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Title 霊長類生態学 : 環境と行動のダイナミズム( 第17章 _chaoter17

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Title 霊長類生態学 : 環境と行動のダイナミズム( 第17章 _chaoter17
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霊長類生態学 : 環境と行動のダイナミズム( 第17章
_chaoter17 )
杉山, 幸丸; 三谷, 雅純; 丸橋, 珠樹; 五百部, 裕; ハフマン,マ
イケル A; 小清水, 弘一; 大東, 肇; 山越, 言; 小川, 秀司; 揚
妻, 直樹; 中川, 尚史; 岩本, 俊孝; 室山, 泰之; 大沢, 秀行; 田
中, 伊知郎; 横田, 直人; 井上(村山), 美穂; 松村, 秀一; 森, 明
雄; 山極, 寿一; 岡本, 暁子; 佐倉, 統
京都大学学術出版会. 2000, 498p.
2000-09
http://hdl.handle.net/2433/153981
Right
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Textversion
Book
publisher
Kyoto University
第 η章
ゴリラの父系コミ
山極寿
ニティl
ll子殺しの有無をめぐって
無によって雄や雌の連合パターンが変化する傾向に、初期の人類社会につながる父系コ
ミュニティーの萌芽を見ることができるだろうか。
を基にゴリラが驚くほど多様な集団をつくることがわかってきた。環境条件や子殺しの有
雌が集団問をわたり歩く、血縁関係にある雄どうしが連合できる、というこつの共通特徴
ユ
.
家族の起源とゴリラの社会
人間家族の起源を模索するなかで、かつて今西錦司はゴリラの社会に注目した。家族が成立するための四条件(インセ
スト・タブ l、外婚制、分業、 コミュニティー)のうち、最初の三条件は多くの霊長類社会にすでに備わっているとし、類
人猿には集団どうしがある程度親和的な交渉を結ぶ﹁近隣関係﹂が見られるだろうと予測したのである。今西が最初に
一夫多妻的なゴリラの集団に母親と息子だけでなく、父親と娘の聞にもインセスト、が回避されている
組織した類人猿調査隊のターゲットはゴリラだった。中央アフリカのヴィルンガ火山群を中心に行われた三回にわたる
調査の結果から、
ことを想定して、今西はゴリラの集団を類家族と呼んだ。家父長的な雄のもとで成長した息子たちはやがて集団を離れ
て、単独生活や他の集団へと移っていく。しかし、娘は親元を離れず、 やがて外から加入してくる若い雄と配偶関係を
結ぶ。こうして集団は二頭の年齢の異なる雄とそれぞれ配偶関係をもっ複数の雌からなる大家族へと発展していく。さ
らに今西は、これらの若い雄や成長した息子たちが維を連れだして自らの集団を構える﹁萌出﹂という過程を予測し、
雄たちが互いの配偶関係を尊重して共存する社会を想定した。ゴリラの社会はまさにこの共存関係を達成しつつあり、
それは家族どうしが互いの独立性を保ちながら協力しあう﹁近隣関係﹂に発展しうるものと見なしたのである。人間家
族が単独では存続できず、上位集団としての地域社会の形成が不可欠と考えたからである。
(捌)
その後発表されたジョージ・シャラ!のヴイルンガ火山群における野外研究は、ゴリラの集団どうしがなわばりをも
たずに平和な関係を保っていることを一示し、今西の説を裏づけたかのように見えた。ゴリラの集団には雌雄一対のペア
何が多様な社会を生み出したか│お
第 4部
から雄を四頭も含む大きな集固まであり、これらは雄の成長に沿って変化する集団の発展段階を表していると考えられ
た。そして、集団どうしは時折隣接した寝場所で一夜を明かし、異なる集団に属する子どもたちが入り乱れて遊ぶ光景
も観察されたのである。集団生活をする多くの霊長類社会では、集団どうしは互いに反発関係を保っており、決して融
合することはない。時には激しく敵対し、闘いに巻き込まれた個体が傷つき死ぬことすらある。これらの霊長類社会の
一般的な姿に比べると、 ゴリラの社会はずっと平和で集団を超えた多様な関係があるように思えた。
、 ゴリラの集団どう
ところが、 シャラ!の後に同じヴイルンガで長期にわたる研究を行ったダイアン・フオツシ lは
しが雄聞の死.を賭した闘いをも辞さない強い敵対関係にあることを報告しはじめた。今西の予想に反して、 ゴリラの社
会では雌が集団聞を移籍し、外から雄が加入してくることはめったにない。雄たちは移籍する雌の去就をめぐって激し
く対立し、雌が移籍するときは決まって雄どうしの闘いが起こる。そして、雄は雌の移籍を促すために乳児を殺害する
ことすらあるというのである。
(
m
)
雄による子殺しは杉山幸丸によってはじめて発見された行動で、雄が乳児を殺すことによってその母親の発情を早め、
