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議事要旨(PDF形式:26.6KB)
第4回電気事業分科会議事要旨
◎日時:平成14年2月1日(金) 14:00∼16:30
◎場所:経済産業省 第1∼3共用会議室
◎出席委員:
鳥居会長、植草委員、上原委員、大田委員、大塚委員、大歳委員、金本委員、鎌
田委員、川口委員、河野委員、坂本委員、末次委員、関根委員、高梨委員、千速
委員、妻木委員、鶴田委員、八田委員、藤委員、南委員、森委員、吉岡委員、渡
辺委員
(経済産業省・資源エネルギー庁)
河野資源エネルギー庁長官、迎電力・ガス事業部長、長尾電力・ガス事業部政策
課長、川本電力市場整備課長、舟木電力基盤整備課長、原山原子力政策課長
◎議事概要
1.連邦エネルギー規制委員会オニール氏より説明
日本の電力業界の再編について勧告あるいは提言するつもりはない。米国電
力市場に再編を導入した目的は、消費者を含めた全ての市場参加者により多く
の選択肢を提供するということと、効率性向上による消費者負担の低減である。
再編後、全需要家が負担するコスト(実質値)は低下している。
カリフォルニアでは市場設計にもその実施にも問題があった。要は政治的妥
協の産物としてできたものである。最初の2年は供給力に余裕があり上手く
いっていたが、干ばつ等による渇水で電力料金が高騰した。昨年4月に発電事
業者の値上げ狙いの電力出し惜しみ阻止を目的として市場支配力軽減策を実施
した結果、電力料金は300㌦から100㌦に低下し、その後は天候が良かっ
たことや需要家節電策が功を奏したことから、今では2000−2001年に
比べて10分の1まで下がっている。
米国北東部には3つのISOがそれぞれ独自の市場設計を行い、教訓を得て
いる。既存の良好事例をもとにFERCは全米を対象とした標準型の市場設計
を打ち出すことが可能と考えている。標準市場設計は、信頼度の確保と市場支
配力の低減という内容を盛り込んだものでなければならない。これまでの経験
から、上手く機能する市場設計はノード毎のLMPであり、相対契約・長期取
引・環境面での配慮も盛り込んだものでなければならないと考えている。また
州によって自由化のペースが異なるので、これを加味できるものでなければな
らない。これまでの経験、理論、公聴会などから、この標準型の市場設計は上
手くいくと信じている。
この市場設計には最低3つの市場が含まれている。1つ目はリアルタイム市
1
場。ここではISOが発電事業者と需要家からの入札を取り込み、需給を調節
することにより系統の信頼性を保証している。2つ目は1日前市場。ここでは
予備力が確保され、送電の適切性が確保され、最も効率的な価格で電力が供給
される。3つ目は送電権市場。1年間の入札を行う。こうした一元化した形で
入札する理由は、①信頼性の確保、②市場支配力の軽減、③価格ができるだけ
安価で設定されることを保証するものである。同時に市場参加者は送電権を
持っていれば長期契約の締結が可能になる。送電権を持たない場合は市場決済
価格で評価される。
市場が逼迫した際には市場支配力軽減策を実施する。市場支配力軽減策が実
施されると、余力がある発電事業者は限界コストで入札することが求められる。
但し、支払いは市場決済価格である。なぜ、このような一元化された市場を提
言するかというと、系統システムの信頼性確保のためである。来日して様々な
人と会った中で聞いた言葉だが、電気はハンバーガーと違う。
以上まとめると、標準市場設計は、信頼性の確保、供給の確保、競争的な市
場インセンティブを提供するものであり、これにより最大限の利益を消費者や
効率の良い事業をしている市場参加者に提供できる。また、この市場設計では、
グリーンリソースと言われる太陽光発電や風力発電といった再生可能エネル
ギーを使った電源もその実力を発揮することができる。我々は、この設計の下
で市場が健全に発展し、各州がどういうペースで競争導入を図っていくか判断
することを期待している。この市場設計の下では垂直事業型の事業者も原子力
も機能する。また消費者は選択肢を提供され、参加することも可能になる。F
ERCでは多くの公聴会を開き、様々な関係者からの懸念と意見を十分に理解
したいと思っている。
更に送電部門での競争導入も開始した。送電部門でのISOの存在は必要条
