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128号 - 日本森林技術協会デジタル図書館

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128号 - 日本森林技術協会デジタル図書館
ロ■
第'28號爵蕊糊霊譽駕:驚碧
=
8
(主要記事)
歴史上より観た愚北海道林業の特色..…….…….津村昌一(1)
『
林業に於ける調査研究の基本的性格の一考察と
航空写真利用に於ける精庭……..…..……有水
×
丑28
、彊(7)
×
ふたたび澗集品種について….….…………….中村賢太郎(10)
ホ癖俊観(5)…..….….………..….……山崎栄喜(11)
×
×
誌上討論一国土緑化の強力な推進は如何にすべきか?
(今井貢三・大塚勇・藤岡浩・横瀬筒)…....……………(14)
×
×
加州PIacervilleの樹木遺伝研究所...……….…日下部兼道(21)
単線索道..…….…、 . .…. .…….…. 、三井木材工業山林部(22)
昭和27年度応用研究喪の紹介.………... ..…林野庁研究普及課(24)
九月の雑誌から.….…...…. .….….…………….…….
(20)
×
×
“防造林講画一どんな樹や草を使つだらよいか(p倉田益二郎(25)
就團法入日本林業技術協會
1952年10月
ー
●
h
勺
ら
L
●
』■
P
ロ
創立御挨拶
●
外地林業關係者一同の更生を期するたあ外林會が主臘となって此の度外林産業株
式會肚を設立し管業を開始致しました。
固よウ役員一同各種企業には経験に乏しく誠に不束であウ弐すが,あくまでも誠
心誠意を以て取引に常j絶對信用第一の會祗として吾國農林業に]WIさかなウとも
貢献したいと存じます。何卒細大もらさすう何なウとも御用命の程をお願申上設す。
管業種目
農林畜水産物・種苗・農林用器具機械・其の他之等に附帯する業務
外林産業株式會献
東京都千代田区六番町七・森休記念館内・〒、7627
相談役
識川信夫
楠見義男
岸良一
顧問
石田常英
伊藤荘之助
明永久次郎
厚地法人
取締役社長
松川恭佐
専務取締役
松原茂
取締役
伊藤重女郎
藤野喜四郎
上野忠貞
梅沢源吉
柔田竹治
田上慧眞
松村幸七
監査役
柴田秀雄
柳常八
ト
61
○○○林業経営に航空機の活用時代來ろ○○○
一写眞測量治山治水偵察,山火事消防協力飛行一
航空機使用事業免許第1号
青木航空株式会祗
当社は国内査源の開発及び保謹に飛行機を活用する企図の下に去る9月9日航空機
使用事業の認可を得ましたので第一着手として,写真測量所とタイアップして,地
図の作成及び土地調査(いわゆる林野,河川,港湾,鉱山,鉄道,ダム,都市計画
等の調査,施工,研究に要する賓料とする)を実施致して居ウます。尚山火事を始
め大火の消防に演極的に協力するために技術部において研究中の処,近く具体化出
来る豫定ですから,資源保護の観点から是非御指導御春願願α上げます。関係諸官
庁からも御声援を頂いて居ウます。この外,巌告宣伝飛行も行って居ウます。
AKK
=
縄
事務所
基地飛行場
木航空株式会職
東京都千代田区有楽町1丁目3番地電話和田念(22)873~874
東京都大田区羽田東京国際空港
-
歴史上より観たる
北海道林業の特色
津
緒
言
I
歴史の比較的新しい北海道の林業が,今日まで新開地ら
しき異色ある歩みを続けて来たことは,いうまでもない
へ
が,筆者ほ,最近編史の業に携わっていた関係から,この
異色ある過去意振りかえり,その幾麹漬の跡を究明する
凸
は,あながち意蕊なきこととも考えぬので,敢えて自らは
からず,この場合,筆者個人の見解を明らかにし,識者の
教えを乞いたいと思うものである。
もとより,その重点の掴ゑどころについては,人それぞ
れ観るところ左異にするは己むを得ないが,大隊の順序と
して。
=
)
1.開道前におげる森林の保存および破壊の事実と,そ
の原因を探究し,且つこれに対し,徳ノI驍府および松前藩
がどんな施策を執り来つたか,更に進んで,
2. 朋澤年(1867)はじめて開拓使がお力熱て以来,
諏殖事業鞍促進するため, 、童う管林中心の土地政策をたて
て官業を推進し,やがて三県一局時代の頓挫はあったが,
・ 3. 同十九年(1886)北海道庁の創設と共に,官林の管
一
=
理機篭を定珍,資本家の導入により,ようやく開拓事業の
動きに活気をおびてきた反面,森林資源の浪識啼噛を招来
したけれども,進んで森林整理の基本昏臓もたてられ,や
がて,
4.大正年代(1912~)に入っては,・国有林移管問題の
鶴頭に刺戟せられ,政府との折衝に鼈いて,遂に劃期的な
自主的森林政策を確立することとなり,爾来官民鐵爾鐸の
」
村
-
昌
一
開道前における荊淋の
保存と破壊
明治、噺当時の本道森林力琴道南沿岸地方を除き,ほと
んど原始林に近い密泳層掩われていた事実は,幾多の文献
によって明らかであるが,かかる森林の保存が,果して何
によってもたらされたかば,まことに興味ある問題であっ
て,これには,
1.先住アイヌ土人の習俗
i 一般に彼等は樹木を崇拝のするので,その日常生活
に直接必要なる林木の利用程度にとどまり,殊更森林に′
害を与えなかったこと,
ii
また,彼等は農耕を業としないので,開墾を目的と
する伐木・火入などを行う必要がなかったこと,
などが大きく反映したものと思われる。之に反して,
2.和人の調籾f壊力
は相当大きく,彼等は古くより沿海の漁業に鱈し,或は
砂金の採掘をなすため,到るところ森林を伐り荒らしたば
かりか,道南地方の流送の便あるヒバ山・エゾマツ山を,
蕪の有力なる資源として,山師達に運上金を呈し獄下げた・
ので,従って,和人の往来頻繁となり,記録に呈するも,
彼等の失火による森林の被害は,局地的ながら,決して少
くなかったようである。
3.幕・藩の林業施策
かくのごとく,森抹の保存に大きな役割をなしたアイヌ
土人とは反対に,むしろ,之を破壊に導いたところの和人・
活溌なる施業改革を進めて来たにも拘わらず,
5.昭和年代(192e-)・に入り,「第二次拓殖計画」の
実施期に移って後は,財政難也外材襲来,戦争勃発など,
次ぎ次ぎの悪条件に禍いされて,計画の運営面に幾多の齪
の入林に対しては,幕府および極前篝において,屡々厳し
い布達詮出してはいるが,その瞬締の実際は,さほど行届
いたものでほなかったようである。
鯆を来たし,戦後に至って,ようやく多年の懸案たりし林
しかE,,ヒバ山については,特に「留山」の制を設け
政統一華に一段落を告ぐると共に,強力なる森林の復異
て,そのf罐を制限し,雌重な取締りを行っていた。この
ことは,一部の山師に特権を附与するために悪用された事
に乗り出すに至った。
という荒筋となるように思われるので,今この線に沿う
て概略の解説を試みることとする。
実もあるも
(1) ジョン・バチエラー博圭箸「アイ武の炉辺物調
(蘂)北海道林務部
参照
---1.--
津村:歴史上より見たる北繊謝飛業の特色
要するに,松前藩は延宝六年(1678)江差のヒパ山な開
いて以来,二百年に近き永い間,随分“蓮布いたものだ
が,その間二回までも幕領に引きあげられるような不始末
であったから,木は伐っても,植えることに力が入らなか
ったことは想察するにかたくないが,ただ幕末時代函館を
中心として,奉行所直属の七重薬圃を設け,造林苗木の養
成をも行って,附近の民間造林を奨励したことは特筆さる
べきであろう。
るようである。
況んや,廃藩巖県の際,財政上の見地より,大蔵省が全
道」と改められ新発足すると共に,幕・藩の支配下にあつ
-た大部分の山林は,悉く「官林」に切りかえられたのであ
る。而して同四年の廃藩騒県に至って完全に封建制が破
との相当思い切った内訓を発し,すでに各地方では,これ
を実行に移さんとしていた際,辛くも,癌方面より艦
船材の生産問題にからんで臓槍がはいり,これを取消し
た③という危機に画菌したI翻艘所在のものに比べ,本道の
、
そオ'功§どんなに平穏なる発足を遂げたことであろう。
2. 外人の招聡と官業の推進
として,同五年,開拓便布達をもって「北海道地所規則」
が発布され,特に原野・山林については,その第九条に
開拓使初期時代において,鍋島直正に次ぐ・東久世通禧両
長官の下に,開拓便次官たりし黒田清隆は,縦横の手腕を
振い,開拓使の実権を握っていたが,彼の主張により樹で
おいて,
られたるFI-年計画」は,明治四年,外人開拓顧問ケプロ
は,現腱入地使用しているものに所宥潅を与える必要あり
「原野・山林等一切の土地官属及植前拝借の分目下私有
ならざる地な除く外都て売下け「f鑑」を渡し永く私有
ンの来任によ.り,いよ、.よ実施の運びに至ったけれども,
財罐膿その他の蕊精に制せられ,逗鐘上幾多の難関に潜曹
地に申付くる割
と定め,ここに法的根拠により,所有権が確認されたので
し,予期せる業績をあげ得なかったようである。
ある。
しかして,これを具体的に心、えば,明治十L年,北海道
外専門の士を招嶋う-る考えは,幕末時代垂り経総家の常識
庁創設期に鐺いて,全道の民林が,僅かに有租地2,694町
眼し,勅許を得て,同三年末,まずアメリカに赴き,グラ
歩,年期地1,524町歩に過ぎなかった事実から推しても,
ンド大統領の好意によって,農務局長ホラシ・ケプロンの
開道当時の本道山林が,殆んど官林一色であったと想像歩
推薦詮うけ帰朝したのである。
るに難くない。
いうまでもなくj当時の国情として,その富源開発に海
となっていたが,黒田次官としても,むろん,この点に着
ケプロンは同八年辞任に至るまで屍四箇年間開拓顧問兼
従って,民法に定められた「入会膳」の如きも起りよ弓
がないし,よし多少それらしきものが存在したとしても,
I地所規則」発布の際,すべては浪群せられおるものと認
められるので,提羊府県所在の国有称および公有林などで
「入鐵履」並に穆雛なる「剖扮林」問題がからみあって,
為政者がその整理に悩んだようなこともなく,更にまた府
頭取としての重任にあたり,その幕僚として多数の各専門
技師を統率し,本道における拓殖関係の各種事業に対して
指導的立場にあったが,彼は帰国に先ち,当局に建言して
山林計画に及び,
年々腐朽滅失サテる木制莫大であるから,之に対し充分成
木せるもののみ伐木し,繁生の木は予備として残溌すべ
県において,町村の合排により,将来に煩雑なる闇鰭有
き必要な述蹴ると共に,その朽亡する大量材の利用に対
林野」問題をのこし,その整理統一に少なからぬ議論と手
し+分考慮し,且fっ木挽器の満度の利用を説き,日本・
支那の木材需要は益冷増進し,米国より多遼に供給して
数を重ねたのに対し,本道の特徴として,開拓の進展に伴
い,これが次第に分割されていったのだから,甚だ簡単な
③島田錦蔵博士箸「アメリカ林業発展史」参照
処理で済んだ訳である。
かくの如く,「官林」を塞点として,その分割解放の段
1k
れ,繼かな反別ではあるが,古くより開かオ',ていた土地
国の地方長官に"官林原野は悉皆売却して民有となすべし〃
《唾
閥治新政府ができて間もなく,同二年には,各藩の奉還
した山林は,すべて『官林」に編入せられたが,本道で
は,時恰も開拓使が鑑かれ,これまでの「蝦夷」が恥海
〃
一
地政策運営上むしろ恵まれたる立場におかれたものといえ
1. 官林の分割開放
、
し,他方輿論の熱心なる唱導により1891年(明治二四)
大統領シオダー・ルーズウエルト時代,法的根拠にもとず
き,資源保存を目的とする保存林が指定され,ここにはじ
めて,国有林の設定を見た③心とは,全くその行き方左異
にするものであるが,見方腱よっては,ほとんど妬殖の進
展に並行して,白紙から出発した本道のこの行き方は,土
I開拓使及び三螺一局時代に
おける官林中心の施策
・
階を次第に進ん・でいった開掘使初期に鐙ける本道の開拓政
策は,かのアメリカ合衆国における急激なる初期の森林解
放によってまき館こされた極端なる森林資源の浪識に対
③「明治林業逸史」参照
緯一一2..---‐
‐
、
角
津、可.、歴史上より鳧たる北海道林業の特色
-一a
いるので,この北瀕鋤矛嬬の途を開けば,歳入の一大
われるので,かかる間隙に乗じ,良からぬ輩の跳梁を招
・財源となるべし“。
き,本道森林費源の浪費を促がしたことも事実である。
と警告したのである。
しかも,この地方行政官への林務委任問題の成果につい
彼のこの警告は,やがて実を結び,札幌を中心として幾
ては,府県ではすでに,明治初期において事実上はっきり
多の官営k挽所力穀けられ,餌治=1-年に至り,すべての
していたので,十一年,大久保内務卿の英断により,岐阜
官営雪鍵廃止と共に,これを民営に移したが,当時手挽法
・長野・秋田・脅森凹県の官林詮内務省の直轄とすること
を蒸気鎚よび水車器械にエって製材することに革めたの
に太政官の裁可をうけると琴に,さらに十二年には,伊藤
催,全く劃期的のもので,もとより資材タ鶴の面には住舞
内務卿を通じ太政官の裁可があっ官,全国の官林は,すべ
円滑詮欠し、だとはいえ,本道の材界推進に稗益したことは
て内務省山林局(十四年,農商務省山称局となる)の管理
決して少<なかった。
に移されたのである。而してその理由として,
《,
、その他開拓使直営事業としての東京官園.七重,和幌の
当時地方の傭勢は,梁令。知事が或る事業を企てて之を
両官園の如きも,内外幾十種の樹苗を養成して,育林の奨
励瞳資するところ大なるものがあったが,前記木挽所など
