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フット肝臓におけるインスリン様
成長因子 I及びその結合タンパク質
遺伝子の発現調節機構の解析
(S
t
u
d
i
e
sonr
e
g
u
l
a
t
o
r
ymechanismso
fg
e
n
e
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x
p
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i
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l
i
k
eg
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w
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a
c
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I
iv
e
r)
andi
t
sb
i
n
d
i
n
gp
r
o
t
e
i
n
si
nr
a
tl
三浦豊
目次
頁
緒言
第一節外界からの情報因子としての食餌タンパク質
第二節本研究の背景
第三節インスリン織成長因子l
及び結合タンパク質に関して
1
)IGF-Iについて
a) I
GF-Iの遺伝子摘造
b
) IGF-Iの発現調節
c) I
GF-Iの生理作用
2
) IGFBPについて
第四節本研究の目的と本論文の構成
第一章
…
.
..
.
..
.
.
…
・・1
…・
………・
・2
…・・・
…-・
…
・・3
…..
…
.・・ …ー 5
・
……
・.
..
.
..
.
..6
….
.
.
・
...…・ 8
……・……… 10
食餌タンパク貨によるラット肝障での
1
2
IGF-I遺 伝 子 発 現 調 節
序論
第一節
….
.
.
.
.
.
.
・. ・
.
.20
タンパク貨の質と量の異なる食餌摂取時の I
GF-I
及びIGFBP-1 遺伝子の転写速度の定量
第四節討論
……… …
・
・ 27
……..
.
・. ・
.33
第二節
ヲ
﹄
ー
食餌タンパク質の貨と量の変化による
肝臓 I
G
F
I遺伝子発現調節
大豆タンパク貨獲取時の血中 I
G
F
I;
a
度
、
G
F
ImRNA
量の変化
肝臓 I
M
第三節
第二章
H
初代培養肝細胞系における IGF-I及び IGFBPの
遺伝子発現の基礎的解析
序論
…・
…..
.
・. ・
.
.36
第一節初代培養肝細胞における I
G
F
I及び IGFBP-l の
発現量の措叢条件による変化
第二節 討論
…..
・. ・… .37
.・. ・
…・
…・
・
・48
H
H
H
第三章
初 代 培 養 肝 細 胞 に お け る IGF-I,IGFBP-l,
-4
遺伝子発現のホルモンによる調節
…・…・…・ .
.
5
0
序論
1
.初代培養肝細胞における IGF-I遺伝子発現調節について
G
F
I遺伝子発現調節
第一節各種ホルモンによる I
第二節
・…… .
.
.
.
.
.
.
.
5
2
Acidg
e
lchromatographyを用いた I
G
F
I
・………・ ….5
5
分泌量の定量
2
.初代培養肝細胞における IGFBP-1,
-4遺伝子発現調節
量に対する各種ホルモンの影響
…… .
..
..
.
.
.
.58
第三節 IGFBP-1 mRNA
第四節 初代培養肝細胞における IGFBP-4遺伝子発現調節 … … … .
.
..
.
..60
第五節 討論
……
・
・
ー
・ … .66
第四章
初 代 培 養 肝 細 胞 に お け る IGF-I,IGFBP-l,-4
I
G
F
I遺伝子発現のアミノ酸による調節
IGFBP-1 遺伝子発現のアミノ酸による調節
IGFBP-4遺伝子発現に対するアミノ酸の効果
第四節討論
7F7r マF 7 ' o o
第二節
第三節
44593
遺伝子発現のアミノ酸による調節
序論
第一節
.86
総合討論
要旨
91
謝辞
95
.96
参考文献
1
緒言
第一節外界からの情報因子としての食餌タンパク質
生命体は、自らの生命を維持するために外界から栄養素を取り入れ、それ
らを代謝し、生体制隆成成分を作り上げる性貨を有している.すなわち外界か
らの栄養素の取り込みは生命維持のための必須条件と言うことができる.し
かし、外界の栄養素の存在状況が常に一定であることは稀であリ、全体はそ
の時の状況に応じて、もっとも適切な応答をするように自らの代謝を制御す
る必要がある.このことは、ヒトを代表とする高等動物に限ったことではな
く、例え l
ぎ原核生物である大鍋菌では利用することのできる炭素源がグルコー
スからラクトースへ変化するのに応答して、その遺伝子発現を変化させて普
段は利用することのできないラクトースを分解し利用できるように変化する
(
1).また枯草笛では、繕地中の栄養素が欠乏した際には栄繋成長を停止し、
in
a
s
ec
a
s
c
a
d
eを
胞子形成を開始し、その栄養素欠乏シグナルは細胞内の k
介して伝達されていくといった例が知られており (
2
)、さらに真篠細胞である
醇母においても培地中のアミノ酸が欠乏するのに応答して‘欠乏したアミノ
霞の合成酵素の遺伝子発現を誘導するといった例が知られている (
3
)
.つまり
生体には元来、外界からの栄獲棄の供鎗状況をモニターし、適切な応答を行
う機織が備えられているということである.言い換えれば、外界からの栄養
素の供給状況を全体はある種の情報として忽醸しているということである.
一般に生体は外界からの情報を受けると、それを内的な情報に変後してから
応答するが、人を始めとする高等動物ではその詳細な分子繊備はほとんど明
らかにされていない.筆者が本研究を行った東京大学園量学部島芸化学科栄養
化学研究室では、かねてより動物が摂取している栄養素、特に食餌タンパク
貨が動物の成長をどのような綴織で制御しているのか、すなわち複取した食
餌タンパク質という外界からの情報がまずどのような内的情報に変換され、
成長という結果が導かれるのかについて研究しており、その結果、インスリ
ン織成長因子I(
I
G
F
I
)と呼ばれる物質に注目し、研究を行うこととなった.
本研史はその一環であり、特に食餌タンパク質による I
GF-I&ぴI
G
F結合タン
立、本研究の
パク質の遺伝子発現の調節機備を解析したものである.次節で l
背景について概説する.
・
.
_
,
第二節本研究の背景
動物の成長が、慎取する食餌タンパク質の質と賓の違いによって変化する
現象は古くより知られており、多くの栄養学者がこの問題を研究し、数多く
の知見が箸積されている.しかしながらこの現象を分子レベルで完全に鋭明
することはいまだ成功しておらず、生命現象の奥深さがうかがわれる.筆者
が本研交を行った東京大学.学部.芸化学科栄養化学研気重においてもかね
てより、食餌タンパク質の質と量により動物の成長が変化する機織を栄養学
的だけでなく分子レベルで理解することを目的として研究が行われてきた.
まず、宮川による研究では、貨の異なる食餌タンパク震を含む食餌をラッ
トに与え血中のインスリン、 I
G
F
I;A度を測定し、岡崎に飼育した無タンパ
ク質食を与えたラットの血中インスリン、 I
G
F
I浪度を対照として比駁検討
した所、血中インスリン浪度 l
手動物の成長とある程度の相関関係が見られた
が、食餌タンパク貨の貨や震の違いによる変化は小さく、一方血中 I
G
F
I濃
度は動物の成長と非常によく相関していることが明らかにされた (
4,
5
)
.
更に、南は各食餌条件下での全身及び各組織でのタンパク質合成速度と、
その時の血中 IGF
・1
濃度が良く相関すること、体俊之パク質分解量の鎗標と
考えられる尿中磁可溶性ペプチド鋭治量とも良い相関を示すことを明らかに
した (
6
)
.その結果より IGF-Iは、栄養条件を変化させた際のタンパク質合成
だけでなく、分解も調節していることが明らかとなった.つまり、 I
G
F
I
}
夕
食餌タンパク賀の貨と量の変化を受け、体タンパク賀代謝を調節する中心的
役割を果していることが明らかになった.また、 I
G
F
Iが血中ではその分子
量よりも大きいところに検出されることが、その研究の初期より知られてお
り、血中にI
G
F
Iに特異的な結合タンパク貨が存在していると考えられてい
た.そこで、梶川、梅薄らにより、血中I
G
F
IのIGF結合タンパク賀への結合
状態と結合タンパク質(BP)の量が種々の食餌タンパク賀鎮取下でどのように
変化するかが研究された結果、援取しているタンパク貨の質と量が結合タン
パタ貨の量と結合状態に大きく彫饗することが明らかにされた (
5,
7-9).
これらの研究を受け食餌タンパク貨の違いによる動物の成長制御の分子機
構を明らかにすることを目的として、本研究を開始した.
次節では、本論文を進めるうえで必要と思われる I
G
F
I及びIGFBPsについ
て慨説するが、 I
G
F
I及び IGFBPsの研究I
c
t非常に膨大なものであるのでここ
では必要な点のみを述べることとする.
2
第三節
インスリン様成長因子 l
及び結合タンパク質に闘して
1)IGF-Iについて
(
a
)I
G
F
Iの遺伝子術造
I
G
F・1
は、プロインスリンと類似の徳造を持つ 70ヶのアミノ厳からなるペ
プチドホルモンであり、成長ホルモンの mediatorとして (
1
0
)、血中のイン
スリン抗体で中和されないインスりン様活性物質として (
1
1)、細胞勾殖に必
要な増殖因子として(
1
2
)、の 3つの別荷の研究により発見された経鎗がある.
その後、それぞれの研究が整理・統合され、 f
G
F
1、I
G
F
I
Iの 2つに集約さ
れており、 1978年に R
inderknechtとHumbelにより、その一次槍造が明ら
かにされている (
1
3
)
. その後も、発見の経鎗をもとにいくつかの用範が用い
られ混乱した状態にあったが、 1987年の呼びかけにより f
G
Fという用績に統
1
4
)
.
ーすることが決定され、現在に至っている (
I
G下 fc凶 Aは1983年 Jansenらによってヒトのものがクローニングされ
たが (
1
5
)、現在では多くの種で I
G
F
fc
側 Aの術造が明らかとなっている
(16-21).それらの情造解析の結果、 I
G
F
Iの一次情造は進化の過程で非常
によく保存されていることが明らかとなっている.
ラット f
G
F
I
I
、
t
; 1987
年にいくつかのグループから c凶 Aの分援が相次い
2
)
. 同時期に筆者の共同研究者であった加麓も c削 Aの
で報告された (16,2
クローニングに成功している (
2
3
)
. それらによると、ラット f
G
F
fは70アミ
ノ磁からなっており、ヒト I
G
F
Iと比絞したところ 20
番目のAspがProに.
35番目の SerがlIel
こ67番目の AlaがThrに変わっていたが、全体として
非常に高い相向性を示している.
I
G下 Ic聞 Aのクローニングが進む内に、 5・非翻訳領媛 (
5・UTR)と3・UTR
に異なる構造を持った cDNA
が存在していることが明らかになり (24-2町
、
多くの研究が行われた結果 F
ig
.1に示したような 1
G
F
I genome術進が明ら
fass 1
かにされた.まず 5'UTRに関しては、Exon1から始まる mRNAがc
(更に Exon1の内 186bpがs
p
l
i
c
i
n
g
l
こより除かれたものも存在する. F
i
g
.
l
参照)、 Exon2から始まるものが c
l
a
s
s2とされている (
F
i
g
.
1
).また、
I
G
F
I遺伝子の正確な転写開始点ははっきり確定したものではなく、いくつ
かの場所から、無作為に読み始められることが明らかにされている (
2
7
)
(
F
ig
.
1).これら 5'UTRの生理的重複に関して、 Loweらは成長ホルモンによる調
Iass2であり、 C
Iass1はhousekeeping的に発現して
節を受けているのがC
いるとの考えを示しているが (
2旬、詳級 l
ま不明である.
一方、 3
'UTRI
こ関して、約 6.
0kblこ及ぶ長い Exon6が存在しており、 Exon
6中のいくつかの polyA付加シグナルが選択的に使用されていることが明ら
3
品
LJ
・
圃
・
・
m
a
t
u
r
eI
G
F
・l
Lー」
し」
n
Exon1及びexon2の下に示した小さな矢印は転写開始点を示す. Exon1をl
e
a
d
e
rexonとして生成し
たmRNAをclass1と
、 exon2をl
e
a
d
e
rexonとする mANAをc
l
a
s
s2と呼んでいる. Exon5をスプライ
シングするか否かにより、 Eaまたは Ebの異なる 3
'下流領織を持つ mRNAが生成ずる。 Exon6の下の
小矢印は polyadenylations
i
t
eを示す.どの転写産物も翻訳され、 Pre-B・C・A・D-Eからなる p
r
e
p
r
oIGF
1を生成し、愚終的に黒いパーで示したように B・C・A-Dからなる matureI
G
F
Iが生成する。
Fig.1 ラット I
G
F
Iの遺伝子情造(文献217より)
。
Class1 mRNA
m
a
t
u
r
eI
G
F
・1
かにされている. I
G
F
IcDNAを用いて northernb
l
o
t分析を行うと 、複数の
G
F
ImRNAが検出されることが多くのグループにより報告さ
長さの異なる I
れており (29,30)、筆者も同じ結果を得ている (
31)。この複数種の mRNAが
どのような機構で生成するのかに関しては、 cDNAの解析から得られた結果
を基に討論されていたが、 Lundらが RNaseHを用いた実験を行った結果、 5・
UTRではなく 3'UTRの違いにより、 mRNAの長さが異なることを証明した
(32)。その後の研究によりもっとも長い Exonである Exon6のシークエンス
が明らかにされており、その結果によると I
G
F
I mRNAの長い 3・UTRには
mRNAの分解速度を調節することが知られている AUr
ich配列が存在してお
り、異なる長さの I
G
F
I mRNAがそれぞれ異なる半減期を有していることが
明らかにされている (33,
3
4
)
. この点に関しては、第一章で詳述する.
更に、 p
r
o
l
G
F
1にExon5が含まれているものと含まれないものの 2種類
が存在していることが示されており (
2
6
)、C末端のアミノ磁構造の変化によ
り分泌型の I
G
F
Iと
、 N末端が切断された形で細胞に対して a
u
t
o
c
r
in
e
r
こ作用
GF-Iに分かれる可能性が考えられている (
3
5
)。
する型の I
(
b
)IGF-Iの発現調節
IGF・│は血中に高い濃度(インスリンの 100倍)で存在しているが、血中
I
G
F
Iは、進流肝臓を用いた実験により 95%以上が肝臓由来であることが明
らかになっている (
3
6
)
. しかし、現在では肝臓だけでなく非常に多くの臓器
でI
G
F
I遺伝子が発現していることが I
G
F
Iタンパク質のレベル (37,
38)
でも、
IGF-ImRNAのレベル (16,
29)でも明らかとなっている.
I
G
F
Iは非常に多くの組織で発現しているため、臓器ごとに種類の異なる
多くの因子により調節を受けている.ここではいくつか例を挙げるにとどめ
るが、卵巣において FSH
の刺激により穎粒膜級胞での I
G
F
I合成が促進され
る(
39)、精巣細胞において LHにより促進される (
4
0
)、甲状腺において TSH
により合成・分泌が促進される (
41)、などがある.これらを見れば、 I
G
F
I
の発現調節に共通の図式が分かる.すなわち、各組織に特異的に作用する
t
r
o
p
h
ichormoneがその組織における I
G
F
Iの発現を促進し、そうして合成・
分泌された I
G
F
Iが成長や分化を促進するという図式である。
I
G
F
Iの主要な生産臓器である肝臓では、これまでの研究で I
G
F
I遺伝子発
現調節において GH、インスリン、栄養状態の 3つが中心的役書りを果たしてい
ることが明らかにされている。前述の図式から考えると、肝臓については、
t
r
o
p
h
ichormoneである GH以外にも重要な発現調節因子が存在していると
考えられる.
GHが I
G
F
Iの発現を調節していることは、以下のような報告から明らかで
5
圃圃圃L._
ある.つまり、下重量体除去動物では血中 I
G
F
I浪度が低い (
4
2
)、これはGH投
与により回復する、正常状態でも GH投与により血中 I
G
F-I
濃度の上昇が観察
されること (
4
3
)などである.この I
G
F
Ii
室生の GH
への依存性は肝臓以外の組
織でも観喫されており 、GH
の刺激により I
G下 ImRNA量が滑加することが確
寵されている (
3
0
)
.
インスりンに関する報告としては、実験的穂尿病ラットでは血中 I
G
F
I
;
.
&
度の減少がみられ、これはインスリンの役与により回復する (
4
4
)
. この際、
肝臓中の I
G
F
ImRNA量が減少しており、インスリン投与により滑加するこ
とが確寵されている (
45,
46)などがある.機尿病時に見られる現象で注目に
G
F
I
;
.
&度の上昇が観察さ
値するのが、槍尿病ラットに GHを投与しでも血中 I
れない、すなわち GHresistance
が見られることである (
4
7
)
.
続尿病時と同様、 GHr
e
s
istance
/
)
f
観察されるのが、低栄費量状態時である.
例え l
ぎ、低タンパタ質食慎取時には血中 I
G
F
I濃度が減少しているが.これ
はGH
投与によっても回復せず.更にこのとき肝磁の GHreceptorの数、親和
性には変化がないことが確認されている (48-52).
栄褒状態と I
G
F
Ii
室生調節に関レても、これまでに多くの研究が行われて
いるが、そのいくつかを紹介すると、 I
s
l
e
yらは 5日間絶食させたヒトに妓
取カロリーと侵取タンパク質量を変化させた食事をとらせ、血中 I
G
F
I滋度
の変化を解析したところ 、タンパク賓が欠乏しているもののカロリーは充分
に含んでいる食事では正常値には遣しないものの血中 I
G
F
I濃度の上昇が観
察され、両者が欠乏した食事では絶食時よりも更に血中 I
G
F
I漢度が減少す
ることを綴告し、血中 I
G
F
I漫度の維持にはタンパク質量よりもカロリーレ
ベルの方が重要なファクターであると結詰している (
5
3
)
.P
h
i
l
l
i
p
sらr
;
t3日
聞の飽食により血中 I
G
F-I
;I度が減少し、その回復には充分量のカロりーと
タンパク貨を含んだ食餌が必要であることを報告している (
5
4
)
. また、
Merimeeらは、血中 GH
濃度が低い患者では、絶食時!こ GH
を役与しても血中
I
G
F
I滋度は、通常時の 5分の 1の上昇しか示さないこと、すなわち先に述
べた GHr
e
s
istanceが観策されることを報告している (
5
5
)
. これら以外にも
多くの報告がなされているが、そのほとんどは、絶食、再給餌、自慢取タンパ
ク質レベル、横取カロリーレベルと血中 I
G
F
I滋度の関係を観察したもので
あり、タンパク質栄獲の視点から解析は行われておらず、わずかに Bolzeら
G
F
I活性の減少を報告しているのみである (
5
6
)
.
がアミノ酸欠乏による血中 I
(
c
)IGF-Iの生理作用
先にも述べたように I
GF-I
は多くの陵器で発現していることが確寵されて
いるため、その生理作用は非常に多岐にわたるものとなっている。
6
圃
‘
ー一
IGF・1
の作用様式については、当初肝臓から分泌された I
G
F-I
が各種組織に
運ばれて作用を示す endocrine様式が考えられていたが、現在ではそれぞれ
の組織で発現した I
G
F
Iがそこで作用を示す a
u
t
o
c
r
ineノparacrine後式が
主であると考えられている.
G
F
Iの生理作用を一部示すと 、筋細胞の増殖の
現在までに知られている I
57,5旬、織維芽細胞の相殖
促進およびタンパク質合成の促進、分解の抑制 (
促進(
59)とコラーゲン合成の促進 (60)、骨芽細胞の増殖促進 (
6
1
)、卵巣頼粒
6
2
)‘精巣
餓細胞における FSHによるプロジヱステロン合成促進の備調作用 (
ライディヒ細胞でのLHによるアンドロジ工ン合成促進の滑強(63)、甲状腺由
来細胞 FRT
し 5でのTSHの作用場強 (64,65)などがある.さらに飯近では初
n
d
o
t
h
e
li
n・3の分泌を促進する
代培獲された脳下垂体前薬細胞に作用し、 e
との報告もある (
66),先に (
b
)発現調節の項で述べたように、これら作用が
見られる臓器、徳的細胞ではそのほとんどで I
G
F
Iが産生されており、また、
その I
G
F
Iの産生はそこに作用する t
r
o
p
h
ichormone(GHを含む)により調
節されている.すなわち、 l
o
c
a
lt
issueにおける I
G
F
Iの作用は、その組織
が相殖・分化のシグナルを受け取った跨に合成・分泌され、 a
utocrine/
paracrineに作用し、シグナルを槽強し、増殖・分化をより顕著に進行させ
ることであると考えられる.
以上のような細胞を用いた実験結果だけでなく、近年では ;
nvivoでの直
鍍的な作用を解析した知見も得られている.伊j
えば、下霊体除去動物や GH欠
損マウスに I
G
F
Iを注射する実験より、動物の成長を促進させる作用が確慢
されている. B
allardらや Underwoodらのグループは、種々の生理的条件
下においた動物に組み告書え型 I
G
F
Iや N末織を切断し IGFBPへの結合能を変化
G
F
I
;
を注射し、その成長促進作用、タンパク賀代謝改著作用を報告
させた I
している (67-71). このように、 I
G
F
Iが生体の成長や体タンパク賀代謝を
調節する重要な因子であることが、徐身!こ恒明されつつあるが、完全なliI明
には I
G
F
I欠績動物が必要である..近 I
G
F
IgeneとI
G
F
Ireceptorgene
のknockoutmouseの作成が報告され (
7
2
)、I
G
F
Igeneの欠鍋動物 l
立、先
l
に報告されていた I
G
F
I
Igeneの欠損動物 (73)と同様、誕生時にすでに身体
G
F
Ireceptorの欠損
が小さく、その後の成長が悪いことが確毘され、一方 I
ま、誕生時にすべて呼吸不全により死亡することが確認された.更に
動物 l
I
G
F
Ireceptor欠損動物では筋肉だけでなく神経系の発達が悪いことも明ら
G
F
Iが、正常な成長だけでなく発生にも関与して
かになった.このことは I
いる可能性を示唆しておリ、 I
G
F
Iが生命にとり重要な分子であることが更
に確信される.
7
2)IGFBPについて
これまでの研究により血中に存在している I
G
F
Iの 99'
1
幼f
lGFBPと結合し
た状態で存在していることが明らかとなっており、 I
G
F
Iの生理作用の調節
因子として IGFBPは非常に重要なものであると考えられている.
現在までに知られている IGFBPは 6種鎮である. 1989年と 1992
年に行わ
れた IGFBPの用語を統一しようという呼びかけに準じ、 IGFBP-1から
IGFBP-6と命名されている (74,
7
5
)
. それらをまとめたものを表 1に示した.
