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日本記者クラブ会報2012年12月号
©日本記者クラブ 2012 日本記者クラブ会報 第514号 2012年12月10日 衆院選 11党党首討論会 日本記者クラブ主催の党首討論会は12回目 過去最多11党の党首が特設ステージに並んだ 11月30日 10階ホール 栗田格 撮影(ガンマプレス) … 人が薦める今年の3冊 〒100 - 0011 東京都千代田区内幸町2 - 2 - 1 日本プレスセンタービル 電話 03-3503-2722 http://www.jnpc.or.jp/ 16 2 7 19 18 20 21 22 24 25 25 公益社団法人 日本記者クラブ ●年末企画 地讃地読 地方メディアの 13 ●2012年を振り返って … 「G ゼロ」その先を見据えて 小孫茂企画委員長 ●党首討論会の舞台裏 中井良則 …3 ● 党党首討論会 …4 ●東京都知事選共同会見 …6 … ●クラブゲスト フェアホイゲン 前欧州委員会副委員長 前原誠司 国家戦略・経済財政担当相 東郷和彦 京都産業大学客員教授 ハンセン病市民学会 中山俊宏 青山学院大学教授 高橋伸彰 立命館大学教授 ガバラ アルアハラム紙編集主幹 バチェレ UNウィメン事務局長 山口洋一 元ミャンマー大使 渡部恒雄 東京財団上席研究員 藤崎一郎 前駐米大使 石郷岡建 日本大学教授 ワドワ 駐日インド大使 ファンデルフーフェン IEA事務局長 グローバー 国連人権理事会特別報告者 興梠一郎 神田外語大学教授 野口元郎 ICC被害者信託基金理事 ●ワーキングプレス 中国共産党大会 厳しい情報統制 共同通信 渡辺和昭 … ●被災地通信 … 岩手 大槌新聞 一人三役で創刊 高田由貴子 ●地方発 秋田 大学不認可騒動 … 秋田魁新報 内田隆之 長崎 諫早 干拓構想から 年 … 長崎新聞 豊竹健二 ●書いた話書かなかった話 … 石原慎太郎長官との攻防 自由闊達だっ た環境庁記者クラブ 丸山重威 ●リレーエッセー … 私が会った江藤淳さん 小沢氏評価、あることで一転 小林静雄 ●上映会 … 森嶋幹夫 東京原発 ●マイBOOKマイPR … 11 60 昨年に続き東日本大震災に関する 発信に全力をあげたことは言うまで もない。各事故調査委員会の報告会 見を軸にシリーズ企画「3・ 大震 災」を休みなく展開した。 8月下旬にはこのシリーズを「日 本記者クラブの会見から」という大 震災記録冊子にまとめ、発行。33 00部近く印刷して会員のほか公共 機関に無料配布したが、特に被災地 の自治体から希望が多く、在庫は早 くもなくなってしまった。公益社団 法人にふさわしいこうした貢献を増 やせればと考えている。 第 回記者研修会(8・ 、 ) では本年も震災や原発事故報道を主 なテーマに、福島民報、福島民友、 これらの討論会を含めて、日本記 者クラブは今年度も140回を超え る記者会見など発信イベントを開い して紡ぎながら、リーダー不在時代 感が広がらなければよいのだが。そ うした世相も歴史の大切な一こまと (日本経済新聞社専務取締役) た。167回と過去最高だった昨年 のその先をしっかりと見据えなけれ ばと感じている。 の皆さんにお礼を申し上げる。 には及ばなかったが、2年前を3割 ほど上回る高稼働を続けた。関係者 大騒ぎのイベントが多かっただけに、 歳末に「祭りのあと」のような脱力 日本も世界も、政治も経済も、多 くの課題や危機を積み残したままだ。 く感謝したい。 福島中央テレビ各社の局長、部長の 皆さんによる討議などを活発に展開 した。瀬口晴義氏はじめ関係者に深 15 ( 2 ) 「Gゼロ」その先を見据えて 送したNHKの視聴率はそろって3 %を大きく超え、国民の関心の高さ を示した。 しかし、総選挙後の新政権誕生で 日本の進路が明確になるとは言えな い。 年夏の参院選に向けて次の混 迷が始まらないよう祈るばかりだ。 海外に目を転じても中国で習近平総 書記が生まれたものの、米国ではオ バマ大統領が再選、ロシアではプー チン氏が「思惑通り」首相から大統 領に返り咲き、ニューリーダー続出 という展開にはならなかった。 欧州経済危機への対応を中心に経 済ではG7やG8、G の会合が頻 繁に開かれたが、世界の実状は圧倒 的なリーダーのいない「 0(ゼロ) 大震災」発信に意義 刻化するGゼロぶりを痛感させられ る内容だったかもしれない。 の時代」と呼ばれる。転機となるは ずだった今年の様々な出来事も過ぎ てみれば、海外とともに国内でも深 13 「3・ 31 11 30 企画委員長 小孫 茂 破りだった。 それぞれ川戸惠子氏あるいは小栗 泉氏の総合司会、神志名泰裕氏の司 会、橋本五郎、星浩、倉重篤郎、実 哲也の4氏を代表質問者とする討論 や質疑は特に総選挙討論会でピーク に達し、登壇者の多彩さも手伝って かつてない白熱ぶりとなった。生放 これこそ歴史的、「リーダー」なんと11人 衆院選党首・代表討論会 11.30 20 G 混迷の歴史を紡ぐ 今年は、昨年とは違う意味で歴史 的な1年になるとの見方があった。 テーマは主に政治。もはや年中行 事になった感のある日本の首相入れ 替えが早くから予想され、米国やロ シア、中国など主要国で政治指導者 を決める選挙があった。長い閉塞状 態から脱するほぼ世界同時の 「転機」 という期待を背に、日本記者クラブ は当事者の声を連日のように発信 し、 歴史に残す努力を丹念に続けた。 異例、記録破りの討論会 1年に3回もの討論会は異例だが、 それ以上に 人にのぼった党首・代 表討論会の登壇者数は文字通り記録 11 なかでも、漂流を続ける日本の政 治については発信ラッシュとなっ た。9月 日に民主党の代表選候補 衆議院の解散を受けた 月 日に は、師走の総選挙に候補者を出した 30 15 各党党首・代表の討論会も開催した。 11 者討論会、同じ週の 日には自民党 総裁選候補者の討論会を開いた。 12 11 2012年を振り返って 2012. 12. 10 No. 514 職選挙法の政党要件(国会議員5人 以上もしくは直近の国政選挙で得票 率2%以上)を満たす政党─と企画 委で合意している。その後の動きも 見込んで、 党の出席を想定した。 民主党から「野田首相は公務のた め3日は出席できなくなった」と連 絡がきた。 月 日開催に変更し、 各党にお願いを出し直した。1党を 除き 党党首の出席が確認できたの 史上最多の 党 前日に確定 設営も大掛かりに 史上最多となる 政党が一堂に会 することが確定したのは、開催日の 前日だった。 国政選挙で定着した党首 討論会。今回の衆院選でも日本記者 クラブは 月 日、 回目の党首討 論会を主催し、各メディアが詳しく 伝えた。政党の理念と政策を記者が 党首に直接ただす。争点と判断材料 を有権者に提供するジャーナリズム の役割をにない続けることができた。 衆院選 党首討論会 離合集散。多党乱立。そんなこと ばで表現される選挙戦の乱気流はク ラブにも及び、討論会の準備ははら 党はなくなったのか」と先行きが見 えない。 党の党首全員から出席の 返事がそろい、確定したのは前日の は 日だった。あと 日。そのころ から消える政党、生まれる政党が相 次ぐ。「ここに連絡しないと」「あの 舞台裏を少しふりかえる。 野田首相の解散発言が国会で飛び 出した 月 日。その夜には投票日 の日程が決まった。すでに企画委員 日朝だった。解散日に想定した顔 ぶれに比べると2週間で3人が消 10 会で、党首討論会の進め方は議論し 院選の9党。 階ホールの常設ステ ージはすでに満杯だった。 人以上 設営もかつてなく大掛かりになっ た。これまでの最多は2010年参 え、1人が入る形になった。 ている。 解散前日の 日、 各党首にあ て出席の依頼状をまず届けた。この の椅子と机を並べるため発想を変え 時点では公示日前日の 定していた。解散時、国会に議席を 持つ政党は あったが、招くのは公 た。ホールを横長にレイアウトして きたのを 度倒し、初めて縦長に使 13 うことにした。特設ステージを作り、 緑色の地にクラブ名とロゴマークを 入れた緞帳も発注した。カメラステ ージが広がり、これも最多となる 台のテレビカメラが取材できるよう にした。ペン取材の椅子も増やした。 プレスセンタービルと日本新聞協 会には日程調整や準備で協力してい ただいた。多くの方にお世話になっ た。感謝します。 (専務理事・事務局長 中井良則) 7クラブでアジア太平洋プレス クラブ協会発足 さらに8組織も参加表明 会報 月号で報告したアジア太平 洋プレスクラブ協会(APPC)の 設立会議が 月 日、香港外国特派 員クラブで開かれた。日本記者クラ 29 白木東洋元専務理事が死去 日本記者クラブ元専務理事の白木 東洋(しらき・とうよう)さんが 月4日、肝不全のため都内の病院で 亡くなった。 歳。葬儀は家族で執 り行った。喪主は妻和子(かずこ) さん。後日、お別れの会を開く予定。 毎日新聞出身。1990年1月から クラブ事務局長、 年5月から 年 5月まで専務理事兼事務局長。 93 加を表明しており、参加未定の1組 織がオブザーバーとして出席した。 日本記者クラブは 月の理事会で 加盟方針を決め、専務理事が代表と 台北②参加を表明しているが欠席= 8【ナショナルプレスクラブ】ニュ ージーランド▽シンガポール▽モン ゴル▽ネパール【特派員クラブ】北 京▽ジャカルタ▽シンガポール▽バ ンコク③オブザーバー出席=1(参 加は未定)香港記者協会 した。協会会長にダグラス・オング 香港外国特派員クラブ会長ら執行部 を構成する4人を選出した。事務局 はオーストラリア・ナショナルプレ スクラブが担当する。 協会の目的である報道の自由、開 かれた政府、ジャーナリストの保護 についても意見を交わした。 ①参加=7(設立会議に出席) 【ナ ショナルプレスクラブ】オーストラ リア▽日本【特派員クラブ】香港▽ 上海▽クアラルンプール▽ソウル▽ 80 して出席した。 設立会議は定款案を審議し、修正 意見を受け付けた上で、3カ月以内 に正式の定款を確定することで合意 ブを含む7つのプレスクラブ・特派 員クラブ代表が出席し、正式に発足 した。ほかに8組織が欠席したが参 12 97 11 はらの綱渡りだった。議論の中身は 各紙各局の報道とこの会報特集面 (4、 5㌻)を見ていただくとして、 12 21 29 ( 3 ) 30 10 10 11 90 12 10 13 11 11 12 15 11 30 月3日を予 11 11 11 14 15 2012. 12. 10 No. 514 討論会の舞台裏 りを発揮、嘉田さんは場に慣れ ず、野田さんは政権担当者故か そつのない答弁に終始。第三極 は?どう組むのかがポイント。 党の存在感を見せようと皆さん 力が入る。その中で、安倍さん はまだ野党の安心感からか饒 舌、石原さんは「暴走老人」ぶ ●舛添さんが見えない 何度も 進行役を務めているが、私と反 対端の党首の姿が見えないのは 初めて!でもそれだけに自分の 代表の入れ替わりなどで参加す る党首の顔ぶれが固まったの は、前日午前中というヒヤヒヤ る応酬、ターゲットにしている 政党、主要論点などが伝わった のではないか。 行方を左右する総選挙。この討 論会が政策論争のペースメーカ ーになれれば、うれしい。 代表質問 星 浩 ●原発の矛盾を突く 緊張しま した。慎太郎さん、宗男さんと 迫力満点の方々がズラリ。こち らに隙があれば突っ込まれそう な。ただ、 わかったことが一つ。 日本記者クラブという場の特殊 性です。我々質問団の後ろには、 メディア側のそうそうたるメン ツが控えている。その抑止力も またすごい。A新聞のW氏の会 場からのメモには助けられまし た。原発に関する慎太郎さんの 第1部司会 神志名泰裕 ●こちらも真剣勝負 第2部の 質疑がそれなりに目的を果たせ たかどうかは、ご覧になった皆 さんの評価にゆだねるが、いつ もより疲れたことは事実だ。終 矛盾を突く質問。つかわせてい ただきました。 代表質問 倉重篤郎 ●人間性浮き彫りに 個人的に は経済政策、TPPなどでもっ はうまく浮き彫りにできたので はないかと思います。 代表質問 実哲也 るのかどうかということでしょ う。その点では橋本さんをはじ め他の代表質問者の方々のあの 手この手の質問で党首の人間性 といろいろ聞きたかったなとい う気持ちは正直残っています。 ただ、有権者が判断する際に最 も重要なのはこの人は信用でき わってから娘に厳しく批判され た。 「上 か ら 目 線 で、 自 分 だ け が怒っているように質問してい る 」 と。 そ れ に 対 し て は、「お 父さんだって真剣勝負している んだ」と反論したが、そうかも しれないとも思った。 代表質問 橋本五郎 ●政策論争のペースメーカー 直前まで出席党首が確定しない という異例の事態。 人を相手 にどう切り込むか。気をもんだ が、橋本五郎さんのさばきの良 さで、どうにか乗り切った。石 原氏の不規則発言も押さえ込ん だし、安倍氏から外交・金融の 柔軟発言も引き出した。日本の ( 4 ) の連続だった。調整に当たった 事務局の尽力に感謝。時間の制 約 で 質 問 は 1 問 だ け、“乾 坤 一 擲の質問”となった。緊張感あ 通常のメーンステージ側(左奥)をカーテンで閉じて左回 転させ特別の会場を設営した 総合司会 川戸惠子 ●乾坤一擲の質問 多党化の中 の党首討論。政党の離合集散、 11 第46回衆議院選挙 2012. 12. 10 No. 514 選挙後の連携は─政策が近いと思われる党名を書いたフリップをかかげて(左から) 国民新党の自見代表、社民党の 福島党首、共産党の志位委員長、公明党の山口代表、自民党の安倍総裁、民主党の野田代表、日本未来の党の嘉田代表、 日本維新の会の石原代表、みんなの党の渡辺代表、新党大地の鈴木代表、新党改革の舛添代表 政策論争 ウェブサイトに討論会全文と動画 対立軸はどこに? 原発、外交、憲法、消費税、TPPな ど主要争点をめぐり主張を展開 安倍自民党総裁(左)と 野田民主党代表 11党党首討論会 11.30 12回目となる党首討論会 は、政治の液状化現象を反 映した異例な状況下での開 催となりました。日本政治 は様々な宿題を抱え な が ら、ここ数年間あまり動か ずに進んでまいりました。 今回の総選挙は、その政治 が動くきっかけになって、 吉田慎一理事長の挨拶 長いトンネルの出口を見い だすものになるのではないかと感じております。 