で,果令・知事はたちまち官林の樹木を獄下げて,その
管下の有力者りこ謀れば,殆んどその資金難を訴えるの
磯用に充てしむる…§あった⑥。
.と共に廃止の運命に陥ったことは,まことに遺憾である。
ことが指摘されている。
また,札幌豊学校米人教師クラーク(合衆雷マサチュー
セッツ農科大学稜長)に対し,開拓使の名な以て,当面の
かくて,府県所在国有林では,爾来この管理問題につい
林政問題十六項に及ぶ質問書を送り,その回答を得て施政
ては,ほとんど動揺左起すことなく,十九年,林区制度の
上の参考に供する等,要するに,黒田次官若くは長官(明
布力飢てからは,時に伸縮の差はあっても,一定の目標に
治七年戯任)の画策によって,前後十年間を通じて畷用さ
向って林制を軌道に乗せていつたようである。
』△■r畢.●些一一幸宇心司竺貢■■
れた外人七十余名中,アメリカ入四十余名に鐙よぶ約七割
然るに,本道の場合では,元来拓殖本位の林制といった
‘は,ケプロンを頭目とするプ官ツクによって,開拓の基本
特殊蕊情もあって,漸く軌道に乗ったのは,郡区長叉織支
庁長委任に対する社会の批難を反映して,明治三十八年,
エ作な進めたものである。
一
以上により明治初期における本道の拓殖事業に対し,黒
林区制設置の前提として〃まずその権限に一定の制膜を加
田長官並にケプ戸ン顧問の偉功ほ当然認噂らるべきである
.が,惜むらくは,黒田長官は周知の,ごとく,資性愛憎の念
5ると共に,道庁第五部に林政課・林務課の二課を置き,
色
地方には林読巣員派出所・同分所・蟻鏑斬を設くることと
強く,加うるに,藩閥感情が日常人事の上に露骨にあらわ
確り,さらに進んで,同41年の官制改正にあたりては,
剴'したので,俊英なる幕僚鳥義勇,岩村通俊,掻本十郎等と
林務に関する支庁長委任事項を解くと共に,林務課員派出
次ぎ次ぎ喧嘩分れなしたばかりか,道民の反感を招きたる
所及び同分所を廃し,いわゆる「分任赫区制」を採用して
ため,各種事業実施上支障を生じたことは,全く人の和を
新たに五箇所の営林区署並に十六営林区分署を設け,百二
得なかったためと思われる。
十五の森林監守駐在所をおくこととなったのである。
これを後年,台湾経営の偉業を成就した…f平…
しかし,ここまで到達するには,全く先人の絶えざる努
官が,ひろく八湧之集め,優秀なる技術者を重用したのと
力漆あった訳で,すでに開拓使の末期,すなわち閲治十四
年,札幌本庁では,管内を寸淋区に分-ちて,各区に山赫派
比べ,思い半ばに過く.るものがあろう(剛。
出所を放置し,越えて十七年,札幌県では,山林派出所を
Ⅲ初期北海道應時代における
廃止して五杯区に各赫区事諮所を設け,ようやく府県所在
拓殖本位の施策
国有林林制に雁行の態勢をとりかけた矢先,北海道庁創設
の數変に際会して再纒し,郡区長委任制となったので,初
1.国有林管理制度の頻苓たる変革
本道の国有林管理制産については,開拓使時代より明治
代岩村長官に訴え,ここに第二部に林務課を新設して,十
-末期にかけで,幾回にも及ぶ変事ル§あり,要は,林務を地
八の林務課員派出所許置くこととなり,さらに澗務当局に
方行政官たる支庁長叉は郡区長に直接委任するか,若くは
おいて案を練り,二十三年度より府県所在国有林の例にな
専任の林吏を配置して,その管理経営に当らしむるかにあ
らい,大小林区制度を設け,犠理機関として七大赫区署,
るが,結扇,時の理事者の主観的考え,または権勢のいか
百五十小林区署をおくなど,特別経済「二十箇年計画」を
樹て,東京滞在中の永山長官に「赫務拡張の網として上
.凡によって,或は右に,或は左に動かされて来た傾向力顎
申,躍起の運動をつづけたIとも拘わらず,中央ら政情は箸
的「謂嬢北海道史」参照
(の「明治林業逸史」参照
⑤鶴見砿輔著「…i平伝」参照
、
---.3--‐
津村:歴史上より見たる訓嚇蔵訪稲業の特色
しく飛躍し,こきf二年以降道庁長官と御料局長官との間騨
折衝中なりし「北海道官林を帝室御財産へ奉備の除」が,
割くこととなったが,同二十六年に至り,
"前記胴林務拡張の網に先行する悩勢となって来たので,
明治ニデf-!三年中,御料林に編入せられたる本道森林凡そ
二百万町歩は,未だ実測を遂げざるを以て,其の確実な
翻丙が重大なだけに,ここに折角の林務拡張問題に一頓挫
る数を詳かにせざるも,図上の観測を以屑てすれば,概走
を来たす結果となったけれども,二十六年に至って御料杯
二百万町歩に倍加するの実況なるのみならず,殖民至適
の一罰糎還さるるに及び②。道庁における林政磯構の再達
の沃地も御料境域内に朶在し,叉良好の樹木欝蒼として
左見るに至ったが,再び郡区長分任制に逆転,三十年,新
設の支庁長にこれを委任されることになり,その下に七十
林相の善良なるは問#フ、まルて御MS跡たるを識別するに至
れり。(中l略)しかも御料林は,本道の要部l逗横わり,
二名の森林監守人准配したのである。
為めに東西交通を絶ち,隣保相応ずるの便利もなき注
り。甚だしきば,民家に接近して一歩を鯖つるの余地な
林経営事業の拡充により,全道三十箇所の林務課員派出所
きものあり,故に或は無智の人民之を怨瑳し,有力なる
の下に九十八箇所の保護区員駐在所種配し,支庁長分任事
志士も事業を施設するに苦しみ,直接間接に拓地殖民の
項を廃したにもかかわらず,三十六年には再び支庁長に称
進運を阻滞すること少しとせず。云為
務に関する売貸処分の権限を委任することとなった。とい
う・洞に目まぐるしい変転涙りを示したのである。
かくて,この崎任紳区制度」は,昭和三年に至って,
はじめ・こ霊なる林区制となり,ここに営林区分署の廃IE
と同時に,営林区署の一本建となったのである。
の理由左もって,悉皆の逓匙方,当局間に折種iを重ねられ
たる結果,同二十七年に至り,六-I-!三万町歩(後,実測の
結果約九十万町歩となる)を御料林として存置することに
決定されたのである。
かかる洗定までの経緯については,もとより嶬遮の然ら
2. 国有称分割処分の急速なる発展
しめたというの外なく,ただ時あだかも,初期国会の開会
明治十九年,北海道庁時代に入るや,岩村長官はまず,
従来の官営主義や小農移民主義を捨てて,大黄本家の導入
をひかえ,民権の叫び漸く庇んならんとする際とて,本道
による民営主義をとると共に,団体若<は大農主義によっ
のとの想像はつくようである。
の政情や民間鋒k家達の舞諭反映が,ここに至らしめたも
しかし,結果的にいえば,その経営概ね適切にして,徒
て,広く一股によびかけたので,本道の開拓問題は,年と
らに不純なる外力の牽制を受くることなく,永年その林力
共に衆目を惹くようになり,真面目に集団開拓するものも
を保持しつづけたことは認められてよいと思われる。
殖えたが‘一方徒らに利権漁りに狂奔するものも加つたの
この御料林編入問題を契磯として,急激なる国有未開池
で,弊害百出,ために森泳資源はいよいよ急速なる浪費時
の分解作用が進められ,ただに民間方面にとどまらず,明
代を現出じ,明治三十一年,園田長官赴任後はその絶頂に
治三十四年以降数度に亘り,まず東京大学及鯛上海道大学
達した観添あった。
にその演習林用として,面積十万四千余町歩を綾渡し,更
しかし,彼は森林に対する基本計画をたつるため,赴任
に同三十九年には,国有林内十八万八千金町歩遼眺鰄童
後間もなく,「官有林種別調査鏡程」を設け,将来永く国
地方鍵模範林」として設定し,その後大正年代に入り,同
有林として経営すべき嘩一種林」,公有林として経営す
十年度末までりこ四十五万町歩を「北繊首魂方菱公有林」と
べき「第二種林」私有林とじて経営すミペき「第三穂林」及
して譲渡する識目当大幅の分割処分が既定計画に基き遂行
び将来森林として経営の要なき畷四種林」の四穂に分類
して,塞本的調査に着手したのである。
されたのである。
この調査は極めて概括的のもの電はあったが,これが後
朋治四十年,第二十四回帝国議会に託いて協賛を経たる
「北海道国詞*整理綱領」の基礎となったものである。
これより先,官林の分割解放のさなかに在って,政府
3.這有制設定の由来
本道林業に関する一特色として,府県にも類の少、瀝積
約六十五万町歩を包擁する道有林の存在を挙げなければな、
るまい。
而してその内「識迩林」にありてはJ前述のごとく,明.
は〃帝室鐵産を墹殖し,その基礎を牽因ならしむくし〃と
治三十九年,木遣の公私有林に対する林業奨励上営林の漠
の主旨をもって,〃全道の森林を折半して宗その一半を帝
範を示し,併せて地方費財源左充実する目的で’道内六箇
室の財産に編入し,他の一半は之を周海治水の保存称並に
所に亘り,面穂十八万八千余町歩詮国有林より譲渡された
町村の共有林等として保存するために下付す為〃方針の下
に,明溶二十三年に韮いて,凡そ二百万町歩を官林中より
宇争ゞ口②
て,開拓の促進をはかることとし,、諸種の法令壷制定し
(7)「御料林五-1-年史」参照
《ヨ
ついで,三十五年に至り,
「北禰萱十年計画」による森
もので,同四十年度より特別会計として経理し来つたのも
あるが,その経営要領は大体国有林に準ずるも,概ね利便の,
地に在るため,比較的集約なる施業に適し,これに対し,
・-----4.--一
一
、
津村:歴史上より見たる北海道林業の特色
句
いわゆる「公有林」は,林種区分腰おいて「第二種林」に
業遂行も亦之によって予定の進度を示すことができなかっ
予定されたもので,道内十箇所に躍り,面積約四十五万町
た。殊に予期しなL、日露戦役に禍いされて,本計画の進行
歩及び「開道七十年記念林」約一万八千町歩を併せ,その
を阻まれ,到底十箇年では所期の目的を達成することがで
収益はすべて本道市町満の教育。勧業。土木・衛生等の財
きず,また戦後のわが国社会状勢の麹bは,本計画の改訂
源に充つる目的をもって,大正元年度以降十年度までに予
定面穣全部の編入瀧了り,その経営に当っては,前記模範
林.と併せ,管理機関として,現に道林務部主管の下に,十
五の林務署とtj-f三の担当区員駐在所を設置し,管理の万
を余儀なくし, ここに九箇年をもって之を打ちきり,新
全を期している。
ついで,長官の更迭となり,後任河島長官ぱ「北瀧国
4:民林業の鍵頭と大山火発生
伐木・火入が,年と共胆大癖となるにつれ,森林資源浪
費の惨状を眼のあたり見せつけられた遊民の心あるもの
侭,林木の集約利用と植樹造林の必要を強調し,宮におい
ても,犬企業家の導入につとめる一方,奨励苗圃を設げて
自ら植樹するばかりでなく,民間ス縮者に之を交付奨励し
たのである。
i森林を整理して,之力荊用改善の途謹講じ,国士保
安と林利の増進を図り,
ii 国有未開地についてjは,無倣付与主義に変更蓬加え
大地裁売払制度となし,
iii よって生ずる収益をもって築港その他粥殖上必要な
る新事業左遂行ずる°
なる基本方針をたて,「北海道国有末露地処分法」を改正
特に林木利用については,一般建築用材としてのエゾマ
ツ°1、ママツの外,タンニン用のカシワ,鉄道沈木用のナ
ラ材,燐寸用のドロ・ヤマナラシ材を利用加工する工場
が,道内各所に建設されたことも,この時代の特色を物語
るものといってよく,更に植樹にいたっては,養苗の容易
=
ものを作りあげたが,これは議会の否決するところとなっ
た。
有林整理綱倒案に鎧いて,
国有未開地の大競処分に伴う開墾地及び放敦地における
へ
たに出直すこととなった結果,別に同5海道経営案』なる
すると共に,従来「北減萱十年計画lにおいて「一殻行政
費j中の一部に「燕劒緑謹費」として掲上していた画を’
四十一年度より「識饗」.として独立蜜目となし,同年度
より大正十一年度に至る十五年間(いわゆる同上海道国有
林十五年計画」)に林地区分。三角測量及び施業案編成等
なる信州カラマツを主として用い,これにドイツドウヒ・
の諸事業を遂行し,しかも施業案の編成に伴う利用。更新
トドマツ及び道南のスギを加うる状態であった。
の作業は,約十七箇年に豆り之を予定し潭畠,爾来之力軽
一
一
中でも,タンニンでは桜組・新田,枕木の三井物瀧,一
澱の支出は予定額に達しないばかりか,行政整理などのた
般材の小樽木材,造林の軽川造林。炭砿汽船・前田林業な
め,逐年支出額を減らされたため,国有林収入が益兵増加
きを挙げることができるが,これら民間事業の発展につ
れ,次蕊に林木価絡を昂上し,いよい、よ造林の必要性に目
の一途を辿るのにひきかえ,猪段の差を生ずるようになっ
一
巳
た。
然るに,この収支会計”一方は一般会計,他方は結剃
覚めるようになったのである。
会計に属する関係上,その自然増収を森林関係の施設費に
従って,明治末期I窪至って,相当大規模の計画的民林業
が各所に撞頭したのであるが,何誹Lにして.も,未だ疎放の
還元することができず,かえって港湾修築費などに流され
域を脱しない程度で‘加5為に,開癖也の拡大するにつれ
失火件数年とともに加わり,特に四十四年の大山火に至っ
は決して少くなかった。
るといった甚だしき矛盾を生じ,林業の発展を妨げたこと
ては,焼失画趣十万町歩に及ぶといわれ”ために従来森
しかも,これが是正には一方ならぬ手間がかかり,俵長
林資源の無尽蔵茜唱えていた官民の恐怖に伴う自覚准促が
官時代,すなわち大正七年にいたって,ようやく解決した
し,これを契磯として,「森林防火組合」の設立を勧奨し,
のであるが,要するに,財源の裏付けが薄かった時代か
本道の官民称業に一大躍進をもた.らしたのである。
ら,森林収入増加蒔代への過庭期を,明治末期の当局者は
。つくづく味つた訳である。
5.
