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W。men`s Bmks 2 月 24 日 発行 雄の本の講 ウィ メンズブッ ク友の会会報

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W。men`s Bmks 2 月 24 日 発行 雄の本の講 ウィ メンズブッ ク友の会会報
第54号 1995年 2月 24日
ウイメンズ ブ ックス
Womenb Books
2月 24日 発行
女性の本の構職書 ウイメンズブ ック友の会会報
ウイ メンズブ ックス トア
発 行 所
有限会社 松 香 堂 書 店
本
社 〒60m都 市上京 区下立売通西洞院西入 る
mL/FAX 075-441‐ 6905
天満橋店〒540大 阪市 中央 区大 手前 1丁 目3番 49号
ドー ンセ ン ター3F
´嗜K 帷 910‐ 8627
呻
7950
郵 便 振替 口座 01080Ю ‐
い輌
円年会,日んりm円 団体卸m円 )
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り込 み くださいます ようお願 い致
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て い ま丸
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lQ∞ 1円 以上
知 円
本誌 か らの無断転載 ・ コピー はお
断 りいた します。
ウ イ メ ン ズ ブ ッ ク最 新 刊
[女 性問題 とは ?]
『 共生時代 の フ ェミニ ズム
ー ひ らかれた未来 を もとめて』
青木 やよひ著 オ リジン出版 セ ン ター
1994年 9月
2220円
生殖、母性主 義、身体感覚 を語 る著者 の熱意 が 伝 わ っ
て くる。家族、 シ ングルカルチ ャー、人 口問 題 を 軸 に
柔 らか な筆致 で書 かれた エ ッセ イ集。新 しい身体 観 と
関係性 の実現 を、著 者 は共生感 覚 の 中 に予見 す る。
1/J
『 生殖 の政 治学 一 フェミニズムとバースコントローノ
荻野 美穂 著 山川 出版社 1994年 12月 2600円
人 口問題、優生保護法 にみ られ る優生思想 な ど今 もな
お多 くの課 題 を抱 えてい る “
生 殖 の 政 治 学 "。 バ ー ス
コ ン トロールが 今 のよ うに当 り前 にな るまで に はサ ン
ガー始 め多 くの人 々の闘 いが あ った。時代思潮 と と も
に変化 して い く、性 と避妊 の歴 史 を追 う。本書 は研 究
書 であ りなが ら、一般 の読者 に も興味深 く読 め る。
『 専業主婦 が 消 え る」
末包房子著 同友 館 1994年 11月 1500円
自 ら準専業主婦 とい う著者が書 いた専業主婦批判 の書。
税金、年金、相続 と専業主婦優 遇 の根拠 を数字 で わ か
りやす く説 明。 自身 へ の無念 のつぶや きもこめた一 冊。
『 ドイツ/女 の エ ク リチ ュー ル』
田邊玲子編 勁草書 房 1994年 12月 2678円
中世 か ら近 代 にか けて ドイ ツで「 書 く (エ ク リチ ュ ー
ル )」 こ とに 携 わ って きた女 性 た ち の 足 跡 を 探 る。
「 書 く」行為 す らも男性言語 の 中 で潰 され て い った 多
くの女性 た ち、 また「男並 み」 の評価 を得 た女 性 た ち
を検証す る ことで見えて くる ドイ ツ文学 の世 界。 ゲ ー
テの妹 の場 合 な ど、興味 あ る事実 が 明 らか に され る。
『 日本 の フェミニズム 全 7冊・ 別冊 1-④ 権 力 と労 働』
井 上輝 子 上野千鶴子 江原 由美子編
岩波書店 1994年 12月 2000円
ル
の
オ
タナテ
ィブ」
地平 へ"と 題 して、 天 野 正 子
“
「
が 解説 を執筆。 I労 働 と家父長制、 Ⅱ公権力 の 作 動 す
る場 、 Ⅲ「女縁 一 自治 一政治」 の未来図 の二 部 に分 け、
論 文 を収集。労働 とい う場 で公 (学 校、会社、国家 …)
と私 が どのよ うに関係 し、作用 して い るのか を多 角 的
に探 って い る。
「 ロー ザ・ ルクセ ンプルグと現代世界』
ロー ザ・ ル クセ ンブル グ東京・
国際 シ ンポ ジウム実行委員会編
社会評論社 1994年 11月 3811円
ロー ザ・ ル クセ ンブル グ生 誕 120年 を記念 して 、 外 国
の研 究者 を迎 えて の シ ンポ ジウム記録。今、 な ぜ 改 め
て ロー ザなのか を問 う研究者 の息吹が伝わ る。世 界 で
民 族 対立 の紛争 が起 きて い る現在、民族抑圧 の実 態 を
体 験 す る中か ら、社 会主義 の理 論 を構築 した ロー ザ の
意 味 をかみ じめ る。
[働
く]
『 おんなたちのスウ ェーデ ンー機 会均等社会 の横 顔」
岡沢憲芙著 日本放送 出版協 会 1994年 9月 890円
自治省 の発表 によ る と、 日本 の65歳 以上 の高齢 者 が 総
人 口 に 占める比 率 は1993年 9月 現在 で約 13.5%。 既 に 日
本 は高齢社会 にな って いる。著者 はそ のモデル国 と も
いえ る スウェーデ ンを レポー ト。女性 の社会参加 を進
め る政策が社会 を支 え るとい う視点 を柱 に、 ス ウ ェー
デ ンの社会 シス テ ム と歴史 につ いて検証を行 っている。
第54号 1995年 2月 24日
ウイメ ンズ ブ ックス
『 き ょうか らの無職生 活 マ ニ ュアル』
造事務所編著 情報 セ ンター出版局
1994年 9月
1000円
税 金 や保険、法律 につ いて、知 らな いで 損 す るよ り、
知 って得 を しよ うと情報 を集 めた本。会社 に属 さず フ
リー で働 く人 (非 会社人 )の 生活向上 への願 いが こもっ
て い る。
『 事 業 はメ ッセー ジー仕事探 しとその働 き方 に学 ぶ 』
WWB/ジ ャパ ン著 ア ドア出版 1994年 9月 1500円
女 性 が どん どん起 業 して いる。志 を胸 に女 同士 で 気 持
ち よ く働 きた い。子 ど もの家、 お菓 子屋 さん、 看 護 事
業 、給食 サー ビス、 リサ イ クル、組 織 的 なプ ロ ジ ェ ク
トチ ーム まで、女 た ちは新 しい事 業 を 開 拓 して い る。
女 性 の経済活動 を支援 す るWWB(女 性 のための世 界
銀行 )が 教 え る ビジ ネ ス・ ノウハ ウの書。
『 女 子学生 のための就 職 のかんづ め』
正 田 治著 早 稲 田経営 出版 1994年 10月 1500円
就職 活動 へ の不安、疑 間 にQ&A形 式 で答 え る便 利 な
本。活動 を始 め るにあた って心 の整理 の仕方、会 社 と
い う組織 を理解 す る上 で役立 つ情報 が載 っている。
『 男女 同一 賃金』
中島通子 山 田省三 中下裕子著
有斐閣 1994年 12月 1854円
日本女性 の賃金 は男性 の57.5%。 賃 金 の 性 差 別 を な く
そ うと、裁判 を含 め様 々な取 り組 み が 始 ま って い る。
各国 の賃金 に関 す る法律 や判例 を紹介 し、 日本 の 現 状
を 分 析。男女 同一 賃 金 に向 けて の法 的整備や、実 現 に
向 けて の方策 を提 案 して い る。女性 だ けで はな く、 行
政 、企業、労働組 合 で も学習 の資料 に して ほ しい本。
「 香 港 で働 く女性 の ためのガイ ドブ ック』
八尋利恵 &香 港就職調査会編
キ ネ マ旬報社 1994年 9月 1200円
近 年 、香港 で仕 事 をす る日本女性 が増 えているとい う。
本書 は香港 で働 く ことの実情 を レポー ト。実際 に働 い
て い る日本女性 へ の イ ンタ ビューを収録。その他 、 語
学 力 の こと、仕事 の 見 つ け方、 待 遇 へ の ア ドバ イ ス、
生活 を楽 しむ情報 な ど、幅広 く集 めて い る。
「 仲 間 とは じめ る「 会社」プ ラ ン
[ワ ー カー ズ 。コ レクテ ィブ入 門]』
宇津木朋 子著 緑風 出版 1994年 12月 1854円
ヮ ー カ ーズ・ コ レクテ ィプとは、仲 間 で 資金 を出 し合
い、労働 と経営 の両面 に責任 を持 つ 、新 しい働 き方 の
スタイル。本書 はQ&Aを 設 け、起 業 か ら運営 にいた
るまで、その方法を教えて くれる頼 もしい本。全国 の
ヮーカーズ・ コ レクテ ィブー覧 も載 っている。
『 農村 の女 性 起業家たち』
地域社会計 画 セ ンター編
の
家 光協会 1994年 12月 1500円
の
たち
も大 き く変わ ろうとしている。
今、農 山漁 村 女性
積極 的 に起 業 す る女性 たちの活動 を レポー ト.元 気 に
志 を仕事 に して い く女性 たち は、 その アイデ ィア、 会
社 の作 り方 等 、様 々で あ るが、 いずれ も地域 を動 か す
ほどの力 を持 って きた。身近 な ところか ら新 しい事 業
を起 こす過 程 は、起業 を志 す人 の参考 にな るだろ う。
『 私 たちの就職 手帖 -96年 度 版VOL 15』
私 た ちの就職 手 帖編集部編著
WAVE出 版 1994年 12月 1200円
本書 も今年 で 15年 目。OG訪 間 で集 めた実 名 入 り127社
の企業案 内、会社 の採用情 報 な どを満載 。 “セ クハ ラ
面接 に負 けな い法"で は、世 の荒波 を乗 り切 る知恵 も
教 えて くれ る。 シス ター フ ッ ドに支え られ た本。
『 私 のオ フ ィスは昭洋丸 一女性航海士 の洋 上 日記』
佐伯友子著 三 省堂 1994年 10月 1500円
「水産庁 で ただ一人の女性 航 海士」 であ る著者 が 書 い
た航海 日記 。航 海士 とはどん な仕事 なのか 、 ど う した
らなれ るのか、水産 に関わ る こと等、色 々 な ことが わ
か る。海 、仕 事、そ して仲間 や人生 に対 す る著 者 の 思
いが伝 わ って くる本。
『 私 の夢 を実現 できるち ょつと違 う会社起 こ し』
あだ ちゆ きこ著 中経 出版 1994年 4月 1400円
著者 はWWB/ジ ャパ ン事 務 局 長 。 WWBと は女 性 企
業家 を支援 す る組織 (女 性 の ための世界銀 行)の こと。
女性 が商売 の ノウハ ウを入手 し、 かつ実行 に移 せ る環
境 を支援 して い る。 した い ことを 自分 ら し く起業 す る
女性 が増 え る ことが、男性 。自人中心社会 を変 え る と
い う視点 に立 った事業論。
[女 性論・ エ ッセイ]
『 新 しい愛 のか たち ―女 を生 ききる」
長友佐波子 森本美紀著 講談社 1994年 9月 161111円
朝 日新 聞学 芸 部記者 が書 いた現代 シ ングル 女 性模 様 。
著者 二 人 も シ ングルを生 きて い る。そ こで「 なぜ シ ン
グル なのか 」 を50人 近 い女性 にイ ンタ ビュー し、 ま と
めたのが この一 冊。 しか しなぜ イ ンタ ビューの中心 課
題 が「恋愛 」 なのか。仕事、 健 康 、 友人 etc… シ ン グ
ル女性 を巡 る状況 は他 に もあ ると思 うのだが。
『 お もい つき り翔んで』
宮 崎 緑 著 読売新聞社 1994年 12月 1300円
「週刊読売 」 に連載 した エ ッセ イ集。 ニ ュー スキ ャス
ター と して海 外取材 の経験 の 多 い著者。外 国 の政 治 家
