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システアミン又はその塩を含有する組成物の、泌乳動物の泌乳を向上
JP 2005-509602 A 2005.4.14 (57)【 要 約 】 【解決手段】システアミン又はその塩を含有する組成物の、泌乳動物の泌乳を向上させる ための使用。 (2) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【特許請求の範囲】 【請求項1】 泌乳動物の泌乳を向上させるための、システアミン、その塩、又はシステアミン若しく はその塩を含む組成物の使用。 【請求項2】 前記泌乳の向上が、乳収量の増加である請求項1の使用。 【請求項3】 前記泌乳の向上が、脂肪調整乳収量の増加である請求項1又は2の使用。 【請求項4】 前記泌乳の向上が、その中の乳脂肪含有量の増加である請求項1、2又は3の使用。 10 【請求項5】 前記泌乳の向上が、その中の乳蛋白含有量の増加である請求項1ないし4のいずれか1 項の使用。 【請求項6】 前 記 組 成 物 が 、 実 質 的 に 1な い し 95wt%の NH2 -CH2 -CH2 -SHの 化 学 式 を 有 す る シ ス テ ア ミ ン 又はその塩を含む請求項1ないし5のいずれか1項の使用。 【請求項7】 前 記 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 が 、 実 質 的 に 30wt%の シ ス テ ア ミ ン を 含 む 請 求 項 6 の 使 用 。 【請求項8】 20 前 記 組 成 物 が 、 実 質 的 に 1な い し 80wt%の 安 定 剤 を 含 む 請 求 項 1 な い し 7 の い ず れ か 1 項 の使用。 【請求項9】 前記安定剤が、シクロデキストリン又はその誘導体を含む群から選択される請求項8の 使用。 【請求項10】 前 記 組 成 物 が 、 実 質 的 に lOwt%の 前 記 安 定 剤 を 含 む 請 求 項 8 又 は 9 の 使 用 。 【請求項11】 前記組成物が、嵩上げ剤、崩壊剤及びコートされた担体を含む群から選択される1又は それ以上の成分を更に含む請求項1ないし10のいずれか1項の使用。 30 【請求項12】 前記コートされた担体が、固体担体である請求項11の使用。 【請求項13】 前記コートされた担体が、前記動物の腸内で可溶なコーティングである請求項11又は 12の使用。 【請求項14】 前記コートされた担体が、前記組成物において多層構造を呈する請求項11、12又は 13の使用。 【請求項15】 前 記 コ ー ト さ れ た 担 体 が 、 pH 1.5な い し 3.5に お い て 、 不 溶 の ま ま で あ る よ う に 適 合 さ 40 れている請求項11ないし14のいずれか1項の使用。 【請求項16】 前記泌乳動物が、酪農牛である請求項1ないし15のいずれか1項の使用。 【請求項17】 システアミン又はその塩及び安定剤を含有する組成物を含む、泌乳動物の泌乳を向上さ せるための飼料。 【請求項18】 前記泌乳の向上が乳収量の増加である請求項17の飼料。 【請求項19】 前記泌乳の向上が、脂肪調整乳収量の増加である請求項17又は18の飼料。 50 (3) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【請求項20】 前記泌乳の向上が、その中の乳脂肪含有量の増加である請求項17、18又は19の飼 料。 【請求項21】 前記泌乳の向上が、その中の乳蛋白含有量の増加である請求項17ないし20のいずれ か1項の飼料。 【請求項22】 前 記 組 成 物 が 、 実 質 的 に 1な い し 95wt%の NH2 -CH2 -CH2 -SHの 化 学 式 を 有 す る シ ス テ ア ミ ン 又はその塩を含む請求項17ないし21のいずれか1項の飼料。 【請求項23】 10 前 記 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 が 、 実 質 的 に 30wt%の シ ス テ ア ミ ン を 含 む 請 求 項 2 2 の 飼 料。 【請求項24】 前記安定剤が、シクロデキストリン又はその誘導体を含む群から選択される請求項17 ないし23のいずれか1項の飼料。 【請求項25】 前 記 組 成 物 が 、 実 質 的 に 1な い し 80wt%の 前 記 安 定 剤 を 含 む 請 求 項 1 7 な い し 2 4 の い ず れか1項の飼料。 【請求項26】 前記組成物が、嵩上げ剤、崩壊剤及びコートされた担体を含む群から選択される1又は 20 それ以上の成分を更に含む請求項17ないし25のいずれか1項の飼料。 【請求項27】 前記コートされた担体が、固体担体である請求項26の飼料。 【請求項28】 前記コートされた担体が、前記動物の腸内で可溶なコーティングである請求項26又は 27の飼料。 【請求項29】 前記コートされた担体が、前記組成物において多層構造を呈する請求項26、27又は 28の飼料。 【請求項30】 30 前 記 コ ー ト さ れ た 担 体 が 、 pH 1.5な い し 3.5に お い て 、 不 溶 の ま ま で あ る よ う に 適 合 さ れている請求項26ないし29のいずれか1項の飼料。 【請求項31】 前記泌乳動物が、酪農牛である請求項17ないし30のいずれか1項の飼料。 【請求項32】 前 記 組 成 物 を 実 質 的 に 400な い し lOOOppm含 む 請 求 項 1 7 な い し 3 1 の い ず れ か 1 項 の 飼 料。 【請求項33】 そ の 乾 燥 状 態 に お い て 、 実 質 的 に 1000な い し 2174ppmの 前 記 組 成 物 を 含 む 請 求 項 1 7 な いし31のいずれか1項の飼料。 40 【請求項34】 実 質 的 に 120な い し 300ppmの シ ス テ ア ミ ン を 含 む 請 求 項 1 7 な い し 3 1 の い ず れ か 1 項 の飼料。 【請求項35】 そ の 乾 燥 状 態 に お い て 、 実 質 的 に 200な い し 650ppmの シ ス テ ア ミ ン を 含 む 請 求 項 1 7 な いし31のいずれか1項の飼料。 【請求項36】 ノーマルプレミックス、コーンミール、綿実、小麦グルテン、トウモロコシサイレージ 、カブハボタン、砂糖大根パルプ、リンゴパルプ、ライグラス、ウシノケグサ、アルファ ルファ、飼料濃縮物及び飼料サプレメントを含む群から選択される他の食品を含む請求項 50 (4) JP 2005-509602 A 2005.4.14 17ないし35のいずれか1項の飼料。 【請求項37】 泌乳動物の泌乳を向上させるための方法であって、 (a)シ ス テ ア ミ ン 又 は そ の 塩 及 び 安 定 剤 を 含 む 組 成 物 を 、 前 記 動 物 に 好 適 な 基 礎 飼 料 と 混合することにより最終飼料を生産する工程、並びに (b)前 記 動 物 に 、 前 記 最 終 飼 料 を 給 餌 す る 工 程 を含む方法。 【請求項38】 前 記 工 程 (a)の 混 合 に は 、 前 記 組 成 物 を 前 記 基 礎 飼 料 と 直 接 混 合 す る こ と が 含 ま れ る 請 求項37の方法。 10 【請求項39】 前 記 工 程 (a)の 混 合 に は 、 先 ず 、 シ ス テ ア ミ ン 又 は 前 記 組 成 物 を 含 む プ レ ミ ッ ク ス を 調 製し、引き続いて、前記プレミックスを前記基礎飼料と混合することが含まれる請求項3 7の方法。 【請求項40】 前記プレミックスが、システアミン又は前記組成物を、コーンミールを含む群から選択 される食材と混合することにより調製される請求項39の方法。 【請求項41】 前 記 プ レ ミ ッ ク ス が 、 5な い し 25wt%の 前 記 組 成 物 を 含 む 請 求 項 3 9 又 は 4 0 の 方 法 。 【請求項42】 20 前 記 プ レ ミ ッ ク ス が 、 10な い し 20wt%の 前 記 組 成 物 を 含 む 請 求 項 3 9 、 4 0 又 は 4 1 の 方法。 【請求項43】 1日 当 た り 動 物 1 頭 あ た り 、 実 質 的 に 5.64な い し 12.71gの シ ス テ ア ミ ン 又 は そ の 塩 を 前 記動物に給餌することを含む請求項37ないし42のいずれか1項の方法。 【請求項44】 1日 当 た り 動 物 1 頭 あ た り 、 実 質 的 に 18.79な い し 42.36gの 前 記 組 成 物 を 前 記 動 物 に 給 餌 することを含む請求項37ないし42のいずれか1項の方法。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 30 【0001】 本 発 明 は 、 シ ス テ ア ミ ン の 用 途 、 又 は 泌 乳 動 物 (lactating animal)、 特 に 酪 農 牛 の よ う な酪農動物であるが、これに限定されるものではないものの泌乳を向上させるためのシス テアミン含有組成物に関する。本発明は、泌乳動物の泌乳を向上させるための方法及び飼 料にも関する。 【背景技術】 【0002】 酪農牛のような酪農動物の泌乳を制御するうえで、成長ホルモンは重要な役割を果たし ていることが研究により指摘されている。酪農動物についての更なる研究により、酪農動 物からの牛乳生産は、動物に外因性成長ホルモンが投与された場合に増加することが示さ 40 れている。しかしながら、牛乳生産を増加させる際に成長ホルモンを直接使用することに は、多くの欠点がある。第一に、異なる動物からの成長ホルモンは、ほとんど均一ではな く、また、異なる酪農動物は、特定のタイプの成長ホルモンにのみ反応する。好適な外因 性成長ホルモンは、通常、下垂体から抽出されるので、大スケール適用における使用のた めに十分な量の好適な外因性成長ホルモンを調製することは、かなり困難かつ非経済的で あ る 。 外 因 性 成 長 ホ ル モ ン は 、 今 や 、 DNA組 換 え 技 術 を 用 い て 調 製 可 能 で あ る が 、 そ の よ うな方法により製造された外因性成長ホルモンは、未だかなり高価である。第二に、酪農 動物への外因性成長ホルモンの投与は、通常、直接注射により行われるところ、これは、 かなりコストがかかることが避けられず、また大きい農場においては投与が困難である。 第三に、所望の効果を正確に産生するために投与される投与量を制御することはかなり困 50 (5) JP 2005-509602 A 2005.4.14 難であり、外因性成長ホルモンの過多投与は、動物に対して有害で有り得る。