主催者の当クラブも異例づくめの対応となりま した。過去最高の11党の党首と、多くの取材陣を 収容するために会場も工夫しました。特設した新 しいステージで、日本政治の信頼回復への第一歩 を刻んでいただきたいと思います。端的かつ明快 な議論をお願いしたい。 会場の声 生中継取材の目 ●ASEAN 記念撮影? 党 首討論会の記念撮影写真を目に して、一瞬、東南アジア諸国連 合(ASEAN、 カ国)首脳 会議のそれ、と見紛うた。いく ら何でも 人は多すぎた。米大 統領選本選挙での一騎打ちの討 10 10 論とまではいかずとも、せめて 5党首ぐらいに絞っていれば、 11 もっと突っ込んだ論戦が展開さ れたのではあるまいか。 産経新聞論説副委員長 西田令一 ●違い強調だけでいいのか こ れは党首「討論」ではない。主 張の場を与えているだけだ。党 首同士に「質問」ではなく、「批 判」をしてもらい、反論と再反 論の機会を設ければ、議論が深 まる。今の日本は内輪もめをし ている時ではない。違いを強調 するばかりで、とりわけ外交問 題に超党派で臨む必要性を訴え る声がなかったのは残念だ。 時事通信解説委員長 明石和康 ●被災地は2度目の冬なのに 復興を実現できるリーダーは いたか。関東大震災や阪神大震 災は大都市が復興の場で、人も 金も集まり力になった。福島は 想通りの展開ではあったが、尖 閣や憲法改正で具体論が聞かれ たこととの落差を感じた。 琉球新報東京支社報道部長 与那嶺明彦 ●フリップに党首の個性 人 では議論が深まらず、2時間 分はさすがに長い。手書きフリ ップは、党首の個性が出ておも しろい。米国の選挙討論会では 考えられない。ハードな質問が 多く、党首に立ち向かう質問団 の姿勢は好印象。今回の党首討 論会の生中継は 「ニコニコ動画」 に先行された。既成メディアへ の挑戦と受け取るべきだ(談) 。 ダウ・ジョーンズ経済通信副 支局長 ウ ィリアム・スポサト ●高いジャーナリズムセンスだが しっかりと準 備され、公平 性 とニュース性のバランスもよく、 日本記者クラブのジャーナリズ ムセンスの高さを改めて感じ た。ただ米国のテレビ討論は視 聴率も高く、その内容が票を左 右すると言われている。その役 割を果たすのがクラブの党首討 論会なのに、関心の高さはない。 確かに 党首と異例だったが米 国メディアであれば、もう少し AF ( 5 ) 11 30 工夫を凝らしたかもしれない。 通信東京支局記者 伊藤真悟 11 P 人は減り、国の金は再び東京に 持ち去られる。原発論議に明け 暮れてみても、復興の有効な具 体策は誰も示さない。東京でぬ くぬく議論している間にも、被 手をつなごう─論戦前に恒例の記念撮影 討論会デビューの 嘉田、石原両代表を気遣う党首も 災者は2度目の冬を耐える。 小野広司 福島民友報道部長 ●沖縄は置き去りなのか 沖縄 では今回「沖縄置き去り選挙」 との声がある。この間まで各地 で大騒ぎしていたオスプレイを はじめ、普天間問題、相次ぐ米 兵犯罪でも踏み込んだ議論はな かった。限られた時間の中で 党首が登壇することもあり、予 11 2012. 12. 10 No. 514 多 党 乱 立 実施要領メモ 15㌻ 写真 栗田格会員 東京都知事選共同会見 衆院選との同日選挙で影が 薄くなったとはいえ、首都・ 羽原発の再稼働の是非に関し て明言を避けるなど、慎重さ を崩さなかった。 家らしさ」をにじま せながら、石原都政の実績を 強調。だが、東京電力柏崎刈 直樹氏はときに「作 東京の顔を選ぶ選挙だ。主要 4氏そろい踏みの共同会見 は、候補者を見極める上で貴 ( 6 ) 4氏の個性、 資質が表れた 重な機会となった。 東京五輪招致や新銀行東京 問題など個別課題に対する各 候補の見解は既に明らかにな っている。代表質問では石原 都政の総括と東京の将来ビジ ョンをまず聞いてみた。 短い時間ながら4氏の個 性、資質がよく表れたと思う。 石原慎太郎前知事から後継指 名を受けた元都副知事の猪瀬 家」か。江戸城の天守閣再建 など「東京丸ごとテーマパー ク化」を提唱した。 ただ良くも悪くも石原氏の 存在感が大きすぎるのだろ う。首都・東京のかじ取りを 任せるには、4氏ともに物足 りなさを感じたのは否めない。 予測される首都直下型地 震、急速に進む高齢化など深 刻な課題を抱え、地に足のつ いた都政が求められる。安心 と安全、暮らしやすさ、世界 への発信力─。矛盾する場合 もある政策要求を実現してい く力量を持つ新知事を期待し たい。 企画委員 共同通信社論説 川上高志 副委員長 共同会見 実施メモ 日時 11月28日(水)14:00〜15:30 会場 10階ホール 参加者 猪瀬直樹、宇都宮健児、笹川 尭、松沢成文の立候補予定者(50音順) 司会 小栗泉企画委員 代表質問 川上高志企画委員 進行 各候補者が立候補にあたっての 基本的な主張を述べた後(持ち時間5 分・50音順)、川上企画委員が代表質 問(約35分)、その後会場からの質問。 宇都宮候補は20分近く到着が遅れた が、時間通りに始めた。これまで都知 事選では過去4回、立候補予定者の連 続会見を行ってきた。一堂に会した共 同会見は初めてだった 出席者 127人。HP動画。 脱原発、反貧困を訴える前 日弁連会長、宇都宮健児氏は 「生真面目な勉強家」の印象。 福祉切り捨てなどを批判し、 石原都政の転換を明確にした。 元自民党総務会長の笹川尭 氏は「大店の旦那」のイメー ジだった。新銀行東京の清算 を主張しながらも、石原路線 との違いはあまり明確ではな かった。前神奈川県知事の松 沢成文氏は「起業 東京の顔はだれに? クラブゲスト 2012. 12. 10 No. 514 (手前右から) 笹川尭、猪瀬直樹、宇都宮健児、松沢成文の4立候補表明者 会見は告示前日に行われた すこともない」として「事実無根」 と強調。ことさら危機をはやし立て るような米英の報道ぶりも批判した。 1999〜2004年まではEU の拡大を担当する委員を、その後は 年まで副委員長兼産業・企業を担 当する委員を務めた。統合の危機を 強く否定するのは、長年加盟国の拡 大や市場統一に取り組んできた自負 があるからだろう。確かに彼が崩壊 説を「政治的なことを理解していな い」と言うように、諸国は必ずしも 統合による経済効果だけを狙ってE Uに加盟したわけではない。 欧州危機の発端はギリシャの経済 個人的なことだが、初めて前原氏 を取材したのは、初当選した199 3年の細川内閣誕生につながる衆院 月の内閣改造で野田第 3次改造内閣の国家戦略担 当相に就任した。海洋政策 選の際だ。東京から出張し、激戦の 京都1区(当時)の選挙事務所を訪 ねると、壁には茶道の流派からの推 質疑でギリシャがユーロ 圏から離脱するとの見方を 問われ、 「100%却下だ。 ギリシャの離脱は国家破綻 につながり、世界危機を起 こしかねない」と強く反論 した。欧州連合(EU)や ユーロ圏が崩壊するとの見 方にも「どの加盟国も離れ たいと思わないし、追い出 担当相、内閣府特命担当相 も兼務。 特命相としては、 経 済財政政策、 科学技術、 原子 薦状。みやびさと 歳のスマートな 青年候補の取り合 わせに「さすが土 地柄」と感心した 覚えがある。どじ ょうを名乗る首相 との違いは当時か らだろうか。 分間は、パワーポイント 冒頭の 指標の改ざんだったという見方に 否定的だ。より根本的な「欧米の 大銀行がとった無責任な行動」に 原因を求めたのは、危機の全体像 を再度思い起こさせてくれた。確 かに「米国の銀行救済に使われた お金より、ギリシャ救済に回るお 金 の 方 が 少 な い 」 し、「ギ リ シ ャ 救済と言うが、実質は(ギリシャ への貸手の)独仏の銀行救済パッ ケージ」なのだ。 ただ、新財政協定と欧州安定メ カニズム、欧州中銀の国債買い切 りなどをもって「危機を乗り切る 手 段 が そ ろ っ た 」 と し、「金 融 危 を 駆 使 し な が ら、「今 後 取 り 組 む べき政策課題について」と題し、 エネルギー・環境、健康、農林漁 業など日本が取り組むべき重点分 野などを紹介。ただ、その後の質 疑 で は、 司 会 の 星 浩 企 画 委 員 が 「需 要 と 供 給 」 の ミ ス マ ッ チ と 指 摘したように、衆院解散・総選挙 に関するものが目立った。 前原氏は、会見前日のテレビ番 組で輿石東幹事長が「年内総選挙 は物理的に無理」と発言したこと をめぐって、幹事長の発言は国会 運営、選挙対策の責任者である立 場からのものであるとの見方を示 福田 直之 機 は 近 く、 過 去 の も の に な る の で は」と述べたのは、楽観的との印象 を受けた。加盟国がEUに権限を渡 す政治統合については「委譲のため の条約の批准に時間がかかる。大き な変化は期待していない」とも述べ ている。もう二度と危機を起こさな いようにするには、各国の財政権限 という最も政治的な部分を統合する 必要があり、危機の根治には時間が かかりそうだ。 朝日新聞経済部 ・ (水)記者会見 司会 小此 木潔委員 通訳 高松珠子 出席 人 HP動画 次期衆院選の争点については公共 工事のあり方とエネルギー・原発政 策の「二つ」と解説した。空港や港 湾の国際競争力を高めるには、総花 的事業から選択と集中に転換すべき いだろう。スマートさに負けん気も 持ち合わせている。 した。一方で「解散はあくまで総理 が決めること」だとしたのは、幹事 長へのけん制と理解しても間違いな 31 だとの指摘は国土交通相経験者の知 見でもあり説得力がある。 共同通信論説委員 中川 克史 ( 7 ) 10 ・5(月)記者会見 司会 星浩 人 HP動画 委員 出席 138 31 「EUは崩壊しない」 と強調 選挙争点は公共工事とエネルギー政策 10 力行政、宇宙政策を担当す る多忙な閣僚 である。今般 入閣した際、 「2、 3カ月し かこの職にい ないかもしれ ない」 と、 間近な衆院解散を 覚悟していたと明かした。 30 10 24 11 せいじ ギュンター・フェアホイゲン 前欧州委員会副委員長 前原 誠司 国家戦略・経済財政担当相 まえはら 2012. 12. 10 No. 514 クラブゲスト る。もう1つは中国は領海に船を入 れないことを保障すること。この2 つを同時に実現できればこれ以上の 悪化は食い止められるのではないか という考えだ。 提言の背景には、かつてソ連のシ ェワルナゼ外相が「領土問題は存在 しないというソ連の立場は変わらな いが、日本の主張にも耳を傾ける用 意がある」という姿勢を示した体験 がある。東郷氏は状況は戦争が起き かねないほど危険で、政府はある段 階で領土問題はないという言い方を やめるべきだとして、中国とある種 の妥協をするよう求めた。 あるが、ど = 東郷 和彦 京都産業大学客員教授 山内 聡彦 プーチン大統領の復帰で希有の歴史 的な機会が開かれているという認識 を示し、ロシアが交渉をやろうと言 った時に日本は全力で取りに行くべ きだと主張した。同時にこれは最後 の交渉であり、日本がもたつけば、 プーチンは日本を見切り、問題は動 かなくなってしまうと警告した。 これらの問題が今後どうなるのか。 東郷氏が指導者らの意識やリーダー シップ、認識によって事態は変えら れると強調したのが印象に残った。 NHK解説主幹 一般 市 民 は ほ と ん ど 実 態 を 知 ら な い。こうした現実を背景に私たちは 市民学会を立ち上げた。今年は5月 に青森と宮城で交流集会を開催した が、うれしいことに会員総数を超え る1000人以上の来場者と100 ( 8 ) かずひこ とうごう ハンセン病市民学会 また問題の 背景にある歴 史問題の重要 性も強調した。 東郷氏は、日 本側から未来 志向の関係を作ろうと呼びかける のは韓国にとっては「過去を忘れ よう」ということに等しい。韓国 側がそう言うのなら良いが、日本 人はそういうことを言うべきでは ないという考えを示した。また今 後は慰安婦の問題が深刻になるだ ろうと指摘した。 ・5(月)研究会「領土問題 ②」 司会 坂東賢治委員 出席 人 HP動画 の施設も公務員の定数削減のあお りを受け医師、看護師、介護職員 の不足で入所者は深刻な生存権に 関わる危機に直面している。多く の入所者が両手指の欠損や機能マ ヒにより箸もスプーンも持てず、 人ほどのボランティアに支えられ、 理解者も微増した。しかし、職員の待 遇改善と定員増が成し遂げられるま ・8(木)記者会見 司会 宮田 一雄委員 出席 人 HP動画 自力での食事ができない現実があ るのに補助職員が足りないので誤 嚥性肺炎で命を落とす人が半数以 踏みにじるものである。我々は忘 却の彼方に追いやられようとの危 機感を持っているが、 残念なことに 上に上るという。 「こ う し た 問 題 の 先 送 り は 療 養 所の高齢者の人間としての尊厳を 94 で真の人間回復を目指して汗を流し 続ける」と神さんは力強く会見を締 めくくった。 高田 和男 日本テレビ解説委員 一方、北方領土問題については、 領土問題 指導者の認識で事態変化も 平均年齢82.1歳 続く差別と偏見 長年、北方領土問題に取 り組んできた東郷氏。最近 は尖閣、竹島問題にも積極 的に発言しているが、この 日、最も関心を集めたのは 尖閣問題に関する2つの提 言だった。 1つは日本は前提条件な しで中国と対話すべきだと いうこと。これは中国の主 張を認めるのではなく、相 手の話をまずじっくり聞こ うということで、日本側は この中で領土問題は存在し ないと主張できるとしてい 学教授で事務局長を務める遠藤隆久 さんは 年に国会で「ハンセン病問 題の解決の促進に関する法律」が成 立したにも関わらず、相変わらず差 別や偏見が続 いていること を強調した。 この7月時点 で全国の患者 は2096人、 平均年齢は ・ 歳と高 齢化をたどっており年間150人前 後が亡くなっている。 全国に国立療養所は 1 うかららの ひとりも訪 ね来ることなし 死ぬるを 待たれ ゐてながきかな (ハ ン セ ン 病 歌 人 の 津 田 治 子歌集より) 。 2005年5月に交流・ 提言・検証を3本柱に設立 されたハンセン病市民学会 は700人の会員を擁して いる。 