たち との接 触 、様 々な国 の現実 などと共 に、折 々の 出
来事 も軽妙 に語 り、よ い読 み ものにな って い る。
ウイメ ンズ ブ ック ス
第54号 1995年 2月 24日
うに生 きた い
『 女 三十 代 こんなバ、
一仕事 も結婚 も子育 て も』
佐 藤洋子著 海竜 社 1994年 11月 1300円
自立 して生 きる こと、働 くこと、育 つ ことを呼 び か け
る、若 い女性 へ の メ ッセ ー ジ。 自己実現、男 の子育 て、
老 いに向 けて の 自立 へ の誇 りな ど、女性 問題 の 原 点 を
さ りげ な く語 る名 コ ラム集。
『 九十九歳 の恋 うた 一小 さな町 の物語』
秋 山 ちえ子 著 岩波書 店 1994年 12月 1600円
1万 500回 を越 え るラ ジオ番組 「 秋 山 ちえ子 の 談 話 室 」
の取材 を通 じて、出会 ったた くさん の人 々。 どん な人
で も持 って い る人生 の物語 を題 材 に書 いた、「 半 分 ホ
ン ト」
「半 分 ウ ソ」 の エ ッセ イの よ うな短編小説 集。
『 スー パ ー ラヴ !J
伏見憲 明著 マガジ ンハ ウス 1994年 8月 1200円
ゲ イ・ ライ ター伏見憲 明 の恋愛 エ ッセ イ。松 田聖 子 や
中森明菜 とい った芸能 ネ タや、友人、 自分 自身 の こ と
を まな板 にのせ読 み解 くことで、世 の 中 をか い ま見 よ
うと試 みて い る。
『 何 て こ つた い !』
西荻 弓絵著 幻冬社 1994年 11月 1300円
テ レビ ドラマ「 ダブル・ キ ッチ ン」「 ス ウ ィ ー トホ ー
ム」 を書 いた売 れ っ子脚本家 。西荻 弓絵 のエ ッセイ集。
言 い訳 しない女"
“
『 マ デ ィ ソ ン郡 の橋』 の悪 口"や “
な ど、辛 口で ネ タを斬 り、笑 わせ て くれ る。
ル キ ィ 。ラブ』
森 園 み る く著 学習研 究社 1994年 11月 1200円
レデ ィー ス・ コ ミック誌『 フ ィール・ ヤ ング』 等 で活
躍 して い る著 者 の、恋愛相談 エ ッセ イ。恋 につ い て 真
面 目に悩 みす ぎて しま う女 た ちへ 、 どん な こと も 自分
の 中 で 消化 して「成長 して い きま しょう… ネ」 とい う
前 向 きな姿勢 が気 持 ちいい。
Fミ
『 私 ら しくコ ミュニケー シ ョン
ー変 わ る言葉 。変 わ る女性』
深尾凱子著 ユ ック舎 1994年 10月 1545円
元読売新 聞記者 であ る著者 が 書 いた辛 ロ エ ッセ イ。 ア
メ リカ留学 や海外取材 の経験 が豊 富 な著者 が 日本 を見
ると、形式 に頼 った人間関係 が 多 く思 え て な らな い。
本書 は、女 も男 も私 らしく関係 を築 いて い け るよ うに
な る ヒン トを集 めて い る。
欧 性史・ 自伝・ 評伝]
『「 新 しい女」の到来』
佐 々木英 昭著
名古屋大学 出版会
1994年 10月
2987円
世 に「 煤煙事件」 といわれ る、平塚 らいて う と夏 目漱
石門下 の森 田草平 の心 中未遂 事 件 を検証。漱石 が らい
て うの生 きざまか らイ ンス ピレ シ ョンを得 た と思 わ
「 とす る ヒロイ ンに も言
れ る「 三四郎 Jの 美 弥子 を始 め
及 し、漱石 とらいて うの接点 を明 か して い る。比 較 文
学 研 究 か ら「 新 しい女」 らいて うに追 ろ うとす る労作。
「 癒 しの女性史 一医療 における女性 の復権 J
ジー ン・ ア クターバ ー ク著 長井英 子訳
春秋社 1994年 11月 3296円
女 性 は昔 か ら治癒 と医療 に深 く関 わ って きた。だ が 男
性 社 会 になると き、女性 の力 は 閉 じ込 め られ て い く。
「 ヒー ラー (治 癒者 )と して の 女 性 」 を先 史 時 代 か ら
現 代 まで、資料 を駆 使 して跡 づ け、新 たな医療 に まで
迫 る。医療史 と して も、女性史 と して も精緻 な 論 考 で
あ る。
『 ガ ヴ ァネ ス (女 家庭教 師)J(新 書 )
川本静 子 著 中央公論社 1994年 9月 680円
19世 紀 の半 ば以 降、 イギ リスで は結婚適齢期男 女 の数
に不 均衡 がお こ り、女性 が男性 を上回 った。父 親 か ら
夫 へ 、扶養者 が 引 き継 がれない女 たち。 その中 で も中
産 階級 の女性 が「 レデ ィ」 の体面 を保 ちなが ら就 け た
仕 事 が「 ガヴァネ ス =家 庭教 師」だ った。本書 はカヴァ
ネ スを通 して ヴ ィク トリア朝時代 を読 み解 く意欲作。
「 ジェンダーの 日本史/上 ―宗教 と民族 身体 と性愛』
脇田晴子 SOB・ ハ ン レー編
東 京大学 出版会 1994年 11月 8858円
日本史を ジェンダーの視点か ら読み解 く論文 を数多 く収
「身体 と性 愛 」。 歴史
録。上巻のテーマは「 宗教 と民族」
や今 までの研究 を ジェンダーの観点 か ら検討 し直す書。
『 次 代 を紡 ぐ 聞 き書 き一働 く女性 の戦後 史』
関西女 の労働問題 研究会編著
耕文社 1994年 11月 2000円
敗 戦 直後 か ら大 阪 における労働運動 の中 で活 躍 した女
性 た ちか らの間 き書 き。各 々に差別 と闘 い、労 働 運 動
を支 えて きた女 た ち。職場 を切 り拓 いた女性 た ち の 生
の 声 は、そ の ま ま女 たちの戦後 史 とな って い る。
『 少女たちの魔女狩 リーマサチューセ ッツの冤罪事件』
マ リオ ン・ L・ ス ターキー著 市 場 泰男訳
平凡社 1994年 9月 3400円
1962年 、 マサチ ューセ ッツの小 さな村 で起 こ った 魔 女
騒 動 の記録。数 人 の幼 い少女 の幻想 に、10代 の 娘 た ち
の 集 団 ヒステ リー が加 わ り、 つ いには人 の生 命 を奪 う
最 後 をむかえ た。 この事件 を中世 に起 こった愚 か な 出
来 事 と片づ け る ことは出来 ない。
『 南 の 島のマ リア ー時代 に挑戦 した女 たち』
上坂冬 子 著 文藝春秋 1994年 7月 1400円
女 た ちの戦後 50年 、歴史 を生 き抜 いた女 性 6人 の ル ポ
ル タ ージュ。 いず れ も戦争 の影 を負 い、新 しい 時 代 を
切 り拓 くエ ネ ル ギ ー に満 ちて い る。著者 の 昭和史 。戦
後 史 に こだわ る一 冊。
ウイメ ンズ
『 夜 這 いの性愛論』
赤松啓介 著 明石書店 1994年 7月 1300円
何 と も痛快 な「赤松 民俗学」 が展 開 され る。
「 夜這 い 」
の 習俗 が「 ム ラの イ ロゴ ト」 だ けで な く、大 正 期、 大
阪商 家 の「 マ チの イ ロゴ ト」 と も地 続 きで あ った こ と
が 語 られ る。柳 田民 俗学 を蹴 飛 ば し、 自 らの体 験 を大
らか に語 る赤松老人 は若 い。学者 の 目 には見 えな い世
界 は、何 と広 く大 き い ことか。
『 わ が生涯
生 きて愛 して闘 つて』
住 井 す ゑ 増 田れ い子著
1995年 1月
岩波書店
ブ ックス
第54号 1995年 2月 24日
[こ
『 愛 しす ぎる悩 み
ころ・ 癒 し]
愛 されな い不安
中村延 江著 廣済堂 出版 1994年 11月 1400円
心理 カ ウ ンセ ラー と して クライア ン トと向 き合 って い
る著者 が 書 いた、現代母娘模様。「お互 いを 取 り込 ん
で しま う、 あ るい は取 り込 まれて しま う母 と娘 の 関係
は、 いつ か破綻 す るJ。 本書 は女性が 自立 す る上 で 避
けて通 れ な い母娘関係 に触 れ、 よ りよ い関係 へ の ヒ ン
トを与 えて くれ る。
1600円
偉 大 な作家住井 す ゑが その生涯を語 る。聞 き手 はジャー
ナ リス トで娘 の増 田れ い子。 これ 以上 の聞 き手 はない。
強 く差別 に立 ち向 か い、92歳 の今 まで生 き抜 いて こ ら
れ た住井 すゑ の幼児 期 か ら現在 までが、活 き活 き と語
られ て い る。二 人 の 間 の暖 かな愛 情 も伝 わ って きて、
最 後 まで魅 きつ け られ る。
[性・ セ ク シュア リテ ィ]
『 男 と 男 の恋 愛 ノー ト
ー恋 と暮 らしと仕 事 のパ ー トナ ー・ シ ップ』
梁瀬 竜太 伊藤 悟著
太郎次郎社 1994年 12月 1800円
伊 藤悟 著『 男 ふ た り暮 ら し』の続編。今回 は伊藤 のパ ー
トナ ー である梁瀬竜 太 も執筆。ふ た りの 出会 い、 一 緒
に暮 らす よ うにな ってか らの関係 の 変化 につ いて語 っ
て い る。
『 メデ ィア・ セ ック ス幻想
一AVに つ く られ る女 と男 の 性文化』
宮 淑子著 太郎次郎社 1994年 11月 1800円
ア ダ ル ト・ ビデオの 世 界 を取材 し、現 代 日本 の性 文 化
を探 る一冊。AV製 作 の場 に足 を運 び、 出演 者 や監 督
らに イ ンタ ビュー し、 エロスとは ? セ クシュア リテ ィ
とは ? と考 え る著 者。 日常生活 に文化 と して入 り こ
ん で きて いるAV=ポ ル ノの現場 を直 視 しなが ら、 暴
力 で はない欲望 の表 現 を作 り出す方 向を模索 している。
「 わ た しの エ ロ本考 察 ―寂 しい男 と悲 しい女』
中井清美著 柘植書房 1994年 9月 1751円
SM、 レイプ、 近 親 相 姦 、 ロ リー タ コ ンプ レ ックス、
バ イ オ レンスア クシ ョンと、何 で もあ りの エ ロ本 の 世
界 を徹 底 的に読 み込 ん で、女性 の 目で 分 析 した本。今、
セ ックスを語 るの は タブ ーで はな いが 、 それに して も
エ ロ本 に描 かれ るの は何 と佗 び しい性 の世 界 だ ろ う。
『 家族療法 の 面接 室か ら
一不登校・ 拒食過食・無気力・職場不適応か らの脱出』
福 田俊一 増井 昌美著 ミネル ヴ ァ書 房
1994年 9月 2000円
不登校 や 拒食 、職場不適応 な どで悩 む人 た ちの問題 解
決 には、家族 セ ラ ピ ィが有効 に働 くことが 多 い と本書
はい う。淀屋 橋心 理療法 セ ンター にお ける家族 カ ウ ン
セ リングの実 例 を上 げ、家族 がお互 いに支 え 合 い、 癒
されて い く様子 を紹介 して い る。
『 児童虐待 [危 機介入編 ]』
斎 藤 学編 金剛 出版 1994年 10月 3605円
日本 にお いて「子 ど もの虐待 防止 セ ンター」 が発足 し
たのが4年 前 の 1990年 5月 。 セ ンター設立 当初 よ り運 営
に携 わ って きた各領域 の専門家 たちが、そ の知識 と経
験 か ら児童 虐待 を ど うと らえ対応 してい くのか とい う
問 いに応 えて い く。
『 セ ク シ ャル ア ビューズ 家族 という他人
一広 が る性 的虐待 の実録 レポー ト』
山口遼子著 サ ンドケー出版局 1994年 8月 1500円
「親 が 子 を犯 す なんてあ り得 な い」 とい う神話 につ つ
まれ、子 ど もへ の性 的虐待 はな か なか 表 面 化 しな い。
本書 は第一 章 で実際 に被害 にあ った女性 の手 記 を集 め
た。本書 を通 して、子 ど もへ の性 的虐待 を正 し くと ら
え、家族 とは何 かを改 めて 問 い直 したい。
『 フ ェミニ ス ト心理療法 ハ ン ドブ ック
ー女性 臨床心理 の理論 と実践』
L・ B。 ローズウォーター L・ E・ A・ ウォーカー編著