件である。この点での市場設計は単に理論的な検証のみだけではなく既に実証
済である。この市場設計における価格の設定は地域別、それもノード毎の地域
で設定される。これまでの実験的な経験の中から、他の単位でのアグリゲー
ションは上手くいかないと分かった。
消費者は市場設計の第一ラウンドでかなり失望したかもしれない。しかしそ
こからの批判には十分に耳を傾けた。そして新しい市場設計では市場支配力の
低減を図ることになっているので、これまで批判的だった人からも良い反応を
得ている。もう一つ重要なのは、この一元的市場の外で長期契約並びに短期契
約の市場が存在する点である。ISO並びにRTOは、何れも電力事業者とは
独立したものであり、取引市場の運営を公正で効率的に行えるし、市場支配力
の監視を中立的な立場から行うことができる。州によっては再編のプロセスを
スローダウンさせているが、競争的な小売市場を発展させるためには、競争的
な卸市場を発展させることが非常に重要な要素であると考えている。最近カリ
フォルニアISOが、この標準市場設計に良く似た市場設計を提案した。この
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市場設計は、西部・中西部・北東部の市場参加者の支持を得ており、また、消
費者団体の多くも支持している。
過去から教訓は十分に学んだと考えている。同じ過ちは避けたい。米国で犯
した過ちを他国が犯さないように参考になればと期待している。しかし後戻り
はしない。前進あるのみ。
エンロンの破綻について、エネルギー市場においての影響はほとんどなかっ
た。エンロンは市場にとても良い取引のやり方を導入した。ここから学ぶべき
教訓は、証券や監査や財務報告についてである。卸売市場がエンロン破綻後も
直ぐに正常化したのは評価していい。
2.資源エネルギー庁より説明
電力・ガス事業部電力市場整備課川本課長より、資料に沿って米国電力改革
に関する消費者団体等の反応について説明。
3.オニール氏の説明に対する質疑応答
○ 2点質問したい。①安定供給確保の責任について。米国では当初、市場が供
給責任を担うということであったが、カリフォルニアの例でも市場が供給責任
を果たせないことは明らか。そもそも市場は供給責任を持つ実体でない。オ
ニール博士は、具体的に供給責任を果たすのは地域の電力会社と言われている
がどういうシステムなのか。②発送電の設備投資インセンティブ確保について。
競争市場では余剰設備を極力持たず、品不足気味の状態によって利益を得よう
とするプレーヤーが出現することもありうる。比較的上手く行っているPJM
も需要の伸びに発電設備の建設が追いつかず設備率が徐々に下がったり送電線
への設備投資も進んでいないと聞いている。市場原理を導入する際に必要な設
備確保をする方策について米国の考え方を聞きたい。
○(オニール氏)市場が機能するためにはやるべき事が沢山ある。まず地域の電
力会社は、リアルタイムで反応することのできない消費者に対して十分な供給
電源を保有するかあるいは契約すること、並びに停電などのときに備えて予備
力を保有すること。そして、市場支配力を軽減することが非常に重要だ。
電力会社は株主のために会社の利益最大化を図る義務があるが、発電事業者
は十分な供給をしないことで利益をあげることができる。しかし、FERCで
は発電事業者が限界運転費用を越えた価格水準で出し惜しみをすることは違法
としている。この一元化された市場構造の目的は、信頼度の制約の範囲内で価
格が決まるということである。料金設定をローカルベースで透明性にすること
で、発電事業者も送電事業者も適切な設備投資の判断が可能となる。RTOや
ISOには全ての参加者が加わる計画プロセスがあり、市場で必要となる発電
が確保できなかった場合、RTOが供給責任を負っている電力会社に供給命令
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を行う。市場が機能するのを待つだけの時間的余裕はあると思うし、市場の方
で担保できなくても計画プロセスで信頼度が確保される。試してみない限り、
市場システムは上手くいかないという宣言はできない。勿論、信頼性の確保と
いうところには十分に配慮していく。
○ 資料の3ページにある小売価格の凍結と会計システムの関係について教えて