自分の子孫を残す繁殖戦略の一っと見なされている。杉山が観察したインドのダルワl ルに生息するハヌマンラングl
レまl
、 ゴリラと同じ様に一夫多妻型の集団をつくる。雌を獲得できない雄たちは雄だけの集団をつくり、時折雌のいる
l
集団に攻撃をかける。核雄を追い出すことに成功すると、雄たちのうちの一頭が新しい核雄として残り、その後次々に
雌が抱いている乳児を殺していくというのである。授乳している雌はプロラクチンというホルモンが出ていて、これが
発情ホルモンのエストロゲンを抑制し排卵を止めるので、雄はこれらの雌と交尾して妊娠させることができない。乳児
を殺せば母乳が出なくなり、発情が再開して雄は雌と交尾ができるというわけである。短期間の集団滞在で、なるべく
速やかに自分の子孫を残す手段として、子殺しは霊長類ばかりでなくライオンなど晴乳類の社会でも知られている。さ
ゴリラの父系コミュニティ←
・υ
q
4
n
x
u
ηi
第 17章
らに杉山は、 ハヌマンラング1 ルの子殺しが生息密度の高い地域に特異的に起こることから、外敵のいない食物の豊か
な環境で霊長類が自ら密度を調節する機構としても働いていると見なしている。
これらの報告を受けて、伊谷純一郎はゴリラやチンパンジーといった類人猿ですら今西の一言う﹁近隣関係﹂は成立し
ていないとし、家族の成立よりも地域社会の成立が先行したのではないかと考えた。男女の配偶関係の確立よりも父系
的な性格をもったコミュニティーの成立を重視し、あいさつ行動や分配行動など高度な社会交渉を通して雄聞に共存の
基礎があるチンパンジーの社会をコミュニティーの前駆的構造と見なしたのである。
しかし、ゴリラの個体や集団の動向が長年月にわたって積み重ねられるようになると、ゴリラにもコミュニティーと
呼べるようなゆるやかな地域的まとまりがあることがわかってきた。しかも、ヴィルンガの南方約二0 0キロメートル
に位置するカフジ山のゴリラでは、私たちが長年調査しているにもかかわらず子殺しが見つかっていないのである。な
ぜヴイルンガには子殺しが頻発し、 カフジじはそれが見られないのか。子殺しという現象は他のどんな社会現象と連動
しているのだろう。そういった興味からカフジ山のゴリラの生活史を分析していくうちに、ヴィルンガのゴリラには見
られない新しい事実が次々に明らかになってきた。子殺しがある場所とない場所では、個体の動きや集団のできかたが
ずいぶん異なっているのである。ここでは、この二つの地域のゴリラを比較しながら、 ゴ リ ラ の 社 会 が 示 す 可 塑 性 を 導
きだし、﹁近隣関係﹂に基づくコミュニティーの進化について再考してみることにする。
その﹄別に、 ゴリラの一般的な生態や社会の特徴について最近の調査の成果を考慮しながら紹介しておくことにしよう。
何が多様な社会を生み出したか│湖
第 4部
ゴリラの地域変異
ゴリラは三つの亜種に分類される。ナイジェリアからガボン、 コンゴ共和国にかけて分布するニシロ 1ランドゴリラ、
11)
。これまでゴリラの社会や行動の研究は、
コンゴ民主共和国(旧ザイiル)東部にすむヒ、ガシロ lランドゴリラ、 それにコンゴ民主共和国、 ルワンダ、 ウガンダ三
国の国境付近に二つの 小
h さな分布域をもっマウンテンゴリラである(図口
このうちヴィルンガ火山群のマウンテンゴリラを対象にして行われてきた。ここ以外の地域では野生のゴリラがなかな
か人に慣れず、近づいて観察したり、特定の個体や集団を識別して長期間その動向を追跡調査することができなかった
からである。しかし、 マウンテンゴリラの資料だけを基にしてゴリラの生態や社会を一般化するには無理がある。ヴイ
ルンガのマウンテンゴリラは三亜種のなかで標高三000メートルを超える最も高地に生息しており、 その数も一ニ00
頭あまりにすぎず、他の霊長類とはほとんど共存していない。大部分のゴリラは低地の熱帯雨林に生息し、チンパンジー
(川)
をはじめ他種の霊長類が共存する環境で暮らしている。ゴリラとしては特殊な地域に暮らすマウンテンゴリラをゴリラ
の典型と見なしていいものだろうかというわけである。
の高地は樹高の低い木がまばらに生えていて、林床はアザミ、イラクサ、 セロリなどの草本が密に生えている。冷涼な
リラがマウンテンゴリラとまず生態学的に大きく異なることがわかってきた。 マウンテンゴリラの生白川するヴイルンガ
1
7章
最近になって、低地熱帯雨林の各地でニシロ lランドゴリラやヒガシロ lランドゴリラの調査が行われ、これらのゴ
気候で果実がめったに実らないので、 ゴリラたちはもっぱらこうした地上生の草本を食べて暮らしている。これらの植
I第
ゴリラの父系コミュニティー
3
8
9
2
6
28
3
0
。
6
・
6 マウンテンゴリラの生息域
C〉ヒガシローランドゴリラの生息域
図 17-1 ゴリラの分布.左下の地図はアフリカ大陸にお
ける西(ニシローランドロリラ)と東(ヒガシ
ローランドゴリラとマウンテンゴリラ)のゴリ
ラの分布を示している.拡大図は東の分布図で,
斜線部は湖,付点部は国立公園を表している.
