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2011年EMCサステナビリティ・レポート - EMC Japan

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2011年EMCサステナビリティ・レポート - EMC Japan
目的意識を
持った変革
2011年EMCサステナビリティ・レポート
b
目次
会長兼CEO(最高経営責任者)からのメッセージ ............................. 1
最高サステナビリティ(持続可能性)責任者からのメッセージ ...... 2
EMCのコア・バリュー ......................................................................... 3
EMCのサステナビリティ重要性評価 ................................................... 4
主要パフォーマンス指標のダッシュボード ............................................. 8
エコシステムの持続 ............................................................................. 11
環境戦略 .............................................................................................. 16
エネルギー消費と気候変動 ................................................................. 17
材料と資源の消費 ................................................................................ 34
サプライ・チェーン................................................................................ 46
コラボレーションと連携 ....................................................................... 57
価値の提供 .......................................................................................... 59
お客様 .................................................................................................. 62
従業員と職場 ........................................................................................ 64
グローバル・インクルージョン .............................................................. 72
技術革新ネットワーク .......................................................................... 75
ステークホルダ参画 ............................................................................. 78
ガバナンスと整合性 ............................................................................. 81
ITがもたらすメリット ............................................................................ 90
経済的成果 ........................................................................................... 92
コミュニティの強化 .............................................................................. 95
教育パートナーシップ .......................................................................... 97
コミュニティへの参加........................................................................... 99
教育機関との連携 .............................................................................. 101
情報遺産保護 ..................................................................................... 103
財政的支援に関するガイドライン...................................................... 105
会社概要 ............................................................................................ 107
このレポートについて ...................................................................... 109
GRIインデックス.................................................................................. 113
会長兼CEO(最高経営責任者)からのメッセージ
EMCは、持続可能性の高い世界を目指して、革新的IT
ソリューションを提供する仕組みの変革に取り組んで
います。
IT業界は、ひとつの時代に一度あるかないかという変革期を迎えています。ITの歴史
における大きな波の1つがクラウド・コンピューティングであり、このような技術に
よって、ITの構築、運用、使用の方法は変化しています。データ量は凄まじい勢い
で増大しており、今後10年間で44倍になると業界のエキスパート達は予想していま
す。ITリーダーは、コストを削減し、エネルギーや資源の消費を制御しながら、デー
タを安全かつ確実に管理できる賢明な方法を強く求めています。
このような流れは、すべてEMCにとって大きなビジネス・チャンスとなります。IT部
門の業務がクラウド・コンピューティング・モデルへ移行し、大量の「ビッグデー
タ」を安全かつ確実で効率的に分析できるようにするため、EMCでは、最適な組み合
わせの製品とサービスの提供に尽力しています。また同時に、持続可能な経済に向け
た取り組みにも注力しています。
これは、ビジネスの繁栄を選ぶか良い市民であることを選ぶかという二者択一の問題
ではありません。技術開発、ビジネス・プロセス、コラボレーションを新しい創造的
な方法で推進するというEMCの決断を示すものです。EMCには長期的な成功が待ち受
けているでしょう。なぜなら、投資家、従業員、コミュニティ、そして地球全体の利
益となる方法でビジネスを展開することが可能であり、かつそれが私たちの義務であ
ることを知っているからです。ビジネスの戦略を立て、日々の決断を行う上で、財
務、環境、社会のすべてに配慮すること。EMCがビジネスを成功させるには、そのよ
うな配慮が不可欠です。
私は、世界各地に散らばるEMC従業員の日々の活動に対して、大変誇らしく思ってい
ます。従業員は、ひとりひとりがサステナビリティの向上や、運用、製品、梱包にお
けるエネルギー効率の向上に努めています。また、廃棄物を減らし、温室効果ガスの
排出量を削減するための独創的なアプローチを見つけようとしています。さらには、
地域のコミュニティとのコラボレーションを通じて理数系教育の向上を図ったり、従
業員や地球環境、ビジネスへの保護を強化できるバリュー・チェーンの構築を目指し
て、サプライヤやパートナーと連携したりしています。
このような変革を行うことは、心躍るような体験です。サステナビリティに対する弊
社の革新的なアプローチは、これまで満足のいく実績を上げてきました。しかし、業
界や地球全体をより良くするためには、EMCがやらなければならないことがまだ山の
ようにあるということを、私はひしひしと感じています。
JOSEPH M. TUCCI
会長兼CEO(最高経営責任者)からのメッセージ
1
最高サステナビリティ(持続可能性)責任者からのメッ
セージ
2011年、EMCは持続可能性の高い未来への道を拓く取
り組みを続けました。このレポート「目的意識を持っ
た変革」は、弊社のすべての活動にサステナビリティ
(持続可能性)を根付かせる取り組みとその進行状況
をまとめたものです。サステナビリティとは、エネル
ギー効率プログラムや製品回収プログラムを行うこと
だけではありません。日々の決定が環境と社会にどの
ような影響を与えるかを探り、その影響をコントロー
ルしたり、影響に配慮したりするうえで、目的意識を
持つことです。
これまで4年間、EMCのサステナビリティ・プログラムのリーダーを務めてきたこと
は、私にとって非常に名誉なことです。しかし、変化を推し進め、新しいアイデアを
考え出すという本当に大変な作業は、ハードウェア設計者、製造エンジニア、研究者
をはじめ、施設責任者、運用チーム、さらには法務部門、IR部門、財務部門など、脚
光を浴びることのない従業員たちの日々の努力によるものです。このような従業員に
よる献身的な努力は、弊社のビジネスの隅々にまで浸透しています。
従業員は、それぞれ日々進歩しており、職務の枠を超えた協力関係を形成して、変化
を推し進めようとしています。それは、各個人がこの変革に可能性を見い出し、変革
の波を自分たちで高めたいと考えたからにほかなりません。弊社の従業員が、社内だ
けではなく社外に対しても、サステナビリティ・モデルを大局的にとらえ、尊重する
姿勢を見せていることを、私は非常に誇らしく感じています。
このレポートでは、ビジネスにサステナビリティを融合するために、私たちが日々の
活動をどのように変革しているかについて、数多くの事例を挙げて説明しています。
今年は、各セクション冒頭のダッシュボードにデータが表示され、主要パフォーマン
ス指標に基づき、業績の前年比推移がわかりやすくなっています。しかし、サステナ
ビリティに関する弊社の取り組みは、単に数字だけで表せるものではありません。
2011年の歩みについては、インフォグラフィック、ビデオ、ケース・スタディなども
ご覧ください。
ステークホルダの皆様には、優先度を決める指針として、いつものように貴重なご意
見を賜りますようお願いいたします。持続可能性の高い世界を実現するうえでのパー
トナーとして、弊社の取り組みについてのご意見をお待ちしております。
KATHRIN WINKLER
2 最高サステナビリティ
(持続可能性)責任者からのメッセージ
EMCのコア・バリュー
成功を収めている企業には、共通する特徴として、独自
に培われた不朽の成功のための行動基準があります。
EMCの行動基準は次のとおりです。
お客様第一
即応性
結果重視/
説明責任
誠実さ
革新的な
問題解決
専門技術/品質
お客様のニーズを重視し、約束を果たします。
オポチュニティを迅速にとらえて、直ちに実行します。
有言実行を常とし、弁解しません。
他者に敬意を払い、常に正しい行動を選択します。
ソリューションを提供するために創造性を発揮します。
最高の製品とサービスを開発し、提供します。
ビジネスの
理解
どうすればお客様に真の価値を提供できるかを理解します。
チームワーク
他者との共同作業をスムーズに行い、多様性を活用します。
コミュニケーション
適応力
常にオープンで率直な対話を心がけ、信頼関係を構築します。
柔軟な姿勢を保ち、状況の変化に対応します。
EMCのコア・バリュー
3
EMCのサステナビリティ重要
性評価
EMCでは、弊社のビジネスにとって「重要な」サステナビリティの問題を特定し、問
題に優先順位をつけるために、重要性評価を行っています。この評価の対象となる領
域には、社外のステークホルダが最も関心を抱いている領域のほかに、ビジネスにお
ける最大のリスクとオポチュニティが存在すると弊社が判断した領域も含まれます。
弊社は、この重要性評価の結果を基にしてビジネスの戦略的方向性を決定し、リソー
スと目標を定めて、コミュニケーションの指針としています。
2011年の重要性評価プロセス
2011年、EMCは重要性評価の範囲を拡大し、重要性に関する内外のアンケートと、社
外のステークホルダが参画するフォーラム、社内の重要性評価の各結果を含めまし
た。この評価において、社内の視点と社外のステークホルダの視点は、どちらも重要
な構成要素です。ステークホルダ参画の詳細については、「ステークホルダ参画」を
参照してください。
EMCの2011年サステナビリティ重要性評価には、次の要素が含まれています。
• 重要性に関するアンケート:EMCでは、世界中のステークホルダにアンケートを
配布しました。対象者には、学者、NGO、投資家、サプライヤ、お客様をはじ
め、EMC内で製造、販売、エンジニアリング、施設、マーケティングを担当する
従業員も含まれています。これに対して、米国、カナダ、インド、アイルラン
ド、エジプトをはじめとする各国から、50件の回答がありました。アンケートで
は、EMCに対するリスクやオポチュニティの大きさに基づいて、問題のランクづ
けをお願いしました。また、上位にランクづけした項目については詳細なフィー
ドバックを求め、さらにEMCがリーダーシップを発揮できると考えられる問題を
お選びいただきました。2012年にはアンケートの配布先を拡大して、より包括的
な評価を得ることを計画しています。
• ステークホルダ・フォーラム:重要性アンケートの結果は、Ceresの協力で開催し
た年間のステークホルダ・フォーラムで公開し、ステークホルダの議論を経て詳
細なフィードバックを得ました。
• 社内での影響についての議論:問題については、テーマごとの社内エキスパー
トが、EMCのビジネスに対する潜在的影響と、関連するリスクとオポチュニティ
の規模に基づいて検討し、順位を付けました。特に、各問題について、EMCには
どのような影響が考えられるか、EMCの価値に対してどのような関連があるか、
EMCという組織が成功するにはどの程度重要であるか、EMCのコア・コンピテン
シーに対してどのような関連があるか、さらには変化に対してEMCがどのような
影響力を持つか、などを考慮しました。
4 EMCのサステナビリティ重要性評価
2011年重要性評価の結果
問題の順位は、ステークホルダにとっての重要度と、
EMCのビジネスへの適合率という2つの要素をXY軸と
する平面で表示しました(次の図を参照)。点線で区
切った各象限は、その領域に分類される問題に対して
EMCがどのように対応するかを示しています。
EMC SUSTAINABILITY MATERIALITY ASSESSMENT
EMCのサステナビリティ重要性評価
連携と評価
高
投資と連携
26
外部ステークホルダの関心
25
24
23
22
19
17
10
18
16
15
9
21
2
1
20
14
13
12
7
11
8
6
5
4
3
2
1
監視
投資と適切な連携
低
高
EMCへの影響
1
2
3
4
5
6
7
8
生物学的多様性
文化財の保護
ボランティア活動/コミュニティへの
支援
ナノマテリアル
ヘルス・ケアと公衆衛生
雇用者の責任
資源の消費
インクルージョンと多様性
9
10
11
12
13
14
15
16
17
再生可能エネルギー
デジタル技術の受容
従業員の関与
教育
労働安全衛生
気候変動への適応
廃棄と排出
ITがもたらすメリット
水
18
19
20
21
22
23
24
25
26
人権
紛争鉱物
気候変動の緩和
E-Waste
有害物質
技術革新
情報プライバシーとセキュリティ
ビジネス倫理
エネルギー効率
EMCのサステナビリティ重要性評価
5
• 監視:問題を追跡し、問題の傾向と成り行きを見守ります。EMCのビジネスへの適
合率が時間とともに変化した場合、より積極的に問題に取り組むことになります。
• 連携と評価:共通の理解を確保してアプローチを検討するため、社外のステーク
ホルダと連携します。EMCでは、潜在的なリスクとオポチュニティをより深く理
解するため、ステークホルダが強い興味を示していることを踏まえて、自社の立
場を評価します。
• 投資と適切な連携:問題の緩和と解消やオポチュニティ実現のためにリソースを
注ぎ込みます。ケース・バイ・ケースで、社外のステークホルダと連携します。
• 投資と連携:問題の緩和と解消やオポチュニティ実現のためにリソースを注ぎ込
み、共通の理解を確保してアプローチを検討するため、社外のステークホルダと
連携します。
2011年の重要性評価で上位にランクインし、「投資と連携」カテゴリーに分類された
問題は次のとおりです。これらの定義は、アンケートでステークホルダに提示された
ものを反映しています。
• エネルギー効率:消費したエネルギーと、それによって生み出された生産物や
サービスとの比率です。単位エネルギーあたりの純受益額が増大する使用方法に
変えることで、エネルギー効率を向上できます。これには、データセンターのエ
ネルギー効率、製品のエネルギー効率、施設のエネルギー効率、冷却効率などの
問題が含まれます。
• 企業倫理:人間の行動における倫理的価値観と、それを統制するルールおよび原
則です。正しい行動に関する一連の原則に従って行動することです。これには、
贈収賄と汚職の防止、政治献金、役員報酬、サプライヤの倫理などの問題が含ま
れます。
• 情報プライバシーとセキュリティ 情報プライバシーとは、データの収集と伝播、
テクノロジー、プライバシーに関する公衆の期待、法的および政治的な意味合い
の関連性を定義するものです。情報セキュリティとは、不正なアクセス、使用、
開示、攪乱、改変、閲覧、調査、記録、破壊などから、情報と情報システムを保
護することです。これには、物理/仮想セキュリティ・システム、廃棄時のデータ
管理、不正となりすまし、ハッキング、サイバー攻撃、透明性などの問題が含ま
れます。
• 革新性:市場、政府、社会に受け入れられ、徐々にではなく大幅なプラスの変化
をもたらす、より優れた製品、プロセス、テクノロジー、アイデアなどを創造す
ることです。
• E-Waste(電気電子機器の廃棄物):廃棄品、余剰品、旧式品、壊れた電気/電子
デバイスのことです。これには、製造時のE-Waste、販売終了計画、E-Wasteの海
外輸出、不正輸出、分解とリサイクルなどの問題が含まれます。
• 気候変動の緩和:大気中の温室効果ガス濃度の低減や安定化、太陽放射の反射率
の向上などを通じて、気候変動を抑え、変動の影響を低減することです。
• 人権:すべての人に与えられている基本的人権と自由のことで、多くの場合、生
存と自由の権利、思想と表現の自由、法の前の平等で構成されています。これに
は、サプライ・チェーンにおける人権、表現と報道の自由、差別の禁止、市民的
自由の保護などの問題が含まれます。
6 EMCのサステナビリティ重要性評価
• 有害物質:人間やその他の生物、財産、環境などに悪影響をもたらす固体、液
体、気体に関連する問題のことです。これには、製品や製造過程に含まれる毒性
物質、材料の完全な開示、グリーンIT、環境に配慮した設計、薬物規制などの問
題が含まれます。
• 紛争鉱物:調達に関連する武力紛争と人権侵害を考慮し、倫理的基準を念頭に置
いて供給される材料です。
• 情報テクノロジー(IT)のメリット:ITのメリットには、生産性、コミュニケー
ション、社会的理解の向上などがあります。ITは、研究と科学的発見のスピード
を速め、医療を向上し、人々のコミュニケーションを促進してきました。ほかに
もITは、革新性を向上し、インテリジェントな監視によってエネルギー消費を低
減し、出張の代わりにビデオ会議を開くことで気候変動の低減に寄与するなど、
さまざまな領域で効果をもたらします。ITをインテリジェントに使用すること
で、私たちの生活に続けてメリットがもたらされ、将来の進歩が促されます。
EMCのサステナビリティ重要性評価
7
主要パフォーマンス指標のダッシュボード
全世界におけるEMCの収益100万ドルあたりの温室効果
ガス排出強度
スコープ1と2
全世界でのEMCの温室効果ガス絶対排出量
スコープ1と2
全世界のすべての所有/賃貸施設および
移動資産(VMWAREを含む)
、単位:メートル・トン
EMC GLOBAL ABSOLUTE GHG EMISSIONS
全世界のすべての所有/賃貸施設および
EMC GLOBAL GHG EMISSIONS INTENSITY PER $1M REVENUE
SCOPE 1 AND 2
移動資産
(VMWAREを含む)
、単位:メートル・トン
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES AND MOBILE ASSETS, INCLUDES VMWARE—METRIC TONNES
SCOPE 1 AND 2
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES AND MOBILE ASSETS, INCLUDES VMWARE—METRIC TONNES
35
30
350,000
30.53
25
320,560
300,000
28.41
27.14
250,000
25.25
24.28
21.55
20
19.20
332,873
312,062
349,210
285,458
200,000
21.37
18.32
15
262,098
339,682
150,000
100,000
10
50,000
5
0
32,905
31,473
38,529
36,004
27,736
33,811
34,987
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012年の目標
対2005年比で30%
低下
2015年の
目標
スコープ1:直接排出
54,800
2050年の目標
対2000年比で80%低
スコープ2:間接排出
下(約274,000メート
ル・トン)
対2005年比
で40%低下
従業員1人あたりのエネルギー消費量
全世界での取水量
全世界のすべての所有/賃貸施設
(VMWAREを含む)、単位:MWH/人
全世界のすべての所有/賃貸施設
GLOBAL WATER WITHDRAWAL
(VMWAREを含む)、単位:立方メートル(M3)
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES, INCLUDES VMWARE—CUBIC METERS (M3)
ENERGY CONSUMPTION PER EMPLOYEE
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES, INCLUDES VMWARE—MWH/EMPLOYEE
30
25
27.2
26.3
24.1
21.7
20
22.0
20.4
19.0
16.3
15
809,081
864,149
2010
2011
10
5
埋め立てせずに処理されたE-WASTEの累積量
CUMULATIVE EWASTE
DIVERTED
FROM LANDFILLS
(全世界)
、単位:
メートル・
トン
0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012年の目標
GLOBAL—METRIC TONNES
対2005年比で40%低下
35,000
34,019
30,000
30,807
25,000
20,000
20,534
15,000
14,698
10,000
5,000
6,700
0
2008
2009
2010
2011
2012年の目標
34,019メートル・トン
(7,500万ポンド)
8 主要パフォーマンス指標
サプライヤ行動規範に同意した
サプライヤの割合
スコープ1と2の温室効果ガス排出データを報告した
サプライヤの割合(支出ベース)
PERCENT OF SUPPLIERS ACKNOWLEDGING THE SUPPLIER CODE OF CONDUCT
階層1の直接サプライヤと管理階層2のサプライヤの割合
PERCENT BY SPEND OF SUPPLIERS REPORTING SCOPE 1 AND 2 GHG EMISSIONS DATA
PERCENT OF DIRECT TIER 1 AND MANAGED TIER 2
98%
99%
99%
75%
2009
2010
2011
2009
目標:サプライヤ行動規範の発行後1年以内にサプライヤの100%が同意
82%
95%
2010
2011
目標:
90%
INNOVATION CONFERENCEへの参加
EMCの研究開発への投資
全世界
GLOBAL
単位:10億ドル
INNOVATION CONFERENCE PARTICIPATION
EMC INVESTMENT IN R&D
BILLION $USD
1900
2.5
2
1.5
1,590
1,509
1
1,422
1.0
1.7
1.5
1.6
1,214
0
2005
2006
11.7
984
2007
2008
2009
2010
11.4
11.4
11.4
11.2
10.3
2008
2009
アイデア提出者数
2010
2.1
.5
1,311
1,300
1.3
1.9
2011
10.5
収益に対する割合(%)
2011
提出されたアイデア数
情報ストレージと管理についてのセミナーに参加した学生数
NUMBER OF STUDENTS EDUCATED ON
全世界(累計)
INFORMATION STORAGE AND MANAGEMENT
GLOBAL, CUMULATIVE
80,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
30,000
20,000
19,000
10,000
10,000
0
2008
2009
2010
2011
主要パフォーマンス指標
9
10
エコシステムの持続
EMCは、弊社のビジネスとバリュー・チェーンが環境
と人々に対して与える影響に対処し、これを報告する
ことに全力で取り組んでいます。EMCでは、かねてよ
りエネルギー消費と気候変動、材料の使用、廃棄物に
関する問題を最優先事項に掲げています。これらの問
題にビジネスの境界を越えて取り組むため、弊社で
は、業務を最適化し、サプライヤと連携して、従業員
とテクノロジーが備えた変革の力を活用しています。
このセクションでは次のトピックを取り上げます。
環境戦略
エネルギー消費と気候変動
材料と資源の消費
サプライ・チェーン
コラボレーションと連携
エコシステムの持続
11
エコシステムの持続ダッシュボード
全世界におけるEMCの収益100万ドルあたりの
温室効果ガス排出強度
スコープ1と2
気候リーダーとしての目標: 米国でのEMCの
温室効果ガス排出量
スコープ1と2
全世界のすべての所有/賃貸施設および
移動資産(VMWAREを含む)、単位:メートル・トン
米国内のすべての所有/運用/賃貸施設
CLIMATE LEADERS GOAL: EMC U.S. GHG EMISSIONS
および移動体資産(VMWAREを除く):
SCOPE 1 AND 2
ALL U.S. OPERATIONALLY-CONTROLLED LEASED AND OWNED FACILITIES AND MOBILE
ASSETS, EXCLUDES VMWARE—
メートル・トン/100
M2
METRIC TONNES PER 1000FT
EMC GLOBAL GHG EMISSIONS INTENSITY PER $1M REVENUE
SCOPE 1 AND 2
2
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES AND MOBILE ASSETS, INCLUDES VMWARE—METRIC TONNES
50
35
30
30.53
40
28.41
25
27.14
25.25
39.00
24.28
21.55
20
41.08
44.17
30
19.20
REC不適用の
場合
44.17
31.99
21.37
REC不適用の
場合
43.69
31.51
32.95
18.32
15
REC不適用の
場合
35.84
35.76
24.49
20
10
10
5
0
0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012年の目標
2015年の目標
低下
40%低下
対2005年比で30%
2005
対2005年比で
全世界でのEMCの温室効果ガス絶対排出量
スコープ1と2
EMC GLOBAL ABSOLUTE GHG EMISSIONS
SCOPE 1 AND 2
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES AND MOBILE ASSETS, INCLUDES VMWARE—METRIC TONNES
320,560
300,000
250,000
262,098
339,682
312,062
332,873
2007
2008
(REC適用)
2009
(REC適用)
2010
2011
(REC適用)
2012年の目標
対2005年比で8%低下
従業員1人あたりのエネルギー消費量
全世界のすべての所有/賃貸施設および
移動資産(VMWAREを含む)、単位:メートル・トン
350,000
2006
349,210
全世界のすべての所有/賃貸施設
ENERGY CONSUMPTION PER EMPLOYEE
(VMWAREを含む)、単位:MWH/人
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES, INCLUDES VMWARE—MWH/EMPLOYEE
30
25
27.2
26.3
24.1
21.7
20
22.0
20.4
285,458
19.0
16.3
15
200,000
10
150,000
100,000
5
50,000
0
32,905
31,473
38,529
36,004
27,736
33,811
34,987
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
スコープ1:直接排出
スコープ2:間接排出
12 エコシステムの持続/ダッシュボード
54,800
0
2050年の目標
対2000年比で80%低
下(約274,000メート
ル・トン)
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012年の目標
対2005年比で40%低下
全世界の施設の電力消費における
再生可能エネルギーの比率
スコープ3温室効果ガス排出量
(全世界)、単位:メートル・トン
SCOPE 3 GHG EMISSIONS
GLOBAL—METRIC TONNES
NEW DATA EXCEL
50%
購入した物品とサービス
(階層1の直接サプライヤ)
出張
307,554
108,432
全世界のEMC施設: 電力消費
輸送と物流
販売製品の使用
全世界のすべての所有/賃貸施設(VMWAREを含む)
157,207
3,512,000
目標:2040年
EMC GLOBAL FACILITIES: ELECTRICITY CONSUMPTION
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES, INCLUDES VMWARE
2011
557,643
814,603
839,608
MWh
MWh
MWh
2,007,516
2,932,569
3,022,587
GJ
GJ
GJ
2005
2010
2011
EMCのすべてのコア製品
全世界のEMC施設: 天然ガス消費量
全世界のすべての所有/賃貸施設(VMWAREを含む)
EMC GLOBAL FACILITIES: NATURAL GAS CONSUMPTION
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES, INCLUDES VMWARE
5,058,015
5,241,521
U.S. Therms
U.S. Therms
U.S. Therms
460,994
533,155
552,498
GJ
GJ
GJ
4,373,423
2005
2010
2011
フタル酸エステルの代替品評価に向けた
行動プラン
GC3、EPAのPartnership on
Alternatives to Certain
Phthalates(特定フタル
酸類の代替品に関する
パートナーシップ)など
のコンソーシアムの勧告
に基づく、フタル酸エス
テルの代替品評価に向け
た行動プランの作成
目標:2012年に完了
エコシステムの持続/ダッシュボード
13
EMC内での水の再使用
全世界での取水量
マサチューセッツ州の施設、単位:立方メートル
全世界のすべての所有/賃貸施設
3
(VMWAREを含む)、単位:立方メートル(M
)
GLOBAL WATER WITHDRAWAL
EMC CORPORATE WATER REUSE
MASSACHUSETTS FACILITIES—GALLONS
ALL LEASED AND OWNED GLOBAL FACILITIES, INCLUDES VMWARE—CUBIC METERS (M3)
2007
2008
2009
2010
2011
10,445
12,601
15,685
22,192
17,225
マサチューセッツ州のEMC施設で、
カフェテリアのごみから作成された堆肥
メートル・トン
COMPOST MADE FROM EMC MASSACHUSETTS CAFETERIA WASTE
809,081
864,149
2010
2011
埋め立てせずに処理されたE-WASTEの累積量
CUMULATIVE EWASTE DIVERTED FROM LANDFILLS
(全世界)、単位:メートル・トン
GLOBAL—METRIC TONNES
35,000
34,019
METRIC TONNES
30,000
30,807
2011
25,000
20,000
2010
2009
2008
16.3
40.2
68
102.6
20,534
15,000
14,698
2008
16.3
10,000
5,000
6,700
0
2008
2009
2010
2011
2012年の目標
34,019メートル・トン
(7,500万ポンド)
第三者機関によって監査されるITADベンダーの割合
全世界
80%
返却された製品の行き先(重量比)
DESTINATION OF RETURNED PRODUCTS BY WEIGHT
(全世界)、単位:メートル・トン
GLOBAL—METRIC TONNES
10,294
メートル・トン
71.7%
25.1%
リサイクル
再処理
2.0% 廃棄物熱源転換
1.0% 再販
0.2% 埋め立て
目標:2012年
2011
目標:埋め立てに送られるE-Wasteは1%未満
14 エコシステムの持続/ダッシュボード
2009
40.2
2
6
出荷梱包の環境関連データ
全世界、EMCコア
15%
85%
99%
リサイクル素材
再生可能素材
リサイクル可能素材
サプライヤ行動規範に同意した
サプライヤの割合
PERCENT OF SUPPLIERS ACKNOWLEDGING THE SUPPLIER CODE OF CONDUCT
階層1の直接サプライヤと管理階層2のサプライヤの割合
PERCENT OF DIRECT TIER 1 AND MANAGED TIER 2
スコープ1と2の温室効果ガス排出データを報告した
サプライヤの割合(支出ベース)
PERCENT BY SPEND OF SUPPLIERS REPORTING SCOPE 1 AND 2 GHG EMISSIONS DATA
98%
99%
99%
75%
2009
2010
2011
2009
目標:埋め立てに送られるE-Wasteは1%未満
82%
95%
2010
2011
目標:2012年
90%
SAQ(自己評価調査票)を提出したサプライヤの
割合(支出ベース)
PERCENT BY SPEND OF SUPPLIERS SUBMITTING
直接階層1の支出ベースの割合
SELF-ASSESSMENT
QUESTIONNAIRE (SAQ)
EMCのサプライヤ行動規範に基づいた、
リスクの高いサプライヤ施設に対する監査
全世界
PERCENT BY SPEND OF DIRECT TIER 1
100%
92%
75%
67%
77%
20%
50%
目標:2012年
25%
0
2009
2010
2011
目標:2012年
階層1で80%
エコシステムの持続/ダッシュボード
15
環境戦略
関連情報
環境に関するEMCの方針
EMCは、自社の環境戦略に基づき、グローバルなス
ケールでビジネスと日々の運用に関する判断を下して
います。サステナビリティを担当する部署であるOffice
of Sustainabilityと、社内各部門におけるパートナーの
取り組みを通じて、潜在的影響力が最も大きい領域に
おける環境への影響を管理し、取り組みの方向性と目
的を統一しています。対象となるのは、次のような領
域です。
• エネルギーと気候変動
• 原料と廃棄物
• 社外のグループとのコラボレーションと連携
EMCにおける環境サステナビリティの定義
環境サステナビリティは、EMCがビジネスを通じて貢献している、従業員とその家
族、お客様、サプライヤ、投資家、さらにはより大きなグローバル・コミュニティに
よって定義されます。次のような目的意識を持って企業を経営し、ビジネスを変革す
ることで、これらのグループに貢献できます。
• 居住環境や労働環境を守り、豊かにする。
• 未来の繁栄のために求められる「適応」の中に価値を生み出す。
• 人の力が及ばない地球の変化によるリスクを緩和する。
ガバナンスとサステナビリティの監督
EMCのサステナビリティ・プログラムは、取締役会のCorporate Governance and
Nominating Committee(以下「Governance Committee」)が監督しています。Governance
Committeeは、取締役会レベルでの監督者として、年間を通じて最高サステナビリティ
責任者とのミーティングを行います。運用モデルは下の図をご覧ください。
環境管理システム
EMCの環境管理システムは、廃棄物の低減、エネルギーと資材の保全、全体的な環
境への影響を対象としています。弊社が運用する世界中のすべての施設で、同じポ
リシーと手順を使用しています。これにより、弊社の全世界すべての製造所がISO
14001認証を受け、規制の遵守不履行を許容範囲に収めることができました。2011年
には、環境関連法および環境規制の遵守不履行による罰金や非金銭的制裁を受けるこ
とはありませんでした。
環境サステナビリティの運用モデル
取締役会
Environmental
Sustainability Board
Office of
Sustainability
Corporate Governance
and Nominating
Committeeが取締役会レ
ベルの監督を担当
上級経営幹部が戦略の
遂行をチェックし、確実な
遂行を確認
戦略を策定
16 エコシステムの持続/環境戦略
GREEN TEAMS
業務部門内でイ
ニシアティブを
推進
GREEN BUSINESS
LEADERSHIP
複数の部門にわた
るチームが、
イニシ
アティブを調整、適
用、推進
FUNCTIONAL
ORGANIZATIONS
職能上のビジネス・
リード
GREEN
CHAMPIONS
ローカル・オフィス内
で意識を高め、
イニ
シアティブを推進