第四に、こ れらの外因性成長ホルモンの残留物が、酪農製品へ移動しh、引き続いて、それを消費す ることにより、ヒトへ移動する。いく人かの科学者は、ヒトに対するこれらの外因性成長 ホルモンの負の副作用について懸念を有しているが、これに関するさらなる研究が必要と されている。 【0003】 システアミンは、コエンザイムAの成分であり、生理学的調節因子として作用する。シ ステアミンは、肉産生動物の成長を促進するための飼料への添加物として使用されてきた 。 米 国 特 許 第 4,711,897号 に は 、 動 物 給 餌 方 法 及 び シ ス テ ア ミ ン を 含 有 す る 飼 料 組 成 物 が 開示されている。しかしながら、システアミンは、通常の室温条件下ではかなり感受性が 10 ありかつ不安定な化合物であることが認められてきた。例えば、システアミンは、空気又 は高められた温度に曝されると、容易に酸化する。システアミンは、高いハイドロスコー プ 性 が あ る ( hydroscopic) 。 ま た 、 シ ス テ ア ミ ン は 、 口 か ら 直 接 取 り 入 れ る と 、 不 快 で ある。さらに、直接システアミンを摂取すると、望ましくない胃副作用を引き起こすであ ろう。これらの理由から、システアミンの使用は、長い間、肉産生動物へシステアミン含 有溶液を直接注射することに限られてきた。 【0004】 PRC特 許 公 開 第 CN1358499号 及 び 国 際 公 開 第 WO/0248110号 に は 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 であって、成長を促進しかつ動物体重を増加させるための基本動物飼料と混合することが できる組成物の改良が開示されている。しかしながら、酪農動物、特に酪農牛による泌乳 20 を増加させるための組成物、飼料及び/又は方法への必要性が続いて存在している。好ま しくは、組成物及び方法は、安全であり、かつ容易に投与でき、かつ実施するために安価 である。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 すなわち、本発明の目的は、上述の問題点を解決するために努力することであるか、又 は少なくとも有用な代替物を世に提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 30 本 発 明 の 第 一 の 側 面 に よ れ ば 、 泌 乳 動 物 (lactating animal)の 泌 乳 を 向 上 さ せ る た め の 、システアミン、その塩又はシステアミン若しくはその塩を含有する組成物の用途が提供 される。 【0007】 本発明の第二の側面によれば、泌乳動物の泌乳を向上させるための、システアミン又は その塩及び安定剤を含有する組成物を含む飼料が提供される。 【0008】 本発明の第三の側面によれば、泌乳動物の泌乳を向上させるための方法であって、シス テアミン又はその塩及び安定剤をその動物に好適な基本飼料と混合することにより最終飼 料を生産する工程と、その最終飼料を動物に給餌する工程とを含む方法が提供される。 40 【0009】 泌乳を向上させることは、牛乳収量、脂肪調整牛乳収量、その中の乳脂肪含有量及び/ 又はその中の牛乳蛋白含有量を増加させることで有り得る。 【0010】 好 ま し く は 、 本 発 明 の 組 成 物 は 、 化 学 式 NH2 -CH2 -CH2 -SHを 有 す る シ ス テ ア ミ ン 又 は そ の 塩 を 実 質 的 に 1な い し 95wt%含 む 。 具 体 的 に は 、 本 発 明 の 組 成 物 は 、 実 質 的 に 30wt%の シ ス テインを含むことができる。 【0011】 好 適 に は 、 本 発 明 の 組 成 物 は 、 実 質 的 に 1な い し 80wt%の 安 定 剤 を 含 む 。 こ の 安 定 剤 は 、 好ましくはシクロデキストリン又はその誘導体を含む群から選択される。具体的には、本 50 (6) JP 2005-509602 A 2005.4.14 発 明 の 組 成 物 は 、 実 質 的 に 10wt%の 安 定 剤 を 含 む こ と が で き る 。 【0012】 有 利 に は 、 本 発 明 の 組 成 物 は 、 嵩 上 げ 剤 (bulking agent)、 崩 壊 剤 及 び コ ー ト さ れ た 担 体を含む群から選択される1又はそれ以上の成分を更に含有することができる。好ましく は、いくつかの態様においてコートされた担体は、動物の腸内で溶解するコーティングで あ る 固 体 担 体 (carrier)で あ る 。 コ ー ト し た 担 体 は 、 好 適 に は 、 本 発 明 の 組 成 物 に お い て 多 層 構 造 を 示 す 。 コ ー ト し た 担 体 は 、 好 ま し く は 、 pH 1.5な い し 3.5に お い て 非 溶 解 の ま まであるように適合している。 【0013】 好 ま し く は 、 飼 料 は 、 実 質 的 に 400な い し 1000ppmの 組 成 物 、 又 は 乾 燥 状 態 に お い て 実 質 10 的 に 1000な い し 2174ppmの 組 成 物 を 含 む 。 あ る い は 、 飼 料 は 、 実 質 的 に 120な い し 300ppmの シ ス テ ア ミ ン 、 又 は 乾 燥 状 態 に お い て 実 質 的 に 200な い し 650ppmの シ ス テ ア ミ ン を 含 む 。 【0014】 いくつかの態様において、飼料は、ノーマルプレミックス、コーンミール、綿実、小麦 グ ル テ ン 、 ト ウ モ ロ コ シ サ イ レ ー ジ 、 カ ブ ハ ボ タ ン (rutabaga)、 砂 糖 大 根 パ ル プ 、 リ ン ゴ パ ル プ 、 ラ イ グ ラ ス (Ryegrass)、 ウ シ ノ ケ グ サ (Fescue grass)、 ア ル フ ァ ル フ ァ 、 飼 料 濃 縮 物 (feed concentrate)及 び 飼 料 サ プ レ メ ン ト を 含 む 群 か ら 選 択 さ れ る 他 の 栄 養 素 を 含 む 。 【0015】 一つの態様において、混合には、上記組成物を基礎飼料と直接混合することが含まれる 20 。別の態様において、混合には、まず、システアミン又は本発明の組成物を含むプレミッ クスを調製し、引き続いて、そのプレミックスを基礎飼料と混合することが含まれる。プ レミックスは、システアミン又は本発明の組成物をコーンミールのような食材と混合する こ と に よ り 調 製 さ れ る 。 プ レ ミ ッ ク ス に は 、 好 ま し く は 、 5な い し 25wt%の 組 成 物 が 含 ま れ る 。 具 体 的 に は 、 プ レ ミ ッ ク ス に は 、 10な い し 20wt%の 組 成 物 が 含 ま れ る 。 【0016】 好 ま し く は 、 動 物 に は 1 日 当 た り 動 物 1 頭 に 、 5.64な い し 12.71gの シ ス テ ア ミ ン 又 は そ の 塩 を 給 餌 す る か 、 19.79な い し 42.36gの 組 成 物 を 給 餌 す る 。 あ る い は 、 動 物 に は シ ス テ アミン又は組成物の2倍量を給餌するが、その投与の頻度は、毎日の代わりに、隔日に減 らすことができる。同じ結果が得られるであろう。 30 【0017】 上述した泌乳動物は、酪農牛であり得る。 【発明の詳細な説明】 【0018】 本発明を添付の図面を参照して、非制限的例のみのにより説明する。図1は、実験での 3群の酪農牛の泌乳レベルを示すグラフである。 【0019】 本発明は、システアミン又はシステアミン含有組成物が、酪農牛のような泌乳動物に投 与された場合、酪農牛からの泌乳を向上させる作用を有することを実証したことに基づく 。以下に言及される泌乳動物又は酪農動物には、酪農牛のようないずれもの乳産生動物が 40 含 ま れ る 。 こ の 発 見 に 先 立 ち 、 シ ス テ ア ミ ン 又 は そ の 変 種 (variants)若 し く は 誘 導 体 が 、 そのような活性を有するかもしれないことの示唆も十分な指示もなかった。本発明は、泌 乳動物の泌乳を向上させるための飼料及び方法も提供する。本発明の使用により、酪農動 物の泌乳の後期中の乳収量を長引かせ、かつ高めもする。本発明は、システアミン又はシ ステアミン含有組成物を、好適な基礎飼料と直接混合することによって実施することがで きる。あるいは、本発明は、まず、システアミン又はシステアミン含有組成物及びコーン ミールのような他の成分からなるプレミックスを混合し、次に、そのプレミックスを好適 な基礎飼料と混合し、最終飼料を形成することにより実施することができる。 【0020】 シ ス テ ア ミ ン の 効 果 の 一 つ は 、 PRC特 許 公 開 第 CN1358499号 に 記 載 さ れ 、 そ の 内 容 は 、 引 50 (7) JP 2005-509602 A 2005.4.14 用により本発明に取り込む。しかしながら、システアミンのこれまでに未知の効果は、そ の泌乳動物の泌乳を向上させる効果である。システアミン又はシステアミン含有組成物の 泌乳動物への効果を以下に説明する。生理学的活性を有するシステアミンは、成長刺激物 質 と し て 作 用 す る と 信 じ ら れ て い る 。 天 然 シ ス テ ア ミ ン は 、 コ エ ン ザ イ ム A ( CoA-SH又 は CoAと し て も 既 知 で あ る ) の 一 部 分 で あ り 、 パ ン ト テ ン 酸 の コ エ ン ザ イ ム パ タ ー ン で あ る 。代謝経路において、コエンザイムAは、コエンザイムAのヒドロスルフリルに結合する ヒドロスルフリルのバリアント又はジヒドロスルフリルの担体として作用する。豚、家禽 (poultry) 、 ニ ワ ト リ (fowls) 、 ヤ ギ 、 ウ サ ギ 及 び 魚 の よ う な 他 の 動 物 に 対 し て 行 っ た 実 験 で は 、 シ ス テ ア ミ ン が 、 動 物 の ソ マ ト ス タ チ ン (SS)を 枯 渇 さ せ 得 る こ と が 示 さ れ た 。 こ のことにより動物の血液中の成長ホルモンのレベルを上昇させ、同時に、インスリン様成 10 長 因 子 I(IGF-I)、 イ ン ス リ ン 、 ト リ ヨ ー ド サ イ ロ ニ ン (T3)、 ト リ サ イ ロ キ シ ン ( trthyrox ine) (T4)及 び ベ ー タ エ ン ド ル フ ィ ン ( ベ ー タ -END)を 含 む 多 く の 他 の 成 長 刺 激 因 子 の レ ベ ルも上昇させる。