河野貴代美 井上 摩耶子訳
ヒューマ ン・ リー グ発行 ブレー ン出版発売
1994年 12月
4900円
本書 は1982年 に アメ リカで開 かれた上 級者 フ ェ ミニ ス
トセ ラ ピ ィ協 会 の第 一 回会議 の報告書。 アメ リカにお
け るフェ ミニ ス ト・ カウ ンセ リングのすそ野 の広 さ と
力強 さを感 じさせ る一冊。
『 ダイ エ ッ トの本 はもういらな い』
スー ジー・ ォ ーバ ック著 落合恵子訳
飛鳥新社 1994年 11月 1300円
「 やせ た い」「太 りた い」 と悩 む女 たち。 食 べ 物 と リ
第54号 1995年 2月 24日
ウイメンズ ブ ックス
ラ ックス して つ きあ うため に、著者はなぜ「やせたい 。
太 りた い」 と思 うのか、 自問 自答 してみ よ うと提 案 す
る。食 べ物 へ の依存 を解 消 し、心 と体 が仲良 くつ きあ
い、 自己表現 を豊 か にす る方 法 が学 べ る本 。
[か
ら
だ]
『 エ イ ズの 時代』
マサ ミ
・ コバヤシ
・ウィーズナー 斉藤弘子 林素 子編著
保健 同人社 1994年 12月 1800円
93年 夏、横 浜 で開かれ た国 際 エ イズ 。STD会 議 に集 ま
った人 々の生 の声 を収録 。 モ ンタニエ博士 な どの研 究
者 や、世界各 国 か ら集 ま ったNGO、 行政、 ボ ラ ンティ
ア参加 者 の意見 を豊富 に集 めて いる。
『乳 ガ ン死 ゼ ロの 日』
オ リジン出版 セ ン ター発行
冨 永 健著
主婦 の友発売
1994年 12月
1400円
乳 ガ ン患者 を専 門的最新技 術 で治療 しつつ 、患 者 と人
間的信頼 関係 を持 ち続 け る著者 が書 いた、わ か りや す
い解説書。具体例 を上 げなが ら、乳 ガ ン死 ゼ ロ を め ざ
す一人 の 医者 の意気込 みが伝 わ って くる。
[家 族・ 子育て]
妊娠 。出産・ 育 児 の本』
池下久弥著 法研 1994年 11月 1400円
「子育 て は夫 婦 の二 人三脚」が モ ッ トーの著者 が 書 い
た、男 のた めの妊娠・ 出産・ 育児 の本。妊娠 初 期 か ら
出産後 まで の女 の体 に起 こる変化 や、赤 ち ゃん へ の 接
し方 を解 説 して い る。
『 男が読 む
『 おなか ほ っべお しリ ポ ー ラ ン ドゆき』
伊藤比 呂美 西 成彦著
婦人生活 社 1994年 11月 1000円
「 おなかほっぺお しり」シ リーズの4作 目 (番 外編)。 二人
の子 ども (サ ラ子 とカノコ)を 連れて ポーラン ドで暮 らし
た一年間。異文化での生活 ぶ りを描 いて いる。 西成彦 に
よる書 き下 ろ し(お まけ)「 パパ のポーラン ド案内」付 き。
「 元気 が 出 る子連れ ママの便 利 B00K』
子連 れ情 報誌編集部 プ レアデ ス編
せせ らぎ出版 1994年 11月 1000円
阪神間7市 の暮 らし情報を集 め、 まとめた便利本。食 べ る
こと、買 い物、体や こころの健康、保育所、女性 センター
や行政サ ー ビスの内容など、 コンパ クトにまとまっている。
「 子 ども 。本・ 家族』
ドロシー・ バ トラー著 百 々佑 利子訳
の ら書 店 1994年 12月 1030円
「 本 を読む子 に育 て る」 をテ ー マ に子育 て を語 る書 。
ニ ュージーラ ン ドの児童文学者 の実践 的子育 て論。
「 子 どもをと り巻 く食生活 の 現状か ら
知 つて お きた い食 品添加物 の話』
婦人之友社編集部編 婦人之友社 1994年 10月 600円
子 ど もの食生 活 が 問題 にな って いる。 ものが溢 れ る時
代 に、子 ど もの 健康 を守 る こと も難 しくな った。 食 生
活 の 基本 と食 品 添加物 の知識 をていね いに わか りや す
くま とめた講 演集。
『 最 近のア レル ギ ー傾 向 と食 べ 物
子育 てのたの しさは台所か ら』
婦人之友社編集部編 婦人之友社 1994年 10月 600円
ア レルギーや ア トピーの話 を小児科医 がわか りやす く
説 明。子育てが楽 しくな る食事作 りや生 活 の工 夫 の 具
体 例 を紹介。生 活 す る ことの基 本 を子 ど も時代 に と呼
びか ける書。
『 パ パ・ サヴ ァイ バ ル ー男 の ための子育 て ブ ック』
桶谷仁志 &平 成 100人 パパ著
風雅書房 1994年 ■月 1400円
子 ど もを持 と うと して いる、あるいは既 に持 って しまっ
た男 たちの本音 集。 パパ以前、 パパ 誕 生 、 パ パ 地 獄 、
デ ー タ編 の4部 構成。 パパ に な って も男 と して生 き残
るための戦略 の数 々 を収集。 これ らは100人 余 りのパパ
か ら聞 いた体験 談 =グ チか ら生 まれた もの。 パパ と し
て 辛 い男 の精 神安 定剤 にど うぞ。
た りで半 分 こ』
「 応、
内藤弘正 坂本 薫著
か もがわ 出版 1994年 12月 1800円
夫 婦 別姓 (戸 籍上 は夫 が改姓 )、 夫 が 育 児 休 業取 得 を
難 な くす らりと ク リアする世代が増えて きた。筋 の通 っ
た二 人 のテ ンャ ヮ ンヤが正 直 に書 か れ て い て楽 しい。
結 婚 と姓、妊娠・ 出産、子育 て のプ ロセ スを半 分 ず つ
分 け合 お うと思 う著者 たちの試 み は、 これか らも続 く。
『 母 乳 と手づ く り離乳食 -1歳 まで の発達 と育児』
岡本 暁監 修 婦人之 友社編集部編
婦人之 友社 1994年 10月 1400円
初 めての子育 て は不 安 な もの。赤 ち ゃん の立場 に立 っ
て 、若 い母親 に専 門家 の知恵 を伝え る書。母乳 を原 則
に、働 く母親 の ための授乳 の ヒ ン ト、 離 乳 食 の工 夫 、
便利 な育児 カ レン ダーが役立 つ。
『 私 が離婚 しな い理 由』
円 よ り子著 大和書房 1995年 1月 1200円
な じんだ生活 へ の未練、捨 て る ことへ の恐 さか ら離 婚
しな い理由を合理 化す る人 た ち。離婚す る 自由、 しな
い 自由 はあるけれ ど、意 にそわぬまま結婚生活を続 け、
果 た して家庭 内 自立 はで きる のだ ろ うか。
第54号 1995年 2月 24日
ウイメンズ ブ ックス
『 私 た ちの双子育 て
一ホ ップ・ ステ ップ・ ツイ ンズ
ミラクル ママの実践 3、 た ご育 てPARTⅡ 』
ツイ ンズキ ッズ クラブ編著
ビネバ ル 出版発行 さ さ ら書房発売
1994年 7月
2800円
た くさん の育児書・ 雑 誌が出て いる中で、多胎児妊娠・
出産 につ いての 出版物 は少 ない。先輩 マ マの体験 談 を
ま とめて作 られた本書 は、妊娠・ 出産 。子育 て・ ス ト
レス・ 経済等 々、幅広 い情報 を集 め、双 子、 三 つ 子 マ
マの 良 きア ドバ イザ ー にな って い る。
[法
律]
『 家 族 法 を見直す 一岩波 ブ ック レ ッ トNo 356』
渡辺洋三 著 岩波書店 1994年 9月 400円
1992年 、法制審議会 か ら「婚姻及 び離 婚制 度 の 見 直 し
に関 す る中間報告」が 出 された。本書 は家族 と法 の 関
係 につ いて、戦後 史 の 中 での移 り変 わ りを追 い、 これ
か らの よ りよ い家族 法 を考 え るたた き台 を提 出 して い
『 光源氏 と禁 じられ た恋』
三 枝和子著 廣済堂 出版 1994年 11月 1500円
平安文学 はなぜ花開 いたのか。 その謎 解 きに挑戦 す る
書。女 に と っての妻 問 い婚 の意味、二夫一妻 は男にとっ
ての理 想 で はなか ったのか、家族 を作 らな い女性 の 系
図 な ど、源氏 か ら落窪物語 まで丹念 に読 み解 くことで
文学 的 に証 明 して い る。
『 フ ェミニ ズム と映画音楽
― ジェ ンダ ー・ ノス タル ジア・ ユー トピア』
カ リル・ フ リン著 鈴木圭介訳
平凡社 1994年 9月 3400円
映画音楽 は、映画 に興味 を持 つ 人 か らもあ ま り注 目 さ
れず、差別 されて い ると語 る著者。音楽 の 中 で も社 会
性 や イデオ ロギ ー性 に乏 しい といわれ る映画音楽 とい
う主題 を分析。 その性的 イデオ ロギ ーの枠組 みを 明 ら
か に して い く。
[文 学作品・ 小説・ 表現]
『 あなたの知 らな い私』 (文 庫 )
サ ン ドラ・ ス コペ トー ネ著
る。
[メ
デ ィ ア]
解放 出版社 1994年 12月 1800円
「 差 別 表現 を ど う捉 え るか」
「 少数者 か らみたメディア」
「人 権 メデ ィアヘ の可 能性」 の3部 構成。女 性 で は寿 岳
章子 、増 田れ い子、福 田雅 子 の3人 が 執 筆 。 差 別 と表
現 とい う問題 に多 角 的 アプ ローチを試 みて いる。
[フ
ェミニ ズム批評 ]
『 近 世 の女性画 家 た ち ―美術 と ジェ ンダ ー』
パ トリシア・ フ ィス ター著
思 文閣 出版 1994年 11月 3800円
本書 は時代 を近 世 か ら明治初期 に限定 し、百人 に及 ぶ
女性 芸 術家 の作品 を収集、 その歴 史 を紹 介 して い る。
美術 史 =男 性作家 の歴 史 とい う美術評 論 にお ける主 流
の視 点 を覆 し、 日本美術 の多様性 を ひ もと く一冊。
「 グ リムのメル ヒェンーその夢 と現 実』
野 口芳子 著 勁草書房 1994年 8月 2266円
グ リムの メル ヒェ ン集 は グ リム童話集 と訳 され、 日本
で も幅広 く読 まれて きた。 メル ヘ ンとい う言葉 も日本
語 と して一 般 的 に使 われて い るが、意 味 が曖 昧 で メル
ヒェ ン集 自体 も明確 に理 解 されて いないと著者 はいう。
本書 で は特色、解釈、 日本 での受容 の三 方 向 か らの ア
プ ロー チを行 い、解釈 を試 みて い く。
安藤 由紀子訳
扶桑社 1994年 9月 640円
主 人公 は私立 探偵 の ロー レン・ ロー ラノ。親友 の死 を
捜 査 して い る うちに、隠 された友 の 姿 が 見 え て くる。
レズ ビア ンの主人公 が、 自分 自身 の人生 に責任 を持 っ
て生 きて い る姿 に共感す る。
『 愛 を知 る とき』
キ ャサ リン・ V。 フォ レス ト著 樋 口あや子訳
大栄 出版 1994年 11月 1600円
男性 との恋 に疲 れ たひ と りの女性 が、本 当 に愛 す る女
性 に巡 り合 い、 お互 いに激 しく求 め合 い、 自分 の気 持
ちを解放 して ゆ く。そ の過程が美 しい湖畔、一 面 の雪
景色 な どを背景 に展 開す る。 アメリカで ロングセラーを続
け、 レズビアン小説 の名作 と評価 されている書の邦訳。
『 海か らの贈 りもの」
ア ン・ モ ロ ウ・ リン ドバ ー グ著 落合恵子訳
立風書房 1994年 11月 1400円
新潮文庫で親 しまれてきた作品に、新 たに著 者 自身 が20
年 ぶ りに書 き加えた一章 も含 めた新訳版。 落合恵子 は本
書 を「 WOmen's eye,Women's voice」 の書 と して訳
ではない。
している。 だか ら著者名 も
「 リン ドバ ー グ畑
「 お カル トお毒 味定食』
松浦理英子 笙野頼子著
河 出書房新社 1994年 8月 13∞ 円
松浦理英 子 と笙 野頼子 の組 み合 わせで、92年 か ら94年
の間 に行 われ た イ ン タ ビューや対談 を収録。知 る人 ぞ