エネルギー消費と気候変動
関連情報
気候変動に関する弊社のポリシー・ステ
ートメント
EMCは、グローバル企業として、気候変動の影響緩和
における自社の役割を認識し、積極的に取り組んでい
ます。また、エネルギーの効率性に関する総合的な視
点に立って、ビジネス全体での革新を実現し、これら
の影響に対処しています。変革の力を備えたITを活用
することで、弊社は、施設とデータセンターの効率性
を改善し、製品とサービスに革新性を吹き込み、お客
様やサプライ・チェーン・パートナーとの間に有意義
な関係を築いています。
このセクションでは次のトピックを取り上げます。
エネルギーと気候変動に対する戦略
効率の良い施設
効率の良い製品
効率の良いデータセンター
輸送と物流
従業員の出張と通勤
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
17
エネルギーと気候変動に対する戦略
EMCにおける温室効果ガスの最大の排出元は、ビジネ
スの運営に必要な電力です(サプライ・チェーンと製
品への電力供給を含む)。そのため、エネルギーと気
候変動に対するEMCの戦略では、主に次の領域に焦点
を当てています。
I. EMCの業務活動による排出量の削減
• エネルギー需要の削減
• 効率性に優れたインフラストラクチャの整備
• 経済的にも環境面でも有効な再生可能エネルギーを採用する機会の特定
II. サプライ・チェーンでの排出量の削減
• 測定と報告へのサプライヤの参加
• 排出量削減に向けたサプライヤとのコラボレーション
• IT業界との連携による、サプライ・チェーンでの排出量レポートに関する標準の
策定
III. お客様のITインフラストラクチャにおけるエネルギー需要の削減
• エネルギー効率に優れた製品の提供
• データセンターの運用効率を向上するための革新的アプローチの開発
• お客様が最もエネルギー効率の良いソリューションを実装するために役立つ
サービスの提供
IV. 世界のエネルギー需要の削減
• ビジネス機能の最適化、研究の促進、公共インフラストラクチャの強化を実現す
る情報ソリューションの提供
18 エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
目標の設定
EMCは、温室効果ガスの測定を2005年に開始しました。それ以来、単位収益あたりの
エネルギー強度(収益100万ドルあたりの温室効果ガス排出量)は、30.5メートル・
トンから19.2メートル・トンへと37%低減しました。2011年の目標を達成したことは
喜ばしいことですが、グローバルなスケールでは、さらに多くのことが可能であると
認識しています。次の表は、過去6年間における弊社の目標設定とその改定プロセス
です。
2006年
2009年
2010年
2011年
EMCは、米国のEPA(環境保護
庁)のClimate Leaders Program
に最初に参加した40社のうちの
1社として、
自社が運用する米国
内の施設において100平方メー
トルあたりの温室効果ガスの排
出を2012年までに8%削減する
という初期目標を掲げました。
Climate Leaders Programの当
初の目標が最適ではないこと
が判明しました。オフィスの
整理統合という、絶対排出量
の削減に実際に寄与する行動
が、単位面積あたりで測ると
不利に働くからです。それで
も、グリーン証書(Renewable
Energy Credits)を購入するこ
とでこの目標を達成し、2012
年には目標を取り下げること
を予定しています。
温室効果ガス削減の新しい企業目
標を次のように定めました。
• 2012年までに、温室効果ガス強
度を対2005年比で30%削減する
• 2015年までに、温室効果ガス強
度を対2005年比で40%削減する
• 2050年までに、温室効果ガス排
出の絶対量を対2005年比で80%
削減する
EMCは、実際のビジネス・パ
フォーマンスと気候科学の進歩
に基づいて、モデルの前提条件
を調整して定期的に見直してい
ます。2011年には目標を再検討
し、これらの目標を2012年まで
維持することを決定しました。
軌跡図
これらの排出量目標の達成を支援
するために、さらに次の目標を定
めました。
• 2012年までに、従業員1人あたり
のエネルギー消費量を40%削減
する
• 2040年までに、全エネルギーの
50%を非化石燃料由来のものか
ら調達する
目標の決定
排出量の削減目標を設定するにあたり、IPCC(気候変動に関
する政府間パネル)の第4次評価報告書の勧告に従い、2050年
までに絶対排出量を80%以上削減することを絶対条件としまし
た。次に、さまざまな削減方法による軌跡をモデル化しまし
た。気候変動に関する2007年バリ宣言の勧告に従い、絶対排出
量のピークを2015年までに越えつつ、ビジネスを調整できる弾
力性のあるソリューションを見出す作業を行いました。
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040
2045
2050
一定の排出強度(%)
を低減した場合
排出強度(%)
を加速的に低減した場合
一定の排出強度(kg/$)
を低減した場合
現行どおりの場合の低減軌跡
弊社のモデルは、Autodesk社が2009年に行った提言「C-FACT
(Corporate Finance Approach to Climate-stabilizing Targets)」に
基づいています。このモデルは、年間で排出強度を何パーセン
ト低減すれば、絶対排出量の目標を達成できるかを計算したも
のです。これは、ビジネス・パフォーマンスと排出量削減実績
のトレードオフではなく、これらを両立するものです。また、1
回限りの削減ではなく、未来に持続するための投資を推進する
モデルです。
このC-FACTは、排出強度の絶対削減量が毎年少なくなっていく
「前倒し」のシステムですが、 EMCはこのモデルを変更して、
前年よりさらに積極的な低減を必要とするモデルを作成しまし
た。これは、代替燃料の効率性とコスト・パフォーマンスが向
上するにつれて、その代替燃料に関する情報を企業が習得すれ
ばするほど、より経済的意義が高まるモデルです。調査した軌
跡については、左の図を参照してください。
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
19
報告と説明責任
関連情報
CDP(カーボン・ディスクロージャ・
プロジェクト)報告書に対するEMCの
対応
EMCは、進行状況に関する透過的なレポートを作成し、温室効果ガスの年間排出量
をCDP(カーボン・ディスクロージャ・プロジェクト)に開示しています。弊社は、
2008年(CDLI開始年)から連続して、CDLI(カーボン・ディスクロージャ・リーダー
シップ・インデックス)掲載企業に選定されています。CDLIは、スタンダード・アン
ド・プアーズ500種指数を開示している企業のうち、上位10%から構成されます。
弊社のアイルランドCOEは、アイルランド環境保護庁が管理する欧州連合域内排出量
取引制度にも継続的に参加しています。過去数年間、弊社は排出割り当て量を大き
く下回ってきましたが、2013年から2020年には、弊社にさらに30%の削減が求めら
れ、非常に厳しい期間になることが予想されます。
再生可能エネルギー
EMCの削減目標は、エネルギー効率の良い運用だけでは達成できません。弊社の目標
は、2040年までに電力需要の50%を再生可能エネルギーでまかなうことです。経済
的で環境に優しい再生可能エネルギーを追求することによって、弊社はこの目標の達
成に向けて取り組んでいます。2011年には、米国内の大規模拠点における熱電併給プ
ラントの実現可能性を調査しました。その結果、提案どおりの用途と場所で実現可能
なことが判明しました。次のステップは社内の費用対効果分析です。この結果が良好
であれば、提案されたプラントについて徹底的な調査を実施します。また、米国内の
別の拠点における燃料電池テクノロジーの使用について、実現可能性の調査を開始し
ました。EMCはさらに、マサチューセッツ州Hopkintonの本社における風力データを
収集するために、2011年に気象観測塔を建設しました。データを1年間収集し、風の
状況が風力タービンの導入に適しているかどうかを分析しています。
EMCは、米国内における再生可能エネルギー生成を支援するために、2011年にREC
(グリーン電力証書)を65,000枚購入しました。REC 1枚は、代替エネルギー源から
電力網に対して、再生可能エネルギーによる電力が毎時1メガワット送電されること
を表しています。環境と消費者保護の厳格な標準を満たすため、これらのRECはサー
ド・パーティによって検証されます。購入した65,000メガワット時は、米国内のEMC
の全施設(VMware®およびすべての事業部門を含む)で2011年に消費される送電網か
らの電力の約10%に相当します。
アイルランドCOEでは、太陽エネルギーと風力エネルギーのさまざまな選択肢につい
て、実現可能性の調査を実施しました。現時点では、これらは実行可能な選択肢では
ありませんが、弊社のエネルギー需要の改善やテクノロジーの向上を継続することで
有効な選択肢になる可能性があります。再生可能エネルギーのほかに、弊社は地熱暖
房の調査も始めています。
スコープ3排出量
EMCは、温室効果ガスについて広範かつ詳細なレポートの作成に努めています。2011
年には、WRI(世界資源研究所)の温室効果ガス・プロトコル「Corporate Value Chain
(Scope 3)Accounting and Reporting Standard」に基づき、スコープ 31 排出量15カテ
ゴリーのうち5カテゴリーに関する報告を開始しました。
出張
EMCは、American Expressのコーポレート・アカウントを通じて、民間航空便と鉄道で
利用したマイル数を追跡しています。出張に関連する排出量の計算方法は、温室効果
ガス・プロトコル「Corporate Accounting and Reporting Standard」に従っています。
弊社は、テクノロジー、ビジネス・プロセス、リソース管理を改革することによっ
て、従業員の出張に伴う温室効果ガス排出量の削減に向けた具体的な対策を講じてい
ます。お客様先に出張する代わりに、リモート・サポート・センターからお客様の技
術環境に変更を加えられるようにテクノロジーを拡張することで、出張に伴う排出量
スコープ3のすべての排出量は、報告元企業のバリュー・チェーンにおいて、他の事業体が所有または管理する
排出元からの間接的排出です。
1
20 エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
を低減しました。以前はお客様先への出張が必要であった作業の多くが、今ではリ
モートから作業できるようになっています。また、スコープ3の出張に伴う排出量削減
に効果のあるその他のイニシアティブも段階的に導入しました。これには、HDビデオ
会議の活用促進や、共通のサービスを行う人数を減らすための職務/スキルの再設計な
どが含まれます。詳細については、「従業員の出張と通勤」を参照してください。
従業員の通勤
EMCは、1人乗り車両や従業員の不要な市内移動を最小限にするため、包括的な従業
員通勤サービス・プログラムを実施しています。2011年、EMCは、マサチューセッツ
州よりECO(Excellence in Commuter Options)賞の最優秀賞を授与されました。通勤
者に対するEMCの模範的な福利厚生プログラムが高く評価され、マサチューセッツ州
運輸局からこの賞を頂くこととなりました。EMCは、米国EPAからBest Workplaces for
Commuters賞も受けています。弊社の従業員通勤プログラムの詳細については、「従
業員の出張と通勤」を参照してください。
購入物品とサービス
EMCは2011年に、年間購入支出の95%を占める階層1の直接サプライヤから、スコー
プ1と2の排出量データを収集し、経済的価値に応じて配分する手法で、これらの排出
量のうち弊社分を見積もりました。取引先各社の収益に対する弊社の支出の割合を
計算し、この割合を取引先各社から報告された排出量に当てはめました。近似的な
値しか得られないとはいえ、この方法はWRIの温室効果ガス・プロトコル「Corporate
Value Chain(Scope 3)Accounting and Reporting Standard」に従ったものであり、報
告されるデータのレベルにおいて現時点での最良の選択肢と言えます。この手法を採
るにはサプライヤの収益を知る必要があるため、民間企業の何社かはこの分析から除
外されています。
詳細については、「サプライ・チェーンの環境影響」を参照してください。
輸送と物流
EMCは2011年に、物流に関する支出で合計89%を占めるパートナーから、温室効果ガ
ス排出量の報告書を収集しました。この報告書には、EMCの貨物輸送から発生した温
室効果ガス排出量のみが含まれていましたが、 このパーセント値に基づいて、弊社
が報告する合計排出量を推計しました。これらの排出量には、荷受けと出荷、プラン
ト間輸送、カスタマー・サービス物流が含まれます。
詳細については、「輸送と物流」を参照してください。
販売製品の使用
EMCは、2011年にお客様に出荷したEMC製品2について、その製品寿命期間に発生す
る温室効果ガスが約3,512,000メートル・トンCO2eになると見積もっています。この
数値は、EMC製品に電源を供給することから発生する、お客様のスコープ2排出量を
表しています。想定製品寿命を5年とし、配電のオーバーヘッドを含み、冷却の平
均的PUE(Power Usage Effectiveness)を1.8として計算しています。EMCでは、温室
効果ガス・プロトコルの手法を使用し、グローバルな平均排出係数として1 kWhあた
り504.33 g CO2eを使用しています。また、IEA 2009 World CO2の排出係数とIEA 19992002 CH4およびN2Oの排出係数を適用しています。地球温暖化係数は、IPCC SAR-100
から取得し、二酸化炭素に対して1、メタンに対して21、亜酸化窒素に対して310を使
用しています。弊社は、この合計が控えめな数値である(つまり、実際に測定可能で
あれば、これより低くなることが想定される)と考えています。これは、お客様が使
用する燃料の炭素強度の経時的低減も、データセンターの電力と冷却の効率向上も考
慮していないことが理由です。
2010年後半と2011年に、EMCは第三者機関と協力し、業界で認められたツールを使用
して2つの環境ライフサイクル解析を完了しました。これらの結果から、ライフサイ
クルでの影響の90%は製品の使用フェーズにおける電力消費に起因する、という弊社
の予想が間違っていないことを確認できました。詳細については、「効率の良い製
品」を参照してください。
2
Iomega®、RSA®、Data Domain®、Greenplum™、Isilon®の製品は含まれていません。
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
21
効率の良い施設
気候変動とエネルギーに関するEMCの戦略において、
エネルギー効率は重要な位置を占めています。EMCが
所有および運用する施設では、1987年以来、エネル
ギー効率を優先事項のひとつとしています。現在、エ
ネルギー効率は、弊社が運用方法を決定するうえで重
要な役割を担っており、世界中のサプライヤとの連携
においても焦点となる領域です。
EMCでは、エネルギーの使用とそれに関連する温室効果ガスの排出量を管理するため
に、次のような3方面からのアプローチを採っています。
• 積極的なエネルギー効率の追求
• 弊社のエンジニアリング・チームおよびITチームとのコラボレーション
• 再生可能エネルギーを使用できる機会の探究
エネルギー効率
2011年、EMCは、自社が所有および運用する施設で、いくつかのエネルギー効率イ
ニシアティブを実施しました。これらには、アイルランドCOEでのFree & Fresh Air
Cooling(外気冷却)プロジェクト、マサチューセッツ州にある複数の施設に導入し
たエネルギー効率の高い照明システムなどが含まれます。
今年は、ESS(環境的ストレス・スクリーニング)最適化プロジェクトを通じて、エ
ネルギー消費量の削減にも取り組みました。今年で3年目になるこのプロジェクトで
は、ESSチャンバーの容量拡充と効率向上に焦点を当てています。このプロジェクト
は、2011年に世界中のEMCの事業所に広がり、年間で140万kWh(9,620メートル・ト
ンCO2e)の削減につながりました。2011年には、このプロジェクトがアイルランド
のIndependent Green Awardを受賞しています。
環境に対する影響を完全に理解するには、弊社の施設だけではなく、サプライヤの温
室効果ガス排出を把握することも重要です。EMCでは、2009年に階層1の直接サプラ
イヤからの排出量データ収集を開始し、毎年プログラムの規模を拡大しています。
2011年には、弊社のSER(Social and Environmental Responsibility)イニシアティブに
より、サプライヤとの連携を再開し、弊社の直接支出の95%を占めるサプライヤから
温室効果ガス排出量のデータを収集しました。
サプライヤの排出量と取り組みの詳細については、「サプライ・チェーンの環境影響」
と「エネルギーと気候変動に対する戦略」を参照してください。
社内コラボレーションによる効率化
施設チームは、エンジニアリング部門やIT部門と密接に協力し、電力使用をモニタ
リングして、エネルギー効率イニシアティブを導入することで、世界中でのエネル
ギー消費を管理しています。弊社のデータセンターは、PUEを自動的に取得して報告
するように設計されています。これは、データセンター・インフラストラクチャのエ
ネルギー効率計測に関するThe Green Gridの標準です。弊社は、マサチューセッツ州
Hopkinton、アイルランドのCork、ノース・カロライナ州Durhamの新施設をはじめとす
る、すべての施設でPUEシステムを使用しています。これらのシステムにより、デー
タセンターのマネージャは、変更による影響を常時モニタリングして測定できます。
2011年、このイニシアティブの直接的な結果として、アイルランドCOEのデータセン
ター/ラボのPUEは、1.4から1.11へと改善されました。つまり、PUEスケールで「非常
に効率的」であることを示す限界値1.0へさらに近づいたことになります。
22 エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
世界各地の効率の良い施設
ノース・カロライナ州Durham
Durhamクラウド・データセンターでの
エネルギー効率の高い設計と構造につい
ては、次の文書を参照してください。
EMC DURHAM CLOUD DATA CENTERホ
ワイト・ペーパー
EMCは2011年に、エネルギー効率に優れ、完全に仮想化された新しいデータセンター
をノース・カロライナ州Durhamに建設し、 2011年9月15日には、このデータセンター
の運用を正式に開始しました。
この施設には、次のような効率化テクノロジーを使用しています。
• 外気冷却:半年以上利用できます。
• フライホイール・テクノロジー:無停電電源装置のバッテリが不要になります。
• 冷気囲い込み方式:高密度設置機器に対する温度制御性が向上します。
マサチューセッツ州Hopkinton
2011年10月、マサチューセッツ州Hopkinton、South Street 176の敷地60,390平方
メートル(65万平方フィート)にあるEMC本社は、LEED(Leadership in Energy and
Environmental Design)の既存建築部門でゴールド認証を得ました。EMCが2002年に
取得したこのビルは、プラチナ認証までわずか4ポイントに迫る61ポイントを獲得し
ました。この認証においては、次のような点が注目されました。
• 年間で合計190万kWhを超えるエネルギー効率化プロジェクト
• 60%超のリサイクル率と、ゴミを埋め立てしない廃棄物の堆肥化
• 環境に優しい清掃および害虫処理のプログラム
• 自然の地形を活用した造園と雑排水によるかんがい
• シャトル便でのハイブリッド・カーの活用
• 下水を100%再利用する排水処理施設(2010年には21,950立方メートルを再利用)
アイルランド、Cork
2010年、アイルランドCOEは、施設の冷却に外気を利用できるかどうかを評価する
Free & Fresh Airプロジェクトを実施しました。このチームは、電力の削減量を最大化
するため、現地の平均気温が低いことを利用して、新しい冷却ユニットを利用する計
画を立てました。Free & Fresh Airプログラムの結果、2011年の年間電力消費を10%削
減できました。
2011年、SEAI(アイルランド持続可能エネルギー局)は、アイルランドのこのプロ
ジェクトに対しMajor User Energy Efficiency Awardを贈りました。
インド、Bangalore
インドCOEでは、施設全体でのエネルギー効率の改善に継続的に取り組んでいます。
この取り組みが始まったのは、不要なサーバの電源をオフにして二酸化炭素排出量を
削減するWeekend Shutdown Programイニシアティブを開始した2008年でした。この
イニシアティブを実施してから、電力消費は10∼15%削減されました。
その後インドCOEは、LEED認証の要件を満たすために、施設の改修を中心に取り組ん
できました。2011年、この変革の第2フェーズで、インドCOEはLEEDプラチナ認証を
獲得しました。
イタリア、Milan
2011年6月、MilanのオフィスがあるCENTRO LEONIビルは、LEEDの「Core & Shell(テ
ナントビル・オーナー所掌部分)」部門のシルバー認証を獲得しました。
効率に優れた機器の購入
EMCは、世界中の事業所でエネルギー効率に優れたサーバ、プリンタ、コピー機、
パーソナル・コンピュータを購入しています。これらの機器は、明確な効率要件
(ENERGY STAR認証など)に基づいて購入されています。購入時にこのような要件を
設けることで、旧型の機器を効率に優れた新しい機器で置き換え、統合化や仮想化を
通じて省エネルギーを達成し、エネルギー効率を高めています。
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
23
効率の良い製品
全世界におけるEMCの二酸化炭素排出量は、製品の製
造に必要なテクノロジーとリソースに由来する排出量
よりもはるかに多いものです。環境に対する最も大き
な影響は、EMC製品を使用する際のエネルギー消費か
ら発生しています。
EMCは、お客様のコスト削減と環境への影響低減に寄与できるよう、すべての自社製
品(ハードウェアとソフトウェア)のエネルギー効率向上に継続的に取り組んでいま
す。これには、製品自体から得られる効率性に加え、製品を組み合わせて使用したと
きに実現される効率性も含まれます。
EMCがデータセンターの効率化を実現した方法については、「効率の良いデータセン
ター」を参照してください。
環境ライフサイクル解析
EMCは、ツールとプロセスを活用して自社製品のサステナビリティを測定し、向上し
ています。これにより、開発済みの現行製品をサステナビリティに関する将来の手法
に役立てることができます。このプロセスは、設計者とアーキテクトが、設計ツール
に組み込まれたプロキシ・インジケーション・システムを使用して、持続可能な製品
設計に関する詳細情報を得るところから始まります。次に、エンジニアが開発チェッ
クリストを使用して、製品がEMCの標準とベスト・プラクティスに従っていることを
確かめます。製品の一般公開準備が整う最終段階で、代表的な製品構成でのLCA(ラ
イフサイクル解析)を実施し、今後の取り組みのための情報として役立てます。
ライフサイクル解析プロセス
初めに、提案された設計を設計ツールに組み込まれたイ
ンジケーション・システムによって分析することで、設計者
とアーキテクトが製品のサステナビリティに関する理解を
深めます。
LCAからのデータは、将来の開発プロジェクトのために、
LCAプロキシ・ツールやDfEチェックリストなどのプロセス
に取り入れられます。
チェックリストを使用して、企業の標準とベスト・プラク
ティスに従っていることを確かめます。
一般リリースの準備が整った最終段階で、製品に
対してLCAを実施します。
2010年後半と2011年に、EMCは第三者機関と協力し、業界で認められたツールを使用
して2つのLCAを完了しました。その1つは、弊社が最も多く出荷しているサブシステ
ム製品の1つについて、原材料入手から製品出荷までの二酸化炭素排出量を解析した
ものです。もう1つは、弊社のミッドレンジ製品の1つについて、原材料入手から製品
廃棄までの二酸化炭素排出量を解析したものです。
これらのLCAプロジェクトでは、次の影響を測定しました。
• 水(kg、水使用量)
• 酸性化(kg SO2-equiv)
• 資源枯渇(kg Sb-equiv)
• 富栄養化(kg PO43-equiv)
• 一次エネルギー需要、再生不能
(MJ)
• 地球温暖化(kg CO2-equiv)
• オゾン層破壊(kg R11-equiv)
• スモッグ発生(kg C2H4-equiv)
24 エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
このプロジェクトでは、こういった特定の環境指標を評価できましたが、コミュニ
ティや社会に対する問題、財務とガバナンス、その他の環境持続性(廃棄物の発生、
有毒物質、生物の多様性に対する影響など)に取り組むプロジェクトではありません
でした。そのためこの成果は、単独の考慮事項ではなく、取り組みの焦点を定め、判
断を下す際の指針として使用しています。
EMCは、このプロジェクトで次のような目標を持っていました。
• 設計者にサステナビリティについてのガイダンスを提供する
• プロキシLCAツールとDfE(Design for Environment)チェックリストへの情報供給
と改善に取り組む
• 対応の優先順位を決めるために、最も影響が大きいものが何か確認する
• 製品開発への情報提供のための、LCAの最適な活用方法を知る
これらの結果から、ライフサイクルでの影響の90%は製品の使用フェーズにおける電
力消費に起因する、という弊社の予想が間違っていないことを確認できました。影響
を受けるその他の領域としては、ディスク・ドライブの製造、お客様との間の資材の
輸送、テストや半導体製造時に消費されるエネルギーなどがあります。比較的影響が
少ない領域としては、機器の保管、物品納入時のサプライヤからの輸送、社内施設間
の輸送、梱包などがあります。
GHG EMISSIONS PER STAGE OF A
EMCの代表的なミッドレンジ製品のステージ別
REPRESENTATIVE
EMC MIDRANGE PRODUCT (LCA)
温室効果ガス排出量(ライフサイクル解析)
5 YEAR USE
PHASE—METRIC
TONNES
5年間使用、
単位:メートル・
トン
97%
使用フェーズ
3% 原材料の採取/部品製造
<1% EMCでの組み立てとテスト
梱包
輸送
保管
再製造
合計
46.8
メートル・トン
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
25
これらの調査結果は、弊社の戦略と取り組み対象を見極める際に役立ちました。EMC
では、さらに踏み込んで次のような取り組みを計画しています。
• 製品のエネルギー効率を向上させる
• PUEを下げるためのベスト・プラクティスを提唱する
• IT機器をエネルギー効率の良い方法で運用するために必要な領域の評価と定義に
役立つ標準を策定する
• サプライヤと協力して、ディスク・ドライブ製造からの影響を低減する
• 製品やコンポーネントの輸送方法について、二酸化炭素排出量の少ない選択肢を
調査する
• キャビネットなど大きくて重いコンポーネントの輸送を最小限にすることに取り
組む
• 軽量化技術を探究する
• 情報に基づいて設計を決めることで、重大な影響を抑制する
• 有効性を損なうことなく、梱包の効率を上げる
• 使用終了時の製品回収とリサイクルを最大限に行う
効率の良いドライブ
EMCの最新の電源
は、エネルギー効率が以前の電
源よりも数パーセント向上し、
最大92%に達しています。
EMCは、容量、パフォーマンス、コストに関する多様なニーズに応えるため、さま
ざまなディスク・ドライブを提供しています。エネルギー効率を追求する際には、
それぞれのディスク・ドライブの特性を考慮する必要があります。たとえば、大容
量SATAドライブでは、電力消費は少なくなりますが、パフォーマンスは低くなり
ます。逆に、容量の少ないFC/SASドライブでは、電力消費は多くなりますが、パ
フォーマンスは高くなります。さらに、データ・ドライブを他のテクノロジーと組み
合わせた場合、追求できる効率化の種類は数に限りがありません。
EMCは、業界の先陣を切って、エンタープライズ・ストレージ・システムにフラッ
シュ・ドライブ(ソリッド・ステート・ドライブ)を採用しました。エンタープライ
ズ・フラッシュ・ドライブは、高パフォーマンス・コンピューティングで優れた電力
効率を実現します。FC/SASドライブと比較してIOP(毎秒の処理量)あたりの消費電
力が最大97.7%少なくなり、保存データのテラバイトあたりの消費電力は最大38%少
なくなります。消費電力量を削減できる理由として、従来のディスク・ドライブのよ
うな回転部がないというソリッド・ステートの特性と、システム全体で必要なドラ
イブの総数を減らしても厳しいパフォーマンス目標を達成できる点が挙げられます。
FAST™(Fully Automated Storage Tiering)テクノロジーを使用することで、パフォー
マンスに優れたエンタープライズ・ドライブを最上位階層に配置し、効率に優れた
ATAドライブを最下位階層に配置して、効率とパフォーマンスを両立できます。
効率の良い電源と冷却
ドライブ以外にも、ストレージ・プラットフォームの消費電力を削減するための、次
のような3つの主要なイニシアティブがあります。
1. 効率性に優れた電源装置を使用し、ストレージ・プラットフォームに電力を供給す
る際のエネルギー損失を削減します。高効率で、目的の容量に最適化された電源を
使用することで、機器への合計電力を低減し、廃熱を最小化します。これは、施設
の冷却および配電インフラストラクチャのコスト削減に大きく寄与します。
2. 計測器を組み込み、効果的なツールを活用して、電力消費と環境温度をモニタリ
ングして報告します。
3. 適応型冷却テクノロジーを採用し、ストレージ・プラットフォームのファン回転
数を動的に調節することで、エネルギーを節約します。弊社の適応型冷却テクノ
ロジーは、外部環境のデータを継続的に収集し、運用を調整して、信頼性を維持
しながら電力消費を最小限に抑えます。
26 エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
効率の良いデータセンター
EMCのIT部門は、社内のビジネス・ユニットにITサー
ビスを提供する一方で、安全なクラウド・コンピュー
ティングとビッグデータの提供に向けたEMCのビジョ
ンと戦略を推進するために日々奮闘しています。
EMCは、情報管理とクラウド・コンピューティングにおけるリーダーシップを活用
し、自社のIT運用を変革して、IT-as-a-Serviceとして業務部門に提供しています。ま
た、エネルギー効率の高い仮想化データセンターのために、テクノロジー・ソリュー
ションや業界のベスト・プラクティスを開発して適用しています。この過程でEMC
は、お客様企業各社が経験しているのと同じ課題に取り組み、エネルギー利用とス
ペースの制約がある中で、増大するデジタル情報を管理するために、明確な目的を持
ち、革新的で柔軟性の高い選択肢を提供しています。
弊社におけるクラウドへの移行
EMCのIT部門では、50か国150箇所のオフィスで働く約53,000人の社内ユーザーをサ
ポートしています。EMCのグローバルIT環境は、500を超すアプリケーションと12 PB
(ペタバイト)の情報ストレージをホストする、5つのデータセンターを抱えていま
す。EMCのIT部門は、EMCのグローバル・セールス/サービス組織(80か国、20言語
で40万を超えるお客様とパートナーをサポート)と密接に協力しています。
EMCのIT部門は、俊敏性と効率性を高め、ビジネスを変革して競争上の優位性を確か
なものにするため、複数年にわたるクラウドへの取り組みを開始しました。これは、
物理的なITインフラストラクチャを高度に仮想化されたインフラストラクチャに移行
し、プロセスをさらに自動化して、IT-as-a-Serviceを可能にするものです。取り組み
の発端は経済的な理由でしたが、温室効果ガスと物的消費を低減できるという環境上
のメリットも得ることができました。
クラウドに関する弊社の取り組みの詳細については、「EMC IT Proven」を参照して
ください。
EMCのテクノロジーの活用による効率化
仮想化とクラウド・コンピューティングによって、弊社のデータセンターにおけるエ
ネルギー効率は向上しています。自社の独自テクノロジー(仮想化、データ重複排
除、FAST)を活用することで、クラウドに向けた取り組みの中でエネルギーとコス
トを大きく削減しています。
仮想ITインフラストラクチャ内でサーバおよびストレージ・リソースを動的に割り当
てることにより、エネルギー効率とビジネス・パフォーマンスの適切なバランスをと
ることができます。EMCの仮想化戦略には、次のようなものがあります。
• サーバ・クラスタおよびストレージの階層化、共有化、仮想化
• ITインフラストラクチャの仮想(シン)プロビジョニング
• 仮想インフラストラクチャの統合管理と自動化
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
27
EMCは、仮想化に向けた取り組みを2004年に開始しました。2011年末までに、EMCの
IT部門は、OSイメージの85%、x86サーバ環境の100%を仮想化しました。弊社の仮想
対物理の統合比は、平均で22:1です。サーバとストレージの使用率は4倍になり、
ストレージ管理における生産性が170%向上しました。また、データベースの数を51
から6へと減少させることができました。
Avamar ®とData Domain ®データ重複排除ソリューションを導入することで、バック
アップ時間を大きく短縮しながら、バックアップ・ストレージに要求される容量を
70%少なくすることができました。ディスク・ベースのバックアップ、アーカイブ、
データ重複排除により、弊社のバックアップとリカバリの環境の効率性は全体的に向
上しています。
FASTは、適切なストレージ階層にデータを移動するテクノロジーです。たとえば、
最高のパフォーマンスを必要とするデータはフラッシュ・ドライブに、使用頻度が低
い情報はSATAドライブに移動されます。このテクノロジーを使用することで、弊社
のストレージ・インフラストラクチャは、パフォーマンス、エネルギー効率、コスト
の面でさらに最適化されました。
EMCが現在までに上げたクラウド移行の成果
2004年
2011年
EMCの収益
82億ドル
200億ドル
従業員数
22,700人
53,000人
情報量
1 PB
12 PB
データセンター数
5
5
インフラストラクチャの仮想化率
0%
85%
サーバ数
2,000台の物理サーバ
1,800台の物理サーバで
7000のOSイメージを
ホスト
IT部門が新機能の追加作業に費や
23%
42%
90日
1日以内
した時間の割合(保守作業時間全
体のうち)
ITインフラストラクチャの
プロビジョニングに要する時間
2004∼2011年のクラウドに向けた取り組みにより、生産性が向上し、ビジネスの価
値と俊敏性は高まり、運用面で大幅なコスト削減を実現できました。この期間、EMC
のIT部門は、設備投資で1億2,000万ドルの削減、運用面で6,600万ドルの削減を達成し
ました。また、エネルギー消費量の34%削減を成し遂げ、およそ4,500 kg CO2eの二酸
化炭素排出量削減も実現しました。
28 エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
EMCの新データセンター(ノース・カロライナ州DURHAM)
2011年9月15日、EMCは、Durhamの新しいクラウド・データセンターの運用を正式に
開始しました。
Durhamのデータセンターは、EMC、VMware、VCE Companyの最先端テクノロジー・ソ
リューションを投入して建設され、完全に仮想化されており、EMCのIT部門のクラウ
ドに対するビジョンとIT-as-a-Serviceへの転換を支えています。この新しいデータセン
ターにより、EMCのIT部門は、現在および未来のビジネス・ニーズに必要とされる俊敏
性、柔軟性、スケーラビリティの提供が可能となります。また、最先端施設として、
お客様向けに世界最高クラスのショールームの役割も果たします。さらに、従業員
は、グローバルな研究開発ラボを通じてクラウド機能を活用できるようになります。
この階層3のデータセンターは、1.3という厳しいPUE目標を満たしており、LEEDのCI
(Commercial Interiors:テナントビル入居者専有部分)部門の認証を受ける予定です。
環境面では、屋根からの雨水回収システム、ほぼ年間を通じて活用できる外気冷却、
UPS(無停電電源装置)のバッテリが不要になるフライホイール・テクノロジーなど
の革新的アイデアを採用しています。Durhamクラウド・データセンターにおけるエネ
ルギー効率の高い設計と建築については、「効率の良い施設」を参照してください。
データセンターのエネルギー効率の変化
旧式の物理的
データセンター
DURHAMクラウド・
データセンター
差分
向上
率
解析
物理サーバと仮想サーバをクラウド化する取り組み
サーバ
2,120人
3,550人
1,430人
+67%
サーバ需要が67%拡大
仮想化率(%)
サーバ
32
100
68
+213%
仮想サーバの割合は32%から100%へと向上
サーバあたり
の消費電力
(ワット)
399
128
-271
-68%
仮想化により271ワット削減
2,808
5,518
2,710
+97%
プロジェクト期間中にストレージ需要が97%拡大
302
82
-219
-73%
プロジェクトにより、TBあたりの電力を73%削減
-17%
IT需要の拡大が続く中で消費電力量は低減
情報ライフサイクル管理ストレージの階層化
スト
レージ
ストレージ
容量(TB)
TBあたり消費
電力(ワット)
データ・センター・インフラストラクチャの最適化
電力
IT負荷(KW)
1,270
1,050
-220
合計負荷(KW)
2,540
1,365
-1,175
-46%
プロジェクト全体で、電力需要を1.2メガワット削減
2
1.3
-0.7
-35%
PUEが35%向上
PUE
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
29
輸送と物流
EMCは、世界中での貨物輸送に関わるエネルギー消費
の削減と材料の浪費抑制に取り組んでいます。社内で
は、Global Sustainable Logistics Workgroupが各部門と
協力し、EMCの物流における温室効果ガス排出の要因
を解析し、影響を受ける領域に優先順位を付け、環境
におけるカーボン・フットプリントの低減に取り組ん
でいます。対外的には、効率を上げて環境に優しい運
用を導入するために物流業者と連携しています。
日常物流業務の向上
EMCでは、効率化と環境面のメリット向上、コスト削減は、同時に達成できると考え
ています。弊社のチームは、世界中の各拠点で、梱包、作業工程、輸送方法を評価
し、改善が可能な箇所を見つけ出しています。2011年、弊社は複数のプロジェクトを
実施し、7,000メートル・トンCO2e超の排出を回避して、350万ドル以上のコストを
削減しました。弊社の各部門と最近買収した企業が関心を持って積極的に参加したこ
