく研究をしてほしい。
・横断型データベースについては、311 後、KOBEnet を上回る取り組みを期待したが、期待
はずれである。
(2)首都直下地震災害の全体像の把握
文理融合型の研究を進めていることは、実績から理解できるし、改善方針も記載されている通
りである。首都直下地震災害の全体像を把握する研究は、きわめて重要だが複雑なテーマであ
り、いきなり多方面からの社会システムの解析から入るのではなく、首都圏自体の特徴と3.
11で見いだされた弱い点を洗い出し、これまで対象としてきていないテーマの洗い出しと解
析手法をオール東大の力を有効に活用して提示していく必要がある。
・文理融合型の研究を進めていることは、実績として示されている内容をみればよく理解でき
るし、それぞれが実績を挙げていることもわかる。改善方針も記載されている通りである。
・文理融合型のアプローチではむしろ問題が複雑過ぎて、かえって堂々巡りのようなジレンマ
に落ち込むことが心配される。既存研究が進まなかったのは、解析手法が確立していないから
である。このことから、全体像の把握では、いきなり多方面からの社会システムの解析ではな
く、何が東京一極集中を助長しているかを攻める方が全体像の把握につながるのではないだろ
うか。
・首都直下地震災害の全体像を把握する研究は、きわめて重要なテーマであるが、同時にきわ
14
CIDIR
Annual Report 2011-2012
めて膨大な調査研究領域にまたがる複雑なテーマである。
・首都直下地震防災・減災特別プロジェクトでテーマになっていない課題は多々ある。そのも
やもやしている部分の洗い出しをし、調査・研究を行わねばならないネタだしをし、オール東
大の力を有効に活用して切り口を社会に提示していくことが望まれる。全体像の把握は、その
上で、さまざまな切り口で研究をしている東大以外の研究機関などとも、行われるものではな
いか。
・首都直下地震は、かならず発生する。今回の災害では、揺れによる土木構造物の被害は抑え
られた。しかし、今回の震災ではロジスティクスは弱いことがはっきりしたし、避難場所の運
用等決まっていないこともあった。弱い箇所を点検し、具体的に詰めていくべきだ。
(3)大学 SCM モデルの開発
ユニークで始まったばかりの大学の防災体制に関する研究に果敢に取り組んでいる姿勢に敬
意を表したい。東大はその資源を社会的に「活かさねばならない役割」があり、今後、図上演
習、実働訓練の質的向上に取り組む必要があるが、実践的すぎて、How to 的とならないよう
すべき。そのためには、3.11における課題の分析をすべきであるし、被害想定と対応計画
から応急対応シナリオの作成、それに基づく状況認識の統一化が先決である。その上で、多様
なリソースを巻き込むためのプロセスの解明と実践を図るべき。
・大変ユニークな研究であると評価できる。大学というひとつの組織体の防災体制に関する研
究は始まったばかりであるが、それに果敢に取り組んでいり姿勢に敬意を表したい。
・センターの陣容を考えるとき、すべてを研究プロジェクトとして推進すべきかどうかは疑問
であろう。
・東大の人材と資源を守る防災情報研究では、図上演習、実働訓練の質的向上に取り組む必要
がある。その前に、東京大学の構成員に、東大がたとえば首都直下地震に遭遇したときに、ど
のような問題が起こるのかについての状況認識の統一化を進めることが先決。
・学内強震観測という基礎的な調査研究ができたので、その成果をリアルタイムに見ることが
できるモニターの学内展開等平時から触れる習慣が学内の人に浸透すれば、波及効果は大きい
のではないか。CIDIR はむしろその可視化による啓発や被害想定と対応計画から応急対応シナ
リオの作成に注力すべき。
・プログラムの内容が実践的すぎて、How to 的になっているような気がする。今回の東日本
大震災に際して、在校生の安否確認はどのように行われ、それが適切であったのかという評価
は必須であろう。
・防災の組織文化を創ることは大事だ。そのためには、組織目標に明確に位置づけ、繰り返し
言い続けることともに、以下の2つが必要だ。第1に、トップの姿勢を投資や組織(安全研究所・
事故資料館)の形で構成員に可視化していくこと、第2に、日頃のマイハット(ヒヤリハット)
に基づく具体的な対策へ反映させること、である。
15
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・マンモス大学の BCP を作り上げることで、他大学や諸研究機関などの役に立つことはでき
る。そのうえで、多様なリソースを巻き込むためのプロセスと考え、大学全体やそれぞれの部
門が当然取り組まなければならない自らの防災への務めを果たすだけでなく、広く同じ分野に
その成果を広めてもらうような展開を期待する。
・東大の人材と資源については、守るという視点だけでなく、「活かす」というか「活かさね
ばならない役割」を明確にすることでより積極的に守られるという視点を持つべき。
(4)防災制度の設計と運用に関する研究
ネットワークに関しては、ネットワークを作るための検討会ではなく、ネットワークを利用し
て研究するための検討会に帰るべき。防災制度については、東大内外の研究者を統合し、それ
ぞれの主体が得意な点を活かす、日本の防災制度全体を見直す研究プロジェクトを手がけるこ
とを期待。
・ネットワークに関しては、これを使った研究を行う研究者がいないと、ネットワークが完成
しても、何の役にも立たない。ネットワークを作るための検討会ではなく、ネットワークを利
用して研究するための検討会に帰るべき。
・防災制度については、東大内外の研究者を統合し、それぞれの主体が得意な点を活かす、日
本の防災制度全体を見直す研究プロジェクトを手がけることを期待。
・点としての耐震化ではなく面での耐震化を可能にする方策の研究
・東日本大震災の後だけの一過性の防災研究ブームで終わらせず、継続的に防災に関わる分野
を広げるネットワークが望まれる。
(5)災害情報教育の実施とプログラム開発
災害情報教育プログラムは受講生が少なく、目的にあったフィールドを決める、関連人材を把
握し横断的・流動的プログラムを開発する、実務家を巻き込み、ディスカッションを重視した
対話型にするなど受講機会を増やす努力が必要である。
ライフライン・マスコミ連携講座は、重要であり、良い機会となっているが、リスクコミュニ
ケーションの理解やBCPの観点から企業・法人との事前連携など図るべき。
・災害情報教育プログラムは受講生が少ない。受講機会を増やす努力が必要。
・目的にあったフィールドを決め、長期にわたる災害教育・啓発を行うことが望ましい。
・MITでは調査をして、関連人材、関連講座を把握し、横につないで流動的な研究・教育プ
ログラムを構築している。
・実務家を巻き込み、複雑な課題が絡み合って、簡単ではない防災の現状をアクティブに理解
して、問題意識を持てるようなディスカッションを重視した対話型の教育を期待する。
・ライフライン=マスコミ連携講座は重要であり、良い機会となっており、奨学寄付金が研究
を支援する役割を果たしている点も良い。しかし、
「単なる勉強会の繰り返しに終わらず」、リ
16
CIDIR
Annual Report 2011-2012
スクコミュニケーションの理解やBCPの観点から企業・法人との事前連携が重要
(6)国際的研究連携と学会活動への寄与
インドネシアとの連携研究や災害情報学会への貢献などめざましい成果を上げている。国際的
研究連携による比較研究は今後も欠かせない重要なテーマである。理工系の学会をつなぐハブ
になる展開を期待する。
・インドネシアとの連携研究や災害情報学会への貢献などめざましい成果を上げている。災害
情報の生産、伝達、受容は、文化や社会構造による違いが大きく、国際比較はきわめて興味深
いテーマであり、また災害情報の生産現場である、理学・工学研究者との連携や学会活動への
貢献は今後も欠かせない重要なテーマである。
・災害情報学会だけでなく、地震工学分野の幅広い連携のあり方も見据えて、理工系の学会を
つなぐハブになることを期待。
・課題先進国の最たる課題が災害であり、世界に伝えていくことは日本のミッションである。
今回は、世界への情報発信は弱かった。ただ、web サイトの充実というだけではなく、発言力
のある人、有力な web サイトに、発信できることが必要である。
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
3.改善方針ならびに次年度・次々年度に実施すべき活動や向かうべき方向について
(1)改善方針へのご意見:
指摘内容は具体的かつ改善に役立つが、資源が有限だという観点から問題・課題を網羅的に挙
げてマップ化する、あるいはプロジェクトの相互関係を再点検し、総合化すべき。
・指摘内容はとても具体的で改善に役立つと考えます。
・ただし、仕事の内容が増える一方の指摘が多い。資源が有限だという観点からの改善方針が
必要。
・防災、特に災害情報に係わる問題・課題を網羅的に挙げて、マップ化する作業を通じて、CIDIR
の果たすべき役割を一度再点検すべき。
・防災の1分野としての災害情報ではなく、全ての防災分野を総合化する災害情報の視点で、
もっと多くの人が主体的に関わり、かつそれぞれの分野の問題点も反映されたような研究。
・311の検証もふまえて、ローカルメディアが実質的にない首都圏で被災地が知りたい報道
をどのように伝えていくのか、マスメディア、ローカルメディアなどの役割を具体的に提言で
きるような研究を主導することを期待
・東京大学内の研究者との連携を一層促進するとともに、首都圏の研究者とさらに連携を深め
た体制を造り上げるとともに、大学に愛着のある東大 OB や企業、重要なアクターである自治
体行政やその OB など学外資源も加えていくことも考えると良い。
・どうやって合理的な結論としての耐震化促進に人の意識を向けられるか、制度/仕組みと気
持ち/意志決定の部分に切り込むような調査研究
(2)次年度・次々年度に実施すべき活動や今後向かうべき方向性
総合防災情報研究センターは学術研究機関であり、研究を推進し、成果を挙げることが最重要。
東大という知の拠点をもっと活かし、学内だけでなく、広く学外とつながり、そこから新たな
テーマ、切り口の洗い出しや、萌芽的研究を産出していくべき。
・総合防災情報研究センターは学術研究機関であり、研究を推進し、成果を挙げることが最重
要。その上で、理学、工学等との「研究領域との共同研究の推進」と、民間企業等「社会におけ
る活用」をはかるべきで、CIDIR のイニシアティブのもとで、研究推進し、相手から連携した
いと言わせるべき。
・巨大災害、特に首都直下地震、東海・東南海・南海地震、富士山等の噴火災害、大規模洪水
などに焦点を当てた研究プロジェクトを立ち上げることを期待。
・3 月 11 日以降のさまざまな課題についても、幅広いつながりを活かしての新たなテーマ、
切り口の洗い出しや、研究にならない段階での萌芽を産出するような活動に期待。
・東大という知の拠点をもっと生かす方法も考え、学内だけでなく、学外の広いつながりから
学内の別の部門とつながっていくなどの工夫も期待。
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
4.CIDIR 教育活動
4.1
災害情報論Ⅰ
大学院のコース横断型講義として、
「災害情報論Ⅰ」(夏学期)を開講した。「情報で災害を
軽減するには」と題し、東日本大震災を題材にして、災害報道を中心とする災害情報の課題を
分析しグループワークを通した有効性の検証を行った。授業の中では、まず東日本大震災を引
き起こした2011年東北地方太平洋沖地震の地震・津波の最新の解析結果、今回の東日本大
震災を前線で伝えたテレビ局の現役と阪神・淡路大震災を伝えた先輩記者による今回の放送へ
の評価、災害報道の歴史とを基礎情報として紹介した。また、内容分析の方法論を外部講師を
招き講義を受けた。その上で、各自の問題意識に基づく班分けを行い、仮説の設定と実証とを
行った。
受講生は、情報学環の大学院生のほかに、工学系、総合文化研究科などから最終的に14名
が受講した。
具体的な講義内容と講師は以下の通り。
災害情報論Ⅰ(夏学期、火曜、16:30~18:00)
教室 情報学環本館 2F
講義内容と講師
1.イントロダクション
<東北地方太平洋沖地震>
2.地震と津波の災害 古村孝志(総合防災情報研究センター)
3.地震と津波の予警報のしくみ 鷹野澄(総合防災情報研究センター)
-関心による班分け
4.災害報道研究の概要 田中淳(総合防災情報研究センター)
5.先輩が見た災害報道 大西勝也(元 NHK 放送文化研究所主任研究員)
-班ごとの仮設設定
<災害報道の分析作業>
6.情報共有の実態と課題
目黒公郎(総合防災情報研究センター)
7. 班分けと班毎の仮説設定
8.内容分析の手法(講義) 松浦正浩(公共政策大学院特任准教授)
9.グループワーク
10.グループワーク
11.災害報道の現場から(講義) 谷原和憲(日本テレビ報道局ネットワークニュース部長)
12.グループワーク
13.成果発表・講評
19
CIDIR
4.2
Annual Report 2011-2012
災害情報論Ⅱ
「災害情報論Ⅰ」
(夏学期)に引き続き、「災害情報論Ⅱ」
(冬学期)を開講した。テーマは
「東日本大震災と首都直下地震、災害軽減の課題」として、東日本大震災からの教訓を学び、
情報で被害を軽減するためには、何をどのように伝えるべきかを議論した。また、今後発生が
予想される首都直下地震に対して、その災害の全体像を学び、災害情報の観点から、情報で災
害を軽減するための課題を考えて議論した。
受講生は、情報学環の大学院生のほかに、工学系建築学専攻から最終的に3名が受講した。
そのほか、聴講生も数名いた。しかし夏学期に比べて冬学期の受講生が少ないのが悩みの種で
ある。
具体的な講義内容と講師は以下の通り。
災害情報論Ⅱ(冬学期、火曜、16:30~18:00)
教室 情報学環本館 2F
講義内容と講師
<イントロダクション>
1.東日本大震災と首都直下地震 (授業計画)
<東日本大震災の教訓>
2.原発事故 田中知(原子力国際専攻教授)
3.防災教育 大木聖子(地震研究所助教)
4.津波避難の実態 田中淳(総合防災情報研究センター)
5.東日本大震災から見る震災経済 田中秀幸(総合防災情報研究センター)
<首都直下地震の災害像と災害軽減アプローチ>
6.市街地火災 廣井悠(工学部都市工学専攻助教)
7.耐震対策の推進 目黒公郎(総合防災情報研究センター)
8.帰宅困難 廣井悠(工学部都市工学専攻助教)
9.ワークショップ
<防災情報・防災教育>
10.デジタル教材 山内祐平(情報学環)
11.シミュレーションとワークショップ 片田敏孝(群馬大学、情報学環客員教員)
12.科学コミュニケーション 佐倉統(情報学環)
13.ワークショップ
20
CIDIR
4.3
Annual Report 2011-2012
2011 年度全学自由研究ゼミナール「災害と情報:災害大国を生き抜く」
全学自由研究ゼミナール「災害と情報:災害大国を生き抜く」を 2011 年度夏学期に東京大
学教養学部前期課程で開講し、大学 1、2 年生を対象とした教育活動に取り組んだ。すでに 2009
年度から大学院レベルに開講した「災害情報論Ⅰ・Ⅱ」に加えて、新たな試みであった。
今の大学学部生が社会人として活躍するこれから30年~50年は、わが国では巨大地震が
頻発する可能性が高い。また地球規模の環境変化や都市化を背景に、局所的な豪雨による都市
型洪水や大規模水害、さらにはこれと大規模地震災害とが連動する融合災害などの危険性が指
摘されている。このような環境下で、自分と自分の大切なものを災害から守り、生き抜くため
にはどうすればいいのか。
本講義では、
「災害情報」という概念をキーワードとして、上の問いに対する解決策を探る
ために、災害を引き起こすハザードと被害のメカニズム、災害による人的・社会的影響、被害
を最小化するための防災対策のあり方、事前・直後・事後の技術的・制度的対策などについて
解説した。
講義内容には、荒川の水防施設、本所防災館、東京大学地震研究所ラボツアーという見学会
も設けることで、大学 1、2 年生の諸君にも防災の取組みを平易に理解してもらえるように工
夫をした。履修者数は 76 名を数え、意欲的に発言をするなど積極的な参加が認められた。
全学自由研究ゼミナール(夏学期、火曜日、2 限:10 時 40 分~12 時 10 分)
・教室:駒場Ⅰキャンパス
情報教育棟 E26(大演習室 3)
・講義内容と講師
No
月日
担当
内容
1
4 月 19 日
目黒
イントロダクション、災害と日本
2
4 月 26 日
田中淳
「災害情報」というコンセプト
3
5月2日
田中淳
災害が奪うもの(説得の社会心理学)
4
5 月 10 日
小島*
首都圏大規模水害
5
5 月 24 日
五道**
水害から身を守るための基礎知識
6
5 月 31 日
古村
緊迫する東海・東南海・南海地震と首都直下地震
7
6月7日
鷹野
緊急地震速報の現状と課題
8
6 月 14 日
大原
建物被害と耐震化計画
9
6 月 21 日
目黒
災害イマジネーション
10
6 月 28 日
田中淳・鷹野
東京大学の防災対策
11
7月5日
全員
総合討論
12
5 月 17 日
目黒・大原
見学会① 荒川の水防施設の見学会
21
CIDIR
Annual Report 2011-2012
13
6 月 25 日
目黒・大原
見学会② 本所防災館の見学会
14
7月2日
大木***・
見学会③ 東京大学地震研究所ラボツアー
目黒・大原
*
国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所の小島優事務所長に講義を依頼した。
**
国土交通省河川局河川計画課 河川情報企画室の五道仁実室長に講義を依頼した。
***
東京大学地震研究所広報アウトリーチ室の大木聖子助教に御協力いただいた。
履修者数の内訳(人)
講義風景
文系
理系
計
1 年生
20
21
41
2 年生
12
23
35
計
32
44
76
5 月 17 日の荒川の水防施設の見学会の風景
6 月 25 日の本所防災館の見学会の風景
22
CIDIR
Annual Report 2011-2012
5.CIDIR 活動報告
5.1
東日本大震災における仙台生活支障調査
1.調査の目的
2011 年 3 月 11 日 14 時 46 分に発生した東北地方太平洋沖地震により仙台市は甚大な被害を
受けた。仙台市災害対策本部(2012)によれば、宮城野区で震度 6 強、青葉区・若林区・泉区で
震度 6 弱、太白区で震度 5 強を観測し、ライフラインの損傷も甚だしかった。
仙台市のライフラインの被害及び復旧状況
建物被害
*
全壊 29,290 棟;大規模半壊 25,711 棟;半壊 75,521 棟;一部損壊 116,106 棟
水道**
4 月 12 日に復旧
都市ガス***
地震発生から約 2 時間後、津波による港工場の冠水のため、全面供給停止。
4 月 16 日 被害が甚大な一部地域などを除く約 31 万戸の復旧完了(復旧日数
37 日)
電気*
停電 138 万戸(宮城県)。
仙台市内はおおむね 5 月 10 日までに復旧
市営バス*
4 月 18 日始発便から通常運行再開
地下鉄*
4 月 29 日より通常ダイヤで運行再開
(出典)
*
仙台市災害対策本部(2012)
**
宮城県の震災被害情報の 4 月 12 日 19 時 26 分付の「東日本大震災における被害等状況」
(http://www.pref.miyagi.jp/kikitaisaku/higasinihondaisinsai/pdf/4121900.pdf: 2012 年 3 月 12 日閲覧)。
***
都市ガスの記載の出典は、仙台市ガス局ホームページ(http://www.gas.city.sendai.jp/index.php)
である(2012 年 3 月 12 日閲覧)。
政令指定都市でもあり人口が約 100 万人(2012 年 2 月 1 日現在)の大都市が 1 ヶ月以上にわ
たりライフラインの途絶により生活障害に見舞われた事例は、阪神淡路大震災以降わが国では
見当たらない。
この調査は、国土技術政策総合研究所委託研究「水害時の状況に応じた避難及び避難情報提
供に関する調査研究」の一環として実施された。災害因が地震ではあるものの、自然災害によ
り大都市が長期間にわたって生活困難な状況に置かれたという点は、首都圏大規模水害で懸念
される状況そのものである。
同時に、懸念される首都直下地震も念頭に、震度 6 以上の揺れに襲われた際の都市の住民の
行動や長期にわたる被災生活の実態を明らかにすることも目的とした。
23
CIDIR
Annual Report 2011-2012
2.調査の方法
地震が発生した 2011 年 3 月 11 日の震災後も仙台市内で生活し、かつ震災時に津波の被害を
受けていない宮城県仙台市内在住の 20 歳~80 歳の男女個人を対象とした Web アンケート調
査を行った。生活支障の影響に焦点を絞るために、調査対象者は地震・津波による直接被害を
受けていない地域の住民とした。20 歳代、30 歳代、40 歳代、50 歳代、60 歳以上の 5 段階の
年齢層について、それぞれ男女 100 件の回答を得ることを目指し、2012 年 2 月 17 日から 2
月 26 日にかけて調査を実施した。最終的に 989 件の有効回答を得た(60 歳以上の女性群が 89
件の回収に留まった)。
3.主な調査項目と結果(一部)
 生活情報の入手について:震災後 3 日間、1 週間、1 ヶ月のそれぞれの時期で、どの生活
情報が必要とされていたのか。
 ライフライン(電気、ガス、水道、通信、交通手段、病院・診療所、物流、ATM)の途絶、
困ったこと、復旧時期。
 生活用品の購入について:主食、生鮮食品、水など 14 項目について、通常通り買えたか、
通常よりも多く買おうと思ったか、いつ頃から通常通り買えるようになったか。
 生活で困ったこと:住まいや健康について、震災後 3 日間、1 週間、1 ヶ月のそれぞれの
時期で、何に困っていたのか。
 3 月 11 日金曜日の地震後に不安に感じたこと:震災後 3 日間、1 週間、1 ヶ月のそれぞれ
の時期で、何に困っていたのか。
 共助について:友人や隣・近所の住民と水や食料をあげたり、もらったりしたか、など。
 アパートやマンションの住民への質問:管理室・管理組合の方が、居住者に怪我人がいな
いかを確認したか、など。
このうち、生活用品の購入については「食料、水、ガソリンの不足について、最も不安を感
じた」のは、被災当日が 60.2%と最も多く、被災翌日の 22.2%が次いだ。一方、不安が解消
したのは、被災から 10 日後の 17.1%が最も高く、20 日後の 9.6%が次いだ。被災から 22 日
後になると、不安を感じる時期が終わったと回答した人の累積割合が 7 割を超えた。
以上の結果からは、被災後数日で 8 割以上の人が生活物資不足の不安感を強く感じ始め、実
際に物資を購入できなかった。そして、被災後 3 週間が過ぎて、ようやく 7 割程度の人の不安
感が低減した。じつに 3 週間弱の期間被災者は強い不安感と物不足に苛まれながら被災生活を
送っていたことがわかる。
24
CIDIR
Annual Report 2011-2012
5.2 東日本大震災前後での緊急地震速報に関する住民意識の変化に関する調査
1.調査の目的
2011 年 3 月 11 日 14 時 46 分の東北地方太平洋沖地震(M9.0)以降は、相次ぐ余震活動に
より緊急地震速報が多数発表され、東日本を中心として緊急地震速報を見聞きする機会が格段
に増えた。しかし、ほぼ同時に発生した複数の地震データを分離処理できない等の理由から、
緊急地震速報の精度が低下し、空振りが多発した。
CIDIR では、2010 年 9 月 29 日 16 時 59 分に福島県中通りを震源とする M5.7 の地震が発
生し、東北地方南部から関東地方の広範囲に一般向け緊急地震速報が発表された際、関東地域
の住民に対する意識調査を行っていた。東日本大震災後、これらの回答者に対する追跡調査を
行い、東日本大震災の前後での住民意識の変化を分析した。
2.調査の方法
まず初めに、2010年9月29日の地震後、関東地方の1都3県(千葉県、埼玉県、神奈川県)
に居住する住民を対象として、インターネットアンケート調査を行った。事前調査により、回
答候補者を携帯電話での受信経験の有無などに応じた4群に分け、各群ともに性別・世代(30
代~60代)ごとに25名ずつを割り付けた合計200名の回答を得た。詳細を表5.2.1に示す。
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震および余震以後、2010年時点の回答者に対する追跡
調査を行った。追跡調査の回答者数は613であり、追跡率は76.6%となった。A群およびC群の
中には2010年の調査後に携帯電話を買い換えて緊急地震速報が受信できなくなった者がおり、
これらの数は表5.2.1に示す通りである。
表5.2.1 2010年および2011年調査での回答者数
2010年の調査
2011年の調査
自分の携帯
受信
合計
電話で受信
不能
可能
200
142
11
153
200
70
81
151
A群 自分の携帯電話で受信した
B群 周りの人の携帯電話で聞いた
地震時に電車の緊急停止を体験し、
C群
200
自分の携帯電話で受信した
緊急地震速報を全く見聞きしなかっ
D群
200
た
追跡率
76.5
75.5
119
31
150
75
71
88
159
79.5
3.調査結果
3.1 緊急地震速報の認知度の変化
全群において、2011年度の東日本大震災後の方が「名前も内容も知っていた」という割合が
高まった。例えば、2010年時点で「自分の携帯電話で受信した」A群では、「名前も内容も知
っていた」割合は50.3%から89.5%と高まった(図5.2.1)。2011年の調査時点で、緊急地震速
報がテレビや携帯電話で受信できることを知っている割合は9割程度と高いが、テレビで発表
される際の震度条件や専用受信端末について知っている割合は3割程度と低かった。
25
CIDIR
Annual Report 2011-2012
3.2 緊急地震速報の聞き取り状況と対応状況
2011年3月11日時点で自分の携帯電話で受信できた人373人が、自宅および自宅外で携帯電
話により緊急地震速報を受信した割合は、テレビやラジオによる割合を上回った。自宅でテレ
ビ・ラジオにより受信した割合は86%であった。緊急地震速報を見聞きした際に、「これから
大きな揺れが来ると思った」割合は、2010年に34%であったのに対し、2011年は86.7%と2倍
以上となった。東日本大震災を経て、緊急地震速報を瞬時に理解できる能力が高まったと考え
られる。
自宅での緊急地震速報受信時の行動については、2010 年と 2011 年ともに、
「テレビ・ラジ
オで地震情報を知ろうとした」割合が最も多い。しかし、「家族や周りの人に声をかけて、地
震を知らせた」割合は、2010 年は 10%であったのに対し、2011 年は約 34%となった。緊急
地震速報への対応力はやや向上しているが、今後も被害軽減につながる対応力の向上が必要で
ある。
3.3 空振りへの意識
2011年の調査時に「地震の前から「推定震度が±1前後ずれることがある」という技術的課
題を知っていた割合は36.5%であった。地震前からこの技術的課題を知っていた場合には、
55.4%が「空振りの可能性があっても、緊急地震速報は積極的に利用したい」、40.6%が「利用
したい」と回答し、あわせて96%となった。震災以前から技術的課題を認識していた場合には、
空振りへの許容度が高かった。今後も、技術的課題を周知した上での速報の利用促進が重要と
考えられる。
論文:大原美保,目黒公郎,田中淳:東日本大震災前後における緊急地震速報に対する住民意識の変
化,日本地震工学会年次大会講演集,2011.11.
100%
3
13
23
53
60%
137
40%
77
20%
2010
図5.2.1
施設の館内放送
名前は知ってい
た
17 29
自分の携帯電話
72
テレビやラジオ
2011
90%
4.6
6.5
緊急地震速報の認知度(A群N=153) 図5.2.2
0.7
5.6
8.4
80%
70%
60%
45.1
50%
86.7
40%
30%
20%
80%
携帯電話の故障かと思っ
た
70%
既に起きた地震の震度速
報だと思った
50%
51.9
10%
0%
0%
図 5.2.3 緊急地震速報時の感想
(A 群 N=153)
26
150 %
関心がない
空振りがあるので全く
対応しようとは思わない
空振りがあっても利用し
たい
55.4
35.0
知っていた
2011
100
空振りがあるのであま
り対応しようと思わない
20%
10%
2010
4.4
8.5
40%
30%
21
40.6
60%
何の知らせなのか、すぐ
には、わからなかった
50
57
見聞きした手段と場所(N=373)
0.0
2.7
90%
これから大きな揺れが来
ると思った
34.0
86
0
100%
100%
自宅外
80
周りの人の携帯電話
名前も内容も
知っていた
0%
自宅
専用受信末 012
名前も内容も知
らなかった
80%
空振りがあっても積極
的に利用したい
知らなかった
図 5.2.4 今後の利用意欲
(全群 N=613)
CIDIR
Annual Report 2011-2012
5.3 東日本大震災後における大学の対応に関する調査
1.調査の目的
災害発生後の大学は、①災害対策本部を運営する、②教職員・学生を守る、③危険物対策を
行い加害者にならない、④教育・研究を早期に再開する、などの様々な使命を有する。CIDIR
は、研究活動の 5 つの柱の一つに「大学 SCM(Service Continuity Management)モデルの開発」
を掲げており、将来を担う学生や研究者など大学の人的資源を守り、災害後も大学の社会的使
命を果たし続けるための大学サービス継続マネージメントモデルの開発を目指している。この
一環として、東日本大震災後における大学の対応の実態と課題を把握することを目的として、
国立大学および私立大学へのアンケート調査を行った。
2.調査の方法
国立大学への調査は、一般社団法人国立大学協会関東甲信越支部の協力を得て、2011年12月
~2012年2月にかけて行われた。関東甲信越地区の国立大学22校(東京大学を除く)のうち、21
校からの回答を得た。有効回答数は95.5%である。私立大学への調査は、社団法人日本私立大
学連盟東部地区金曜会会員の協力を得て、2011年11月18日~12月末までにかけて行われた。日
本私立大学連盟東部地区金曜会会員56校のうち、29校の回答を得た。有効回答数は51.8%であ
る。
3.調査結果
3.1 大学の概要と震災時の状況
複数のキャンパスを有する大学は、国立大学で 7 割、私立大学で 8 割となり、過半数の大学
でキャンパスが分散していた。理系(理・工・農・医など)の学部を有する大学は、国立大学
が 76%、私立大学が 52%であり、国立大学の方が多かった。国立大学では、9 割(19 校)が
「大学入学試験の準備中」であったが、大学・大学院入試、定期試験、卒業式・終了式の大学
はなかった。私立大学では、大学入学試験の準備中だった大学はゼロであったが、大学院入学
試験の準備中だった大学が 7%(2 校)あった。
3.2 災害対策本部の運営
東日本大震災後に、災害対策本部を設置した大学は、国立大学の 89.5%、私立大学の 65.5%
であった。その他、私立大学の 20.7%では災害対応にあたるチームが設置された。私立大学の
72.4%および全ての国立大学で、地震前から災害対策本部の設置方法が決められていた。震災
後には国立大学の 81%、私立大学の 75.9%で、設置方法の見直しが行われた。
3.3 教職員・学生を守るための対応
震災で甚大な被害を受けた割合は国立大学の 9.5%、私立大学の 6.9%であり、軽微な被害や
無被害が多かった。外部の業者に応急危険度判定を依頼した割合は国立大学で 9.5%であった
のに対し、私立大学で 44.8%と多かった。本部事務が位置するキャンパスで応急危険度判定士
27
CIDIR
Annual Report 2011-2012
の資格を持っている教職員の平均人数は、国立大学で 3 人、私立大学で 0.173 人であった。さ
らに強い揺れが発生した場合は応急危険度判定が困難になることが予想され、特に私立大学で
はより困難になると考えられる。
学生の安否確認は、回答した全ての大学で実施されていた。被災地域出身・在住の学生を名
簿から抽出しメールや電話で問い合わせた割合が最も多く、国立大学の 90.4%、私立大学の
79.4%となった。留学生が帰国してしまい安否を確認するのに時間がかかった、学生の緊急連
絡先が古くて連絡がとれなかった等の課題が挙げられた。
3.4 危険物対策
原子力・バイオ・化学物質関連の施設がある割合は、国立大学で 47.6%、私立大学で 27.6%
であった。本部事務が位置するキャンパスにおいて、危険物管理を担当する部署の教職員が巡
回して点検した割合は、国立大学で 52.4%、私立大学で 68.0%、となった。国立大学では、研
究室等に危険物の点検を行うよう指示した割合が 28%となり、私立大学より多かった。
3.5 震災後に困ったこと
下図は、本部事務が位置するキャンパスで震災直後に困ったことである。国立大学では、困
ったことに直面しなかった割合が 33%であったが、
「食料や毛布等の備蓄が足りなかった」
「
、離
れた地区のキャンパス・建物等と連絡つかず」も多くなった。私立大学では、「災害対応にあ
たる部署の役割分担が不明確であった」、
「教職員や学生を帰宅させてよいかどうか、わからな
かった」
、
「食料や毛布等の備蓄が足りなかった」の順に多かった。3 月 11 日の震災当日に、
教職員・学生以外の学外からの帰宅困難者を建物に受け入れた大学は、私立大学の 48.3%、国
立大学の 33.3%に上った。
「帰宅困難者を学内建物に受け入れてよいか、わからなかった」割
合は、国立大学で 5%、私立大学で 7%、となり、今回の震災ではあまり困っていない。しかし、
今後は更なる大地震に備えて、帰宅困難者への対応策を検討しておく必要がある。
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 50%
1.大学の災害対策本部を設置すべきか
5%
3%
5%
2.大学の意思決定者と連絡がつかなかった
3.防災計画・マニュアル等がなかった
10%
国立大学 (N=21)
31%
10%
4.災害対応部署の役割分担が不明確
41%
14%
31%
29%
5.離れた地区のキャンパスと連絡つかず
10%
14%
6.安全かどうかわからない建物があった
教職員や学生を帰宅させてよいか
41%
10%
7%
5%
8.帰宅困難者を建物に受け入れてよいか
9.屋外避難のスペースが狭く大混雑となった
私立大学 (N=29)
0%
0%
35%
33%
10.食料や毛布等の備蓄が足りなかった
3%
11.その他
図5.3.1
10%
24%
12.上記のような状況には直面していない
震災時に大学が困ったこと
28
33%
CIDIR
5.4
Annual Report 2011-2012
東日本大震災における大学生の行動に関する調査
1.調査の目的
この調査の目的は、首都圏に在住する大学生が、東日本大震災でどのような状況に直面し、
どのような行動をとり、また今後の来るべき首都直下地震にどのように対応しようとしている
のかを明らかにすることである。1 都 3 県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)には約11
0万人の大学生が生活しており(総務省調べ)、日本全体の約 40%の大学生が集中している。
なお、本調査の趣旨は、CIDIR ミッションである「首都直下地震災害の全体像の把握」及び
「大学 SCM (Service Continuity Management)モデルの開発」の一環として実施された。
2.調査の方法
調査の回答者は、
2011 年 3 月 11 日に大学の学部及び修士課程に所属していた学生の中から、
以下の 3 条件を全て満たす学生のみを対象とした。
1. 2011 年 3 月 11 日に 1 都 3 県在住であったこと。
2. 2011 年 3 月 11 日の当日に 1 都 3 県にいたこと。
3. 2011 年 3 月 11 日の当日に 1 都 3 県で旅行中ではなかった人。
また、この調査では「自宅生」か「下宿生」かで学生の状況は大きく異なる可能性があると
いう仮定を置いたため、
「自宅」か「下宿」か判然としない以下の条件に該当する学生は、調
査対象とはしなかった。
 寮に住んでいる人
 友人と一緒に住んでいる人
 下宿はしているが一戸建てに住んでいる人は排除。
調査は 2012 年 1 月 27 日から 2 月 5 日に WEB 調査の方式で行われた。最終的に、「男性・
女性」と「自宅生・下宿生」の組合せの 4 セルに対して、各セル 150 サンプルで合計 600 サ
ンプルを得た。
3.主な調査項目
目的
関連する質問項目
3.11 当日の首都圏の大学生の被
・震災発生時に一人でいたのか
災状況の解明
・どこにいたのか
・不安を感じたのか
・被害を受けたのか
3.11 当日の学生の情報行動の解
・情報入手に最初に用いた手段
明
・その手段で情報を入手できたのか
・情報入手に役に立った手段
29
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・情報を入手する時に信頼した手段
首都直下地震の仮想質問での学
・どの手段で情報を入手しようと思うか。
生の情報行動の解明
・なぜその手段を使おうと思うのか(東日本大震災で使
えたからか?)
大学側が提供する安全対策を学
・大学から連絡がきたのか
生は認知しているのか
・震災前の大学の安全対策の認知度
・新耐震基準の説明は受けていたか
自宅生か下宿生(自宅外生)で
・自宅生か下宿生かでクロス集計
違いは見られるのか
・不安に感じるか
首都直下地震の被害程度をどの
・主観的な発生確率
程度楽観視しているのか
・不安感
・ライフラインの復旧速度
被説明変数(従属変数)
3.11 当日の不安感
説明変数(独立変数)
・一人でいたのか
・被害を受けたのか
・家族・友人の安否確認がいつとれたか
・大学からの連絡
・自宅生か下宿生か
仮想首都直下地震の情報行動で、 ・情報行動質問群
使おうと思う情報手段
→3.11 当日に使用したか
→3.11 当日に役に立ったのか
→3.11 当日の手段に対する信頼感
・現在の手段に対する信頼感
現在の防災対策
・首都直下地震の楽観視の程度
→主観的な発生確率
→不安感
→ライフラインの復旧速度
・自宅生か下宿生か
・3.11 当日に不安を感じたのか
・3.11 当日に被害を受けたのか
・新耐震基準の説明
・住居の形態
30
CIDIR
5.5
Annual Report 2011-2012
デジタルサイネージに関する調査
デジタルサイネージとは、デジタル化された屋外・店頭・公
共空間・交通機関広告のことである。テレビ・ラジオ・新聞・
インターネットなどコンテンツに広告を付すような媒体と異
なり、広告そのもののために設置されている。デジタルサイネ
ージは、比較的人通りの多いところに設置されているので、都
市部での災害時、特に大規模水害が発生した場合、屋外にいる
人への災害情報の伝達ツールとして有効と考えられる。
3 月 11 日東日本大震災の発生時には、これらを用いた情報
伝達が行われた。大型ビジョンを中心にテレビ放送や自治体
からの情報・呼びかけを流したり、帰宅困難者への受け入れ
施設の案内などを流したサイネージがあった。翌日以降は「節
電啓発」
、
「義捐金・募金に関するもの」
「災害時の一般的な注意のメッセージ」
「災害支援(募
金、支援物資、ボランティア)
」に関するコンテンツを流したところが多かった。
たとえば、足立区シティビジョン(特別自治区が直接運営を行う唯一のデジタルサイネージ)
では、16:15 分よりスクロールテロップを用いて文字情報で緊急情報の放映をはじめた。
「【足
立区地震情報16:15】駅前にいらっしゃる皆様へ。警察により千寿常東小学校と千寿本町
小学校へ避難誘導しております。警察の指示に従ってください」といったメッセージを、17:
00、18:00、19:00、20:20、21:05、22:20 に切り替えながら、放映をおこなった。ま
た、適宜、USTREAM で NHK ニュースに切り替えて配信していたという(上図)。また、
「立
川市役所から、駅前にあふれる帰宅困難者へ受入施設の案内(アレアビジョン)」
「新宿区から
の要請で、
「駅情報」を放送(アルタビジョン新宿)
」などの例があった。
東日本大震災を踏まえて改定された「東京都防災対応指針」には、「都は、鉄道事業者や業
界団体などに対して、駅における情報提供体制の整備や予備電源の確保等の対策を要請し、情
報提供機能の確保を促していく。また、大型ビジョンやデジタルサイネージを活用し、音声や
文字による情報提供を実施するなど、災害時要援護者が情報を得やすい環境整備に向けた取組
も行っていく」と定められている。
デジタルサイネージ関係者に対して、主にこの業界において概要を把握している業界団体、
代理店などを中心に、下記の通りヒアリングを行い、それをもとにアンケート調査を作成した。
なお、デジタルサイネージは、ビッグビジョン系、店舗系、交通系(鉄道、タクシーなど)
と大きく三つに分けることが可能である。ビッグビジョンについては①パブリックビューイン
グ協会(JPVA)加盟社、店舗型のサイネージについては②デジタルサイネージ媒体協議会
(SAMA)加盟社の協力をえて、またデジタルサイネージ白書に記載されているものから、計
155 社をリストアップした。また、交通機関に関しては首都圏の大手鉄道会社(もしくはハウ
スエージェンシー)および空港運営会社をリストアップした。
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CIDIR
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表 5.5.1 ヒアリング対象
・足立区〔災害情報への活用を意図してデジタルサイネージを所有している日本初の自治体〕
・デジタルサイネージ広告媒体協議会(SAMA)
〔店舗型サイネージに関する業界団体〕
・東急エージェンシー(渋谷ビックビジョン、東急電鉄)〔交通、大型ビジョン〕
・博報堂メディアパートナーズ〔広告代理店〕
・日本パブリックビューイング協会〔大型ビジョンに関する業界団体〕
・デジタルサイネージ・コンソーシアム・コンテンツ WG〔デジタルサイネージの推進団体
の WG〕
表 5.5.2 調査概要
調査期間:2 月 11 日~3 月 1 日
調査対象:①パブリックビューイング協会(JPVA)のリスト、②デジタルサイネージ媒体
協議会(SAMA)
、③デジタルサイネージ白書に記載のリストを基に抽出した 155 社、
および交通機関 10 社(鉄道 8 社、空港 2 社)。
有効回答: 47 件(回収率 28.5%)
。
3 月 11 日直後に多くのデジタルサイネージが災害情報を放映していたことについては「今
後も災害後はこのような取り組みが必要だと思う」(72.3%)や「広告を再開させるためには
重要だったと思う」(19.1%)と肯定的な企業が多く、今後の災害情報の配信についても「積
極的にやりたいと思う」
(66.6%)
、
「条件次第ではやむを得ない」
(19.1%)とする企業が多い。
大きな問題は、人的な問題であった。
「従業員が 24 時間常駐しているわけではないので夜間
や祭日などの場合は、緊急時には情報を流せる体制にない」との回答が 74.5%、「非常電源な
どの問題から確実に災害時に情報が流せない」との回答が 63.8%であった。ほかには「システ
ム上編成を急に変えるのは困難である」31.9%、「金銭的に余裕がない」29.8%との回答があ
った。この部分のサポートが鍵を握っているといえよう。
デジタルサイネージは、地震時のような停電の可能性が高く突発的な災害での活用は難しい
が、停電せずに電気が通じている限り、また時間的余裕がある場合には災害情報の伝達に利用
することが可能である。すなわち、①荒川や利根川などが破堤した場合は時間をかけて流下し
てくることになるが、浸水まで停電が発生しないであろうと想定される下流部の浸水区域内の
屋外にいる人に浸水区域外への避難を呼び掛けるため、②浸水区域外の屋外にいる人に浸水可
能性区域への人の流入の抑制を呼びかけるため、③そのほか水害全般や軽度な地震被害の帰宅
困難者問題の際などにおいて、デジタルサイネージを用いた情報伝達は有効であろう。
デジタルサイネージは、テレビ・ラジオなどのマスメディア、携帯電話などの通信・ソーシ
ャルメディアに次ぐ、第三の災害情報の伝達手段として有効と考えられる。
しかも、デジタルサイネージを用いた災害情報の伝達は、現段階で技術的には可能なのであり、
後は合意と協力、コストの問題だけなのである。デジタルサイネージの災害情報への活用に向
けて、災害情報の研究者と広告関係者が連携し、可能性を模索していく必要がある。
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CIDIR
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5.6 東京大学災害情報横断ネットワークと防災研究者ネットワークの活動報告
1.活動目的
防災に関する課題は、自然科学、人文科学を問わず、特定分野の知見のみでは解決できない
ものが多いため、多種多様な専門分野を持つ研究者が協力して問題解決に取り組む必要がある。
しかし、各研究者が行っている研究内容を相互に把握できる環境が整備されていないため、共
同研究のパートナーとして適切な相手を見つけることが困難である。この状況は東京大学でも
同様であり、各部局や専攻に分散する防災研究者とその研究分野を俯瞰できる環境整備が重要
な課題となっている。また東京大学が大学全体としてどのような防災研究を実施してきたのか
を把握することも困難であるために、不足している研究領域の抽出や今後展開すべき研究の方
向性の検討も難しい。
そこで CIDIR では、東京大学の防災研究者の連携強化を目的とする「東京大学防災研究者ネ
ットワーク」を構築し、各部局に分散する研究者とその研究分野の俯瞰できる東京大学防災研
究者データベース(UT-DiResDB、図 5.6.1)を東京大学生産技術研究所の都市基盤安全工学国
際研究センター(ICUS)と協力して構築している。さらに 2011 年3月 11 日に発生した「東北
地方太平洋沖地震」の後に東京大学が設置した「東日本大震災に関する救援・復興支援室」の
活動の後方支援を目的として、過去の研究実績に基づいた専門性を踏まえて、東京大学の教職
員の中から適切な相談相手を抽出するシステム(図 5.6.2)の構築も進めている。
東大教職員DB
(人事情報DB)
論文DB
(CiNii, J-STAGE)
科研費DB
(KAKEN)
「防災」、「災害」の研究
をしている教員の抽出
東大防災研究者DB
(研究者)
研究分野分析
フォーマット
論文DB
(CiNii, J-STAGE)
各研究者の「防災」、「災
害」に関する研究の抽出
科研費DB
(KAKEN)
研究者からの
情報入力
東大防災研究者DB
(研究者、研究分野)
図 5.6.1
東京大学防災研究者データベース
(UT-DiResDB)の基本設計
図 5.6.2
関連防災研究者マッチングシステム
の基本設計
2.活動概要
構築したシステムを用いた分析例として、年代ごとの東京大学の防災研究の動向を図 5.6.3
に示す。縦軸は災害種別、横軸は災害対応のフェーズを示している。右下の合計欄の数値は論
文数(下段:防災関係論文総数、上段:災害種別と災害対応フェーズの両者の内容を含む論文
数)であり、それ以外の欄の数値は合計上段の論文数に占める比率(%)である。ハザードや
被害の発生メカニズムの研究が中心であった時代から、防災対策の広い範囲に研究分野が拡大
してきていることがわかる。
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図 5.6.3
東京大学の年代別防災研究の動向(災害種別と対策)
CIDIR
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CIDIR
5.7
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特別教育研究経費
「災害緊急情報を活用した大学防災情報システムの開発」の進捗
2010 年度から新たに、特別教育研究経費による研究プロジェクト「災害緊急情報を活用し
た大学防災情報システムの開発」
(2010 年度から 5 年間)が開始した。今年度はその2年目で
以下のような活動を実施した。
(1)研究プロジェクトの概要
プロジェクト名:災害緊急情報を活用した大学防災情報システムの開発
実施主体:東京大学大学院情報学環附属総合防災情報研究センター
(大学院情報学環、地震研究所、生産技術研究所
3 部局連携プロジェクト)
(連携相手先:IT 強震計コンソーシアム関連企業など )
計画期間:平成 22 年度~平成 26 年度(5 年間)
実施経費予算総額:
51,950 千円(平成 23 年度計画)
(内訳)運営費交付金:13,150 千円、学内負担額:23,800 千円、連携相手先:15,000 千円
本研究プロジェクトの目的は、大学の防災・危機管理能力を向上させ、キャンパスの安全性・
耐災害性を高め、貴重な人材や資源を災害から守ることにある。このため東京大学をフィール
ドとした防災情報システム開発の為の学内現況調査、災害時の情報受容・行動様式の調査、防
災教育コンテンツの研究などを皮切りに、防災情報システムと緊急情報提供端末の開発・検証、
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
緊急情報を用いた防災教育プログラムの開発、防災ラーニングの実証実験などに取り組むこと
にしている。折しも、東日本大震災では、東北地方の大学は甚大な影響を受けたことからも、
大学として事業継続計画を作成し保持しておくことの意義が再認識された。この研究プロジェ
クトにより大学の防災力の向上が図られるとともに、多様な場でのシステム検証を通じて、小
学校から中学高校、各種研究機関等への普及や一般への応用が期待される。
(2)2011 年度の活動の概要
2年目となる 2011 年度は、大別して以下の 4 点について計画・実施した。
【1:緊急時の情報受容・行動様式に関する調査研究】
 東日本大震災後における大学の対応に関する調査の実施
東日本大震災後における大学の対応の実態と課題を把握することを目的として、国立大
学および私立大学へのアンケート調査を実施した(詳細は、5.3にて報告)。
 東日本大震災における大学生の行動に関する調査の実施
首都圏に在住する大学生が、東日本大震災でどのような状況に直面し、どのような行動
をとり、また今後の来るべき首都直下地震にどのように対応しようとしているのかを明ら
かにすることを目的として、大学の学部及び修士課程に所属していた学生に対してアンケ
ート調査を実施した(詳細は、5.4にて報告)
。
【2:大学本部と連携し、大学サービス継続計画(SCM)のあり方を検討】
 2010 年度の東京大学本部防災訓練においては、CIDIR メンバーは本部防火防災部の一員と
して、企画・運営などに参画し、災害時に大学の社会的使命を果たし続けるための実務面
での支援活動を行った。訓練では、東京大学として継続すべきサービス内容(大学 SCM)
の大項目について総長・理事に議論を提起した(詳細は、5.16にて報告)。
 2011 年 3 月 11 日の東北地方太平洋沖地震に対する災害対応記録と、平時の防災計画の整
合性を分析した。
【3:強震計を用いた学内センサーネットワークシステムの開発】
 本郷キャンパスの本部棟と第二本部棟に IT 強震計を設置した。また設置した各建物におけ
る強震観測データを学内から利用可能にするホームページを作成した(詳細は5.11に
て報告)
。
 IT 強震計を用いた学内センサーネットワークシステムが本郷、駒場、柏の各キャンパスに
設置され学内で利用可能になったことから、本システムで収集された地震観測データをも
とに、地震発生時に携帯電話等にメール送信する、学内地震速報伝達システム(ベータ版)
を開発し、本郷、駒場、柏のいずれかのキャンパスで、簡易震度 0.5(震度 1 相当)以上の
揺れが観測されたときに速報メールを出すようにした(詳細は6.11にて報告)。
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
【4:緊急災害情報端末(防災情報板)の開発】
 学内ネットワークによる気象庁の緊急地震速報の提供を開始
前年度に、情報基盤センターの協力を得て、学内ネットワークを介して緊急地震速報を
全学的に提供するための流通基盤網のシステムを開発したのに続き、2011年4月18
日より、 本学の環境安全本部を通じて、正式に学内に向けて気象庁の緊急地震速報の提供
を開始した(詳細は5.8にて報告)
。
 学内非常用放送設備向けの気象庁の緊急地震速報の放送装置の開発
学内で部局ごとあるいは建物ごとに設置されている多くの非常用放送設備において利用
可能な、緊急地震速報の放送設備を開発した。本装置では、単に緊急地震速報の警報を発
するだけでなく、警報発表後の後続の情報を活用して巨大地震の際には地震が大きくなる
過程を逐次放送できる機能を実装している。また、本装置の放送内容が確認できる試験装
置を開発し、実際の緊急地震速報による動作試験を行った(詳細は5.10にて報告)
。
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CIDIR
5.8
Annual Report 2011-2012
学内ネットワークによる緊急地震速報の提供開始
CIDIR では、地震研究所地震火山情報センター(EIC)と共同で、2011年4月18日から
学内ネットワークを介した緊急地震速報の全学的な提供を開始した。地震研 EIC では、気象
庁の緊急地震速報を気象業務支援センターから直接受信しており、学内では本部棟など一部で
のみ利用可能にしていた。CIDIR は、昨年度、防災緊急情報を全学的に提供するための流通基
盤システムを、情報基盤センターの協力を得て学内ネットワーク上に構築しており、今回この
システムを介して、地震研 EIC からの緊急地震速報を全学的に提供可能にしたものである。
学内ネットワークを利用した防災緊急情報の全学的提供のための流通基盤システム(平成22年度開発)
地震研 EIC で現在提供している緊急地震速報利用システムは、WEB ブラウザを使ってサー
バにアクセスするだけで緊急地震速報が受信できる手軽で使いやすいシステムである。しかし、
サーバに少なくとも1秒に1回はアクセスするため、利用端末が増えるとサーバの負荷が高く
なる。このため、今回、このサーバ負荷を
軽減するためのソフトウェア変更も併せて
実施している。
受信地点としては、本郷地区、駒場地区、
柏地区、白金地区の4地区を用意しており、
利用者は、最寄りの受信地点を選んで利用
することができるようになっている。
WEB ブラウザを使った緊急地震速報の受信画面
本システムは、学内のパソコンから、 http://eew-hongo.eri.u-tokyo.ac.jp/ をアクセスして、
以下、画面の指示に従ってクリックするだけで利用可能となっている。
38
CIDIR
5.9
Annual Report 2011-2012
緊急災害情報端末(防災情報板)の実験室等での利用開始について
CIDIR では、特別研究経費による研究プロジェクトの一環として、学内の危険な場所などに
設置して防災情報を伝達する緊急災害情報端末(防災情報板)の開発を進めている。今年度は、
駒場の学部長室・防災担当(菊川学部長補佐)と共同で、駒場6号館の実験室等の10箇所に、
緊急災害情報端末を設置して利用開始し、実験室等における端末設置の問題と端末利用上の課
