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上越教育大学附属小学校3年2組 38 人 ∼山がだいすき!とっておき

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上越教育大学附属小学校3年2組 38 人 ∼山がだいすき!とっておき
上越教育大学附属小学校3年2組
38 人
∼山がだいすき!とっておき☆やすづか∼
このクラスの子どもたちは、
「上越のとっておき」を見つけていく学習に取り組んでいます。
朝市で売っている山菜に興味を持ち、そのふるさとをたずねることになりました。
春から秋にかけて四回安塚をおとずれた38人。地元のインストラクターの方と一緒に、
「安塚のとっておき」をさがします!
∼ インストラクター
紹介 ∼
秋山 和喜(アキヤマカズキ)
:
元小学校教員。安塚区在住。田んぼ
や畑で精を出すかたわら、山歩きを
楽しんでいる。山の植物や動物に造
詣が深く、子どもたちに愛情をこめ
て自然界のつながりを語る。どんな
ことをすれば子どもたちが楽しめる
か、いつも考えている先生である。
豊岡 明子(トヨオカアキコ):
元中学校教員。退職後、小学生に
できる実験や山での生き物の観察
イベントを毎月のように開催し、
自然科学への興味を導き出す活動
をしている。新鮮な感覚を持って
子どもに接する。
「感じる」ことを
教えてくれる先生である。
山田 洋(ヤマダヒロシ):
雪だるま高原キューピットバレイに勤
務しているだけあって、その周辺の動
植物に詳しい。子どもの目線でわかり
やすい説明をしてくれる。遊び心を持
って接するので子どもたちに慕われ
る、やさしいお父さんである。
春
山菜とり
5月13日
お店で売っている山菜は、どんなところに生えているんだろう。学
校からバスにゆられて40分。最後は何回もカーブしながら、ぐん
ぐん山を上がってやっと着きました。ここは安塚区石橋(いしばし)
です。
広くて日当たりのよい所にいっぱい生えていたの
は、ヨモギ。天ぷらにするとおいしい!おもちにま
ぜればきれいな草もちになるよ。
「これ、道路の横とかにあるよね!」
「どこらへんからとればいいの?」
「大きいのは固いから小さめのをポキンと折って
ね」
10本とりましょう、と言われて、
「1,2,3・・・」
きちんと数える子どもたちです。
「くきの皮をむいてかじってごらん。
」
「ええっ食べられるの?」これはイタドリといいま
す。おやつなんてなかった昔、帰り道にかじったも
んだ、と聞く「すかんぽ」
「すいば」のことです。
こわごわ食べてみたら、ちょっと青くさいけどすっ
ぱくて不思議な味。さきっぽや葉っぱは天ぷらにで
きるんだって!!
もうすぐ小さなかわいい花を咲かせそうな
ウワミズザクラ。つぼみのうちに食べます。
活動の後は山菜の天ぷら、竹の子のみそ汁、ウドのごまあえでお昼ごはん。天ぷらの材料はコゴメ・
ヨモギ・コシアブラ、そしてちょっと苦みのあるウワミズザクラでしたが、採りたて・揚げたての
山菜はおいしくておなかいっぱいいただきました!
初夏
ブナ林探検
6月8日
青葉が茂り始める季節。今度は山菜のふるさとよりもっと山奥?菱ヶ岳グリーンパークへ探検に
出かけました。インストラクターは、山田さんと、豊岡さん。お二人の案内で、ブナ林の 不思
議
とっておき をいくつも見つけたようですよ。
(文中の太い字体は子どもの感想です。
)
ブナ林に足をふみ入れる
と、なんだかすずしい。
なんと、林の外よりも6度
も低いのです。
びっくりしました!!
「ブナに降る雨は、葉っぱや
枝をつたって幹を流れ落ち
る。そして自分の根っこで吸
い上げる。幹にある黒いすじ
は流れるあとがついている
んだよ。」と聞いて、感心す
る子どもたち。手でさわって
みたら、つるつる、さらさら、
していたようですよ。
池の周りにはモリアオガエルがいっぱいいました。おんぶしているのもいました。
モリアオガエルは、水の中には入らないから
水かきはないと教えてもらいました。
なんで森に住んでいるんだろう?