とで、弊社施設内で物流パートナーの車両に対して「アイドリング禁止」ポリシーを
適用するなど、優れた運用方法を広く導入できました。
EMCの施設に掲げられた「アイドリング禁
止」の看板
2011年、EMCは、社内の異なる組織から出荷され、管理元は別でも同じ経路を通る
貨物を統合する作業に乗り出しました。統合の結果、積載効率の向上、輸送時間の
短縮、運送費の削減などを実現し、環境面でのメリットが得られました。弊社は、
Merge-In-Transitセンターなど、前年に効率性向上の成果を上げた取り組みを広める努
力も行っています。このセンターでは、お客様への配送と返送を統合してまとめるこ
とで、トラックの積載効率を最大限に高め、輸送距離を最短にすることが可能になっ
ています。2011年には、アイルランドとオランダの物流センターに14の物流業務がま
とめられ、国際市場をサポートすることになりました。
物流部門では、サステナビリティに配慮した梱包のプロジェクトも進め、梱包資材の
削減と排出ガスの低減に取り組んでいます。詳細については、「梱包」を参照してく
ださい。
変革推進のための物流業者との提携
物流業者との取引関係において、サステナビリティは切り離せない部分です。EMCで
は、主要な物流業者に対して、EMCの貨物輸送におけるCO2排出量の報告を求めてい
ます。また、四半期のビジネス・レビューの際には、それぞれの会社におけるサステ
ナビリティ・プログラムとその目標を提示することも求めています。アメリカ合衆国
では、EMCが利用する物流業者は、SmartWay Transport Partnership(米国環境保護庁
による、物流事業を対象とする効率化および温室効果ガス削減プログラム)に参加す
ることが求められます。弊社の米国内貨物輸送量の98%は、SmartWayの認証を受け
た業者が輸送しています。
EMCは物流業者と協力し、コスト、適時性、環境への影響の低減などについてEMCが
定めた各要件を満たすために、輸送経路の最適化、業者の物流ネットワークと輸送能
力の活用に取り組んでいます。また、四半期ごとのビジネス・レビューや物流パート
ナーのサステナビリティ・チームとの会議を通じて、戦略と温室効果ガスの監査手法
を物流パートナーと共有しています。厳しくなっていく業界標準に対処するために
は、知識の伝達が有効であり、不可欠です。
30 エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
影響の測定
2011年、全世界でEMCの物流業務から排出される温室効果ガスの量は、約157,207 MT
CO2eでした。この数値は、EMCの貨物輸送に直接関連する物流パートナーから入手
した、温室効果ガス排出報告書から計算しています。弊社では、2011年の物流支出の
89%に相当する排出量報告書を入手し、このパーセント値に基づいて、合計排出量を
推定しました。この排出量には、EMCの貨物輸送に直接関連する出荷と荷受け、プラ
ント間、カスタマー・サービス物流からの排出量が含まれています。パートナーに対
しては、パフォーマンスをより正確に計測するために、実際に使用している輸送機関
の独自係数に基づいて報告するよう働きかけています。また、サステナビリティを目
指した物流プロジェクトの環境への影響を定量化するための標準も策定しました。こ
の標準により、進行状況を評価でき、温室効果ガス排出削減に最も寄与するプロジェ
クトを識別することができます。
課題への直接的な取り組み
世界中の物流業者でさまざまな形式の報告書が使用されていたため、EMCの物流にお
ける温室効果ガスのデータをまとめることは大きな課題でした。2012年、弊社は物
流業者と協力し、環境影響データを報告する際の共通テンプレートを作成しました。
これにより、作業は単純化され、ベンダー側で必要とされる時間と労力が低減されま
した。また、各物流業者のパフォーマンスをより正確に比較できるようになり、改善
対象に優先順位を付けることができるようになりました。
もう1つの大きな課題は、在庫を増やさずに高い調達性を得るというビジネス・ニー
ズと、サステナビリティの推進によって低排出量の輸送方法を実現するというニーズ
の間でバランスをとることです。2012年、弊社は、特定の輸送経路や製品について
航空輸送ではなく海上輸送や鉄道輸送を使用できる部分を見つけ出すために、社内で
広く議論する予定です。
弊社の目標は、戦略開発と毎日の運用に対してサステナビリティを考慮した運用を組
み入れ、物流パートナーと協力して排出量を削減し、将来の低炭素社会の形成に向け
たEMCの物流の足場を固めることです。弊社は、進行状況を継続的に報告し、改善を
一歩一歩進めるためのプロジェクトを立ち上げ、全世界で環境への影響を大きく低減
できる大きな変革を目指しています。
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
31
従業員の出張と通勤
EMCは、電子会議、バーチャル・ミーティング、リ
モート作業割り当てプログラム、シャトル・サービス
など、出張、通勤、コミュニケーションの代替手段を
奨励しています。従業員に対しては、環境への影響を
抑える取り組みを奨励し、同時にビジネスにおけるコ
スト削減を達成しています。また、保有する輸送機関
における効率性向上にも取り組んでいます。
電子会議
EMCは、出張しなくても、従業員がより効果的かつ頻繁に共同作業を行うことが可能
なテクノロジーの選択肢を数多く用意しています。電子会議向けの選択肢として、テ
レビ会議、Web会議、電話会議などがあります。弊社には、2011年に追加された9つ
の施設を含め、世界中に43のCisco TelePresence施設があり、これらの施設が社内の
共同作業をさらに促進しています。Cork(アイルランド)COEのメイン・プラントに
ある弊社の3画面TelePresence施設は、Cork市長が2011年にカリフォルニア州サンフラ
ンシスコ市長と会談する際にも使用されました。
2011年、弊社の電子会議テクノロジーは、「Social Enterprise Education in
Universities」でのオンライン対話にも使用されました。この対話では、ロンドン、ボ
ストン、北京の研究者と学生が、社会事業教育の課程運営やキャンパスにおける社会
事業家精神育成などについて、知識、アイデア、体験を共有することができました。
このイベントは、British CouncilとSocial Enterprise Londonの共催で実施されました。
保有する輸送機関
EMCは、欧州で従業員が利用する社用車をエネルギー効率に優れたモデルに移行しま
した。2011年、弊社は、欧州における燃料消費を約20%削減し、2013年の削減目標で
ある25%に向けて取り組んでいるところです。
EMCは、燃料効率を向上させ、排出量を削減するために、保有する輸送機関と有望な
代替機について常に調査しています。2011年、効率性に優れたジェット機を採用した
ため、弊社が所有する航空機の1マイルあたりの燃料消費は、2010年よりも2.5%減少
しました。弊社は、EU-ETSまたはAVETSという略称で呼ばれるEU-Aviation Emissions
Trading Schemeに参加して緊密に協力し、基準年である2010年のCO2排出量をすでに
報告しました。EU-ETS(AVETS)は、2012年に正式に運用が開始され、2013年1月1日
より信用取引が可能になります。
在宅勤務/WORKWISE
EMCでは、在宅勤務やその他の柔軟な労働形態で勤務している従業員が増加していま
す。たとえば、弊社のWorkWiseプログラムでは、資格を有する従業員に対して、限
定的または完全な在宅勤務の権利を与えています。環境面でのメリットとして、通勤
による温室効果ガス排出量の削減、時間損失の解消、施設の統合によるスペース利用
効率やエネルギー消費効率の向上が挙げられます。
32 エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
従業員向けの通勤およびシャトル・プログラム
CYCLE TO WORKプログラム
(アイルランドCORK)
米国内のEMC施設とアイルランドCOEでは、従業員向けにマイカー通勤者の相乗り相
手探しプログラムを提供しています。アイルランドCOEは、政府の運輸・観光・ス
ポーツ省の1部門であるSmarter Travelとのパートナー関係拡大の一環として、今年初
めてこのプログラムに参加しました。この部門は、サステナビリティに配慮した交通
と輸送のためのリソース提供を目的とする政府組織です。また米国では、プログラム
をカリフォルニア州内のすべての施設に拡大しました。
Cycle to Work(自転車通勤)プログラ
ムは、アイルランド政府が2009年に
開始したイニシアティブで、2010年
に弊社のアイルランドCOE(Center of
Excellence)に導入されました。このプ
ログラムには次のようなメリットがあり
ます。
EMCのインドCOEは、2012年に向け、Webで利用可能な相乗り通勤イニシアティブ
(iPool)を開始することを計画し、Bangalore Metropolitan Transport Corporationと
「共通バス・ルーティング・サービス」についての話し合いを進めていく予定です。
弊社は、いつか従業員に提供できることを目指して、米国内で電気自動車の充電ス
テーションを設置する際の選択肢についても調査しています。
• 個人の健康とフィットネス:自転車で
通勤する従業員は、毎週約4,000カロ
リーを燃焼できます。
• 自転車通勤の従業員のための、バイク・ラックとシャワー
• 環境への影響の低減:自転車は、排ガ
ス・ゼロの移動手段です。
• 費用の節約:このプログラムを活用す
る従業員は、自転車を小売価格の最大
52%引きで購入できます。また、従業
員1人あたり最大1,000ユーロ相当の自転
車用品を手に入れることができます。
EMCには、ほかにも次のような通勤プロジェクトやプログラムがあります。
• 公共交通機関の利用を奨励するインセンティブ(地元のいくつかの駅から会社ま
での輸送サービス、通勤者向け節税プランなど)
• 従業員の自家用車利用を控えるためのシャトル・サービス(マサチューセッツ州
内の主要施設のビル間で運行)
• シャトル便でのハイブリッド車の使用
EMCは、2011年にこのプログラムを拡張
し、従業員がプログラムのメリットを学
び、自転車を購入する前の下調べを行う
ために、5週間のスケジュールで2回の
セッションを実施しました。2010年以
来、377名の従業員がこのプログラムを
利用しています。
エコシステムの持続/エネルギー消費と気候変動
33
材料と資源の消費
EMCは、バリュー・チェーンや弊社が所有および運用
しているあらゆる拠点で、廃棄物をなくすチャンス
がないか常に調査しています。また、保全やリサイ
クル、再使用を奨励するため、施設から製品開発、
梱包、廃棄時の管理に至るまで、一貫した取り組み
を行っています。消費量の低減と再利用の促進、バ
リュー・チェーン全体での環境と人々の健康保護に、
弊社は全力で取り組んでいます。
このセクションでは次のトピックを取り上げます。
製品の廃棄
製品に含まれる物質
水の使用と管理
リサイクルと廃棄
梱包
生物学的多様性
34 エコシステムの持続/材料と資源の消費
製品の廃棄
EMCのコミットメント
1. EMCは、EMCブランドのすべ
ての機器を回収します。
2. EMCは、先進国から発展途上
国にE-Wasteを輸出しません。
3. EMCは、E-Wasteの処理に強制
労働者、囚人労働者、児童労
働者を使用しません。
製品の回収とE-WASTEに関する弊社の
方針をご確認ください。
関連情報
IOMEGA MAKES IT EASY FOR YOU TO
RECYCLE
INNOCENTIVEの取り組みについてのプ
レス・リリース
EMCは、環境に対する最高水準の責務を果たし、回収
した製品の経済的価値を最大限に引き出し、製品の廃
棄処理に関連するリスクを効果的に管理することを目
指しています。弊社のグローバルE-Wasteプログラム
は、世界中のすべてのお客様から製品を引き取り、関
連法規に従い、責任を持ってこれらの製品のリサイク
ルや廃棄を行うプログラムです。
解体を考慮した設計
回収とE-Wasteについての効果的なプログラムは、製品設計の段階から始まります。
製品の解体が容易であればあるほど、責任ある方法での回収、リサイクル、廃棄をよ
り簡単に実現できます。これにより、廃棄物は減少し、リサイクルして再使用可能な
価値ある物質を回収できるようになります。
EMCの標準的な設計仕様には、コンポーネントの回収と解体手順を簡単にすることが
盛り込まれています。EMCのエンジニアは、リサイクル処理でEMC製品がどのように
解体処理されているかを理解し、リサイクルと回収の効率を高める設計方法を追求す
るため、ITAD(IT資産廃棄)ベンダーと密接に協力しています。
お客様から回収した製品の責任ある処理
EMCは、耐用年数が終了したEMCブランドのすべての製品を引き取ります。適切と考
えられる場合には、製品を修理して寄付または社内で利用し、残りの製品はすべて解
体します。サブアセンブリのいくつかは再生して、新しい製品標準に照らしてテスト
し、合格したサブアセンブリは再使用します。回収した材料の(重量にして)およそ
4分の1が、弊社の製造施設で処理されます。残りの材料はITADベンダーに送られ、ベ
ンダーが責任をもって回収、リサイクル、再販します。廃棄物熱源転換施設や埋め立
てに送られるものは3%未満です。お客様の情報を保護するために、リサイクル前に
ディスク・ドライブの消磁(磁気的消去)や物理的破砕を行っています。
2011年、EMCの完全子会社であるIomega®は、米国内のお客様を対象に引き取りプロ
グラムを開始しました。これは、お客様が安全かつ責任あるリサイクルを利用できる
ようにすることと、強化されている米国の規制にIomegaが準拠することを目的とし
て行われました。詳細については、iomega.com/recycleを参照してください。
効率を上げるための世界的な取り組み
2011年、EMCは、すべての業務と地域にわたって、ポリシーと実務の統一を図りま
した。社内全体に一貫したポリシーが導入されているかどうかについては、社内の
Take Back and eWaste Governance Committee(Office of Sustainability、Global Product
Operations、Environmental Health & Safety、Security、Office of the General Counselの
代表者によって構成)が監督します。
2012年、EMCは、貨物輸送による温室効果ガス排出量を低減し、厳しくなっていく国
際規制への準拠に備えるために、引き続き地域内でのE-Waste処理の確立にあたりま
す。EMCは、地域を問わず、自社のE-Wasteの原則に一致するリサイクル・ソリュー
ションの開発に力を注いでいます。
ITADベンダーの選定、監査、コラボレーション
E-Wasteを適切に管理するには、信頼できる透明性の高いITADベンダーとパートナー
関係を築くことが非常に重要です。2011年、弊社は、新しいITAD選定プロセスを導
入しました。これにより、新しくベンダーとなるには、弊社のTake Back and eWaste
Governance Committeeの承認が必要になり、e-Stewards、R2、その他の同等の認証を
エコシステムの持続/材料と資源の消費
35
受けているベンダーが優先されるようになりました。この委員会は、新しい標準への
適合性を判断するために、過去のITAD契約の見直しも開始しました。
2011年、EMCは、ITADベンダーに対して第三者機関による監査を実施するプログラム
を開始しました。2012年には、弊社と契約するITADベンダーの80%を第三者機関に
よって監査することを目標としています。この監査は、EMCによる既存の監査を補完
して、セキュリティと規制へのコンプライアンスを検証するためのものです。EMC
は、協力してベスト・プラクティスを推し進めるために、ITADベンダーおよび下流の
パートナーに継続的に働きかけています。
業界標準の策定と革新的ソリューションの構築
効果的なグローバルE-Wasteプログラムを構築するには、厳格な標準と測定基準が欠
かせません。EMCは、責任あるリサイクルと廃棄のために、業界全体に適用できる一
貫性のあるE-Waste測定基準を策定して推進することを目的として、The Green Gridに
積極的に関与しています。
EMCのE-Waste管理
すべての段階でデータを保護
EMCは、E-Wasteライフサイクルのすべての段階で、
データ保護
を第一に考えています。お客様に対して最高レベルの情報セ
キュリティを提供するために、標準的手順を越えた対応を行っ
ています。
EMCのE-Waste
廃棄の概要:
廃棄物の行方
3. 追跡
2. 消磁
すべての使用済みドラ
イブに対し、
スクラップ
処理前にEMCが電気的
に消磁(磁気的消去)
101100011011000000010110101100
010001110101100110101100001100
111101101010100011011100010100
011000110101000111010001010010
001001001001001000001001111100
101001001000010101010001000010
010010010010001010010010010101
110010010010010001010010100100
101100011011000000010110101100
1. 消去
EMCにドライブを送
る前にお客様がデー
タを消去
スクラップ処理
ベンダーへ輸送
する際に、EMCが
各ドライブをシリ
アル番号で追跡
ドライブをはじめとするEMC全
体のE-Wasteのうち、埋め立て
に送られるものは1%未満
.2%
1%
2%
4. 破砕
EMCに返却されたすべてのド
ライブを破砕し、精錬所へ送
ってリサイクル。
ドライブの販
売または再使用は行わない
埋め立て
再販
廃棄物熱源転換
25.1%
再処理
71.7%
リサイクル
36 エコシステムの持続/材料と資源の消費
2012年、EMCはEnvironmental Defense
FundおよびInnoCentiveとパートナー関
係を結び、廃棄過程全体でE-Wasteを効
果的に追跡するクラウド・ソース・ソ
リューションを構築します。弊社は、こ
のプロセスを通じて、責任ある廃棄物管
理に役立つアイデアを見つけ出すことを
期待しています。また、ここから獲得し
た重要な知識を、業界で共有することを
計画しています。
EMCは、E-Wasteの処理に携わる発展途
上国の人々の経済的メリットと、健康と
環境の保護との間のバランスをとるため
の、業界各社連携による取り組みを支援
しています。2012年には、これらの目標
を実現するため、マサチューセッツ工科
大学Sloan School of Managementとパー
トナー関係を結び、E-Wasteに代わる経
済モデルについての調査を行います。
製品に含まれる物質
ITデバイスには、生態系および人の健康を害する可能
性のある化学物質と重金属が含まれています。EMC
は、人と環境を保護するために、代替材料の研究開発
を進め、このような物質を製品で使用する量を最小限
にとどめることに積極的に取り組んでいます。また、
これらの物質が自然生態系へ排出することの防止にも
積極的に取り組んでいます。
DESIGN FOR ENVIRONMENT
EMCのDfE(Design for Environment)プログラムでは、製品設計全体に環境への配慮
を組み入れています。EMCのエンジニアは、従来の製品設計から環境への影響につい
ての知識を活用して、継続的な製品設計にベスト・プラクティスを適用します。
代替材料の特定
環境に敏感な材料を製品から排除するには、有効な代替材料を見つける必要がありま
す。EMCは、材料に懸念があると確信した場合、生態系の健全性や人の健康に対して
従来品より安全性の高い代替材料を調査するという予防措置を講じます。
EMCのMaterial Sciencesラボは、現行の材料と同等以上の信頼性、コスト効率、パ
フォーマンス、入手性を備えた代替材料を産学協同で調査し特定しています。適切な
代替材料が見つかった場合、EMCは、元の材料の使用が法律で許可されていたとして
も、技術的および経済的に実現可能であれば、懸念がある原料の使用を停止または削
減します。
たとえば、2010年にEMCは、臭素系難燃剤を含まない、ハロゲン・フリーのPCB(プ
リント回路基板)材料を見つけ出しました。この新しい材料は、製品性能、入手性、
供給継続性、コスト、長期の信頼性など、EMCの厳格な要件を満たしていました。
2011年には、PCB設計のほとんどがこの新材料に移行しました。さらに、次世代製品
の開発のために、パートナーと協力し、電気特性に優れたハロゲン・フリー材料の開
発を始めたところです。
EMCは、CALCE(Center for Advanced Lifecycle Engineering)のメンバーでもあり、製品
に含まれる材料による環境への影響に関する情報について、この団体の研究とリソー
スを使用しています。
EMCは、GC3(Green Chemistry and Commerce Council)と協力し、弊社製品への適合
性と、環境および人の健康への影響低減をどちらも満たす代替品の特定に取り組ん
でいます。GC3は、EMCや他の業界パートナーが使用するフタル酸エステル類を選定
し、それらが人の健康に及ぼす影響をよりよく理解するため、GreenScreenを実施し
ています。GC3は、調査結果を2012年に報告する予定です。EMCはこの調査結果に基
づき、GC3に参加している業界の他の参加者やサプライヤと協力し、適切な代替品を
発見できるかどうかを判断することを予定しています。
また、EMCは、米国環境保護庁のDesign for Environment Programプロジェクトの1つで
あるPartnership on Alternatives to Certain Phthalatesにも参加しています。2011年、こ
のプロジェクトは、懸念の強い8種類のフタル酸エステルに対する代替品を公表しま
した。現在、サプライヤと協力して、これらの代替品を弊社製品に使用できるかどう
か評価しているところです。
EMCは、業界でのこれらの共同作業とは別に、ハロゲン、PVC、フタル酸エステルを
含まないケーブル被覆用可塑剤を見つけ出し、その適合性を確認しました。しかし、
現在は元の化学物質が規制対象ではないため、この代替材料はサプライ・チェーンで
エコシステムの持続/材料と資源の消費
37
あまり需要がありません。需要がなければ、コストの問題が発生し、継続的供給が難
しくなるため、EMCではこの代替材料を使用できません。
材料の完全な開示
2010年、EMCは、自社製品で使用されている物質を分類して追跡するための、FMD
(Full Material Disclosure)データベースの構築に着手しました。このデータベースに
より、規制や社内プログラムに応じて、使用が制限されている物質の存在を迅速かつ
簡単に識別できるようになります。この情報を収集するために、直接サプライヤに対
し、EMC製品の各部品に使用されている材料をCAS番号(化学物質の一意な識別子)
で特定するよう求めました。
EMCのハードウェア製品に含まれる膨大な部品点数、日々刷新される製品ポートフォ
リオ、FMDの申告を提出する各サプライヤのインフラストラクチャが成熟している度
合いのばらつきなどにより、このデータベースへのデータ蓄積は複雑になります。弊
社は、2011年の目標であるFMDデータベースの完成度65%3を達成しました。今後も、
サプライヤからこの情報を収集し続け、新製品のデータを追加し、過去の製品リリー
スのデータも埋めていきます。
このFMDデータベースは、製品内のどこに「紛争鉱物」(錫、タンタル、タングステ
ン、金)が使用されているかを識別して供給元を追跡する際など、環境以外のプログラ
ムにも役立ちます。詳細については、「サプライ・チェーン」を参照してください。
コンプライアンス要件とお客様の要件への準拠
IT製品から環境への影響の低減が注目されるにつれ、製品に含まれる材料に対する規
制が世界中で始まりました。同時に、弊社製品に含まれる特定物質に関する情報を求
めるお客様も増えました。前述の各イニシアティブは、政府の規制やお客様の要求に
後れを取らないために欠かせない活動ですが、厳しさを増す規制と国際的な足並みの
乱れが、課題となることがあります。EMCには、環境に関する製品コンプライアンス
を監督し、定期的に要件を予測して社内のエンジニアリング組織とサプライ・チェー
ンに伝えるガバナンス組織があります。2012年、EMCは、目まぐるしく変化する規制
情勢をサプライヤが理解して準備を整えることができるように、サプライヤへの教育
活動を増やすことを計画しています。
VOC排出量
VOC(揮発性有機化合物)は、EMCの製造作業に使用される材料ではなく、弊社の
VOC排出量はごくわずかです。小規模な塗装修正のためのスプレー塗料以外に、VOC
が含まれる塗装やコーティング作業などの処理はありません。弊社のサプライヤ仕様
では、わずかな装飾用部品を除き、VOCを含まない粉体塗装や水性塗料の使用を求め
ています。
3
38 エコシステムの持続/材料と資源の消費
このパーセント値には、Iomega、RSA、Data Domain、Greenplum、Isilonの製品は含まれていません。
水の使用と管理
EMCにおける水の使用は比較的少量ですが、EMCは、
この重要なグローバル資源の保護に誠実なアプローチ
を採ってきました。弊社が所有および運用する施設に
おいては、水の消費量を最小限に抑え、地域の水質を
保護するために排水を管理しています。EMCが所有す
る世界中の製造施設からは、産業廃水はまったく排出
されていません。
水の保全
EMCは、世界中の施設で、水使用の効率性と保全のためにさまざまな機能を採り入れ
ています。これには、節水型配管設備、雨水回収システム、外気冷却などが含まれま
す。弊社は、新しい施設を設計して建設する際に、水の保全と効率的使用という要素
に配慮しています。
ノース・カロライナ州に新設された
Durham Data Centerには、効率性を高め
るためのさまざまな設計が取り入れら
れています。たとえば、屋根からの雨水
回収システムがあります。これにより、
施設の水使用量は40%以上削減されまし
た。41,810平方メートルの屋根に対して
降水量が25 mmの場合、雨は946.3立方
メートルの水に相当します。また、涼
しい季節(年におよそ5,000時間)の間
は、ビル周辺の吸気用プレナムと空冷熱
交換器で外気冷却を行い、データセン
ターを冷却するための水使用量を低減し
ています。
マサチューセッツ州HopkintonのEMC本社では、排水は社内の処理プラントで再生さ
れます。このプラント内で、排水に対して3段階の処理と消毒が行われ、処理済み
「生活排水」となります。2011年、弊社は17,220立方メートル(455万ガロン)の生
活排水を、冷却、衛生、かんがいに再利用しました。使用されなかった生活排水は、
浸潤システムを通じて地中に戻され、河川流域の水量を補っています。水の再使用量
は、2010年の21,950立方メートル(580万ガロン)から低下していますが、これは水
質の課題に取り組むために、処理プラントを10週間停止したためです。
雨水管理
EMCが専有する土地面積の25%以上を占めるマサチューセッツ州の施設では、周囲の
環境を保護し、損なわないために、厳格な雨水管理システムを導入しました。これら
の施設では、除草剤、殺虫剤、農薬の使用を最小限に抑え、可能な場合には使用を停
止するために、Integrated Pest Managementプログラムも導入しました。地下水や地
表水をはじめとする自然資源に対する影響を最小限にするため、EMCは、入念な管理
作業を通じて、弊社施設から流出する雨水の水質を高めています。
ウォーター・フットプリント
2007年以来、EMCは、保有するすべての施設および借りているほとんどの大規模施
設での水の消費量を追跡しています。弊社は、World Business Council on Sustainable
DevelopmentのGlobal Water Toolを使用して、水ストレス指標の高い地域における業
務を解析し、水使用量を計算しています。
2011年のEMCの総取水量は、864,149立方メートルでした。取水量データの81%は、水
道料金請求書や水道メーターの数値など、信頼性の高い情報源から得ています。残り
の年間水使用量は、計量しているEMCの施設での標準消費量に基づいて、水強度係数
を使用して推定しています。
エコシステムの持続/材料と資源の消費
39
エネルギーと水とのつながり
EMCは、さまざまな革新的テクノロジー
や効率化テクノロジーを取り入れ、デー
タセンターの冷却に必要な水使用量を削
減しています。その一例として、弊社の
すべてのストレージ・プラットフォーム
で使用されている適応型冷却がありま
す。これは、外気温の変化に応じて、ブ
ロワやファンの回転数を下げるもので
す。弊社はまた、クラウド・コンピュー
ティングへの移行も推進しています。こ
れにより、情報テクノロジーのインフラ
ストラクチャを、高効率で共有性に優
れ、動的に対応できる柔軟性の高いサー
ビスへと転換でき、電力効率と冷却効率
を飛躍的に高めることができます。クラ
ウドを使用すると、リソースの動的プロ
ビジョニングを通じてピーク需要をリ
ソース・プール全体に分散できるため、
データセンター全体で必要なエネルギー
量と水量を削減できます。弊社の仮想化
ソフトウェアを使用して、ハードウェア
資産を統合整理できます。これにより、
既存のデータセンターやサーバのエネル
ギー効率が飛躍的に向上し、エネルギー
と水の消費を大きく低減でき、新しく
データセンター施設を追加する必要がな
くなります。
関連情報
CDP WATER DISCLOSURE
レポートへの対応
40 エコシステムの持続/材料と資源の消費
EMCは、水、エネルギー、炭酸ガス排出量が相互に関係していることを認識していま
す。水は、私たちが消費するエネルギーの生成と送出に必要とされ、エネルギーは、
私たちが使用する水の供給に使用されています。サプライヤは、弊社の製品に使用さ
れる資材を生産するために水を使用しています。水の保全と効率的使用を業務に取り
入れることで、省エネルギーにつながり、炭酸ガス排出量が低減します。
EMCは、水と炭酸ガス排出量の間にトレードオフが存在することも理解しています。
弊社やお客様のデータセンターへの電力供給と冷却には、水とエネルギーが必要とさ
れます。また、弊社の排水処理プラントは水使用量を低減しますが、そこではエネル
ギーが消費されています。
EMCは、エネルギーと水の使用およびその結果排出される炭酸ガスを広い視点でとら
え、弊社の製品と業務における効率の向上に注力しています。たとえば、外気冷却テ
クノロジーにより、データセンターやラボでのエネルギーと水の消費量を低減できま
した。
さらに一歩進めて、水と炭酸ガス排出の間の関連性とトレードオフをよく理解するた
めに、より詳細な解析を実施することを計画しています。弊社は、これらの調査結果
を踏まえ、環境に対する全体的な影響を最小化するための戦略を立てる予定です。
リサイクルと廃棄
EMCは、埋め立てられる廃棄物を減らすために、自社
で所有および運用する施設内でのリサイクルを奨励し
ています。
リサイクルと堆肥化
EMCは、リサイクル可能な材料を回収する次のような取り組みを、世界中の施設で
行っています。
• マサチューセッツ州、ノース・カロライナ州、カリフォルニア州、CorkのEMC施
設では、廃棄物管理委託業者または自治体の業者が、廃棄物の処理工程からリサ
イクル可能なものを回収しています。
• 弊社の製造工程では、リサイクル可能なものを分類し、リサイクル・ベンダーに
販売しています。これにより、廃棄物とコストは削減され、工程はより効率的に
なっています。
EMCは、自社が所有する施設でのリサイクルの管理と運用を実現した後で、賃貸して
いる施設におけるリサイクル機会と効率化の調査に取り掛かりました。2011年から
は、すべての新規賃貸契約において、施設のリサイクルに関する詳細をはじめ、特定
のサステナビリティ情報を必須要件としました。
EMCは、改善と革新の機会も常に探しています。世界のいくつかの施設で、カフェテ
リアからのごみを堆肥化しています。2011年には、ノース・カロライナ州Apexでもこ
のプログラムを開始しました。
このほかにも、2011年には次のような成果を上げています。
• マサチューセッツ州の施設だけで、102トン超の堆肥化を行いました。
• アイルランドCorkの施設では、1,577トンをリサイクルしました。
• インドBangaloreの施設では、20.16トンをリサイクルしました。
E-WASTE
EMCは、事務用電子機器の再使用にも力を注いでおり、それらの耐用年数を延ばし、
弊社が所有および運用するすべての施設からの廃棄物を低減しています。事務用電子
機器が耐用年数に達した場合には、引き取りに応じる製造元に返却するか、責任ある
再使用とリサイクルのために廃棄ベンダーに送ります。
2011年、インドCOEは、カーナタカ州の公害管理局から、自社のE-Wasteを施設内で
保管、処理、廃棄する許可を得ました。これにより、年間で約12.7トンのE-Wasteを
処理することができました。
E-Wasteに関するEMCのビジョンについては、「製品の廃棄」を参照してください。
エコシステムの持続/材料と資源の消費
41
有害廃棄物
EMCは、有害物質を工程内からできる限り減らし、排除することに注力しています。こ
れにより、EMCの製造拠点で発生する有害廃棄物はごく少量にとどまり、米国およびア
イルランドの環境保護庁が定めた基準を満たしています。次のような例があります。
• ノース・カロライナ州Apexの製造施設は、有害廃棄物のCESQG(Conditionally
Exempt Small Quantity Generator:規制免除の少量ごみ排出者)であり、一般廃棄
物のSQH(Small Quantity Handler:少量ごみ処理者)でもあります。CESQGである
Apexの施設から廃棄される有害物質は、すべての暦月において100 kg未満です。
• マサチューセッツ州Franklinの製造施設は、有害廃棄物と廃油のSQG(少量ごみ排
出者)であり、一般ごみのSQHとして登録されています。SQGであるFranklinの施
設から廃棄される有害廃棄物は、すべての暦月において1トン未満です。
• SQHであるApexとFranklinの施設が蓄積する一般ごみは、常に5,000 kg未満です。
2011年、EMCのどの事業所でも大規模な流出事故はありませんでしたが、 弊社敷地内
のある場所で、油圧オイルが少量(0.1立方メートル未満)漏出した事故がありまし
た。関係規制当局に事実を報告しつつ、漏出したオイルを可能な限り回収し、その他
の適切な汚染対策を実行しました。また、地下条件の評価を実施し、汚染対策を講じ
た後に残留している油圧オイルからの影響は軽微であり、局所的なものであることを
確認できました。最後に、リスクを評価し、漏出が発生した現場の状態は、人の健
康、厚生、環境に対する重大なリスクとはならないことを確認し、最終報告書を州当
局に提出して、 この件は、これで完了しました。
42 エコシステムの持続/材料と資源の消費
梱包
製品の梱包には、多くの部署が関係します。そのた
め、EMCのSustainable Packaging作業グループには、エ
ンジニアリング、サプライ・チェーン、購買、製造、
物流、世界の施設からの代表者が含まれています。梱
包が利用される期間全体で環境へのメリットを最大化
するために、各部門が協力しています。EMCは、サプ
ライヤから受け取る際の梱包、社内の施設間でやり取
りする際の梱包、お客様に出荷する際の梱包を含めて
考えています。皆が協力して改善できる部分を見つけ
出し、アイデアを出し合い、製品の梱包からの直接的
および間接的な影響を低減するプロジェクトを実行に
移しています。弊社の戦略は、 設計と使用という2つ
の領域に焦点を当てています。
設計
EMCが使用する梱包のサイズと重量は、梱包資材の消費、輸送に関連する温室効果ガ
スの排出量、コストに影響します。物流量(荷受け、バリュー・チェーンへの出荷、
プラント間輸送)が膨大なため、梱包のわずかな調整で見かけ上は大きな結果が得ら
れます。同時に、製品の保護を最優先にすることが非常に重要です。梱包を多少改善
した場合の環境メリットよりも、破損した製品を交換することになった場合の環境へ
の影響の方がはるかに大きくなります。
環境への影響を抑えるためにEMCが取り入
れている革新的な梱包方法については、
こ
のビデオをご覧ください。
これらの目標のバランスをとる作業は、「ライト・サイジング」と呼ばれています。
たとえば2011年には、弊社の物流部門がサプライヤと協力し、弊社へ出荷する製品に
使用する梱包を変更しました。よりコンパクトでありながら適切に保護できる梱包に
多くの製品を入れることで、4,450トンもの温室効果ガスが削減され、輸送において
年間200万ドルを超えるコストを削減できました。
EMCは、梱包設計において、再生可能な材料、リサイクルされた材料、リサイクル可
能な材料をできるだけ使用するようにしています。2011年、EMCのハードウェア出荷
の梱包において、次を達成できました4。
• リサイクル素材を15%使用(EMCの返却可能梱包の再使用を除く、消費者からリサ
イクルされた資源)
• 再生可能素材を85%使用(生物起源の材料で生分解可能な材料)
• リサイクル可能な素材が99%
2011年、EMCは、ディスク・ドライブの緩衝材として、発砲ポリエチレンに代えて竹
繊維でできた素材を導入しました。竹繊維は、再生可能なだけでなく、ASTM、BPI、
EN 13432の各標準による堆肥化も可能です。また、段ボールのリサイクルやEMCの新
しい梱包に含まれる材料の再使用のために、廃棄物管理業者や梱包サプライヤとの
パートナー関係も結んでいます。
EMCの梱包では、PVC(ポリ塩化ビニール)やポリスチレンを使用していません。ま
た、新しいすべての梱包において、ポリウレタンの使用をやめました。積載用パレッ
4
データには、Iomega、RSA、Data Domain、Greenplum、Isilonの製品は含まれていません。
エコシステムの持続/材料と資源の消費
43
EMCの梱包と物流
適切さの追求
適切な輸送手段を選択することで
CO2排出量は激減します。
Kg CO2e
(トン・キロあ
たりの排出)
.02
適切な
素材
.04
.15
適切な
手段
.73
EMCは、再生可能素材、
リサ
イクルされた素材、
リサイク
ル可能素材をできる限り多
く使用して梱包を設計して
います。
PVC
EMCの物流チームは、革新
的な梱包設計と出荷技法を
使用して、潜在的なCO2排
出を4,450メートル・トン抑
え、年間200万ドル超のコス
トを削減しています。
適正な
再使用
15%
適正な
サイズ
リサイクル素材
一度使用されリサイクルされた素材
(EMCの返却可能梱包の再使用を除く)
85%
再生可能素材
99%
リサイクル可能
素材
生物由来で生分解可能な素材
トのサプライヤは、FSC(Forest Stewardship Council)およびSFI(Sustainable Forestry
Initiative)の認定を受けた森林から木材の大部分を購入しています。EMCは、ISPM 15標
準に従って木材を取り扱い、強力な化学薬品を使用せずに害虫の侵入を防いでいます。
EMC2, EMC, and the EMC logo are registered trademarks or trademarks of EMC Corporation in the United States and other countries. All other trademarks used herein are the property of their respective owners. © Copyright 2012 EMC Corporation. All rights reserved.