IGFBP-1は、当初羊水から精製された BPとそれと同一の免疫学的性質を
示す一連の BPである (76,
7
7
)
. Adultラットでは、肝院と腎臓で発現してい
ることが確認されており、その血中で約 30kDaのところに検出される復数種
のBPのひとつが BP・1である.また、 IGFBP-1はその血中濃度に食餌領取に
伴う日周変動があること (
78)、絶食時や積尿病時に血中灘度カ塙いこと (79)、
内皮表面から細胞への I
G
F
Iの運織を促進する作用を有していること (80)な
どが知られている.
IGFBP-2(81-83)は、胎盤、胎児の血中や猪養肝癌細胞 BRL3Aの績地な
どから精製されたものを指し、分子量約 30kDaである. BP・ 2
1立当初 f
e
t
a
l
BPと考えられていたが、抗体が利用可能となり、種身の生物材料中での存否
が検討された結果、現在では a
dultでもわずかに存在していることが明らか
となっている.
BP-1とBP・ 2
1
こは RGD
配列が存在していることが知られており、細胞駿上
のインテグリン受容体を介して細胞表面に結合する可能性が考えられている.
IGFBP-3は、分子量約 50kDaの BPである (84-86). 血中では鎗鎖の修
飾により複数の分子量を持ったものとして検出される.更に血中では BP・ 3
とI
G
F
Iが結合した 2量体に、磁に不安定なサプユニット (
a
c
id 1
a
b
i1
e
s
u
b
u
n
it:ALS)(87)が結合し、分子量約 150kDaの 3量体として存在してい
る(
8
8
)
. また、妊娠時には血中に 1
GFBP-3を特異的に分解する protease活
性が検出されることが知られているが、その生理的意積は明らかではない
(89.
.
,
.
.9
2). さらに IGFBP-3には RGD
配列はないものの、トリ胎児線維芽細
9
3
)
.
胞においてその細胞表面上に結合郡位が存在することが報告されている (
IGFBP-3は
、 I
G
F
Iと同織の調節を受けており、 GH依存的に血中波度が変化
すること (94,
95)が知られている.また脳下垂体除去ラットや無タンパク質
食摂取ラットに I
G
F
Iを注射すると、血中IGFBP・3濃度が上昇すること (96)、
線維芽細胞に I
G
F
Iを添加すると IGFBP-3mRNA
量
、 IGFBP-3分泌量 n
f
!
1加
すること (
9
7
)が報告されており、 I
G
F
I自身がIGFBP-3の遺伝子発現を調節
していることが明らかとなっている.
IGFBP・ 4
1
、
志 TE89Humanosteosarcoma細胞が分泌する、 I
G
F
I作用
8
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.
分子量
生..冨
・
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l
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【遺伝手@位屋1 ,.シパタ.暗所在』
表1I
GFBPsの諸性質(文献 217より改変)
でな
ー
を阻害する i
n
h
i
b
i
t
o
r
yBPとして精製され、その後抗体を用いた解析により 、
血中に存在していることが明らかとなった、分子量約 24kDaの BPであるの 8
-101).霞近 n
e
u
r
o
b
lastoma中に BP-4mRNAが 2種類存在すること 、
BP-4タンパク質に糖鎖の修飾を受けた 28kDaのものが存在すること (102)
が明らかにされた.また皮膚の f
ib
r
o
b
la
s
tにおいて、 IGF-I
がIGFBP・ 4を特
e
r
ine proteaseを誘導することにより 、
異 的 に 分 解 す る metallo s
IGFBP-4濃度が減少するという報告 (103)もあり、 IGFBP-4には IGFBP-3
と同様、分解段階での調節機摘が存在しているようである.
IGFBP-5(104-107)、IGFBP
6(108)1草、卵胞波中に存在する BPとして
発見され、生体内では局所で発現されており、血中にはほとんど存在してい
ないと考えられているが、その発見がまだ新しいため詳細は不明である.
BPの存在が知られるとともに、もっとも興味が持たれたのは、 BPはI
G
F
I
の作用を修飾するのか、もしするならばどのように修飾するのか、という疑
問である.しかし現在もなおこの点は明らかになっていない.なぜならば、
この媛問に答えるための実験がほとんど場養細胞系を用いて行われており 、
G
F
Iの作用を阻害し (109,
110)、J
J
I
Jの細胞では
ある細胞では、 IGFBP-1がI
111,
112)といったように、用いる細胞系、用いる BP、また BPと
促進する (
I
G
F
Iをどの時点で添加するかなど条件の遣いにより、異なった結果が得ら
れ‘統ーした結諭が得られない状態だからである.しかし、数えて総合する
n
h
i
b
i
t
o
r
yに作用し、 IGFBP-3は
と IGFBP-1は ど ち ら か と い う と i
stimulatoryに作用すると考えて良いのではないかと筆者は考えている.そ
G
F
Iが滑加し、
のひとつの理由が栄養条件の良い時に、 IGFBP・3に結合した I
悪い時に IGFBP-1に結合した I
G
F
Iが唱えるという知見である (
8
)
. しかし、
現実に I
G
F
Iのt
a
r
g
e
torgan上で l
ふ あ る 種 の BPは細胞表面に結合して存在
し、別の B
PI
まi
n
t
e
r
s
t
it
ia
l spaceに存在し、それらが I
G
F
I receptorと
I
G
F
Iの取り合いを行っていると予想され、単純な織織では説明できないの
ではないかと考えられる.この点は、今後の解析の進展に期待したい.
第 4節
本研究の目的と本首文の構成
前節で述べたように I
GF-I
は生命の線源にかかわる分子である.事実 I
G
F
I
は血中に隻富に存在し、また l
o
c
a
lt
issueで合成・分泌され、その機能を果
o
c
a
lt
issueで果たしている
たしている.しかし、先に述べたような後能を l
G
F
Iは何のために存在しているのであるう
とすれば、血中に存在している I
G
F・1
濃度はインスリンのそれの 100倍以上であり、 BPと結合す
か.血中の I
ることにより血糖低下作用が発現しないように維持されているものと考えら
10
れる. I
G
F
Iを注射する実験から、いくつかの可能性が示唆されているが、
いまだ明確な答は得られていない.筆者らは、この e
n
d
o
c
r
ineI
GF-I
の機能
が体タンパク賀代謝の調節にあると考え、一連の実験を行っている.本論文
では、体タンパク賀代謝を調節していると考えられる栄養状態の変化により、
この e
n
d
o
c
r
ineI
G
F
I、すなわち肝臓での I
G
F
I遺伝子の発現がどのような
機構で調節されているかを解析し、さらに種 h の生理的条件下で肝臓の
I
G
F
I遺 伝 子 発 現 が ど の よ う に 変 化 す る の か を 解 析 し 、 そ の 結 果 よ り
endocrineIGF-Iのもつ生理的意複を考察することを目的としている.
そのため、まず愚初に食餌タンパク貨の貨と量を変化させた際に観察され
る血中 I
G
F
I;,t度の変化が、 I
G
F
I遺伝子発現の変化に起因しているのかを明
らかにするため、 I
G
F
Iの主要生産臓器である肝臓における I
G
F
Iの遺伝子発
現の変化を解析した.更に遺伝子発現の変化がどの段階で起きているのかを
明らかにするため、肝臓中での I
G
F・l
遺伝子転写速度を測定した.その際問
織に食餌タンパク貨の貨と量により mRNA
量が変化することが報告されてい
るIGFBP-lに関しても、その遺伝子転写速度を測定した.本論文の第一軍で
はこの点を詳述する.
G
F
I遺伝子発現調節織備を鮮細に解析するため、初代
次に、肝厳中での I
指養肝細胞系を用い、 I
G
F
I遺伝子発現が各種ホルモンによりどのように調
節されているかを明らかにした.同時に初代泊費E
肝細胞で発現している
IGFBP
である IGFBP-lとIGFBP-4に関しても、その遺伝子発現調節機構を解
析した.本論文の第二章、第三章がこれに当たる.
更に、内分泌系だけでは食餌タンパク貨による I
G
F
I、 IGFBPsの遺伝子発
現の変化を説明できないことが明らかとなったため、血中のアミノ厳灘度 1
J
1
調節因子として作用しているのではないかと考え、アミノ磁の I
G
F
I、
IGFBP-l,
-4遺伝子発現に対する作用に関しても検討を加えた.この点は、
第四章で詳述する.
1
1
第一章
食餌タンパク質によるラット肝臓での
I
G
F
I遺伝子発現調節
序論
緒言でも述べたように肝臓での I
GF・1遺伝子発現調節は GH、インスリン、
栄養状態によって行われていることが明らかにされている.
Emlerらは絶食時に 1
G
F
Iの主要生産臓器である肝臓中の I
G
F
ImRNA量
が顕著に減少することを明らかにし (
113)、栄養条件の変化による I
G
F
I漢度
の変化が遺伝子レベルでの変化によるものであることを初めて明らかにした.
StrausとTakemotoらは、これらの研気を更に進め絶食時に観察される肝厳
中の I
G
F
I mRNA量の減少は I
G
F
I遺伝子の転写速度の減少によるものでは
なく、 I
G
F
ImRNAの安定性などの転写後段階の変化によるものであること
を明らかにした (114,
115). しかし‘その多くの研究は栄養条件を変化させ
たといっても絶食の影響を解析したもの‘領取するタンパク貨の量を変化さ
せたもの、摂取エネルギー量を変化させたものがほとんどであり、タンパク
賀栄養の観点、から解析を加えたものは皆無である.そこで本軍では食餌タン
パク貨の質と量の遣いによる血中 I
G
F
I濃度の変化が、肝民での IGF・l
遺伝子
発現の変化の結果であるかを明らかにすることを目的とした.
第一節
食餌タンパク質の質と量の変化による肝障 IGF-I
遺
伝子発現調節
1- 1ー 1 序
既述のように動物の栄養条件の変化と血中 I
G
F
I浪度の変化、肝臓中 I
G
F
I
遺伝子発現の変化の関係に関しては、現在非常に多くの研究が行われており、
膨大な知見が蓄積されつつある.しかし食餌タンパク質の貨と畳に注目して
行われた研究はほとんどない.そこで本節では貨の良い食餌タンパク貨の例
としてカゼインを、そのままでは貨の良くないタンパク質として小麦グルテ
ンを取り上げ、更に食餌タンパク貨の量を変化させる群として無タンパク質
食群を綾定レ、これらをラットに摂取させた際の肝臓における I
G
F
ImRNA
量の変化を Northern6
1
0
t分析により解析することを目的とした.また、既
G
F
ImRNAI
こは 3・非翻訳領緩(
3・UTR)の違いによリ長さの
に遊べたように I
異なるいくつかの mRNAが存在することが明らかにされており (
3
2
)、それぞ
れが持つ3・UTRの違いにより mRNA
の安定性、個訳効率など伝写後の段階で、
12
異なる調節を受けている可能性が示唆されている.そこで、栄養条件を変化
G
F
ImRNA量の変化を解析すると同時に、長さの異
させた際に、肝臓中の I
なる I
G
F
ImRNAがそれぞれどのように異なる調節を受けているのかに闘し
でも解析を行った.
1-
,
-
2 方法
体重 150g
前後の Wis
t
a
r系雄ラットを 1j
群 5頭とし、 2日間固型飼料によ
-1にその組成を示した合成粉末飼料 (12%
り予備飼育を行った後、 Table1
カゼイン食 (12C区
)
、 12%:
グルテン食 (12G区)、無タンパク質食 (
P
F区) )
を用いて、 7 日間、 1日 8時間の mealf
e
e
d
ingを行った.その問、水は自
e
e
d
ing
訓練開始直
自慢取させ毎日の飼料鎮取量、体重を測定した. meal f
後に、飼料鎮取量がわずかに減少するものの、 3日目からは鍍取量が淘加し、
しかもその摂取畳のほとんどを摂食開始後 2時間以内に妓取するようになる.
8日目に同じ食餌を 1時間 30分担取させた後、すぐに頚動脈より EDTAを入
れておいたチューブに銀血し、 5000Xg,1Omin遠心して EDTA
血媛を調製す
る. 1*血と問時に肝臓を嫡出し、ただちに液体重索中で凍結させ、その後の
RNA
翻製用のサンプルとした.
G
F
I;Il度の定量に用いたが、 I
G
F
I議度の定量 l
;
t
以
銅製した血媛は、血中 I
下の 2通りの方法で行った.すなわち、得られた血媛をそのままサンプルと
して用いて、ヒトソマトメジン -C
定量用 RIAキット(栄研化学)により定量
する方法(以下この方法により定量した I
G
F
Iを血中 i
mmunoreactive
I
G
F
I
(
I
R
I
G
F
I
)とする)と血般を酸エタノール処理し、 I
G
F
Iを結合してい
るIGFb
indingproteinより遊厳させた後に (
F
i9
.
1
-1
)、同じ RIAキットを
用いて定最するもの(以下これを t
o
t
a
lI
G
F
Iとする)である.すなわちこ
こでは I
G
F
I灘度をヒ卜 I
G
F
I当量として値を示した.また、緒言にも述べた
ように I
G
F
Iは血中ではほとんどすべて IGFBPsと結合して存在している.従っ
て、よ記の I
R
I
G
F
IはIGFBPsと結合した状態で抗体と反応する I
G
F
Iを定
量していることになる.一方酸エタノール処理することにより I
G
F
Iが
IGFBPsから解厳することが、ヒト血般に関してすでに明らかにされている
ことから厳エタノール処理した後に定量している I
G
F
Iは血中の総 I
G
F
Iであ
11
6
)
.
ると考えられる (
肝陵中の I
G
F
ImRNA量の定量は以下のように行った.得られた肝臓より
t
o
t
a
l RNAをAGPC法 (117)により調製し、常法 (118)に従って変性ホルムア
ルデヒドゲルで電気泳動レ、ニトロセルロース膜 (BAS-85,S
c
le
icher&
S
c
h
u
e
l
l)にトランスファーした.ハイプリダイゼーションは、 40%
1X=
u.
1SM NaCI,O.015M
formamide,ZOmM リン酸緩衝液, 4XSSC (
13
s
‘
_
.
.
50
40
10
C
e
l
l
u
l
o
s
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M
l
n
e
r
a
lmlxture
u
r
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Vltamlnm肱t
50
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品
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50
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n
t
a
lYeastCo.
850
50
f
t
'Cornstarch
Soy-bean0
1
1
1.
0
720
120
P
r
o
t
e
l
n
f
r
e
e Gluten
(
1
2
G
)
(
P町
Caseln
Gluten
So
yp
r
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t
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l
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l
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t
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d(
S
P
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)
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L
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h
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L
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L
g
l
u
t
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m
l
ca
c
l
d
D
l
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t
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・1 CompositionofExperimentalDiets(9/k
g)
.
ul
O.855MT
r
l
sbase
S
t
o
r
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t4 Cu
n
t
l
lRIA
・
↓
.1.--
1
___
1
.
4mlRIAB
u
f
f
e
rContalnlng
Supernatant 10μl
F
i
g
.
1・
:
1 Procedureo
fAcid-EthanolTreatmento
fRatPlasma
…
∞
(
げ
P
h
恥r
附
陪
e
叩
岬
p
C
e
n
t
r
l
f
u
g
ea
t2000gf
o
r30mln,4o
c
Standf
o
r30mlna
tRoomTemperature
↓
↓
ThoroughMlxlng
↓
卜
←
…
伺
刷
州
凶
μl川
Plasma 10J
I
s
o
d
iumc
it
r
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t
e
),
5XDenhardt's s
o
lu
t
ion(
1X=U.
02%BSA,
f
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l
l and
p
o
l
y
v
i
n
y
l
p
y
r
r
o
l
i
d
o
n
e
),O.lmg/ml denatured salmon t
e
s
t
i
s DNA
(
S
igma,Boston,USA)の溶液で、 42"
C
, 12hrのprehybrid
iz
a
t
ionを行っ
た後‘同じ溶液に 10%dextrans
u
lf
a
t
e
(
S
i9ma,
Boston,
USA)と3X108
cpmの[辺 P}
labelledr
a
tI
G
F
I cDNAを添加し、更に 24hrインキュペー
卜することにより行った.ハイプリダイゼーション後、フィルターを
2XSSC,0.
1弧 DSで 65"
C
, 30min洗浄し、更に同浴波で室温、 30min洗 浄
した後、風乾し autoradiography(
F
u
j
i HRH X-ray film,F
u
j
i Film,
Tokyo,
Japan)に供した.用いた I
G
F-Ic[別Aは加藤により、 r
a
tl
i
v
e
r
c閃 Alibraryより c
l
o
n
ingされたものであり、 1
GF-1c
o
d
in
gr
e
g
ionの他、
exon1の5・
UTRとexon6の3'UTRの一部を持つ 750bpのものである (119)
.
3
2
cDNAは
、 α-[
p
] dCTP(NewE
n
g
landN
u
c
le
a
r,
1
11T
Bq/mmol)を用
いて、 n
icktranslationk
i
t(Takara,
Kyoto,
Japan)によりラベルした.
A
u
t
o
r
a
d
iography終 了 後 、 フ ィ ル タ ー を 50%formamide,10mM
phosphatebufferで65"
C
, 2hr洗浄し、更に 2XSSC,0.1%SDSで 3回洗浄
3l
して、ハイプリダイズしていた I
G
F
IcDNAをはがし、新たに[
P
]
l
a
b
e
l
l
e
d
β-actinc聞 A (東京大学農学部腹芸化学科発酵学研究室吉国稔助手より
ご供与いただいた)で同織にハイプリダイゼーションを行い、泳動された
t
o
t
a
lRNAの量が同じであることの確E
還を行った.
a
u
t
o
r
a
d
iographyにより得られた写真のバンドの定量は、デンシトメーター
(Cαnputin9Den
s
itometerACひ 18,
ATTO,
TokyoJapan)により行った.
1- 1- 3 結果と考察
7日間の mealfeedingを行った結果、 12C区のラットは 14.2gの体重滑加
が認められ、一方、 12G区では 2.
8g、PF区では 17.7gの体重減少が観察さ
れた.
その時の血中 I
G
F
I濃度は、 I
R
I
G
F・1
濃度、 t
o
t
a
lIGF・l
浪度ともにもっ
とも成長が良かった 12C区で高く、以下 12G,
PF区の順に低くなっていた
(
F
ig
.
l・ 2
).更にこれら血中 I
G
F
I濃度と体重変化の相関関係は、 F
ig
.
1
-3に
示すように非常に良い正の相関を示した.その際相関係数 l
立
、 I
R
I
G
F
I濃度
の方が 0
.
9
8
9
.t
o
t
a
l1
G
F
I.度の方が、 0.973であり、 I
R
I
G
F
I浪度の方
がより高い正の相関を示した.
度が動物の成長とよく相関している際に、 I
G
F
Iの
このように血中 IGF-I.
主要生産臓器である肝臓中の I
G
F
ImRNA
量を northernb
Io
t分析により定
量した結果を F
i
g
.
1・4
1
こ示す.ラット肝臓中には、 0
.8-1.2kbの比駁的 broad
なmRNAと
、 Z
.Okb,3.6kb,4.0kb,7.
4kbの少なくとも 5種類の長さの異な
1
6
h圃L..
20
THhdu-hOCOZEZoocoωmEωω
(吉﹄、コ)
、u
n
o
r
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v
e
圃 im町
o
t
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l
図 t
15
10
5
一
色
。
12G
12C
P
F
Fig.1・
2E行ectofd
l
e
t
a
r
yprotelnsontheconcentratlon
ofImmunoreactiveandt
o
t
a
lIGF
・
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1
7
2
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r
-total
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nuRdnu
﹄
(言﹄、コ )TMho-OCOZE言。υ
色
coueEω 旦
一
.
ト Immunoreactlve
唱・
5
PFQ
PF
0
・
30
10
-20 -
。
10
20
30
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g
)
o
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r
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l
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l
o
nbetweenplasmaI
G
F
.
I
F
l
g
.
1・3 C
c
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c
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l
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g
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w
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コO 司c
コoho芯ωむ凶
一w
O﹄也、C50一白h
O﹀コ冒E54ZEE-aMho- 02ωboC4 OEEoztoz
U
u
.
る mRNAが存在していた.どのラットの肝臓においても O.
8-1.2kbのものが
もっとも多く存在している.これらは、先の緒言でも述べたように、主とし
て3
'UTR
の違いによるものであり、
5
'
U
T
R
の違いは長さの違いには関与して
いないことがすでに明らかになっている.
G
F
I mRNAの総量 l
立
、 Fig.
1・5
に示すように、 12Cを100
これら 5種の I
としたすると、 12G,PFともに約 40となり 、 12G,PFでは明確な差は観察さ
れなかった.一方、長さの異なる I
G
F
ImRNAそれぞれの変化を見ると ‘
0.8-1.2kbと2.0kbのものに比べて. 3
.
6+4.0kbと7.
4kbのものがより食餌タ
ンパク質の質と量の変化に対して顕著に応答していることが明らかになった
(
F
i
g
.
1・6
)
. これら長い IGF-I mRNAは、短いものに比べてその半減期が短
いことがすでに明らかになっており (120)、この結果は、食餌タンパク貨の
貨と量の変化に応答して I
G
F
ImRNA量が変化するのは、 I
G
F
ImRNAの安
定性の違いによるものである可能性を示唆しているが、この J
点に闘してはこ
の章の第三節で群述する.
G
F
ImRNA
量は、食餌タンパク質の量だけでなく、
このように、肝臓中のI
賀の遣いによっても変化することが明らかとなり、更にその変化は I
G
F
I
mRNAの長さにより異なることが明らかとなった.動物が援取する食餌タン
パク貨の量の速いにより、血中 I
G
F
I濃度が変化すること、またその際肝臓
G
F
ImRNA量が変化することはすでにいくつか報告があるが、グルテ
中の I
ンのようにある種のアミノ援が欠乏している食餌タンパク貨の摂取によって
も血中 I
G
F
I濃度と肝鼠中の I
G
F
I mRNA量が変化すること、しかもその減
少は無タンパク質食を榎取している状態と同程度であることを明らかにした
のは、これが初めてである.次に、この結果を更に確恕するため、必須アミ
ノ践の欠乏状態がより顕著に観察される大豆タンパク貨を用いて、同織の実
験を行うこととした.
第二節
大豆タンパク質摂取時の血中 I
G
F
I漫 度 、 肝 臓
IGF-ImRNA量 の 変 化
1- 2- 1 序
第一節では、食餌タンパク質の質と量を変化させるために、カゼイン食、
グルテン食、無タンパク質食の 3者を領取させ、実験を行った.その結果肝
G
F
I mRNA量が食餌タンパク貨の量だけでなく、貨に対しても応答
臓中の I
することが明らかとなった.周知のとおりグルテンは AINの推奨アミノ厳パ
ターン (121)と比較すると、リジンとスレオニンが欠乏している.グルテン
食鍍取時の肝臓中の全 I
G
F
ImRNA量 1
:
'、無タンパク質食と同程度まで減少
20
-ー
120
.
