直売向けカボチャの品種比較調査（PDF：533KB）

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試験分類 地産地消推進対策試験調査
課 題 名 直売向けカボチャ比較栽培調査
実施期間 平成 26 年度
４
担当
地域支援係
目的
本市の直売所では、食味が良く、形状の珍しいカボチャが売れやすい傾向にある。食味、形状の 2
点に注目し選定したカボチャについて、比較栽培調査を行う。
６ 平成 26 年度の結果
(１) 試験方法
ア 試験圃場及び規模：農業支援センター露地圃場 (R-10-1) 468 ㎡
イ 土質・土性：礫質褐色低地土・粘土質
ウ 供試品種
(ｱ)扁円・ハート型（良食味と期待される品種）
1.とっておき 2.白い九重栗（サカタ） 3.夢味（タキイ） 4.白爵（渡辺採種場）
(ｲ)ラグビーボール・長首型（形の珍しい品種・変形型）
5.ロロン（サカタ） 6.ながちゃん（雪印） 7.甘龍（ナント） 8.白栗（カネコ）
9.ごっちゃん長南瓜（松永）
エ 試験規模 １区面積 32.0 ㎡（8m×0.8m×4 株）反復なし
オ 耕種概要
・播
種：平成 26 年 4 月 5 日
セル成型 200 穴
・鉢 上 げ：平成 26 年 4 月 19 日 10.5ｃｍポリポット、菜花培土使用
・定
植：平成 26 年 5 月 29 日
ハウスマルチ栽培（ベッド幅 80cm）
・栽植密度：600cm×90cm・18 株／a
・施
肥：施肥量は慣行に準じた。元肥は堆肥・S879E をマルチ内、一部つる先に施用し
た。追肥は硫安を施用した。
・防除状況：殺虫剤 4 回、殺菌剤 5 回
・仕 立 て：子づる３本仕立て
・潅
水：慣行による
・交配期間：平成 26 年 6 月 22 日～7 月 9 日
実施回数 18 回
・収穫期間：平成 26 年 7 月 23 日～8 月 17 日 実施回数 10 回
７ 生育概要
（１）生育状況
定植後約 2 週間が経過した 6 月中旬に長雨と低温状態が続いていたが、下旬には夏日となる日
が続き草勢が回復した。収穫直前には、水はけの悪い畑の一部が水没し、一部品種の果実品質に
影響が出た。
草勢における品種間差は見られなかった。
（２） 整枝方法
一般的なカボチャの整枝法である子づる３本仕立てとした。
８．果実写真（収穫時）
（１）扁円・ハート型
写真 「とっておき」全景
写真 「白い九重栗」全景
写真 「とっておき」半割
写真 「白い九重栗」全景
写真 「夢味」全景
写真 「白爵」全景
写真 「夢味」半割
写真 「白栗」半割
（２）ラグビーボール・長首型
写真 「ロロン」全景
写真 「ながちゃん」全景
写真 「ロロン」半割
写真 「ながちゃん」半割
写真 「甘龍」全景
写真 「白栗」全景
写真 「甘龍」半割
写真 「白爵」半割
写真 「ごっちゃん長南瓜」全景
写真 「ごっちゃん長南瓜」半割
表 1 収量調査
５株調査
項目
品種
総収穫果数
（個）
1 株当たりの収穫
果数(個)
平均重量
（g/個）
総収量（g）
10a 当たりの
収量（t）
1a 当たりの
収量（kg）
とっておき
22
4.4
1,976.1
43,475.0
1.1
108.7
白い九重栗
14
2.8
2,231.9
35,711.0
0.9
89.3
ロロン
28
5.6
1,942.0
54,376.0
1.4
135.9
ながちゃん
25
5.0
2,773.7
69,342.0
1.7
173.4
夢味
26
5.2
1,695.2
44,076.0
1.1
110.2
甘龍
17
3.4
1,814.8
30,852.0
0.8
77.1
白爵
18
3.6
1,596.4
28,736.0
0.7
71.8
白栗
21
4.2
3,143.6
66,016.0
1.7
165.0
ごっちゃん長南瓜
21
4.2
2,134.2
44,818.0
1.1
112.0
収穫個数は「白い九重栗」の 14 個が最少で、「ロロン」の 28 個が最多となった。収量は、平均重の大
きい「ながちゃん」や「白栗」が優れる。この 2 品種は珍しい形状のため、販売時にはあわせて調理方
法も提案していく必要がある。一部の白皮カボチャは黒皮カボチャより着果が少ない傾向が見られた。
（６）考察
今回栽培したカボチャの食味について、数軒の生産者から聞き取りしたところ、ラグビーボール・長
首型のうち、
「甘龍」の食味がいいとの意見が多く、直売向き品種で有望と考えられる。
（「甘龍」につい
てはこれまでの支援センター栽培試験でも毎年安定した評価を得ている）
。また市内の直売ではすでに定
番となっている品種「ながちゃん」
、
「ロロン」等についても評価が高い傾向が見られた。
扁円・ハート型では、
「とっておき」の果肉がほっくりとしており高評価となった。
白皮種は長期貯蔵のできる品種が多いが、収穫直後の食味は糖度も低い傾向が見られる。長期間の貯
蔵後に糖度を増した段階で食用に供するのが、品種特性に即した保存方法と言える。