Published in the USA. 5/12.
使用
EMCは、梱包を返却可能にするプログラムを作成しており、これらの梱包を可能な限
り回収および再使用するために、お客様やサプライヤと協力しています。2011年、米
国内のすべてのストレージ・キャビネットおよびブラジルの一部のキャビネットを、
再使用可能な梱包で出荷しました。これにより、900トンを超えるごみを削減し、
100万ドルのコスト削減を達成できました。これらの梱包を最大限に活用するよう働
きかけるため、梱包のスムーズな返却に必要な情報を網羅したパンフレットをお客様
に提供しています。詳細については「EMC Packaging Return Program」パンフレット
を参照してください。
44 エコシステムの持続/材料と資源の消費
生物学的多様性
EMCは、弊社の業務と施設が、地域の環境の植物、動
物、生態系の生物学的多様性に影響することを認識し
ています。弊社は、環境に関する取り組みの一環とし
て、さまざまな組織と協働して生物学的多様性の向上
と保護に取り組むという、積極的なアプローチを採っ
ています。
マサチューセッツ州のEMC本社の場所は、マサチューセッツ州の環境保護レクリエー
ション局が指定するいずれのACEC(重大な環境問題を抱える領域)にも該当してい
ません。ノース・カロライナ州の弊社施設は、ノース・カロライナ州が指定する「保
護地」と「生物学的多様性保護地」のどちらにも隣接していません。弊社のオフィ
ス・ビルだけではなく、弊社の業務からも、生物学的多様性に対する深刻な直接的影
響はありません。
ノース・カロライナ州のESI(環境保護管理イニシアティブ)
ApexにあるEMCの製造施設は、ノース・カロライナ州の環境天然資源局から、ノー
ス・カロライナ州ESIの「有力な環境保護管理者」として認定されています。弊社
は、このイニシアティブを通じてESIと協力し、天然資源の保護管理者として効果的
な手段を見つけて環境保護に取り組むなど、規制条件よりさらに一歩進んで環境への
影響を低減しています。
WAIT(WILDLIFE AND INDUSTRY TOGETHER)認定
Apexの弊社製造施設は、ノースカロライナ州の野生生物連盟からWAITサイトとして
認定されました。WAIT指定とは、職場の保護管理プログラムであり、施設の一部を
野生生物のために使い、従業員や地域のコミュニティに対する環境教育の機会を設け
ている企業が指定されます。これは、経営陣と従業員、ノースカロライナ州の退役軍
人被雇用者団体からの力添えを得て導入されました。弊社は、ノースカロライナ州野
生生物連盟が行う州全体での保全活動、生息環境保護、人と自然とのつながりに関す
る活動を支援しています。
エコシステムの持続/材料と資源の消費
45
サプライ・チェーン
EMCは、競合市場における世界最高クラスのサプラ
イ・ネットワークの確立と維持に取り組んでいます。
サプライ・チェーンにおける環境的責任と社会的責任
を、弊社の取り組みの中心に据えています。
このセクションでは次のトピックを取り上げます。
サプライ・チェーンにおける原則
サプライ・チェーンの環境影響
サプライ・チェーンの連携
サプライ・チェーンのビジネス継続性
46 エコシステムの持続/サプライ・チェーン
サプライ・チェーンにおける原則
EMCが良き企業市民であるには、自社事業の枠を越え
たかかわりを持つ必要があります。社会、環境、経済
の各問題について地球規模のバランスについての理解
が必要です。また、弊社のビジネス、業界、社会が今
直面している、ダイナミックな変化を乗り越え、要求
に対応する際に独自の役割を果たす必要もあります。
EMCは、20か国を超える国々のサプライヤと直接取り引きしており、 間接的には、
さらに多くのサプライヤに依存しています。サプライ・チェーンおよびサプライヤと
の関係は複雑なため、各サプライヤに対する弊社の管理と影響の範囲は異なっていま
す。しかし、サプライ・チェーン全体を通じて考えを共有してプラスの変化を起こす
には、弊社がサプライヤに継続的に働きかける必要があると考えています。
SUPPLY CHAIN SOCIAL AND ENVIRONMENTAL RESPONSIBILITYプログラム
EMCは、弊社の国際的サプライ・チェーンが法に従って公正な取引を行うことと、サ
プライ・チェーンが人の健康と環境を保護することが非常に重要であると考えていま
す。弊社は、SER(Supply Chain Social and Environmental Responsibility)プログラム
を通じて、これを実践しています。
今年のEMCの戦略:教育とインセンティ
ブによる監視の拡大
1. 監視
5. 共有
4. 向上
2. 報告
3. 連携
エコシステムの持続/サプライ・チェーン
47
このSERプログラムは、EMCのサプライヤ行動規範に支えられています。これは、弊
社のサプライヤに期待する最低基準を定めたものです。このサプライヤ行動規範は、
業界標準のEICC(電子業界CSRアライアンス)行動規範に、EMCからの補足的ガイダ
ンスを加えたものです。弊社は、SAQ(自己評価調査票)とサード・パーティ監査を
通じて、サプライヤがサプライヤ行動規範を遵守しているかどうか監視しています。
また、サプライヤには、温室効果ガス排出量と水管理活動に関する報告書の提出を求
めています。弊社は、奴隷制度と人身売買についてはいかなる形でも許容することは
ありません。また、弊社製品に使用されるタンタル、錫、タングステン、金(総合し
て「紛争鉱物」と呼ばれることもあります)の供給元を積極的に追跡しています。社
会リスクと環境リスクの評価は、EMCのサプライ・チェーンBCP(ビジネス継続性プ
ランニング)プログラムの重要な構成要素です。
EMCは、変革を推進するには監視と報告書提出だけでは不十分な場合があ
ることを認識し、コミュニケーションと教育を強化して、弊社とサプライ
ヤとのビジネス関係全体にSERを組み込む作業を進めています。SERを推進
するには、世界中のさまざまな地域やビジネス習慣においてサプライヤが
直面する可能性がある制約や複雑な状況を考慮し、サプライヤとともに、
創造的かつ革新的なソリューションに取り組む必要があります。
詳細については、「サプライ・チェーンの連携」、「サプライ・チェーンの環境影
響」、「サプライ・チェーンのビジネス継続性」、「倫理」を参照してください。
弊社製品による環境への影響の対処
EMCは、サプライヤに対して、弊社製品による環境への影響低減に協力するパート
ナーとなることを期待しています。EMCのサプライ・チェーン・エンジニアは、弊社
製品に含まれる物質のうち環境や人の健康のリスクとなる可能性があるものついて、
代替品を開発してテストするためにサプライヤと直接協力しています。EMCは、有害
な可能性のある物質を生態系に排出しないようにするため、ITADベンダーと密接に連
携して責任あるリサイクルと廃棄を進めています。弊社の目標は、弊社製品の高いパ
フォーマンスを維持しながらも、製品のバリュー・サイクル全体を通じて、環境への
負の影響を継続的に低減していくことです。詳細については、「製品に含まれる物
質」、「製品の廃棄」を参照してください。
EMCはすべての活動において、学んだことを活用し、サプライヤや同業者と密接に連
携して、弊社のサプライ・チェーンだけではなく業界全体にメリットをもたらすソ
リューションを推進しています。
48 エコシステムの持続/サプライ・チェーン
サプライ・チェーンの環境影響
EMCは多国籍企業であり、サプライ・チェーンが世界
中の環境に影響を及ぼしています。これらの影響は、
サプライヤが活動している地域のコミュニティで感じ
られるものです。弊社がサプライヤを直接コントロー
ルすることはできませんが、サプライヤとの協力を通
じて継続的に改善することで、環境への負の影響を緩
和するよう取り組んでいます。弊社は現在、環境問題
に関する報告書の提出を求めてサプライヤを監視し、
サプライヤのパフォーマンスに基づいてスコアを付
け、1対1での指導を行っています。2012年には、この
領域におけるトレーニングとインセンティブを拡大す
る予定です。
モニタリング
EMCは、環境問題に対処するために、サプライヤと密接に協力しています。サプライ
ヤに対しては、弊社のサプライヤ行動規範に定められた環境報告、汚染防止と資源削
減、排水と固形廃棄物、排出ガス、製品に含まれる物質などの標準を満たすことを求
めています。また、サプライヤには、適用法で要求される環境関連の認可を取得する
ことも求めています。EMCは、サプライヤの監査にこれらの要素を組み入れ、調査結
果を追跡して監視し、サプライヤが是正措置を完了するまで必要に応じて個別に指導
します。
EMCは2011年に、中国に拠点を置くNGOであるIPE(公共環境研究センター)が管理す
る、公害に関して違反のあった企業のリストに対して、弊社の中国サプライヤのリス
トを照合しました。違反が見つかったすべてのサプライヤに対しては、是正措置計画
の提出と、IPEのリストからの除外に必要なステップの実施を求めています。これらの
サプライヤには、優先して監査および環境トレーニングが行われることになります。
報告書作成
EMCは、支出の97%を占める階層1の直接サプライヤと、階層2の戦略的サプライヤに
対し、炭酸ガス排出量と水管理に関する報告を求めています。この報告は、EICCの
Carbon and Water Reporting Initiativeの一環として求められるもので、EICCまたはCDP
調査票のどちらかの形式で報告することが認められています。
EMCは、2009年以来、階層1の主要な直接サプライヤから温室効果ガス排出量のデー
タを回収しています。今までは、報告書作成におけるサプライヤの習熟度の違いな
どから、完全かつ正確な排出量データを得ることは困難でした。2011年には、多く
のサプライヤから報告されるデータに改善が見られ、報告書を完成するために支援
を必要としているサプライヤに対しては、さらに多くの教育とガイダンスの機会を
提供しました。
エコシステムの持続/サプライ・チェーン
49
その結果、2011年の目標である85%を上回り、直接支出の95%を占めるサプライヤか
ら排出量データを回収できました。これらの直接的な資材サプライヤから購入したス
コープ3の物品とサービスに伴う排出量は、WRIの「Corporate Value Chain(Scope 3)
Accounting and Reporting Standard」のガイドラインに従い、財務的配分によって判定
され、スコープ3排出量に含められています。詳細については、「エネルギーと気候
変動に対する戦略」を参照してください。
EMCのサプライヤには、排出量削減のための目標を持つことと、これらの目標の達成
状況を明示することが求められています。これらの要素は、弊社が購入する際の指針
としているサプライヤ・パフォーマンス・スコアカードに反映されます。2011年、ス
コアカードに記載されているサプライヤの60%から、要求された3つの項目(スコー
プ1とスコープ2の排出量、目標、パフォーマンス)すべてについて報告を得ることが
できました。弊社は、資源削減の目標とパフォーマンスの追跡をサプライヤの業務に
体系的に組み込むために、各サプライヤとの協力を続けていきます。
EMCは2011年に、収集対象に初めて水のデータを含めました。一般に、水に関する管
理システムと報告書作成プロセスは、炭酸ガス排出に関するものよりも完成されてい
ません。弊社は、この情報を使用して、2012年以降におけるデータ・コレクション
とトレーニングの焦点を判断することを計画しています。
50 エコシステムの持続/サプライ・チェーン
サプライ・チェーンの連携
EMCは、SERを進めるために、サプライヤおよび同業
者と密接に協力しています。サプライヤに対して弊社
の標準を伝え、サプライヤのプログラムとパフォーマ
ンスを調査し、教育、コラボレーション、改善の推
進のためにサプライヤと協力しています。弊社は、
EICCのメンバーとして、同業者と協力して業界全体で
のSER活動の向上に取り組んでいます。EMCは、EICC
のEnvironmental Sustainability Working Groupにおいて
共同議長を務めています。また、Extractives(Conflict
Minerals)、Learning & Capabilities Building、Tools
Managementなどをはじめ、その他のEICC作業部会にも
参加しています。
標準の設定、パフォーマンスのモニタリング、サプライヤの責任負担
EMCは、標準を定め、パフォーマンスをモニタリングし、サプライヤに対しては複
数ステップのプロセスを通じて責任を課しています。サプライヤは、1)EMCのサプ
ライヤ行動規範に同意し、2)SAQを完了して、3)必要に応じて監査を完了し、4)
SAQや監査で見つかった問題を修正することを求められています。調査票や監査の煩
わしさを最小限に抑えながら業界のベスト・プラクティスを実施するため、EMCで
は、EICCの標準プロトコルに従ってこのプロセスを行っています。
2009年、EMCは、自社のサプライ・チェーンにおけるSERステータスとリスクをさら
に理解するために、SAQデータの評価を開始しました。また、プログラムが成熟する
に連れて、1年に監査を実施する回数を増やしていきました。
標準を定め、
3段階のプロセスを通じてサプライヤを監視
行動規範
98%
99%
自己評価
99%
監査
24
92%
67%
77%
11
5
2009
2010
2011
規範に同意した階層1の直接サプ
ライヤと階層2の戦略的サプライヤ
の割合
2009
2010
2011
SAQを提出したサプライヤが直接
支出に占める割合
2009
2010
2011
サプライヤの現場で実施した行動
規範に関する監査の回数
エコシステムの持続/サプライ・チェーン
51
サプライヤ行動規範
関連情報
ELECTRONIC INDUSTRY
CITIZENSHIP COALITION
奴隷制度と人身売買に関する
EMCのポリシー・ステートメント
EMCは、サプライヤ5に対し、EMCとビジネスを行う企業に要求される社会的、環境
的責任の基準を設定したサプライヤ行動規範に同意することを求めています。この
サプライヤ行動規範は、業界標準のEICC(電子業界CSRアライアンス)行動規範に、
EMCからの補足的ガイダンスを加えたものです。
EICCの規範では、エレクトロニクス業界サプライ・チェーンの作業環境が安全である
こと、作業者に尊敬と威厳を持って接すること、環境的責任を取るビジネス・オペ
レーションであることを保証するための基準を定めています。基準が定められている
のは、次の5つの分野です。
• 労働
• 健康と安全
• 環境
• 管理システム
• 倫理
EMCは、次の主要分野についてガイダンスを追加し、EICCの規範をさらに強化してい
ます。
• 業界標準
• 関係法令に対するコンプライアンス
• 下請けの管理
• 人身売買の防止
• 贈答行為
2011年には、サプライヤの99%が、EMCのサプライヤ行動規範に同意しました。弊社は、
EICCの規範が更新されるに伴い、2012年にこれらの同意事項を再確認する予定です。
SAQと監査
SAQでは、サプライヤにおけるEICCの規範標準の導入状況と遵守状況を把握するため
に、企業レベルと個別の施設レベルでのポリシーと手順を確認します。EMCは、SAQ
の結果を使用して、サプライ・チェーンで起こっていることを理解し、リスクが潜
在する領域を識別しています。また、支出の80%超を占める直接サプライヤに対し、
SAQを要求しています。
監査においては、活動および状況を現場で評価します。弊社は、懸念のある領域を識
別するために、第三者機関による監査を利用しています。監査を受けた現場は、見つ
かった問題点に対して、承認されたコレクティブ・アクション・プランを作成する必
要があります。EMCは、これらの是正措置が完了するまで、サプライヤの進行状況を
監視します。
リスクの高いサプライヤは、EMCの監査リストで高い優先順位が付けられます。このリ
ストは、支出データ、SAQ結果、現場のEMCスタッフの認識などとともに、地理的リス
ク解析に基づいて毎年更新されます。地理的リスクは、人権、倫理、環境への認識と
実績などの領域について、グローバルなリスク指標を複数適用して判断しています。
2012年におけるEMCの目標は、高リスクのサプライヤの施設を20%監査することです。
過去2年間(2010∼2011年)の監査に対する解析では、業界全体の解析と同様の結果
が得られました。地域を問わず、労働、労働と倫理の管理システム、健康と安全性が
依然として最大の問題であり、調査結果において最大の割合を占めていたものは、労
働時間の問題でした。追跡監査では問題点がかなり少なくなり、状況が改善している
ことが示されています。EMCは、トレーニングやインセンティブの強化で問題の根本
原因を解決できる領域を見つけ出すために取り組んでいます。
5
階層1の直接サプライヤ
(製品に直接使用する材料をEMCに販売するサプライヤ)
と管理階層2の直接
サプライヤ
52 エコシステムの持続/サプライ・チェーン
2010∼2011年の監査結果(種類別)
2010-2011 AUDIT FINDINGS BY TYPE
24%
23%
労働と倫理の
管理
健康と安全
32%
労働
8% EHS管理
5%
環境
5% 倫理
3% その他*
*「その他」
には、規範管理と規制に対する違反が含まれます。
EMCは、課題を抱えるサプライヤを突き放すのではなく、サプライヤに改善の意思が
ある限り、ビジネスを継続することが良い結果につながると考えています。サプライ
ヤの問題を修正するためにサプライヤと協力すれば、その工場で働く労働者や事業拠
点のコミュニティへの支援につながります。継続的に働きかけることで、最終的に大
きな改善につながった例をいくつも目にしてきました。
サプライ・チェーンの業務と戦略へのSERの組み込み
EMCのビジネス・プロセスにSERを統合することが重要です。対象となったEMCの
Global Supply Chain Managementの従業員全員が、弊社のサプライヤ行動規範のト
レーニングを完了しました。SER指標は、弊社が購入を決定する際に指針としてい
る、サプライヤ・パフォーマンス・スコアカードにも含められます。2011年には、意
識を高めてアカウンタビリティを促進するために、四半期ごとのサプライヤとのビ
ジネス・レビューにSER要件とパフォーマンスの調査結果を組み入れました。2012年
は、これらの取り組みを継続し、さらに拡大していきます。
EMCは、スタンフォード大学のInitiative for the Study of Supply Chain Responsibility(サ
プライ・チェーンの責任に関する研究イニシアティブ)に参加できることを喜んでい
ます。これは、サプライ・チェーンのSER管理を次のレベルへと進める方法、および
業績と責任能力のあるサプライ・チェーンとの相関関係を定量的に分析する方法に光
を当てるための組織です。弊社は、この情報を他の分析とともに使用して、理解とコ
ミュニケーションを高め、戦略性と影響力の高い活動を開始する予定です。これは、
EMCの環境的、社会的、ビジネス的成功に役立ちます。
エコシステムの持続/サプライ・チェーン
53
紛争鉱物
EMCは、製品で使用する鉱物について倫理にかなった調達を実施することに尽力して
います。「EMC Statement on Conflict Minerals」を参照してください。
関連情報
EMC STATEMENT ON
CONFLICT MINERALS
鉱物が「紛争に関係していない」ことを追跡するプロセスは複雑です。2011年、EMC
は、製品に使用される鉱物の供給元を見つけ出すために、サプライヤに対して予備調
査を実施しました。2012年には、この調査をすべてのサプライヤに広げることを予
定しています。
EMCは、世界に広がるサプライ・チェーンにおいてこの問題を改善して組織的に対
処するため、その他のステークホルダとともに真剣に取り組んでいます。弊社は、
EICC-GeSI Extractives作業部会のメンバーです。この部会は、サプライ・チェーンが
報告書を作成する際の共通プロトコルの開発、責任ある鉱物調達のためのプログラ
ム(Conflict-Free Smelter Validationなど)の推進にあたっています。また、EICCを通
じて、米国国務省の「責任ある鉱物取引に関する官民連携アライアンス」(PublicPrivate Alliance for Responsible Minerals Trade)も支援しています。業界、行政機関、
市民社会が連携するこの共同イニシアティブは、コンゴ民主共和国と周辺地域から、
紛争に関与していない鉱物を責任もって採掘し、調達する手段を見出すための支援と
して組織されました。
課題への対処
SERを進めていくうえでの主な課題は、サプライ・チェーン全体での透明性と影響力
です。EMCのサプライヤの中でも、SER報告書作成の習熟度はさまざまです。また、
弊社が受け取るデータが完全なものではなかったり、業界標準に従っていなかったり
することがあります。また、インセンティブ、ニーズ、優先事項、資源、制約などが
異なる文化の下で活動する企業と取り引きしているという状況も影響します。SERプ
ログラムを開発する際、弊社は、変革を効果的に推進しこの優先度を上げるために何
ができるかをよく理解するようにしています。
2012年、EMCは、供給拠点についての知識を蓄積し、ビジネス上の意思決定にSER
を組み入れた適正な実務の重要性を強調しながら、監視と報告書作成の期待値と完
成度を高める予定です。また、すべてのサプライヤに対し、GRI(Global Reporting
Initiative)の標準に従って、サステナビリティに関する報告書を公開するよう働きか
けています。
EMCのプログラムが進歩し、データの品質が向上するに連れて、より綿密な分析と戦
略策定が可能になります。
54 エコシステムの持続/サプライ・チェーン
サプライ・チェーンのビジネス継続性
予期しない供給網分断に直面した際のサプライ・
チェーンの回復力は、品質と入手性に関するお客様
の期待に応えるうえで非常に重要です。EMCのサプラ
イ・チェーンBCPプログラムには、自然災害、情勢不
安などの環境や社会に関する出来事に起因する、潜在
的な供給網分断に備えた戦略が定められています。こ
の計画により、配送、品質、製品の問題となり得る大
きな出来事に直面した際のサプライ・チェーンの回復
力が高まります。
2011年、日本での地震および津波と、タイでの洪水の際に、EMCのBCP緊急対応プラ
ンの力が試されました。事前に備えていたため、迅速に影響を特定し、必要な場所に
ついては復旧計画を立てることができました。
EMCのBCPプログラムでは、供給網分断に対するサプライヤの脆弱性の評価と、潜在
的な影響を低減するためのプラン作成に焦点を当てています。EMCは、ビジネス継続
性を目指す活動を業務に組み込むことをサプライヤに期待し、ISO 22399の国際標準
を基準として、サプライヤのBCPプログラムを評価しています。さらに、購入決定の
際に使用するサプライヤ・パフォーマンス・スコアカードにも、BCP指標を組み入れ
ています。
EMCは、BCPの理解と向上のためにサプライヤと密接に協力しており、 これに関連し
て次のような活動を行っています。
• サプライヤに対して、自社のビジネス継続性プランに対する自己評価の提出を求
めています。
• 戦略的サプライヤに対して、オンサイトの監査を実施しています。
• 脆弱性が見つかった場合に、サプライヤと協力して改善しています。
• サプライヤの緊急対応プラン実施能力および危機管理能力を評価するために、ビ
ジネス中断のシミュレーションに取り組んでいます。
• オンサイトの視察を通じて、主な指標を継続的に測定しています。
さらに、BCPプログラムのメンバーとサプライ・チェーンSERプログラムのメンバー
が協力し、サプライ・チェーンに存在するリスクの評価、サプライ・チェーンに対す
る教育、リスクの回避と管理のための総合的なアプローチの導入にあたっています。
EMCは、弊社の階層1サプライヤおよび管理階層2サプライヤの80%から、自己評価を
回収することを2012年の目標としました。また、BCPをサプライ・チェーン管理の日
常業務に完全に融合し、BCP要件およびパフォーマンスをサプライヤとの四半期のビ
ジネス・レビューに取り入れることを予定しています。
エコシステムの持続/サプライ・チェーン
55
セキュリティ認可
EMCがグローバル・ビジネスを維持するには、国際的なサプライ・チェーンから出荷さ
れる貨物が安全かつ迅速に輸送される必要があります。EMCは、政府機関と協力して、
サプライ・チェーン・セキュリティ・プログラムのための認可の取得に取り組んでい
ます。この認可を得ることで、通関処理が簡素化され、迅速に通関できるようになり
ます。また、港湾や国境を守る任務に従事する国家公務員の負担が軽減されます。
サプライ・チェーンのセキュリティ認可は、米国およびアイルランドを拠点とする製
造施設にとって特に重要です。EMCは、米国の税関国境警備局のC-TPAT(テロ行為防
止のための税関産業界提携)プログラムの正当なメンバーです。弊社は、C-TPATプロ
グラムのベスト・プラクティスを採用して、米国に輸入する貨物の潜在的な脆弱性に
対処し、解決策の実現に向けて協力して取り組んでいます。
EMCアイルランドは、2009年以来、EUのAEO(Authorized Economic Operator:認可事
業者)として認定されています。2012年は、EMCカナダが、Canadian Customs/Trade
のサプライ・チェーン・セキュリティ・プログラムであるPartners in Protectionに申
請することを計画しています。
56 エコシステムの持続/サプライ・チェーン
コラボレーションと連携
EMCは、サステナビリティを高める取り組みを順調に
進めていますが、弊社だけではこれらの問題を解決で
きないことも知っています。EMCは、エコシステム全
体に変革と転換を起こすために、弊社従業員および同
業者の団結力と専門技術を活用しています。
従業員の関与
環境への責任という終わりなき取り組みをはじめとする、EMCの活動における成功
は、弊社で働く53,000人の従業員の肩にかかっています。弊社は、年間を通じて、従
業員によるさまざまな関与の機会を設けています。特に、弊社のInnovation Conference
のSustainability Awards、Green Business Leadershipチーム、従業員に対して四半期ごと
に行われる「従業員サステナビリティ意識調査」を挙げることができます。
• EMCが毎年開催するInnovation Conferenceでは、従業員が考えだした未来を築く
ための新しいアイデアを奨励し、表彰しています。このプログラムを2009年に開
始して以来、データセンターのエネルギー消費、社内ITの二酸化炭素排出量の監
視、サステナビリティに貢献する梱包方法などを中心に、従業員のアイデアを採
用して導入してきました。2011年には、参加する25か国の従業員から1,590件のア
イデアが提出され、28件が入賞しました。この賞の詳細については、「Innovation
Showcase」を参照してください。
• EMCのOffice of Sustainabilityは、全社的にパートナーの支援を受け、ビジネスと日
常業務に対して統一された環境戦略を適用しています。職務の枠を超えたGreen
Business Leadershipチームには20のビジネス・ユニットと業務部門が参加し、ア
イデアの共有と実践、プログラム間の整合作業、運用におけるサステナビリティ
推進のために共同で作業にあたっています。
• EMCは、従業員の環境に対する意識をよく知るために、四半期ごとに
Environmental Sustainability Awareness Survey(環境サステナビリティ意識調査)
を実施しています。アンケートは、全世界の従業員の中から無作為に抽出した500
人に送付され、従業員にとって最も重要な問題とサステナビリティ・プログラム
に対する従業員の理解を確認します。アンケートの質問には、次を確かめる内容
が含まれています。
– EMCが行っている環境保護活動の認知度
– お客様の環境への影響低減を支援するEMCの活動の認知度
– EMCが進める環境保護施策に従業員が満足しているかどうか
– EMCの従業員が職務にあたる際に、環境への影響を低減する方法を求めている
かどうか
EMCは、前述のイニシアティブ以外にも、Earth Dayイベントの開催や、ツールとアイ
デアを共有するためのソーシャル・メディアの活用、EcoKidsコンテストの開催、影
響を比較してクイズに答えるオンライン・ツールの使用など、多くの活動に従業員を
関与させています。
エコシステムの持続/コラボレーションと連携
57
業界のコラボレーション
EMCは、数万人の従業員を活用する以外に、企業におけるサステナビリティの指
導者として外部のステークホルダにも手を差し伸べています。これには、コミュニ
ティのリーダー、市民団体、NGO、業界の専門家、お客様、資金提供者、サプライヤ
など、多くの人々や団体が含まれます。
2011年、EMCは、多岐にわたるパートナー、業界グループ、大学とコラボレーショ
ンしました。これには、Ceres、CDP、米国とアイルランドの環境保護庁、米国EPA
のSmartWay Transport Partnership、Environmental Defense Fund(環境保護基金)、
Product Stewardship Institute(プロダクト・スチュワードシップ協会)、CALCE
(Center for Advanced Life Cycle Engineering)、アイルランド政府、スタンフォード大
学、マサチューセッツ工科大学、イェール大学などが含まれます。詳細については、
「ステークホルダ参画」を参照してください。
コンソーシアムのメンバーになることも、より大きなITコミュニティに参加する
重要な方法です。弊社の従業員は、エンジニアからサステナビリティの専門家ま
で業界のグループに積極的に参加し、未来に向けて活動しています。EMCは、The
Green Grid、SNIA(Storage Networking Industry Association)、EICC(電子業界CSRア
ライアンス)、ITIC(Information Technology Industry Council)、DMTF(Distributed
Management Task Force)などのメンバーです。組織とメンバーシップの完全なリス
トについては、「会社概要」を参照してください。
58 エコシステムの持続/コラボレーションと連携
価値の提供
EMCの文化は、お客様や従業員、株主、その他のステーク
ホルダに対する価値提供への取り組みを表す10のコア・バ
リューを基盤としています。弊社は、これらのコア・バ
リューに従って、革新的な技術を活用してお客様のニーズ
を満たし、コラボレーションとインクルージョンを促進す
る職場を育み、すべてのステークホルダとオープンで誠実
な関係を構築しています。
このセクションでは次のトピックを取り上げます。
お客様
従業員と職場
グローバル・インクルージョン
技術革新ネットワーク
ステークホルダ参画
ガバナンスと整合性
ITがもたらすメリット
経済的成果
価値の提供
59
AVERAGE NUMBER OF TRAINING HOURS PER EMPLOYEE
価値の提供ダッシュボード
GLOBAL
70
60
従業員あたりの平均トレーニング時間
2011年のインターンと新卒者の雇用
50
全世界
AVERAGE NUMBER OF TRAINING
全世界HOURS PER EMPLOYEE
47.8
GLOBAL
24%
20%
国内の新卒採用者のうち
インターン経験者の割合
40
30
新卒採用者数の変動
(米国)
41.3
70
43.2
39.6
43.2
41.3
60
50
20
40
45%
30%
新卒採用者数の変動
インターン・プログラム経験者の採用数の
変動
10
30
0
20
41.3
39.6
2006
2007
10
47.8
43.2
43.2
2008
41.3
2009
2010
2011
0
2006
2007
50
50
40
0
0.5
0.09
0.37
2007
0.12
0.06
2008
0.14
0.10
0.11
2010
2009
0.01
2011
米国製造施設
米国全体
30.9
20
19.3 19.3
10
11.2
12.3
11.2
12.3
2006
2007
2006
2007
8.08.0
0
2008
2008
2009
2009
12.6
12.6
2010
2010
13.5
2011
2006
2011
アイルランド製造施設
HSAへの報告が必要
50
40
30
23.425.2 22.4
23.4
22.4
2007
2006
2008
2009
2007
30.3
32.4
36.4
0
2006
20
30.3
2007
32.4
2008
2009
55.5
59.0
57.1
34.5
2010
2011
54.7
45.0
55.5
61.1
54.7
27.0
20
10
37.2
2011
2009
61.1
59.0
57.1
40
36.4
2010
2008
個人貢献者
50
37.2
18.0
個人貢献者
60
30
25.2
18.0
13.5
11.0
11.0
マネージャ
70
70
0.09
30.9
30
マネージャ
60
0
60
30
10
ディレクター
70
40
20
0.76
0.74
0.31
2011
ディレクター
副社長以上
60
0.42
2010
70
1.0
0.25
2009
副社長以上
休業災害発生率
LOST TIME INCIDENT(LTIR)
RATE (LTIR)
0.75
2008
45.0
34.5
2010
27.0
2011
2010
2011
2006
2007
2008
2009
2010
2011
10
0
米国労働安全衛生局の要記録案件発生率(ORIR)
2006
2007
2008
2009
2006
2007
2008
2009
2010
U.S. OSHA RECORDABLE INCIDENT RATE (ORIR)
米国
U.S.