・
h
ポ 100
、
‘
・
'
‘
屯
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LL
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12G
12C
PF
Flg.1・
5 TotalamountofhepaticIGF
・
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7
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f
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r
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n
ta
tP<0
22
していた.この減少はりジン、スレオニンの必須アミノ磁が欠乏しているた
めなのであろうか.この庭問に答えるため、本節では必須アミノ穫としてメ
チオニンが欠乏してる大 Eタンパク貨を用いて、大豆タンパク質食妓取時と、
メチオニン添加大豆タンパク貿食摂取時の比較を行った.ここでグルテンに
リジン、スレオヱンを添加する代わりに、大豆タンパク質を使用したのは、
大豆タンパク貨がカゼイン、グルデンと問機実際の食糧として重要であるこ
ともさることながら、リジン、スレオニンの 2種のアミノ磁欠乏よりもメチ
オニン 1種のアミノ磁欠乏の方が系として評価しやすいこと、また肝跨
I
G
F
ImRNA量の減少がこれら 2祖のアミノ酸欠乏時にのみ見られるもので
はないことを明らかにするため.などの理由によるものである.
1-2-2 方法
-2と問機に、体重 150g前後のWistar系雄ラットを 11
草5頭とし、
a
b
le1
・ 1
に組成を示した‘ 12%カゼイン食 (
C
)、 12%分 般
それぞれの群!こT
大豆タンパク質 (
1
5
0
1atedSoya-beanP
r
o
t
e
in1
:SP,不二製油)食 (
1S町
、
2%ISP+3.
2%L-Met食(1SPM)、無タンパク貨食 (
P
F
)の 4橿の食餌を、問
機に 1週間の mealf
e
e
d
ingを行うことにより援取させた.その後の処理は
2と同じであり、採血と肝織の摘出を行い、血中 I
G
F
I
J
I度の定量
GF
ImRNA量の定量を行った.ただし、 Table1
・1
に示すように、
と肝臓中 I
ISP食
、 ISPM
食ともにメチオニン添加の効果がより顕著観察されるよう、
.0%と 1.5%
添加した.
リジンとスレオニンをそれぞれ 1
,
,
-
,
,
,
--
1-2- 3 結果と考察
G
F
I浪度は 、I
R
I
G
F
I,t
o
t
a
lI
G
F
I浪度ともに先の第一節の結果
血中 I
S
Pにメチオニン
と同線、カゼインで高く、以下、 ISP,PFの順に低くなり、 I
を添加することにより、カゼイン食摂取時と同様のレベルまで上昇した
σablel-2). また、閉じくこれら血中 I
G
F
I濃度は、それぞれの群の体重
変化と良く相関していた.
G
F
I mRNA
量に関しては、わずかに異なる結果が得られ
一方、肝臓中の I
た(
F
i
g
.
1
7
)
. すなわち、グルテン食領取時には、カゼイン食摂取時に比べ
て、肝臓中に約 40~旬 IGF-I mRNA量しか存在せず、無タンパク質食t
裏取時
と差がなかったが、 ISP食領取ラットの肝厳中にはカゼイン食領取ラットの
1
)
切I
G
F
ImRNA量が存在し、カゼイン食摂取時と差が認められなかっ
約80
矧こまで減少している I
G
F
ImRNA
量はメチオニンの
た.しかし、この約 80
F
i
g
.
1・8
)
.
添加によってカゼイン食摂取時と同レベルまで増加した (
また、長さの異なる IGF・ImRNA
の分子穏に法目して解析を行うと、やは
23
‘
N
S
l
SPIM
SPI
12C
PF
C
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1
1
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P 121.0主 5.0 85.0土 4.0C
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+
1
.
2
り7.
4kbと3
.
6+4.
0kbの比較的長い分子種が、 ISP食摂取時‘すなわちメテオ
ニン欠乏時に顕著に減少しており、この減少はメチオニンの添加により回復
した (
F
i
g
.1
8
)
.
以上の結果より、肝臓中の I
G
F
I mRNA量は鍍取している食餌タンパク貨
の質であるアミノ厳組成に応答して変化し、欠乏しているアミノ磁の添加に
より I
G
F
I mRNA量が回復することが明らかとなった.更に欠乏しているア
G
F
ImRNA量の減少の程度が異なることも明らかとなっ
ミノ酸の種類により I
た.また、比較的長い分子種である 7.
4kbと3
.
6+4.
0
k
bの I
G
F
I mRNAの量
が短いものに比べてより顕著に変化したことから、食餌タンパク貨の貨と量
による肝臓中の I
G
F
I mRNA量の変化 I
立、主として I
GF・ImRNAの安定性の
変化によって調節されていることが予想された.そこで、次節では肝民での
I
G
F
I mRNAの合成速度、つまり I
G
F
I遺伝子の転写速度を測定することに
より、栄餐条件の変化による I
G
F
I mRNA量の変化がどのような緩衝による
ものかを明らかにすることを目的とした.また、同時にすでに無タンパク質
食侵取により、その血中濃度と肝臓中のmRNA量が相加することが明らかに
されている IGFBP-1(122)に闘しでもその転写速度を測定し、 I
Gト lと比較
検討することとした.
第三節
タンパク質の質と量の異なる食餌摂取時の IGF-I
及び IGFBP-l遺伝子の転写速度の定量
1-3-1 F
事
前節までの結果により、栄養状態に対応して I
G
F
Iの血中浪度が変化する
際に、 I
G
F
Iの主要生産臓器である肝慮中の I
G
F
I mRNA量が変化している
ことが明らかとなった.すでに述べたように I
G
F
I mRNAには主として 3
UTRの違いにより長さの異なるいくつかの分子種が存在し、それぞれが異な
る調節を受けている可能性が示唆されている (
3
2
)
. 今回筆者が明らかにした
栄養条件に応答した I
G
F
I mRNA.の変化もその一例であり、比鮫的長い分
子種が格に敏感に応答していることが明らかとなった.そこでこの I
G
F
I
mRNA量の変化が I
G
F
I遺伝子発現のどの段階で調節されているのかを明ら
かにするため、本節では各種食鰐タンパク震を捜取した際の I
G
F
I遺伝子の
uclearrun-ontranscriptionassayl
こより測定し、その機構
転写速度を n
を明らかにすることを目的とした.また、すでに共同研史者の竹中により同
僚の実験を行った際に、無タンパク質食慢取によりその血中濃度が顕著に滑
加し、肝臓中の IGFBP・1 mRNA量が増加することが明らかにされている
IGFBP-lに関しても (
1
2
2
)、同時にその遺伝子転写速度を測定し、 I
G
F
Iと
・
27
比駁検討した.既述のように IGFBP・1はa
d
u
ltr
a
tでは肝臓と腎臓でのみ発
現しており 、肝臓が血中 IGFBP・1の主要な生産臓器であることが明らかにさ
れている.
これまでに絶食したラットの肝臓において I
G
F-ImRNA
量は減少するもの
GF・│遺伝子の伝写速度はわずかに減少するものの大きくは変化しない
の
、 I
G
F
I
こと (114)、食餌タンパク質のレベルを変化させていった際の肝臓中の I
G
F
ImRNAの安定性が関与していることが報告されて
mRNA量の変化には I
いる (115). し か し 、 今 回 筆 者 が 行 っ て い る margin
a
l amino a
c
id
d
e
f
i
c
iencyのような条件下での解析は報告されていない.絶食のような極織
な条件ではなく、通常の食生活上で充分起こりうる状況下での変化を解析す
ることは、非常に重要であると考える.
1-3-2 方法
単厳核の鋼製およびnuclearrun-ont
r
a
n
s
c
r
i
p
t
i
o
nassayはMarzluffら
124)にしたがって行った.以下にそ
の方法 (123)を元にした Nawaらの方法 (
の詳細を記す.
1)単蔵事実の調製
1-1 ー 1と同じく、 12%カゼイン食、 12%グルテン食、無タンパク質
食の 3種の食餌を用いて、問機の飼育を行ったラットの肝臓より単荷量該の調
製を行った.すなわち、ネンブタール麻酔を行ったラットを開腹後、門脈に
カニュレーションし、肝臓に氷冷した lOmMT
r
is
-H
C
I(
p
H
8
.
0
),O.14M
N
a
C
Iを lOOml潅流し、完全に脱血させる.脱血した肝臓の約1.0gを採取し、
10倍 量 の Buffer 1 (0.32M Sucrose
,10mM Tris-HCI pH8.0,3mM
CaCI 2 • 2mM Mg(民民同>Z.O.lmM EDTA,0.1%肋 n
idet P-40,1
mM
Det
h
io
t
h
r
e
it
o
l (DTT), 0
.
1m M P
h
e
n
y
lmethyls
u
lf
o
n
y
l f
lu
o
r
ide
unce
(PMSF))中で、ホモジェナイズする.その際、ホモジェナイザー(Do
型.Wheaton) は1
oose-f
it
t
in9のものを使用する.得られたホモジェネー
トを 150meshのナイロン膜で漣過し、 SOOXg,
5min,
2
"
(
;で遠心する.沈殿
を 3mlの B
uffer 1に懸濁し、 7.5mlのBuffer 1(2M Sucrose,10mM
0.1mMEDTA,1mMDTT,O.lmM
Tris-HCI pH8.0,3mMMg(OCOCH3h,
PMSF)とよく混合する.この混合液を‘あらかじめ 3.5mlのBuffer1
1をクッ
ションとして入れておいた超遠心用チュープ内で重層し、 SO,
OOOXg,1h
r,
2
"
(
;で超逮心する.逮心終了後、沈殿として得られる精製単圏直磁を O
.
l
m
lの
Buffer 111(25%Glycerol,50mMT
r
i
s
H
C
Ip
H
8
.
0
. 5mMMg(ぽ OCH3
)
Z
'
O.lmMEDTA
,5mMDTT,
O.lmMPMSF)に懸濁し、血湾計算盤で核数を測
nv
i
t
r
o転写反応に使用するまで液体重索中で保存する.
定後、 i
28
2)Invitro転写反応
ま、以下のようである.すなわち、 4
0
μ
│の 2mMATP,CTP,
反応液 l
)
2
GTP(pH7.0),5
0
μ
│の 0.6MK
C
I,12.5mMMg(
民 OCH
,Buffer1
1
1を用い
3
8
て希釈し 、 10 n
u
c
le
iImlの濃度に調整した単調E
緩溶液 1
0
0
1
1
1,1
0
μ
l
n
g
landN
u
c
le
a
r,
760μCi
/mmol)の計
(100μCi)の α・[32p}UTP(New E
200μlの混合液である.この液を 25"
C
, 40minときどきゆっくりと鋭鉾し
ながら反応させる.反応終了後、 RNase f
ree ONase 1(
B
o
e
r
inger
を1
5
μg/ml の濃度で反応波に加え、更に 25"Cで20分間インキュ
Mannheim)
.8mlの 1%SOS, 10mM EDTA
ベートし反応を停止させる.続いて 1
(pH7.0)を添加し、援を可溶化する.
.
8
)と 2mlの p
h
e
n
o
l核の可溶化後、 0.2ml の 3MCH3Cα別 a (pH 4
32
C
, 10min激しく娠還し、[
pト1
a
b
e
l
led
chloroform (
1
:
1
)を加え、 55"
OOOXg,1Omin,
RNAを抽出する.次いで. 5min氷中で保存した後、 12,
2
"Cで遠心し、水層を分隠する.得られわ'1<1
1に2
.
5v
o
lのエタノールを加え、
・2
0"cで少なくとも 1h
r放置し 、RNAを沈殿させる.生成したエタノール沈
殿を 27,
000Xg,20min,O"Cで遠心して回収し、経く風乾させた後 1001-1-1
の
BufferIV(10mMTris-HCIpH7.6,0.
1MNaCl,0.
1%505,1mMEDTA)
に溶解し、更 l
こSephadexG
-50(medium)を用いた Spun-c
o
lumnI
去により
ゲル漫過を行い、 RNAに取り込まれていない [
3
2
p
]
_UTPを取り除く.
3)Invitro転写生成物の定量
i
nv
;
t
r
o転写反応により生成した IGF-ImRNA、1
GFBP-1mRNA
量の定
3
2p}RNAをあらかじめフィルターに固定しておいたそ
量は、 2)で得られた[
れぞれの cONAとハイプリダイズさせることにより行った.すなわち、
pUC119にサブクローニングされた IGFIcONA、IGFBP-1c倒 Aを制限醇
棄処理により l
in
e
a
r
izeし、エタノー J
レ沈殿、回収、乾燥後‘ 2MN
aC
I,
O.
2MNH.CIに100μgc聞 A/mlの濃度に溶解し、 3min煮沸後直ちに急冷し
て 削A を変性させる.蒸留水、20XSSC
の順にあらかじめ浸しておいたニト
ロセルロース膜!こ dot-刷 o
t装置を用いて、上自己聞A溶液を 5
0
.
.
1ずつスポッ
卜する.各dotをO
.lmlの 20XSSC
で 2畠洗浄し、フィルターを室温で風乾後、
80"
C
, 2hr真空下で Baking
する.今回用いた c側 AI
立、筆者が本研究を行っ
た東京大挙鰻学部栄養化学研究室において、それぞれ加蔵 (119)‘竹中
(122)によりクローニングされたものであり‘ともに pUCl19にサプクロー
ニングされている.また、非特異的結合量を測定するため、 c
側 Aを含んで
いない pUC119も同様に処理し、コントロールとした.
29
作成したフィルターは、 50%formamide,
5XSSPE(1X=0.
12MNaCI,
1mMEOTA,0.
01MNaH
P0
H7.
4
)
, 5XDen
t
可a
r
d
t
'
s5
0
1u
t
ion,0
.
1%SOS,
4p
z
O.
lmg/ml denaturedsalmont
e
s
t
i
sDNAの溶液中で 42"
C
, 12hrプレハ
イプリダイゼーションする.プレハイブリダイゼーション終了後、1.0X106
cpm/O.
Sml プレハイプリダイゼーション溶液の濃度になるよう 2)で観製し
3
Z
た[ pトRNAを添加した溶液中で、フィルターを 42"
C
, 72hrハイブリダイズ
する.ハイプりダイゼーション終了後、フィルターを SXSSPE,
0.
1% SOSで
洗浄し、風乾後オートラジオグラフィーに供する.得られた結果の解析、定
量は FUJIX BAS2000イ メ ー ジ ア ナ ラ イ ザ ー (
F
u
jiF
i1
m C
o
.,Tokyo
,
Japan)により行った.
1-3-3 結果と考察
食餌タンパク貨の賀と量を変化させた食餌を捜取させたラットの肝僚にお
いて、 IGF・l
遺伝子の転写速度は、 F
ig.l・9に示したように、カゼイン食援
、策タンパク質食侵取時には
取時を 100とすると、グルテン食領取時には 76
77となり、グルテン食、無タンパク質食ともに約25%:
わ減少を示したものの、
3者に統計的に有意な差はなかった.この結果より食餌タンパク貨の貨と量
G
F
I
i
宣伝子の転写速度は変化していない
を変化させた際 、ラット肝臓中の I
ことが明らかになった.すなわち肝臓での I
G
F
I遺伝子の転写速度は、摂取
する食餌タンパク貨の貨と量によっては調節されていないと考えられる.先
に示した I
G
F
ImRNA量の変化 l
立、主として長い mRNA
に顕著に見られたが.
これら長い 3 UTR
を持つ I
G
F
ImRNA(
立、その 3 UTR
中
!
こ mRNA
の分解を促
進することが報告されている配列を有していることが明らかになっており
(33,
34)、短い I
G
F
ImRNAI
こ比べてその半減期が短いことが知られている
(120).今回、食餌タンパク貨の貨と量を変化させても肝陵中の I
G
F
I遺伝子
の転写速度には変化がなかったことは、肝路中での I
G
F
ImRNA
量の調節は
の方
主として伝写後の段階で起こっていることを示峻しており、長い mRNA
がより顕著に減少傾向を示した結果をよく鋭明することができる.
一方、 F
ig
.1
-10に示したように、 IGFBP-1遺伝子の伝写速度(;t.カゼイ
ン食摂取時を 100とすると、グルテン食慎取時は 151でありわずかに上昇す
る傾向を示しているものの統計的に有意な差は見られないが、無タンパク質
食捜取時には 420と統計約に有意な明加を示した.すでに竹中らは同僚の条
GFBP-1mRNA量が、カゼイン食領取ラットと比べて無タ
件下で肝臓中の I
ンパク質食摂取ラットでのみ顕著に槽加し、グルテン食領取ラットではほと
んど変化しないことを報告しているが (122)、今回得られた IGFBP-1遺伝子
・
・
の転写速度の結果は 1
GFBP-1 mRNA量の蜜化とよく相関しておリ、
30
圃 圃.
A
.
.
.
Casein
Gluten
Protein
Free
•
同JC119
B
5
0
0
400
ω
﹂a
300
∞
2
100
o
F
l
g
.
1・
9E
f
f
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nA
31
;
.
.
.
a
A
Casein
Gluten
P
r
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Free
pUC119
B
200IIGFB判
1000
800
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Q.
400
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g
.
1・10 E何:
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fIGFBP-IGeneI
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n
a
l
y
s
i
s hybndiz
32
圃圃.
IGFBP・1遺伝子の食餌タンパク質による調節は主として遺伝子の転写段階で
行われていることが予怨される. IGF8P-1遺伝子の発現調節に関しではすで
に多くの報告があり、その p
r
o
m
o
t
o
r領織とそこに結合する転写因子も明ら
かにされている (125-129). その点に関しては第三章で詳述するが、Il近
無タンパク賃食自慢取時に、肝厳特異的施写因子である HNF-1の結合後式がカ
ゼイン食領取時とは異なることが示され、タンパク賀代謝の変化に伴う
IGFBP-1遺伝子発現の調節織構の一端が明らかにされつつある.
第四節討論
本.で明らかになったことをまとめると以下のようになる.
1.食餌タンパク質の賀と量を変化させた食餌をラットに摂取させると、血中
IGF・1
濃度が変化するとともに、その主要生産臓器である肝臓中の I
G
F・l
mRNA量が変化する.
2
.特に食餌タンパク賀の賀を変化させた編合、ある種の必須アミノ霞が欠乏
している状態 (
m
a
r
g
in
a
la
m
in
oa
c
idd
e
f
ic
ie
n
c
y
)に対しても、肝陵中の
IGF・ImRNA量は敏感な応答を示し、欠乏しているアミノ酸を摘充すること
により減少状態からの回復が観察された.
3
.この IGF-ImRNA量の変化 l
立、いくつか存在している I
G
F
ImRNAの肉、
比般的長い分子種により顕著に観察された.
4
.同条件下で、肝陵中の I
G
F
I遺伝子の転写速度を定量したところ大きな変
化は見られず、肝臓での I
G
F
I遺伝子発現の調節は、主として転写後の段階
で行われている可能性が示唆された.
5
.同時に、測定した IGF8P-1遺伝子の伝写速度 l
まmRNA
量の変化に対応し
た変化を示し、肝臓での IGF8P-1遺伝子発現調節は、 I
G
F
Iとは異なり主と
して伝写段階で行われていることが明らかとなった.
肝膿における I
G
F
I遺伝子発現が栄養状態により調節されていることは多
くの研究者が報告しているが、タンパク貿栄穫の観点から解析したのは、本
研究が初めてである.無タンパク質食債取時だけでなく、 Lys,
Thr
が欠乏し
ているだけでタンパク貨の量は充分に含んでいるグルテン食鍍取時に肝隊中
捌G
F
ImRNA量が無タンパク質食領取時と間程度まで減少していたことは、
G
F
I遺伝子発現の調節に重要な役割
食餌中のアミノ酸バランスが肝臓での I
を果たレていることを示しており、新しい発見である.また、問機に栄餐状
態の変化により遺伝子発現が変化することが知られていた IGFBP・1が
、
I
G
F
Iとは異なり遺伝子の転写段階で調節されていることを明らかとしたこ
33
とも今回得られた新知見である.
それでは、どのような機衝で肝臓中の I
G
F
IおよびIGFBP-1遺伝子の発現
が変化するのであろうか.
I
GF-Iに関して、まず最初に考えられるのは内分泌系の関与である. I
G
F
I
遺伝子の発現調節において中心的役劃を果していることが知られているのは
G
H
)である.憲近、栄養状態の変化に伴って、血
既述のように成長ホルモン (
中GH
濃度が変化することが報告された (
130). しかし、多くの i
nv
i
t
r
o
,
i
n
v
i
v
o系を用いた解析より GHIまIGF-I遺伝子の安定性の促進よりは転写を促進
に働いていることが明らかにされており (131-133)、血中 GH
滋度の変化が
今回観察された減少の原因である可能性は低い.また、種々の生理的条件下
(絶食時を含む)で肝臓の GHr
eceptor数が変化するという報告があるが
(134)、Maesらは食餌中のタンパク賀含量を少なくした際に、 GHを役与し
でも血中 I
G
F
I濃度が上昇しない、すなわち GH-r
e
s
istanceが見られる状況
下の肝臓中の GHr
eceptor数を測定しているが、 GHreceptor数は変化せず、
GHresistanceはGHreceptor以降の細胞内での陣寄が原因であると報告し
ている (48-52). 今回観察された I
G
F
ImRNA
の安定性の変化 l
立、この細胞
内で起きた障害を観獲したものと思われる.
他のホルモンの中では、インスリンが種々の遺伝子に対してその伝写調節
とmRNAの安定化の作用を示すことが知られている (
135). しかし、すでに
宮川により報告されているように、今回用いた飼育条件下ではインスリンの
血中濃度は、動物の成長速度と相関していない (
4
)
.I
G
F
I遺伝子発現は成長
速度と相関しているわけであるから、血中のインスリン滋度が、肝隠の
I
G
F
I遺伝子の発現調節において大きな役割を果しているとは考えにくい.
mRNAの安定住の錦節鎌槍 I
主、転写機備と比べるとほとんど解明されてい
ないといって良く、ここで鉾細に討論することはできない.しかし、今回顕
著な変化を示した比般的長い I
G
F
ImRNAI
ま、その 3'UTRI
こmRNA
を不安定
i
c
h配列 (AREs)を持っており (33,34)、その
化させると考えられている AUr
配列に AREb
in
d
ingp
r
o
t
e
inが結合し、mRNA
の分解を調節レていると考え
られる (136,
137). しかし、 AREb
in
d
ingp
r
o
t
e
inの正体はまだ完全には
判明しておらず、生理的条件の変化による動きに関する研究もなされていな
い.今回の I
G
F
ImRNA量の変化 l
草
、 AREb
in
d
ingp
r
o
t
e
inの変化が関与し
ている可能性があるが、それは今後の検討課題といえるであろう.また、
mRNAの5 UTRも安定性の調節に重要な役割を果している可能性があるが、
・
I
G
F
I mRNAに関してはすでに加厳により、栄養条件に応答した I
G
F
I
量の変化が起きる際に、 5UTRのtypeの違いによる差 l
まないことが報
mRNA
告されており (
2
3
)、その可能性は低いものと思われる.また‘グルテン食債
・
34
取時と無タンパク質食摂取時に肝
I
G
F
ImRNA量には差がない にもかかわら
G
F・1
浪度には有意な差があることは翻訳段階で何らかの調節が行
ず、血中 I
われている可能性、例えば栄養状態の変化により肝臓中の遊般アミノ磁浪度
が変化し、 a
m
in
o
a
c
y
l
-t
R
N
Aのc
h
a
r
g
in
9が変化し、そのため I
G
F
ImRNA
に結合しているリポソームに変化が起きる、翻訳段階の開始因子及び伸長因
子が栄獲状態の変化により量的、質的に変化しているなどが考えられるが、
各種生理的条件下での I
G
F・ImRNAの劃訳速度を測定することは非常に厳し
く、今後の検討課題である.
