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環境経済 委員長班 (PDF形式:249KB)
環境経済委員会(委員長班) 1 調 査 事 件 環境行政の充実及び地域産業の活性化について 2 調 ⑴ 査 概 要 釧路和商協同組合 ア 釧路和商市場について 釧路和商市場は、昭和29年に60名の組合員で設立し、現在は34名の組 合員、店舗数は53店舗を構える釧路市で最も歴史がある市場である。 客層の割合は、地元客が60%、国内旅行客35%、外国人5%であり、 市民の台所として地元客を重視している。観光客向けの市場としていな い理由は、観光客向けの市場となると地元客の利用が見込みにくいこと や、観光客は地元客が行く場所に興味を持つ傾向があることに主眼を置 いた運営方針であるからである。 釧路市で水揚げされた水産物は、首都圏に流通するものが多く、水揚 げされた魚のうち、最も高ランクのものは、釧路市では売られていない。 理由は、釧路市で1人しか購入できないような水産物であっても、首都 圏へ出荷すると1,000人規模の購入者がいるからである。 全国的に有名な金沢市の近江市場や北九州市の旦過市場などとの違い としては、土地が一体として同組合の所有であることの強みが挙げられ る。そのため、方針決定までに、組合員間で種々議論をするが、決定後 の動きは一体として行う風土がある。 今後の課題としては、設立当初から昭和53年まで60名の組合員数を保 っていたが現在は減少していること及び組合員が高齢化していることな どが挙げられる。 なお、観光客に対しての水産物の販売は、生鮮品であり購入して持ち 帰ることが難しいため、同組合としては、購入した水産物をその場で調 理して飲食をさせることが望ましいと考えているが、同市場では火器の 使用ができないことから販売のみとなっている。 ⑵ 釧路市(人口 ア 176,221人) 観光立国ショーケース選定後の取り組みについて 釧路市は、平成28年1月29日に、観光庁の訪日外国人旅行者を地方へ 誘客する施策「観光立国ショーケース」のモデル都市として、金沢市及 び本市と同様に選定されている。 釧路市版DMOとしては、広大な地域を包含した釧路観光コンベンシ ョン協会を中心に地域連携DMOをつくり、あわせてそれぞれの地域に -1- 環境経済委員会(委員長班) も釧路地域、阿寒地域及び川湯・摩周地域に各地域DMOをつくった上 で、国の認定を受けようと取り組みを進めている。 全国の中でも高度化されたDMOとなることを目指しており、競争相 手は国内の地域DMOではなくハワイやパリといった世界水準のDMO であるとされている。 特徴のある取り組みとしては、安定的な財源の確保策として、入湯税 の超過課税分を財源とする基金の造成を開始しており、同基金を活用し た民設民営方式での大規模な再開発事業の取り組みが全国から注目され ている。 今後の課題としては、北海道観光は、釧路市だけを目的に訪れる形で はなく、道内周遊型が未だ主流であるため、滞在型への転換の必要性が 挙げられる。 イ MICE事業について 釧路市は、釧路市観光国際交流センター(通称:ラムサール記念セン ター、大ホール:1,793.49平方メートルで収用人数1,600名、そのほか研 修室等の付随施設有り)を、ラムサール会議が平成5年に開催された際 に建設している。同センターは、コンベンション機能を中心とした施設 であり、一般社団法人釧路観光コンベンション協会が運営及び経営を行 っている。 同施設については、建設費用が用地取得費用を含めて約31億6千万円、 維持管理費が人件費を除いて約5千万円、また、稼働率は、約60%とな っている。 ラムサール会議を目的に建設したことから、当初はMICE誘致を想 定していなかったものの、建設当時は会議数が増加傾向にあったため、 必然的に誘致実績が伸びることとなった。また、国際会議を行ったこと で、釧路市の知名度向上に寄与し、釧路市のシティプロモーションの効 果も期待した上での建設であった。 道内で開催される国際会議等は、札幌市が中心であるが、道内の5都 市(札幌市、旭川市、函館市、釧路市、北見市)で設置している北海道 コンベンション誘致推進協議会により、連携して会議誘致に努めている。 誘致セールスは、主に首都圏や関西圏の会合に出向いて行い、好感触の ところへ再度個別に行われている。 今後の課題としては、大規模な会議を開催する場合、釧路市内のホテ ルのキャパシティが不足するため、宿泊については、郊外も含めての対 応となっていることの解消が挙げられる。 -2- 環境経済委員会(委員長班) ⑶ 札幌市(人口 ア 3,719,535人) MICE総合戦略について 札幌市は、札幌コンベンションセンター(大ホール:2,607平方メート ルで収容人数2,500人、そのほか特別会議場等の付随施設有り)を平成15 年に旧国鉄東札幌駅跡地の東札幌開発地区札幌コミュニケーションパー クSORAのエリア内に建設している。同エリア内には、同施設のほか に、大型商業施設イーアス札幌が5年おくれの平成20年に建設されてい る。 札幌コンベンションセンターは、建設費用が約140億円、用地取得費用 が約56億円、また、稼働率は、大ホールが83.9%、特別会議場が約55%、 中ホールが72%、小ホールが71.2%、15室ある会議室が76.4%となって いる。なお、年間約5億円の収入があり、人件費を含めた維持管理費が 約4億円となっている。 建設当初は、約1億円の指定管理料を札幌市が支出していたところで あったが、現在、指定管理料としての支出はゼロ円であり、逆に指定管 理者から毎年約1億円を札幌市へ納付している。これは、第3セクター などではなく、民間事業者に任せ、民間事業者がMICE誘致以外にも、 さまざまな企画展及び展示会を実施し、地元客も含めて集客に努めてい る結果であるとされる。 札幌市内で開催される国際会議は、北海道大学を会場とする件数が最 も多くなっているが、参加者数が少ない小規模な会議がほとんどであり、 規模が大きな会議は、主に札幌コンベンションセンター、西11丁目エリ ア(ロイトン札幌、教育文化会館、さっぽろ芸文館・ニトリ文化ホール、 札幌プリンスホテルを複合的に活用するエリア)で開催されている。 指定管理者は、SORA-SCC共同事業体であり、その代表団体と して株式会社コンベンションリンケージが運営に携わっている。同社の 誘致セールスは、地元は北海道大学や札幌医科大学などの医学部を保有 する大学、また、地元以外では、学会を開催する本部の9割が首都圏で あることから、首都圏をメーンとして1つの会議に対して約4年がかり で行っている。また、アジア向けには、企業の報奨旅行の誘致にも力を 入れている。 JNTO基準による国際会議開催件数は、札幌市内で年間100件を超え ており、MICE需要は高まりを見せている。札幌市は、このような需 要に対応するMICE施設の整備の必要性を強調する。また、同施設の 指定管理者は、長崎市におけるMICE整備について、北海道に少ない -3- 環境経済委員会(委員長班) 国立大学が九州では各県にあること及び施設の建設場所が長崎駅に近接 する想定であることが同施設にない強みであると捉えている。 今後の課題としては、当初地元のホテル業界等からの反対があり、施 設の規模を当初の予定よりも小さい規模のものとしたが、受け入れのキ ャパシティを考慮すると、結果的には、より規模が大きな施設であるこ とが望ましかったこと、また、都心から離れていることや近郊にホテル がないことが挙げられる。 ⑷ 長崎県 ア 長崎県アンテナショップについて 長崎県は、平成28年3月7日に日本橋へ長崎県アンテナショップ日本 橋長崎館を開設している。東京メトロ日本橋駅から徒歩1分、JR東京 駅から徒歩5分という好立地であり、新たに平成28年1月15日に竣工し た新ビルの1階にテナントとして入っている。 店舗は、観光等情報発信ゾーン、物販ゾーン、軽飲食提供ゾーン及び イベントゾーンの4つのゾーンに分けており、観光等情報発信ゾーンを 長崎県の非常勤職員2名に、それ以外のゾーンを株式会社乃村工藝社の グループ会社である株式会社ノムラデベロップメントが運営している。 観光等情報発信ゾーンは、通常のアンテナショップでは、店舗の奥に 設置されることが多いが、長崎県は、入口の付近へ設置していることが 特徴的である。 イベントゾーンでは、年間営業日数の3分の2程度イベントを実施し、 そのうち半数程度は長崎県主催のイベントとする予定である。 取扱商品数は、約1,000商品であるが、これから約1,500商品を目指し て展開していく。商品の選別手法は、品目毎の上限数や地区毎の割合の 定めはなく、事業者が事業者登録、商品登録、条件面の商談を経た上で、 選定基準に照らして選定委員会の中で選定する方式を取っている。長崎 市内の事業者の商品は、商品全体の6割程度となっている。 年間の賃料は、9千万円であり、都内への道府県のアンテナショップ としては、39番目の設置となっている。また、場所の選定は、他道府県 の隣接地、銀座及び有楽町付近で検討したが、好物件が見当たらなかっ たことから、現在地に至ったものである。 今後の課題としては、初期投資の2分の1に国の交付金をあてて設置 をしたが、当初、賃料についても国の交付金の活用を想定していたとこ ろ、活用ができなくなったことから、今後、県費からの支出となるため、 年額9千万円の出費に見合う効果を上げる必要性が挙げられる。 -4-