本研究の調査地であるカフジ=ビエガ国立公園
の東部は標高 1800~ う 300m の山地林である.
第 4部 何 が 多 様 な 社 会 を 生 み 出 し た か │ 捌
物はどこにでもあるのでゴリラたちは、毎日五00メートルくらいの距離を歩くだけで十分な食物を得ることができる。
ところが、低地の森林は樹高の高い木々が樹冠を接して太陽をさえぎっているので林内は暗く、林床植生は発達しない。
一度に得られる量もかぎられていて、 ゴリラ以外の
かわりに多様な果実が年聞を通して実り、これを探してゴリラたちは毎日長距離を歩く。それぞれの種類の果実は実る
時期がかぎられているし、熱帯では果樹がまばらに分散している。
霊長類、晴乳類、鳥類が食するのでうかうかしているとなくなってしまう。
こういった環境条件を反映して、低地に生息するゴリラは集団サイズが小さく、集団どうしが果樹の周りで敵対的な
出会いをする傾向がある(表打 l)。草本に比べて果実の食物パッチ(同種の食物が得られる空間的広がり)が小さいので、
食物をめぐる個体聞の直接競合が大きくなり、大きな採食集団を編成しにくくなるからである。ゴリラは採食時でも休
息時でもまとまりのよい集団をつくるので、採食条件がそのまま集団のサイズや構成に反映しやすい。ただ、低地では
一様に広く分布する地上生の草本を食べて暮らしている高地のマウンテンゴリラは、四O頭を超える大きな集団
採食時に個体が分散するという報告もあるので、集合パターンを一時的に変えることがあるのかもしれない。これに対
して、
をつくることがあり、集団どうしも食物をめぐって敵対することはない。
ヒガシロ l ランドゴリラは低地と高地の両方にまたがって生息するために、 ニシロ 1 ランドゴリラとマウンテンゴリ
ラのちょうど中聞の特徴をもっ。後述するカブジ山のゴリラは標高二000メートル前後に生息域をもつので、 マウン
特徴を示すことがある。ただ、大型の集団があるということはマウンテンゴリラと同じ様な集団編成が可能な生態環境
テンゴリラに似た生態特徴を示すが、季節によっては多種類の果実を食し長距離を移動するなど低地のゴリラのような
にあるということが言えるだろう。
マウンテンゴリラが他の二亜種とはっきり異なっているのは、成熟した雄を複数含む集団が多いということと、雄だ
1
7章
ゴリラの父系コミュニテイ」
I第
3
9
1
表 17~1
一
ゴ リ ラ 3亜 種 の 生 態 特 徴 (A) と 社 会 特 徴 (B)
(
A
)
亜種名
ニシローランドゴリラ
ヒガシローランドゴリラ
マウンテンゴリラ
調査地域
ロペ森林,ンドキ森林
イテベロ森林,カブジ山
ヴィルンガ火山群
低地熱帯林
低地熱帯林/山地林
山地林
果実食/(葉食)
(果実食)/葉食
葉食
森林タイプ
食性
食物の多様性
高
主
I
司
主
低い
食物の季節性
顕著
顕著
希薄
食物の分布型
1日の遊動距離
月毎の遊動域
年間遊動域
隣接群との遊動域重視
隣接群との出会い頻度
集団のまとまり
集団の大きさ
一
集中
集中/均一
均一
1100~1 う OOm
700~1300皿
う 00~1000m
2
c
.