「北海道十年計画」より厨上海道国有林
十五年計画」へ
Ⅳ大正時代に老ける國有林移管
問題と森林事業搬張計書
、
明治三十一年,園田長官の赴任とともに,国有林の基本調
査に漕手し,同三十四年度より「北海道十年計画」中に,
林蓮調査並に施業案調査の経饗を掲上し,森林保謹・造林
大正三年に勃発した第一次世界大戦は,本道の材界に異
事業等を銭極的に押しi鐸んと企図じたけれども,これに
常なる活気を与えたが,同六年には仲小路農相の本道森林
は一窪の財源的裏付けがなく,毎年予算として議会の協賛
視察に端左発して,遂に何蹴遁国有林移管間鬮に輩で
を必要とする関係上,その支出に安定性を欠ぎ,従って事
発展したけれども,結局,本道赫業の特殊性につき諒解を
-5-
巽
津村・歴史上より見たる北海動I錐の椿色
宙
求め,移管なき解決を見たのであるが,このため,速かに
ついても,中央林政溌関の指導統制の下,割合すらすら進
本道の林業施設詮整備する必要を認め,予算仕組上の不備
行したことを記すに止めたいと思う。
もあるので,まずこれを解決して,森林関係の予算を一本
結
建とすることに決定されたのを機会に,長官ば更に賑殖
言
計画更訂案」を幟I議会に附議すると共に,「森林事業拡
要するに,本道における第二次大戦に至るまでの,徳)II
張計画詞をも併せ提出し,遂に議会の協賛を得たので,
時代に端を発した鯛治・大正・昭和を通ずる永い歴史を振
ここ仁施行機関の陣容を新たにし,自主的森林政策の遂行
りかえって見るならば,「官赫の分割・解放」を進める一
に乗り出したのである。
方,「山林の保存。保続」につとめ,「取締強化時代」か
ら「防火施設時代」にうつり,また造林関係では,「外来
樹種試植時代」から「計画的造林時代」に入り,『濫植時
代」を経て,さらに「天然更新研究時代」より「人工造林
~・天然更新#獺時代」にすすんだが,それには最近の慌
かくてこの噴き一次諏殖計画更訂案」'に基き,国有林経
営の基本的構想を一変し,施業案編成員を増加すると共
に,その内容蓮精細淡討する等極力施業の改善に努めた
が,その基底をなう当初の面積及び蓄積に相当の誤差を見
である。
《一
出し,結局,施業を不安定ならしめたことも争われぬ事実
、
廃林地計画造榔巖代」がつながるものである。
また,木材利用方面に関し筵は,当初「無価値・害物視
なお,この時代に溌ける副産物として,各所に森林の不
時代jより輸出向ナラ材。鉄道雛木・燐寸箪妹。パルプ用
識癖事fi頻出していたが,管理取締を強化すると共に,
直営による官行斫伐事業力勢普及するに従い’漸次その影を
材・タンニン用材・坑木・ベニヤ用材などの「工業用材へ
の進出時代lに入り,すすんで,鉄道・道路等輸送機関の
潜めるに至ったのである。
、
整備と,各種木材工業の発達による「集約的利用噺切に
突入したものと考えられる。
V昭和時代に老ける林業政策
の動揺
改元とともに,本道壱は「第二期拓殖計函による二十箇
年計画の実施期に移ったが,森林管理制度では,昭和三年
斯くして,支那事変後に至っては,従来の「自由経漬時
代」から一腿して幟時統制経済時代」陣切りかえられ,
ひとり本道だけの孤立主蕊詮許されず,すべては,全国を
一体とする系統的機関によって統制が行われるに至ったの
茜
_--二一一
第4回懸賞論文募集
大正十二隼の関東大震火災以来,わが国の米材輸入澱激増
一一一
課題
による余波をうけ,加うるに,樺太虫害材の大遼移入によ
り,本道の針葉樹材生産に異常の大打撃を与え,また南洋
ラワン材の本道広葉樹材販路に悪影響をおよぼす等,道産
I
I
1.林業団体の整備についで
2.国有林の企業合理化について
3.林業撰砺普及の方策
以土三題の中から一題を選ぶこ>
入選特賞農林大臣賞倒賞1万円) 1
1席林野庁長官賞(〃8.千円) 2
2席林業技術協会没(〃4千円)3
名名名名
12唱誇
材に暗い影を投げるような事態の発生に,材価は暴落をつ
うじて,相当無理な予郷を編成するの苦境に立たきれたよ
--一一
一=
~
られたことは,前述の通りであぁが』木材界にあっては,
づけ,業者の意気は全く沈み,各管衙関係においても,森
林収入の薯減により予定の計画遂行をほぼ護れ,一時は辛
佳作賛品
若守
募集締切昭和27年n月30日
うである。
また一面,民間造林家にありても,折角苦心して育成し
第2回赫業写眞コンクール作品募集
建材
「澗蒙に関して参考となる写真作品」
入選特選農林大臣賞(副賞5千円)
増加に伴う小景気が来たばかり種なく,「関税政策」の影
1席林野庁長官賞(〃3千円)
響を受けて外材の圧迫も次第に軽減し,八年頃からは自主
的立場に毒いて,道産材の検査事業を道庁に統一の上,対
外的信用をたかめることに専念し,遂に正式にI木材遣営
検査」左はじめ,後には戦時薪恢験査に及んだのである。
かくて戦時統制経済時代に移ってからは,特に本道色を
発揮することなく,戦後における林政統一後の各種施設に
1---6---
2席
協会賞(〃2千円)
135m
やがて六年,満洲事変後に至って,箪拡等臨時的需要の
点点点点
たカラマツ林の林木処分ができないため,怨陸の声を奨励
にあたった道庁当路になげるものさえあったのである。
q
である。
fI1lf1lJbく7,,1γIIJもくノLf1JJkfJ1、fJ1fJ11tJ、Ilj1くJ111fjbl10rl、fbf曇Ky4fnJifJ14J11くり
営稗区分署の「分任制」を廃し,営林区署の一本建に改め
.
へ
山
林業に於ける調査研究の基本的性格の一考察琶
航空写眞利踊に於ける精度
有
目
・
水
彊
は殊に然りで,従来一般的に請って予算の余剰部分とも謎
次
すべきものが斯る調査研究に振り向けられて来た訳である
序論
従、って利用及び経理の立場から見て,早急に直接約効用
1.林業に於ける調査研究の基本的性格
《〃
のある調査研究の場合には,必要データ蒐集のために,可
2.林業に応用せられてゐる航空写真の範囲.
3.林業に応用せられる航空写真の特異性
成り支出される事はある訳であるが,其の場合でも例え
4.航空写真と地上調査との関係
ば,林業経営の基礎資料を大面積に渉って蒐集する橇な必
5.航空写真の林業に応用される精変
要に迫童ら和る場合,経営主体にして見れば能ふ限り経菱
結論
左引下げる必要を感ずるに相違ないのである。亦高度の正
参考文献
確を要する境界図,地形図其の他永久的利用度の高いもの
でも,地図の場合であれば縮尺の大きさ,等高線,必要精
序
ー
論
度等を調節する事によって,大巾に経費を下げ乍ら,目的
航空写真の性緒を明かにする前に,林業に於ける,経営
を主とした場合の調査研究の有する一般的且蕊鋤§性格を
詮果す事を経営主体としては要求するだろうと思はれる。
分析し,現在アメ・リカ‘雷航空写真の利用が如何に行はれて
ける効用と,調査研究に要する時間の長短に制限され,且
最小経蜜で行はれる事と謂う経済性と,他の河成り正確に
して且相当の長所を有す湯方法と比較して夫の方法を擁用
居り,且将来行はれるべきものであるかについての比較対
照の基礎を与え,次いで航空写爽の精度の限界を, I瑚削,
経費,用途の立場から述べようとするものである。
1.林業に於ける調査研究の燕本的性格
元来調査研究は経営の生瀧活動の一つの指針電夫れ自体
一
は生産的ではないが,夫れを絶対的価値な有するかの如く
即ち,調査研究費の問題は,蒐集データの生産活動に掻
した場合の作業能率従って経費削減の比較と請った経営者
の立場,及び夫の方法を採用した場合の利潤を明確にし,
専ら其の方法に頼る事の有利である所以を正確に示す調査
研究者の立場に影響される.種あろう。
には,此の目的のための調査経蜜を最少にし且必要にして
更に此の場合注目すべき事は,調査研究が個人の利己的
動機で行ばれても,協力を必要とする過程は恐らく初めか
ら終り迄縦くであろうし,経涜性を明示するためには技術
及び生産方法の問題以外に,価緒,賃金等の社会経済因子
ならびに個人的趣向等の主観的或いは感情的因子力輪在し
て来るので,調査〃暁の対象である基礎的な問濁§無視さ
減或いは誤解される恐なしとしない事である③。林業の如
き社会公共の福祉と深い関連を有し,国民の生活水準の向
上と直接連がる生産部門走は,調査研究も同時に公共性詮
有するのが普通であるが,夫れを一般的に認めて貰う為に
は更に別の努力を有する事は,純粋な基礎科学部門と相異
信頼す為に足るデータを蒐集させたいと経営主体は殊更に
する所以であると思はれ患。
考えたがるのは,良心的な研究者の立場から見たものであ
る。経営者からう苛しば,夫の調整郡f究が直接生産の改善,
換言すれば生産義の低下と収入の鋤Ⅱ左来たさない限り亦
‘其の見込が確定的でない限り,浪識に過ぎないと考えたが
るのは止む得ない②。尤も経営者にとって有効な指針を調
査研究から穫得する事によってのみ企業合理化並びに近代
化に成功出来るのであるが。
従って,例えば林木蓄積,各種の図面,生長麓の決定の
穣な性質上,完全k二斌的なもの左取扱はざる蓮得ない場合
望むであろうし,其処に調査方法の選択亦所要時間の長短
2. 林業に應用せられて居る
航空富眞の範園
等の問題が生ずる訳這ある。
殊に,研究費支出と其の成果との関係が朋瞭でない場合
(筆者)東犬農学部林政学教室
鏡丘罐写真が日本の独立回復】こ伴い,自主的立場から
----7--
尾
、
有水:林業に於ける調査研究の基本的性格の一考察と航空写真利用に於ける精度
日本林業の発展に役立しつ様な按術を研究発達ぜしめよぅ
3.、林業に應用せられる航空
篤眞の特異性
と,終戦後から私かに各方面に於て懸命な努力を続けて来
た成果の基礎の上に,.漸く第一歩を新たに踏み倒そうとし
て居る事は.邦家ホ鐸の将来の為に誠に灘に堪えない事
林業に航空写真を利用する場合には,応用学としての性
と思はれるb而も夫れを研究室的なものでなくて,先進国
絡上,本来的な学としての航空写真との幾つかの相違点が
に於ける行き方を採用し,一瞬こし,普及化するのが関係
ある③。先づ
着の念願の橇であるから,従来の調査研究方法に新しい一
つの有力な手段が加は為事になる訳で,期待され愚処は甚
(1)航空写真から地図を催製する場合ほ速やかに低い経
費で行臆れろ必要がある。
▽
淀犬きなものがあるのであるが,著者は最近のアメリカ林
(2)航空写其専門家は地面に対照があるけれど,1林業の
業に応用されてゐる航空写真に就いて.些か学蕊耐§あっ
場合は地上にあるも.の,就中森林に関心が移される。従っ
たので,先づ一船的状勢を紹介して見たい。‘
●
て前者は落葉期に撮影したがるけれど,後者の場合ほ繁茂
第2次大戦後のアメリカ及びカナダでは従来の地図以上
している季節,特に夏期に行はれるb
③林業技術者は航空写糞を利用する立場にあるので,
る(鋤。東大島田錦蔵教授の謂はれる“。ForeStEcqnomist
其れを全部の仕事とする鐵荷者とは"理論並びに使南機械
林業経済学者が写真技師を使つ垂,此の新しい手段を利用
の精密礎に相異があり,精密を要する場合と然らざる場合
し℃ゐる事は面白い。赫業の中心が経営にある以上,土地
森称状態の分析には最も直榛的に役立つ航空写棄が=堂ノ
遊びに埴図を作製調ヤ;ぱ,鍬L丈で終るけれど,林業凌術
ミスト,の卿暁分野にある事朧,アメリカに於ては当然と請
者は其れから経営方面に利用する事を考えなければならな
えよう亀
い。従って高庭の精密度を必要とする時には,其れ相応の
、
各種の地図が搾蕊には応用されてゐるが,其の中の主な
ものは次の通りである⑤。
鐸一
に航空写真は普及且利用され,夫の判読は常調&されて居
とを区別する必要がある。赤航空写真専門家は正確巌写真
余地があり得る。即ち,写真専門家の要求する精密度に近
付けばよいの竜あるが,此の場合,経費力塙掩で来るので
1, 一般平面澗瞳図
ー
経費と精鹿との調整壷考える必要翰鶏る。
2.課税獅瞳図一所有地面積,境界調査
アメリカに於て戯,ホ鐸技術者の使用機械は可成り簡単
『
3.林分配置図
なものでも充分実用化されてゐるのであるが,今後日本で
4.林相図
使用ざれるもの幟,アメリカ林業で使用されてゐるものに
5.防火線図
比して,可成り精密なものであるから,高度の精度を期待、
6.土地利用図
出来る‘ものである事詮附言して置きたい。
7. 地勢図
.4. 航空篤眞と地上調査との關係
勿論地図作製上の経費削減及〔瀞1用に際し便利である
嫌に,上記の幾つかの地図が目的に応じて-紋の地図に納
められる事ばあ涛訳で,次に上記の各種の地図の利用され
航空写真測量に於て,地上調査が全然不必要であるかの
如く考えられ易いのであるが,精度を高くするためには失
てゐる用途は。
張り不可欠である。
1.森林蓄積調査
特に林業に於てば其の必要は甚だ大きなものである事は
2.°経営案作製
発展段階の途中にある限り,止むを得ないである弓。
3.伐木搬出計画
嘗て,ハ毎バード大学演習林に於て,航空写真を利用し
4.森林火災防火計画
白松の単純同齢林の収盤表を作製した事があ~.たが,其の
5.各種被害評価
6.治山治水
際,地上調査の結果得た収潅表と塊較した処,樹高,鯵閉
度に於ては#賎勤琴く,材積についても容赫分毎に可成り
7.洪水防止計画
差があったが,全体として見鳥と相互に打消され75.1エ
8.土地利用調査
ーカの森林総材積に於ては,航空写真によった場合,8.6
9.野生鳥獣管理
パーセント高い数字が出た蕊溺§あ室た御。
]、0.放牧管理
此れは一例であるが,地上調査ほ換証の役目ばかりでな
・錨る。薬の他土壌調査,植生調査にも最近可成り利用
されて来てゐるのであるが,止跡等の詳細な説朋は他日に
く,丁度林況調査に於ける標準地調査の如き関係を有する
ものである。従って,地上調査を数多くやれば良い訳であ
譲り度い。然し利癩範囲の広い事は理解さ説巻だろう。
るが徒ら恒経費が嵩久,で来るので,其の最刈謹が必要と漆
---8 ,-一一一
令
一
有水:林業に於ける調認’暁の基本的性格の一考察と航空写真利用に於ける精庭
る。勿論,地勢及ひ轌真の状況に左右されるのであるが,
である事は言ら迄もない。
此のう前亙の薊暁としてばR、C・Wilson(1949)其の他の
結
擬重な報告がある③”。
5.航空嘉眞の林業に應用される精度
上記のサンプリング法を応用し,誤差を5パーセント以
下にしながら,25万エーカーの森称について調査した綣
果がある“。其の際75ケ所各エーカーの地と調査を以
て裏付けた。其の結果,従来の調査方法との比較に於て,
航空写真を利用する事殉軽菱,時間,糖度の諸点に於て
寺
調査研究に要求される種燕な因子に封し満足を与えるもの
である事が理解して頂けたのではないかと恩はれるが,此
の方面に噸\する者が期待に沿う様に努力しなければなら
ないものである事も言う迄もない。
亦日本人の器用にして理論的な思考力が,前途に横はる
種燕の問題を克服して行ける丈の,能力を有して居る事も
於ける所要時間及び経識を掲げると下表の如くである。
信じて疑はないのである。
〈坪
仕
訳
延日数
総費悌) 孟薙謡
罐写真
6,500
=
参考文献
2.5
(4)島田錦蔵?アメリカ搾髪発展史,畷和23年,158頁。
22W
570
0.42
(IJChapman, H. H、1950b ForestManagement.