自らがハンセン病患者で ある全国ハンセン病療養所 入所者協議会会長で学会の こう 共 同 代 表、 神 美 知 宏 さ ん (写 真 右 ) と 熊 本 学 園 大 25 08 11 11 82 13 クラブゲスト 2012. 12. 10 No. 514 開口一番「この会場には 年 カ月ぶり。小泉政権 誕生とともに東京では忘れ 接戦と言われたわりには 選挙人数で332対206 という大差がついて、バラ ク・オバマ米大統領が再選 を 果 た し た。 「完 勝 」 の 理 由は、徹底した組織選挙、 オバマ氏の好感度、そして 女性やヒスパニック、若者 な ど、 「白 人 中 高 年 男 性 」 以外の票がオバマ氏に流れ たと分析した。米政治を長 年研究してきただけあっ て、その解説は実に詳細、 明解だ。 初めて全体の1割を超え 洞 察 し、解 決のために 現 実 的 な 政 策 を提言することにある」 と強調した。 地に堕ち、 総需要政策を掲げるケイン ズ主義が復活。「ケインズ経済学の神 髄は、 その時々における危機の本質を たヒスパ ニック票 は今後も 増えるが、 彼らは移 民に厳し い共和党に背を向ける。女性や若者 の民主党好みも続きそうだ。中山教 授が言う「民主党は新しいアメリカ に親和性を持つ」わけだ。 共和党の前途は暗い。しかも、次 回2016年の大統領選ではヒラリ ー・クリントン国務長官が「民主党 の筆頭候補」となると言う。初の黒 人大統領に続いて初の女性大統領を ケインズが活躍した 世紀前半の 英国と同様に深刻な長期デフレに陥 っ て い る 日 本 で、「デ フ レ 脱 却 論 」 が声高に叫ばれているが、超金融緩 和などでただ脱却を目指すだけでは られたエコノミストの一人 になった」と会場を笑わせ た。1994年から6回も 日本記者クラブゲストに呼 ばれた売れっ子経済学者だ ったが、新自由主義全盛時 代にはお呼びがかからず、 「こ の 本 で 復 活 さ せ て い た だいた」 というわけである。 ケインジアンの代表的な 論 客。周 知のように、 リーマ ンショックで新 自由主義が 日本人は豊かになれない、と指摘。 「前 原 誠 司 氏 が 日 銀 に 圧 力 を か け に 行く必要はない」と歯切れがいい。 「デ フ レ は 症 状 で あ り そ の 根 本 原 因を直さなければならない」とし、 い」と心配する。 思い起こせば、1980年代のレ ーガン革命、 年代の保守革命、そ してブッシュ政権では「共和党が永 久に多数派を握る」と語られ、民主 党にも雌伏の時代があった。 オバマ氏の大きな政府路線への反 動は米国でやがて大きな波となるだ ろ う。「共 和 党 に も 若 い ヒ ス パ ニ ッ ク議員や知事ら良い政治家がたくさ んいます」と期待をかけた。 企画委員 共同通信編集委員 八牧 浩行 導き出してしまう」と喝破していた。 時事通信出身 ・9(金)著者と語る『ケインズ はこう言った』司会 小此木潔委員 出席 人 HP動画・会見詳録 ( 9 ) 杉田 弘毅 ・9(金)研究会「権力移行期の 世 界 ⑨ 米 国 」 司 会 杉 田 弘 毅 委 員 出席 人 HP動画 的な短縮」を挙げた。 それにしても、マネタリズム、新 自由主義、ケインズ…。世の経済状 選ぶという夢のストーリーは4年 に一度のお祭りである大統領選を 否が応でも盛りたてる。 もし民主党大統領が3期続け ば、「米 国 の 2 大 政 党 制 の 崩 壊 」 といった性急な見方も生まれそう だ。「ど う す る 共 和 党 」 に 関 心 が 集中する。 穏健派のミット・ロムニー氏の 敗北で、共和党内では「真正保守」 を 求 め る 声 も 出 る。 こ の 動 き に 「共 和 党 は 政 党 と し て の 本 能 が 生 き残りを求めていくはず。右旋回 を止めなければ、2大政党制が壊 れ、 そ れ は 米 国 に と っ て 良 く な その元凶はかつてケインズが注目 した「非自発的失業」の延長上に あ る「非 自 発 的 雇 用 」(低 賃 金 の 況によって盛衰する経済学とは何な のか、と考えざるを得なかった。経 済学とは実態に即した理論構築では によってデフレ下でも企業は利益 を 確 保 し て い る 」 と 分 析。「家 計 所得の減少(賃金減少)によるデ フレであり、賃金下落を止めるこ とが先決」と 結論付けた。 その解決策と して「法定労 働時間の抜本 なく、理論に当てはめて実態を都合 よく解釈する学問なのか? 高橋教 授も「(経済学者は)行き詰まると『す ることにしよう』と希望的な結論を 非正規雇用)だと強調する。 「今 の 日 本 の デ フ レ は 企 業 損 失 の現われではない。人件費の抑制 66 としひろ のぶあき 90 55 10 オバマ路線への反動が来る? 労働時間短縮でデフレ脱却を 11 11 11 20 中山 俊宏 青山学院大学教授 なかやま 高橋 伸彰 立命館大学教授 たかはし 2012. 12. 10 No. 514 クラブゲスト 「エ ジ プ ト は 軍 事 国 家 に も宗教国家にもならない」 。 そう何度も繰り返した。 エジプトを代表する政府 系紙アルアハラムの編集主 幹だが、客観的な分析とい うより、世俗派リベラルと いう自らの立ち位置を明確 にして現状を解説した。 昨年2月にムバラク長期 独裁政権が倒れて1年9カ 月。この間、下院にあたる 人民議会、上院にあたる諮 問評議会で選挙が行われ、 大統領選挙も行われた。い 男女平等と女性の地位向 上を目指す 「UNウィメン」 事務局長に2010年に就 任してから初の来日。日本 では約6割の女性が第1子 出産後に離職しているとし ずれも民主的な自由選挙で、エジプ トは着実に民主化に向かっているよ うに見える。だが、ガバラ氏は選挙 の結果にエジプト人の多くはショッ クを受けたという。 上下両院ではいずれも、穏健派イ スラム団体のムスリム同胞団が結成 した自由公正党と、サラフィストと 呼ばれる宗教的により厳格な政党を あわせ、いわゆるイスラム主義者が 議席の4分の3を占めた。大統領選 挙では、自由公正党のムルシ氏が決 選投票を制した。 「大 統 領 選 の 第 1 回 投 票 で ム ル シ 氏の得票率は %。なぜ議会選でイ 導入などの制 度改革を提案 した。 バチェレ事 務局長はチリ の保健相、国防相を歴任。 年にチ リ初の女性大統領に就任し1期4年 けてくれて」3人の子どもを育てあ げたことも会見で披歴した。 を務めた。小児科医の顔も持つ。 ただ、自身も家庭と仕事を難なく 両立できたわけではないという。離 婚 し た シ ン グ ル マ ザ ー。「母 親 が 助 て「経済成長と生産性向上 にブレーキをかけている」 と訴えた。 国会議員に占める女性の 割合も世界全体では約 % なのに日本は %台にとど まっていることも指摘、女 スラム主義者が %を握るのか。 みな何か変だと思っている」 エジプトでは新憲法の制定が進 んでいるが、ガバラ氏はモルシ政 権 へ の 警 戒 感 を 隠 さ な い。「わ れ われはイスラム主義者を革命のパ ートナーだと思っている。だが、 彼らが国家に宗教色を付けようと することは受け入れられない」 選挙結果を民意だとうのみにし ないでほし い、というの がガバラ氏の 主張だ。ムバ ラク時代に政 に軍部の改革などに取り組んだこ とも述べた。 2010年にチリを襲った大地 に拘束、拷問された経験もあるが 「過 去 に と ら わ れ る の で な く、 過 去に学び現在と未来を築く」ため 権を100%支持していた西側民主 主義国家が、イスラム主義政権にな ったら、それを100%支持してい る姿に「ふつうのエジプト人は驚い ている」と。 2001年から2005年まで東 京 特 派 員。「日 本 で 春 は 桜 の 季 節 だ が、アラブでは、春はほこりっぽく て暑くて嫌われている」と、外国メ ディアのつけた「アラブの春」のレ ッテルを皮肉った。 平田 篤央 が、ちゃめっ気のこもった笑顔の裏 に意欲が垣間見えた。 共同通信外信部 中川 千歳 ・ (火)記者会見 司会 宮田 一雄委員 通訳 長井鞠子 出席 人 HP動画 ( 10 ) 朝日新聞GLOBE記者 ・ (月)囲む会 司会 脇祐三 委員 通訳 池田薫 出席 人 HP動画 震の際、海軍情報に基づき大統領と して「津波は来ない」とラジオで呼 び掛けた直後に津波が起き、死者が 増えたと批判の声も上がったが、そ の後も %台の高支持率を維持し た。 年の次期大統領選への出馬意 46 目に「朝ご飯をつくり、子どもを 学校に送り、オフィスに着くころ には既に3時間働いていた。それ が私の国の現実」と振り返るが 「(女性の負担緩和のためにも)政 治や経済の分野に女性がより関わ 11 向を尋ねると「今は現職に専念して いる。もし変わるようなことがあれ ばお知らせします」とかわされた 75 ることが大切」と力を込めた。 1973年の軍事政変で空軍将 軍の父が投獄され死亡。母ととも 軍事国家にも宗教国家にもならない 日本女性に一定の議席保証を 13 25 大臣時代、ベッドに朝食を運んで もらうような待遇の男性副大臣を横 06 エジプト・アルアハラム紙編集主幹 性に一定の議席を保証する クオータ制(人数割当制) 20 カマル・ガバラ ミチェル・バチェレ UNウィメン事務局長 12 13 13 80 11 45 クラブゲスト 2012. 12. 10 No. 514 夫人のメッセージが有権者 の間に広がったと指摘し た。今回の選挙では、ヒス 父親について語った党大会 で の 演 説 を 紹 介。 「オ バ マ は庶民のプライドと苦悩を 深く理解している」という とれるか。 渡部恒雄氏は、ミシェル 夫人が水道局の技師だった オバマ大統領が再選を決 めたアメリカ大統領選挙。 この選挙結果から何が読み 「急 激 に 変 わ り つ つ あ る ミャンマーについてお話を しに参上いたしました」─ ─。 ゲストブックにそう書き 込んだ山口洋一氏。いま最 も旬な国についての熱気あ ふれる1時間半の「著者と 語る」になった。 昨年春の民政移管後、テ ィーを切り捨てるような失言をして しまった。 渡部氏がもうひとつ注目したの は、社会における女性パワーだ。渡 部氏は「オバマ政権は女性に支持さ 持をつかんだのに対して、共和党は 理解が足りなかった。ロムニー候補 は、アメリカ国民の %を占める非 納税者、つまり低所得のマイノリテ 半数の %がオバマ氏に投票したと いう。 アメリカはヒスパニック系の市民 や低所得者層などマイノリティーが 確実に増えている。オバマ陣営はそ の意味を理解し、そうした人々の支 イン・セイン大統領のもとでミャン マーの民主化改革はめざましく進ん でいる。最大野党を率いるアウン・ サン・スー・チーさんも国会議員と なり、米大統領として初めてオバマ 大統領がミャンマーを訪れるという 歴史的な転換期のまっただ中にある。 「目 に 見 え る 変 化 が 大 き く 進 展 し て い る 」「当 の ミ ャ ン マ ー 人 が 一 番 うれしく受け止め、これで本来のあ るべき社会体制に戻れた、との思い でしょう」 1990年代半ば、欧米諸国の経 済制裁の締め付けが厳しかった時に 日本の駐ミャンマー大使を務め、現 パニック系の %、アジア 系の %、そして女性の過 73 71 地の事情と歴史的背景を知るにつ け、この「独立自尊の意気盛んな 自由で平等の国」に日本はどう向 き合っていくのがよいのか、独自 外交のあり方を探ってきた。 それだけに、日本が欧米に一歩 先んじて支援の姿勢を打ち出した ことを高く評価する。延滞債務の 最大の貸し手である日本は大半の 債権放棄を宣言し、野田首相はプ ノンペンで、テイン・セイン大統 領に、来年から円借款を再開する と伝えた。 中国との関係については、武器 取引を禁止されたので中国から買 135の民族 国家一体化への道 わざるを得なくなっての接近だった と 指 摘 し、「対 中 警 戒 心 は 怠 っ て い ない」と言い切った。 この国の統治の難しさは、135 もの民族を一つに束ねるところにあ る。民主主義はまだ途上にあるが、 経済の発展、教育の向上という課題 に取り組むことで国家の一体化が進 んでいくと予見した。 上下2巻『歴史物語 ミャンマー』 の著者が注ぐまなざしは温かい。 企画委員 読売新聞論説副委員長 山岡 邦彦 ( 11 ) よういち つねお ・ (水)著者と語る『歴史物語 ミャンマー』 司会 山岡邦彦委員 出席 人 HP動画 ロムニーが主張した「小さな政府」 とオバマが唱えた「スマートな政府 (大きな政府)」の選択でもあったと も指摘した。それは経済的な側面と いうよりも、政府の関与が増すこと を是とするか否かというイデオロギ の声を理解する政権は誕生するのだ ろうか。 津屋 尚 NHK解説委員 ・ (金)研究会「権力移行期の 世 界 ⑩ 米 国 」 司 会 杉 田 弘 毅 委 員 出席 人 HP動画 41 生。ミズーリ州では、共和党の有 力男性候補が、女性の妊娠中絶に ついて「本当のレイプなら妊娠し ない」と問題発言をし、民主党の 女性候補に敗れている。 渡部氏はまた、今回の選挙は、 16 55 14 35 れた政権 であり、 アメリカ 全体とし ても女性 の影響力 20 ーに関わる問題なのだという。 ひるがえって日本。まもなく総選 挙が行われる。果たして「弱き者」 「弱き者」の声理解する政権 は強まっていく」と分析した。議 会の選挙では、ハワイの日系女性 を含め 人の女性上院議員が誕 11 11 47 山口 洋一 元ミャンマー大使 やまぐち 渡部 恒雄 東京財団上席研究員 わたなべ 2012. 12. 10 No. 514 クラブゲスト 省からしか取材しない」政 治部主導型になっていると 見る日本での報道のあり方 特派員として駆け回りつ つ、日本のことを考えてき た人だ。北方領土問題がテ ー マ の 今 回 の 話 も、 「外 務 に、そうなっていない」 ロシアをはじめ、東欧、 中東、アフリカを新聞社の 「領 土 問 題 で は 日 本 側 だ けでなく、相手の国の人と も話をするのが当然なの 米大統領選の投開票結果 を見届けての帰国という絶 妙のタイミングでの会見だ った。外務省北米局長など の頃は当たり障りのない発 言しかしない人との評判だ っ た が、 自 由 な 立 場 に な り、オバマ政治の現状への 率直な分析もあった。 笑わせたのは大統領選を 巡る「三位一体説」だ。