きゅうばん が
すごく強いん
ですね!
モリアオガエルは池にせり出した木の枝や草にあわ
で守られた卵を産み付けます。あわの中でおたまじゃ
くしになり、雨が降ると池に落下して水中で過ごすの
です。足が生えると陸に上がり、森の中へ入って行き
ます。木の上で生活するので、吸盤が発達しています。
すごくヌルヌルな感じで、おもしろい卵でした。
クロモジっていう木は、とっ
てもいいにおいがするの。和
菓子をいただく時に使う、ち
ょっと高級な感じのつまよ
うじを知ってる?あれはこ
の木をほそーく削って作っ
ているんだよ。
昔の人は歯磨きやつ
まようじとして使っ
ていたという話があ
ってとても勉強にな
りました。
豊岡先生がだいすきなクロモジという木は、ミントのようなかおりがしました。
とてもいいにおいでいい気持ちになりました。
朝 市 で 売 ら れ て い た 、 細 い た け の こ を 見 つ け ま し た !
(山中に生えている写真がなくてすみません・・・。)
チシマザサという笹の
たけのこです。上越で
笹の近くや笹からネマガリ
タケが生えているなんて初
めて知りました。
はさばの缶詰と一緒に
味噌汁にして食べる習
慣があります。
お母さんにたけのこのことや
ブナ林のことを教えたら、お母
さんが「いつか行ってみたい
ね」と言ってくれました。
子どもたちが楽しんだたけのこ採り。朝市で売っていたものが森の中にたくさん生えていることに驚きな
がら採ったたけのこは、家でみそ汁やたけのこご飯にしてもらって食べた人が多かったようです。
「とってもおいしかったです」と多くの子どもたちが感想に書いていました。
担任の先生より…
春の山菜体験で山の楽しさに目覚めた子どもたちにとって、さら
に奥のブナ林を探検し、新たな発見をできたことはとても有意義
な体験となりました。
秋
ブナ林体験その 2
10 月 4 日
実りの秋を迎える山をとても楽しみにしていた子ども
たち。今回は再び秋山先生のもと、グリーンパークへ。
『つながり』というテーマを持ってのぞみます。
この木の葉っぱ、丸まってるでしょう?
中に虫の幼虫がいて、外敵から身を守りな
がら大きくなれる。植物の葉は生き物(虫)
の住みかにもなるんだよ。
春にたくさんいたモリアオガエルは、池の周りには
いませんでした。森の中へ入っていったそうです。
森の中には、いろんな木の実がなっていました。
もいで食べてみました。みんな大喜び(^0^)//
ヤマボウシ
木になっている
実なんて初めて
食べるよ!
ブナの実は
ミルクみたいな
味がしておいし
かったです。
ヤマボウシは
・外がチクチクしているのに中はやわらかくて
甘かったです。
・さくらんぼのようでした。種がたくさんあっ
てびっくりしました。
・イチジクみたいな味でおいしかったです。
ツノハシバミは中
はおいしかったけ
ど外はすっぱかっ
たです。ちょっと
不思議でした。
わたしたちは果物を食べる時に種を出すけれど、動物は丸
ごと飲みこんで、消化できない固い種はどこかでフンとし
て出します。種はそこで芽を出し成長していくことになり
ます。
自分では歩いていけない植物が、あちこちに仲間を増やし
ていくためにおいしい実をつけて食べてもらう。かしこい
方法ですね!
動物の体にくっついて運んでもらう種もあるんですよ。
左:ブナの実
ヌスビトハギ
右:ツノハシバミの実
ヌスビトハギは、洋服
などにくっつく「森の
磁石」ですね!
ブ ナ っ て
すごいね!