84
860
0.33
1
25
- 0.01
地上標準也調査
75
2,050
0579
HildrethPresSConn.pp、.76-89
②Chapman,H.斑.&Meyer,W、A. ]94".Forest
Valuation.McGraw-HillBodKCo.,Exc.New
Ybtkpp.]-3
林相図作製
17
210
Q.08
⑤(6)(7)(8)Spurr,S、H、1948.AerialPhotographs
11'W!
130
0.05:
地上調査との比岐
地上認渥副腎度決定
面積材溌計蝉
人霊及び監督
60
2,"O
計
221
12,945
1 .00
inForestryRonaldPreSsCo;,NewYo'k
(3)(mmlson>R.C. 1950ControlledForeStInve-
ntoryByAe面alPhoto璽麺】y・TheTimberman_
4.9趾)
(ェ)調査識用及び賃金を含む)
ロ。
論
5.ユパーセント以下に誤差が止まった。序ぃでに,調査に
掌真判読
一
、
Vo1.L1.N0.4.
(9)(13)-, ]949.TheRelifeDisplacementFactor
InForest .AreaEstimatesByDot-TempletS
大面積コストが安くなる事が{峰写真を利用した場合の
onAeriaLPhotograPhs6 Photo.Eng. pP,225-
長所であるが,上記の数字を一般的愈鍼窪写爽を利用した
場合の夫れと比較して見よう(”。
勿論穂々な要因勧竈入って来るのであるが,優秀な写真
236
QのJOhnson.F.A.1949Samplingfor&timatesof
TimberVolumeOnLargeAzea.Timberman.
Vol.L1.No。 6.PP. 68-72.
と必要とする器具勧輸はり,且熱煉した技術者が2人1組
~一一一~~
で作業する場合を考えて見ろと,1人当り1日の森瀧調査
-
』
ヘ
ア
り3千から2万エーカ,詳細に地上,森林謂査をする場合
や行樂のシーズン11
は千エーカから1万エーカ力鵯準であり,糖密な地図作製
林業家の象徴一日林協のバッヂ・バックルを
の場合は,エー力当り6仙(内訳;精密産の高い写真蕊3
つけた貴方は秋深き日のレクリエーションに
樹一段の満足を感ぜられることでしょう
仙,写真分析1仙,地表調査2仙)で,糖密度を可成り落
すとエー力当り1.75仙迄竃やれると謂はれてゐる。此の
バック・処
価絡は1948年度のものであるから,1.5倍すれば充分で
A (林のマーク純銀)
あろう。但し,日本に於ては,人件費がアメリカに比して
いと思はれる。
500
111
111’1-
ケベjに一
60円
150
通0
ー
一
一
■
-9 .---
1
180
し
〃し
●〕
一》
一一
右されるものである事を附言したい。然し10パーセン1・
600円
(ツヂ
ツ
錘鍵
lくl
CDE』
り得るものであるが。秒問題は所要目的と時間と経費に左
程度の許容誤差では勿論正確なものとは謂えないの潅あ
浴。然し技馴鋤§j職'迄に達する為必には熟練を要す-霧もの
B
jj-
製
宝
次に森林面穣の淵繼に於ては,コントロール,モザイク
ス法を愚いるならば,誤差は1乃至2パーセント以下にな
(鍵鋤
{(ニッケル鋤
I
約9分の1であるから,上記の数字は日本には適用されな
qJ、1〃L〃、〃
面積は5千から5万エーカ,地図作製の場合は1人1日当
一
ー一
心
ふたたび林業品種について
-クローンの意義一
中村賢太郎
4
本誌124号の拙稿に対し,126号に日下制扇繊首氏の微批
ぶことができる。農作物では突然変異が薬こらない限り,
判が発表されたが,誤解がすぐなくないと思うゆえ,さら
同じ品種のうちからさらに選波を実行することはできない
に説明を加えたル、。
が,現在の制鑛攝種は必ずしも制酔でないもののごとく,
品種はその作物特有の禦直法によって増殖するとき,栽
さらに侭秀駁個体を選びだせると思う。要するに今後は個
塘上重要である母本の諸性質が子苗に遺伝するというのが
総雲抜に努力し,クローンの育成を目標とすべきである。
、 クローンはひとつの個体から蝿生的に熱直された一群の
農学の常識であるが,タネで蕊賞する林木について林業技
あらわれるかどうか証明されていない。
、植物をざすもの壷,遺伝的性質は等しいが,遺伝子を吟味
する必要はない。クロ戸ソによって生産を増強できたのは
‘パラコ唾ムであって,ゴム樹は個体によって樹液の収域が驚
りかfつその勘果はいちじるしい。しかしながら農作物でも
くほど違うゆえ,優秀のク画一ンを選べば増産によって生
産費をさげることが蓬きる。マレイのゴム園が発展したの
その特性を固定するにば一定の計画にもとづいて錘を数
は鍵秀なクローンを使ったためで,林業にありてもク戸一
優良な母樹のタネを集めて苗木詮育てることは重要であ
代にわたってくりかえし実庁する必要があるため,農業技
ンの惹議を理解できない翻侭者は落伍する日が近からんこ
術者の苦心と努力とは容易でない。従って林木では有性繁
とを望む。
殖のばあいに同一の造林成績を確実に期待できる品種を育
成することは不可能に近い。すなわちみしようのぱあいに
性的に増殖すれば,確実胆材斌収穫を増し,良質の木材を
は母樹の形態ば同じように見えても苗木の性質が等しいか
生産できる。武藤品雄辱の雲通杉,福田孫多氏の天心。日
すなわち林木でも礎秀な個体(糖英樹)を選びだして無
どうか鍔つしいゆえ,これを品種と呼ぶことば適当でない
本晴などは優秀なクローンである。また桐生市の中島吾一
樹皮や極葉などの特徴を捕えて品種をわけることによっ
氏は成長が早いチヨウセンヤマツーラシの一個体を発見し,
て,材質や成長力汁<誇れたものを選びだすことは,実際に
前橋営林局にあるのはそのクローンすなわち中島氏のいわ
はある程度の効果を期待できるとしても,学問上は根拠が
ゆる巨大ポプラである。
なく,育種の正道ではあるまい。いわゆる品種の分類に多
ないが,鑑昔は劉以のクローンが混合したものと想像して
てタネを集めることを推奨う~る。
いる。遥淋の実行にはこれ左品種と見なすことができる。
‐
農作物の品種は栽培の目的物によって区別されるのが普
す透わちメアサの造称地はメアサ特有の造林成綴を期待で
通で,しかもその大部分が生詞…である。これに反して
きるが,試験研究の識料としては遥伝働鐘つたく等しい
ホ機麺侭者のい”ゆる品種“鋪の目的と関係のない営養
と侭考えられない。
なお純系の植物でも個体変異があるゆえ,同じク戸一ン
霧するに艇良な母樹を選んでタネをとれば,造味成績が
でもさし稲によって発展や成長の状態が違うことに注意す
それだけよくなることは明らか走あるが,これをいくつか
の品種に3つけることには賛成できない。しかしながら品種
る必蕊がある。いわんや現在の制諜品種は麹*上はともか
く,研究材料としては十分に吟味しなければならない。
を分類できないことは,どの母樹のタネを使っても遺体成
従来の*…『は,品種の分類でう雲をくって,もっと
績が同じであるという意味ではなく,すぐyれた造伝子を有
も重要である糖英樹の選抜篭よびク百一ンの育成が立ち表
疹
する母樹のタネ麓使えば,それだけ造陳成績がよくなる。
くれたことが遺憾ではあるが,民間の篤志家や来遊中のス
みしようのばあいには攝種の区別が面倒であるが,さし
ウェーデンの林木育種学者Lindquist教授などの刺戟に
木のぱあいには母繊の性質がそのまま苗木にあらわれるば
かりでなく,九隅防のスギでは幾代もさし木をくりかえ
し実行しているゆえ,メアサやウラセパルなどを品種と呼
缶
九州地意に龍けるスギの品種はそのなりたちが明らかで
大の労力を使うよりは,特這の糠英樹(elite)を選びだし
器官で分類されている。
《一
れたもので,造称上重要な母樹の諸性質がその霞霞苗木に
PG
術者が使っているいわゆる品種は形態学上の特徴で分類さ
よって飛認的に進歩することを期待する。
〔附記鯨田孫多氏の蕊縦に関してば,佐藤正左右氏が
山脈3巻7号にくわしく紹介している〕
(筆者)東大教授。健博
-10-
林業 雑識
(5)
山崎
〔一〕施業方針決定上の注意
作業級の決定や,これに関連する諸種の方針詮決定する
に当って必要な考究事項は,学者でもなⅢ、私が,ここにく
どくどしく述べる迄もないことであらうが,た瞳,長年営
林局の計画課に在籍してその業務に携はってゐると,良い
と思って立案したこと力潅から見れば無理であったり,ま
た注愈が足りなかったと恩はれる点も,続為現はれてく
る。そこで私の体験から気のついた注意事項を述べてみた
、、。
(1) 目的樹種の性質や立地関係に従い,最も合理的な扱い
をすべきものではあるが,地利級を考へず只,理想に走
一
りすぎると実行性力種しくなることを注意しなければな
らない。
ー
例へぱ天然林のf罵採に当っても,その林分の構成状態が
一様でないのが普通である。或は老令木の一斉状態の所も
あれば,幼壮木を含んだ所謂復層状態の所もある。
樹穂にしても,優良な針葉樹の多い所もあれば,利用価
値の少い不良樹霞によって占められた部分もある。
生長状態においても,今倫盛に生長してゐるものと,生
-
長が休止してゐるものの混濡状態は局部々為で一様でな
い。従って,事業の難易と云弓点を離れ,林そのものの取
扱だけから見れば,最善の方法は局部舞為皆一様ではあり
得朧い。優良樹種の幼壮1鋤琴い林分では当然これ等を伐
り残し撫育を加へ生長を促し,将来適当な時期を見て収穫
するが得策であらうし,優良樹種の少い所や,生長が休止
に近い老木ばかりの所では,皆伐して謹"司るが当然であ
らう。
また更新についても,その立地が優良樹種の植栽に好適
な所もあれば,;癖く能の所もあら.うし,またイ露は可能
であっても僅良な生長は望めない所もあらう。
その際最も好適な箇所だけ稲栽し,他は萠芽によって
薪炭林を仕立てることは,投資の有利な点からも,多角的
経営の理論からも一応領ける方法である。
(筆者)前高知営林局計画課長
~
喜
このように,林の立地が異る毎に,また赫分の構成状態
その三施業關係事項
へ
榮
が異る毎に,最もそれに適応した双扱し、をすることは,理
論上不都合のある筈はないが,さて林業も一つの経浩的企
業である点から見れば,収支詮度外視して理想ばかり云つ
-て居ると場合によっては実行約群はず,結果から見れば却
って理想に反する場合も出来てくる。
よく4淋分作業とか,掌状造称とか麦はれて居る。
掌状造林とは土地のよい谷間々燕を追って1鱗すること
で植栽した区域が雛を開いたような形になるためつけた名
称であるが,斯かる方法もよく今後における利用の見透し
をつけて置かなければならない。斯かる植栽では中腹以上
は萠芽によって薪炭林力鎧成さオLるが,一綴に薪炭林は用
材林よりも伐期が短かいので,この薪炭純だけで立派に仕
事が出来る見透しが‘つかな㈱化ぱ,多角経営とは云へない
筈である。現在山裾から薪炭材があってさへ,山頂部の利
用が困難を感ずる程度の奥地林においては,中腹以下ガ鐙
林されれば,その上部に,いくら立派な薪炭*鋤§出来た所
でその利用は殆ど不可能で,結局は広大な造赫除地を設け
た結果となる場合も少くないであらう。
たとへ生長は遅くとも優良樹匿を植栽して置けば,何時
かは利用の出来る立派な林となるであらう。勿論生長の遅
い所でも造林費は一様に必要であるから,それだけ刺廻り
が悪くなるのは当然であるが,この狭い,限られた国土艇
溌いて,た堂投資が有利でないだけの理由で捨てるべき寸
土もないよう腫思はれる。
これとは逆に薪炭材左目的とする作業級内においても,
局部的地位の優良箇所にスギ,ヒノキ等を植栽することが
如何に有利であっても,それ力薪炭材利用の邪魔をする存
在であっては,総体的には有利と云へないことも生ずる。