オ バマとロムニーがぎりぎり の競り合いをしたとされる 選挙だが、それは全くの虚 構。陣営を引き締めたいオ コの毛皮を求めて1711年に千島 列島に南下してきた」民族である。 その前はモンゴルに攻め込まれ、 森林帯にひそんでいた。領土も国境 も絶えず変わってきたロシアの人々 に返還を求める「固有の領土」論の 根幹に置く。だが、ロシア人は、領 土拡大の一環で「 世紀にエルマー クがシベリアに遠征し、さらにラッ 外務省は、国後、択捉両島が「千 島列島と違って一度も外国の領土に なったことがない」ことを、ロシア 特 に 力 を 込 め た の が「『固 有 の 領 土』といっても、ロシア人には、ま ったくわからない」点だ。 バマ選対、追い上げ機運をつくりた いロムニー選対、4年に一度のかき 入れ時に視聴率を上げたいテレビの 3者が無理やり接戦を演じていただ けで、もともとオバマが勝って当た り前の選挙との解説だった。 オバマが駐日大使に日本通でない ルースを起用したことに関連して、 米国の大使は努力しなくても(とま に、まずくぎをさすことか ら始まった。 で は 言 い 切 ら な か っ た が )、 周 囲 がほっておかないので困らないと 説明したのも面白かった。 普通の国の大使は相手国の言葉 を習い、文化などを学び、苦労し ないと人の輪に入れないとの指摘 はその通りだろう。日本人の内向 き志向が顕著な時代だけに、どう やって世界とつき合うかは今後も 発信してもらいたいものだ。 本筋の日米関係については米軍 普天間基地の移設問題は着実な進 展が必要と力説した。日米の有識 者に「フテンマは同盟の根幹にか かわる問題ではない」との発言が 普天間移設は直実な進展が必要 あることを紹介したうえで「間違い」 と一刀両断した。 鳩山由紀夫首相(当時)の「最低 でも県外」に振り回され、日米摩擦 の最前線で右往左往させられた当事 者としては、よくある外交術である 他の分野での連携によって摩擦を糊 塗することなど考えられなかったの だろう。 政権交代を挟んでの外交はどうあ るべきか、などもいずれ聞きたい。 日本経済新聞編集委員 前ワシン 大石 格 トン支局長 ・ (月)昼食会 司会 小孫茂 理事・企画委員長 星浩委員 出席 人 HP動画 が、「固 有 の 領 土 」 論 を 理 解 す る のは不可能というわけだ。 こうしたロシアに、外務省のよ うにひたすら条約の解釈論を言い たてても領土問題は解決しない。 結局は「政治家が政治解決をはか を日本に引き渡してよいと考えてい る 」。 そ の 譲 歩 と は「中 国 へ の 対 抗 戦略での提携、連盟を組み、中国を 暴走させずに平和に国際秩序に取り 入れる協力だ。2島とか3島とか、 返す島の数ではない」。 ・ (月)研究会「領土問題③ 北方領土」 司会 山岡邦彦委員 出席 人 HP動画 満ちた領土論だった。 朝日新聞機動特派員 大 野 正美 近著の『論点整理 北方領土問題 (ユーラシア・ブックレット)』と同 様、通説にとらわれない知的刺激に 実際には 「プ ー チ ン 大 統領は、日本 からしかるべ き譲歩を得ら れるなら、島 19 55 ( 12 ) 19 る ほ か な い 」。 そ の 点 で 鍵 を 握 る のが「中国の巨大化に対するロシ アの焦りだ」と石郷岡さんは見る。 知的刺激に満ちた北方領土論 11 76 11 16 藤崎 一郎 前駐米大使 いちろう ふじさき 石郷岡 建 日本大学教授 けん いしごおか クラブゲスト 2012. 12. 10 No. 514 過去に3度の中国駐在経 験を持つワドワ大使。印中 両国は1962年に国境紛 争を戦ったが、中国は今、 インドの最大の貿易相手国 だ。大使は、インドが中国 に対して、国境線画定問題 では粘り強く対話を続ける 一方、関係全般の拡大をは 問を投げかけた。 その理由はいくつかある。 例えば、再生可能エネル ギー促進に不可欠な補助金 「不 可 能 で は な い が、 大 変な取り組みとなるだろう」 国際エネルギー機関(I EA)のファンデルフーフ ェン事務局長は、民主党政 権が掲げた脱原発政策に疑 ど に も 触 れ た 上 で、「日 本 の エ ネ ル ギー安全保障にも影響を与える」と 踏み込んだ。 さらに、送電線網の強化や、万が 一に備えた予備電力の整備、液化天 然ガス(LNG)輸入増などに伴う コスト増や、地球温暖化への影響な 事務局長は「価格が高すぎる買い取 り制度は持続不可能だ」と、問題点 を指摘した。 かる「成熟したアプローチ」を続け て 来 た、 と 述 べ、「ア ジ ア に は 印 中 両国が共存共栄していくのに十分な 広さがある」というシン首相の発言 も紹介した。今後も、中国とどう共 存していけばよいのか。大使もつぶ さに見て来たと思われるインドのア プローチ形成の課程を、さらに詳し く聞きたいと思った。 来日して3カ月。日本語の質問に も、通訳を待たずに、うなずいたり メモを取ったりしていた。終始落ち 着 い た 語 り 口 だ っ た が、「ボ リ ウ ッ ド映画」に関する質問が出た時など に見せたスマイルも印象に残った。 制度の問題だ。従来型エネ ルギーよりも発電コストが 高い再生エネルギー導入に ただ、IEAといえども、一国の エネルギー政策に介入することはで インド進出を考える日本企業は 多いが、7月の大規模停電に見ら れたようなインフラ(産業基盤) の未整備や、腐敗の蔓延といった 負 の イ メ ー ジ も 根 強 い。 大 使 は 「ま ず 私 に 相 談 し て く だ さ い。 そ うすれば不明朗なカネを要求され るようなトラブルはない」と胸を 張り、地方の中小企業にも対印進 出を呼びかけたい考えを示した。 イ ン フ ラ の 問 題 に つ い て は、「だ からこそ日本企業に投資してもら いたいのです」と、インド市場の 伸びしろの大きさを強調した。 月に予定されていたシン首相 きない。事務局長は、脱原発政策 は「日本政府が決めること」と述 べ、総選挙後に発足する新政権の 政策を見極める姿勢を示した。 一方、世界有数の「省エネ大国」 である日本が、新技術開発に注力 すれば、国内総生産(GDP)を ・ %押し上げる効果があると 強調、この分野で日本が世界のリ ーダー役 を果たす ことに期 待を寄せ た。 IEA ・ (水)昼食会 司会 脇祐三 委員 通訳 西村好美 出席 人 HP動画 訪日は、衆院解散のあおりで延期を 余儀なくされた。日本の総選挙は新 党乱立の様相となったが、インド政 治も地域政党が多く台頭し、連立政 権が常態化している。大使は「だか らと言って政治が不安定だというこ とはない。日本でも必ずや、多数の 意思を反映する政府が形成されるは ず」と話していた。中国との向き合 い方といい、インドの経験から日本 が学べることは多いと思った。 読売新聞国際部次長 永 田 和男 と、取り組み強化を訴えた。 毎日新聞編集委員 会川 晴之 能となる。資源の有効活用が図れる ほか、地球温暖化にも貢献する。 「世 界はこれにもっと注目すべきだ」 は、各国がエネルギー効率化に注力 すれば、世界のエネルギー消費量の 伸び率が「半分にとどまる」と見て いる。2035年までにこれを実現 すれば、サウジアラビアの産出量を 上回る量の石油を節約することが可 62 ・ (木)記者会見「2012年 版世界エネルギーアウトルック」 司 会 小 此 木 潔 委 員 通 訳 池 田 薫 大野理恵 出席 人 HP動 画 74 ( 13 ) 21 22 なる。しかし、再生エネルギー先進 地域の欧州では、財政危機を背景に 補助金を減額する動きも出ている。 は 「固定価格買い取り制度」 などの補助金制度が必要と 4 11 11 11 0 駐日インド大使 国際エネルギー機関(IEA)事務局長 地方の中小企業もぜひ印進出を エネルギー効率化が温暖化にも貢献 ディーパ・ゴパラン・ワドワ マリア・ファンデルフーフェン 2012. 12. 10 No. 514 クラブゲスト 福島第一原発事故による 住民の健康被害は発生する のか? 世界が注視する。 だが福島県が昨年5月から 実施している県民健康管理 調査は順調に進んでいな い。 全県民に事故後4カ月間 の行動記録を提出させ、外部被ばく を推定する基本調査の回答率はわず か %( 月末時点)にとどまる。 一方、住民が最も不安を感じている 内部被ばくへの対応は消極的だ。 県民健康管理調査に助言する検討 委員会には、座長の山下俊一・県立 医大副学長ら事故直後に安全を強調 していた専門家が多い。住民は当初 から「健康被害を存在しないことに する目的では」と疑心を抱いていた。 検討委が「秘密会」を開き、意見の 調整や議論の範囲をあらかじめ決め ていた実態を暴いた弊紙の報道は 住民の疑心を裏付け、県や検討委員 23 10 瞬時に広まる。興梠氏が社会分析 に用いるのも、こうした漏れ出る 生の情報だ。 反日デモでは、西安で日本車に 乗っていた男性が殴られて頭蓋骨 を骨折し、微博で話題になった。 った。地域住民が主体的に関与する ことでプロセスの透明化が進み、住 民の不安に沿った調査にもなる。今 こ そ、「想 定 外 」 の 言 葉 に 象 徴 さ れ る震災と原発事故が残した大事な教 訓を生かすべきところなのだ。 健康被害の調査はこれから数十年 を 要 す る。 こ れ か ら も 教 訓 を 忘 れ ず、専門家に任せることなく一人一 人が主体的に関わる重要性を再認識 させてくれた。 毎日新聞社会部 日野 行介 ・ (月)記者会見 司会 杉田 弘毅委員 通訳 長井鞠子 出席 人 HP動画 争わず、東アジア全体からといった 高い見地に立ったほうがいい」と語 る。 今年9〜 月の内閣府調査で、「中 国に親しみを感じない」と答えた人 の割合が過去最高の ・6%に達し への不信感を深める形になった。 グローバーさんは「プロセスが 秘密裏に開かれたかはコメントす る立場にない」と直接的な批判は 避けた。率直に言って物足りなさ も感じた。だが「意思決定のプロ セスには地域住民の関与が必要 だ」と繰り返す姿からは、被災地 に渦巻く不信感を正面から受け止 めた「重み」が伝わってきた。激 しい批判が伝われば、国や県が態 度を硬化させてしまうと懸念した のかもしれない。 グローバーさんは「専門家は物 事の一端しか分からない」とも語 は「国家の領土を取り戻すなら、 腐敗した役人に行かせろ」という 横断幕を掲げるものもあった。 「反日より、富を憎む『仇富』、 役人を憎む『仇官』という考えが 広 ま っ て い る 」。 興 梠 氏 は デ モ の た。 反 日 デ モ の 影 響 が 現 れ た 形 だ が、中国の現状を理解しなければ、 不信感だけが募るだけだ。指摘のよ うに少し余裕も必要だと考えさせら れた。 読売新聞国際部 鈴木 隆弘 ・ (火)研究会「権力移行期の 世 界 ⑪ 中 国 」 司 会 高 畑 昭 男 委 員 出席 人 HP動画 ( 14 ) 11 背景を分析した上で、発足したば かりの習近平政権が、貧富の二極 化にどう対応するかが今後の注目 点になるとした。 中国との関係について興梠氏 は、「政 治 体 制 が 民 主 化 し な い と 相互理解は難しい」と悲観する一 方 で、「中 国 は 近 代 化 の 途 上 に あ る。成熟した日本は同じレベルで 80 中国で起きた尖閣諸島を 巡る激しい反日デモは、多 くの日本人を戸惑わせ、中 国の不可解さを印象づけ た。興梠氏の講演は、過激 化したデモの背景を冷静に 逮捕され たのは、 農村出身 原発事故 健康被害調査は住民主体で 貧富の二極化への対応が注目点 26 10 27 の若者だ った。デ モの写真 も数多く 投 稿 さ れ、中に 86 探り、今後の日中関係や習 近平政権を展望する内容と なった。 中国のインターネット人 口は5億人を超え、中国版 ツイッター「微博」の利用 者は2・ 億人に及ぶ。政 府がいくらネットの統制を 強めても、不都合な情報は 74 65 11 いちろう アナンド・グローバー 国連人権理事会特別報告者 興梠 一郎 神田外語大学教授 こおろぎ クラブゲスト 2012. 12. 10 No. 514 衆院選 日 : 党党首討論会 月 (公 実施要領メモ 〜 : て、 第 二 次 大 戦 後 の ニ ュ ル ン ベ ル ク、東京裁判、 年代以降に旧ユー ゴスラビア、カンボジアなど、さま ざまな法廷が設置されてきた。IC Cはこのような機能をもつ常設裁判 所 を、 と い う 要 請 か ら 設 立 さ れ た が、大きな特徴は、その被害者対策 にあるという。 国際刑事法廷は、旧ユーゴ事件で ハーグ、ルワンダの事件でアルーシ ャ(タンザニア)と、発生地とは遠 く 離 れ た と こ ろ に 置 か れ が ち。「J usticeというが被害者にはど のくらい重みがあるのか、と問われ てきた」と野口さんは話す。 リップ(控え室で直前に記入)を用い ながら主張 (持ち時間1分)。その後、 党首同士の討論。党首が相手を指名し 津男公明党代表、石原慎太郎日本維新 嘉田由紀子日本未来の党代表、山口那 われる党名を3つまで記入したフリッ の中で、政策と理念が自党に近いと思 考に企画委員会の代表が質問した。こ 第2部=会場から寄せられた質問を参 今年7 月まで判 事を務め たカンボ ジア特別 法廷では 被害者への損害賠償命令も出せる しくみになったが、現実には被告 人にもカンボジア政府にも資力が なく、限定的な賠償にとどまって しまった。そんな苦い思いが、被 害者への損害賠償を確証するIC Cの基金への意気込みにつながっ ているのだろう。 今年3月にはICC初の有罪判 協会8社取材、外通6社と、在日外国 報道協会(FPIJ)代表。参加総数 は303人。▼放送はNHKが総合テ レ ビ で 生 中 継(ラ ジ オ も 同 様 ) 。視聴 率は関東4・6%、関西3・1%。民放 は日本テレビが代表で中継取材。情報 番組や夕方、夜のニュースで取りあげ た。ENGはニュース映画協会代表フ ジテレビのほか国内4社、外通8社が 取材。民放ラジオは国会放送記者会か 台 ら5社が取材。カメラは、中継や党も 台、スチル ( 15 ) 決がコンゴ事件について出て、確定 すれば被害者への損害賠償の手続き は現実のものになる。 基金のもう一つの目的である被害 者のリハビリや社会復帰の支援につ いては、ウガンダやコンゴですでに 始まっている。会見では現地での活 動の様子をビデオで示した。 