特定された潜在能力の高い
従業員の総数
1.5
1.25
TOTAL NUMBER OF IDENTIFIED
HIGH-POTENTIAL EMPLOYEES
全世界
1.28
GLOBAL
1.0
1.03
0.75
2500
2423
2090
2000
0.63
0.5
0.63
0.25
1500
0.24
0.23
0.11
0
2008
2009
米国全体
2010
米国製造施設
1500
1000
0.21
2011
500
400
0
2008
60 価値の提供/ダッシュボード
2009
2010
2011
2011
HEALTH LINKにアクセスした従業員と
その配偶者の割合
EMCの2011年
WOMEN S LEADERSHIP FORUMへの参加者
(米国のみ、18歳以上の被扶養者を含む)
全世界
90%
55%
15
14
従業員
配偶者/
パートナー
キャリア
開発イベント
コミュニティ・
ボランティア
活動
600名
以上
MA CONFERENCE FOR
WOMENに参加した
EMC女性従業員
INNOVATION CONFERENCEへの参加者
COUNTRIES
PARTICIPATING IN THE 2011
INNOVATION CONFERENCE
2011年INNOVATION
CONFERENCEへの
全世界
GLOBAL
GLOBAL
参加国
INNOVATION CONFERENCE PARTICIPATION
全世界
1900
オーストラリア • ベルギー • ブラジル
カナダ • 中国 • コロンビア • エジプト
フランス • ドイツ • インド • アイルランド
イスラエル • イタリア • 日本 • メキシコ
オランダ • ノルウェー • ロシア
シンガポール • 南アフリカ • スイス
トルコ • UAE • 英国 • 米国
1,590
1,509
1,422
1,311
1,300
1,214
984
2008
2009
2010
2011
アイデア提出者数
提出されたアイデア数
EMCの収益
EMCの研究開発への投資
全世界(単位:10億米ドル)
EMC INVESTMENT IN R&D
(単位:10億米ドル)
EMC REVENUE
BILLION $USD
GLOBAL—$USB
20
20
18
14.9
14
12
10
8
2
17
16
9.7
11.1
13.2
2.5
1.5
14
1
1.0
1.3
1.5
1.7
1.6
1.9
2.1
.5
0
6
2005
4
2006
11.7
2
2007
2008
2009
2010
11.4
11.4
11.4
11.2
10.3
0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2011
10.5
収益に対する割合(%)
価値の提供/ダッシュボード
61
価値の提供
お客様
お客様の事例
CONCERN WORLDWIDE
Concern Worldwideは、緊急時の人的資源
の動員や貧困地域の長期的な開発に取り
組む非政府組織です。EMCの支援を通じ
たクラウドへの移行により、この組織の
3,200名を超える人道支援スタッフとボラ
ンティアは、世界中からデータにリモー
ト・アクセスできるようになりました。
EMCの成功の基盤は、お客様のニーズを理解、予測す
ることです。私たちは、お客様のニーズを満たす製品
を提供するだけでなく、お客様のサステナビリティ
実現に役立つような方法で製品を提供しています。
私たちの努力の原動力となるのがTCE(Total Customer
Experience:お客様の総合的な満足度)です。
TCE(TOTAL CUSTOMER EXPERIENCE)
NEW YORK CITY CITISERV
New York City CITIServは、50以上の市機
関、300,000名の従業員、225,000の企
業、820万の市民にテクノロジー・サー
ビスとサポートを提供しています。EMC
は、この組織のデータ・インフラストラ
クチャの刷新と統合を支援しました。そ
の結果、5年間で1億ドル以上のコスト削
減が見込まれているほか、20対1の割合
でのサーバー統合が実現し、サービス・
デスクはこれまでの4倍の電話に対応で
きるようになりました。
ZIONS BANCORPORATION
Zions Bancorporationは、17の銀行と企
業で構成される米国の主要な金融サー
ビス会社です。データ量の大幅な増加
とリソースの制限に直面したZionsは、
Greenplum™に具体的なビジネス・ソ
リューションを依頼しました。Zionsの
成長戦略は、膨大で種類が異なるビッグ
データの活用を基盤にしていたため、
Zionsは新しい方法で顧客とやり取り
し、需要を生成し、収益ストリームを向
上させるソリューションが必要になりま
した。EMCの支援により、Zionsではデー
タベースのロード時間が短縮され、問い
合わせを数秒に高速化するとともに、
データベース管理者がメンテナンスでは
なくデータ分析により多くの時間を費や
すことが可能になりました。また、カス
タマー・リレーションシップ・マネージ
メントも改善することができました。
62 価値の提供/お客様
EMCのTCEオペレーティング・モデルは、お客様の期待を上回る品質、サービス、技
術革新、対話を提供するという全社的な取り組みが基盤になっています。このモデル
を実現する手段の1つが、EMCとお客様との全般的な関係を評価する、包括的な「お
客様の声」調査です。EMCでは、この結果を活用して重要な領域におけるイニシア
ティブを確立し、プロジェクトに優先順位を付け、お客様にとって重要なメトリック
と目標を特定しています。お客様の声をEMCの戦略とプログラムに確実に反映するた
めに、この調査では、お客様がサステナビリティについてどのような懸念をお持ち
か、明示的に質問しています。
TCEの重要性を高めるため、EMCではTCEへの取り組みを最も見事に実証した従業員ま
たはチームにTCE Excellence Awardを授与しています。2011年は、EMCの経営陣が35の
従業員とチームをTCE Excellence Awardにノミネートし、次の3つのカテゴリーで2年
連続の受賞者を選定しました。
• 2011 TCE Excellence Awardは、幅広い製品に対応するお客様重視の質の高い総合
的なカスタマー・エクスペリエンス・プログラムを確立した組織に授与されまし
た。このイニシアティブは、運用上の主要パフォーマンス指標(KPI)を活用して
製品とプロセスを改善し、総合的なカスタマー・エクスペリエンスを促進した革
新性が認められました。
• 2011 TCE Excellence Field Awardは、日本で発生したマグニチュード9.1の大地震の
直後にお客様のニーズに対応したチームに授与されました。このサポート・チー
ムは、地震後の危険な移動状況をものともせず、お客様のシステム復旧に尽力し
ました。その結果、EMCのセキュア・リモート・サポートはその後のサポート・
サービスを効率化することが可能になりました。
• 2011 TCE Excellence Individual Awardは、米国空軍に卓越したサービスを提供した
1人のEMC従業員に授与されました。信頼されるアドバイザーとして空軍に協力し
たこの従業員は、システムの高度な可用性を実現し、多くの米軍兵士の命を保護
しました。
TCEプログラムでは、毎年恒例のEMC Innovation Conferenceの場も活用してカスタ
マー・サービスとカスタマー・エンゲージメントに対する革新的なアプローチを発表
しています。2011年のTCE Innovation Awardは、ビッグデータ分析とお客様の環境情報
を統合し、パフォーマンスの改善を実現したチームに授与されました。詳細について
は、「技術革新ネットワーク」。
お客様からのフィードバック
EMCは、CSAT(顧客満足度)の測定、業界トップ・レベルの水準の維持、そして
フィードバックを活用した継続的な改善を重要視しています。その一環として、
「フィールド」とリモート組織の両方に四半期ごとのCSAT目標を設定するととも
に、調査結果を社内のダッシュボード・サイトに掲載し、EMCのカスタマー・サポー
ト・サービスで参照できるようにしています。
ECNの紹介ビデオ
2011年のハイライト
• EMCのGlobal Customer Supportグループは、EMCの「TCE Proven」ステータスを獲
得し、TCEの改善と継続パフォーマンスへの献身的な取り組みを実証しました。
「 エグゼクティ
ブ・ブリーフィン
グ・セッション では、
弊社の事業やお客様への価値
の提供方法をより包括的に理
解できます。エグゼクティ
ブ・ブリーフィングに参加す
ると、自分のニーズや目標を
設計して体験することができ
ます。その結果、EMCが自分
の戦略的パートナーであるこ
とや、目標とする成果の達成
を支援してくれることを学ぶ
のです」
JOE TUCCI
EMCコーポレーション会長兼CEO
• お客様にディスカッション・フォーラムを提供し、EMCのCSATとTCEに対す
る取り組みをお知らせするEMCコミュニティ・ネットワーク、「Your Support
Experience」を導入しました。
• 従業員がCSATに関する情報のディスカッションや共有に活用できる社内フォーラ
ム、Advancing Customer Experience and Satisfaction(ACES)を開始しました。
カスタマー・フォーラム
Information Technology(IT)Leadership Council(以前のEMC Customer Council)は、
お客様の迅速なIT変革を支援するEMCの重要プログラムです。このプログラムは、
EMCのビジネスを構成する最も大切な要員であるお客様と、EMCのビジョンを共有
し、戦略の有効性を確かめ、継続的な関係を築くために役立っています。2011年は、
世界中から100名を超えるITリーダーを招き、EMC独自のピア・ツー・ピア・ワーク
ショップにご参加いただきました。お客様にとっては、各社のIT戦略を話し合い、
EMCのアーキテクチャのビジョンを理解し、同業者やEMCの経営陣と触れ合い、EMC
との関係を深める機会となりました。
また、EMCの最高技術責任者(CTO)は、Industry Technical Advisory Councilを構成す
る一部のお客様と会合を持っています。ここでは、ITの課題や、進化を続けるEMCの
技術戦略がソリューション開発にどのように役立つかなどを話し合っています。
EMCコミュニティ・ネットワーク
2008年に開始されたEMC.comのECN(EMCコミュニティ・ネットワーク)は進化を続
けています。このサイトは、EMC製品から業界のプラクティスまであらゆるトピッ
クのコラボレーションと技術革新への関心を共有するEMCの従業員、お客様、パート
ナーなどのステークホルダをリンクするソーシャル・ネットワークです。メンバー
は、ブログ、ソーシャル・ネットワーキング・ツール、RSSフィードを通じてアイデ
アを発見、共有するとともに、EMCのリーダー、エキスパート、製品チームと直接つ
ながることができます。2011年12月時点で、約200,000人がメンバーとして登録して
います。
エグゼクティブ・ブリーフィング・プログラム
EMCは、1994年に世界規模のエグゼクティブ・ブリーフィング・プログラムを開始し
ました。以来、世界各地で30,000を超えるカスタマー・ブリーフィングを主催して
います。このブリーフィングは、EMCのエグゼクティブやエキスパートとお客様を集
め、業界をリードするテクノロジーや戦略についてさまざまな方法でのディスカッ
ションを促進することを目的としています。ミーティングでは特定のお客様のニーズ
や地域の市場に焦点を当てますが、サステナビリティやサステナビリティ領域におけ
るEMCの取り組みを取り上げる機会が増加しています。
EMCでは、マサチューセッツ州Hopkinton、カリフォルニア州Santa Clara、アイルラ
ンドのCork、インドのBangalore、シンガポール、東京にブリーフィング・センター
を設置しており、今後は中国の北京、ブラジルのRio de Janeiroにもセンターを開設す
る予定です。詳細については、japan.EMC.comの「EMC Worldwide Executive Briefing
Program」を参照してください。
価値の提供/お客様
63
従業員と職場
EMCでは、技術革新が生まれる職場を提供することが
必要であると考えています。私たちは、切迫感の浸
透、卓越性の実現に向けた努力、従業員の継続的な学
習意欲促進に集中的に取り組んでいます。また、安全
で健全な職場を育むとともに、世界各国で業界をリー
ドする人材プログラムを提供するアプローチへの変換
を図っています。
このセクションでは次のトピックを取り上げます。
採用および大学との関係構築
社員の能力開発
職場における健康と安全
健康面と財産面のメリット
グローバルな拡大
64 価値の提供/従業員と職場
採用および大学との関係構築
EMCでは、世界中のコミュニティとキャンパスで、最
も大局的に物事を考えることができる人材や、最も
革新的な知性を持つ人物を常に探しています。その
ために人材の宝庫である教育機関と協力しており、
先端研究機関と提携する機会も増加しています。EMC
University Relationsは、大学とEMCのGlobal Businessグ
ループ間の戦略的パートナーシップを確認し、育み、
管理するための一元的なリソースです。
ビジネス戦略を支えるコラボレーション
University Relationsは、Academic Alliance、イノベーション・ネットワーク、Office
of the Chief Technology Officer、Centers of Excellence、Office of Global Workforce
Inclusion、Office of Sustainability、Community Involvementと密接に連携しています。
この社内コラボレーションを通じてEMCが重視する学校が選定されます。これらの学
校では、EMCが採用面、研究環境、教職員における関係の構築に取り組んでいます。
2011年はインターン・プログラムを刷新し、インターンへの参加者が30%増加すると
いう成果を得られました。また、正社員の採用枠を、EMCでサマー・インターンシッ
プを行った翌年の新卒者に拡大するプロセスも導入しました。その結果、応募資格を
持つ新卒インターンの70%の採用が決定しました。この数は2010年を大幅に上回って
います。米国の新規採用者の47%は、重要パートナー校の出身者でした。
多様性に配慮した採用
EMCは、社内のグローバル・コミュニティの多様性を反映した才能ある人材の獲得
を目指しています。2011年には、学生に学習やメンタリングの機会を提供すると同
時に、教職員、学生、経営陣との関係を構築するために、伝統的黒人単科/総合大学
(HBCU)と提携しました。学校との協力を通じて、学生にメンタリング、インター
ンシップ、Industrial Advisory Board入会の機会を提供しています。
この取り組みは、学生との強固な関係を構築し、卒業時にEMCへの入社を検討しても
らうことを目的としています。多様性に関するEMCの取り組みについては、「グロー
バル・インクルージョン」をご覧ください。
価値の提供/従業員と職場
65
社員の能力開発
社内外における従業員の活躍を後押しするために、
EMCは幅広いプログラムを提供しています。私たち
は、専門的な目標を達成するためには、各従業員が自
分のキャリア開発で積極的な役割を果たす必要がある
と考えています。EMCは、従業員にキャリア開発の機
会を提供するとともに、部下のスキル向上と機会拡大
を支援することを管理者の職務の1つとしています。
パフォーマンス管理
EMCのすべての従業員は、少なくとも年に一度パフォーマンス評価を受け取り、成長
のために必要な強み、スキル、機会について管理者と話し合います。従業員と管理者
は、共同でIDP(個人能力開発プラン)を作成して実践します。IDPは、従業員の専門
職への移行計画にあたるもので、個人のキャリア願望とビジネスのニーズを考慮して
開発目標を記述します。EMCでは、60%を超える従業員がIDPを作成しています。
学習および開発プログラム
EMCの新規採用者は、受賞歴のあるProven Professionalプログラムを通じて紹介され
ます。このプログラムでは、情報技術業界の概要を理解し、EMCの価値、ベスト・プ
ラクティス、方法論を学習します。
最近の新卒者には、職務別のスキル習得、メンタリング、同僚とのネットワーキング
の機会を提供し、EMCのビジネスの全体像を理解する助けとして、ローテーション方
式の開発プログラムを提供しています。EMCのローテーション方式のリーダーシップ
開発プログラムには、以下が含まれています。
• ビジネス・オペレーション・リーダーシップ開発プログラム
• ファイナンス・トレーニング・プログラム
• グローバル・サービス・リーダーシップ開発プログラム
• ヒューマン・リソース・リーダーシップ開発プログラム
• 情報テクノロジー・リーダーシップ開発プログラム
• リーダーシップ・エンジニアリング促進プログラム
• マーケティング開発プログラム
66 価値の提供/従業員と職場
学習および開発プログラムは、最も優れた人材の採用、保持、育成を図り、企業戦
略の実行能力を伸ばすように工夫されています。通常のトレーニングは、エデュ
ケーション・サービスとEMCU(EMC University)を通じて提供しています。EMCの
Education Servicesチームは、すべての技術および機能トレーニングと、セールスおよ
びカスタマー・トレーニングを担当しています。一方EMCUは、管理者とリーダーの
開発、ビジネス・ライティング、コンフリクト管理などをテーマとした企業向けト
レーニングを提供しています。2012年は、EMCUとエデュケーション・サービスが提
供するトレーニングの合理化に焦点を当てていきます。
EMCのEssential Curriculumは、組織内の各レベルの従業員に合わせてカスタマイズさ
れた学習パスです。現在の役割で成功を収め、次のレベルにステップアップするため
に必要なコア・コンピテンシーを従業員に伝授することを目的とするこのカリキュラ
ムの設計と提供は、EMCUが担当しています。このカリキュラムは、キャリア・レベ
ル別の開発ロードマップで構成されており、管理者やディレクター向けに開発された
重点的なポートフォリオ・コースもあります。個別のスキルの開発用として数百種類
ものコースが用意されているほか、特定の分野や部門を対象とした専門能力開発プロ
グラムもあります。
EMCでは継続的な学習も推奨しており、資格のある従業員には、学部および大学院で
の学位プログラム、外部での職務関連のプログラム、資格取得などの適切な教育費用
をEMCが負担する制度を設けています。
人材評価プロセス
人材は、技術革新を生み出し、EMCに成長と変革をもたらす原動力です。EMCは組織
と人材の評価を毎年実施し、将来のリーダーと人材のアジェンダを計画します。
潜在能力が高い従業員と重要な才能を発掘するために、各上級副社長(EVP)はEMC
のCEOおよび人事部のEVPと話し合いを持ちます。このプロセスでは、優れた従業員
に積極的に関わり、保持していく計画を立案します。ビジネス・ユニットや勤務地の
移動、昇進、的を絞った能力開発により、優れた従業員がEMCで将来果たす役割に備
えます。
価値の提供/従業員と職場
67
職場における健康と安全
EMCは、従業員の健康と安全については妥協が許され
ないことを心得ています。私たちは、世界中の弊社の
施設が、従業員、お客様、EMCの業務に影響を受ける
すべての方々に安全で健康的な環境を提供できるよう
取り組んでいます。業務上の健康と安全に関するプロ
グラムは専門家に管理されており、EMCは従業員のパ
フォーマンス向上支援に尽力しています。
健康と安全の管理
米国とアイルランドに配置されているEMCの製造施設は、優れた安全の世界規格であ
るOHSAS 18001認定を取得しています。IT(情報技術)企業であるEMCにとって、健
康と安全のリスクがあるのは主に製造施設です。2011年時点でOHSAS 18001認定取得
済みのEMCの施設は次のとおりです。
• アイルランドCorkの製造施設が2005年に認定を取得
• マサチューセッツ州Franklinの製造施設が2009年に認定を取得
• マサチューセッツ州Franklinの出荷/倉庫施設が2011年に認定を取得
• ノース・カロライナ州Apexの製造施設が2010年に認定を取得
EMCでは、包括的な安全衛生手順を確立しました。EMCの方針と手順をサポートし、
推進するために、包括的な作業安全分析とリスク評価を実施しています。また、方針
と手順が有効に実行されているかどうかを確認するために、監査および調査を実施し
ています。従業員は、オンライン・コースと座学コースを通じて、業務に関連する安
全衛生のトレーニングを受けます。従業員で構成されるSafety Actionチームも定期的
に会合を持って、安全性の問題の検討、監査、トレーニング・プログラムの体系化を
行っています。
安全衛生基準違反
EMCが2011年に安全衛生基準違反を指摘されたことはありませんでした。
パンデミック対策
EMCは、従業員と世界中のお客様の健康や、事業運営の健全性を感染症が脅かす可能
性があることを認識しています。EMCのGlobal Pandemic Preparednessチームは、全世
界の従業員とお客様が感染症の世界的な大流行のあらゆるフェーズに対応できるよう
に支援するため、詳細な計画を策定しました。
大流行が発生した場合は、影響を最小限に抑えるために保険専門家による指示に従い
ます。EMCのGlobal Preparedness計画は、EMC、お客様、サプライ・チェーンのシス
テム停止を最小限に抑えるように考案されています。
68 価値の提供/従業員と職場
健康面と財産面のメリット
知識と経験の共有
EMCで健康とウェルネスを促進する環境
づくりが始まったのは、10年以上前のこ
とです。その後EMCでは、生活者の利益
を優先するという理念を医療戦略の基本
原則とし、その理念に基づいて「健康に
おけるパートナーシップの促進」という
方針を貫いてきました。私たちは、適切
なツールと情報があれば各個人が情報に
基づいた決定を下すことができると確信
しています。
医療制度改革を実現するためには、医療
機関が責任のある医療の基準を満たさな
ければなりません。責任のある医療の要
件の1つは、患者を中心とするテクノロ
ジーを活用し、患者に自分の情報へのア
クセスを提供することです。HealthLink
に保管されている個人医療記録こそ、医
療情報へのアクセス改善に必要とされる
テクノロジーです。
EMCでは、弊社の実例や経験を他の雇用
主や医療機関と共有することが責務で
あると考えています。ECMで新たに設
立したChoice & Responsibility Advisory
Servicesは、ウェルネスの文化を構築す
るためのロードマップをお客様に提供し
ます。私たちが重要な成果を積極的に共
有するのは、医療システム改善の一助に
なろうとする姿勢の表れです。
EMCでは、革新的なIT(情報技術)の力を利用して、
従業員自身が健康と財産を管理できるように支援して
います。EMCのツールとリソースを利用すると、従業
員とその家族は、個人の状態を把握し、対象を絞った
情報を取得し、健康の改善や資産の増加を図ることが
できます。
EMCは、世界中の53,000名を超える従業員に包括的な福利厚生を提供しています。米
国では、医療、歯科、眼科、処方箋に適用される保険、養子縁組み補助、自閉症給付
金、企業年金制度(401K)プランを通じた退職金計画、ESPP(従業員持ち株制度)を
提供しています。週20時間以上働く従業員は、福利厚生制度を利用する資格を持ちま
す。米国におけるEMCの従業員福利厚生については、www.peoplelinkbenefits.comを参
照してください。EMCが事業を展開する他の国の従業員福利厚生に関する情報は、各
国のEMC Webサイトを参照してください。
HEALTHLINK
EMCでは、患者は自分の医療情報を管理し、時間や場所を問わずその情報にアクセス
できるべきだと考えています。テクノロジーをベースとする有意義かつ実用的で安
全なオール・イン・ワンのPHR(個人医療記録)の構築は、安全面の責務の1つであ
り、EMCが10年以上にわたって取り組んでいる分野です。
EMCの健康管理ポータルであるHealthLinkは、WebMDによって機能が強化され、EMC
のセキュリティ部門であるRSA®によって安全性が確保されています。このポータル
により、従業員とその家族は、24時間365日世界中のどこからでも医療情報を管理す
ることができます。米国におけるEMCの従業員の90%以上と、その配偶者やパート
ナーの55%以上がHealthLinkを使用しています。信頼性と安全性の高いこのポータル
に医療情報を入力すると、ユーザーはそれぞれの健康のニーズに対応するリソースの
的確な情報を入手できます。ユーザーは、PHR内の情報を医療機関と共有することも
可能です。
PHRにより、従業員とその成人家族は医療機関と一緒に完全な医療データを確認でき
るため、同じ検査や治療を繰り返さずに済み、薬の相互作用や副作用を管理できま
す。この健康管理アプローチにより、医療の効果が向上し、従業員とEMCの医療費の
抑制につながりました。国民1人あたりの平均医療費の上昇は10.3%ですが、2004年の
ウェルネス・プログラム開始以来、EMCの医療費の上昇は6.8%に抑えられています6。
私たちは、PHRの継続的な強化を推し進めています。2012年には、HealthLinkはモバ
イルPHRアプリケーションを導入するとともに、ユーザーが画像(レントゲン写真な
ど)にアクセスできる機能の提供を開始する予定です。
6
出典:Watson Wyatt National Employer Survey
価値の提供/従業員と職場
69
医療IT市場への影響力
2004年、EMCは雇用主として初めて、電子個人医療記録の提供を開始しました。それ
以来私たちは、医療の改善のためにデジタル技術の潜在能力を活用する動きを推進す
る役割を担い、影響力を発揮しています。医療テクノロジーと従業員福利厚生に関す
るEMCの革新性と専門技術は、Fortune 500企業や、さまざまなビジネス・リーダー、
さらにマサチューセッツ州からも問い合わせを受けています。
EMCが弊社の実例を医療機関や他の雇用主と積極的に共有しているのは、すべての
人々がより効率的な医療システムを利用するに値すると考えているからです。
WEALTHLINK
WealthLinkは、EMCの財産形成/保護プログラムです。WealthLinkにより、従業員は
EMCの福利厚生を最大限に活用しながら、自分や家族のニーズや目標に見合う財産
管理計画を立てる方法を習得することができます。従業員は、WealthLinkを通じてオ
ンサイト・セミナー、Webセミナー、財務計画セッション、ESPP(従業員持ち株制
度)、企業年金制度(401K)プラン、その他のプログラムにアクセスできます。
70 価値の提供/従業員と職場
グローバルな拡大
EMCは100か国以上のお客様にサービスを提供していま
す。成長する市場でお客様の近くに拠点を構えること
は、私たちにとって重要です。新しい人材プールは世
界中に広がっており、EMCはその中で最高の人材を発
掘するために尽力しています。
CENTER OF EXCELLENCE(開発センター)
EMCのCOE(Centers of Excellence)は、世界中の主要な市場における人材育成とプレ
ゼンス拡大戦略の基盤です。COEは、 中国、エジプト、アイルランド、インド、イス
ラエル、ロシア、米国の7か国で運営されています。EMCのCOEは、地域の人材の活
用による運用、財務、プロジェクトの効率化をモデルとしています。COEは、効果を
最大限に高めるために、地域の大学プログラム、政府代表、コミュニティ・パート
ナーと連携しています。
各COEは、各自の市場における具体的な専門技術とスキルを活用して、EMCのビジネ
ス戦略を前進させています。従業員は、エンジニアリング研究開発、カスタマー・
サービス、変換サービス、技術サポート、事務処理など、EMCのビジネス・ユニット
に不可欠なサービスに従事します。各COEは地域で管理されており、EMCの上級管理
職で構成される機能横断型の委員会がその戦略と投資の決定を監督しています。EMC
のCOEモデルには、さまざまなビジネス・ユニットの従業員がコラボレーションする
機会が増えるという優れた利点があります。
多くのテクノロジー企業は、EMCのCOEがある地域で優れた人材を採用しようとして
います。COEは、地域の採用戦略でUniversity Relations、Academic Alliance、企業ト
レーニング、イノベーション・ネットワークと緊密に連携しています。EMCは、継続
して従業員の保持を重視しており、各COEの拠点における離職率は常に市場の平均値
を下回っています。
変化への対応
21世紀になり、世界的な経済の混乱や、業界の統合、買収、再編が当たり前のことに
なりました。EMCは、優秀な人材の保持と従業員との関係維持のために、従業員がこ
うした出来事に起因する変化にできるだけ円滑に対応できるよう尽力しています。
優秀な人材の保持は、合併や買収後の最も重要な目標です。合併や買収が発生した場
合は、その早期段階で、買収した企業の文化の重要な側面を保ちながらEMCへの統合
を図る受け入れ計画を作成します。
通常のビジネス活動を展開する過程で、EMCは特定の領域での人員削減、投資の再配
分、生産性の低いイニシアティブの削減、機会が見込まれる領域への新しい投資の重
視を余儀なくされることがあります。その結果、大切な従業員が不本意に離職するこ
とになる場合があります。EMCは、このような行動を取る前に、共感をもって私たち
のチーム・メンバーの生活やキャリアにこの行動が与える影響を理解し、慎重な熟慮
を重ねます。また、従業員の規模縮小という難しい決断を行う前に、あらゆる選択肢
を検討します。この戦略によって、運用の効率化、財政基盤の強化、信頼性の向上、
優秀な人材の保持を実現しています。
雇用の削減という困難な行動を取らざるを得ない場合、私たちの使命は、威厳、思い
やり、公正さ、そして敬意を持って各個人を待遇することです。米国のEMCでは、基
本給と、医療、歯科、眼科に適用される保険を含む特定手当ての継続から構成される
退職手当を支給します。また、第三者機関による求職支援サービスもEMCの費用で提
供します。国際的には、EMCの退職条件は国によって異なり、地域法に準拠します。
価値の提供/従業員と職場
71
グローバル・インクルージョン
EMCでは、多様性とインクルージョンをビジネスに不
可欠な要素であると考えています。それは、多様な見
解を奨励して1つにまとめあげたときに技術革新が可能
になると確信しているからです。私たちは、取り巻く
世界を反映した多様性のある職場を育むことを目指し
ています。EMCの使命は、すべての従業員が独自に有
する才能と見解を尊重する文化を促進することです。
さまざまなプログラムとイニシアティブを通じて、成
長を続けるために必要なリソースとツールを従業員に
提供していきます。
経営陣のアカウンタビリティ
EMCの多様性およびインクルージョン戦略を後押ししているのは、経営陣の熱意で
す。EMCのリーダーは、EMCが事業を展開するすべての地域にインクルージョンの文
化を浸透させるという私たちの目標を支持しています。経営幹部は、毎年主要な多様
性に関するメトリックを定期的に見直し、新戦略と行動計画の策定に直接参加してい
ます。各幹部は、評価の対象になる多様性とインクルージョンに関するパフォーマン
ス・インセンティブを設定しています。
人材管理
高い潜在能力を持つ多様な従業員への投資は、インクルージョンを促進する環境づく
りにつながります。EMCは、メンタリングおよびコーチング・プログラムを通じて、
あらゆる地域での従業員の採用、維持、開発、向上をサポートしています。たとえ
ば、将来の従業員の間に多様なパイプラインが構築されるよう促すため、Sponsors
for Educational OpportunityやNational Action Council for Minoritiesと連携して、夏期イ
ンターンシップ・プログラムを実施しています。
2011年は、将来の従業員に多様性とインクルージョンに対するEMCの取り組みを知っ
てもらうと同時に、雇用の機会を強調するために、オンライン・ポータルを開設しま
した。
EMCのOffice of Global Workforce Inclusionは、さまざまな経歴の従業員をリーダーに昇
格させるためのプログラムを提供しています。その1つが、昇進を目指す女性管理職
が最高責任者クラスへ昇進するための準備を支援する「Leadership in the FastLane at
EMC」プログラムです。世界中でEMCの従業員に参加を促すために、EMCの上級副社
長がこのプログラムの候補者をノミネートします。2008年の開始以来、このプログ
ラムには100名以上の女性が参加しています。
72 価値の提供/グローバル・インクルージョン
従業員の教育と関与
EMCは、すべての従業員がインクルージョンの理念を日々実践するようになることを
目指しています。EMCのEssential Curriculumには、日常業務の一環としてインクルー
ジョンと関与を促進するコースが含まれています。私たちは、このコースがEMCに生
産性向上をもたらすと確信しています。
2012年は、自覚のない偏見(無意識の偏見)というテーマに焦点を当てたイニシア
ティブを開始する予定です。このイニシアティブは、偏見に対する管理者の理解を促
進し、職場に存在する偏見への意識を高めることが目的になります。この包括的なト
レーニングでは、採用や従業員育成に関する意思決定の改善のために、偏見の特定や
緩和に役立つ戦略やツールを管理者に提供します。
従業員サークル
2011年、EMCのBlack Employee Affinity
Groupは、人材パイプラインを強化し、
アフリカ系アメリカ人の採用を増やすた
めに多様な採用イニシアティブを開始し
ました。このイニシアティブを通じて、
ハワード大学やノース・カロライナA&T
州立大学など、すでに提携していた伝統
的黒人単科/総合大学(HBCU)での新し
い採用の機会を検討しました。また、モ
アハウス大学、スペルマン大学、モルガ
ン州立大学との新しい提携を開始し、こ
れらのHBCUにもEMCの採用範囲を拡大
しました。このイニシアティブにより、
2011年はインターンシップおよび正規採
用への応募者が多様化しました。EMCで
は、今後もHBCUイニシアティブを前進
させていく予定です。
EMCは、経営陣の支援を受け、従業員によって組織されている社内の友好的なネット
ワーキング・グループである従業員サークルを通じて従業員の関与を促進していま
す。新規採用者は、従業員サークルを通じて会社を徐々に理解し、同僚との関係を育
み、個人および専門家としての開発の機会を得ることができます。EMCの9つの従業
員サークルは8か国に広がっており、4,000名を超えるメンバーが参加しています。
従業員サークルは、ボランティア、社外会議での発言、EMCの採用活動への参加な
ど、EMCブランドの構築に貢献する活動に関与しています。2011年は、インドで新し
い従業員サークルを開始するとともに、Black Employee Affinity Groupを拡張して米国
西海岸に支部を設置しました。
Simmons Leadership Conference
EMCは、女性のリーダーシップ・イベントとして米国で最も有名な、毎年恒例の
Simmons Leadership Conferenceのスポンサーを務めています。2011年は、EMCの女性
従業員500名を含む2,700名以上の専門職の女性がこのイベントに参加しました。
100 Black Men of Americaとともにロボット大会を支援
EMCは、アフリカ系アメリカ人の生活向上と教育および経済的機会の改善を目指す組
織、100 Black Menと提携して高校生のロボット大会を支援しています。2010年に支
援したのは4チームでしたが、2011年は8つのロボット制作チームの後援と指導を実施
しました。
Women s Leadership Forum
EMC WLF(Women s Leadership Forum)は、EMCでの女性の昇進支援を目指していま
す。2011年、WLFは15のキャリア開発イベントを主催し、14のコミュニティ・ボラン
ティア活動を組織しました。また、600名を超えるEMCの女性従業員がMassachusetts
Conference for Womenに参加するための支援を行い、EMC Worldカンファレンスでは
「Women of the World」プレゼンテーションを実施しました。WLFは、EMCで最初に
設立されたアフィニティ・グループで、2011年は世界で約1,000名のメンバーが参加
しました。
価値の提供/グローバル・インクルージョン
73
サプライヤの多様性
サプライヤの多様性によって、サプライ・ベースが拡大するだけでなく、これまで不
利であった企業にチャンスを提供し、EMCが事業を展開する地域社会の経済を強化す
ることができます。EMCのSupplier Diversityプログラムは、請負業務と調達への多様
なサプライヤの参加を推進します。
アウトリーチと教育
サプライ・ベース拡大の第1のステップは、多様なサプライヤへの戦略的なアウト
リーチです。購買スタッフへのベスト・プラクティスとEMCツールの教育は、必須の
第2のステップとなります。EMCのプログラムの活動内容を次に示します。
• 多様なサプライヤを対象としたワークショップ、セミナー、トレード・フェア
• EMCの購買スタッフ向けに半年ごとに行うSupplier Diversityトレーニング・プログ
ラム。2012年はトレーニングを刷新し、EMCの購買専門家が利用できるツールを
提供していきます。
• EMC購入担当者向けの多様なサプライヤのデータベース
主要な組織のメンバーになることで、多様なサプライヤとの接点が増えます。EMCで
は、Office of Global Workforce InclusionとCorporate Indirect Procurementの連携により、
これらの組織との関係を管理し、最大限に活用しています。2011年は、EMCがGreater
New England Minority Supplier Diversity Councilの四半期ごとの会議を主催しました。
目標と評価
EMCでは、定期的に目標を設定し、そのパフォーマンスを評価しています。その中
で、中小企業や少数派/女性オーナー企業との活動の測定と追跡も実施しています。
また、規制に従って米国政府への報告を行います。
74 価値の提供/グローバル・インクルージョン
技術革新ネットワーク
EMCでは、事業運営から新製品やサービスの開発と提
