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第2号 2015年4月(PDF/809KB)

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第2号 2015年4月(PDF/809KB)
シャン州北部地域における麻薬撲滅に向けた農村開発プロジェクト
Project for Eradication of Opium Poppy Cultivation and Rural Development in the Northern Part of Shan State
第 2 号 2015 年 4 月
編集人: 今村 甲
巻頭言
皆様、大変ご無沙汰しております。10 月の創刊号から半年が過ぎての第2号の発刊です(大変遅くなり
ました)。プロジェクト拠点事務所があるラショーも冬を通り過ぎ、暑季となりました。冬の間は厚手のジャ
ンパーを着ていましたが、今は半袖シャツ姿です。乾期の後半となり、夕方の空の色が、赤茶色に霞ん
でいます。
これまでプロジェクトは活動のピークを迎え、専門家、カウンターパート、スタッフはひと月の 3 分の 2 を
現場に費やし、飛び回っていました。2014 年度の前半は、シャン州北部に散らばる 7 村落区をプロジェ
クトメンバーが訪問し、ステークホルダーとの関係構築、状況・課題・ニーズの確認をしました。9 月以降
は、パイロット活動の計画策定を行い、1 月から本格的に各活動が動き出しました。
しかし、一部新聞報道などでご存じかと思いますが、今年 2 月、コーカン地区で武力衝突が発生しました。
3 月末現在、未だ終息していません。こうした紛争はプロジェクトの活動、成果に大きく影響を及ぼしま
す。
コーカン地区幹部の言葉ですが、「我々に必要なのは、先ず第一に平和だ。平和があって、麻薬が撲滅
できる。そして、麻薬がなくなった後に、真っ当な経済発展を目指したい」。シャン州第一特区(コーカン地
区)は、他少数民族に先駆け、1989 年、真っ先に中央政府との停戦・和平に応じ、その後 2003 年、ケシ
栽培の完全撲滅も達成しました。次は健全な経済発展を目指したはずなのに、今回の紛争のせいで、よ
うやく上向きになっていた経済活動も停滞・後退することは避けられません。
国連麻薬犯罪事務所(UNODC)が発表した「2014 年ケシ栽培調査報告書」によると、シャン州北部にお
いてケシ栽培が増加した要因の一つは「紛争」とのこと。紛争によって、外界から閉ざされた地域は、警
察の目が届かなくなり、同時に、経済活動は停滞、そこに乗じた武装勢力が、資金(非合法の税金)稼ぎ
でケシ栽培を奨励することで、農家がケシ栽培に逆戻りする構図があります。
これ以上紛争被災者を出さないことは、安全に協力活動を実施するため、また地域社会が外界から隔
絶され、ケシ栽培に戻らないためにも、プロジェクト関係者全員がこの地域の早急な治安の回復と安定
を切に願っているところです。(吉)
1. 活動ハイライト/出来事
10 月 26 日-11 月 23 日
11 月 2-13 日
12 月 8 日
12 月 9 日
1 月 13 日-3 月 3 日
1 月 26 日
2月9日
2 月 17 日
3 月 24 日
11 月
12 月
1月
運営指導調査(渡辺利通団長、北シャン州における茶業生産の調査)
本邦視察研修
第 3 回 Task Force 会議
第 3 回 PIC 会議
高橋昭雄短期専門家(社会経済調査)活動開始
圃場整備設計・施工管理コンサルタント調査開始
ラオカイ県(コーカン地区)にて武力衝突発生
藤山 修専門家(営農)ヤンゴン着任
藤山 修専門家(営農)ラショー着任
各パイロットサイトにてパイロット事業計画会議
パイロット事業計画会議/一部開始
ナムサン T/S 茶苗圃設置