理事は無報酬。法務省法務総合研 究所国際協力部長の職と両立させ、 できる限りかかわっていくという。 朝日新聞社会部・前ブリュッセル 井田香奈子 支局長 ・ (木)記者会見 司会 山岡 邦彦委員 出席 人 HP動画 11 7 国 際 刑 事 裁 判 所(I C C、オランダ・ハーグ)の 「被 害 者 信 託 基 金 」 の 理 事 に 月、選任された。民族 対立などを背景とする殺 人・略奪・強姦など、IC Cが扱う犯罪の被害者の救 済を目的とする基金だが、 ICC本体の予算と違って 各国の拠出は任意。いまの ところ欧州の一部の国頼み で、課題は多そうだ。 戦争犯罪や集団殺害につ いて個人の刑事責任を問う 国際刑事(軍事)法廷とし ▼日時 の 会 代 表、 志 位 和 夫 日 本 共 産 党 委 員 プを掲げてもらい質疑を行った▼総合 党 順 番 に 行 っ た。 長、渡辺喜美みんなの党代表、福島瑞 司会:川戸惠子、第1部司会:神志名 含め、テレビカメラ の計 台が会場に並んだ。▼6階のフ ォーリンプレスセンターで英語同時通 訳のサービスを行い、欧米の特派員を 29 第 回会報委員会 ( ・ 大会議室) 月号、1月号の編集を協議した。 出席 会田委員長、中村、高橋、守田、 佐塚、大寺、石川、萩谷、牧の各委員 第 回企画委員会 ( ・8 宴会場) 党首討論会などについて協議した。 出席 小孫委員長、小此木、星、倉重、 脇、実、宮田、高畑、別府、杉田、川 上、瀬口、神志名、杉尾、小栗、和田、 萬、泉、露木、村田の各委員 第 回会員資格委員会( ・ 小会議室) 会員入退会を審議し理事会に答申した。 出席 小田委員長、長、野間、本多、 玉置、山本の各委員 第 回施設運営委員会( ・ 小会議室) 9月、 月のアラスカ売り上げと貸 室の利用状況を事務局から報告した。 出席 星野委員長、佐藤、槙山、田代、 國府、西野、八牧の各委員。 11 10 戦争犯罪の被害に寄り添う 中心に 人、大使館関係者 人が出席。 11 11 て質問し、それに答える形式で(持ち 穂社会民主党党首、鈴木宗男新党大地 泰裕、代表質問者:橋本五郎、星浩、 時 間 各 1 分 半 )、 代表、自見庄三郎国民新党代表、舛添 倉重篤郎、実哲也の各企画委員▼過去 示 月4日)▼参加党首 野田佳彦民 主党代表、安倍晋三自由民主党総裁、 要一新党改革代表 (前衆院議員数の順) レス会員社に人数を振り分けた。ペン 回の党首討論会同様、現役優先でプ ▼会場 階ホール。左壁側にメーン ステージを置き縦長に設営。臨時の緞 取材170人。スチルは東京写真記者 12 338 424 423 202 11 14 11 15 21 15 もとお のぐち 帳も準備した▼進行 第1部= 各党 首が有権者に一番訴えたいことを、フ 17 11 29 35 11 50 17 13 90 11 05 11 30 11 国際刑事裁判所 被害者信託基金理事 野口 元郎 12 11 10 2012. 12. 10 No. 514 クラブゲスト 年末企画 今年の本 2012. 12. 10 No. 514 地讃地読 年末恒例の「本」企画。ことしは13人の地方メデ 2012年 ィアの皆さんにお薦めの本を挙げていただきまし 印象に残った3冊 ①日本いきもの小百科 平田剛士著(平凡社新書) ②福 島、飯舘 それでも世界は美しい─原発 避難の悲しみを生きて 小林麻里著(明石書店) ③北海道電力<泊原発>の問題は何か 泊原発の廃炉をめざす会編(寿郎社) ①北の無人駅から 渡辺一史著 (北海道新聞社) ②プロメテウスの火 朝永振一郎著・江沢洋編 (みすず書房) ③鎮守の森 宮脇昭著 (新潮文庫) ①マネー・ボール マイケル・ルイス著 (RH ブックス・プラス) ②誘拐 五十嵐貴久著 (双葉文庫) ③結 局、どうして面白いのか 「水曜どうで しょう」のしくみ 佐々木玲仁著(フィルムアート社) ①五郎丸の生涯 ②永遠の故郷 夕映 三浦明博著(講談社) 吉田秀和著(集英社) ③ 2100 年の科学ライフ ミチオ・カク著(NHK出版) ①ショック・ドクトリン─惨事便乗型資本主 義の正体を暴く 上・下 ナオミ・クライン著(岩波書店) ②千曲川 第 1 〜 4 部 ③神様のカルテ 1 〜 3 小宮山量平著(理論社) 夏川草介著(小学館) ① 犬と鬼 知られざる日本の肖像 アレックス・カー著(講談社) ② 石橋湛山評論集 松尾尊兌編(岩波文庫) ③ 変 革は、弱いところ、小さいところ、遠 いところから 清水義晴著(太郎次郎社) た。北から南からの“地讃地読” 。地方の視点が光 ります。年末年始の読書の参考にいかがでしょうか。 ①の著者は北海道滝川市在住のフリーライター。本 書はアイヌ民族の生活誌、世界観にも紙幅を割いてお り、人と自然のつながりを重層的に理解できる良書だ。 「福島、飯舘─」は、帰村の見通しが立たないなか、 県内で避難生活を送る苦しみと幸せな記憶を残してき た村への思いが交錯する。原発事故後の福島の実情を 知るために一読を薦めたい。 小坂洋右 北海道新聞論説委員 人間の原点に立ち返り、未来への道しるべとなる3 冊。①北海道の小さな無人駅の数々から日本が透けて 見える。奥が深く知識も豊かになる。取材姿勢も参考 に。②冷戦時代、各国の科学者が自らの反省に立って 核の危機を乗り越えようと会議を重ねた。国代表では なく人類の1人として向き合う覚悟が尊い。③土地本 来の森林がいかに大切か。自然への畏敬の念を新たに する。 佐々木律 札幌テレビ放送報道部デスク ①ブラピ主演で映画になったけど原作が断然面白 い。貧乏球団エンゼルスが四球を選ぶ選手ばかりを集 めてワールドシリーズに挑む。セオリーを打ち破る考 え方に拍手!②こちらも誘拐の方法が実に斬新!③自 分が作った番組を臨床心理学の見地から解き明かして くれている。この本を読んで今のテレビの概念を変え ることばかり考えている自分に気付いた。 藤村忠寿 北海道テレビ放送 「水曜どうでしょう」 ディレクター 東日本大震災関連で示唆に富む著作が多かったが、 ①をベストに挙げたい。仙台で被災した作家が、1匹 の秋田犬と飼い主たちとの関わりを通して命の重み、 生きる意味を問う。震災後の苦悩と試行錯誤が生んだ 力作だ。②は自伝的エッセー4部作の完結編。著者が 追い求めた批評のかたちとは何かの答えがある。③は 科学者300人への取材を基に未来社会を予測した労作。 須永 誠 河北新報生活文化部担当部長 ①市場原理主義者は危機や大惨事につけ込み、弱肉 強食システムの導入を図ってきた。震災復興とデフレ 克服の展望が開けない日本。他人事でない。②ことし 故郷上田で95年の生涯を閉じた編集者・作家の自伝的 長編小説。自分の頭で考え、自分の足で立て─という著 者の教えを大事にしたい。③医師不足で多忙を極める 地域医療現場の様子がよく分かる。松本の病院が舞台。 小林 孝 信濃毎日新聞論説副主幹 ①10年前、立ちすくむ日本の病巣を厳しくえぐった。 原発を含む暗い予言は不幸にも的中してしまった。② ナショナリズムが幅を利かせる時代だからこそ今一 度。政治家ではなくジャーナリストの大先輩として。 ③著者は車いす生活となったいまも、 新潟を中心に地域 づくり活動に取り組む。声高な主義主張ではなく現場 から暮らし方、意識を変えねば。国には頼れない時代だ。 ( 16 ) 鈴木聖二 新潟日報編集委員室長 年末企画 今年の本 2012. 12. 10 No. 514 ①静岡県の戦争遺跡を歩く 静岡県戦争遺跡研究会(静岡新聞社) ②楢山節考 深沢七郎著(新潮文庫) ③やがて哀しき外国語 村上春樹著(講談社) ①ソロモンの偽証(全3巻) ②くちびるに歌を ③備える! 3.11 から 宮部みゆき著(新潮社) 中田永一著(小学館) 中日新聞社会部(中日新聞社) ①舟を編む 三浦しをん著 (光文社) ②桜守三代 佐野藤右衛門口伝 鈴木嘉一著(平凡社新書) ③時代を聞く 沖縄・水俣・四日市・新潟・ 福島 池田理知子・田仲康博編著(せりか書房) ①ものづくりからの復活 藤本隆宏著(日本経済新聞出版社) ②つながりすぎた世界 ウイリアム・H・ダビドウ著 (ダイヤモンド社) ③ひょうご懐かしの鉄道 廃線ノスタルジー (神戸新聞総合出版センター) ①広島原爆戦災誌 小堺吉光著(広島市) ②原爆投下決断の内幕 ガー・アルペロビッツ著(ほるぶ出版) ③魔の遺産 阿川弘之著(PHP文庫) ①エトロフ発緊急電 佐々木譲著(新潮文庫) ②あなたに褒められたくて 高倉健著(集英社文庫) ③知っていそうで知らないノーベル賞の話 北尾利夫著(平凡社新書) ①有珠山 火の山とともに 岡田弘著(北海道新聞社) ②みちのく銃後の残響 野添憲治著(社会評論社) ③児玉宗之丞日記 下巻 所㟢平編(南日本新聞開発センター) ①静岡県もかつては戦場であり、それを語り継ぐ人 はいまや少ない。語りに代わる戦争遺跡は平和を考え る素材として、その輪郭を一層はっきりと浮かび上が らせている。②日々、現実と向き合う仕事だけに、自 分の時間くらいは虚構に身を委ねたい。が、しかし、 はっとする。「小説は事実より真なり」。③ノーベル賞 は実は氏にとってどうでもよいことなのかもしれない。 岸本達也 静岡放送浜松総局報道部 少年の転落死事件をめぐり、学校裁判を思い立つ子 どもたち。 「ソロモン」は今年最大の収穫だ。事実の 解明は、だれかを傷つけることではなく、きずなを取 り戻す作業、というメッセージにしびれる。 「くちび るに歌を」は、ホラー作家・乙一が、別名義で書いた 青春小説。すぐれた小説は、行間から歌が聞こえてく る。「備える」は、本紙社会部記者たちの労作。 安藤明夫 中日新聞編集委員 眼科通いが続き、読書が辛い1年だった。とはいえ、 ①トレンドの本屋大賞を捲った。前半は口元がゆるみ、 後半は感涙。敬愛してやまない井上ひさし作品を彷彿 させた。②ジャーナリスティックで柔らかな内容。今 年の桜は、いつになく豊かな気持ちで愛でることがで きた。③四日市公害のその後の取材で出会った筆者。 フィールドワークが何より大切だと教えてくれた。 阿武野勝彦 東海テレビ報道スポーツ局専門局長 「製造業の空洞化」という表現を慣用句のように使って はならないと痛感。本社よ覚醒せよ現場よ連帯せよ、と いう帯のコピーもいい。②IT技術者かつ投資ファンド代 表。自ら認める「ITの勝ち組」が、社会への影響の大 きさから金融やネットの規制強化を提言する。③手前み そだが沿線の栄枯盛衰や産業史も盛りこまれ、鉄道好き ならずとも楽しめる。 藤井洋一 神戸新聞編集委員 「原爆は威力として知られたか 人間的悲惨さとして 知られたか」 。被爆地広島からの報道を切りひらいた金井 利博氏は、痛切な問い掛けを残した。 「核」をめぐる問 題や矛盾を人間の側から考えようと訴えた。この3冊は 未来への想像力も促す。①は原爆資料館の「平和データ ベース」で全5巻をダウンロードできる。あらためての 活用が望まれる。 西本雅実 中国新聞編集委員 ①20年ぶりに読み返した。昨年から佐々木譲氏の小 説にはまっているが、中でも一押しのスパイ小説。随 所に「仕掛け」があって後半効いてくる。②福岡が生 んだ名優のエッセー。健さんと話しているような錯覚 を覚える。③ノーベル賞関連の取材を試みたが、スウ ェーデンとノルウェーの駐日大使館がまったく協力し てくれず途方に暮れた。本書に出合い、助かった。 大塚 壮 西日本新聞編集企画委員会 ①大隅半島と桜島をつないだ桜島大正噴火からあと 1年余で100年。住民目線の研究姿勢にあらためて感 銘を受けた。③明治期の公務員はどんな思いで暮らし ていたのか。鹿児島県庁公報係を務めた男の日記(1886 〜93年)が上巻(78〜85年)に続いて楽しめる。ロシ ア皇太子の来鹿や元国父の国葬準備など公務のほか、 4男5女のにぎやかな家庭生活も活写する。 ( 17 ) 前田昭人 南日本新聞編集委員 中国共産党大会 ▼渡辺 和昭 (共同通信中国総局長) される異例の展開となった。 早朝から並んだのに事前配布なし 大会初日の8日午前。胡氏が読み 上げる活動報告をいち早く入手する ため外国メディア記者らは大会会場 の人民大会堂に夜明け前から寒さに 耐えながら列をつくった。 回党大 会では演説開始約 分前に報告全文 が配布されたが、今回はなぜか取り やめとなり、配られたのは演説終了 後の午前 時 分(日本時間同 時 分)ごろだった。 事前配布された報告に素早く目を 通し、重要な内容を速報するととも に夕刊用原稿の差し替えを行うとい う前回同様の流れを想定していた が、完全に当てが外れた。総局で中 国人助手と一緒に国営中央テレビの 生 中 継 を 見 な が ら(聞 き な が ら )、 演説内容を必死で書き取り、重要部 分を速報、原稿に取り込んでいくと いう際どい作業を強いられた。 早朝から並びながら、肩透かしを 食わされた記者たちの憤りも強く、 現場の担当者に事前配布中止の理由 をただしたが「上部の指示」と答え るだけでらちが明かなかった。米国 40 30 11 日本メディアに対し神経質になって いる様子をうかがわせた。習新指導 は数人だけ。尖閣をめぐる対立から 党大会代表への取材も制限され た。共同通信は約100人の代表に 取材を申し込んだが、認められたの 道してほしくないのか」と不満をぶ ちまけた。 メディアの記者は「全く不可解。報 10 日には、会場内で携帯電話がか 部メンバーのお披露目会見が行われ た けられなくなり「妨害工作では」と の臆測を呼んだ。 リモコンヘリ購入も規制 一方、治安当局は、役人の腐敗や 司法の不正を中央政府に訴えようと する地方からの陳情者らを警戒、治 安ボランティアとして市民約140 万人を動員して安全確保に全力を挙 げ、不審者摘発に向け「報奨金」の 支払いを約束した。 また、党批判のスローガンが掲げ られることを懸念し、タクシーに① 風船やピンポン球を持った客に注意 ②後部座席の窓を開かなくするため レバー取り外し─などを求める通告 を出し、おもちゃのリモコンヘリコ プターを購入する顧客の本名登録を 義務づけるよう小売店に命じた。 来年春には北京で全国人民代表大 会(全人代=国会)が開かれ、習氏 が国家主席に、李克強副首相が首相 にそれぞれ就任し、習─李体制が本 格始動する見通し。国務院(政府) の閣僚人事も決まる重要な大会だけ に、党大会同様、厳しい情報統制や 治安維持態勢が敷かれるのは確実と みられ、今から気が重い。 