題を検証することにした。実験室等の危険な場所においては、緊急地震速報が少しでも早く伝
わることが望ましいと考えられるため、今回設置した緊急災害情報端末では、電源を入れたら
緊急地震速報の受信画面が自動的に起動するように設定した。
・駒場 6 号館端末設置作業記録
日程 2011 年 7 月 19 日 10 時頃~11 時頃
場所 駒場 6 号館
参加者 鷹野、鶴岡、石原、菊川、6 号館教員 2 名
作業内容 緊急災害情報端末の設置場所の現場調査
日程 2011 年 9 月 27 日 11 時頃~15 時頃
場所 駒場アドミニストレーション棟 2 階情報ネットワーク室
参加者 鷹野、鶴岡、石原、菊川、増田
作業内容 緊急災害情報端末 10 台の初期設定作業、小型ルータ 10 台の設定作業
日程 2011 年 9 月 28 日~29 日
場所 駒場 6 号館
作業内容 緊急災害情報端末 10 台の設置作業(業者に依頼)
日程 2011 年 9 月 30 日
11 時頃~12 時 30 分頃
場所 駒場 6 号館
参加者 鷹野、石原、菊川
作業内容 緊急災害情報端末 10 台の動作確認、初期設定の確認と修正、スピーカ接続検討
後日、スピーカー設備を常時 ON に改造しスピーカー接続を実施。
・実験室特有の課題の検証
以下のような実験室特有の課題が確認され、駒場学部長室・防災担当と協力して対応した。
1)実験室内における設置場所の選定
緊急地震速報が鳴った場合、端末の近くに来て画面の情報を確認する行動が予想される
為、端末の設置場所は、「室内から見易い場所でその周囲に危険物がない場所」を選定す
るようにした。実験室には危険物が多く、設置場所の選定は重要と考えられた。
2)ドラフトチャンバーのある実験室での課題
現場調査の結果、ドラフトチャンバーが動作すると、室内が騒音で満たされて、緊急地
震速報の端末の音が届かないことが判明した。駒場 6 号館ではドラフトチャンバーが設置
されている実験室は2箇所あるが、いずれの教室も、教員が実験中に学生に説明する為の
スピーカー設備が備え付けられていた。現場での実験の結果、緊急地震速報の端末の音声
出力を、既存のスピーカー設備に接続することで、隅々まで音が届くことがわかった。し
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
かし、スピーカー設備はマイクを刺さないと電源が ON とならない仕様になっているとい
う新たな問題が判明した。スピーカー設備が常時 ON でないと、パソコンからも音声が出
ず、緊急時の放送がまったく流れないということから、駒場 6 号館の担当教員と駒場部局
長補佐とで対策を相談して頂き、スピーカー設備を常時電源 ON となるよう改造して頂く
ことになった。その結果、ドラフトチャンバーのある実験室では、既存のスピーカー設備
を介して、緊急地震速報の音が隅々まで流れるようになった。
・駒場 6 号館 端末設置場所と設置端末の写真
①部屋番号 112 有機化学実験(スピーカ接続) 部屋番号 112 のスピーカ接続盤
(マイクを刺さないと電源が ON にならない)
②部屋番号 117 宇宙地球科学
③部屋番号 201 化学実験
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④部屋番号 212 物理化学実験
⑤部屋番号 217 化学実験(スピーカ接続)
⑥部屋番号 305 物理教室
上記部屋番号 217 の端末設置場所
⑦部屋番号 401 生物実験
⑧部屋番号 409 実験
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⑨部屋番号 412 生物実験
⑩部屋番号 417 生物実験
スピーカ接続(変換器が大きく横に飛び出る) 室内ルータ(部屋番号 401)
(音響プラグのサイズ変換器が必要)
(室内の既存ルータ経由の接続(2 箇所))
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5.10 緊急地震速報の放送技術に関する研究と緊急地震速報の放送装置の開発
背景
東北地方太平洋沖地震の際の緊急地震速報では、地震を検知してから8.6秒後にマグニチ
ュードが M7.2に成長して宮城県、岩手県、福島県、山形県に警報が出された。しかしその
後の緊急地震速報では、65 秒後に M7.9、105 秒後には M8.1と地震が徐々に巨大化し
ていることを示していたが、このような巨大地震に成長したことが伝達されて活用されること
はなかった。これは、現在の一般向け緊急地震速報が、
「予想震度が 5 弱以上になった時に警
報として原則 1 回だけ発表する」
(気象庁)としているためで、警報を出すことにのみに偏重
し、緊急地震速報が本来持っている「時々刻々新しい情報が出される」機能が活かされない為
であると考えられる。しかし今後発生が予想されている東海・東南海・南海地震などの巨大地
震でも、緊急地震速報の発表は、地震検知後の数秒~10 秒頃に M6~M7 で警報が出された後
に、
60~100 秒後に M8 クラスに成長して巨大化する様子を示すことが予想される。このため、
現在の警報発表のみに偏重した発表は、後続の情報を活かした発表に改善する必要がある。
放送技術における後続の情報提供の可能性
一度警報を発表した後に、後続の情報を活かして発表を変更することについて、平成 23 年
4 月に出された気象庁のガイドラインにおいては、
「予想した震度が大きくなる場合には、震度
に応じて制御内容を変更することを推奨。一方、予想した震度が小さくなる場合の変更には、
直後に再度予想した震度が上がる場合に生じるリスクへの十分な留意が必要。」とされている。
しかしながら、まだそのような対応が可能な自動放送技術は確立されておらず、一般社団法人
電子情報技術産業協会 JEITA が平成 23 年 4 月に改訂した「緊急地震速報に対応した非常用放
送設備に関するガイドライン」でも、後続の情報による発表の変更については記述がない。そ
こで、CIDIR では、2011 年度において、緊急地震速報の放送技術における、後続の情報提供
方法を研究し、それを実際の学内の館内放送設備において実現することにした。
学内の非常用放送設備の現状
学内では、部局ごとあるいは建物ごとなど様々な形で、多数の非常用放送設備が設置されて
いる。それには大きくアナログ放送タイプとデジタル放送タイプがあり、古くて放送設備の起
動に時間がかかり緊急地震速報の放送には適さないものから、最新の緊急地震速報の放送にも
対応可能な機能を備えたものまで多種多様である。また非常用放送設備が違うと接続可能な装
置が異なるため、放送設備ごとに緊急放送が異なるという恐れもある。このような状況では、
学内で広く緊急地震速報を放送することは絶望的にすら思える。さらに最新型の非常用放送設
備でも、緊急地震速報の警報発表後の、後続の情報による放送の変更には対応していない。
学内の多くの非常用放送設備で共通に利用可能な緊急地震速報放送設備の開発
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CIDIR
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CIDIR では、以上のような学内の非常用放送設備の現状を踏まえて、より多くの非常用放送
設備で利用可能であり、かつ、非常放送内容も基本的に共通にすることのできる、緊急地震速
報の放送設備を、本部の施設部と環境安全本部の協力を得て開発することにした。
今回開発した緊急地震速報の放送装置の構成
気象庁の緊急地震速報は、東大地震研のシステムを介して、情報学環の CIDIR が別途開発
した緊急地震速報端末に届き、そこから学内の専用ネットワークを介してインターフェースコ
ンバータを制御しシグナルボイスに予め用意した放送音声を選択して既存の非常用放送設備
に入力して放送する。放送開始後に緊急地震速報の後続報が届いて、放送内容を変える必要が
あれば、インターフェースコンバータを介して放送を中断して新たな放送内容を流すことが可
能になっている。
緊急地震速報の放送装置の試験装置の開発
2011 年度に上記の緊急地震速報の放送装置
のハードウェアとソフトウェアの開発を実施し
たが、それを現場の放送設備に取り付けた場合
に、もし何らかの不具合があった時に影響が大
きいために、放送設備の代わりにスピーカを取
り付けて、室内で試験ができる試験装置を開発
した。また、過去の緊急地震速報のデータをも
緊急地震速報の放送装置の試験装置
とにどのような放送がされるかを再現するソフトウェアの開発も進めた。以上の開発と試験を
重ねた上で、学内の一部の非常用放送設備で接続試験を行い全学で利用可能にする予定である。
参考文献
1)緊急地震速報を適切に利用するために必要な受信端末の機能及び配信能力に関するガイドライ
ン、気象庁、平成 23 年 4 月
2)緊急地震速報に対応した非常用放送設備に関するガイドライン、JEITA、平成 23 年 4 月
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CIDIR
5.11
Annual Report 2011-2012
IT 強震計による学内建物地震観測ネットワークの構築とデータ提供
特別研究経費による研究プロジェクトの一環として CIDIR では、キャンパス内の建物に IT
強震計を設置して、建物内における強震観測を用いた学内センサーネットワークシステムを構
築している。プロジェクト初年度の平成 22 年度に、駒場Ⅰキャンパスの 15 号館と 16 号館、
柏キャンパスの新領域環境棟と宇宙線研に IT 強震計を設置したのに続き、2 年目の平成 23 年
度は、本郷キャンパスの本部棟と第二本部棟に IT 強震計を設置した。また設置した各建物に
おける強震観測データを学内から利用可能にするホームページを作成した。
・本郷キャンパスの本部棟・第二本部棟への IT 強震計の設置について
本部棟、第二本部棟への IT 強震計の設置に際しては、本部情報システム支援課の協力のも
とに、まず IT 強震計のセンサー設置場所と LAN 環境について検討した。
日時 平成 23 年 5 月 10 日 13:30~14:30
場所 本部情報システム支援課
出席者 本部情報システム支援課 香田、今田、垂水、CIDIR 鷹野、地引、伊藤
議題 本部棟・第二本部棟におけるセンサー設置場所と LAN 環境についての検討
ここでの検討をもとに、キャンパスネットワークと本部棟のネットワーク上に、センサー接
続専用の仮想ネットワーク(VLAN)を構築するという基本方針が立てられて、情報基盤セン
ターに建物間 VLAN の申請をすること、また、本部棟と第二本部棟の関係部局に対して、情
報学環長より、IT 強震計の設置依頼文書を提出することなどの基本方針が立てられた。
次いで、実際にセンサー設置が可能かどうかを現場調査するために、本部総務課、本部施設
部、本部情報システム支援課の協力を頂いて現場の下見を実施した。
日時 平成 23 年 8 月 5 日 10:00~11:50
内容 本部棟・第二本部棟のセンサー設置候補場所の現場調査
参加者 本部総務課、本部施設部、本部情報システム支援課の各担当者、
CIDIR 鷹野、地引、伊藤、 現地対応 法科大学院
まず事前に建物図面から、センサー設置場所の候補を選んでおき、現場で設置場所としての
適否、ネットワークや電源環境について調査した。その結果、本部棟に 8 箇所(後に 9 箇所に
増加)
、第二本部棟には 7 箇所のセンサー設置場所を決定した。また第二本部棟は既設 LAN 回
線を使わないで電源線 LAN(PLC)を採用すること、本部棟内は、生活用の LAN とは別の「セ
ンサー接続専用の VLAN」を構築しネットワークを分離すること、学内は、UTnet の建物間
VLAN を利用すること、などを最終的に決定した。これらの具体的な情報をもとに、情報学環
長より本部棟と第二本部棟の関係部局に対して、IT 強震計設置依頼文書が提出された。また、
情報学環の部局 LAN 担当者を通じて、情報基盤センターに建物間 VLAN の利用申請が出され
た。更に、本部施設部を通じて、電源工事と LAN 配線工事を工事業者に依頼し、本部情報シ
ステム支援課に依頼して、本部棟に新たな専用 VLAN が構築された。
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
以上の準備の後に、電源と LAN の工事を実施し、IT 強震計の設置を実施した。
日時 平成 23 年 9 月 24 日 10:30~18:00
内容 本部棟、第二本部棟における IT 強震計の設置
作業者 CIDIR 鷹野、伊藤、
現場立会 有村(施設部保全課)、垂水(情報システム部情報システム支援課)
設置場所 本部棟 9 箇所、第二本部棟 7 箇所
第二本部棟地下設置機材
(左から UPS、
PLC、 第二本部棟地下北側 センサー、PLC 設置
センサー、手前はステーション(Mac-mini))
場所
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
第二本部棟 2 階南 センサー、PLC 設置
第二本部棟 4 階南 センサー、PLC 設置
第二本部棟 7 階北 センサー、PLC 設置
第二本部棟 7 階中央 センサー、PLC 設置
第二本部棟 7 階南 センサー、PLC 設置
47
CIDIR
Annual Report 2011-2012
本部棟のセンサー設置
本部棟地下 1 階マシン室 センサー設置
本部棟 1 階地下室 センサー設置
本部棟 1 階 LAN 室 センサー設置
本部棟2階 LAN 室 センサー設置
本部棟4階 LAN 室 センサー設置
本部棟6階 LAN 室 センサー設置
48
CIDIR
Annual Report 2011-2012
本部棟9階 LAN 室 センサー設置
本部棟12階 LAN 室 センサー設置
本部棟12階西側 センサー設置
本郷キャンパスの本部棟、第二本部棟で観測された地震データは、駒場キャンパス、柏キャ
ンパスの建物の地震観測データとともに、ホームページで学内から利用可能にした。
IT 強震計の観測データ提供用ホームページ http://ut-itk.eri.u-tokyo.ac.jp(学内限定)
49
CIDIR
5.12
Annual Report 2011-2012
CIDIR 災害情報調査アーカイブスの更新
CIDIR では、2010 年 4 月 1 日から「CIDIR 災害情報調査アーカイブス」のホームページ上
で、災害情報に関わる調査研究の紹介を行っている。2008 年度中に開発した廣井アーカイブ
スと同様に、調査対象地域を地図上から検索することができ、調査名称、調査時期、災害タイ
プ、対象地、調査方法などの概要と、発表論文・報告 PDF を参照することができる。地図上
では、調査対象地域は調査の種類ごとの異なる色付けされた網掛けで表現されており、ここか
ら地域をクリックすることでも調査情報を参照することができる。
URL は左記の通りである。http://cidir-db.iii.u-tokyo.ac.jp/cidir/index.html
2011 年度は、表 5.12.1 に示す 12 種類の調査を行い、2011 年度末にアーカイブスの情報の
更新を行った。2011 年度は、東日本大震災を踏まえて、緊急地震速報の対応行動、震災によ
る生活支障、大学の震災対応、大学生の震災時の行動など、様々な視点での調査を実施した。
実施した調査は、地震に関する 9 調査を行い、水害に関する 2 種類の調査の他、災害用語を対
象とする災害全般の調査、毎年全国的に実施している「災害情報の認知度や防災意識の動向に
関する定期的調査」である。
図 5.12.1 CIDIR 災害情報調査アーカイブス 地図検索画面
50
CIDIR
Annual Report 2011-2012
表 5.12.1 更新作業を行った調査一覧
調査タイトル
調査時期
災害タイ
プ
対象地
調査方法
2011年3月東日本大震 2011年3月29日~3
災時の津波対応調査 月31日
地震
北海道函館市、釧
路市、苫小牧市、室 Webアンケート調査
蘭市
2011年3月東日本大震
災における企業の緊急 2011年7月24日~8
地震速報の利用状況に 月29日
関する調査
地震
全国
2011年3月東日本大震
災後における緊急地震 2011年8月9日-16
速報への住民意識に関 日
する調査
地震
Webアンケート調査(2010年9月
東京都・千葉県・埼 福島県中通りを震源とする地震
での調査の回答者に対する追
玉県・神奈川県
跡調査)
2011年ブリスベンの水
害生活困難調査
水害
ブリスベン
2011年12月22日~
2012年1月10日
災害情報の認知度や防
2011年12月20日~
災意識の動向に関する
12月27日
定期的調査
災害全般 全国
質問紙調査
Webアンケート調査
Webアンケート調査
日本私立大学連盟金
曜会所属校:2011年
11月18日~2012年
2011年3月東日本大震
12月31日、関東甲信 地震
災時の大学の対応調査
越地区の国立大学:
2011年12月1日~
2012年2月16日
関東地方、東北地
方
2011年3月東日本大震 2012年1月27日~2
災時の学生行動調査 月5日
東京都、神奈川県、
Webアンケート調査
千葉県、埼玉県
2011年災害用語調査
地震
2012年2月4日~2月
その他
12日
質問紙調査
札幌市、東京都、大
阪市、福岡市、広島 訪問面接調査
市
2011年3月東日本大震
2012年2月11日~3
災時のデジタルサイ
月1日
ネージ調査
地震
東京都、神奈川県、
質問紙調査
千葉県、埼玉県
2011年9月台風12号で
の香川県内でのエリア 2012年2月24日~3
メール受信状況に関す 月12日
る調査
水害
香川県三木町、高
松市
訪問面接調査
2011年3月東日本大震
災時の仙台生活支障調 2012年3月1日
査
地震
宮城県仙台市
Webアンケート調査
2011年3月東日本大震
災後における緊急地震 2012年3月27日~3
速報への住民意識に関 月30日
する調査
地震
仙台市、福島市、盛
岡市、山形市、秋田 Webアンケート調査
市
51
CIDIR
5.13
Annual Report 2011-2012
災害情報の認知度や防災意識の動向に関する定期的調査
(CIDIR 定点調査)
1.調査目的と調査概要
災害情報の認知度や防災意識の動向に関する客観的な基礎データを長期にわたって蓄積し、
災害情報の観点から分析することを目的に、2011 年 12 月に 3 回目を実施した。調査方法と調
査概要は以下の通り。
ⅰ)対象者:全国の 20 歳から 69 歳までの男女 3,000 サンプル
ⅱ)抽出方法:都道府県毎に、人口構成比で比例配分
ⅲ)調査方法:WEB 調査
ⅳ)調査時期:2011 年 12 月 20 日から 12 月 27 日
全 体
3,000
北海道
133
東北
196
関東
1,032
中部
541
近畿
491
中国
176
四国
92
九州・沖縄
339
2.主な結果
ⅰ)東日本大震災を受け、日常生活の中で感じる不安の中で原子力事故が 1.98 倍
自然災害に対して、日常生活の中で「非常に不安を感じ」ている人が 25.6%、「やや不安を
感じ」
ている人が 46.4%、
合わせて 72.0%に達している(図 5.13.1 参照)。
前年、2010 年の 59.3%
から 12.7 ポイント、2009 年の 66.8%と比べても 5.2 ポイント高くなった。また「原子力事故
への不安」は 69.8%と、震災前の 35.2%と比べて 1.98 倍へと大幅に高くなった。
第 1 位と第 2 位は前年と同様に「景気動向」が 85.2%(前年 84.3%)、「年金や社会保障」
が 86.5%(前年 84.4%)を占めた。今年度は、次いで自然災害への不安と原子力事故への不
安が続き、これまで 3 位だった健康を若干上回るという、東日本大震災のインパクトの強さを
如実に示す結果となった。
今回の震災受けて、大きく変動した原子力事故への不安を地域別に見たのが、表 5.13.1 であ
るが、東北と関東ならびに近畿で伸びが大きい。
* 本調査はライフライン・マスコミ連携講座寄付金を用いている。
52
CIDIR
Annual Report 2011-2012
表 5.13.1 原子力事故への
不安の対前年比(地域別)
対前年比
1.87
100.0
北海道
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
2011
40.0
2010
30.0
2009
20.0
10.0
0.0
社会
保障
景気
動向
健康
自然 地球 新型
災害 温暖化 インフル
犯罪
交通
事故
食の 原子力
安全 事故
東北
関東
中部
近畿
中国
四国
九州・沖縄
2.43
2.22
1.86
2.07
1.80
1.49
1.56
図 5.13.1 日常生活で感じる不安
また、性別・年代別に見たのが、図 5.13.2 であるが、男性と比べて女性が、年代が上がるに
つれて不安の伸びは大きくなっている。ただし、女性では年代による差は小さく、対前年比で
見ると、20 代と 30 代、50 代で大きくなっている。子育て世代の不安を反映した結果であると
考えられよう。
20代
20代
30代
男性
30代
40代
40代
50代
50代
60代
60代
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
女性
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
図 5.13.2 原子力事故への不安(性別・年代別)
ⅱ)自然災害の中では、地震に対する不安が最も高い
自然災害の種別で見ると、地震に「非常に不安を感じる」人が 45.4%、
「やや不安を感じる」
人が 42.3%と合わせて、87.7%が不安を感じている。図 5.13.3 に示したように、前年の 82.5%
より 5.2 ポイント高くなっているが、2 年前の 2009 年と大きな差はない。
むしろ、津波、河川はん濫ならびに土砂災害について伸び率は大きい。津波に関しては、昨
年度は 2009 年 2 月のチリ地震で注目を集めていたにも関わらず、23.6%と前年の 22.4%と同
等であった。それが、今年度は 44.1%と前年比 1.97 倍となった。中でも、北海道と近畿の伸
びが高い。四国が伸び率が低いのは、前年から高かったためであり、東北と九州・沖縄と並ん
53
CIDIR
Annual Report 2011-2012
で 50%を超えている。
また台風 12 号等大規模な水害が発生したことを受け、土砂災害は前年の 26.5%から、35.0%
と 1.32 倍、河川災害が前年の 28.0%から 41.8%へと 1.49 倍に増加している。とくに近畿と中
国で河川氾濫への不安が高まっている。
さらに火山噴火への不安も、前年の 22.3%から 29.5%へと 1.32 倍になっている。とくに、
北海道と九州・沖縄では 4 割近くに達している。全国的に、いろいろな災害に対する不安が高
まった 1 年と言える。
表 5.13.2 災害毎の不安の対前年比
地震
100.0
90.0
北海道
東北
関東
中部
近畿
中国
四国
九州・沖縄
2011
80.0
2010
70.0
2009
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
地震
竜巻
大雪
河川
氾濫
土砂
災害
津波
火山
噴火
津波
0.99
1.10
1.08
1.05
1.03
1.07
1.03
1.12
河川はん濫 土砂災害
2.18
1.91
1.89
1.66
2.13
1.80
1.23
2.01
1.52
1.45
1.45
1.42
1.78
1.84
1.28
1.37
1.31
1.43
1.48
1.13
1.34
1.26
1.37
1.23
図 5.13.3 災害ごとの不安の比率
ⅲ)緊急地震速報の認知率は 61.3%
緊急地震速報は、2011 年に 97 回発表された(気象庁資料)こともあり、前年の 61.3%から
79.3%へとほぼ 8 割の認知率となった。実際に緊急地震速報を受けた人は 27.0%から 54.7%
へと大幅に伸びている。しかし、2 回しか発表されなかった西日本では 7 割程度と、数多く発
表された東北・関東の 9 割程度と比べて低い。
ついで土砂災害警戒情報は、前年の 35.8%から 43.2%と 1.38 倍と認知率を上げているが、
記録的短時間大雨情報は前年の 29.2%から 27.8%と若干下げている。その一方で、洪水ハザ
ードマップは 29.6%と前年の 23.7%から 1.25 倍となった。
90.0
70.0
2009
80.0
2011
60.0
2010
2010
2011
70.0
2009
50.0
60.0
50.0
40.0
40.0
30.0
30.0
20.0
20.0
10.0
10.0
0.0
0.0
大雨警報 土砂災害 噴火警報 緊急地震 東海地震 竜巻注意 洪水HM 避難準備 記録的短
警戒情報
速報 調査情報 情報
情報 時間大雨
耐震化
なし
図 5.13.4 災害情報の認知率
地震保険
家具の
固定
地盤の
嵩上げ
地下浸
水対策
図 5.13.5 対策の実施率
54
水・食糧
の備蓄
ラジオ
CIDIR
Annual Report 2011-2012
ⅳ)家具の固定率や自宅の耐震化は微増
このような不安は高まっているが、災害への備えについてみると、進展していない。ラジオ
や懐中電灯の用意が 63.2%と前年の 52.5%から 1.2 倍に伸びているものの、家具の固定率は前
年の 24.9%から 27.6%へ、自宅の耐震化は 20.9%から 21.6%へ、地震保険への加入は 32.5%
から 33.4%へと微増にとどまっている。
ⅴ)求められる被災後の住宅や生活再建の支援と迅速かつ的確な警報の発表
国や自治体に重視してほしい対策として、東日本大震災以降によく指摘される防災教育や立
地規制、避難勧告等災害情報への期待は大きい。また、予知研究への期待もこれまでよりも伸
びており、研究へ大きな期待が寄せられている。
その一方で、防災に強い街づくりはむしろ期待が下がっている。中部以西では低い傾向がみ
られる。津波からの復興で大きな論点となっている立地規制や、また今回の震災ではその限界
も指摘される施設整備に対する期待はもっとも高い伸びを見せていることと比べて対照的な
結果となっている。施設整備や立地規制については、四国で特に大きく伸びているほか、東北、
中部、近畿で高い伸びを示している。
80.0
90.0
70.0
80.0
60.0
70.0
50.0
2011
2010
40.0
2009
2010
2011
60.0
50.0
2009
40.0
30.0
30.0
20.0
20.0
10.0
10.0
0.0
予知
研究
施設
整備
街づくり
防災
教育
立地
規制
救出・
救助
警報や
避難勧告
避難
施設
住宅や
生活再建
0.0
関東
大震災
図 5.13.6 国や自治体に重視して欲しい対策
雲仙普賢 阪神・淡路
岳噴火
大震災
三宅島
噴火
新潟県
中越地震
2005
年大雪
岩手・宮城 2011年台
内陸地震 風第12号
図 5.13.7 最近話に出た災害
ⅵ)語り続けられる阪神・淡路大震災
「阪神・淡路大震災」について最近話をしたことがある人は前年に 47.1%と過半数を割った
が、今年はさらに低下し、40.6%と 4 割になった。それでも近畿地方では 67.4%と依然として
語り継がれているが、前年の 75.1%から 7.7 ポイント、一昨年の 82.2%から 14.8 ポイント低
下しており、漸次低下傾向にある。
過去の災害では、関東大震災が 16.4%と前年の 15.5%と同水準であったが、伊勢湾台風は
14.8%前年を 2 ポイント程度上回った。
55
CIDIR
5.14
Annual Report 2011-2012
インドネシアにおける地震火山の総合防災策
田中センター長、関谷直也客員研究員(東洋大学社会学部准教授)、地引特任助教の 3 名は、
2009 年度から 2011 年度にかけてインドネシアの火山防災に関連する研究プロジェクトに従事
してきた。この研究プロジェクトの正式名称は、
「JST-JICA 地球規模課題対応国際科学技術協
力 インドネシアにおける地震火山の総合防災策」といい、日本とインドネシアの 2 国間共同
研究を企図したものである。
田中センター長以下 2 名は「災害時の情報伝達と被災者の心理」というサブグループに所属
し、情報伝達システムの要件を提案(2011 年度実施)することを最終的な目的としてきた。その
ために、被災住民の行動・心理(2010 年度実施)と、防災行政機関の実態(2009 年度実施)の分析・
検討を行った。この研究活動は CIDIR のミッションの 1 つである「災害情報マネジメントの
研究」に関連付けられる。災害情報の生産過程から、地方行政機関への伝達システムと地域に
即した避難勧告等災害情報への変換過程を通して、住民への伝達とその活用過程に至る一連の
プロセスの解明に取り組んできた。
ここでは、3 年間の活動における、調査の対象事例、調査の実施方法、主な調査結果につい
て報告を行う。
1.調査事例:ケルート火山とシナブン火山
主要な対象としてジャワ島の東部に位置するケルート(Kelud)火山を採用し、補完事例とし
てスマトラ島北部のシナブン(Sinabung)火山を取り上げた。ケルート火山はたびたび火山活動
を活発化させており、2007 年の 9 月から 11 月にかけて火山活動が活発化した。一方、シナブ
ン火山は 2010 年 8 月に 400 年ぶりに噴火した。両火山とも、火山活動が活発化した際には火
山地質災害センター(PVMBG)の火山活動レベルが最高度のレベル 4(AWAS)となり、周辺の住
民に対して避難命令が出された。
2.活動の概要
2009 年度から 2011 年度の各年度の調査研究活動の概要を下表にまとめた。
年度
2009 年度
活動の概要
主目的:防災行政機関の実態の解明
 PVMBG、BNPB(国家防災庁)、東ジャワ州防災管理局、公共事業省、イ
ンドネシア国営テレビ(TVRI)などに対して、同国の防災体制について
インタビュー調査を実施。
2010 年度
主目的:被災住民の行動・心理の調査研究
 2010 年 7 月 29 日から 8 月 4 日にかけて、ケルート火山周囲の村でグル
ープ・インタビュー調査を実施。
56
CIDIR
Annual Report 2011-2012
 2011 年 2 月 15 日から 2 月 20 日にかけて、ケルート火山周囲で質問票調
査を住民に対して実施。
2011 年度
主目的:情報伝達システムの要件の提案
 2011 年 6 月 23 日から 6 月 27 日にかけて、ケルート火山に隣接する 2 県
に対して住民調査の結果を報告し、同火山の火山防災対策について議論。
同火山を対象に火山活動評価手法を研究する京都大学防災研究所火山活
動研究センターの石原和弘教授のサブグループとともに実施。
 2011 年 10 月 24 日及び 10 月 25 日に、再びケルート火山に隣接する 2 県
を訪問し、情報伝達システムの要件について討議を実施。
 2011 年 11 月 1 日に、防災担当大統領補佐官事務所に対して住民調査結果
を報告するとともに、情報伝達システムの要件について議論。
 2011 年 3 月 20 日から 3 月 23 日にかけて、シナブン火山周囲の村でグル
ープ・インタビュー調査を実施。
 2011 年 3 月 29 日に、BNPB の Sugen Triutomo 次官に対して住民調査
結果を報告するとともに、情報伝達システムの要件について議論。
3.調査の概要
ケルート火山では質的なグループ・インタビュー調査と、量的な住民調査を実施した。
グループ・インタビュー調査は、住民調査の質問票を設計するための前段階の予備的な調査
として行った。2007 年の事例で影響を受けたケルート火山に隣接する東ジャワ州クディリ
(Kediri)県及び同州ブリタール(Blitar)県のそれぞれで、火山に近い村と遠い村を 1 つずつ選び、
各村で男女を分けて 8 回のグループ・インタビュー調査を実施した(2 県・2 村・男女の組合せ
の合計 8 回)。グループ・インタビュー調査には、合計 51 名が参加した。
ケルート火山の住民調査の調査対象は、2007 年の事例で影響を受けたクディリ県とブリタ
ール県で避難命令が出された地域である。クディリ県の 17 村及び、ブリタール県の 13 村、合
計で 30 村が避難命令の対象となった。調査対象者は、この 30 村の中から 2 段階無差別抽出法
を用いて選択した。まず 30 村の中から 10 村をランダムに抽出(クディリ県から 5 村、ブリタ
ール県から 5 村と均等分配)し、さらに 1 村につき 45 名ずつをランダムに抽出するという調査
設計をした。
そして、
最終的には 427 名の有効回答を得た(有効回収率 94.9%)。
調査内容は 2007
年のケルート火山の活動活発化にともなう住民の避難実態、避難行動を規定する諸要因、そし
て住民がどのようなメディアを通して避難命令や警報(火山活動レベル)を入手したのか、など
についてである。
ケルート火山の調査結果と比較するために、シナブン火山で補完的な調査を実施した。シナ
ブン火山は、400 年ぶりの噴火である点(ケルート火山の直近の噴火は 1990 年)と、火山周辺の
住民の社会経済的特性がケルート火山と異なる(シナブン火山はスマトラ島でケルート火山は
ジャワ島)。そこで、ケルート火山の住民調査で得た結果をシナブン火山の調査で検証しようと
57
CIDIR
Annual Report 2011-2012
した。シナブン火山に隣接する 2 つの県(カロ(Karo)県とランカット(Langkat)県)のそれぞれで、
火山に近い村と遠い村を 1 つずつ選び、各村で男女を分けて 8 回のグループ・インタビュー調
査を実施した(2 県・2 村・男女の組合せの合計 8 回)。グループ・インタビュー調査には、合計
51 名が参加した。
4.主な調査結果:災害情報の伝達方法
災害情報入手源として「村長・集落長」を回答した人の割合が最も高かった。例えば、火山
活動レベルでは 54.5%(11.0%:比較のため TV の比率を括弧内に記載)、避難命令では 61.9%
(2.0%)の人が村長・集落長から情報を入手した。また、情報源としての信頼性については 29.0%
(6.8%)の人が村長・集落長を信頼していると回答した。これらの数値はいずれも単一回答で得
た値である。村長・集落長が災害情報伝達のハブの役割を担い、情報源として住民の信頼も厚
いことが上記の結果からわかる。しかし、彼らだけに頼る情報伝達には危険が伴う。2010 年
のメラピ火山の事例では、事前に集落長に情報提供を行ったものの、何人かの集落長には誤っ
て伝わったことがあったという。そのため、事後はもとより事前から、PVMBG が村長・集落
長に対して火山活動の状況や今後の見通しを直接説明して彼らの理解度を高めることで、住民
への情報伝達が円滑に運ぶことが期待される。また、村長・集落長といった公的な枠組みの他
にも、Bumi Lestari や Kontak Tani と呼ばれるコミュニティ内の非公式な集団が果たす暗黙
的な役割にも注意を払う必要があるだろう。
メラピ火山の場合に限っては、山頂周辺の観測所にサイレンがあり、非常時には警報音を発
する仕組みがある。シナブン火山の調査では、サイレンの音であれば田畑で農作業中の住民に
も届くので有効ではないだろうかという意見が寄せられた。
近年、インドネシアでは携帯電話を用いる情報伝達に関心が集まっているが、注意が必要で
ある。東ジャワ州全体の携帯電話普及率は 68.8%だが、村ごとの普及率(最小普及率はクディ
リ県で 48.8%、ブリタール県で 35.0%)に差がある。さらに、シナブン調査からは、火山の周
囲は山がちで場所によっては電波が届かない地域もあることがわかった。以上より、情報伝達
手段を一種類に限定するのではなく、複数の手段を組み合わせることが必要だと考える。
付記
田中センター長以下 2 名が取り組んだ「災害時の情報伝達と被災者の心理」の活動には、イ
ンドネシア大学心理学部クライシス・センターの Dicky Chresthover Pelupessy センター長が
カウンターパートとしてプロジェクトの全期間を通じて緊密に協働し、3 年間の研究活動を精
力的に支援していただいた。
58
CIDIR
5.15
Annual Report 2011-2012
インド工科大学ハイデラバード校等との共同研究の 2 年目
JST/JICA の「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」として平成 21 年度に採択された
インド共和国との防災分野での研究課題「自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構
築に関する研究」
(日本側研究代表者:村井純(慶應義塾大学 環境情報学部
教授)、研究期
間 5 年間)に、CIDIR から鷹野、古村、大原と伊藤特任研究員が日本側の研究者として参画し
ている。このプロジェクトは、通称「インド・プロジェクト」と呼ばれ、インド工科大学(IIT)
ハイデラバード校を代表とするインド側 7 つの大学、研究所と、日本側からは慶応大学
(代表)
、
東京大学など 4 大学が、4つの研究項目に対して4つの日印の共同研究グループを構成してい
る。CIDIR メンバーが参加しているのは、東京大学地震研究所が中心となって構成している共
同研究グループ 1(地震災害の軽減)である。グループ 1 では、インドにおいて強震動・GPS・
建物センサの観測ネットワークを構築することにより、地震ハザードおよび地震リスクの把握
を進め、インドにおける将来の地震災害軽減に資する研究に取り組む。
平成 22 年 3 月にインド共和国との正式な共同研究契約が結ばれ、平成 22 年 7 月のキックオ
フミーティングから本格的な共同研究が開始している。平成 23 年度は、日本から CIDIR メン
バーがハイデラバードを訪問して、強震動に関しては古村教授により、日本から先行して調達
された 2 セットの広帯域強震計をインド国立地球物理学研究所(NGRI)にて動作確認し現地
スタッフの研修を行った。現地での動作確認では、予想外のノイズの混入が認められ、日本側
メーカに原因解明と機材の改善を指示し、改善された残り 26 台の広帯域強震計が、年度末の
慌ただしい中インドに発送された。一方、建物センサーに関しては鷹野教授と伊藤特任研究員
により、日本から新たに調達された改良型ポータブル微動観測装置 2 式をインド情報技術大学
(IIITH)のキャンパスの建物において動作確認し、前年度調達した建物センサーの設置に関
する技術的な研修を、実際に同キャンパスの建物を利用して現地スタッフに対して行った。ま
た、インドヒマラヤ地方の Chandigarh 市の建物に設置予定の残りの建物センサー7 式と地域
センターサーバについては、日本側からの輸出手続きに予想外の時間がかかり、これも年度末
の慌ただしい時期にインドに発送された。
国際共同研究においては、観測機材の
調達に予想外の時間がかかったり、日本
では発生していないトラブルが現地環境
によって発生する等の、予想外の時間と
労力がかかることを強く実感した。平成
24 年度からは、インドヒマラヤ地方に、
広帯域強震計や建物センサーが設置され
て新たな共同研究ステージに入る。今後
のさらなる進展が期待される。
59
CIDIR
5.16
Annual Report 2011-2012
東京大学本部防災訓練と CIDIR の協力
2009 年度及び 2010 年度に引き続き、2011 年度も CIDIR は東京大学の本部(以下、
「本部」
と省略)の防災訓練実施を支援した。
(1)訓練の概要
2011 年度の訓練は、2011 年 12 月 21 日水曜日の 15 時から 17 時に、東京大学の本部と工学
系等の合同防災訓練という形式で実施された。
本部の災害対策本部訓練としては 3 回目となる今回の訓練では、部局と合同で実施し、大学
本部・部局本部の連携向上を図ることを主目的として企画・運営された。具体的には、
 発災直後及び 3 時間後の各部局から本部への被害報告様式の妥当性評価、
 各部局の避難場所の調整、
 薬品火災対応に必要な情報内容の洗い出し
をすることにある。また、バリアフリー支援室と連携し、障害のある学生・教職員の個別避難
計画の確認や保健センターとの連携による応急救護所の設置、国際本部との連携による英語で
の本部情報発信など個別活動計画を検証するプログラムも行われた。これらの活動計画は、3
月 11 日に発生した東日本大震災時に指摘された課題への対応として検討されたものである。
訓練では、首都直下地震が発生したとの想定で、大学本部側は避難訓練には全本部教職員が、
また引き続き行われた災害対策本部訓練には総長・役員等災害対策本部員をはじめとする教職
員約 100 名が、工学系等は工学系研究科長・情報理工学系研究科長以下 2,000 名の教職員・学
生が参加する大規模な訓練となった。
(2)訓練の成果と今後の課題
訓練の成果として、具体化した対策項目や活動計画が確認できたものもあるが、それ以上に
いくつかの課題が浮き彫りになった。なかでも、大学本部と部局本部との間の情報・指示の受
け渡しや本部にあげるべき情報の選択基準などは、本部運営を根本から見直す必要のある課題
と言える。
これら課題の解消と防災計画への反映を行い、次年度以降の訓練で確認していく必要がある。
そのために CIDIR は、訓練のビデオ分析や訓練参加者から寄せられたフィードバックシート
の分析を行っており、結果がまとまり次第、逐次、本部へその結果と改善策を提案していく。
既に、本部員からの問い合わせへの回答状況や大学本部と部局本部との情報の流れ等を分析し、
時間を要したり、共有されていなかったり、完了しないまま積み残されてしまった内容を提示
した。多くは、情報処理が間に合わずに十分なフォローをし得なかったためであるが、今後、
その原因を類型化し、解決方法を検討していく計画である。
また、訓練時に感じた課題や必要な情報・資機材等を参加者に記載してもらったフィードバ
ックシートを元に、本部の対策班ごとに周知しておくべき事項を平常時段階と緊急時段階とに
60
CIDIR
Annual Report 2011-2012
分けて、提案をした。
これらの事項をとりまとめて各班のアクション・カード化していく計画である。アクショ
ン・カードの目的は、
1. 毎年の訓練を踏まえて、充実させていくことで、人事異動等ではじめて実践に加わって
も円滑な活動ができるようになる指針の役割
2. 活動の漏れを確認するチェックリストの機能
であると考えられる。特に、各対策班を総括・管理する班長・副班長を支援すべく、班ごとの
活動項目の包括的な整理が進むと期待される。
さしあたり、首都圏直下型の地震が発生し、本郷地区で震度 5 弱以上の揺れを観測したとの
想定のもと、被災後おおむね 3 時間までの初動対応の項目を整理することを目的としている。
また、各対策班との検討を重ねて、全班的に共通して保有すべき共通資料(連絡先一覧や地図な
ど)や、対策班ごとの資料(特定の工具、鍵など)の用意も進めていく計画である。
写真上段左:山上会館に設置された本部の災害対策本部内の対策班の活動の様子
写真上段右:工学部列品館に設置された工学系等災害対策本部の様子
写真下段左:工学部列品館の外観目視訓練を行う施設環境班の様子
写真下段右:工学部 2 号館前の避難者(学生)を二次避難場所へ誘導する警備誘導班の様子
61
CIDIR
5.17
Annual Report 2011-2012
ライフライン・マスコミ連携講座
CIDIR ライフライン・マスコミ連携講座は、CIDIR にご支援を頂いているマスコミ、ライ
フライン企業各社を中心に、自治体や国の方々も交え、その時々のトピックスについて情報交
換し、理解を深めることを目的に実施している。
4 年目を迎えた 2011 年度には、東日本大震災の発生のため、4月は休会とし、5月から「首
都直下:東日本大震災から見直す」を統一テーマとして情報交換会を 5 回開催し、首都直下地
震発生時に復旧過程で必要となる情報交換内容について発見的な議論を行った。そのほかに千
葉県と神奈川県とに首都圏で何が起きていたのかを講演いただいた。
また、台風12号の発生を受けて、気象庁予報課長村中氏に、災害の実態と気象情報改善の
取り組みについて講演いただき、大雨警報の利用実態と課題とに関して意見交換を行った。
本年度は、震災対応に各社が追われる中、情報交換の場として、有効に機能した。
5月12日:「東日本大震災:各社の状況に関する情報交換」:各社
6月 2日:「東日本太平洋沖地震の分析結果」古村孝志(総合防災情報研究センター)
7月 7日:計画停電で何が起きたか?:各社
8月 4日:首都圏で何が起きていたか① :
浅尾氏(千葉県防災危機管理監防災危機管理課減災戦略班長)
9月 8日:復旧作業で調整は?①:各社
10月 6日:復旧作業で調整は?②:各社
11月10日:首都圏で何が起きていたか② :
山本氏(神奈川県応急対策グループリーダー)
春山氏(神奈川県情報通信グループリーダー)
12月 1日:「防災気象情報の更なる改善に向けて」:気象庁予報部予報課 村中予報課長
1月 5日:「防災訓練」:各社
2月 2日:「東日本大震災のマスコミ報道の基礎分析」:
目黒公郎(総合防災情報研究センター)
3月 1日:「仙台生活支障調査結果」:田中 淳(総合防災情報研究センター)
62
CIDIR
5.18
Annual Report 2011-2012
IT 強震計コンソーシアム・IT 強震計研究会
活動報告
IT 強震計コンソーシアムは、2006 年 4 月より活動を続けてきた IT 強震計研究会の成果を
もとに、IT 強震計関連の研究開発、ならびに、その普及とネットワーク化などを複数の民間企
業や研究機関等による産学連携共同研究として実施するための新しい産学連携組織として
2008 年 4 月に発足した。以下では 2011 年度の IT 強震計コンソーシアムとその母体となった
IT 強震計研究会の活動を報告する。
【会合記録】
IT 強震計コンソーシアム 第 9 回研究打ち合わせ会開催
日時:2011/05/11(水)13:30~14:30
会場:東京大学地震研究所 1 号館 2 階 事務会議室B
概要:1) 関連研究プロジェクトの進捗報告
2) 標準化の提案・検討
3) その他
IT 強震計研究会 第 13 回定例会開催
日時:2011/05/11(水)15:00~17:00
会場:東京大学地震研究所 1号館3階セミナー室
参加者: 会員 43 名
概要:1) 会員による研究発表 4 件
2) 関連した研究プロジェクトの紹介 3 件
3) その他
IT 強震計コンソーシアム 第 10 回研究打ち合わせ会開催
日時:2011/08/10(水)14:00~16:30
会場:東京大学地震研究所 1 号館 2 階 事務会議室 A
概要:1) 話題提供・研究報告
2) 標準化・製品化の提案・検討
3) 活動報告・今後の活動計画について
4) その他
IT 強震計コンソーシアム 第 4 回総会開催
日時:2011/09/06(火)14:00~14:30
会場:東京大学地震研究所 1号館2階事務会議室 B
会員数 18(一般会員 9、賛助会員 9)のうち出席 12、委任状 3(計 15 会員)
63
CIDIR
Annual Report 2011-2012
概要:報告事項 会員入退会状況、平成 22 年度活動報告、会計報告
審議事項 役員の改選、平成 23 年度活動方針案、予算案
コンソーシアム第4期役員
会長(1 名)
鷹野
澄 東京大学情報学環,同地震研究所
教授
幹事(8 名)
荒木 正之 株式会社 aLab 代表取締役社長
卜部
楠
卓 東京大学地震研究所 准教授
浩一 横浜国立大学 准教授
根本 泰雄 桜美林大学自然科学系 准教授
濱本 卓司 東京都市大学工学部建築学科 教授
石黒 佳彦 株式会社
ソフトテックス
野村 佳匡 IMV 株式会社
IT 強震計研究会 第 5 回総会開催
日時:2011/09/06(火)15:15~16:50
会場:東京大学地震研究所 1 号館 3 階セミナー室
会員数 102(個人 72、法人 29、団体1)のうち出席 29、委任状 26(計 55 会員)
概要:報告事項 平成 22 年度活動報告、会員登録状況報告
審議事項 役員の改選、平成 23 年度活動方針案
IT 強震計研究会第6期役員
会長 鷹野 澄(東京大学情報学環/地震研究所)
幹事 加地正明(株式会社エイツー)
伊藤貴盛(東京大学情報学環/地震研究所)
根本泰雄(桜美林大学)
玉置晴朗(株式会社数理設計研究所)
中川茂樹(東京大学地震研究所)
林
能成(関西大学)
平山義治(白山工業株式会社)
濱本卓司(東京都市大学工学部建築学科)
荒木正之(株式会社 aLab)
楠
浩一(横浜国立大学)
石黒佳彦(株式会社 ソフトテックス)
野村佳匡(IMV 株式会社)
監査 前嶋美紀(まえちゃんねっと)
64
CIDIR
Annual Report 2011-2012
IT 強震計研究会 第 14 回定例会開催
日時:2011/12/13(火)13:30~
会場:東京大学地震研究所 1号館3階セミナー室
参加者: 会員 40 名
概要:1) 会員による研究発表 4 件
2) その他
【新聞報道】
2011 年 05 月 23 日 日本経済新聞に IT 強震計の記事が掲載「建物の弱点 IT で診断」
65
CIDIR
Annual Report 2011-2012
6.CIDIR 研究報告
6.1
災害用語に関する実験結果(田中淳)
1)実験手続き
災害情報の改善方策を探るために、代表的な9つの災害情報を取り上げ、その表現の代替案
との有効性を比較評価するために質問紙を用いた実験を実施した。
実験デザインは、次頁の表 6.1.1 に示したように、9タイプの情報に対してそれぞれ3種類
の表現を作成し、そのひとつを実験刺激としてランダムに実験参加者に与えて、5 件法で評価
する3要因1元配置で行った。実験参加者は、都内私立大学文系学部の 2 年生から 4 年までの
総計 77 名で、各群 29 名、25 名、23 名だった。実験参加に際しては授業評価とは関係ないこ
と、協力するかどうかは自由意志であることを指示した。
実験参加者は、それぞれの文を読んだ後に、表 6.1.2 に示した3つの質問に回答した。第1
問は個人の認知レベルで、情報文の「緊迫度」を直接に「強く緊迫感を感じる」から「まったく
緊迫感を感じない」までの5件法で尋ねた。第3問は、行動レベルでの評価で、「必ず避難し
ようとすると思う」から「絶対に避難しようとはしないと思う」までの5件法で、回答者自身
の避難意図を尋ねた。さらに、第2問は、回答方向に規範が働く場合に、より正確な回答を得
やすいとされている間接質問と呼ばれる、他者の避難想定で回答を得た。避難の場合には、安
全サイドで避難すべきという規範があり、自分自身の行動予想では実際よりも安全サイドの回
答が予想されたためである。なお、以下の分析では、結果を見やすくするために緊迫感や避難
傾向が高い評価が大きくなるように、最高を4点、最低を0点、中央値 2 点として再計算した。
表 6.1.2
質問文と選択肢
(1)この情報文を見て、どの程度の緊迫感を感じますか。
1.強く緊迫感
を感じる
2.緊迫感
を感じる
3.少し緊迫感
を感じる
4.あまり緊迫感 5.まったく緊迫
を感じない 感を感じない
(2)この情報文を見て、どの程度の人が避難をすると思いますか
1.殆どの人が、 2.6割くらいの人 3.4割くらいの人 4.2割くらいの人 5.殆どの人が、
避難しよう
が、避難しよう が、避難しよう が、避難しよう 避難しようと
とすると思う とすると思う とすると思う とすると思う しないと思う
(3)あなたご自身は避難しようとすると思いますか
3.多分避難
4.多分避難
1.必ず避難しよ 2.避難しよう
しようとする しようとは
うとすると思う とすると思う
と思う
しないと思う
66
5.絶対に
避難しようとは
しないと思う
CIDIR
Annual Report 2011-2012
表 6.1.1
A
問1
B
C
A
問2
問3
14時30分東京都で記録的短時間大雨。
東京都文京区で約100ミリ、東京都豊島区
で約80ミリ。浸水害、河川のはん濫に最大
級の警戒をして下さい。
東京都文京区および豊島区に、大雨緊急警
報(記録的短時間大雨)が発表されました。浸
水害、河川のはん濫に最大級の警戒をして
下さい。
C
東京都文京区および豊島区で、大雨警報の
レベルがレベル3からレベル4(記録的短時
間大雨)に変更されました。浸水害、河川の
はん濫に最大級の警戒をして下さい。
A
23日昼にかけて、局地的に降る猛烈な雨が
降るところがあるでしょう。文京区長は避難
勧告を出すことも検討しており、すでに避難
所開設の準備に入っています。
B
23日昼にかけて、局地的に猛烈な雨が降る
ところがあるでしょう。文京区内の住民の方
は、早めに避難してください。
A
B
C
A
問5
東京都文京区では、局地的に猛烈な雨と
なっており、2000年9月の東海豪雨に匹敵
する大雨となっている所があります。土砂災
害、浸水害、河川のはん濫に最大級の警戒
をして下さい。
東京都文京区では、02時までの1時間に14
6.0ミリの記録的な雨量となるなど、局地的
に猛烈な雨が降っています。土砂災害、浸水 問6
害、河川のはん濫に最大級の警戒をして下さ
い。
東京都文京区では、局地的に猛烈な雨と
なっており、1947年9月のカスリーン台風時
に匹敵する大雨となっている所があります。
土砂災害、浸水害、河川のはん濫に最大級
の警戒をして下さい。
B
C
問4
刺激として用いた表現
B
C
問7
A
文京区内では、引き続き猛烈な雨が降ると
予想されています。この1時間で神田川の水
位が高くなっており、氾濫する恐れがありま
す。厳重に警戒してください。
B
文京区内では、引き続き猛烈な雨が降ると
予想されています。神田川が氾濫する恐れ
があります。厳重に警戒してください。
C
文京区内では、引き続き猛烈な雨が降ると
予想されています。神田川の水位が高くなっ
ており、氾濫する恐れがあります。厳重に警
戒してください。
A
文京区に避難勧告
B
文京区に避難指示
C
文京区に避難命令
A
B
問8
23日昼にかけて、局地的に降る猛烈な雨が
降るところがあるでしょう。文京区内の住民
の方は、避難の準備をしてください。
引き続き23日昼から夜にかけて、雷を伴っ
た非常に激しい雨が降るものと予想されてい
ます。このまま降り続くと、あと2時間程度で
河川が氾濫する見込みです。
引き続き23日昼から夜にかけて、雷を伴っ
た非常に激しい雨が降るものと予想されてい
ます。このまま降り続くと、あと1時間程度で
河川が氾濫する見込みです。
引き続き23日昼から夜にかけて、雷を伴っ
た非常に激しい雨が降るものと予想されてい
ます。このまま降り続くと、あと30分程度で河
川が氾濫する見込みです。
前日からの強い雨で、荒川の水位が上がり、
堤防の上端まで後1mに迫っています。
前日からの強い雨で、荒川の水位が上がり、
問9
堤防の上端まで後30cmに迫っています。
前日からの強い雨で、荒川の水位が上がり、
堤防の上端まで後2mに迫っています。
C
A
B
C
自宅周辺では、氾濫した河川の水が床上ま
で来て、畳やタンス、家具等が駄目になる
自宅周辺では、氾濫した河川の水の水位は
1.5m程
度自宅周辺では、氾濫した河川の水が床上
までくる
2)実験結果
以下、3 種の災害情報に関する結果に絞って紹介する。
67
CIDIR
Annual Report 2011-2012
ⅰ)既往災害への言及
平成 20 年 8 月末の岡崎豪雨に際して、名古屋地方気象台が「2000 年 9 月の東海豪雨に匹敵
する大雨」と表現したことが、組織の初動に有効だったと指摘されている。その一方で、近年
に大きな災害を受けていない地域では、同様の表現がとれないと考えられる。そこで、通常の
府県情報を参考にした「東京都文京区では、02 時までの1時間に 146.0 ミリの記録的な雨量...