知 るの カル ト作家「 読者 が少 ない作家」 だ った二人 も、
今 や少 しは有 名 にな った。お互 いにこだわ っているフェ
ミニ ズ ム の視 点 や、交遊 の一 端 に触 れ られ る一冊。
第54号 1995年 2月 24日
ウイメ ンズ ブ ックス
『 幸 田文全集 ―第 一 巻』
幸 田 文著 岩波書 店 1994年 12月 3500円
全 22巻 に及 ぶ全集 の第 一 回配本。
「 父 ― そ の 死 』、『 こ
ん な こと』他 を収録。
『 白さ と想 像カ ー アメ リカ文学 の黒人像』
トニ 0モ リス ン著 大社淑子訳
朝 日新 聞社 1994年 5月 1100円
93年 度 の ノーベ ル文学賞 を授賞 した トニ 。モ リスンの、
大学 での講演及 び講義録。 アメ リカにお いて、文 学 の
書 き手 が読者 を全て 自人 と想定 して きた事実 が、文 学
に ど う影響 したかを追及 す る著者。 モ リスンはそれを、
黒人女性 で ある こと抜 きに書 き手 と して存在 し得 ない
自 らの問題 と して、提起 して い る。
『 ス ロウ・ ハ ン ド』
ミシェル・ ス ラ ング編
中谷 ハ ル ナ訳
角川書店 1994年 8月 1600円
女性 によ る女性 のための性 愛文学 の短編集。女性 一 人
ひ と りが、 自分 が何 を求 めて い るかを知 る き っか け に
なれ ば … とい う編者 の思 いが こめ られて い る。
『 ジ ャズ ー トニ・ モ リス ン・ コ レクシ ョン』
トニ 0モ リス ン著 大社淑子訳
早 川書房 1994年 11月 1800円
トニ 。モ リス ンが 1992年 に発表 した作品。 1920年 代 の
ハ ー レムが舞台。夫 に若 い恋 人 が いた ことを知 った妻
を軸 と して、物語 は展 開す る。二人 はそれぞれ心 に負 っ
た傷 を放 置 してお いたため に、人 を愛 す るす べ を知 ら
ない。人 種差別 が人 を どの よ うに傷 つ けて い るか を描
いた秀 作。
『 捜査 官 ケイ トJ(文 庫 )
ヽ一・一一 ‐ …首‐ ■ ・
可
R・ キ ング著
森沢麻里訳
集英社 1994年 11月 760円
舞台 は現 代 のサ ンフラ ンシス コ。主人公 の ケイ トは市
警 の新 任捜査官 であ り、 レズ ビア ンで あ る。 1994年 度
の エ ドガ ー・ アラ ン・ ポ ー賞 を授賞 した ミステ リー。
『大 陸 をか けるエ イラ/下 ―原始 へ の旅立 ち第 4部 』
ジー ン・ アウル著 百 々佑利子訳
評論社 1994年 11月 2300円
進 か太古 の人 々の壮大 な愛 と冒険 と ロマ ン、原始 へ の
旅立 ち第 4部 、完結。
「
00F3
富 岡多恵 子 の評論 。エ ッセ イ集。全五冊 の うち この巻
で は、性 愛 につ いて20年 間 に発表 した もの を集 め て い
る。各時代 の背景 の中 で 、著 者 の「 性 」「 愛 」「 家 族 」
観 な どが語 られて い る。
『 ニ ュー ヨーク 自分 さが し物語 一怒 る女 は美 しい !』
栗原奈名子著 WAVE出 版 1994年 11月 1400円
93年 に完成 した映画「 ル ッキ ング・ フォー・ フ ミコ ー
女 た ちの 自分探 し」が好評 を博 し、94年 秋 か ら日本 各
地 で上 映 されて い る。 ニ ュー ヨー クで史子 さん とい う
女性 に 出会 い、初 め て 日本 のウーマ ン・ リブ運動を知 っ
た著 者 が、 この映画 を完成 させ るに至 るまでを率 直 に
語 って いる。脚本 、 リブ年表 も収録 されて い る。
『 武 甲 山殺人事件』
丸山友 岐子 著 一 葉社 1994年 11月 2060円
婦 人 民 主新聞 に連載 されて いた「 それぞれ の鍵」 を改
題、加 筆、手直 しした推理小説。著者初 の小 説 。 空 洞
化 して ゆ く家庭 の 中 で、 アル コー ル に依 存 す る主 婦 。
そ して家庭内で殺人 が起 きる。豊 かな 日本 の 中 で 、 社
会 そ して家庭 の病 め る姿 を描 き、推理 の面 白 さと共 に
最 後 まで一息 に読 ませ る。
『 ブ ル ジ ョワ世 界 の終 わ りに』
ナデ ィ ン・ ゴー デ ィマ著 福 島富士男訳
ス リーエー ネ ッ トワー ク 1994年 10月 1600円
ア メ リカ宇宙飛行 士 の宇宙遊泳 す るニ ュースが報 じ ら
れ た 日、前夫 の死 を告 げ る電報 が女 の元 に届 いた。 南
ア フ リカ政府 によ る反 アパ ル トヘ イ ト運動 へ の厳 しい
弾 圧 の 中、破壊活動 を行 って いた男 との生活 を回顧 す
る女 。主人公 の女性 の一 日を描 きなが ら、611年 代 前 半
の南 ア フ リカの空 気 を見事 に捉 えて い る小説。
『 優 しい去勢のた め に』
松浦理英 子 著 筑摩書房 1994年 9月 1700円
作家 松 浦理英子 が 1981年 ∼ 1990年 にか けて書 い た エ ッ
セ イを収録。「 優 しい去勢 のため に」 とは、 性 器 結 合
中心 的 な性愛観 を崩 したい とい う著者 の思 いが あ らわ
れ た タイ トル.
[男 性 問 題 ]
『 男 の セクシュア リテ ィを探 る
一 日覚 めよ男 た ち ! ア ツア ツ・ トー ク』
村瀬春樹 村瀬幸浩著 東研出版 1994年 8月 600円
ハ ウスハ ズバ ン ド村瀬春樹 と『 ヒューマ ン・ セ ク シュア
リテ ィ』編集長村瀬幸浩 が、 セクシュア リテ ィにつ いて
話す一 冊。 自らの性 について飾 らずに語 る姿勢が印象的。
『「 男 ら しさ」の人 類 学』
デ イ ビ ィッ ド・ ギ ルモア著 前 田俊子訳
春秋社 1994年 9月 2884円
の
にお いて異 なるが、
は、各文化
しさ」
ら
表現
方法
男
「
「妊 娠 提供者 で保 護 者 で食料提供者 で あ る」 とい う男
性役 割 は共通 して い る と著者 は い う。 その役割 を確 実
にす るために、男 に は「男 ら しさ」が社会 的 に 与 え ら
れて い く。本書 は多様 な文化 の比 較分析 によ って 得 ら
れ た男性性 イデオ ロ ギ ーを読 み解 く試論 とな っている。
第54号 1995年 2月 24日
ウイメンズ ブ ックス
『 中年 男性論』
小浜逸郎著 筑摩書房 1994年 10月 1700円
変 わろうとしない男がまた ここにもいる。 男 の甘 えを女
は許 していると思 い、男 と女を「見 る」性 と「 見 られ る」
性 に とどめようとす る。解放 よ りは業 の方 がす きとも著
者 はいう。中年男性 の さもしい幻想を論ず る箇所 は圧巻。
『 100冊 が語 る「 慰安所」。男 のホ ンネJ
高崎隆治編著 梨 の木舎 1994年 12月 1854円
戦 争 文学 や記録 の中 か ら「 慰安 所 」 の 記 述 を分 析 し、
解説 す る。南京事件 と従軍慰安婦 問題 を、資料 の 中 か
ら丹念 に拾 う著者 は、軍 と政府 の責任 を追 及 す る。
『 ピー ター・ パ ン・ コ ンプ レックス』
ダ ン・ カイ リー著 加 藤諦 三 訳
扶桑社 1994年 9月 1400円
偽 りの 自尊心 のため に現 実 の 自分 を受 け入 れ られな い
ピー ターパ ン。恋人 を母親代理 にす る ことで しか愛 し
方 が わか らない。『 ピー ターパ ン・ シ ン ドロー ム』 か
ら10年 間 の研究 をへ て、大人 とは何 か とい う難 解 な 問
い に答 えて くれ る書。果 た して、 ピー ター バ ンは、 本
当 の大人 ピー ター・ マ ンになれ るだ ろ うか。
『 美 男 への レッスン』
橋本 治著 中央公論社 1994年 10月 1800円
著 者 は「男 の70%は 自分 を美男 だ と思 い、女 の 90%は
自分 を美人 で はない と思 って いるのか も しれ ない」 と
い う。そ して この差 が 、女 と男 の間 にお け る支 配 。被
支 配 関係 を表 して い ると もい う。美男論 か ら社会 を読
み解 く著者流 の ユー モアが痛快 この上 な い。橋本治 は、
男 が 男 を論 じる楽 しさを知 って いる。
[教
育]
『 こ どものための博物館 一世界 の実例 を見 る
岩波 ブ ック レ ッ トNO.362』
染川香澄著 岩波書店 1994年 12月 400円
「 ハ ンズ 。オ ン (触 っていいよ)」 ス タイ ルの こど もの
博物館 の楽 しさにとりつかれた著者が、その魅力をレポー
ト。 自らも博物館を体験 す るワー ク シ ョップに参加 し、
展示物をありの ままに感 じ、 自分 が変 わ る驚 きを発見す
る。博物館 の意味を問 い直す書 にもなっている。
『 だ れて も描 けるキ ミ子方式
―たの しみ方・ 教 え方入 門』
「 たの しい授 業」編 集委員会編
仮説社 1994年 11月 1880円
ミ
キ
とは
子方式」
、松 本 キ ミ子 が考案 した 誰 にで も
「
出来 る絵 の 描 き方 の こ と。 そ の特 徴 は 、 赤 。青・ 黄
(三 原 色 )と 自色 絵 の 具 の み を 使 い、 下 書 きはせず、
は じめ の一 点 か らとな リヘ描 き進 めて い くこと。本 書
はキ ミ子方式 で絵 を書 くのが好 きにな った人 たちが 集
ま り、作 った入門書。
『 男女共生 時代 の保育・ 教 育
一変 わ る家庭 と園 。学校 の課題』
諏訪義英 諏訪 きぬ著 明治図書
1994年 9月
2680円
男女共生 と保育 、教 育、家庭 を一連 の もの と して と ら
え る視点 に立 つ書。家庭科 の男女 共 修 を基 本 にす え 、
家庭 の教育力 が 低下 した原因 を、家庭生 活 におけ る技
術 の視点 か ら考 え ると ころが ユニー ク。豊富 なデー タ
と図 が添 え られて いて、わ か りやす い。
[高
齢 問 題]
『 老 いを看 と り歌 を うた う 一家族 の歳月』
金 森 トシエ著 ドメス出版 1994年 8月 1751円
や さ しい文章 の行 間 に厳 しさとユーモ ア との びやか さ
が流 れ る。仕事 を しなが ら家族 を生 き、 母 を看取 り、
今 は シ ングル を楽 しむ著者。家庭、職業 、地 域 、 個人
の四立 を生 きる、 しなやかな女の生き方を伝えるエ ッセイ。
『 高齢者 ケ アはチームで』
黒 田輝政 井上 千津子他編著
ミネル ヴ ァ書房 1994年 11月 2500円
チ ームア プ ロー チ とは高齢者介護 に関 す る専 門職、 医
師、看護婦、保健婦 や、その他 の介護 ス タ ッフが チ ー
ム ケアを進 め る方 法。 アメ リカで の 実 践 例 を紹 介 し、
それ ぞれ の立場 の人 が 対等 な関係 を作 り上 げることが、
高齢者 ケアに最 も重要 な ポイ ン トであることがわかる。
『 検証・ 高齢者保健福祉計画
一住民参加型 へ のアプローチ」
大友信勝編著 KTC中 央 出版 1994年 10月 1800円
今年春、全 国市 町村 で「 高齢者保健福祉計 画」 が 策 定
され た。 その内容 に どれだ け女性 の意見 が反 映 され た
だ ろ うか。本書 は名古屋市 の計画 に対 す る市民 か らの
検証 と提言 を ま とめ た もの。各地 で この よ うな検 証 が
な されれ ば、 よ りよ い福祉計画 が進 む ことだ ろ う。
『 55歳 か らの夫婦学 一快適 な老後をむかえ るために』
バ ーバ ラ・ シルバ ース トー ン ヘ レン OK・ ハ イマン著
川 口孟 己訳 DHC 1994年 9月 150Cl円