わたなべ・かずあき 1987年入社 香 港 台 北 上 海 支 局 を 経 て 2 0 1 2年7月から現職 ( 18 ) 厳しい情報統制 化も影響し指導部人事の調整がもつ れ、開幕が「 月中旬からずれ込ん だ」(関係者) とされる今回の党大会。 内外に懸案を抱える不安定な状況の 中、当局は人事や大会での活動報告 17 党大会取材登録は史上最多の2732人 習近平新指導部 のお披露目会見もカメラの放列が 11月15日 人民大会堂 共同通信社提供 11 10 50 収賄などで重慶市トップを解任さ れた薄熙来氏の事件や日本政府によ る尖閣諸島国有化に伴う日中関係悪 18 指導部交代で過剰警戒 中国共産党の第 回党大会が 月 8日から 日まで北京で開かれ、胡 錦濤国家主席が党トップの総書記を 退任し、習近平国家副主席が後継に 就任、習新指導部が発足した。 年 ぶりに最高指導部が交代する節目の 大会とあって内外メディアの関心は 高く、取材登録した記者は2732 人と大会史上最多を記録。外国メデ ィアに香港、マカオ、台湾メディア の記者を加えた数は1704人と5 年前の第 回党大会時よりも約 % 増えた。 14 17 に関する情報漏れを過度に警戒し報 道統制を強化、メディア側が振り回 40 15 10 ワーキングプレス 2012. 12. 10 No. 514 ぼるように読んだ。新聞という紙媒 体のありがたさを痛感したが、町の 情報を外からの報道に頼らざるを得 な い 状 況 が 情 け な く も 思 え た。「い つか自分の手で大槌の新聞を作りた い 」。 そ う 決 意 し て か ら 1 年 後 の 今 年6月に、創刊第一号を発行した。 新聞は、取材から配布までを一人 でやることを考え、週に一回の発行 に決めた。A3判の両面2ページで、 子どもからお年寄りまで読めるよう に字を大きくし、ですます調にした。 震災前の大槌の写真や、町内に住む 犬の紹介コーナーは毎号載せている。 町の行事や復興の様子など伝えた いことは山ほどあるが、トップ記事 はまちづくりに関する話題だ。役場 と住民とのまちづくり懇談会にでか け、プロの記者にまじって取材をし トップ記事はまちづくりの話題 東日本大震災で甚大な被害を受け た岩手県大槌町。自分の住む町が一 番大変な時に町の情報を知ることが できなかった悔しさと、復興してい く町の姿をみんなで共有したいとい う思いから、大槌新聞を発行した。 ■高田由貴子 ている。記事は住民が理解できるよ うに、わかりやすい書き方を心掛け ている。 震災後、住民はまちづくりについ て知らなければならなくなった。住 宅再建の場所や建設時期、土地の買 い上げ価格や、病院はどこに建つの 一人三役で創刊 住民目線の内向け報道を 新聞づくりは初めての経験だが、発 行を重ねるごとに、新しい地域メデ ィアの必要性と可能性を感じる。 私の自宅は高台にあり被災を免れ たが、地元紙が被災し、唯一の情報 源であるラジオからも思うように情 報が得られなかった。情報を求め避 岩手 大槌新聞 か。そういった情報は、住民自身が 一番知りたいと思っているが、量が 多く内容も難しいため、理解できな 情報や理解できる情報が無い」のだ。 「勝手に決められた」と言われる。 また、各団体からは多くのミニコミ 誌が発行されているが、イベントや い人が多い。 町では住民説明会を開き、広報も 発行しているが、説明する際の言葉 遣いや言い回しが難しく、決定事項 が一度にまとめられて伝えられるた め、住民からは「よくわからない」 地域メディアが担う役割は多岐に 及ぶ。町の歴史を記録し、町民の心を つなぐ役割を担う地元紙としての自 大槌新聞の記事を読んでいる。今後 は共同の企画を立てるなど連携を強 化していきたい。 被災地の報道が少なくなったと言 われているが、風化は避けられない と思う。それよりも問題なのは、「外 向けの報道は多いが、内向けの報道 は少ない」ということだ。地域の情 報はそこに暮らす住民が第一に知る べきで、かつ、住民が理解できるよ うな形で提供されなければならな い。そう考えると、内向けの報道は、 住民自らが発信するべきだ。住民に 常に寄り添い、住民目線を維持し続 けられるのは、そこに暮らす住民し かいない。 次の災害に備えても、地域メディ アの確立が必要だ。今年の春から開 局した地元のさいがいFMと日ごろ から情報交換を行い、番組で毎週、 町民の心つなぐ役割も お店の情報、個人や団体のインタビ ュー記事など、有事とは思えないよ うな内容ばかりが目立ち、住民が最 覚を持ち、地域に貢献していきたい。 た か だ・ ゆ き こ 2 0 1 1 年 秋 一 般 社 団 法 人「 お ら が 大 槌 夢 広 場 」 ス タ ッ フ に 年 6 月 末 か ら 大 槌 新 聞 を 毎 週 月曜日に発行 取材から配布まで一人 で担当している 発行部数3000部 も知りたいまちづくりの情報を、住 民目線でわかりやすく取り上げたも のはない。多くの住民から「情報が無 A3判両面2ページ わかりやすさを心掛けて 字体も大きく ですます調にしている大槌新聞 い」という声を聞くが、情報が無い わ け で は な い。「住 民 が 求 め て い る ( 19 ) ⑧ 被災地通信 難所をまわっているうちに、避難所 に新聞が配られるようになった。リ ュックに詰めて家に持ち帰り、むさ 12 2012. 12. 10 No. 514 被災地はいま 秋 田 発 2012. 12. 10 No. 514 「残 念 な が ら 認 可 す る わ け に は い きません」。田中文科相は 月2日、 大学新設の認可基準を厳格化すると して、3大学の不認可を表明。認可 申請していた秋田市には、寝耳に水 だった。市幹部は「後ろからハンマ ーで殴られたような思いだった」と 振り返る。認可を前提に、文科省の 大学設置基準に従い校舎整備や教員 選考を進めてきたからだ。 志が掲示したのは 月8日。当初予 定より1週間遅れだった。その原因 は、田中真紀子文部科学相の「不認 秋田公立美術大の設置認可を祝う 横断幕が、秋田市南部・新屋地区の 県道に架かる歩道橋に掲げられてい る。同地区に来春開学する美術大を 地域を挙げて応援しようと、住民有 分 か ら な い 」「決 ま っ て い な い 」 と 繰り返すばかり。 月1日までほぼ 毎日電話を入れたが、返答は同じだ 確かに唐突な不認可表明だった。 ただ、後から振り返れば予兆が全く なかったわけではなかった。 月下旬のことだ。審議会の答申 と文科省の認可書交付の日程を事前 に確認するため、文科省に電話を入 れると、担当者は「いつになるのか 積市長の選挙公約の一つでもあり、 これまでにない強い口調だった。 母体となる秋田公立美術工芸短大 から美術大への移行に慎重論があっ た市議会もその後、不認可撤回を求 めることを全会一致で決定。佐 竹 敬 った。 月中に審議会が答申、それに沿 って文科省が認可書を交付するのが 月下旬に不認可の予兆が… 異例の事態に一面トップが続いた秋田 魁新報の紙面 混乱が広がっていたのかもしれない。 異例の政治判断に対する大学側の 反発は当然大きかった。秋田市の穂 積志市長は 月2日の緊急会見で 「文 科 相 の 考 え 一 つ で 審 議 会 の 答 申 を覆すのは行政の継続性を逸脱して いる。到底承服できない」と怒りを あらわにし、即時の不認可撤回を求 める考えを示した。美術大開学は穂 11 久知事と県内の全市町村長も同様の 決議を採択した。 札幌保健医療大(札 幌市)や岡崎女子大(愛知県岡崎市) 11 通例。日程が遅れていることに疑問 を感じたものの、水面下で何が起き ているかを想像することはできなか 11 10 10 11 審査する」と表明。穂積市長らが文 科省に出向いた翌7日には「現行制 度で新設を認める」と全面撤回に追 い込まれた。 推薦入試直前大きかった生徒の動揺 この間、最も大きな影響を受けた のは3大学への進学・編入を志望し ていた生徒・学生だろう。秋田県内 のある高校では、美術大の推薦入試 を受験する予定だった生徒がやむな く県外の大学に出願した。この高校 の教頭は「不認可発言は推薦入試の 直前だっただけに、生徒の動揺は大 きかった」と振り返る。 田中文科相の「問題提起」を評価 する向きもあるが、大学側に落ち度 は何もない。基準を見直すのであれ ば、3大学の新設とは別に検討する べきだったことは自明である。来春 開学が決まったものの、後味の悪さ だけが残った。 うちだ・たかゆき 2001年入社 年から報道部 ( 20 ) 10 可」発言に端を発した騒動に他なら ない。 結局、大学設置・学校法人審議会 の答申通り「認可」で決着した3大 学の問題とは、 何だったのか─。 「大 学関係者や受験生を翻弄し、無用な (秋田魁新報社報道部) でも反発が強まり、 事態は急展開する。 田 中 文 科 相 は 6 日、「新 基 準 で 再 ■内田 隆之 った。その時すでに、田中文科相が 3大学の新設に難色を示し、省内に 開校決まったものの 残る後味の悪さ 混乱を招いただけだ」 。美術大の地 元では、そんな受け止めが大勢だ。 一口メモ 秋田公立美術大 秋田 10 公立美術工芸短大(秋 田市)を母体に、来年 4月に開学する。美術 学部美術学科の1学科。 1学年の定員は100人。 1、2年で幅広く美術を 学 び、 3 年 か ら「も の づくりデザイン」「景観 デザイン」など5つの 専攻に進む教育課程と なっている。 大学不認可騒動 失敗だった、という自己否定につな がりかねない開門調査はやりたくな いのが本音だろうが、法治国家であ る以上、確定判決は履行しなければ ならない。その結果、漁業者から見 れば敗訴した被告、農業者にとって は干拓事業推進のはしごを外した張 本 人 ─ の 立 場 で 板 挟 み だ。「誠 心 誠 意話し合いたい」と表向き平身低頭 だが、裏では何とか早く両者のガス 抜きを済ませ、自分たちの都合のい いように開門できないか─と考えて いるように見える。 あいまいさ認め陳謝することから 矛先はすべて国だ。確定判決の開 門 期 限 が 1 年 後 に 迫 る 中、「早 く 開 すると明言。これには「判決履行に 実際、郡司彰農相は 月、中村法 道長崎県知事や農業者らに、開門調 査を期限ぎりぎりの来年 月から始 めることを伝え、開門方法は開ける 幅を最も小さくした制限開門を採用 時代も怒りと隣り合わせだ。そして、 それは消えることはなく、おりのよ うに沈殿して重層をなす。 後に高級二枚貝タイラギなどの漁 場を失うことになる諫早湾内の漁業 者に始まり、ギロチンと呼ばれた1 997年の潮受け堤防閉め切りでは 自然保護団体が、2000年のノリ 不作では有明海沿岸の漁業者がこぶ し を 突 き 上 げ た。「有 明 海 異 変 の 原 因は諫干にある」として漁業者が潮 受け堤防排水門の開門を求めた裁判 で、 年 月に5年間の常時開門を 命じた福岡高裁判決が確定すると、 今度は「排水門は開けない」と説明 されて入植した農業者たちがその怒 りの輪に加わった。 皮肉にもと言うべきか、いや応な くと言うべきか、鉢巻き姿はすっか り板についてしまった。締める帯に は「開門反対」の文字。普段は長崎 県諫早市ののどかな干拓農地でキャ け ろ 」「い や 開 け る な 」 と の 声 は 日 12 ベツやトマトなどを作っている農業 10 に日に増す。国はというと、諫干は 人たちが、農相が来るたび、 「帰れ、 帰れ」とシュプレヒコールを繰り返 している。 ルーツとなった食糧増産を目的と する長崎大干拓構想の発表から今年 で 年を迎えた国営諫早湾干拓事業 (諫干)は、 「諍(いさか)いの海」 12 ンツを保とうとするやり方 て振れないようにして国のメ われる始末。どちら側にも振 れることができず、いやあえ 意味がどこにあるのか」と言 には制限開門は『効果は限定 的』と書いてあり、開門する がまとめた環境アセスメント 九州農政局の職員にボーリング調 査反対を訴える開門反対派住民= 諫早市中央干拓地 長崎新聞提供 は、地元の不安、怒りをかえって増 幅させているだけだ。 日本の開発行政を振り返れば、干 潟は常に格好のターゲットにされて きた。国土の狭い日本で干潟をつぶ せば新たな土地が容易に手に入ると 考えたからなのか。灰色で不毛の海 域を価値ある土地に変える創造的な 事業─という意識さえあったのかも しれない。だが、日本はもうそんな 時代ではない。ギロチンの犠牲にな ったムツゴロウたち戻ってきてーな どとセンチメンタルなことを言うつ もりはないが、諫干問題で噴き出し た課題を教訓に明日の日本を切り開 く気概を国には持ってほしい。 それにはまず、農相自らが対応の まずさ、あいまいさを認め、関係者 に陳謝することから始めてみてはど うだろうか。 とよたけ・けんじ 1997年入社 整理部 報道部 東彼支局長を経て 2010年から現職 ( 21 ) (長崎新聞諫早支局長) ならない」と反発する漁業者はもち ろん、農業者からも「国自身 11 ■豊竹 健二 者 た ち。 こ れ ま で「怒 号 」 「罵 声 」 といった言葉とは縁遠い場所にいた いつも怒りと隣り合わせ 国の対応が不安増幅 との例えが象徴するように、いつの 一口メモ 国営諫早湾干拓事業 大規模 農地の造成や高潮などの防災 対策を目的とした事業。諫早 湾の湾奥部を全長約7㌔の潮 受け堤防で閉め切り、670㌶の 農地や農業用水として使う調 整池を整備した。2008年に工 事が完了し、営農が始まった。 国は農地の代替水源として当 初、地下水を採用する計画だ ったが、地盤沈下を懸念する 農業者らが強く反発。数百億 円をかけて海水淡水化施設を 整備する方針を示している。 諫早 干拓構想から60年 60 2012. 12. 10 No. 514 長 崎 発 石原慎太郎長官との攻防 丸山 重威 があるのか?」─記者同士、若干疑 「事 実 が ど う か 確 か め た わ け で は な 心暗鬼になりながら顔を見合わせた。 い。過去に信憑性のある情報を寄せ てくれた人から聞いたこと」といい、 しかし、自分の社で没になった原 稿を、他社、しかも政党機関紙に持 「何 月 何 日 の 赤 旗 の 記 事 と い う 事 例 ち込むなどまずありえない。第一「赤 を挙げなくても、他の事柄、事実で 旗にのる」と言うが、このところ環 確認できる」と開き直った。 境庁ネタで赤旗に抜かれたことはな い。 