」
に対して、
「2000 年9月の東海豪雨に匹敵する大雨」及び「1947 年9月のカスリーン台風時に
匹敵する大雨」とした表現を比較した。
1 元配置の分散分析の結果、5%以下の危険率で有意差が見出された。東京地域でも東海豪
雨が、また記憶されているとは思われないカスリーン台風でも、数値情報よりも有効である可
能性を示唆する結果が得られた。
緊迫感
他者の避難予想
1947年9月の
カスリーン台風
時
に匹敵
2.61
2000年9月の
東海豪雨に匹敵
1時間に
146.0ミリの
記録的な雨量
1
2
3
4
0
有意差なし
1
1.28
1
2
3
4
0
1
2
他者の避難予想
2.66
4
既往災害への言及
緊迫感
レベル3から
レベル4
3
5%以下の水準で有意。
既往災害への言及が有効。
有意差なし
図 6.1.1
1.79
2
1.32
1
1.91
3
1.93
2
2.32
0
1.83
3
2.79
自身の避難予想
自身の避難予想
2.00
3
1.83
3
大雨緊急警報
2.28
1.28
2
1.28
2
が発表
記録的
短時間大雨。
約100ミリ
2.17
0
有意差なし
1
2
1.38
1
3
4
0
1
2
3
5%以下の水準で有意。
レベル化が有効。
図 6.1.2
大雨警報文
68
1.48
1
4
0
有意差なし
1
2
3
4
CIDIR
Annual Report 2011-2012
ⅱ)大雨警報文
大雨警報発表後に災害の切迫性を伝えるため、記録的短時間大雨情報が導入されたが、その
認知率は低い。そこで、
「記録的短時間大雨情報 14 時 30 分東京都で記録的短時間大雨。東京
」及び「大雨警報
都文京区で約 100 ミリ.
.
.」と、仮想の「大雨緊急警報(記録的短時間大雨)
のレベルがレベル3からレベル4(記録的短時間大雨)に変更」の2つの表現を比較した。
他者の避難予想で分散分析の結果、5%の危険率で有意差が見出された。レベル化が有効であ
ることを示唆する結果と言える。
ⅲ)ハザードマップ上の浸水深表現
ハザードマップでは、危険性が浸水深で表示されていることが多い。しかし、この数値を被
害に読み替えない限り、相対的な危険度を表していることと同等となり、より深い地域と比較
して、安心情報となりかねない。そこで、
「自宅周辺では、氾濫した河川の水の水位は 1.5m程
度」に加えて、
「床上までくる」
、さらには「床上まで来て、畳やタンス、家具等が駄目になる」
と家財被害を付加した表現の効果を比較した。
結果は、1.5m という数値情報だけでは、緊迫感、他者避難予想、自分自身の避難予想いずれ
においても有意に効果が小さいことが見出された。3 尺度すべて有意差が出た唯一の例であり、
明確な差と言える。この結果に従えば、数値カテゴリーではなく、床下、床上(1.5m)、1階
水没(2m)、2階水没(4m)といった分類が考えられる。
1.5m程
度
2.40
床上まで
床上まで
家具等が
駄目になる。
2
3
3.21
1
4
1%以下の水準で有意。
床上が有効。
0
1
2
5%以下の水準で有意。
床上が有効。
図 6.1.3
3
2.08
3
2.96
2
3.28
1
2.36
3
3.18
0
自身の避難予想
他者の避難予想
緊迫感
4
2
2.96
1
3.00
0
2
1%以下の水準で有意。
床上が有効。
ハザードマップ上の水位表現
69
1
3
4
CIDIR
6.2
Annual Report 2011-2012
噴火災害に備えた避難システムの実効性向上に関する研究(田中淳)
大規模な火山噴火時には、応急対策の中心は避難となる。しかし、火山噴火活動は規模、時
間的推移、様式など多様であり、予め予測することには困難がある。したがって、円滑な避難
を実施するためには、火山専門家が指摘する「噴火シナリオ」と行政が計画している「避難オ
ペレーション」ならびに住民が抱く噴火の推移と避難に関する「避難イメージ」とに齟齬がな
いようにしておく必要がある。そこで、本研究では、専門家が策定した噴火シナリオの分析、
町の避難マニュアルの分析と防災担当者への聞き取り調査、住民調査ならびに産業団体への聞
き取りを行い、その異同の比較と課題抽出を行った。なお、本研究は科学研究費の補助金で実
施した。
伊豆大島三原山の噴火活動は、山頂火口から始まる様式が一般的である。住民の避難が求め
られる事例も、山頂火口での規模が拡大して、集落方向に溶岩流が流下したり、集落の近くで
山腹割れ目噴火へと拡大する蓋然性が高い。しかし、将来の噴火で山腹から始まる可能性は否
定できない。
この点については、町も山腹割れ目噴火から始まる可能性のあることを十分に認識しており、
住民も、16.5%が「可能性は高い」、36.2%が「可能性は有る程度はある」と考えており、34.0%
も「可能性は少しある」と受け止めている。したがって、山腹割れ目から始まる危険性につい
ては、専門家、行政ならびに住民の間に共通の認識があることがわかる。しかし、避難の実効
性を高めるという観点からみると、避難オペレーションや住民の避難イメージとに幾つかの改
善点がある。
第 1 に、噴火警戒レベルの時間的な側面からの検討がより必要と思われる。山頂噴火が先行
する場合には、レベル 4 はカルデラ外で割れ目噴火が始まった段階、1986 年の噴火事例では、
レベル 5 該当する C 火口列が拡大した 18 時から 19 時ころの約 10 分前であった。
17 時 47 分頃、
レベル 4 からレベル 5 までの時間は限られる可能性がある。いきなり山腹割れ目噴火が生じる
場合には、居住地近くで顕著な地震活動や地殻変動が現れた時点でレベル 4 が発表されること
になると考えられ、レベル 5 の 2 時間前程度と対策時間は限られる可能性がある。レベル 2 か
ら 4 までに実施が計画されている応急対策が未完了であることもありうる。
レベル 4 が短い場合、あるいはスキップされる場合も含めて、全体の避難計画を時間的側面
から評価しておくとともに、住民に対しても、避難までの余裕時間が短いことを周知する必要
がある。
第 2 に、避難手段の検討である。町の避難オペレーションでは、噴火の状況によっては、島
内で集落間の再避難をする計画となっている。この集落間移動に関しては、住民は、「外の集
落へつながる道路が止まるかもしれない」や「避難に使うバスが少ない」ことへの懸念が高い。
この懸念は、町も十分に認識しているが、島内バスの絶対数が足りず、島の中心である元町住
民を時間内に移動させる解決策はない。災害時要援護者を中心に、自家用車の共同利用を考え
ざるを得ない。車避難を公式に許容するか否かは別として、一時集合場所から避難場所周辺ま
70
CIDIR
Annual Report 2011-2012
で自家用車に乗り合わせて行くオペレーションについて、駐車場や優先順位、同乗する世帯な
ど具体化していくことを検討し、必要な事態に備えておくべきであろう。
第 3 に、
生活を支える避難計画である。避難はもとより命を守るために行われるものであり、
財産の保全は本質的には二義的である。しかし、他の災害と異なり、火山噴火活動は継続的で
あるため、避難生活が長期化する可能性が高い。そのため、可能な限り、避難生活中の生産活
動を維持できる配慮が求められる。
表 6.2.1 に、農業、漁業ならびに観光について、時期別の作業内容や重要時期の概観を示し
た。観光のピークは 2 月から 3 月にかけての椿祭りのシーズンと8月を中心とする夏休み時期
になる。宿泊客は夏場が大きく、他の時期は日帰り客が多くなる。客数は、多い時期でも全島
民の 1 割程度と推定される。
農業は、逆に 11 月から年末にかけてが、収穫的にも、売上的にも大きな時期である。主力
産品であるキヌサヤは 8 月に植え付け、11 月から収穫が始まり、価格的には 1 月が高い。花卉
は、通年を通してとれるが、冬場にはハウスの管理に手間がかかるとともに、年末に価格が高
くなる。漁業は、主力の金目鯛が通年であるが、イサキが春先から夏まで、伊勢海老は 10 月
から 5 月となる。この間、イサキの定置網や伊勢海老の刺し網は定期的にあげなければならな
い。
島内避難に際して、この期間に短時間でも良いから作業に入れれば、被害軽減に若干の効果
が見込まれる。立入可能な範囲の明示や情報伝達・避難のための移動手段を詰めておき、可能
性を高めることが必要となる。
表 6.2.1 産業毎の月別活動
1月
アシタバ
早どり
農
業
キヌサヤ
2月
収穫
3月
●
植え付け
4月
5月
6月
7月
収穫
収穫
ブバルディア
暖房
花卉
電照
ガーベラ
収穫
9月
10月
11月
●
植え付け
●
植え付け
電照
収穫
高価格
イサキ
最盛期
×
伊勢海老
テングサ
定置網設置
×
×
禁漁
×
×
禁漁
×
×
×
サザエ
×
禁漁
×
トコブシ
観
光
業
来島者数
暖房
二重カーテン・高価格
金目鯛
魚
業
12月
収穫(下がる)
収穫
●
収穫
植え付け 支柱・病害虫
●
支柱・病害虫
植え付け
ピーク
遅どり
8月
×
禁漁
椿祭り
海水浴・合宿
宿泊客数
71
×
禁漁
×
CIDIR
6.3
Annual Report 2011-2012
東日本大震災時の情報行動調査の概要(橋元)
2011 年 3 月 11 日の東日本大震災後、2011 年度において、NTT情報流通プラットフォー
ム研究所と 4 大学(東京大学、東洋大学、関西大学)共同研究プロジェクトで4つの調査を実
施した。
プロジェクトメンバーは、下記のとおり。
橋元良明(東京大学大学院情報学環)
中村 功、関谷直也(東洋大学社会学部)
小笠原盛浩(関西大学社会学部)
高橋克巳、関良明、千葉直子、山本太郎(NTT情報流通プラットフォーム研究所)
<訪問留置調査>
■被災地訪問留置調査
・対象者地域:仙台市(宮城野区、若林区を除く)および盛岡市
・年齢:15-69 歳
・目標票数:各地域 200 票ずつ
(内訳:男女 100 票ずつ,世代ごとの票数は、各市の人口比例に基づき
割り当て)
結果は下記に掲載(別途 2012 年 5 月に報告書刊行予定)。
・橋元良明・中村功、関谷直也、小笠原盛浩、山本太郎、千葉直子、関良明、高橋克巳(2012)、
「被災地住民の震災時情報行動と通信不安―仙台・盛岡訪問留置調査」
、
『東京大学大学院情報
学環 情報学研究 調査研究編』No.28,1-64.
<オンライン調査>
■関東圏調査
・対象者地域:東京、神奈川、千葉、埼玉の居住者
・その他の条件:3/11 地震発生時に東京、神奈川、千葉、埼玉にいた人
・年齢:15-59 歳
・目標票数:2,000 票
(内訳:男女各 1,000 票ずつ, 15-19 歳:240 票,20~50 代は各 440 票ずつ)
結果は下記に掲載(別途 2012 年 5 月に報告書刊行予定)。
・関谷直也、橋元良明、中村功、小笠原盛浩、山本太郎、千葉直子、関良明、高橋克(2012)
「東日本大震災における首都圏住民の震災時の情報行動」
、
『東京大学大学院情報学環 情報学
研究 調査研究編』No.28,65-114.
72
CIDIR
Annual Report 2011-2012
■Twitter 利用者調査
・対象者地域:東京、神奈川、千葉、埼玉の居住者
・その他の条件:Twitter 利用者(あとから追加スクリーニングで、3/20
以前に twitter を利用していた人という条件を追加しましたが、最終的
に 3/20 時点での利用者が 100%にはならないかもしれません)
・年齢:15-59 歳
・目標票数:200 票
(内訳:男女各 100 票ずつ, 15-19 歳:24 票,20~50 代は各 44 票ずつ)
結果は下記に掲載(別途 2012 年 5 月に報告書刊行予定)。
・山本太郎、橋元良明、中村功、関谷直也、小笠原盛浩、山本太郎、千葉直子、関良明、高橋
克巳(2012) 「Twitter 利用を中心と知る震災時の情報行動と通信不安―関東 Twitter 利用
者ウェブ調査」、
『東京大学大学院情報学環 情報学研究 調査研究編』No.28,115-160.
■被災地に親戚をもつ関東圏在住者調査
・対象者地域:東京、神奈川、千葉、埼玉の居住者
・その他の条件:本人の親兄弟、親戚の家が、津波により被害を受けた
・年齢:15-59 歳
・目標票数:200 票
(内訳:男女各 100 票ずつ, 15-19 歳:24 票,20~50 代は各 44 票ずつ)
結果は下記に掲載(別途 2012 年 5 月に報告書刊行予定)。
・関谷直也、橋元良明、中村功、小笠原盛浩、山本太郎、千葉直子、関良明、高橋克(2012)
「東日本大震災における首都圏住民の震災時の情報行動」
、
『東京大学大学院情報学環 情報学
研究 調査研究編』No.28,65-114.
73
CIDIR
6.4
Annual Report 2011-2012
東日本大震災での企業による緊急地震速報の
利用状況に関する調査(大原)
1.調査の目的
緊急地震速報には、一般向けの緊急地震速報(警報)と高度利用者向け緊急地震速報(予報)
がある。高度利用者向けの緊急地震速報(予報)は、一般向け緊急地震速報(警報)の発表基
準より低い予測震度での情報利用や猶予時間の把握が可能であるため、企業における様々な被
害軽減効果が期待されている。東日本大震災の本震および余震での緊急地震速報が、企業によ
りどのように利用されたかという実態を把握し、今後の緊急地震速報の効果的活用を検討する
ことを目的として、企業を対象としたアンケート調査を行った。
2.調査の方法
REIC(リアルタイム地震情報利用協議会)の会員、緊急地震速報利用者協議会の会員、緊急
地震速報端末の販売代理店の HPにおいて導入事例として紹介されていた企業 、気象庁主催の
緊急地震速報を利用した防災訓練を実施した企業を対象として、調査票の郵送によるアンケー
トを実施した。調査期間は2011年7月22日~8月29日であり、配布数は398部、調査票の返送数
は151部(回収率38%)であった。緊急地震速報受信専用端末を導入していた企業は61企業(40%)
であり、代表的な業種は製造業が47%、電気・ガス・熱供給・水道業が26.5%、建設業が7.3%、
サービス業が6.6%、卸売・小売業が5.3%であった。
3.調査結果
東日本大震災の前から緊急地震速報の受信端末 61 社のうち、本社に導入していた企業は 46
社、支社および事業所が 22 社、生産施設(工場)が 14 社であった。これらの企業に対して、
業種別に社内における導入理由を尋ねたところ、図 6.4.1 に示す通り、社員の保護、危険作業
者の保護、生産ラインの自動制御の順に多くなった。本社、支社および事業所において館内放
送を行っている企業は 75%にのぼった。これらの企業が館内放送している震度は、震度 1 が
2.3%、震度 2 が 7%、震度 3 が 25.6%、震度 4 が 30.2%、震度 5 弱が 30.2%、震度 5 強以上が 4.7%
となった。一般向け緊急地震速報(警報)は、最大震度 5 弱の時に震度 4 以上で発表される。
受信端末を導入しているものの一般向け速報と同じ震度で館内放送している企業が過半数を
占めており、緊急地震速報(予報)の利点が十分に活用されていないことがわかった。
生産施設(工場)において緊急地震速報を受信している企業 14 社に対して、生産施設での
緊急地震速報の利用状況の詳細を尋ねた。生産施設(工場)の立地場所が震源から遠かったな
どのために速報を受信しなかった企業が 35.7%であったが、社員の人命保護、危険者への安全
確保、生産中の製品の保護などに一定の効果があったとの回答が得られた。
2011 年 3 月 11 日以降の余震や誘発地震では、同時に発生した複数の地震を分離できない等
の理由から緊急地震速報の精度が低下し、空振りが多発した。空振りにより不利益が生じた企
74
CIDIR
Annual Report 2011-2012
業は、緊急地震速報端末を導入している 61 企業のうち、12 企業だった。その不利益の内容は、
社員の混乱が 75%、次いで生産ラインの再起動による時間の喪失が 33.3%となった。空振り
に対しての対応行動を尋ねたところ、受信端末の設定基準を変えた企業が 9.3%、館内放送の
基準を上げた企業が 5.6%であった。機械等および生産ラインの停止基準を上げた企業はそれ
ぞれ 1.9%であり、70.4%の企業では、空振りに対しては特に対応はしなかった。
今後、更に緊急地震速報の活用を拡大するための普及策についても尋ねた。図 6.4.2 は、受
信端末の導入を促進するために必要だと考える施策について、端末を導入している企業と導入
していない企業別に集計した結果である。両企業とも緊急地震速報受信の低コスト化を望んで
いる。「予測震度の精度向上」と「空振りの回避」は、端末を導入していない企業で著しく高
くなり、カイ二乗検定の結果、それぞれ p=0.046<0.05、p=0.005<0.001 で統計的な有意差が
見られた。
また、内閣府が受信端末導入促進のために行っている減税制度への関心について尋ねたとこ
ろ、端末を導入している 61 企業の 70%が「制度を知らず利用していない」と答え、
「制度にメ
リットがあると考え導入した」企業は 5%、
「制度を利用したが、あまりメリットを感じない」
企業が 3%となった。この結果、導入促進制度は周知されておらず、導入へのインセンティブ
として働いていないことがわかった。今後、減税制度を周知するとともに、図 6.4.2 で賛成意
見の多かった施策を推進することで、企業における緊急地震速報の活用を拡大することができ
ると考える。
論文:山本了平、大原美保、目黒公郎:地域特性を考慮した緊急地震速報の効果的活用戦略に関す
る研究、第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集、2011. 11.
図6.4.1
緊急地震速報受信端末の利用目的(N=61)
図6.4.2
75
利用促進に必要な施策(N=145)
CIDIR
6.5
Annual Report 2011-2012
2011 年 9 月台風 12 号での香川県内における
エリアメールによる情報伝達の実態調査(大原)
1.調査の目的
近年、災害情報の伝達手段の一つとして、携帯電話のメールによる情報伝達が普及しつつあ
る。NTT ドコモは、2008 年以降、緊急地震速報や津波警報、災害・避難情報を、被災の恐れの
あるエリアに一斉配信する「エリアメール」のサービスを提供している。エリアメールは、回
線混雑の影響を受けずに受信することができ、地方公共団体がサービスに加入することにより、
地方公共団体独自の災害・避難情報のメールも送信することができる。2012 年 5 月 1 日現在
で、22 府県、1,008 区市町村がエリアメールを利用している。2011 年 9 月の台風 12 号は、和
歌山県で大規模な土砂災害を引き起こし、各地に被害をもたらした。香川県内では、9 月 2 日
(金)から 3 日(土)にかけて台風が通過した際に、エリアメールによる災害・避難情報の伝
達が行われた。県内の住民の災害情報の受信状況とその後の対応状況を把握し、より効果的な
災害情報受発信のあり方を検討することを目的として、エリアメールによる情報伝達の実態調
査を行った。
2.香川県内の災害情報発信状況と実態調査の方法
香川県からは、9 月 2 日の夜に土砂災害警戒情報のメール 2 通と香東川水系氾濫警戒情報の
メール 1 通が出された。その他、メールアドレスを登録することにより県からのメールを受信
できる「避難情報配信サービス」も運用している。香川県三木町では、表 6.5.1 の通り、9 月
2 日午後 6 時頃に大字朝倉・鹿庭地区の一部に対して避難勧告を出した後、午後 11 時頃に町全
域への避難勧告に拡大した。これらの避難情報は、三木町水防本部からエリアメールで送信さ
れるとともに、メールアドレス登録方式の「三木町防災行政メール」でも送信された。香川県
高松市ではエリアメールは送信しなかったが、メールアドレス登録方式の「高松市避難情報配
信サービス」により、5 回の避難準備情報を発信した。2012 年 2 月 24 日から 3 月 12 日にかけ
て、香川県三木町大字朝倉・鹿庭地区周辺に住む 20 歳以上 79 歳以下の 368 人、香川県高松市
香川町に住む 20 歳以上 79 歳以下の 198 人に対する訪問面接聴き取り調査を行った。調査では、
回答者の性年代4区分(20-40 代、50-70 代男女)が対象地域の性年代構成に近づくように配
慮し、世帯内個人の抽出も行った。
3.調査結果
調査結果のうち、三木町の回答の一部を紹介する。香川県三木町の回答者 369 人の居住地区
は、三木町朝倉地区 64 人、三木町鹿庭地区 137 人、朝倉・鹿庭地区周辺 167 人である。三木
町の回答者で NTT ドコモの携帯を有する割合は 44.8%であり、au27.2%、ソフトバンク 15.5%
と比較すると、非常に高くなった。携帯電話を持っていない回答者は 10.6%であった。NTT ド
コモの携帯電話の所有率は男性で 42%、女性で 48%となり、世代では 50 歳代で 58%と最も多
76
CIDIR
Annual Report 2011-2012
くなった。三木町で、9 月 1 日以前から香川県避難情報配信サービスにメールアドレスを登録
していた割合は 11.4%であり、
三木町防災行政メールに登録していた割合は 18.5%となった。
図 6.5.1 は、9 月 2 日午後 6 時頃に大字朝倉・鹿庭地区の一部に対して出された避難勧告を
最初に見聞きした方法である。NTT ドコモの携帯所有者で三木町防災行政メールに登録してい
ない回答者 101 人の 40.6%がテレビ、17.8%が三木町からのエリアメールで見聞きした。防災
行政無線の屋外拡声器からは 11.9%、防災行政無線の戸別端末からは 8.9%であり、防災行政
無線の屋外拡声器よりもエリアメールの方が多くの住民に伝達できていたことがわかった。ま
た、このエリアメールを受信した 92 人のうち、62.8%は口頭や電話、メール等で他の人に避
難勧告のことを知らせた。
現時点で、
エリアメールは NTT ドコモに限定したサービスであるが、
受信した人が周辺に知らせることによる拡散効果があることが確認された。また、エリアメー
ルによる情報伝達に関しては、「防災行政無線等で聞き逃しても安心だ」が 46.5%、「町や県
から直接くるので信用できる」が 30.7%、「メルアドを事前登録しなくてよいので便利」が
21.5%となり、住民からの評価は高かった。受信メールの内容については、35.3%は「避難勧
告地区が書いてあるのでわかりやすい」と評価したものの、42.1%は「危険性の程度がわかり
づらい」、29.1%が「なぜ避難が必要なのかがわかりづらい」と答えた。限られた文字数で情
報伝達するため、いかに切迫した危険性を正確に伝えるかが課題である。
表 6.5.1
9月2日
(金)
香川県および三木町からエリアメールの発信状況
県発信
三木町発信 (三木水防本部発信)
エリアメール
(自動配信)
エリアメール
避難情報配信サービス
(自動配信)
(登録者のみ)
「避難勧告」発令
避難勧告は以下の4小字のみ
大字朝倉の「本村上」「本村中」「本村下」
大字鹿庭の「出水」
18:08
18:28 土砂災害警戒情報
三木町含む3市2町対象
「早めの避難を心がけ、市町
からの避難勧告に注意」
21:45 土砂災害警戒情報
上記に加え、追加の2市1町
対象
23:15
9月3日
「避難勧告」発令 三木町全域に拡大発令
「避難勧告解除」
三木町全域
大字朝倉の「本村上」「本村中」「本村下」
大字鹿庭の「出水」
18:44
ドコモ以外の携帯&三木町防災行政メール
(N=23)
65
ドコモ携帯&三木町防災行政メール
(N=44)
70
ドコモ携帯のみ
(N=101)
18
ドコモ以外のみ
0
(N=132)
0
図 6.5.1
22
16 0 7 502
41
49
4 404
1 12 9
4 17
14
50
5 5
5 1
携帯電話に三木町からメールが届いた
テレビで見た
ラジオで聞いた
コミュニティFMで聞いた
防災行政無線の屋外拡声器から聞いた
防災行政無線の戸別端末で聞いた
町の職員、消防団から口頭で聞いた
町内会や近所の人から口頭で聞いた
職場や学校の人から口頭で聞いた
同居している家族から口頭で聞いた
同居している家族から電話で聞いた
親戚・知人・友人から電話で聞いた
家族・親戚・知人等の携帯電話メール
その他
覚えていない
100
香川県三木町での午後 18 時頃の避難勧告の聞き取り方法
77
CIDIR
6.6
Annual Report 2011-2012
東日本大震災のマスコミ報道の分析(目黒・沼田宗純*)
(* 東京大学生産技術研究所助教)
1.はじめに
表6.6.1 東日本大震災の災害報道の課題
総合的な防災力は、
「被害抑止力」
「被
害軽減力」「災害の予知と警報」「被害
評価」「緊急災害対応」「復旧・復興対
策」から構成される災害対応の循環体
系と、その全てに関わる「情報とコミ
ュニケーション」を要素として構成さ
600000
れる。そして対象地域や組織の特性と
テレビ東京
500000
直面する災害特性を踏まえて、上の各
要素の具体的な項目の抽出と適切な組
み合わせを考え、これを確実に実施し
テレビ朝日
フジテレビ
400000
TBSテレビ
日本テレビ
NHK総合
300000
200000
100000
ていくことで防災力が向上するが、そ
のベースには災害状況を正しく想像す
る能力「災害イマジネーション」が不
0
図 6.6.1 2011 年 3 月のテレビ局(キー局6社)
による東日本大震災関連の放送時間(秒)
可欠である。
人々の「災害イマジネーション」を
向上させるには、子供のときからの正
しい防災教育が重要であるし、影響力
の大きいマスメディアからの適切な災
害情報の提供も不可欠である。平時か
ら復旧・復興期までの災害対応の循環
体系の中で、
「いつ、だれに、どんな情
報を、どのように伝えれば」
、人々の適
切な防災対策や行動が実現するのか。
高い「災害イマジネーション」に基づ
いた災害報道が求められる。
2.東日本大震災の災害報道について
東日本大震災の発災直後から、様々
な場面で言い訳として繰り返された
「想定外の○○」や後手後手の対応の
図 6.6.2 市町村別の被災程度と報道時間の関係
(NHK と日本テレビ,3 月 15 日時点で公表された市町村
別の死者・行方不明者数を被災度指標として)
背景には,中央政府のトップから、地
78
CIDIR
Annual Report 2011-2012
方行政、科学者や技術者、マスコミ、そして一般市民にいたるまで、それぞれの立場における
「災害イマジネーション」の欠如がある。効果的な防災対策は、
「高い災害イマジネーション」
に基づいた「現状の課題に対する理解力」と「各時点において適切なアクションをとるための
判断力と対応力」があって初めて実現する。人間はイメージできない状況に対する適切な準備
や対応などは無理である。
東日本大震災の災害報道に関して目黒が感じた課題は表 6.6.1のとおりであるが、ここにも
災害イマジネーション不足がある。そこで私たちの研究グループでは、このような課題の解決
を目的に、東北地方太平洋沖地震の発災時からキー局6社のテレビ報道と大手新聞社(一部被
災地の地方紙含む)のすべての報道内容をデータベース化し、その分析を進めている。データ
ベース化に際しては、6 軸の WBS(主体、社会、事象、地域、空間、時間)を与え、様々な視
点からの分析を可能にしている。
3.分析事例の紹介
私たちは、
「現象先取り、減災誘導型」の報道の実現を目指して、テレビと新聞報道を対象
に、日ごと、週ごと、月ごとなど、発災からの時間の経過にともなう内容と量の変化を様々な
角度から分析している。今回はその中から、2、3 の事例を紹介する。図 6.6.1 は 2011 年3月
のテレビ各局の報道時間、図 6.6.2 は市町村別の被災程度と報道時間の関係(NHK と日本テレ
ビ、3 月 15 日時点で公表された市町村別の死者・行方不明者数を被災度指標として)
、図 6.6.3
は経過時間にともなうテレビ報道の内容と量の変化である。図 6.6.2 からは被災程度が高くて
も報道の機会が極端に少なかった地域があったことがわかる。図 6.6.3 は各局の月ごとの災害
報道の時間と内容の変化を災害対応の循環体系に合わせて分析した事例である。外側の大きな
部分が 2011 年の3月、内側の小さな部分が同年6月のデータである。
図 6.6.3
テレビ報道(キー局6社)の内容と時間(h)の変化(2011 年3月と6月の報道)
79
CIDIR
6.7
Annual Report 2011-2012
東日本大震災後の学会などの活動調査(目黒・大原)
1.調査の目的
2011 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震は、東日本沿岸に未曾有の地震・津波被
害をもたらした。大災害が発生すると、実態把握を目的として多数の組織が異なる被災地調査
を行うが、調査の重複等により、被災地が過度の負担を強いることも多い。このような事態を
防ぐためには情報を共有し、重複する調査を行わないことが重要である。一方、被災地で発生
する現象は多様であるため、既存の学術領域の枠組みに基づいた調査研究だけでは、既存の学
術領域の境界領域や新たに出現した社会問題に対しては解決策を提示できない可能性もある。
特に、今回の東日本大震災のように未曾有の広域災害に対しては、既存の学術領域の枠組みに
基づく活動だけでは、被災地で真に必要とされている学術的貢献が達成されていない可能性が
ある。
東北地方太平洋沖地震の直後、東京大学生産技術研究所の有志を中心に、被災地の復旧支援
のための研究者ネットワーク「3.11net 東京」が設立された。目黒と大原は東京大学生産技術
研究所の教員も兼任しており、この活動の中核を担っている。
「3.11net 東京」の主な目的は「多
分野における調査研究活動情報の集約」と「震災と復旧・復興情報の収集と発信」であり、
3.11net 東京ウェブサイトを通した情報発信を行っている。本ネットワークでは、
「多分野にお
ける調査研究活動情報の集約」の一環として、定例会議において活動メンバーが関連学会の動
向に関する情報を持ち寄り、学会による被害調査や被災地の情報に関する情報共有を図った。
ここでは、その際にメンバー間で共有した情報および学会ウェブサイトから収集した情報に基
づき、震災後における関連学会の活動を整理・比較するとともに、学会の活動状況や学会間の
連携状況をまとめる。
2.分析対象とする学会と分析結果
わが国には広範囲の学術領域をカバーする多数の学会が存在している。国内の日本学術会議
協力学術研究団体は、平成 23 年 6 月 30 日時点で 1871 団体に及び、これらのリストは日本学
術会議のウェブサイトに掲載されている。東北地方太平洋沖地震以降、日本学術会議は「東日
本大震災の総合対応に関する学協会連絡会」を立ち上げた。連絡会の幹事長は濱田政則・早稲
田大学教授であり、幹事会は日本学術会議土木工学・建築学委員会の構成員および各分野の有
識者で構成されている。本研究では、2012 年 2 月 15 日の時点で「東日本大震災の総合対応に
関する学協会連絡会」に参画している 28 学会と、日本学術会議協力学術研究団体に所属する
学会の中で、2012 年 2 月 15 日の時点で学会ウェブサイトのトップページに東日本大震災後の
活動に関する情報を掲載するとともに学会の活動実態の詳細を記載している 58 学会を合わせ
て、86 学会とした。
80
CIDIR
Annual Report 2011-2012
各学会に所属する 3.11net 東京のメンバーからの情報提供や学会ウェブサイトに掲載されて
いる情報に基づき、東日本大震災後のこれらの学会の活動をレビューし、①学会における震災
対応のための体制整備、②学会間の連携状況、③被災地の復旧・復興への提言活動、④相談へ
の対応や専門家の派遣、という 4 つの視点から、活動状況を分析した。表 6.7.1 にその結果を
示す。
参考文献)大原美保,近藤伸也,沼田宗純,目黒公郎:東日本大震災後における関連学会の活動状
況の俯瞰,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論文集,土木学会,4-060,2011.11.
表 6.7.1 各学会の活動状況一覧
分類
東日本大震
災の総合対
応に関する
学協会連絡
会に所属す
る28学会
番号 組織形態
24
25
26
27
28
東日本大震
災の総合対
応に関する
学協会連絡
会に所属し
ない58学会
他学会との
共同声明
学会独自の提言
相談への対応や
専門家の派遣
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
×
○
○
×
×
×
○
○
○
○
○
×
○
○
×
×
×
×
×
×
○(留意点)
×(予定あり)
○
×
×
○(指針)
○(生活助言)
×
×
×
○
×(予定あり)
×
○
×
○(窓口)
○(WEB)
×
○(Q&A)
×
×
○(派遣)
×
×
×
○
×
×
○(県から依頼)
×
×
×
×
×
×
×
○(メール相談)
×
日本災害情報学会
日本自然災害学会
日本地域経済学会
地域安全学会
○(特別委員会)
○(特別委員会)特別委員会)
○(特別委員会)
×(災害調査委員会がある)
×
○(特別委員会)
×(災害調査評価委員会がある)
×(防災GIS分科会がある)
○(特別委員会)
○(調査・提言分科会)
○(「原子力安全」調査専門委員会)
×
○(対応委員会)
○(災害廃棄物対策・復興タスクチーム)
○(調査支援本部)
○(東北地方太平洋沖地震災害調査委員会)
○(東日本大震災調査委員会)
○(調査復興支援本部)
○(復興支援委員会)
○(防災・復興問題研究特別委員会)
○(震災対応検討タスクチーム)
○(特別委員会)
○(東日本大震災調査専門委員会)
○(東北地方太平洋沖地震に関連した地震活動・
地表地震断層の評価に関する検討専門委員会)
×
○(特別委員会)
○(予定あり)
○(特別委員会)
化学工学会
学会名 (形態別に五十音順)
1
地盤工学会
2
土木学会
公益社団
3
日本コンクリート工学会
法人
4
日本地震学会
5
日本水産学会
6
こども環境学会
7
集団災害医学会
8
地理情報システム学会
9
日本応用地質学会
一般社団
10
日本機械学会
法人
11
日本原子力学会
12
日本森林学会
13
日本地震工学会
14
廃棄物資源循環学会
15
空気調和・衛生工学会
16
砂防学会
17
日本火災学会
18
日本建築学会
社団法人
19
日本造園学会
20
日本都市計画学会
21
日本水環境学会
22
農業農村工学会
23
環境システム計測制御学会
日本活断層学会
その他
29
震災対応特別組織の新設
○
×
×
○
○
○
○
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
○
○(Q&A)
30
計測自動制御学会
公益社団
31
日本産科婦人科学会
法人
32
日本心理学会
33
日本地下水学会
34
日本放射線技術学会
○(震災対応策定タスクフォース)
○(震災対策本部会議)
○(復興支援特別委員会)
×
×(放射線防護分科会がある)
○
×
×
○
×
×
×
×
×
×
○(窓口)
○(派遣、Q&A)
×
×
○(Q&A)
35
日本周産期・新生児医学会
×
○
○(注意点、見解)
○(Q&A)
36
日本助産学会
×
×
×
37
日本心理臨床学会
×
×
○(電話相談、派遣)
○
○
×
×
×
○
○
×
×
×
○
○
×
×
×
×
×
○
×
○
×
×
×
×
×
×
×
○
×
×
○
×
×
×
×
×
×
×
×
○(窓口)
○(Q&A)
×
×
○(派遣、Q&A)
○(派遣)
×
○(派遣、Q&A)
×
×
○(窓口)
×
×
×
×
×
×
○(派遣)
○
×
×
56
日本リハビリテーション医学会
57
日本リモートセンシング学会
×
○(支援活動委員会、
東日本大震災心理支援センター)
×(環境・災害対応委員会がある)
○(震災対応作業部会)
○(震災復興支援調査委員会)
×
×
○(対災害ロボティクス・タスクフォース)
×
×
○(福島原発事故緊急ワーキンググループ)
×
○(地震対策委員会)
○(災害対応本部)
×
○(対策本部)
×
×
×
○(震災対応ワーキンググループ)
○(震災対応ワーキンググループ、
震災関連情報センター)
×
58 特定非営利
活動法人
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
その他
74
日本心療内科学会
○(災害支援プロジェクト委員会)
×
×
○(派遣)
日本法医学会
地域漁業学会
東北地理学会
日本医学会
日本海洋学会
日本環境学会
日本グループダイナミックス学会
日本災害看護学会
日本災害復興学会
日本社会情報学会
日本社会心理学会
日本小児看護学会
日本精神衛生学会
日本精神保健看護学会
日本精神保健社会学会
日本地球化学会
日本都市社会学会
日本トラウマティック・ストレス学会
日本認知療法学会
日本農学会
日本農作業学会
日本福祉文化学会
日本放射線安全管理学会
○(災害時死体検案支援対策本部)
×
○(災害対応委員会)
×
○(震災対応ワーキンググループ)
×
×
×
○(復興支援本部)
○(災害情報支援チーム)
×
○(災害対策委員会)
×
○(震災対策事務局)
×
×
○(震災関係作業部会)
○(特別委員会)
×
○(東日本大震災の復興に対する農学の役割WG)
×
○(震災対策委員会)
○(ヨウ素・セシウム安全対策アドホック委員会)
○(震災対策検討ワーキンググループ、
福島原発事故に伴うQ&A グループ)
×
×
×
○(震災復興特別委員会)
×
×
×
×
○
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
○
×
×
○
○
×
×
○
×
×
×
×
×
×
×
○
×
×
○
×
×
○(マニュアル)
○(派遣)
×
×
×
×
×
×
×
×
○(現地でのIT支援)
×
○(メール相談)
○(電話相談)
○(研修会)
○(派遣)
○(放射能測定)
×
×
×
×
×
×
○(Q&A、窓口)
38 一般社団 日本地球惑星科学連合
法人
39
日本地質学会
40
日本福祉のまちづくり学会
41
日本放射線腫瘍学会
42
日本リスク研究学会
43
日本ロボット学会
44
物理探査学会
45
日本医学放射線学会
46
日本救急医学会
47
日本工学会
48
日本小児科学会
49
日本地理学会
50
日本土壌肥料学会
51
日本糖尿病学会
社団法人
52
日本透析医学会
53
日本内科学会
54
日本泌尿器科学会
55
日本分析化学会
75
76
77
78
79
80
81
82
日本放射線影響学会
83
84
85
86
日本慢性看護学会
日本未熟児新生児学会
日本予防医学リスクマネージメント学会
農村計画学会
81
○
×
○(Q&A)
×
○
×
×
×
○(注意点、見解)
×
×
○
○(Q&A)
×
×
CIDIR
6.8
Annual Report 2011-2012
地震-津波同時シミュレーションの開発(古村)
地震-津波同時シミュレーション法(Maeda et al., 2011)を用いて、東北地方太平洋沖
地震のシミュレーションを実施し、釜石沖海底ケーブル津波計の特異な津波成長過程を検証し
た。従来の地震動、津波シミュレーションは異なるモデルを用いて個別に行われてきたが、海
溝型巨大地震による地震動、地殻変動、そして津波を時間を追って正しく評価し、そして、海
底ケーブル津波計などの観測データを再現し、複雑な震源過程を理解するためには、こうした
地震随伴現象を一つのモデルで高精度に評価する必要性がある。また、地震の強い揺れととも
に地震地殻変動による海岸線の隆起・沈降を評価し、その後の津波の浸水を正しく評価するた
めにも、地震動と津波の同時評価が必要である。
こうした目的に向けて、重力項を含む3次元運動方程式の差分法計算による、地震動と津波
の同時シミュレーション法を開発した(Maeda and Furumura, 2011)。これは、津波を地震動
の評価と同じように海水中の流速による海面変動と考え、重力が働いた状態での静水圧平衡の
下で運動方程式を時間発展を伴いながら計算するものである。地震波の伝播とともに、水中を
伝わる音波、そして永久変位(地震地殻変動)が計算から自動的に評価できる。そして、震源
域の上に現れた海面地殻変動により海面が隆起・沈降し、これが重力を復元力として津波が伝
播する様子も再現できる。
本手法の有効性を検証するために、東北日本の地下構造モデルと震源モデルを 1km の分解能
でモデル化し、地球シミュレータの 32 ノードを用いた並列計算により、震源域から地震波と
水中音波が放射され、地殻変動が発生し、そして津波が沿岸に伝わるまでの一連の現象を評価
した。プレート境界深部から始まったプレートのズレ動きが日本海溝寄りの浅部プレート境界
に拡大し、10m を越える海底面の隆起により 5 m を越えるパルス状の大津波が生成されると同
時に、東北地方の海岸線が 1m 程度沈降して津波が内陸まで浸水する過程が時間を追って確認
できた。また、海底ケーブル津波計観測点では、地震時に 170 秒をかけて沈降が起き、その直
後から海水の流入が始まって、そして大津波が到来する過程が確認できた。今後、震源近傍海
底ケーブル津波計記録の再現シミュレーションから、地震時のプレート境界のズレ動き速度の
正確な推定を行うなど、巨大地震の震源過程の理解に向けた観測・シミュレーション研究が進
むものと期待される。
Maeda, T., and T. Furumura (2012) FDM Simulation of Seismic Waves, Ocean Acoustic Waves,
and Tsunamis Based on Tsunami-Coupled Equations of Motion, Pure Appl. Geophys., in press.
82
CIDIR
Annual Report 2011-2012
図 6.8.1 東北地方太平洋沖地震の3次元シミュレーションモデル
図 6.8.2 東北地方太平洋沖地震のシミュレーション。地震発生から 17 分後。揺れが収まり、
太平洋側の海岸線が沈降、海底が隆起して津波が発生、伝播する。
83
CIDIR
6.9
Annual Report 2011-2012
1605 年慶長地震における八丈島の津波高の再評価(古村)
南海トラフにおいて 1605 年に発生した慶長地震は、犬吠埼から九州までの広範囲に津波
が押し寄せ、八丈島で 57 名の死者、阿波宍喰で 1500 名の死者をもたらした大地震であっ
た。その一方で、揺れによる被害は、淡路島の寺社で仏像が飛散したことが古文書に一件
記されているのみであり、この地震は強い揺れを伴わない津波地震であったと考えられて
いる。この地震被害を調べるにあたり、当時は江戸幕藩体制の草創期であり、政治機構の整
備が進んでおらず、史料の残存状況が良くない。限られた史料の中でも、八丈島で津波によ
り 57 名(75 名との説もある)が死亡したという『八丈実記』の記録は重要であり、この記述
をもとに、八丈島に最大 10-20m の津波が来襲した可能性がこれまで議論されてきた(図 6.9.
1)
。このことは、慶長地震の波源モデルの考え方や、小笠原諸島や東海~関東の津波防災に
大きな影響を与えてきた。一方、
『八丈実記』に記された津波の記録伝承、当時の集落の位置
や、島の地形を精査して、慶長地震における八丈島の津波高は 10 mに達していなかった可能
性もあり、渡辺偉夫著『日本被害津波総覧』でも 10m 以内(7~8m)としている。事実、日向灘
~駿河湾のトラフ軸寄りの部分を慶長地震の震源域とする津波シミュレーションでは、八丈島
の西側海岸での津波高は 2m 程度に止まり、10m を越える津波の再現はよほど巨大な地震を想定
しない限り難しい。そこで、八丈島の巨大津波の議論のきっかけとなっている『八丈実記』を
精査し、また現地調査を行い津波高の再検討を行った。
地震
津波に関する記述(解釈)
1605 年慶長地震
谷ヶ里の村の下が残らず打ち払われた。島の
田地も多く損失し、大幅な年貢の引き下げが
あった。
1677 年延宝房総沖地震
谷ガ里の半ばまで波が入り、島の 13 艘の船が
波に取られた。
1703 年元禄関東地震
大波打ち上げ八トヶ原の半分、稲宮山(今の
弁天山)の左右を打ち払って、蒔きつけた麦・
芋・あしたばが全滅した。御蔵役の道具が、
屋敷・石垣ともに引き払われ、島の漁船が流
された。
1707 年宝永地震
ヨダ(津波)が少し入った。末吉村(八丈島
の南部)へ波がよほど(激しく)揚がった。
表 6.9.1 八丈実記に記載された津波被害の記述の解釈。
84
CIDIR
Annual Report 2011-2012
『八丈実記』は、近藤富蔵が八丈島に流罪中の 1848~1861 年に、島内に存在する諸記録を
もとに編纂したものである。原本は東京都公文書館に所蔵されており、活字本が八丈実記刊行
会により7巻本として刊行され、その第6巻第7編「天変地災諸病」に、慶長地震(1605 年)、
延宝房総沖地震(1677 年)
、元禄関東地震(1703 年)、宝永地震(1707 年)などによる強い揺
れと海嘯(津波)の記録や伝承がまとめられている(図 6.9.2)
。そこには、島の西側海岸に近
く、当時の島の人口の多くが集まる、八戸(谷ヶ里、八トヶ原;図 6.9.3)の津波被害が詳細
に記されておりその記述から津波の規模と被害を表 6.9.1 のように読み取ることができる。
こうして、4つの地震の津波被害の記述の比較から、慶長地震における八丈島の津波は元禄
関東地震による津波よりも低く、八戸の集落には到達していなかった可能性が高い。慶長地震
の津波は、「谷ヶ里の村の下が残らず打ち払われた」とあるように、八戸集落の下、現在の八
重根港と、海岸を掘り込んで作られた八重根漁港の付近(写真 6.9.1)までにとどまり、海抜
8~10m の高台にある八戸集落までは浸水していない。宇佐見龍夫著『日本被害地震総覧』には、
慶長地震による八丈島の津波被害の様子を「谷ヶ里の家残らず流失し」とあるが、
『八丈実記』
の「谷ヶ里の下残らず流失し」の転載の誤りであろう。津波高は、島の西側海岸(現在の八重
根港付近、八戸の集落の下付近)では 10mには達せず、最大で7~8m以下と考えるのが適当
である。
なお、延宝房総沖地震と元禄関東地震では、八戸の集落が津波で浸水している。このとき、
八トヶ原(現在の八戸)の半分、稲宮山(写真 6.9.2;現在の弁天山;すそ野の標高 10m)の
左右を打ち払って津波が来襲したことが『八丈実記』に書かれており、このときの津波は 10 m
以上であっても不自然ではない。おそらく、これまで議論されてきた八丈島の 10~20m の津波
は、慶長地震によるものではなく、元禄関東地震による津波と混同されたと結論づけられる。
図 6.9.1 古文書等記録に基づく(a) 宝永地震による津波高と(b)慶長地震による津波高の比
較。
85
CIDIR
Annual Report 2011-2012
図 6.9.2 八丈実記第6巻(活字版、八丈実記刊行会、緑地社)における津波(海嘯)の記述。
図 6.9.3 島の西部の拡大図と主要な地名。国土地理院 10m 数値地図より作製、標高コンター
は 2.5m。図上が東、図下が西を表す。
86
CIDIR
Annual Report 2011-2012
写真 6.9.1 南海トラフ地震や関東地震においてたびたび津波が来襲したとされる「八戸の下」
(現八重根漁港)
。
写真 6.9.2 大賀郷から八戸、弁天山(指さし方向の小山)の方位を見る。
87
CIDIR
6.10
Annual Report 2011-2012
住宅を対象とした地震観測網の構築に関する予備的研究(鷹野)
人々の生活環境である住宅内での地震観測はこれまでほとんど実施されていない。本研究は、
日頃の弱い地震動を住宅内に設置した複数の地震計で観測して、大地震時に住宅がどのように
振動して、住宅及び家財にどのような危険が予想されるかをイメージし、あるいは、住宅や家
財の耐震対策を促進するための「住宅内の地震観測」に関する予備的な研究である。その際、
単に、個々の住宅内だけで地震観測を行うのではなくて、それを地域でネットワーク化した「地
震観測網」として構築して、周辺の類似の住宅との揺れの比較を可能にすること、地震記録を
収集してそれを公開可能にすることを目指している。
この予備的研究で調査研究する内容は、
・一般住宅内に複数の地震計を設置して地震観測を行う場合の、地震計の設置場所選定と
設置方法の課題
・住宅内のネットワーク接続の課題、各住宅のセンサーデータを中央のサーバまでデータ
転送しデータベースに収録する場合の課題
・収録した地震観測データの公開に関する課題
・一般の方が住宅内の地震観測を自前で行うことを実現するための課題
など多岐にわたる。平成22年8月から工学系研究科建築学専攻の藤田研究室と共同で予備
的研究を開始し、一般住宅として木造2階建て住宅をターゲットとして、そのような住宅が多
く存在する茅ヶ崎市の浜竹地区と萩園地区をテストフィールドとして選定した。現地説明会と
現地調査を行って、平成22年10月から協力者宅に地震計の設置を開始した。同年12月か
らは、損害保険料率算出機構の受託研究が開始され、震災の翌週の平成23年3月17日まで
に合計22軒のお宅に地震計を設置し、その後平成23年7月末まで観測を続けた。
この間に実施された調査研究の概要は以下の通りである。
・既存木造2階建て住宅における地震計の設置場所・設置方法の評価
・既存木造2階建て住宅における住宅内地震計の設置基準の検討
・IT 強震計による地震観測と微動計による常時微動測観の比較検討
・住宅の地震観測結果と住宅の耐震診断結果の比較検討
・住宅の地震観測データの公開方法
・住宅の地震観測を普及するためのコスト面の課題と検討
この受託研究が終了した平成23年8月以降も、約半数の12軒のお宅で継続して住宅観測
に協力して頂き、住宅の地震観測網の研究を続けている。
88
CIDIR
6.11
Annual Report 2011-2012
IT 強震計による学内地震速報伝達システム(ベータ版)の開発(鷹野)
特別研究経費を用いて、IT 強震計を用いた学内センサーネットワークシステムが本郷、駒場、
柏の各キャンパスに設置されて、学内の強震観測データが利用可能になったことから、それを
用いて、地震発生時に携帯電話等にメール送信する、学内地震速報伝達システム(ベータ版)
を開発した。
本システムは、本郷、駒場、柏のいずれかのキャンパスで、簡易震度 0.5(震度 1 相当)以
上の揺れが観測されたときに速報メールを出すようにしている。また、気象庁からの震源情報
と各地の震度情報の発表を待ってから、それも併せて情報発信するようにしている。
今後、試験利用を重ねて仕様を改訂し、大地震の時に学内の状況をいち早く伝達することの
できるツールとなるように発展させることを考えている。
本システムの機能の概要は以下の通りである。
(ア) 受信メールアドレスの登録・停止機能
受信メールアドレスの入力間違いを避けるため
に、①受信する携帯電話やパソコンから空メールを
指定のアドレスに送信してもらう。すると②送信先
に、
登録のための URL のついたメールが送られる。
③そのページをアクセスして登録に必要な情報を
入力すれば登録完了となる。
登録停止も同じ方法で可能である。
さらに、携帯電話からの登録を容易にするために、
④携帯電話から空メールを送信する為のページを
用意し、QR コードを携帯電話で読んで指定された
ページをアクセスすれば、簡単に空メールを送信で
きるようにした。
これらの一連の登録方法を作成するに当たって
は、文京区の「文の京」安心・防災メールの登録方
登録方法の概要
法を参考にした。
(この図は「文の京」HP より)
登録用のページは、以下の URL である。
http://ut-itk.eri.u-tokyo.ac.jp/sokuhomail.html (学内限定)
(イ) 地震検知機能、震源情報取得機能
各キャンパスに設置した IT 強震計の、建物地下 1 階や 1 階に設置した地震計のデータをも
とに、簡易震度を計算して簡易震度 0.5(震度 1 相当)以上の地震の発生を検知する。本郷、
駒場、柏のいずれかのキャンパスで震度 1 以上が検知されたなら、各建物内のすべての IT 強
89
CIDIR
Annual Report 2011-2012
震計の強震情報を計算する。簡易震度が配信される建物は、本郷地区:本郷本部棟、第2本部
棟、駒場地区:15号館、16号館、柏地区:新領域環境棟、宇宙線研究所、である。
また、気象庁のホームページを参照して、震源情報と各地の震度情報が掲載されたなら、そ
の情報を取得して観測されたデータと関連付ける。
学内地震速報(東京大学)
(ウ) メール配信機能
上記(イ)の処理で得られた、各建物内の強震
情報を、(ア)で登録したメールアドレスに送信す
る。気象庁発表の震源情報と文京区、目黒区、柏
市の震度情報も併せて配信する。
学内の強震計で地震が検出されました。
各地区の揺れ(地区平均簡易震度(K))
本郷: K0.9(震度 1 相当)
駒場: K1.1(震度 1 相当)
柏: K1.5(震度 2 相当)
建物内の揺れ(各階簡易震度(K))
(エ) ホームページ掲載機能
過去の速報メールの配信情報をホームページに
掲載。
http://ut-itk.eri.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/mobile/sok
uholist.cgi
さらに、学内データ利用のページを「過去の地
震のより詳しい情報はこちら(学内限定) をご覧
【本郷地区】:
本部棟: 最上階 K2.4 地下 K0.9
第2本部棟: 最上階 K1.8 地下 K0.9
【駒場地区】:
15号館: 最上階 K1.7 地下 K1.1
16号館: 最上階 K2.0 地下 K1.1
【柏地区】:
下さい」と紹介。
環境棟: 最上階 K2.4 地下 K1.4
http://ut-itk.eri.u-tokyo.ac.jp
宇宙線研: 最上階 K2.0 1階 K1.6
★以下は気象庁からの発表です★
今後の課題
本システムはベータ版であり、本システムをき
っかけとして、大地震時のキャンパス内の被災状
況の迅速な情報収集の可能性と緊急対応における
活用方法などについて、研究を進めていく予定で
震源情報
2012/04/13 19:10 頃
福島県沖 (36.9N, 141.5E)
M5.9 深さ 20km
近隣市町村の震度
ある。
文京区 震度1
目黒区 震度1
柏市 震度2
最近の地震速報はこちらをご覧下さい。
http://ut-itk.eri.u-tokyo.ac.jp/...