アメ リカで老 い を迎 え るの は難 しい ら しい。本書 は単
な るハ ウ ツーで はな く、具体的で科学 的、 カ ウ ンセ リ
ングの要素 も取 り入 れて いる。男 の エ ゴを いか に うま
くくす ぐるか を、老後 を乗 り切 る ヒン トの一 つ に して
い るの は頷 けな いが、 アメ リカの老夫婦 の イメー ジを
知 るには楽 しヽヽ
本。
『 自分 ら しく死 にた いJ
神代 尚芳著 創元社 1994年 10月 1600円
患者 と家族 と医療者 の親密 な コ ミュニ ケ ー シ ョンを め
ざす著者 の実践記録。患者 と医者 の死 の美学 が、 わず
かで も重 な り共有 す る瞬 間 を求 めたいと著者 はいうが、
果 た して両者 が ど こまで対等 に近づ け るか。人 と病 と
周 りの人 々 と、条件 が整 うことの困難 さを思 う。
第54号 1995年 2月 24日
ウイメンズ ブ ックス
『 スウ ェーデ ンか ら何 を学 ぶ のか
一生活者 中心 の社会 を築 くた めに』
ドメス出版 1994年 5月 2369円
福祉文化学 会編
本書 は福 祉文化学 会 が 、生活大国 スウ ェーデ ンに学 ぼ
うと行 った講座 を ま とめた もの。内容 は福祉、 それ を
支 え る経 済、社会政 策、住環境、 ジ ャー ナ リズ ム、 働
く女 性 へ の支援 シス テ ム等、多 岐 にわ た る。 これ か ら
の 日本 をど う変 えて い くか、受 け取 った課題 は大 きい。
[そ
の 他]
『 女性 のための トラブル知 らず の海 外旅行術』
森 優子著 晶文社 出版 1994年 10月 1600円
旅好 きの著者が書 いた海外旅行 の心 得。 ナ ンパ や ドロ
ポー対策、 シ ョッ ピング、食事等、地球 を歩 き回 る の
に最低 限必要 な知識 を集 め、 ア ドバ イ ス して くれ る。
ユニ ー クな イ ラス トに、思 わず吹 き出 して しま う本。
「 仲 よ く貧 しく美 しく』
[政 治・ 民俗 ]
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今年 開 かれ る北京女 性会議 は、女性 に対 す る暴力
権 が 大 きな柱 にな るだ ろ う。 と りわ け ア ジアの女 た ち
が お かれている状況 を中心 に。本書 は政治 。経済・ 性
をめ ぐるア ジアの女 たちの現 状 を詳 しく伝 え る。正 義
と平 和 を ベ ース に、現地 での資料 を もとに綴 った一冊。
橋本 治 島森路 子 著
マ ドラ出版 1994年 9月 1200円
本書 は、深夜 か ら早朝 にか けて二 人 の対談形式 で 行 わ
れ た「 夜 中 の5時 間大講義」 を お こ した もの 。 講 義 内
容 は「学 校」
「 スター」
「 セ ックス」
「 日本人」
「 女」等 々。
軽妙 な語 り口で はあ るけれ ど、話 の 内容 はち ょっ と し
た人生 哲学 のよ う。
[資
『 [新 韓国読本 ]② 韓 国 の女 たち
一仕事 。子育 て 。フェ ミニ ズ ム』
仁科健一 舘野 哲編
社会評論社 1994年 11月 2“ 0円
儒教 の影響 が色濃 い韓国社会で、女 たちは何 を考 え どう
暮 らしているのか。現代韓国 の女性事情 を集 めた本。 仕
事 。子育て 。フェミニズムについて、生の声が伝わ ってくる。
『 妻 たちの強制連 行』
林 え いだ い著 風媒社 1994年 11月 1880円
朝鮮 人 強制連行 の影 で、残 され た妻 た ちは二 重 の 苦 し
み を味 わわなけれ ば な らなか った。韓 国 を訪 ね歩 いて
取 材 したル ポル タ ー ジュ。戦後 50年 、戦争責 任 を果 た
す タイ ム リミッ トの年 で もあ る。
『 響 け この声世 界 に
一 日本 の被 差別女性 と北 京女性会議』
マ イノ リテ ィ 。先住民族女性 の
つ どいイ ンおお さか実 行委員会編
解放 出版社 1994年 11月 700円
今 年、北京 で第4回 世 界女性 会 議 が 開 か れ る。 この 冊
・
子 は、その準備活動 と して昨年行われた「 マ イノリティ
先住 民族女性 のつ どいイ ンおお さか」 を ま とめ た の 。
資料 と して、昨年 6月 に イ ン ドネ シア行 わ れ た 「 開発
にお ける女性 に関 す る第 二 回 ア ジア・ 太平洋閣僚会議」
で の ジャカル タ宣 言 及 び行動計画 も収録 して いる。
料]
『 アムネ ステ ィ人権報告③ ―子供・ 世界 。人権」
ア ム ネ ステ ィ・ イ ンター ナ シ ョナ ル 日本支 部編
明石書店 1994年 10月 2500円
「 子 ど もの権利 条約」 は守 られて い るのだ ろ うか ?
世界 の人権侵害状況 は ? 国際人権活動 と日本 は ?
な どの質 問 に応 えて くれ る、 ア ム ネステ ィ・ イ ン タ ー
ナ シ ョナルによ る報告書。
『 市 川房枝集 /全 8巻 別巻 1』
(財 )市 川房枝記 念会 監修
日本 図書 セ ンター 1994年 12月 65920円
『 N:RA研 究報 告書 No.940047
わが 国出生率 の変動要 因 とその将 来動 向 に関す る研究
―経済 的 アプ ロー チの試 み』
総合研究 開発機構 1994年 8月 2000円
本書 は出生率 の変動 と経済 的要 因 との因果 関係 を明 ら
か に しよ うと行 われ た調査 の報告書。今後 30年 間 の 人
口 と経 済 を予測 し、家族政策 へ の提言 も行 って い る。
『 女性 学研究 第 3号 ―女性 と異文化」
女性学研究会編 勁草書房 1994年 12月 2575円
異 文化 の 中 の 日系人女性労働者 篠塚英子、横 村 愛
夫 か ら妻 へ の暴 カ ー婚姻 関係 の 内外 で
「夫 (恋 人 )か らの暴力」調査研 究 会
ほか
rフ ェミニ ズム と朝 鮮』
鈴木裕子 著 明石書店 1994年 9月 2400円
戦 後 50年 、女 たち もまた「倒錯」 した戦後 を生 きて き
たので はなか ったか。被害者 が加 害者 にす り変 わ る歴
史。平塚 らいて う も吉 岡弥生 な ど女性 知識人 も、 そ の
危 うさか らまぬが れ て いない。侵 略 に荷担 した 日本 の
女 た ちの責任 を鋭 く問 う一冊。
「 全国組織女性 団体 名簿 /1994年 版』
(財 )市 川房枝記念会 1994年 9月 2500円
新員婦 人 /全 6巻 付録 1別 冊 1』
不 二 出版 1994年 10月 123600円
『 青轄』 の対抗誌 と して有名 な本誌 の復刻版。
『 復刻版
第54号 1995年 2月 24日
ウイメ ンズ ブ ック ス
『 第 4回 世 界女性会議 に向けての
日本 国政府 ナ シ ョナル・ レポー ト』
総理府男女共 同参 画室編
大蔵省 印刷局 1994年 11月 850円
今年 9月 に開かれ る北京での世界女性会議 に向けて、 日本
政府が国連 に提出 した報告書。政府が いか に外国 に 向 け
て国内事情 を とりつ くろ っているかがよ くわか る資料。
女 性 のネ ッ トワー キ ング』
(財 )広 島県女性会議 。広 島発女 性 の
ネ ッ トワー キ ング編集委 員会著
中国新 聞社 1994年 11月 1300円
広 島県 内を中心 に、生 き生 きと活動 して いるグル ー プ
の情 報 を集 めた本。 グループ情報 の他 に、資料 と して
県 内 の施設、相談所 の案 内 もの って い る。
『 広 島発
女性 の現状 と施 策
一世界 の 中 の 日本 の女性』
総 理府編 大蔵省 印刷局 1994年 12月 2300円
北京 で 開 かれ る世界女性会議 を視野 に入れて作成 され
た女 性 白書。国際比較 を軸 に、 日本女性 の現状 と施 策
の推 進 につ いて、資料収集 して い る。
「 平 成6年 版
「 平成 6年 版
働 く女性 の実状』
労働省婦人局編 (財 )21世 紀職 業財 団
1994年 12月
1200円
「 個人 を単位 とす る社 会」 と「親子関係 の双系化」
落合恵美子
ほか
『 創 1994.12月 号 ―特 集
女性 とメデ ィア』
創 出版 1994年 11月 520円
女性 をめ ぐる報道 と報 道 にお ける女性
女性 記者座談会
情報 を作 り、発信 し、交 流 す る女性 たち 竹 内季衣子
ほか
『 ヒューマ ン・ セ ク シ ュア リテ ィ No 17
-特 集 家族 /そ の将来 の明暗 を問 う』
東 山書房 1994年 11月 1600円
特 集鼎談「未来 の家族 像 を展開す る」
斉藤 学 十金城清子
二宮周平
法制 審 議会 の試案が もた らす もの
ほか
[文 庫 になった本]
『 母 と娘 という関係』
コ レ ッ ト・ ダウ リング著 瀬 戸内寂聴訳
三笠 書房 1994年 10月 500円
パ
ー
ーマ
ン
フェク
ト
ウ
・
』
(1990年 発行 )を 再編集 した
『
もの。
働 く女 性 の現実 の厳 しさを再 確認 して しまう統計資料。
労 働 関係 の判例 も収録 されて い る。
『 北 京 につ ど う -95年 国連世 界女性会議 にむ けて
社会新報 ブ ック レッ ト26』
久保 田真苗 大脇 雅 子著
日本社会党 中央本部機 関紙局 1994年 12月 600円
北 京会議 まで に これだ けは知 ってお きた い知識 と資 料
を集 めた ブ ック レッ ト。
[雑
誌]
『 イ ンパ クシ ョン87-特 集 エ イズ・ アクテ ィヴィズム』
イ ンパ ク ト出版 会発行 イザ ラ書 房 発売
1994年 8月
PWAが 生 きて い ける社会 をめ ざ して
薬 害 エ イ ズ問題 とは何 か
1200円
大 石敏寛
鈴 木 利廣
ほか
『 朝 日ワ ンテーママガ ジン36
-ジ ェ ンダ ー・ コ レクシ ョ ン/性 と性差 の あ いだ』
朝 日新 聞社 1994年 7月 1300円
ジェ ンダ ー とい う考 え方
蔦森 樹
田嶋陽子 ×横 森理香
対談 “ジェ ンダー遊 び"
レズ ビア ン、私 に とって の必 然性
掛 札悠子
橋 □亮輔
私 的 ゲ イ映画 の誕生
ほか
『 ジ ュ リス ト 1995年 1月 1‐ 15日 号
一特 集 家族 の変貌 と家族法 の課題』
有斐閣 1995年 1月 1800円
二 宮 周平
別居 によ る離婚 の可否 と苛酷条項
[詳 細 は次号 で]
『「 赤 ず きん」の秘密 ―民族学 的 アプ ロー チ』
ア ラ ン・ ダ ンダス編 池上嘉彦他訳
紀伊 國屋書店 1994年 12月 2900円
『 オキ ー フ/ス テ ィー グ リッツ
ー愛 を め ぐる闘争 と和解』
ベニ ー タ 。アイスラー著 野中邦子訳
朝 日新聞社 1994年 12月 5500円
『 女 の皮 膚 の下』
バ ーバ ラ・ ドゥーデ ン著 井上成子訳
藤原書店 1994年 10月 4400円
『 現 代 家族 と社会保 障 ―結婚・ 出産 。育 児』
社 会保 障研究会編 東 京大学 出版会
1994年 12月 4532円
『 プ ロンテ ー家族 と作 品世界J
プライア ン・ ウ ィル クス著 白井義昭訳
彩流社 1994年 11月 3800円
『 マ レーネ・ デ ィー トリッヒ/上 下』
ステ
ィー プ ン・ バ ック著 野 中邦子訳
ベ ネ ッセ 1995年 1月 各 2500円
『 欲望 への欲望』
メア リ・ ア ン・ ドー ン著 松 田英男監訳
勁草書房 1994年 10月 4635円
『 吉 屋信子』
駒 尺喜美著
リプ ロポ ー ト 1994年 12月 2060円
第54号 1995年 2月 24日
ウイメ ンズ ブ ックス
―
Hわ た しの 出会 つた本
「『 智恵子抄 Jを 訪ねる旅 」
―