コンジャン T/S クルミ事業実施
プロジェクト対象地域
(1) 全体活動
1) 第 3 回 PIC 会議開催
12 月 9 日に、現場レベルの関係者を招集して、第 3 回 PIC
(Project Implementing Committee)会議を開催しました。カウ
ンターパート機関をはじめ、ラショーレベルの関係部局からも
代表者の出席をいただき、地域開発の調整役となる General
Administration Department、計画局のオフィサーが対象タウ
ンシップから参加し、第 2 回会議以降の活動情報及びこれか
らの活動予定を共有できました。本部から、今井職員にご参
加いただきました。(今)
2) 第 3 回 Task Force 会議開催
上記 PIC 会議の前日(12 月 8 日)に、農業開発部門、生計向上部門の関係者による第 3 回 Task Force
会議が開催され、第 3 回 PIC 会議用のプレゼン資料等の準備がなされました。(今)
農業開発部門
生計向上部門
(2) 本邦視察研修
2014 年 11 月 3 日~13 日まで、カウンターパート・コアメンバー(国境省国境開発局 局長、ラショー事務
所長、国際課長補佐)、少数民族地域代表(パラウン族自治区議長、コーカン族自治区幹部、カチン族
モンポー自警団幹部)を連れて視察研修を行いました。
日本では、筑波、長野県、千曲市、松本市、伊那市、飯田市)、京都府(南丹市美山町、京都市)、東京、
鎌倉を訪問し、中山間地の行政、農村振興事例(農業振興、加工、マーケティング、農村ツーリズム)等
を習得しました。プロジェクト側で欲張ってしまい、スケジュールを詰め込み過ぎた感はありましたが、帰
国後、コアメンバーのプロジェクト活動への理解が進み、意思疎通の距離が縮まりました。
本視察研修中には、業務だけでなく、日本の社会・生活・食文化を体験する貴重な機会をいただきました。
視察先でお世話になった皆様にこの場を借りて改めてお礼申し上げます。
JICA 本部表敬
鎌倉大仏
ご飯・うどん系ファストフードも大好き
プロマネ(左)は日本人に似た風貌
(3) 調査活動
村々で社会文化・経済環境の変異が大きい山間地では、その地域に適した農村開発のアプローチを模
索することが必要です。農家経営の視点から、現状の基盤となる経済活動、生活を把握するために社会
経済調査(農家経営調査)を 1 月~2 月に実施しました。短期専門家(東京大学東洋研究所の高橋昭雄
教授)を招聘し、調査実施とプロジェクトアプローチの改善に資するいくつかの提言を検討していただき
ました。山間僻地に数週間滞在し、調査する過酷な環境でしたが、ミャンマーでの農村調査経験豊富な
高橋教授ゆえに、現場でスムーズに実施できたと思います。
ナムサン地区のパヤジー村落区から調査を始め、コーカン
地区のマンロー村落区を終了し、シンピンカイ村落区に入っ
たところで、残念ながら、コーカン地区の紛争により、調査継
続ができませんでした。とはいうものの、調査ができた地域で
は、部分的ながらも農家の実態が見えてきました。
結果は現在整理中で、間もなくプロジェクト関係者と共有でき
ると思います。(吉)
(4) 農業開発部門
農家レベルでのニーズアセスメント調査の結果をもとに活動の内容と方法を模索して行くのがこの半年
間の主な仕事となりました。アプローチの方法でいうと、1)すでに重要な収入源となっている既存の作物
の生産改善、2)新規あるいはマイナー作物だった品目の掘り起こし、の 2 種類があります。また、作物
の種類でいうと果樹や茶のように栽培期間が何十年というような長いものと、トウモロコシや野菜のよう
に 2~6 ヶ月で 1 サイクルが終わるものもあります。生産したものの販売ルートがすでにあるかどうか、な
い場合にはどうするか、も重要なポイントです。さらに農家へ技術指導する農業局の普及員さんたちの