配信されるメールのイメージ
参考
文京区「文の京」安心・防災メール
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_kikikanri_anzenanshin_mail.html
90
CIDIR
6.12
Annual Report 2011-2012
2011 年ブリスベンの水害生活困難調査(地引)
1.調査の目的
ブリスベン市が州都であるオーストラリアのクイーンズランド州では 2010 年 12 月から 2011
年 1 月にかけて豪雨に見舞われ、同市内の家屋にも浸水するなどの被害が生じた。オーストラ
リア・クイーンズランド洪水調査団(2011)によれば、ブリスベン市の浸水家屋数は約 11,900
戸、部分的に浸水被害を受けた家屋は 14,700 戸、停電戸数は最大で 10 万戸強であった。全域
への通電再開は、1 月 25 日となった。市内でブリスベン川が氾濫する直前の 1 月 11 日の日中
には避難勧告が出され、1 月 12 日には氾濫が大規模となり、14 日には水位が下がった。
避難勧告が出された 1 月 11 日から水位が下がった 14 日までは 4 日間ではあるが、ブリスベ
ン市の人口は約 100 万人であり、大都市で多くの住民が堪水による生活障害に直面した事例と
なったことは間違いない。
そこで、実証的なデータにもとづき、都市が長期間にわたり堪水した場合に直面するであろ
う生活障害の様相を明確化することを目的として住民調査を実施した。なお、この調査は国土
技術政策総合研究所委託研究「水害時の状況に応じた避難及び避難情報提供に関する調査研究」
の一環として実施された。
2.調査の方法
2011 年 1 月 11 日から 14 日にかけてブリスベン市内にいたという条件で、18 歳以上 69 歳以
下の男女個人を対象とした Web アンケート調査を実施した。調査の実施時期は 2011 年 12 月 22
日から 2012 年 1 月 10 日にかけてである。最終的に 1007 件の有効回答を得た。
3.主な調査項目と結果(一部)
 水害による被害(自宅、職場)
 避難行動
 水害発生から 1 週間の間、災害関連の欲しい情報(現在の降雨量や今後の雨の見通しや河
川の水位、など)を得られたか。
 ライフライン(電気、ガス、水道、通信、交通手段、物流、ATM)の途絶、困ったこと、
復旧時期
 生活用品の購入について:主食、生鮮食品、水など 14 項目について、通常通り買えたか、
通常よりも多く買おうと思ったか、いつ頃から通常通り買えるようになったか。
 水害の前後で、住んでいる土地に対する個人の主観的な水害リスクは変化したか。
調査結果の一部として、ライフラインの復旧時期と避難からの帰宅の時期との関係について
紹介する。
電気、ガス、水道という主要なライフラインが復旧することと、避難先から帰宅する時期に
91
CIDIR
Annual Report 2011-2012
は関係があるのであろうか。ブリスベン調査及び仙台調査*では自宅外に避難した回答者に対し
て、最終的にいつ帰宅したのかを尋ねた。また、電気、ガス、水道がいつまで止まっていたか
を質問していた。
「いつまで止まっていたか」を質問することと、
「いつから復旧したのか」を
問うことは同じことである。よって、これらの質問のデータを用いて、ライフラインの復旧時
期と帰宅時期の関係を調べるために、カイ二乗検定を実施した。
検定の結果、電気復旧時期と帰宅時期には、ブリスベン調査でも仙台調査でも統計学的に有
意な関係が認められた。一方、ガスと水道の復旧時期と帰宅時期の関係については、2 つの調
査によって検定結果に違いが見られた。ブリスベン調査では水道復旧時期と帰宅時期に統計学
的に有意な関係が認められるが、仙台調査では有意ではなかった。仙台調査ではガス復旧時期
と帰宅時期に統計学的に有意な関係が認められるが、ブリスベン調査では有意ではなかった。
以上の結果より、自宅での日常生活を送る上で必要不可欠な電気、ガス、水道の中では、まず
電気が復旧すれば避難先から自宅に帰宅する傾向があるということがいえるだろう。
ライフラインの復旧時期と避難からの帰宅の時期のカイ二乗検定の結果
*
ブリスベン調査
仙台調査
電気
Χ2 (42, N=137) = 55.350, p<.10
Χ2 (15, N=294) = 35.575, p<.01
ガス
Χ2 (42, N=137) = 47.106, n.s.
Χ2 (15, N=294) = 26.910, p<.05
水道
Χ2 (42, N=137) = 57.216, p<.10
Χ2 (18, N=294) = 21.333, n.s.
仙台調査とは、CIDIR が実施した「東日本大震災における仙台生活支障調査」を指す。調査
の目的・方法については、本年報の「活動報告」を御参照いただきたい。
参考文献
オーストラリア・クイーンズランド洪水調査団, 2011, オーストラリア・クイーンズランド洪
水災害調査報告, 河川, 4 月号, pp.48-62.
92
CIDIR
Annual Report 2011-2012
7.委託研究・共同研究・奨学寄附
7.1
委託研究
7.1.1 水害時の適切な避難につながる情報提供のあり方に関する検討
・研究目的
水害時に適切な避難を促し人的被害低減につなげるため、災害時及
び平常時に提供すべき適切な情報の内容、またその情報伝達のため
の手段等ついて研究を行うものである。
・研究内容
1. 水害時の状況に応じた避難手法に関する研究
2. 水害時の情報伝達に関する研究
3. 事前の防災情報提供のあり方に関する研究
・研究委託者
・研究に要する経費
国土交通省国土技術政策総合研究所長
14,038,500 円
7.1.2 住宅を対象とした地震観測網の構築に関する予備的研究
・研究目的・内容
一 般 の 住 宅 を 対 象 と した 大 規 模 な 地 震 観 測 網を 構 築 す る た め
に必要な条件等を明らかにする。実際に一般の住宅に地震計を
設置して、住宅内での地震計設置基準、データの収集・管理・公開
方法、観測網の構築・維持・管理と活用方法等を調査研究する。
・研究委託者
損害保険料率算出機構
・研究期間
平成 22-23 年度
・研究に要する経費
1,830,400 円 (平成 23 年 7 月迄)
7.1.3 次世代スーパーコンピュータ戦略プログラム防災・減災に資する地球変動予測:
地震津波シミュレーションの高度化
・研究目的・内容
京 コ ン ピ ュ ー タ を 用 いた 大 規 模 地 震 津 波 シ ミュ レ ー シ ョ ン に
基づき、防災・減災に向けた研究を進める。
・研究委託者
海洋研究開発機構
・研究期間
平成 22-26 年度
・研究に要する経費
26,400,000 円 (平成 23 年度)
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
7.1.4 ポストペタスケール高性能計算に資するシステムソフトウエア技術の創出
・研究目的・内容
次 世 代 ス ー パ ー コ ン ピュ ー タ を 想 定 し た 高 性能 計 算 の た め の
差分法計算コードの開発を行う。
・研究委託者
科学技術振興機構 CREST 事業
・研究期間
平成 22-26 年度
・研究に要する経費
10,660,000 円 (平成 23 年度)
7.1.5 東海・東南海・南海地震の連動性評価研究
②連動性を考慮した強震動・津波予測及び地震津波被害予測研究
・研究目的・内容
東海・東南海・南海地震の連動発生に伴う、地震動と津波の予
測と被害の予測を行い、実効性の高い復興復旧戦略を検討する。
・研究委託者
文部科学省
・研究期間
平成 20-24 年度
・研究に要する経費
7.2
50,120,000 円 (平成 23 年度)
共同研究
7.2.1 総合的な防災情報の活用に関する研究
・研究目的
報道機関を通じて一般に伝えられる防災情報について、データソー
スでの情報処理過程、ニュース報道として求められる防災情報の役
割、一般視聴者の受容過程等について研究を行うものである。
・研究内容
報道機関における防災情報の総合的な活用方策の検討
・研究委託者
日本放送協会
・研究に要する経費
500,000 円
(5 年間で 2,500,000 円)
7.2.2 IT 強震計に関する研究(IT 強震計コンソーシアム)
・研究目的
IT 強震計のシステム開発とその利活用ならびに標準化
・研究内容
IT 強震計装置開発、IT 強震計システム開発と構築、建物ヘルスモ
ニタリング技術開発、即時的地震情報活用システム開発、データ解
析技術開発ならびにそれらの標準化
・研究委託者
株式会社 aLab
株式会社ソフトテックス
百年住宅株式会社
IMV株式会社
オムロン株式会社
・研究に要する経費
合計
1,000,000 円
94
CIDIR
7.3
Annual Report 2011-2012
奨学寄附
7.3.1 情報学環における総合防災情報研究の奨励・支援のための寄付
(寄付額合計 3,500,000 円)
寄付者
・株式会社NTTドコモ
・東日本電信電話株式会社
・株式会社TBSテレビ
・東日本旅客鉄道株式会社
・東京ガス株式会社
7.3.2 IT 強震計に関する研究に資するための寄付
寄付額
100,000 円
寄付者
dブロード株式会社
95
CIDIR
Annual Report 2011-2012
8.CIDIR の出版物等
8.1
ニュースレター
センターの最新の活動状況等を紹介することを目的として、3 ヶ月毎にニュースレターを継
続して刊行している。
毎号、1面は CIDIR Chronicle と題して、一定の期間内に国内外で生じた災害に関する情報
と同時期のセンターの活動状況とを時系列的に一覧できる表を掲載した。また、各号ごとに、
防災や CIDIR にかかわるひとつのテーマを取り上げ特集とするほか、研究・調査の成果概要
を報告する CIDIR report、更に CIDIR news や防災コラムなどで構成し、読み易くかつ読み
応えのある誌面作りに努めている。
2011 年度には、第 12 号から第 15 号を発行した。その特集の一覧を以下に示す。
号数
発行年月
特集
第 12 号
2011 年 6 月
【特集】東日本大震災
いま考えること
第 13 号
2011 年 9 月
【特集】東京大学安全の日講演会から/【シリーズ】東日本大震災
第 14 号
2011 年 12 月
【特集】風水害/【シリーズ】東日本大震災
第 15 号
2012 年 3 月
【シリーズ】東日本大震災
このニュースレターは防災関係者を中心に配布すると同時に、センターのホームページ上で
も公開を行っており、PDFファイルにて全文が閲覧可能となっている。
第 12 号(1 面)
第 14 号(3 面)
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CIDIR
8.2
Annual Report 2011-2012
ホームページ
センターに関する情報を広く速やかに発信するため、Web 上にホームページを公開している。
トップページの URL は、http://cidir.iii.u-tokyo.ac.jp である。
ホームページを構成するコンテンツは、センターのミッション、研究部門・体制およびメン
バーの紹介、調査研究活動・コラムの掲載、廣井文庫の紹介、刊行物の公開等であるが、2011
年 8 月 1 日には、CIDIR 設立以来の情報を再整理すると同時に、訪問者がより見やすく、よ
り早く目的の情報へたどり着けるよう、デザインの一新をおこなった。メニューカテゴリを
「研究活動」
「廣井文庫」
「刊行物のご案内」に大きく分け、目的に応じて各詳
「CIDIR とは」
細項目へ移動することとしたほか、更新の多い情報についてはトップページから容易に確認で
きる構成となっている。
またトップページからは、バナーを通じて「CIDIR Newsletter」
「廣井アーカイブス」のほ
か、
「CIDIR 災害情報調査アーカイブス」
「東北地方太平洋沖地震について」の各サイトページ
への移動が可能である。センターの最新の状況を伝える中で、災害発生時においては調査・研
究結果の速やかな報告を目指す。
ホームページは、海外からの防災への関心にこたえるため英語にも対応しており、そのトッ
プページの URL は http://cidir.iii.u-tokyo.ac.jp/cidir_en_top.html である。
リニューアル後のトップページ
(2011.08.01~)
リニューアル前のトップページ
97
CIDIR
Annual Report 2011-2012
9.個人業績
9.1
田中淳センター長、教授
【著書】
・ マイノリティへの情報保障,災害対策全書,ひょうご震災記念 21 世紀研究機構災害対策
全書編集企画委員会,2011
【論文(査読あり)
】
・ 大原美保・目黒公郎・田中淳:東日本大震災前後での緊急地震速報に対する住民意識の比
較分析,日本災害情報学会誌「災害情報」,No.10,2012.3
【一般誌】
・ 災害情報を有効な形で伝えるために,放送文化,2011 年夏号,pp.40-43,NHK 出版
・ 論壇「加害者にならないために:東日本大震災と大学防災」
,環境安全 No.132,pp.2-3,
東京大学環境安全研究センター
・ 随想 美談では終わらせてはならないだろう,広報 消防基金 平成 23 年 10 月 No.181,
pp.1-3,消防団等公務災害補償等共済基金
・ 減災の探究者 災害情報論 避難行動に結びつく情報の伝え方,季刊 SORA 2011.10 秋号,
pp.46,株式会社ウェザーニューズ
・ 市民の立場から見た豪雨防災情報の課題,てんきすと 第 72 号,pp.1-4,一般社団法人日
本気象予報士会
・ 市民の立場から見た豪雨防災情報の課題,てんきすと 第 73 号,pp.2-5,一般社団法人日
本気象予報士会
・ 市民の立場から見た豪雨防災情報の課題,てんきすと 第 74 号,pp.2-5,一般社団法人日
本気象予報士会
【口頭発表】
・ シンポジウム:科学技術社会のリスクに対処するために認知科学ができること(認知科学
会への期待;災害情報論の立場から),認知科学 Vol.18,No.4
・ 東日本大震災にみる災害情報,日本社会情報学会学会誌 第 3 巻 1 号,pp.15-21,日本社
会情報学会,
・ 宇田川真之・田中 淳,伊豆大島における噴火イメージおよび防災対策に関する住民意識
調査について,地域安全学会,2012
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 田中 淳・関谷直也,津波の避難(1)―2010 年チリ地震津波の避難行動における意思決定,
日本社会心理学会第 52 回大会(ポスターセッション),
・ 関谷直也・田中 淳,津波の避難(2)-2012 年チリ地震津波の避難行動における意思決定,
日本社会心理学会第 52 回大会,(ポスターセッション), 2011.9
・ Atsushi Tanaka, “Tsunami Disaster”, Learning From Japan 4th Symposium 2012: Urban
Society’s Vulnerability, Disaster Mitigation and Preparedness in Indonesia and
Japan, 2012
【講演会等】
・ 田中淳,東京大学第 84 回五月祭 メーデー:東日本大震災特別講座, 2011.5
・ 田中淳,EMP 特別フォーラム―震災とこれから,2011.5
・ 田中淳,大規模複合災害におけるリスク・コミュニケーション,日本国際問題研究所 軍
縮・不拡散促進センター,2011.6
・ 田中淳,市民の立場から見た豪雨防災情報の課題,日本気象協会第2期定時社員総会,
2011.6
・ 田中淳,特別講演「大学における災害対策について」,第 27 回大学等環境安全協議会技術
分科会,2011.7
・ 田中淳,親和会平成 23 年度夏合宿研修会,2011.8
・ 田中淳,震災・原発事故からの再帰的な問題提起をふまえた社会、学問、政策の展望,科
学・技術と社会の会創立23周年・『年報 科学・技術・社会』刊行20周年 記念シン
ポジウム「東日本大震災・福島第一原発事故の投げかける問題にどう向き合うか」,2011.9
・ 田中淳,浅間山の火山災害と防災対応について-東日本大震災から改めて考える-,小諸
市浅間山火山防災に関する市民勉強会,2011.9
・ 田中淳,東日本大震災―突きつけた課題,第3回クローネ交流会,2011.9
・ 田中淳,首長の責務である避難勧告等の発令について,平成 23 年度 山形県防災トップセミ
ナー,2011.10
・ 田中淳,河川情報の利用者と提供者に求められること-有効な避難のために-,平成23
年度 河川情報シンポジウム,2011.12
・ 田中淳,東日本大震災:防災計画の論点,社団法人日本私立大学連盟金曜会,2012.1
・ 田中淳,東日本大震災の教訓を生かした地域防災の在り方,第 9 回全国都道府県・政令指定
都市関係部長等会議,2012.1
・ 田中淳,「From Japanese to Portuguese」,日本・ポルトガル防災セミナー,2012.3
田中淳,災害被害者支援~大事な命を守るために~,2011 年度東京大学バリアフリーシン
ポジウム「大学の防災とバリアフリー」,2012.3
・ 田中淳,東日本大震災に学ぶ,大島町防災講演会,2012.3
99
CIDIR
Annual Report 2011-2012
【委員会・社会活動】
・ 東洋大学 非常勤講師
・ (財)ひょうご震災記念 21 世紀研究機構人と防災未来センター 上級研究員
・ (財)砂防・地すべり技術センター 評議員
・ (特活)環境防災総合政策研究機構 理事
・ 日本災害復興学会 理事
・ 日本災害情報学会 理事
・ 日本災害情報学会 企画委員
・ 内閣府 中央防災会議専門委員
・ 内閣府 中央防災会議「防災対策検討推進会議」専門委員
・ 内閣府 中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会」専門委員
・ 内閣府 中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会」津波防災に関するワーキング
グループ委員
・ 内閣府 中央防災会議「地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会」座長
代理
・ 内閣府 中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門
調査会」委員
・ 内閣府 日本学術会議 土木学会・建築学委員会学際連携分科会 IRDR(災害リスク統合研
究)小委員会委員
・ 文部科学省 科学技術・学術審議会専門委員
・ 文部科学省 気候変動予測研究検討会 検討会委員
・ 総務省消防庁 東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に
関する検討会委員
・ 国土交通省 社会資本整備審議会専門委員
・ 国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会専門委員
・ 国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会 事故・災害対策部会
昇降機等事故対策委員会委員
・ 国土交通省 社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会専門委員
・ 国土交通省 河川事業の評価手法に関する研究会委員
・ 国土交通省 今後の治水対策のあり方に関する検討会委員
・ 国土交通省 北海道開発局
北海道開発局津波対策検討委員会委員
・ 国土交通省 関東地方整備局荒川下流河川事務所 水防災アドバイザリー会議 委員
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Annual Report 2011-2012
・ 国土交通省 関東地方整備局利根川水系砂防事務所
浅間山・草津白根山火山砂防計画検討委員会委員
・ 国土交通省 関東地方整備局利根川水系砂防事務所
浅間山ハザードマップ検討委員会委員
・ 気象庁 気象業務の評価に関する懇談会委員
・ 気象庁 津波警報の発表基準等とのあり方に関する検討会委員
・ 東京消防庁 第20期火災予防審議会委員
・ 千葉県 東日本大震災千葉県調査検討専門委員会委員
・ 静岡県 防災・原子力学術会議委員
・ 静岡県 静岡県防災・原子力学術会議津波対策分科会委員
・ 兵庫県 兵庫県台風第 9 号災害検証フォローアップ委員会委員
・ 杉並区 杉並区国民保護協議会委員
・ 長岡市 長岡市防災専門員
・ 名古屋市 地震対策専門委員
・ (株)三菱総合研究所 大規模災害時における災害時要援護者の被害軽減方策に関する
調査研究委員会アドバイザー
・ みずほ情報総研(株) 「平成 23 年度東日本大震災石油製品流通調査事業」に係るワーキン
ググループ委員
・ (特活)災害福祉広域支援ネットワーク・サンダーバード
「認知症対応型共同生活介護における災害対策の検討」検討委員
・ (特活)環境防災総合政策研究機構 火山防災対策の推進に係る検討会委員
・ (特活)環境防災総合政策研究機構 噴火時等の避難に係る火山防災対策懇談会委員
・ (独)防災科学技術研究所
気候変動に伴う極端気象に強い都市創りに関する運営委員会運営委員
・ (社)土木学会 調査研究部門地盤工学委員会 火山工学研究小委員会委員
9.2
鷹野澄副センター長、教授
【論文】
・ 鷹野澄, 緊急地震速報・津波警報-防災情報はどう伝わったか-, 情報処理, 52, 9, 1086-1087,
2011.
・ 鷹野澄, 緊急地震速報の現状と減災への活用の課題, 安全工学, 50, 6, 488-494, 2011.
101
CIDIR
Annual Report 2011-2012
【国際学会発表】
・ Takano, K. and T. Ito, Introduction of building vibration observation data of
metropolitan area due to the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake: an
Approach of the IT Kyoshin Seismometer for Buildings, AGU Fall Meeting 2011, San
Francisco, California, USA, 5-9 December, American Geophysical Union, 2011.
【学会発表】
・ 鷹野澄, 情報で地震災害軽減を目指すには ―地震災害軽減のための地震観測ネットワー
クの現状と課題―(招待講演), 情報処理学会第 4 回インターネットと運用技術シンポジ
ウム(IOTS2011), 東京, 12 月 1-2 日, 情報処理学会, 2011.
・ 鷹野澄・伊藤貴盛, IT 強震計でみた3.11の東大キャンパスの建物の揺れ, 日本地震学
会2011秋季大会, 静岡, 10 月 12-15 日, 日本地震学会, 2011.
・ 志田龍太郎・鷹野澄・伊藤貴盛, IT 強震計による常時微動観測と構造物ヘルスモニタリン
グの可能性, 日本地震学会2011秋季大会, 静岡, 10 月 12-15 日, 日本地震学会, 2011.
・ 鷹野澄・鶴岡弘・卜部卓・中川茂樹・三浦哲, 東北地方太平洋沖地震直後の地震観測網と
調査研究活動, ADVNET2011 シンポジウム・電子情報通信学会 IA 研究会共済, 東京, 10
月 12 日, 電子情報通信学会, 11-14, 2011.
・ 鷹野澄・粟田祐介, ボーリング地震計データによるオンサイト地震警報システムの検討―
緊急地震速報の弱点を補い直下型地震に備えるには― , 日本地球惑星科学連合2011
年大会, 東京, 5 月 22-27 日, 日本地球惑星科学連合, 2011.
【委員会・社会活動】
・ 海洋研究開発機構地球情報研究センター評価助言委員会, 委員, 2011.4-2012.3.
・ 日本地震学会, 代議員, 2005.5-.
・ 日本災害情報学会, 広報委員会委員, 2005.4-.(副委員長 2009-)
・ 日本災害情報学会, デジタル放送研究会委員, 2005.4-.
・ IT 強震計コンソーシアム, 代表, 2008.4-.
・ IT 強震計研究会, 代表, 2006.6-.
【一般講演】
・ 鷹野澄,緊急地震速報その仕組みを知り防災に生かすには,東京大学「安全の日」安全講
演会,東京,7 月 5 日,2011
・ 鷹野澄,情報で地震災害軽減を目指すためには―その現状と課題―(招待講演),核融合エ
ネルギーフォーラム 社会と核融合クラスター Web 広報サブクラスター平成 23 年度第
102
CIDIR
Annual Report 2011-2012
1回会合 「核融合研究の社会への情報発信のための検討会」,東京大学柏キャンパス,1
月 25 日,2012
9.3
目黒公郎教授
【論文(査読あり)】
・ Muneyoshi Numada, Shinya Kondo, Masashi Inoue, and Kimiro Meguro: Analysis of Description
of Local Disaster Management Plan for Smooth and Effective Wide-Area Support System During
Large-Scale Disaster, Journal of Disaster Research, Vol.7, No.2 pp. 147-159, 2012.
・ Yasunori Hada, Shinya Kondo, Kimiro Meguro, Miho Ohara, Shinsaku Zama, Makoto Endo, Keiji
Kobayashi, Takeyasu Suzuki, Itsuki Noda, Hiroki Shimora, Ikuo Takeuchi, Satoshi Kobayashi, and
Jumpei Arakawa: Implementation of Demonstration of Information Linkage Supposing the Tokyo
Metropolitan Near Field Earthquake Disaster, Journal of Disaster Research, Vol.7, No.2 pp.
160-172, 2012.
・ 沼田宗純・大原美保・目黒公郎:静岡県立総合病院を中心とした広域的災害医療情報の収
集と共有に向けたトリアージ訓練の実施,地域安全学会論文集,No.15,2011.11.
【書籍】
・ 目黒公郎・野田朝男:目で見る自然災害サバイバルハンドブック,47p,法研,2011.4.1.
・ 目黒公郎:震災から身を守る 52 の方法,157p,アスコム,2011.4.29.
・ 平田直・佐竹健治・目黒公郎・畑村洋太郎:巨大地震・巨大津波 ─東日本大震災の検証
─ ,200p,朝倉書店,2011.11.
・ 目黒公郎(部分執筆):自分の命、家族の命を守るためにできること,サロン・ド・防災ダ
イジェスト「地震大国の防災を考える」想定を超える大震災に備えて,監修:NPO 法人東
京いのちポータルサイト,pp. 240,自由国民社,2012.3.
・ 目黒公郎(監修)
:地震了!(地震の絵本の中国語版),32p,遠足文化事業份有限公司,
小熊出版,2012.3.
【論文(査読なし)】
・ 目黒 公郎:新生 ICUS と持続可能な都市システムの構築を目指して,生産研究, Vol. 63,
No. 4, pp.393-394, 2011
・ 川崎 昭如・目黒 公郎:災害リスク軽減と都市環境の改善に向けた住宅への雨水貯留槽の
設置可能性に関する基礎的研究,生産研究, Vol. 63, No. 4, pp.451-456, 2011
・
近藤 伸也・目黒 公郎:防災関連学会の研究分野の動向分析に関する基礎的研究,生産
研究, Vol. 63, No. 4, pp.457-460, 2011
103
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 近藤 伸也・目黒 公郎:危機対応時における大学の SCM モデルの構築に関する検討,生
産研究, Vol. 63, No. 4, pp.461-463, 2011
・ 小林 明夫・沼田 宗純・目黒 公郎:平時から災害時まで利用可能な高齢者の生活習慣の
遠隔見守り支援システムの研究,生産研究, Vol. 63, No. 4, pp.465-470, 2011
・ 沼田 宗純・大原 美保・目黒 公郎:「TRACY」を用いた被災現場, 応急救護所, 病院, ヘ
リポートにおけるトリアージ情報の広域的共有の取組み,生産研究, Vol. 63, No. 4,
pp.471-479, 2011
・ 沼田 宗純・大原 美保・目黒 公郎:静岡県立総合病院におけるトリアージ訓練から得ら
れたトリアージシステム「TRACY」の成果と課題,生産研究, Vol. 63, No. 4, pp.481-484,
2011
・ 小川 隆介・大原 美保・目黒 公郎:既存システム間の情報共有による病院の災害医療支
援情報システムの設計、生産研究, Vol. 63, No. 4, pp.485-488, 2011
・ 居山 拓矢・沼田 宗純・大原 美保・目黒 公郎:2011 年東北地方太平洋沖地震による生研
の観測記録,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.511-515, 2011
・ 大原 美保・目黒公郎:2011 年東北地方太平洋沖地震時における東京大学生産技術研究所
での緊急地震速報の活用状況,生産研究, Vol. 63, No. 4, pp.517-520, 2011
・ 沼田 宗純・高石 孟・目黒 公郎:多目的観測ブイで観測された 2011 年東北地方太平洋沖
地震による津波,生産研究, Vol. 63, No. 4, pp.521-524, 2011
・ 沼田 宗純・藤生 慎・井原 毅・大原 美保・目黒 公郎:2011 年東北地方太平洋沖地震に
おける津波被災地域の調査速報,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.525-533, 2011
・ 藤生 慎・下野 大樹・牧之段 浩平・井原 毅・沼田 宗純・大原 美保・目黒 公郎・高田 和
幸・ 岩倉 成志・兵藤 哲朗:2011 年東北地方太平洋沖地震における三陸鉄道の被害調査
速報,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.535-540, 2011
・ 藤生 慎・沼田 宗純・大原 美保・目黒 公郎:地震被害による建物被害認定の作業効率化
手法に関する提案と実践,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.541-546, 2011
・ 沼田 宗純・國分 瑛梨子・坂口 理紗・目黒 公郎:「効果的な災害対応に貢献する報道モ
デル」の構築に向けた 2011 年東日本大震災直後のテレビ報道の基礎的分析,生産研究, Vol.
63, No. 6, pp.547-554, 2011
・ 沼田 宗純・國分 瑛梨子・坂口 理紗・目黒 公郎:「効果的な災害対応に貢献する報道モ
デル」の構築に向けた 2011 年東日本大震災直後の WEB ニュースの基礎的分析,生産研究,
Vol. 63, No. 6, pp.555-561, 2011
・ 目黒 公郎・大原 美保・沼田 宗純・近藤 伸也:3.11net 東京(東日本大震災復興支援研究
者ネットワーク)の活動報告
その 1,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.735-737, 2011
・ 大原 美保・近藤 伸也・沼田 宗純・目黒 公郎:東日本大震災後における関連学会の活動
に関する分析,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.739-747, 2011
104
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 大原 美保・近藤 伸也・康 泰樹・沼田 宗純・目黒 公郎:東日本大震災後における社会
的課題の全体像の俯瞰,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.749-754, 2011
・ 沼田 宗純・近藤 伸也・井上 雅志・目黒 公郎:広域的応援体制確立のための地域防災計
画の比較分析,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.755-763, 2011
・ 大原 美保・目黒 公郎・田中 淳:東日本大震災前後における緊急地震速報に対する住民
意識の比較分析,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.811-816, 2011
・ 吉成 英俊・大原 美保・目黒 公郎:地域特性を考慮した緊急地震速報の効果検証と今後
の活用戦略に関する研究,生産研究, Vol. 63, No. 6, pp.817-822, 2011
・ Hidetoshi YOSHINARI, Miho OHARA, Kimiro MEGURO: A STUDY ON EXPECTED
DISTRIBUTION OF LEAD TIME BY EARTHQUAKE EARLY WARNING, Bulletin of
earthquake resistant structure research center, No.44, pp.169-180, March, 2011.
・ Muneyoshi NUMADA, Yasunori HADA, Miho OHARA, Kimiro MEGURO: PRACTICAL USE
OF IT TRIAGE SYSTEM (TRACY) TO THE UNIVERSITY OF YAMANASHI HOSPITAL,
Bulletin of earthquake resistant structure research center, No.44, pp.181-193, March, 2011.
・ Rajendra SOTI, Sathiparan NAVARATNARAJ, Muneyoshi NUMADA, Kimiro MEGURO:
DYNAMIC TESTING OF MASONARY HOUSES RETROFITTED BY BAMBOO BAND
MESHES, Bulletin of earthquake resistant structure research center, No.44, pp.159-168, March,
2011.
・ Navaratnarajah SATHIPARAN, Kotaro SAKURAI, Muneyoshi NUMADA, Kimiro MEGURO:
SHANKING TABLE TESTS ON PP-BAND RETROFITTING OF 1/4 SCALE
UNREINFORCED STONE MASONRY MODELSi, Bulletin of earthquake resistant structure
research center, No.44, pp.139-148, March, 2011.
・ Muneyoshi NUMADA, Makoto FUJIU, Tsuyoshi IHARA, Miho OHARA, Kimiro MEGURO:
Quick Report on the Great East Japan Earthquake and Giant Tsunami, Bulletin of earthquake
resistant structure research center, No.44, pp.65-86, March, 2011.
・ 目黒公郎・沼田宗純:2011 年東北地方太平洋沖地震被害速報,ICUS ニュースレター特集
号(和文),22 ページ、2011.4.
・ Kimiro MEGURO and Muneyoshi NUMADA, Quick Report on the Great East Japan Earthquake
and Giant Tsunami, ICUS Newsletter Special Issue, 24 pages, 2011.4.
・ 目黒公郎:被災地のスムーズな復旧・復興と将来の大震災への備え、大震災からの復旧、
知られざる地域建設業の闘い(米田雅子編著),pp.168-174, ぎょうせい,2012.1.
・ 目黒公郎:編集長インタビュー「目黒公郎先生にお聞きしました」,JACIC 情報 105,Vol.27,
No.1, pp.28-38,2012.3.
・ 目黒公郎:シリーズ キーマンが語る トウキョウ地図 第 6 回将来の被害、劇的に減らせ
いま耐震補強進める制度を,東建月報,2011.9.
105
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Annual Report 2011-2012
・ 目黒公郎:東日本大震災の被災地のスムーズな復旧・復興と将来の大震災への備え,建設
マネジメント技術,2011.11.
・ 目黒公郎:
「3.11―あの日から 1 年 次世代に引き継ぐ大震災の教訓」 特別インタビュー
【第 15 回】 “巨大地震連発で被害総額 100 兆円超”に耐えられる? 財政破綻しかねな
い「スケール感なき防災対策」の罠,ダイヤモンドオンライン,2012.3.21
・ 目黒公郎:
「3.11」とこれからの防災,特別インタビュー,水道産業新聞,2012.3.22
【学会発表】
(国際学会講演論文集等)
・ Kimiro
MEGURO,
INNOVATIVE
Rajendra
SOTI,
RETROFITTING
Sathiparan
METHOD
Navaratnaraj,
FOR
Muneyoshi
MASONRY
NUMADA:
STRUCTURES
BY
BAMBOO-BAND, 9th CUEE and 4th ACEE Joint Conference, 5 pages, March, 2012.
・ Muneyoshi NUMADA, Yasunori HADA, Miho OHARA, and Kimiro MEGURO: Application of
Triage System (Tracy) to the Drill of the Yamanashi University Hospital, Japan Society of Civil
Engineers (JSCE), Proceedings of the Thirteenth International Summer Symposium, pp.301-304,
26 August, 2011.
・ Rajendra Soti, Sathiparan Navaratnaraj, Muneyoshi Numada and Kimiro MEGURO: Dynamic
Testing of Masonry House Models Retrofitted by Bamboo Band Meshes, Japan Society of Civil
Engineers (JSCE), Proceedings of the Thirteenth International Summer Symposium, pp.75-78, 26
August, 2011.
・ Kawasaki, A., Henry, M., Meguro, K., Disaster information gathering behavior after the Tohoku
Earthquake Part 1: Results of Japanese respondents, Proceedings of the 10th International
Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, pp.45-56, Chiang Mai,
Thailand, Oct. 2011.
・ Henry, M., Kawasaki, A., Meguro, K., Disaster information gathering behavior after the Tohoku
Earthquake Part 2: Results of foreign respondents, Proceedings of the 10th International
Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, pp.149-161, Chiang
Mai, Thailand, Oct. 2011.
・ Miho OHARA, Kimiro MEGURO and Atsushi TANAKA: Survey on People’s Awareness of
Earthquake Early Warning before and after the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake,
Proceedings of the 10th International Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega
Cities in Asia, pp.163-171, Chiang Mai, Thailand, Oct. 2011.
・ Tomoko MATSUSHITA and Kimiro MEGURO: Building back right learning from Tohoku,
Proceedings of the 10th International Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega
Cities in Asia, pp.313-318, Chiang Mai, Thailand, Oct. 2011.
・ Kohei MAKINODAN, Miho OHARA and Kimiro MEGURO: Development of 3D viewer of flood
106
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Annual Report 2011-2012
disaster risk to enhance evacuation capacity of residents, Proceedings of the 10th International
Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, pp.389-398, Chiang
Mai, Thailand, Oct. 2011.
・ Makoto FUJIU, Miho OHARA and Kimiro MEGURO: Development of remote system for
supporting building damage assessment during large-scale earthquake disaster, Proceedings of the
10th International Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia,
pp.567-576, Chiang Mai, Thailand, Oct. 2011.
・ Muneyoshi NUMADA, Yasunori HADA, Miho OHARA, and Kimiro MEGURO: Development
and Application of triage system (TRACY), Proc. of the 10th International Symposium on New
Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, pp.597-608, Chiang Mai, Thailand, Oct.
2011.
・ Kimiro MEGURO, Shunichi KOSHIMURA, Muneyoshi NUMADA: Simple and Inexpensive
Tsunami Disaster Mitigation System for Indian Ocean Rim Regions by Combining Multi-purpose
Ocean Observation Buoys and Properly Arranged Evacuation Centers using Religious Facilities,
Proc. of the 10th International Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities
in Asia, , pp.683-690, Chiang Mai, Thailand, Oct. 2011
・ Shinya Kondo, Kimiro Meguro: Development of University SCM Model in Preparation for
Emergency, Proc. of the 10th New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, 2011.
・ Makoto FUJIU, Muneyoshi NUMADA, Miho OHARA and Kimiro MEGURO: Development of
Survey Management System for Building Damage Assessment, One Year After 2011 Great East
Japan Earthquake - International Symposium on Engineering Lessons Learned from the Giant
Earthquake-, CD-ROM, 2012.3.
・ Makoto FUJIU, Muneyoshi NUMADA, Kazuyuki TAKADA, Miho OHARA and Kimiro
MEGURO: Damage Investigation of Sanriku Railway Suffered from the 2011 off the Pacific Coast
of Tohoku Earthquake, One Year After 2011 Great East Japan Earthquake - International
Symposium on Engineering Lessons Learned from the Giant Earthquake-, CD-ROM, 2012.3.
・ Miho OHARA, Kimiro MEGURO and Atsushi TANAKA: A Comparative Study on People’s
Awareness of Earthquake Early Warning before and after the 2011 Great East Japan
Earthquake, One Year After 2011 Great East Japan Earthquake - International Symposium
on Engineering Lessons Learned from the Giant Earthquake-, CD-ROM, 2012.3.
(国内学会講演論文集等)
・ 近藤伸也・目黒公郎:防災関連学会の研究分野の動向分析に関する基礎的研究,地域安全
学会梗概集,No.28,pp.69-72,2011.
・ 近藤伸也・目黒公郎:防災関連学会における研究者の発表動向分析に関する基礎的研究,
地域安全学会梗概集,No.29,pp.47-50,2011.
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Annual Report 2011-2012
・ 藤生慎・大原美保・目黒公郎:被災地外の人材を有効活用する遠隔建物被害認定のための
アプリケーションの開発,地域安全学会梗概集,No.29,4 ページ,2011.
・ 沼田宗純・目黒公郎:「被災現場,応急救護所,病院,ヘリポート」におけるトリアージ
情報の広域的共有,平成 23 年度土木学会年次学術講演会,CD-ROM,1-408,2011.9.
・ 目黒公郎・櫻井光太郎,Navaratnarajha Sathiparan,沼田宗純:PP-band 工法による不整形石
積み組積造の耐震化に関する実験的研究,平成 23 年度土木学会年次学術講演会,
CD-ROM,
1-444,2011.9.
・ 近藤伸也・目黒公郎:防災関連学会の研究分野動向分析に関する検討,第 13 回日本災害
情報学会研究発表大会予稿集, pp.55-60, 2011.10.
・ 沼田宗純・國分瑛梨子・坂口理紗・目黒公郎:2011 年東日本大震災直後のテレビ報道の基
礎的分析-「効果的な災害対応に貢献する報道モデル」の構築に向けて-,第 13 回日本
災害情報学会研究発表大会予稿集,B-4-2,pp.219-224,2011.10.
・ 近藤伸也・沼田宗純・秦康範・野田五十樹・末富岩雄・井上雅志・目黒公郎:地方自治体
の物資搬送業務の計画と対応の実態,第 8 回日本地震工学会・大会-2011 梗概集,
pp.244-245,
2011.11.
・ 沼田宗純・國分瑛梨子・坂口理紗・目黒公郎:2011 年東日本大震災直後のテレビ報道と被
害の関係,第 8 回日本地震工学会・大会-2011 梗概集,pp. 256-257, 2011.11.
・ 藤生慎・大原美保・目黒公郎:大規模地震災害後の迅速な建物被害認定のための遠隔認定
システムの開発,第 8 回日本地震工学会・大会-2011 梗概集,CD-ROM,2 ページ、2011.11.
・ 大原美保・目黒公郎・田中淳:東日本大震災前後における緊急地震速報に対する住民意識
の変化,第 8 回日本地震工学会・大会-2011 梗概集,CD-ROM,2 ページ、2011.11.
・ 松下朋子,目黒公郎:東日本大震災被災者支援 非医療従事者としての医療活動支援から,
第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,日本自然災害学会,pp.41-42,2011.11.
・ 近藤伸也・目黒公郎:防災研究分野の時系列動向分析の試み,第 30 回日本自然災害学会
学術講演会講演概要集,pp.129-130,2011.11.
・ 藤生慎・大原美保・目黒公郎:被災地外の人材を有効活用する大震災時向け遠隔建物被害
認定システムの開発,第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,2 ページ,2011.11.
・ 牧之段浩平・大原美保・目黒公郎:水害時の効率的避難を実現するための3D 水害リスク
可視化システムの検討,第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,2 ページ,
2011.11.
・ 山本了平・大原美保・目黒公郎:地域特性を考慮した緊急地震速報の効果的活用戦略に関
する研究,第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,2 ページ,2011.11.
・ 大原美保・吉成英俊・目黒公郎:地域特性を考慮した緊急地震速報の効果的活用戦略に関
する研究,第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,2 ページ,2011.11.
・ 沼田宗純・大原美保・目黒公郎:広域的災害医療情報の収集と共有のためのトリアージシ
ステム(TRACY)の開発と静岡県立総合病院における実践的訓練の実施,第 30 回日本自
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Annual Report 2011-2012
然災害学会学術講演会講演概要集,pp.113-114,2011.11.
・ Taiki Kou, Shinya Kondo, and Kimiro Meguro: Analysis of Revised Management Plan “Standing
Orders on Disaster” in Bangladesh –What are the accomplishments and agendas of the recent
revision-, 第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,日本自然災害学会,pp.97-98,
2011.11.
・ 居山拓矢・沼田宗純・大原美保・目黒公郎:2011 年東北地方太平洋沖地震による東大生研
での地震観測記録と緊急地震速報の活用状況,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演
論文集,1-179,2011.11.
・ 櫻井俊彰・沼田宗純・目黒公郎:PP-band 工法による組積壁の耐震補強効果に関する応用
要素解析,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論文集, 3-159,2011.11.
・ Kimiro MEGURO, Rajendra SOTI, Sathiparan NAVARATNARAJ, Muneyoshi NUMADA:
DYNAMIC TESTING OF MASONARY HOUSES RETROFITTED BY BAMBOO BAND
MESHES, 第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論文集,3-187, 2011.11.
・ 藤生 慎・沼田宗純・大原美保・目黒公郎:効率的な建物被害認定のための 被害写真管理
手法の開発
‐東日本大震災後の宮城県仙台市宮城野区での実装に基づく考察‐,第 31
回土木学会地震工学研究発表会,4-119,2011.11.
・ 大原美保・近藤伸也・沼田宗純・目黒公郎:東日本大震災後における関連学会の活動状況
の俯瞰,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論文集,土木学会,4-060,2011.11.
・ 國分瑛梨子・坂口理紗・沼田宗純・目黒公郎:2011 年東日本大震災におけるテレビ局の報
道内容の比較-「効果的な災害対応に貢献する報道モデル」の構築のために-,第 31 回土木
学会地震工学研究発表会講演論文集,4-185,2011.11.
・ 石川哲也・沼田宗純・川崎昭如・目黒公郎:山陰地方豪雪災害時の Twitter ユーザによる情
報発信行動の分析,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論文集,4-186,2011.11.
・ 早乙女愛・沼田宗純・目黒公郎:2011 年東日本大震災における緊急支援物資の数量推移に
関する研究-仙台市の救援物資を事例として-,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論
文集,4-188,2011.11.
・ 沼田宗純・國分瑛梨子・目黒公郎:東日本大震災における NHK 総合で取り上げられたキ
ーワードの時系列分析,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論文集,4-198,2011.11.
・ 井原毅・藤生慎・沼田宗純・大原美保・目黒公郎:東北地方太平洋沖地震における三陸地
方の高地移転地域の調査報告,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論文集,6-160,
2011.11.
【委員会・社会活動】
・ 放送大学 客員教授
・ 中央大学理工学部 非常勤講師
・ 国土交通省建築研究所
非常勤講師
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Annual Report 2011-2012
・ 日本自然災害学会理事
・ 地域安全学会理事
・ 日本予防医学マネージメント学会理事
・ 内閣府 社会還元プロジェクト「きめ細かい災害情報を国民一人ひとりに届けるとともに
災害対策に役立つ情報通信システムの構築」タスクフォース委員
・ 経済産業省 原子力安全・保安院 「総合資源エネルギー調査会」臨時委員
・ 総務省 地域情報化アドバイザー
・ 国土交通省
「社会資本整備審議会」専門委員
・ 川崎市防災対策検討委員会委員長
・ 独立行政法人 防災科学技術研究所 「災害リスク情報プラットフォームの利活用推進に
関する委員会」委員
・ 特定非営利活動法人 防災推進機構
・ 日本学術会議 日本学術会議
副理事長
連携会員
・ 独立行政法人 日本学術振興会 「科学研究費委員会」専門委員、他
【一般講演会等】
・ 目黒公郎,今後のわが国の防災に必要と考えている大きな方向性や視点について,土木研
究所-東京大学生産技術研究所共同講演会,2012/3/27
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて~私の考える『地震防災』~,東京都水道局防災特別
講演会,2012/3/19
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえた今後の地震防災対策のあり方,大日本印刷特別講演会,
2012/3/15
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえた今後の地震防災対策のあり方,横浜市磯子区,
2012/3/12
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえた今後の地震防災対策のあり方「首都直下地震への備え
はどうあるべきか」を考える,読売新聞主催のシンポジウム,2012/3/2
・ 目黒公郎,働く人にとっての防災 東日本大震災の発生から 1 年 プレスセミナー『働くひ
とにとっての防災』,2012/2/28
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえ、今後の地震防災対策のあり方,大和ライフネクスト共
力会社会講演会,2012/2/27
・ Kimiro MEGURO, Lessons learned from recent natural disasters in Japan -Towards
implementation of safer built environment4th Symposium 2012 learning from Japan,
Urban Society's Vulnerability, Disaster Mitigation and Preparedness in Indonesia
and Japan、2012/2/21
・ Kimiro MEGURO, Total Disaster Management System considering Local Availability,
Applicability and Acceptability,NSET(ネパール地震工学会)防災講演会,2012/1/25
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Annual Report 2011-2012
・ Kimiro MEGURO, Total Disaster Management System considering Local Availability,
Applicability and Acceptability,ネパール日本大使館防災特別講演会,2012/1/24
・ 目黒公郎,防災教育の大切さとその手法について,愛知県三河地区防災講演会,2012/1/15
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて 市川市の皆さまが実施すべき防災対策とは?,市川
市防災講演会,2012/1/14
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえ、切迫する地震と君たちの将来 -巨大地震から自分と
最も大切なものを守るために-,大阪大学工学部特別講義,2012/1/13
・ 目黒公郎,確実にやってくる地震に対して 間違いだらけの地震防災対策 「学ぶべき本
当の教訓と今すべきこと」,平成23年度 医療の高度化に対応した医療人養成推進事業
(国公私立大学病院栄養士研修)プログラム基調講演,2011/12/15
・ 目黒公郎,強靭な社会インフラを実現するための情報マネジメントの考え方,第 32 回横
幹連合技術フォーラム 情報共有による社会インフラの強靭化 -システム技術の新たな
挑戦課題-,2011/12/9
・ Kimiro MEGURO, Implementation of Disaster Resilient Built Environment based on The
Lessons Learned from Recent Disasters including The 2011 East-Japan Great Earthquake
Disaster,シンガポールRISTEX会議,2011/12/7
・ 住まいの耐震について,飯田橋生協防災講演会,2011/12/1
・ 目黒公郎,地震大国の大地震頻発期に生きる皆様へ
~自分と自分の大切なものをどうや
って守るか?~,東大駒場祭公開講演会,2011/11/26
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて 越谷市の皆さまが実施すべき防災対策とは?,こし
がや市民大学講演会,2011/11/22
・ 目黒公郎,構造物の破壊,土木学会鋼構造委員会講演会,2011/11/16
・ Kimiro MEGURO, Disaster imagination,
5th UN-CECAR International Conference in
Tokyo by UNU,2011/11/15
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえた首都圏の地震防災対策のあり方,東京大学朝日新聞寄
附講座,2011/11/11
・ 目黒公郎,効果的な家具の転倒防止法,本郷消防署講演会,2011/11/10
・ 目黒公郎,防災から減災へ ,川崎市中原区防災講演会,2011/11/5
・ 目黒公郎,総合的地震防災システムについて,日本工業用水協会特別講演,2011/11/4
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえた今後のライフライン防災対策のあり方,奥村組技術セ
ミナー,2011/11/2
・ 目黒公郎,災害レジリエンスの高い社会の実現を目指して,情報学環ホームカミングデー
講演会,2011/10/29
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえた首都圏の地震防災対策のあり方,生研ホームカミング
デー講演会,2011/10/29
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて 東京都及び区市町村がすべきこと、東京都建設技術
協会,2011/10/28
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえた今後の地震防災対策のあり方,コンクリート材料学
会,2011/10/28
・ Kimiro MEGURO, Implementation of earthquake safer non-engineered masonry houses
through technological and social approaches, JST-JICA Padang Symposium, 2011/10/26
・ Kimiro MEGURO, New Tsunami Disaster Mitigation System Considering Local Conditions
of Indian Ocean Rim Region, JST-JICA Jakarta Symposium, 2011/10/25
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて 今後の地震防災対策のあり方?,土木学会特別講演
会,2011/10/25
・ Kimiro MEGURO, Lessons Learned from the 2011East-Japan Great Earthquake Disaster,
UNU Symposium, 2011/10/18
・ Kimiro MEGURO, Disaster Mitigation Systems Considering Local Availability,
Applicability and Acceptability
JSPS-NRCT セミナー「Study and research
opportunities in Japan and perspective of Thailand by Japanese social scientists
(日本への留学・研究機会の紹介と日本の社会科学者から見たタイの将来展望)」,
2011/10/15
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて 今後の地震防災対策のあり方,共研フォーラム,
2011/10/7
・ 目黒公郎,「地震大国の地震頻発期に生きる皆様へ
-生活とビジネスを守る効果的な防
災対策とは」,東京工科大学 25 周年記念講演会,2011/10/7
・ 目黒公郎,危機管理学,自治大学校講演,2011/9/26
・ 目黒公郎,災害レジリエンスの高い社会の実現を目指して,さいたま市議会防災講演会,
2011/9/21
・ 目黒公郎,東京で大地震が起きたら ~東日本大震災以降のまちづくり~,都庁セミナー,
2011/9/10
・ 目黒公郎,"東京大地震が起きた時葛飾区はどうなるか? それに対してどう備えるか?",
宅建葛飾区支部 研修会基調講演,2011/9/8
・ 目黒公郎,災害レジリエンスの高い社会の実現を目指して 効果的な防災対策を自立的に
進めていく仕組みとは,日本 PM シンポジウム基調講演,2011/9/8
・ 目黒公郎,都市の総合防災力の向上,東京都高度建設技術研究講演会,2011/9/6
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて
~生活とビジネスを守る効果的な防災対策とは~,
JX 日鉱防災講演会,2011/9/5
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて ~首都圏の皆様が学ぶべき教訓と今後の防災対策の
あり方,千代田区防災講演会,2011/9/1
112
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ Kimiro MEGURO, Lessons Learned from the 2011East-Japan Great Earthquake Disaster、
Special Lecture at the 4th International Student Seminar at AIT,2011/8/1
・ 目黒公郎,近年の地震災害を踏まえ今後の地震防災対策を考える,SPEED 研究会講演会,
2011/8/26
・ Kimiro MEGURO, Earthquake Safer Non-Engineered Houses by Technological and Social
Approaches, Japan-China joint workshop on accident prevention and disaster
mitigation policy, 2011/7/29
・ 目黒公郎,東日本大震災以降の防災まちづくり 東京直下地震で生き残れるか,アキバテ
クノクラブ オープンセミナー,2011/7/22
・ 目黒公郎,東日本大震災 この震災の持つ意味とは?,平成23年建設トップランナーフ
ォーラム -東日本大震災-復旧現場からの証言-,2011/7/15
・ 目黒公郎,東日本大震災 この震災の持つ意味とは?(私見),中央大学理工学部特別講
演会,2011/7/14
・ 目黒公郎,地震時に安全な住空間を確保するために,東京大学安全の日講演会,2011/7/5
・ 目黒公郎,東日本大震災を踏まえて 今後の地震防災対策のあり方,日本生産性本部企画
埼玉県首長会議,2011/7/2
・ 目黒公郎,今後の防災研究のあり方,文部科学省 安全・安心科学技術委員会(28 回),
2011/6/30
・ 目黒公郎,緊急地震速報の効果的な利用法について,緊急地震速報利用者協議会特別講演
会,2011/6/28
・ 目黒公郎,今後の防災対策のあり方,東京土建一般労働組合第 37 回幹部学校招待講演会,
2011/6/18
・ 目黒公郎,東日本大震災の持つ意味(私見),東京電機大学「ライフラインを中心とした
都市の防災」講演,2011/6/17
・ 目黒公郎,総合的な防災力を向上させる情報マネジメントのあり方と課題,平成 23 年度
APPLIC 講演会,2011/6/16
・ 目黒公郎,地震から生命を守るために 切迫する地震と君たちの将来 -巨大地震から自
分と最も大切なものを守るためにー,京都大学工学部特別講演会,2011/6/9
・ 目黒公郎,防災計画・マニュアルの考え方について,神戸・人と防災未来センター,2011/6/8
・ 目黒公郎,地震大国日本の地震頻発期を生き抜くために,駒場リサーチキャンパス公開,
特別講演会,2011/6/3
・ Kimiro MEGURO, Urban Earthquake Disaster Mitigation Systems, IISEE Special Lecture,
2011/5/31
・ 目黒公郎,災害のトータルマネジメント -その影響を最小化するためにー,日本薬業政
治連盟特別講演会,2011/5/25
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 目黒公郎,災害対応力の強化と現在-地震-[確実にやってくる大地震に対して 防災対
策のあるべき姿 -ハードとソフト,事前と事後、公と私- ] ,市町村アカデミー招待講
演会,2011/5/20
9.4
古村孝志教授(流動)
【論文(査読あり)】
・ Furumura, T., K. Imai, and T. Maeda, A revised tsunami source model for the 1707
Hoei earthquake and simulation of tsunami inundation of Ryujin Lake, Kyushu, Japan,
J. Geophys. Res., 116, doi:10.1029/2010JB007918, 2011.
・ Maeda, T., T. Furumura, S. Sakai, and M. Shinohara, Significant slip on shallow
portion of the fault to develop significant tsunami of the 2011 Off the Pacific Coast
of Tohoku Earthquake, Earth Planet and Science, Earth Planets Space, 63,
doi:10.5047/eps.2011.06.005, 2011.