ぅ km
10~30km2
大
多
高/低
6(2~32)
2~7km2
20 うOkm'
大
少
主T
Y
I
司
2ラkm2
10km2
大
少
高
1
1(2~42)
9(2-44)
(
B
)
亜種名
ニシローランドゴリラ
ヒガシローランドゴリラ
マウンテンゴリラ
調査地域
ロペ森林,ンドキ森林
イテベロ森林,カアジ山
ヴィルンガ火山群
単独遊動
オス/メス
オス
オス
オス集団
無
<10%
6(2~32)
無
有
<10%
1
1(2~42)
30~40%
2
4
4
)
9(
大
多
大
少
大
少
複雑群
集団の大きさ
隣接群との遊動重複
隣接群との出会い頻度
なわばり性
稀
稀
無
集団間関係
敵対的/宥和的
敵対的/宥和的
メスの移籍
有
有
敵対的
有
オスの集団乗っ取り制
無
無
集団の分裂
有
有
有
稀
子殺し
無
無
有
第 4部 何 が 多 様 な 社 会 を 生 み 出 し た か │ ぬ
けからなる雄集団が見られるということである。雄集団の存在はベッドの調査だけではわからないから、 まだ直接観察
が十分にできていない低地でこれから見つかる可能性もある。だが、雄を複数含む集団は間違えようがない。成熟した
ゴリラの雄は背中が白くなるのでベッドに白い毛が残るからである。この違いはおそらく生態学的な条件よりも社会的
な環境の違いを物語っている。そして、 それはヴィルンガのマウンテンゴリラに子殺しが見られることと関係があると
思われるのである。
マウンテンゴリラの子殺しと雌の移籍
一九六七年にダイアン・フオツシ lが調査を始めて以来、ヴイルンガでは複数の集団において個体識別し名前のつい
12)
。
たゴリラの去就がいまにいたるまで追跡調査されている。私もここで二年にわたって調査を行ったが、 そのときの自分
の記録とフオツシーらの報告からゴリラの集団のライフ・サイクルを描いてみた(図口
ゴリラの集団は親元を離れて単独生活をしている雄が、他集団から雌を誘い出して自分の繁殖集団をつくることに
よって始まる。最初のうちは新しい雄が未経験なためか雌が居着かず、出たり入ったりを繰り返すが、 そのうち雌が妊
娠して出産するとその雌はこの雄のもとに定着するようになる。生まれた子どもを保護するために雌がこの雄を頼るよ
うになるからだろうと思われる。こうして雄は母親になった雌と恒常的に連合するようになり、 やがて雌の数が増え、
子どもが次々に生まれて集団は大きくなる。しかし、子どもが成長して親元を離れるようになると集団サイズは安定す
るようになる。生まれる数と出ていく数がほぼ等しくなるし、血縁関係のある雌どうしに親密なきずなが生じて外から
ゴリラの父系コミュニティー
n
w
u
qペ
υ
qtu
第 17章
雄の移動
ムーム
.
.
.
.
.
ー
'
民
雌の移動
ム
雄の集団
単独雄
V
、
4
時一
4トー~
ム
4 … … …1
o0
4トー~
﹀o
。V
/Q
ム
ペ
V
単雄群
(新生集団)
単雄群
(確立集団)
︿
一
1V
複雄群
(確立集団)
4
咽
一
一
ー
ー
核雄の死亡
〆
集団の崩壊,あるいは
単独雄による乗っ取り
冶k
集団の継承
ムO C
一一一
ムム O
図 17-2 ヴィルンガ地域のマウンテンゴリラの集団の成長モデル .0は
成熟した雌,ムは成熟した雄を示す.