C肛 議店 繭劇如隠H994年
1880円 )を 読んで
・
い
旅 は好 きで あ る。私 の旅 は必 ず 誰 か と一 緒 だ った 。
家族 であ った り、友 であ った り した。独 り旅 は した こ
とが無 い。 だが 今夏、本書 を読 ん で独 り旅 も悪 くな い
か な と思 った。 あ る一人 の人 間 へ の深 い思 いを抱 いて、
その人 のゆか りの地 を訪 ね ゆ く。 この本 はそんな本 だ。
著者 は必 ず しもいつ も独 りとは限 らなが、幾度 も幾 度
も「智恵子抄」 に関す る地 を 訪 ね 歩 く努 力 と情 熱 は 、
彼女 の智恵子 へ の深 い愛情 を、 時 に は ユ ー モ ラス に 、
時 には しんみ りと読 み手 に感 じさせて くれ る。
高村光太郎、智恵子 の紹介 を も り込 みなが ら、 彼 の
晩年過 ご した山小 屋、智恵子 の生 家、二 人が共 に旅 し
た温 泉、 そ して九十九里浜 な ど「 智恵子抄」 に 出 て く
る場所 を丹念 に辿 って い る。同時 に詩 の紹介 と共 に新
たな詩 の解釈 も記 されて いて、彼 らに興味 の あ る人 は
この本 を読 めば一 度 それ らの地 を訪 ねてみたい と思 う
ので はないだ ろ うか。
私 は以 前、智 恵 子 につ いて学 ん だ 時、「智恵子抄」
が単 な る純愛詩 で はなか った とい うことを知 って 驚 き
と共 に 自己実現 の重要性 を痛感 させ られて い る。
「 愛情 と芸術」、 この どち らが欠 けて も不 幸 だ った
とい う智恵 子、何故狂 って しま ったのか、 とい うそ の
辺 りに も著者 は筆 を運 んで い る。智恵子 の「 内 なる声、
魂 に聞 くこと、それ さえ確 か な らす べ ての ことに 、 自
らを大胆 に放 て」 とい う言葉 に 著 者 は涙 した とい う。
私 に も この言葉 は とて も印象深 か った。
暗 い内容 にな りが ちの ものを著者 の人柄 か、明 る く
記 されて いて愉 しく読 めた。唯、残念 なの は地 図 が 無
い ことだ。簡単 な もので よいか ら入 れて あえば、 旅 が
も っと分 か り易 い もの にな っただ ろ う。
先 日、感激 しなが ら読 ん だ とい う友人 が娘 さん とか
の地 へ 行 って きて、「 光太郎記念館 も大沢温泉 も本 の
通 りよ」 と言 って いた。幸 い東北地方 は未 だ行 った こ
とが な い。私 もこの本 を携 え、智恵子 へ の思 い を胸 に
初 めての独 り旅 を してみ よ うか と思 って い る。
☆ 1994年 度ウィメ ンズブ ックス トアBEST20☆
①パックラッシュ S・ ファルーディ著 新潮社 2000円
②第四回世界女性会議に向けての日本国政府ナショナルレポート
大蔵省印刷局 850円
③図表でみる女の現在
フォーラム女性の生活と展望編 ミネルヴァ書房 2800円
2200F3
①近代家族の成立と終焉 上野千鶴子著 誨
①自治体の女性政策と女性問題
グループみこし著 学陽書房 1800円
⑥CRを 実践するために 田上時子著 家族社 1000円
⑦子たたきは母の叫び
橘由子 野寺夕子著 かもがわ出版 550円
①女のグループ活動資金づ くりの本
(財 )横 浜市女性協会編 学陽書房 1800円
①労働力の女性化
竹中恵美子 久場嬉子編 有斐閣 1957円
落合恵美子著 有斐閣 1648円
⑩21世 紀家族へ
◎新着 ビデ オの ご案内
「癒 しの家 オーロラハウスー依存症と向き合う女たち」
VHS47分 1984年 カナダ国立 フィルム省製作
販売元 ビデオ ドック 20,600円 (L価 格41,200円 )
5人 の女性 が依存症か ら回復 してい く過程での様 々
な段階 に焦点 をあてた ドキュメンタリー。
「踏車 は止 まらない一内職す るカナダの女たち」
VHS43分 1984年 カナ ダ国立 フ ィルム省製 作
販売元 ビデ オ ドック 20,600円 (L価 格41,200円 )
家 に一人で閉 じこもり仕事 をする女性 たちの知 ら
ぎる労働者織
その実態 に迫る ドキュメンタリー。
(松 香堂刊は除外
)
フェミニズム
・レビュー第5号
① リスキー。ビジネス ニュー。
上野千鶴子編 学陽書房 161111円
⑫働 く女性の実情平成5年 版 大蔵省印刷局 1200円
⑬母子家庭 にカンパイ
おゝぉ―らむ編著 現代書館 1648円
しん ぐるまざあず。
・田中美由紀。
前みち子著
⑭ ドイツの見えない壁 上野千鶴子
岩波書店 620円
・ワークス
⑮ セ ックス
フレデリック
・デラコステ プリシラ
・アレキサンダー編著
現代書館 3950円
⑩ インパクション84挑 発するセクシュアリティ
イザラ書房 1200円
⑫女性問題学習の視点 伊藤雅子著 未来社 2575円
⑬子どもより親が大事 伊藤比呂美著 婦人生活社 124鋼
男のエロス 松井洋子著 青弓社 2060円
⑩女のエロス。
⑩買春王国の女たち
森崎和江著 宝島社 1600円
!
「 年 なんて問題 じゃな い」
VHS24分 1989年 カナ ダ国立 フ ィル ム省製作
販売元 ビデオ ドック 15,450円 (L価 格 30,900円 )
アル バ ー タ大学 に集 ま り、体操 を して い る老 人 グ
ルー プの物語。年 を とって もす ば らしい可能 性 を
秘 めて い る とい う事 を証 明 して くれ る。
「子宮筋腫 私 の選 択」
-11人 の女性 が語 る女 のか らだ・ 私 の体験」
VHS29分 テキスト付き 1994年 グループKAYAKO制作
① 横浜市女性協会企画 6,000円 α 価格15,000円 )
11人 の子宮筋腫体験者 が、病気 の迷路 か ら抜 け出す
ために、すべての女性 に送 るメ ッセージ。
ウイメ ンズ ブックス
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連載 第 51回
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第54号 1995年 2月 24日
た ち
女 と 女 を つ な ぐ橋 〉
ぐる―ぷ 10 田中由美子
1__…
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… … ・ ― ―・ …
… …
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… …・
ヽ
… …
…
…
ヽい
・ … …
ヽい
・ い
…・
い・ い ヽい・ ― ヽい・ い・ 」
女性誌 と呼 ばれ る ものは数多 く発 行 され て は い る け
れ ど、本 当 に読 み たい雑誌、 “
私 "が 本 当 に必 要 と し
て い る雑誌 が な い。 それな らば 自分 た ちで 作 ろ う と、
第 1号 を発行 した のが 1993年 4月 で した。
ここに御紹 介 す るの は、 1994年 10月 に発 行 した 第 2
号 です。
女性 を取 り巻 く環境 は大 き く変 わ って きま した。 で
も、本 当に変 わ ったので しょうか。 あ る いは、 変 わ り
つつ あ るので しょうか。
女性 も自立 しな ければ い けな い と、 い ろ い ろ な 講 座
や新聞、雑誌 か ら情報 をえ るけれ ど「 じゃあ私 も」 と
現実 に戻 った と き従来 の女性 の役割 をを押 しつ けて く
る無理解 な母 親 や姑 や夫や近所 の 人 達 。 「 あ ― あ ― 、
私 には 自立 は無理 よ」 と足 踏 み して しま う自分 。 情 け
な い、 で もなん とか した い。私 は足 踏 み してい る け れ
ど、他 の人 は ど うなんだろ う。 “こうや って 自立 しま
した"と い った きれ い ごとで はな い女性 の本音 が し り
たい。 なん とか した い と思 って い る私 を勇気 づ け て く
れ る本音 が読 み た い。
こ うい った作 り手 で ある私達 自身 の 問題 を掘 り下 げ
る ことによ って ,Le Pontで は 問 題 を個 人 的 な も の か
ら悩 んで い る女 性 たちへ の力 づ け の メ ッセー ジに した
い と考 えて い ます。
第 2号 で は、 “ど こを き って もキ ュ ウ ク ツ"を メ イ
ンテ ーマ に「 嫁 姑」「 か らだ 」 「 生 き方 」 の3本 の 柱
を立 て、それ ぞれ の 中で女性 たちが どん な窮屈 を感 じ
て い るのか、居 心地 の悪 さを感 じて い るのか とい った
内容 にな って います。
例 え ば、嫁姑 は使 い古 されていますが、当事者にとっ
て は常 に新 しい問題です。 それを、 これ まで の女 ど う
しの戦 い とい う見方で な く、夫 あるいは息 子 が この 問
題 を本 当 の ところはど う考 えて いるのか 聞 き出す こ と
によ って 解決 の道 を さ ぐ って い ます。 また、 ア ンケ ー
トで は実 際 に同居 して い る女性 の声 を集 め ま した。
「 か らだ」で は “お化粧 "を とお して、女 性 を縛 っ
て い る もの は何 か とい うことを、 化粧 を しな い7人 の
女性 に イ ンタ ビュー して い ます。
「生 き方」 の中では、離 婚 した ことで 自分 を撃 り戻
した女 性 の紹介、結婚 しな い 自由を持 って いる男性 ヘ
のイ ン タ ビュー、 シ ング ル を選 んで いる人 たちの座 談
会 とな って い ます。
同 じ思 いを している人 が い る、それを知 ることだ け
で気持 ちが安 らぐ。私 とは違 うとい うことを知 って 相
手 の生 き方 を認 め られ る。作 り手 で あ る私 達 が、 第 1
号 の愛 読 者 カー ド1枚 1枚 に込 め られたそれ ぞれの思 い
に勇気 づ け られ、 第 2号 発 行 の原動 力 とな りま した。
あ りが と うござ い ま した。第 2号 もど うぞ よ ろ しくお
ねが い た します。
申込 は郵 便振替 で、
日座 番号 00940-5-114194 加入者名 ぐる―ぷ 10
1000円 +送 料 240円 =1240円 をお振込下 さい。
問 い合 わせ先
〒594 大阪府和 泉市 府 中町5‐ 14-7
ぐる一ぷ 10 田中由美子
(松 香堂 で も扱 って い ます)
◎ この度 の 阪神大震災 で は会 員 さんの 中 で被 害 に 遭 われ た 方 も い ら っ しゃる こ と と思 い ます。 謹 んで
お見 舞 い 申 し上 げます。
◎天満橋 店 営業時間のお知 らせ
月 。火・ 木・ 金 :午 前 10:30∼ 午後 7:00 土 。日・ 祭 日 :午 前 10:30∼ 午後 5:30
水曜 日定 休 (水 曜 日が祭 日の場 合 はその翌 日)で す。土 。日営 業 してお ります。 どうぞ ご利用下 さ い。
◎会費納 入 のお願 い
年度 が 変 わ りま した。会費 未納 の方 は、同封 の振替用紙 に金 額 が押 印 してあ ります。 お早 め に 納 入 を
宜 しくお願 いいた します。住所姓名変更等 は必 ずお知 らせ下 さい。退会 され る場 合 もお知 らせ下 さい。
◎前号 の訂 正 とおわび
P.4の 『 ふたつの文化 のはざまか ら』 の値段 が間違 っていました。正 しく1逗 020円 です。おわびして訂正 します。
第54号 1995年 2月 24日
ウイメ ンズ ブックス
==海 外 だ よ り ==
韓国か ら
「お
第 1回
惣
菜」
栗原 葉子 (女 性史研究家)
昼食 の招待を受 けて (右 か ら3人 目が筆者)