本発明に関連して、成長ホルモンは、酪農動物の哺乳類腺及びそれから の泌乳の維持の活性及び展開を直接に刺激すると信じられている。 【0021】 これらの多くの成長促進因子の上昇に伴い、動物の消化代謝速度が相対的に上昇する。 動物の一般的な蛋白合成速度がそれに従い上昇し、よって、泌乳が増加すると理解されて いる。 【0022】 本 発 明 に お い て 用 い ら れ る シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 に は 、 2 つ の 主 要 な 成 分 、 1な い し 9 20 5wt%の シ ス テ ア ミ ン ( 又 は そ の 塩 、 例 え ば 、 そ の シ ス テ ア ミ ン 塩 酸 塩 又 は 他 の 薬 学 的 に 許 容 さ れ 得 る 酸 付 加 塩 ) と 、 1な い し 80wt%の 担 体 、 例 え ば 、 包 摂 化 合 物 ホ ス ト 材 料 と が 含 ま れ る 。 シ ス テ ア ミ ン の 化 学 式 は 、 HSCH2 CH2 NH2 で あ る 。 本 明 細 書 に お い て 言 及 さ れ る 「 シ ステアミン」の用語は、システアミン及び/又はその塩様化合物を意味する。システアミ ン及びその塩は化学文献において周知である。 【0023】 シ ス テ ア ミ ン 塩 の 一 般 化 学 式 は 、 C2 H7 NS.Xで あ り 、 こ こ で 、 Xは 、 HCl、 H3 PO4 、 酒 石 酸 水 素 塩 ( bitartrate) 、 サ リ チ ル 酸 塩 ( salicylate)等 で あ り 得 る 。 用 い る シ ス テ ア ミ ン は、好ましくは薬学的に許容され得る標準物質であり、その中の炭素、水素、窒素及び硫 黄 の 含 有 量 は 、 実 質 的 に 、 そ れ ぞ れ 31.14wt%、 9.15wt%、 18.16wt%及 び 41.56wt%で あ る 。 30 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 に お け る 動 作 可 能 な シ ス テ ア ミ ン の 含 有 量 は 、 1な い し 95wt%に 亘 る 一 方 で 、 好 ま し い 範 囲 の 1な い し 75wt%の シ ス テ ア ミ ン 、 よ り 好 ま し い 範 囲 の 1な い し 40w t%の シ ス テ ア ミ ン を 用 い る こ と が で き る 。 シ ス テ ア ミ ン は 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 の 主 要な成分の一つである。しかしながら、もし、システアミン含有組成物中のシステアミン の 含 有 量 が 95wt%を 超 え た な ら ば 、 基 礎 飼 料 と 組 成 物 と の 混 合 が か な り 困 難 に な り 、 酪 農 動物の泌乳を制御するための組成物の効果が妨げられることが認められた。 【0024】 包摂化合物ホスト材料には、主としてシクロデキストリン及び/又はその誘導体であっ て 、 メ チ ル β -シ ク ロ デ キ ス ト リ ン (M-β -CD)、 ヒ ド ロ プ ロ ピ ル β -シ ク ロ デ キ ス ト リ ン (HP-β -CD)、 ヒ ド ロ エ チ ル β -シ ク ロ デ キ ス ト リ ン (HE-β -CD)、 ポ リ シ ク ロ デ キ ス ト リ ン 、 エ チ ル β -シ ク ロ デ キ ス ト リ ン (E-β -CD)及 び 分 岐 シ ク ロ デ キ ス ト リ ン を 含 む 群 か ら 選 択 さ れ る も の が 含 ま れ る 。 . The general chemical formula of シ ク ロ デ キ ス ト リ ン の 一 般 化 学 式 は 、 (C6 05 H9 )n .(C6 05 H9 )2 で あ り 、 構 造 式 は 、 以 下 の 通 り で あ る 。 40 (8) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【化1】 10 【0025】 こ こ で 、 α -CD n=4; β -CD n=5; γ -CD n=6 (シ ク ロ デ キ ス ト リ ン は 、 ア ル フ ァ -D-グ ル コ ピ ラ ノ ー ス の 環 状 オ リ ゴ マ ー で あ る 。 ) 。 【0026】 シ ク ロ デ キ ス ト リ ン の β -CD型 は 、 そ の 分 子 の 内 直 径 が 、 6∼ 8オ ン グ ス ト ロ ー ム で あ り 、これによって、包摂プロセスの使用を含むシステアミン含有組成物の調製のための包摂 化合物ホスト材料としての好適な候補となるので、好ましく使用されることを指摘するこ とは価値がある。本明細書において言及される「シクロデキストリン」の用語は、シクロ デキストリン及び/又はその誘導体を意味する。いずれものシクロデキストリンの誘導体 20 であって、システアミンが分解することから保護し且つ安定化する特性を有するものを使 用することができる。例えば、上述したシクロデキストリン又はその誘導体の群のいずれ か1種を使用することができる。 【0027】 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 中 の 包 摂 化 合 物 ホ ス ト 材 料 の 実 施 可 能 な 含 有 量 は 、 1な い し 80w t%に 亘 る が 、 包 摂 化 合 物 ホ ス ト 材 料 の 好 ま し い 実 施 可 能 な 範 囲 で あ る 1な い し 60wt%、 よ り 好 ま し い 実 施 可 能 な 範 囲 で あ る 10な い し 40wt%も 使 用 す る こ と が で き る 。 使 用 す る 包 摂 化 合物ホスト材料の実際の量は、システアミン含有組成物を調製する際に使用するシステア ミンの実際の含有量に依存するであろう。 【0028】 30 シ テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 は 、 1な い し 90wt%の 充 填 剤 も 含 有 す る こ と が で き る 。 も っ と も 、 こ の 組 成 物 中 で は 、 好 ま し い 範 囲 で あ る 1な い し 60wt%、 よ り 好 ま し い 範 囲 で あ る 1な い し 4 0wt%の 充 填 剤 も 使 用 す る こ と が で き る 。 実 際 の 含 有 量 は 、 使 用 さ れ る シ ス テ ア ミ ン 及 び 包 摂化合物ホスト材料の実際の量に依存するであろう。充填剤は、粉末セルロース、デンプ ン 及 び 硫 酸 カ ル シ ウ ム ( 例 え ば 、 CaS04 .2H2 0) を 含 む 群 か ら 選 択 す る こ と が で き る 。 も し 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 中 の 充 填 剤 の 含 有 量 が 、 90%を 超 え た な ら ば 、 そ れ に よ っ て 、 主要な活性成分の含有量が減り、システアミン含有組成物を一緒に混合した飼料を与えら れる動物の泌乳を向上させることに有効ではなくなり得ることに注意すべきである。 【0029】 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 は 、 5な い し 50wt%の 崩 壊 剤 及 び バ イ ン ダ ー も 含 む こ と が で き る 40 。 も っ と も 、 好 ま し い 実 施 範 囲 で あ る 10な い し 40wt%、 よ り 好 ま し い 実 施 範 囲 で あ る 15な い し 35wt%も 使 用 す る こ と が で き る 。 実 際 の 含 有 量 は 、 使 用 さ れ る シ ス テ ア ミ ン 、 包 摂 化 合物ホスト材料及び他の成分の実際の量に依存するであろう。バインダー及び崩壊剤は、 ヒ ド ロ プ ロ ピ ル デ ン プ ン 、 微 生 物 ア ル ギ ネ ー ト (microbial alginate)、 微 結 晶 セ ル ロ ー ス 及びデンプンを含む群から選択することができる。もし、組成物中の崩壊剤及びバインダ ー の 含 有 量 が 5wt%よ り も 少 な い と 、 生 産 さ れ る 組 成 物 の 顆 粒 が 、 要 求 さ れ る 硬 さ を 欠 如 す るであろうことが認められてきた。さらに、組成物の製造が非常に困難になる。しかしな が ら 、 も し 、 崩 壊 剤 及 び バ イ ン ダ ー の 含 有 量 が 50wt%よ り も 多 い と 、 得 ら れ る 組 成 物 は 、 過剰な硬さを有し、これは、もし、バインダーの含有量が、崩壊剤及びバインダーの混合 物の大部分を占める場合に特にそうである。これにより、動物の腸による組成物の吸収を 50 (9) JP 2005-509602 A 2005.4.14 困難にするであろう。 【0030】 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 は 、 0.05な い し 0.3wt%の 人 工 香 味 料 (flavoring)及 び に お い 剤 であって、人工香味料エッセンスでありえるものも含むことができる。 【0031】 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 は 、 1な い し 20wt%の コ ー ト 材 料 も 含 む こ と が で き る 。 も っ と も 、 好 ま し い 実 施 可 能 な 範 囲 は 、 1な い し 15wt%で あ り 、 よ り 好 ま し い 実 施 可 能 な 範 囲 は 、 2 な い し 10wt%で あ る 。 実 際 の 含 有 量 は 、 使 用 さ れ る シ ス テ ア ミ ン 、 包 摂 化 合 物 ホ ス ト 材 料 及び他の成分の実際の量に依存するであろう。コート材料は、好ましくは、腸溶性コート されるものであって、腸のようなアルカリ環境において溶解できるものである。コート材 10 料は、セルロースアセテートフタレート、デンプンアセテートフタレート、メチルセルロ ースフタレート、フタル酸からのグルコース又はフルクトース誘導体、アクリル及びメタ クリルコポリマー、ポリメチルビニルエーテル、マレイン酸無水物コポリマーの部分的に エ ス テ ル 化 さ れ た 物 質 、 ラ ッ ク 及 び フ ォ ル モ ゲ ラ チ ン (lac and formogelatine)を 含 む 群 から選択され、かつこれらから構成されることができる。