・ Furumura, T., S. Takemura, S. Noguchi, T. Takemoto, T. Maeda, K. Iwai, and S. Padhy,
Strong Ground Motions from the 2011 Off- the Pacific- Coast- of- Tohoku, Japan
(Mw=9.0) Earthquake Obtained from a Dense Nation-wide Seismic Network, Landslides,
8, 3, 333-338, 2011.
・ Maeda, T., K. Obara, T. Furumura, and T. Saito, Interference of long-period seismic
wavefield observed by dense Hi-net array in Japan, J. Geophys. Res., 116,
doi:10.1029/2011JB008464, 2011.
・ Noguchi, S., T. Maeda, and T. Furumura, FDM simulation of an anomalous later phase
from the Japan Trench subduction zone earthquakes, Pure Appl. Geophys., accepted,
2011.
・ Utada, H., H. Shimizu, T. Ogawa, T. Maeda, T. Furumura, T. Yamamoto, N. Yamazaki,
Y. Yoshitake, and S. Nagamach, Geomagnetic field changes in response to the 2011
Off the Pacific Coast of Tohoku Earthquake and Tsunami, Earth Planet. Sci. Lett.,
10.1016/j.epsl.2011.09.036, 2011.
・ Maeda, T., and T. Furumura, FDM Simulation of Seismic Waves, Ocean Acoustic Waves,
and Tsunamis Based on Tsunami-Coupled Equations of Motion, Pure Appl. Geophys., in
press, 2011.
・ Chen, K., T. Furumura, J. Rubinstein, R.-J. Rau, Observations of Changes in Waveform
Character Induced by the 1999 Mw7.6 Chi-Chi Earthquake, Geophys. Res. Lett., in press,
2011.
・ Takemoto, T., T. Furumura, T. Saito, T. Maeda, and S. Noguchi, Spatial- and
114
CIDIR
Annual Report 2011-2012
Frequency-Dependent Properties of Site Amplification Factors in Japan Derived by
the Coda Normalization Method, Bull. Seism. Soc. Am., in press, 2012.
【論文(査読なし)
】
・ 古村孝志, 千年単位の地震史が示す東海・東南海・南海地震の大連動の確実性, 講談社日
本の論点 2012, 534-537, 2011.
・ 古村孝志, 東日本大震災から考える首都直下地震への備え, 自主防災, 223, 5, 5-9,
2011.
・ 古村孝志, 東北地方太平洋沖地震の強震動と巨大津波のメカニズム, 安全工学, 50, 6,
354-359, 2011.
・ 古村孝志, 津波発生伝播の大規模3次元シミュレーション, スーパーコンピューティン
グニュース, 13, 5, 89-98, 2011.
・ Takashi Furumura, Tsunami simulation for the great 1707 Hoei, Japan, earthquake using
the Earth Simulator, Annual Report of the Earth Simulator, 2010-2011, 95-102, 2011.
・ 古村孝志, 地球シミュレータによる地震波伝播と強震動シミュレーションと今後の展望,
計算工学, 16, 1, 14-17, 2011.
・ 古村孝志, 東北地方太平洋沖地震の巨大津波の謎を解く, 科研費ニュース, 2011, 2,
12-12, 2011.
・ 古村孝志・前田拓人・今井健太郎, 津波堆積物が語る、南海トラフ巨大地震の実像, 岩波
科学, 82, 2, 30-39, 2012.
【書籍】
・ NHK「サイエンス ZERO」取材班 、古村孝志、伊藤喜宏、辻 健, 東日本大震災を解き明
かす, NHK 出版, 2011.
【学会発表】
・ T. Furumura, K, Imai, and T. Maeda, Ground motion and tsunami simulation for the
great 1707 Hoei, Japan, Earthquake, 8CUEE Conference, 2011 Tokyo Institute of
Technology, 7-8 March, 2011.
・ T. Furumura, T. Maeda, S. Noguchi, S. Takemura, S. Padhy, T. Takemoto, and K. Iwai,
Visualization of Strong Ground Motion and Tsunami due to the Destructive Mw9.0 Off
the Pacific Coast of Tohoku Earthquake in 2011, AOGS, Taipei, 8-12 Aug., 2011.
・ T. Furumura, Reevaluation of the Nankai-Trough earthquake linkage scenario and
computer simulation of expected strong ground motion and tsunami, 2012 KANAME
International Workshop, Kochi, 28-29 Feb., 2012.
・ 古村孝志・前田拓人,東北地方太平洋沖地震から考える 南海トラフ地震「4連動」シナ
115
CIDIR
Annual Report 2011-2012
リオ , 2011 年日本地震学会秋季大会,静岡, 2011 年 11 月 13 日.
【委員会・社会活動】
・ 東北大学理学部 非常勤講師
・ 上智大学理工学部 非常勤講師
・ 国土交通省建築研究所
非常勤講師
・ 海洋研究開発機構 招聘技術研究副主幹
・ 理化学研究所計算科学研究機構
主幹客員研究員
・ 中央防災会議専門調査会 東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震津波対策専門調査会
委員
・ 内閣府 南海トラフ巨大地震震源モデル検討会委員
・ 文部科学省地震調査研究推進本部 地震調査委員会強震動評価部会地下構造モデル検討
分科会委員
・ 経済産業省総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部 地震・津波委員
・ 国土交通省運輸安全委員会
専門委員
【一般講演】
・ 古村孝志,地震津波予測の目指すものー地震動予測の高度化に向けて, 次世代スパコンが
拓く地震津波防災の未来像, 02.28, 2011.
・ 古村孝志,高密度地震観測網と大規模数値シミュレーションで見る大地震の揺れの伝播,
計測自動制御学会先端電子計測部会, 03.01, 2011.
・ 古村孝志,地震津波シミュレーションの現状と課題 東北地方太平洋沖地震発生を受けて ,
第9回先進的計算基盤システムシンポジウム, 05.22, 2011.
・ 古村孝志,東北地方太平洋沖地震の強い揺れと大津波 そして被害の成因を探る , 日本地
球惑星科学連合 2011 年度大会 特別一般講演会 , 05.22, 2011.
・ 古村孝志,スパコンで検証、 東日本大震災の強い揺れと津波・そして防災 , 東京大学五
月祭, 05.28, 2011.
・ 古村孝志,東日本大震災から考える 津波リアルタイムシミュレーションと防災 , 東洋大
学緊急シンポジウム「災害で生き延びるためのシミュレーション科学技術:現状と未来」 ,
06.10, 2011.
・
古村孝志,東北地方太平洋沖地震の強震動と大津波: 次の南海トラフ地震に向けて , 高
知工科大学 東日本大震災セミナー, 06.24, 2011.
・ 古村孝志,首都直下地震に備える ー東日本大震災の発生を受けてー , 東葛飾高校リベラ
ルアーツ講演会, 06.25, 2011.
・ 古村孝志,将来のスーパーコンピューティング技術の取り組みについて, シンポジウム:
これからのスーパーコンピューティング技術の展開を考える, 06.27, 2011.
116
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 古村孝志,東北地方太平洋沖地震の巨大津波の成因を探る , 海洋アライアンス シンポジ
ウム 「震災を科学する」, 07.14, 2011.
・ 古村孝志,第2回 次世代スパコン市民セミナー, 神戸市, 07.09, 2011.
・ 古村孝志,東北地方太平洋沖地震、そして次の震災に備える , 土木学会シンポジウム
「次世代スパコンによる防災シミュレーションを目指して」
, 09.05, 2011.
・ 古村孝志,2011 Off Pacific Coast of Tohoku Earthquake and Future Great Earthquake
along Nankai Trough , 港湾技術研究所シンポジウム, 09.10, 2011.
・ 古村孝志,東海・東南海・南海地震の連動発生に向けた総合防災研究 ー東日本大震災か
ら考える、
「4連動」シナリオ ー , 第 48 回自然災害科学総合シンポジウム, 09.14, 2011.
・ 古村孝志,東日本大震災から考える南海トラフ巨大地震への備え, 地震学夏の学校 2011,
09.23, 2011.
・ 古村孝志,東日本大震災の成因を探り、 そして次の巨大地震に備える , 計算数理工学フ
ォーラム , 09.30, 2011.
・ 古村孝志,東北地方太平洋沖地震の謎に迫る , 筑波大学学園祭講演会, 10.08, 2011.
・ 古村孝志,東日本大震災から考える、東海地震への備え , 公益社団法人日本地震学会 一
般公開セミナー, 10.15, 2011.
・ 古村孝志,東海地震の強い揺れと津波に備える ~東日本大震災の発生を受けて~ , 沼津
市防災講演会, 10.24, 2011.
・ 古村孝志,東北地方太平洋沖地震 ー大津波と強い揺れの成因を探るー , 国立大学附置研
究所・センター長会議 第一部会シンポジウム, 10.27, 2011.
・ 古村孝志,南海地震の強い揺れと津波に備える ~東日本大震災の発生を受けて~ , 高知
大学大学フェスタ 2011, 10.29, 2011.
・ 古村孝志,東日本大震災から考える、 これからの日本の地震津波防災 , 日本アクチュア
リー会 2011 年大会, 11.08, 2011.
・ 古村孝志,最近の研究から明らかになった 東海・東南海・南海地震の 連動発生の可能性
とその影響 , 東海地震防災セミナー, 11.10, 2011.
・ 古村孝志,東海・東南海・南海地震の再評価 -東日本大震災を受けて- , 2011 年 損保
災害研究フォーラム , 11.14, 2011.
・ 古村孝志,東日本大震災にから考える 巨大地震・津波への備え , 第 14 回全国消防救助
シンポジウム, 12.16, 2011.
・ 古村孝志,スパコンで再現、東日本大震災の強い揺れと津波, 春日部高校 SSH 講演会,
12.17, 2011.
・ 古村孝志,東海・東南海・南海地震の三連動と首都直下地震, 江東区古石場文化センター
講座, 1.24, 2012.
・ 古村孝志,統合研究による地震津波災害予測・軽減, SONY-慶応大学第3回シンポジウム,
1.27, 2012.
117
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 古村孝志,大規模シミュレーションで地震津波災害軽減に挑む, HPCI 戦略プログラム地
震津波課題ワークショップ, 2.27, 2012.
・ 古村孝志,東日本大震災と巨大津波, 日本化学会第92春期年会市民公開講座, 3.25, 2012.
9.5
橋元良明教授(兼任)
【著書】
・ 『日本人の情報行動 2010』(編著),東京大学出版会,2011.9.21
(執筆箇所 序 p1-3,0 章「2010 年日本人の情報行動調査」の概要 p3-9、1 章情報行動の全
般的傾向 p9-16、2 章 PC インターネット利用 p123-154,3 章若年層における情報行動 15
年間の推移 p229-257 等)
【論文】
・ 災害時における政府の情報公開―福島原発事故の事例をめぐって,『都市問題』
vol.102,September,2011,pp.10-15.
『調査情
・ テレビとネットのカニバリズムは本当か?―デジタル時代のテレビの観られ方,
報』2012 年 1-2 月号,No.504,pp.10-16(2012.1.1)
・ ネオ・デジタルネイティブの中高校生たち,『英語教育』March , 2012. Vol.60, No.13,
pp.28-30.(2012.2)
・ 便利さと人間関係,
『学鐙』春号 第 109 巻 1 号 pp.10-14.(2012.3)
・ 被災地住民の震災時情報行動と通信不安―仙台・盛岡訪問留置調査,
『東京大学大学院情
報学環 情報学研究 調査研究編』No.28,1-64(2012.3.28、中村功、関谷直也、小笠原盛
浩、山本太郎、千葉直子、関良明、高橋克巳と共著)
『東京大学大学院情報学環 情報
・ 東日本大震災における首都圏住民の震災時の情報行動,
学研究 調査研究編』No.28,65-114(2012.3.28、関谷直也、中村功、小笠原盛浩、山本太
郎、千葉直子、関良明、高橋克巳と共著)
・ Twitter 利用を中心と知る震災時の情報行動と通信不安―関東 Twitter 利用者ウェブ調査,
『東京大学大学院情報学環
情報学研究 調査研究編』No.28,115-160(2012.3.28、山本
太郎、中村功、関谷直也、小笠原盛浩、山本太郎、千葉直子、関良明、高橋克巳と共著)
・ 中学生パネル調査に基づくネット依存の因果的分析,『東京大学大学院情報学環 情報学
研究 調査研究編』No.28,161-202(2011.3.28、堀川裕介、小室広佐子、小笠原盛浩大野
志郎、天野美穂子、河井大介と共著)
【報告書】
・ 『インターネット利用に際する不安の 9 カ国グループインタビュー』=NTTとの産学連
118
CIDIR
Annual Report 2011-2012
携共同研究成果報告書,pp.100-112(共著者=小室広佐子、中村功、関谷直也、小笠原盛
浩、山本太郎、植田弘樹、高橋克巳)(2012.2)
【その他】
・ 「ことばとメディアを追いかけながら」,
『社会言語科学』,第 14 巻第 2 号巻頭言,pp.1-3
・ 「一部のシニア層がハイパーリテラシーをみにつけた!」,
『宣伝会議』2012.4.1 No.834
(電通との共同研究「デジタルシニアプロジェクト」の研究成果紹介)
【委員会・社会活動】
・ 日本社会情報学会理事 2008.3-2012.3
・ 日本社会情報学会学会誌編集委員 2008.4・ 日本子ども学会理事 2010.4・ 日本社会言語科学会監事 2011.45-・ 日本マス・コミュニケーション学会学会誌編集委員 2011.4・ 総務省情報通信白書編集委員会委員 2010.4-
【講演】
・ 橋元良明,総務省四国総合通信局・四国情報通信懇談会主催「四国情報通信懇談会総会記
念講演会」
,メディア環境の変容とネオ・デジタルネイティブの誕生(於:愛媛県松山市
道後大和屋本店)
,2011.05.26
・ 橋元良明,情報通信学会 「情報行動、この 15 年間の変化」(情報行動研究部会報告)
(於:
専修大学)
,2011.07.03
・ 橋元良明,吉田秀雄記念財団講演「メディア環境の変容」(於:電通銀座ビル)
,2011.11.28
9.6
田中秀幸教授(兼任)
【論文】
・ 田中秀幸 (2011), 「サービス特性が差異をもたらすソーシャルグラフのつくられ方」,『宣
伝会議』,no.826,pp.30-33.
・ Takagi, Soichiro and Hideyuki Tanaka (2011), "Globalization of Information Services
and Industrial Structure of Japanese Economy," the 10th International Conference of
Japan Economic Policy Association, Kuwansei Gakuin University, Nishinomiya,
Hyogo, November 19-20th, 2011 in CD.
・ 田中秀幸,井出智明,榊原理恵,佐藤訓,馬渡一浩 (2011),「広告と企業価値に関する業種別研
究」,『社会・経済システム』,no.32, pp.55-59.【査読有】
119
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 田中秀幸(2011), 「東日本大震災と日本経済」,『CIDIR Newsletter』,no.13, p.2.
・ 渡部春佳,田中秀幸 (2011),「
「市民自治」の観点からみた公設文化施設研究」,『日本社会
情報学会(JASI&JSIS)合同研究大会研究発表論文集』,pp.133-136.
・ 西尾明将,田中秀幸(2011),「雑誌『ぴあ』を通じた映画館女性割引の調査研究」,『日本社
会情報学会(JASI&JSIS)合同研究大会研究発表論文集』,pp.137-140.
・ Takagi, Soichiro, Hideyuki Tanaka, and Shigeto Sonoda (2011), "Foreign Direct
Investment in Service Sector and National Culture," 『経済政策ジャーナル』, vol.8, no.2,
pp.83-86. 【査読有】
【国際学会発表】
・ Jenjarrussakul, Bongkot, Hideyuki Tanaka and Kanta Matsuura, "Impact on
Information Security from the Great East Japan Earthquake on March 11, 2011,," the
8th Forum on "Financial Information Systems and Cybersecurity: A Public Policy
Perspective," College Park: University of Maryland, January 18, 2012.
【学会発表】
・ 堀江真弘,佐藤訓,井出智明,田中秀幸(2011), 「広告,ブランド価値及び企業価値に関する
定量的実証分析」
, 社会経済システム学会第 30 回大会, 東京:東京大学, 2011 年 10 月 29-30
日.
・ Takagi,Soichiro and Hideyuki Tanaka(2011),"Offshore Outsourcing of IT-services and
its Effect on the Productivity of Japanese Economy," 社会経済システム学会第 30 回大会,
東京:東京大学, 2011 年 10 月 29-30 日.
・ 堀江真弘,佐藤訓,井出智明,田中秀幸(2011), 「広告・ブランド価値と企業価値の関係に関
する定量的実証分析」, 第 68 回日本経済政策学会全国大会, 東京:駒澤大学,2011 年 5 月
28-29 日.
・ Takagi, Soichiro and Hideyuki Tanaka(2011), "Offshore Outsourcing of Information
Services and Employment in Japan," 第 68 回日本経済政策学会全国大会, 東京:駒澤大
学,2011 年 5 月 28-29 日.
・ 田中秀幸(2011), 「災害と情報セキュリティ:経済的側面から」, 第 22 回 ISS スクエア水
平ワークショップ, 2011 年 5 月 20 日, 横浜:情報セキュリティ大学院大学 (招待講演).
【委員会・社会活動】
・ 特定非営利活動法人横断型基幹科学技術研究団体連合理事
・ 一般社団法人社会情報学会(SSI)理事
・ 日本社会情報学会(JASI)理事
・ 社会・経済システム学会理事
120
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 日本経済政策学会評議員
・ 総務省 情報通信政策研究所 特別研究員
・ 総務省 無線 LAN ビジネス研究会 構成員
【一般講演等】
・ 田中秀幸(2011),「地域SNSの特徴とこれからの地域社会」, 第9回地域SNS全国フォ
ーラム基調講演, 2011 年 10 月 22 日, 久留米市,くるめりあ.
9.7
大原美保准教授(流動)
【論文(査読あり)】
・ 大原美保・目黒公郎・田中淳:東日本大震災前後での緊急地震速報に対する住民意識の比
較分析,日本災害情報学会誌「災害情報」,No.10, 2012.3
・ Muneyoshi Numada, Shinya Kondo, Masashi Inoue, and Kimiro Meguro: Analysis of Description
of Local Disaster Management Plan for Smooth and Effective Wide-Area Support System During
Large-Scale Disaster, Journal of Disaster Research, Vol.7, No.2 pp. 147-159, 2012.大原美保・田中
・ Yasunori Hada, Shinya Kondo, Kimiro Meguro, Miho Ohara, Shinsaku Zama, Makoto Endo, Keiji
Kobayashi, Takeyasu Suzuki, Itsuki Noda, Hiroki Shimora, Ikuo Takeuchi, Satoshi Kobayashi, and
Jumpei Arakawa: Implementation of Demonstration of Information Linkage Supposing the Tokyo
Metropolitan Near Field Earthquake Disaster, Journal of Disaster Research, Vol.7, No.2 pp.
160-172, 2012.
・ 沼田宗純・大原美保・目黒公郎:静岡県立総合病院を中心とした広域的災害医療情報の収
集と共有に向けたトリアージ訓練の実施,地域安全学会論文集,No.15,2011.11.
【書籍】
・ 大原美保:安全なすまい確保のための仕組みづくり、第 4 章 防災計画と復興計画、災害
対策全書(4)防災,減災,ぎょうせい,pp.116-119, 2011.
【論文(査読なし)】
・ 目黒公郎・大原美保・沼田宗純・近藤伸也:3.11net 東京(東日本大震災復興支援研究者ネ
ットワーク)の活動報告 その1,生産研究, Vol.63, No.6, pp. 33-36,2011.
・ 大原美保,近藤伸也,沼田宗純,目黒公郎:東日本大震災後における関連学会の活動に関
する分析-3.11net 東京(東日本大震災復興支援研究者ネットワーク)の活動報告 その2
-,生産研究, Vol.63, No.6,pp. 37-46, 2011.
・ 大原美保,近藤伸也,康泰樹,沼田宗純,目黒公郎:東日本大震災後における社会的課題
121
CIDIR
Annual Report 2011-2012
の全体像の俯瞰-3.11net 東京
(東日本大震災復興支援研究者ネットワーク)
の活動報告 そ
の3-,生産研究, Vol.63, No.6, pp. 47-52,2011.
・ 藤生慎,下野大樹,牧之段浩平,井原毅,沼田宗純,大原美保,目黒公郎,高田和幸,岩倉成志,兵藤
哲朗:2011 年東北地方太平洋沖地震における三陸鉄道の被害調査速報,生産研究,Vol. 63,
No. 4,pp.535-540,2011.
・ 藤生慎,沼田宗純,大原美保,目黒公郎:地震被害による建物被害認定の作業効率化手法に関
する提案と実践,生産研究, Vol. 63,No.4,pp.541-546,2011.
・ 沼田宗純,藤生慎,井原毅,大原美保,目黒公郎:2011 年東北地方太平洋沖地震における津波被
災地域の調査速報,生産研究,Vol. 63,No. 4,pp.525-533,2011.
・ 居山拓矢,沼田宗純,大原美保,目黒公郎:2011 年東北地方太平洋沖地震による生研の観測記
録,生産研究, Vol. 63, No.4, pp.511-515,2011.
・ 沼田宗純,大原美保,目黒公郎:「TRACY」を用いた被災現場, 応急救護所, 病院, ヘリポー
トにおけるトリアージ情報の広域的共有の取組み,生産研究, Vol. 63, No.4, pp.471-479,
2011.
・ 沼田 宗純, 大原 美保, 目黒 公郎:静岡県立総合病院におけるトリアージ訓練から得られ
たトリアージシステム「TRACY」の成果と課題,生産研究, Vol. 63, No.4, pp.481-484, 2011.
・ Hidetoshi YOSHINARI, Miho OHARA, Kimiro MEGURO: A STUDY ON EXPECTED
DISTRIBUTION OF LEAD TIME BY EARTHQUAKE EARLY WARNING, Bulletin of
earthquake resistant structure research center, No.44, pp.169-180, March, 2011.
・ Muneyoshi NUMADA, Yasunori HADA, Miho OHARA, Kimiro MEGURO: PRACTICAL USE
OF IT TRIAGE SYSTEM (TRACY) TO THE UNIVERSITY OF YAMANASHI HOSPITAL,
Bulletin of earthquake resistant structure research center, No.44, pp.181-193, March, 2011.
・ Muneyoshi NUMADA, Makoto FUJIU, Tsuyoshi IHARA, Miho OHARA, Kimiro MEGURO:
Quick Report on the Great East Japan Earthquake and Giant Tsunami, Bulletin of earthquake
resistant structure research center, No.44, pp.65-86, March, 2011.
【学会発表】
(国際学会講演論文集等)
・ Muneyoshi NUMADA, Yasunori HADA, Miho OHARA, and Kimiro MEGURO: Application of
Triage System (Tracy) to the Drill of the Yamanashi University Hospital, Japan Society of Civil
Enginnrs (JSCE), Proceedings of the Thirteenth International Summer Symposium, pp.301-304,
2011.8.
・ Muneyoshi NUMADA, Yasunori HADA, Miho OHARA, and Kimiro MEGURO: Development
and Application of triage system (TRACY), Proc. of the 10th International Symposium on New
Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, Chiang Mai, Thailand, USB, 2011.10
・ Makoto FUJIU, Miho OHARA and Kimiro MEGURO : Development of remote surveillance
122
CIDIR
Annual Report 2011-2012
system for building damage assessment during large-scale earthquake disaster , 10th International
Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, Chen Mai, Thailand,
USB, 2011.10
・ Makoto FUJIU, Miho OHARA and Kimiro MEGURO : Development of remote surveillance
system for building damage assessment during large-scale earthquake disaster , 10th International
Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, Chen Mai, Thailand,
USB, 2011.10
・ Miho OHARA, Kimiro MEGURO and Atsushi TANAKA : Survey on People’s Awareness of
Earthquake Early Warning before and after the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake,
10th International Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, Chen
Mai, Thailand, USB, 2011.10
・ Makoto FUJIU, Muneyosho NUMADA, Miho OHARA and Kimiro MEGURO:Development of
Survey Management System for Building Damage Assessment, One Year After 2011 Great East
Japan Earthquake - International Symposium on Engineering Lessons Learned from the Giant
Earthquake-, CD-ROM, 2012.3.
・ Makoto FUJIU, Muneyoshi NUMADA, kazuyuki TAKADA, Miho OHARA and Kimiro
MEGURO: Damage Investigation of Sanriku Railway Suffered from the 2011 off the Pacific Coast
of Tohoku Earthquake, One Year After 2011 Great East Japan Earthquake - International
Symposium on Engineering Lessons Learned from the Giant Earthquake-, CD-ROM, 2012.3.
・ Miho OHARA, Kimiro MEGURO and Atsushi TANAKA : A Comparative Study on People’s
Awareness of Earthquake Early Warning before and after the 2011 Great East Japan Earthquake,
One Year After 2011 Great East Japan Earthquake - International Symposium on Engineering
Lessons Learned from the Giant Earthquake-, CD-ROM, 2012.3.
(国内学会講演論文集等)
・ 大原美保,近藤伸也,沼田宗純,目黒公郎:東日本大震災後における関連学会の活動状況
の俯瞰,第 31 回土木学会地震工学研究発表会講演論文集,土木学会,4-060,2011.11.
・ 藤生 慎,沼田宗純,大原美保,目黒公郎:効率的な建物被害認定のための 被害写真管理手法
の開発 ‐東日本大震災後の宮城県仙台市宮城野区での実装に基づく考察‐,第 31 回土木
学会地震工学研究発表会,2011.11.
・ 井原毅,藤生慎,沼田宗純,大原美保,目黒公郎:東北地方太平洋沖地震における三陸地方の高
地移転地域の調査報告,第 31 回土木学会地震工学研究発表会,2011.11.
・ 居山拓矢,沼田宗純,大原美保,目黒公郎:2011 年東北地方太平洋沖地震による東大生研での
地震観測記録と緊急地震速報の活用状況,第 31 回土木学会地震工学研究発表会,2011.11.
・ 沼田宗純,大原美保,目黒公郎:広域的災害医療情報の収集と共有のためのトリアージシステ
ム(TRACY)の開発と静岡県立総合病院における実践的訓練の実施,第 30 回日本自然災
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CIDIR
Annual Report 2011-2012
害学会学術講演会講演概要集,pp.113-114,2011.11.
・ 藤生慎,大原美保,目黒公郎:被災地外の人材を有効活用する大震災時向け遠隔建物被害
認定システムの開発,第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,2011. 11.
・ 牧之段浩平,大原美保,目黒公郎:水害時の効率的避難を実現するための3D 水害リスク
可視化システムの検討,第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,2011. 11.
・ 山本了平,大原美保,目黒公郎:地域特性を考慮した緊急地震速報の効果的活用戦略に関
する研究,第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,2011. 11.
・ 大原美保,吉成英俊,目黒公郎:地域特性を考慮した緊急地震速報の効果的活用戦略に関
する研究,第 30 回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,2011. 11.
・ 藤生慎,大原美保,目黒公郎:大規模地震災害後の迅速な建物被害認定のための遠隔認定
システムの開発,日本地震工学会年次大会講演集,CD-ROM, 2011.11.
・ 大原美保,目黒公郎,田中淳:東日本大震災前後における緊急地震速報に対する住民意識の変
化,日本地震工学会年次大会講演集,CD-ROM, 2011.11.
・ 藤生慎,大原美保,目黒公郎:被災地外の人材を有効活用する遠隔建物被害認定のための
アプリケーションの開発,第 29 回地域安全学会研究発表会,201111.
【委員会・社会活動等】
・ 内閣府 東日本大震災における災害応急対策に関する検討会
・ 東京消防庁 大規模災害時における災害時要援護者の被害軽減方策に関する調査研究委
員会委員
・ 日本自然災害学会平成 23 年度学術講演会/第 31 回土木学会地震工学研究発表会 実行委
員
・ 土木学会東日本大震災報告書編纂委員会 幹事
【一般講演会等】
・ 大原美保,東日本大震災における男女共同参画の視点で見た課題,災害・復興と男女共同
参画 6.11 シンポジウム,2011.6.11
・ 大原美保,災害リスクを考慮した土地利用策および建物の耐震補強策に関する国際比較,
国立国会図書館講演会,2011.10.24
・ 大原美保,地震動と緊急地震速報,葉県教育研究会安全教育部会研修,2011.8.17
・ 大原美保,ジェンダーに配慮した災害対応の標準化に向けて,「東日本大震災とジェンダ
ー」シンポジウム,第 5 回日本性差医学・医療学会学術集会,2012.2.5
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CIDIR
9.10
Annual Report 2011-2012
地引泰人特任助教
【論文(査読あり)】
・ Jibiki, Y., Relathionship between Response, Recovery and Sustainable Development
from the viewpoint of Financial Resource Allocation, Proc. of the 10th International
Symposium on New Technologies for Urban Safety of Mega Cities in Asia, p.99, Chiang
Mai, Thailand, Oct. 2011
【学会発表(査読あり)】
・ Jibiki, Y., Tsunami Risk Perception facilitates Residents' Evacuation?, 1st
Asia-Europe Forum on Methods and Perspective of Risk Analysis, 17-18 November, 2011,
Hongkong.
・
【学会発表(査読なし)】
・ Jibiki, Y., Pelupessy, D., Sekiya, N., Tanaka, A., Disaster Warning and Evacuation
Behavior: the Case of Mt. Kelud in 2007, Indoensia-Japan Workshop on
Multi-disciplinary Hazard Reduction from Earthquakes and Volcanoes in Indonesia,
27-29 November, 2011, Jakarta.
【社会活動】
・ 成城大学 非常勤講師
9.11
前田拓人特任助教
【論文(査読あり)
】
・ Furumura, T., K. Imai, and T. Maeda, A revised tsunami source model for the 1707 Hoei
earthquake and simulation of tsunami inundation of Ryujin Lake, Kyushu, Japan, J. Geophys.
Res., 116, B02308, doi:10.1029/2010JB007918, 2011.
・ Kato, A., et al., Anomalous depth dependency of the stress field in the 2007 Noto Hanto, Japan,
earthquake: Potential involvement of a deep fluid reservoir Geophys. Res. Lett., 38, L06306,
doi:10.1029/2010GL046413.
・ Obara, K., T. Matsuzawa, S. Tanaka, T. Kimura, and T. Maeda, Migration properties of
non-volcanic tremor in Shikoku, southwest Japan, Geophys. Res. Lett., 38, L09311,
doi:10.1029/2011GL047110, 2011.
・ Furumura, T., S. Takemura, S. Noguchi, T. Takemoto, T. Maeda, K. Iwai, and S. Padhy, Strong
125
CIDIR
Annual Report 2011-2012
Ground Motions from the 2011 Off the Pacific Coast of Tohoku, Japan (Mw=9.0) Earthquake
Obtained from a Dense Nation-wide Seismic Network, Landslides, 8(3), 333-338,
doi:10.1007/s10346-011-0279-3, 2011.
・ Maeda, T., T. Furumura, S. Sakai, and M. Shinohara, Significant tsunami observed at the
ocean-bottom pressure gauges at 2011 Off the Pacific Coast of Tohoku Earthquake, Earth Planets
Space, 63(7), 803-808, doi:10.5047/eps.2011.06.005, 2011.
・ Maeda, T., K. Obara, T. Furumura, and T. Saito, Interference of long-period seismic wavefield
observed by dense Hi-net array in Japan, J. Geophys. Res., 116, B10303,
doi:10.1029/2011JB008464, 2011.
・ Utada, H., H. Shimizu, T. Ogawa, T. Maeda, T. Furumura, T. Yamamoto, N. Yamazaki, Y.
Yoshitake, and S. Nagamachi, Geomagnetic field changes in association with the 2011 Off the
Pacific Coast of Tohoku Earthquake and Tsunami, Earth, Planet. Science Lett., 311(1-2), 11-27,
doi:10.1016/j.epsl.2011.09.036, 2011.
・ 南一生・井上俊介・堤重信・前田拓人・長谷川幸弘・黒田明義・寺井優晃・横川三津夫, 「京」
コンピュータにおける疎行列とベクトル積の性能チューニングと性能評価, HPCS2012,
2012.
・ Noguchi, S., T. Maeda, and T. Furumura, FDM simulation of an anomalous later phase from the
Japan Trench subduction zone earthquakes, Pure Appl. Geophys., published online,
doi:10.1007/s00024-011-0412-1, 2011.
・ Maeda, T., and T. Furumura, FDM simulation of seismic waves, ocean acoustic waves, and
tsunamis based on tsunami-coupled equations of motion, Pure Appl. Geophys., published online,
doi:10.1007/s00024-011-0430-z, 2011.
・ Takemoto, T., T. Furumura, T. Saito, T. Maeda, and S. Noguchi, Spatioal- and
frequency-dependent properties of site amplification factors in Japan derived by the coda
normalization method, Bull. Seism. Soc. Am., in press, 2012.
・ Matsuzawa, T., K. Obara, T. Maeda, Y. Asano, and T. Saito, Love and Rayleigh wave microseisms
excited by migrating ocean swells in the North Atlantic detected in Japan, Bull. Seism. Soc. Am., in
press, 2012.
【論文(査読なし)
】
・ 古村孝志・前田拓人・今井健太郎, 津波堆積物が語る、南海トラフ巨大地震の実像, 岩波科
学, 82, 2, 30-39, 2012.
【書籍】
・ Sato, H., M. C. Fehler, and T. Maeda, Seismic wave propagation and scattering in the
heterogeneous earth, second edition, Springer, 2012.
126
CIDIR
Annual Report 2011-2012
【学会発表】
・ 前田拓人・古村孝志, 地震と津波の統合シミュレーション法の大規模並列計算, 日本地球惑
星科学連合2011年大会, 幕張, 2011年5月.
・ Maeda, T., and T. Furumura, Huge-scale compound simulation of seismic waves and tsunamis,
AOGS2011, Taipei, August 2011.
・ 前田拓人・小原一成・古村孝志・齊藤竜彦, 超稠密地震観測網Hi-netの広帯域利用—地震波
のモアレ現象—, 東京大学地震研究所共同利用研究集会 「リソスフェアの短波長不均質性
のイメージングとモニタリングに関する研究の高度化―地震発生帯の構造の時空間変化の
解明に向けて―, 東京, 2011年9月.
・ 前田拓人・古村孝志・野口科子・武村俊介・岩井一央・Shiann-Jong Lee・酒井慎一・篠原
雅尚, 2011年東北地方太平洋沖地震の強震動・海中音波・地殻変動・津波の統一的シミュレ
ーション, 日本地震学会2011年秋季大会, 静岡, 2011年10月.
・ Maeda, T., T. Furumura, S. Noguchi, S. Takemura, K. Iwai, S.-J. Lee, S. Sakai, and M. Shinohara,
A unified numerical simulation of seismic ground motion, ocean acoustics, coseismic deformations
and tsunamis of 2011 Tohoku earthquake, AGU Fall meeting 2011, San Francisco, December 2011.
【一般講演】
・ 前田拓人,地震動と津波の3次元大規模並列シミュレーション, HPCI戦略プログラム合同
研究交流会, 10.03, 2011.
・ 前田宅人,スパコンで挑む地震と津波の高精度予測と災害軽減, 京速コンピュータ「京」
を知る集い in 名古屋, 1.28, 2012.
