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ブッシュ政権 ロードレスエリア規制見直し案を発表

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ブッシュ政権 ロードレスエリア規制見直し案を発表
July 15, 2004
JAWIC
財団法人 日本木材総合情報センターシアトル事務所
Japan Wood-Products Information and Research Center Seattle Office
Phone: +1(425)392-6003 Fax +1(425)391-3532
4327 246th Pl SE, Issaquah, WA 98029, USA
ブッシュ政権 ロードレスエリア規制見直し案を発表
ブッシュ政権は 7 月 12 日、連邦有林のロードエリア規制見直し案を発
表した。ブッシュ政権は、クリントン前大統領が任期末ぎりぎりで議会
を通過させたロードレスエリア規制の見直しを、選挙公約の一つに掲げ
ていた。
この案では現行のロードレスエリア規制の実施によって、連邦と州の
政策内容の相違から生じる混乱を解消するとともに、規制対象林の再検
討、州、先住民や地域住民、コミュニティー、地方自治体からの情報を
取り入れた弾力的な政策検討プロセスの導入、連邦が所有する森林や草
地における火災、病虫害等の防止、連邦有地で火災や病虫害等が発生し
た際のコミュニティー、家庭、財産等の保護、ロードレスエリア内に存
在する住民の財産へのアクセスの許認可が再検討される。
山林局では案に対するコメントを、案が発表された 7 月 12 日から起算
して 2 カ月間受け付ける。
今回の発表で特に強調されているのは、州と連邦の協調である。州政
府と連邦政府は政策が最終決定されるまでの期間、共同作業を行う予定
である。
ブッシュ政権には、クリントン前政権がロードレスエリアの策定にあ
たって、充分な調査と意見聴取をしなかったため、地域の事情を参酌し
ない画一的な規則になっていることが、現在の連邦有林活動の停滞・混
乱と、環境面を考慮した場合でも利用可能な資源へのアクセスができな
いために生じる損失を生んでいるとの判断がある。
ロードレスエリア規制は、これまでにアラスカ、アイダホ、ユタ、ノ
ースダコタ、ワイオミング、ワシントン D.C.の裁判所で、訴訟の対象と
なってきた。2003 年 6 月には連邦裁判所が、ロードレス規制は環境法と
原野法に抵触するとの判断を下したものの、翌 7 月にワイオミング地方
裁判所がロードレスエリア規制は実施されるべきとの仮決定をしている。
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現在ロードレスエリアの規制を受けている連邦有の森林と草地の面積
は 585 万 1,800 エーカー(236 万 8,000ha)で、39 の州に規制対象エリア
が存在する。ただし連邦有林は西部に集中していることもあって、西部
が占める規制面積は広い。全米で最も規制面積が広いのはアラスカで、
規制面積全体の 25.3%を占めている。またアラスカを除く西部各州の合
計規制面積は 517 万 ha(209 万 2,000ha)と、規制面積全体の 63.1%にあ
たる。
州別ロードレスエリア規制面積
(1,000 エーカー)
州
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
名
面積
%
アラスカ
アリゾナ
カリフォルニア
コロラド
アイダホ
モンタナ
ネバダ
オレゴン
ユタ
ワシントン
ワイオミング
アラバマ
アーカンサス
14,779
1,174
4,416
4,433
9,322
6,397
3,186
1,965
4,013
2,015
3,257
13
95
25.3
2.0
7.5
7.6
15.9
10.9
5.4
3.4
6.9
3.4
5.6
0.0
0.2
合計
西部(1∼10)
西部(1 を除く)
58,518
51,700
36,921
100.0
88.3
63.1
州
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
名
フロリダ
ジョージア
イリノイ
インディアナ
ケンタッキー
ルイジアナ
メイン
ミシガン
ミネソタ
ミシシッピー
ミズーリ
ニューハンプシャー
ニューメキシコ
面積
%
50
63
11
8
3
7
6
16
62
3
25
235
1,597
0.1
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.1
0.0
0.0
0.4
2.7
州
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
名
ノースカロライナ
ノースダコタ
オクラホマ
ペンシルバニア
プエルトリコ
サウスカロライナ
サウスダコタ
テネシー
テキサス
バーモント
バージニア
ウエストバージニア
ウィスコンシン
面
積
172
266
13
25
24
8
80
85
4
25
394
202
69
%
0.3
0.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.1
0.1
0.0
0.0
0.7
0.3
0.1
資料: USDA
今回の案では、具体的な伐採量の増加等についてはふれていないが、
アメリカ西部の各紙は、強力な規制をしてきたロードレスエリア規制が
見直されることによって、伐採量が増加する期待を記事に掲げている。
なおこの案についての詳細な資料は、http://roadless.fs.fed.us で閲覧できる。
(News Release 等 USDA 資料、Seattle Post-Intelligencer・7 月 12 日)
インターフォー社 米国 PNW に進出をもくろむ
カナダのインターフォー社は、7月9日、米国のクラウンパシフィッ
ク社が所有する 3 つの製材工場を、5,730 万 USD で、またさらに 1,600