もし、コート材料の含有量が、 lwt%よ り も 少 な い と 、 組 成 物 の 顆 粒 が 、 保 護 層 と し て 作 用 す る コ ー ト 材 料 に よ っ て 完 全 に 被覆され得ないことが認められてきた。これにより、システアミン含有組成物は、腸によ っ て 吸 収 さ れ 、 動 物 の 血 流 中 へ 入 る 前 に 分 解 し 得 る 。 一 方 、 も し 、 コ ー ト 材 料 が 、 15wt% を超えると、組成物中の活性成分が、組成物から有効に開放され得ない。したがって、意 図する泌乳の制御が達成できないであろう。 20 【0032】 本発明で用いるシステアミン含有組成物は、小顆粒の形態であって、その各々は、実質 的 に 0.28な い し 0.90mmの 好 ま し い 直 径 を 有 す る 。 こ れ ら の 顆 粒 は 、 ミ ク ロ カ プ セ ル 化 方 法 を用いて調製される。この方法には、包摂特性を有する巨大分子物質を用いることが含ま れる。使用可能な物質の一つは、包摂化合物ホスト材料(これは、主としてシクロデキス トリンを含むことができ)、上述したものである。包摂化合物ホスト材料は、巨大分子物 質であって、分子カプセルとして作用し、システアミンの分子を包摂し、これによって組 成物中のシステアミンが周囲の光、熱、空気及び湿気から分離及び保護される。このよう にしてシステアミンの安定性が保持される。ミクロカプセル化方法において使用される包 摂 化 合 物 ホ ス ト 材 料 は 、 好 ま し く は 、 6な い し 12個 の グ ル コ ー ス 分 子 を 有 す る 環 状 ポ リ サ 30 ッ カ ラ イ ド 化 合 物 で あ っ て 、 バ シ ラ ス ( Bacillus) の 存 在 下 に デ ン プ ン と シ ク ロ デ キ ス ト リングリコシドトランスフェラーゼを反応させることにより製造されるものである。急性 、亜急性及び慢性毒性試験を用いた多くの研究により、上記巨大分子物質は、非毒性であ ることが示されてきた。ミクロカプセル化プロセスに引き続き、各々の顆粒を、少なくと も1層、好ましくは複数層の上述したコート材料でコートすることができる。以下に、本 発明で使用するシステアミン含有組成物の調製方法のより詳しい説明をする。 【0033】 ジャケットを有する反応器であって、ポリテトラフルオロエチレンと連結され且つポリ テトラフルオロエチレンコートされた攪拌機を備えたものに、雰囲気を主に窒素として、 エ タ ノ ー ル 中 の 75wt%シ ス テ ア ミ ン 塩 酸 塩 溶 液 4080gを 添 加 す る 。 使 用 し た シ ス テ ア ミ ン の 40 純 度 、 融 点 及 び 焼 成 残 留 物 (burning residue)は 、 好 ま し く は 、 そ れ ぞ れ 98%ま た は そ れ 以 上 、 66な い し 70℃ 及 び 0.05%又 は そ れ 以 下 で あ る 。 次 い で 、 1200gの β -シ ク ロ デ キ ス ト リ ン を 、 窒 素 ガ ス の 保 護 下 に 同 様 に 反 応 器 に 添 加 す る 。 ( β -シ ク ロ デ キ ス ト リ ン の 品 質 は 、 食 品 添 加 物 と し て の 要 求 に 従 っ て い る 。 特 に 、 乾 燥 ベ ー ス 純 度 は 98%を 超 え 、 乾 燥 に よ る 重 量 損 失 は 10.0%未 満 で あ り 、 焼 成 残 留 物 は 、 0.2%未 満 で あ り 、 重 金 属 の 含 有 量 は 、 10p pm未 満 で あ り 、 ヒ 素 含 有 量 は 、 2ppm未 満 で あ る ) 。 次 い で 、 混 合 物 を 40℃ で 3時 間 加 熱 す る。次いで、加熱を停止し、その後、攪拌を2時間継続し、次いで、そこから得られる生 成 物 を 、 40∼ 50℃ の 温 度 で 真 空 乾 燥 し た 後 に 、 粉 砕 し 、 ス ク リ ー ン ( 例 え ば 、 40メ ッ シ ュ )フィルターを通す。この組成物の成分と接触し得る装置の全ての部分は、好ましくは、 ステンレススチール製であるべきである。 50 (10) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【0034】 タ ン ク 型 混 合 器 に 、 上 述 の 包 摂 プ ロ セ ス を 経 た 4200g(乾 燥 ベ ー ス ) の シ ス テ ア ミ ン 、 26 00gの 充 填 剤 並 び に 1200gの 崩 壊 剤 及 び 1700gの バ イ ン ダ ー を 、 乾 燥 雰 囲 気 の 保 護 下 に 添 加 する。次いで、これらの成分を十分に混合し、好適な量の無水エタノールを添加し、次い で、それと混合することができる。得られた混合物は、適度の硬さを有する柔らかい材料 であり、掌に軽く握ることにより球に形作ることができる。窒素の保護下に造粒機を用い て混合物をペレット化した後、そこから生じる小顆粒を直ちに流体床乾燥機へ導入し、次 い で 、 実 施 的 に 真 空 環 境 に お い て 、 40∼ 50℃ の 温 度 で 乾 燥 す る 。 【0035】 次いで、腸溶コート材料を次の処方を用いる方法で調製する:セルロースアセテートフ 10 タ レ ー ト 8.0g、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル テ レ フ タ レ ー ト 2.4 ml、 酢 酸 エ チ ル 33.Oml及 び 酢 酸 イ ソ プ ロ ピ ル 33.6 ml。 得 ら れ た 生 成 顆 粒 に 、 上 述 の 腸 溶 コ ー ト 材 料 少 な く と も 1 層 、 好ましくは複数層を窒素の保護下に均一にコートした。この腸溶コート材料は、アルカリ 環境下においてのみ溶解し得る。これにより、組成物が動物の胃にまだ存在する間、これ からシステアミンが時期尚早に開放されることを防止する。システアミンは、動物の胃の 胃粘膜を不利に刺激し得る。 【0036】 次 い で 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 の 生 成 顆 粒 を 、 40な い し 50℃ の 温 度 で 実 質 的 に 真 空 の 乾燥機内で完全に乾燥する。次いで、すべての溶媒を除去する。次いで、得られた顆粒を 室温にまで冷却し、カンチレバーダブルヘリックスブレンダーにより、ミクロカプセルを 20 好適な量の人工香味料及びにおい剤と混合する。このシステアミン含有組成物は、その内 部にシステアミン塩酸塩及びシクロデキストリンを有し、その外に腸溶コート材料をコー トされたマイクロカプセルである。 【0037】 生成した組成物は、滑らかな表面、良好な流れ特性を有する小顆粒(又はミクロ微粒子 )を呈し、多用な動物飼料と容易に混合することができる。組成物の各々の顆粒の直径は 、 0.28な い し 0.90mmで あ る 。 組 成 物 が 密 封 プ ラ ス チ ッ ク 袋 に 包 装 さ れ 、 冷 暗 乾 燥 場 所 に 1 年間保存された後、それらの特性は変化しないことが見出されてきた。したがって、飼料 添加物としての要求を満足する。 【0038】 30 上述した特定の構造を有する組成物は、単独のシステアミンを超える多くの機能的利点 を有する。第一に、組成物に含有されるシステアミンの活性は、それが生産された後に保 存される。このことは重要である。なぜならば、この組成物のような食品添加物は、使用 前に比較的長期間保存され得るからである。第二に、この組成物は、それを給餌された動 物に対して、いずれもの、顕著な胃副作用を引き起こさない。第三に、保存期間中のみな らず、より重要なことに、動物の腸に到達するまで、この組成物の活性が保持される。第 四に、この組成物はいずれものベース飼料と容易に混合することができるので、コスト効 果的に大量スケールで家畜に容易に投与することができる。別の手順あるいは注射は全く 不要である。 【0039】 40 システアミン又はシステアミン含有組成物を含有する飼料を投与することにより、酪農 動物からの泌乳が上昇することを例証するために、多用な実験が行われた。それのうち3 つの実験を以下に示す。 【0040】 実験 実験1 背景情報 実 験 は 、 2001年 4月 及 5月 に 中 華 人 民 共 和 国 、 グ ア ン ミ ン (Guangming)の 私 有 酪 農 場 に お い て 行 わ れ た 。 30頭 の 酪 農 牛 が ラ ン ダ ム に 選 択 さ れ 、 実 験 に 供 さ れ た 。 実 験 前 、 ウ シ は 、 同様の体重、年齢、牛乳収量、及び乳脂肪含有量であった。また、ウシは、同様の分娩回 50 (11) JP 2005-509602 A 2005.4.14 数 を 有 す る 。 す べ て の ウ シ は 、 約 5月 の 泌 乳 を 経 験 し て き た 。 ウ シ を ラ ン ダ ム に 10頭 の 3 つ の 群 、 す な わ t 、 群 I 、 群 II及 び 群 IIIに 分 け 、 群 IIIを コ ン ト ロ ー ル と し た 。 実 験 前 に 、 こ れ ら 群 の ウ シ の 間 で 、 平 均 牛 乳 収 量 に 統 計 的 差 は な か っ た ( p> 0.05)。 以 下 の 表 1 は 、3つの群のウシ及び実験前にそれらから生産された牛乳に関するデータを示す。 【表1】 10 【0041】 泌乳期間、牛乳中の牛乳蛋白及び他の栄養素の含有量は、比較的安定である一方、脂肪 含有量は、実施的に変化し得ることに注意すべきである。これに関連して、統一比較のた 20 め に 、 生 産 さ れ た 牛 乳 の 品 質 を 、 そ れ と 等 価 品 質 の 脂 肪 調 整 乳 ( FCM)に 換 算 し て 表 示 す る ことが国際基準の一つになってきた。実験では、3つの群の酪農牛により生産された牛乳 の 量 は 、 原 量 ( original quantity)( 表 7 参 照 ) 、 更 に は 3.5%FCMで の 量 ( 表 8 参 照 ) の 両者で表示されている。しかしながら、牛乳生産を計量するための他の基準があることに 注意すべきである。 【0042】 材料 実験で用いた2種類の基礎飼料の処方を以下の表2に示し、3つの群のウシのそれぞれ の 餌 ( diet)の 詳 細 を 以 下 に 示 す 。 【表2】 30 40 50 (12) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【0043】 2 つ の バ ッ チ の 基 礎 飼 料 を 調 製 し た 。 