欲しい。もうひとつ、資料9ページの限界費用について、カリフォルニアでは
どうやって非公開で算出したのか。
○(オニール氏)カリフォルニアの市場設計における小売価格の引き下げ及び凍
結は、消費者団体が勝ち取った政治的妥協の産物である。カリフォルニアの電
力取引はきちんとした市場を考えて作られたものでなく、回収不能費用を回収
するひとつのメカニズムとして作られたという点に問題があった。また市場参
加者はその市場で利益を得る方法を学んだ。マーケターに市場の設計をまかせ
たわけであり、米国流に言えば「鶏小屋の見張りを狐にやらせる」ということ。
限界費用というのは非常にセンシティブな情報なので、非公開にしてISO
と規制委員会にのみの提出にした。非常に単純に言うと、燃料のスポット価格
とヒートレートを掛け合わせたものである。
○ プールが上手くいっていると評価されているPJM・北欧・ドイツでは、全
体におけるプール取引比率はせいぜい20%で残りは長期契約である。これを
黄金率と考えて良いか。
プール価格やスポット価格は乱高下が激しく、当然、リアルタイム市場もと
激しく乱高下する。この現象がFERCの市場支配力低減措置で上手く収まる
のか。乱高下するスポット市場のボラティリティー抑制のヘッジをするために
まず先渡し市場、それで不十分ということで次にデリバティブ市場、更には先
物市場が必要とされる。競争市場がそういう展開であれば大変な取引コストが
次々に追加されていくことになるが、全体として本当にそれでいいのか。
○(オニール氏)先渡しの長期契約はリアルタイム市場での乱高下をヘッジする
からといって、リアルタイムの価格が却って台無しになってしまうということ
は避けなければならない。そうなると本当の意味での競争市場ではなくなる。
飽くまでも市場支配力の低減が目的である。
20対80が黄金率だとしても義務付けられるものではない。飽くまで市場
参加者が任意に契約をしているということ。送電権の取引市場を提唱する理由
のひとつは、発電事業者から需要者までの送電の長期的な確保である。経験の
中で学んだのは、長期・短期のどちらかに依存するのではなく組み合わせてい
くことが適切だということ。
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○ 投資インセンティブについて質問。系統運用についてLMPなど限界費用に
基づいて運用するということであるが、系統の拡張その他のことを考えると総
括原価が問題になる。この2つをブリッジするいわゆるリベニューリコンソシ
エーションという問題が標準市場設計の際大きな問題にならない程度に議論が
まとまっているのか。
○(オニール氏)理論的にLMPのもとで適切な価格シグナルが発電事業者・送
電事業者・消費者に送られるはずである。しかし、同時に既設の送電システム
にインセンティブが提供されて増強が図られることを保証するのも重要である。
そこで市場が上手く機能するかどうかは時間をかけて見ていきたい。しかし、
残念ながらそれが駄目だということであれば、計画プロセスで必要な増強を図
ることになる。送電に関してのプライシングをどうするかということについて
は米国では議論が始まったばかり。
○ 標準型市場設計をすることでグリーンエネルギーも実力を発揮することがで
きる、という部分をもっと詳しく説明して欲しい。 公聴会における意見の求め
方・期間・発表のタイミングについて教えて欲しい。また、情報の開示につい
てどう考えられているか知りたい。 資料3ページ目の小売価格を下げて凍結と
いう点がカリフォルニア危機の問題に直接関係あると日本のマスコミ等では報
道されているが、この点について詳しく教えて欲しい。
○(オニール氏)グリーンパワーで特に重要な風力や太陽光発電はどちらも天候
次第でいつ発電できるか分からないので長期契約は結べないが、リアルタイム
市場であれば取引可能となる。太陽光発電は需要の大きい日照時間に生産性が
高い。公聴会のプロセスは、様々な有識者の意見を聞くことになっている。議
事録も公表されている。情報開示は、価格や量をリアルタイムで応札価格の後
に公開している。小売価格凍結はカリフォルニアの問題のひとつ。この小売価
格凍結により安価で電力を購入する権利に変換可能な仕組みにしていれば、消
費者は節電すれば電力が浮くので余った電力を市場に売却して利益をあげるこ
