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4 肝疾患対策

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4 肝疾患対策
4 肝疾患対策
第1
現状
肝疾患対策については、その多くを占めるウイルス性肝炎について、肝炎対策基本法(平成21年(2009
年)1月1日施行)に基づき、肝炎研究を推進し、その成果等を普及・活用・発展させること、居住地
域にかかわらず肝炎検査及び肝炎治療を受けることができるようにすること、それらの措置を講ずるに
当たっては肝炎患者であることを理由に差別されないように配慮することが求められています。
1
急性ウイルス肝炎患者の発生動向
長野県の急性ウイルス肝炎患者は、型別の発生動向調査が開始された平成 16 年(2004 年)以降、15
名を超えない範囲で推移しており、全く発生のなかった年もありました。
そのうち、型別では、E型は減少傾向、A型及びB型は年により変動が大きく、C型は2件以内で推
移しています。
【表1】 感染症発生動向(調査開始時点(H16)以降) (全数届出)
(単位:人)
年
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
区分
急性E型肝炎
3
1
3
2
1
-
-
-
急性A型肝炎
6
3
3
2
1
-
6
2
急性B型肝炎
2
1
7
4
3
-
1
8
急性C型肝炎
-
2
-
2
2
-
1
-
上記以外(不明含む)
-
-
1
-
-
-
-
-
11
7
14
10
7
-
8
10
県
小計
(健康長寿課調べ)
2
肝疾患による死亡率等の動向
本県における肝疾患による年齢調整死亡率は、男女とも全国より少ないが、男性は改善の傾向、女性
は悪化の傾向にあります。
全国順位についても、男性については少ない方から 10 位以内、女性については平成 22 年(2010 年)
を除き、少ない方から 10 位以内を占めています。
【表2】 肝疾患による年齢調整死亡率(人口 10 万対)の推移
区分
内容
男性
H7
H12
女性
H17
H22
H7
H12
H17
H22
全国
16.4
14.0
12.6
11.2
5.6
4.4
4.2
3.8
長野県
10.9
8.2
10.1
8.5
3.0
2.8
3.3
3.5
5位
2位
10 位
6位
2位
3位
10 位
23 位
年齢調整死
亡率(人口
全国順位
10 万対)
(低率順)
(人口動態統計)
3
ウイルス肝炎医療費給付
本県では、昭和 56 年(1981 年)度以降、国に先駆けてB型肝炎患者又はC型肝炎患者に対する医療
費給付を行っています。これまでの経過については、図1のとおりです。
435
また、現在(平成 25 年(2013 年)1月時点)の給付内容については表3、過去5年間の給付状況に
ついては表4のとおりです。
高額、効果的な治療に対する給付
※ 本県では H19.10 から実施
【図1】 これまでの経過
治癒、安定した状態(ウイルス量抑制、肝機能維持)
自然治癒
肝炎ウイルス
治療法の進歩
感
染
抗ウイルス療法(インターフェロンなど)
輸血、血液製剤、
肝硬変
母子感染 等
肝がん
肝炎
(急性・慢性)
難病対策として医療費(入院)を給付
保健所におけるウイルス肝炎検査
(H18 から感染不安者に対しては無料実施)
【表3】 ウイルス肝炎医療費給付事業の給付対象
区分
入院
治療法
フィブリノゲン製剤等の
通院
使用を証明された者
フィブリノゲン製剤等の
使用を証明された者
抗ウイルス療法(インターフェロン、核酸
◎
◎
一部○
◎
◎
○
-
○
アナログ)
○
抗ウイルス療法以外の療法
(注)◎は国庫補助対象事業、○は県単独事業、-は対象外
【表4】 医療費給付に係る受給者数・公費負担額の推移(過去5年)
(単位:人、千円)
年度
H19
H20
H21
H22
H23
区分
受給者数(年度末時点)
うち抗ウイルス療法
公費負担額(千円)
3,662
3,487
3,276
3,241
3,070