127
CIDIR
■
Annual Report 2011-2012
資料
1.テレビ・報道一覧
田中淳センター長・教授
・ 「復旧・復興過程に向かう上での災害情報」
,視点・論点,NHK,2011 年 4 月 4 日
,クローズアップ現代,NHK,2011 年 11 月
・ 「どう避難をうながすか 変わる大津波警報」
9日
・ 「災害時 声による安否確認 携帯で新たなサービス」,ニュース7,NHK,2012 年 2 月 23
日
・「
“声をファイル送信”今後の課題は」,おはよう日本,NHK,2012 年 2 月 24 日
・ 「東日本大震災6か月「取り残される障害者」」,NHK, 2012 年 9 月 11 日
目黒公郎教授
・ 「4年で 70%…首都地震 総力検証・危ない建物は?」,Mr.サンデー,フジテレビ,2012 年
1 月 29 日
古村孝志教授(流動)
・ 「東北関東大震災 何がおこったのか?」
,サイエンス ZERO,NHK教育,2011 年 4 月 2 日
・ 「三陸海岸〝想定外の津波〟見直しを迫られる対策」,報道ステーション,テレビ朝日,2012
年4月4日
・「
「巨大化」する津波 その時、何が…」
,Nスタ,TBSテレビ,2011 年 4 月 12 日
・ 「想定外! 13 分間の揺れも ビル襲う「長周期地震動」」
,ひるおび!,TBSテレビ,2011
年 4 月 26 日
・ 「次の大地震を警戒 浜岡原発停止へ」,みのもんたの朝ズバッ!,TBSテレビ,2012 年 5
月 13 日
・ 「超巨大津波の衝撃 繰り返す超巨大津波」,震災報道スペシャル,TBSテレビ,2012 年 6
月 11 日
・ 「東北の沖合 定説覆す現象」,ニュースウォッチ9,NHK,2011 年 6 月 15 日
・ 「揺らぐ地震と津波の想定」
(シミュレーションの紹介)
,時論公論,NHK,2011 年 9 月 1
日
・ 「東日本大震災から考える、次の東海・東南海・南海地震への備え」,視点・論点,NHK,
2011 年 9 月 2 日
・「
“声をファイル送信”今後の課題は」,おはよう日本,NHK,2012 年 2 月 24 日
・ 「巨大津波の謎を探る~解き明かされる新メカニズム~」,サイエンス ZERO,NHK教育,
128
CIDIR
Annual Report 2011-2012
2011 年 9 月 10 日
・ 「〝津波犠牲者〟最大級の町 検証 女川町で何があったのか」,報道ステーション,テレビ
朝日,2011 年 10 月 19 日
・ 「三連動地震の脅威 10 分で逃げる津波対策は…」
,報道ステーション,テレビ朝日,2011
年 10 月 25 日
・ 「考・震災」,サンデーモーニング,TBSテレビ,2011 年 10 月 30 日
,ニュース7,NHK,2011 年 12 月 27 日
・ 「新想定〝強烈な揺れ 巨大で広域の津波〟」
,ニュースウォッチ9,NHK,2011 年 12 月 27 日
・ 「想定震源域 1.8 倍に」
・ 「東日本大震災と酷似 古文書が語る〝貞観津波〟」
,ザ・スクープスペシャル,テレビ朝日,
2012 年 1 月 15 日
・ 「予測できなかった超巨大地震 苦悩する地震学者たち」
,クローズアップ現代,NHK,2012
年 1 月 19 日
・ 「東京湾に津波が来たら…」
,報道特集,TBSテレビ,2012 年 1 月 28 日
・ 「全国で地震が頻発!M8クラス地震の前触れ!?」
(シミュレーション画像提供)
,ひるお
びハテナ?,TBSテレビ,2012 年 2 月 1 日
・ 「震源域 約2倍 マグニチュード 9.0 に 巨大地震想定変更のワケ・影響は!?」
,ひるおび
ハテナ?,TBSテレビ,2012 年 2 月 7 日
・ 「巨大地震・最悪のシナリオ・湾岸から迫る猛火」
(シミュレーション画像提供)
「見直され
る巨大地震・次の3連動は…」
,
報道特別番組Nスタ×NEWS23 クロス 3.11 絆スペシャル,
TBSテレビ,2012 年 3 月 11 日
・ 「続く余震と新たな活断層?最新地震情報と対策とは?」,ひるおびハテナ?,TBSテレ
ビ,2012 年 3 月 28 日
・ MEGAQUAKE・巨大地震・第1回・次の巨大地震をつかめ・人類の果てしなき闘い,
NHK,2012 年 3 月 31 日
・ MEGAQUAKE・巨大地震・第2回・KOBE・15 秒の真実・そのとき地下で何が,N
HK,2012 年 3 月 31 日
・ 「東海・東南海・南海 三連動地震「最悪のシナリオ」想定」
(シミュレーション画像提供)
,
JNNスーパーニュース,フジテレビ,2012 年 3 月 31 日
橋元良明教授(兼任)
・ 「若者とテレビ」
,TBSレビュー,TBSテレビ,2011 年 11 月 27 日
・ 「震災報道とデマ」
,上杉隆の「タイム・ライン」
,TokyoFM,2011 年 4 月 6 日
・ 「携帯をめぐるトラブル」
「なぜ車中の携帯はいらいらするか」,所さんの目がテン,日本テ
レビ,2011 年 4 月 9 日
・ ワールドビジネスサテライト(電通総研との共同研究「デジタル・シニアプロジェクト」の
研究成果紹介)
,TV 東京,2012 年 2 月 15 日
129
CIDIR
Annual Report 2011-2012
2.新聞・雑誌記事掲載一覧
総合防災情報研究センター
「死の渋滞」を繰り返すな
・「
東京なら「火の海」にのまれる危険性も」,
『AERA』
,2011
年6月6日
田中淳センター長・教授
・ 「東日本大震災 そのときのために㊤ 安否確認」
,
『産経新聞』,2011 年 5 月 2 日
・ 「提言[22] 阪神・淡路から東日本へ」,『神戸新聞』
,2011 年 5 月 18 日
・ 「防災・再点検 第1部 津波[2] 住民8割 避難せず<北海道>」,『読売新聞』
,2011 年 5
月 27 日
・ 「大震災を乗り越えよう「3.11 後の選択」 再起・復興を期して <8>」,『住宅新報』
,2011
年 5 月 31 日
・「
「死の渋滞」を繰り返すな 東京なら「火の海」にのまれる危険性も」,『AERA』,2011
年6月6日
・ 「連続インタビュー 科学者の役割と責任① パニックは起きない」,
『東京大学新聞』,2011
年 7 月 26 日
・ 「県防災・原子力学術会議 「情報伝達は」
「避難は」 津波分科会が初会合」,
『静岡新聞(夕
刊)
』
,2011 年 8 月 2 日
「18 メートル超える津波も」 専門家が独自試算<静岡>」
,
『毎日新聞』
,
・ 「浜岡原発:防波壁
2011 年 8 月 3 日
・ 「生死分ける「耐震化」8・28 県総合防災訓練③ 診断急増、県「この機 逃さず」 M9.0
東日本と東海地震 ゼロからの出発」,『静岡新聞』
,2011 年 8 月 25 日
『産経新聞』
,2011 年 9 月 2
・ 「そのときのために 知っておきたい防災知識 ㊦安否確認編」,
日
・ 「多重被災 防災力を高める③ 届かなかった避難指示」,
『日本経済新聞』
,2011 年 9 月 2
日
・ 「介護フロンティア 3・11 の教訓[1] 柔軟な避難判断 犠牲ゼロ」,
『読売新聞(夕刊)』,
2011 年 9 月 6 日
・ 「記者の目 「津波てんでんこ」の教訓 石塚孝志(東京科学環境部)」,
『毎日新聞』
,2011
年 9 月 23 日
・ 「命守る」を最優先に 山形、県防災トップセミナー 田中氏(総合防災情報研究セ)講演,
『山形新聞』
,2011 年 10 月 20 日
・ 「リスクと向き合う:3・11を経て 「火山と生きるしか」 新燃岳のふもとでは…飛ぶ噴
石、ハウスつぶす降灰」
,
『毎日新聞(大阪)』
,2011 年 12 月 30 日
・ 「リスクと向き合う 3・11を経て 新燃岳噴火に直面した人たち 4 拠点モニターで観測
130
CIDIR
Annual Report 2011-2012
監視体制は脆弱」
,
『毎日新聞』
,2011 年 12 月 30 日
・ 「リスクと向き合う 3・11を経て 「情報不十分」81% 市民、行政に不満」
,
『毎日新聞』
,
2012 年 1 月 9 日
・ 「震災時 2 メートル予想、実際は 3.78 メートル 津波警報に潮位反映 気象庁実用化へ」,
『毎
日新聞(夕刊)
』
,2012 年 3 月 2 日
・ 「危険はどこに 事前に想定
[2]グラッときたら?」,『朝日新聞』
,2012 年 3 月 8 日
鷹野澄教授
『産経新聞』,2011 年 4
・ 「社会部オンデマンド 大震災編 緊急地震速報の空振り なぜ?」,
月 24 日
・ 「巨大地震⑦ 建物の弱点 ITで診断」,
『日本経済新聞』
,2011 年 5 月 22 日
・ 「防災・減災システム構築急ぐ 監視 建物を健康診断 津波、レーダーで」,『日経産業新
聞』
,2012 年 1 月 1 日
目黒公郎教授
・ 「企業・団体トピックス 第 20 回ICUSオープンレクチャー 東京大学生産技術研究所
都市基盤安全工学国際研究センター」
,『建通新聞』
,2011 年 4 月 13 日
・ 「減災に向けた初期対応 的確な支援に必要な情報と判断力」,
『日経コンストラクション
第 518 号』
,2011 年 4 月 25 日
・ 「大震災 大量の帰宅困難者 首都の防災 見直し必至 「懸念が現実に」発想の転換必要」,
『信
濃毎日新聞』
,2011 年 4 月 27 日
・ 「東日本大震災 そのときのために㊦ 帰宅難民」
,『産経新聞』,2011 年 5 月 4 日
・ 「防災拠点化に疑問 鹿県が建設中の人工島 関係機関と連携必要」,
『南日本新聞』
,2011 年
5月5日
・ 「イメージ訓練が有効 “災害に負けない”ヘルパーを養成 幹福祉会が実践」,
『シルバー
新報』
,2011 年 6 月 3 日
・ 「Interview 未来責任果たす復興を」
,学環学府,2011 年 6 月
・ 「世田谷区 VS.東京電力 なぜ消費量出せないのか」,『AERA』,2011 年 7 月 18 日
・ 「大地震 児童は学校待機 首都圏の小学校 防災マニュアル見直し 親の「帰宅難民」想定」
,
『朝日新聞』
,2011 年 8 月 3 日
・ 「東日本復興 特報版[14] 岩手 宮城 福島 3 県の大学研究者は復興をこう見る」,
『建設通
信新聞』
,2011 年 8 月 26 日
・ 「防災特集 省庁・企業アンケート 首都機能どう守る」,『読売新聞』,2011 年 9 月 1 日
・ 「ENAA、PMAJ「PM シンポ 2011」エンジ産業を世界へ展開」,
『建設通信新聞』
,2011 年 9 月 9
日
・ 「地震多発国 建物の耐震強化進まず」,『読売新聞(夕刊)』,2011 年 10 月 24 日
131
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 「奥村組が技術セミナー・パネルディスカッション 震災復興と並行して全体の対応力強化
を」
『建通新聞』
,2011 年 11 月 9 日
・ 「土木学会・地域防災計画提案 弱い部分の底上げを」,『建設通信新聞』,2011 年 12 月 20
日
・ 「地域防災計画の「あるべき姿」 土木学会が6項目指摘」,『建通新聞』,2011 年 12 月 21
日
・ 「プラネット 構造物破壊解析ソフト 位置・方向絞り込み不要」,『日刊工業新聞』
,2011 年
12 月 22 日
・「
「M7級発生 4年以内に 70%」の衝撃 首都直下型地震 最悪のシナリオ」,『週刊朝日』
,
2012 年 2 月 10 日
・ 「消費増税している場合か? 地震学者のサバイバル術 目黒巻」,
『サンデー毎日』,2012
年 2 月 12 日
・ 「東日本大震災1年 被災の具体的想像必須」,『毎日新聞』
,2012 年 3 月 3 日
・ 「震度7を生き残る 東京の「魔の避難場所」」
,『AERA』,2012 年 3 月 5 日
・ 「論説 自治体の防災体制
地域の価値を高めたい」,『岩手日報』,2012 年 3 月 6 日
・ 「特別フォーラム「3・11 の教訓」国・地方・住民 一体で」
,『読売新聞』
,2012 年 3 月 19
日
・ 「東日本大震災 24 学会からの報告[下] 市民の意識改革で減災社会へ」,『日刊工業新聞』
,
2012 年 3 月 23 日
古村孝志教授(流動)
・ 「宮城震度6強 東北 400 万戸停電 2 人死亡、132 人けが」,
『読売新聞(夕刊)』
,2011 年
4月8日
『岩手日報』,
・ 「最大余震 短周期の揺れ特徴 家具など転倒、壁崩落 気象庁、警戒呼び掛け」,
2011 年 4 月 9 日
・ 「特集 東日本大震災 放出エネルギー 阪神の 1000 倍/岩盤の破壊 長さ 500 キロ/変形
続ける東日本全域 大津波拡大のシミュレーション」
,『朝日新聞』,2011 年 4 月 10 日
・ 「東日本大震災 浮かび上がる「建築」の課題 超高層、耐震性の検証を」,
『日経アーキテ
クチュア 第 949 号』
,2011 年 4 月 10 日
・ 「海底 55 メートルずれ、津波起こす 高さ 10 メートル以上、浸水 500 平方キロ」,
『公明新
聞』
,2011 年 4 月 11 日
・ 「鎮魂の日 余震襲う 「ドーン」山が崩れた いわき 揺れ続く中、救出活動」,
『朝日新聞』
,
2011 年 4 月 12 日
・ 「M9の謎 地震学の宿題 海溝のすべり 想定外 」
,
『朝日新聞』,2011 年 4 月 14 日
・ 「地震列島 M9が誘発 震災後、全国 16 地域で活発化 M5超、1カ月で 500 回」
,『朝日
新聞』
,2011 年 4 月 17 日
132
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 「東海 東南海 南海 3地震連動で大津波 各地で対策見直し始まる」,『読売新聞(大阪)』,
2011 年 4 月 18 日
・ 「日程 具体性無し 東電「9カ月で収束」」,
『毎日新聞』
,2011 年 4 月 18 日
,
『宮崎日日新聞』
,2011 年 4 月 21 日
・ 「くろしお」
・ 「2000 年前 高知に巨大津波か 東日本の7倍、50 センチ堆積物 M9地震の可能性」,『読
売新聞(夕刊)
』
,2011 年 4 月 25 日
・ 「今後の災害リスク 連動型地震や複合型災害への備え急げ」,
『日経コンストラクション 第
518 号』
,2011 年 4 月 25 日
・ 「土佐市に巨大津波痕跡 高知大・岡村教授ら確認 2000 年前の地層<高知>」
,
『読売新聞(大
阪)
』
,2011 年 4 月 28 日
・ 「東日本大震災:避難場所、標高6メートル以上に 宮崎市津波対策検討会が提言<宮崎>」
,
『毎日新聞』
,2011 年 4 月 28 日
・ 「南海トラフ・千島海溝沿い 並ぶ震源域 大連動の懸念」,『読売新聞』,2011 年 5 月 1 日
・ 「津波ハザードマップ見直し 宮崎市、大震災受け検討会<宮崎>」,『読売新聞(西部)』,
2011 年 5 月 1 日
・ 「シリーズ追跡 No.549 南海地震 対策はどうか②
東海、東南海と同時発生」,
『四国新聞』
,
2011 年 5 月 1 日
・ 「大津波危機 九州に警鐘 3大地震連動 近海に震源域 火山の大噴火 想定超す規模専門家
が指摘 自治体独自の対策必要」
,
『西日本新聞』,2011 年 5 月 4 日
・ 「他原発と「切り離し」 東海震源域の真上」,
『毎日新聞』,2011 年 5 月 7 日
・ 「特集ワイド 頻発する大地震 「東海 東南海 南海」3連動 足音高まる「首都直下」」,
『毎
日新聞(夕刊)
』
,2011 年 5 月 9 日
・ 「リポート 次なる地震リスク 連動型や複合災害に備えよ」,『日経ビジネス
第 1590 号』,
2011 年 5 月 9 日
・ 「こちら特報部「M8級 87%」確率突出だが 「浜岡」だけが特別なのか(上) 危険性前か
ら指摘 福島は 0.0~0.8%」
,
『東京新聞』
,2011 年 5 月 10 日
・ 「東日本大震災・衝撃連載① 住宅ジャーナリスト・細野透 「マンションが地震に強かっ
た」は誤解 地震波〝キラーパルス〟の割合が問題」,『住宅新報』,2011 年 5 月 17 日
・ 「国の津波対策待てぬ 宮崎県・宮崎市 日向灘地震に備え 被害規模、避難所見直し」,『南
日本新聞』
,2011 年 5 月 21 日
・ 「津波、想定の倍の可能性 東海・南海沖 4連動地震なら」,
『朝日新聞』
,2011 年 5 月 23
日
・ 「西日本 津波2倍試算も 南海トラフ 4連動を想定 東大地震研教授」
,
『朝日新聞(大阪)
』,
2011 年 5 月 23 日
・ 「東海・東南海・南海 東大「連動地震拡大も」」
,
『日本経済新聞』,2011 年 5 月 23 日
・ 「東日本大震災・衝撃連載② 住宅ジャーナリスト・細野透 「タワー」の課題はEV停止 揺
133
CIDIR
Annual Report 2011-2012
れの度合い、損傷は個々に違い」
,
『住宅新報』,2011 年 5 月 24 日
・ 「東海 東南海 南海地震 危険地帯 MAP」,
『女性セブン 2011 年 5 月 26 日号』,2011 年 5 月
26 日
・ 「2000 年前高知で巨大津波 堆積物を発見 M9クラスか」,『東京新聞』,2011 年 5 月 26 日
・「
「南海」でも大津波に 深さ異なる地震、連動なら 東大研究所 「東日本」調査踏まえ警鐘」,
『神戸新聞』
,2011 年 5 月 28 日
・ 「次は「4連動地震」の恐怖 東海・東南海・南海+Xの「M9」巨大地震がくる」,AER
A,2011 年 6 月 6 日
・ 「地震対策全体に波及 津波避難計画・防波堤・ビル耐震」,『朝日新聞』,2011 年 6 月 10 日
・ 「東日本大震災3カ月 猛威、巨大津波」,『河北新報』
,2011 年 6 月 11 日
・ 「美波に巨大津波痕跡 高知大教授らチーム 2000 年前地層で確認」,『徳島新聞』
,2011 年 6
月 18 日
・ 「南海地震 津波、想定2倍超も 東大地震研古村教授 可能性を指摘<高知県>」,『朝日新
聞』
,2011 年 6 月 22 日
・ 「宝永超える津波想定を 高知工科大 南海地震で古村東大教授講演 大震災の教訓生かし
て」
,高知新聞,2011 年 6 月 22 日
,2011 年 6 月 27 日
・ 「津波対策 手探り 国の被害想定見直し これから」,『朝日新聞』
・ 「津波対策 先行く自治体 「三連動」に危機感」,
『読売新聞』
,2011 年 6 月 27 日
・ 「津波対策 先行く自治体 「3連動」に危機感」,
『読売新聞(大阪)』,2011 年 6 月 27 日
・ 「クローズアップ 2011 中央防災会議調査会中間報告 自治体対策に影響」
『毎日新聞』
,
,2011
年 6 月 27 日
・ 「論説 中央防災会議報告 徹底して教訓洗い出せ」
,
『岩手日報』,2011 年 7 月 2 日
・ 「震災・原発 4連動地震の可能性は 東京大学地震研究所 古村孝志教授に聞く 大震災から
何を学び備えるか 」
,
『しんぶん赤旗』,2011 年 7 月 4 日
・ 「先端人 動画なら直感的に理解 地震・津波予測を可視化」,『日経産業新聞』
,2011 年 7 月
7日
・ 「津波 備えどこまで 避難計画策定 バラバラ 197 市町村 本社アンケート 東海、東南海、
南海地震」
,
『朝日新聞』
,2011 年 7 月 9 日
,
『神戸新聞』,
・ 「世界一スパコン「京」 津波の予測や創薬にも期待 ポーアイでセミナー」
2011 年 7 月 10 日
・ 「新しい日本へ 巨大地震どこでも可能性」,『日本経済新聞』
,2011 年 7 月 19 日
・ 「M9「常識」に死角 震源域・古文書・GPS観測」,『朝日新聞』,2011 年 8 月 1 日
・ 「なぜ、巨大地震は起きたのか? 検証・東日本大震災 津波最大 40m 400-500 年に一度の規
模」
,
『日刊工業新聞』
,2011 年 8 月 11 日
・ 「浜岡原発津波対策を検証 防波壁18メートルでも疑問 強風 砂丘のもろさ心配 津波遡
上高 試算超える恐れ」
,
『中日新聞』,2011 年 8 月 16 日
134
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 「浜岡原発津波対策を検証 防波壁18メートルでも不安 遡上高 試算超える可能性」,
『東
京新聞(夕刊)
』
, 2011 年 8 月 18 日
・ 「四国に 2000 年前 巨大津波? 高知大チーム「東日本超」地層に痕跡」,
『朝日新聞(大阪)』
,
2011 年 8 月 27 日
・ 「見直し始まる防災対策 東海・東南海・南海に加え… 東大地震研教授「4連動」地震の可
能性」
,
『信濃毎日新聞』
,2011 年 8 月 28 日
・「
「4連動」巨大地震も 西日本、想定2倍の津波」
,『四国新聞』,2011 年 8 月 29 日
・ 「防災戦略再構築急ぐ 3.11 を超えて 沖合3地震連動に備える 南関東なども警戒必要」,
『日経産業新聞』
,2011 年 8 月 31 日
・ 「防災特集 三連動地震を警戒 300〜500 年周期 今年で 304 年」,
『読売新聞』
,2011 年 9 月 2
日
・ 「2011 年から「高知 その日」へ [13] 第2部 激震を凌ぐ② 倒壊減らした「周期」」
,『高
知新聞』
,2011 年 9 月 5 日
・ 「4連動型地震を討論 松山で土木学会全国大会 高知で津波 20 メートル予測も」,『愛媛
新聞』
,2011 年 9 月 8 日
・ 「つくろう!日本 東日本大震災から 6 ヵ月 生かせるか震災経験 重要性高まる地震予測精
度」
,
『日刊工業新聞』
,2011 年 9 月 8 日
・ 「東日本大震災6カ月 巨大地震の謎は解明できたのか」,
『産経新聞』
,2011 年 9 月 11 日
・ 「東海・東南海・南海地震+浅いプレート 4連動なら津波 20 メートル 京大でシンポ 東大
防災研・古村教授報告」
,
『京都新聞』
,2011 年 9 月 15 日
・ 「生きるために 迫る巨大地震■5■ 津波上回る死者想定 揺れによる被害」,『徳島新聞』,
2011 年 9 月 16 日
・ 「日向灘地震に備える 第 1 部 想定M9③ 「3連動」70%の確率」
,
『宮崎日日新聞』,2011
年 9 月 16 日
・ 「日向灘地震に備える 第1部 想定M9④ 「大連動」で巨大津波」
,
『宮崎日日新聞』
,2011
年 9 月 17 日
・ 「検証 紀伊水害 [中] 被災の記憶「母村」で風化」
,『読売新聞(大阪)
』,2011 年 10 月 2
日
・ 「東京湾、大阪湾、伊勢湾の3大都市圏津波浸水被害をシミュレーション M9津波で東京
が水没」
,
『AERA』
,2011 年 10 月 10 日
・ 「17 世紀 千島で巨大地震か 北方領沖から道南、三陸に 1500 キロにわたり津波 北大 堆積
物の地層発見」
,東京新聞,2011 年 10 月 13 日
・ 「社説 新知見を減災に生かせ 地震学会静岡大会」
,
『静岡新聞』,2011 年 10 月 14 日
・ 「4つの地震連動→静岡に津波 15 メートル 東京湾は最大4メートル 東大地震研」,『朝日
新聞』
,2011 年 10 月 15 日
・ 「公開セミナーに 300 人 静岡 最新の研究成果を紹介」,『静岡新聞』,2011 年 10 月 16 日
135
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・ 「脱原発考 震災予測できず学会反省 物言う地震学者に 「想定見直しを」」,
『中日新聞』,
2011 年 10 月 16 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 第3部① 北海道襲った巨大津波 痕跡から連動型想定」,
『東
奥日報』
,2011 年 10 月 18 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 未来編1 巨大津波 堆積物で確認」,
『中国新聞(夕刊)』
,2011
年 10 月 24 日
・「
「東日本、とんでもない地震」沼津で防災講座 発生のメカニズム解説」,
『静岡新聞』,2011
年 10 月 26 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 未来編4 大津波 鍵握る連動地震」,
『中国新聞(夕刊)』
,2011
年 10 月 27 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 未来編1 北海道に巨大津波の痕跡 堆積物の分布地道に調
査」
,
『熊本日日新聞(夕刊)
』
,2011 年 10 月 27 日
・ 「最大級地震に備える 減災戦略 コストも重視」,
『日本経済新聞』
,2011 年 10 月 27 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 第3部① 北海道襲った巨大津波 想像絶する「連動型」
」
,
『宮崎日日新聞』
,2011 年 10 月 28 日
・ 「南海地震シンポ:避難優先の徹底を<高知>」,
『毎日新聞』,2011 年 10 月 30 日
・ 「南海地震 津波20メートル級の可能性 高知市でシンポ 専門家3人講演「先人の知恵生
かせ」
」
,
『高知新聞』
,2011 年 10 月 30 日
・ 「遺跡からの警告■11■ 未来編① 北海道東方沖の連動型地震 津波跡 高さ 15 メートル段
丘上に」
,
『信濃毎日新聞(夕刊)
』
,2011 年 10 月 31 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 未来編4 謎多い「津波地震」「3連動」と同時ならM9も」,
『熊本日々新聞(夕刊)
』
,2011 年 11 月 2 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 第3部④ 慶長地震 震源域や周期性不明」,
『宮崎日日新聞』,
2011 年 11 月 7 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 第3部④ 謎多い「揺れない地震」 南海・東海連動の鍵」,
・ 『東奥日報』
,2011 年 11 月 8 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 第3部・未来編■1■ 北海道を襲う巨大津波 大規模な海底
変動で増幅」
,
『長崎新聞』
,2011 年 11 月 22 日
・ 「遺跡からの警告■14■ 未来編④ 謎の多い津波地震 南海トラフでも想定必要」,『信濃
毎日新聞(夕刊)
』
,2011 年 11 月 28 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学 第3部・未来編①■4完■ 謎多い「揺れない地震」 南海・
東海「大連動」の鍵」
,
『長崎新聞』
,2011 年 11 月 28 日
・ 「2011 年災害研究フォーラム「地震被害予測の現状と課題」テーマに―損保料率機構―」,
『保険毎日新聞』
,2011 年 12 月 8 日
・ 「太平洋沖でM9級地震発生時 津波の高さ 想定値の 1.5 倍
2012 年 1 月 7 日
136
東大が計算」,『読売新聞』,
CIDIR
Annual Report 2011-2012
・「
【東海・東南海・南海 3連動に備えよ】国内最大級 宝永地震の謎」
,『産経新聞(大阪夕
刊)
』
,2012 年 1 月 10 日
・ 「遺跡からの警告 地震考古学3 北海道を襲う巨大津波 想像絶する連動地震」,『秋田魁新
聞』
,2012 年 2 月 7 日
・ 「マガジンレビュー 津波堆積物と南海地震 「科学」2月号 岡村眞教授(高知大)ら分析」
,
『高知新聞』
,2012 年 2 月 9 日
・ 「消費増税している場合か? 地震学者のサバイバル術 目黒巻」,
『サンデー毎日』
,2012 年
2 月 12 日
・ 「テクノトレンド「京」より 100 倍速い次世代スパコン」,
『日経産業新聞』
,2012 年 2 月 24
日
・ 「特集ワイド:
「東京湾に津波」その時… 迷わず高所に移動を」,
『毎日新聞(夕刊)』
,2012
年 2 月 28 日
・ 「災害時スパコン「京」どう活用? 神戸・理研でワークショップ 最先端の研究を報告」,
『神
戸新聞』
,2012 年 2 月 28 日
・ 「須崎港も津波 8.4 メートル越え 専門家「数字より議論を」」
,『高知新聞』
,2012 年 3 月 1
日
・ 「その時に備えて 300 年前に巨大津波」,『大分合同新聞』
,2012 年 3 月 1 日
・ 「東日本大震災1年:津波から身を守る 減災、未来への義務 堆積物、歴史を証明(その
1)
」
,
『毎日新聞』
,2012 年 3 月 3 日
・ 「ニュースが気になる 3連動地震「京」で被害予測 安全な避難先もわかる」,『読売新聞
(大阪)
』
,2012 年 3 月 6 日
橋元良明教授(兼任)
・ 「新刊新書サミング・アップ メディアと日本人―変わりゆく日常 橋元良明 著」,
『週刊東
洋経済 第 6319 号』
,2011 年 4 月 9 日
・ 「行間往来・とーくたいむ 橋元良明さん メディアと日本人 ネットで変化する生活 問われ
る知識の再構成」
,
『北海道新聞』
,2011 年 4 月 24 日
・ 「もう二度と見たくない「AC の CM」
」
,『週刊現代 5/7,5/14 合併号』,2011 年 4 月 25 日
・ 「今を読み解く 震災とソーシャルメディア(『メディアと日本人―変わりゆく日常』の紹
介)
」
,
『日本経済新聞』
,2011 年 5 月 8 日
・ 「日本人のメディア環境」
,
『聖教新聞』,2011 年 5 月 13 日
・ 「おすすめ本舗『メディアと日本人―変わりゆく日常』
(『メディアと日本人―変わりゆく日
常』の紹介)
」
,
『西日本新聞』
,2011 年 5 月 25 日
・ 「震災映像が心理的に負の影響 子供に配慮の番組編成 CS、ラジオ」,
『読売新聞(夕刊)』
,
2011 年 5 月 26 日
・ 「書評 メディアと日本人 変わりゆく日常 橋元良明著 データが覆す俗説と思い込み」,
『朝
137
CIDIR
Annual Report 2011-2012
日新聞』
,2011 年 5 月 29 日
・ 「シニアリサーチ:ネット利用の実態と促進の工夫」,
『激流 2011 年 7 月号』,2011 年 6 月 1
日
・ 「55 プラス パソコンで楽しく[1] シニア層には心強い味方」,『朝日新聞』
,2011 年 6 月 3
日
・ 「書評『メディアと日本人―変わりゆく日常』」,
『ジャーナリスト第 639 号』
,2011 年 6 月
25 日
『放送レポート 231 号(2011 年 7 月号)』
,
・ 「書評『メディアと日本人―変わりゆく日常』」,
2011 年 6 月
・ 「2011 年上半期の収穫から(
『メディアと日本人―変わりゆく日常』の紹介)」
,
『週刊読書人』
2011 年 7 月 22 日号,2011 年 7 月 22 日
・ 「地デジ化 広がる未来 故郷の母を見守り ドラマ視聴者選ぶ展開」,
『読売新聞(大阪夕刊)
』
,
2011 年 7 月 29 日
・ 「地デジ化 テレビの可能性が拡大 通信と連携し様々な機能」,
『読売新聞(夕刊)』
,2011
年 7 月 29 日
・ 「書評『メディアと日本人―変わりゆく日常』(選定図書)」,
『学校図書館』第 1844 号,2011
年8月1日
・ 「特集/シニア市場はこう攻める 台頭する!「デジタルシニア」の日常」
,
『週刊東洋経済
第 6345 号』
,64~67 頁,2011 年 9 月 3 日
・ 「気軽な書き込み、
「炎上」呼ぶ怖れも―ツイッター、ブログ 注意必要」,
『毎日新聞』
,2011
年 9 月 17 日
・ 「交流サイトやメール 高齢者、ネットでつながる」
,『日本経済新聞(夕刊)
』
,2011 年 9 月
28 日
,『読売新聞』,2011 年 10 月 10 日
・ 「耕現学 テレビ離れは進むのか」
・ 「ニュースの本棚 テレビの現在と未来 どこに向かっているのか」,
『朝日新聞』
,2011 年 11
月 27 日
・ 「特集 長寿が拓く未来 構造変化を見逃さない 課題が磨くビジネス」,
『日経ビジネス 第
1619 号』
,2011 年 12 月 5 日
・ 「災害ダイヤル 利用1割 震災当日 仙台・盛岡 400 人調査 東大など」,
『読売新聞(夕
刊)
』
,2011 年 12 月 17 日
・「
『話題』家族の風景」
,
『高知新聞(夕刊)』,2012 年 2 月 23 日
・ 「県立図書館お薦め ホンの教則本 20 ネットワーク社会とコミュニケーション お薦め本リ
スト(
『メディアと日本人―変わりゆく日常』の紹介)」,
『下野新聞』,2011 年 11 月 6 日
田中秀幸教授(兼任)
・ 「地域SNSに期待感 人が育つ機能伸ばせ 情報の編集力不可欠 掛川でワークショップ」,
138
CIDIR
Annual Report 2011-2012
『静岡新聞』
,2011 年 9 月 10 日
・ 「全国フォーラム・久留米
アンケート結果 研究発表 利用者は満足度高い」,佐賀新聞,
2011 年 11 月 13 日
大原美保准教授(流動)
・ 「災害拠点病院 耐震に課題 建物に被害 200 人転院も 本紙全国アンケート」,『読売新聞』,
5 月 16 日
『静岡新聞(夕刊)』
,2011
・ 「復興計画に女性参画を 都内でシンポ 「弱者への福祉不十分」」,
年7月4日
・ 「災害に強い街づくり模索 地域再生 震災が問う 見えてきた課題」,
『日本経済新聞』
,2011
年 7 月 26 日
・ 「地震速報活用されず 震災以降「退避」2割」,『日本経済新聞』
,2011 年 11 月 13 日
地引泰人特任助教
『読売新聞』
,2011 年 4 月 20 日
・ 「津波襲来時の住民行動 避難 危機意識がカギ」,
前田拓人特任助教
・ 「咲洲庁舎 被災想定誤り 府、追加工事へ」,
『朝日新聞(大阪)』,2011 年 5 月 14 日
・ 「巨大地震「京」で被害予測
揺れ・沈下・津波 一体で 東大システム開発」
,
『読売新聞』
,
2012 年 1 月 30 日
・ 「スパコン「京」で地震の被害最小限に」,日本計量新報,2012 年 2 月 5 日
・ 「東日本大震災1年:津波から身を守る 減災、未来への義務 堆積物、歴史を証明」,
『毎
日新聞』
,2012 年 3 月 3 日
・ 「ニュースが気になる 3連動地震「京」で被害予測
(大阪)
,2012 年 3 月 6 日
139
安全な避難先もわかる」,
『読売新聞』
CIDIR
Annual Report 2011-2012
3.CIDIR について
3.1
CIDIR の概要
【設立要旨】
総合防災情報研究センターは、東京大学の大学院情報学環、地震研究所、生産技術研究所の
連携により、情報の概念を核とした文理融合型の総合的な防災研究機関として設立された。分
野を超えた社会情報学、地震火山学、防災工学の協働により、防災情報研究における新しい地
平を切り開くとともに、東京大学の理学、工学、社会学、法学、経済学、医学など様々な分野
の防災関係研究者をネットワークし、行政、マスコミ、企業、NPO とも連携することにより、
防災に関する知の結節点として機能する新しいタイプの研究機関を目指している。
日本列島は地震学的な活動期に入っている、また地球温暖化の影響により巨大台風の発生が
増加する、と言われている。大規模な自然災害による人的経済的な被害を軽減するために、災
害危険度の判定や周知、事前の予測、災害からの避難、復旧・復興の体制作りなど「情報」の
もつ役割の重要性は高まっている。総合防災情報研究センターでは、研究活動を通じて災害に
よる被災の軽減に役立つ成果を挙げ、社会に貢献して行きたいと考えている。「情報」を核に
「減災」をめざす、これが総合防災情報研究センターのミッションである。
【研究部門】
総合防災情報研究センターには、以下の 3 部門が設置されている。
◆災害情報行動分析分野
◆地震火山総合解析分野
◆災害軽減工学分野
140
CIDIR
Annual Report 2011-2012
【センターの体制】
総合防災情報研究センターは、センタープロパーの教員、外部資金等による特任教員の他、
情報学環、地震研究所、生産技術研究所の三機関からの流動教員により構成し、外部競争的資
金、共同研究費、受託研究費、協賛企業等からの寄付金等により運営している。また、情報学
環は、大学院学際情報学府の教育課程に総合防災情報に関するプログラムを整備し、社会人・
行政・ジャーナリスト等広く社会に開かれた公開講座等による社会人育成を実践している。運
営にあたっては、上記三機関の主要メンバーにより構成される総合防災情報研究センター運営
委員会により重要事項の決定を行い、密接な連携を図っているところである。
【故廣井脩教授が残されたもの】
平成 18 年 4 月にご逝去された故廣井脩教授は、東京大学新聞研究所、社会情報研究所、そ
して情報学環と組織が改編される中で、社会心理学、情報行動論の立場から一貫して災害に関
する研究に携わり、我が国における災害情報研究の第一人者として、国の審議会やマスコミ等
でも活躍された。故廣井教授は生前、総合的な防災研究の必要性を強く訴えて、文理融合型の
センターを東京大学の中に設立する構想を有していた。総合防災情報研究センターは、そのご
遺志を踏まえ業績を引き継ぎながら研究活動を遂行している。
また、センターに故廣井教授の残された膨大な文献、資料、データを集めた「廣井文庫」を
併設し残された資料の活用を図るとともに、主要な著作等を網羅した「廣井アーカイブス」を
インターネット上で公開している。
(http://cidir-db.iii.u-tokyo.ac.jp/hiroi/index.html)
141
CIDIR
写真
Annual Report 2011-2012
廣井文庫
図 アーカイブス トップページ
142
CIDIR
Annual Report 2011-2012
CIDIR 規約集
3.2
3.2.1
総合防災情報研究センター規則
平成 19 年 10 月 12 日
教授会決定
(目的)
第 1 条 本規則は、情報学環総合防災情報センター(以下「センター」という。
)に関して必
要な事項を定めることを目的とする。
(センター長)
第 2 条 センターにセンター長を置く。
2
センター長は、情報学環の教授をもってあてる。
3
センター長は、情報学環長が任命する。
4
センター長は、センターを統括し、これを代表する。
(任期)
第 3 条 センター長の任期は、2 年とする。ただし、再任は妨げない。
2
センター長が任期途中で交代した場合の後任者の任期は、前任者の残任期間とする。
(運営委員会)
第 4 条 センターに運営委員会を置く。
2
運営委員会に関する事項は、別に定める。
(事務)
第 5 条 センターの事務は、情報学環事務部において処理する。
(補足)
第 6 条 この規則に定めるもののほか、この規則の実施について必要な事項はセンター長が定
める。
附則
1
この規則は、附則第 2 項を除き、平成 20 年 4 月 1 日から施行する。附則第 2 項は、平成
19 年 10 月 12 日から施行する。
2
センターが設置されるまでの間、第 4 条に規定する運営委員会と同等の権限を有するセン
ター準備委員会(以下「準備委員会」という)を置くとともに、準備委員会に関する事項
を別に定める。
3
この規則の施行により任命された最初のセンター長の任期は、第 3 条第 1 項の規定にかか
わらず、平成 22 年 3 月 31 日までとする。
143
CIDIR
3.2.2
Annual Report 2011-2012
情報学環総合防災情報研究センター運営委員会規則
平成 19 年 10 月 12 日
教授会決定
(目的)
)に置か
第 1 条 本規則は、情報学環総合防災情報研究センター(以下「センター」という。
れる運営委員会(以下「運営委員会」という。
)に関し、必要な事項を定めることを目的と
する。
(審議)
第 2 条 運営委員会は、センター長の諮問に応じ、センターの運営に関する重要事項を審議す
る。
(組織)
第 3 条 運営委員会は、情報学環、生産技術研究所及び地震研究所の各部局長及び各部局から
選出された委員 1 名の合計 6 名をもって組織する。
(委員長)
第 4 条 運営委員会に委員長を置く。
2
委員長は、委員の互選により選出する。
3
委員長は、運営委員会を招集し、その議長となる。
4
委員長に事故あるときは、あらかじめ委員長の指名した委員がその職務を代理する。
(代理委員)
第 5 条 委員がやむを得ない事情で運営委員会に出席できない場合には、当該委員は所属する
部局から代理委員を指名することができる。
2
代理委員は、当該運営委員会に出席し、委員と同等の職務を行うことができる。
3
前項の規定にかかわらず、委員長が運営委員会に出席できない場合には、第 4 条第 4 項の
規定に基づきあらかじ委員長の指名した委員が議長の職務を代理する。
(任期)
第 6 条 部局長以外の委員の任期は、2 年とする。ただし、再任を妨げない。
2
委員が任期途中で交代した場合の後任者の任期は、前任者の残任期間とする。
(事務)
第 7 条 運営委員会の事務は、情報学環事務部において処理する。
(補則)
第 8 条 この規則に定めるもののほか、運営委員会の運営に関し必要な事項は運営委員会の議
を経てセンター長が定める。
附則
1
この規則は、附則第 2 項を除き、平成 20 年 4 月 1 日から施行する。附則第 2 項は、平成
19 年 10 月 12 日から施行する。
2
総合防災情報研究センター規則附則第 2 項に基づき置かれたセンター準備委員会(以下「準
備委員会」という)の運営に当たっては、第 2 条から第 5 条までの規定を準用する。ただ
し、第 2 条の諮問は情報学環長が行うものとする。
3
この規則の施行により選出された委員の任期は、第 6 条第 1 項の規定にかかわらず、平成
22 年 3 月 31 日までとする。
144
CIDIR
Annual Report 2011-2012
■About CIDIR
The Center for Integrated Disaster Information Research (CIDIR) was founded in
2008 as a result of cooperation among three institutions in the University of Tokyo: the
Interfaculty Initiative in Information Studies, the Earthquake Research Institute and the
Institute of Industrial Science. Intending to open new horizons in comprehensive
information research on disaster prevention, CIDIR combines research fields such as
economics, sociology, psychology, seismology, volcanology, disaster prevention engineering,
socio-information studies and communication studies, CIDIR is creating an active disaster
prevention network of researchers at the University of Tokyo. CIDIR aims to be a new
research institute which functions as a hub for cooperation among researchers,
government, private business, mass media and NPOs.
The primary mission of CIDIR is to reduce disaster loss through the application of
information studies. The Japanese Archipelago is thought to be entering into a period of
increased seismic activity. Moreover the effects of global warming will lead to an increase
in large-scale typhoons. These changes require a new approach to disaster management
and the role of information studies is becoming highly important. Studies on disaster
assessment, advance forecasts, early warning, evacuation information and social recovery
systems are motivated in terms of reducing both human and economic loss.
■Research Fields
Research at CIDIR is divided into 3 fields:
(1) Disaster information and behavior analysis,
(2) Comprehensive analysis on earthquakes and volcanoes,
(3) Disaster mitigation engineering.
Major topics of research are as follows:
1. The management of disaster information
2. Disaster information education programs
3. Design and operation of disaster-prevention systems
4. Total understanding of expected damage due to Tokyo Inland Earthquakes
5. Development of university SCM (Service Continuity Management) models
145
CIDIR
Annual Report 2011-2012
■Organization
CIDIR is composed of faculty from the center proper, special faculty appointed by
outside funding and also faculty from other institutions. CIDIR is funded by outside grants,
joint research funding, contracted research funding, and donations from cooperating
businesses. In addition, CIDIR will start a program for training general disaster
information specialists as part of the curriculum at the Graduate School of
Interdisciplinary Information Studies. CIDIR also organizes various classes open to the
public including government officials, and journalists. The CIDIR Operation Committee is
composed of key members from the Interfaculty Initiative in Information Studies, the
Earthquake Research Institute and the Institute of Industrial Science.
■In Memoriam : Professor Osamu Hiroi
Professor Osamu Hiroi, who passed away in April 2006, was involved in the complete
range of disaster-related research based on social psychology and information and behavior
theory. With his leading role in disaster information research in Japan, he made a number
of contributions including serving on national advisory panels and mass media
appearances. Professor Hiroi strongly promoted the importance of comprehensive disaster
research, and therefore, conceived the idea of establishing a wide ranging institute. Today
CIDIR carries on his will and work.
CIDIR has established the Hiroi Library, which collects vast amounts of literature,
articles, and investigative data for the use of all those interested in disaster information
research.
146
■付録
「総合防災情報研究センター中間評価委員会」
事前資料
東京大学大学院情報学環
附属総合防災情報研究センター
平成 23 年 2 月 25 日
CIDIR
中間評価(2011.3)
目次
1.目的とミッション…………………………………………………………… P.
4
(1) 目的:情報の概念と核とした文理融合型の総合的な防災研究機関…… P.
4
(2) 5 つのミッション……………………………………………………………
P.
6
2.組織…………………………………………………………………………… P.
7
(1) 構成員………………………………………………………………………… P.
7
(2) 予算規模……………………………………………………………………… P.
7
3.CIDIR の 3 年…………………………………………………………………… P.
8
(1) 1 年目:基盤整備……………………………………………………………… P.
8
(2) 2 年目-3 年目:期待から実績へ…………………………………………… P.
9
4.総括表……………………………………………………………………………P. 12
5.ミッションごとの詳細資料……………………………………………………P. 14
(1)
災害情報の生産-伝達-受容過程の解明………………………………… P. 14
a. 災害情報調査研究アーカイブスの構築/b. 東大災害情報横断データベースの
公開……………………………………………………………………………………P. 14
c. 緊急地震速報の社会的利用策の研究…………………………………………P. 18
d. 防災情報受容促進策の提示……………………………………………………P. 22
(2) 首都直下地震災害の全体像の把握……………………………………………P. 28
(3) 大学 SCM(Service Continuity Management)モデルの開発 …………… P. 32
a. 東大の人材と資源を守る防災情報研究……………………………………… P. 32
b. 学内強震観測システムによる地震防災対策の高度化……………………… P. 34
c. 大学 SCM「東大モデル」の作成と運用 ………………………………………… P. 38
(4) 防災制度の設計と運用に関する研究…………………………………………P. 40
a. 東京大学防災研究者ネットワーク…………………………………………… P. 40
b. 耐震化普及の総合的研究……………………………………………………… P. 42
1
CIDIR
中間評価(2011.3)
(5) 災害情報教育の実施とプログラム開発………………………………………P. 44
a. 災害情報教育プログラムの実施……………………………………………… P. 44
b. ライフライン・マスコミ連携講座…………………………………………… P. 48
(6) 国際的研究連携と学会活動への寄与…………………………………………P. 50
a.国際的研究連携……………………………………………………………………P. 50
b.学会活動への寄与…………………………………………………………………P. 54
2
CIDIR
中間評価(2011.3)
3
CIDIR
中間評価(2011.3)
1.目的とミッション
(1) 目的:情報の概念を核とした文理融合型の総合的な防災研究機関
東京大学大学院情報学環附属総合防災情報研究センター(略称 CIDIR)は、故廣井脩情
報学環教授の果たされてきた学術的・社会的貢献を発展的に継承することを目的に、地震
研究所、生産技術研究所ならびに情報学環の連携により、平成 20 年 4 月 1 日に設立され
た。下表1-1に示した通り、設立要求時に掲げられたセンター設立の目的は、情報の概
念を核とした文理融合型の総合的な防災研究機関を目指すことにある。
表1-1
設立目的
分野を超えた社会情報学、地震火山学、防災工学の協働により、防災情報研究におけ
る新しい地平を切り開くとともに、東京大学の様々な分野の防災関係研究者をネットワ
ークし、行政、マスコミ、企業、NPO とも連携することにより、防災に関する知の結節
点として機能する新しいタイプの研究機関を目指す。
・「情報」を核に「減災」をめざす
日本は、地理的特徴からこれからも地震、風水害、火山など多種多様な災害に襲われる
ことは避けられない。しかも、日本列島は地震学的な活動期に入っている、あるいは地球
温暖化の影響により巨大台風の発生が増加する、との指摘もある。なかでも、予想される
首都直下地震や東南海・南海地震の被害は、国レベルに影響が波及しかねない。
大規模な自然災害による人的ならびに経済的な被害を軽減するために、災害危険度の判
定や周知、事前の予測、災害からの避難、復旧・復興の体制作りなど、「情報」のもつ役
割の重要性は高まっている。
「情報」を核に「減災」をめざす、これが総合防災情報研究センターの目的である。
・文理融合型の総合的な防災研究機関
科学技術の発展を背景に、新たな災害情報が提供されるようになってきた。しかし、現
段階の科学技術においては、災害情報には常に一定の不確実性が伴う。他方、災害の発生
は個々人から見れば頻度が少なく、災害への関心や知識には限りがある。
したがって、災害情報の有効活用には、情報の生産から伝達、受容まで、理学、工学、
人文・社会科学まですべての叡智を集め、協働することが不可欠である。
実際に、CIDIR 設立記念式典参加者の期待から見ても、表1-2に示したように広い学際的
研究や社会連携への期待と災害情報の利活用面からの発信への期待とが高い。
4
CIDIR
表1-2
中間評価(2011.3)
総合防災情報研究センター設立記念式典で寄せられた期待
人数(人) 全体(%)
1) 理学、工学、社会学、医学、経済学など多様な研究領域との連携
40
60.6
2) マスコミ、民間企業、NPO など社会との連携
38
57.6
3) 災害情報の利用についての情報発信
41
62.1
4) 防災制度についての情報発信
21
31.8
6
9.1
5) その他(以下にお書き下さい)
5) その他の回答内容:人材育成/理念に基づいた大きな研究・仕事を期待しています/国民
への啓発(情報リテラシー)/廣井先生の御遺志に則、災害現場密着型の被災者・被災地の方々
のためになる研究成果を出されることを期待しております。また、微力ながらお力添えしたい
と存じます。/文理融合型のプロジェクト、マスコミへの啓もう、防災教育への貢献/地方自
治体との連携・協力の必要性を強調したい。
このために、文理融合型研究機関を目指し、図1-1にあるように、地震研究所、生産
技術研究所、情報学環が連携して CIDIR が設立された。さらに、その成果は社会に活かさ
れて初めて意義がある。行政や企業等社会と連携することの意図がここにある。
CIDIR は、情報学環の学問横断的、流動的特質を活かして、学際的な知の結節を目指し、
活動を始めた。
避難行動・防災行動・意識向上
避難行動・防災行動・意識向上
災害時の情報理解・情報行動
災害時の情報理解・情報行動
社会的合意形成
社会的合意形成
社会的影響
社会的影響
住民・NPO
社会情報学
社会情報学
情報学環
情報学環
メディア・ライフライン
一般企業
人間
人間
防災工学
防災工学
生産技術研究所
生産技術研究所
ハードの防災対策
ハードの防災対策
構造物・都市の減災
構造物・都市の減災
・復興
・復興
都市
都市
地方自治体
地震火山学
地震火山学
地震研究所
地震研究所
自然
自然
地震現象の
地震現象の
解明・予知・予測
解明・予知・予測
東京大学
行政機関、官庁
社会基盤産業
図 1-1
CIDIR の組織と活動
5
CIDIR
中間評価(2011.3)
(2) 5 つのミッション
活動目的を達成する上で、具体的に掲げられたミッションは、以下の5つである。さらに、
表1-3に示したように、それぞれのミッション毎に研究活動テーマが設定されている。
CIDIR の研究活動は、これらの研究テーマを中心に着手されている。
表1-3
5つのミッションと研究活動テーマ
1.災害情報の生産-伝達-受容過程の解明:活用される情報の条件を提示
【研究活動テーマ】
a. 災害情報調査研究アーカイブスの構築
b. 東大災害情報横断データベースの公開
c. 緊急地震速報の社会的利用策の研究
d. 防災情報受容促進策の提示
2.首都直下地震災害の全体像の把握:物的被害から経済的影響、社会的影響へ
3.大学 SCM (Service Continuity Management)モデルの開発:大学の研究・教育活
動を継続、早期回復するために
【研究活動テーマ】
a. 東大の人材と資源を守る防災情報研究
b. 学内強震観測システムによる地震防災対策の高度化
c. 大学 SCM「東大モデル」の作成と運用
4.防災制度の設計と運用に関する研究:あるべき災害対策の具体的な提言
【研究活動テーマ】
a. 災害対策UTオープンパネル(UT Disaster Prevention Open-Panel)
b. 耐震化普及の総合的研究
5.災害情報教育の実施とプログラムの開発:災害リスク伝達手段の開発
【研究活動テーマ】
a. 災害情報教育プログラムの実施
b. ライフライン・マスコミ連携講座
以下、「5. ミッションごとの詳細資料」に、ミッション毎、研究活動テーマ毎の目的と、
3年間の実績と自己評価ならびに4年目・5年目を主とした改善方針をとりまとめた。
6
中間評価(2011.3)
CIDIR
2.組織
(1) 構成員
氏名
職位
専門
田中
淳
センター長,教授(2008.4~)
災害情報・社会心理
鷹野
澄
副センター長,教授(2008.4~)
情報地震学
目黒 公郎
教授(2010.4~)
都市防災マネジメント
橋元 良明
教授(兼任,2008.4~)
情報社会心理学
田中 秀幸
教授(兼任,2008.4~)
ネットワーク経済学
古村 孝志
教授(流動,2008.4~)
地震シミュレーション
須見徹太郎
特任教授(2007.10~2010.3)
河川工学
宮川 勇二
特任教授(2010.5~)
河川工学
大原 美保
准教授(流動,2008.5~)
防災管理工学
地引 泰人
特任助教(2010.7~)
国際関係論・人道支援
平成 20 年設立時にはポストが2つしかなく、3 部局連携のセンターとしてはポスト不足であ
った。しかし、地震研究所および生産技術研究所から流動教員が配置され、情報学環からも 2
名の兼任が参画した。さらに須見徹太郎特任教授およびその後任として宮川勇二特任教授を迎
えることができ、水害という災害の中でも重要な領域をカバーできる人材を得ることができた。
平成 22 年度からは、学内再配分ポストを得て、3 ポスト体制が整い、また特別研究経費が採
択されたことから、特任助教を採用することができた。
(2) 予算規模
(単位 千円)
年度
運営費交付金
特別研究経費
奨学寄付金
受託研究費
合計
平成 20 年度
5,000
-
4,500
37,775
47,275
平成 21 年度
5,000
-
5,500
35,079
45,579
平成 22 年度
15,000
13,150
5,500
53,680
87,330
* 平成 22 年度からの運営費交付金には、地震研究所及び生産技術研究所からの特別研究経
費の内部支援を含む。
** 受託研究費には、共同研究費を含む。
7
CIDIR
中間評価(2011.3)
3.CIDIR の 3 年
(1) 1 年目:基盤整備
平成 20 年 4 月 1 日に総合防災情報研究センター(CIDIR)は発足した。2006 年 4 月に亡くな
られた故廣井脩情報学環教授の活動を発展的に継承するため、地震研究所、生産技術研究所な
らびに情報学環の 3 部局連名で申請した教員採用可能数再配分申請が 2007 年 9 月に教授2名
で認められた。この決定を受け、2007 年 10 月 1 日に須見徹太郎特任教授が着任し、設立に向
けての準備を開始した。その一環として、平成 20 年 3 月 12 日には周知広報を兼ねて、総合防
災情報研究センター設立準備シンポジウムを開催した。
表3-1
3 月 12 日
CIDIR の 1 年目
総合防災情報研究センター設立準備シンポジウムを開催
4 月 1 日 総合防災情報研究センターが設立
6 月 1 日 大原美保准教授が新たに CIDIR メンバーに加わる。
6 月 2 日 総合防災情報研究センター設立記念式典
7 月 25 日
第 1 回 CIDIR ライフライン・マスコミ連携講座
「緊急地震速報」
8 月 1 日 CIDIR Newsletter vol.1 発行
9 月 12 日
社会情報学会・CIDIR 共催公開ワークショップ
「総合防災情報研究と事業・業務継続計画」
9 月 29 日
台湾清華大学学長ほか一行、CIDIR 訪問
10 月 25~26 日 日本災害情報学会第10回大会を開催
11 月 11 日 中国共産党中央党校の訪問団が CIDIR 訪問
11 月 22~23 日 日本災害復興学会第2回学会大会を開催
平成 20 年 4 月 1 日の設立に伴い、同日基幹教員として田中淳教授、鷹野澄教授が、地震研
究所からの流動教員として古村孝志教授が着任した。さらに、6 月 1 日に大原美保准教授が生
産技術研究から流動教員として着任し、同 2 日に総合防災情報研究センター設立記念式典を開
催した。
1 年目である平成 20 年は、活動の基礎となる活動から着手した。廣井アーカイブスを構築、
公開【ミッション(1)a】したとともに、ライフライン・マスコミ各社の支援を受けライフライ
ン・マスコミ連携講座【ミッション(5)b】を開始した。
写真1
8
ライフライン・マスコミ連携講座
中間評価(2011.3)
CIDIR
平成 20 年には、国内では岩手・宮城内陸地震が、国外では中国四川汶川地震が発生したこ
とを受け、文部科学省特別研究促進費「2008 年岩手・宮城内陸地震に関する総合調査」の「人
的被害及び災害救援に関する調査」を担当し、また四川へも現地調査(12 月)を行うとともに、
上海交通大学(6 月)での招待講演および中国共産党中央党の訪問など連携した。また、4 月
には一般向け緊急地震速報が初めて発表されたことを受け、平成 21 年度から開始予定の【ミ
ッション(1)c】を 1 年早め、認知率や対応行動に関する一連の調査を行った。
写真2
四川汶川地震
学会活動への寄与も積極的に行い、日本災害情報学会および日本災害復興学会の2つの関連
大会を実行委員会として主催した。
(2) 2 年目-3 年目:期待から実績へ
多くの期待を受け設立された CIDIR の 2 年目・3 年目は、実質的な活動に着手した。
研究とともに、大学内センターとしての大きな使命である教育活動【ミッション(5)a)】と
して、「災害情報論Ⅰ」および「災害情報論Ⅱ」を情報学環共通科目として開講した。また、
2011 年度から学部前期課程向けの全学自由研究ゼミナールを開講することとした。
表3-2
4 月~
CIDIR の2年目
「災害情報論」開講
4 月 11 日 CIDIR、日本災害情報学会シンポジウム「検証 2008『ゲリラ豪雨』災害」
7 月 3 日 中国社会復興調査団、来訪
7 月 31 日
オーストラリア国立大学地球物理学研究所 Brian Kennett 所長、来訪
9 月 15~17 日
東京大学第1回中国高級幹部日本研修プログラムに協力
10 月 1 日
田中センター長、東京大学環境安全本部防火防災部長に就任
10 月 5 日
東京大学防災研究者ネットワーク設立準備会を開催
11 月 2 日
東京大学本部防災訓練の企画・運営
12 月 18~24 日 CIDIR 定期調査の開始
3 月 31 日
須見特任教授、CIDIR 任期満了
9
CIDIR
中間評価(2011.3)
【ミッション(1)a,b】に関しては、廣井アーカイブスの改善や生研 Kobe-net 資料の公開を
進めたとともに、廣井研時代から積み重ねられてきた災害時の住民調査を継続した。たとえば、
2010 年チリ地震津波調査では、避難意図モデルから分析を試み、リスク認知に加え、自宅の危
険度や地域規範、避難コストが避難の意図を規定していることを明らかにした。
また、ライフライン・マスコミ連携講座寄付金を用いて、平成 21 年度から「CIDIR 定期調査」