一般に薪炭林の利用のためには,その地形に応じ炭窯の織
築箇所や,所謂佐手と芯する炭材毅出路の位置が自ら制約
される場合が多い。このような所へ植栽すれば上部薪炭材
の利用に際し不便を感ずるのは当然で,折角植栽して置き
ながら,まだ利用も出来ないうち製炭の邪魔になる理由で
伐採された事実さへある。
天然林等の伐採についても,部分的には択伐其他を混用
-11-
ザ
0
-
山崎:
林業雑観
することは林そのものの液扱L、から見れば適当と思はれて
費其他生産費の高騰は,材価の高騰よりも上廻り′多少の
も,皆伐と択伐では当然次の主伐噸鋤ミ異Pってくるから,
鐙出擬節減は効果力窪はれず却って末利用状態の箇所が増
第2回目の主伐は択伐区域だけを対照とせざるを得ない。
加したような気持ちさへ$す.る有猿である。
果してそれで事業が成り立つかどうかは,充分当初から検
・・〃
材価も単に需要供給の面ばかりで決定されるものではな
討して綾かなければならない。第1回の主伐に際し,択伐
く,高知県や徳島県の奥では薪炭材の利用が出来ず更新上
区域も皆伐区域も総て同時に実行したときでさへ収支が危
困ってゐるに拘はらず,お隣の詞l1架では昔から薪炭に不
ぶまれたような奥地林であれば,次に択伐区域だけを主伐
足を告げ,藁や落葦を焚いてゐる。一寸"隣の幽へ行けば
する場合,当然採算が困難となりはしないであ志らうか。こ
困る程あるのにそれを運搬するだけの価格は生じない。不
のよずな所では,今伐るのは勿体ないようなものでも利用
Zj-れぱいくらでも価職が高騰するとは云へないのであ
の出来るものは序に伐採利用するがよい場合も出来よう。
る。
現在程,住詫灘を感ずる時代はないが,貸家がないこと
や,今伐っても大しだ利用価値のないような小径木は癖
するがよいことは当然であるが,将来の利用時鰯のことを
は決して木材やその他資材のうf淀からではなく,家を建て
る経饗がかかり過ぎ,それを償5だけの家賃が出ないから
考へず,只勢伏だけから見て相当利用価値のあるものを保
であらう。或る程度以上価絡が上れば,その需要霧抑へる
残することは,場合により,利用の途が開けないうち枯損
ことを如実に証明してゐる。
したりして,結局捨てたと同じ結果になることもあるであ
らう。
《一
勿論,其後植栽された造林木の鈎朝迄騒げると認めるもの
奥地体の開発ほ近来盛に唱導される所であり,寮たその
実現を計るべきことは当然であるが,その奥蝿淋を質にし
徒らに手数をかげ,択伐林分だとか,皆伐区域だとか,
芭盈区分嘩鱗Eに適応した施業をしてみても,憧かの数愚
壱も随時乖蠣⑧出来るような便利な地域でない限り,当初
の目的は達塗られないであらう。
て皇山を過伐することは厳に慎むべき所である。
③最後に灘は形だけの真似をしてはいけないと云い・た
いo
缶
現在自然に成立している林でも,自然がそうなるべき環
(2)将来の計画をたてる場合,あまり希望的な観方を,加
へてはならない。
経済上の諸問題に津>1,,ては,総て溌在の状態左基礎とす
境にあったから,さうなったのであって,決して無条件に
さうなったものではない。現在天然生の立派なスギ満が出
来てゐるからと云って,これを我採した場合′その跡地も
べきことは充分注意されてゐるごとであり,またこれに反
また天然に立派なスギ林が必ず出来ると老へることは出来
対う-る者もない雪Eあらうが,実際面では案外これが,忘れ
ない。一例であ為が高知営称局管内木山営称署小檜曾山国
有林の頂上に着,一目千本と毒はれた程のヒノキの美材弱§
られてゐ・ることがある。
例へば,初期に優良林分を伐採して不鍵例扮を後期に廻
あった。それが一朝,山火事⑮ため消失し跡地は筵原と化
すとか,或は便利な所のみ選んで初期に編入すると云う傾
してゐたが,昔そのようなヒノキの美林であった以上ヒノ
向は案外少くない。
‘これでは伐採の材讃だけは毎期同量で
キが育たな、、筈はないと,これを植へてみたが,風当りが
あっても,保続上完全でないことは明かであるが,鰯,る
識く,活着はしても一向そだLない。私の想像溶は昔でも
に将来木材の利用価値向上とか,搬出路の改善とか,斯か
る希望的の因子が,いつの間にか算入さオしてゐる訳ざあ
風衝地には変りがないから, 21潅木から亜喬木と鵬赫琳の.
る。
状態となり,それにヒノキ動糎じ次第にその純林と化した
ものではなから5か。若しさうであるとすれば,鐙初から
勿論木材の需要は将来益冬増犬する趨勢にあるに拘はら
ず供給遼はこれに伴はない実状であるから,現在未利用状
その順を追はない限り,ヒノキの美林となる見込はなL、で
あらう。
態の奥地林でも,また今では省驍られないような不良樹穂
魚鏑賦方面のスギにしても,現に天然更新は絶対に不可
でも,次第に利用の途が開けると考へるのぱ一応,道理の
能ではなく,地元でも雑木林の製炭を2,3回繰玖返ぜぱ
ようであるが,さて我冷の既往…から見れば斯かる考
ス判求となるようであ.る。
へ方は誠に危険であることと恩はれる。
つまり,皆伐跡地を放睡j-れぱ雑木林となるが,元来が
匙云うのほ護がはじめて補助員として計画業務に携はっ
スギの繩f二であり,幾分の母樹さへあれば,多少の稚樹は
た当謄と,その後40年近くも経過した今日とを比較する
発生し,雑木の下に辛じて生存してゐる。これが製炭によ
のに当時と嫁問題にならぬ程交通状態が數善されてゐるに
り雑木が除去さ淑淑,ぱ,生長を始めると共に'新しし稚樹
拘はらず,当時末兼鵬状態であって,今日利用可能となっ
もまた発生し,斯かることが数回繰り返された暁にはスギ
た山は,四国地方の国有林殆ど何所にも見当らない。搬出
がかなりの数を占めるエ5になるであらう。
-12-
上
一_
山
崎:
林業雑観
一
従って雑木の利用が出来ない所では遂に雑木に圧せられ
に記載されてゐようがゐ誌、が,それは間題奮はなく,現
消滅する運命のものが多く,霞た最初からこの稚樹を撫育
実にそれがよいか悪lJ,か,必要があるかないか,これが問
しようにも,僅かに点在する稚樹を対照として雑木の除伐
題でなければならない。何といっても,中欧方面は林業の
な繰り返すことは殆ど不可能に近いから,事業的に期待す
先進国で調査も行き届き,施業も発達してゐる.ことであら
ることは困難である。
~うから,これ等を知ることは肝要事には相違ないが,これ
一般に種子の豊凶は年煮走りないことは云う迄もないが
《可
落下した種子が林下で都合よく発芽し生長することは,更
こちらの樹腫や気候風土並に経済状態に適応するよう研究
にむつかしい気象的の因子が必要のようで,種子が少なけ
すること力轤極の目的でなければならない。認査の方法と
れば勿論の.こと,種子力謹作でも林下に卿雛”&多く発生す
かについては真似ることは出来るが,調査の結果を基礎と
ることは極く稀である。 ~薪かる実例は,私力淋区生活
して実行しつつある事柄については,当方でも,充分調査
30余年のうちでも,スギ,ヒノキは大正の終り頃,ケャキ
低昭和10年頃,僅か1回巡遇したに過ぎない。斯かる場
し,総ての因子が同一と判ろ迄.真似ることは出來なid,。
斯かることは当然すぎる程当然のことであるが,案外世間
合でこそ,その#鯛が消へないうち択伐したり.,或徐暴風
には,勉強とは本を読んで記憶すること,しかも外国のも
等の為林力鐵開した所では天然更新も積簡単に牡I来てゐる
の熊れぱ益煮偉いと老へる者が無きにしもあらずと云5気
が,その結果を見て,何時でも疎開さへすれば天然更新が
がしてならない。元来土地を離れて株業はないから,極端
出来ると老へるのは早計である。
これは同じ土地で,同じ樹種に対するものであるが,ま
に云へぼ,独乙あたりの学者がいくら偉くともその目のと
どかな、、,例へぼ高知方面のスギ,ヒノキ筆局地的の事
して土地が変り樹種が異‘つでは,共通点は非常に少くなる
柄については,我盈の斗審も,、その半分も知ってゐる者は
から充分注意しなけjLぱならない。例へぱ,中欧方面で,
「ドイツトウヒ」等に対し20%の択伐を行って,よし完
ないであら・うごとを念頭に置いて,而して,参考書は綴く
全に天然更新が出来たとしても,気候風土の異る日本で,
一
i謬った樹種腫対し,ただ同じ20%の択伐を行っただけで
天然更新が出来ると云う理由は何一つとしてあるものでは
ー
ない。若し内地で,スギならスギの天然更新を計らうとす
れば"・その局地で,どう云う状態の場合稚獅&生へ,それ
が生長するかを現実に,しかも完全に調査し,これに立脚
して施業しなげオしばならない。
私は自身生意気盛りの若い時代には,山のことは山に問
へ,木のことは木に問へ,下手に本を読むと馬鹿がうつ
一
麹知るだけではただの物識りに過ぎない,これを参考とし
べきものであらう。
.
(つ壁<)
r~一一一近刊予告--~---1
|
委響謡撫蕊田村義男著
i 実践砂防講義熱洲I
I
"賎…,
る。などと広言したこともあるが,いくらなんでも,馬鹿
がうつるような間違った事を書いてある書籍はない。然し
何も知らなければ,いやでも実地を熟毘,研究するのに,
生仲色為の事な知って居たがたあ,観察が疎になり簡単に
参考書にあることを典似てみようと云う気になれば,生半
可な学問は却って珊蕊になると云はざるを得ない。昭和の
始め頃,択伐が盛に唱字、始められた時分,回帰年40年な
どと云うと,そんな択伐はない,択伐とばそんなものでは
ない2ニ云ったり,また択伐跡にオ蝉する這云へぱ,人工植
栽を行うの縦沢伐の本旨でないとか云った者が,所謂有識
者の中に相当多かつたが,これは要するに,棒業の先進国
に,そのような前例がなく,どんな参考害にも記載されて
ゐない所から出発した反対ではなかったであらうか。外国
の例を知らな、渚にと、ってはたと:へ反対そあってもそれは
具体的に非なる点を指摘したであらう。何も学説にとらわ
| 社園議人日本林業捜術協会
れる必要はない,前例が有ら”晴るまいが,また参考書
-13-
●■
汀・
COO誌上討
論○○○
ー
国士緑化の強力な推進は如何にすべきか?
令
長野県飯山営林零
今
井
貢
秋田県平鹿地方事務脈休務課
大
鶴岡市山形大学農学部学生
藤。 岡
静岡県河津営林署
横
塚
三
勇浩尚
1234
(去る第119号に於て討論の原稿募集を公告)
瀬
今井貢三
こう区分して見ると,従来森林の目的は稽もすると木材
我が国の林野面積は約25,247千町歩でこれ左官,民有
盗源として経済経営の方針に惰する嫌があった。又それで
何等疑問のない事であろう。然るに我が日本の現況は,国
林野に区分員;鶏と国有林野約31%,、民有林野69%で此
土保安上又文化国家建設の上に前項第1の面遼優先的に確
まえがき
の林野面稜の大半を占める民有林野の内概ね80%は森林
保し,第3の木材資源として④森林目的は更に第2の条件
として効力のない荒廃地と見て誤りはなく,論議の焦点は
をも充分考慮した後の副産物即ち余剰能力であるとして,
一つに此の荒廃林野を如何にして速かに緑化復旧するかで
経営目的の序列に異状を来たすの余議なきに至た事であ
ある。
る。叉此の様にして森林の公益性なる意義を明かにしてこ
想うに緑イ…の成果は将来共農村に期待する処が多大
所以である。なお此倣点を補促すると,将来に於て現在国
く疲弊し公,漉有林野を問わず夫為所有者の手でこれを森
民生活に欠く事の出来ない木材を原料とする燃料は勿論,
オ刺上することば極めて困難があるばかりでなく甚だ期待し
土建用材までも大部分の物が森林資源に依存することな
難い実情である。
く,世の識者に依て漸次黍岸的に解決して呉れるのではな
さりとて荒廃林野の復旧は国土の保安,将叉国民生活の
かろうか。然らば科学者自身,いつどの程度までとの約束
上に一日として遷延を許さない処であって,是れ又いかに
は時に保留するとしても,大体の見通しだけは大いに期待
1ノて農村経済を助け殖林意慾を朧り立て上行くか?
し得る処ではなかろうか。 .