第 一 の バ ッ チ は 、 実 験 の 第 一 期 間 、 す な わ ち 、 20 01年 4月 11日 か ら 4月 29日 ま で に お い て 用 い る 一 方 、 第 二 の バ ッ チ は 、 実 験 の 第 二 の 期 間 、 す な わ ち 、 2001年 4月 30日 か ら 5月 29日 ま で 用 い た 。 実 験 の 第 二 の 期 間 で は 、 異 な る 基 礎 飼 料を用いた。その特定の発達段階にある酪農牛の生理的必要条件に合わせるためである。 上 記 表 2 に 示 す よ う に 、 第 一 の バ ッ チ の 飼 料 に は 、 基 礎 濃 縮 物 (basal concentrate)、 飼 料 補 充 (feed supplement)、 ノ ー マ ル プ レ ミ ッ ク ス 、 綿 実 、 小 麦 グ ル テ ン 、 ト ウ モ ロ コ シ サイレージ、カブハボタン、砂糖大根パルプ、リンゴパルプ、ライグラス、ウシノケグサ 及びアルファルファを含む、複数の成分が含まれていた。ノーマルプレミックスは、ビタ ミン及びミネラルのような成分であって、特定の生理学的段階にあるウシに好適なものを 10 含むように処方されている。基礎濃縮物、補充飼料及びノーマルプレミックスは、アメリ カ の 動 物 国 家 栄 養 標 準 (America’ s Animal National Nutrition standard)に 従 っ て 添 加 されたビタミン及び希少元素を含有する栄養添加物である。基礎飼料の第二のバッチには 、全般的には、同じ成分が含まれるが、それらの量は異なっている。 【0044】 基 礎 飼 料 を 用 い て 、 最 終 飼 料 を 調 製 し た 。 以 下 の 表 3 を 参 照 す る と 、 最 終 飼 料 に は 、 20 0g の 特 定 プ レ ミ ッ ク ス で あ っ て 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 を コ ー ン ミ ー ル の よ う な 好 適 な食品材料と混合することにより調製したものが含まれている。この特定プレミックスは 、基礎飼料中のノーマルプレミックスとは異なることに注意すべきである。 【表3】 20 【0045】 しかしながら、この特定プレミックスには、3つの処方があり、各々は、異なる量のシ 30 ステアミン含有組成物及び食料材料を含有している。これらの処方を以下に説明する。 【0046】 処 方 1 : 10wt%シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 / 90wt% コ ー ン ミ ー ル 処 方 2 : 20wt% シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 /80wt%コ ー ン ミ ー ル 処 方 3 : Owt% シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 /lOOwt%コ ー ン ミ ー ル 【0047】 特 定 プ レ ミ ッ ク ス の 処 方 1 な い し 3 に は 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 上 限 20wt%ま で 含 ま れ て い る が 、 以 下 に 説 明 す る よ う に 、 実 際 に は 、 特 定 プ レ ミ ッ ク ス は 、 5な い し 25wt%の シ ステアミン含有組成物含有量を有することができ、酪農牛の泌乳への同様の効果がもたら されることが試験により示された。 【0048】 表 4 な い し 6 に は 、 実 験 中 の 群 Iな い し IIIの ウ シ の 各 々 の 餌 が 更 に 要 約 さ れ て い る 。 表 4 の デ ー タ に 基 づ け ば 、 実 験 の 第 一 及 び 第 二 期 間 に お け る 群 Iの ウ シ の 最 終 飼 料 ( 又 は 餌 ) 中 の シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 の 濃 度 は 、 そ れ ぞ れ 427及 び 455ppmで あ る こ と が 計 算 さ れ る 。 表 5 の デ ー タ に 基 づ け ば 、 実 験 の 第 一 及 び 第 二 期 間 に お け る 群 IIの ウ シ の 最 終 飼 料 ( 又 は 餌 ) 中 の シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 の 濃 度 は 、 そ れ ぞ れ 855及 び 909ppmで あ る こ と が 計 算 さ れ る 。 表 6 を 参 照 す る と 、 特 定 プ レ ミ ッ ク ス ( 処 方 III) の 180g を 調 製 す る 際 に シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 は 添 加 さ れ な か っ た 。 よ っ て 、 群 IIIの ウ シ の 最 終 飼 料 ( 又 は 餌 ) は 、いずれものシステアミン含有組成物を含有しなかった。 40 (13) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【表4】 10 【0049】 【表5】 20 【0050】 【表6】 30 【0051】 40 ミ ニ ピ ル (mini-pill)の 形 態 に あ る シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 に は 、 約 30wt%の シ ス テ ア ミ ンが、シクロデキストリンであって、安定化剤として作用するものを含む他の成分と一緒 に 含 ま れ た 。 組 成 物 中 の シ ク ロ デ キ ス ト リ ン の 含 有 量 は 、 10wt%で あ っ た 。 こ の 組 成 物 は 、 ワ ル コ ム バ イ オ ケ ミ カ ル ズ イ ン ダ ス ト リ − 社 (Walcom Bio-Chemicals Industry Limited .) に よ り 調 製 さ れ た 。 【0052】 最終飼料を形成するために、特定プレミックスの適切な処方が、好適な基礎飼料と一緒 に混合された。 【0053】 実 際 に は 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 に は 、 1な い し 95wt%の シ ス テ ア ミ ン が 含 ま れ る こ と 50 (14) JP 2005-509602 A 2005.4.14 が 研 究 に よ り 明 ら か に な っ た 。 い ず れ に し て も 、 最 終 飼 料 は 、 約 400な い し 1000ppmの 組 成 物 を 含 有 す る よ う に 調 節 さ れ る こ と が 好 ま し い 。 あ る い は 、 最 終 飼 料 は 、 約 120な い し 300 ppmの シ ス テ ア ミ ン を 含 有 す る よ う に 調 節 す る こ と が で き る 。 【0054】 乾 燥 状 態 に お い て 、 飼 料 に は 、 1000な い し 2147ppmの 組 成 物 及 び 200な い し 650ppmの シ ス テ ア ミ ン が 含 ま れ 得 る 。 実 験 で 用 い た 組 成 物 に は 、 上 述 し た シ ク ロ デ キ ス ト リ ン が 10wt% 含まれていた。しかしながら、組成物を調製する際に使用するシステアミンの実際の量に 依 存 し て 、 組 成 物 に は 、 1な い し 80wt%の シ ク ロ デ キ ス ト リ ン 、 更 に は 、 嵩 上 げ 剤 、 崩 壊 剤 及び固体のコートされた担体を含み得る他の成分が含まれ得る。この組成物は、多層構造 を有するミニピルの形態にある。したがって、組成物は、室温条件において比較的安定で 10 あ り 続 け 、 且 つ 動 物 に よ り 摂 取 さ れ た 後 、 ( 胃 環 境 中 の よ う に ) 1.5な い し 3.5も の 低 い pH に お い て 非 溶 解 で あ り 続 け る 。 し か し な が ら 、 担 体 は 、 腸 に お け る よ う に 、 よ り 高 い pH環 境中で溶解し得るコート材料で作られている。 【0055】 手順 3つの群の全てのウシは、束縛給餌及び自動飲水を含む同じ条件下に置かれた。ウシは 、毎日4時間の運動及び給餌ができた。ウシには、一日3回給餌した。各々の給餌時間に おいて、ウシには、まず、食用糠を給餌し、次いで、各々の餌(表4ないし6を参照され た い ) を 給 餌 し た 。 食 用 糠 の 消 費 は 制 限 し な か っ た が 、 モ ニ タ ー し た 。 0600、 1400及 び 21 00に 、 1 日 3 回 ウ シ か ら 搾 乳 し た 。 20 【0056】 実 験 中 、 原 量 及 び 3.5wt%FCMで 表 し た 牛 乳 収 量 、 牛 乳 の 脂 肪 含 有 量 及 び 蛋 白 含 有 量 、 更 には、牛乳中の体細胞数のデータを記録及び測定した。 【0057】 結果及び考察 図 1 に 、 3.5wt%FCM収 量 を 示 す 3 つ の 曲 線 を 示 す 。 こ の 図 に 明 瞭 に 示 さ れ る と お り 、 実 験 中 に 亘 り 、 3 つ の 群 の ウ シ の 中 で 、 群 IIの ウ シ が 全 般 的 に 、 最 高 の 3.5wt%FCM収 量 を 伴 っ た 。 群 Iの ウ シ も ま た 、 群 IIIの ウ シ と 比 較 し て 、 全 般 的 に よ り 高 い 3.5wt%FCM収 量 を 伴 った。 【0058】 以下の表7に、3つの群のウシの平均原牛乳収量のデータを示す。システアミン含有組 成 物 を 含 む そ れ ぞ れ の 餌 を 供 給 さ れ た 後 、 群 I及 び 群 IIの ウ シ は 、 群 IIIの ウ シ と 比 較 し た 場 合 、 平 均 し て 4.86%及 び 6.88%(p< 0.05)だ け 泌 乳 が 上 昇 し た 。 統 計 的 に は 、 こ れ ら は 有 意な上昇である。 30 (15) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【表7】 10 【0059】 比 較 の た め に 、 表 7 に 示 す 3 つ の 群 の ウ シ の 原 牛 乳 収 量 を 、 3.5wt%FCM収 量 に 変 換 し 、 こ れ を 以 下 の 表 8 に 示 す 。 以 下 の 式 を 用 い て 、 原 牛 乳 収 量 を 、 そ れ に 対 応 す る FCM( 3.5wt 20 %)収 量 に 変 換 す る 。 