能力向上、主体となる村の人達との信頼関係構築も欠かせません。プロジェクトの農業開発部門では以
上のことを考慮しながら、チーフカウンターパートと JICA 専門家が中心となり主に下記の活動を行いまし
た。(片)
茶の生産振興
- 茶の現状調査と活動計画策定
国内支援委員を務めていただいている渡辺利通さんに来てい
ただき茶の生産から加工、販売の現状を解析、プロジェクト終
了までの期間の茶に関する活動計画を作っていただきました。
また、現地調査の際には普及員、農家のひとたちに気軽に技
術指導・・・ワンポイントレッスンをしていただきました。プロジェ
クトとしてすぐに取り組むべきことは下記のような点です。
• 農家による自立的苗生産
• 茶園の改植、等高線に沿った補植による栽植密度の
増加
• 茶樹の剪枝による樹勢の回復
• 肥培管理の改善
• 先進農家技術の収集・整理・体系化とその普及
茶園での聞き取り調査 (ナムサン)
プロジェクト対象地域の茶栽培
大きく 2 つの地域に分かれます。ひとつはナ
ムサン地域で、プロジェクト対象のファヤジ
ー・ビレッジトラクト(VT)とミョーテ VT が含ま
れます。紅茶、ミャンマー式の緑茶、お茶の
漬物がミャンマー全国で販売されています。
もうひとつの産地はコーカン地区で、プロジ
ェクト対象のマンローVT 周辺は茶の大産地
です。コーカン茶は高値で中国に輸出され、
雲南茶に負けない品質と定評があります。
農家を集めてのセミナー
- 茶の苗圃設置
上記の補植による栽植密度向上を図るため、プロジェクトでは農家による自立的な茶の苗木生産を支援
し始めました。対象はファヤジーVT のファヤジー村とセバンコク村です。それぞれ 30,000 本、35,000 本
の茶の苗木の生産を目指して 11 月下旬から活動をはじめました。村の人達は、整地から種まき、苗圃
の管理まですべてを自分たちで行っています。12 月に播かれた種は 1 月に発芽し、3 月現在、順調に育
っています。
茶の苗圃の様子(左上から時計回りに):整地後に柱を立て遮光する準備。遮光カーテンを張ったところ。
プラスチックバッグへの土つめ。発芽した様子。プロジェクトが資材を提供しました。
茶の苗生産はコーカン地区にある農業局のナリ農場でも行われましたが、紛争発生のため残念ながら
管理が続けられなくなりました。
クルミの生産振興..♪♪..
プロジェクトではコーカン地区の冷涼な気候で以前からクルミの木があったことに着目し、クルミの産地
形成をパイロット活動のひとつにしました。NHK の「チロリン村とくるみの木」というテレビ番組があったの
をご存知でしょうか。戦後まもなく 1952 年から始まったこの人形劇の主題歌に「♪♪..野菜、果物、村
作り...♪♪」という一節があります。果樹を植え、クルミの木を持つことは貧困から脱け出すための村
作りの定番とも言える方法なのです。産地形成のためのアプローチは2つ。まとまった面積の展示圃の
設置と農家への苗木の配布です。
- クルミの展示圃設置
コーカン地区のマンローVT とシンピンカイ VT の2か所に設置されました。面積は 1 か所が 3 エーカ(1.2
ヘクタール)です。苗は中国産。
シンピンカイ VT のクルミ展示圃
マンローVT の展示圃:植え穴を掘った跡がくっきり
- クルミ苗の配布
クルミを植えて個々の農家の収入が増えるという以外に、栽培技術向上やマーケッティングで優位に立
つには他所よりも規模の大きな生産をすることも必要です。個々の農家の栽培面積は小さくても多くの
農家が栽培すれば産地を作ることができます。プロジェクトでは今回約 6,000 本のクルミ苗木をシンピン
カイ VT に集中的に配布し、産地形成を目指しました。クルミは植えてから収穫が始まるまでに7年かか