一方、 I
G
F
B
P
'に闘しては栄護状態の悪化に伴い肝臓での遺伝子伝写速度
が顕著に上昇し、 m
RNA量.血中滋度の変化とよく一致した動きを示した.
I
G
F
B
P'
遺伝子の情造は、そのクローニングは I
G
F
Iよりも遅かったにもか
かわらず、 I
G
F
Iよりも詳しく解析されている.現在 I
G
F
B
P
'遺伝子の転写
速度を上昇させることが明らかになっているものとしてグルココルチコイド
が(
1
3
8
)、一方低下させるものとしてインスりン (
'
3
9
)、成長ホルモン (
1
4
0
)
が知られている.今回観窮された低栄養状態での I
G
F
B
P・1
遺伝子転写速度の
上昇にこれらのホルモンの血中浪度の変化がどの程度寄与しているかは不明
であるが、先にも述べたように栄養状態の変化によりインスリン、成長ホル
モンの浪度が変化することが明らかとなっているので、これらのホルモンが
複合的に作用し、 I
G
F
B
P
1遺伝子発現を変化させている可能性が考えられる.
しかし、 f
t近渚養肝細胞を用いた実験により、泊地中の特定のアミノ磁を除
いた時に、 I
G
F
・1
及び I
G
F
B
P・1
遺伝子の発現が変化するという報告がなされ
ている (
1
4
'1
4
3
)
.筆者も同織の実験を行い、培地中のアミノ酸濃度が
I
G
F
B
P
'遺伝子発現に対して彫響するという結果を得ている.この J
点に関し
ては第四軍で詳述するが、低調世襲状態で惹起される肝 E
途中の遊厳アミノ厳浪
度の変化が I
G
F
B
P・1
遺伝子発現の変化の原因になっている可俊性が考えられ
る.
次.からは、 i
nv
i
v
oで観察されたここまでの結果を踏まえ‘これらの現
象をよリ詳細に解析するため i
nv
i
t
r
o系である初代指養肝細胞を用いて、
I
G
F
I
及び I
G
F
B
P
1の遺伝子発現淘節償却t
を解析した結果を示す.
35
第二章
初代培養肝細胞系における I
G
F
I及び
IGFBPの遺伝子発現の基礎的解析
序論
前章では、ラットが摂取している食餌タンパク貨の貨と量により、肝臓中
のI
G
F
I遺伝子発現が厳密に調節されていること、更にその調節が IGF・1
mRNAの安定性の段階で行われていることを明らかにした.また、同時に測
定した IGFBP-1の遺伝子発現も食餌タンパク貨の質と量により濁節を受けて
おり、それは I
G
F
Iとは異なり転写段階で行われていることを明らかにした.
以上の結果は、 wholea
n
imalを使用した i
nv
i
v
oでの実験により得られた
ものであるが、これらの結果がどのような機材陣で引き起こされたかを明らか
にするためには i
nv
i
t
r
o系での解析が必要である.現在ラット肝臓由来の細
胞織は数積額存在し、それぞれの性質が鮮細に解析されている.しかし、そ
れら様化細胞のいずれも i
nv
i
v
oでの肝繊能を完全には維持していないこと
が明らかにされており (144-146)、肝織能を完全に維持している織養株化
肝細胞は現在までに知られていない.そこで、本論文の以下の寧では、現在
知られている中でもっとも肝機能を良く維持していることが明らかになって
いる初代培寮肝細胞を用いて解析を行うこととした.
riendにより分厳法が開発され
初代指饗肝細胞は、 1969年!こ BerryとF
(147)、 1976年 l
こS
e
g
lenにより改良を加えられて完成し (14旬、以降多く
の研突に使用されてきた.これまでの解析では i
nv
i
v
oの肝般の織能のほと
んどを再現することが可能であるとされており、緑化細胞では行うことがで
きない実験や i
nv
i
v
oを反映した条件下での実験に良く使用されている.筆
者が本研突を行った栄蔓化学研究室においてもかねてより初代指養肝細胞を
使用して、肝臓中のタンパク質分角厚相臨機の解析を行ってきた (
1
4
9
)
. 初代箱
型
E
肝細胞は、実験のたびに細胞を分厳しなければならず、また通常の繕養条
件では長くても 2週間しか培養できないという欠点があるものの、より i
n
v
;
v
oに近い培後細胞が得られる利点は、この欠点を繍つであまりあるものと
考えられる.
このような性質をもっ初代培寮肝細胞は、 I
G
F
I研究の初期より使用され
ており多くの知見が得られている.現在までに得られている主な結果を述ぺ
ると、培地!こ GH
を添加することにより、 I
G
F
ImRNA
量
、 I
G
F
I分泌量が場
加する (131,132)、インスリンも同級の効果を有し (150
,151)、更に
I
G
F
Igeneの転写を促進する (152)、などである.この点については第三軍
で詳述する.
本章では、各種ホルモンや渚地中のアミノ酸などによる IGF
-I
,IGFBP-'
遺伝子発現調節機備を解析するために、まず初代培養肝細胞が IGFI及 び
IGFBP-l遺伝子発現の調節機構を解析するための系として適しているかを確
G
F
I遺伝子がどの
認することとした.すなわち、初代指養肝細胞において I
程度発現しているのか、IGFBPsのうちどの BPを発現しているのか、またそ
ま地養条件によりどの程度変化するのかを解析することを目的とした.
の発現 I
このような解析は、I
G
F
Iのみに関して‘また IGFBP・1のみに闘しては行わ
れているが、同ーの系で統一的に行った報告はなく、また稲告しているグルー
プにより IGF・l
や IGFBP・1の発現量が異なっている鴻合があることから、今
後の解析を行う上でも重要であると恩われる.同時にこのような解析を行う
ことにより、解析に最適の埼養条件が明らかになることも期待できる.
第一節
初 代 培 養 肝 細 胞 に お け る IGF-I及び IGFBP-'の 発 現
量の培養条件による変化
2-1-1 方法
(
a
)初代繕繋肝細胞の分限・情奏法
初代培養肝細胞の分隊は、 Seglenらの方法 (148)を改良した中村らの ;
n
s
i
t
uコラゲナーゼ潅流法 (153)により行った.すなわち Wistar系緩ラット
をネンブタール麻酔下で開腹し、門脈にカニュレーションを行う.前進流溶
液{組成はTable2・1に示した)を約 30ml/mi
nの流速で 5分間流し、肝 S
援
を脱血するとともに細胞聞に存在する 2価カテオンを除き、細胞聞の緩着を
緩くしておく.その聞に右心房に間後にカニュレーションを行い、湾波を循
環させる.前進流溶液を流した後、コラゲナーゼ溶液を濯流し肝路表面にコ
ラゲナーゼ湾液が浸出してくるまで、遭流を続ける.溶け出した肝E
遣を、ビー
カーにとり緩くはさみで細切しガーゼで漉過後、SOXg,1minの遠心を繰り
6
返すことにより精製する.精製した肝細胞は、生存率を測定した後 2Xl0
cells/60mmφdish(ここでは通常の c
e
l
lc
u
lture
用便刷 shを使用している.
Corning)の密度で、鑓種する.矯種後 24時間までは Wi1
1i
am's E(WE)
猪地
に1O%CalfSerum(CS)(UBC)を添加した培地を使用し、その後は血清無添
加の WEもしくは実験に使用するホルモンを含んだ WEを使用した.繕種後 2
時間で一度培地交自負し、以後 24時間ごとに繕地交換を行った.
(
b
)IGF-I及び IGFBPsmRNA量の測定
各 橿 mRNA量の測定の際には‘土産餐終了後細胞の培地を吸引レ、
autoclaveした PBS(
ー)
で 2回洗浄した後、 1・1・2で記した AGPC法で使用す
37
Table2・
1
Compositiono
fB
u
f
f
e
r
sUsedonPreparation
iver
o
fHepatocytesfromRatL
I
n
g
r
e
d
i
e
n
t
s
P
r
e
c
i
r
c
u
l
a
t
i
o
n
B
u
f
f
e
r
(g/L)
8
0
.
4
NaCI
KCI
CaCI2
NaH2P04・2H
20
Na2HP04・12H20
Hepes
PhenolRed
Collagenase
TrypsinI
n
h
i
b
i
t
o
r(58)
TrypsinI
n
h
i
b
i
t
o
r(EW)
0.078
0
.
1
5
1
2
.
3
8
0.006
EGTA
NaHC03
0
.
1
9
Glucose
0
.
9
0.35
Collagenase
8
u
f
f
e
r
(g/L)
8
0
.
4
0
.
5
6
0.078
0
.
1
5
1
2
.
3
8
0.006
0
.
1
0
.
0
4
0
.
0
6
0
.
3
5
T
r
y
p
s
i
nI
n
h
i
b
i
t
o
r(
S
8
):~oy ~_~~~ T!ypsi~ Ir:t h~~~t~r
T
r
y
p
s
i
nI
n
h
i
b比例 (EW):EggWhiteT
r
y
p
s
i
nI
n
h
i
b
i
t
o
r
Collagenase:c
o
l
l
a
g
e
n
a
s
eS
I (新田ゼラチン)
38
るS
olutionD(4Mguanidiniumthiocyanate,25mMsodiumc
i
t
r
a
t
e,
pH7.0;0.5%s
a
r
c
o
s
y
l,0
.
1M 2・mercaptoethanol)を添加し‘細胞を溶
去にしたがって行い t
o
t
a
lRNAを調製した.
解させた.以降の操作は、 AGPCi
mRNAの測定は、 1・ト Zと問機に各種プロープを用いた Northernb
l
o
t分析
により行った.
(
c
)I
G
F
I分泌量の測定
指地中の I
G
F
I量の測定は、槽地を磁エタノール処理し IGFBPを除去した
後に 1-1-2と同様に RIA
キットを用いて測定を行った.
(
d
)IGFBPs量の測定
ま
、 Western1
i
gand刷 o
t法(154)
繕地中に分泌された IGFBPs量の測定 l
により行った.すなわち得られた培地 3
0
μ
lを等量の non-reducedSOS
r
i
s,2mMEOTA,BPB適
PAGEbuffer(20%glycerol,5%SOS,20mMT
量
, pH6.
8)と混合し、 60"
C
で 15mini
ncubateした後、厚さ 2mm、12.5%
のゲルで電気泳動する.泳動経了後、常;去 (
8
)にしたがってニトロセルロース
膿(
5
c
h
le
icher&S
c
h
u
e
l
l ;BAS85)にトランスファーする.プロット終
n
idetP
-40を含む s
a
l
i
n
e(
s
a
l
i
n
eの組成は
了後、膜を取り出し、 3%No
0
.
15MNaCI,0
.
0
1M T
r
i5-H
C
I,0.05%s
o
d
iuma
z
ide)中で 4"
C
. 30min
a
l
i
n
e中で 4"
C
, overnightincubate
incubateし、次に l%BSAを含む同 s
する.この操作により lZ~_IGF_1 の nonspeci f
icな吸着を防ぐことが可能に
ncubation
終了後、 0
.
1% Tween20を含む s
a
l
i
n
e中で 4"
C
, 1Omin
洗
なる. i
浄し、 1
2年 I
G
F
I(
4
X
106cpm)とl%BSA,0.1%Tween20を含む s
a
l
i
n
e中
で更に、 o
vernightincubateする. i
n
c
u
b
a
t
ion終了後、フィルターを 0.1%
a
li
neで4 "
C
, 15min,次 l
こs
a
l
i
n
eで同織に洗浄し、軽く
Tween20を含む s
u
ji
xBAS2000イメージアナライザーを用いてオートラジ
風乾させた後、 F
オグラフィーを行い、得られたスポットの定量を行った.
なお、上記で用いた lZ~ _
1G
F
Iは以下のように調製した. O.lMa
c
e
t
i
c
G
F
I(
B
o
e
h
r
inger mannheim)1
μ
.
g 110川、 Na12~
acidに 溶 解 し た 1
(Amersham,1OOmCiIml) 5川
、 O.6Mphosphatebuffer(pH7.
4
)5川
、
chloramineT溶波 (
5
0
μg/ml ・0.04Mphosphatebuffer(
p
H
7
.
4
)
)1
0
μ
1
を室温で混合し、 90秒 反 応 さ せ た 後 、 ピ 口 亜 硫 酸 ナ ト リ ウ ム 溶 液
(100μg/ml-0.04MphosphatebufferpH7.4)10
μ
lと4%BSA/0.1M酢 厳
アンモニウム湾液 (BSA-B
u
ff
e
r
)100μlを添加し、反応を停止させる.反応
ufferで平衡化しておいた SephadexG-25にapply
液をあらかじめ BSA-B
し、ゲル濠過を行った.漣;穫は 10湾ずつ 30本採取し、それぞれ 1
μ
│を T
39
-counterで 放 射 能 測 定 し 、 得 ら れ る 2ケ の ピ ー ク の 内 、 前 の も の を
1
2
'
1・I
G
F
Iとして、使用時まで・ 20"cで保存した.しかし、こうし て作威し
たI
l
S
I
・I
G
F
I溶液中には、 1
2可
ーI
G
F
I以外!こ freeの1
2
'
1
と1
2
5
ト BSA
が含まれる
i
g
a
n
db
l
o
t
t
i
n
gに
ことが、その後の解析により判明し、そのまま Westernl
使用すると、非特異的吸着が非常に高くなることが明らかになったため、更
eの操作により得られた 1
2
5
トI
G
F・│函
に精製を行うことにした.すなわち上 A
分を、 0.1SMN
a
C
I,0
.
0
1M T
r
i5-H
C
I,4%BSA,0
.
5
g
/
1s
o
d
iuma
z
ide;
4
の Buffer
を用いて 5ephacryl5-200によるゲル・通過に供した.得ら
pH7.
れた画分の放射能を測定し、得られる 3ケのピークのうち真ん中のピークを
精製 1
2
'1
_
I
G
F
_
1として、上記の Westeml
i
g
a
n
db
l
o
t
t
i
n
gに使用した.
(
e
)分泌された IGFBPsの槍鎖修飾の確認
IGFBPの内そのいくつかは纏鎖により修飾を受けていることが知られてい
るが、 Western1
i
gandb
l
o
t分析により初代培養肝細胞の培地中に検出され
たIGFBPがどの IGFBPであるかを明らかにすることを目的として、分泌され
たIGFBPsが槍鎖による修飾を受けているかを確認した.初代培.肝細胞の
c
o
n
d
it
ioned mediumを N-glycanase処 理 後 、 無 処 理 の も の と 同 時 に
Westernl
i
g
a
n
d凶 o
t分析に供した. N
-g
lycanse処理は以下のように行っ
た、すなわち c
o
n
d
it
ionedmedium10
,1
, に0.55Mリン量産加 f
f
e
r(
p
H
8
_
6
),
100mM 1,
10・ p
h
e
n
a
n
t
h
r
o
li
nehydrate(
inmethanol),7.5%Non
idet
p・40, 件 g
lycanase (Genzyme) を そ れ ぞ れ 終 演 度 0.2M, 10mt
.
1
,
125~ 10u
n
its/ml となるように添加し、 37"
C
, 20hri
ncubateした.対
照 群 と し て 件g
lycanaseの 代 わ り に 50% 9
1y
c
e
r
o
l, 2.5mt
.
1 EDTA
(
外 glycanaseの溶解液)を同量加えたものを用窓した. i
n
c
u
b
a
t
ion終了
後
、 Westeml
i
g
a
n
db
l
o
t
分析を行った.
2-1 -2 結果と考寮
1.初代堵養肝細胞における IGF-I及ぴ IGFBP-lの 発 現 の 確 忽
婿地でfO養を行い、更に 24
肝細胞を分醸し、 24時間 10%CSを含んだ WE
時間血清を含まない WE
培地で指養した後、 t
音地を採取すると同時に、細胞よ
りt
o
t
a
lRNAを銅製し、Northernb
l
o
t分析、 Westernl
i
g
a
n
db
l
o
t分析、
RIAに供した.その結果、 F
i
g
.2-1に示したように初代培餐肝細胞中に
I
G
F
ImRNA、IGFBP・1mRNAが存在していること、情地中に I
G
F
IfJ!存在
していること (
d
a
t
anotshown)
、数湿気の分子量の異なる IGFBP
が分泌され
ていることが確認された (
F
i
g
.
2・2
)
.
40
一
ι
=
ωω-huoHeaωZMmwE 百@﹄3w30h﹄
m
w
F
恥
N・仏国比O 一
﹄
・
a回比OF
﹄
回
守.
.
aaT0
N
A
T
F
止。
aS
マ
ー
・
・N.rh
54ZEE 守 色 白M
h
o
- 百cm 円・色回比O-d・色固H
h
a
u
R
Fa
・m 比
O 一千比O
- OEmh-ecdFO一回 Cω
ztoz
的・仏国比O
a
v
-
ト.
1
a
企I
ω.N
時司自色白比O
-
2
ID
一
一m
AY
一
u
一
i
刈
e
‘一
-a
&E
M
‘
一
免
一
町一 M
、
酔
,
O一
nv
L
e
一
HごH
一e
二
C
32.S_'
コ
毒
毒
コ
27.S_'
4ト
・
Fig.2
・
2L
igandB
l
o
tAnalysis01IGFBPs
i
nC
e
l
lLysateandConditioned
Mediumo
fPrimaryCulturedRat
Hepatocytes
42
初代士宮獲肝細胞中に存在している I
G
F
ImRNAは‘第一章で示した i
nvivo
の肝臓と同犠長さの異なる数種のものが確認されたが、肝臓中とは異なり
7.
4kbの長さを持つ mRNAの量が相対的に少なく、 0
.
8
-1.
2
k
bのものと 2.0kb
のものが比較的多く存在していた.一方 1
GFBP-1mRNAに関しては、肝臓
中と同線 1
.6kbの単一の mRNAが存在していることが確認された.更に、
IGFBP-4mRNAの存在も確観されたが、IGFBP-2,
・3mRNAIま検出されな
かった (
F
i
g
.2-1).
また、培地の Western1
i
gandb
l
o
t分析の結果、 30kDa付近!こ 2本
、
24kDa付近に 1本の IGFBPと考えられるバンドが検出されており‘少なくと
F
i
g
.
も30kDaのもののどちらかが IGFBP-1に相当するものと考えられた (
2・2
)
. この点に関しては、後述する.
2
. 繕 養 に 使 用 す る dishの 違 い に よ る IGF-I mRNA. IGFBP-l
mRNAの発現量の違い
通常初代箱型E
肝細胞を指獲する際には、何の処理もしていない c
u
l
t
u
r
e
o
lI
agen-coatedd
ishの両者が使用されてい
d
i
s
hとcollagenでコートした c
る.筆者も両者を使用して繕獲を行っていたが、愚近 c
o
l
lagen-coated
d
i
s
hを使用したほうが、より生体に近い肝機能を維持した肝細胞を培養でき
るとの報告がなされ (154
,・ 155)、用いる dishの違いにより肝細胞の機能が
u
l
t
u
r
edishと
変化することが明らかにされた.そこでここでは、通常の c
c
o
lI
agen-coatedd
ishで細胞を繕養し、その時の I
G
F
I,IGFBP-1の発現
量を比較し、今後の解析をどちらの d
i
s
hで行うかを決定することとした.そ
の際の指餐条件は1.と同じとした.
その結果、 I
G
F
ImRNA量 I
;
i
:c
o
l
lagen-coatedd
ishで土産獲した際に、通
常の c
u
l
t
u
r
ed
ishで培養したものと比べて、指加する傾向が見られ、更に
7.
4kbの I
G
F
I mRNAの量が多くなっていた.一方 IGFBP・ 1mRNA量は
collagen-coateddish
で培養すると、通常の c
ulturedish
での繕奏時に比
G
F
I
べて減少する傾向が見られた.通常良い生理的条件下では肝障中の I
GFBP-1mRNA量は少ないことが知られている.従って
mRNA量が多く、 1
この結果は、 c
o
l
lagen-coatedd
ishでの摘養がより生体に近いものである
ことを示唆しているものと考えられる (
F
i
g
.
2
3
)
.
以上の結果より、今後の解析には c
o
l
lagen-coatedd
ishを用いることと
した.
3
.績穫期間中の IGF-ImRNA、 IGFBP-l mRNA量の変化
ここまでの Fig.2-1-Z-3までをみると、初代培養肝細胞では肝臓中に比
43
守
m~
8
5
υz
0
可制
r
:
:
:
t
V
"
c
uc
.
X
_CI)
~I
E百
u
.
a
:
堕刃
υz
m
o
o
c
o
m
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Ego-回E OZHZ
一
二
0
_
.
_
.~コ
ー
・
・
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O吉
τ
υ
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C)tV
。
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一
︽ZZETam比O
相
。
可
由
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D
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a
企T
ZEEHya回比O
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a
日
=
E
・
・・
8正
d
?c
一
・
比O
υz
Z江E
d司
c
=
c
:
E
b
.
2
0ω
。
g
υ包
‘
ちω
ωz
喝園・
AaI0.
N
"
企 T 守.
a
h
a
r
d
OU
]
:I:~
凶匂
の・刺・町一"-
、
-
べて I
G
F
I mRNA量が非常に少なくなっていることが明らかである.一方
IGFBP-l mRNA量は、 i
nv
i
v
oの肝臓(栄養条件の良い時)と比べて量的に
はほとんど変化していないか、もしくは増加しているとも考えられる.以上
のことは肝細胞を分離し、培養している間に I
G
F
I,
I
GFBP-1の遺伝子発現
が変化していることを示唆している。従って、分厳から筏養期間中の発現量
を健認しておくことは、今後の解析を行う上でも重要であると考えた.