第 4部 何 が 多 様 な 社 会 を 生 み 出 し た か │ 訓
雌が入って来にくくなるからである。こういった集団を私は確立集団と名づけた。この段階に達すると、集団の雄は外
からの雄の挑戦だけでなく、集団内部で成長する息子の台頭にも対処しなくてはならなくなる。
単雄群をつくる多くの霊長類社会と違って、ゴリラの社会では雄による集団の乗っ取りが見られない。集団の核とな
る雄が健在であるかぎり、外から来る雄も内部で育った息子も核雄を追い出すことはできない。核雄が死亡したときだ
け、他の雄が集団を引き継ぐことができる。このため、 いったん集団を構えた雄は死ぬまでその集団の核雄でありつづ
ける。
雄たちは生まれ育った集団に居つづけても父親がいるかぎり核雄にはなれないので、次々に集団を出て単独生活を始
める。離れた後もしばらくは父親の集団の遊動域内をうろつき、他の集団との出会いを期に遠出をするようになる。雄
集団に加入する場合もあるが、 ハヌマンラングl ルのように雄たちがこぞって雌のいる集団を攻撃することはなく、
しろ他集団との接触を避けてひっそり暮らす傾向がある。雄集団ではホモセクシュアルな行動も見られる。
しかし、核雄が老齢に達すると息子たちが離脱せずに残るようになり、集団は複雄群の構成を示すようになる。息子
たちは母親の異なる姉妹にあたる雌たちと交尾をするようになり、 そのうちの一頭が父親の死後この集団を引き継いで
核雄となる場合がある。息子たちが未熟だと外の雄に集団を乗っ取られてしまうが、 たいがい息子が新しい核雄になる
ょうだ。これがゴリラの社会が父系の性格をもっゆえんである。
Je
ユ
ア
-
コ
の
系
父
け川ノ
フ
一
一方、雌は単独生活を送ることはなく、思春期になると他の集団へ移籍する。 いくつも集団をわたり歩く雌もいるが、コ
出産すると定着して特定の雄のもとで子育てをするようになる。ゴリラの赤ん坊は二キログラム弱で生まれ、約コ一年間
もお乳を吸う。授乳中雌の交尾は見られず、発情の再開は授乳頻度の減少と対応することが報告されてい日。おそらく
発情の休止は雌の移籍を阻害する要因となっているのだろう。 つまり、移籍は乳児をもたない雌の繁殖相手を選ぶ行動
間 │ 第 17章
む
だと考えることができる。
シルバーパックの背中は子どもたちの絶好の
遊び場.(ヴ、イルンガ域のマウンテンゴリラ)
写真 17 ~ 2
子どもたちを見守るゴリラの父親.(カフジ
山のヒガシローランドゴリラ)
を占めている。 二O例 近 い 子 殺 し を 分 析 し た デ ビ ッ ド ・ワ ッ ツ は 、 核 雄 の 死 後 に 子 殺 し が 起 こ る 確 率 は 核 雄 が 健 在 な 集
推測されている)を除くと犠牲者の父親とは思われない成熟した雄で 、ヴ ィ ル ン ガ に お け る 乳 児 死 亡 率 の 三 八 パ ー セ ン ト
の乳児が多いが、核雄が死んだ際には乳離れをした幼児が殺されることもある。下手人はわずかな例外(雌が殺害したと
雄 に よ る 子 殺 し は こ の よ う な 乳 児 を も っ 雌 に 発 情 を 再 開 さ せ 、移 籍 の 衝 動 を 促 す 効 果 が あ る 。 狙 わ れ る の は 一 歳 以 下
写真 17~ 1
何が多様な社会を生み出したか│制
第 4部
団の約八O倍も高く、雌が雄を移籍対象として選ぶ際に最も重要な要素は、乳児を守る雄の防衛能力だろうと推測して
いる。事実、子どもを殺されると雌は数カ月以内にその核雄のもとを去ってしまうのである。
子殺しの存在は雌の移籍にある制限を与える。まず乳児や幼児を連れて移籍すると殺される恐れがあるので、雌たち
は子どもを残して移籍する。母親のいない子どもを育てるのは核雄の仕事となる。また、雌は移籍先で十分な保護を受
けるために雄との親密なきずなを形成する必要がある。そのため、他の雌と連れあうことをせずに単独で移籍する。そ
して、好ましい移籍先として雌たちは複数の雄のいる集団を選ぶ傾向があるようだ。
最近のヴィルンガの報告をみると、 まだ老齢に達しない核雄が息子たちの交尾を許容したり、核雄の死後も息子たち
が別れることなく兄弟で集団を引き継ぐといった例が見られる。これらの雄たちは老いた父親と息子のように、互いに
nud
第
ゴリラの父系コミュニティー
別々の雌と独占的な交尾関係を確立して一つの集団に共存している。これは、雌が移籍先として複雄群を選ぶために起
こった現象だと思われる。
雌が集団で移籍するカフジ山のゴリラ
一九八九年にはム
シャムカと呼ばれる集団から若い雄が雌を連れ出して自分の集団をつくった。こうして九0年代には四つの集団にいる
二つの集団が観光客を受け入れるようになり、 八0年代の中頃にはもう一つの集団が人づけされた。
いる集団がある。ここでは七0年代の初頭からゴリラツアーを企画し、観光のためにゴリラを人づけしてきたのである。一一
私が一九七八以来調査を継続しているコンゴ民主共和国のカフジ山でも、 いまにいたるまで個体の履歴が記録されて
四
表 17-2 ヒガシローランドゴリラ(カフジ山)とマウンテンゴリラ(ヴィルンガ
火山群)の雌の繁殖様式の比較
ヒガシローランドゴリラ
マウンテンゴリラ
N=46
Nェ 6ぅ
19
.
6
%
26.2%
新生児死亡率
出生後 1年以内
出生群で初産を迎えた雌の数
ラ
7
出生群以外の群で初産を迎えた雌の数
1
3
9
1
0
.