1,061
1,237
1,142
1,182
1,112
100,373
169,244
157,325
178,821
152,171
(健康長寿課調べ)
4
ウイルス肝炎検査の受診状況
(1)保健所におけるウイルス肝炎検査の実施
保健所における有料検査として昭和 58 年度(1983 年度)にB型肝炎検査、平成 12 年度(2000
年度)にC型肝炎検査を開始し、平成 18 年度(2006 年度)から国庫補助導入により無料化していま
す。
(2)市町村が行う健康診断におけるウイルス肝炎検査の実施
市町村が行う健康診断におけるウイルス肝炎検査については、平成 14 年度(2002 年度)からは老
人保健事業(国庫補助)として開始、平成 20 年度(2008 年度)以降は健康増進事業(国庫補助)と
して実施しています。
436
【表5】 ウイルス肝炎検査の実施状況(過去5年)
年度
H19
H20
H21
H22
H23
区分
保健所実施分(長野市含む)
B型受診者(人)
2,939
650
323
89
67
9
2
4
1
2
0.31
0.31
1.33
1.12
2.99
3,103
654
324
88
66
27
19
1
1
1
0.87
2.91
0.33
1.14
1.52
14,807
12,940
10,070
10,259
21,082
うち陽性者(人)
106
132
80
69
82
陽性者の割合(%)
0.72
1.02
0.79
0.67
0.39
14,273
13,109
8,992
8,359
20,529
うち陽性者(人)
119
100
59
47
62
陽性者の割合(%)
0.83
0.76
0.66
0.56
0.30
うち陽性者(人)
陽性者の割合(%)
C型受診者(人)
うち陽性者(人)
陽性者の割合(%)
市町村が行う健康診断
B型受診者(人)
C型受診者(人)
(健康長寿課調べ)
5
肝疾患診療連携体制
ウイルス性肝炎患者に適切な治療を提供するため、肝疾患診療連携拠点病院を県内に1か所、専門医
療機関、かかりつけ医の3層構造からなる肝疾患診療連携体制を構築しています。
具体的な医療機能及び診療ネットワークの図2については、以下のとおりです。
(1)肝疾患診療連携拠点病院
平成 20 年(2008 年)10 月1日に、国立大学法人信州大学医学部附属病院を指定し、併せて肝疾患
診療相談センターを同病院内に設置しました。
(2)肝疾患に関する専門医療機関
長野県肝疾患診療連携拠点病院等連絡協議会が表6の基準による審査を行い、審査の結果、基準を満
たすと認められる医療機関については、長野県ウイルス肝炎診療協議会が肝疾患に関する専門医療機関
としての指定を行います。
肝疾患診療相談センターのホームページに掲載されています。
http://www.shinshu-liver.jp/medical/medical_nstitution/index.html
(3)かかりつけ医
ウイルス肝炎の患者を診療している医師からの届出により登録し、肝疾患診療相談センターのホーム
ページに掲載します。
http://www.shinshu-liver.jp/medical/network_list/index.html
【表6】 ネットワークの構成員及び求められる役割及び要件
ネットワークの構成員
求められる役割及び要件(注)
肝疾患診療連携拠点病院
・医療情報の提供
信州大学医学部附属病院
・県内の専門医療機関等に関する情報の収集や提供
・医療従事者や地域住民を対象とした研修会・講習会の開催、相談支援
437
・専門医療機関との、ネットワーク運営に関する協議の場の設定
・肝がんに対する集学的治療が実施可能
専門医療機関
・(1)肝疾患に関する専門的な知識を有する医師(※)による、診断(活
二次医療圏(県下 10 圏域)
に1ヶ所以上設置
動度及び病期を含む)と治療方針の決定が行われていること。
(※)日本肝臓学会又は日本消化器病学会の専門医、又はこれらの専門
医と同等の知識を有すると認められる者。
・(2)インターフェロン治療などの抗ウイルス療法を適切に実施できる
こと。