そこで、肝細胞を分離・指養する際に、分磁直後、一回目の培地交換時
(
2
h
r後)、分 M24hr後
、 48hr後とそれぞれ経時的に細胞より t
o
t
a
lRNAを
l
o
t
分析を行い、 I
G
F
ImRNAとIGFBP-lmRNA量の変
調製し、 Northemb
化を解析した.
その結果、 I
G
F
ImRNA量は分厳直後から顕著に減少し始め、約 24hr後に
は長い I
G
F
I mRNAが消失し、 48hr後 で は 更 に 減 少 し て い た . 一 方
IGFBP・1mRNA量は分離直後よりわずかに増加し、 24hr後にはほぼ 4倍に
8
h
r
:
後には更に増加する傾向を示していた (
F
i
g
.
2
4
)•
増加している. 4
以上のことは、第一章で得られた栄餐条件の変化に対する I
G
F
I,
IGFBP-l遺伝子発現の変化の結果と良く一致している。すなわち肝細胞にとっ
て周囲の環境が悪化すると I
G
F
I遺伝子の発現は減少し、 IGFBP-1遺伝子の
発現は逆に増加するものと考えられる.細胞の分隊操作!ま、細胞に対する大
きなストレスになり、その結果遺伝子の発現が変化するものと考えられる.
また、この違いが細胞培養系の限界を表しているものと考えられる.
4.初代溶養肝細胞が分泌している IGFBPsの穂鎖修飾の確認
1
.で述べたように WesternI
i
gandb
l
o
t分析を行った結果、初代培獲肝細
胞は 3種 類 の IGFBPを 分 泌 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た . こ れ ら の
IGFBPsが糖鎖の修飾を受けているかを確認したところ、初代培費量肝細胞が
分泌している IGFBPはいずれも糠鎖の修飾のないものであることが明らかと
なった (
F
i
g
.乙 5
)
. なお同様に処理したラット血清を同時に泳動することに
より N-glycanaseの作用を確認したが‘確かに SOkDaに検出される 3本の
IGFBP-3の分子量が減少し 42kDaの分子貨を持つ単一のバンドになっている
ことが確宮、された.
45
』司 - -
。
a
.
>
0
:
・
。
、
・
Hh
0
一
守-N
.
企且守・・∞ 0
A-E-N・F
a-TE0.
N
46
a
a
- 由・円
a
.F
可
A'E0.
4
t 守.h
&且〒
=
a
a
-也
(﹄£)∞寸
r4
一止。一
寸
刊
︽Z江
E
•
ωωEUO有色。Z 古 庄 司ω﹄コ=コυ
k
c
m
w
E Z
一
﹄
色
一
Z
S
C
O
O
4ZEEF
a
m
M
h
o
- 司ze--Lo=000cmZOMEO刀CωaO30E一
ト
(﹄£)∞守
H
h
o
一
C
'
I
I
︽ZZETa凶
寸
刊
、
-
kDa
Rat
Plasma Medium
I一一一lI一一一寸
ー + ・ +'
N-Glycanase
4
9
.
5田 争
4T 骨
骨骨
3
2
.
5ー 争
コ
t
27.5ー 争
4・
ト
Fig.2
・
5 N-GlycanaseTreatmentofIGFBPsi
n
RatPlasmaandConditionedMedium
o
fPrimaryC
u
l
t
u
r
e
dRatHepatocytes
4
7
一、
.司
-
第二節討論
以上、本章で得られた結果をまとめると以下のようになる.
1.初代指養肝細胞中に、 1
G
F
I,
1
GFBP-1,
1
GFBP-4mRNA
の存在が確認さ
れたが、その発現量は生体内の肝臓とは異なったものであった.
2
.指養に使用する dishの遣いにより、 I
G
F-I
,IGFBP-1遺伝子の発現量は異
u
ltured
ishを用いるよりも c
o
l
lagen-coatedd
ishを用いた
なり、通常の c
方がより高い発現を示した.
3
.初代指養肝細胞が分泌している IGFBPは約 30kDaのBPと24kDaの BPであ
り、糖鎖の修飾はないことが明らかになった.
序論でも述べたように、現在用いられている各種肝細胞の中で初代指養肝
細胞は、生体の肝臓にもっとも近いと考えられている.しかし、今回の結果
ではその初代指養肝細胞も厳密に解析すると、 I
G
F
I,
IGFBPの遺伝子発現に
関しては肝臓とはかなり異なっていることが明らかになった.通常の
c
u
l
t
u
r
edishよりも c
o
l
lagen-coatedd
ishを用いた方がより良い肝細胞が
得られるとの報告は、数多くされており、現在では c
o
l
lagencoatedd
ish
を用い無血清で肝細胞を精獲することが主流になっている (
1
5
6
)
. 今回の結
果もそれを裏づけるものと考えられる.一方、愚近生体により近い状態の培
養肝細胞を作成する試みが盛んに行われており、初代泊費量肝細胞を 3次 元 的
に結集することでより生体に近い状態を作り出すことが可能であるとの報告
が数多くなされている (157-159). 筆者もそのひとつである s
pheroid精 獲
G
F
I遺伝子の発現を通常の単膚培養時と比駁検討したが、 I
G
F
I遺
;去を試み I
伝子に関しては、長期培養で発現量の維持が忽められたものの、今回用いて
いる 2日間程度の培養条件下では大きな差は認められなかった.したがって、
厳密に全体内を反映したものとは考えられないが、初代培養肝細胞は、現在
手
J
I
用できる肝臓の i
nv
i
t
r
o解析系としては蹟蓄のものであると考えることが
可能である.
今回 Weste
r
nL
igand Blot分析により検出された 30kDaの IGFBPは
IGFBP-1か IGFBP-2であり、 24kDaのものは IGFBP・ 4であると考えられる.
, 4のmRNA
が存在していることが確認さ
生体内の肝臓中には IGFBP-l,-3・
れているが、初代培養肝細胞の窃地中には IGFBP・3に相当するものは倹出さ
れない。この点に関しては、 IGFBP-3を合成・分泌している細胞は肝非実質
細胞であることが、共同研究者の竹中により明らかにされ、詳細に報告され
ている (
16
0
)
. したがって残る IGFBP-1,4が初代権獲肝細胞で発現してい
るものと考えられるが. B
o
n
i-Schnetzle
rら は 初 代 活 餐 肝 細 胞 を 用 い
48
~
IGFBP・ 2の発現を解析し、 1GFBP-2 mRNAが存在していること、その発現
がインスりンにより抑制されることを報告している (161). そこで今回用い
ている肝細胞においても IGFBP・ 2cDNAを用いた NorthernB
l
o
t分析を行っ
たが、 IGFBP・2mRNAは検出されなかった.したがって、今回用いている
細胞では IGFBP-2遺伝子が発現していないか、もしくは発現していても非常
ま両者とも
に弱いことが明らかとなった.従って 30kDaの 2本 の IGFBP(
IGFBP-1であると考えられる. 1GFBP-1の一次構造に heterogeneityが偲
められるとの報告がないことから、この 2本のバンドは IGFBP・1が翻叙後に
何らかの修飾を受けている可能性を示唆していると考えられる.続鎖修飾の
可能性は、外 glycanaseを用いたd
e
g
ly
c
o
s
y
la
t
ion実験より否定されるので、
リン酸化を受けているというのがひとつの候補である.実際、 nativePAGE
を用いることにより IGFBP-lが 3ケ所でリン磁化を受けていることを Jones
らと Frost らの 2つのグループが明らかにしている (162,1
6
3
)
. しかし、
今回用いているのは SDS-PAGE
であるため、 2本の IGFBP-1がリン磁化によ
る違いであると結論することはできず、この点は今後の検討謀題であると思
われる.
以上のことから、今後の解析では 30kDaの 2本の BPを IGFBP-1として、
24kDaのBPをIGFBP-4として議論を進めることとする.
次章では、本章の結果を元に I
G
F
I,IGFBP-1,IGFBP-4遺伝子発現の各種
ホルモンによる調節機僑を明らかにすることを目的として、初代士宮餐肝細胞
を用いて解析を行うこととした.
49
‘ 、司---
第三章初代培養肝細胞における I
G
F
I,
I
G
F
B
P
l,
4遺伝子発現のホルモンによる調節
序論
第二章では I
G
F
I,IGFBP・1遺伝子発現の調節機備を解析するための系と
して初代培養肝細胞系が適しているかを検討した.その結果、解析を行うこ
とが可能であることが明らかになったため、本章では初代情養肝細胞で発現
していることが確認された IGF
し
ー IGFBP-1,-4遺伝子の発現がどのようなホ
ルモンにより調節されているかを明らかにすることを目的とした.
IGF-I遺伝子発現に対する各種ホルモンの作用を解析した報告は、 i
nvivo
,
i
nv
i
t
r
oで数多くあるが、本研究は肝臓での調節を問題にしているので、肝
臓に関しての報告のみその内容を織説したい.
I
G
F
I遺伝子発現のホルモンによる調節を考える際に、中心となるのはや
GH)である. GHr
こ関する報告は非常に多く、早くも 1976
はり成長ホルモン (
年にはDaughadayらにより脳下垂体除去 (hypox)ラットの 1
i
v
e
rp
e
r
f
u
s
ion
系で GHがsomatomedin (
1GF-1
)の分泌を促進することが報告されている
(164). その後も 1
i
verperfusion系や初代繕養系を用いて‘ GHが I
G
F
Iの
F
I mRNA
量が虫歯加すること (131,132)、hypoxラッ
分泌を促進し、その開 G
トから銅製した培養肝細胞では I
G
F
Iの合成量が 10%以下に減少しているこ
となど (165)
が報告されている.
GH以外にもいくつかのホルモンが肝肢の I
G
F
I遺伝子発現を調節している
度が低下し
ことが明らかになっている.すなわち絡尿病時に血中 IGF-Ill
(44,4町、肝臓中の IGF・1mRNA量が減少していること (46,47)が報告され
ており、更に初代培養肝細胞において堵地にインスリンを添加することによ
G
F
I mRNA
量が泊加し、その作用は恐らく I
G
F
ImRNA
合成促進‘すな
りI
G
F
I遺伝子の転写速度の鴻加と I
G
F
I mRNAの安定性を増加させるこ
わち I
とによるものであることが明らかになっている (150-152). また c
o
r
t
i
s
o
l
を崎地に添加することにより I
G
F
I合成量が蹴Pしたという報告もある (166),
一方、 IGFBP-1遺伝子のホルモンによる調節に関しては、最近非常に多く
の報告がなされており、申書尿病ラットで血中濃度が顕著に噌加し‘その時の
量も著し〈憎加していることが明らかになってい
肝陵中の IGFBP・1mRNA
GFBP-1mRNA量が滑加し、
る(167-17),また、 hypoxラットて骨干陵中の 1
同時に IGFBP-1遺伝子の転写速度が制加していることも報告されている
(140). I
nv
i
t
r
o系 で の 結 果 で も 、 ラ ッ ト 肝 癌 細 胞 H
4
I
I
Eを 用 い て
Dexamethasoneが IGFBP・ 1遺伝子の転写を促進することにより、その
50
‘
『可 - - -
mRNA量・分泌量を堵加させること (138,
171,
172)、一方向じ系でインス
172)が報告され
リンは IGFBP-1mRNA量・分泌量を減少させること (171,
ている.このうち Dexamethasoneの作用については i
nv
i
v
o系でも確認さ
れており (173)、インスリンについても初代指獲肝細胞系 (174)、i
nv
i
v
o系
(170)
でも同様の結果が得られている.また、第四章で詳細に述べるが、ラッ
ト胎児肝臓器官培養系において培地中のグルコース濃度を変化させると
IGFBP-1遺伝子の発現が変化するという報告もあり (175)‘IGFBP-1遺伝子
の発現調節は非常に復雑であることが予怨される.これらの IGFBP-1遺伝子
発現のホルモンによる調節織備に関しては、株化肝細胞を用いて行われてい
'1
GFBP-1 遺伝子発現はインスリンで仰制され‘グルココルチコ
るので、 1
イドで促進される』と結論づけるには、より生体に近い吠態の細胞でこれら
の作用を確認する必要があるものと考えられた.
IGFBP-4遺伝子発現調節織機に関しては、その発見が比般的新しいのでま
だ詳細が明らかになっていない.筆者の共同研究者である内島は初代培養肝
細胞系においてインスリン、 BtzcAMP、T3処理により IGFBP-4mRNA
量・
分泌量が増加することを確認している (176)
が、肝腐を用いた報告はほとん
どなく、本軍での結果により新たな知見が得られることが期待される.
以よのことを背景に、本耳障では初代培重量肝細胞における I
G
F
I,IGFBP-l
遺伝子の発現が成長ホルモン、インスリン、グルココルチコイドによりどの
ように調節されているかを解析し、事長化細胞で得られた結果を確認するとと
もに、これらのホルモンによる調節に対して生理的裏付けを付与することを
目的とした.更に、グルココルチコイドの I
G
F
I遺伝子に対する作用を解析
する過程で、指地中の t
o
t
a
l1
G
F
Ij
置を RIAにより測定する際の前処理に閲
して、これまでは血清と閉じく繕地を磁エタノール処理後に測定していたが、
蔵エタノール処理では IGFBPを完全に除くことができないことが明らかになっ
たのでその点に関しでも倹討を加えた.
5
1
‘
『司---
1.初代培養肝細胞における IGF-I遺伝子発現調節について
第一節
各種ホルモンによる IGF-I遺伝子発現調節
3- 1- 1 方法
初代埼養肝細胞の分離・溶養は 2-12と同様に行った.ただし、愚初の 24
時間を 10%C5を含んだ WE精地で堀養した後、血清を含まず各種ホルモンの
みを含んだ WEf
こ交換する際に血清の彫響を除くため、 0.1%B5A
を含んだ
Hanks'balanceds
a
l
tsolutionで 2図細胞を洗浄した.ホルモン含有情地
で 24時間士宮奏後は、 2・ 1
-2と同様にして繕地を採取し、細胞からはt
o
t
a
l
RNAを調製した.
I
G
F
I mRNA量の定量 l
;t、ト 1・2 と同僚に行った.省地中の I
G
F
I~農度の
定量は、培地を酸ヱタノール処理し‘ IGFBPを除去した後、血清と同様 RIA
により行った.また、 I
G
F
Iが合成された後、崎地へと分泌されず細胞内に
残っている可能性を確認するため、精地を採取した後、細胞を 0.1%5D5で
GF-I
濃度も定
可溶化し、酸エタノール処理し、 RIAに供することで細胞中の I
量した.
3-1-2 結果と考察
F
ig
.3-1に示したように、 GH、 I
n
s添加により I
G
F
ImRNA
量が滑加し.
G
F
I
他のホルモンではほとんど変化しなかった.一方、その際の織地への I
分泌量はDexで顕著に増加した (
F
ig
.
3・ 2
).また、結果は示さないが、細胞
中の I
G
F
I;a度は渚地中の約 10%
であり、どのホルモンによってもほとんど
変化していなかった.
以上の結果では、細胞中 I
G
F・ ImRNA
量と繕地への I
G
F
I分泌量がまった
く一致していない.この不一致の原因としては、次のことが考えられる.す
なわち繕地を R
IAI
こ供する前に酸エタノール処理し、 IGFBP
を除いているが、
酸エタノール処理によって IGFBPが充分に除去されておらず、残存している
IGFBPがRIAに影響しているのではないかと考えた.事実、掻近いくつかの
報告で磁ヱタノール処理によっては IGFBPを完全には除けないことが恒明さ
れている (177-179). 更にその中で完全に IGFBPを除くために、 a
c
i
dg
e
l
や厳存在下での HPLC
が適していることが述べられている.
chromatography
そこで、培地中の IGFBP
がI
G
F
IのRIAにどの程度影響しているかを調べるた
め
、 mRNA
量と分泌量が特に一致していない Dex添加時の士宮地を用い、対照
の指地とともに厳エタノール処理を行った後、既知の量 (
3
.
1n9ずつ
12.
4n9まで)の IGF・1
を添加したよで RIAを行い、添加した量の I
G
F
Iが検出
52
m
‘可-鼻
250
44
内
nUFO
nunu
,
SF)dzgETHho-
,
・
、
ー
o
言
8
E 100
‘
Z
ま 50
星
。
。
0・
8
8
M
)(10・
1M)
M)(10・
Fig.3
川 町 町t0
1Grow
肋 Honnone(
GH),恥xamethasone
(De
x
)andI
n
8
u
l
i
n(
I
n
8
)onR
e
l
a
t
i
v
eAmountof
tHepatocytes
I
G
F
ImRNAi
nPrimaryCulturedRa
5
3
(﹄
ZS -E¥コE ご40=oCOZEHEωωzoυ
、
目
0
.
5
0
.
4
0
.
3
0
.
2
0
.
1
。
ns
(10・8
M
) (10・6M) (10・8
M
)
Fig.3・
2 E何~~t o
fGrowthHormone(GH),
Dexamethasone(Dex)
andI
n
s
u
l
i
n(
I
n
s
)onI
G
F
ISecretioni
nPrimaryCultured
RatHepatocytes:AcidEthanolTreatment
54
できるかを解析した。その結果、 Table 3-1に 示 す よ う に 添 加 し た
exogenousI
G
F
Iは、対照務でも Dex添加群でも全く検出されなかった.従っ
て、厳エタノール処理した士宮地には I
G
F
I RIAを阻害する物質、恐らく
IGFBP
が残存しており、正確な RIA
が行われていないことカ明らかとなった.
そこで次節では、 a
c
idg
e
l chromatograpyを用い IGFBPを完全に除去した
後
、 R
I
A
Iこより培地中の I
G
F
I濃度を定量することとした.
第二節
Acidgelchromatographyを 用 い た IGF-I分 泌 量
の定量
3-2-1 方 法
A
c
idg
e
l chromatographyは以下のように行った.採取した培地 0.2Sml
を等量の 0.
5
1
¥
.
1f
ormica
c
idと混合し室温で 1h
r放置する。内径 2Smm,長さ
900mmのガラスカラム(IGF-Iの吸着を避けるためあらかじめシリコナイズ
しである)に充涜した SephdexG・SOをあらかじめ、 0.
251
¥
.
1f
ormicacidで
平衡化した後、上記の反応液を applyした.カラムの流速は、 2ml/minとし、
¥
.
1f
ormica
c
idである.あらかじめ 1
2
5
1
_
I
G
F
_
1を同じカラムに
移動相は 0.251
供し、 I
G
F
Iが溶出される画分を確宮、しておき (
F
ig
.3・ 3
)、その画分をすべ
G
F
I画分を遠心漢綴織(岩城硝子、 VEC・ 260)を用い
て回収する.回収した I
て、減圧乾固させ、 0
.2mlの 0
.
11
¥
.
1a
c
e
t
i
c acidに溶解する.溶解液に
O.05mlの RIAbuffer(O.S%BSA,25mMEDTAi
nPBSpH7.4)を混合し、
更に酢量産を中和するため、終濃度 10%になるように trizmabaseを添加し
溶解させた。この内 1
00μlを以下の R
I
A
I
こ供した。
G
F
Is
tandard 10
0
μ
lと
上 記 で 作 成 し た サ ン プ ル 100μlもしくは 1
1
2
5
1
_
I
G
F
_
1 (100μ1,10,
000cpm)、更に抗ヒト I
G
F
Iウサギポリクローナル
抗体(藤沢薬品工業株式会社丹羽峰雄樽士より御恵与いただいたもの (180)
をRIAbufferにより 50,
000倍希釈したもの) SOOμl を混合し、 4"
C
, 24hr
インキュベー卜する。その後、抗ウサギ 7 グロプリンヤギ血清 1
00μ1,正常ウ
サギ血清 100μI(以上は『第二抗体セット:第一 A (
第一化学薬品株式会社)
に含まれている)を添加し、同条件下で更に 3hrインキュペー卜する.
3000Xg, 30min の 遠 心 後 、 上 清 を 吸 引 除 去 し 、 沈 殿 の 放 射 能 を T
counter(AlokaAutoW
e
l
l GammaSystemARC-500)を用いて測定し、
得られる標準幽線から I
G
F
I濃度を求めた。
55
F
ONF
﹄
ωaEコZ zozom﹄比
∞ 。ゅ
OOFO
O守
56
守
口FM凶
O
FHF
凶
O
F何回.
F
凶
O
FXN
凶
(wdo)λU^ !loeo!pe~
。
。
hzaEOOFeEO﹄Z 0 3 0
・
2 0︽﹄Aa--LO
ご 02ZO﹄ 色 COZEH一正一 ω O円
一
・
{
一
凶
即
日F
・
円
・0 E
。寸
O
N
Table3
・
1
I
G
F
IConcentrationi
nTheConditionedMedia
o
fPrimaryCulturedRatHepatocytesMeasured
byRadioimmunoassaya
f
t
e
rAddingAsending
Amounto
fExogenousIGF
・
1
E
l
G
x
F
o
・
g
1enous
(ng)
Control
(ngIml)
Dexamethasone
(ngIml)
6
.
2
9
.
3
1
2
.
4
4
.
0主 0
.
2
4
.
7ま 0
.
2
4
.
4主 0
.
2
4
.
6:
t0
.
1
5
.
3主 0
.
5
1
1
.
1主 0
.
8
1
1
.
9土 0
.
5
1
2
.
0:
t1
.
1
.
0
1
1
.
8土 1
.
3
1
1
.
3主 0
。
3
.
1
V
a
l
u
e
sa
r
et
h
emeans:
tSEMo
ft
r
i
p
l
i
c
a
t
e
s
.
5
7
-・ 『司 - -
3-2-2 結果と考察
cidg
e
lchromatographyl
こ供した後、RIA
各種ホルモン添加時の指地を a
を行い I
G
F
I濃度を求めたところ、 Table3
-2に示したように、 GH,
l
n
s添加
により泊地への I
G
F-I
分泌量が増加したが、他のホルモン添加によっては変
化しなかった。この結果は 、3-1・ 3で得られた各種ホルモン添加時の I
G
F
I
G
F
I遺伝子
mRNA量の変化と良く一致しており、初代指養肝細胞における I
発現の各種ホルモンによる調節は、主として mRNAレベルで行われている可
能性が示された。
2
. 初 代 培 養 肝 細 胞 に お け る IGFBP-l,-4
遺伝子発現調節
第三節 I
GFBP-l mRNA量 に 対 す る 各 種 ホ ル モ ン の 影 響
3- 3ー 1 序
第二章の結果で初代培養肝細胞が IGFBP-1を合成・分泌していることが明
G
F
Iの作用を阻害する BPである
らかになった。 IGFBP-1は、現在のところ I
と考えられている。したがって、 I
G
F
.