と銘打った調査を開始した。これは、災害情報の利活用を高めるための基礎的なデータを時系
列で追跡調査し、学会および社会に広く提供することを目的に企画したものである。
しかし、今後は 4 年目から予定されている「防災情報受容促進策の提示」
【ミッション(1)d】
に向けて、基礎的成果の蓄積に加えて、具体的な促進策に結びつく研究テーマの設定が必要で
ある。そのために災害情報研究の全体の枠組みを描き、課題の先取りをした研究実施をする作
業を開始した。
写真3
廣井アーカイブス
【ミッション(2)】の首都直下地震災害の全体像の解明については、準備活動として東京大
学防災研究者ネットワークの立ち上げ等を行ったが、具体的な研究計画提案に基づく予算獲得
はできなかった。4 年目、5 年目の最優先課題である。災害の全体像を把握するためには、経
済学・法学等社会科学を巻き込むテーマ設定と研究体制づくりに挑戦し続けることが必要であ
るが、同時に CIDIR 内資源で実施できるプロジェクトから着実に進める方針である。
【ミッション(3)】の「大学 SCM(Service Continuity Management)モデルの開発」に関し
ては、平成 21 年度から全学の防災計画を担う東京大学環境安全本部防火防災部長に田中淳教
授が、部員に鷹野教授が就いたこともあり、予定より 1 年早い平成 21 年度から大学本部訓練
等実務面での活動を開始した。大学本部の訓練を企画・運営したことは学内的には大きな成果
であった。
10
CIDIR
中間評価(2011.3)
とりわけ大きかったのは、平成 22 年度から特別研究経費が採択されたことである。この経
費を用いて、研究面からも大学の防災対策に着手した。
写真4
本部訓練
【ミッション(4)】に関しては、3 年目から着手予定であった UT オープンパネルは実行可能
性からプロジェクト化を見合わせており、4 年目から着手予定の耐震化普及の総合的な研究に
関する準備研究を実施してきた。これらのミッションについては、
【ミッション(2)】の首都直
下地震災害の全体像の解明と関連づけたテーマ設定が必要である。
表3-3
4月1日
CIDIR の3年目
目黒教授が新たに CIDIR メンバーに加わる
5 月 12~14 日 東京大学における清華大学ウィーク「公共安全・災害応急対策に関する
国際フォーラム」(ICUS に協力)
5 月 15 日
田中・古村教授 112 回東京大学公開講座「防ぐ」で講演
5 月 16 日
宮川特任教授が新たに CIDIR メンバーに加わる
5 月 19 日
田中・目黒教授、東京大学「第 2 回中国上級幹部日本研修プログラム」にて
講義「有効な災害情報への取り組み」
7月1日
地引特任助教が新たに CIDIR メンバーに加わる
7月1日
第 1 回東京大学防災研究者ネットワーク懇談会を開催
10 月 5 日
11 月
4日
12 月 21 日
総合防災情報研究センターの今後に関する懇談会を開催
第 2 回東京大学防災研究者ネットワーク懇談会を開催
第 2 回東京大学本部防災訓練の企画・運営
12 月 21~27 日 第 2 回 CIDIR 定期調査
3 月 17 日
CIDIR 中間評価委員会
11
CIDIR
中間評価(2011.3)
4. 総括表:ミッションと自己評価
次頁以降の12-1から12-5までにミッション毎の実績と自己評価ならびに改善方針
を添付した。
12
d. 防災情報受
容促進策の提示
○緊急地震速報の受信
に関する住民調査
(2010年9月福島県沖
の地震)
○災害情報の認知度や防災意識の動向に関する
定期的調査(2009年12月、2010年12月)
○生研Kobe-net蔵書
データベースの作成
○山口県防府市土砂災
害時における住民調
査」
○2008年7月福井県美浜 ○新型インフルエンザ
町における防災無線の に関する対応と意識の
ミサイル着弾誤放送に 調査(人と防災未来セ
関する調査(人と防災 ンターとの共同調査、
未来センターとの共同 2009年)
調査、2008年8月)
○チリ地震津波時にお
ける住民調査」
○水害時の状況に応じた避難及び避難情報提供に関する研究
(2008年8月末豪雨に関する調査では、日本災害情報学会調査団に貢
献)
(受託研究、2008,2009,2010)
○首都圏大規模水害時に関する住民行動と情報戦略に関する研究
(受託研究、2008,2009,2010)
○緊急地震速報の受信
に関する住民調査
(TBSとの共同調査:
2008年4月沖縄県宮古
島沖の地震、
5月茨城県沖の地震、
6月岩手・宮城内陸地
震、9月十勝沖地震)
手・宮城内陸地震)
c. 緊急地震速 ○J-ALERTによる緊急地
報の社会的利用 震速報の受信に関する
策の研究
住民調査(2008年6月岩
項目
活動実績
H20(2008)
H21(2009)
H22(2010)
基盤整備
期待から実績へ
期待から実績へ
(1) 災害情報の生産-伝達-受容過程の解明
○廣井アーカイブスの公開(2009.4.1-)
a. 災害情報調 ○廣井アーカイブスの
(2011.2.10時点で利用カウント2,623)
査研究アーカイ 開発
ブスの構築
b. 東大災害情
○CIDIR災害情報調査
○CIDIR災害情報調査
報横断データ
アーカイブスの開発
アーカイブスの公開
(2010.4.1-)
ベースの公開
4. 総括表:ミッションと自己評価
・地震研の所有するコレクションについてもアーカイブス化
を検討する。
・Kobe-netアーカイブスおよび廣井アーカイブス:学会の
ニュースレターや文献紹介ならびに既存の研究機関のリンク
サイトへの掲載をはかり、積極的に周知をはかる。
・検索性に関しては、たとえば時間的・空間的・主体別など
のキーワード検索から資料を特定できるようにする。そのた
めには、他者に著作権がある資料に関しては、CIDIRで評価
ないしは内容紹介を添付する必要があるので、効率的な手法
を検討する必要がある。
・主要な緊急地震速報事例については、伝達システムおよび
利用技術の向上を達成するための住民調査も継続する。
・今後は、入手率を向上させる仕組みと利用技術の向上を具
体的に図る研究を深化させていく。
・特別研究経費を基盤に、機器の自動制御や伝達システムの
開発や学生に対する防災教育等大学内での有効活用を具体的
に進める。
例①観測データを利用した微地形や固有建物の増幅率の反映
例②過去の地震履歴からみた地域ごとの有効活用策の提言
例③オンサイト検知との効果的な組み合わせなど
・これまで行ってきた基礎的成果の蓄積を加える。
・速やかに全体的な研究方針、具体的な研究計画、予算確保
の目処をたてて具体的な促進策に結びつく研究テーマを設定
し研究を進めていく。
・具体的な研究テーマの設定にあたっては、災害情報研究の
全体の枠組みを描き、課題先取り型研究となるように設定す
る。
例①災害情報の受容過程と対応行動の意思決定過程に関する
社会心理学的な理論モデルの構築。
例②科学技術的精度を踏まえて、どの程度の精度でどのよう
な内容の情報を提供すれば、受け手に十分理解、活用される
か、についての研究。
・廣井アーカイブス:文献に容易にアクセスできる環境を整
備し、防災研究業界に貢献できた。
・周知とともに、検索性の改良の必要がある。
・CIDIR災害情報調査アーカイブス:逐次情報を追加更新
し、周知する必要がある。
・Kobe-net:廣井アーカイブスとあわせて、東京大学内にあ
る災害情報を横断的に検索できる環境を整備した。
・ただし、平成20年度末からの公開開始であるため、今後は
関係者に周知する必要がある。
・調査を数多く手がけることができ、学会やマスコミ、社会
教育の場を通じて情報発信をすることはできた。
・その一方で、今後は、緊急地震速報の利用技術の発掘・開
発や社会に定着させるための具体的な教育素材や仕組みを生
みだし、提言していく必要がある。
・社会に定着させるための具体的な教育素材の開発は大原
(2008)に留まっており、また緊急地震双方を活用するため
の具体的なシステムや仕組みを開発、提言していくまでには
至っていない。
・国土交通省国土技術政策総合研究所公募研究の採択を受
け、平成20年度から水害を中心に研究活動を開始した。
・しかし、現時点で全体的な研究方針、具体的な研究計画、
予算確保の目処がたっていない。
・これまで行ってきた研究も、受け手側における情報の実態
に関する分析・整理が主であり、社会心理学的・人間行動論
的な分析・評価は不十分である。
・科学技術的精度の限界について、どんな情報をどの程度の
精度で提供できるかに関する十分な把握と整理が不十分であ
る。
12-1
改善方針
自己評価
○首都直下地震による
被害像の分析
H20(2008)
基盤整備
(2) 首都直下地震災害の全体像の把握
項目
H22(2010)
期待から実績へ
自己評価
○「都市災害の減災と復興のシステム構築―災 ・これまでCIDIRメンバー個々の研究延長が主体であり、
害研究の新しい地平をめざす文理融合的研究」 CIDIRが目指す、文理融合型の「情報を核とする文理融合型
連携」体制がまだ十分生かされているとは言い難い。
・「東大防災研究者ネットワーク」:メンバーは理工学研究
者が中心であり、経済や心理学、法学、医学等の幅広い研究
者の組織化が弱い。
・「ライフライン・マスコミ連携講座」:参加機関間の情報
交換や意見交換の進展が進んだ。
・次は、企業間連携や広域応援など災害時の統合オペレー
ションなどの具体的連携へと議論を発展させる必要がある。
・そのために、想定する首都直下地震とその被害のイメージ
が機関毎に個別に大きく異なっていることが統合的議論を難
しくしている。
活動実績
H21(2009)
期待から実績へ
12-2
・これを実現するために、以下を順次進める。
①経済学、法学等の社会科学や医学等を巻き込むための統
合化テーマ設定と、研究の枠組み作りに挑戦し続ける。
②その第一歩として、防災研究者ネットワークへの参画に
向けてこれらの分野の研究者にアプローチする。
③「ライフライン・マスコミ連携講座」において、参画機
関の協力を得て最新の地震学的知見と想定される社会影響を
反映した「首都直下地震シナリオ」の共通認識を形成する。
④それに基づき、現実的かつ実現性の高い首都直下地震対
策と災害対応について検討する。
⑤首都圏在住および近隣県からの通勤通学者を対象に、首
都直下地震とその対策に関する意識調査と自治体の防災対応
の調査を実施し、首都直下地震に向けた防災意識向上のため
の効果的な手段を検討する。
⑥社会的影響力が大きい東海・東南海・南海地震等につい
ても研究対象を拡大する。
⑦長周期地震動や地震・津波等複合災害など、都市型巨大
災害を対象とした研究課題を検討する。
・各分野の研究者の連携を一層強めるとともに、自分の守備
範囲から離れた関連分野に触手を伸ばした連携研究、あるい
は研究者間の重要な隙間研究を発掘する必要がある。
・具体的なプロジェクト化を進め、予算獲得を図る。
例)①首都直下地震プロジェクト等による最新の地震学的
知見と、その社会的影響に関する工学研究の成果を取り入
れ、「首都直下地震共通モデル」の作成
例②より発生頻度の高いM6.5級(中型級)地震をターゲッ
トとする被害・社会影響予測とその対策についての検討
例③明治東京地震や大正関東地震の被害と社会影響、復興
復旧に関する資料の分析
改善方針
c. 大学SCM「東
大モデル」の作
成と運用
○IT強震計コンソー
シアムの設立
b. 学内強震観 ○地震研/情報学環/
測システムによ 駒場/柏へのIT強震計
る地震防災対策 設置
の高度化
○東京大学災害対策本
部訓練の支援(2009)
○東京大学災害対策本
部訓練の支援(2009)
活動実績
H20(2008)
H21(2009)
基盤整備
期待から実績へ
(3)大学SCM(Service Continuity Management)モデルの開発
a. 東大の人材
と資源を守る防
災情報研究
項目
・引き続き、学内キャンパス内に建物強震観測を展開する。
・これまで進めてきた研究に加えて、大地震直後のキャンパ
ス内被災状況の迅速な把握と建物被災度判定への活用研究、
長期観測による建物健全性評価(ヘルスモニタリング)手法
の開発研究、直下型地震に対応可能なオンサイト地震警報の
開発と気象庁の緊急地震速報を併用した緊急地震情報活用シ
ステムの研究開発などを実施する。
・災害時の情報受容・行動様式の調査研究、防災情報端末版
(緊急地震速報等)の開発と試験設置などの研究と連携し
て、地震防災に真に資するための学内強震観測システムのあ
るべき姿を追求する。
・本研究課題では、最終的には複数キャンパスを有する総合
大学としての特徴を踏まえた「大学のSCMモデル」の構築を
進めていく予定である。
・上記の「大学のSCMモデル」を構築する上で以下の4つの
システムから構成される「次世代型の危機管理システム」を
開発する予定である。
ⅰ)基本となる大学を対象とした過去の事故や災害の対応を
含めた事例/教訓データベース(DA-モジュール)
ⅱ)これを状況の異なったケースに当てはめて利活用した
り、構築した「大学のSCMモデル」に基づいてその効果を評
価できるようにするシミュレータ(SA-モジュール)
ⅲ)シミュレーション結果を含め、各種の情報を分かり易い
形で可視化して表示するシステム(VS-モジュール)
ⅳ)これらの3システムと利用者のインターフェイスとなる
とともに学習支援するシステム(eL -モジュール)
・「次世代型の危機管理システム」の機能を活用すること
で、「次世代型防災マニュアル」も整備する予定。このマ
ニュアルは、「既存マニュアルの性能評価」、「利用者別・
時間別・目的別、自動マニュアル編集機能」、「利用者によ
る潜在的課題の抽出と課題解決策の立案プロセスの中でマ
ニュアルを作成できる機能」、「作成したマニュアルが自己
進化していく機能」などを有している。
・当初、地震研究所の協力を得て、本郷キャンパスの3地区
で建物強震観測が試験的に実施できた。
・この試験観測により、「観測記録から地震時の各建物の揺
れの可視化」、「大地震時の建物各階の震度の予測」、「緊
急地震速報を受けて建物各階の震度を予測し適切な警報を出
す」などが可能となることが確認できた。
・IT強震計コンソーシアムを発足させ、産学連携共同研究
で、安価で高性能な強震計が実現できた。
・平成22年度から、5年間の特別研究経費「災害緊急情報を
活用した大学防災情報システムの開発」が採択され、本郷、
駒場、柏の3キャンパスの主要な建物への建物強震観測の展
開を開始した。
・特別研究経費で実施する、災害時の情報受容・行動様式の
調査研究、防災情報端末版(緊急地震速報等)の開発と試験
設置などと連携して、建物強震観測を活用した地震防災対策
の高度化研究を前進させる基盤ができた。
・平成23年度より開始する計画になっていたが、スムーズな
研究活動の展開のために、以下のような検討を行っている。
・各部局の防災訓練やその計画を通して、東京大学のサービ
スインパクト分析を行い、業務プロセスが抱えるリスクの把
握に努めている。
・損害や障害を最小限にくい止め、社会的責任を果たすため
に最低限継続すべきアクションの抽出を行っている。
○概算要求特別研究経
費「災害緊急情報を活
用した大学防災情報シ
ステムの開発」(H22~
H26)
○東京大学災害対策本
部訓練の支援(2010)
12-3
・学生・教職員への防災教育:教職員に対しては、訓練の場
を活用する。学生に対しては、災害情報端末での提供情報を
拡大し、キャンパス内に展開することを通じて、日頃から災
害情報に接触する機会を増やし、防災への関心を高める。
・学生や教職員の災害情報端末の利用実態を把握し、設置場
所や内容、表示方法を改善するとともに、理解を補うelearningシステムの概念設計に着手する。
・大学の防災体制の強化:防災体制および防災訓練に関し
て、研究面の課題を整理し、その中にCIDIRとしての課題設
定をする。
・当面、次年度以降の4年目・5年目には部局と連携した訓練
を企画する。
・本部防災立案体制に関与し、訓練や本部の活動内容の具体
化等大学の防災体制を一歩進めることに貢献した。
・その一方で、学生・教職員への防災教育に関しては、特別
研究経費の枠内で計画されている学生への災害情報の伝達シ
ステムの開発や防災教育システムについて、基礎情報の収集
段階にあり、概念設計に至っていない。
・大学の防災体制の強化についても、特別研究経費を用いた
研究と関連づけ、長期的な視野からCIDIRとして防災体制の
実務に研究面から関与するテーマ設定をしていく。
・研究面および実務面で、対外的な成果発表をしていく必要
がある。
○概算要求特別研究経
費「災害緊急情報を活
用した大学防災情報シ
ステムの開発」(H22~
H26)
○東京大学災害対策本
部訓練の支援(2010)
○概算要求特別研究経
費「災害緊急情報を活
用した大学防災情報シ
ステムの開発」(H22
~H26)
改善方針
自己評価
H22(2010)
期待から実績へ
活動実績
H20(2008)
H21(2009)
基盤整備
期待から実績へ
(4)防災制度の設計と運用に関する研究
○発足準備会の開催
a. 東京大学防
災研究者ネット
ワーク
b. 耐震化普及
の総合的研究
(UTオープンパネ
ルに代わって実
施)
項目
○基礎的調査の実施
○定例会の開催
H22(2010)
期待から実績へ
12-4
・CIDIRメンバーによってこれまでに実施してきた下記のよ
うな取り組みを踏まえ、更なる研究を進めていく。
(1)耐震補強が進展していない課題の調査
・耐震補強が進展していない課題を明らかにするために、各
種のアンケート調査を発展・継続させる。
(2)耐震補強を推進するための技術的な課題に関する研究
・技術的な課題の中では、耐震技術以上に、補強前後の耐震
性能の変化や建て替えの目安として建物の耐震性を評価する
簡便で精度の高い診断法が求められていることを踏まえ、図
面に頼らず、屋根裏や床下までの細部にわたる詳細な調査を
必要としない方法で、しかも住宅の使われ方による違いなど
も考慮できる方法を検討する。
(3)耐震補強を推進するための制度設計に関しての研究
・耐震補強を推進する社会制度としてのインセンティブ制度
として、老朽化したり脆弱化した建物の建て替えや耐震補強
にメリットが生まれる社会制度を設計し、その効果を評価す
る。
(4)合理的とは思えない判断も考慮した検討
・上記の(1)~(3)は耐震補強を取り巻く関係者が、技術
的・経済的に合理的な判断に基づいて耐震補強に取り組むこ
とを前提にしている。しかし人間は一見すると合理的な判断
とは考えにくい行動をとるので、今後は心理学的な要素も考
慮した上で、耐震改修や建て替えを推進する環境整備のあり
方を探る。
・平成22年度の成果によって、これまでCIDIRが認知してい
なかった学内の大勢の防災研究者の存在が判明したので、今
後は研究分野のバランスを考えた上で研究者の対象を拡大し
て、「東京大学防災研究者ネットワーク検討会(仮称)」を継
続して開催していく。
・「UT-DiResDB」への当事者によるデータ(将来構想)入力
を依頼し、「UT-DiResDB」の拡充に努める。
・データベース抽出の鍵になるキーワード(現在は防災辞典
からの約2,700語)を拡充する。
・CIDIRが別途検討を進めている防災情報の課題整理結果
(災害の種類別、対策期別、災害情報の創造や収集、加工や
処理、伝達や配信、利用や管理にかかわる防災情報の課題整
理)と合わせた運用を展開していく。
・学内に分散する防災研究者とその研究分野を俯瞰するデー
タベースの基本設計を確定した。
・初期データベースを構築することで、従来にはないユニー
クな「防災研究者ネットワークデータベース」が構築可能な
ことがわかった。
・平成23年度より開始する計画になっていたが、スムーズな
研究活動の展開のために、以下のような検討を行っている。
①耐震補強が進展していない課題を明らかにするための各種
のアンケート調査
②建物の耐震性を評価する簡便で精度の高い診断法の開発
③耐震補強を推進する社会制度としてのインセンティブ制度
の提案
改善方針
自己評価
(2008 : 4回 )
(2009 : 7回)
○連携講座の開催
(2010 : 10回)
b. 学会活動へ
の寄与
a-3 地震研との
連携
a-2 生産研との
連携
大学地球物理学研究所 Chiung-wen Hsu氏
Brian Kennett所長
(2010年6月)
(2009年7月)
○日本災害情報学会
「2008年8月末豪雨等
調査団」およびシンポ
○日本災害復興学会第2 ジウム
回大会
○日本災害情報学会第
10回学会大会
ラバード校等との共同研
究
○インド工科大学ハイデ
○「インドネシアにおける地震火山の総合防災策」
○東海・東南海・南海地震の連動性評価研究プロジェクト
○東京大学中国上級高級幹部日本研修プログラ
ム
○清華大学シンポジウム
○“Symposium on
○”Global
Communication Forum, Emergency Response
and Disaster
2nd in Shanghai”
Recovery”
○台湾清華大学学長ほ
か(2008年9月)
(2008年11月)
(6)国際的研究連携と学会活動への寄与
a. 国際的研究
連携
○中国共産党中央党
○オーストラリア国立 ○国立政治大学
a-1 CIDIR
b. ライフライ
ン・マスコミ連
携講座
・担当者が第3世代を迎える4年目・5年目では、現在の活動
を確実に継続させていくことが最重点であり、奨学寄付金の
維持・拡大に努める。
・そのために、各社のニーズを汲みあげるとともに、連携講
座を通して具体的な成果を生み出すための運営を検討する。
例)首都直下地震に備えた早期復旧戦略の策定
各社横断的な情報共有に向けての訓練の実施など
・本講座を契機に、「実際の災害・事故時に対応や復旧見通
しなど相互の連絡が取りやすくなった」、「訓練の実施内容
等他社の事例が参考となった」など、情報共有および相互関
係の確立の基盤として機能することができた。
・ライフライン及びマスコミ各社の防災体制及び災害時の東
京大学各キャンパスへの復旧戦略等、東京大学の防災対策を
進める上で重要な情報を得ることもできた。
・今後は、現在の情報共有から実務的な検討を深めていく場
としての機能も指向すべきであろう。
・社員の防災教育の一環を担う活動の面では、単発的であ
り、定常的あるいは組織的な連携を取ってきていない。
12-5
・研究科横断型プログラムへ展開する検討も継続する。
・将来社会の様々な分野で活躍する学生諸君に、防災・減災
への関心を持ってもらうこと目的に、教養学部の1・2年生
を対象とした一般教養の教育プログラムである「全学自由研
究ゼミナール」を平成23年度から開講する。
・平成21年度と比べて、平成22年は、受講者が少なく、また
CIDIRの教員の指導学生が多かった。
・情報学環としては、より社会科学的なアプローチを拡大し
た講義にすることが必要と考えられる。
・学内の研究科を超えた、研究科横断型プログラムへの展開
にすることも検討したが、他研究科との調整や関連開講科目
の強化など課題が多く、実現の目処を付けられていない。
活動実績
自己評価
改善方針
H20(2008)
H21(2009)
H22(2010)
基盤整備
期待から実績へ
期待から実績へ
(5)災害情報教育の実施とプログラム開発
○「災害情報論Ⅰ」(夏学期)・「災害情報論 ・講義と参加者による討議を交えた授業を展開した。
・受講者増をはかるために、情報学環に所属する文系の院生
a. 災害情報教
Ⅱ」(冬学期)の実施 (2009~ )
・履修者は、情報学環の大学院生以外に、工学系、新領域な 向けに、社会心理学研究やコミュニケーション研究に関連す
育プログラムの
どから大学院生ならびに地震研等の研究員も聴講した。
る授業のコマを充実する。
実施
項目
CIDIR
中間評価(2011.3)
13
CIDIR
中間評価(2011.3)
5. ミッションごとの詳細資料
(1) 災害情報の生産‐伝達‐受容過程の解明‐「災害情報マネジメントの研究」
(1)a 災害情報調査研究アーカイブスの構築
(1)b 東大災害情報横断データベースの公開
【目的】
災害に関する故廣井脩研究室の数十年に及ぶ現地調査の蓄積をデジタル・アーカイブ化し、
有効活用を図る。
また、生産技術研究所の「Kobe-net」や地震研究所の都司コレクションなど、学内のその
他の災害情報との横断的なデータベースを構築し、公開する。
【実績】
平成 20 年度に、廣井アーカイブスの開発を行った。本ウェブサイトは、平成 18 年 4 月に
逝去した故廣井脩教授が収集された膨大な災害に関する文献と調査・研究資料(廣井文庫)、
廣井先生ご自身が執筆された論文や記事・談話、廣井教授も中核の一人であり多くの研究者
が携わってきた東京大学大学院情報学環「災害と情報」研究会(旧新聞研究所・旧社会情報
研究所「災害と情報」研究会)の調査研究報告書をまとめたデジタルアーカイブスである。
平成 21 年 4 月からアーカイブスの一般公開を開始した。
URL:http://cidir-db.iii.u-tokyo.ac.jp/hiroi/index.html
図1はトップページである。左側のメニューボタンから、これらの資料の閲覧・検索がで
きる。調査・研究資料については、図 2 に示す通り、地図上から調査対象地域をクリックす
ることで調査の概要や方法、集計結果データ等の詳細情報を閲覧することもできる。また、
報告書リスト、論文・雑誌記事、収集された膨大な資料のリストは、タイトル・年代等によ
り検索できるページである。開発のプロセスについては、下記の論文にとりまとめた。2011
年 2 月 10 日現在でのカウント数は 2,623 件である。
大原美保・関谷直也・地引泰人・須見徹太郎・古村孝志・鷹野澄・田中淳:廣井アーカイブス
の開発研究、情報学研究調査研究編、No.26, pp.81-90, 東京大学大学院情報学環、2010.03
図1
14
廣井アーカイブス トップページ
CIDIR
中間評価(2011.3)
図 2 調査・研究を地図から検索するページ
図 3 報告書リストを検索するページ
平成 21 年度には、CIDIR が実施した調査研究成果を紹介する「CIDIR 災害情報調査アー
カイブス」のプロトタイプも構築した。廣井アーカイブスと同様に、地図上から調査対象地
域をクリックすることで、調査概要や方法、結果等を参照できる他、調査研究リストを参照
できる。URL:http://cidir-db.iii.u-tokyo.ac.jp/cidir/index.html
図 4 CIDIR 災害情報調査アーカイブス
図 5 調査研究を参照するページ
15
CIDIR
中間評価(2011.3)
「Kobe-net」は、東京大学生産技術研究所
都市基盤安全工学国際研究センターが所有して
いる、阪神・淡路大震災関連の蔵書コレクションである。平成 21 年度中に、これらの蔵書
を整理した結果、収蔵点数は計 1967 点であり、内訳は書籍は 456 点、報告書は 311 点、
雑誌 160 点、資料 1040 点であった。蔵書のタイトル・発行元・発行年・分類等のデータを
リストにまとめ、データベースを作成した。
平成 22 年度中には、これらの蔵書を検索できるアーカイブス画面も作成し、防災に携わ
る研究者が廣井アーカイブスの蔵書とともに Kobe-net の蔵書についてもあわせて検索・利
用できる環境を整備した。廣井アーカイブスからもリンクを張り、お互いのアーカイブスを
行き来することで、文献を横断的に検索することができる。
【(1)a と b を合わせた自己評価】
廣井アーカイブスの開発により、防災研究者が文献に容易にアクセスできる環境を整
備し、防災研究業界に貢献できたと考える。アクセス数は一般公開後から 2 年間でおよ
そ 2,623 件と一定の利用はあったが、周知とともに、検索性の改良の必要がある。CIDIR
災害情報調査アーカイブスについては、調査研究活動に伴い逐次情報を追加更新し、周知も
行う必要がある。東京大学生産技術研究所が所有する Kobe-net 蔵書に関しても、
Kobe-net
蔵書アーカイブスを開発することにより、廣井アーカイブスとあわせて、東京大学内に
ある災害情報を横断的に検索できる環境を整備した。平成 22 年度末からの公開開始であ
るため、今後は関係者に周知する必要がある。
【(1)a と b を合わせた改善方針】
今後は地震研の所有するコレクションについても、同様にアーカイブス化を検討する。
Kobe-net アーカイブスおよび廣井アーカイブスとの横断的利用については、積極的に周
知活動を行う必要がある。周知活動としては、学会のニュースレターや文献紹介の機会
に際して、積極的に周知活動を行う必要がある。また、既存の研究機関のリンクサイト
にも掲載してもらうよう働きかけ、他のサイトを経由してアクセスできる環境を整備す
る必要がある。検索性に関しては、たとえば時間的・空間的・主体別などのキーワード検索
から資料を特定できるようにすることが考えられる。そのためには、他者に著作権がある資
料に関しては、CIDIR で評価ないしは内容紹介を添付する必要があり、効率的な手法を検討
する必要がある。
学内にある上記以外の災害情報についても、情報収集の可能性を探る。
16
CIDIR
中間評価(2011.3)
17
CIDIR
(1)c
中間評価(2011.3)
緊急地震速報の社会的利用策の研究
【目的】
緊急地震速報の精度や伝達システム・自動制御システムの技術的可能性、人間の情報処理
時間とその規定要因の解明などの基礎的研究の成果を踏まえ、緊急地震速報の有効な利用シ
ステムを開発する。
【実績】
最初の一般供用事例であった宮古島近海地震から次表に示したように、継続的に住民の利
用実態を調査してきた。
緊急地震速報の一般供用が始まった 2007 年 10 月時点では、その認知率向上が大きな課題
とされていたが、発表が積み重なる過程で、緊急地震速報は東高西低の傾向はあるものの、
緊急地震速報の認知率は 6 割を超えており、土砂災害警戒情報等を大きく上回るまでになっ
たことがわかってきている(第 2 回 CIDIR 定期調査、2010 年 12 月実施)。
伝達面についても、初期の宮古島近海地震時や茨城県沖地震時では、緊急地震速報の入手
率は 18.9%、17.6%と 2 割に満たなかったが(桶田・田中、2008)、2010 年 9 月の福島県中
通りの地震では、入手率は 5 割を超えた。しかもその半数が携帯電話を通じて入手するまで
になってきた(人と防災未来センターとの共同研究)。また、第 2 回 CIDIR 定期調査では、入
手したことがある人では「揺れの強さを知らせて欲しい」、
逆に入手したことのない人では「携
帯電話で受けられるようにして欲しい」との要望が有意に高いことが明らかになった。
緊急地震速報の利用策については、岩手・宮城内陸地震でも、大きな揺れを感じる前に受
け取った人の4人に3人は大きな地震が来ると思ったと回答しているが、回避行動を取った
人は4人に1人、子どもを守ろうとした人が1割に過ぎない。これに関して、福島県中通り
の地震時の調査からは、入手した人では地震後に対応行動を考えた人の比率が、入手してい
ない人よりも多いことが分かっている。緊急地震速報の受信自体が対応行動を考えるきっか
表1-c-1
緊急地震速報の伝達と受容に関する調査
地震
調査方法、実施日など
備考
2008/04/28 宮古島近海
RDD 電話調査、05/03,n=800
TBS 共同調査 3)
05/08 茨城県沖
RDD 電話調査、05/17,n=1000
TBS 共同調査 3)
06/14 岩手宮城内陸
RDD 電話調査、06/19-20,n=1004
TBS 共同調査 3)
06/14 岩手宮城内陸
悉皆調査(山形県庄内町) n=591
大原ほか 2)
〃
07/14 岩手沿岸北部
09/11 十勝沖の地震
2010/10/09 福島中通り
〃
RDD 電話調査、09/13-14,n=1200
TBS 共同調査 3)
RDD 電話調査 10/23-24, n=550
人と防災未来センター共同調査
WEB 調査
11/10-12 n=600
18
CIDIR
中間評価(2011.3)
けとなっており、その機会の活用した対応行動の普及を考える必要性を示唆する結果が得ら
れた。
また、広くテレビ・ラジオなどで提供される「一般向け緊急地震速報」については、地震
検知後 10 秒以上遅れて出され、結果的に強い揺れが届いてから情報が出される事態も発生し
ていることから、より迅速に情報を出すことのできる、一般向け緊急地震速報の情報提供方
法の改善案を提言した。
【主要な研究業績】
1)大原美保、緊急地震速報時の対応行動レファレンスの開発
2)大原美保・地引泰人・関谷直也・須見徹太郎・目黒公郎・田中淳: J-ALERT による緊急
地震速報の防災行政無線放送の効果に関する研究、日本災害情報学会誌「災害情報」、
pp.96-104, Vol.8, 2010.03
3)桶田敦・田中淳、
「緊急地震速報」はどのように伝わったのか?テレビ放送と電話アン
ケート調査からの考察、日本災害情報学会第 10 回研究発表大会、pp91-98、2008.10
4)鷹野澄、一般向け緊急地震速報の情報提供方法の提言、日本災害情報学会第 10 回研究
発表大会、pp99-104、2008.10
【主要な社会的活動】
1)「Earthquake Early Warning System in Japan」,What's on Japan?,NHK 国際放送,
2008 年 8 月 30 日
2)「緊急地震速報 その時対応は」,ニュースウォッチ9,NHK,2008 年 6 月 16 日
【自己評価】
CIDIR 発足とともに緊急地震速報が発表されたこともあり、調査を数多く手がけることが
できた、それらの結果は、学会やマスコミ、社会教育の場を通じて情報発信をすることがで
き、また社会的にも注目された。
その一方で、今後は、緊急地震速報の利用技術の発掘・開発や社会に定着させるための具
体的な教育素材や仕組みを生みだし、提言していく必要がある。また、社会に定着させるた
めの具体的な教育素材は大原(2008)に留まっており、また活用するための具体的なシステム
や仕組みを開発、提言していくまでには至っていない。
【改善方針】
主要な緊急地震速報事例については、伝達システムおよび利用技術の向上を達成するため
の住民調査も継続するとともに、今後は、入手率を向上させる仕組みと利用技術の向上を具
体的に図る研究を深化させていく必要がある。
平成 22 年度から着手した特別研究経費を基盤に、機器の自動制御や伝達システムの開発、
ならびに学生に対する防災教育等大学内での有効活用を具体的に進めていく。たとえば、①
観測データを利用した微地形や固有建物の増幅率の反映、②過去の地震履歴からみた地域ご
との有効活用策の提言、③オンサイト検知との効果的な組み合わせなど、が考えられる。
19
CIDIR
中間評価(2011.3)
資料(1)c
主要な研究業績の紹介
大原美保 緊急地震速報時の対応行動レファレンスの開発
最近の緊急地震速報に対する住民の対応行動の調査結果からは、
「速報に気づいたが、何も
できなかった」という声が多く挙げられ、緊急地震速報が一般住民に必ずしも有効に利用さ
れていない現状が指摘されている。緊急地震速報により生み出される数秒から数十秒という
揺れ到達前の余裕時間を最大限に活用してもらうためには、速報の仕組みを周知するととも
に、緊急地震速報を聞いた際に何をすべきかという具体的なイメージを事前に持ってもらう
ことが重要である。本研究では、このような課題に対応するために、緊急地震速報時の望ま
しい対応行動を参照し学習できるレファレンス・ツールを開発した。
緊急地震速報受信時の望ましい対応行動は、地震がいつ発生したか、どこにいたか、誰と
一緒なのか、何をやっていたかなど、その場の状況に応じて変化する。したがって、開発し
たレファレンス・ツールでは、様々なシチュエーションを提示しその場で緊急地震速報が知
らされた際に何をすべきかを考えてもらうことにより、住民に緊急地震速報時の対応行動の
判断を体験してもらうことを目的とした。これらのシチュエーション編とは別に、緊急地震
速報の仕組みや伝達手段、課題などを学ぶ学習編も作成し、両者を合わせて学習することで
緊急地震速報への理解を高める工夫を行った。
レファレンス・ツールの作成にあたってはまず、気象庁パンフレットを初めとした緊急地
震速報に関する既存の文献や実際の対応事例などで指摘されている課題のレビューを行い、
学習編で学ぶべき知識、シチュエーション編で体験すべき状況について内容の洗い出しを行
い、15 分程度で手軽に学習できるよう下表に示す内容を選定した。システムはシチュエーシ
ョン・問題・望ましい行動の提示をインタラクティブに行うことが出来る Web 形式とした。
表 1 学習編・シチュエーション編の内容
問題
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
学習編の内容
緊急地震速報とは?
初期微動(P波)・主要動(S波)の速度の違いは?
日本全国の観測点数は?
東海地震の発生時、東京の余裕時間は?
緊急地震速報の発表条件は?
緊急地震速報がテレビ等で発表される時の表示内容は?
緊急地震速報の発表時にテレビの電源が切れている場合は?
緊急地震速報を携帯電話で受信する場合は?
防災行政無線を利用した緊急地震速報放送とは?
デパートや百貨店等で緊急地震速報を聞いた場合の注意点は?
高度利用者向けの緊急地震速報(予報)の事例は?
緊急地震速報の専用端末で得られる情報とは?
首都直下地震の発生時、東京23区での余裕時間は?
(直下型地震での緊急地震速報の課題)
シチュエーション編の内容
デパートで買い物中に緊急地震速報を聞いた場合は?
地下街で緊急地震速報を聞いた場合は?
エレベーター内で緊急地震速報を聞いた場合は?
レストランの窓際の席で緊急地震速報を聞いた場合は?
商店街で防災行政無線から緊急地震速報を聞いた場合は?
建物内の階段で緊急地震速報を聞いた場合は?
高層マンションの室内で緊急地震速報を聞いた場合は?
映画館で緊急地震速報を聞いた場合は?
コンビニエンスストア店内で緊急地震速報を聞いた場合は?
自宅で家族とともにいる時に緊急地震速報を聞いた場合は?
台所で調理中に緊急地震速報を聞いた場合は?
電車内で携帯電話により緊急地震速報を知った場合は?
自動車を運転中にラジオで緊急地震速報を聞いた場合は?
14
緊急地震速報を有効利用するために事前にすべき対策とは?①
15
緊急地震速報を有効利用するために事前にすべき対策とは?②
住宅街を歩いていて防災行政無線から緊急地震速報を聞いた場合
は?
海岸で海水浴中に防災行政無線から緊急地震速報を聞いた場合は?
20
CIDIR
中間評価(2011.3)
次に、学習編・シチュエーション編の画面の作成を行った。教材は e ラーニング作成ソフ
トを用いて開発し、回答者が選択した回答に応じて、解説画面がインタラクティブに変化す
る設定とした。画面内のイラストは、実際の状況がイメージでき、かつ親しみやすい画面と
なるようイラストレーターに作画を依頼した。下図に学習編・シチュエーション編の画面例
を示す。画面上部に質問文、中段左端にイラスト画像、右端に選択肢を配置した。
「答え合わ
せ」ボタンを押すと、下部の空白に正否に応じた解説が表示される。問題文に応じた解説内
容に応じては、次ページにて更に詳細な解説を行った。学習編・シチュエーション編でデザ
インを統一することで各画面の連続性を演出し、体験者が内容に集中できるよう配慮した。
今後は、これらの教材を用いた被験者実験を行い、住民の回答傾向の把握と学習効果の評価
を行いたいと考える。
図1
図2
学習編の画面例
シチュエーション編の画面例
21
CIDIR
(1)d
中間評価(2011.3)
防災情報受容促進策の提示
【目的】
予警報や火山情報、地震活断層長期確率評価など、種々の防災情報が提供されている。し
かし、それらの情報は必ずしも避難行動や防災準備行動に結びついていない。これまでの研
究から、受容は情報自体の精度、リードタイム、対応行動の有効性認知、情報源の信頼性、
接触メディア等、多様な要因に規定されることがわかっている。科学技術的精度の限界と受
け手側から求められる要件から、情報生産の目標設定や内容の改善を行う。
【現状】
平成 26 年度までの全体研究計画では、平成 23 年度から「放送文化基金等を獲得し、文部
科学省オープンリサーチ事業の枠組みを利用するとともに、気象庁、ライフライン企業等と
の連携を図り、実施する」として、平成 25 年度までの 3 年間で行うこととされている。し
かし、
「各種災害に係わる防災情報全般を横断的に俯瞰的に取扱い、災害全体としての受容促
進策を検討する」ための具体的な研究計画は現時点で作成できておらず、予算獲得の目処も
立っていない。
このような状況の中、これまで個々の災害事例について調査研究を進めるとともに、
・住民の災害時の行動に影響する要因について、災害全般を対象とした調査を今年度から
行うこととし、現在、津波災害、水害に関して調査を行っている
・情報の提示の違いによる住民の避難判断意思決定の違いについて調査を行うこととし、
今年度は水害に関する河川情報の違いに関して調査を開始した
ことから、上記 2 点に関し、代表研究事例として別紙でその概要を報告する。
なお、その他の主要な研究実績は以下の通りである。
○2008 年 7 月福井県美浜町における防災無線のミサイル着弾誤放送に関する調査(人と防災
未来センターとの共同調査、2008 年度実施)
(概要)2008 年の福井県美浜町でのミサイル発射誤報事例は、J-ALERT システム等の接続が誤報の影響が
広域化する可能性を示すものである。しかし、今回は、町が速やかに放送を停止し、訂正放送を出す措
置を取ることで大事には至らなかった。住民調査結果から見ると、聴取率は 4 割程度と高かったが、サ
イレン音の意味を理解できた者は少なく、音声放送も約 6 割は「間違い」と受け止めていた。マルチメ
ディア全体で、誤報対策のみならず災害情報伝達を考える必要性を示唆する結果である。
○山口県防府市土砂災害時における住民調査(砂防・地すべり技術センターとの共同調査、
2009 年度実施。第 29 回日本自然災害学会学術講演会,2010)
(概要)土砂災害に関して、沢毎に土砂の移動実態と住民の先行現象検知度を比較した結果、土砂崩落や
流出がなかった沢でも、住宅近くまで土砂が流れてきた沢でも、先行現象の検知率は 3 割程度であった。
避難行動を起こす契機として前駆現象を住民自ら発見すべきとされるが、本調査はその議論の前提とな
る基礎資料を提示したものである。先行現象を地域で共有する仕組みの必要性も指摘している。
○新型インフルエンザに関する対応と意識の調査(人と防災未来センターとの共同調査、2009
年度実施.日本災害情報学会第 11 回学会大会,2009)
22
中間評価(2011.3)
CIDIR
(概要)新型インフルエンザは個人的にも、社会的にも対応が浸透していない事象である。典型的な初期
対応とされていたマスク着用には感染防止効果への疑問を感じながら、他者への配慮や「しないといけ
ないような周囲の雰囲気を感じ」といった規範が働いていることが見い出された。情報源としては、広
報に依存しており、発熱相談センターとの中間領域を占めるかかりつけの医者等の活用が必要であるこ
とを示した。
○災害情報の認知度や防災意識の動向に関する定期的調査(ライフライン・マスコミ連携
講座寄付金のなかで、2009,2010 の各年度実施。)
(概要)災害情報の認知度の実態を時系列で把握し、変化の動向を明らかにする基礎資料入手のために定
期的調査を 2 回実施した。2 年間での推移を見ると緊急地震速報の認知率が大きく伸びているが、実際
の受信経験を反映して東高西低の傾向があることから訓練受信が必要であること、阪神・淡路大震災や
伊勢湾台風を話題にした比率からは、非被災世代への普及が必要であることが示唆された。
【自己評価】
’09インフル
災害への意識
情報の理解度
研究計画では平成 23 年度
災害時の
行動実態
から予定していたが、国土交
災害時行動の
行動学的分析
公募研究の採択を受け、水害
を中心に平成 21 年度から研
究活動を開始した。しかし、
現時点で全体的な研究方針、
具体的な研究計画、予算確保
文理融合による検討
通省国土技術政策総合研究所
’08~ 定期
的調査
’10
’08
’09
’08ミサイル
’09
’10
各種情報
による比較
必要十分な
要因の解明
促進策
の検討・
作成
目
標
生産研
予知・予測情報の
技術的研究
生産研
地震研
発生メカニズム・
頻度
地震研
災害全般
地震
火山
津波
水害
土砂災害
その他
の目処がたっていないことは、スケジュールとして遅れている。またこれまでの研究は、上
図に示すように、受け手側における情報の実態に関する分析・整理が主であり、社会心理学
的・人間行動論的な分析や評価は不十分である。また、科学技術的精度の限界について、ど
こまでの情報をどの程度の精度で提供することが可能であるかの把握や整理も十分ではない。
【改善方針】
これまで行ってきた基礎的成果の蓄積に加えて、速やかに全体的な研究方針、具体的な研
究計画、予算確保の目処をたてたうえで、具体的な促進策に結びつく研究テーマを設定し、
研究を進めていく。具体的な研究テーマの設定にあたっては災害情報研究の全体の枠組みを
描き、課題の先取りをした研究実施となるように設定する。たとえば、社会心理学的分析に
関しては、災害情報の受容過程と対応行動の意思決定過程に関する理論モデルの構築を目指
し、自宅の危険度認知や地域規範といった規定因の理論的な精緻化、避難する層・避難を迷
う層といった対象別の促進策を検討することなどを組み込んでいく。また、科学技術的精度
に関しては、その限界の把握や整理を踏まえて、どの程度の精度でどのような内容の情報を
提供すれば、受け手に十分理解、活用されるかについて研究を進めていく。
23
CIDIR
中間評価(2011.3)
【代表的な研究実績】
<1.住民の災害時の行動に影響する要因の分析>
1.目的
これまで種々提供されている防災情報が必ずしも避難行動や防災準備行動に結びついてい
ない現実を踏まえ、防災情報の受け手である住民が避難行動を起こすために大きく影響を及
ぼす要因を調査・分析する。
2.調査概要
環境行動に関するモデルから、「有効性」「実行可能性」「責任感」「費用便益」「社会規範」
「リスク認知」の6因子をとりあげ、これを 21 項目からなる質問として設定し、
「チリ地震
津波時における住民調査」や「水害時の避難判断に関するアンケート調査」などで実施した。
(下表の質問文は「津波調査」の事例)。
1
2
3
4
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
(12)
(13)
(14)
(15)
(16)
(17)
(18)
(19)
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
4
4
4
4
4
4
4
4
4
4
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
2
2
2
2
3
3
3
3
3
3
3
4
4
4
4
4
4
4
1
2
3
4
1
1
2
2
3
3
4
4
自分一人では、安全なところまで行くことができない
避難所(避難場所)に行くのは面倒だ
津波はすぐ来るので、地震直後に避難しても間に合わない
津波に対して地域の安全は自分たちで守らなければならないと思う
避難をしても、今後の生活ができないと困るから、家財を守る
近くで安全な場所がどこかわからない
大きな津波では、避難をしても絶対安全とは限らない
家族を置いて避難するのは、無責任だ
避難所(避難場所)に避難すると、周囲の人に迷惑をかけてしまう
避難をして、自分の命は自分で守らなければならないと思う
避難所(避難場所)での集団生活はいやだ
ひとたび津波に巻き込まれたら、命が危ない
たいした津波が来なかったら、避難するのは損だ
津波がきても自宅にいたほうが、避難するよりも安全である
津波のとき周囲や役所の人に迷惑をかけてしまうから避難すべきだ
津波は怖い
お宅がある場所は、津波に対して危険だと思う
避難をすすめられたら、たいした危険はないと思っても避難しなければなら
ない
(20) 避難したときに、泥棒に入られるかもしれないので、家を空けるのは不安だ
(21) 最寄りの避難所(避難場所)までは遠くて、時間がかかる
まったくそ
う思わない
あまりそう
思わない
ややそう思
う
そう思う
(1) 近所の人は、
「津波のとき、沿岸部に住んでいる人は全員必ず避難をするべき」
と考えていると思う
3.主な結果(「チリ地震津波時における住民調査」の例)
計画的行動理論(Ajzen,1991 等)から避難の行動意図を規定する要因を明らかにするため
に、野波ら(1997)が見出した 6 因子をもとに作成した 21 項目と避難意図を分析した。いく
つかの解析手法を試みて、その妥当性を理論モデルとの整合性から検討している段階である。
現時点での結果を取りまとめると、次ページの表、因子分析総括表に示したとおり、「津
波に巻き込まれたら、命が危ない」、「津波は怖い」、「津波に対して、地域の安全は自分
24
CIDIR
中間評価(2011.3)
たちで守らなければならないと思う」といった津波のリスク認知要因に加えて、自宅は「津
波に対して危険だと思う」や「自宅にいたほうが、避難するよりも安全である」といった自
宅のリスク認知要因が別途見出された。この結果は、津波全般に対する一般的なリスク認知
だけではなく、自宅そのもののリスク認知が独自に避難を規定している可能性を示唆する。
また、「人に迷惑をかけてしまうから、避難すべきだ」、「避難をすすめられたら、避難
しなければならない」といった社会的規範要因は一貫して避難意図を規定している。また、
「たいした津波が来なかったら、避難するのは損だ」や「避難所での集団生活はいやだ」と
いった避難コスト要因が見出された。これらの結果は、防災教育に際して、地域単位への働
きかけが必要であることを示唆する。なお、より精緻な分析は次年度の社会心理学会で発表
する予定である。
表
因子分析総括表
因子および因子負荷量
5
6
.076
.135
-.112
.021
.059
-.142
-.015
.000
-.141
.226
-.117
-.012
-.093
.130
.075
-.086
.018
.635
.084
.051
-.010
-.122
-.037
.610
-.025
.062
-.005
.045
.028
.529
.228
.083
.029
-.141
津波に対して、地域の安全は自分たちで守らなければならないと思う
-.216
.414
-.009
-.166
-.024
.290
津波のとき、周囲や役所の人に迷惑をかけてしまうから、避難すべきだ
-.009
.020
.641
-.022
-.069
-.039
避難を勧められたら、たいした危険はないと思っても避難しなければならない
-.031
.055
.636
.019
.091
.011
.007
.162
.393
.009
-.012
.079
たいした津波が来なかったら、避難するのは損だ
-.121
.148
-.247
.640
.046
-.015
避難所(避難場所)での集団生活はいやだ
-.010
.086
.021
.619
.084
-.049
避難したときに、泥棒に入られるかもしれないので、家を空けるのは不安だ
-.151
-.065
.105
.441
.004
.085
避難をしても、今後の生活ができないと困るから、家財を守る
-.070
.061
.018
.332
-.171
.239
自宅の
危険性
津波がきても自宅にいたほうが、避難するよりも安全である
.078
.015
.034
.089
####
.029
お宅がある場所は、津波に対して危険だと思う
.093
.012
.037
.154
.607
.095
避難の
否定
自分一人では、安全なところまで行くことができない
.197
-.077
.001
.037
.070
.494
避難所(避難場所)に避難すると、周囲の人に迷惑をかけてしまう
.270
-.158
.105
.294
.031
.306
避難の
阻害要
因
1
2
津波はすぐ来るので、地震直後に避難しても間に合わない
.622
.131
最寄りの避難所(避難場所)までは遠くて、時間がかかる
.559
大きな津波では、避難をしても絶対安全とは限らない
.521
避難所(避難場所)に行くのは面倒だ
近くで安全な場所がどこかわからない
ひとたび津波に巻き込まれたら、命が危ない
津波の
リスク
認知
社会的
規範
避難をして、自分の命は自分で守らなければならないと思う
津波は怖い
近所の人は、「津波のとき、沿岸部に住んでいる人は全員必ず避難をするべき」と考えていると思う
避難
コスト
3
4
-.103
-.140
-.110
.028
.282
-.026
.368
.023
.324
.180
因子抽出法: 最尤法
回転法: Kaiser の正規化を伴うプロマックス法
(参考)関係調査
○チリ地震津波調査(平成 22 年度実施。日本災害情報学会第2回「防災シンポジウム『あなたの命を守
りたい~情報時代のチリ地震津波~』」にて調査結果をもとに報告)
○水害時の避難判断に関するアンケート調査(国土交通省国土技術政策総合研究所受託研究「水害時の状況に
応じた避難及び避難情報提供に関する調査研究」のなかで平成 22 年度実施)
○荒川下流域における水害に関するアンケート調査「国土交通省関東地方整備局受託研究「平成 22 年度 首都
圏大規模水害における避難行動に関する調査研究」のなかで平成 22 年度実施」
25
CIDIR
中間評価(2011.3)
<2.水害時に住民の方々がとるべき行動とそのための情報提供のあり方に関する分析>
1.目的
降雨量、河川の水位情報などの精度は昔に比べ向上し、インターネット等で入手しやすい
環境が整ってきた。他の災害に比べて、水害は発生の危険度や災害発生前からリアルタイム
に情報が提供されているが、これらの情報が有効活用されているとは言い難い。
「河川の氾濫
水が自宅などに間近に迫ってから自宅外への避難行動を開始する、あるいは 2 階などの自宅
の高い場所に移動する」が一般的な住民の行動である。
上のような状況を踏まえ、本研究は水害時に住民が事前に起こりうる事態を予測し、自ら
の行動を判断するために必要十分な情報のあり方について検討、分析し、どのタイミングで
どのような行動をとることが必要か、アウトラインを提示することを目的として実施する。
2.調査概要
アンケート調査により、①現在提供されている河川情報の理解度、認識度、②過去の水害
時のデータとの比較や今後の予測水位を示すなどの河川情報の提供の違いによる避難行動意
思の発生の相違、③水害時の避難を行うために住民が求めている必要十分な内容、について
把握、分析し、水害時の避難行動に関する指針などとしてとりまとめる。
また、水害時に適切に行動するための行動様式集を人間行動学的な分析により整理すると
ともに、それらを含めた疑似体験シミュレーションモデルを作成し、事前の防災教育のため
のツールとしてとりまとめる。
3.主な結果
(1)災害時の住民行動実態把握
アンケート調査結果から、
「避難情報が適切な時間帯に届いたか否か」が避難行動の有無に
影響していること、
「どんな場合でも避難しない人たち」が一定の割合で存在すること等を把
握した。(2008~2009 年報「5.7」、2009~2010 年報「4.7」参照)
(2)河川情報の違いによる避難行動意思決定の違い
全国を対象に、
「河川堤防に隣接した木造の建物に独りで住んでいる」仮定の下に、以下の
5 ケースにおいて、「いつ避難準備を行い」、「いつ避難を開始するか」Web 調査を行った。
○
○
○
○
○
ケース1
ケース2
ケース3
ケース4
ケース5
現在の雨量・水位グラフのみ提供
現在の雨量・水位グラフに、「南から台風北上」という仮定と南 100km 地点の雨量データをあわせて提供
現在の雨量・水位グラフに、過去の水害時の雨量・水位データをあわせて提供
現在の雨量・水位グラフに、1 時間 30mm の降雨量が継続した場合の予測水位をあわせて提供
現在の雨量・水位グラフに、避難判断水位に 1 時間後に達する雨量の大きさをあわせて提供
(回答数は、各ケース毎に、男女別・年代別で 200 人、計 1,000 人)
26
CIDIR
中間評価(2011.3)
①避難準備の開始(%)
②避難行動の開始(%)
家屋を2階建てと仮定した場合の結果を上図に示す。情報の提供を開始した 15 時時点で
相当数の方が避難準備を開始すると回答している。しかし住民のグループインタビューでは、
17 時以前に避難の準備を開始すると回答した人はほとんどいなく、両者の結果に著しい差異
が生じている。これは、提供した雨量・水位グラフを見ただけではその意味する内容を住民が
理解し難いことから生じているものと推察される。グループインタビュー時は簡単な説明を
し、理解していただいていることを確認しており、アンケート手法による回答の妥当性・信
頼性の確認が必要である。調査手法を工夫し、さらに検討を深める必要がある。しかし全体
的な傾向として、リアルタイムデータだけの提供に比べ、過去の実績データや今後の予測水
位などの情報をあわせて提供すれば、避難行動を早く開始する人が若干増えることが示され
ている。この点は今後研究を進めていく上で極めて有意義な成果である。
また、避難準備はするが実際の避難行動までにはいたらない、というのが水害時の実態で
あり、これについてはアンケート調査の他の回答結果をもとにした分析を今年度合わせて行
った。
(3)避難判断マニュアルの作成
地方公共団体では、避難マニュアルなどを作成しているが、ほとんど利用されていない。
そこで水害時どのように行動すればよいか、住民に役立つ必要十分な事項を整理した水害
時の行動に関する簡易判断マニュアルを、
・
「○○に気をつけましょう」という漠然としたものではなく、具体の行動などを記述する
・自宅外への避難タイプと、自宅内の最上階への避難タイプの2タイプで整理する
という方針の下に、グループインタビューなどにより、具体案を示しつつ住民の方々の意見
を聞き、今年度作成した。
(参考)関係調査
○国土交通省関東地方整備局受託研究「平成 22 年度 首都圏大規模水害における避難行動に関する調査研
究」他: 2008~2010 年度の各年度。2008 年8月豪雨に関する調査では、日本災害情報学会調査団に貢
献。2009 年台風9号による兵庫県佐用町水害に関する調査(人と防災未来センター、環境防災総合政策
研究機構との共同調査)は、「2010 東京大学情報学環調査研究紀要」にとりまとめ。
○国土交通省国土技術政策総合研究所受託研究「水害時の状況に応じた避難及び避難情報提供に関する調
査研究」他:2008~2010 年度の各年度
27
CIDIR
中間評価(2011.3)
(2) 首都直下地震災害の全体像の把握
【目的】
発生が危惧される首都直下地震を対象に、物的被害から経済的影響、社会的影響へと研究
を拡大し、首都直下地震の被害の全体像を科学的に探求する。未開拓の研究課題や社会的課
題を発掘し、減災に貢献する。
【実績】
これまで3年間の活動では、首都直下地震発生に伴う人的・物的被害、及び経済的影響を
明確化するための前提条件として、首都直下地震を対象とした(1)現代社会における地震
災害の特徴に関する基礎的調査と、(2)東京大学の防災関連分野の研究者の組織化、(3)
ライフライン、マスコミ等の防災担当者との意見交換会・研究会の開催、
(4)情報学環大学
院・教育部カリキュラムにおける災害関連科目の開設、
(5)東京大学公開講座・講演会等を
通じた知識の普及と防災への啓蒙活動など、研究に向けた緊急・重要課題の明確化と研究実
施のための枠組み作りを先行させた。主な活動内容と成果は以下のとおりである。
(1) 2008 年中国四川の地震や 2008 年岩手・宮城内陸地震、2009 年駿河湾の地震など、近年
に国内外で発生した大地震において、人口密集地域や都市部で発生した被害の様相と、
現代社会における人的・経済的影響、被災者の心理的影響について事例調査を進めた。
例えば、駿河湾の強震記録の解析から、本地震(やや深いスラブ内地震)による短周期
地震動の強い放射とその被害の特性を検討し、想定東京湾北部の地震(やや浅いプレー
ト境界型の地震)との強震動及びその被害の違いについて基礎的検討を進めた。また、
中国四川の地震では、被災地周辺で聞き取り調査を行い、被災者心理や災害情報伝達に
関する調査を実施した。
(2) 東京大学の防災研究者を集結した「東京大学防災研究者ネットワーク」を組織し、オー
ル東大体制による首都直下地震災害の全体像の解明に向けた研究体制固めを開始した。
年2回の頻度で定期会合を開催し、ネットワーク構成員の研究紹介を行ったほか、現ネ
ットワークが包括する研究対象領域の分析と、今後補強すべき研究分野と当該の研究者
の調査を行った。
(3) 大学院授業(災害情報論 I 及び II)、公開講座(東京大学公開講座、地震研究所公開講座)、
地域防災講演会等において、首都直下地震をテーマとする知識の普及と防災行動の意識
向上を目指した講義・講演を積極的に進めた。また新聞、ラジオ、テレビ等のメディア
を通じて首都直下地震の緊迫性や、最新の知見について解説を行った。
(4) 「ライフライン・マスコミ連携講座」において、最新の地震学の知見から想定される想
28
CIDIR
中間評価(2011.3)
定首都直下地震の震源像、想定される火災等の災害、地震発生を想定した各機関の応急
対応・復旧訓練への取り組み状況を調査し、首都直下地震に対する共通意識のバラツキ
と社会的課題を明確化した。
(5) 東京大学環境安全本部防火防災部会が実施する東京大学本部防災訓練に対して、企画の
段階から参画して訓練実施に全面的に協力した。平成 21 年度には首都直下地震対策本部
設営、平成 22 年には首都直下地震直後の役員意思決定をテーマとする実践的な防災訓練
を協働実施した。
(6) 東海・東南海・南海地震連動性評価研究プロジェクト(文科省委託研究、H20-24 年度)
において、都市の発達する堆積平野で発生する長周期地震動等の都市型災害と地震・地
殻変動・津波の複合災害及びこれに対する広域応援や復興復旧施策に関する検討を進め
た。
図1
ライフライン・マスコミ連携講座「最新の地震学から見た首都直下地震の震源像」
(CIDIR ニュースレター
Vol.3)
【自己評価】
これまでの活動は、CIDIR メンバーである理学(地震学)
、工学(防災,耐震工学)、
経済学、社会学・災害心理学分野の個々の研究延長が主体であり、CIDIR が目指す、文
理融合型の協調研究「情報を核とする文理融合型連携」体制がまだ十分生かされている
とは言い難い。
「東大防災研究者ネットワーク」のメンバーは、自然災害発生メカニズム(地震、津
波、水害、高潮)を研究対象とする理工学研究者が中心であり、災害による社会影響力・
経済的影響、救援・応急対応、復興・復旧施策を議論するための経済や心理学、法学、
医学等の幅広い研究者の組織化が弱い。
「ライフライン・マスコミ連携講座」を通じて、各機関が進める防災対策や首都直下
29
CIDIR
中間評価(2011.3)
地震への対応訓練の取り組みが示され、参加ライフライン・マスコミ機関での情報交換
や交流相互の意見交換の進展が進んだ。次は、応急対応や復旧対応時の企業間連携や広
域応援など災害時の統合オペレーションなどへと議論を発展させる必要がある。この際、
想定する首都直下地震とその被害のイメージが機関毎に個別に大きく異なっているこ
とが統合的議論を難しくしている。
図2
2008 年岩手・宮城内陸地震の地震動の分析と、兵庫県南部地震との比較
(CIDIR ニュースレター
Vol.2)
【改善方針】
各分野の研究者の連携を一層強めるとともに、自分の守備範囲から離れた関連分野に触手を
伸ばした連携研究あるいは、研究者間の重要な隙間研究を発掘する必要がある。そのために具
体的なプロジェクト化を進め、予算獲得を図る。
具体的には、①首都直下プロジェクト等による最新の地震学的知見と、その社会的影響に
関する工学研究の成果を取り入れ、想定首都直下地震の震源像と想定被害の「首都直下地震
共通モデル」を作成する、②従来の東京湾北部 M7.3(最大級)の想定に加えて、より発生頻
度の高い M6.5 級(中型級)地震をターゲットとする被害・社会影響予測とその対策について
検討する、③明治東京地震や大正関東地震の被害と社会影響、復興復旧に関する資料の分析
を進める。
これを実現するために、以下を順次進める。
(1) 経済学、法学等の社会科学や医学等を巻き込み、首都直下地震の発生(理学)から
物的被害(工学)、社会的影響(経済)、心的影響(心理学)、復興復旧・事前対策
(工学)までを連結した統合化テーマ設定と、研究の枠組み作りに挑戦し続ける。
その第一歩として、防災研究者ネットワークへの参画に向けてこれらの分野の研究
者にアプローチする。
30
CIDIR
中間評価(2011.3)
(2) 「ライフライン・マスコミ連携講座」において、参画機関の協力を得て最新の地震
学的知見と想定される社会影響を反映した「首都直下地震シナリオ」の共通認識を
形成する。具体的には、地震発生から数十秒、数時間、数ヶ月、数年の時間スケー
ルを考え、時間を追って発生する現象と社会影響、これに必要な対応と課題を明確
化したストーリーを共有し、現実的かつ実現性の高い首都直下地震対策と災害対応
について検討する。
(3) 首都圏在住および近隣県からの通勤通学者を対象に、首都直下地震とその対策に関
する意識調査と自治体の防災対応の調査を実施する。防災意識に関する地域性(大
阪圏、名古屋圏との比較)とその社会的背景(被災体験、日常的な地震活動度、学
校等における防災対策、自主防災組織など)を整理する。こうして、首都直下地震
に向けた防災意識向上のための効果的な手段を検討する。
(4) 首都直下地震と同等に発生確率が高く、社会的影響力が大きい東海・東南海・南海
地震等についても研究対象を拡大する。長周期地震動や地震・津波等複合災害など、
都市型巨大災害を対象とした研究を推進する。
図3
首都直下地震を想定した東京大学防災訓練(H21 年 12 月)
31
CIDIR
中間評価(2011.3)
(3) 大学 SCM (Service Continuity Management)モデルの開発
(3)a.