・(3)肝がんの高危険度群の同定と早期診断を適切に実施できること。
・(4)肝疾患に関する研修会等に積極的に参加できること
かかりつけ
かかりつけ医
りつけ医
・患者にとって最も身近な存在
県内全域の肝疾患を診療
・内服処方・注射・定期的な検査等、日常的な処置を実施
する医療機関
・専門医療機関との診療連携
・肝疾患に関する研修会等への参加
(注) 求められる役割及び要件については、厚生労働省の「都道府県における肝炎検査後肝疾患診療
体制に関するガイドライン」をもとに作成
【図2】
長野県ウイルス肝炎診療ネットワーク
肝疾患診療連携拠点病院を中心とした、かかりつけ医と専門医療機関との連携による良質かつ
適切な医療を提供するための診療体制
専門医療機関の
指定又は取消
肝疾患診療連携拠点病院
(信州大学医学部附属病院)
長野県
ウイルス肝炎
診療協議会
治療分野
長野県肝疾患診療連携
拠点病院等連絡協議会
肝疾患診療相談センター
診療
相談
(診療ネットワークの事務局)
診療
相談
研修・
情報提供
研修・
情報提供
紹 介
専門医療機関
かかりつけ医
(県内46医療機関)
(登録制 116医療機関)
お返事
受診・診療
相談
受診・診療
情報交換
情報交換
患者
検査・保健
指導分野
(患者会)
検診
保健
受診
指導
検診実施者
(行政・事業者)
438
(事務局:
健康長寿課)
ウイルス肝炎
対策全般、
ネットワークの
基本的枠組み
について協議
専門医、医師
会、患者代表
等で構成
肝疾患診療相談センター
信州大学医学部附属病院に平成 20 年(2008 年)10 月1日に設置され、2名の専任職員、看護師
とソーシャルワーカーが電話(0263-37-2922)、FAX(電話と共用 0263-37-2922)
、電子メール
(http://www.shinshu-liver.jp/contact/)で患者の方からの相談のほか、医療機関や医療関係者の方か
らの専門的な問い合わせに対応し、肝臓専門の医師が一週間以内に電話、FAX、電子メールでお答
えすることとしています。
また、肝炎医療従事者を対象とした研修会や市民公開講座を毎年、定期的に開催し、かかりつけ医
への最新情報の普及と共有化に努め、一般住民に対する啓発活動を行っています。
そのほか、肝疾患に関する専門医療機関、かかりつけ医のリストをホームページに掲載するなど、
患者の皆さんに有用な情報提供を行っています。
6
普及啓発の状況
患者にとって身近な存在であるかかりつけ医に対して、「長野県ウイルス肝炎診療ネットワーク」への参加登録を
進めていくために、信州大学医学部附属病院との共催により、肝炎医療従事者等研修会を県下2箇所(長野、松
本)で開催しています。
第2
課題
○
ウイルス肝炎の患者・死亡者をさらに減少させることが望まれます。
○
平成19年度(2007年度)以降、ウイルス肝炎の医療費給付の受給者数は減少していますが、抗ウ
イルス療法を行う受給者は減っておらず、引き続き医療費給付を行う必要があります。
○
市町村が積極的にウイルス肝炎検査を勧奨した結果、平成23年度(2011年度)はその受診者が大
幅に増加しており、このまま受診者が増加することが望まれます。
○
保健所が行うウイルス肝炎の検査については、平成19年度(2007年度)に比べて大幅に減少して
おり、受診者を増やすよう取り組みを強化する必要があります。
○
居住地域にかかわらず肝炎検査及び肝炎治療を受けることができる体制の整備が求められていま
す。
第3
1
今後目指すべき姿と取組
目指すべき県民の健康状態等
○ ウイルス肝炎患者が減ること。
○ 肝疾患による死亡者が減ること。
2
県民の取組として望まれること
○ ウイルス肝炎検査を受診する県民の増加。
3
関係機関・団体の取組として望まれること
(1)医療機関
○ 肝疾患専門医療機関の増加。
○ 肝疾患のかかりつけ医の増加。
(2)市町村
○ 肝炎ウイルスの検査の受診者の増加。
○ ウイルス肝炎検査の陽性者に対する受診勧奨、受診結果確認の実施。
439
○ 妊婦に対するB型肝炎予防対策の継続。
(3)関係機関・団体
