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発表資料 (PDF)
2015 TRON Symposium セッション 「組込み機器のための機能安全対応 TRON Safe Kernel」 TRON Safe Kernel の紹介 2015/12/10 株式会社 日立超LSIシステムズ 製品ソリューション設計部 トロンフォーラム TRON Safe Kernel WG 幹事 豊山 祐一 © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 自己紹介 豊山 祐一 (とよやま ゆういち) 株式会社 日立超LSIシステムズ システム製品事業部 製品ソリューション設計部 主管技師 1986年入社 以来、組込みシステムのソフト開発に従事 2002~2008年 YRPユビキタス・ネットワーク研究所に出向 坂村教授のもとT-Kernelの開発などに取り組む 2009年~ 日立超LSIにて、T-Kernelを中心とした組込みソフトの開発に 2015年 トロンフォーラム TRON Safe Kernel WG 幹事を務め、 機能安全OSの開発に取り組む。 © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 1 TRON Safe Kernel WG 組込システムの様々な分野で機能安全認証の必要性が増大 組込システム向けRTOSの機能安全対応が必要 トロン仕様RTOSが機能安全規格に対応することが強く求められる 2015年 トロンフォーラム内に TRON Safe Kernel WGを設立 座長 坂村健 東京大学教授・トロンフォーラム会長 目的 機能安全規格に対応したRTOSであるTRON Safe Kernelの仕様策 定および開発、仕様とソースコードの一般公開をめざす © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 2 TRON Safe Kernel の目標 組込システム向け機能安全RTOS IEC61508 SIL3の第三者認証可能なRTOSを目標とする 機能安全RTOSには何が必要か? 規格面、ニーズ面から分析 組込システム向けとしてリアルタイム性能は重要 IEC61508 SIL3がOSに要求する機能を満たすこと • • 規格が要求する開発プロセスによる開発 異常を検出し安全状態へ移行する機能 • • 既存ソフト、機能安全に関わらないソフトも実行 すべてのソフトをSIL3で開発するのは困難 安全水準の異なるソフトを実行 以上を踏まえて仕様を検討 © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 3 TRON Safe Kernel の要求レベル 規格面、ニーズ面の分析から機能安全RTOSへの要求を 4つのレベルに分類 要求レベル 0 リアルタイム性能 組込システム向けのRTOSとして充分なリアルタイム性能 (応答性、時間予測性)を持つこと 要求レベル 1 SIL3認証レベルの開発 OS自体が、IEC61508 SIL3の認証レベルで開発 ・ V字モデルの開発プロセス ・ ソースコードの静的解析、動的オブジェクトの排除など 要求レベル 2 基本的な安全機能 システムの異常動作を検出し、安全状態に移行 ・ ハードウェア・ソフトウェアの故障検出 要求レベル 3 より高度な安全機能 安全水準の異なるアプリケーションを実行 ・ 非安全アプリの安全な実行 ・ ソフトウェアの空間的、時間的分離 © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 4 TRON Safe Kernel の要求レベル0 充分なリアルタイム性能(応答性、時間予測性)を持つこと T-Kernel/μITRONと同様のスケジューリング方式 単一スケジューラによる絶対優先度に基づくスケジューリングを 採用 タイムパーティションは応答性に影響が大きいため、標準のスケ ジューラとしては採用しない ただし、機能安全の観点から時間監視、非安全ソフトの優先度制 約などを追加する ■ 安全ソフト・非安全ソフトのタスク・スケジューリングの例 高 安全ソフトのタスク優先度 タスクA 優 先 度 非安全ソフトのタスク優先度 タスクB タスクC タスクD 低 時間 © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 5 TRON Safe Kernel の要求レベル1 OS自体が、IEC61508 SIL3の認証レベルで開発 SIL3開発に必要されるもの(例として) 厳密なV字開発プロセス 静的解析によるソースコード検証(MISRA-Cなど) 安全な設計手法の適用 動的な資源管理の排除 信頼できるアルゴリズムの適用 ■ V字開発プロセスの例 機能設計 総合テスト 結合テスト 方式設計 詳細設計 単体テスト コーディング © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 6 TRON Safe Kernel の要求レベル2 システムの異常動作を検出し、安全状態に移行 ハードウェア・ソフトウェアの故障診断・異常処理 ハードウェアやアプリケーションの故障(異常)は、製品に固有である。 ただし、OSとして故障診断を実行し、検出した異常に対する仕組みを 提供する。 ■ 異常例外処理 プロセッサによる異常検出 (メモリ違反・未定義命令など) OSによる異常検出 (スタックオーバーフローなど) 異常例外処理 該当する ハンドラを実行 異常例外 異常例外 ハンドラ 異常例外 ハンドラ ハンドラ 故障診断による異常検出 (製品毎に定義) © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 7 TRON Safe Kernel の要求レベル3 安全水準の異なるアプリケーションを実行 全てのソフトウェアを機能安全に開発することは大変 既存のソフト資産を活用したい 非安全ソフトを安全に実行する機能を提供 ソフトウェアの空間的、時間的分離し、非安全ソフトが安全ソフトの 実行を阻害しないようにすることにより実現 ■ ドメインによる安全ソフトと非安全ソフトの分離 安全ドメイン 通常ドメイン 安全アプリ (SIL3) 通常アプリ (非安全) 空間的分離 ドメインは独立したメモリ空間 ドメイン間のメモリアクセスは 不可 時間的分離 ドメイン毎にプロセッサ使用時 間を管理、制約が可能 © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 8 TRON Safe Kernel の機能 これまでの検討をふまえて、T-Kernel2.0をベース に安全機能を拡張 故障診断機能: システムの故障診断 異常例外機能: 異常検出時の安全動作 ドメイン機能: ソフトを空間的・時間的に分離 TRON Safe Kernel機能仕様書 トロンフォーラムより2016年前半に一般公開予定 © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 9 日立超LSIシステムズの取組み トロンフォーラム WG 幹事として、TRON Safe Kernel の仕様策定・開発に取り組んでいます。 ここで得られた知識、ノウハウ、技術をもとに、 機能安全ソリューションのサービスを開始します。 TRON Safe Kernelを活用した機能安全ソフトウェア開発の コンサルティング 組込機器へのTRON Safe Kernelの実装と適応化 ★ 詳細はホームページをご覧ください http://www.hitachi-ul.co.jp/public/jp/news/2015/nr151210.html © Hitachi ULSI Systems Co., Ltd. 2015. All rights reserved. 10