鼓に森林の復旧と公益性を検討して見るに,森林の荒廃
この様に木材の消識面は′将来或る程度科学的に解決出
は単に森林資源の減損だけで済まされない事は勿論で,こ
来る可能性あるのに比して第1,第2の事項については現
れを復|日即ち森州けすることの負担は地理的に見て大部分
在其の代換物について皆目発見のヒント詮得られない点か
が農村に課せ・られた問題であるが,いざ洪水,渇水の災禍
らも洪水,渇水を予防調節し,水利資源として叉観光的資
ともなると国民等しく其の憂いを共にしなければならない
源として森林の持つ役割は,民族の子孫に伝えて永劫不変
事である。
の大原則であること詮確く信じて疑いのない処である。さ
一例として我が国の織に文化盗源としての最高峰である
らに森林の担う役割の重大性に鑑みて,緑化運動は従来の
発鰯力の90%がZk力に依て賄おオして居る現況から見て
行溌方法もさる事乍ら,国家はこれに澗暦j-るこどなく,
も,其の事が極めて顕著であり,華に其の取扱いを誤ては
一層内容の充実した一大計画に依り,本事業のよりよき成
ならず,森林が公益性を持ち黄源を保続しなければならな
果を納め得る様に強力に推進する必要を痛感し,敢えて次
い最も肝要な点である。
の事を提案する。
森林の效用と緑化運動の推進について
第1国士保安と水利資源として
‐
そ,国民は挙げて緑化運動に参加協力しなければならない
であり‘農村亦よく之れを承知し乍ら近時農村経済は著し
故に筆者は森林の効用を次の様に解釈する。
《一
(五十音順)
事業計画について
1学校林を設髄すること
我が国には昭和25年度の統計に依ると,小学校21,03
第2観光資源として
4校,中学校13,815校,計34,849校があり,此の内都
第3木材資源として
市海浜等赫野の条件に恵まれない学校のあることを考蔵
---14--
E唾
●
"_E討論一国土緑化の強力な推進力は如何にすべき力、
し,此の3分の2即ち23,232校を対象として学稜休を計
先は悉く都会産業に向いて居る事も経済面と思い合選て無
画するときは,次の鐸を確傑ず場事が出来る。
理からぬ傾向と云わなければならない。
1校当り30m|渉と.して23,232校が協力すると緬薊積
以上此の二つについて何と力釘開方策の立たない鳴り,
696,960町歩となり,此の大面談鋤詫廃地から一路癖休と
緑イ駁迩鮒も暫らく足踏み状態に置か弧るのではなかろう
して立ち上る事になる。之れを順次上綱炎に及ぽサアとき
か。我が国の現状から見て,此の擬な情況釣轆いて林野の
は,更に種職の倍加することが予想される処であるが,そ
復旧労泣ち遅れになった場合,手近な処で前述の様に科学
れには直ちに経済鋤菅溌が必要であり,切に国の指導と援
的進歩を見ない限り,家庭燃料にも事欠く時代がいや応な
助を懇請するもので,着共本事業の実行に移される事を希
しにやって来る事は間違いなかろう。更に文化国家建設に
望し成果詮期待してや震ない。
も非常な困難を予想される処である。
国家は是等の点な仔細に検討して,時宜に即して復旧事
2山林教育の拡充と普及について
今
急
bP
一
、
荒廃林野復旧の重大性に鑑み,現行の山林専門学校を拡
業を計画し,余剰労力を吸収して渋村経済を補強し,子弟
充することは勿論,一般小,中,高,大の各学校Iこ「山
をして村に足をと蟹め,安心して郷士の守りに就かしめる
林」の正科を設け夫為専門の教師を配置して,幼少から山
様指導の緊要なる.こと詮痛感す.る・
練思想を養ない,順次実習教育を施し国民の全般的に$』1林
智識の向上を計ることであって,此の必要性は我が国土の
緑化運動は国家的行事として年を追て感になりつ坐ある
66%の面稜を占める広汎の林野を今後完全な森林として
ことは礎ぱしい事、であるが,過去の運動方法蓮省みて,必
管理する為めには,時に処して国の指導は勿論のこと,一
ずしも年玲所期の成果を挙げ得たとは断言蟹来ない処で,
む
す
び
般的に山林教育の水準記高めることが肝要で,従来世人の
経験上長詮採り短を除いて今後一層強化拡充して国,民一
山に対する関心と知識が貧困・であった為め.森林の持つ役
丸となって本運動のよりよき成果を納めることに努力しな
割の重大性を理解出来ず「山の事は一部の材木屋のやる事
ければならない。
●
だ」位に軽視され,誤られて来たのであり,今なお其の傾
更に憩いを致せば,我が国の森林蓄俄は約63億石と云
向のあるは残念なことで,将来は教育の普及叙呈依て此の点
われて居るが,年玲の生長斑は約1億7千万石であるのに
を是正し,国民自らの疑り上る力胆依り且』つ山林所有者自
比らべ,消費量は2億2千万石左上廻り,此の差額約5千
身の設計で山を造て行く位の心職え催,山林国の常識とし
万石は将来100年後の日本の姿を想像するまでもなく,近
て一人一人ガ輔えて居なければならない事であり,斯くし
』顧0年を侯たないでどんな事態が招来するかは予測を許さ
て打てば響くの状態に在てこそ,緑化運動の成果も最高度
ないとして,吾々日本国民は過去戦争に因り,曾て我角輔.
Iこ推進田来るものであることを確信する。
先も経験しながった辛酸を嘗めたのであるが,吾交の将来
3農村の余剰労力の足ど必と郷土の守りについて
にはそれにも増して森杯の枯渇に因る犬I参事を体験しなけ
農村の余剰労力と子弟の職場を都会の文イ嘩業に供給さ
ればならないのである5か。鼈者は本稲の提案力泌ずしも
れつ上あることは,山林郷土の守りから見て歎かわしい事
名案だとは考えて居ないが,国家は重大危機に直面して何
で,いかに荒廃林野復旧について計画ガ壷困であるかな物
れ妙手を打つ用意がなければなら錘いb全国民また国の方
語るものである。
策に添て努力し,必ずや30年将来に国内の林業地を見直
こ入に聡吹けども踊らず」と云う言葉は,繍礎厘動の
場合もあて嵌まることで,其の振わない理由として次の事
す程に見事復興し,些かも後顧の憂いを残してはならない
事である。
魚
現今の様な情勢で,森林の荒廃はIとまる処を知らず,徒
労誰定される。
A現に農山村の住民は其の日の生活に追:つれて50年,
らに民心を脅かし,年兵河川の改修や災害復旧にのみ睦大
100年将来を考えて山を作るだけの経済力のない事で,之
れがため都会地えの出稼ぎと子弟の職業的安住地を求め,、
文化瀧業を慕て都会に流れ出る傾向の年狩強まって居る事
な国費遼掛う-ことのみを繰り返すことは許さ加ないばかり
で,灘寸自体経済難を打開する方法として真に余儀ない事
目標とし瓶ければならない。我が国土の守りに於てまた同
情であり〃筈心の程ガ観われる処である。
感である。
B山の労側は体力並被服の消耗率等から見て,工場労
働に決して劣らぬ困難あるに係らず,丈i躍着業従業者に比
較して極めて生活水準の低くなって居る蕊で,農村の子弟
か,天災だからと云て諦めなければならない事は情ない限
りである。既に科学職競医学をきわめ,絶体健康医学を
此の際,国家は一大爽新に依て荒廃林野を征服し,大自
然の恩恵に依て我が民族の将来に無限の幸福を授けられん
事を乞い願う次第である。
力塚に止まり進んで此の困難に当る事を欲しないで,つま
--15-
誌_I請論--国士緑化の強力な推進力は如何にすべきか
c植栽完載の通知瀧諏つたならば現地認査をする必
大壕
舅
要がある。植栽方法,苗木の良否,地祷等を十分に調査し
日本国土の緑化を推進するとは,林野面積2400万町歩
中型2万町歩の既往伐採跡詑の造林未済埴,山崩れ,地
すべり,はげ山等の荒廃地鋤調30万町歩,海岸不毛地が
4万N鯵,林相粗悪なる低位生産の森林約38万町歩及現
に荒廃地に移行する過程にある嚇縮輪24万町歩計約
230万町歩の之らの穎淋の速かなる復旧を意味するものと
思ふ。
而して国有林は各営称局署に於て施業案を組み,造群計
画を立てL造林実行に努溌〉るであらうが,民有林は民有林
の性質上緑化の推進に経済上,技術上の大きな困難がある
と思料ぜられるので,国有林は一応さて置き民有林の録化
について考へて見たいと思ふ。
わが民有林の経営撹漠は農業と同操極めて零細である。
即ちその平均面積嫁わずかに2,3町歩に満たない5町
毒未満の所有者が94%を占め, 20町歩以上の所有者が
1%である。そして5町歩未満の所有者でも’町歩前後
のものが圧倒的に多く,之らの多くは所謂営腱林的な自家
用薪炭原木,下草採取等陰農上の利用を主とする極めて生
てA,B, C等の等級左つけ補助金支給の段階とする。
以上の報告書老簑とめて一括集計して支給実施となる3つ
けである。
勿論現今の苗木及人夫賃の高価な時に造林補助金を目あ
ての黍…をするやうなことは無いと思ふが,若しある
とすれば前述の担当員が検査の場合一見して明瞭なること
であるから之の様な者には断呼たる処置を採遙べきである
Z造林指導
造林意慾を持てるものには大いに造林撰術の指導を行ふ
くきである。
植栽,下刈,枝打,間伐等現地指導を十分に行ふ。
民有林の大多数の所有者は,林業按術を身につげて居ら
ない。森林はオi鋳ずオィしば,ひとりでに大きくなるものであ
るとの考が多く,叉間伐の時に入って居っても伐りおしみ
して雪害』風害の為に折れてしまって居るものが多い。
之らの所有者に補助金制度により造ホ徳慾力鶉て来たな
らば,之の制度を十二分に効果あらしめる為には,指導面
も等閑に附することは出来ない。
森擁所有者の林業技術の向上も造林効果を美層裏付けす
産性の低いものである。
.故に之らの緑化を推進する方策としては唾々あるであら
‐
星
るものである。
筒造林根木の健苗謹成も養苗者には強く指導せねばなら
うが,次の2つを挙げて見たい。
勿論之ら2つの事も個燕に働いたのでは銃果がなく,お
互にタイアップして施業せられる所に十分の効果の上るも
ない。i鐡稀望者腫は健苗斡旋の労も各府県に於ては坂る
べきである。
以上造称意慾の向上の為の方策として2つの事柄を挙げ
のである。
たが,勿論現在実施せられて居る農林漁業資金融資や造林
1造林補助金制度の鋤上拡充
臨時措置法も強力に実施すべきことは当然である。
2造林技術の指導(苗圃指導も含む1
森林生産物即ち林産物は国民生活漣直接つながるもの
1造沸補助金制度の強化抵充
現在実施せられて居るが之を益々湖上拡充、歩べきであ
る。国家財政の欠乏登る時多額左望むことは無理定あらう
が,政府に於ても出来るだけ努力すべきである。而して之
の制度運用上に於乞注意すべきは,担当官はあくま電林業
技術を根本として国士緑化の精神に藻姶することである。
造林希望者より申請があった場合に担当官(多くは多分
故,国民の林業意識の向上も考へねばならないぴ国民の林
業に対する認識あってこそ森林所有者も大いに造林意慾を
たかめると言謬つオ',よう。現在の学佼造林運動,緑の羽根募
鍵璽動,家庭工場空地の綱I漣勤等国民-股の搾繰熱の
啓蒙運動も叉大切である。
最後に之の仕事を担当するものの副藤も忘れてはならな
い。機会ある毎に林業技術及人絡の練磨に励み体得せねば
県吏員)は
a植栽希望樹種をその地に植栽した場合に,将来十分
に生長なし得るや否や即ち適地適木なるやを現地調査す
ならない。以上両為相まって国士緑化は太いに推進せられ
るものと思料する。
.
る。森林法によって翌年度の造林指定をすることになって
藤岡
居るのであるから十分調査の時間があると恩ふ。
浩
如何に立派に植栽した所で,杉の適地でない所に杉を植
我が国の森林は敗戦により朝鮮,台湾,樺太等の喪源還
栽したならば,5年をたたずにウツギやカヘデの不良樹種
失ない,戦時中に於ける用材,薪炭材等の自絡体制による
の繁茂となるであらう。躍って益なきも茜だしい・
b担当官は希望者(申請者)に植栽に#ついての注窓事
頚を十分指導する。
過伐は森林を極度に荒廃せしめた。それに加え.て戦後の復
興費材の必要は更にそれに拍車を加え,毎年の災害と将来
の森林を考える時,我々は緑化の重大な愈義を痛感するも
-16-
一具
伝
誌上討論一国土緑化の強力な推進力は如何にすべきか
のである。
造林にCCC運動の長所を取り入れる事により,糖神的感
而らぱこの謝鳴を強力に促進するためには如何なる方法
をとるべきか?
ての活動を期待する事は,現在行なわれてゐるあらゆる啓
それには次のような方法が原則的に考えられる。即ちま
ー
蒙策よりも意義あ為ものとなるであろう。
ず第一に,強力なる遇隊の促進と共に森隊の矛暦せる2つ
この事を恒久的施策としyつ坐,現在に於ける緑化の虚路
の効用iこより,年々の伐採を緑化に支障なく行なう事,即
遼我掩は解決して行かねばならぬ。先に述べた如くその最
ち林道網の充実による壁幽未利用林の開発,生長鐙の増強
も重要なのは強力なる造林の促進であるけれども,これが
.を図る荒廃林地の復旧と森林の保護,消黄の範約,利用の
合理化,林業に対す為投資促進のため長期融資の湖上,学
校林の拡大強化,澗業教育の強化等為。
一
銘と肉体的訓練及び技術を身につけた青少年の社会人とし
遅持として進童ないと言うのは
(1)造林事業は資本主義経済下に於ける経済人が投資の
対象としてこれを見るとき,造林艇投資された資本の利廻
だが我盈は斯様な緑化の方法を考える前に今までに試み
りは平均3%以下の最低利率であり,而も伐採期に到る
られて来た緑化運動が何故にさしたる効果を見ないのであ
まで40~50年乃至はそれ以上盗本を固定して置かなけれ
るかその原因をつきとめ,その障害となれるものを除却せ
ばならぬ点から見て不適当であるからである事
ぬ限り,国土の緑化は急速に実現する事は不可能であろ
(2)未造林地は比較的造林の困難となってゐる事
う。政府は造林の奨励を林政の中心問題として重要視し,
造林5ケ年計画,治山事業5ケ年計画を樹立し森林の復興
(3)林野の大部分を占め'る民有林に対する経営改善が国
有林に比し微温的である事
を目指してゐるにも拘わらず,それは遅為として進まず,
例造林者が災害防止,国土保全等の公益的効果麹無視
毎年甚大な被害と過伐を強行し,我が国経済の復興は勿
し,経済的利益の追求に汲々とし星かPっての篤林家の精神
論,国土の荒廃の最大の要因となってゐる。この森林復興
がうかがわれなくなってゐる事
鰹を阻むものは何んであろうか?