Iの主要生産器官である肝臓中で
IGFBP-1遺伝子発現がどのように調節されているかを明らかにすることは、
i
nv
;
v
oでの IGF-Iの作用を明らかにする上で重要であると恩われる。
先に述べたように、 IGFBP-1遺伝子実現調節に関しては、株化肝細胞を用
いてグルココルチコイドが促進 (138,
171,172)、インスリンが抑制 (171,
172)することが明らかにされている。また、 i
nv
i
v
oでは成長ホルモンがそ
の発現を抑制しているとの報告 (140)もされている.
しかし、インスリンとグルココルチコイドによる調節を完全に明らかにす
るためには、より生体に近い実験系である初代培養肝細胞で解析することが
必要であると恩われる.そこで本節では、各種ホルモンを添加した際の
IGFBP-1mRNA量と IGFBP-1分泌量の定量を行った.
3-3-2 方;去
肝細胞の分離・培養!立、 3
-1・2と同様に行い、細胞から t
o
t
a
lRNAを調製
し、I
GFBP-1cDNAを用いた Northernb
lo
t分析を行った。一方採取した洛
-1
-2と同僚!こ Westernl
i
g
a
n
db
l
o
t分析に供し、 IGFBP-1の定量
地は、 2
を行った。
58
Table3・2
E
f
f
e
c
t
so
fGrowthHormone,
Dexamethasoneand
I
n
s
u
l
i
nonIGF
・
ISecretioni
nPrimaryCulturedRat
Hepatocyes
Concentrationof
・I
(n9/ml)
IGF
Hormones
Control
1
.85土 0
.
1
8
GrowthHormone(
1
0
・
8M)
4.04主 0
.
7
3
*
Dexamethasone(
1
0
・
6M)
.
3
3
2.04土 0
I
n
s
u
l
i
n(
1
0
・
8M)
3.47主 1
.
0
3
Valuesa
r
ethemeans土 SEMo
ft
r
l
p
l
r
l
c
a
t
e
s
.
S
l
g
n
l
f
l
c
a
n
t
l
yd
l
f
f
e陀 n
tfromt
h
ec
o
n
t
r
o
lvaluea
tp<0
.
0
5
byStudent'stt
e
s
t
*:
5
.
、旬
ー
‘
高
』
= 4
、
、
E
、
、
g
' 3
、
止
=
。
2
‘
・
。
O
E
ー
司
‘
噌
伺・
伽
d
4
8
。
。
。
(
1
0・8M) (
1
0・6M)(
1
0・8M)
59
3-3-3 結果と考察
F
ig
.3
-4に示したように、 I
G
F
B
P
1分泌量は D
e
x添加で顕著に増加し、
I
n
s添加で減少したが、 GH添加ではほとんど変化しなかった.また 、F
i
g
.
3
5に示したように、その際の I
G
F
B
P
1mRNA量の変化は D
e
xで増加、I
n
s
で減少となっており、分泌量の変化と m
RNA量の変化が良く一致していた.
G
F
B
P
1の発現に対して I
n
sとD
e
xのどちらの効果が大きいのかを
次に、 I
解析するため、両者を同時に添加したところ、 F
i
g.
3
-4,35に示したよう
に
、 D
e
xによる I
G
F
B
P
1mRNA量
、 I
G
F
B
P
1分泌量の増加を、 I
n
sは強く抑
制し、対照群のレベルまで減少させていた。すなわち、 I
G
F
B
P
1遺伝子発現
の調節において、 I
n
sの抑制作用は D
e
xの促進作用よりも強い作用であると考
・
えられた.
I
G
F
B
P
1遺伝子発現に対する I
n
s,D
e
xの作用をより詳細に解析するため、
両者の濃度依存性を I
G
F
B
P
1mRNA
量と分泌量の両者で解析したところ、
F
i
g
.
3
6に示すように、 I
n
sは
、 mRNA
量においても、分泌量においても
1
0
1
0
.
Mですでに抑制作用を示し、 10
・M 以上で完全に抑制した. I
n
sの E
C50
は 8X10- 1 0 M であった.一方、 Dexlま 10' ~ で増加させ始め、 10' ~ で
maxlmumな作用を示し、 E
Cs
X10
'Mであった (
F
i
g
.3
7
)
.
oは3
また、 D
e
x添加後の I
G
F
B
P
-1mRNA量、分泌量の変化を時間を追って解析
したところ (
F
ig
.3
-8
)、D
e
x添加後 6時間ですでに I
G
F
B
P
-1mRNA
量が増加
しており 、その後 9時間の時点まで増加を続け、その後やや減少したものの
ほぼ一定値を保っていた.一方、分泌量は 6時間ですでに対照群にくらべて
G
F
B
P
1
唱加しており、その後も増加し続けている.これは増加した I
mRNAが旬訳され、分泌された I
G
F
B
P
1が培地に蓄積していったものと考え
られる。
i
g
.
3
-5では I
G
F
B
P
1とともに I
G
F
B
P
4が検出されている.
ところで、 F
そこで次!こ I
G
F
B
P
4遺伝子発現調節に関して、検討を加えた。
第四節
初代培養肝細胞における IGFBP-4遺 伝 子 発 現 調 節
3-4-1
序
e
s
t
e
r
nI
i
g
a
n
db
l
o
t分
第二章ですでに述べたように、初代培寮肝細胞の W
析で 2
4
k
D
aに検出されるバンドは I
G
F
B
P
-4である。 F
ig
.3
-5を見ると
I
G
F
B
P
4
の分泌量が D
e
xとI
n
sの共存下で顕著に滑加していることが分かる.
そこで、この現象を m
RNAレベルで確認するため、 D
e
x,I
n
s単独もしくは共
60
Dex
kDa _.Rat
Plasma
C
+
GH Dex I
n
sI
n
s
49.5.
5.
32.
コ
I
:IGFBP1
・
27.5.
4ト
・
Fig.3
・
4 E行e
c
t0
1VariousHormonesonthe
Secretion0
1IGFBPsi
nPrimary
CulturedRatHepatocytes
Ratplasma:10
,C:withouthormone
μ
11
・
8M,De
x:106M,
I
n
s:10・8 M
GH:10
6
1
IGFBP.4
Dex
+
C Dex Ins Ins
kb
•
・
1
.
6・
..
4
-IGFBP・1mRNA
Fig.3
・
5E
f
f
e
c
to
fDexamethasone
(10・6M}andlor
I
n
s
u
l
i
n
(
1
0・8M)onIGFBP
・1mRNAc
ontent
i
nPrimaryCulturedRatHepatocytes
C:
withouthormone
62
『司・~
A.IGFBP
・1mRNA
I
n
s
u
l
i
n 0 10
-1110
-1010
910
810
-710
6 (
M
)
1.6kbー 争
暢骨蝿 棋 i
単 一
一 穐 川@ー IGFBP
・1mRNA
B.IGFBP
・1i
ntheMedium
Rat
Plasma
I
n
s
u
l
i
n
0 1
σ1
11σ101
σ910
8107 106 (
M)
kDa
喝=IGFBP1
,
l
・
275-
一
・IGFBP-4
4
Fig.3
・
6 Dose-dependentE仔e
c
to
fI
n
s
u
l
i
nonI
GFBP
・
1
mRNA(
A
)andIGFBP
・1S
ecretion(
B
)i
n
PrimaryCulturedRatHepatocytes
63
、~
A.IGF8P
・
1mRNA
Dex(
M
)
o 1010109 108 107 106 105
・
・
・
・
・
・
1
.
6
k
b.
.
.
.
.
4 61GFBp.1
、
町R
NA
8
.IGF8P-1i
ntheMedium
Dex(
M
) 0 101010-9108107 10610-5
・
・
・
・
kDa
3
2
.
5.
.
.
.
.
炉
芝 町BP・1
・
・
2
7
.
5.
.
.
.
.
P
4
-IGFBP・4
Fig.3・7 Dose-dependentE
f
f
e
c
t0
1Dexamethasoneon
IGF8P-1mRNA(
A
)andIGF8P
・1S
ecretion(
8
)
i
nPrimaryCulturedRatHepatocytes
64
A.IGFBP・1mRNA
8
z 7
。
6
.
,
ー
N
悶
可
‘
:
!
5
a
h
4
z
ω
R
〉
・
Z
a
喝
E
ω
3
2
。
。
3
6
9
15
24
I
n
c
u
b
a
t
i
o
nTime(h
r
)
B.IGFBP
・1i
ntheMedium
150
-0--C
o
n
t
r
o
l
120
.
S90
1
・
一
一D
examethasone
命
・
r
c
a
‘
室
60
‘
《
30
0
o
3
6
9
15
24
I
n
c
u
b
a
t
i
o
nTime(h
r)
Fig.3・8 E
f
f
e
c
to
fDexamethasone(10
・
6M)onIGFBP-1
mRNA(
A
)andIGFBP
・1S
ecretion(
B
)i
nPrimary
CulturedRatHepatocytes:TimeDependence
65
存下での IGFBP-4mRNA量の変化を解析した。
3-4-2 方
;
去
肝細胞の分離・嬉養、 IGFBP・4mRNA
量の測定はすべて 3
-3-2 と同僚で
GFBP-4 cDNAは、 ノースキャロライナ大学 A
.J.D・
Ercole
ある。ただし、 I
簿士より御恵与いだだいたものを使用した。 IGFBP-4
分泌量の測定は、F
i
g.
3
-5のWesternl
i
g
a
n
db
l
o
tを F
u
ji
xBAS2000イメージアナライザーを用
いて定量した。
3-4-3 結果と考察
F
i9
.
3
-9に示したように、 I
GFBP-4mRNA量は I
n
s単独添加時に増加して
いたが、 Dex単独添加ではほとんど変化していなかった.しかし 、I
n
sとDex
が共存すると顕著な培加を示した。この結果は、先の WesternI
igandb
l
o
t
分析の結果と良〈一致していた.
第五節討論
以上、本章で得られた結果をまとめると以下のようになる。
1.初代指養肝細胞において GH,
InsはI
G
F
ImRNA量を増加させた.
2
.初代指養肝細胞の培地中の I
G
F
I量の測定には、 IGFBPsの除去が必須で
c
id g
e
l chromatoあるが、酸エタノール処理はその目的に適さず 、 a
graphyを行うことで、 I
G
F
I分泌量を測定することが初めて可能となった。
この方法で測定した I
G
F
I分泌量は I
G
F
ImRNA量の変化と良く一致してい
た
。
3
.初代培養肝細胞での IGFBP-1遺伝子部見が Dexにより促進され、 I
n
sによっ
て抑制されることが明らかとなった。
4.IGFBP-4
遺伝子発現が DexとI
n
sとの協同作用により促進されていること
が明らかになった。
I
G
F
Iを RIAで測定する際には 、 IGFBPsを完全に除去する必要があること
はI
G
F
I研究の初期の段階から明らかにされており、ヒト血清の処理のため
に酸エタノール処理 (116)が考案され、その後他の動物の血清にも適用され
ていた。しかし、今回初代培養肝細胞の培地中の I
G
F
I濃度を定量する際に
は磁エタノール処理では IGFBPsを除去し切れないことが初めて明らかになっ
た。これが原因となり当初 Dex添加群において I
G
F
I mRNA量が変化してい
66
IGFBP
・
4
Dex
+
k
b
C Dex I
n
sI
n
s
2
.
6ー 争
.IGFBP-4mRNA
Fig.3
・
9 ~ffeC?_ts o
f~examethasone (
1
0・6M)andlor
I
n
s
u
l
i
n(
1
0・8M)onIGFBP
・
4mRNAContent
i
nPrimaryCulturedRatHepatocytes
C :withouthormone
67
ないにもかかわらず、 I
G
F
I分泌量が顕著に増大するという結果が得られた
のである. Dex添加により IGFBP-1の分泌量が顕著に噌加していたことも、
この点を助長したのと考えられる.近年ヒ卜以外の動物の血清に関しては酸
エタノール処理だけでは IGFBPsを除けないとの報告がいくつか出され (177
-179)、現在では酸性条件下でのゲル濠過法や HPLCによる分磁;去が主流に
なりつつある.ヒトの血清でのみ酸エタノール処理が使用できるということ
は、ヒトの IGFBPsの組成が他の動物と異なっていること(事実 IGFBP-3が
断然多いことが知られている)を示唆しており、非常に興味深い.今回も
formicacidを用いた a
c
idg
e
l chromatographyを行うことにより、 I
G
F
I
G
F
I分泌量の測定値が得られた. ;
.
I
J定サン
mRNA量の変化と良く一致した I
プル中に IGFBPsが共存していると Fig.3・ 10に示すように、抗 I
G
F
I抗体と
IGFBPsが 1251
・I
G
F
Iに対して競合すると考えられ、結果得られる沈殿の放射
G
F
Iは見かけ上高く測定されてしまうことになる.第一章
能が低くなり、 I
では、血清をそのまま RIAに供し、 i
mmunoreactive1
GF-I濃度を測定して
いたが、上記の結果を者えると、 i
mmunoreactiveI
G
F
Iとして表わしてい
た測定値は血清中に存在する I
G
F
Iとそれが結合している IGFBPs. 更に
I
G
F
Iが結合していない freeIGFBPsの相互作用により与えられる測定値で
あると考えられる.したがって、この(劃τ
何を示しているのかは不明である.
しかし、動物の成長と非常に良い相関を示すことから、何らかの生理学的意
義を有していることは間違いなく、また動物の栄養状態を示す非常に優れた
指標であると考えられる.
すでに述べたように、 I
G
F
I遺伝子の発現は i
nv
i
v
oの肝臓において、 GH
やI
n
sにより調節されていることが明らかになっている.今回の結果は i
n
nv
i
t
r
o系、しかももっとも生体に近い初代指養肝細胞系で
v
i
v
oの現象を i
確認したものであり、 GHとI
n
sが直接 I
G
F
I遺伝子に作用していることが生
理的な条件下で初めて明らかとなった. GHとI
n
s添加による I
G
F
ImRNA量
o
n
i-Schnetzle
rらも報告しており (
1S1)、今回の結果と良〈一
の滑加は、 B
致している。同じ結果は、 Norstedtらによっても報告されている (
132). ま
た
、 Johnsonらは GHとIns
で処理した初代培養肝細胞において Actinomycin
G
F
I mRNA量が一過性に増加することを報告して
Dを添加することにより I
いるが (181)、このことは GHとI
n
sによる I
G
F
I mRNA量の増加効果が、転
写段階だけでなく mRNAの安定性の段階にも及んでいる可能性を示唆してい
るものと思われる。
一方、 Dexによる 1
G
F
I遺伝子発現調節に関しては、今回の結果では Dexは
I
G
F
ImRNA量
、 I
G
F
I分泌量のどちらも変化させていなかったが、共同研
究者の渡瀬は、副腎除去ラットでは肝臓中の I
G
F
ImRNA
量が減少すること
68
m
1
2
S
2ndAntibody
F
i
g
.3-10 !,!~~~io~ o
!I
G
f
1Radioimmunoassayby
IGFBPsi
ntheConditionedMedium
•
I
n
c
u
b
a
t
i
o
n
総/ 官 邸I
I
I
G
F
I~
時/
ふ¥…
LowR
a
d
i
o
a
c
t
i
v
i
t
y
V
P
r
e
c
i
p
i
t
a
t
e
を明らかにしている (182)。またしuoらはラット!こ D
ex;
.i射を行ったところ、
血中 I
G
F
I濃度の低下を伴わないで肝膿 I
G
F
I mRNA量が減少することを報
告している (
18
3
)
. これらはすべて i
nvivo
での実験結果であるので、他のホ
ルモンなどを介した二次的効果である可能性が考えられ、一概│こ DexがI
G
F
I
mRNA量を減少させると結論することはできないが、 Adamoらはラット
n
e
u
r
o
n
a
l細胞と G
l
i
a
l細胞において Dexが I
G
F
I mRNA量を減少させること
を報告しており (184)、今回の結果とは一致していない。この不一致の原因
が何かは現在のところ不明である。しかし、卵巣細胞を用いた実験系では、
I
G
F
I遺伝子の発現は I
n
sとDexにより調節されているとの報告 (185)もある
ことから、肝臓においても GH,l
n
sだけでなく、 Dexも何らかの関与をしてい
る可能性は否定できない.
今回の結果によりこれまで株化肝細胞を用いた実験により報告されていた
DexとI
n
sによる IGFBP-1遺伝子発現が、初代培饗肝細胞系という生体に近
い条件下で、初めて確認された. V
i1afuerteらも初代培養肝細胞を用いて
I
n
sがIGFBP-1遺伝子の発現を抑制することを報告している (174). この結
GFBP-1 mRNA量と血中
果により、 i
nvivoで観察された擁尿病時の肝 1
IGFBP-1濃 度 の 上 昇 (167-170)、更に Dex投 与 時 (173)、 副 腎 除 去 時
(182)の IGFBP-1遺伝子発現の変化などの現象が、 1
n
s,Dexの直接的な作用
であると結諭づけることが初めて可能になった。最近 IGFBP-1遺伝子の 5・
上
流領域の配列が明らかにされ、 g
lucocorticoidresponsive e
lement
lement (CRE),i
n
s
u
li
n responsive
(GRE),cAMP responsive e
IRE)が存在していることが報告され (125-127,129)、更に肝臓
element(
に特異的な遺伝子発現の調節に関与している hepatocyten
u
c
learf
a
c
t
o
r
I
がIGFBP-1遺伝子の 5
'上流領岐に結合し、転写制御を行っていることが明ら
かとなった (
128). この結果により、今回得られた Dex,I
n
sによる IGFBP-1
遺伝子発現調節は、ほとんど転写レベルで行われていることが予想される。
実際に I
n
sがヒト IGFBPイ遺伝子の転写を抑制することがすでに Powellらに
より明らかにされている (
139). しかし、筆者の共同研究者である内島は
Dexによる IGFBP-1遺伝子発現の促進が転写段階だけでなく、 IGFBP-1
t
a
b
i
l
i
t
yの段階でも調節されていることを示す結果を得ている
mRNAの s
(
1
8
6
)
. 一方仁川 owskiらは H41
IEを用いた実験で Dexが IGFBP-1mRNA
の
s
t
a
b
i1
i
tyを変化させないという結果を得ており (138)、転写後制御の関与の
可能性はまだはっきりしていない。
更に、今回 I
n
sが DexのIGFBP・1mRNA噌加作用を完全に抑制しているこ
とが明らかとなったが、最近 Goswamiらにより I
n
sが Dexによる IGFBP-1
70
遺伝子転写速度の増加を完全に抑制すること、 D
e
xによる転写速度増加には
I
G
F
B
P
1mRNAのc
a
ps
l
t
e上流9
0
b
p
l
こ存在する G
REが重要な役劃を果して
いること、更に D
e
xによる摺加を I
n
sが抑制する作用には、それに隣後する
2
2
b
pの領織が必要であることが報告された (
1
8
7
)
.彼らの結果により、今回
の結果が分子レベルで説明される。
また、 i
nv
i
v
oでは H
y
p
o
xラット肝腺で I
G
F
B
P
1遺伝子の転写速度が噌大
していることが S
e
n
e
v
ir
a
t
n
eらにより報告されているが(
1
4
0
)、今回 GHを指
地に添加しても I
G
F
B
P
1mRNA量の変化は観察されなかった。この不一致
の理由は不明である.
I
G
F
B
P
1遺伝子の 5
'
上流領織 l
こC
R
Eが存在していることから、グルカゴン
などのc
AMPをs
e
c
o
n
dm
e
s
s
e
n
g
e
rとするホルモンの添加により、 I
G
F
B
P
1
遺伝子発現の促進が観察されることが予想されるが、今回は行っていない.
この点に闘しでも先の内島によりグルカゴン添加が 1
G
F
B
P
-1mRNA量、
I
G
F
B
P
1分泌量をともに顕著に増大させることが明らかにされている (
1
8
6
)
.
以上、 I
G
F
B
P
1遺伝子発現調節に関してまとめると、グルココルチコイド、
グルカゴンで促進、インスリンで抑制というようになる.では、これほどの
ような生理的意尊重を有しているのであろうか.既に述べたように、 I
G
F
B
P
1
遺伝子発現はホルモンだけでなく、持雪地中のグルコース濃度の変化によって
も調節されていることが明らかになっている (
1
7
5
)
. このことから B
a
x
t
e
rら
はI
G
F
B
P
1の生理作用を g
lu
c
o
s
ec
o
u
n
t
e
rr
e
g
u
la
t
io
nにおける役割を中心
にして捉えている (
1
8
8,1
8
9
)
.すなわちインスリンは血糖値を低下させる作
用を有しているが、それとは逆に血糖値を上昇させる作用を有するグルカゴ
ン、エピネフリン、成長ホルモン、コルチゾールなどの一連のホルモン群が
存在しており、 I
G
F
B
P
1もその一員であると考えられている.既に述べたよ
G
F
I濃度はインスリンのそれの 100倍に達するものである.こ
うに、血中 I
の大量に存在している I
G
F
Iの i
n
s
u
l
i
n
l
i
k
ea
c
t
i
v
i
t
yはI
G
F
B
P
sと結合する
askされているが、血中 I
G
F
Iのすべてが I
G
F
B
P
sに結合してい
ことにより m
るわけではなく、その約 H匂;t遊耳障の状態で存在している.つまり I
G
F
Iは血
中においてインスりン濃度と同濃度のものが遊園躍状態で存在していることに
なる.そのため低血糖時には、遊園曜の I
G
F・1
により更に低血糖が誘発される
可能性があり、それを防ぐ光め I
G
F
Iの作用を抑制する I
G
F
B
P
1が誘導され、
遊離状態の I
G
F
Iをすばやく maskすると推定しているのである.このような
lu
c
o
s
ec
o
u
n
t
e
rr
e
g
u
la
t
o
r
yh
o
r
m
o
n
e
生理的役割があるが故に、一連の g
により I
G
F
B
P
1の発現が増加するものと考えられている.このように考える
と、細胞内のグルコース漢度が I
G
F
B
P
1遺伝子発現を調節していることの生
理的意義も明確になる.逆にインスリンは生体内で血糖低下作用がより有効
7
1
に発現するように IGFBP-1遺伝子発現を抑制すると考えられる .実際精製し
た IGFBP-1を静脈注射することにより血糖値が一過性に減少することが確認
されている (190)。以上の推測から IGFBP-1遺伝子発現の中心的輔自因子は、
グルコースとインスリンであると考えられる。他のホルモンはグルコースの
作用を補助するために存在していると考えることも可能である。このように
血中グルコース濃度の恒常性を維持することが IGFBP-1の生理的意義である
と考えることにより 、今回観察された各種ホルモンによる IGFBP-1遺伝子発
現の調節が整理され、IGFBP-1の血中濃度変化が糖新生の keyenzymeの一
つである ph05phoenolpyruvatecarboxy
-kina5eの活性変化・遺伝子発現
機構と類似している現象 (191)との関連がつくものと思われる。
しかし、以上の議論は糖代謝のみを考慮したものであるが、生体 l
ま糖だけ
でなく他の構成要素に関しでも恒常性を維持している.更に IGF-I
の生理作
用は糖代謝にとどまらず、非常に多岐に渡っている.例えばIGFBP5との関
連は不明であるが、血中 I
G
F
I濃度がカリウムの恒常性の維持に関与してい
るとの報告もあり (192) 、 上記の論理が他の恒常性の維持機術、 ~J え lぎアミ
ノ酸代謝の恒常性維持機摘において IGFBP-1が I
G
F
I活性を ma5kし、食餌
タンパク質の質と量の変化に対しても counterr
e
g
u
latorとして働いている
可能性が考えられる.このことは次章以降で詳しく議論したい.