万 USD で運転資本も買収すると発表した。
インターフォー社が買収しようとしているのは、ワシントン州のポー
トアンジェルス工場、メリースビル工場とオレゴン州のギルクリスト工
場で、3 工場合わせた製材品加工能力は、3 億 3,500 万 BF。これらの工
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場はクラウンパシフィック社社有林に近いので、資源調達環境が良い。
2003 年 6 月からクラウンパシフィック社は、破産による資産整理段階
にあり、負債額は昨年末の時点で 5 億 4,700 万 USD。今回のインターフ
ォー社の工場買収は、アリゾナ州フェニックスの連邦破産裁判所が実施
する競売を通じてなされる。インターフォー社よりも良い条件を示す入
札者が現れなければ、今年9月にも3工場は同社に買収される見込みで
ある。
インターフォー社が 3 工場を買収できれば、同社の年間製材品生産能
力は 13 億 BF となり、年間 1 億 2,000 万 CanD 以上の販売増収となる。し
かしインターフォー社の入札が失敗に終わっても、200 万 USD のブレー
クアップフィーと、50 万 USD の払戻金が同社に支払われる。
インターフォー社の製材工場別年間生産能力
(100 万 BF)
地域・工場名
生産能力
地域・工場名
BC インテリア
生産能力
BC コースタル
760
エーコン
180
フィールド
140
ハモンド
180
ギルクリスト
185
マッケンジー
50
メリースビル
40
スカミッシュ*
100
ウエスタンホワイトウッド
110
アダムスレイク
米国 PNW(買収予定)
ポートアンジェルス
合
計
200
200
335
110
1,295
注:スカミッシュ工場は閉鎖中
資料:インターフォー社ニュースリリース 7 月 9 日付け
(インターフォー社ニュースリリース・7 月 9 日、Vancouver Sun・7 月 10 日、
Seattle Post-Intelligencer・7 月 13 日)
BC 州の木材製品輸出好調 ―5 月の輸出額は 4 億カナダドル−
米国が高率の報復関税をカナダ産針葉樹製材品に課しているにもかか
わらず、BC 州の木材製品輸出は好調で、5月の輸出額は4億 CanD と、
BC 州全体の輸出額の半分近くに達した。また1∼5月累積の輸出額は、
BC 州全体で 126 億 CanD、その内の 57 億 CanD が木材製品輸出額である。
カナダ統計局は、BC 州の5月の製材品輸出額が、1∼4月の平均輸出
額に対して 16.5%上昇したと報告している。2003 年5月から、BC 州の
製材品価格は 46%上昇した。また同じく OSB、パーティクルボード、合
板を含む製材品以外の輸出額も5月は5%上昇しており、上昇した輸出
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額の半分は、製品価格の上昇によって、またもう半分は需要の増加によ
ってもたらされている。
ユーロに対するカナダドル安は、日本市場において、BC 州の製材品に
欧州材に対するより強い競争力を生んでいる。
沿岸部林業・製材協会のリック・ジェフェリー会長は、「日本市場は、
一定の利益を沿岸部の産業にもたらしている。製材品市場は安定してお
り、需要も好調である。これは主に、日本の住宅着工に起因している。
特に多くの BC 州沿岸部産ヘムロックを使ってくれる日本の在来工法が
とても安定している」と述べている。
(Vancoucer Sun・7 月 14 日)
BC 州沿岸部は過去 400 年間にない異常な乾燥状態
サンフランシスコに本拠地があり、8 カ国・29 大学から 140 人以上の
科学者を受け入れているグローバル・フォレスト・サイエンスのリース・
ヘルター氏は、通常は湿潤な沿岸部の森林が、今は危険な乾燥状態にあ
ると述べた。同氏は年輪測定の専門家であり、このような状態は 1580
年代以来で、沿岸部森林地帯の旱魃は 1996 年に始まっているという。ま
た今年は「3月に続いた高い気温が、表土から積雪を奪い去ったので、
特別に悪い条件にある。また異常な気象パターンにより、沿岸部で降る
はずの雨が、内陸部のプレーリーに降った。そして森林火災が北部沿岸
地域で発生している。通常であれば北部沿岸地域が、どれだけ湿潤なの
かは誰もが知っている。以前であれば森林火災が発生するとしても 8 月
であったが、今は6月に火災に見舞われている」とも語っている。
(Glove and Mail ・7月7日)
BC 州の大規模森林火災はクルクス南部火災を残すのみ
降雨と気温の低下により、先月末には5件あった大規模森林火災は、
クルスク南部の火災(2,005ha)1件となった。また7月 12 日には沿岸
部でのキャンプファイヤーが解禁されている。
本日の BC 州全体の火災発生状況は、BC 州森林局ウェブサイトの当該
情報が掲載されている部分にエラーが発生しているため不明である。12
日の時点では、コースト地区で 134 件の火災が延焼中で、606ha の森林
が4月1日以降、焼失している。この数値だけでみれば、7月 12 日の状
況は、7月7日の時点と比較して変化がない状況にある。
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森林に対する各種の規制状況
(2004 年 7 月 15 日)
コースタル
ノースウエスト
プリンスジョージ
カムループス
サウスイースト
カリブー
裸火の使用
×
〇
〇
×
×
×
キャンプファイヤー
〇
〇
〇
〇
〇
〇
森林への立ち入り
〇
〇
〇
〇
〇
×
旅行・通過
〇
〇
〇
〇
〇
〇
注:
資料:
〇は規制なし、×は規制
BC 州ウェブサイト
火災警戒水準
湿
度
いずれも BC 州森林局ウェブページから転載した 7 月 15 日午後 1 時の状況
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