ると言われています。コーカン地区の紛争が収束し村に再び平和が訪れたとき、「チロリン村とくるみの
木」のような光景が見られることでしょう。
倉庫に到着した約 6,000 本のクルミ苗
配布前の研修会では実際の植え方を指導
配布前の農家研修
吉田チーフアドバイザーから苗を受け取る村長
気象観測を始めました
農業灌漑省農業研究局のナウンモン農場に気象観測装置が
2014 年 12 月 22 日に設置されました。これまでは人手で雨量
を測り、室内の寒暖計で気温を測っていただけでしたが、これ
からは圃場で雨量、気温、湿度、風向風速、日射を 24 時間、自
動観測します。これにより作物の成長と気象条件との関係がよ
り明らかになり、技術開発がさらに進むことが期待されています。
ちなみに 2015 年 1 月、1 ヶ月間の最高気温は 27.1℃、最低気
温が 7.2℃でした。けっこう暑くて寒い北シャンの気候特性が良
く分かります。また、この時期は畑の小麦が収穫期を迎えまし
た。
農場の施設整備
プロジェクト対象地域には農業灌漑省の農場が 6 ヶ所あり、地域特性に応じた研究開発を行っています。
これらの農場の中で必要性に応じてチャウメ農場、ナウンモン農場、クッカイ代替作物農場、ナリ農場の
施設整備を計画中です。主な内容は井戸、貯水池、作業場などの整備です。(残念ながらラオカイ県に
あるナリ農場の施設整備は実施できない可能性が高くなりました)
(5) 生計向上部門
O-SHAN 通信創刊号でお知らせした通り、「生計向上部門」では、各パイロットサイトでの活動項目の
特定及び計画策定を支援してきましたが、全ての活動の計画策定を待って実施に取り掛かるとなると、
参加住民のモチベーションも下降気味となります。したがって、2~3 の活動項目の計画が策定された時
点で活動実施を支援していくことにしました。
中でも今回は、養豚研修とスタディツアー
についてお話ししたいと思います。養豚研修
は、これまでに 3 つのサイトで実施し、それ
ぞれ 10 名~15 名の住民の参加がありまし
た。講師は、各地の畜産・獣医局の職員に
依頼しました。手前味噌ですが、コンカー地
区のある村では、「このような技術研修が行
われたのは村の歴史始まって以来で、非常
に有意義だった」というコメントが村長からあ
りました。この村のリーダー達は、計画策定
段階でのワークショップでは、「研修も必要な
いし、とにかく子豚さえ供与してくれれば、後
は我々で管理できる」と強硬な姿勢でしたの
写真① 養豚研修(コンカー村落区)
で、この変化には正直なところ驚きました。
研修開始時に話をしたところ、この村での養
豚に関する一番の問題は病気(伝染病)だと
いうことが分かり、子豚を供与されても、十
分肥育できるか技術的に不安を持った住民
も多いことも明らかになりました。研修後、参
加者と共に研修の簡易評価を行ったところ、
全員が技術的にある程度の自信が持てた
ので、豚の飼育を始めたいとのことでした。
写真② ティーポーでのスタディツアー(ビレッジ
トレッキングを体験)
プロジェクトとしては、主に活動の持続性・発展性を考慮して、全てのサイトでリボルビングシステム、す
なわち各受益者がプロジェクトから投入された子豚と同等の現金、或いは子豚を次の世帯に回していく
システムを導入するよう対象地域に働きかけていきます。
他方、スタディツアーですが、2 つのサイトについて実施を支援しました。一つはエコツーリズム開発に
関するもので、コンカー村落区の住民と共に、ティーポーという既に観光開発が進んだ町(創刊号の
「グリーントライアングル」の項でも紹介)を訪問しました。内容は、外国からの観光客が参加するツアー
(ビレッジトレッキング、市内観光)の体験やツアー企画会社兼ゲストハウスのオーナーとの意見交換な
どでした。最後に、オーナーを含めてスタディツアーのレビューをしたところ、最も印象に残った参加者か