○ 職域の健康診断においてウイルス肝炎検査を実施する事業所の増加。
4
県の取組(施策の展開)
○ ウイルス肝炎医療費の給付を継続します。
○ 保健所におけるウイルス肝炎検査を継続して実施します。
○ 保健所におけるウイルス肝炎検査の陽性者に対する受診勧奨、受診結果の確認を行います。
○ 医療従事者等のハイリスク集団に対するB型肝炎ワクチンの有効性、安全性等に関する情報提供を
行います。
○ 肝炎の知識や医療制度に係る広報・普及啓発を行います。
○ 肝疾患診療連携体制の整備を促進します。
第4
1
数値目標
県民の健康状態等
指
標
現 状
(H24)
目 標
(H29)
目標数値
の考え方
備 考
(出典等)
8人
8 人以下
現状より減
感染症発
少
生動向調
過去5年の
査
B型ウイルス肝炎感染者
(H23)
0人
2 人以下
C型ウイルス肝炎感染者
(H23)
肝疾患による年齢調整死亡率(人口 10
万対)
(男性)
8.5 以下
(H22)
肝疾患による年齢調整死亡率(人口 10
万対)
(女性)
2
8.5
最大値以下
3.5
3.0 以下
(H22)
現状より減
人口動態
少
統計
現状より減
少
県民の取組
指
標
現 状
(H24)
目 標
(H29)
目標数値
の考え方
備 考
(出典等)
67 人
100 人
現状より
健康長寿
増加
課調べ
B型
(H23)
保健所の無料検査の受診者数
66 人
100 人
現状より
C型
(H23)
21,082 人
増加
25,000 人
現状より
B型
(H23)
増加
市町村の肝炎検査の受診者数
20,529 人
25,000 人
現状より
C型
(H23)
検査陽性と知った後の医療機関受診
今後調査予定
増加
20,540 人
B型肝炎検査の受診妊婦数
現状より
健康長寿
増加
課調べ
現状より
こども・家
増加
庭課調べ
増加
20,540 人以上
(H23)
440
3
関係機関・団体の取組
(1)医療機関
現 状
(H24)
目 標
(H29)
目標数値
の考え方
肝炎専門医療機関の増加
46
50
現状より増加
かかりつけ医の増加
116
120
現状より増加
指
標
備 考
(出典等)
肝疾患診療相
談センター調
べ
拠点病院の肝疾患相談センター
実施中
現状を維持す
健康長寿課調
る
べ
継続
のホームページ掲載
(2)市町村
指
標
現 状
(H24)
目 標
(H29)
77
77
ウイルス肝炎検査の実施市町村数
65
受診勧奨
目標数値
の考え方
備 考
(出典等)
現状を維
健康長寿
持する
課調べ
現状より
健康長寿
増加
課調べ
77
(H23)
ウイルス検査陽性者へのフォ
ローアップ等を行う市町村数
31
受診結果確認
現状より
77
(H23)
B型肝炎母子感染予防対策の実施市町村数
77
増加
現状を維
こども・家
持する
庭課調べ
77
(3)関係機関・団体
指
現 状
(H24)
目 標
(H29)
今後調査予定
増加
標
職域の健康診断におけるウイルス肝炎検
査の実施事業所数
4
目標数値
の考え方
備 考
(出典等)
現状より
健康長寿
増加
課調べ
県の取組(施策の展開)
指
標
無料検査を行う保健所数
受診勧奨
現 状
(H24)
目 標
(H29)
11 保健所
11 保健所
11 保健所
目標数値
の考え方
備 考
(出典等)
現状を維
健康長寿
持する
課調べ
現状を維
健康長寿
持する
課調べ
11 保健所
ウイルス検査陽性者へのフォ
ローアップ等を行う保健所数
現状より
受診結果確認
なし
11 保健所
増加
医療機関への立入検査の際におけるB型肝炎
今後調査予定
対策の確認
肝臓週間
(肝炎デー(7月 28 日)を含む1週間)
実施中
肝疾患診療体制の周知
県のホームページへの掲載
第5
関連する分野
アルコール(第4編第4節)
、がん対策(第7編第1節)
441
健康長寿
増加
課調べ
現状を維
健康長寿
持する
課調べ
現状を維
健康長寿
持する
課調べ
継続
における広報
実施中
現状より
10 保健所
継続
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