とが可能になる。ただこの考えは非常に新しいため多くの人は理解していない。
○ 標準的な取引市場で、送電権のオークションが提案されている。まだ提案の
段階なので現実にはないと思うが、あったら教えて欲しい。
○(オニール氏)PJM、北東市場、ニューヨークISO、中西部ISOなどで
既に実施され、機能している。
(オニール氏退席)
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4.全体の質疑応答
○ 前回分科会で矢島さんのカリフォルニア危機の原因についての説明では、①
環境規制、②市場支配力、③長期契約の禁止、④小売価格の固定であったが、
価格の固定についてあまり強調されていなかった。昨年私も調査に行ったがこ
の点は非常に大きな問題であった。カリフォルニアで採用された20対20政
策は、前年度比で使用電力を20%削減した需要家には20%の割り引きを行
うという需要サイドのインセンティブ政策である。昨年8月は天候要因を調整
したうえで前年比7.7%電力需要が減少し、経済成長分を調整すると約9%需
要が減少している。これはかなりの効果であり、価格に対して需要は反応する
ということだ。小売価格の固定は回収不能費用の回収を目的とした過渡的な政
策であるが、もし、回収不能費用が回収されて価格が自由に変更できるように
なれば、カリフォルニアでも様々な欠点があるにも係わらずきちんとした卸価
格が小売価格に伝えられて市場は機能したと思う。一方、PJMは基本的には
卸価格が小売価格に伝わる仕組みになっている。両者の差は価格の固定という
市場の根幹に係わることであり、カリフォルニアの場合とても自由化とは言え
なかった。
従って、我が国で自由化をやる場合、中途半端な妥協はしないで原理原則に
立ち返って市場機構がきちんと機能するようにするべきだ。
○ 我が国の電力自由化はひとつの制度設計を作り上げているので、これが十分
に機能するようにやるべき。前回の分科会で、スタートとしては比較的順調で
あるという話もあったが、まだ我が国は遅れている。そこで何が必要かと考え
たものを申し上げたい。①事故時バックアップ料金については、市場を創設し
複数発電所の供給予備力をとりまとめて市場をつくりそこから不足分を調達で
きないか。同時同量という問題についても有効に機能できないか。
②託送料金については、料金のレベルの問題と透明性・公明性の問題がある。
国鉄改革でオペレーション部分とネットワークを形成しているインフラ部分の
上下分離の議論があったが、結果的に地域分割ということで今日に至っている。
勿論電力とは違うし敢えて申し上げる必要がないかもしれないが、慎重に議論
するべき。ただ託送料金の低減をどうするかというのは非常に大きな問題であ
る。現在の総括原価方式の中で託送料金を引下げるのは、なかなか難しい。
③原子力の扱いについては国レベルで方向性を決めるべきであり、自由化とは
切り離せない。④新規発電設備の促進は、リードタイム短縮のため環境に対す
る負荷がそれ程大きくない発電設備の環境アセスを簡素化すべき。
○ 前回の分科会のプレゼン及び今回のオニール氏の話でも、卸売市場に適正な
競争メカニズムを入れるときの基本は相対取引であり、長期も中期も短期もあ
るとしている。相対取引に競争メカニズムを入れるとき、隣りに激動するス
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ポットマーケットを入れることになると、片方の太宗をなす相対関係がフレキ
シブルなものにならないと卸売市場全体として機能しないのではと懸念したが、
今日のオニール氏の話を聞いて更にその思いを深めた。 また、投資と建設が一
番難しい送電線の建設問題は、まだまだ知見が必要だと改めて思う。
○ 前回の分科会で海外事例について様々な説明があった際、他の委員も指摘さ
れたように、それらの制度が狙いどおりに上手くいったかのか、あるいはどん
な背景があったのかということも検証して将来の参考にすべきという観点から
まとめた話をしたい。
(配付資料に沿って海外の電力改革に関する電力会社の見解について説明)
事務局で、以下の点をオニール氏に確認して欲しい。①原子力もアコモデー
トできるという発言があったが新設分を含めたものか否か。私の米国の友人は、