らのコメントは、「欧米などからの観光客をもてなすのだから、よっぽど何か近代的な洗練されたものを
見せるのかと想像していたが、どこにでもあるような田舎を歩くだけで、こんなものが観光資源になると
は思いもよらなかった」というものでした。
もう一つのツアーは農産物(主に製茶とコンニャク)のマーケティングに関わるもので、ミョーテ村落区
の農家を、マンダレー(ミャンマー第 2 の都市)とヤンゴンの起業家に引き合わせたり、また生産現場(コ
ンニャク)を訪問し、現状を把握してもらうことが主な目的でした。製茶を取り扱うマンダレーの会社では、
農家が持ち込んだ自家製の製茶に対し、オーナー夫妻から厳しいコメントが多数なされました。一方、コ
ンニャクや野菜等の生産・加工を手広く手がけるヤンゴンの起業家からは、外部の支援機関に頼らない
自助努力の重要性が熱く語られるなど、想定外の効用もあったように思います。今回のスタディツアーの
対象となった 2 つの村落区の関係者には、次のステップについて地域内で十分検討した上で、プロジェ
クトで支援できることがあれば、提案するよう働き掛けています。全ての活動に共通することですが、とに
かく、自助努力、オーナーシップ、内発的発展、持続性といった村落開発に不可欠な思想を関係者内で
共有しつつ、活動を推進・支援していきたいと考えています。(福)
(6) 出来事: コーカン地区の武力衝突
2 月 9 日に元・コーカン軍である MNDAA 部隊がラオカイへ侵入し、国軍を襲撃する大規模な武力衝突
が発生しました。プロジェクト関係者の皆様には大変ご心配をおかけしました。ミャンマー政府、日本大
使館、JICA 事務所の皆様にご支援いただきました。
紛争発生時は、ちょうどサトウキビの収穫最盛期でしたが、収穫作業はすべてストップとなってしまい
ました。大規模にサトウキビ栽培が行われていただけに、農家は大打撃です。避難した多くの農家は、
家畜も飼っていましたが、その家畜にエサをやることもできず、多くは失われていきました。ビルマ中央
部からも出稼ぎに来ていたビルマ人労働者が数百人いました。そうした人たちも、賃金をきちんともらう
余裕もなく、故郷に戻らざるを得ませんでした。
農家にとっては、サイクロン・地震同様、大災害の発生としかいいようがありません。復興には多大な
時間と労力がかかることが懸念されます。(吉)
2.プロジェクト専門家・カウンターパートの紹介
■ 新任専門家
新しく着任しました藤山です。本プロジェクトでは、農業開発部門を担当いたし
ます。いままでジブチ、モロッコ、ウガンダ、ソロモンで JICA ボランティアや
NGO の活動で栽培普及や流通開発の仕事に携わってきました。多様な関係
者のみなさまと「プロセス重視」で職務に取り組んでいきたいと考えています。
4 人の先輩専門家と同様に、皆様どうぞよろしくお願いします。(O-SHAN ファ
イブそろいました)
今は乾季の真只中ですが、はやく北シャンの地にかかる雨上がりの虹をみて
みたいです。(藤)
■ カウンターパート
「生計向上分野」でコンカー村落区を担当している Moe Kyaw(モーチョー)氏で
す。日本語の「盲腸」と発音が似ており、我々には覚えやすい名前です。現在 28
歳、独身で、彼女募集中(真偽のほどは不明)。国境省付属の短大を 2008 年に
卒業後、現在まで国境省に勤務。趣味は絵画。1 年前に、友人数名と恵まれな
い子供のための基金を立ち上げ、現在事務局長として活躍。夢は、全ての子供
に等しく教育の機会を与えること。プロジェクト活動にも、積極的かつ誠実に関
わっており、鍛え甲斐のある期待の人材。(福)
■ ナショナルスタッフ
2014 年 12 月 15 日から、アドミニ・スタッフとしてプロジェクトに参加してくれて
いる Ms. Nan Myat Moe Aye(通称:モーエーさん)です。看護師の資格を保