【0060】 等 価 FCM= (0.44 × 酪 農 牛 乳 収 量 ) + (16 × 酪 農 牛 乳 収 量 × 脂 肪 含 有 量 ) 【表8】 30 40 【0061】 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 を 含 む 各 々 の 餌 を 供 給 し た 後 、 群 I及 び 群 IIの ウ シ は 、 群 IIIの ウ シ と 比 較 し た 場 合 、 4.98%( p< 0.01)及 び 6.56%(p< 0.01)よ り も 高 い FCM(3.5wt%)収 量 で あったことが計算された。統計的に、これらは有意な上昇である。 【0062】 上 に 説 明 し た と お り 、 群 I及 び IIの ウ シ は 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 餌 を 供 給 し た 後 、 原 牛 乳 収 量 及 び 3.5wt%FCM収 量 の 点 に お い て 、 泌 乳 が 有 意 に 改 良 さ れ た 。 【0063】 各 々 の 分 娩 の 後 、 ウ シ の 泌 乳 は 、 約 300日 持 続 す る こ と に 注 意 す べ き で あ る 。 上 記 実 験 50 (16) JP 2005-509602 A 2005.4.14 データは、システアミン/システアミン含有組成物を酪農牛に投与することは、少なくと も、泌乳を高めることを示している。システアミンは、泌乳を長引かせることも可能であ る よ う で あ る 。 な ぜ な ら ば 、 図 1 の 群 Iの ウ シ の 牛 乳 収 量 を 示 す 曲 線 に よ り 示 さ れ る よ う に、泌乳が長期間高いレベルに維持されると、泌乳は、ある程度長引くに違いないからで ある。 【0064】 以下の表9は、3つの群のウシにより生産される牛乳中の平均脂肪含有量のデータを示 す。 【表9】 10 20 【0065】 実 験 前 に は 、 3 つ の 群 の ウ シ の 間 で 、 乳 脂 肪 の 有 意 な 差 ( p> 0.05、 表 1 参 照 )は な い 。 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 を 含 む そ れ ぞ れ の 餌 を 供 給 さ れ た 後 、 群 Iの ウ シ に よ り 生 産 さ れ る 牛 乳 は 、 群 IIIの ウ シ と 比 較 し て 、 平 均 0.77%(p< 0.05)よ り 高 い 脂 肪 含 有 量 を 有 す る こ 30 と が 計 算 さ れ た 。 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 を 含 む そ れ ぞ れ の 餌 を 供 給 さ れ た 後 、 群 IIの ウ シ に よ り 生 産 さ れ る 牛 乳 は 、 群 IIIの ウ シ と 比 較 し て 、 実 験 中 、 平 均 0.77%(p< 0.5)よ り も 低い脂肪含有量を有することが計算された。もっとも、この差は、統計的に有意ではない 。上に説明したように、システアミン/システアミン含有組成物を添加された餌を供給し た 後 、 群 I及 び 群 IIの ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 中 の 脂 肪 含 有 量 に は 、 有 意 な 差 が な い 。 このことは、システアミン含有餌を供給されたウシにより生産される牛乳の品質は、上昇 しないまでも、少なくとも維持されることを示している。 【0066】 し か し な が ら 、 実 験 の 最 初 の 10日 の 期 間 中 、 群 Iの ウ シ は 、 群 IIの ウ シ と 比 較 し て 、 そ の牛乳中の脂肪含有量の点で、システアミン含有餌に対してよりゆっくりと反応するよう 40 に 見 え る こ と を 指 摘 す べ き で あ る 。 し か し な が ら 、 群 Iの ウ シ に よ り 生 産 さ れ る 牛 乳 中 の 脂 肪 含 有 量 は 、 迅 速 に 高 ま り 、 実 験 の 第 11日 な い し 第 20日 の 期 間 中 、 4.10wt%に お い て ピ ー ク に 達 し た 。 こ れ に 対 し て 、 群 IIの ウ シ は 、 初 め の 10日 の 期 間 に お い て 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 餌 に 対 し て 比 較 的 よ り 迅 速 に 反 応 し た よ う で あ る 。 特 に 、 実 験 前 に は 脂 肪 含 有 量 が 3. 78wt%で あ っ た が 、 実 験 の 初 め の 10日 の 期 間 中 に 3.86wt%に ま で 上 昇 し 、 脂 肪 含 有 量 は 、 4. 00wt%で ピ ー ク に 達 し た 。 全 て の ウ シ が 、 そ れ ぞ れ の シ ス テ ア ミ ン 含 有 餌 の 供 給 を 停 止 さ れ た と き 、 3 つ の 群 の な か で 、 群 IIの ウ シ に よ り 生 産 さ れ る 牛 乳 が 、 最 も 低 い 脂 肪 含 有 量 であったことを指摘すべきである。よって、実験では、システアミン又はシステアミン含 有組成物は、適切な投与量及び/又は特定の泌乳段階において投与されたならば、牛乳中 の乳脂肪の含有量を増加させ得ることが示された。 50 (17) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【0067】 以 下 の 表 10に 、 3 つ の 群 の ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 中 の 平 均 牛 乳 蛋 白 含 有 量 の デ ー タ を示す。 【表10】 10 【0068】 20 実 験 前 、 群 IIIの ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 中 の 蛋 白 含 有 量 ( g / 日 / ウ シ ) は 、 約 869 .8gで あ り 、 群 I及 び IIの ウ シ の そ れ よ り も わ ず か に 高 い が 、 こ の 差 は 、 統 計 学 的 に 有 意 で は な い 。 群 I 及 び 群 IIの ウ シ に 各 々 の シ ス テ ア ミ ン 含 有 餌 を 供 給 し た 後 、 そ れ ら の 牛 乳 中 の 蛋 白 含 有 量 は 、 群 IIIの ウ シ と 比 較 し て 、 各 々 、 有 意 に 4.14wt%及 び 2.76wt%(p< 0.05)だ け 上 昇 し た 。 各 々 の シ ス テ ア ミ ン 含 有 餌 を 群 I及 び 群 IIの ウ シ に 給 餌 す る こ と を 停 止 し た 後、蛋白含有量は、試験前レベル近くまで低下した。すなわち、このことは、システアミ ン 含 有 餌 を 供 給 す る こ と は 、 原 牛 乳 収 量 、 FCM収 量 及 び 乳 脂 肪 含 有 量 の み な ら ず 、 牛 乳 蛋 白含有量もまた増加させることを説明している。 【0069】 以 下 の 表 11は 、 3 つ の 群 の ウ シ に よ り 生 産 さ れ る 牛 乳 中 の 体 細 胞 数 の デ ー タ を 示 す 。 30 【表11】 40 【0070】 各 々 の シ ス テ ア ミ ン 含 有 餌 を 供 給 し た 後 、 群 I及 び 群 IIの ウ シ に よ っ て 生 産 さ れ る 牛 乳 は、より大きな数の体細胞を有した。しかしながら、この差は、許容され得る安全レベル に維持された。 50 (18) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【0071】 こ の 実 験 で は 、 特 定 プ レ ミ ッ ク ス の 処 方 IIに は 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 が 2 倍 含 ま れ て い た 。 言 い 換 え る と 、 群 IIの ウ シ は 、 群 Iの ウ シ と 比 較 し て 、 シ ス テ ア ミ ン / シ ス テ ア ミ ン 化 合 物 を 2 倍 多 く 給 餌 さ れ た 。 牛 乳 収 量 は 、 群 IIIの ウ シ の 牛 乳 収 量 と 比 較 し て 、 増 加 し た が 、 そ の 増 加 は 、 群 Iの ウ シ と 比 較 し て 、 2 倍 で は な か っ た 。 シ ス テ ア ミ ン に 対 し てウシが反応することができるある種の生理学的限界があると信じられている。ウシによ り比較的高い量のシステアミンが摂取された場合にも、生理機能は、その限界を超えて反 応しないであろう。これは、望ましいことである。なぜならば、システアミン含有組成物 を過剰投与しても動物に対して危険ではないという点において、餌注のシステアミン含有 組成物の投与量が重要ではないからである。したがって、システアミン含有組成物を酪農 10 牛に投与することは、安全であり且つ実施が容易である。 【0072】 最 終 飼 料 は 、 比 較 的 高 い 水 含 有 量 ( 例 え ば 、 10な い し 60wt%含 水 量 ) を 有 し 、 し た が っ て、システアミン及びシステアミン含有組成物の正確な濃度が、その含水量及び周囲の湿 度に依存して変化し得ることに注意すべきである。この点に関して、最終飼料中のシステ アミン及びシステアミン含有組成物の実施可能な濃度範囲を、その乾燥重量(状態)に基 づいて表すことに価値がある。例えば、その乾燥重量に基づく最終飼料中の上記例におい て 用 い ら れ た シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 の 濃 度 で あ る 1000な い し 2174ppmが 、 上 記 例 に 示 さ れるものと同様に泌乳を増加させる結果をもたらすことが研究により明らかになった。同 様 に し て 、 そ の 乾 燥 重 量 に 基 づ く 最 終 飼 料 中 の 濃 度 で あ る 200な い し 650ppmが 、 同 じ よ う 20 な結果になるであろうことが計算された。 【0073】 システアミン及びシステアミン含有組成物の酪農牛への投与は、その餌によって行われ る一方で、システアミン及びシステアミン含有組成物は、ピル、錠剤又は他の好適な状態 で、食材とは別に又はそれと一緒に、同じようにして酪農牛に給餌することができ、これ によって同じ効果が得られることも考慮されている。