愚後!こ IGFBP
4に関してであるが、 IGFBP-4はその発見が比較的最近であ
るため、肝臓に関しては遺伝子発現調節後構はあまり明らかになっていない.
他の臓器での報告として、血管内皮級胞において cAMP誘導性の薬剤が
1
GFBP-4mRNA量の唱加とそれによる IGFBP-4分泌量の唱加を誘導するこ
とが知られている (
1
9
3
)
. また既述のように内島は、 I
n
5,
Btz
cAMP,
T3処理
遺伝子発現が促進されることを報告
により初代渚養肝細胞において IGFBP-4
している.今回は I
n
5,
Dexの共存下で IGFBP-4の遺伝子発現が顕著に増加す
ることが新たに明らかとなった.内島も同織の実験を行っているが 、I
n
5,
Dexの共同作用はないと報告している。この不一致の原因は現在のところ不
・4
が IGFBP-1とはまったく異なる調
明である。しかし、今回の結果は IGFBP
節を肝臓で受けていることを示しており、 IGFBP-4が肝臓で合成・分泌され
ていることの意義の解明を含め、今後の更なる解析が必要である.
以上、初代培養肝細胞における各種ホルモンによる I
GF-I,IGFBP-1,
-4遺
伝子発現調節機備に関しての解析結果を示したが、初代培養肝細胞では ALS
が合成・分泌されていることが明らかになっている (194). 一方先にも述べ
たように ALSとI
G
F
Iが後合体を形成するために必要な IGFBP-3は、肝臓で
72
、
,
.
_
.
-
は非実質細胞でのみ合成されており、今回矯養に使用している実質細胞では
合成されていないことがすでに竹中らにより明らかにされている (
160)。非
G
F
I及 剖 G
F
B
P
sの遺伝子発現讃節機構に関しては、森(
1
9
5
、
)
実質細胞での I
内島 (
186)が詳細な解析を加えているのでここでは触れないが、 wholeの肝
臓として考える場合には、実質細胞と非実質細胞の相 E作用も含めた解析を
行って始めて、肝臓での I
Gト l
及びその関連分子の生理的調節機構の全貌が
明らかになるものと思われ、今後そのような解析がi
nv
i
t
r
o
,i
n
s
i
t
u系を用
いて行われることを期待する。
73
第四章初代培養肝細胞における I
G
F
I,
IGFBP-l,
-4遺伝子発現のアミノ酸による調節
序論
本論文の第一章で述べた結果、つまり肝臓中の I
G
F
I,
IGFBP-1遺伝子発
現が栄養条件の変化に対応して敏感に変化することの裏にどのような機構が
あるのかを明らかにするため、第三章では主として内分泌系の因子に注目し、
解析を行った。しかし、内分泌系の因子の変化だけでは I
G
F
I,IGFBP-1遺
伝子発現の変化を説明することは困灘である。すでに IGFBP-1に関しては培
地中のグルコース濃度を変化させることによりその遺伝子発現が変化するこ
とが明らかにされている (
175). また共同研究者の原因は繕地よリ必須アミ
ノ酸をひとつずつ除いていき、その時の I
G
F
I mRNA量の変化を解析し、
LY5,
Trp,
Metなどが I
G
F
I遺伝子発現において重要な役割を果している可能
性を示唆する結果を得ている (196)。
以上のようなことより、栄養条件の変化に対する肝臓中の I
G
F
I,
IGFBP・1遺伝子発現の変化は内分泌系の影響ではなく、むしろアミノ厳が直
鍍遺伝子発現を変化させている可能性が考えられる.
そこで本章では初代渚餐肝細胞を用いて、情地中のアミノ酸灘度を変化さ
せた際に IGF
-I
,IGFBP-1遺伝子発現がどのように変化するかを解析した.
培地中のアミノ酸濃度の変化は、個々のアミノ酸濃度を変化させることは行
わず、必須アミノ量産を含むか含まないかの両者の比般により行った.また同
時に IGFBP-4遺伝子発現の変化も解析した.
第一節
IGF-I遺伝子発現のアミノ酸による調節
4-1ー 1 方 法
初代培養肝細胞の分灘・培養はこれまでさ同微に行ヲたて宵わた培地は、
MEME
a
r
l
e
'
55
a
l
tsolution(Flow l
a
b
.
)に 100XMEMvitaminmixture
(FlowI
a
b
.
)を添加したものをアミノ霞(ー)とし、それに 50XMEMAmino
a
c
idmixture(FlowI
a
b
.
)を添加したものをアミノ酸(+)とした。これらの
o
t
a
l RNAを調製し、 I
G
F
I
密地で肝細胞を培養し 、24時間後に細胞から t
cDNA
をプロープとする Northemb
l
o
t分析を行った.
74
‘
司
.
.
.
-
4-1-2 結果と考察
F
ig
.4
-1Aに示したようにアミノ酸(ー)の培地で 24時間培養することによ
り
、 t
o
t
a
lI
G
F
I mRNA量はアミノ厳(+)に比べて 40%にまで減少した.長
さの異なる I
G
F
I mRNAごとに検討すると、他の mRNAに比べて 7.
4kbの
IGF-ImRNAが 20%以下まで特に顕著な減少を示した (Fig.4-18)。この結
果は、第一章で観察されたグルテン食及び無タンパク質食摂取時の肝臓中の
IGF・ImRNA量の変化とわずかに異なり、長い mRNAだけでなく短い mRNA
の量も大きく減少している (
F
ig.1・6,1
・8,
4-1を比絞参照のこと) .今回
はI
G
F
I遺伝子転写速度を測定していないので、 I
G
F
ImRNA量の減少がど
G
F
ImRNAの安定
のような機構によるのかを考察することはできないが、 I
性などの転写後段階での調節だけでなく、転写段階での調節も関与している
かも知れない.この点は第四節でもう一度議論する.しかし、アミノ磁(ー)時
にもっとも長 ~'mRNAである 7 .4 kb の IGF-I mRNA
が顕著に減少していたこ
G
F
ImRNA量の調節には、 I
G
F
I mRNAの安定性
とから、アミノ酸による I
が関与していることは確実である.
第二節
IGFBP-l遺伝子発現のアミノ酸による調節
4-2ー 1 方;去
初代培養肝細胞の分敵・繕養はこれまでと同様に行った.用いた繕地は、
4
-1
-1と閉じである.これらの泊地で肝細胞を培養し、経時的に培地を採取
し、細胞から t
o
t
a
lRNAを調製した。
また、第三章で観察された I
n
s,
Dexの作用がアミノ厳の有徳でどのように
変化するかを解析するためアミノ酸を含むもしくは含まない堀地に
I
n
s
(10'
l
v
1
)
, Dex(10'l.1)を単独もしくは同時に添加し、 IGFBP-1遺伝子発現
がどのように変化するかを解析した。
Northernb
lo
t分析、 WesternI
i
gandb
l
o
t分析は 2・1・2と同織に行った.
4-2-2 結果と考察
F
i
g
.4
-2に示したようにアミノ酸(ー)の培地で培養すると、 IGFBP-l
mRNA量は 6hr目まではアミノ酸(+)より少ないが、それ以降増加し始め、 9
ヨで
h
rでほぼ同じ量に達し、それ以降はアミノ酸(ー)の方が多くなり、 24hrl
はアミノ酸(+)の 2倍以上の IGFBP-1mRNA
が存在していた.
このとき培地中の IGFBP-1分泌量は、アミノ厳(ー)と(+)で差がなかった
(Fig.4-3)。こ の結果は培地にアミノ厳が含まれていないアミノ酸(ー)の方で
7
5
0)
、
、
J
+
-
Amino
Acids
B
hooωcsuZ2adω
100
120
T
o
t
a
l
mRNA
。
20
40
60
。
由
(ポ)︽ZZE--LO-
﹀
一 Hmw一巴
ω
0
.
8
1
.
2
k
b
2
.
0
k
b
4.0kb
3
.
6
+
7
.
4
k
b
AminoAcids(
+
)
A
m
i
n
o
A
c
i
d
s
(
・
}
圏
口
Dataa
r
erepresentedaspercento
fvalu~s o
f~_m~no
a
c
i
d
s
(
+
)f
o
rt
o
t
a
landeachspecieso
fIGF
・ImRNA
f
f
e
c
to
fAminoAcidsonI
G
F
ImRNAContenti
nPrimary
Fig.4
・1 E
CulturedRatHepatocytes
・
ImRNA
A :Northern8
1
0
t 8:R
e
l
a
t
i
v
eAbundanceo
fIGF
2.0+
3.6+
4.0+
7.
4+
kb
A
n
u
、
.
.
-
日
一一塁--L-ι1-1E2
竺(
h
r
)
E
A
C
i
d
sー+ー+白+ー+._+一+
ー
1.6kb-
4e.1GFBp.1
mRNA
Fig.4
・
2 E行'
e
c
t0
1AminoAcidsonIGFBP-1
mRNAContenti
nPrimaryCultured
RatHepatocytes
77
F
﹄
判
一
万
恥
。
ωω 玄00宮内凶ωZ 古 庄 司ω ZコOKCmEaETa固
H
h
o
=
﹄
一
ωω 0
cozo00ωoZ coco一コ
混とS
4
0
E
F
4 OちωEM
﹄
・E
a
gHW
.h
戸
別
の・守・0rE
A-E凶
︼晶
A-t凶.刊の
60
+ ・ + ・ + ・ ω 04
﹁││L﹁││L ﹁││Lo一
EE︽
万
円
0.
ω
78
司
‘
.
.
-
は、他のタンパク質合成は低下していると予想されるのに対して I
G
F
B
P1合
成量が変化していないということであり、実際には I
G
F
B
P1合成量は増大し
ていると車吉論した。
G
F
B
P・1
遺伝子発現は
以上により 、アミノ酸を培地から除くことにより 、 I
増加することが明らかとなった.
F
i
g
.4
-4にはアミノ厳がない条件下で I
n
s,D
e
xの作用がどのように変化す
るかを解析した結果を示した。わずかにアミノ酸が存在しない湯合に I
n
sの
抑制作用が弱まっている傾向が見られるものの、 I
n
sの抑制作用も D
e
xの促進
作用もアミノ酸の有無にかかわらず観察されており、それぞれの作用にアミ
ノ磁の有無はほとんど影響していない.
第三節
IGFBP-4遺伝子発現に対するアミノ酸の効果
4-3-1 方 法
F
i
g
.4
-2及びF
i
g
.
4
・4
のb
l
o
tをI
G
F
BP
-4cDNAを用いて r
e
h
y
b
r
id
iz
eする
ことにより、 I
G
F
B
P4
遺伝子発現に対するアミノ酸、アミノ酸とホルモンの
作用を解析した。
G
F
B
P
4分泌量を W
e
s
e
r
nI
i
g
a
n
db
l
o
t分析により解
また、同条件下での I
析を試みたが、 F
ig
.4
-3に示すように、この培養条件下では I
G
F
B
P
4の分泌
量が非常に少なく、 W
e
s
t
e
r
nl
i
g
a
n
db
l
o
t分析では検出できなかったため解
析できなかった。この原因は不明である.
4-3-2 結果と考察
F
ig
.4
-5に示したように、 I
G
F
B
P・4mRNA量は時間とともに減少してい
き
、 2
4時間の時点ではわずかに存在しているのみであり、アミノ酸の有無の
舵響は観察されなかった。
n
s,D
e
xの作用は、先の 3
・4
3と問機 I
n
s添加で相加し、Dex
添加
一方、 I
では変化せず、 I
n
s,D
e
xの共存で顕著な噌加を示し、この傾向はアミノ酸の
存在下でより顕著に観察された (
F
i
g
.
4
6
)
.
すなわち、 I
G
F
B
P
4は先の I
G
F
B
P
1とは異なり、アミノ磁で直接調節され
ていないことが明らかとなったが、 I
n
s,D
e
xによる発現調節が行われるため
にアミノ磁の存在が必要であることが確認された。
79
司司...-
崎
SIll
mEC
wd
んA
-
+
D
e
x
l
f
+
+
C DexI
n
sI
n
s C DexI
n
sI
n
s
・
1.6kb
・
...
4
Fig.4
・
4 E
f
f
e
c
t
so
fAminoAcidsS
t
a
r
v
a
t
i
o
nand
HormonesonIGFBP-lmRNAContent
i
nPrimaryCulturedRatHepatocytes
C :withouthormone,De
x:10
毛 M,
I
n
s
:10
8M
80
IGFBP.1
mRNA
恥
ω@HhoOHeaoZHC庄 司O
﹄
コ
=
コ QhccEzaEHCOVC00
4ZEE 守乱回比O-coco一割問﹀﹄Sωω 豆υ405E4 ovooE凶
m一比
帥・守・
畠
[email protected]
<
i
<
(
zgεF
ω
正司3
FO
d﹃
a
m
u
h
o
-
守‘
。
1
¥
)
ロ3
I
+
+
IGFBP
・4
mRNA
・
4
Dexl
F
i
g
.
4
6E
f
f
e
c
t
s0
1AminoAcidsS
t
a
r
v
a
t
i
o
nand
HormonesonIGFBP
・
4mRNAContent
i
nPrimaryCulturedRatHepatocytes
C :withouthormone,Dex:106M,
I
n
s
:10
8M
2.6kb__"
+
DexlI
-
C Dex I
n
sI
n
sIC Dex I
n
sI
n
s
Amino
Acids
『
・F
第四節討論
本章では以下のことが明らかとなった.
1
.初代堵養肝細胞系において、培地から必須アミノ酸を除くことにより、
I
G
F
I mRNA量が必須アミノ酸が存在するときの 40制こ減少すること、特に
長い mRNAである 7.
4kbのmRNAの減少が顕著であることが明らかになった.
2
.繕地から必須アミノ酸を除くことにより IGFBP-1遺伝子の発現が顕著に
促進された。
3
.IGFBP-1の I
n
s,
Dexによる発現調節 l
ま必須アミノ酸の有無によっては変
化しなかった。
4.一方 IGFBP-4は必須アミノ酸を除いても発現量は変化しなかった。
5.IGFBP-4の I
ns,Dexによる発現調節は必須アミノ酸がない条件下ではそ
の変化の度合いが小さくなった.
今回の結果では、指地から必須アミノ酸を完全に除くことにより I
G
F
I
mRNA量が顕著に減少している.この結果から第一章のグルテン食、無タン
パク質食摂取時に観察されたinvivoでの I
G
F
I mRNA量の減少は‘アミノ
酸の直銭作用がその一因であると考えられる.もっとも i
nvivoでは必須ア
ミノ厳が全く無い状態はありえないので、アミノ磁の作用ですべてが説明で
きるわけではない.
一方 IGFBP-1は‘その血中濃度が絶食時、祭タンパク質食領取日寺に、肝臓
中の IGFBP-1 mRNA量の滑加を伴って、顕著に滑加することが知られてい
る (122,197-199). 今回の結果は、アミノ酸が直接 IGFBP-1の遺伝子発
現を調節していることを明らかにした初めてのものであり、上記のような血
中アミノ酸濃度が低下している際に、観察される IGFBP-1遺伝子発現の摺加
の一因として血中のアミノ厳が作用している可能性を示している.
最近問機の実験を行った結果がいくつか報告されたが、 Thissenらは
matrigel上で培養した初代培養肝細胞を用い、指地中のアミノ酸濃度を通常
の 血 媛 濃 度 の 20%にすることにより、 I
G
F
I mRNA量 が 56%
減少し、
I
GFBP-1mRNA 量は 69~初滑加を示すこと、逆にアミノ酸濃度を 5 倍にす
ると、 I
G
F
I mRNA 量が 70~切増加、 I GFBP-1mRNA量が 75%7.>減少を示
すことを報告している (143). 更に彼らは、アミノ酸による各 mRNA
量の変
化は、 G
Hによる調節に影響をしないことも明らかにしている.この結果は今
G
F
I,IGFBP-1遺伝子発現調節においてア
回の結果と良く一致しており、 I
ミノ酸が重要な調節因子であることを示している。一方 Paoらは、同じく初
83
代培養肝細胞系を用い、培地中のアミノ厳濃度を変化させることにより 、
IGF-I
遺伝子の転写速度が 60-70%
減少するものの、 IGFBP-1遺伝子の転写
速 度 は 変 化 し な い こ と を 報 告 し て い る (142)。 今 回 の 実 験 で は 1
GF-I,
IGFBP-1遺伝子の転写速度を測定していないが、彼らの結果が正しいとする
G
F
I mRNA量 の 減 少 は 転 写 段 階 で 、 IGFBP-1
と、アミノ酸除去時の I
mRNA量の唱加は主として転写後の段階において調節を受けた結果であるこ
とが予想される。しかし、 Strau5らは H
4
1
1Ehepatomaを用いて 、埼地から
Phe,
Met,
Leu,
Trpの 4種のアミノ酸をひとつずつ除いた際に、 IGFBP-1
mRNA量が4-5倍士宮加し、その増加は IGFBP-1
遺伝子の転写段階と転写後段
階の荷者で調節を受けた結果であると報告している (141).今回の主主々の結
G
F
ImRNA量の減少は I
G
F
I遺伝子の転写後段階だけでは説明する
果でも I
ことが不可能である.また第一章の結果では無タンパク質食摂取時の
IGFBP-l遺伝子発現の促進は種として転写段階での作用によることが明らか
となっている。以上のように、アミノ酸による 1
G
F
I,1
GFBP-l遺伝子発現
諦自が遺伝子発現のどの段階で行われているかを結論するには材料が足リず、
今後の検討課題の一つであると恩われる.また、 invivoで観察された食餌
タンパク質による I
G
F
I,
IGFBP-l遺伝子発現の調節には、アミノ酸だけで
なく 、 GH、インスリン、グルココルチコイドなどの内分泌系が互いに複合的
に作用しているものと考えられ、その機材陣の全貌を明らかにするためには、
更なる解析が必要と思われる.
立、アミノ酸だけの影響ではなく、アミノ援と I
n
s,Dexの相互作用に
今回 l
ついても検討した。その結果、アミノ酸の有無にかかわらず、 I
n
5,
Dexの作
用が観察された。この結果は、これらホルモンの情報伝達経路とアミノ厳に
よる経路は、 IGFBP-lに関しては異なっていることを示しているものである.
問機な実験を行った報告はこれまでになく、重要な知見である。
一方、まだ詳細が明らかにされていない肝臓における IGFBP-4の遺伝子発
現調節織備においては、アミノ厳からの情報伝達経路が、ホルモンによる経
路と何らかの相互作用があるものと予想されるが、今回の結果からはそれ以
上のことを考察することはできない。
アミノ酸が直接遺伝子発現を調節するという考えは古くよりあり 、その繊
備に関しでもいくつか報告がなされている.例えば緒言で述べたように酵母
でアミノ磁合成醇素の遺伝子発現が沼地中のアミノ磁濃度により調節されて
いることが知られており (
3
)、その誘導には核内転写因子である GCN4が関与
していることが明らかになっている (200)。しかし、細胞がどのようにして
アミノ酸欠乏のシグナルを細胞内に伝えるのかに関しては不明であり、わず
84
かl
こamin
oacyl-tRNAのchargeが減少することやタンパク質合成の減少 が
その引き金になるのではないかと示唆する報告があるのみである (201,
202)
.
一方、日商乳類の細胞でもいくつか検討が行われており 、 その中でも
K
iI
bergらのグループが積徳的に研究を行っている。彼らは肝癌細胞、初代
培養肝細胞、線維芽細胞などを用い、培地よりアミノ磁を除いた際に細胞膜
上の SystemAのアミノ厳紛送体が書留加し、その増加はアミノ酸輸送体の遺
伝子発現の増加を伴っていることを明らかにしている (203-205). 更に彼
らは、アミノ厳欠乏のシグナルを伝える分子を検索するため、アミノ酸欠乏
後 短 時 間 で 誘 導 さ れ る 遺 伝 子 の ク ロ ー ニ ン グ を 試 み 、 amino acid
、
s
t
a
r
v
a
t
ion-i
nducedgene(ASI)のクローニングに成功している (206)が
現在のところその機能は不明である。
また 、初代培養肝細胞に関しては、 Jeffersonらのグループにより Leu,
l
Ie,
Trpなどのアミノ訟を培地から除くことによりアルブミン分泌量が減少
すること (207)、アミノ酸除去繕地で培養することにより細胞内の e
1F-2α
のリン酸化が促進されることなどが報告されている (208).
このようにアミノ磁を単なる生体を織成する b
u
iI
d
ingblockとしてではな
く、生理的調節機能を有した情報因子として捉えることが多くの研究者によ
り行われているが、その詳細な機備はいまだ不明の点が多く残されている。
しかし、特に肝臓は小腸より吸収されたアミノ酸が門脈を介して最初に出会
う臓誌であり、肝厳に食餌由来のアミノ磁の濃度をモニターリングする織能
がある可能性があり、今後の更なる検討において重要な対象となるものと恩
われる。今回観察された IGFBP-1遺伝子発現のアミノ磁による調節 l
主、その
変化が非常に顕著であり、今後アミノ磁の生理作用を解明するための格好の
実験系として使用することが可能である.
85
r
r
『司
総合討論
本論文は、動物の成長が摂取している食餌により変化する現象において中
心的な役割を果していると考えられている I
G
F
I及びIGFBPsの遺伝子発現が、
その主要生産臓器である肝臓においてどのような機構で認節されているのか
を解明し、それにより生体内における I
G
F
I及び IGFBPsの役割に関して新た
な知見を得ることを目的とした。この目的のもと前章までの解析を行い、以
下のようなことが明らかになった.
1
.I
G
F
Iの主要生産臓器である肝臓において、 I
G
F
I遺伝子発現は動物が摂
取している食餌中のタンパク貨の量だけでなく貨の変化、すなわち食餌タン
パク質のアミノ厳バランスの変化に対しても応答する (209).