有し、これまで SARA、AZG/MSF 等での経験があります。一男一女のお母さ
んで、何事にも前向きに取り組む姿勢があり、期待しているところです。(今)
3.働くおじさん・おばさん
ナムサンのおじさん
もっと若いと思っていたので 1963 年生まれと聞いて驚き
ました。サイ アウン ウィンさん(U Sai Aung Win)をご紹
介します。農業局ナムサン事務所の所員です。生まれは
Thipaw、生粋のシャン人です。好きな言葉を尋ねたところ、
シャン語で「メイスーン・カァ」(=Hello)。普段はとても静
かな 3 児の父です。ところが茶畑に出ると写真のよう
に・・・。ミャンマーで一番と言われる茶の産地で 26 年間、
農家の指導をしてきた、その情熱があふれ出してくるよう
な話しぶり。農家のために働くというサイ アウン ウィンさ
んの姿勢は、チャレンジ精神につながっています。(あん
まり無理をしないでほしいと思うけど)失敗を恐れないチャ
レンジ精神こそ、ナムサンの農家を引っ張って行く原動力
です。がんばれ、サイ アウン ウィンさん!(片)
4. プロジェクト対象地域の少数民族紹介
シャン族 (Shan, Dai)
シャン州は名前のとおり、シャン族が多数派を占めます。
彼らの言語はシャン語。タイ語やラオ語にかなり近く、北タイの民族
(タイヤイ)とは同じ仲間とのこと。北部タイ語が話せる方なら、シャン
族と仕事をすると楽しいでしょう。ちなみに中国雲南省では傣族(タイ)
と呼ばれています。
プロジェクト対象地域では、ラショーをはじめ、ナムサン、クッカイ、
ムセタウンシップに多く居住しています。
シャン族の料理で有名なのは、餅米麺のシャンカウスエですが、他
にも漬け物、納豆等発酵食品も多く、脂っこいビルマ料理が苦手な日
本人のオッサン向きといえます。
シャン州の旗。O-SHAN 通信のヘッダー
の右側で使っています。現在のミャンマー
の国旗が発表された際、色使いが似ている
ので、多くのシャン人は「デザインをパクら
れた!」と思ったそうです(笑)。
しかし現在のミャンマー国旗は、もともとビルマが日本軍の指導下に
あった時期の旗をベースにしていると思われますので、シャンのものをパクったという話には当たらない
のでしょうね。
5. ラショーにて
3 月 18 日、
プロジェクト事務所内の桜が開花しました。
ラショーに移動寿司屋さんが営業を開始しました。
3 月 26 日、2 重の虹が・・。
虹のずーと向こうが、ラウカイ県です。
左から時計回りに、エビ、ツナ、カニ巻です。
1,000 チャット/パック。(今)
【編集後記】
(吉)社会経済調査に同行した際、ある村長に「今後、どのように村を発展させるのが良いか?」と意見を
求めたら、彼の即答は、「政府、援助機関のおかげで、道路・水道・電気・学校ができ、“村”は発展
した。今後は、“農家個々”が発展しなくてはならない」。うーむ、勉強になりました。
(片) 1 月、現場に出たとき泊るクッカイとコンジャンの宿は枕元の室温が 11 度。Very 寒かったです。
(福) ラショーでは、1 月中旬に最も寒く感じましたが、2 月に入ると気温がぐんぐん上がりだし、3 月中旬
の日中はすでに真夏といった感じです。身勝手なもので、すでにあの寒い日々が懐かしいです。
(藤) シャン州でおいしいワインをつくるのが夢です。まずは苗を挿してみます。
(今) 通勤に車輛を使うようになり、また、芝刈りもできないので運動不足です。
附録です。
現在ようやく暖かくなってきましたが、昨年 12 月、今年の 1 月のラショーの最低気温は 6℃まで下がりま
した。
日向ぼっこをするオジサン A
それでも裸足のオジサン B
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