酪農牛を飼育するために投与される シ ス テ ア ミ ン の 有 効 量 は 、 1 日 当 た り ウ シ 1 頭 当 た り 、 実 質 的 に 5.64な い し 12.71gで あ り 得ることが研究により示された。システアミン含有組成物の有効量は、1日当たりウシ1 頭 当 た り 、 実 質 的 に 18.79な い し 42.36gで あ り 得 る 。 【0074】 30 実験2 背景情報 こ の 実 験 で は 、 100頭 の 黒 白 酪 農 牛 が 使 用 さ れ た 。 試 験 前 に は 、 酪 農 牛 の 平 均 体 重 は 、 約 600kgで あ り 、 ウ シ の 平 均 泌 乳 期 間 は 、 約 135日 で あ り 、 且 つ 、 平 均 牛 乳 生 産 量 は 、 約 35 kgで あ っ た 。 実 験 前 に こ れ ら の ウ シ に よ っ て 生 産 さ れ る 牛 乳 の 品 質 は 、 同 様 で あ っ た 。 こ れらのウシには、いずれのシテアミン製品も投与しなかった。 【0075】 ウシは、1つの試験群及び1つの対応するコントロール群に均等に分割した。試験群及 び コ ン ト ロ ー ル 群 の 各 々 は 、 泌 乳 の 19週 の 間 に 、 そ れ ら の 実 際 の 牛 乳 生 産 量 、 分 娩 履 歴 及 び 泌 乳 の 段 階 に 応 じ て 、 4 つ の サ ブ 群 、 す な わ ち 、 群 Iな い し 群 IVに 更 に 分 割 し た 。 群 Iな 40 い し 群 IVの ウ シ の 事 前 の 牛 乳 生 産 量 ( MP)は 、 各 々 、 MP≦ 30kg、 30kg< MP≦ 35kg、 35kg< M P≦ 40kg、 40kg< MPで あ っ た 。 【0076】 手順及び材料 実 験 は 、 ウ シ の 泌 乳 の 第 20な い し 第 32週 中 に 行 わ れ た 。 実 際 の 実 験 の 前 に 、 2日 間 の 適 応期間を設けた。実験の異なる期間において、試験サブ群のウシには、基礎飼料によって 、異なった量のシステアミン含有組成物を投与した。この組成物は、実験1で用いたもの と 同 一 で あ る 。 具 体 的 に は 、 こ の 組 成 物 に は 、 実 質 的 に 30wt%の シ ス テ ア ミ ン が 含 ま れ る 。 【0077】 50 (19) JP 2005-509602 A 2005.4.14 コントロール群のウシには、試験群のウシと同じ基礎飼料を給餌した。用いた基礎飼料 の量は、その時の実際の牛乳生産量に従い調節した。 【0078】 全てのウシには、毎日3回給餌した。各々の給餌中、ウシには、まず、食用糠を給餌し 、次いで、本発明の組成物を伴って混合した、あるいは伴わない基礎飼料を給餌した。ウ シ か ら は 、 0730、 1430及 び 2130の 毎 日 3 回 搾 乳 し た 。 【0079】 回収した牛乳について、その量を測定し、その乳脂肪含有量及び牛乳蛋白含有量を分析 した。 【0080】 10 結果及び考察 以 下 の 表 12及 び 16に 、 実 験 2 の 実 験 デ ー タ を 要 約 す る 。 【表12】 20 30 【0081】 表 12を 参 照 す る と 、 実 験 中 に シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 を 含 有 す る 飼 料 を 投 与 さ れ た 後 、 試 験 ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 中 に 含 有 さ れ る 乳 脂 肪 含 有 量 の 平 均 増 加 分 と し て 、 約 3.01 %(=[3.77wt%-3.66wt%]/3.66wt%× 100%)が あ っ た 。 試 験 群 IIの ウ シ に お い て 、 乳 脂 肪 含 有 量 の 平 均 増 加 分 は 、 約 4.29%(= [3.89wt%-3.73wt%]/3.73wt%× 100%)で あ っ た 。 試 験 群 IVの ウ シ に お い て は 、 乳 脂 肪 含 有 量 の 平 均 増 加 分 は 、 よ り 顕 著 で あ り 、 約 11.14%(=[3.89wt%-3 .50wt%]/3.50wt%× 100%)で あ っ た 。 群 IVの ウ シ は 、 実 験 前 に は 最 高 牛 乳 収 量 の ウ シ で あ る ので、乳脂肪含有量へのシステアミンの効果は、既に高い牛乳生産量を有する酪農動物に 対してより突出していることを示している。 【0082】 組 成 物 を 各 々 、 20g/c/d、 30g/c/d、 40g/c/d及 び 60g/c/d投 与 さ れ た 4 つ の 試 験 サ ブ 群 の ウ シ を 参 照 す る と 、 牛 乳 生 産 量 に お け る 乳 脂 肪 含 有 量 の 増 加 は 、 各 々 、 2.15%、 1.63%、 2. 40%及 び 4.29%で あ る こ と が 計 算 さ れ た 。 40 (20) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【表13】 10 【0083】 20 表 13に は 、 試 験 ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 中 の 牛 乳 蛋 白 含 有 量 の 平 均 増 加 分 は 、 約 4.79 %(=[3.06wt%-2.92wt%]/2.92wt%× 100%)で あ っ た こ と を 示 し て い る 。 具 体 的 に は 、 試 験 群 I Iの ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 中 の 牛 乳 蛋 白 含 有 量 の 増 加 分 は 、 約 4.08%(=[3.06wt%-2.94w t%]/2.94wt%× 100%)で あ っ た 。 試 験 群 IVの ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 中 の 牛 乳 蛋 白 含 有 量 の 増 加 分 は 、 約 7.87%(=[2.88wt%-2.67wt%]/2.67wt%× 100%)で あ っ た 。 群 IVの ウ シ は 、 実 験前には最高牛乳収量のウシであるので、牛乳蛋白含有量へのシステアミンの効果は、既 に高い牛乳生産量を有する酪農動物に対してより突出していることを示している。 【0084】 組 成 物 の 牛 乳 蛋 白 含 有 量 へ の 投 与 量 効 果 に つ い て 言 及 す る と 、 20g/c/dの 投 与 量 に よ り 、 試 験 サ ブ 群 に お い て 牛 乳 蛋 白 含 有 量 は 、 顕 著 に 、 約 3.77%(=[3.03wt%-2.92wt%]/2.92wt% × 100%)だ け 増 加 し た 。 30 (21) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【表14】 10 20 【0085】 表 14は 、 試 験 群 I及 び 群 IVの ウ シ で は 、 そ れ ら の 3.5wt%FCM牛 乳 収 量 を 非 常 に 顕 著 に 、 そ れ ぞ れ 、 11.25%(=[26.7kg/日 -24.0kg/日 ]/24.0kg/日 × 100%)だ け 及 び 7.7%(=[40.2kg/日 -3 7.3kg/日 ]/37.3kg/日 × 100%)だ け 増 加 さ せ た 一 方 で 、 試 験 群 II及 び 試 験 群 IIIの ウ シ に お い て は 、 3.5wt% FCMの 生 産 量 は 、 対 応 す る コ ン ト ロ ー ル 群 の 3.5wt% FCMの 生 産 量 と 比 較 し て 、 顕 著 に は 変 化 し な か っ た 。 試 験 群 Iの ウ シ は 、 試 験 前 に は 最 低 牛 乳 収 量 の ウ シ で あ る の で 、 シ ス テ ア ミ ン に よ る 3.5%FCM収 量 へ の 正 の 効 果 は 、 低 い FCM収 量 の 酪 農 動 物 に 対 し て より突出していることを示している。 30 【表15】 【0086】 40 (22) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【表16】 10 【0087】 表 15は 、 試 験 群 Iの ウ シ の 原 牛 乳 収 量 が 、 非 常 に 顕 著 に 12.12%(=[25.9kg/日 -23.1kg/日 ] 20 /23.1kg/日 × 100%)増 加 し た こ と を 示 し て い る 。 【0088】 表 16は 、 試 験 群 Iの ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 蛋 白 の 実 際 の 量 が 、 11.27%(=[0.79kg/日 0.71kg/日 ]/0.71kg/日 × 100%)だ け 増 加 し た こ と を 示 し て い る 。 し か し な が ら 、 表 12及 び 1 4の デ ー タ が 、 酪 農 動 物 の 泌 乳 を 向 上 さ せ る シ ス テ ア ミ ン の 正 の 効 果 を 説 明 す る こ と に お いて、より代表的である。 【表17】 30 40 【0089】 上 記 表 17は 、 ウ シ が 本 発 明 の 組 成 物 を 投 与 さ れ た か 否 か に よ っ て 、 飼 料 対 牛 乳 比 が 一 般 的に影響されないことを示している。このことは、コストの観点から重要である。 【0090】 実験3 背景情報 50 (23) JP 2005-509602 A 2005.4.14 32頭 の 黒 白 酪 農 牛 が こ の 実 験 で 用 い ら れ 、 4 つ の 群 、 す な わ ち 、 試 験 群 I な い し 試 験 群 III及 び コ ン ト ロ ー ル 群 に ラ ン ダ ム に 分 割 さ れ た 。 各 々 の 群 に は 、 8 頭 の ウ シ が 含 ま れ た 。 実 験 前 の ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 の 特 性 を 以 下 の 表 17に 示 す 。 【表18】 10 【0091】 手順及び材料 20 使 用 し た シ ス テ ア ミ ン 含 有 組 成 物 は 、 実 質 的 に 30wt%の シ ス テ ア ミ ン を 含 み 、 実 験 1 及 び2において使用したものと同じ組成物であった。 【0092】 こ の 実 験 に は 、 3 つ の 段 階 が あ っ た 。 