6歳 (
9
.
1
1
2
.
1
)
1
0
.
1歳 (
8
.
7
1
2
.
8
)
4
.
6歳 (
3.
46
.
6
)
3
.
0
-7
.
3
)
3
.
9歳 (
ゴリラたちの動向が記録されるようになった。九一年から私は自分の
研究のために別の集団を人づけしはじめたが、ガイドのジョン・カへ 1
クワと協力してこれらの集団に起こった出来事や個体の移動状況を毎
年整理し分析している。
その結果、 カフジ山のヒガシロ 1ランドゴリラもヴィルンガのマウ
ンテンゴリラのように雌が集団聞を移籍する社会をもつことがわかっ
12)
。生まれて一年以内の新生児死亡率や、
てきた。雌が最初に移籍する年齢や初産を迎える年齢、出産間隔もヴィ
ルンガと変わらない(表打
最初の子どもの死亡率が高いのもヴィルンガと同じであ語。乳児の死
亡率がヴィルンガより低いが、これは子殺しがカブジで見られないた
めである。ヴィルンガの乳児死亡率から子殺しによるものを除けば、
カフジの死亡率と大差はなくなる。
子殺しの欠如は、雌の移籍様式に大きな違いをもたらしている(表
ηi3)。まず、カフジでは雌が乳児を連れて移籍することがある。ヴィ
ルンガでは子連れで雌が移籍するのは核雄が死亡したときにかぎられ
ているが、こうした例ではすべて子どもが移籍先で殺されている。と
ころが、 カフジでは同じ様な例すべてにおいて子どもは殺されておら
、ず、核雄が健在なのに子連れで移籍した例も三例ある。三例とも子ど
!
訓
何が多様な社会を生み出したか
第 4部
ワッツ (252)
本研究
文献
1
7
.
7
%(Nニ 4ラ
)
出産間隔(赤ん坊が生存した場合)
20.0% (N=2ラ
)
初産年齢
42.9%(N=14)
2産以降
33.3%(Nニ 2
1
)
母親が初産
7
.
7
%
6
.ぅ
%
1年以降 3年以内
N はサンプル数を示す
表 17-3 ヒ ガ シ ロ ー ラ ン ド ゴ リ ラ ( カ ブ ジ 山 ) と マ ウ ン テ ン ゴ リ ラ ( ヴ ィ ル ン ガ
火山群)の雌の移籍様式の違い
例数
例数
1
4
4*
o
4*
慨 2200
核雄不在
数、, l L }
例 !21
他の雌
離乳した子ども
もは殺されずに生き残っている。
一例は、若い雄が父親の集団を出た際に、三カ
月齢の赤ん坊を抱いてついて行った若い雌である。雌は離脱前にこの雄と交尾を
していたことが目撃されているので、抱いていた乳児は前にいた集団の核雄では
なくこの雄の子どもだった可能性がある。 つまり、自分の子どもなので子殺しが
発現しなか、ったと推測できる。しかし、他の二例は移籍先の雄が乳児の父親では
ないことがわかっている。どうやら、 カブジの雄たちは他の雄の子どもをも自分
が保護する対象として受け入れるらしい。
カフジの雌が他の雌と連れだって移籍する点もヴィルンガと異なっている。複
数の雌がいっしょに移籍することがあるので、 カフジでは集団サイズの変動が大
きい。ヴィルンガの単独雄が最初の雌を得てから徐々に雌の数を増やしていくの
に対し、 カフジの雄はすぐに一 O頭もの雌を固い込んでハレムの主となることが
できる。 カフジの雌にとって核雄は配偶者および保護者として重要な存在ではあ
るが、子どもを子殺しから守るために直接親密なきずなを形成する必要はないの
である。
これは核雄が死んだ後の雌たちの行動にも反映している。九0年代に入ってか
らカフジでは密猟や内乱による混乱で核雄が殺される事件が相次いでいるが、驚
章
nwd
いたことに残された雌たちは近隣の集団や単独雄たちのもとへ移籍しようとせず、第
長い間雌と子どもたちで遊動しつづけたのである。こうした例は三例あり、長い
ゴリラの父系コミュニティー
o
乳児
9
2
2
なし
フォツシー (46),ワッツ (251)
本研究
文献
核雄生存時
核雄不在
核雄生存時
マウンテンゴリラ
ヒガシローランドゴリラ
移籍時の同伴者
*すべて移籍先で核オスによって殺害されている.
