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PDFファイル - 埼玉医科大学

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PDFファイル - 埼玉医科大学
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患者氏名
末梢血幹細胞採取の説明
骨髄と異なり、通常の末梢血の中には血球のもとになる細胞(造血幹
細胞)はほとんどありません。しかしながら、化学療法後に白血球が
回復する時期や G-CSF(好中球を増やす薬)を投与したときには、末
梢血の中にも造血幹細胞が現れます。これを狙って採取するのが末
梢血幹細胞採取です。
1)自家末梢血幹細胞を採取する場合
それぞれの病気の治療として、有効な化学療法を行います。その後、
G-CSF の注射を開始し、白血球の上昇をみながら採取の日程を決めま
す。採取は、血液成分連続分離装置を用いて行います。これは血液
中の必要な成分(今回の場合は幹細胞を含んでいる部分)だけを集
め、その他の移植にとって不必要な成分(例えば赤血球など)はそ
のまま体に戻すことができる機械です。したがって骨髄採取のとき
のように、貧血が問題になることはありません。採取の際には両腕
を刺すか、あるいは足の付け根にある太い血管にカテーテルを入れ
ることがあります。採取時間は約3∼4時間で、最終的な採取量は
約 100 ml です。採取した細胞は移植時まで凍結保存されます。採取
時に四肢のしびれ、吐き気を感じることがありますが、低カルシウ
ム血症によるものなので、その際にはカルシウムを注射して対処し
ます。採取は通常1∼3日で終了します。
2)血縁ドナーから末梢血幹細胞を採取する場合
ドナーの方は、採取予定日の5日前に入院します。G-CSF を1日1回
あるいは2回、皮下に注射します。白血球が増えるときに腰痛、頭
痛等が出現するので、必要に応じて鎮痛剤を服用します。毎日採血
をして、白血球の増加を確認してから採取を開始します。採取の方
法は、自家末梢血幹細胞採取のときと同様に、必要な成分だけを採
取します。採取終了後は2日で退院となります。末梢血幹細胞採取
のときには損害賠償保険に加入することができ、その保険料は主に、
提供を受ける患者さんが負担します。
ID
患者氏名
●有害事象
【G-CSF 投与に伴う短期的有害事象】
G-CSF 投与に伴う短期的有害事象で重大なものとして、
ショック、間質性肺炎のほか、腰痛、胸痛、骨痛、背部痛、関節痛、
筋肉痛、血圧低下、肝機能異常(AST, ALT, LDH, ALP 上昇)、発疹、
紅斑、悪心、嘔吐、発熱、頭痛、倦怠感、動悸、尿酸値上昇、血清
クレアチニン値上昇、CRP 値上昇などが知られています。
高頻度に見られるのは、骨痛(71%)の他、全身倦怠感(33%)、頭
痛(28%)、不眠(14%)、食思不振(11%)、悪心嘔吐(11%)、な
どが報告されています。いずれも G-CSF 投与終了後 2-3 日以内で
消失しますが、必要に応じて鎮痛剤などを投与します。
G-CSF 投与を中止しなければならないような重篤な有害事象はまれ
とされますが、これまで心筋梗塞、脳血管障害、脾臓破裂などの報
告例の他、死亡例も報告されています。また、G-CSF 投与に伴って
急性虹彩炎、痛風性関節炎、など炎症の増悪も指摘されています。
ただし G-CSF 投与に伴う有害事象の多くは一過性で許容範囲内と考
えられています。
なお、健常人に対する G-CSF 投与に伴う長期的有害事象に関しては
充分なデータは得られていませんが、最近わが国では G-CSF 投与を
受けた血縁ドナーにおいて骨髄増殖性疾患と急性骨髄性白血病の発
症が報告されました。
これに関し日本造血細胞移植学会は、G-CSF 投与と白血病発症の因果
関係について、
「健常者に短期間 G-CSF を投与しただけで白血病が発
症する可能性は医学的には考えられないが、完全に否定することは
できない」という見解を示しています。
ID
患者氏名
【採取時の有害事象】
全身倦怠感(30%前後)のほか、四肢のしびれ(抗凝固剤として用
いる ACD 液によるクエン酸中毒)、めまい、吐き気、嘔吐など血管
迷走神経反射や一過性の循環血液量の低下による症状がみられます。
特に血管迷走神経反射は重篤な場合は高度の「徐脈 (脈拍数 29 回/
分以下)
」が出現し、意識喪失、失禁がみられることがあります。当
院の採血室には、重篤な血管迷走神経反射に対して、昇圧剤などの
薬剤が入った救急カートと心電図モニターがいつでも使用できるよ
うに配備されています。
クエン酸中毒による低カルシウム血症はカルシウム液の持続注入
(グルコン酸カルシウム液 5-10mL/時間)によってほとんどの場合
予防することができるので、採取開始とともにグルコン酸カルシウ
ム液の投与を開始します。
●採取後の造血幹細胞の保管について
採取された末梢血幹細胞は、保管期限の上限を 2 年間とし、2 年間の
保管期間を過ぎたものは破棄いたします。なおこの場合、破棄する
前にご本人への通知は行いません。
また、幹細胞移植に際して使用することができない(含まれる幹細
胞数の大幅な不足や、採取バッグ破損による汚染、腫瘍細胞が混入
していることが明らかとなるなど、主治医や採取責任医師、あるい
は輸血部責任医師が不適格と判断した)ものは、ご本人に説明のう
え、採取直後でも破棄いたします。
末梢血幹細胞の採取に同意された場合、当院で採取された末梢血幹
細胞は、当院内で使用(移植)する目的で当院の資材を用いて採取
されたものであり、当院内での使用に限定されていることと、採取
された末梢血幹細胞を他院での使用目的などで譲渡できない(非血
縁ドナーを除く)ことにも同意されたとみなします。
ID
患者氏名
末梢血幹細胞採取に関する同意書
埼玉医科大学総合医療センター病院長
このたび(
(ご本人に
同種
・
自家
殿
)末梢血幹細胞採取を受けるにあたり、
□内へチェック「☑」を入れてください)
□ 1. 末梢血幹細胞採取の方法
□ 2. 末梢血幹細胞採取によって予想される効果と危険性
□ 3. 末梢血幹細胞採取の保管期間は 2 年間を上限とし、保管期間
が 2 年を超えた場合には、通知なく破棄されること。
□ 4. 幹細胞移植に不適格の場合は保存されず破棄されること。
□ 5. 採取された末梢血幹細胞は、非血縁ドナーの場合を除き、
院外に譲渡できないこと。
について十分説明を受け、同意しましたので署名いたします。
同意日
平成
年
月
氏名
日
(自署)
(本人が未成年の時)
代理人氏名
(自署) (続柄):
以上、説明し同意を得ました。
同意確認日
担当医師
平成
年
月
日
(自署)
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