昨年 の3月 始 めか ら韓国 に留 学 して い る。 三 食 付 き
の下宿生活 で、長年 の家事労働 の拘 束 か ら一切 解 放 さ
れ た。上 げ膳据 え膳 で、料理 を 口にす る ことがで きる。
ああ、気楽 と、 テ ー プル全体が赤 トンガラシ色 に染 ま っ
た よ うなおかず の数 々 も、物珍 しさで食 べ 続 け た 。 2
週 間 目 に ダウ ン。 ここで は胃大 な人 だ けが偉大 に な れ
や味噌や醤油 を入 れ た甕 が、近 代 的 なアパ ー トの ベ ラ
ンダに も並 んで いて、作 った り管理す るの は主 婦 の 重
要 な役 目で あ る。 それ だ けで な い。四人家族 で一 年 30
∼40キ ロ も消費す る赤 トンガ ラ シの ヘ タや タネを取 っ
た り、細 ネギの薄皮 を剥 いた り、 ニ ンニ クつぶ しを つ
ぶ した り、菜 っ葉 を洗 った りの、料理以前 の作 業 に膨
る。小食 の 自分 が 本 当 に恨 め しい。異 国暮 らしの第 一
条件 は丈夫 な胃、第 二 条件 は文化 の違 いを苦痛でな く、
大 な時間 が使 われ る。下宿 のお ば さん は「暇つぶ しよ」
とテ レビを見 なが らや って い るが 、 時 々手 伝 う私 は、
お も しろい と思 え る ことだ ろ う。第 二 はク リア ー した
が、お茶漬 け文化 で飼 い慣 らされ た私 の 胃 は、赤 色 恐
そのおか げで初 めて さや に収 ま った 小 豆 の 美 しさや 、
ニ ンニ クつぶ し専用 のす り鉢 を知 った。近所 のお ば さ
怖 の悲 鳴 をあげて しま った。それ に も拘 らず、一 日一
度 はキ ムチや チゲを食 べ ることに した。厳冬 の冬を人 々
んたちは道 路 にむ しろを広 げて お しゃべ りに興 じな が
ら、のん び り単純作業 を楽 しん で い る。11月 末 の キ ム
が乗 り越 えて これ たの も、キ ム チのおかげに違 いない。
元気 の素 を私 も食 べ て、ハ ングル文字 の洪水 を乗 り き
ジ ャ ンと呼 ばれ る越冬用 のキムチ作 りは、仲良 じグルー
プが順番 に家 々を 回 って共 同 で や る。食文化 にお け る
韓国主婦 の役割 は、単 に家族員 の食事支度 だけでな く、
家族員 をつ な ぐ絆 や対人 関係 を作 る社会的性 格 の 面 が
らなけれ ば、 と考 え たか らだ。
ど うにか生活 の ペ ー スがつかめ るよ うにな る と、 交
友 関係 や行動範 囲 も広 が る。 そん な あ る日、デ パ ー ト
の地下 の食品売 り場 に入 ってみて、 あれ ? と思 った。
日本 の よ うな名店 の「 お惣菜」 とい うものが全 く売 っ
て いな いのだ。 ここで はおかず は断 固家 で作 るもので、
買 って家 で温 めて 食 べ るとい うことが ない。代 わ り に
ス タ ン ド式 の食堂 が所狭 じと並 ん で い る。人混 み の 騒
が しい と ころで 食事 をす る気 が しれ な い けれ ど、料 理
は何 は と もあれ出来 たてでな くて はな らない。韓 国 で
は冷飯 は貧乏品 の象徴 である。共働 き夫婦 な ど、 働 く
強 いのだ。
日本 の家庭料理 は和洋中のメニ ューが 自由自在 に入 っ
て いるが、韓国で は朝昼晩 と も韓 国式 であ る。 お か ず
は下宿 で も朝 か ら十 品以上 な らぶ。が、全部 が そ の 都
度作 られ るので な く準保存食 的 なおかずを順繰 りに組
み合わ せ るや り方 であ る。 それ らを入れ るため、 ど こ
の家庭 も冷蔵庫 が バ カでか い。 この よ うに食事支 度 も
よ く見 る と日本 と韓 国 で は異 な り、ひ いて は女性 観 を
女性 が 増 えたの に惣菜屋が発展 せず 、秋夕 (日 本 の お
盆 にあた る)の 御馳 走 も日本 のおせ ち パ ックの よ う に
反映 して い ると思 われ る。 つ ま リデパ ー トに惣 菜 売 り
場 が無 いの は、食文化 にお け る女 性 の役割 へ の期 待 度
と女性 自身 の 自負 との表 れ と言 って いい。商売 が 徹 底
商品化 されて いな い。各家 々で昔通 りに、海 山 の 材 料
で20種 類 あま りの料理 を、 しか もそれ ぞれ大量 に作 る。
して蔑 視 され た李朝社 会 で は料理 屋 が発達 せず 、接 待
料理 も主婦 が作 った。料理 は女 性 に とって、社 会 へ の
秋 夕 に「 松餅」 と呼 ぶ 団子 を、私 は下 宿 で も友 人 宅 で
も作 ったが、五 百個数 えてあ然 と した ら、昔 は も っ と
た くさん 作 った と、一 笑 に付 され た。
基本 的 には一 家 の主婦が食事 作 りにかける労働量 は、
日本 よ りず っと大 きい。世界 に冠 た る家族主義 は近 年
変 化 して きて い る とはいえ、父兄 の儒教 的祭祀 が 年 に
6回 とか 12回 もあ って、 と りわ け本 家 筋 の 主 婦 は大 勢
の親族 に料理 の腕 をふ る う機会 が 多 い。 また「 男 女 有
別 Jの 儒教倫理 によ って、台所 は女 性領域であ った し、
今 もそ の意識 が 根 強 い。各種 のキ ム チや コチ ュ ジ ャ ン
自己表現 の場 で もあ ったので あ る。 それ は結果 と して
儒教 的社会 を補完 す るに とどま り、理念上 は女性 は劣
位 に置かれ続 けた。 しか し現実 に は、女性領域 に お け
る主婦 の発言権 は 日本 よ りは るか に強 く、夫 も一 日置
いて いて、夫 に干渉 され ない 自立 権 を主婦が持 って い
るとい う印象 を強 く受 け る。社会 の「男 と女 」 「 夫 と
妻」 にあ る上下関係 を見過 ご して はな らな いが、 女 =
被抑圧者 とい うステ レオ タイプな理 解 もまた、韓 国 の
現実 にそ ぐわ ない とい う気 がす る。
ウイメ ンズ ブ ックス
第54号 1995年 2月 24日
(松 香堂 で扱 って い る ミニ コ ミの最新 情報 です)
「 れ組通信 No.90-日 本 の レズ ビア ン、 ニ ュー ヨー ク
に行 く 。ユ キの私 的合衆国 リポ ー ト① /ほ か 」
れ組 ス タ ジオ東京 1994年 10月 400円
「 れ組通信 No 91-日 本 の レズ ビア ン、 ニ ュ ー ヨー ク
に行 く 。ユ キの私 的合衆国 リポ ー ト② /ほ か 」
1994年 11月 400円
「 れ組通信 No.92-日 本 の レズ ビア ン、 ニ ュー ヨー ク
に行 く 。ユ キの 私 的合衆国 リポー ト③ /ほ か 」
1994年 12月 400円
「れ組通信 No.93-レ ズ ビア ニ ズム と フ ェ ミニ ズ ム/
ほか」
1995年 1月 400円
「 F ifty:Fifty Vol.26-特 集 子 ど もの人権、おとなの
今 /ほ か」
Click 1994年 12月 420円
一
ロシ
ューム
1月
プ
家族 の足よ健康 に/ほ か」
号
特集
「
大 阪 よ どがわ市民 生協 1995年 1月 330円
「 女 のため の ク リニ ック ニ ュー ス No.114-あ な た が
つ くる女 の ク リニ ック リス ト/ほ か」
ウ ィメ ンズセ ンター大 阪 1994年 8月 400円
「女 のため の ク リニ ック ニ ュー ス No.115-AIDS
愛 と死 。私 を生 きる、 ともに生 きる/ほ か」
1994年 11月 400円
「女 のための ク リニ ックニ ュー ス No l16-『 女 のか ら
だ とホルモ ンバ ラ ンス』学 びま した/ほ か」
1994年 12月 400円
「月刊 むす ぶ No.288-特 集 地 域 で生 きる 。高 齢 化
にむ けて の と り くみ/ほ か」
ロシナ ンテ社 1994年 9月 700円
ぶ
「月刊 むす No.289-特 集 ム ダな ダ ム を なぜ つ く
1994年 10月 700円
る//ほ か」
「 Voice第 56号 -140名 の参加 で 渋 谷 の街 をパ レー ド・
10/16集 会 パ レー ド報告 /ほ か 」
住民 票続柄裁判交流会 1994年 11月 150円
「 Voice第 57号 ―児童扶 養手 当違 憲 判 決 に当 た って /
1994年 12月 150円
ほか」
「あ ごらNo.201-女 の 自己主張 。この10年 /ほ か」
BOC出 版 部 1994年 11月 883円
「 あ ごらNo.202-新 聞切 り抜 きに見 る女 の 年/ほ か」
1994年 12月
“ 2575円
「 行動 す る女 No.88-存 続 か、 それ と も解散 か !そ の
2/ほ か」 行動 す る女 たちの会 1994年 10月 200円
「 行動す る女 No 89-じ っ くり話 そ う会 の これ か ら/
1994年 11月 200円
ほか」
「 月刊家族 105号 ―特集 団 塊 世 代 四人 の選 択・ 親 の
「 施設入所』 を考 え るとき/ほ か」
家族社 1994年 11月 300円
「月刊家族 106号 一特集 セ ク シュア リテ ィを考え る 。
レズ ビア ン&ゲ イ/ほ か」
1994年 11月 300円
「月刊家族 107号 ―特集 議 員 ほ ど フ ェ ミニ ス トに 向
いた/ほ か」
1995年 1月 300円
。
「 We10月 号 ―特集 教育 つなが りを取 り戻す/ほ か」
Weの 会 1994年 10月 600円
「 Well月 号 ―特集 自分 の福祉 を創 り出す /ほ か」
1994年 11月 600円
―
い
が
うこと
Wel月
くと
/ほ か」
女
働
号
特集
「
1995年
1月
600円
「 シングルズ。ネットVol.24-ど うなる、どうする確シン会//ほ 力」
確信犯 ?シ ン グルの会 1994年 11月 200円
「 パ ワー ア ップ ニ ュース VOL 12-問 わ れ るの は 自分
自身 の生 き方 /ほ か」
パ ワ ーア ッププ ラ ンニ ング 1994年 12月 300円
W!FE
No.251-特 集 集 合住宅 での子育 て /ほ か 」
「
グルー プわいふ 1995年 1月 460円
「 野合 Vo!.39-年 下 の男 の子① /ほ か」
朝 倉 8、 み 1994年 10月 200円
「 FLCニ ュー ス レター No.12-特 集 再就 職 の た め の
資格取 得 につ いて考え る/ほ か」
女性 ライフサイク ル研究所 1994年 11月 300円
「 FLCニ ュー ス レター No 13-特 集 早期 教 育 を考 え
1994年 11月 300円
る//ほ か 」
―
と
ライ
フサイクル研
四号
究第
表現
女性
『 力』/ほ か」
「
女 性 ライ フサイクル研究所 1994年 11月 1200円
「 VOICE OF WOMEN No157-東 ア ジア女性 フォー
ラム報 告 /ほ か」 日本女性 学研究会 1994年 11月 200円
「東京 強姦 救援 セ ンター ニ ュー ス第 27号 ―教育 現場 か
らの相談 /ほ か」
東京強姦救援 セ ン ター 1994年 10月 100円
一女 にわか るか !?男 の問題/ほ か」
はいま
題
「男性問
メ ンズ リブ研究会 1994年 11月 500円
「個 。ことな 一 る 一葬式 のなか にみ る女性差別/ほ か」
ことな―る 1994年 10月 800円
「 女 。か らだ 110番 よ リー 大 阪版 『 か らだ 、 私 た ち 自
身』や ね !/ほ か」
ウ ィメ ンズセ ン ター大阪 1998年 12月 700円
「 子宮 内膜症 とのつきあ いかた一 子宮 内膜症協会 とは