O
/
シト
L o0
o
0.---
o0
o 0'
4
マウンテンゴリラ(ヴイノレンガ国立公園)
ヒガシローランドゴリラ(カフジ山)
雌が単独で移籍
核雄の死後,雌は散り散りに移籍
息子が出生集団に残って繁殖
雄集団
雌が集団で移籍
核雄の死後,雌だけの一時的な集団形成
息子が雌を連れて出生集団を離脱
ものでは二九カ月も核雄不在のまま雌たちは集団を維持しつづ
けた。この間、雄たちが何度もこの集団を訪問したが、なかな
か核雄として加入することはできなかった。最後に核雄の地位
を獲得したのは、すぐ隣の集団で生まれた一五歳になる若い雄
だった。雄どうしの激しい闘争や攻撃は見られず、雌や子ども
たちに傷ついた個体はいなかった。 カフジの雌たちはそれぞれ
雄とのきずなを維持することによって共存しているのではなく、
雌との連合関係を形成したうえで雄を受け入れているらしい。
これは、核雄を失うとばらばらになってしまうヴィルンガの雌
たちとは大きく異なる特徴である。
しかし、 カフジの雌たちが雄を必要としていることも事実だ。
核雄を失った集団は目立って遊動域が狭くなり、 ほとんどの個
とたんに雌たちは地上で眠るようになり、遊動域む拡
体が樹上にベッドをつくる傾向があった。新しい核雄が入って
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大して遠くへ足を伸ばすようになった。 ヒョウなどの外敵から
身を守り、夜間に地上で安全に眠るため、食物を探して広く歩
き回るためにやはり雄はなくてはならぬ存在なのである。ただ、
子殺しがないために、雌にとって核雄は他の雄の攻撃から子どへ
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何が多様な社会を生み出したか
第 4部
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図 17-3 ゴリラ集団の変化様式の地域変異 .0
は成熟した雌, ムは成熟した雄
を示す.
もを守る保護者である必要はないのだろう。
こういった事情は、雄にとってもヴィルンガとは異なる生活史を送る条件となる。子殺しがないので、雌は複数の雄
を含む集団を移籍する対象として選ぶ傾向はない。雌が集団で移籍してくる可能性があるので、単独生活をしていても
すぐ大きな集団をもてる機会にめぐり会える。父親の集団から雌を連れ出して自分の集団を構えることもできる。この
ため、 カフジでは若い雄たちは父親の元にとどまらず、複雄群が少なくなっているに違いない。
ただ面白いことに、 カアジでは父親のもとを離れた息子たちが遠くへ行ってしまわずに、父親の集団のすぐ隣に自分
の集団をつくる傾向がある。 カフジでも集団どうしの出会いは時として激しい核雄どうしの闘いに発展することがあり、
顔や胸に大きな傷を負う雄もいる。雌をめぐる雄聞の確執はヴィルンガに劣らず激しいと考えられる。しかし、父親と
息子の関係にあたる核雄どうしは激しく衝突することはない。 いつもは互いに避りあっており、出会っても平和に混じ
りあい、子どもどうしが互いに遊ぶことさえある。 つまり、 カフジの雄たちは集団内で共存することをせず、血縁関係
の近いものどうしが隣り合って互いに独立した集団を構え、地域的なまとまりを形成する傾向をもっているのである。
これは父系的なコミュニティーの前駆的構造と言えないだろうか。
初期人類のコミユ ニティー
ヴイルンガのマウンテンゴリラとカフジのヒガシロ 1ランドゴリラが示した社会変異は、 ゴリラが雌の移籍と父系的
な雄のつながりを基に多様な集団をつくる潜在能力をもっていることを示している。 ニシロ lランドゴリラも含めて、
ゴリラの父系コミュニティー
17章
I第
4
0
1
五
集団聞の出会い
小
雌の移籍
図 17-4 ゴリラのコミュニティーを支える社会生態学
的条件
私たちがそれぞれの地域で見ているのはこのゴリラの能力が多様な環境条件の
なかで造りあげた社会である。そこに初期人類が類人猿の祖先から引き継いだ
社会能力の片鱗を垣間見ることができる。
ゴリラのコミュニティーは構成の異なる集団がなわぼりを構えずに混在する
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ことによって成立している。単独行動をしない雌にとって移籍の機会は集団問、一日
集団と単独雄との出会いの際にかぎられており、このため出会いが減れば雌の
移籍も阻害され念。出会いの頻度は遊動域の大ききゃ日々の遊動距離によって
も影響を受町¥食物環境の違いによる集団サイズや集団間関係にも左右される
だろう。
ゴリラのコミュニティーを維持するためには、雌が十分に相手を選んで移籍
できるように集団聞の出会いをほどよい頻度で保つことが必要になる。すなわ
14)
。確かに、
ち、集団密度を一定に保つことが重要になり、適当な密度が維持できるように
一種のフィードバックが効いていると考えることができる(図口
τ摂取する食物を変える
距離を左右し、集団聞の出会いの頻度を変えてコミュニティーの動態に影響を与える。食物以外にヒョウなどの外敵も