供まで、すべての活動の中心は技術革新です。私た
ちの存続と繁栄は技術革新にかかっています。EMCで
は、技術革新とサステナビリティ両方を実現してこ
そ、ビジネス、社会、環境面における最大の課題の解
決策を発見できると考えています。
EMC技術革新ネットワークは、弊社の技術革新エンジンとして機能しており、技術革
新と進歩を促進する優れたアイデアを見出し、実現することを目指す社内チームで構
成されています。技術革新ネットワークは、継続的なプログラムと年次イベントを実
施することにより、EMC、お客様、業界、そして私たちを取り巻く世界が直面してい
る問題や課題に関する知識を広げています。この知識を通じて、弊社の将来を築くと
ともに、私たちが住む世界を形成していくために必要な技術革新のチャンスを見出し
ます。
INNOVATION SHOWCASE
EMCのInnovation Showcaseは、EMCのチームや従業員を招き、弊社やお客様の課題を
解決するアイデアを競い合う大会です。Innovation Showcaseでは、EMC、お客様、情
報技術業界の長期的な繁栄に結びつく技術革新やビジネス・プロセス改善に向けた、
画期的なアイデアが生まれています。
従業員は、EMCの社内ソーシャル・メディア・サイトEMC|ONEを活用して共同作業
し、アイデアを生み出します。提出されたアイデアは、EMCのコミュニティによる評
価と投票で絞られた後、専門家の審査員によって具体的に発展させていくアイデアが
選定されます。選定されたアイデアは、毎年恒例のInnovation Conferenceで発表され
ます。
「最優秀」アイデア・アワードのほか、EMCの各Center of Excellence、CTO事務所、
SVPG(Symmetrix and Virtualization Productsグループ)、IIG(Information Intelligence
グループ)、DCPD(Data Computing Products部門)、BRS(Backup Recovery
Systems)、RSAなど、組織や部門からの特別アワードも選定されます。特別アワー
ドには、環境保護管理、セールス・イノベーション、ソーシャル・イノベーション、
IT(情報技術)、TCE(お客様の総合的な満足度)、多様性とインクルージョンなど
のカテゴリーも設けられています。
INNOVATION CONFERENCE
Innovation Conferenceは、技術革新とその立て役者を称えるEMCの毎年恒例のイベント
です。このカンファレンスでは、世界中の従業員を結びつけ、知識共有フォーラムを
提供し、技術革新のリーダーシップを指揮した従業員を発表して報奨を授与します。
2011年、Innovation Conferenceは5回目を迎えました。Innovation Showcaseには、25か
国1,214名の従業員から過去最高となる1,590件の提案が寄せられました。そのうち、
28件の提案が各スポンサー・アワードに選定され、カリフォルニア州Santa Claraで開
催されたInnovation Conferenceで発表されました。これと同時に世界中の10数か所の
EMC拠点で地域カンファレンスが開催され、各会場がライブWebキャストで結ばれま
した。
価値の提供/イノベーション・ネットワーク
75
EMC FELLOW & DISTINGUISHED ENGINEERプログラム
EMCのFDE(Fellow & Distinguished Engineer)プログラムは、素晴らしい業績を実証
した個人貢献者と全社の幅広い技術リーダーを称えることを目的としています。FDE
は、Innovation ShowcaseとInnovation Conferenceの終了後、優れたアイデアを具体化
してEMCとその子会社全体で発展させていくために、チームまたは個人にサポートを
提供します。FDEは、EMCの従業員のメンターとしての役割も果たし、総合的な企業
戦略開発にも寄与します。
任命式では以下の個人が栄誉を受け、2011年のEMC FellowおよびDistinguished
Engineerとして迎えられました。
EMC Fellow
•
Percy Tzelnic
上級副社長、 CTO事務所、マサチューセッツ州Hopkinton
EMC Distinguished Engineer
76 価値の提供/イノベーション・ネットワーク
•
Paul Austin
グローバル・プリセールス・リード、Flash Business Unit、バージニア州McLean
•
John Cardente
Distinguished Engineer、Unified Storage Division、マサチューセッツ州Hopkinton
•
Arieh Don
シニア・ コンサルティング・エンジニア、Symmetrix and Virtualization Products
Division、マサチューセッツ州Hopkinton
•
Mike Evans
シニア・ コンサルティング・エンジニア、Unified Storage Division、マサチュー
セッツ州Hopkinton
•
Christopher Gaudlip
CTO、Managed Services Division、テキサス州Dallas
•
John Hayden
副社長兼CTO、Unified Storage and Isilon Storage Divisions、マサチューセッツ州
Hopkinton
•
Windsor Hsu
CTO、Data Domain/Backup Recovery Systems Division、カリフォルニア州Santa
Clara
•
Paul Linstead
シニア・ コンサルタント・エンジニア、Symmetrix Software Engineering、マサ
チューセッツ州Hopkinton
•
Zachary Loafman
Distinguished Engineer、Isilon Storage Division、ワシントン州Seattle
•
Charles McDevitt
チーフ・アーキテクト、Data Computing Division/Greenplum R&D、カリフォルニア
州San Mateo
•
Mark Parenti
チーフ・アーキテクト、Unified Storage Division、ニュー・ハンプシャー州Nashua
•
Sazzala Reddy
CTO、Emerging Technologies/Data Domain、カリフォルニア州Santa Clara(すでに
EMCを退社)
•
Jeroen vanRotterdam
CTO、Information Intelligence Group、カリフォルニア州Pleasanton
•
Yael Villa
CTO、Identity Protection and Verification Group/RSA、Herzliya(イスラエル)
•
Jonathon Walton
Distinguished Engineer、Isilon Storage Division、ワシントン州Seattle
•
Riaz Zolfonoon
アーキテクト/テクノロジスト、Identity and Data Protection、RSA、マサチュー
セッツ州Bedford
GLOBAL INNOVATION NETWORK ANALYTICS
GINA(Global Innovation Network Analytics)は、2011年にEMCのCenters of Excellenceで
設計、開発、テストが実施されたイニシアティブで、2012年に全社的な導入が予定
されています。GINAは、技術革新ネットワークとEMCの経営陣がグローバルな従業員
ベース全体の「知識移転」状況を視覚的に把握できるようにする強力なツールです。
Greenplumベースのリポジトリを活用するGINAを通じて、従業員は会議のアジェンダ
や議事録を中央データベースに送信することができ、これが自動的にEMCのグローバ
ル活動にマッピングされます。したがって、採用、技術革新活動、研究開発、出版、
特許などさまざまな分野における全社の具体的な結びつきを把握することができま
す。GINAは、ユーザーに特定の領域を詳しく理解する機会をもたらすとともに、各
活動に関する補足情報へのリンクを提供します。
世界で実施されている主要なコラボレーションと知識伝達に対してGINAが単一の視
点を提供するため、技術革新ネットワークは「地域で知識を拡大し、世界に広め、戦
略的に活用する」という使命を果たすことが可能になります。
価値の提供/イノベーション・ネットワーク
77
ステークホルダ参画
ステークホルダ参画は、EMCで継続的に実践されてい
るプロセスです。私たちは、積極的にステークホルダ
の参画を促して信頼を構築し、視野を広げ、蓄積され
た専門技術を活用することにより、問題の解決や事業
の強化を図っています。EMCでは、効率的で生産性の
高い参画は、新しい課題の特定に役立つだけではな
く、関係者とEMCのビジネスに重要な課題に対応する
革新的なアプローチを生み出す機会にもなると考えて
います。
2011年、EMCは2回目のStakeholder Forumを開催しました。その進行役は、持続可能
なプラクティスの採用を推進する投資家、企業、公共利益団体で構成されるネット
ワーク、Ceresが務めました。NGOコミュニティ、教育機関、投資家、お客様を代表
するステークホルダに、30名を超えるEMC経営陣、さまざまな部門の管理者や個人貢
献者が加わったこのフォーラムでは、EMCの報告戦略、重要性調査の結果、EMCの回
収/E-Wasteの原則とプログラム、多様性とインクルージョンを促進する職場づくりに
向けたEMCのアプローチなど、さまざまなトピックを網羅する建設的な対話が行われ
ました。
このフォーラムにおける重要なフィードバックを紹介します。
• ガバナンス:ステークホルダは、EMCのガバナンス・プロセスを高く評価し、社会
面と環境面のメトリックに基づいた経営陣のインセンティブ拡大を奨励しました。
• 重要性:ステークホルダはEMCの重要性プロセスの拡大を支持し、EMCが主導的
な役割を果たせる領域の問題を強調するよう促しました。具体的には、EMCのサ
ステナビリティ報告において、情報プライバシーをより大きく取り上げるべきで
あると提言しました。詳細については、「重要性評価」をご覧ください。
• 気候変動と再生可能エネルギー:ステークホルダは、EMCの事業とEMC製品のエ
ネルギー消費による二酸化炭素排出量の削減を継続することに加え、EMCが再生
可能エネルギーに関連する短期目標を設定すること、よりクリーンな燃料に移行
するお客様を支援することを提言しました。弊社は、「効率の良い施設」に記述
しているように、現時点でさまざまな代替エネルギー源を活用しています。
• レポート形式:ステークホルダは、確認と分析がしやすいように、定量的で定性
的な資料をテキスト形式でダウンロードできるようにすること、ビデオやその他
のマルチメディア・コンテンツを主に事例で使用することを奨励しました。この
レポートは、このフィードバックを直接反映して作成されました。
• E-Waste:ステークホルダの要望に応えて、EMCの取り組みの詳細を「製品の廃
棄」に記載し、弊社の一般向けWebサイトにEMCの回収とE-Wasteの原則を公開し
ました。私たちは、社内においてもThe Green Gridとの提携を通じても積極的に活
動し、パフォーマンス・メトリックを確立しています。
• インクルージョンと多様性:ステークホルダは、EMCのプログラムの対応範囲に
関心を示しており、より定量的なデータと目標の提供を求めました。利害関係を
持つステークホルダとのこの生産的なディスカッションは継続中です。
• 公共政策:EMCは、サステナビリティ政策の課題を戦略に対応づけて積極的な参
画を継続、拡張することや、EMCの状況を開示することを求められました。詳細
については、「公共政策」をご覧ください。
78 価値の提供/ステークホルダ参画
次の表は、2011年にEMCがステークホルダに対して提供した参画の機会と、提起された問
題への対応について示したものです。
ステークホルダ・グ
ループ
参画方法
提起された問題への対応例
従業員
ESMS(従業員満足度測定調査)
EMCアイルランドのCOEは、従業員の関心に応えて、2011年にCycle to
Work(自転車通勤)スキームを提供しました。これは、従業員の健康、
フィットネス、貯蓄などのさまざまなメリットを提供するスキームで
す。開始以来、およそ400名の従業員がこのスキームを活用しています。
Innovation Conference(年1回)
Recognition@EMC
継続的な学習開発プログラム
Greenチーム
EMCのCustomer Services組織は、ESMS調査の結果を受け、以下のイニ
シアティブを開始しました。
潜在能力が高い技術リーダーを育成するTechnology Talentプログラム
の確立。技術的キャリア・パスを重視し、そのより明確な定義を求める
従業員の声に直接対応したものです。
•
ソーシャル・メディア(EMC |
One)
オンライン・サステナビリティ・
ツール
従業員サステナビリティ意識調査
お客様サイトで作業を行っている従業員など、同僚との接触の機会が
少ない従業員の意見が考慮され、戦略的計画に反映されるように、コ
ミュニケーションとフィードバックの機会を提供する委員会の設置。
•
マサチューセッツ州Franklinのプロセス・エンジニアが同一のパーツを
別の施設に出荷する際に、EMCのパッケージ用に特定サプライヤが供給
している段ボールの仕切りを再利用することで、パッケージングを効率
化できる機会を見出しました。彼は、このパッケージング・サプライヤ
と協力して、段ボールの仕切りを再利用できる新しい箱を設計しまし
た。この変更により、EMCは排出量を5,500 kg CO2e減らし、毎年57,000
ドルのコストを削減できる見込みです。
お客様
四半期ごとの「お客様の声」調査
お客様カウンセリング・フォーカ
ス・グループ
1対1ミーティング
CDPサプライヤ・レポート
弊社のサステナビリティ戦略、目標、実績をお客様に伝えるコミュニケー
ション手段として、英語と中国語で要約パンフレットを作成しました。
詳細については、「2010 EMC Sustainability Brochure」を参照してくだ
さい。
2011年は、EMC製品の使用に関連する影響をお客様に理解いただくため
に、Power Calculatorに温室効果ガス排出量の計算を追加しました。
包括的なRFP質問とサプライヤ・
アンケート
Executive Briefing Center
EMC Worldへの関与
サプライヤ
サプライヤおよびSAQ監査
サプライヤ・デー
サプライヤ・スコアカード
定期的なビジネス・レビュー
提案要求(RFP)
2011年は、EMCのグローバル・ロジスティックスの二酸化炭素排出量を
より詳しく分析するために、最大級のロジスティックス・パートナーと
協力してプロジェクトを開始しました。温室効果ガスの発生原因と分析
に関する分野でパートナーが持つ専門技術を活用して、二酸化炭素総排
出量(ビジネス・ユニットの割り当て量、内訳を含む)に関する報告機
能の開発を目指します。
詳細については、「サプライ・チェーンの連携」および「輸送と物流」
をご覧ください。
価値の提供/ステークホルダ参画
79
ステークホルダ・グ
ループ
参画方法
提起された問題への対応例
株主
機関投資家やその他の株主への定
期的なアウトリーチ活動
2012年経営陣報酬プログラムの作成にあたり、EMC取締役会の
Leadership and Compensation Committeeは、経営陣の報酬に対する2011
年の株主投票の結果と、2011年株主総会後の株主との積極的な意見交換
で入手したコメント(報酬プログラムに関するフィードバックなど)を
特に重視しました。
年次株主総会
Bloombergサステナビリティ調査
Form 10-K、株主向けレター、決算
プレゼンテーションへのサステナ
ビリティ概要の記載
CDP報告書(水と二酸化炭素)
四半期ごとに発行するEMCの通信文書にサステナビリティ情報を記載し
ました。
Form 10-K年次報告書にサステナビリティについてより詳細に記述しま
した。
事業者団体への加盟料と、政治関連の支出に使用される会費の割合に関
する情報開示範囲を拡大しました。
NGO
業界とEMCに影響を与える具体的
な問題の解決策を見出すためのプ
ロジェクトとイニシアティブ
Stakeholder Forum(年1回)
重要性調査
業界グループ
企業メンバーシップ
理事会への参加
委員会への参加
公共政策の擁護
Ceresと協力して、EMCのサステナビリティの戦略、優先順位、課題に
対する発言の機会をステークホルダに提供するStakeholder Forumを主催
しました。また、EMCのサステナビリティ・レポートの概要確認と、そ
の内容に関する助言をCeresに依頼しました。
2011年は、ブラジルでのCDP開発を支援するための助成金を提供しまし
た。この1年間、CDPはInvestor CDPプログラムを通じ、投資家および企
業と協力して気候変動の問題に取り組みました。2011年はブラジルの署
名者数が再び増加し、過去最高の59に到達しました。
EMCは、Conflict-Free Smelterプログラムや鉱物追跡スキームなど、責任
ある鉱物調達プログラムの開発を目的とする、EICC-GeSI Extractivesワー
クグループのメンバーです。
The Green Gridと提携し、業界全体のエネルギー効率メトリック基準を
確立しました。
詳細については、「コラボレーションと連携」をご覧ください。
将来の従業員
大学との提携
インターンシップ
キャリア・デー
地域の学校とコミュニ
ティ
タウン・ミーティング
コミュニティ組織との
ボランティア
EMCは、ITカリキュラムの一部にストレージを取り入れるために、世界
中の単科/総合大学と協力しています。
詳細については、「教育機関との連携」をご覧ください。
2011年10月に、RSAの従業員が、米国のサイバー・セキュリティ意識向
上月間の啓蒙活動として、安全で責任あるインターネットの使用方法を
子供たちにボランティアで伝授しました。
詳細については、「コミュニティの強化」をご覧ください。
80 価値の提供/ステークホルダ参画
ガバナンスと整合性
EMCのガバナンスと整合性の維持には、お客様の理
解、明確な目的と優先順位の設定、博識な取締役会の
積極的な関与、新しいリーダーの育成、従業員を支え
る文化の確立など、多くのアクションが関わっていま
す。EMCは、強力なガバナンス・プラクティスを通じ
て、ステークホルダへの透過性と説明責任の確保を目
指します。
このセクションでは次のトピックを取り上げます。
企業ガバナンス
倫理
公共政策
情報のプライバシーとセキュリティ
価値の提供/ガバナンスと整合性
81
企業ガバナンス
ガバナンス・ガイドライン
EMCの企業ガバナンス・ガイドラインは、EMCにおける効果的なガバナンスのための
フレームワークを提供します。このガイドラインは、取締役会メンバー選定基準、
ディレクターとリード・ディレクターの責務、CEOの選定と評価、管理者サクセッ
ション・プランニング、取締役会のパフォーマンスの評価など、幅広い領域に対応し
ています。
ガバナンス構造
弊社では、企業ガバナンスが持つ力は、その背後にある取締役会と同等であると認識
しています。EMCには、幸運にも経験豊富かつ博識であり、全力で事業に取り組んで
いる取締役会があります。
現在EMCには、取締役会のメンバーが10名おり、そのうち8名が独立取締役(独立性
に関するEMCの分類基準およびニューヨーク証券取引所の上場基準の定義に基づく)
です。取締役会の各メンバーは、毎年選挙に立候補する必要があります。EMCの取締
役会選挙では、多数決制を採用しています。
取締役会は、5つの常任委員会を設置しています。
• Audit Committee(監査委員会)
• Corporate Governance and Nominating Committee (「Governance Committee」、企
業ガバナンスおよび指名委員会)
• Finance Committee(財務委員会)
• Leadership and Compensation Committee(リーダーシップおよび報酬委員会)
• Mergers and Acquisitions Committee(買収合併委員会)
Audit、Governance、Leadership and Compensationの各委員会は、独立取締役のみで構
成されています。
取締役会のリーダーシップ
EMCの内規および企業ガバナンス・ガイドラインでは、会長とCEOを同一の個人が兼
務することも、異なる個人が務めることも認められています。取締役会は、現時点
ではJoe Tucciが会長兼CEOを、独立取締役のDavid N. Strohmがリード・ディレクター
を務めることがEMCとEMCの株主にとって最善であると確信しています。また、リー
ド・ディレクターはEMCの取締役会構造に欠かせない構成要員であり、ガバナンスお
よび監督機能の提供という取締役会の責務の効率的なパフォーマンスを促進すると考
えています。独立取締役の積極的な関与と、重要な責任を負う有能なリード・ディレ
クターを通じて、EMCの経営陣と業務に対する強力で独立性の高い監督を実現してい
ます。
サステナビリティの監督
EMCのサステナビリティ・プログラムを監督する組織は、Governance Committeeで
す。Governance Committeeは、年間を通して定期的に最高サステナビリティ責任者と
会合を持ちます。詳細については、「環境戦略」をご覧ください。
取締役会との接触
CONTACT THE BOARD(英語)
82 価値の提供/ガバナンスと整合性
オープンなコミュニケーションを実現するために、EMCでは、株主やその他の当
事者に管理職以外のディレクター、Audit Committee、Leadership and Compensation
Committeeと接触できるさまざまな手段を提供しています。取締役会は受け付けたす
べての問い合わせに対して、適時に明確で率直な回答を提供するよう努めています。
株主との間に情報に基づいた建設的な関係を構築し、透過性と説明責任を促進する
ために、ディレクターは適宜株主との対話にも対応します。2011年は、取締役会メン
バーとEMCの管理者がさまざまなトピックについてステークホルダと会合を持ち、参
画を推進しました。詳細については、「ステークホルダ参画」をご覧ください。
倫理
倫理的な行動は、従業員やお客様、パートナー、株
主、コミュニティ、その他のステークホルダとの間に
信頼関係を築くための基盤です。EMCの企業コンプラ
イアンス・プログラムは、従業員にEMCの倫理基準を
教育することと、これらの基準に対するコンプライア
ンスを監視することを目的としています。取締役会の
Audit Committeeは、企業コンプライアンス・プログラ
ムの監視を行っています。
関連情報
ビジネス活動に関するガイドライン
ビジネス活動に関するガイドライン
EMCの企業コンプライアンス・プログラムの要は、「Business Conduct Guidelines」
(ビジネス活動に関するガイドライン)です。このガイドラインは、少なくとも年1
回見直しが行われます。EMCでは、世界の従業員のために、中国語、フランス語、ド
イツ語、ヘブライ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポーランド語、ポルトガル語、
ロシア語、スペイン語への翻訳版を提供しています。ビジネス活動に関するガイドラ
インは、EMCの企業Webサイトに掲載されています。翻訳版は、EMCのイントラネッ
トに公開されています。
サプライヤ行動規範
人権およびグローバル労働に
関する原則
ビジネス活動に関するガイドラインは、賄賂防止、インサイダー取引、平等雇用、ハ
ラスメント防止、プライバシーと情報のセキュリティ、機密性、独占禁止と競争、環
境サステナビリティ、取引コンプライアンス、財務報告書などの重要なトピックに関
するガイダンスと、対応するEMCのポリシーへのリンクを提供します。
人権
EMCは、グローバル・サプライ・チェーンの効率化と社会的責任の強化を目指す世界
の主要な情報通信テクノロジー企業のコラボレーションであるEICC(電子業界CSRア
ライアンス)のメンバーです。
EMCでは、EICCのサプライヤ行動規範(EICC行動規範)を採用してEMCとEMCサプラ
イヤにその履行を義務づけるとともに、人身売買防止条項などを含む補足要件を追加
しました。私たちはすべての一次サプライヤと二次サプライヤに対し、EICC行動規範
の受け入れを求めており、サプライヤへのアワードの授与や契約更新の際に、EICC行
動規範に照らして各サプライヤの行動を検討します。詳細については、「サプライ・
チェーンの連携」をご覧ください。
EMCはEICC行動規範に同調して、従業員の人権保護への責務を反映した原則を採用し
ています。これらの原則では、雇用の自主性、児童労働の禁止、労働時間、賃金と給
付、人道的な処遇、不当差別禁止、結社の自由などを規定しています。
EMCのHuman Rights and Global Labor Principles(人権およびグローバル労働に関す
る原則)は、国際的な労働組織基準である国連グローバル・コンパクトや同様の原
則に基づいています。このような原則を通じて、EMCの従業員と、EMCのサプライ・
チェーンとグローバル・コミュニティ全体の労働者の人権を守る取り組みを強化して
います。私たちは2011年5月にこれらの原則を更新し、弊社のWebサイトで公開して
います。
EMCでは、弊社のポリシー、プラクティス、業績期待を、従業員、サプライヤ、お客
様に明確かつ正確に伝達するプロセスを導入しています。従業員にはフィードバック
を奨励しており、監査と評価の結果を定期的に見直しています。
価値の提供/ガバナンスと整合性
83
倫理トレーニング
すべての新規採用者には、企業コンプライアンス・トレーニングの受講を義務づけて
います。このオンライン・トレーニングは、ビジネス活動に関するガイドラインと、
EMCの賄賂防止、インサイダー取引、機会均等、ハラスメント防止、プライバシーと
情報のセキュリティ、機密性、独占禁止と競争に関するポリシーなど、多数のトピッ
クに対応しています。
また、既存の従業員にも、特定の組織や地理的地域向けにカスタマイズされたオンラ
インとライブのコンプライアンス・トレーニングを提供しています。例を挙げると、
2011年は、輸出に関連するコンプライアンスとサプライ・チェーンの整合性、情報セ
キュリティと個人情報の保護、差別とセクシャル・ハラスメント、米国公正労働基準
法、英国贈収賄防止法、米国海外腐敗行為防止法、多数の健康/安全関連トピックのオ
ンラインやライブのトレーニング・セッションをさまざまな従業員グループに提供し
ました。Global Supply Chain Managementのすべての従業員と、他組織の一部の従業員
は、EICC行動規範の継続的なトレーニングを受講することを義務づけられています。
調査
EMCは、不正行為や非倫理的な行動に関するすべての報告を真摯に受け止めるととも
に、従業員やその他の関係者が懸念を提起できる複数の手段を確立しています。そ
の一環に、安全なWebサイトとホットラインがあります。法律、規制、ビジネス活動
に関するガイドライン、その他のEMCポリシーに違反する可能性についての質問、懸
念、報告は、以下のいずれかの方法で行うことができます。
• 電話(508-435-1000内線77267)、ファックス(508-497-8079)、メール
([email protected])でOffice of the General Counselに連絡する
• メール([email protected])または郵便(Alertline, PMB 3767,
13950 Ballantyne Corporate Place, Charlotte, NC 28277)でEMC取締役会のAudit
Committeeに連絡する
• 電話(877-764-0557)またはhttps://[email protected]を介した安全な
WebレポートによりEMCのホットラインに連絡する
84 価値の提供/ガバナンスと整合性
公共政策
EMCは、政治プロセスに参加することにより、公共政
策の策定を支援し、EMCやEMCが属する産業に影響を
与える法制度の整備に取り組んでいます。このプロセ
スへの関与を通じて、政府のあらゆる階層にお客様、
株主、従業員、その他のステークホルダの利益を代弁
することを目指しています。EMCが焦点を当てている
重要課題の一部を以下に示します。
• クラウド・コンピューティングに関する連邦政府のポリシーへの情報提供。クラ
ウド・コンピューティングとデータセンター統合に対する連邦政府の投資は、生
産性の向上とコストの削減を達成するための重要なステップです。私たちは、事
業者団体や業界のパートナーと協力して、クラウド・コンピューティングの導入
やサービス・モデル、情報セキュリティとプライバシーの問題に対する理解の促
進など、さまざまなトピックに関する情報を政策作成者に提供しています。2011
年は、TechAmerica Foundation主催のCommission on the Leadership Opportunity in
U.S. Deployment of the Cloudをはじめ、クラウド・コンピューティングに関する
フォーラムに参加しました。EMCは、連邦機関のデータセンターの統合に関する
専門知識の伝授のために、その他のさまざまなセッションにも招かれました。
• 重要な公的機関の任務遂行に向けたビッグデータの活用。ビッグデータ時代の到
来により、ストレージ環境の拡大と管理や、高度なデータ分析機能の開発と活用
の新しい手段を模索する企業の動きが加速しています。私たちは、コスト・パ
フォーマンスに優れた拡張性の高いソリューションを通じて大規模ストレージの
要件に対応することにより、ビッグデータを活用して情報/防衛プログラムと高度
な医療サイエンスを強化する政策を支援しています。
• 効果的なサステナビリティ/エネルギー効率化アプローチの促進。議会での証言や
その他のアウトリーチ活動を通じて、EMCのサステナビリティ戦略と公的機関の
グリーンITポリシーを連邦政府のステークホルダに頻繁に伝えています。たとえ
ばEMCは、消費者には自分の電気使用量情報にアクセスする権利があると考えて
います。そうなれば消費者の理解が深まり、エネルギー使用についてより良い決
定が下せるようになるからです。EMCは、こうしたアプローチを強化する超党派
の「Electronic Consumers Right To Know」(「E-Know」)法案(電力消費者の使用
量を知る権利を確立する法案)を支持しています。
• 高度なサイバー脅威に対処する政策の推進。知的財産などの機密データの盗用を
はじめ、悪質な攻撃が増加し、企業は日々サイバー攻撃の脅威にさらされていま
す。したがってサイバー・セキュリティは、国家と経済のセキュリティに関する
最重要課題になっています。米国議会は、連邦サイバー・セキュリティ法案の制
定に向けて積極的に取り組んでいます。EMCとEMCのセキュリティ部門であるRSA
は、政策提言の作成に加わっています。
• 効果的な理数系教育政策の強化。テクノロジー企業であるEMCにとって、最大の
関心事であると同時に多くの専門技術を有している分野は、STEM(科学、技術、
工学、数学)教育の強化を通じた、多様かつ革新的で高度な訓練を受けた将来の
労働者の育成です。私たちは、世界経済フォーラムのGEI(グローバル・エデュ
ケーション・イニシアティブ)への参加を通じて、世界中の幅広い教育システム
の強化にも取り組んでいます。GEIは、適切で持続可能な拡張性ある教育計画をサ
ポートするために、官民のパートナーシップを促進しています。
価値の提供/ガバナンスと整合性
85
EMCの会長兼CEOのJoe Tucciは、10年以上にわたって米国の経済改革のリーダー的
役割を担っています。Joeは、企業、教育機関、コミュニティのリーダーのコラ
ボレーションであるMassachusetts Readinessプロジェクトの共同議長も務めてい
ます。このグループは、州知事の要請を受けて、マサチューセッツ州のK-12(義
務教育)とそれ以降の教育を含む長期戦略計画を立案しました。Joeは、Business
Roundtable Education Task Forceの議長も4年以上にわたって務めました。私たちは、
チャーター・スクールの拡大も提唱しています。またEMCは、2010年にマサチュー
セッツ州Deval Patrick知事が設立したSTEM Advisor Councilのメンバーでもあります。
STEM教育プログラムの詳細は、「教育パートナーシップ」をご覧ください。
関連情報
政治献金
政治献金についての方針
EMCは、適用される連邦法、州法、地域法、および報告要件に従い、責任を持って政治
的プロセスに参加することを責務としています。私たちは、企業基金からの献金の拠
出手順を定めたPolitical Contributions Policy(政治献金ポリシー)を固守しています。
2011年12月企業
政治献金
開示報告書
企業政治献金ポリシーに関する情報は、年2回のペースで公開しています。2011年の
EMC企業政治献金のリストは、こちらをご覧ください。
多くの企業と同様に、EMCはPolitical Action Committee(以下「EMC PAC」)を設立し
ています。EMCは、連邦選挙委員会に登録されている無党派委員会です。EMC PACの
目的は、企業市民活動の促進と、EMCの株主と従業員の関心事である企業利益の推進
です。EMC PACは、資格のある従業員に、連邦政府レベルの選挙に参加して建設的で
知識豊富な適任候補者の選出を促進する機会と、任意の政党委員会や政治委員会の活
動を支持またはこれに反対する機会を提供します。EMC PACは、従業員の自発的な寄
付によって資金を確保しており、EMC PACの運営に企業の資金は一切使用されていま
せん。
事業者団体への加盟
EMCは、教育、ロビー活動、広告、知識共有など活動に従事するさまざまな事業者団
体と組織に参加しています。私たちは、加盟している主要な米国の事業者団体、年間
の加盟料、これらの団体から提供された会費から拠出されたロビー活動費と政治支出
に関する情報を公開しています。EMCが加盟する事業者団体と支払った加盟料に関す
る詳細は、毎年更新されています。詳しくはこちらをご覧ください。
86 価値の提供/ガバナンスと整合性
情報のプライバシーとセキュリティ
EMCは、個人情報と機密情報を保護し、お客様とス
テークホルダの信頼を維持しながら、社内で技術革新
とコラボレーションを同時に実現することを目標とし
ています。情報のプライバシーとセキュリティの監督
は、私たちに託された機密情報を保護するうえで極め
て重要な要素です。
私たちはリスクを低減し、個人情報と機密情報を保護するソリューションを導入して
います。経営幹部も含まれるEMCのGovernance Risk and Compliance Councilは、四半期
ごとに会合を持ち、社内の情報セキュリティ戦略の見直しや実行内容の決定を行いま
す。実際の戦略はEMCのGSO(Global Security Organization)によって遂行されます。
個人情報の保護
私たちは、従業員と請負業者に機密情報と個人情報のプライバシーとセキュリティの
保護を義務づける社内ポリシーを確立し、トレーニングを実施しています。プライバ
シーの面では、人事や雇用などビジネスの正当な目的で使用される場合や、適用法で
許可または要求される場合を除き、個人情報を使用または開示してはなりません。
データ・セキュリティの面では、EMCは合理的な管理、技術的、物理的手段を使用し
て機密情報と個人情報を保護しています。
EMCは、EU(欧州連合)とスイスからの個人情報の収集、使用、保持について米国
商務省が定める米国とEU間および米国とスイス間のセーフ・ハーバー原則を遵守し
ます。さらにEMCは、TRUSTeのプライバシー・シールを取得しています。これは、
TRUSTeがEMC.comのプライバシー保護方針および慣行を確認し、個人情報の収集と
使用に関する透過性、説明責任、選択などのTRUSTeのプログラム要件をEMCが遵守
しているものと認めたことを示しています。
サイバー・セキュリティ・リスクへの対応
大企業ならどこでも同じように、EMCはIT(情報技術)インフラストラクチャに対す
る攻撃を毎日数多く受け、これらを撃退しています。
2011年3月、RSAに非常に高度な攻撃が仕掛けられ、RSAのシステムから一部の情報が
抜き出される事態が発生しました。私たちは発生中に攻撃を特定できたため、即座に
お客様にこの事態を通知し、ITシステムのセキュリティを強化するためのリソースと
ツールを提供しました。
私たちがデジタル世界での信頼性向上を徹底的に追い求める姿勢に変わりはありませ
ん。RSAのセキュリティ侵害のずっと以前から、そして侵害以降も変わらずに、私た
ちはお客様とパートナーからの信頼の維持に献身的に取り組んでいます。EMCは、製
品とサービスの向上と社内セキュリティの増強への積極的な取り組みを通じて、この
ような最先端のサイバー攻撃の脅威からEMCのビジネスとお客様を保護する対策を強
化しています。
昨年は、大きな注目を集めた標的攻撃がかつてないほど多く発生しました。このこと
で、問題は侵害を受ける可能性があるかどうかではなく、発生した侵害にどれだけ迅
速に対処できるかであるということが再認識されました。この切迫感が、製品ロード
マップ全体にその教訓を組み込むというEMCの戦略につながっています。
価値の提供/ガバナンスと整合性
87
クラウドの信頼性
クラウド・コンピューティングと仮想化は、デジタル情報を管理、使用するための強
力なツールになります。このようなツールは、マルチ・テナンシー、リソース共有、
迅速なリソース融通性などの原則を通じて、リソースの節約と効率化を実現する革新
的なアプローチを促進します。
関連情報
TRUST IN THE CLOUDに関するEMCの
ビジョン
EMC.COMのTRUST IN THE CLOUDリ
ソースWEBサイト
しかしこのようなアプローチは、組織に新たな複雑さをもたらします。たとえば、信
頼性の高いインフラストラクチャを通じて適切な情報を適切な人に提供するという根
本的な課題に対応しなければなりません。クラウド・コンピューティングと仮想化
は、制御性と可視性に後戻りできない変化をもたらしました。インフラストラクチャ
は物理的ではなく仮想的になり、ユーザーはIT部門の直接制御下にないデバイスから
インフラストラクチャにアクセスできるようになりました。
情報は信じがたいほどのスピードでネットワークとクラウドの間を移動するため、機
密情報の保管先の把握が困難になることがあります。クラウドを介して共有されてい
るITインフラストラクチャを使用する組織は、潜在的なリスク、脅威、コンプライア
