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長期的テスト間間隔下で検索意図が記憶高進に与える影響

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長期的テスト間間隔下で検索意図が記憶高進に与える影響
長期的テスト間間隔下で検索意図が記憶高進に与える影響
顕在記憶教示を用いた検討
○林
美都子
(北海道教育大学函館校)
キーワード:記憶高進、検索意図、LEISURE 仮説
A effect of retrieval intention on hypermnesia between long-term test intervals
Mitsuko HAYASHI
(Hokkaido University of Education HAKODATE)
Key Words: hypermnesia, Retrieval intention, LEISURE hypothesis
目 的
Hayashi(2014)では、テスト間間隔を一週間設けてプライミ
ングテストを 3 回繰り返したところ、検索意図のない、単語
3 回提示条件のみ記憶高進現象が確認され、LEISURE(Lost
Explicit memory Items are Stored as Unconscious memory's
in order to REuse them someday)仮説の正しいことが示唆さ
れた。顕在記憶教示条件下でも同様の結果となるか検証する。
方 法
実験参加者
実験参加者 大学生 29 名。そのうち 6 名は 2 週目以降の実験
セッションに参加しなかったため今回の分析データからは省
いた。内観報告により、検索意図の有無を確認したところ、
学習時の単語のみを思い出すよう努力した純粋顕在記憶群は
11 名、学習時の単語以外にふと思いついた単語も用いた潜在
記憶併用群は 12 名であった。
記憶材料
記憶材料・
材料・単語断片課題
単語断片課題 藤田(1997)から選んだひらがな 5
文字の 70 単語(未学習時の平均完成率 38%)を、フィラー用 10
単語と 20 単語ずつの 3 グループに分け、1 回提示、3 回提示、
0 回提示のいずれかに実験参加者単位でカウンターバランス
を取りながら割り当てた。フィラー用単語をのぞく 60 単語で
ひらがな 2 文字を抜いて断片化させたものを藤田(1997)に倣
って作成し A4 用紙一枚にランダムに配置したものを単語断
片課題とした。
ディストラクター
ディストラクター課題用
課題用プログラム
プログラム 林・太田(2005)で用い
られたのと同じ、3×3 のマス目にもぐらがランダムに提示さ
れるもぐらたたきゲームを使用した。もぐらは 0.5s 提示され、
1 匹たたくと得点板に 1 点カウントされ、3 分間で終了した。
単語提示
単語提示用
提示用プログラム ディストラクター用のものとほぼ同
じ動作をするが、もぐらの代わりに先述の単語が 1s 提示され
る文字たたきゲームを使用した。
内観報告
内観報告用紙
報告用紙 単語断片課題に取り組む際における検索意図
の有無や検索方略を確認するための質問紙を、Nyberg,
Olfsson, Gardiner, & Nilsson(1997)を参考に作成した。本
内観報告用紙に基づき、アドホックに純粋顕在記憶群と潜在
記憶併用群に実験参加者を分類した。
手続き
手続き ゲームと認知機能の関連性を明らかにするため、本
日の他、来週とさ来週の同時刻にも当該実験への参加が可能
であるかをまず確認した。その後、本日はゲームを 3 回実施
した後、認知能力を測定するテストを一つ実施する旨を伝え、
もぐらたたきゲームを行わせ、得点を報告させた。続けて文
字たたきゲーム、さらにもぐらたたきゲームを実施してそれ
ぞれの得点を報告させた後、単語断片課題を実施した。単語
断片課題は、文字たたきゲームで見た単語で完成させるよう
求めた。すなわち、文字たたきゲームの時点では記憶実験で
あることが分からないようにした偶発記憶テストであった。
1 週間後、もぐらたたきゲームを行って得点を報告させた
後、文字たたきゲームの時の単語を思い出すよう強調して 2
回目の単語断片課題を実施した。さらに一週間後、同様にも
ぐらたたきゲームと単語断片課題を実施し、最後に内観報告
とそれに基づいて口頭で質問を行い、検索意図を確認した。
結 果
表 1 上段には純粋顕在記憶群におけるテストごとの正答率
を単語の提示回数別に示した。2 要因被験者内分散分析を行
ったところ、交互作用は有意ではなく(F(2,20)<1)、1 回提示
より 3 回提示された単語のほうが正答率は高いが
(F(1,10)=11.03, p<.01)、各テストにおいては正答率に有意
差はなかった(F(2,20)=1.55, ns)。
表 1 下段には潜在記憶併用群にテストごとの正答率を単語
の提示回数別に示した。2 要因被験者内分散分析を行ったと
ころ、交互作用は有意ではなく(F(2,22)<1)、単語の提示回数
による正答率に有意差はなく(F(1,11)=1.59, ns)、テストの
繰り返しによる正答率に有意傾向が示された(F(2,22)=3.37,
p<.10)。そこで LSD 法による多重比較を行ったところ、1 回
目のテストよりも 2,3 回目のテストの方が正答率が高いこと
が示された(MSe=0.0051, p<.05)。
表 1. 純粋顕在
純粋顕在記憶
顕在記憶群なら
記憶群ならびに
群ならびに潜在
びに潜在記憶
潜在記憶併用群における
記憶併用群における単語
併用群における単語
の提示回数別テスト
提示回数別テストごとの
テストごとの平均
ごとの平均正答率
平均正答率
純粋顕在記憶群
潜在記憶併用群
1回提示
1回目
0.29
テスト回数
2回目
0.30
3回目
0.35
SD
0.08
0.13
0.10
3回提示
0.39
0.36
0.41
SD
0.12
0.10
0.10
1回提示
0.42
0.48
0.49
SD
0.09
0.14
0.12
3回提示
0.49
0.51
0.51
SD
0.12
0.15
0.12
考 察
本実験の結果、単語の提示回数の効果がないことからも潜
在記憶併用群の妥当性が確認され、顕在記憶教示条件下にお
いても潜在記憶的検索方略を用いるとテスト間間隔が長くと
も記憶高進の生起することが示された。
引用文献
藤田(1997). 潜在記憶研究における単語フラグマント完成課
題の作成について 光華女子大学研究紀要, 35,
35 111-126.
林・太田(2005). プライミング手続きにおける意識的想起汚
染問題の検討 筑波大学心理学研究, 29,
29 47-59.
Hayashi(2014, July). A trial of Unconscious Hypermnesia
at 1 week intervals. ASSC18 (Brisbane, Australia).
Nyberg, Olfsson, Gardiner, & Nilsson(1997). Assessment of
rtreival strategy in incidental, intentional and
inclusion tests with word-fragment cues. Psychological
research, 59,
59 231-239.
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