記者クラブは協議の結果、 月7 日「誠意ある回答をせず、無責任な 言動を続ける人は信頼できないの で、同日以降の定例記者会見は拒否 クラブは、石原長官が就任してか ら半年あまりの自分たちの記事と赤 旗の記事を点検、心当たりはないこ 「会 見 拒 否 」 は 石 原 長 官 の 閣 議 後 会 見だけで、官庁の取材はもちろん自 由、会見に出ても、長官から取材を する」との声明を発表して、会見拒 否に踏み切った。加盟 社中反対と 保留が各1社あったが、 社の賛成。 ●クラブで団結「定例会見」拒否 衆院選で東京2区でトップ当選。福 田赳夫内閣で環境庁長官に就任、「昭 和生まれの大臣」として脚光を浴び とを確認して「根拠を示してほしい」 と質問書を出した。しかし石原長官 は、クラブからの三回にわたる質問 記・注1) さすがにこの騒ぎは、国会で問題 になり、衆院、参院の公害環境特別 委員会で、政治姿勢や環境行政が追 及された。(注2) 発端を作った「現代」は 月号で 石原長官とクラブの記者との「対決」 を掲載したが収まるはずはない。石 原長官は 月末の内閣改造で退任し た。(注3) 「会 見 拒 否 」 は 当 然、 社 会 的 議 論 になった。共同通信の先輩で、マス コミ研究者の新井直之は「定例会見 拒否といった抗議手段が最良の策と は思わない」と書いたが、同時に「ボ ツになった原稿を『赤旗』に流す事 例があったのなら、それは具体的事 実 を 石 原 長 官 は 示 す べ き 」「石 原 氏 にとっては記者の思想・政治的信条 が問題なのだ、ととれることが繰り 返されている。私はここがまず問題 だと思う」と指摘した。(注4) 事実、 月 日の衆院公害環境特 別委員会では、野党議員の質問に「そ れは政治的なものを含めたその人の 個人歴、共産党側からの印象という 12 か評価、赤旗編集の中枢にいる人と の人間関係とかそういうこと」と、 記者の思想調査をしたかのような発 言まで飛び出した。(注5) 月 日、中央委員会 新聞労連は ( 22 ) 自由闊達だった環境庁記者クラブ 「こ う や っ て 環 境 庁 に い て も ね、 ここの記者クラブの記者との闘いは 壮絶なものですよ。自分とこの新聞 で没になった原稿が、共産党の赤旗 にのる記者なんかが何人かいる」 問題はそこから始まった。講談社 の月刊「現代」1977(昭和 ) 年9月号。小池亮一氏の「石原慎太 郎ケンカと乱入の全軌跡」と題する ページにわたる記事だ。 前年 月、 た中での発言だった。 最初は誰かが雑誌を持ってきたの だと思うが、クラブの中で話題にな する社があっても自由。クラブ員を 束 縛 し な い と い う 決 議 だ っ た。(後 10 11 10 52 12 書にものらりくらりの回答で、直接 話す場になった9月 日の会見では 13 27 29 25 10 26 り、 総会で「放っておいていいのか」 と 意 見 が 出 た。 「本 当 に そ ん な こ と 30 書いた話 書かなかった話 2012. 10. 12. 10 No. 512 514 2012. 12. 10 No. 514 で、 「石 原 長 官 の 記 者 攻 撃 を 糾 弾 す る決議」をするとともに、 民放労連、 日放労、マスコミ共闘とともに、記 者攻撃を糾弾する共同アピールを出 し、マスコミ共闘は、 月 日には 衆院第一議員会館で「石原環境庁長 官の記者攻撃の真相をただし、国民 の知る権利を考える集会」を開き、 福田首相、石原長官への抗議文と石 原長官の辞任を求めるアピールを採 択した。(注6) ●各社強い分野で取材競争 実は私は、定例のクラブ異動で労 働担当に移ったので、この騒ぎには 最初の質問書を出すところまでしか 関わっていない。 それでも昔話を書くハメになった のは、最近の記者クラブの状況、例 えば、石原知事時代の東京都庁の会 見では、 誰かが質問しても、 二の矢、 三の矢が継がれないで、言われっぱ なしになってしまう、という報告を 勉強会で聞き、当時の話をしたから だ。 などとそれぞれ強い分野があり、共 同はカドミウムやアセスメントに結 構強かった。 知らん顔をしてケロっと特ダネを 書き、抜かれれば「しまった!」と 翌日追いかけたりしあった。 当時の環境庁クラブと環境庁の間 には、陳情があると、役所はクラブ に知らせ、クラブは実際に陳情に立 ち会って取材するという慣習が続い ていた。環境庁は各地で公害を闘う 市民が陳情に訪れることも多く、役 所も「ガラス張りの環境行政」を心 がけていたこともその理由だ。 複雑で難しい環境問題は専門家を 回って取材することもしばしばだっ たが、陳情に立ち会えば、どこにど んな問題があるかを役所と一緒に知 り学ぶことができる。記者は被害住 民の立場を知って報道しなければな らない。 どう報ずるべきか…。それもお互 い論じ合った。まさに環境庁記者ク ラブは、正式名称の通り「環境問題 研究会」だった。 長官に就任した石原氏はそれがお 気に召さなかったらしい。陳情を公 所は大臣の意向に苦労していた。 就任早々正月の朝日の「声」欄に 投書して「アメニティ」を主張、ネ クタイ不要論をぶち、ネクタイ業界 に抗議された。東京の「こちら特報 部」は「アメニティって一体何だ?」 と 書 い た。面 会 を 求 め て き た 水 俣 病 患者を断って、時間内にテニスをし、 日経にスクープされた。水俣病患者 の 直 訴 文 を、「I Q の 低 い 人 が 書 い たような字だ」といい、患者には、 「ニセ患者もいる」とも言った。正直、 目が離せなかった。 都知事時代の石原さんの姿勢は当 時とあまり違わないと思う。 ●自立することで本来の姿が いま、インターネットなどの新し いメディアの登場とともに記者クラ ブが改めて問題になっている。記者 会見の閉鎖性から始まって、記者室 の便宜供与、そして官庁との「癒着」 がマスコミ批判の材料にされている。 しかし、当時の環境庁クラブは、 必要なときには会見場に外国人記者 や専門誌の記者が入ることも認めて いた。クラブが主催し与野党議員や 幹部を招いてパーティーもした。大 臣秘書が届けてきたビールを返した こともあった。会見でも、他社の問 開するか、非公開にするかが問題に なり、記者が水俣病患者などを積極 的にクラブに招いて取材したりした そう書くと、当時のクラブはいか にも馴れ合いのクラブだったと思わ れるかもしれないが、そんなことは なく、取材競争は激しかった。NH Kは水俣病、日経は大気汚染、毎日 題提起を共有し、その質問を受けた 質問も多かった。 記者クラブは、記者がある社の「社 員」ではなく「ジャーナリスト」と して自立することで本来の姿を取り 戻すことができる。私は環境庁クラ ブでそれを教えられた。 (注) (月 1.新井 直 之「マ ス コ ミ 日 誌 」 刊「潮」1977年 月号) 2.第 国会・衆議院公害対策並び に環境保全特別委員会議事録第 3 号(昭 和 年 月 日 )、 同 国会・参議院公害対策並びに環 境保全特別委員会議事録第2号 (昭和 年 月 日) 3.石原慎太郎 環境庁記者クラブ 「大 激 論・ 新 聞 報 道 に こ そ 問 題 がある あなたの態度こそ無責 任だ」 (月 刊「現 代 」 1 9 7 7 年 月号) (月 4.新井 直 之「マ ス コ ミ 日 誌 」 刊「潮」1977年 月号) 5.前出、第 国会・衆議院公害対 策並びに環境保全特別委員会議 事録第3号 (昭和 年 月 日) 6.新聞労連機関紙「新聞労連」5 37号(1977年 月 日)、 日本ジャーナリスト会議「ジャ ー ナ リ ス ト 」 2 4 0 号、 (1 9 77年 月 日) まるやま しげたけ 1941年生ま れ 年 共同通信入社 整理部長 編集局次長 情報システム局長など 元関東学院大学教授 ( 23 ) 12 ことも気に入らなかっただろう。役 25 11 25 15 52 10 10 12 10 26 52 10 vs 80 25 11 は自動車排ガス、 朝日は歴史的環境、 52 11 80 12 64 2012. 12. 10 No. 514 書いた話 書かなかった話 2012. 12. 10 No. 514 リレーエッセー 2012. 12. 10 No. 514 小沢氏評価、あることで一転 江藤淳さん 文芸評論家・ 小林 静雄 釈迦に説法というか、臆面もなく 取材などで知己を得た人の中で とは、このこと。文芸評論の大先生 は、文芸評論家の江藤淳さんが忘 は面白がって?「あー、そう、そう」 れられない。平成9年 (1997) 「そ こ は 荒 っ ぽ い 言 い 方 だ ね 」 な ど から 年までの3年間、産経新聞 と相手をしてくれた。 の一面に 「月に一度」 というコラム を書いていただき、私が担当した 同席していた慶子夫人が「原稿を 書き上げると、『キミ、これでどうだ』 のだが、壮絶な自裁という形でお 別れしたことは記憶から消えない。 と私に渡すんです。私が『ここは、 こうした方がいい』と言うと、直す 江藤さんには、鋭い切れ味の評 んですよ」と語るのを、江藤さんが 論、権力も権威も恐れない剛毅で 気むずかしい人という先入観があ っただけに、政治部畑の私として は担当することに緊張があった。 初めて鎌倉・西御門のお宅におじ ゃまし、担当のあいさつをし、原 稿の受け渡しについて打ち合わせ をしたら、 話題がない。仕方なく、 江藤さんが乗ってきそうな旧制湘 南中学時代の同級生、石原慎太郎 氏をまな板にのせ、あとは三島由 紀夫、野坂昭如…読みかじった程 うれしそうにうなずいていた。ちな みに、江藤さんの原稿は几帳面な鉛 筆書きで書き直しや挿入は一切ない。 平成9年夏、当時、政界の三大実 力者だった中曽根康弘元首相、竹下 登元首相、小沢一郎新進党党首と江 藤さんが対談する企画を立て、お願 いしたら江藤さんも乗り気になって くれた。対談場所は竹下元首相が東 京の事務所、中曽根元首相は軽井沢 の別荘だったが、小沢氏とは軽井沢 の江藤さんの別荘で対談することに なった。 あた その年の3月、江藤さんは「月に 一 度 」 で、「帰 り な ん、 い ざ ─ 小 沢 一郎君に与う」と、慶応大学の後輩 である小沢氏を応援する一文を書い た。君は政界で目の敵にされている が、議員を辞めて故郷の水沢に帰っ てしまえ、そうすれば政界は君の存 在の大きさに気づく。その時に政界 に戻ってくればいい─というのだ。 その一文もあって、小沢氏が「先輩 を呼びつけるわけには行かない」と 〝礼をつくす形〟をとったのだ。 これには後日談がある。この夏、 小沢氏は江藤さんを新進党研修会の 講師に招いた。その後、私が様子を 尋ねると、江藤さんは「研修会で話 が終わったら、それで終わりです よ」とポツリ。礼遇どころか冷遇 されたと言外に語っていた。以来、 私は、江藤さんの口から小沢氏を 評価する言葉を聞くことはなかっ た。 慶子夫人ががんとわかったと き、病院近くのホテルに部屋をと り、1日 時間も付き添った。「慶 子は私にたくさんの時間をくれま した。今度は私が慶子に時間を返 す 番 で す 」。 見 舞 い に 行 っ た 帰 り しな、江藤さんは私にこう語った。 慶 子 夫 人 を 亡 く し た 後、「家 内 のいない家には帰りたくない」と 帝国ホテルを住まいにしたが、ひ と月もたたず再び鎌倉に。そのと き、「小 林 さ ん、 ひ と り と い う の は味気ないですねえ」と、しみじ み語った言葉が気になった。 そして、7カ月後。激しい雷鳴 がとどろいた日に「諒とせられよ」 との遺書を残して自裁した。愛妻 家の江藤さんの心中を忖度する と、私は今も「諒」とせざるを得 ないと思っている。 こばやし・しずお 元産経新聞政治 部長 現在 エフシージー総合研究 所常務取締役 ( 24 ) あの人 度の知識で、図々しく私なりの人 物論をぶった。 フジサンケイグループ正論大賞授賞式の控え室で 江藤淳さん(右)と筆者=1997年2月 10 私が会った 11 2012. 12. 10 No. 514 上映会/会員の著書 2002年の製作という。 年前 で あ る。 公 開 は そ の 2 年 後 だ が、 「3・ 」 を 知 る よ し も な か っ た 当 時の観客はどれほどの切実感をもっ て見たのだろう。 私は、 月1日に日本記者クラブ で初めて見た。正直言って驚いた。 年前って本当?と。 なぜなら、福島第一原発の事故を 経て、ようやく国民の多くが真剣に 考えるようになっ た数々の問題のほ とんどが映画の中 ですでに触れられ ているからだ。原 発立地と活断層、 放射性廃棄物や使 用済み核燃料の処 理、いい加減な原 発 安 全 宣 言、 「原 11 11 東京原発 2002年製作 10 局 長 た ち に 伝 え る。 「あ れ っ? 今 回は善人役じゃないようだ」と思っ たが、早とちりだった。知事の真意 ための東京への原発誘致計画を関係 都知事は映画前半で、都財政再建の 役所広司は「善人」が似合う役者 だ。その役所ふんする主人公の天馬 さ──などである。 の根拠のなさ、原子力政策の非公開 性、プルサーマル計画のうさんくさ 発停止即停電」説 10 天馬都知事の 発想は奇抜すぎ は別のところにあることが次第に明 らかにされていく。 当初は計画に反対していた副知事 が知事の深慮に気づき、局長たちに る る 説 明 す る 場 面 が あ る。「目 の 前 に原発が建つとなれば、都民は無関 心ではいられなくなります。おそら く大規模な反対運動が起こり、見て 見ぬふりのマスコミも取り上げざる をえなくなる。そしてようやく国民 は、いかに原発 が無駄で危険な ものかを知るこ とになる。脱原 発の波は東京か ら全国に広がっ ていくはずで す 」。 こ こ で 合 点がいった。 である。 Ⓒ 東京原発 Film Partners 上 映 後、 脚 本・ 監 督 の 山 川 元 氏 が 映 画 製 作 の 舞 台 裏 と 震 災 後 の 反 響 を 語 っ た。 自主上映会についての問い合わせはバサ ま ラ・ピクチャーズへ。 [email protected] たは 03-5447-5266 会報委員 毎日新聞出身 森嶋 幹夫 た某氏よりははるかに信頼できそう る と は 思 う。 し か し、「原 発 な ん て ささいな問題」と言って都庁を去っ 「3・11」 後の原発問題を暗示 (ミネルヴァ書房 4200円) ナリスクに備えよ (あさ出版 1470円) (時事通信出身) 急拡大する中国 ─日本の取るべ き 道 一 触 即 発 の危機に直面す る 日 中 関 係。