東大の人材と資源を守る防災情報研究
【目的】
現在の東大の体制は、学生父兄からの安否確認に対して、回答もできない状態であり、大
切な子息を預かる大学としての責任を果たせていない。学生・教職員への防災教育、大学の
防災体制の強化により、東大の人材と資源の被害を大幅に軽減する。
【実績】
平成 22 年度から着手予定のプロジェクトであるが、防災計画を担う東京大学環境安全本部
防火防災部長に田中センター長が、部員に鷹野教授が就いたこともあり、予定より 1 年早い
平成 21 年度から大学本部訓練等実務面での活動を開始し、さらに平成 22 年度から認められ
た特別研究経費を用いて研究に着手した。主な活動と成果は以下のとおりである。
(1)学生・教職員への防災教育
学生に対する防災教育としては、平成 22 年度全学自由研究ゼミナール「環境と安全」の1
コマを担当した。さらに平成 23 年度からは全学自由研究ゼミナールで半期の授業開講を申請
した。
授業科目以外のより実践的な内容について、e-learning、防災訓練などを通して広く教育
を行っていく必要があるが、今年度は、その基礎資料となる学生の生活行動パターンについ
て、学部生および理系院生を対象としたグループインタビューを実施した。また全学学生実
態調査に相乗りし、全学部生を対象に平日の帰宅時間および休日の登校実態を調査した。そ
の結果、理系大学院生を中心に、深夜まで、また長期休暇中もキャンパス内におり、研究室
単位では一人になるケースもままあることなど課題抽出を行った。
さらに、特別研究経費の予算を使用し、本郷キャンパス、駒場キャンパスおよび柏キャン
パスに緊急地震速報伝達端末試作版を設置した。
職員に対しては、本部職員のうち主任クラス約 10 名からなる災害初動を具体化する作業グ
ループを設置し、初動マニュアルの作成に向けて検討を主催した。当グループでは、本部職
員の災害対策班の初動の具体化を行い、その実行可能性を訓練において確認した。その成果
を踏まえて、初動の改善を図るとともに、携帯版の初動マニュアルを作成中である。また、
全学の事務長会議で防災計画について説明し、各部局で検討すべき事項を周知した。
(2)大学の防災体制の強化
東京大学環境安全本部防火防災部の活動と連携をとり、平成 21 年度から本部防災訓練を通
した防災体制の強化を図った。
平成 21 年度には、東京大学として初めての本部訓練を、本部設置およびその環境確認を目
32
CIDIR
中間評価(2011.3)
的に総長以下の参加の下で実施した。CIDIR は総長等役員の意思決定訓練および情報収集訓
練の状況設定をするとともに、訓練のコントローラを務めた。
平成 22 年度の訓練では、本部職員 100 名程度が実地に情報収集を行い、情報収集や動線等
の確認ならびに課題の抽出を行った。CIDIR は情報収集様式やチェックシートのモデルを提
案するとともに、総長以下全役員が参加した災害対策本部意思決定訓練の判断項目を設定し、
本部員が収集すべき情報の洗い出しに協力した。さらに、CIDIR メンバーは訓練の評価を担
当し、次年度の訓練および防災計画への反映に貢献している。
なお、これらの成果を一大学にとどめず広く社会還元するために、私学連盟関東ブロック
で大学の防災対策について講演を行ったほか、第3回関東・甲信越地区安全衛生研究会の環
境安全関連会議で報告を行う。
【自己評価】
設立 2 年目から、本部防災立案体制に深く関与し、訓練や本部の活動内容の具体化を通し
て、大学の防災体制を一歩進めることに貢献できた。
その一方で、学生・教職員への防災教育に関しては、特別研究経費の枠内で計画されてい
る学生への災害情報の伝達システムの開発や防災教育システムについて、基礎情報の収集段
階にあり、概念設計にも至っていない。早急な取り組みが必要である。
また、大学の防災体制の強化についても、大学本部と CIDIR との役割分担について整理し、
長期的な視野から、CIDIR として防災体制の実務に研究面から関与するテーマ設定をしてい
くことが求められる。特別研究経費を用いた研究と関連づけていくことが必要である。
それとともに、研究面および実務面で、対外的な成果発表をしていく必要がある。
【改善方針】
学生・教職員への防災教育のうち教職員に対しては、訓練の場を活用する。学生に対して
は、災害情報端末での提供情報を緊急地震速報から、気象予警報等各種の災害情報へ拡大し、
キャンパス内に展開することを通じて、日頃から災害情報に接触する機会を増やし、防災へ
の関心を高める。さらに、学生や教職員の災害情報端末の利用実態を把握し、設置場所や内
容、表示方法を改善するとともに、理解を補う e-learning システムの概念設計に着手する。
大学の防災体制の強化については、防災体制および防災訓練に関して、研究面の課題を整
理し、その中に CIDIR としての課題設定をする。そのうえで、本部から各部局へ、さらに学
生へと対象を拡大していく。
当面、次年度以降の 4 年目・5 年目には部局と連携した訓練を企画する。
33
CIDIR
(3)b.
中間評価(2011.3)
学内強震観測システムによる地震防災対策の高度化
【目的】
地震研究所と連携して、学内主要建物に強震観測システムを配置し、緊急地震速報の利用、
地震直後の被災度判定、長期的地震防災対策、に対する高密度観測網の実用性を検証する。
【実績】
(1)試験観測の実施とその成果
本研究を実施するために、初年度(平成 20 年度)に地震研究所の所長裁量経費などの支援
を受けて、IT 強震センサーを本郷地区の情報学環本館(10 階建て)に 9 台、浅野地区の情報
基盤センターの建物に 5 台設置して、弥生地区の地震研も含めた本郷キャンパスの 3 つの地
区で試験的に建物の強震観測を開始した。2009 年 8 月の駿河湾の地震の際には、強震観測記
録から各建物の揺れを再現して CIDIR のホームページに掲載した。約 1 年間の建物強震観測
データから、建物各階の震度とキャンパス地盤の震度の差があまり変化しないことが確認さ
れた(図 1)。この結果から、建物ごとに各階の震度は異なるが、建物内強震観測であらかじ
め地盤との震度の差を求めておくことで、地盤の震度から各階の震度が予測できることが確
認できた。これにより、大地震時の建物各階の揺れを予測して、危険物やサーバなどの耐震
対策を促すなどの対応へと結びつけることが可能になる。また、緊急地震速報の利用におい
ては、キャンパス地盤の震度だけでなく、建物各階の震度も予測し、場所に応じた適切な警
報を発することが可能になる。
図 1 地震研、情報学環、情報基盤センターの各建物の上下階の震度の差
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CIDIR
中間評価(2011.3)
【参考】
鷹野澄, IT 強震計が目指すもの-地震災害軽減を目指した新しいツールへの期待と課題-, 災害情報, 6,
4-6, 2008
鷹野澄, 地震災害軽減を目指したセンサネットワーク―IT 強震計による取り組みについて―, 電子情報通
信学会誌, 92, 3, 209-217, 2009.
鷹野澄・伊藤貴盛, 大学キャンパス内建物の地震観測~建物毎の地震応答の違い~, 第 13 回地震工学シン
ポジウム, つくば国際会議場, 11 月 17 日~20 日, 日本地震工学会, 2010.
(2)安価で高性能な強震計の開発
このような建物内強震観測を実現するためには、安価で高性能な強震計が必要となる。こ
のため平成 20 年 4 月に、複数の民間企業や研究機関による産学連携共同研究組織として IT
強震計コンソーシアム(代表:鷹野澄)を発足させた。これは、平成 18 年 4 月から地震研究所
を中心として開催されていた IT 強震計研究会(会長:鷹野澄)の成果をもとに、安価な IT 強震
計の開発と普及などを目的として発展させたものである。平成 20 年度にはコンソーシアムの
最初の製品として 1 台 7~8 万円以下の ITK001 が開発され、翌平成 21 年度にはその改良版
ITK002 が開発された。平成 22 年度には、値段はまだ高いがサーボ型加速度計を用いた高性
能の IT 強震計が開発され、建物の常時微動観測も可能になった。
【参考】
鷹野澄・伊藤貴盛, 新型 IT 強震計のセンサー性能と応用可能性, 日本地震学会2009年秋季大会, 京都
大学, 10 月 21-23 日, 日本地震学会, 18-18, 2009.
伊藤貴盛・鷹野澄, 高感度 IT 強震計の試作―どこでも建物健全性診断を可能にする為に―, 日本地球惑星
科学連合2010年大会, 東京, 5 月 23-28 日, 日本地球惑星科学連合, 2010
鷹野澄・伊藤貴盛, 高感度 IT 強震計を用いた常時微動観測による建物振動の可視化, 日本地震学会201
0秋季大会, 広島, 10 月 27-29 日, 日本地震学会, 2010.
(3)特別経費による学内展開の開始
平成 22 年度に概算要求「災害緊急情報を活用した大学防災情報システムの開発」が採択さ
れ、地震研究所、生産技術研究所、情報学環からの内部支援も受け、①災害時の情報受容・
行動様式の調査研究、②防災情報端末版(緊急地震速報等)の開発と試験設置、③学内セン
サーネットワーク開発(学内の建物で強震観測を実施)、④防災教育コンテンツの開発、など
に着手した。平成 22 年度は、学内のヒアリング調査、緊急地震速報等の学内配信のための基
盤ネットワークの開発、緊急地震速報端末の試験設置、駒場や柏キャンパスにおける建物強
震観測の開始などを行った。
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CIDIR
中間評価(2011.3)
【自己評価】
当初、地震研究所の協力を得て、本郷キャンパス内の3地区で建物強震観測が試験的に実
施できたことで、学内強震観測システムによる地震防災対策の高度化研究の足掛かりができ
た。この試験的建物強震観測により、観測記録から地震時の各建物の揺れを可視化したり、
建物ごとに各階の震度と地盤の震度との差をあらかじめ求めて、大地震時の建物各階の揺れ
の予測をしたり、緊急地震速報を受信して、キャンパス地盤の震度だけでなく、建物各階の
震度も予測し適切な警報を出すことなどが可能となることが確認できた。
また、IT 強震計コンソーシアムの発足により、産学連携共同研究で、安価でかつ震度0か
らの建物の揺れを観測できる高性能な強震計の開発が実現できた。
平成 22 年度から、採択金額は減額されたものの、5 年間の特別研究経費「災害緊急情報を
活用した大学防災情報システムの開発」が採択されたことは、大きな進展であった。地震研
究所、生産技術研究所、情報学環の支援と、大学本部や駒場及び柏キャンパスの関係者の協
力のもとに、本郷、駒場、柏の3キャンパスの主要な建物への建物強震観測の展開が可能に
なった。また、特別研究経費で並行して行う災害時の情報受容・行動様式の調査研究、防災
情報端末版(緊急地震速報等)の開発と試験設置などの研究と連携して、建物強震観測を活
用した地震防災対策の高度化研究を前進させる基盤ができた。
【改善方針】
特別研究経費で、約 150 棟ある学内建物のほんの一部の建物にではあるが、建物強震観測
を展開できる見通しが立った。しかし当初の目標である、建物強震観測の地震防災対策の高
度化への活用のためには、これまで進めてきた研究のほかに、大地震直後のキャンパス内の
被災状況の迅速な把握や建物被災度判定への活用研究、長期的建物観測により得られる建物
健全性評価(ヘルスモニタリング)手法の開発研究、直下型地震に対応可能なオンサイト地
震警報を開発し、気象庁の緊急地震速報を併用した緊急地震情報活用システムの研究開発な
どを実施する必要がある。
今後の 2 年間では、キャンパス内への建物強震観測網を展開しつつ、これらの活用研究、
開発研究を一歩一歩着実に進める予定である。また、並行して進められる災害時の情報受容・
行動様式の調査研究、防災情報端末版(緊急地震速報等)の開発と試験設置などの研究と連
携して、地震防災に真に資するための学内強震観測システムのあるべき姿を追求する予定で
ある。
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CIDIR
中間評価(2011.3)
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CIDIR
中間評価(2011.3)
(3)C. 大学 SCM「東大モデル」の作成と運用
【目的】
本研究課題は、大学本部、病院、学部・大学院、研究所が、災害時に受ける障害を最小化
し、それぞれの社会的な責任を果たすためのサービスや事業の適切な継続を可能とする対策
を検討するものである。また人的資源を有する地域社会の有力な組織として、災害時の周辺
地域への貢献のあり方に関しても検討する。
具体的には、東京大学のサービスインパクト分析(一般企業を対象としたビジネスイン
パクト分析)を行い、業務プロセスが抱えるリスクを把握する。次に損害や障害を最小限に
くい止め、社会的責任を果たすために最低限継続すべきアクションは何かを抽出し、それに
基づいてSCP(一般企業の BCP に相当)を策定する。このSCP に基づいて教職員や学生
な ど の 関 係 者 に 対 す る 教 育 と 訓 練 を 実 施 す る 仕 組 み 「 大 学 の SCM(Service Continuity
Management)モデル」を作成する。なおこれらの成果は、地震以外の自然災害や人為災害、
各種の危機(スタッフの事件・スキャンダルなどへの対処も含めて)にも有用なものになる
と期待される。
【実績】
本研究課題は平成 24 年度から当初開始する予定になっていたが、特別教育研究経費が認
められたことから、予定を早めて平成 22 年度より活動を開始している。
「改善方針」で後述
するように、最終的な成果としての「大学の SCM モデル」の基本データや各種の機能を集約
させて構築する次世代型の「危機管理システム」や「防災マニュアル」の研究も開始してい
る。
【主要な研究業績】
1)大原美保・目黒公郎:地震時の病院内被害情報収集システムの開発,生産研究,Vol.62,
No.4,pp.123-126,2010.
2) Kimiro MEGURO, Miho OHARA, and Muneyoshi NUMADA: DEVELOPMENT OF IT
SYSTEMS FOR EFFICIENT DISASTER/CRISIS MANAGEMENT -IT DISASTER
MANUAL AND IT TRIAGE SYSTEM-, Proceedings of Global Forum of Crisis
Management and Crisis Communication for Health Care, -Lesson From the Past Episodes
of Patient Safety, Infectious Disease and Disaster Around the World-, 2pages, 2010.11.
【主要な社会的活動】
1)「防災マニュアル及び地震時の東大病院の防災拠点としてのあり方」WG の活動。
2)駒場第一キャンパス(教養学部)防災マニュアル検討委員会開催、2010 年。
【自己評価】
現時点では、各部局の防災訓練やその計画を通して、東京大学のサービスインパクト分析
38
CIDIR
中間評価(2011.3)
を行い、業務プロセスが抱えるリスクの把握に努めるとともに、損害や障害を最小限にくい
止め、社会的責任を果たすために最低限継続すべきアクションの抽出を行っている段階であ
る。
【改善方針】
本研究課題では、最終的には複数キャンパスを有する総合大学としての特徴を踏まえた「大
学の SCM モデル」の構築を進めていく予定である。
またこれを構築する上で、ⅰ)基本となる大学を対象とした過去の事故や災害の対応を含
めた事例/教訓データベース(以下DA-モジュール)、ⅱ)これを状況の異なったケースに当
てはめて利活用したり、構築した「大学の SCM モデル」に基づいてその効果を評価できる
ようにするシミュレータ(以下 SA-モジュール)
、ⅲ)シミュレーション結果を含め、各種の
情報を分かり易い形で可視化して表示するシステム(以下 VS-モジュール)、ⅳ)これらの 3
システムと利用者のインターフェイスとなるとともに学習支援するシステム(以下 eL -モジ
ュール)の 4 つから構成される「次世代型の危機管理システム」も開発する予定である。
さらに「次世代型の危機管理システム」の機能を活用することで、
「既存マニュアルの性能
評価」、「利用者別・時間別・目的別、自動マニュアル編集機能」、「利用者による潜在的課題
の抽出と課題解決策の立案プロセスの中でマニュアルを作成できる機能」、「作成したマニュ
アルが自己進化していく機能」などを有する「次世代型防災マニュアル」も整備する予定で
ある。
39
CIDIR
中間評価(2011.3)
(4) 防災制度の設計と運用に関する研究
(4)a. 東京大学防災研究者ネットワーク
本来この研究課題は、平成 22 年度から開始予定の「災害対策UTオープンパネル」として
計画していたものであり、その目的は、
「災害対策の問題点について、政策決定に関わる政府
や自治体の審議会、懇親会とは別に、種々の学問的な立場から研究成果や意見を集約・整理
する場を設ける」ことであった。またその位置づけは、学会のような純粋学問的な議論の場
と政府や自治体の審議会のような政策決定過程の中間的なものとして考え、これを文部科学
省オープンリサーチセンター事業等の枠組みを利用して実施することを予定していた。
しかし、期待される活動内容と公開性をはじめとする事業の枠組みの性格の整合性に問題
があった。そこで方針を変更し、東京大学の防災研究者の連携強化を目的とする「東京大学
防災研究者ネットワーク」を構築し、各部局に分散する研究者とその研究分野を俯瞰できる
東京大学防災研究者データベース(UT-DiResDB)を構築し、これをうまく運用することによ
って、当初の目的に近い成果を目指すことにした。
なお、上のような判断に至る背景には、次のような問題意識がある。防災に関する課題は、
人文科学、自然科学を問わず、特定分野の知見のみでは解決できないものが多い。そのため
多種多様な専門分野を持つ研究者が協力して問題解決に取り組む必要があるが、各研究者が
行っている研究内容を相互に把握できる環境が整備されていないため、適切な相手を見つけ
ることが困難である。この状況は東京大学でも同様であり、各部局や専攻に分散する防災研
究者とその研究分野を俯瞰できる環境整備が非常に重要な課題となっている。
またこの研究課題の成果は、CIDIR に期待される役割のひとつである学内の防災研究者の
連携の強化、また CIDIR が掲げる他の研究課題(例えば、(2)首都直下地震災害の全体像の
把握など)の実施基盤グループ形成の支援や解決策へのヒントを提供する知恵袋として貢献
すると期待される。
【実績】
本課題は、上述のような方針変更の下で、平成 22 年度から開始したプロジェクトである。
平成 22 年度は、CIDIR、地震研究所、生産技術研究所、工学系研究科、新領域創成科学研
究科、農学生命科学研究科等から、防災や災害を研究テーマとする 20 名ほどの研究者をメ
ンバーとする「東京大学防災研究者ネットワーク検討会(仮称)」を設立した。そして数回の
会合を開催し、東京大学防災研究者ネットワークやそのデータベースに関する意見交換を行
った。また東京大学防災研究者データベース(UT-DiResDB)の基本設計と初期データベース
の構築を以下のように開始した。
ⅰ)東京大学の教職員の氏名・所属データベース(約 1.9 万人)から、教授・准教授・講師(約
2,500 人)を抽出。
ⅱ)各研究者の研究分野の特定するために、a)CiNii, Journal@rchive 収録 1,200 万件の学術
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中間評価(2011.3)
CIDIR
論文の中から防災辞典収録用語約 2,700 語を論文中に含む約 32 万件の論文を形態素分析
により抽出するとともに、科研費による過去の実績に基づく研究分野から客観的に分野
特定をした。加えて、b)研究者自身による主観的な将来構想に基づく今後の研究分野(下
記の(3)の災害・対策種別データ)の属性データを付加した。
ⅲ)上記(ⅱの a)の論文データベースに災害種別(火山災害、風水害、地震災害、大規模火災
(平時に発生するもの)
、人為災害・テロ、国際防災/国際支援、その他(特定の災害・事
故に限らないものなど)
)と災害対策種別(発生メカニズム、被害抑止力、事前準備、災
害予知・予見と警報、緊急対応、復旧・復興、情報伝達・収集・共有)の属性データを
付加。
東大教職員DB
(人事情報DB)
論文DB
(CiNii, J-STAGE)
科研費DB
(KAKEN)
「防災」、「災害」の研究
をしている教員の抽出
東大防災研究者DB
(研究者)
研究分野分析
フォーマット
論文DB
(CiNii, J-STAGE)
各研究者の「防災」、「災
害」に関する研究の抽出
科研費DB
(KAKEN)
研究者からの
情報入力
東大防災研究者DB
(研究者、研究分野)
東京大学防災研究者データベース(UT-DiResDB)の基本設計
【自己評価】
学内に分散する防災研究者とその研究分野を俯瞰するデータベースの基本設計を確定する
とともに、初期データベースを構築することで、従来にはないユニークな「防災研究者ネッ
トワークデータベース」が構築可能なことがわかった。
【改善方針】
平成 22 年度の成果によって、これまで CIDIR が認知していなかった学内の大勢の防災研
究者の存在が判明した。そこで研究分野のバランスを考えた上で研究者の対象を拡大して、
「東京大学防災研究者ネットワーク検討会(仮称)」を継続して開催していくとともに、
「UT-DiResDB」への当事者によるデータ(将来構想)入力を依頼し、
「UT-DiResDB」の拡
充に努める。データベース抽出の鍵になるキーワード(現在は防災辞典からの約 2,700 語)
の拡充も進める。CIDIR が別途検討を進めている防災情報の課題整理結果(災害の種類別、
対策期別、災害情報の創造や収集、加工や処理、伝達や配信、利用や管理にかかわる防災情
報の課題整理)と合わせた運用を展開していく予定である。
41
CIDIR
中間評価(2011.3)
(4)b. 耐震化普及の総合的研究
首都直下地震による被害軽減の最重要課題である既存不適格住宅の耐震化の促進方策を総
合的に研究する。耐震化技術と支援制度、リスクコミュニケーション等の研究成果を融合し
て、耐震化を普及させる環境を整備する。
本研究課題については、平成 23 年度より開始する計画になっている
【計画】
本研究課題については、平成 23 年度より開始する計画になっているが、スムーズな研究
活動の展開のために、CIDIR メンバーによってこれまでに実施してきた下記のような取り組
みを踏まえ、更なる研究を進めていく予定である。
(1)耐震補強が進展していない課題の調査
耐震補強が進展していない課題を明らかにするために、各種のアンケート調査を発展・継
続させる。
(2)耐震補強を推進するための技術的な課題に関しての研究
現在の技術的な課題の中では、耐震性を向上させる技術(耐震技術)以上に、補強前後の耐
震性能の変化や建て替えの目安として建物の耐震性を評価する簡便で精度の高い診断法が求
められている。従来のように図面に頼るものではなく、また屋根裏や床下までの細部にわた
る詳細な調査を必要としない方法で、しかも住宅の使われ方による違いなども考慮できる方
法の検討を進めている。
(3)耐震補強を推進するための制度設計に関しての研究
技術以外の課題として指摘される耐震補強を推進する社会制度としてのインセンティブ制
度について研究している。具体的には、老朽化したり脆弱化した建物の建て替えや耐震補強
にメリットが生まれる社会制度を設計し、その効果を評価している。
(4)上記の(1)から(3)は、建物の所有者をはじめ、耐震補強を取り巻く関係者が、技
術的・経済的に合理的な判断に基づいて耐震補強に取り組むことを前提に行ってきた研究で
ある。しかし人間は一見すると合理的な判断とは考えにくい行動をとることが、指摘される。
そこで今後は、心理学的な要素も組み入れ、人間が一見合理的とは思われない判断をするこ
とも踏まえた上で、耐震改修や建て替えが進む環境整備のあり方を探る。
42
CIDIR
中間評価(2011.3)
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CIDIR
中間評価(2011.3)
(5) 災害情報教育の実施とプログラム開発
(5)a
災害情報教育プログラムの実施
【目的】
情報学環・学際情報学府修士課程において、防災教育に関する学際的教育プログラムを作
成し、教育事業として継続的に実施する。
【実績】
CIDIR 発足から2年目の平成 21 年度から、大学院情報学環・学際情報学府のコース横断型
講義として、
「災害情報論Ⅰ」(夏学期)、「災害情報論Ⅱ」(冬学期)を開講した。
平成 21 年度の災害情報論Ⅰ(夏学期)では、「情報の環で災害に迫る」と題して、個々の
智が迫る災害の全体像を描くことを通じて、受講生の研究領域と防災・減災との関連を描き、
研究目的のひとつとして災害・減災が位置づけられることを目的とした。災害情報論Ⅱ(冬
学期)では、
「減災に活かす情報の環」と題して、減災に向けた、個別智・要素技術の挑戦の
前線を紹介することにした。
表 5-a-1 講義内容
平成 21 年度夏学期 木曜、16:30~18:00
平成 21 年度冬学期 木曜、16:30~18:00
題:情報の環で災害に迫る
題:減災に活かす情報の環
教室:福武ホール・ラーニングスタジオ2
教室:福武ホール・ラーニングスタジオ2
講義内容と講師
講義内容と講師
1.イントロダクション(田中淳)
1.イントロダクション(鷹野澄)
2.災害の予知・予測
2.環太平洋・アジアの災害~災害を巡る国際
①地震予知・予測の現状と課題(古村孝志)
関係~
②水害と洪水予報(須見徹太郎)
①巨大地震と津波災害(佐竹健治)
③火山噴火予知と防災(藤井敏嗣)
②サイクロン・台風災害(新野宏)
④災害予知・予測の社会学(田中淳)
③土砂災害(池谷浩)
3.都市災害の波及
④災害国日本の国際貢献 (渡辺正幸)
⑤強い揺れを作る地盤(古村孝志)
3.災害の可視化と教育~見える化とアウトリ
⑥建物の被害とその影響(大原美保)
ーチ~
⑦火災と都市(加藤孝明)
⑤センサーネットワーク技術(鷹野澄)
⑧災害からの復興(木村拓郎)
⑥リモートセンシング技術(沢田治雄)
4.災害と情報
⑦災害可視化とアウトリーチ(大木聖子)
⑨災害時の避難行動(田中淳)
⑧ハザードマップの活用(片田敏孝)
⑩災害とメディア(山中茂樹)
⑨学内ハザードマップ(宿題)の発表会
⑪防災教育への取り組み(大原美保)
4.防災組織の活動~災害に対するしくみ~
⑫流言とパニックの心理(関谷直也)
⑩災害組織論(田中淳)
5.パネルディスカッション(古村・須見・大 ⑪災害ボランティア(中川和之)
原・田中)
⑫災害対策本部運営(秦康範)
⑬災害行政・法制度(吉井博明)
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中間評価(2011.3)
CIDIR
平成 22 年度夏学期 木曜、16:30~18:00
題:情報で災害を軽減するには
教室:情報学環 7 階・演習室 3
講義内容と講師
1.イントロダクション
①災害史と法制度、授業概要(田中淳)
2.大規模災害と予知予測の現状
② 火山災害(藤井敏嗣)
③火山災害予知(藤井敏嗣)
④津波の災害と予測(佐竹健治)
⑤地震の災害、予知予測(古村孝志)
⑥洪水災害(宮川勇二)
⑦風水害と情報-パネル討論(市澤成介)
3.予知予測と情報受容行動の課題
⑧災害予知・予測の社会学(田中淳)
⑨ハザードマップ(片田敏孝)
⑩防災情報と避難行動(片田敏孝)
⑪学内ハザードマップ(宿題発表)
⑫災害情報を伝えるメディアとその課題(中
村功)
⑬風評被害、流言、パニック(関谷直也)
平成 22 年度冬学期 木曜、16:30~18:00
題:首都直下地震の災害像と都市災害軽減の
課題
教室:情報学環 7 階・演習室 3
講義内容と講師
1.イントロダクション
①首都直下地震・想定断層・想定被害(鷹野澄)
2.首都直下地震の災害と課題
②関東大震災(鈴木淳)
③強震動と建物被害(大原美保)
④都市火災(加藤孝明)
⑤ライフラインの被害と課題(目黒公郎)
⑥防災都市計画(加藤孝明)
⑦自助・共助・公助による防災(目黒公朗)
⑧ネットワーク・通信の被害と影響-パネル
討論(田中秀幸、中村 毅)
⑨緊急地震速報とセンサーネットワーク(鷹
野澄)
3.防災対策・防災訓練
⑩災害対策本部と情報(秦康範)
⑪リスクコミュニケーションと防災教育(片
田敏孝)
⑫大学は何をすべきか―パネル討論(室崎益
輝・田中淳)
⑬学内の防災対策(ワークショップ・宿題)
表 5-a-2 履修者の概要
平成21年度夏
平成21年度冬
平成22年度夏
平成22年度冬
学環内部
9
2
2
1
学環外
4
5
1
5
合計
13
7
3
6
平成21年度夏
平成21年度冬
平成22年度夏
平成22年度冬
修士課程
12
5
2
5
博士課程
1
2
1
1
合計
13
7
3
6
平成21年度夏
平成21年度冬
平成22年度夏
平成22年度冬
CIDIRの教員の学生
3
3
2
6
CIDIRの教員以外の学生
10
4
1
0
合計
13
7
3
6
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CIDIR
中間評価(2011.3)
【自己評価】
CIDIR メンバーを中心に、外部講師も招いて、講義と参加者による討議を交えた授業を展
開した。時に講師と学生の活発なやりとりで毎回内容の濃い授業であった。履修者は、情報
学環の大学院生以外に、工学系、新領域などから大学院生が受講した。また、地震研等の研
究員も聴講していた。平成 21 年度は、CIDIR の教員以外の学生が多かったが、平成 22 年は、
CIDIR の教員の学生が多かった。これは、修士課程2年間のうち1回受ければいいので、初
年度の夏学期に履修者が集中したものと考えられる。講義の内容については、理学的・工学
的アプローチについては、それぞれの専門分野で講義があるので、情報学環としては、より
社会科学的なアプローチを拡大した講義にすることが良いと考えられる。
また、関心を持つ学生は、情報学環以外にも多く存在すると考えられる。そのために、情
報学環内のコース横断型の講義から、学内の研究科を超えた、研究科横断型プログラムへの
展開にすることも検討したが、他研究科との調整や関連開講科目の強化など課題が多く、実
現の目処を付けられていない。
【改善方針】
受講者増への対応が必要である。そのために、情報学環に所属する文系の院生の受講を増
やすことを目的に、社会心理学研究やコミュニケーション研究に関連する授業のコマを充実
する予定である。
他方、情報学環内のコース横断型の講義から、学内の研究科を超えた、研究科横断型プロ
グラムへ展開する検討も継続する。
また、駒場の1・2年生を対象とした、入門となる一般教養のコースを開講して、将来社
会の様々な分野で活躍する学生諸君に、防災・減災への関心を持ってもらうことも重要であ
ると考えており、一般教養の教育プログラムである「全学自由研究ゼミナール」を平成 23
年度から開講する。
46
CIDIR
中間評価(2011.3)
47
CIDIR
中間評価(2011.3)
(5) b. ライフライン・マスコミ連携講座
【目的】
故廣井脩研究室や地震研究所アウトリーチ室の蓄積を最大限に活用し、災害時の情報提供
策などについて、大学研究者とマスコミ関係者の情報の共有化を図る。当該分野におけるニ
ーズ、シーズをくみ取り、研究と実務に還元する場とする。
【実績】
奨学寄付金ライフライン企業 6 社およびマスコミ 3 社を主要メンバーとするライフラ
イン・マスコミ連携講座として次頁に示した通り、21 回開催し、現在も継続している。
CIDIR ライフライン・マスコミ連携講座は、CIDIR にご支援を頂いているマスコミ、ラ
イフライン企業各社を中心に、自治体や国の方々も交え、その時々のトピックスについて情
報交換し、理解を深めることを目的に実施している。毎回 20 名から 30 名ほどが参加し、異
業種交流を深めている。
また、社員の防災教育に対して、これまでに 2 社に講師として協力し、3 月に 1 社予定さ
れている。
【自己評価】
開始から 3 年が経過し、その間に防災担当者は 2 世代目となっている。この会を契機に、
「実際の災害・事故時に対応や復旧見通しなど相互の連絡が取りやすくなった」
、「訓練の実
施内容等他社の事例が参考となった」という声が多く、情報共有および相互関係の確立の基
盤として機能することができた。
また、ライフライン及びマスコミ各社の防災体制及び災害時の東京大学各キャンパスへの
復旧戦略等、東京大学の防災対策を進める上で重要な情報を得ることもできた。
さらに今後は、現在の情報共有から実務的な検討を深めていく場としての機能も指向すべ
きであろう。たとえば、首都直下地震に備えた各社の早期復旧戦略の共有や体制整備に向け
て、今後、検討が必要であろう。
社員の防災教育の一環を担う活動の面では、単発的であり、定常的あるいは組織的な連
携を取ってきていない。
【改善方針】
担当者が第 3 世代を迎える 4 年目・5 年目では、現在の活動を確実に継続させていくこと
が最重点であり、奨学寄付金の維持・拡大に努める。
そのために、各社のニーズを汲みあげるとともに、連携講座を通して具体的な成果を生み
出すために、たとえば、首都直下地震に備えた早期復旧戦略の策定、あるいは各社横断的な
情報共有に向けての訓練の実施などの目標を設定し、それに向けた運営を検討する。
48
CIDIR
中間評価(2011.3)
資料
ライフライン・連携講座開催内容一覧
【平成 20 年度】 テーマ:「首都直下地震の全体像の共有」
4回開催
・7 月 25 日 第1回 「緊急地震速報」:話題提供 鷹野 澄(CIDIR)
・10 月 1 日 第2回 「首都直下地震」:話題提供 古村孝志(CIDIR)
・12 月 5 日
・1 月 30 日
第3回 「首都直下地震と火災被害の様相」
:講師
関沢愛氏(東京大学消防防災科学技術寄附講座特任教授)
第4回
「長周期地震動に対する超高層ビルの揺れと対策」
:講師 小鹿紀英氏(鹿島建設(株)小堀研究室)
【平成 21 年度】 テーマ:「防災訓練」
・ 6月 4日
第5回
7 回開催
「活断層―何がわかって何が不明か―」
:講師:島崎邦彦氏 (地震予知連絡会 会長)
・ 7月 2日 第6回 「大学SCM」:話題提供:田中 淳(CIDIR)
・ 9月 3日
第7回
「防災担当の心構え」
:講師:坂口央一氏 (日本ユーティリティサブウェイ株式会社 常勤監査役)
テーマ2 「各社における災害時の対応」:話題提供:東京ガス、NTTデータ
テーマ3 「2009年8月11日駿河湾の地震(M6.5)わかったこと/わからないこと」
:話題提供:古村孝志(CIDIR)
・10月 1日
第8回
「各社における災害時の対応」
:話題提供:NTTドコモ、NTT東日本、JR東日本、東京電力
・11月 5日 第9回 「土砂災害 ―形態、被害の推移、減災に向けた考え方―」
:講師:鈴木雅一氏(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
・ 1月 7日 第10回 「防災訓練」:話題提供:NTTドコモ、日本テレビ、CIDIR
・ 2月 4日 第11回 「水も怖い」:講師:沖 大幹氏 (東京大学生産技術研究所 教授)
【平成 22 年度】 テーマ:「トップが語る防災」
10 回開催
・ 4 月 8 日 第 12 回 「平成 22 年度の CIDIR 及びライフライン・マスコミ連携講座」
:話題提供:田中 淳(CIDIR)
・ 5 月 6 日 第 13 回 「各社に見る BCP への取り組み」:話題提供 JR 東日本、NHK
・ 6 月 3 日 第 14 回
講師: 関谷直也氏(東洋大学准教授)
・ 7 月 1 日 第 15 回 「各社にみる BCP への取り組み」:話題提供:東京ガス・東京電力
・ 9 月 2 日 第 16 回 「東大訓練シナリオ」:話題提供:田中 淳(CIDIR)
・10 月 7 日 第 17 回 「防災行政の論点①」:
講師:塚田桂祐氏(総務省消防庁国民保護部長)
・12 月 2 日 第 18 回
「防災行政の論点②」:講師:西出則武氏(気象庁地震火山部長)
・ 1 月 6 日 第 19 回 「TOPが語る我が社の防災」:
講師:山口
・ 2月3日
第 20 回
博氏(東京電力常務取締役)
2010 年「耐震診断結果を評価する」:
講師:中埜良昭氏(東京大学生産技術研究所 教授)
・ 3 月 3 日 第 21 回 NTT・DATA
49
CIDIR
中間評価(2011.3)
(6)国際的研究連携と学会活動への寄与
ミッションには掲げられていないが、防災・減災研究の方向性から重要と思われる活動に
関して、「a 国際的研究連携」および「b 学会活動への貢献」とをまとめる。
a.
国際的研究連携
a-1
CIDIR としての国際的研究連携
CIDIR としては、継続的な研究プロジェクトに展開できなかったが、田中教授が汶川
地震の発生を受けて、上海交通大学で開催された「Global Communication Forum, 2nd in
Shanghai」(平成 20 年 6 月)で Keynote Speech “Disaster & information; What can
we do for the Survivors”をした。その関連で復旦大学での“Symposium on Emergency
Response and Disaster Recovery”(平成 21 年 12 月)で講演を行った。
また、中国共産党中央党(平成 20 年 11 月)および中国社会復興調査団(平成 21 年 7 月)
が CIDIR を訪問した。平成 20 年 9 月には台湾清華大学学長ほか一行、台湾におけるコミ
ュニケーション学で有名な国立政治大学の研究者 Chiung-wen Hsu 氏が来訪(平成 22 年 6
月)するとともに、古村教授が台湾集々地震 10 周年講演会で講演(平成 21 年 5 月)を行っ
た。さらに、オーストラリア国立大学地球物理学研究所 Brian Kennett 所長(平成 21 年
7 月)が CIDIR を訪問し、意見交換を行った。
a-2 生産技術研究所と連携した国際的研究連携
東京大学生産技術研究所と連携した活動として、以下のような活動を実施した。
①「東京大学における清華大学ウィーク」における連携
清華大学と東京大学とが学術交流を深め、両大学の研究や活動を互いに知ることを目
的として、平成 22 年 5 月 12 日(水)から 14 日(金)の3日間、東京大学キャンパス内
において「東京大学における清華大学ウィーク(Tsinghua Week at Todai)」が開催された。
清華大学教職員・学生合わせて計 160 名ほどが来日し、東京大学教員との合同で 20 を超
えるシンポジウムやワークショップが会期中に開催された。この企画には CIDIR も以下
のような行事に参加し、清華大学との学術・学生交流を行った。
この企画は、平成 20 年度に清華大学において第1回を開催した後、平成 21 年度に 2
回目を本学にて開催予定だったが、両大学の協議により延期になっていたものである。
今回の企画は、清華大学の教育研究活動を紹介し、両大学の今後の学術・学生交流に活
かすことを目的とするものであった。
「東京大学における清華大学ウィーク」には、初日 5 月 12 日には、鉄門記念講堂を会
場に両大学の学長による挨拶があったが、その後引き続き、両大学をそれぞれ代表して、
50
CIDIR
中間評価(2011.3)
清華大学公共安全研究センター長、中国工程院院士の范維澄教授による「 Emergency
Management and Public Safety Science and Technology in China(中国における緊急事態管理と公
共安全科学技術)」と、東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター長で
CIDIR 教授でもある目黒公郎教授による「 Integrated Information System for Total Disaster
」の基調講演会が
Management(総合的な防災力を向上させる災害情報システムのあり方)
行われた。
翌 5 月 13 日には、東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター(ICUS)
と清華大学公共安全研究センター(CPSR)の主催による「公共安全・災害応急対策に関す
る 国 際 フ ォ ー ラ ム ( International Forum on Public Safety and Disaster Emergency
Management)」が開催された。この企画の目的は「地球規模の気候変動や都市の急激な
成長、世界情勢等により、地震やサイクロン、津波等の自然災害に加え、テロや火災、
爆発等の人為災害も頻発し、その影響は複雑多様化している。中国では、甚大な人的・
経済的・社会的被害をもたらした四川省汶川県の大地震や南方大雪災害、SARS 等を経験
し、公共安全、突発事件対策、防災技術に関する研究を急速に推し進めている。日本で
は、サリン事件や阪神・淡路大震災、新潟県中越地震等の経験をもとに、防災、安全・
安心の社会作り等といった分野で先進的な研究成果を挙げている。本シンポジウムは、
東京大学における清華大学ウィークを機に、このような複雑多様化する自然災害と人為
災害のリスクの最小化という両国が現在立ち向かっている重要課題について、日中の研
究者が集まって最新の研究成果の報告と討論を行う。
」というものである。
この国際フォーラムには両大学からそれぞれ 5 名の研究者が講演を行ったが、CIDIR
からも田中センター長と目黒教授が講演者として参加し、それぞれ「I n f o r m a t i o n
M a n a g e m e n t f o r E ff i c i e n t E m e rg e n c y D i s a s t e r R e s p o n s e( 効果的な災害対応のため
の情報マネジメント)
」と、
「D i s a s t e r S i m u l a t i o n : a s A R i s k C o m m u n i c a t i o n To o l
( リスクコミュニケーション手段としての災害シミュレーション)
」の講演を行った。
②「東京大学中国高級官僚研修プログラム」における連携
東京大学には、将来の組織の幹部、特にトップになる可能性のある 40 代の優秀な人材を
主たる対象にして、これまでどこの教育機関も提供していない高いレベルの、全人格的なマ
ネジメント能力を形成させるような「場」を提供することを目的とする「東大エグゼクティ
ブプログラム(東大 EMP)」がある。
この東大 EMP の中国版ともいえる「中国高級官僚研修プログラム」が平成 21 年から東京
大学で実施されている。これまでの日本での経験を体系化し、今日、中国が直面している具
体的課題との関連を解説する講義を通じて、中央及び地方政府の幹部公務員として備えるべ
51
CIDIR
中間評価(2011.3)
き「所管する国地方の人的物的組織的資源の管理能力」、
「行政課題に適切に対処する能力」
などの向上をはかるものである。
中国側の要望に基づき、防災対策と災害対応、都市の成長管理、環境問題について、行政、
対応技術・システムの開発・実施経緯、その経済への影響など広い視点からの講義を実施し
ている。この「中国高級官僚研修プログラム」の講義内容の決定に関しては、CIDIR と ICUS
が協力して貢献している。東京大学 EMP 担当の前田正史理事副学長と山田興一東京大学総
長室顧問と CIDIR の田中センター長や目黒 ICUS センター長らが中心となって、プログラ
ムを編成した。また 2 人は、それぞれの講義と他の講師による講義のファシリテーターを勤
めた。
中国からの参加者は文字通り高級官僚で、政府の上級官僚や地方行政のトップ、例えば北
京市や重慶市など 1,000 万人を超える主要都市では副市長が、それ以下の都市(人口 500 万
人以上の都市も多く含まれる)では市長が参加している。本プログラムに対する過去 2 年間
の受講者の評価は非常に高い。中国政府は、英国や米国のトップレベルの大学の研修プログ
ラムにも参加しているが、東京大学の「中国高級官僚研修プログラム」への参加者が最もク
ラスが高いということである。
なお、このプログラム設立のきっかけは、中国側の事務局である中国発展研究基金会を介
した中国政府からの東京大学への要請であるが、その背景には目黒公郎 ICUS センター長
/CIDIR 教授の中国における活動がある。平成 20 年 5 月 12 日に四川省を襲った大地震の後
に、中国発展研究基金会の要請を受けて行った現地調査と、現地並びに北京市他で行った「脆
弱な建物の補強を推進する技術的社会制度的アプローチ法」、ならびに「地震災害マネジメン
ト法」に関する講演を聴いた政府幹部が、中国の他の幹部もリーダーとして危機管理や地震
防災について、東京大学で学ぶべきであると進言したことによる。
a-3 地震研究所との連携
地震研究所と連携し、
「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」の「インドネシアにおけ
る地震火山の総合防災策」プロジェクト(平成 21~23 年度)およびインド共和国との防災分
野での研究課題「自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究」
(平成
21~25 年度)に日本側の大学研究機関の一つとして参画している。
①インドネシアにおける地震火山の総合防災策」プロジェクト
インドネシア・プロジェクトでは、6 つの研究グループの災害対応と復興時の社会の脆弱
性の克服(グループ 4)に属して、「災害時の情報伝達と被災者の心理」についての研究に着手
した。ジャワ島東部に位置するクルー(Kelud)火山の 2007 年における噴火避難を対象に、災
52
CIDIR
中間評価(2011.3)
害情報の生産過程から、地方行政機関への伝達システムと地域に即した避難勧告等災害情報
への変換過程を通して、住民への伝達とその活用過程に至る一連のプロセスの解明を行うこ
とを目的としている。平成 21 年度には、カウンターパートと研究計画を詳細に詰めるととも
に、PVMBG(火山地質災害センター) や州政府、クディリ県、ブリタール県の防災担当者、TV
局、新聞社へ 17 回のインタビュー調査を実施し、平成 22 年度には8回の住民に対するグル
ープインタビューを行い、2月に住民への定量的な質問紙調査を実施した。
災害対応に当たったクディリ県とブリタール県の災害対応は、それぞれの標準作業手続き
(災害対応計画)に沿ったものであったが、ブリタール県は警戒レベルがレベル 3 の段階で、
クディリ県は警戒レベルがレベル 4 で避難命令を出した。これを受けた住民の避難判断には、
グループ・インタビューからは、避難に伴う経済的・心理的コスト、過去の避難時の記憶、
火山周辺の状況に対する自己判断、非公式な住民指導者(informal leader)の存在といった要
因が影響していることが示唆され、定量的な調査で実証中である。
②インド共和国との「自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究」
インド・プロジェクトは、インド工科大学 IIT ハイデラバード校を代表とするインド側 7
つの大学、研究所と、日本側からは慶応大学(代表)、東京大学など 4 大学が、4つの研究項
目に対して日印の共同研究グループを構成して発足した。平成 21 年度は、正式な共同研究を
締結するための準備期間として、日本側の研究者によるインド訪問を2回(うち1回はワー
クショップ)
、日印間のテレビ会議を4回開催して、具体的な共同研究実施体制と共同研究内
容を綿密に詰める作業を行った。平成 22 年3月にインド共和国との正式な共同研究契約が結
ばれ、平成 22 年 7 月 18 日から 2 日間、インドのハイデラバードで、州知事も参加した盛大
なキックオフミーティング、研究グループ間のミーティングおよび全体ワークショップが開
催された。
4つの研究項目のうち、東京大学地震研究所が中心となって研究グループ 1. 地震災害の
軽減を担当しており、それに CIDIR メンバーも参画しており、インドにおいて強震動・GPS・
建物センサの観測ネットワークを構築することにより、地震ハザードおよび地震リスクの把
握を進め、インドにおける将来の地震災害軽減に資する研究に取り組んでいる。
平成 22 年 9 月にはインド側研究者が訪日して、日本で調達する機材の調査と具体的な研
究打ち合わせを実施し、11 月には日本から CIDIR メンバーがハイデラバードを訪問して、
日本から第 1 弾として調達された建物振動センサとポータブル微動観測装置の動作確認と研
修を行った。またインドにおける地震観測施設のフィールド調査を実施し、強震観測研究の
狙いと研究計画について議論した。
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CIDIR
中間評価(2011.3)
b.学会活動への寄与
b-1
社会情報学会との共催公開ワークショップ
平成 20 年 9 月社会情報学会(JASI)の共催による公開ワークショップ「総合防災情報研究
と事業・業務継続計画」を開催した。本ワークショップで、近年、企業や行政などで取組が
進められている事業・業務継続計画を、総合防災情報研究の視点から議論することを目的に
行ったものである。ワークショップでは、三菱総合研究所社会安全マネジメントグループの
木根原良樹リーダー、藤沢市の須藤俊明企画部担当部長、名古屋大学災害対策室の林能成助
教とともに、田中淳センター長が発表と討論を行った。
b-2
日本災害情報学会第 10 回学会大会
平成 20 年 10 月 25 日(土)、26 日(日)に節目となる日本災害情報学会第 10 回学会大会
を主催した(大会実行委員長
鷹野副センター長)。研究発表件数は過去最高の 65 件、大会参
加者も過去最高の 243 人となった。
b-3
日本災害復興学会第 2 回大会
平成 20 年 11 月 22 日(土)、23 日(日)の 2 日間にわたり、東京大学武田先端知ビル武田ホ
ールで日本災害復興学会第 2 回大会を主催した(大会実行委員長 田中センター長)。研究発
表 24 件に加えて、特別セッションでは「江戸に学ぶ災害文化」と題し、NHK解説委員山崎
登氏と歌舞伎役者で関西学院大学客員教授の中村吉右衛門氏との対談が、第 2 部として同じ
く山崎氏と災害史研究者の北原糸子氏、室崎益輝氏(日本災害復興学会会長・関西学院大学
総合政策学部教授)との鼎談が行われた。
b-4
日本災害情報学会「2008 年8月末豪雨等調査団」およびシンポジウム
平成 20 年は7月から8月にかけて発生した浸水被害を受け、日本災害情報学会では、
須見特任教授(CIDIR)を調査団長とする調査団を結成し、名古屋市・岡崎市・金沢市に
おいて、主に防災機関・放送局を中心に調査を行った。調査団報告を兼ねたシンポジウ
ム「検証 2008 ゲリラ豪雨災害~突発的水害を何で知り、どう伝えたか~」を平成 21 年
4月 11 日に東京大学山上会館において開催した。
54
CIDIR Annual Report 2011 ― 2012
2012 年 6 月 1 日 発行
編集・発行 東京大学大学院情報学環附属総合防災情報研究センター
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