ためである。したがって食物は直接ゴリラの密度を制限する要因にはならないが、 その量や分布によってゴリラの遊動
値と最小値が七O倍も違うチンパンジーに比べて差は少ない。これはゴリラが環境条件に応じ
(加)
三亜種のどの生息域でもゴリラの密度はだいたい一平方キロメートル当たり0 ・三1 ニ・六頭の範囲におさまり、最大
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集団の集合性と構成
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集団の集合性や構成に影響を与え、間接的に集団聞の出会いや雌の移籍を変える原因となっている。 つまり、生態条件﹁
第 4部
遊動距離
食物の量と分布一一・一歩
はゴリラのコミュニティーの立地条件になっており、子殺しなどの社会現象は集団聞の出会い、集団の集合性と構成、
雌の移籍のすべてを直接左右してコミュニティーの成り立ちそのものを変えていく要因と考えることができる。
ゴリラのコミュニティーの地域的な差異には、生態条件とは直接結びつかず、 その地域社会の歴史的な過程が反映さ
れているものがある。子殺しという現象はその歴史的過程をつくるうえで大きな影響を与えると考えることができよう。
子殺しの有無を契機にしてある社会的な条件が整えば、血縁関係の近い雄たちが連合して複雄群をつくる場合もあるし、
離れあって独立した集団を構える場合もある。雌の単独移籍が頻発する場合もあるし、雌聞の連合が促進されて集団で
移籍するのが常態となる場合もある。しかし、これらの現象はどれも相互に関連しあっており独立に生じるわけではな
ぃ。そこにはある共通の制約がかけられている。
それは、雌が思春期に親元を離れるという性向であり、雄どうしが互いに雌と独占的な配偶関係を保とうとする特徴
である。ただ、雄たちの共存関係には血縁関係によって差ができるので、 そこに社会的変異が生じる。その変異が様々
な生態条件や社会条件によって増幅された姿を、私たちは三亜種のコミュニティーに見ているのである。
おそらく、雄どうしの血縁のきずなは成長期に同じ集団で過ごしたという経験によって支えられている。最近の報告
によると、 かつて雄集団で共存したことのある雄どうしが、血縁関係がないのに雌のいる集団で長期間にわたって仲良
く共存している。これは成長期に共存の基礎ができれば、血縁関係が無くてもゴリラの雄どうしは配偶関係の独占を認
一つの集団で共存するためには、雌たちがより確かな雄の保護を求めて複雄の構成をもっ集団を移籍対象として選ぶ必
この延長線上に初期人類のコミュニティーの姿を描いてみるのはあながち不可能なことではない。ゴリラの雄たちが
17章
めあいながら共存できることを示している。
要があった。初期人類が森林を出て手強い外敵のいるサバンナへと出ていったとすれば、雌たちは安全を期すために複
I第
ゴリラの父系コミュニティー
403
数の雄を保護者として選んだに違いない。このような環境ではより大きな集団を構えるほうが有利となる。
しかし、果実の少ない疎林へ出ていった初期人類は、現在のチンパンジーと同じように遊動距離や遊動域を拡大して
(川)
果実を探し回らなければならなくなった。この時人類が発達させた直立二足歩行はゆっくり長距離を歩くのに適した歩
行 様 式 で あ る こ と が 判 明 し て い る 。 人 類 は 果 実 食 の ニ シ ロ 1ラ ン ド ゴ リ ラ の よ う に 小 集 団 で 遊 動 す る か 、 チ ン パ ン ジ ー
のように頻繁に離合集散するかという選択を迫られたのである。人類が採用したのはゴリラともチンパンジーとも違う
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方 法 だ っ た 。 男 た ち は 配 偶 関 係 の 独 占 を 崩 さ ず に 協 力 し 、 互 い の 反 発 関 係 を 弱 め て コ ミ ュ ニ テ ィ ー を 形 成 し た の で あ る 。ム
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はじめて契約による家族という社会単位が人類の社会に出現するようになったと考え
おそらく類人猿社会から受け継いだ雌の自在な移籍性向と、 ゴ リ ラ 社 会 か ら 受 け 継 い
花した成果の一つだったのである。
第 4部
それはまず、ゴリラのように血縁関係のある雄たちがまとまることによって促進されたに違いない。単雄群どうしが合
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流して泊まり場を共有したり、複雄群が別れあって採食するということがふつうになり、やがて男女が分業して食物を
る記す
だ配偶関係の独占を認めあう父系的な雄の連合だったであろう。それは類人猿の遺産である社会能力が新しい環境で開
ら採
れ集
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