ンス・パフォーマンスを特定し、監視する新しい手段を学ばなければなりません。
クラウドで信頼を構築するには、クラウドのインフラストラクチャ、ID、情報の制御
性と可視性を確保する必要があります。このレベルの制御と可視化を実現するために
必要なテクノロジーは、社内(プライベート)クラウドと、外部プロバイダが提供す
るクラウド・サービス内ですでに使用されています。
EMCは、情報制御、インフラストラクチャ、IDなど、クラウドの信頼性に関連する最
大の課題に対応する製品とサービスを提供しています。EMCのアプローチの詳細につ
いては、「Trust in the Cloudに関するEMCのビジョン」を参照してください。
IT PROVENプログラム
EMCのGSOは、IT Provenプログラムを通じて全社のIT環境にセキュリティ・ソリュー
ションを導入しています。私たちは、お客様と同じ問題に対応するためにEMC製品を
テストしていますので、そのパフォーマンスについて現実的なフィードバックを提供
することができます。
GSOは、EMC向けに新しいセキュリティ・ソリューションの試作品も開発していま
す。たとえばGSOは、データセンター管理用のセキュリティ管理ポータルを構築する
ために、VMware®、Cisco、RSAのテクノロジーを使用してセキュア管理インフラスト
ラクチャを開発しました。
重大インシデント対応センター
EMCのCIRC(重大インシデント対応センター)は、すべての情報セキュリティ・イン
シデント管理ケースを統合し、マサチューセッツ州BedfordとインドBangaloreのEMC
Critical Incident Responseチームに提供します。この一元管理を通じて、より能率的で
効率的なケースの解決を目指しています。
カスタマー・セキュリティ・マネージメント・オフィス
CSMO(カスタマー・セキュリティ・マネージメント・オフィス)は、EMCのセール
ス・チームとビジネス・ユニットがお客様のセキュリティ関連の問い合わせに効率的
に対応できるように支援する社内リソースとして機能しています。CSMOは、お客様
の期待を上回るように運用を強化することを目的に、お客様の弁護人として社内部門
と直接連携しています。
ISO 27001認証
EMCのセキュリティ・プログラムは、セキュリティ管理システム基準であるISO
27001に基づいています。EMCの一部のビジネス・ユニットは、業務上のニーズに応
じてISO 27001認証取得を目指しています。RSAのID保護および検証製品を提供するす
べてのRSAデータセンターを含め、4か国の9つのビジネス・ユニットがISO 27001認
証を取得しています。
88 価値の提供/ガバナンスと整合性
従業員のトレーニングと資格認定
EMCの従業員と請負業者は、機密情報と個人情報の保護に関連する定期的なセキュリ
ティ・トレーニングを受けることを義務づけられています。セールス部隊やフィール
ド・エンジニアなどお客様のサイトで働く従業員は、追加の年次トレーニングを受講
する必要があります。さらにEMCの資格認定プログラムは、世界的な慣行として従業
員の身元調査を実施しています。この身元調査も、社内の脅威によって企業情報やお
客様情報がリスクにさらされる可能性を低減するための取り組みの1つです。
変化する世界のセキュリティ
EMCとEMCの各部門にとって継続的な課題の1つは、新しい迅速に変化するテクノロ
ジーへのセキュリティ・プロセスの導入です。会社が進化するにつれてEMCは超拡張
型の大企業になり、かつてないほど広範囲のより多くの人々と、より多くのテクノロ
ジー・ツールを使用して情報を共有しています。
EMCで採用している厳格な情報セキュリティ戦略とプラクティスは、この課題への準
備に役立っています。私たちは、すべての問題のソリューションを備えていないこと
も認識しており、進化するセキュリティ・テクノロジーの状況に他社との共同作業を
通じて対応しています。たとえば、RSAはクラウド・コンピューティング内のセキュ
リティのベスト・プラクティスを促進する非営利団体であるCloud Security Allianceの
メンバーとして積極的に活動しています。
サプライ・チェーンのセキュリティ
EMCのセキュリティ戦略のもう1つの要素は、EMC製品を安全に設計し、導入および
提供して、使用可能にすることです。弊社のProduct Securityオフィスは、資格認定、
安全な製品設計、製品開発ライフサイクル、知的財産の保護、EMCのサポートとサー
ビス提供機能を含むサプライ・チェーン全体のリスクを管理しています。詳細につい
ては、「サプライ・チェーンのビジネス継続性」をご覧ください。
価値の提供/ガバナンスと整合性
89
ITがもたらすメリット
今日の世界が直面している環境面や社会面の変化は、
これまでに経験したことがないほど広い範囲に及ん
でいます。IT(情報技術)は、新しい知識ソースの構
築、かつて予測できなかった方法でのコラボレーショ
ンの促進、テクノロジー効率化の実現を通じて、こう
した課題の克服に役立てることができます。
このビデオを視聴
再生可能エネルギーの変革に取り組むお
客様を支援するため、EMCがビッグデー
タをどのように活用しているかをご覧く
ださい。
EMCでは、フィールドと業界全体に変革をもたらすクラウド・コンピューティングお
よびビッグデータ・テクノロジーの開発を進めています。たとえば、EMCは安全で信
頼性の高い電子医療記録を利用して患者情報へのアクセスを強化することで、医療シ
ステムの効率化に貢献しています。また、高度なテクノロジーの提供を通じて、お客
様の使用リソースの削減や気候変動による影響への対応を支援しています。
EMCは、ITのパワーを活用することで、将来のビジネスを作り上げ、パラダイム・シ
フトを実現し、世界を良い方向に転換できると考えています。
クラウドへの移行
クラウド・コンピューティングは、情報の構築、保管、消費方法に変革をもたらし
ています。現在データセンターは、動的な仮想インフラストラクチャへの移行を進
めています。このインフラストラクチャでは、信頼性とセキュリティを維持しなが
ら、これまでより俊敏でコスト・パフォーマンスに優れた方法でITを提供すること
ができます。
従来のデータセンターでは、現在実際に必要な量ではなく、必要になる可能性がある
最大量のストレージがアプリケーションにプロビジョニングされます。クラウドは俊
敏性が高いため、こうした「オーバー・プロビジョニング」の必要性を低減できま
す。クラウド・コンピューティングは、ハードウェア・リソースの統合とエネルギー
消費量の低減を通じて、IT資産の使用の効率化を実現します。クラウドは、従来より
も回復力の強いIT提供プラットフォームも構築するので、物理的、気候的、社会的な
混乱が生じた場合でも、ビジネスの継続性を確保することができます。
クラウド・インフラストラクチャは進化を続けていますが、将来的には一世代前の
パーソナル・コンピュータの導入時と同じような影響をもたらしうる根本的な変化と
言えます。
90 価値の提供/ITがもたらすメリット
ビッグデータ
デジタル化された情報の急増によってビッグデータ革命が起こり、膨大な量の情報の
分析やビジネスと社会の変化を促進する詳細な情報分析が可能となるチャンスが明ら
かになりました。
BROAD INSTITUTE:
2011年LIFE SCIENCES DATA
HERO AWARDを受賞
ヒト・ゲノム・プロジェクトは、人間
のDNAを構成する20,000以上の遺伝子と
30億の塩基対の配列の解析に成功し、
2003年の完了時に非常に素晴らしい功
績として注目を集めました。しかし、そ
れは始まりに過ぎませんでした。このプ
ロジェクトにより、遺伝子がヒト・ゲノ
ムのわずか一部でしかないこと、そして
特定が必要な基本要素がさらに多く存在
することが明らかになったのです。
マサチューセッツ工科大学(MIT)と
ハーバード大学の科学者で構成される
ゲノム医療研究センターであるBroad
Instituteは、こうした要素を特定し、そ
の動作を確認することを最重要課題に掲
げています。Broad Instituteは、細胞回
路の情報処理方法を理解するために努力
を重ねています。この研究を通じて、ゲ
ノムの知識が深まり、治療への応用に向
けたBroad Instituteの取り組みが知られ
るようになりました。
ゲノムの生態と細胞回路の研究は、今
日最も重要なビッグデータの課題のひ
とつです。Broad Instituteのデータ量は
この1年で8ペタバイトまで増加し、ス
ループット(特定の期間内に分析される
データ量)は5か月ごとに倍増していま
す。かつてないほど増大している大規模
なデータに対応するために、研究者は
Isilon®クラスタ化ストレージを活用す
るとともに、30を超えるデータ分析用
のカスタム・ツールを開発しました。
ビッグデータは、まったく異なるソースに保管されている情報を統合し、ビジネス面
や社会面で非常に差し迫った課題に対処する革新的なソリューションを構築します。
EMCのビッグデータ・ソリューションにより、すべてのデータ・ソースの価値を認識
し、効率化、俊敏性、ビジネスの飛躍的進歩を実現することができます。今日の企業
は、新薬の発見、疾患の隔離と防止、ビジネス・トレンドの特定、災害対応の改善、
世界中の子供たちの団結、仕事や遊びの方法の変革など、さまざまな目的でビッグ
データを活用しています。
ビッグデータの登場によって、データ・サイエンティストという新しい役割が誕生し
ました。データ・サイエンティストは、データを分析、解析して有意義な詳細情報を
導き出し、これまでと異なる方法でビジネスと社会を変革するためにその潜在力を活
用することを目指しています。EMCは、この新しいタイプのサイエンティストにコラ
ボレーションと知識共有の機会を提供するData Science SummitとData Hero Awardを主
催し、ビッグデータ時代におけるこの重要な役割を称えました。
Data Science Summit
2011年、EMCは世界初のData Science Summitを主催しました。このサミットには業界
と教育機関のリーダーが参加し、アイデアの交換、新しい見解の検討を行ったほか、
世界中のデータから最大の価値を抽出する方法として現在通説になっている理論への
批判を展開しました。サミットの参加者は、現在と将来のデータ・サイエンティスト
の成功のために必要なツール、教育、リソースを業界がどのようにして提供できる
かについても議論しました。初めて開催したこのイベントの成功を受け、EMCはData
Science Summitを毎年主催していく予定です。
Data Hero Award
EMCのData Hero Awardは、ビッグデータのテクノロジーと手法の革新的な利用方法を
見出している個人や組織を称えるアワードです。実は、表舞台に出ることが少ないこ
うしたデータ・ヒーローが、個人、組織、業界全体、社会の機能方法に大きな影響を
もたらす先駆的なソリューションの最前線にいるのです。Data Hero Awardは、競争
優位性の実現のためにビッグデータを活用したビジネス・リーダーとITリーダーに授
与されます。
Broad Instituteの取り組みは、生命の構
成要素を理解し、ガンやウイルス、その
他の深刻な病気の治療を躍進させるため
にその成果を応用する、人類史上またと
ない機会をもたらしています。
価値の提供/ITがもたらすメリット
91
経済的成果
私たちは、持続可能なビジネスとは、環境、社会、経
済、ガバナンスの各面におけるプラクティスを総合的
に捉えて実践し、すべての株主とステークホルダに
価値をもたらすものであると考えています。機会を
見出し、競争、規制、破壊的なテクノロジー、社会的
発展、環境の変化などのリスクに効果的に対応できる
EMCの能力は、弊社の経済的成果において重要な役割
を果たしています。このセクションでは、EMCの財務
パフォーマンスと間接的な経済的機会について詳しく
取り上げます。
財務パフォーマンス
EMCのForm 10-K年次報告書には、弊社の事業および財務状況の概要がまとめられてい
ます。
2011年、EMCは創設以来最高のパフォーマンスを達成しました。市場で最も際立つ製
品とサービスのポートフォリオを持ち、パートナーとの戦略的な提携を確保している
私たちは、クラウド・コンピューティングへの移行、最終的にはサービスとしてのIT
への移行を先導する地位にあると確信しています。
2011年、EMCは前年比18%増の連結収益200億ドルを達成しました。GAAP純利益は前
年比で30%増加し、25億ドルでした。GAAP希薄化後1株あたり利益(EPS)は、前年
比で25%増加して1.10ドルでした。年間の営業キャッシュ・フローは、前年比で25%
増となる57億ドルでした。
2011年は終了しましたが、私たちは今後数年間も収益と営業利益の2桁成長を目指し
て取り組んでいきます。また、長期的な競争優位性の強化を継続するために努力を続
けていきます。EMCの目標は、2014年までに280億ドルの収益を達成することです。
それには、2010年からの年平均成長率13%の達成と、さらに高いEPS成長率を達成す
る必要があります。
詳細については、「会社概要」をご覧ください。
92 価値の提供/経済的成果
間接的な経済的オポチュニティ
EMCは、ビジネス機能の最適化、研究の促進、公共インフラストラクチャの拡張を
実現する情報ソリューションを提供しています。私たちの目的は、クラウド・コン
ピューティングを通じて、最も重要な資産である情報を、俊敏性、信頼性、コスト・
パフォーマンスに優れた方法で保管、管理、保護、分析する基盤をIT(情報技術)部
門に提供することにあります。このクラウド・コンピューティングへの移行によっ
て、データとアプリケーションの一元化と統合が進むため、より大きなスケール・メ
リットを提供できるようになります。
EMCの製品とサービスを利用することで、企業はストレージ・データの価値を活用で
きるようになります。その結果、EMCやEMCのお客様の範囲を超えて拡大する経済的
メリットが生まれます。企業は膨大な量のデータの中に潜んでいる情報を把握しよう
としていますが、そこで得られる成果は、今日の課題の多くを解決する可能性を秘め
ています。
私たちのコミュニティにおける間接的なオポチュニティ
EMCはグローバル・コミュニティへの価値の提供に取り組んでおり、その一環に情報
遺産プロジェクトがあります。情報遺産プロジェクトは、世界中の文化財をデジタル
化して保存する組織を支援しており、地球上のすべての人と仮想的につながる機会を
提供します。詳細については、「コミュニティの強化」をご覧ください。
公共政策を通じた間接的なオポチュニティ
私たちは、公共政策への関与を通じても間接的な経済的オポチュニティを提供してい
ます。EMCは、教育、競争力、サイバー・セキュリティ、エネルギーなどの重要領域
における公共政策へのアクションを奨励する組織と積極的に連携しています。詳細に
ついては「公共政策」をご覧ください。
価値の提供/経済的成果
93
94
コミュニティの強化
EMCは、世界中のコミュニティを強化、変革する過程
で、私たちに果たすべき重要な役割があると考えていま
す。弊社の従業員は、私たちが暮らし働くコミュニティ
を向上するために、ボランティアとして時間と才能を提
供しています。EMCは、グローバルな教育イニシアティ
ブのサポートのために時間と資金も投じると同時に、文
化資産をデジタル形式で保護し、将来の世代に受け継い
でいくために弊社のテクノロジーを活用しています。
このセクションでは次のトピックを取り上げます。
教育パートナーシップ
コミュニティへの参加
教育機関との連携
情報遺産保護
財政的支援に関するガイドライン
コミュニティの強化
95
コミュニティの強化ダッシュボード
EMCと教育および
GLOBAL
コミュニティ・パートナーシップを持つ国
情報ストレージと管理についてのセミナーに
参加した学生数
NUMBER
OF STUDENTS EDUCATED ON
全世界
全世界
(累計)
GLOBAL, CUMULATIVE
COUNTRIES WITH EMC EDUCATION AND COMMUNITY PARTNERSHIPS
INFORMATION STORAGE AND MANAGEMENT
80,000
アジア太平洋、
日本
オーストラリア
南北アメリカ
韓国
カンボジア
中国
マレーシア
ニュージーラ
日本
シンガポール
インド
インドネシア
アルゼンチン
ブラジル
チリ
ンド
フィリピン
コロンビア
ハイチ
タイ
米国
ヨーロッパ、中東、
アフリカ
オーストリア
エジプト
ガーナ
アイルランド
イスラエル
メキシコ
イタリア
ケニア
ロシア
南アフリカ
トルコ
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
30,000
20,000
19,000
10,000
EMCのACADEMIC ALLIANCEパートナーシップに
参加している学生数
NUMBER OF STUDENTS
10,000
0
2008
2009
2010
2011
PARTICIPATING IN EMC’S ACADEMIC ALLIANCE PARTNERSHIP
全世界
GLOBAL
COMMUNITY SERVICE AWARD
90,000
86,000
80,000
全世界(単位:米ドル)
2010年
70,000
60,000
60,000ドル
50,000
40,000
30,000
19
30,000
20,000
18,000
10,000
0
900
4,000
2006
2007
アワード
9,000
2008
2009
2010
2011
2011年
2011年の災害救助への寄付金
(マッチングを含む)
全世界(単位:米ドル)
780,000ドル
60,000ドル
41
アワード
96 コミュニティの強化/ダッシュボード
教育パートナーシップ
EMCは、教育を受けるチャンスを与えることは、世界
中の人々にも社会全体にも変革をもたらすほどの影響
力があると考えています。先進国においては、EMCは
学生、特に少数派グループの学生がSTEM(科学、技
術、工学、数学)の学習を追求できるように奨励する
プログラムをサポートしています。世界的には、コ
ミュニティがこのグローバル情報時代で成功を収める
ために必要な教育とITリソースにアクセスできるよう
に支援しています。
2011年、EMCは29か国で教育プログラムを支援しました。2012年はこれらのプログ
ラムとパートナーシップの範囲をさらに拡大したいと考えています。たとえば、Vex
RoboticsのEducation & Competition Foundationとのパートナーシップを海外の複数の
地域に拡大することを計画しています。
VEX Robotics Competitionは、中高生の工学および技術スキルを試すことができるユ
ニークでやりがいのある大会です。生徒は教師とメンターの指導の元、チームを組ん
で革新的なロボットを製作し、地区大会、決勝大会に臨みます。
2012年は、Vex RoboticsとアイルランドCorkのEMC COEが、将来的にEMCの他の拠点で
実施するプログラムのモデルとなるパイロット・プログラムを開始します。
以下に、EMCの教育パートナーシップによる2011年のさまざまな取り組みを紹介し
ます。
南北アメリカ
学生へのきめ細かい指導でコミュニティを変革
このビデオを視聴
かつてのCitizen Schoolsの生徒であり、
現在はボランティアを務めているEMC
の従業員MacCalvin RomainがCitizen
Schoolsについて語っています。
EMCでは、2009年からCitizen Schoolsと提携して低所得家庭の中学生向けの放課後プ
ログラムを支援しており、科学、技術、工学、数学分野への関心の向上を図っていま
す。現在は、寄付金と従業員のボランティア時間を通じて、マサチューセッツ州、
ノース・カロライナ州、カリフォルニア州のCitizen Schoolsプログラムをサポートし
ています。
EMCの従業員は、各学期に「民間教師」として実習を行い、さまざまな工学および科
学プロジェクトで生徒を指導しています。これまでに航空や電子工学の授業を行い、
ラジオとコンピュータを制作しました。一部の地域では、生徒をEMCの製造施設に招
待しました。
2011年は約140名の従業員がボランティアとして8つの実習を行い、カリフォルニア
州、マサチューセッツ州、ノース・カロライナ州の530名以上の生徒と触れ合いまし
た。
コミュニティの強化/教育パートナーシップ
97
識字率向上とインクルーシブ教育の促進
「初めは 子供たちはとても
内気で目を合わせようとしま
せんでしたが、1時間もする
と小さなステージを作ってダ
ンス・ショーを始めました。
子供たちはEMCが配布した新
しい本をとても気に入り、
EMCがどのような会社なのか
興味津々のようでした。私
は、このコミュニティ活動に
参加できたことを光栄に思う
とともに、EMCの一員である
ことを誇りに感じています」
CLARA LEE
EMCビジネス・オペレーション・アナリ
スト韓国、ソウル
「 EMCのプログラム を
通じて、生徒は、通常なら
装置や専門技術の欠如のた
めに学習できないような実
験を体験することができま
す。EMCは、この装置や知
識を寄付や従業員のボラン
ティアによって提供してい
ます。EMCのような企業との
関わりは、生徒や学校の意
欲向上にも役立ちます。生
ブラジルでは、世界中の識字率向上に取り組む組織Alfasolを支援しています。EMC
は、2008年から寄付金と従業員のボランティア時間を通じて、Rio de Janeiroで十分な
サービスを受けていない地域の500名以上の成人にプログラムを提供しています。
また、障害を持つブラジルの子供たちへの平等教育提供に取り組んでいる組織、
Diversaも支援しています。 2011年から、EMCの寄付金は、生徒、その両親、教師へ
の教育プログラムとリソースの提供に役立っています。
アジア太平洋、日本
実践的なトレーニング体験の提供
EMC中国のCOE(Center of Excellence)は、 Junior AchievementのMESE(Management
and Economic Simulation Exercise)プログラムのスポンサーを務めています。このコ
ンピュータ・シミュレーション大会では、学生が「会社」を作り、製品を製造して市
場に投入する過程を競い合います。
この大会では、学生がビジネスと経済の基本を学ぶことができます。学生は、製品の
価格を決定し、製造機器に投資し、製造数を見積もり、マーケティングおよび研究開
発費を計画します。
2011年は、EMCの16名の従業員がShanghaiの9つの大学でMESEプログラムの指導をボ
ランティアで行いました。大会の後、学生は地域のEMC施設に招待され、施設内を見
学しました。
夢の実現を支援
2009年、EMCはAssociation of Community Centers for Childrenとのパートナーシップの
元、韓国で「Dream Library」キャンペーンを開始しました。このキャンペーンを通じ
て、本、ラップトップ、その他の学習リソースをSeoulの恵まれない地域のコミュニ
ティ・センターに寄付しています。従業員も、センターでの教育活動にボランティア
として参加しています。
2011年は、40名を超えるRSAとEMCの従業員がSeoulのJARAM Community Child Center
で、このセンターを訪れる150名以上の子供たちにボランティアで800冊の新しい本
を届け、本棚を設置しました。子供たちは、ボランティアへのお礼としてダンスを披
露してくれました。
ヨーロッパ、中東、アフリカ
EMCの機器に第2の用途を提供
EMCエンジニアのMartin O Flahertyが2010年のInnovation Showcaseに提出したアイデア
が、2011年に実用化されました。EMCは、彼のアイデアに基づいてCIT(Cork Institute
of Technology)のScience for Lifeプログラムに参加し、試験ラボ装置をコミュニティ
内の学校に寄付しました。Flahertyのアイデアによって、EMCの試験装置の耐用年数
が延長されるとともに、EMCの従業員がボランティアで専門技術を提供する機会が生
まれ、EMCによるSTEMプログラムが強化されました。
り、将来達成したいことを
2011年、EMCアイルランドはCITと提携してCorkの2つの学校で革新的なパイロット・
プログラムを開発しました。私たちは、このプログラムが広がることを期待してお
り、アイルランドの他の学校にも参加を呼びかけています。
思い描きたい気持ちになる
地方のコミュニティにICTトレーニングを提供
からです」
ケニアでは、地方に住む大人と子供にICT(情報通信テクノロジー)トレーニングを
提供するZOO Foundationの支援を通じて、コンピュータ・リテラシーの向上に努めて
います。
徒が自分にできることを知
SHARON LAWTON博士
CIT SCIENCE FOR LIFEプログラム
アイルランド、CORK
98 コミュニティの強化/教育パートナーシップ
2011年は、EMCからZOO Foundationへの寄付金によって、4,200名以上の大人と子供が
コンピュータ・ラボを使用し、ICTトレーニングを受けることができました。
EMCのGIVES BACKプログラム
コミュニティへの参加
2011年、私たちはGlobal Marketingチー
ムの主導で、パートナーシップと従業員
のボランティアを通じてコミュニティを
改善するEMC Gives Backプログラムを開
始しました。
EMCの従業員は、コミュニティ参加委員会で積極的に
活動しています。これらの委員会は、EMCが拠点を置
くコミュニティで健康、人道サービス、アートなどの
プログラムや、災害救済の取り組みを支援していま
す。コミュニティ参加委員会は、カリフォルニア州、
マサチューセッツ州、ミネソタ州、ノース・カロライ
ナ州の弊社の拠点がある地域で正式に導入されていま
す。世界各地の従業員も、地域で組織されたイニシア
ティブを通じて、各コミュニティの活動に参加してい
ます。
このプログラムの最初の活動となった
EMC Fights Hungerは、14か国で実施さ
れました。450名を超える従業員が地域
のフード・バンクや保護施設でボラン
ティアを行い、18,000 kgを超える食事
を配り、20,000以上の人々を支援しまし
た。2011年のこのプログラムの次の活動
になったEMC Fights Cancerでは、あらゆ
る種類のがんに対する意識の向上、チー
ムビルディングの奨励、募金の促進を目
的とする一連のイベントに1,500名を超
える従業員が参加しました。この活動で
は、世界中のがん患者支援チャリティー
活動のために10万ドルの募金が集まりま
した。
Marketingチーム主導のコミュニティ・
サービスとして始まったこの活動は、あ
らゆる期待を上回る全社規模のプログラ
ムに成長しました。今後EMC Gives Back
プログラムは、毎年2つの目標に絞って
意識の向上と募金活動を展開していく予
定です。
コミュニティとのパートナーシップ
EMCの寄付とボランティアは、教育を受ける機会を提供する支援プログラムに焦点を
当てています。EMCは、私たちが暮らし働くコミュニティへの還元の責任も認識して
います。EMCが現物寄付または寄付金を通じて支援しているパートナー組織のリスト
は、後述の表をご覧ください。
私たちは、従業員に草の根ボランティア活動を組織することも奨励しています。
EMCの献身的なCommunity Involvementチームは、社内での活動の推進や、コミュニ
ティ・サービス・アワードを通じた従業員の表彰を行うなど、こうした取り組みをサ
ポートするための助言やリソースを提供しています。
世界の主要なEMCコミュニティ・パートナー
Aiutare i Bambini Onlus
Fundacion Leer
Lazos
Resala
AlfaSol
カトリック・スクールへの財政的
支援
Leonhard Euler International
Charitable Foundation for
Mathematics
Resource Area for Teaching
Australian Red Cross
Association for Sustainable
Development
Girls for a Change
Habitat For Humanity
Big Brothers Big Sisters
Hard Hats for Haiti
Boston Healthcare for the
Homeless Program
Hope Foundation
Boston Symphony Orchestra
California Academy of Sciences
Camp Harborview
Citizen Schools
Conaniquen
Diversa
Friends of NC State Museum
of Natural Sciences
Hope Worldwide
(フィリピン、
インド
ネシア、
シンガポール、
マレーシア)
Massachusetts State
Science Fair
Michael Carter Lisnow
Respite Center
Rising Star School
Robotics Education &
Competition Foundation
San Jose State MESA
Science Buddies
Museum of Science
Tabitha:カンボジア
New England Aquarium
Tech Museum of San Jose
Industry Initiatives for Science
and Math Education
New Zealand Red Cross
Inner-City Scholarship Fund
North Carolina Council of
Teachers of Mathematics
The Massachusetts Green High
Performance Computing Center
International Red Cross &
Red Crescent Societies:
日本、
タイ
Pan American Development
Foundation
Junior Achievement
(中国、
アイルランド)
Kinder-Krebshilfe
Elterninitiative
TOCEV(Foundation for
Educating Children)
United Way Australia
Phoenix House
United Way New Zealand
Pisgah Astronomical
Research Institute
Wardrobe for Opportunity
ZOO Memorial Foundation
コミュニティの強化/コミュニティへの参加
99
COMMUNITY SERVICE AWARD
私たちは社会還元の文化を育んでおり、ボランティアでコミュニティにリソー
スを提供している従業員を表彰しています。2009年に開始されたEMCの年次CSA
(Community Service Award)では、会社レベルで支援する社外コミュニティに貢献し
ている従業員を表彰します。
CSA受賞者は社内で表彰され、その栄誉を称えて支援組織に一時助成金が支給されま
す。2011年は41名の従業員がCommunity Service Awardを受賞し、60,000ドルが対象組織
に寄付されました。これまでに、EMCはCSA受賞者に代わって120,000ドルを対象組織
に寄付しています。2011年のCSA受賞者と組織のリストは、後述の表をご覧ください。
災害救済
自然災害や緊急事態が発生した場合、EMCはコミュニティを支援し、救済および
復旧活動をサポートします。企業資金の寄付や、American Red Cross(アメリカ赤
十字)、Australian Red Cross(オーストラリア赤十字)、New Zealand Red Cross
(ニュージーランド赤十字)、Give2Asia、International Red Cross and Red Crescent
Societies(国際赤十字・赤新月社連盟)などの援助サービス組織に従業員の寄付を
マッチングすることでこうした事態に対応します。
2011年は、災害への対応に250,000ドルを寄付するとともに、従業員の寄付265,000ド
ルをマッチングしました。日本、ブラジル、ニュージーランド、オーストラリア、タ
イ、トルコにおける緊急事態と、マサチューセッツ州中部とミズーリ州Joplinの竜巻
被害に対する災害救済活動を支援するため、合計780,000ドル相当の寄付が配分され
ました。
2011年COMMUNITY SERVICE AWARD受賞者
EXEMPLARY SERVICE AWARD
(10,000ドルの寄付)
Lowe Syndrome Trust
(Andrew Thomas)
MOTIVATOR AWARD
(5,000ドルの寄付)
Cystic Fibrosis Foundation
(Christine McCarthy)
Hands of Compassion
International(Bob Bell, Jr)
Children s Heart Foundation
Nevada(John Stewart)
Baker MSA Research Fund
(Jillian Baker)
Rebel Wheelers(Jerry O Regan)
Stewardship Award
(1,000ドルの寄付)
Surf2Heal(Nollaig Hayes)
Creative Children s Therapy
(Alex Perez)
Barton Center for Diabetes
(Joyce Flannery)
ECOCEAN USA(Jason Holmberg)
CdLS Foundation(Dianne Lessa)
Hope and Play(Iyas AlQasem)
Chernobyl Children s Trust
(Paul Bates)
Navy and Marine Living History
Association(Chuck Veit)
YMCA(Ron Sha)
Loaves and Fishes Food
Pantry(Monica Pepicelli)
Miami Achievement Center
(Bill Salazar)
Friends of Londiani
(James Curtin)
USO NC International
(Mark Palmer)
Avon Walk for Breast
Cancer(Michael Guthrie)
CICPF CBC Foundation(June Yee)
100 コミュニティの強化/コミュニティへの参加
CAPACITY BUILDER AWARD
(500ドルの寄付)
American Cancer Society Relay
for Life(Deb Jacobsen)
BAEOM(Bill Stout)
Brown Dog Foundation
(Amy Wolanski)
Free Geek Providence
(Tom Houde)
Friends of CASA(Terri Wallace)
Friends of the Blue Hills
(Robert Romeri)
Gently Giant Rowing Club
(Hillary Abbey)
Girl Scouts of North Carolina
Coastal Pines(Haley Gray)
Global Women s Leadership
Network(Sheryl Chamberlain)
Jimmy Gavin Foundation
(Chris Hill)
LiveSTRONG(Robert Glanzman)
MA Youth Leadership
Foundation(Joette Breor)
Mission E4(Gerry Linden)
Motherly Care Children s
Home(Joseph Nyamwange)
NEADS(Carol Coffey)
North TV(Bob Cote)
Omprakash Foundation
(Sunita Casula)
Soccer in the Streets
(Ramiro Canovas)
Swans(Steven Denman)
Urban Assembly School
for Wildlife Conservation
(NY/NJ Division)
教育機関との連携
7
2011年に実施されたIDC調査によると 、世界で生成さ
れる情報量は2年ごとに倍増しており、2020年までに
現存量の50倍の情報が生成されると見込まれていま
す。一方、この膨大な情報を管理するIT(情報技術)
スタッフの増加は、1.5倍にも満たないと予測されてい
ます。
詳細については、EMC.comの
ACADEMIC ALLIANCE WEBサイト
を参照してください。
EMC Academic Allianceは、この難題に対応に取り組む、グローバル教育機関とのコラボ
レーションです。このプログラムは、ストレージ、クラウド・コンピューティング、
ビッグデータ環境が成長と進化を続ける中で、次世代のIT専門家を開発し、IT部門に適
する大学卒業者の強力なパイプラインを業界に提供することを目的としています。
Academic Allianceのメンバーには、40か国を超える750以上の機関が名を連ねていま
す。2011年は、20か国以上の250の新しい総合/単科大学が加わりました。2011年に情
報ストレージ管理の教育を受けた学生数は、50,000名を上回りました。2006年のこ
のプログラム開始以来、80,000名以上の学生がこのプログラムに参加しています。
カリキュラムとツール
Academic Allianceのメンバーは、ISM(情報ストレージ管理)、仮想化、クラウド・
コンピューティング、ビッグデータ分析などのトピックを網羅する「オープンな」カ
リキュラムベースの教育の機会を無料で提供します。
EMCの各分野の専門家は、教授とともにカリキュラムを検証し、技術的な妥当性や
Academic Allianceプログラムへの統合が容易かどうかを確認します。2009年にEMCが
作成したISMテキストブックは、情報ストレージ業界の唯一の信頼される参考資料と
して利用されています。
登録した学生は、事例、ビデオ、ポッドキャスト、ホワイト・ペーパーなどが含ま
れるオンライン・ポータルにアクセスすることができます。学生には、Facebookや
Twitter、EMC Proven Professionalオンライン・コミュニティを通じて世界中の仲間や
業界の専門家と接触するよう奨励しています。
教職員の参画
EMCのAcademic Allianceチームは、教職員と協力してプログラムの継続的な更新と強
化を図っています。チームは、教職員ポータル、定期的なメールでの通信、Academic