(5)造林畿の高額苗木の不足
こ坐に私が一言述べて置きたい事は,勿論技術の発展は
←
|林畷面積(万町歩)
| 蓄稜(万石)
|総面調林地|その他|総蓄積|針軸広蝿
今後益曇努力して行がなければならぬ事だが,今後のホ礫
最近緑化蝿iの一事業として緑の羽根の運動が行なおれ
識識計
国民合
発展にとって単に技術の啄な論じてゐる時機は既に過ぎて
しまったと云ふ事である。
毛
てゐる。この緑の羽根の運動を見て,爽実に緑化の意義と
1,リ::|1,;f:
"1"
57318,72
187,118
214285,62
119,158
271 604,34
306,278
I蕊
一」
その重要さ彰赤い羽根の運動の如く感ずる人が何人ゐたで
叉更に我が国の森林の状態竃見る時,国有林がその面積
あろうか。緑の羽根については赤‘、羽根の如く新聞,ラジ
に於いて癖瞬面積の32%のみに過ぎぬが,その蓄積は
オ等であ童り宣伝してくれてゐない。叉赤い羽根の収益は
総蓄俄の53%を有するに反し,.民有林に於いては68%
その使途が一般に理解されてゐるが,緑の羽根の場合それ
の林野を持ち乍らもその蓄積力種か47%に過ぎない事詮
がないようである。之れでは一般の人為に積極的に協力す
見るとき,叉昭和24年末現在の林野庁調べによると,荒
る気持ちが起き悪事を望めないのではなかろ‘5か。
廃地318万町歩の中民有林がその92%,293.6万噸歩を
又毎年4月に,愛林と力緑化とか云ふポスターカ嚇業事
務所や街道や待合室等に張り出され植樹祭が行なわれてゐ
占めてゐるのを見るとき,この問題を解決する事こそ識と
るが,こぅTが何等の効果も挙げ得なかった事が,政府の造
を最も近き将来に実現させ得るものである事,即ち民有林
をすべて国有林となす事によって,従来民有林の措零監聲
杯5ケ年計画,治山事業5ケ年計画の樹立と云ふ事になっ
が不充分であるが為に妨たげられてゐた緑化が,国有化に
たのである。斯かる状態の打解策として最近になって学校
よる行政機解の一元化によってその害が見られなくなると
造林運動の必要性力認められ,この問題力振り上げられる
共に,上にか坐げた諸盈の隆路となってゐた事項は,さし
事となった。これは確かに一段の進歩である。而し造林は
て問題になる辮幽がなくなるのであ為。
将来木材を売って収入をあげる経済的行為でしかないと
昭和27年3月21日の朝日新聞に於いて,一万田総裁
か,森称は只緑の美しい景観で,小鳥の住み場所であると
が日産協総会で強調した所によれば溺体な白木経済とし
か,森林は水源左酒塾し恐ろしい山崩れや洪水壷防いでく
れるから大切にせねばならぬと云ふだけの事であったな
要とし,この為の所要費金は重点的に確保したい」。と言
ら,学校林を植え付けた子供に本当に森林を愛j-ると云5
ってゐる如く,日本の現在の金融政策では,長期融盗対象
観念が起るであろうか。こオ1が解決のためには,この学校
として電力,鉄鉱,造船がその対象となり,林業が含まれ
ては是非とも畷力,"k,遇沿などの基礎部門の確立を必
-17-二一
牟
誌上討論一一国土緑化の強力な推進力は如何にすべきか
てゐない今日,森林の国有化健窪ド共寒見せねばならぬも
のである。只この場合問題となるのは,産業の国春化それ
自体社会主義的計画経済に基づル、て行厳われるもので,資
本主義経済下に於1,,て実現不可能ではないかと言う事が,
に当てるよりは余程ましな事を悟るであろう。現在に於い
ては,昨年改正された識法によって’5町歩未満の自家
用林を除きその木を自由に伐採する事を許されなくなった
が′か入る名目だけの森林を所有する事は’40年~50年
こ②諭義の対,象の的となるであろう。而し我々はこれをイ
先の利益巻待つために′生計蕊の中からその財産税として
ギリスに於いて行なわれてゐる国割鰄勇,果して社会主義
多額の金を取られ’その生活カミ最陸生活のどん底にまで押
政策の下で行なわれてゐ為かに考憲至すならば,これを否
し込められと言う事になるならば,彼等の認こえの意欲は
壷し去る事が出来るであろうα現在イギリスでは自由主義
の根本政策を基礎として,産業の国有化が行なわれてゐる
ます窯す減退サーるばかりである。されば政府がこの森林を
.買い上げ'更にこれらの森林所有者を優先的に採用した多
のである。
数の労働の提供によって′緑化を促進せしめる事が自己の
,
即ちイギリスでは労働党が政権を寂って以来,各種緊急
所有物であり乍ら自己の物で健ないというような状態より
対策や永久的計画が経済の面に実施きれて,その国民経済
は′より満足し得るものであり′更に失業対策の意味をも
含み,たくまずして国民に綱この意義溌把撞きぜる事にな
の基本となってゐる秩序は依然として自由主義であり,そ
るのである。かくする事腱よってこそ,造林5ケ年計画も
の社会は自由社会である。この事は19野年2月発表の政
治山事業5ケ年計画も軌道に乗り得るもの種あり′前述の
府の礎2経潰白書」即ち,その第1部第1「計画の性
投資問題の云~々′造林費の高額その他の多くの鱸害は容易
質」第8項に大要次のように言芽つれてゐる。
に打開されるもので,我舞の念願である緑化も迩慰らぎずし
『全体主義的な計画と民主主義的な計画との間には重大な
て実現し得る。
差異がある。前者は個人の欲求を一切抑圧し,国家の要請
《’
は著しく社会主義的に計画経済化されてゐるが,経済社会
以上民有林の国有移行の大要について述べたが,更に深
を最騒先とする。こ@ため種,々な強制手段を個人に加え’ ・
い研究を要とする事は論を侯たない。斯界諸氏の研究の出
個人から撰択の自由を奪う。か坐る手段は大戦争と言う極
現を待つものである。
一
端な緊急事態にほ,民主主義国でも必要な事もあお・それ
横瀬
でイギリス国民は,労伽な統制する権利を戦時の政府に与
えた。而し平和時には民主主義国の国民は,その撰択の自
由を政府に移譲する事はない。従って民主主義的な政府は
その経済計画を行なうに当って,個葺の市民のために最大
限度の撰択の自由を留保するようにせねばならない」。
上の中で全体主義的な計画とは勿論ソ連の場合などを指
してゐるのであろう。この白書では自由は最大限胆国民に
留保するが,それを制限してゐる事を暗示してゐる。つま
りイギリス社会は原則的に依然として自由な社会であると
言5のである。一般の国民も亦そう考えてゐるのである。
かく論拠を押し進めて行く時,我が国の森林国有化の問
題も,現在の社会に於いて実現可能な事は明白なる事であ
ろ。かくしてこの政策を実行するに当って当然彼等森林所
春着の反対を受けるであろう。だがこれらの大部分を占め
る小蝿鍔雨脈盲者は,櫃休すべ<してその苗カミ足りず’
尚
戦時中の軍用利更に戦後の復興用材の需要を充足する
為,森林は単に木材の給源伐採の対象としか老へられず’
加之戦後の経済混乱或は社会不安は其の伐採跡地の更新す
らも考慮されず,森林法改正に依る伐採制限'造林臨時措
置法に依る造休促進,或は連年の緑イ瞳璽動等に依っても其
の戊果が見られず,未遣休池の職肖には前途遼遠の現職で
ある。
然し国土緑化は,不要不急と'して看過するには余りに其
の影響する所が大で,且連年の風水害更に鋒2億石に上
る伐採獄を考へる時,此の笛吹けど踊らざる現状詮龍らに
放置する事は田来ない。
直ちに国土緑イ鑑のため強力なる造林施策を執り’国
土を安定させなければならない。
1国土網上を阻む原因
苗があっても黄金なく,僅かばかりの補助金を貰ったとし
(1)経濱的原因
ても到底造林するに要する額には及びもつかない状態で,
a造林資金の欠乏戦時中の耐乏生活,更に戦後の
漸く植林したとしても経費の点からその後の森林撫育が思
インフレは国民生活を疲弊させ,其の財政渡全く弾力性を
号よぅに出来ず,このため現在民有林の生長斌の国有称に
失は瞳てしまった。森林伐採に依る収入も生活費に吸収さ
劣る頚を注目するにいたれば,歎の如き僅かばかりのそし
て経堂困難な林野を所有するよりは,その林野を国家に適
れて,林地に還元する余裕力難く,徒らに(鰯跡地激錯大
するのみである。幸ひ其の収入に余裕ガ渚る場合でも森林
当な価緒舌買収して貰う事によって,今までの如く税金を
経営が盗本を長期に固定し回収の遅れる事を嫌ひ,他に流
納入するがため躯未だ伐期の到達せざる木を伐採してそれ
用される場合の多い事は想像に難くない。結局低利長期の
、---18---.
一
一
誌上討論一一国土緑化の強力な推進力は#噸にすぺきか
造赫資金の融通が要望されるので有る。現在民有林の未造
林地は約120万町歩,其の造林識は312億円を要すると
言はれて居るが,昭和26年産公共事業費に依る国庫及都
、道府県補助は約27億円であり,一般金融機関及び農林中
央金庫の貸出しも極めて低調で,農林漁業資金融通特別会
計が本年度より新設されたが,6億円の融資が計画されて
2国土緑化の対象
国土緑化の対象は日本の未造赫地全般に渉る事は言ふ迄
も無いが,全国森林面穣の31%余りを占め,且其の大部分
が国有制蛎特別会計として経営される国有林にやいては』
其の性質からして本問題の対象外として差麦へない。叉社
寺有林は面積も少く,緒別取上るべき未造林地も少いので
対象外とする。
居るのみ.直ある。此の程度の林業金融では叙上の未造称地
結局民有林中の公有林及私有林が国土緑化の対象として
の解消は到底困難である。
b諸物価の高臘戦時中より漸次発生した諸物価の
へ
考慮さオI,ねばならない。
上昇幟戦後のインフレに俵り急激に其のピッチを上げ,伐
公有林は全森林面稜の16.7%, 4,165,587町を占めて
採に依る収入労雲の伐採跡地の勤織に及ばず,端的HE森
林所宥者力鍵の森林経営に採算を割る蕊例さへ現出した。
殊に苗木は戦前に於て僅か数践で臓入出来たのである
が,戦後は意外に其の価獅摘騰し叉需給関係も極めて不
居るが,此の中には相当の採草胤膨:含まれて居り,採草地
の大部分力鎌造林地として残って居る。採草地は従来の入
会等の転化したもので,猪どが農家の屋根或は炭俵材料若
しくは牛馬飼料の給源として矛纈されて居るが,此等の農
家経済に対する比重の大い事は認あるとしても,其の採草
円滑となり,造林意慾の低下に拍車をかけた事も見逃し得
方法或は面積については犬1,,に研究の余地があ.り,当然国
ないb
土緑化の対象とならねばならない。
c林業の産業上の地位農林業は従来とかく原始産
次に私有林については全森林面積の50%,12,780,000
業として軽視され,特に林業は僻地に在り所謂空気の効用
-
と同じ穂に其の重大な効用識翫認識されず,単に木材の
一
指向されるべきである。此の実態を所有規模で分けると,
治山治水の,換言すると更新造林面は嫁の下の力持的な不
1~50町の森林所有者カミ人数に於て27%盾賦に於て63%
当な地位に在った。戦中,戦後は更に此の傾向は強く,む
を占めて居る。1町未満の所有者は人数は73%,面穣に
しろ更新面については不要不急事業として看過され,徒ら
於て15%で大部分が自家用林として薪粗朶類の給源とな
に粗放且乱暴極はまる略奪的な伐採が行はれて来た。かく
り,且其の位置も里山で所謂屋敷林的なものが多い。50町
し。直泳業特に造林は其の内容或は影響が極めて重大なのに
以上の所有者は人数1%,面糠34%を占めるが,此に対
も拘はらず,産業上の占める地位は全く低い。
しては其の所有者が経済状態の好転I己伴ひ,独自の造林が
出来る能力が有るものと老へられる。
②‐社会的原因
一
町を占めて居り,其の点だけからしても国土緑化の重点を
滞源としての面力認められて来た。此うして国土保安或は
a戦後の思想混乱国力を顔け長期に渉つた戦の後
要約すれば国土緑化の対象は,公有林中の採草地並に湛
に残ったものは,一方でば荒れた国土であり,叉一方億国
有林中のL~50町の森林所有者の所有する未造林地であ
民思想の溌乱であった。所謂行き過ぎた自由思想は勝手気
り,此の未造林地の緑化力覗0ち国土緑化なりと言ふ事添禺
総な行動を生み,敗戦或ほ被占領国としての屈辱感は虚無
来る。
思想を生んで,道徳心の低下更に良識の識庫喪失を招き,
(1)公有林の採草地前述せる通り採草地については今
緑化造林思想は全く忘れられてしまった。
日の経済状態に於て農家の営農上,此を一挙に取上げて造
b称業特に森林の認識国破れて山河在りと言ふ。
秣する事は到底不可能であり,叉行過である。且広大な一
此は山河の悠久性を一面に於て謡って居るが’果して此の
山河は健全なものかどうか。国破れて後の山河は決して緑
団地を一挙に造林する事も亦風衝或は野火被害等の凝れも
あり得策では無い。先づ必要限度に採草地を縮少し,余剰
の樹木に穫ほれてはいないと信ずる。降雨の度に氾濫し晴
地を逐次造林する事力浬ましい。
れ入ぱ又赤い山脈河床を現ばす山河ではないかと恩ふ。一
②1~50町の私有林此の所有者の大部分は農家であ
般に森林の認制茜此の山河といったのと同じ程度に扱はれ
る。農家の経済は一応農地に依存して,毎年其の収穫に俵
て来て居る。換言するならば,山河は常に緑なりと極めて
り堅実な生活左営むが,反面極めで現劉又入に乏しく,資
安易に認識されて居る。此所に大きい誤りが在ると同時に
金を森林経営と言ふ長期,然も低利の企業に投盗する機会
極めて危険性力獲る。最近の諸鴎風に依り被害縦出の状況
に,漸くこふした安易な毒へ方が改めら城て来た様である
は少い。殊に現下の経済状態に於てその投資は全く期待出
が,更に徹底した森林乃至林業に対する認識が必要であ
待する事は相当の時日を要するものと思はれる。現実の立
る。国土緑イ陸くして国は興るのではあるまいか。
木売買は,其の収入は所謂危機突破盗金と,して或は冠婚葬
来ず,経済事情の好転後と雛も其の資金で独自の造林を期
-19-
誌上討論一一国土緑化の強力な推進力ほ如何にすべきか
祭の費用にと,制撚たる支田に流用さ淑赫地には全く還元
確傑ウーるため,蝿零許可は造林資金を預託して始めて許可
されない。
をする。此のためには造林裳余金庫とか,適宜後述する造
こふした状勢下に於ては強力な緑化を推進する涯は矢張
林特別会計を設定して実行する事鋤鶇策であ為。
り相当思ひきった国費を支出して造林を助成すると共に』
伐採即造林の鈴測を確立するたあにほ礎採許可には必ず
造林基金を其の伐採時に於て確保させる事が必要である。
造林資金が準備される事を要件とする事としたのである。
b伐採跡地或は未立木地の私有林の造制余.