自由化の中で原子力発電所の新設は絶対に起らないと言っている。②ELCO
Mという消費者団体は次のようなことも言っている。
「同一市場において供給と
需要の双方が結合されていない限り、競争的市場は機能しない。卸のみの市場
は決定的な失敗をもたらす。」米国は連邦が卸を規制して州が小売を規制してい
るという事情があるから、卸から小売まで一貫した制度ができないのではない
か。③オニール氏はあのシステムは検証済だと言われたが、検証はシステムの
部分ではなく全体を調査しないといけない。あのシステムを1セットで検証さ
れた例は米国ではないのではないか。
○ オニール氏は非常に謙虚に話をされた。FERCという自由化の推進論者の
立場でありながら、現実的には事故が発生して反省しているということで冷静
だった。日本も見習うべき。先程カリフォルニアの電力危機は小売価格を固定
したことが原因と言われた委員がいたが、しかし小売価格を固定せずに小売価
格にストレートに転嫁したらマスコミも知事も黙っていない。恐らく卸売価格
を抑えろという行動につながりもっと大混乱に陥っただろう。 消費者は価格が
乱高下することと、じわじわと価格が低下するように努力し監視もするという
こととどちらが良いか、国民の7∼8割の合意形成が必要なのではないか。
○ 自由化すればスポット市場の価格は変動するが、変動を嫌う人は当然長期契
約を行う。しかしカリフォルニアのように小売価格を固定すると大口需要家で
さえ長期契約ができない。一方小口需要家は電力会社とマーケターという選択
があった。その際マーケターの料金設定も固定化されたものであるが、先物を
使ったりという様々な工夫が可能となる。
全体として自由化すると価格が乱高下して大変と言われるが、そうではない。
基本的な形態は、大口需要家も含め固定した価格に基づいた供給である。その
調整としてスポット市場が上手く機能し、そのスポット市場があるからこそ長
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期の先物市場ができる、という仕組みだと思う。
○ オニール氏の話には強烈なメッセージを受けた。特に、「マーケットデザイ
ン」という言葉。日本で自由化というと何だか決まり事を外して放っておくと
いうイメージが一般的にあるが決してそうではないということと、失敗も素直
に認めた上で前向きに進んでいることは強烈なメッセージだった。
電力業界も何れ国際的な競争になる。品質やサービスの水準に対する期待値
が一番高い日本の市場で安定供給を継続してきた電力会社は、それをバック
アップする技術力や経験も持っているので、グローバルな市場への進出の機会
もあるだろうし、もっとあってもいい。我が国は、今タイミング的にも世界中
で失敗や成功の経験のある有利な立場にあるので、これからくるグローバルな
競争状況を睨んだうえで市場をどう設立するかという問題や中立性確保の問題
を具体的に日本の現実に則した形でこれから議論して欲しい。
○ 電力市場は私的利益と社会的利益が乖離しがちであるが、それをどうやって
一体化させるかがポイント。オニール氏も企業の私的利益を前提としつつ、社
会的利益を確保するためにそれなりの仕組みが必要と言っている。市場設計に
ついてマーケットが上手く機能する設計はあると思う。但し電力は非常に特殊
な財であり財が均質的であるため、マーケットの設計如何によれば価格が過剰
に反応することは十分に有り得る。従ってそういうものを念頭に置きながら
マーケットの市場設計をやる必要がある、というメッセージをオニール氏から
頂いたと思った。
○ 電気の財の特殊性という言葉は注意して使う必要がある。規制産業の財は全
て特殊性を持っている。何が規制の根拠なのか十分考えなければいけない。発
電分野の地域独占を認める必要がなくなったら総括原価方式を止めて市場で価
格形成することになる一方で、財の特殊性からネットワーク管理や同時同量維
持という流通段階での独占が残り、系統運用の部分の規制が必要になる。これ
は単なる規制の廃止ではなく全面的な規制の組み替えである。規制の構造が替
わる中では、発電と送電を分離して送電を完全に独立して管理する必要がある。
5.閉会
第5回分科会は、3月8日(金)14時より開催予定。
文責:事務局
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