//ほ か」
子宮 内膜症協会 1994年 10月 500円
「 わ くわ くワー キ ングー い きな り働 くの、 ち ょっ と不
グル ー プ R 1994年 11月 1500円
安 /ほ か 」
「 ぼ くの ゲ イ 。ムープメ ン ト91∼ 94-ゲ イだ か ら見 え
る この 国 の性 /ほ か」
伏見憲明 1994年 9月 1500円
「 家・ 戸 籍 そ して婚外子 一特集 国連規 約 人権委 員 会
へ の ロ ビー活動 /ほ か」
住民票続柄裁判 交流会 1994年 11月 1000円
史研究第 5号 一 特集 中国女 性 とキ リス ト
中国女
性
「
中国女性 史研究会 1994年 9月 1000円
教 /ほ か 」
「単身 者住 宅の実態調査 お よび公共住宅 政策 へ の提 言
書 一既 存 の住宅供給 の動 向/ほ か」
朝倉 お、み 1994年 10月 1000円
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なた の情報 。わ た しの情報 解鯰惣解
(こ
の ペ ー ジで紹 介 した もの は松 香堂 で も扱 って い ます)
『京 都子連 れ パ ワーア ップ情報 2』
パ ワー ア ッププ ラ ンニ ング発 行 900円
第 10回 「 あなたが つ くる女 のフ ェステ ィバ ル」開催
女 のフ ェステ ィバ ル準備会
「女 の フェステ ィバ ル」 もつ いに10回 目。 毎 年 、 女 た
ちの思 いを紡 いで、女 の ネ ッ トワー クを広 げて きま し
た。今年 は10周 年 記念 の催 しも、計画 して い ます。 シ
ンポ ジウム、 デ ィスカ ッシ ョン、 パ フ ォーマ ンス、 バ
ザ ー、展示 な ど盛 りだ くさんのプ ロ グラム。
今年 の メイ ンシ ンポ ジウムは「 世界 が見 て い る 一 日
。 主 催 はお ん な 労 働 組 合
本 の女 の働 き方・ 働 かせ方」
(関 西 )で す。 た くさん の ご参加 をお待 ち して い ます。
と き 3月 12日 (日 )午 前 10時 ∼午後4時 半
と ころ 京都市女性総 合 セ ンター「 ウ ィ ング ス京都」
(京 都市 中京 区東洞院六角下 る)
参 加 費 前売券 500円 当 日券 700円
:
:
:
連絡先
:
uD
ウイメンズ ブ ックス
第54号 1995年 2月 24日
TEL.075-212-9071 FAX 075-212-9072
女 の フェステ ィバ ル準備会
「 京都 の小 さい子 ど もを持 つ お母 さん に役立 つ 情 報
誌 を」 と、 シテ ィセ ミナ ー の 受 講 生 30人 で 作 った1号
か ら3年 ぶ りに生 き残 り9人 で2号 が完成 しま した。
その間、 メ ンバ ーの子 こどた ち も就 園、就学 す るな
ど母 たちの動 き も変化 し、意識 の方 も児童虐待や夫 婦
の性 な ど、社会性 の あ るテ ーマ を読 者交流会や講演会、
ニ ュース (年 4回 発 行 )な どで と りあ げ て きま した。
その積 みか さねが今回 の情報誌 につ なが り、読 み物 に
もな っている と思 い ます。
これか ら出産 す る人 には「 産院」や「 ベ ビーシッター
サ ー ビス」、子育 て で疲 れて い る人 に は「相談 リス ト」、
ネ ッ トワー クを求 めて い る人 には「 託 児付 き講座 」 や
「 グループ紹介」、働 きた い人 に は「 再 就 職 の た め に」
な ど、是非知 って もらい た い情 報 が600件 余 り詰 ま っ
て います。 (B5版 112ペ ー ジ)
連絡先 :〒 616京 都市右京 区嵯峨広沢池下 町37-25
TEL.075-882-4326 丸橋泰子
『 も つと知 りた い「 慰安婦」問題』
て 可石書店 1030円 )を 出版 しま した
金 富子
!
今年 は戦後 50年 、朝鮮人 に とって は 日本 の支 配 か ら
の解 放 50年 とい う節 目の年。「 慰安婦」問 題 を は じめ
と して、 日本政府 に「謝罪 と個人補償」を求 め る戦 後
補 償 問題 は、最大 の 山場 を迎 え る と予想 され ます。
マ ス コ ミで喧 伝 され る割 には「慰安婦 」 に され た女
た ち の被害 の実相 は知 られて い ません。 この 問題 へ の
誤 解 。無理解 が 解決 を遅 らせて い ます。本書 は、 従 軍
慰 安婦 問題 ウ リヨソ ンネ ッ トワー クの メ ンバ ーが この
性 と民 族 の 視 点 か ら"(副 題 )、
問題 の核心 と背景 を “
若 い世代 へ の入 門書・ 副読本 を意 図 してつ くりま した。
内容 は、 I:在 日の元「慰安婦」宋神道 さん の 生 涯
を追 った「宋神道 さん の70年 」 (梁 澄子 )、 Ⅱ :韓 国・
フ ィ リピン・ オ ラ ンダ人 の「元『 慰安婦』 たちの証言」
解説〉
(金 薫子 )、 Ⅲ・ Ⅳ「 慰安婦」問題 のQ&A及 び く
(金 富子 )に 、 ア ジ ア全 域 の 慰 安 所
MAP(朴
潤 南 )、
公 文書 、年表 な どです。 と くに本 書 の メ イ ンで あ り、
本人 へ の間 き書 きを基 にまとめた Iに は、詳 しい 注 釈
や囲 み欄 も加 え (姜 春 子他 )、 当時 の 歴 史 的 状 況 、 日
本 と朝鮮 の関係史 や「在 日」 の来歴 が わか るよ う工 夫
しま した。
「慰安婦 」問題 につ いて 「 か ゆ い 所 に も手
が 届 く」 (?)内 容 だ と 自負 して い ます 。 北 京 女 性 会
議 にむ けて、 テキ ス トと して もご活用下 さい。
『 お母 さんが 中学生 だ った ときに 《増補版》』
山本直子
(エ フエ ー 出版 1600円 )を 刊 行
戦後 50年 の年 に ちなみ、愛知県 の豊川海軍工 廠 が大
爆撃 を受 けた1945年 (昭 和 20年 )8月 7日 を、歴 史 の 谷
間 に埋 もれ させて はな らな い と、松 操高等女学校 八・
九 回卒業生 が 編者 とな って上 記 の本 を ま とめま した。
当時、十 三 か ら十 四歳 の少年少女 た ちには、 あ ま り
に も重 い体験 で あ り、 自分 の子 ど もた ちに さえそ の 体
験 を語 るの を控 えて い る方 々 もい ら っ しゃい ま した。
しか し、 この本 の初版 (1988年 )を 機 に、
「 ぼ くも、私
った
が一
気 に広 が り始
」 とい う輪
も、実 ははな したか
め ま した。今 回 の 《増補版》 は、 そ う した方 々の 心 か
らの叫びを「 関係 者 の証言」 と して、第二部 に入 れ ま
した。
「 戦争 は三 度 と繰 り返 して は い
「 戦争 は恐 ろ しい」
けな い」 と百 回繰 り返 す よ りも、 この本 の 中 の一 編 の
手記 を読んで いただ く ことによ つて「戦争 は何 の た め
だ ったのだ ろ うか」を考 えて いただ けた らと思います。
ウイメ ンズ
l161
=書
評
第54号 1995年 2月 24日
ブ ックス
=
『 生 殖 の 政 治 学 一 フ ェ ミ ニ ズム とバ ー ス コ ン トロ ー ル J
荻野美穂著 山川出版社 1994年 2600円
私 たちは、子 どもを何人 もつかを決 め られる (と 思 いこんでいる)、 そん な社会 に生 きて い
る。 もちろん、誤差 はある。失敗 の結果 の出産 も多 々 あるので、計画 が実現 しない可能性 も高
いのだが、 それで も持 ちたい子 どもの数 を想定 しな いカ ップルはきわめて少 ないといってよい。
婚約 0結 婚 の席 での「 お子 さんは何人 ?」 という質問 が常識 になっているのだ。
しか し、 このよ うな計画的生殖 を当然 とするような社会 はいったいいつ登場 したのだろうか。
これが実現す るためには、懐妊 に対す る社会的合意が必要であ ったが、 それはいかに して実現
したのだろうか。 その ことは、女性 にとってどのような意義、 メ リッ トとデメ リットを もた ら
したのだろうか。本書 があつか っているテーマ は、 まさにこのような問題 だ。
本書 は文章 の平易 さもあって一気 に読 めて しまうのだが、著者 の もつ歴史 の評価軸 はけ っ し
て単純 な もので はな い。 たとえば、子沢山 の貧困家庭 に対する救世主 としての産児制限運動家
という評価 が一般的 なマーガ レット・ サ ンガーについて、本書では「 自分 の」運動を強引に押
し進 めよ うとす る、運動 の進展 のためには首尾一貫 しない様 々な戦略 を画策する、 自己顕示欲
のつよい、矛盾を もった女性 として も描かれて い る。 だが、個人 の欠点 を (性 格的 な レベ ルま
で も)明 らかに していて も、そのことが作品 の品位 を落 とす ことには決 してつながっていない、
というのが本書 のす ごいところだと思 う。む しろ、 サ ンガーの思想 と行動 における矛盾 を描 く
ことによって、同時代 における産児制限運動やフェ ミニ ズムの混沌や多様性 を浮 き彫 りに し、
矛盾を抱えつつ も展開 してい く歴史 の ダイナ ミズムを描 ききり、 かつ読 み ものと しての面 白さ
を も備えることに成功 して い るのである。
これに成功 して い る理由は、思想 と運 動 の評価 し得 る点 と批判 し得 る点 を、丁寧 な資料 に基
づいて明 らかに しているがゆえの説得力 の高 さにある。 そ してその説得力 ある文章 の行間 か ら
は、人間 とい うものに対す る不信 と信頼 の狭間 の中 で、 あるいは社会 の混沌 と矛盾 の中 で、安
易 に流れることな く自らの視座を求 めつづ ける著者 自身 の タフさが見えか くれするように思 う。
古久保さくら (短 大非常勤講師)
上記 の書評欄 へ の投稿 を お待 ち して い ます。
女性 の 日で見直 した鋭 い批評 や、視点 を変 え た
ユ ニ ー クな もの をお 寄 せ くだ さい。400字 詰 原
= 原 稿 募 集 =
稿 用紙 に約 2枚 、900字 前後 です。掲 載 させ て 頂
いた方 には薄 々謝 、進呈致 します。
「 あなたの情報 。私 の 情 報 」 と コ ラ ム「 わ た
しの出会 った本」 は知 って欲 しい本、 ご意 見・
情 報交換等 に御利 用 くだ さ い。 400字 以 内 で お
願 い します。但 しこれ らの欄 は、薄 々謝 も差 し
上 げ られ ません 。 ごめん な さい。
尚、 ご投稿 は会 員 に限 らせ ていただ きます。
宛先 は
〒602京 都市上 京 区下立売通西洞院西入
松香堂書店「 ウイメ ンズ ブックス係」です。
次号 の締切 は 1995年 4月 15日 。
た くさん の ご投 稿 をお待 ち して います。
編 集 室 か ら
☆以 前 の よ うに特集 を組 ん で、旧刊 も含 め た本 の情 報
を紹介 したいと思 いつつ 、 また もペ ー ジが 足 りな く
て実現 しませんで した。 さて、次号 で は ど うな るで
し ょ う… 。
(池 嶋
陽子 )
☆何 が起 こって も不思議 で はない世紀末 。生老病死愛
別離 苦 の言葉 どお り、人 には思 うにまかせ ぬ ことが
い っぱ い。人間 なんて 、 ささやかな存 在。 だ け ど捨
て た もので はない と も思 う。現実 に も本 の世界 に も
生 きる ことの意味 を知 る。今年 もよ ろ し くお願 い し
ます。
(や ぎ
☆次 号 は1995年 5月 25日 発 行 の予定 です 。
みね)
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