G
F
I遺伝子の転写段階ではなく、 I
G
F
ImRNAの安定性の
2
. この変化は、 I
段階で起きているものである.一方、 I
G
F
Iと逆に無タンパク質食慎取によ
り肝臓中で mRNA量が増加することが知られている IGFBP-1遺伝子は、無タ
ンパク質食摂取によりその遺伝子転写速度が増加したことから、食餌タンパ
210).
ク質により転写段階で調節されていることが明らかになった (
G
F
I遺伝子発現を促進する因
3
.初代培養肝細胞系での解析により、肝肢の I
子として GHとI
n
sが
、 IGFBP-1遺伝子発現を促進する因子としてグルココル
n
sが明らかになり、更にまだ肝践での発
チコイドが、抑制する因子として I
現調節機相官が明らかにされていない IGFBP-4r
こ関して I
n
sとDexが協調して、
遺伝子発現を促進していることが明らかとなった (
211)
.
G
F
I,IGFBP-1遺伝子発現が精地中のアミノ践により調節され
4.肝属車中の I
ることカf明らかとなった.
今回観察された食餌タンパク質の質と量による I
G
F
I及 び IGFBP-1遺伝子
発現の変化には、外界の環境因子の変化を内的な情報に変換する機構(高等
動物では内分泌系や神経系がこれにあたる)が関与していることが予想され
る.しかし、少なくとも今回の解析からは内分泌系が関与しているという直
接的な鉦拠は得られなかった。神経系の関与に関しては検討を行うことがで
きなかったが、 Berelowitzらのグループはラットを絶食させた際や持者タン
パ ク 質 食 を 摂 取 さ せ た 際 に 視 床 下 部 の Growth-Hormone-R
e
leasi
ng
Factor(GRF)mRNA
が減少することを報告しており (212,
213)、更にその
減少は内分泌系が関与した feedbackr
egulationによるものではなく、
neuropeptideや neurotransmit
t
e
r系などの神経系が食餌タンパク質によ
り影響された結果ではないかと予想している。栄養条件による肝臓中の
86
r
噌司
I
G
F
I遺伝子発現の変化に神経系が関与しているかどうかは今後の検討課題
である.
I
G
F
Iの遺伝子発現が栄養条件により調節されている機績は、主として転
写後段階で行われているものであるという結果が今回得られたが、 I
G
F
I
こ限らず mRNAの安定性を調節する機備に関しては、現在のところ明
mRNAI
らかにされておらず、今後の検討課題であるものと恩われる。今後の解析の
方法としては、 7.
4kbの I
G
F
I mRNAIこ存在することが明らかにされている
AUr
i
c
helement(ARE)に結合する AREb
in
d
ingp
r
o
t
e
in(AREBP)
(
1
37)の
変動を解析する、 AREBPの発現を調節する諸国子を検索するなどが考えられ
るが、 AREBPそのものが判然としていない現在では、非常に困難であると思
G
F
Iの栄養条件によ
われる.ところで最近になり、かつて筆者らと間後、 I
る発現調節は主として転写後段階で行われているとの結果を報告していた
Strausらのグループが、 I
G
F
Igeneのi
n
t
r
o
n3とexon4をプロープとして
r
e
p
r
o
lG
F
ImRNAを定量し、絶食日寺に見られる
用いることにより、桜内の p
I
G
F
ImRNA量の変化は主として転写段陪での作用によるものであるとの結
果を報告した (
2
1
4
)
. 第四章でも述べたようにアミノ酸による IGF-I遺伝子発
現謂節には転写段階での調節機構も存在している可能性が初代滋養肝細胞で
の結果から考えられる.したがって I
G
F
I遺伝子の栄養条件による発現調節
機櫛に関してここで結論づけることはまだできない.実際には栄養条件の変
化により GH,
l
n
s
の漢度が変化し、アミノ酸、 GH
、I
n
sなどが複合的に作用し
1G
F-I遺伝子発現を調節している可能性が高く、今後の更なる解析が必要で
ある.
G
F
I,
今回得られた結果でもっとも注目に値するのは、肝臓での I
IGFBP-1遺伝子発現をアミノ磁が直接調節する可能性が示されたことである.
すでに述べたように大腸菌や酵母では外界の基質が直鐘遺伝子発現を変化さ
せることが知られている.これまで、ハムスターの f
ibroblastでグルコース
lucose
-r
e
g
u
latedp
r
o
t
e
in
sが誘導される例 (215)は知られて
欠乏により g
いるものの、そのような現象は数少なく、ラットのような哨乳額でもこのよ
うな機継が残されていることは驚きである.アミノ酸がどのようにして細胞
内へと情報を伝達するのかに関しては現在のところ不明であるが、醇母など
よりも複錐な経路を有していることは間違いないものと思われる.また今回
は肝臓に関してのみ解析を行ったので、他の臓器でもアミノ酸が I
G
F
I,
IGFBP-l遺伝子発現を調節しうるのかに関しては不明であるが、般引らは食
餌摂取直後に見られる一過性のタンパク質合成冗進において、肝臓はアミノ
酸の舵響をより顕著にうけ、一方筋肉はインスリンの影響を受けることを確
認している (
2
16
)
. したがって非常に乱暴な言い方になるが、肝臓という臓
87
器は他の臓器に比べ、食餌など外界からの情報に小腸での吸収過程を介して
直接、接しているという特徴から考えて、より原始的な臓器、すなわち進化
、の過程で他の臓器が捨てていった性貨をいまだ保持している臓器と考えるこ
とができるかもしれない。
第三章、第四章では IGFBP-1遺伝子発現の調節因子として、 I
n
s,Dex,ア
ミノ磁が作用していることを明らかにし、 IGFBP-1のグルコースカウンター
レギュレーターとしての役割に関して議論した。その中では血中 I
G
F
Iの生
理作用を血糠値調節を行う i
n
s
u
li
n
Ii
k
e
作用に限定して議論していたが、す
でに述べているように I
G
F
Iの生理作用 l
ま非常に多岐にわたるものであり、
糖代謝に限られているわけではない。すでに血中 I
G
F
I濃度が体タンパク賀
代謝に深〈関与している証拠が数多く得られている.したがって先のグルコー
G
F
Iの作用を抑制するために作用し
ス代謝において IGFBP-1が血中の FreeI
ているという考えは、血中アミノ酸代謝にも当てはめることができるかもし
れない.すなわち、絶食時や無タンパク質食療取時には I
G
F
I自身の濃度も
下がるが、その状態下でも freeの I
G
F
Iは残っており、その freeのI
G
F
Iが
無差別にアミノ酸取り込みを促進することがないよう、つまり血中に存在し
ているアミノ磁をより有効に臓器問で利用することができるよう、 IGFBP-1
濃度が上昇するのではないだろうか.このように考えると、種々の生理状態
での IGFBP-1遺伝子発現の変化、血中濃度の変化に説明がつくように思われ
る。つまり、 IGFBP-1は短期の生理状態の変化に迅速に対応し、血中 I
G
F
I
の作用を修飾する役割を有していると考えられる。
一方、本論文では取り上げていないが‘ IGFBP-3はタンパク質栄養の変化
G
F
Iと同様の変化を示すことが知られており、積々のホルモンな
に対して I
どの調節因子に対する応答も I
G
F
Iと類似している (218)。したがって、
IGFBP-3は血中で IGF・1
の貯蔵庫として作用すると同時に I
G
F
Iの変化に応
じて、その発現が変化し、最適の時に最適の場所で I
G
F
Iが作用するように
鋤いているのではないだろうか.すなわち、 IGFBP-3は IGFBP-1とは対照的
に長期の変化に対応する役劃を有しているのではないだろうか.
以上の議論をまとめて考えると、血中に存在している I
G
F
Iは栄養条件な
どの生理状態の変化に応答して、自らの濃度を変化させるとともに、
IGFBP-1とIGFBP-3を介して、短期及び長期にわたる生体の応答を総合的に
調節しているのではないかと考えられる.つまり、 I
G
F
IはIGFBPsなどの関
連分子と共同で作用することにより、生体の恒常性の維持の根幹に関わって
いるものと考えられる. F
i9.
5
・ 1に現在蓄積しつつある IGF関連の知見を含め
て、この考えをまとめた概念図を示した。しかし、この中には緒言で触れた
88
∞
<
.
0
I
.
,H
epreSSlon
・
1 ~egulatory Mechanismo
Fig.5
fHepaticI
G
F
IandIGFBPs
GeneExpressionandT
h
e
i
rP
h
y
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g
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lRole
I
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fCounter
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'Action
帯、下、Insulin-like I
AminoAci
I
jl
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I
命ぶ
位予
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1
総機線数
I
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Growth
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GoodN
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i
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一
一
一
一
.
.
.Stimulation
一
一
一
一
.
.
.Repression
L
i
v
e
r
r
『司
IGF-I自身が IGFBPを誘導するという現象 (96,
97)や血中 IGF-I濃度が肝臓で
のI
G
F
I遺伝子発現を調節している、つまり I
G
F
Iにフィードパック機構が存
在しているという点 (219)、更には他の IGFBP、 I
GFreceptorの動態などは
含まれてはおらず、 I
G
F
Iならびにその関連物質の生理的意破づけがされる
ためにはまだ時聞がかかると思われる.今後の解析に期待したい.
IGFBP-1,
-3以外の IGFBPsの役書J
Iに関しては、これらのタンパク質に関
する情報が、まだ少ないためここで議論することはできないが、今回
IGFBP-4
遺伝子が I
G
F
Iとも IGFBP-1とも異なる調節を受けていることが明
らかになったことから、 IGFBP・4は他の BPとは異なる生理的役割を有して
いることが予想される. IGFBP・4が、卵巣や精巣などの生殖器官に強く発現
していることから、生殖・発生に関する生理的役割を有している可能性が大
いに考えられる。しかし、血中にも IGFBP-4が存在しており、何らかの生理
的役割を果しているものと恩われるが、詳細は不明である。しかし最近にな
り
、 IGFBP-3、 A
L
Sと 3量体を形成した IGF-Iは血液中での半減期が顕著に
泊加する (220)一方で、その大分子量故に血管内皮を通過できないと考えら
れ (194)、血管内皮を通過しての組織への I
G
F
Iの還織を担当しているのが
IGFBP-1,
-2,-4,-S,-6などの低分子量 IGFBPであるとの仮設が出されて
いる.従って IGFBP-1などの低分子量 BPが異なる調節を受けているのは、
臓器ごとの I
G
F
Iの利用率を調節するためであるとも考えられるが、この点
に関しても更なる検討が必要であろう。
栄養条件の変化により成長速度も変化するという一見単純な現象の裏には、
生体が有している糟綴な調節機績が存在していた.その機憾の中には高等動
物のみが有している多臓器聞のバランスを保つための機縄だけでなく、大腸
菌や醇慢にも見られる、言わば原始的な機備も含まれていた.生体の繍鍛さ
と、生物界に存在する普通性の雄大さに思いを馳せながら本論文を終了した
90
『司 . -
要旨
食餌タンパク質の質と量を変化させると成長速度が変化することは周知の
事実であるが、インスリン様成長因子 1
(
IGF
・
)
1は食餌タンパク貨の変化に応答
して血中濃度が変化し、食餌タンパク質による成長制御において中心的役割
を果たしていることがすでに明らかにされている。また 、 I
G
F
Iは特異的な数
種類の結合タンパク質 (IGFBPs)と結合した状態で血中に存在しており 、
IGFBPsの血中濃度、 IGF
I
との結合状態も食餌タンパク質により変化するこ
とが知られている.本研究は、 I
G
F
Iの主要生産臓器である肝臓における
IGF
・
l
とIGFBPsの遺伝子発現調節機構を明らかにし、食餌タンパク質による
成長制御における IGFI
とIGFBPsの生理的役割を考察することを目的とした.
G
F
I遺伝子発現調節
(
')食餌タンパク質によるラット肝臓での I
ラットに貨の良い食餌として 12%カゼイン食 (12C)を、貨の良くない食餌
としてしys,Thrが欠乏している 12%グルテン食 (12G)を、更にタンパク質を全
G
F
ImRNA量を
く含まない無タンパク質食 (P町を 1週間摂取させ、肝臓中の I
Northernb
l
o
t分析法により測定した。その結果、 12G,PFを捜取したラット
G
F
ImRNA量が約 40%まで減少し
の肝臓中では 12C摂取ラット肝臓と比べて I
ており、血中 I
G
F
I濃度の変化は肝臓中の I
GFImRNA
量の変化が原因であるこ
とが明らかになった.また、I
G
F
ImRNA
rこは3・非翻訳領織の遣いにより長さ
の異なる復数の mRNAが存在していることが知られているが、各欝のmRNA
量の変化を長さの異なる mRNAごとに解析したところ比般的長い mRNAであ
る7.
4kbの mRNAと4.
0-3.
6kbのmRNA量がより顕著に 12G群
、 PF
群で減少し
ていることが明らかとなった.これら長い mRNAは短い mRNAIこ比べて、半
・
ImRNA量
減期が短いことが知られているので、 12G,PF群で観察された IGF
の減少は mRNAの安定性の段階で調節された結果であることが考えられた.
次に他の食餌タンパク貨の例として Metが欠乏している大豆タンパク貨を用
いて閑様の実験を行ったところ、大豆タンパク質を獲取した群で I
G
F
ImRNA
量の減少が観察され、その減少は Metを添加することによりカゼイン食群と
同レベルまで回復した.また、長さの違いに着目して解析したところ 7.
4kbと
3.
6-40kbの I
G
F
ImRNAが顕著に減少していた。以上の結果から食餌タンパ
ク質の質と量の違いによる血中 IGF
・│濃度の減少は肝臓中の IGF・
ImRNA
量の減
少が原因であること、 I
G
F
ImRNA量は主として IGF
・
1mRNA
の安定性の段階
で調節されていることが明らかになった.
これを更に確 E
忍するため 12C,12G,PFを摂取したラット肝臓より単般核を
調製し、 nuclearrun-ont
r
a
n
s
c
r
i
p
t
i
o
nassayを行い、 I
G
F
I遺伝子転写速度を
9
1
定量した所、 12G,PF
群で IGFI
遺伝子転写速度が約 20%減少していたものの、
有意な差はなく、食餌蛋白質の質と量の違いによる IGF
ImRNA量の調節は ‘
主として mRNAの安定性などの転写後段階で行われているものと結論した.
同時に、すでに PF
食を摂取することにより肝臓中の mRNA量が顕著に増加
することが明らかにされている IGFBP-1r
こ関しても、遺伝子転写速度を測定
したところ I
G
F
Iとは異なり、 IGFBP1遺伝子転写速度は PF
群で 12C鮮の約 4
倍に増加していた.従って、 IGFBP・
1遺伝子発現は食餌タンパク質により主
として転写段階で調節されていることが明らかになった.
(2) 初代培養肝細胞系における I
G
F
l,IGFBP-1,4遺伝子発現調節機備の
解析
1
)ホルモンによる調節
肝践での I
G
F
I,IGFBP-1遺伝子発現調節機構をより詳細に解析し、 InVIVO
で観察された食餌タンパク貨による IGF・
1
,IGFBP-1遺伝子発現の調節機構を明
らかにするため、初代繕養肝細胞系を用いた解析を行った.初代培養肝細胞
系は現存の i
nv
f
t
r
o系のなかでもっとも良く InVIVOの肝儀能を維持しているこ
とが知られている細胞系である.まず初代培養肝細胞で I
G
F
I遺伝子がどの程
度発現しているのか、またどの IGFBPsが発現しているかを確認したところ、
I
n VIVOよりは低レベルながら I
G
F
I遺伝子が発現しており、 IGFBP
・
1および
IGFBP-4を合成・分泌していることが明らかとなった.次にホルモンによる
調節後構を明らかにするため、培地に成長ホルモン (GH)、インスりン (
I
n
s
)、
G
F
I
遺伝子発現の変化を解析したところ
デキサメタゾン (Dex)を添加し、 I
I
G
F
ImRNA量
、 I
G
F
I分泌量ともに GH,l
n
s添加時に増加することが明らかと
なった。 Dexは I
G
F
I遺伝子発現に影響しなかった。また、解析の過程で初代
指養肝細胞の培地中の I
G
F
I濃度を定量する際、培地中の I
G
F
Iを IGFBPsから
遊厳させるために行われていた酸エタノール処理法では、完全に IGFBPsを除
G
F
I分泌量を測定する
去できないことが明らかとなり、初代繕養肝細胞系で I
際には、培地を acidgelchromatographyに供した後に RIAを行う必要がある
ことが示された.
IGFBP-1遺伝子発現に関しては、 GHはほとんど影響しなかったが、 Dex添
加により IGFBP-1mRNA量、分泌量ともに増加し、そのEC50は3X10"'Mであっ
たo Dex添加時の IGFBP-1mRNA量
、 IGFBP-1分泌量は良く相関していたこ
1遺伝子発現の促進は、転写レベルでの作用である
とから Dexによる IGFBP・
と考えられた。一方、 I
n
s
添加により IGFBP1mRNA
量、分;必量ともに減少し、
1O
その ECs
- Mであった o I
n
s
添加による IGFBP1mRNA量の減少と分
oは8X10
泌量の減少も相関していたため、 I
n
sによる IGFBP-1遺伝子発現の銅制も転写
92
レベルでの作用であることが考えられた.以上の結果より肝臓での IGFBP・1
遺伝子発現は Dexにより正に、 I
n
sにより負に調節されていることが明らかと
なった。また、 Dexと I
n
s
の両者を共存させた際には、 Dexによる IGFBP・1
mRNA量と IGFBP-1分泌量の増加作用が完全に打ち消され、 IGFBP-1遺伝子
発現に対する作用は I
n
s
の方が Dexよりも強いことが示された。
一方、 IGFBP-4遺伝子発現調節機構に関して、 Dex,lnsは単独では何の効果
も示さなかったが、両者が共存したときに IGFBP-4mRNA量、分泌量ともに
顕著に増加することが明らかになり、 IGFBP-4遺伝子発現は IGFBP-1とは異
なる調節を受けていることが考えられた.
2
)アミノ酸による調節
m VIVO観察された食餌タンパク貨の質と量による I
G
F
I,IGFBP-1遺伝子発
現調節綴構を明らかにするためホルモンによる I
G
F
I,IGFBP-1遺伝子発現調節
機備を解析したが、その結果だけでは i
n
v
i
v
oの現象を説明することができな
いため、次にアミノ酸自身が肝臓における I
G
F
I,IGFBP-1の遺伝子発現調節に
関与しているのではないかと考え、解析を行った.指地中から必須アミノ酸
G
F
ImRNA量,
のみを除去した漕地を作製し、初代培養肝細胞を培養し I
IGFBP-1mRNA量の変化を必須アミノ訟を含んだ泊地を対照として測定した.
その結果、培地から必須アミノ酸を除去することにより IGF
・ImRNA
量は対照
nv
i
v
oで観察されたのと間後に長い
群の 40%にまで減少し、その減少は i
mRNAの方が顕著であった.一方、 IGFBP-1mRNA量は必須アミノ酸を除去
することにより顕著に増加していたo IGFBP-4mRNA量も同時に測定したが、
アミノ酸の有無により変化しなかった.以上の結果より、肝臓での I
G
F
I,
IGFBP-1遺伝子発現の調節因子としてアミノ厳が重要な役割を果たしている
ことが明らかとなった。
(3)まとめ
食餌タンパク貨の質と量の違いと相関して血中 I
G
F
I濃度が変化することが
知られていたが、その機織として肝臓中の I
G
F
ImRNA量が食餌タンパク質の
質と量に応答して変化していることが明らかとなった.またその際 IGF
・
l
遺伝
子転写速度は変化しておらず、 IGF
・ImRNA
量の変化は主として IGF
・ImRNA
の安定性などの転写後段階で調節されていることが明らかとなった.一方、
IGFBP-1については食餌タンパク貨の貨と量の変化に応答してその遺伝転写
G
F
Iとは異なる調節を受けていることが示された.ま
速度が変化しており、 I
た初代培養肝細胞系を用いることにより I
G
F
I遺伝子発現がGH,l
n
s
l
こより正に
n
sにより負に
調節されていること 、 IGFBP-1遺伝子発現が Dexにより正に、 I
93
調節されていることが明らかとなった。初代繕養肝細胞では IGFBP4遺伝子
n
sの共存下でその mRNA量が顕著に噌加することが
発現していたが、 DexとI
明らかとなった.更に肝臓での I
G
F
I,
I
GFBP-1遺伝子発現調節においてアミノ
酸が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
以上のことより食餌タンパク貨の質と量を変化させた際には、 GH,l
n
s,
Dexなどのホルモンと血中のアミノ磁濃度の変化が複合的に作用し、 I
G
F
I,
IGFBP-1遺伝子発現を調節し、動物の成長制御を行っているものと考えられ
た.
94
謝辞
本研究は東京大学農学部農芸化学科栄養化学研究室で行われたものであり、
研究を行うにあたり、当研究室、野口忠教授に終始ご指導、ご鞭縫を賜わりま
した。ここに厚くお礼申し上げます。
また、栄養化学研究室の室員、卒業生の皆様には多くのご助力をいただき感
謝致します。特に適切な助言、御協力をいただきました加藤久奥助手(現宇都
宮大学助教授)、竹中麻子助手、学生として御協力していただいた田中弥生氏、
渡濠俗子氏、森正道氏、東祐輔氏、久米努氏、内島泰信氏に深く感謝いたしま
す.
抗ヒト IGF-Iポリクローナル抗体を御恵与くださいました藤沢薬品工業株式会
社丹羽峰雄惇士、 β-actincDNAを御恵与くださいました東京大学農学部鰻芸
化学科発酵学研究室吉田稔助手(現助教授)、 IGFBP-4cDNAを御恵与くださ
いましたノースカ口ライナ大学A.J
.D'Ercole博士に感謝いたします.
多くの御助言、御激励を賜わりました東京大学名管教授・現共立女子大学教
綬内藤博先生、東京大学農学部助教綬高橋伸一郎先生、日本大学腹獣医学部関
泰一郎先生にお礼申し上げます.
本論文執筆期間中、東京農工大学農学部応用生物科学科栄養生理化学研究室
の皆織、特に船引能平教授、矢ケ崎一三助教授には大変御迷惑をおかけしまし
た.ここに深謝いたします.
最後に、これまで研究生活を支えてくれた家族に感謝します.
1995年 1
1月 17日
三浦豊
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182 渡瀬裕子 (1992) 東京大学修士論文:諸条件下におけるインスリン様成
長因子 1及びインスリン織成長因子結合タンパク質遺伝子発現の解析
183.Luo,J.andMurphy,L.
J.(1989) Dexamethasonei
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186 内島泰信 (1994) 東京大学修士論文:ラット肝臓細胞におけるインスリ
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G円関連タンパク質の合成・分泌の制御に関する研究
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