Allianceプログラム管理者とのやり取りを通じてフィードバックを頂いています。
7
IDC 2011 Digital Universe Study:Extracting Value from Chaos
コミュニティの強化/教育機関との連携
101
プログラムの拡大
2011年、Academic Allianceは、新しいITトレンド、教職員へのアウトリーチ、教職員
の参画によって得られたフィードバックに対応してプログラムを更新しました。学生
が複雑なITインフラストラクチャの設計、導入、管理を学ぶことができるように、以
下に示す3つの新しいコースが開発されました。
•
クラウド・インフラストラクチャ/サービス
•
バックアップ・リカバリ・システムとアーキテクチャ
•
データ・サイエンスとビッグデータ分析
Academic Allianceプログラムは、3回目の年次Academic Alliance Conferenceを主催する
など、イベントとセミナーを通じて世界の高等教育コミュニティとの関係を拡大して
います。インドのChennaiで開催されたこの2日間のイベントには、4,000名を超える
学生と250名の教職員メンバーが参加しました。
EMC LOCALIZATION INTERNSHIPプログラム
2009年、EMCはAcademic AllianceとEMCのLocalization組織の共同プログラムであるELI
(EMC Localization Internship)プログラムを開始しました。Localizationチームは、英
語以外の言語で容易に使用できるように、EMCの製品とサービスに関する資料の翻訳
を行いました。ELIプログラムを通じて、学生はAcademic Allianceで習得したことを活
用するとともに、翻訳とローカライズ分野における将来の可能性を探ることができま
した。
世界中の大学生がELIオンライン・コミュニティを通じてつながっており、国際的な
異文化間コミュニケーションを育んでいます。2011年は、ELIは中国、イタリア、日
本の大学とのパートナーシップを開始しました。
102 コミュニティの強化/教育機関との連携
情報遺産保護
文化遺産は、書籍、写真、音楽、世界中の博物館と図
書館に収められている書簡などに記録されています
が、このような歴史的文書や芸術品の多くは消失のリ
スクにさらされています。EMCは、世界中の個人およ
び組織のこうした重要な遺産を維持/保護する取り組
みを献身的に支えています。
デジタル化を通じて、文化遺産を消失から保護できるだけではなく、多くの学生、
教育機関、関心を持つ人々が文化遺産にアクセスできるようになります。2007年以
来、私たちは世界のデジタル情報遺産保護プログラムに総額2,000万ドル以上の製
品、サービス、資金を提供しています。
EMC情報遺産保護イニシアティブ
EMCの情報遺産保護イニシアティブは、文化機関と提携して、これらの機関の貴重な
貯蔵品のデジタル・イメージの取得、保管、共有を実現しています。私たちは、世界
の文化遺産を保護し、研究や教育を目的とするデジタル文化遺産へのアクセス性を高
めるために、金銭的支援、ハードウェアおよびソフトウェア製品、専門技術を提供し
ています。
2011年は、JPMorgan ChaseおよびAT&T Business Solutionsと提携して、Martin Luther
King, Jr.牧師の数百万にのぼる文書をデジタル化、保護、共有のためのコラボレー
ションであるKing Center Imagingプロジェクト を支援しました。この文書の中には、
牧師の最も有名な「I Have a Dream」スピーチ、ノーベル平和賞受賞スピーチ、バー
ミンガム刑務所からの手紙などのコピーも含まれています。
このチームは、King牧師の文書や音声/視覚的資料、公民権運動に携わったその他の
著名な人物やグループ関連のオリジナル文書を 使用して教育用Webサイトを構築し
ました。EMCとAT&Tはテクノロジーおよびストレージ・ソリューションを寄付し、
助言的な支援を提供しました。EMCのStorage Managed Servicesグループの2名の従
業員が、このプロジェクトの日常的な管理とサポートを行っています。King Center
Imagingプロジェクトのデジタル・アーカイブは2012年1月16日に公開されており、こ
のセンターのWebサイトwww.thekingcenter.org/archiveでご覧いただけます。
コミュニティの強化/情報遺産
103
EMC HERITAGE TRUSTプロジェクト
関連情報
EMC FACEBOOKページ
FACEBOOKのHERITAGE TRUSTプロ
ジェクト・ページ
私たちは地域の保護プロジェクトの重要性を認識しており、EMC Heritage Trustプロ
ジェクトを通じてコミュニティのデジタル・キュレーションの取り組みを支援してい
ます。このプロジェクトは、地域の文化機関、アーカイブ、個人の所蔵品に5,000∼
15,000ドルの助成金を提供します。誰でも参加できる応募プロセスを通じて、毎年新
しい助成金が与えられています。2011年は、以下の個人や団体に助成金が授与されま
した。
•
Organización Comunitaria Funcional
(OCF)Londres 38、チリ
•
The General Historic Archives of the Ministry of Foreign Affairs of Chile
•
Tongji University Library
Shanghai、中国
•
C.B "Bud" Johnston Library
University of Western Ontario、カナダ
•
The George Boole Papers Digitizationプロジェクト
Boole Library、University College Cork
•
「Kyrgyz Kitep Borboru」プロジェクト
(Kyrgyz State Book Chamber)、キルギスタン
•
Crimean Tatar Library Preservationプロジェクト
クリミア自治共和国(ウクライナ)
•
Aegis Trust of Rwanda
2012年から、Heritage Trustプロジェクトは、EMCのFacebookページで紹介されること
になり、申請者はこのページから提案を送信できるようになります。提出されたすべ
てのプロジェクトは、社内グループの審査を経て上位7組が一般投票による最終選考
に進出し、3組が選出されます。
104 コミュニティの強化/情報遺産
財政的支援に関するガイドライン
私たちは、世界中のコミュニティで重要な目標を推進している非営利パートナーの取
り組みを支援しています。このパートナーシップでは、資金、製品とサービス、従業
員のボランティア時間の提供を通じて貢献しています。
財政的支援に関する基準
財政的支援の資格を得るには、組織は以下の条件を満たす必要があります。
• 内国歳入法第501条(c)(3)項に準拠した非営利/非課税団体、または公立の教
育機関か地方自治体であること
• EMCサイトのコミュニティをサポートすること
• 一般管理費が、運営予算の総額の25%を超えないこと
財政的支援の対象外
以下は、財政的支援の対象とはなりません。
• 内国歳入法第501条(c)(3)項に準拠していない組織(公立の教育機関/地方自
治体を除く)
• 個人、宗教団体、退役軍人会、共済組合、政治団体、政治家候補者
• 差別を推進または遂行する組織
• ダイレクト・メールによる勧誘
• 優待券による広告
• 寄付
• 競技のチケット
• 債務削減
財政的支援申込書の提出
EMCは申込書を隔月で検討しており、レビュー・プロセスには、約8週間を要してい
ます。助成金額の制限は設定されていません。申込書はすべて、以下の情報とともに
[email protected] にメールで送信する必要があります。
• 申込フォーム(このフォームをダウンロードして記入してください)
• 現在のすべての資金提供元とその金額、およびその他の収入
• 役員および関連団体の名前
記入に不備がある場合は、検討の対象になりません。EMCは書面で回答します。財政
的支援の対象として選ばれた場合、次の追加資料を提出する必要があります。
• IRS第501条(c)(3)確認書の写し
• 直近の会計年度の監査済み財務報告書
• 年次報告書(提出可能な場合)
最終レポート
EMCの支援金を受け取ったすべての組織は、資金を受け取ってから12か月以内に、資
金の支出に関する評価を提出する必要があります。最後に行われた支援金に関する評
価が提出されるまで、新しいリクエストは検討の対象とはなりません。
コミュニティの強化/財政的支援に関するガイドライン
105
106
会社概要
EMCは、ビジネス/サービス・プロバイダの運用の変
革と、サービスとしてのITの提供の実現を手がける世
界的リーダーです。この変革の基盤となるのがクラウ
ド・コンピューティングです。EMCは、革新的な製品
とサービスによってクラウド・コンピューティングへ
の移行を加速させるとともに、最も価値ある資産であ
る「情報」を、より機敏性と信頼性の高いコスト・パ
フォーマンスに優れた方法で格納、管理、保護、分析
できるようにIT(情報技術)部門を支援します。私た
ちは、クラウド・コンピューティングとビッグデータ
という、ITとビジネスに変革をもたらすことが期待さ
れる2つのトレンドが重なる時代を迎えています。
EMCは、クラウド・コンピューティングの利益の享受と膨大な量のビッグデータに隠
された機会の発見を、俊敏で持続可能な確実な方法で実現するために必要な製品と
サービスをお客様に提供することに尽力しています。
多様なお客様をサポート
EMCは、Fortune Global 500社に名を連ねる企業から中小企業まで、また官民を問わ
ず、世界中のあらゆる業界の組織とビジネスを行っています。
EMCのお客様は、世界的な銀行や主要金融サービス企業、メーカー、医療機関、ライ
フサイエンス企業、インターネット・サービス・プロバイダ、通信プロバイダ、航
空会社、運送業者、教育機関、公的機関など、多岐にわたっています。またEMCは、
100か国以上の消費者にもテクノロジー、製品、サービスを提供しています。
強力なリーダーシップの記録
他社と一線を画するEMCの価値は、研究開発への持続的で多額の投資に基づいてお
り、2003∼2011年の累積投資は127億ドル(2011年は21億ドル)にのぼっています。
コア・ビジネスを強化し、新領域に市場を拡張するため、EMCではやはり2003∼2011
年に120億ドルを買収に投資しており、2006年以降、成長する62社のテクノロジー企
業を買収、統合しています。
会社概要
107
EMCの成功は、世界各地の弊社の技術専門家、業界で最も幅広いシステム、ソフト
ウェア、サービスのポートフォリオ、統合ソリューションを構築する力、そして最高
のTCE(お客様の総合的な満足度)の実現に向けた取り組みによって実現されていま
す。EMCのサービスの卓越性は、Technology Services Industry Associationの権威ある
賞によって認められ、2011年に達成した史上最高の顧客満足度スコアによっても実証
されています。EMCは、国際標準化機構から最も厳格な品質管理認定(ISO 9001)を
取得し、製造工程に関してはMRP IIクラスAの認定を受けています。
2011年12月31日現在、EMCはFortune 500社中152位にランクされ、2011年度の売上は
弊社の33年間の歴史で最高となる200億ドルを記録しました。
グローバルな事業展開
流通におけるEMCの強みは、世界最大級の情報インフラストラクチャに焦点を当てた
直販部隊と幅広いチャネル・パートナー・ネットワークであると考えています。弊社
は、テクノロジー、アウトソーシング、システム・インテグレーション、サービス、
流通パートナーのグローバル・ネットワークと緊密に連携しています。EMCは本社を
マサチューセッツ州Hopkintonに構え、世界83か国に約400の販売オフィスを置いて
います。研究開発センターは、ベルギー、ブラジル、中国、フランス、アイルラン
ド、インド、イスラエル、オランダ、ロシア、シンガポール、米国で運営していま
す。システムの製造拠点は、米国、ブラジル、中国、ハンガリー、アイルランドの
EMC施設および契約メーカーの施設です。2011年末時点の世界の従業員数は53,000名
を超えており、最も働きがいがある職場ランキングでは、各地域で上位にランクされ
ています。
EMCの株式は、ニューヨーク証券取引所でEMCのシンボルで取り引きされており、
S&P 500指数の構成銘柄となっています。2011年、EMCは、北米のDJSI(ダウ・
ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)に取り入れられました。このイン
デックスは、業界をリードする、サステナビリティを重視する企業の財務業績を追跡
するものです。
EMCは、社会面および環境面の両方において責任を持てる方法で行動すること、
ローカル/グローバル・コミュニティにおいてよく熟慮した上で対応することを約束
します。
108 会社概要
このレポートについて
スコープ(領域)とバウンダリ(集計範囲)
この文書は、5回目の発行となるEMCの年次サステナビリティ・レポートです。前回
のレポート「Accelerating our Journey to Sustainability」の発行は2011年でした。以前
のレポートはこちらからダウンロードできます。この文書では、特別に記述がある場
合や、次回の報告前に中間更新されたことが記述されている場合を除き、2011会計年
度(2011年1月1日∼2011年12月31日)のEMCとEMC子会社について報告しています。
スコープが「EMC」として定義されている領域では、特別の記述がない場合、情報に
はVMwareを除くEMCのすべての子会社が含まれます。
弊社の経営に関連するGHG(温室効果ガス)排出量データには、EMC子会社と
VMwareが含まれます。これらの排出量計算は、世界資源研究所のGHGプロトコルに
従ってまとめられています。
私たちは報告の範囲を進展させており、eWaste/Take Backプログラム、Lifecycle
Analysisプロジェクト、第1次サプライヤのデータを含むスコープ3 GHG排出量といっ
たテーマにまで、内容と開示範囲を拡大しました。
「所有および運用する」施設という記述には、EMCが完全に所有している建物だけで
なく、業務管理を実施しているリースの建物も含まれています。所有および運用する
施設は、主に以下の地域に置かれています。
• 米国マサチューセッツ州Bedford、Franklin、Hopkinton、Southborough、
Westborough
• 米国ノース・カロライナ州Apex、Research Triangle Park
• 米国カリフォルニア州Pleasanton、Santa Clara、Palo Alto
• アイルランド、Cork
• インド、Bangalore
弊社の職場ポリシーおよびプログラムに関する情報は世界的なもので、EMCとEMCの
すべての子会社が含まれます。
内容と重要性
このレポートの内容を決定するにあたり、弊社では重要性評価を実施し、EMCとEMC
が属する業界にとって最も重要な問題と、EMCのステークホルダの期待と要件を特
定しました。このプロセスでは、社内外のソースと、Ceresの主催で行われた年次
Stakeholder Forumでのフィードバックから情報を収集しました。
このレポートの結果の検証、洞察の提供、重要性の社内外の見解に基づいた問題の優
先順位設定は、社内の特定分野の専門家を召集して実施しました。このプロセスは、
AA1000保証基準(2008年度版)「完全性の原則」に準拠しています。重要性評価プ
ロセスと問題の発見/優先順位づけの詳細は、このレポートに記載されています。
EMCのOffice of Sustainabilityは、このレポートの準備と整合性の責任を負っていま
す。弊社では、毎年強化を継続している検証プロセスを含む社内統制体系を確立して
おりますので、このレポートが2011年のEMCのサステナビリティ活動と結果を正確に
表していると確信しています。
このレポートについて
109
開示と保証
このレポートは、外部による保証や独立した第三者機関による検証を行っていませ
ん。このレポートの内容については、Ceresからフィードバックの提供を受けまし
た。Ceresのご指導と提言に感謝の意を表します。また、サステナビリティ報告を専
門とする第三者コンサルタントとも契約を結び、報告作成プロセスと内容作成の支援
を受けました。
EMCの2011年GHGインベントリは、契約した独立系第三者機関によって検証されてお
り、その正確性と完全性は限定的保証を受けています。検証範囲には、すべてのス
コープ1およびスコープ2の排出ソースが含まれています。GHGインベントリは、世界
中のEMC所有施設およびリース施設を対象としています。
このレポートは、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)G3.1サステ
ナビリティ・レポーティング・ガイドラインに従って作成されました。EMCは、この
レポートについて、アプリケーション・レベルBを自己宣言しています。このレポー
トで網羅しているすべての開示内容のリストについては、GRIインデックスを参照し
てください。
単位
このレポート全体で使用されている「トン」はメートル・トンを表しています。すべ
ての通貨単位は米ドルです。
連絡先
EMCは、このレポートに記載されているテーマについて、関係者の皆様からのフィー
ドバックをお待ちしています。このレポートやその内容についてのご質問やご意見は
Office of Sustainability(Offi[email protected])にお寄せください。
110 このレポートについて
修正再表示
以下の領域について、EMCのパフォーマンスとメトリックの修正内容を再表示しま
す。これらの修正再表示は、データが当時利用できなかった/紛失していたことや、
計算ミス、手法の変更に起因するものです。
• 2010年のサステナビリティ・レポートで、2005年の水準に基づいて掲げられた
2012年までに「従業員あたりのエネルギー消費量」の40%削減を達成するという
目標は、「従業員あたりの温室効果ガス排出量」との誤解を受けました。従業員
あたりのエネルギー消費量の2005∼2011年の数値を計算し、このレポートに記載
しました。世界の施設の電力消費量と、世界の施設の自然ガス消費量について、
2005年と2010年の値が修正されたため、2005年と2010年の従業員あたりのエネ
ルギー消費量は、この値に基づいて正確な値が算出されています。2006∼2009年
の数値は以前に発表された数値を使用して計算されています。これらの年の数値
が誤っている可能性を特定するために厳密な分析を実施した結果、この目的や目
的達成に向けた進展にとって重大または重要なミスとは結論づけられませんでし
た。
• 2005年と2010年のエネルギー消費量、温室効果ガス排出量、関連するメトリック
は、新たに発表された排出要因の加算、改善された二酸化炭素計算法、補足的な
エネルギー消費量履歴データの受領によって修正されました。2006∼2009年の
データは修正されていません。
• 全世界におけるEMCの収益100万ドルあたりの温室効果ガス排出強度(スコープ
1および2)
– 2005年の値が30.89メートル・トンから30.53メートル・トンに修正されました
– 2010年の値が19.81メートル・トンから21.55メートル・トンに修正されました
• 全世界におけるEMCの敷地1,000平方フィートあたりの温室効果ガス排出強度
(スコープ1および2)
– 2005年の値が28.55メートル・トンから27.57メートル・トンに修正されました
– 2010年の値が30.16メートル・トンから27.11メートル・トンに修正されました
• 全世界でのEMCの温室効果ガス絶対排出量(スコープ1および2)
– 2005年のスコープ1の値が32,473メートル・トンから32,905メートル・トン
に修正されました
– 2010年のスコープ1の値が26,736メートル・トンから33,811メートル・トンに
修正されました
– 2005年のスコープ2の値が266,014メートル・トンから262,098メートル・ト
ンに修正されました
– 2010年のスコープ2の値が310,940メートル・トンから332,873メートル・ト
ンに修正されました
• 気候リーダーとしての目標: 米国でのEMCの温室効果ガス排出量(スコープ1お
よび2)
– 2005年の1,000平方フィートあたりの温室効果ガス排出量の値が37.02メート
ル・トンから100平方メートルあたり39.00メートル・トンに修正されました
– 2010年の1,000平方フィートあたりの温室効果ガス排出量の値が30.16メート
ル・トンから100平方メートルあたり32.95メートル・トンに修正されました
– 2009年の1,000平方フィートあたりの温室効果ガス排出量の値(REC適用)が
25.99メートル・トンから100平方メートルあたり31.51メートル・トンに修正さ
れました
• 全世界の施設の電力消費量
– 2005年の値が570,839 MWhから557,643 MWhに修正されました
– 2010年の値が779,444 MWhから814,603 MWhに修正されました
– 2005年の値が2,055,019 GJから2,007,516 GJに修正されました
– 2010年の値が2,805,994 GJから2,932,569 GJに修正されました
このレポートについて
111
• 全世界の施設の天然ガス消費量
– 2005年の値が4,326,235 thermから4,373,423 thermに修正されました
– 2010年の値が3,873,596 thermから5,058,015 thermに修正されました
– 2005年の値が456,442 GJから460,994 GJに修正されました
– 2010年の値が408,308 GJから533,155 GJに修正されました
• より正確な新しい計算手法の使用により、EMCの水再利用の値が修正されました。
– 2007年の値が2,745,481ガロンから10,445立方メートルに修正されました
– 2008年の値が3,315,419ガロンから12,601立方メートルに修正されました
– 2009年の値が4,020,538ガロンから15,685立方メートルに修正されました
– 2010年の値が5,498,646ガロンから22,192立方メートルに修正されました
• 2010年Innovation Conferenceで提出されたアイデア数が1506から1509に修正されま
した。
• EMCマサチューセッツ施設カフェテリアの廃棄物から生成された2010年の堆肥量
は、75トンのところを75メートル・トンと記載されていました。この値は、2011
年サステナビリティ・レポートでは68メートル・トンとして修正再表示されてい
ます。
• 2010年の研究開発への投資額が誤って21億ドルと記載されていましたが、19億ド
ルに修正されました。
• 2010年の出張による温室効果ガス排出量が、95,037メートル・トンから100,727
メートル・トンに修正されました。
112 このレポートについて
GRIインデックス
指標
トピック
場所
対象範囲
(全部ま
たは一部)
戦略および分析
1.1
組織の最高意思決定者(CEO、会長、同等の役員な
ど)からの、組織にとってのサステナビリティの適
合性とその戦略についての声明。
EMC CEOのメッセージ
全部
1.2
主な影響、リスクおよび機会の説明。
EMC CEOのメッセージ
EMCのサステナビリティ重要性評価
全部
2.1
組織の名称。
会社概要
全部
2.2
主要なブランド、製品および/またはサービス。
会社概要
2011 10-K
全部
2.3
主要部署、事業会社、子会社、共同事業などの組織
の経営構造。
会社概要
2011 10-K
全部
2.4
組織の本社の所在地。
会社概要
全部
2.5
組織が事業展開している国の数と、大規模な事業展
開を行っているか、このレポート中に掲載されてい
るサステナビリティの課題に特に関連のある国名。
会社概要
全部
2.6
所有形態の性質および法的形式。
会社概要
全部
2.7
参入市場(地理的内訳、参入セクター、顧客/受益
者の種類を含む)。
会社概要
全部
2.8
報告組織の規模。
会社概要
2011 10-K
全部
2.9
規模、構造または所有形態に関して報告期間中に生
じた大幅な変更。
会社概要
2011 10-K
全部
2.10
報告期間中の受賞歴。
受賞歴および評価
全部
会社概要
GRIインデックス
113
指標
トピック
場所
対象範囲
(全部ま
たは一部)
3.1
提供する情報の報告期間(会計年度/暦年など)。
このレポートについて
全部
3.2
前回のレポート発行日(該当する場合)。
このレポートについて
全部
3.3
報告サイクル(年次、半年ごとなど)。
このレポートについて
全部
3.4
このレポートまたはその内容に関する質問の窓口。
このレポートについて
全部
3.5
レポートの内容を確定するためのプロセス。
このレポートについて
EMCのサステナビリティ重要性評価
全部
3.6
レポートのバウンダリ(国、部署、子会社、リース
施設、共同事業、サプライヤなど)。
このレポートについて
全部
3.7
レポートのスコープまたはバウンダリに関する具体
的な制限事項の記載。
このレポートについて
全部
3.8
共同事業、子会社、リース施設、アウトソーシング
運用、期間ごとまたは組織間(もしくは両方)の比
較に大きな影響を与えうるその他の組織に関する報
告の基準。
このレポートについて
全部
3.9
レポートの指標とその他の情報を編集するために適
用された推計の基礎となる前提と技法を含む、デー
タ測定の技法および計算基準。
このレポートについて
2011 Carbon Disclosure Project Report
全部
3.10
以前レポートに掲載した情報を修正再表示すること
による影響の説明と、このような修正再表示の理由
(合併/買収、基本となる年/期間の変更、事業の性
質の変更、測定方法の変更など)。
このレポートについて
全部
3.11
このレポートに適用されているスコープ、バウンダ
リ、測定方法における前回の報告期間からの大幅な
変更。
このレポートについて
全部
3.12
このレポート内の標準開示の所在場所を示す表。
GRIインデックス
全部
3.13
レポートの外部保証添付に関する方針および現在の
慣行。サステナビリティ・レポートに添付された保
証レポート内に記載がない場合は、外部保証のス
コープおよび基盤を説明する。報告組織と保証提供
元の関係についても説明する。
このレポートについて
全部
報告要素
114 GRIインデックス
指標
トピック
場所
対象範囲
(全部ま
たは一部)
ガバナンス、コミットメントおよび参画
4.1
組織のガバナンス構造(戦略の設定や全組織的監督
など、特別な業務を担当する最高統治機関の下にあ
る委員会を含む)。
企業ガバナンス
全部
4.2
最高統治機関の長が最高責任者を兼務しているどう
か(兼務している場合は、組織管理における役割
と、その配置理由)を明記する。
2012 Proxy Statement
全部
4.3
単一の理事会構造を有する組織の場合は、最高統治
機関における社外メンバーまたは非執行メンバー
(もしくは両方)の人数と性別を明記する。
企業ガバナンス
全部
4.4
株主および従業員が最高統治機関に対して提案また
は指示を提供するためのメカニズム。報告期間中に
これらのメカニズムを通じて提起された経済的、環
境的、社会的パフォーマンスに関連したテーマを明
記する。
企業ガバナンス
2012 Proxy Statement
全部
4.5
最高統治機関メンバー、上級管理職および執行役に
ついての報酬(退任の取り決めを含む)と、組織の
パフォーマンス(社会的および環境的パフォーマン
スを含む)との関係。
企業ガバナンス・ガイドライン
全部
4.6
最高統治機関が利益相反問題の回避を確保するため
に実施しているプロセス。
企業ガバナンス・ガイドライン
倫理
全部
4.7
最高統治機関とその委員会のメンバーの構成、資
格、専門技術を決定するプロセス(性別その他の多
様性に関する指標の考慮を含む)。
企業ガバナンス・ガイドライン
全部
4.8
経済的、環境的、社会的パフォーマンス、さらにそ
の実践状況に関して、組織内で開発したミッション
(使命)およびバリュー(価値)についての声明、
行動規範および原則。
倫理
全部
4.9
経済的、環境的、社会的パフォーマンスを組織が特
定し、管理していることを最高統治機関が監督する
ための手順(関連のあるリスクと機会、国際的に合
意された基準、行動規範、および原則への準拠また
は遵守を含む)。
企業ガバナンス
環境戦略
2012 Proxy Statement
全部
4.10
最高統治機関のパフォーマンスを、特に経済的、環
境的、社会的パフォーマンスという観点で評価する
ためのプロセス。
企業ガバナンス・ガイドライン
全部
GRIインデックス
115
指標
トピック
場所
対象範囲
(全部ま
たは一部)
ガバナンス、コミットメント、参画(続き)
4.11
組織が予防的アプローチまたは原則に取り組んでい
るかどうか、およびその方法はどのようなものかに
ついての説明。
製品に含まれる物質
サプライ・チェーンにおける原則
全部
4.12
外部で開発された、経済的、環境的、社会的憲章、
原則、あるいは組織が同意または承認するその他の
イニシアティブ。
倫理
全部
4.13
(業界団体などの)団体または国内外の提言機関
(もしくは両方)における会員資格。
公共政策
全部
4.14
組織に参画したステークホルダ・グループの
リスト。
ステークホルダ参画
全部
4.15
参画してもらうステークホルダの特定および選定の
基準。
ステークホルダ参画
全部
4.16
種類ごと、およびステークホルダ・グループごとの
参画の頻度などを含む、ステークホルダ参画へのア
プローチ。
ステークホルダ参画
全部
4.17
ステークホルダ参画を通じて浮かび上がった主要
なテーマと懸念事項と、組織が報告による対応を
含め、これらの重要なテーマと懸念事項に対応し
た方法。
ステークホルダ参画
全部
経済パフォーマンス・インジケータ
5.0 - DMA
組織が社会にもたらす経済的影響に関する組織の管
理アプローチの開示。
コミュニティへの参加
経済的成果
会社概要
2011 10-K
全部
EC1
収入、事業コスト、従業員の給与、寄付、その他の
コミュニティへの投資、内部留保および資本提供者
や政府に対する支払いなど、創出および分配した直
接的な経済的価値。
コミュニティへの参加
経済的成果
会社概要
全部
EC2
気候変動の影響による組織の活動に対する財務上の
影響およびその他のリスクと機会。
2011年CDP(カーボン・ディスクロージャ・
プロジェクト)報告書
全部
EC8
商業活動、現物支給、無料奉仕を通じて、主に公共
の利益のために提供されたインフラストラクチャ投
資およびサービスの開発と影響。
経済的成果
情報遺産保護
一部
EC9
著しい間接的な経済的影響の把握と説明(影響の程
度を含む)。
経済的成果
全部
116 GRIインデックス
指標
トピック
場所
対象範囲
(全部ま
たは一部)
環境パフォーマンス・インジケータ
5.0 - DMA
環境サステナビリティに対する組織の管理アプロー
チの開示。
エコシステムの持続
全部
EN3
一次エネルギー源ごとの直接的エネルギー消費量。
エコシステムの持続ダッシュボード
全部
EN4
一次エネルギー源ごとの間接的エネルギー消費量。
エコシステムの持続ダッシュボード
全部
EN5
省エネルギーおよび効率改善によって節約されたエ
ネルギー量。
効率の良い施設
全部
EN6
エネルギー効率の高い、あるいは再生可能なエネル
ギーに基づく製品およびサービスを提供するための
イニシアティブ、およびこれらのイニシアティブの
成果として得られた、必要エネルギーの削減量。
効率の良いデータセンター
効率の良い製品
全部
EN7
間接的エネルギー消費量削減のためのイニシアティ
ブと達成した削減量。
効率の良い施設
効率の良いデータセンター
従業員の出張と通勤
全部
EN8
水源からの総取水量
水の使用
一部
EN10
水のリサイクルおよび再利用量と、総使用水量に占
める割合。
水の使用
一部
EN11
保護地区、保護地区外で生物多様性の値が高い地
区、またはその隣接地区で所有、リース、管理して
いる土地の所在地と面積。
生物学的多様性
一部
EN12
保護地区または保護地区外で生物多様性の値が高い
地区で活動、製品、サービスが生物多様性に及ぼす
重大な影響の説明。
生物学的多様性
一部
EN13
保護または復元された生息環境。
生物学的多様性
一部
EN14
生物多様性への影響を管理する戦略、現在の措置、
将来の計画。
生物学的多様性
一部
EN16
重量で表記する直接および間接的な温室効果ガスの
総排出量。
エコシステムの持続ダッシュボード
全部
EN17
重量で表記するその他の関連ある間接的な温室効果
ガス排出量。
エコシステムの持続ダッシュボード
全部
EN18
温室効果ガス排出量削減のためのイニシアティブと
達成した削減量。
効率の良いデータセンター
従業員の出張と通勤
全部
EN23
著しい影響を及ぼす漏出の総件数および漏出量。
リサイクルと廃棄
全部
GRIインデックス
117
指標
トピック
場所
対象範囲
(全部ま
たは一部)
環境的パフォーマンス・インジケータ(続き)
EN26
製品およびサービスの環境への影響を緩和するイニ
シアティブと影響緩和の程度。
効率の良い製品
効率の良いデータセンター
製品に含まれる物質
サプライ・チェーンの連携
全部
EN27
カテゴリー別の再生利用される販売製品およびその
梱包材の割合。
エコシステムの持続ダッシュボード
一部
EN28
環境関連法および環境規制の遵守不履行に対する相
当な罰金の金額および罰金以外の制裁措置の件数。
環境戦略
全部
人権パフォーマンス・インジケータ
5.0 - DMA
事業およびサプライ・チェーン全体の人権に対する
組織の管理アプローチの開示。
EMCのサプライヤ行動規範
倫理
サプライ・チェーン
全部
HR1
人権条項を含むか、人権に関する審査を受けた重大
な投資協定または契約の割合と総数。
倫理
サプライ・チェーンの連携
人権およびグローバル労働に関する原則
全部
HR2
人権に関する審査を受けた主要なサプライヤ、請負
業者、その他のビジネス・パートナーの割合と、取
られた措置。
サプライ・チェーンの連携
EMCのサプライヤ行動規範
一部
HR3
研修を受けた従業員の割合を含め、業務に関連する
人権的側面に関わる方針および手順に関する従業員
研修の総時間。
倫理
全部
HR5
結社の自由と団体交渉の権利行使が侵害されるか、
重大なリスクにさらされる可能性が特定された業務
と主要サプライヤ、およびこうした権利を支持する
ために講じた措置。
倫理
人権およびグローバル労働に関する原則
一部
HR6
児童の労働の深刻なリスクがあることが確認された
事業と主要サプライヤ、および児童の労働を効果的
に回避するために講じた措置。
倫理
人権およびグローバル労働に関する原則
一部
HR7
強制および義務労働の深刻なリスクがあることが確
認された事業と主要サプライヤ、あらゆる形態の強
制および義務労働の根絶のために取られた措置。
倫理
人権およびグローバル労働に関する原則
一部
118 GRIインデックス
指標
トピック
場所
対象範囲
(全部ま
たは一部)
労働慣行とディーセント・ワークのパフォーマンス・インジケータ
5.0 - DMA
人材開発、職場の安全、従業員の昇進に対する組織
の管理アプローチの開示。
従業員と職場
全部
LA3
派遣またはパート従業員には提供されないがフル
タイム従業員に提供されている主要な事業拠点別
の福利。
健康面と財産面のメリット
全部
LA7
地域および性別ごとの、傷害、業務上疾病、損失日
数、欠勤の割合および業務上の総死亡者数。
価値の提供ダッシュボード
一部
LA8
深刻な疾病に関して、労働者、その家族またはコ
ミュニティのメンバーを支援するために設けられて
いる教育、トレーニング、カウンセリング、予防お
よび危機管理プログラム。
健康面と財産面のメリット
一部
LA10
性別および従業員のカテゴリーごとの、従業員あた
りの年間平均トレーニング時間。
社員の能力開発
価値の提供ダッシュボード
一部
LA11
従業員の継続的な雇用適性を支え、キャリア終了計
画を支援する技能管理および生涯学習のためのプロ
グラム。
社員の能力開発
グローバルな拡大
全部
LA12
定常的にパフォーマンスおよびキャリア開発のレ
ビューを受けている、性別ごとの従業員の割合。
社員の能力開発
一部
社会的パフォーマンス・インジケータ
5.0 - DMA
不正行為防止慣行、優れたビジネス慣行、公共政策
への参加、政治的プロセスに対する組織の管理アプ
ローチの開示。
倫理
公共政策
全部
SO2
不正行為に関連するリスクが分析されたビジネス・
ユニットの総数と割合。
ビジネス活動に関するガイドライン
全部
SO3
組織の不正行為の方針および手順に関する研修を受
けた従業員の割合。
倫理
全部
SO4
不正行為事例に対応して取られた措置。
ビジネス活動に関するガイドライン
倫理
全部
SO5
公共政策の位置づけおよび公共政策立案とロビー活
動への参加。
公共政策
全部
SO6
政党、政治家および関連機関への国別の献金および
現物での寄付の総額。
公共政策
全部
GRIインデックス
119
指標
トピック
場所
対象範囲
(全部ま
たは一部)
製品責任パフォーマンス・インジケータ
5.0 - DMA
製品の責任と安全性、および顧客参画に対する組織
の管理アプローチの開示。
製品に含まれる物質
効率の良い製品
お客様
全部
PR1
製品とサービスの安全衛生面での影響改善に向け
た評価を行うライフサイクル段階と、評価の手順
の対象となる主要な製品とサービスのカテゴリー
の割合。
製品に含まれる物質
効率の良い製品
全部
PR5
顧客満足度調査の結果を含む、顧客満足度に関連す
る慣行。
お客様
ステークホルダ参画
全部
120 GRIインデックス
EMC2、EMC、EMC Proven、EMCのロゴ、Avamar、Data Domain、FAST、Greenplum、Iomega、Isilon、およびRSAは、EMC Corporationの登録商標または商標です。VMwareは、米国およびそ
の他の国におけるVMware, Inc.の登録商標または商標です。
その他のすべての名称ならびに製品についての商標は、
それぞれの所有者の商標または登録商標です。© Copyright 2012
EMC Corporation. All rights reserved.(不許複製・禁無断転載)7/12 Brochure H9712-J
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