「 尖 閣 海 域 を 平 和 友 好 の 海 に し た い 」 と の 思 い で 書 き 下 し た。 隣り合う世界第2、第3の経済大国は、 偏狭なナショナリズムを排除し、平和 と 繁 栄 を 共 有 す る と い う 大 局 に 立 ち、 領土問題というトゲを一刻も早く抜か なけ ればな らない。そ の 方 策 は 何 か? 経済、軍事面で急拡大する「異形の大 国」中国の光と影をえぐり出し、日本 の国・企業・個人の取るべき道を提案 したつもりです。 八牧 浩行 ■ 中 国 危 機 ─ 巨 大 化 す る チャイ だ っ た。 経 済 力 と 軍 事 力 を 増 強 さ せ、 自信に満ちた中国が、歴史的怨念をも 晴らそうとしている点に問題の深刻さ がある。本著は公式報道を中心にして、 過去数年間の中国の動きを追ったも の。ジグゾーパズルを合わせる作業の ように事実を丹念かつ克明に積み上 げ、 中 国 政 治・ 社 会 の 実 相 に 迫 っ た。 習近平・新政権に代わったが、その構 造に変化はないだろう。 マイBOOK マイPR 秋山 哲 ─この社会はモラルを取り戻せるのか ■善人はいない。 一人もいない。 (毎日新聞出身) 「私の幸福」と 「他人の幸福」 は両立するのか 東日本大震災 で日本人の規律 正 し さ が 世 界 の 注 目 を 集 め る 一 方 で、 政 官 財 界 か ら 一 般 社 会 に い た る ま で、 モラルの欠如が広まっている。そこで、 人間の発生以来、求め続けられてきた モラルとは何なのか、それをふり返り つつ、現代社会を考える本である。私 も他人も幸せになるモラル的社会は実 現できるのだろうか。モラルの専門家 ではないが、ある専門学校で3年間担 当した「現代社会とモラル」という講 義をベースにして執筆した。 (文芸社セレクション 735円) 濱本 良一 ■「経済大国」中国はなぜ強硬 路線に転じたか ( 読売新聞出身、国際教養大学教授) 自制を逸したか のような巨龍の 背景を探る 尖 閣問題を巡る中 国の対応は、大 方の日本人の想像を超える激烈なもの ( 25 ) 2012. 12. 10 No. 514 賛助会員の会 外信記者との懇談会(11.13) 中 国新体制 坂東賢治・毎日新聞編集編成局次長(11.29) 昨年からスタートし た主要各社の外信記者 と大使館や国際機関の 報道担当者ら特別賛助 会員との懇談会。今年 は15カ国以上の大使館 からの参加を含め、計 60人が出席した。写真=中国大使館の楊宇参事官・報道 官(右)と狐野由久日本テレビ外報部長 情報発信 「習近平の中国」のテ ーマで、終わったばかり の中国共産党大会で発足 した新体制について、人 事面からの解説を聞い た。 「三国志や水滸伝好 きの日本人は太子党と共 青団などの権力闘争として見るのが好きだが…」 。 34人が出席した。 新しいOB会員 クラブ施設では会員による各種の会合が行われてい ます。企業や大使館などの賛助会員も記者発表の場と してクラブを利用しています。 うえむら たけし ▼上村 武志 1972年読売新聞入社。政治部長、編 集局次長、論説副委員長など。現在、 学校法人文化学院理事長。 ●世界人口白書2012記者発表 11月14日の世界同時発表を前に監修者の阿藤誠早 稲田大学教授、国連人口基金(UNFPA)の佐崎淳 子東京事務所長らが、概要を説明した。関連して公 開シンポジウム(11. 29 10階ホール)も開催され た。 (11. 12 宴会場) ■学校の経営・運営に携わっていますが、世の中の 動きを深く知ることの大切さを痛感します。入会で、 その機会を与えていただいたと思っています。 ●日本産婦人科医会記者懇談会 女性産科医師の就労環境に関するアンケート調査 の結果が報告され、医師と担当記者らが懇談した。 女性医師はこの5年間で1.5倍に増加したものの、 8人に1人は非常勤だという。 (11. 14 宴会場) 1969年日本農業新聞入社。東北支局 長、報道部次長、編集委員、論説委員 など。現在、農政ジャーナリストの会 事務局長。 ●地域貢献大賞表彰式 日本新聞協会が地域に貢献した新聞販売店に贈る 同賞の表彰式が行われた。大賞には小中学生を対象 に新聞スクラップコンテストを40年近く続けている 三重県朝日会四日市支部が選ばれた。 (11. 15 10階 ホール) ●不動産ジャーナリスト会議第130回研修会 発足23年目になる同会。今回は国土交通省の日原 洋文・建設流通審議官を迎え「これからの不動産業 政」 について講演を行った。約20人が参加した。 (11. 16 大会議室) ●孫崎享氏講演会 日本ジャーナリスト懇話会(会長=深川誠)の月 例会で、孫崎享元外務省国際情報局長が安保、領土 問題などについて講演した。 (11. 19 大会議室) ●東京スカイツリーへの送信所移転に関する会見 在京テレビ6社(NHK、日本テレビ、テレビ朝 日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)が東 京スカイツリーへの電波送信所移転に伴う対策等に ついて記者会見を行った。約70人の取材陣と各局関 係者約30人が参加した。 (11. 22 10階ホール) たけむら あきら ▼竹村 晃 ■農業の専門紙に43年余、在勤しました。まだまだ 新参者です。よろしくお願いします。引き続き、農 業の現場から情報発信します。 ちくじ まさひこ ▼築地 政彦 1968年中日新聞入社。政治部記者、 名古屋本社ニュースセンター部長など を経て、三重テレビ放送へ。常務取締 役報道制作局長を務める。 ■自由人になっても、現場の“空気”は知っておき たい。疎遠だった「文化」と出会うのも貴重な財産。 大いに活用させてください。 ひぐち たけし ▼樋口 剛 1960年日本経済新聞入社。産業新聞 編集長、編集局総務、出版局長、取締 役事業局長、日経リサーチ社長など。 現在、日経新聞客員。 ■現役記者時代に身近に接した官、財、政界のスタ ーたちは多く鬼籍の人となった。いま活躍中の才人 君子たちはどうなのか、急に見たくなった。 ●菊池寛賞受賞および「原発報道」出版記念の集い 東京電力福島第一原発事故の真実に迫った東京新 聞・中日新聞の調査報道が菊池寛賞を受賞すること が決まった。その集大成として『原発報道』が出版 された。受賞と出版を祝い関係者80人が集った。 (11. 22 宴会場) ●読売テクノフォーラム 秋のシンポジウム 「宇宙旅行へのカウントダウン」をテーマに開催 された。稲谷芳文宇宙科学研究所教授らが商業宇宙 旅行について基調講演し、パネル討論も行われた。 約300人が参加。 (11. 27 10階ホール) ( 26 ) ■2013年経済見通し研究会■ 1月9日 13:00〜14:30 「中国経済」 柯隆 富士通総研経済研究所主席研究員 1月15日 13:00〜14:30 「欧州経済」 浜矩子 同志社大学教授 15:00〜16:30 「世界経済」 R・フェルドマン モルガンスタンレー MUFG証券マネージング・ディレクター 1月16日 16:00〜17:30 「日本経済」 岩田一政 日本経済研究センター理事長 2012. 12. 10 No. 514 フロアーマネジャーにニューフェース バー、レストラン、宴会 予約電話 和食 3503-2723 洋食 3503-2766 吉冨カクテル 黄金の矢 ドライジンをベースにアプリコットブランデー、 オレンジジュースをシェイクしたフルーティーなカ クテルです。 (630円) 和食 師走懐石 12/27まで 前菜・合鴨ロース煮など お椀・白子豆腐 刺身・ 三点盛り 焼物・鰤塩焼き 煮物・百合根饅頭蟹あ んかけ 揚物・海老切り湯葉揚げ 稲庭うどん 季 節の果物 グラス冷酒付き(5,250円) ふぐ特別コース 3/1まで 刺身から鍋までふぐづくしをお楽しみください。 (5,775円) 事前予約をお願いします。 (板長 大井由光) 洋食 豪華冬コース 12/22まで ズワイ蟹のグラタン、 鹿背肉ソテーなど。ランチ、 ディナーとも利用できます。 (4,000円) (シェフ・黒須修一) 年末年始 閉室のお知らせ レストラン・ラウンジの年末の営業は下記の通り です。事務局も12月29日から1月6日まで閉室させ ていただきます。 ○9階和食レストラン:28日(金)ランチまで ○10階洋食レストラン:27日(木)夜まで *28日昼は9階で洋食もお出しします。 ○ラウンジ:28日(金)午後6時まで 新年は1月7日(月)から事務局、レストラン、 ラウンジともすべて平常通りオープンします。 会員社ホール イベント情報 ◆日経ホール デニス・コジュヒン ピアノ・リサイタル ロシアの若 手奏者が奏でるショパン・プログラム 1/30 18時半開演(3,500円) 問い合わせ:03-3943-7066 http://www.nikkei-hall.com/ ◆サントリーホール ニューイヤー・コンサート ウィーン・フォルクスオーパー交 響楽団 ソプラノ、 テノール、 バレエパフォーマンスとともに 1/1,2,3 14時開演(5,000円〜9,000円) 問い合わせ:0570-55-0017 http://suntory.jp/HALL/ ◆王子ホール フランチェスコ・トリスターノ 幅広いジャンルをこな すルクセンブルク出身のアーティストによるコンサート 2/20 19時開演(5,000円) 問い合わせ:03-3567-9990 http://www.ojihall.jp/ クラブの電話 ダイヤルイン 和食レストラン(9階) 3503−2723 洋食レストラン(10階) 3503−2766 貸室予約、宴会打ち合わせ 3503−2724 受 付 3503−2721 会員事務 3503−2727 経 理 3503−2728 クラブ行事への申し込み 3503−2722 会見申し込みアドレス [email protected] 会報委員会 委員長=会田弘継 委 員=石川荘太郎 大寺廣幸 小西美和子 佐塚正樹 高橋 茂 中村史郎 萩谷 順 牧 久 森嶋幹夫 守田 靖 事務局=長谷川和子 本庄五月 (電 話 03−3503−2752 FAX 03−3503−7271) フロアマネジャーに服部健 (はっとり・けん)が加わりま した。オーストラリアのホテル に勤務した後、12年間、日本外 国特派員協会でレストラン・バ ーのマネジャーを務めていまし た。貸室や記者会見でのゲスト のエスコートなども担当していました。シニアソム リエの資格も持つ、東京都出身の38歳です。 日本記者クラプ賞・特別賞 ふたつの賞の推薦を ◇日本記者クラブ賞 取材、報道、評論活動などを 通じてジャーナリストとして顕著な業績をあげ、ジ ャーナリズムの信用と権威を高めた個人をご推薦く ださい。会員および会員社に属する方々が候補有資 格者です。スクープ賞ではなく、特に最近数年間の 業績が顕著であることが重視されます。 ◇日本記者クラブ賞特別賞 2012年度から新設され た賞で、原則、会員以外の方々を対象とします。規 約で「ジャーナリズムの向上と発展につながる特筆 すべき業績や活動を顕彰する」とありますので、内 外のジャーナリストやチーム・組織も受賞対象です。 推薦の締め切りは1月31日です。詳細は事務局 (3503-2754 本庄)へお問い合わせください。 会員名簿をお送りしました 11月1日現在の「会員名簿」を作成し、12月初旬 に発送しました。まだお手元に届いていない方や、 落丁・乱丁などの不備があった方は事務局の斎藤 (03-3503-2725)へご連絡ください。 訃報 下記の会員の皆さまが死去されました。謹んでご 冥福をお祈りいたします。 秋山頼吉会員(NHK出身・88歳 10月28日) 藤 倉輝夫会員(日経出身・91歳 11月1日) 三宅久 之会員(毎日新聞出身・82歳 同15日) 内田啓明 会員(共同出身・90歳 同16日) 大留明夫会員(日 経出身・82歳 同20日) 栗木欽一会員(中日新聞 出身・82歳 同22日) 土屋秀雄会員(千葉日報相 談役・87歳 12月3日) ●会員現況 法人会員 126社 基本会員 735人 個人会員 1,431人 法人・個人賛助会員 66社 160人 特別賛助会員 90人 名誉・功労会員 12人 学生会員 54人 計 192社 2,482人 HP http://www.jnpc.or.jp/ NEW! 11月のアップロード ■会見詳録 マイケル・クラーク 英国王立防衛安全保障研究所 所長「アジア太平洋の安全保障と日英協力」 (10. 23) 高橋伸彰 立命館大学教授「成長幻想を断ち、雇用 安定を」(著者と語る「日本経済混迷の根因を探る ─『ケインズはこう言った』)(11. 9) ( 27 ) 2012. 12. 10 No. 514 写真回廊 撮影 大西 史朗( 25 日ま (近藤憲明) ( 28 ) ●東 京 を 彩 る 高所恐怖症で山歩きが趣味である。これ は矛盾しない。垂直の岩はやらない。三点 確保で登る急斜面は下を見ない。両側がそ ぎ落ちた痩せ尾根を通過するとき足がすく むが、適度な緊張感は山頂での達成感の肥 やしになる。 物は試しと、東京スカイツリーに上って みた。半日がかりの大仕事だった。3時間 待って入館、切符を買うのに 分、エレベ ーターに乗るのにも並び、ようやく天望デ ッキにたどり着く。東京の夜景は見事だが、 山のように心躍らない。理由は自明だ。足 で稼いだ眺望には感動がある。超高速エレ ベ ー タ ー で 得 る 景 色 は そ れ が な い。 で も、 ガラスの床には体が固まった。340㍍下 の地面まで素通しである。 月 25 き れ い だ が 毎 日 見 る と 飽 き る。「 美 人 は 3 日 で 飽 き る、 醜 女 は 3 日 で 慣 れ る 」。 あ れと同じ感覚ではないか。 う。水色、紫、赤など5種類が で日替わりで点灯する。 しい。言われてみると、そんなものかと思 の写真を見て「バドミントンの羽根」を連 想した。緑色はモミの木をイメージしたら 世界一高いクリスマスツリーと銘打った ライトアップが始まった。ロー・アングル 30 12 おおにし・しろう ) 産経新聞東京本社写真報道局 11 15 月 日までクリスマスの特別点灯が行われる 東京スカイツリー 東京都墨田区 月 日 12