ほとんど雨が降らず、水を節約しなければならなかった平成 16 年夏。安塚だけはずっとプールに
入ることができました。ブナの森は、土の中を水が少しずつ少しずつしみこんで流れていく働きに
太平洋側のブナより日本海側のブナ
の方が葉は大きい。
なぜかっていうと、日本海側は雪が降
るから、栄養を作れる期間が短い。
だから葉っぱを大きくして、短い時間
でもたくさん栄養を作れるように自
分で工夫しているんだ。
ブナはすごくかっこよかっ
たです。ブナのおかげでプ
ールに入れたと聞いて、こ
んな活躍をするブナは無敵
だと思いました。
ブナはたくさんの葉っぱがじ
ょうごのように働いて、降っ
た雨を自分の根っこに集め
る。同じように、冬になる前
に落とした葉っぱは自分の栄
養にするんだよ。
森には困った問題もある。山を見た時に、赤茶色にかれた木
を見つけたことはないだろうか。
「カシノナガキクイムシ」という虫が木に穴を開ける時に、
悪い病原菌をつけてしまってナラをからしてしまう。
どうしたらよいか対策を考えている間に、被害はどんどん広
がってしまっている。
木をからしてし
まうのは虫のし
わざだなんて初
めて知りました。
木はみんなを守ってくれ
ているのだから、人間は
木を切り倒すんじゃなく
守った方がみんな喜ぶと
思います!
秋
きのことり
10 月 27 日
前回から二週間。色づいた森の足元には、き・の・こ!
秋の とっておき 子ども達にも見つけられるかな?
「キノコってね、『木の子』って書くの。
木の子ども、ってことだよ。どういうことかわかるかな?」
「木から栄養をもらっている!」
「そうだね!でも、もらっているだけだと思う?ちょっと考えてみようか。」
① 生きた木から生えるキノコ
マツタケは、松の根にくっついて松から栄養をもらう。
松の根っこはキノコからくすぐられているみたいな感じになり(しげきを受けて)どんどん成長する。
つまり、おたがいに大きくなれるというわけだ。
② くさった木から生えるキノコ
倒れてかれた木からナラタケ、ツキヨタケ、ナメコなど多くの種類のキノコが生える。
くさった木からキノコは栄養をもらって大きくなる。
逆にキノコは、木の成分である「セルロース」を分解する働きがあって、有機物にしてくれる。
その有機物が、倒れた木の子どもが成長できるための栄養となるんだよ。
③ セミのさなぎやハエの幼虫に寄生するキノコ
「冬虫夏草(とうちゅうかそう)
」→ 薬として人間は利用する。
木ときのこは、おたがいに助け合って生きていることがわかったかな?
キノコと木が協力しあって生きていることを
学びました。ぼくたちの生活に木が必要な
のでこれからも木を守ります!
採ったキノコは袋に木
の葉や笹の葉を入れて
おくとつぶれないよ!
アドベンチャーみたいな森の中に入って
おもしろかった!
どろにはまったり、すべったりしてたいへ
んだったけど、キノコを取りたくて
がんばりました。
・・・ずんずん奥へ進む秋山先生。筆者は最後尾にい
たので先生の話は詳しく聞けませんでしたが、キノコ
を見つけたりすべったり、あちこちから歓声!?が聞こ
えてきました。
秋山先生に「落ち葉をめくってみてごらん」と言われて
見てみたら、ほんとにキノコがあってびっくりしました。
キノコはくさった木や木の根元に生えていることが
よくわかりました。
コンニャクみたいにくにょくにょしている
きのこがあってびっくりしました!
これはドクベニタケと
言うんだけど毒はない
の。苦くて食べてもお
いしくないけどね!
名前に「ドク」とついていてもドクじゃないキノコがあると知って
どうしてかなと思いました。
ドクみたいな色なのにドクじゃなくて食べられるキノコもあって
おどろきました。
すばらしいことを教えてもらいました。
それは自然も助け合いをしていることです。
自然は、きれいだけじゃなくてお返しもする
んですね。
「自然ってとてもすてきだな」と思いました。
その自然を未来へ残して行った方が、木を切
り倒して便利なくらしになるよりずっといいと
思います。
キノコがたっぷり入ったキノコ汁を作ってくれてあり
がとう。とってもおいしかったです。おべんとうより
おいしかった!
4回にわたって安塚の山で体験活動をした3年2組の38人。
何にでも興味を示し、おじけづかない子どもたちは先生方のお話を
しっかり心に受け止めて、自然への思いを深めることができたよう
でした。
冬にはスキーに来る予定です。歩き回った森が雪にすっぽり包まれ
るころに再会ですね!
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