実 験 の 第 1 段 階 に お い て 、 試 験 群 Iな い し 試 験 群 I IIの ウ シ へ の 飼 料 に は 、 そ れ ぞ れ 、 毎 日 、 本 発 明 の 組 成 物 を 20g、 30g及 び 40g給 餌 す る よ うに本発明の組成物を混合した。システアミン含有組成物は、コントロール群のウシの飼 料 に は 、 添 加 さ れ な か っ た 。 実 験 の 第 1段 階 は 、 37日 間 続 き 、 そ の 後 、 3日 の 適 応 期 間 を お いた。 【0093】 実 験 の 第 2段 階 に お い て 、 3 つ の 試 験 群 の ウ シ の 飼 料 に は 組 成 物 は 添 加 さ れ な か っ た 。 30 【0094】 し か し な が ら 、 コ ン ト ロ ー ル 群 の 各 ウ シ に は 、 飼 料 に よ っ て 本 発 明 の 組 成 物 を 毎 日 20g 給餌した。実験の第2段階は、7日間続いた。 【0095】 実 験 の 第 3段 階 中 、 3 つ の 試 験 群 の ウ シ は 、 1日 当 た り 各 ウ シ が 本 発 明 の 組 成 物 を 20g摂 取するように、組成物を混合した飼料を給餌した。コントロール群の各ウシは、飼料によ っ て 、 1日 お き に 40gの 組 成 物 を 給 餌 し た 。 実 験 の 第 3段 階 は 、 7日 間 続 い た 。 【0096】 1日 の 牛 乳 収 量 、 乳 脂 肪 含 有 量 、 乳 蛋 白 含 有 量 及 び 牛 乳 中 の 体 細 胞 を 測 定 し 、 記 録 し た 。 ウ シ に は 1日 3回 給 餌 し 、 牛 乳 も 1 日 3 回 搾 乳 し た 。 【0097】 結果及び考察 表 19な い し 24に 実 験 デ ー タ を ま と め る 。 40 (24) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【表19】 10 【0098】 20 上 記 表 19は 、 試 験 群 Iの ウ シ は 、 コ ン ト ロ ー ル 群 と 比 較 し た と き 、 原 乳 収 量 を 7.41%(=[2 6.95-25.09]/25.09× 100%)だ け 増 加 さ せ た こ と を 示 し て い る 。 特 に 、 牛 乳 収 量 の 増 加 は 、 始 め の 10日 の 期 間 後 に 顕 著 で あ っ た 。 【0099】 例 え ば 、 第 1日 か ら 第 20日 及 び 第 21日 か ら 第 30日 の 期 間 に お け る 試 験 群 Iの ウ シ の 牛 乳 収 量 の 増 加 分 は 、 そ れ ぞ れ 4.56%(=[28.87-27.61]/27.61× 100%)及 び 7.40%(=[28.45-26.49]/ 26.49× 100%)で あ っ た 。 す な わ ち 、 酪 農 動 物 に 本 発 明 の 組 成 物 を 適 切 な 投 与 量 投 与 す る こ とは、原乳収量を増加させることに有効であることを例証している。特に、この増加は、 組成物の投与の最初の短期間後に、より顕著であった。 【表20】 30 40 【0100】 上 記 表 20は 、 試 験 群 IIIの ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 中 の 乳 脂 肪 は 、 実 験 の 第 1 段 階 で 7 .95%(=[4.21-3.90]/3.90× 100%)だ け 増 加 し た こ と を 示 し て い る 。 乳 脂 肪 に お け る 増 加 は 50 (25) JP 2005-509602 A 2005.4.14 、 実 験 の 最 初 の 21日 間 で 特 に 顕 著 で あ っ た 、 す な わ ち 、 12.12%(=[4.07-3.63]/3.63× 100% )。 【0101】 実験の第2段階において、試験群のウシは、システアミン含有餌の供給を停止された。 しかしながら、生産された牛乳中の乳脂肪の量は、コントロール群の牛乳中の乳脂肪の量 と比較すると、依然として高かった。このことは、システアミンの効果は、本発明の組成 物の投与が停止された後も、いくらかの間は続くことを例証している。 【表21】 10 20 【0102】 上 記 表 21は 、 群 I の ウ シ の 3.5wt% FCM収 量 が 、 コ ン ト ロ ー ル 群 の 収 量 と 比 較 し て 、 実 験 の 最 初 の 20日 間 に 3.55%(=[29.76-28.74]/28.74× 100%)だ け 増 加 し 、 第 21日 か ら 第 37日 の 間 に 4.29%(=[30.37-29.12]/29.12× 100%)だ け 増 加 し た こ と を 示 し て い る 。 こ の こ と は 、 本 発 明 の 組 成 物 が 、 3.5% FCM収 量 を 増 加 さ せ る こ と に も 有 効 で あ る こ と を 例 証 し て い る 。 【0103】 実 験 の 第 2 段 階 に お い て 、 3つ の 試 験 群 の ウ シ は 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 餌 の 供 給 を 停 止 さ れ た が 、 そ れ ら の 3.5wt% FCM収 量 は 、 シ ス テ ア ミ ン 含 有 餌 を 供 給 さ れ た コ ン ト ロ ー ル 群 よ りも高かった。このことは、システアミンの効果は、その投与を停止した後もしばらくの 間は持続し、また、システアミンが動物の生理機能に影響を与えるためには、いくらかの 時間がかかることを例証している。 30 (26) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【表22】 10 20 【0104】 【表23】 30 【0105】 上 記 表 23は 、 本 発 明 の 組 成 物 の 効 果 を 同 様 に 示 し て い る 。 も っ と も 、 牛 乳 蛋 白 収 量 が 、 1日 当 た り の ウ シ 1 頭 当 た り の グ ラ ム で 表 示 さ れ て い る 。 【0106】 表 23は 、 コ ン ト ロ ー ル 群 の ウ シ が 、 一 日 お き に ウ シ 1 頭 あ た り 40gの シ ス テ ア ミ ン を 投 与 さ れ た と き 、 牛 乳 蛋 白 含 有 量 は 、 5.86%(=[2.89wt%-2.73wt%]/2.73wt%× 100%)だ け 増 加 した。このことは、一日おきに比較的高い投与量でシステアミンを投与することが、毎日 比較的低投与量でシステアミンを投与するよりも、牛乳蛋白収量を増加させることにおい て、より有効であることを例証している。 40 (27) JP 2005-509602 A 2005.4.14 【表24】 10 【0107】 上 記 表 24は 、 試 験 群 I の ウ シ で は 、 牛 乳 中 の 体 細 胞 の 数 が 顕 著 に 減 少 し た こ と を 示 し て 20 い る 。 試 験 群 IIIの ウ シ に よ り 生 産 さ れ た 牛 乳 に 、 同 様 の 減 少 が 観 察 さ れ た 。 し か し な が ら、コントロール群のウシにより生産された体細胞の数は、増加した。牛乳中の体細胞の 数は、動物の全体的健康を一般的に示すのであり、上記データは、システアミンを投与さ れた酪農動物の全体的健康は、向上するであろうことを例証している。 【0108】 上記実験結果は、システアミン又はシステアミン組成物は、酪農動物の泌乳を向上させ るために有効であることを例証している。 【0109】 上述した参照文献の各々の内容は、そこの中で引用している参照文献を含めて、その全 体を引用により本明細書に取り込む。多くの変形、修飾及び追加の態様が可能であり、し たがって、そのような変形、修飾及び態様の全てが、本発明の範囲内にあると考えられる べきであることを指摘する。 【図面の簡単な説明】 【0110】 【図1】図1は、ある実験における酪農牛の3つの群の泌乳レベルを示すグラフである。 30 (28) 【図1】 JP 2005-509602 A 2005.4.14 (29) 【国際調査報告】 JP 2005-509602 A 2005.4.14 (30) JP 2005-509602 A 2005.4.14 (31) JP 2005-509602 A 2005.4.14 (32) JP 2005-509602 A 2005.4.14 (33) JP 2005-509602 A 2005.4.14 (34) JP 2005-509602 A 2005.4.14 フロントページの続き 7 (51)Int.Cl. A61K FI 9/30 テーマコード(参考) 9/30 A61K 47/40 A61K 47/40 A61P A61P 5/30 A61K 5/30 (81)指定国 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT, BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,LU,MC,NL,PT,SE,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,ES, FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,N O,NZ,OM,PH,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW (74)代理人 100075672 弁理士 峰 隆司 (74)代理人 100109830 弁理士 福原 淑弘 (74)代理人 100084618 弁理士 村松 貞男 (74)代理人 100092196 弁理士 橋本 良郎 (72)発明者 チ、フランシス 中華人民共和国、香港、カオルーン、ツィムシャツイ、キンバリー・ロード 1−23、ミラマー ・タワー、7/エフ、ユニット714 (72)発明者 ウェン、チン・タン 中華人民共和国、香港、カオルーン、ツィムシャツイ、キンバリー・ロード 1−23、ミラマー ・タワー、7/エフ、ユニット714 (72)発明者 ル、ティアン・シュイ 中華人民共和国、香港、カオルーン、ツィムシャツイ、キンバリー・ロード 1−23、ミラマー ・タワー、7/エフ、ユニット714 Fターム(参考) 2B005 BA03 BA07 2B150 AA02 AB06 CA06 CE03 CE05 CE06 CE20 DA20 4C076 AA44 BB01 CC30 EE39Q FF63 4C206 AA01 AA02 JA52 MA01 MA02 MA04 MA05 NA14 ZC11 ZC61