3具体的。方策
(1)公有称中の採草地の造林先づ採草地の面積な検討
私有林官行造ホ檸業を創設し従来の助成金補助金の類の
する。主として農業委員会に依り其の面積を必要限鹿に調
一切を此の事業に集中する。此の事業に於ては地捲え及苗
整1_其i廷俊って生じた余剰地を地方公共団体に造林させる
此の施業は先ず広葉樹を主とする防風及防火樹帯を造成
木の配分迄を行ひ植付以後については各所有者の負担とし
し,次で全域に渉る造林を実行する嫌にする。
て行ひ伐期に於て分収し爾後はaと同様な扱ひとする。
戦後数次の鼬風に依る風水害に刺戟され,国土緑化の声
。
は漸く高まりつLある今日,一挙に此の機運を生かして国
(2) 1~50町の私有林の造林
土緑化を推進させ度いものである。
《」
a林木の現存す患林地伐癩Ⅸ入中より造称資金を
九月の雑誌から
●山
脈一前橋営林局報一(vb1..3N0.9)
称業用肥料特に熔成苦土と燐肥固脚E料について
主要記事案内
ブブー穿孔虫防除試験予報
足尾銅山の煙害地を探る
◇林業経済
(Vol. 5No. 9)
東京調II市場の林価変動の統計的考察(1)
’◇月刊林材蟻1塔9号)
日本林業の諸問題
米材と東京木材市場
◇山
林 (第820号)
栗とクリタマバチ
河合慎二
倉沢博
膓田灘
飯塚徳美
・
林試札幌支場経営研究室
日高地方のナラ林の経営
カシワ林の生態とその経営
●木材工業 (Vol、7No. 9)
木材の検疫について
・
木材の特蘇拠趨法の進歩(V)
{綴譲
松井善喜
入木次郎
清水
翰
欧州に於ける木材加工技術恰板工業)(')
心板の条件と合板の狂いとの関係
幣鋸の歯の亀裂について
赤井英夫
東北山村の聚落構造
林業試験の話
杉本寿
八木下弘
三好東一
{蒸震
{瀞零
◇樹氷一帯広営林局報一(第2巻9号)
管内の森林土壌について
服部賢一
材積表の検討について
zI赫一良
通
●みどり一名古屋営林局報-(Vol.4No.3)
富山のポカスギと飛騨地方の国有林
中村蜜太郎
育苗研究と土壌・肥料
宮崎榊
潅水によるイザリアコガネ菌の効果について拓植教利
鉄筋混凝土林道橘について(1)
中島崇介
イザリアコガネ菌と其の効果
ベカンの栽培法
・
高橋七五三
大福喜子男
村上準(調
竜野四郎
吉田好彰
公有林野政策の現代的意義
海霧と生態
(懸農
●菅林一秋田営林局報-(Vol.3No.9)
林業生産物の循還
、
公有林野の管理経営に関する若手の事例(4)
カナダに於けるパルプ材生産②
捧廃材の新加工法
●北方林業嘩43号)
、芝本武夫
加藤正関
一
竹内
定
三輪"報雪上韓綴…柵蕊畷蕊
標本調査法による天然生林の材稜測定に麓て前田老光
◇高知林友一高知営材局報一(第311号)
高営局管内の治山事業の概翼1)
Y。H生
原価分析に関する一試案
岡本隆信
管内苗木の成演
田村朋厚
◇暖帯林一熊本営林局報一(第7巻9号)
スギの挿木に関連した諸問題
橋本与良
森林測量
八代営林署鶴架空索道について(1)
九州地方林制史獅究
神膳継男
武藤和也
杉本寿
◇日本林学会誌嘩3塔9号)
赫業駕鍵織業強塵に関する湿鋤 {罷口麓
苗畑にて選抜されたカラマツの四倍体
斜面上の抵抗物鈍表流速に
及ぼす影響膜ついての実験(1)
木炭の研究③
(精煉適度について)
-20-
{議農
{鵜武繕
{蕊蕊
一
研究所からの援助も受け,ついで新設の国の防災部(後の
【海外情報】
国土保安局)の補助詮受ける嫌になった。 1935年には遂
に国立となり国の山林局の所管になったのである。
加州Placervilleの
研究の目穰:当初如何なる問題について主力を注ぐ・ベき
かが根本的の問題であった。検討された事項は
樹木潰傳研究所
1. 一定の樹種を取上げて主力を注ぐ、か叉は国内のあら
日下部義道
ゆる樹種を問題にするか
2.主眼を材質におくべきか蝿坐長量におくべきか,
或は叉他の目標左えらぶか
一九大農学部鑑勉教授の渡米土産に標認遺伝研究所
の事業概要を紹介した小冊子がもたらされた。同氏に請
3. 主力を現存樹種の改良におくべきか叉は新腫の創造
に鮨くべきか
うて之を拝借,一競の機会を得たのであるが,我国の林
木育種界の今後の指向について参考となる点が多いと思
二
うので同書によってその概要を紹介することとした。現
在国立の研究所となり,米国山林局の所管に属し,加州
他厳種類の樹種が問題とされ種曇の樹種も植えられたが成
沿革:この研究所の起源は他の多くの例に見る猿にある
果を挙げるのが容易でないこと力誇った上め方針が変って
個人の創意腱初まっている。シヤトルの木材商JamesO.
遂に松に主力を注ぐ襟腫なった。特に生長の速い種類を育
Eddy氏は森林ヵ錦廃していく現状を蕊い,文明は森林と
両
一
研究に供された松の種類:初の内は松の外にくるみ其の
大学どの協同研究所になっている。-
r
‐
以上問題となったが,結局以下の様な方面にす坐む嫌に
なった。
成することを第一の目標とした。
共に興り森林と共に亡びることに思を致し,之が対策につ
母樹の選定:L"Austin氏の案であるG$Progenytest''
いて考えて見たが結局国民の需要詮充す催どに木材を増産
法によって種子採取用の母樹を選定した。之織その樹の種
すること,即ち生長堂の大きい樹木を育成することの外に
子左蒔いて得た苗木を桟討して母樹としての価値を定める
名案がないと云う溌諭に達した。恰かもその頃加州の|Sgmm
やり方で例えばPonderosa松挺ついて見れば1929年各
RosaにL.Burbankと云う園篝家があって巧妙な鐵愉に
主産地から集められた種子を蒔付けて苗木の生育関係を鯛
よって花卉や果樹,鎚頁などについて多くの優良最種を作
査記録してそめ結果から優良母樹を選び出すのである。そ
り出していること左聞き,早速Eddy氏は彼をたづねて自
の他色々の試みが行われたが,結局(1)標準となる比較
分の考えについて意見をたたいた。L.B''rbgmk氏の意見
樹を得るごとがむづかしいこと,(2)経済的に見て投入
として林木でも生長力をi獣するための蔑重が可能である
ことを説いたので〃ここに彼は樹木遺伝研究所の設立詮決
経費の割合にそオ'丈の効果があがらないことなどが明らか
意したの・である。
佳事左す上められた。その他の樹霞についても小鏡摸乍ら
試験がつ鷺けられた。
急
Eddy氏は1924年にL・Austin氏を担当者として雇
となって,結局松についてばClProgenytest''によって
入オ雁と共に適当な候補地の物色を始めた。地味,気候,
交配: 1940年に交配の予定表力泣てられたが戦時とな
風土の諸点から見てあらゆる植物の生育に適すること左目
って職員の応召その他色為の困難の事情があったため予定
標としたが,結局1925年に加州のPlacervilleの附近が
通り佳事はす上まなかった。然しその内有望な若干の種類
選定された。ここは同市から3哩はなれた所で地穫106エ
については仕事がす上められて来た。多くの実験から大抵
@4theEddy 'rree
の松の種類は人工的の交配が出来ること及びその交配種は
BreedingStation''と名付けて研究所の艤没に瀞手した。
他の一般の楯物の交配の例と変りがないことが明らかとな
同年の中は開拓と種子の集め方に力がそ上がれた。
この地には西海岸の3種の主要な松即ちPonderosaPinej
JeffeIypine, sugarpineが天然に全盲しており溝内の
った。普通交配は両種の中間的性質を有するものを期待さ
ーカーの土地を手に入れた。ここで
れる力軽についても大体同じである。例えばCoulterpme
Jefferypineの場合でも中間種葡蒋られるし,耐寒,爆性
樹木園は90種に及‘鱗世界各地ID,松を集める計画で仕事が
のKnobpineと暖帯性で生長の早いMontery,pineとの
すLめられ陣容も着共整'‘、,有用樹木も多数集球られて
雑置は耐寒性で而も生長の早い中間種が得られた。更らに
交配のβ頚に手が付けられた。 1930年にこの研究所は
両種よりすぐれた性質を有するものも出来叉欠点ばかり受
GKthehlstitUte域ForestGenetics''と改名され,公漉の
けついだものも出来た。
補助金,蔀|リ金を受ける様になった。そ@後数年間Eddy
氏によって資金がつぎ込まれ)たが,ワシントンのカネギー
交雑種の植栽; 1946年以降交雑種の試植がなされた。
然しその成果は短期間では分らない。
-21-
海
外
情、
報
違っているけれども操作の基本原則は同じである。即ち無
[附随的の研究〕
母樹と海抜高との関係;海抜高を異にする母樹から種子
限単線索道は立木又は支柱遼通って張り廻される。
代表的な装置としてば6,500IR(F=1,980m)程度の索惹
を採って苗木を作り之を色冷の高度の所に植付けた。之に
よって女輌なる高度の所の母樹がよいかを見出すことが出
用い,その蓮材距離は大体索の半分より少い位弥撮も適当
来る。
電あって図1の如く配溌される。索は集材区域(areal)に
、
接木と挿木:松の場合接木も挿木も容易に出来ることが
朗らかとなりMonterypineの如きは挿木後7年で25沢
◆
対し時計の針の廻転と同じに動きそれから集材区域(area
2)に対して逆転され,その後他の新しい地域に移され
る。作業地域の広さや幅は索に対する集材の翼湯により決
となっている。
種子の変異:苗圃に於いて遺蹟的特性をしらべる方法が
定される。
研究きれている。種子の大さと発芽乃至生育との関係も試
特に設計された誘導滑車と腕金は立木力誕は一定位霞の
験されている。種子の発芽にも1~2ケ月の開きがあり,
支柱に取付げる。この誘導淵車や腕金の蒜iが種毒なる方
おくれたものばそれ女澆育がおくれるので大きなハンディ
式に於る主な相違点である。例えば輪索式では拍車のつい
キャップとなる。他の研究をも参考として松の種子を冷蔵
た滝車(図2を荷鈎の瀝過を可能にするよ5使用するのに
処窪することも企てられ,之によって3日以内に謹昌させ
ギラルダン°ナートル式(Girardingnai1コ程)では磯合せギ
ることに成功した。叉大粒種子を選び営養注入法など行っ
て2~3輪・の生長をさせることにも旗功している。之等
ヤーを使用する。
の研究によって研究に使用する多くの穰子は重さ艇従って
高さに砿付けられ,材が林地に支障のないように曳上げら
分別し夫盈雷の生長成績を検すること坐している。
花粉の商蔑:7錨の貯蔵法についても種を研詫されたが
れるから,控綱や中間支柱はめったに票らない。此の滑車
腕金を取付けた立木(支柱)の間隔は索の出て行く部分よ
その繕果,減更と湿度を聴く考えることによって錘年間
りも入って来る部分(即ち材を運撤している部分)に於て
一
此の滑車や腕金は径5吋(-4寸2分)の立木に充分な
の貯蔵にたえることが分った。
〔結び〕
林木の宥種の研究について最も麓要なことは何よりもそ
の徴木に対する徹騨勺の理解が必要であり,根気と忍耐礎
エ
よって長竿のたゆまぬ努力こそ成功の条件である。然し一
度一つの(“に成功し基蝉報来ると次ぎ燕灸に成果があ
がる。このことがP1acervilleの研究所の賢い寵鑑と云う
ことが出来る。
研究所には殆んど全世界の松属力鐙内のEddy樹木園に
植えられその多くば結実期に達して交配の用に供せられて
戸-
いる。叉之によって得た多くの交配種苗も植えられてい
る。これ等の成果こそ今後大きく期待せられるものであ
る。
(鋸者・熊本営林局)
IⅢ|ⅢⅢⅢ|l1l1illi
lⅢⅢllllllⅢⅢⅢIⅢlⅢⅢⅢlⅢ|lillllllⅢⅢIIIIIIIⅢⅢlllllilillilllllllllllil11lill
単線索道鯉歩した搬出技術)
-アメ‘リカ合衆国山林局林産物研究所
R.1637-29の抄訳響--一
一一
運材設備調査ノート27号で報告したWyssen架空運搬
法の他に簡単な単線索趣§欧洲その他の国為に於てパルプ
滝薪炭材を伐採地区から土場迄運澱するのに用いられてい
る。操作が簡単で架設も容易であるから山岳地帯の間伐材
図1
皐寮式(軍錬環道),齪這図
や山頂木を椴出するのにも良く適している。權造の細部は
旬
-22-
外
精
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海
報
ー
尚
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凶
P
図3\ヲルダ塊メートル式ギリヤー・弧リセソフ側リー僻特識蝿193)
の索道の空の鈎は束ねて次に蝉する,ところに送られる。
ドラムを動かし索道を廻すには4~必馬力の小さなモー
ターで充分である。筒不整池での操作は之で充分であるが
45度以上の傾斜に対しては充分で底い。
此の方式に於ける一作業例では,9人の無経験者が一日
で架設し,1日当り60屯(琴16,000貧)の木材詮率し
た。叉他の作業例では平均I時間1人当り39立方沢(一
ー=
4石)の燃材を運殿した。木材の大きさ,作業員の能率,
その他の因子力殿出鐙を決定する。
‐て”1魁ujl四ゴー刀到遮幽ユ興起従潅7-や。
接近させ50~ユ30沢(=ユ5~40m)に藤職する。
単スパン重力式索道より糖巧なものがカナ〆で藷まして
運転速度は索のサイズにより変るが普通径溌~恥吋で
一
毎分100~300"(=30~90m)の速度"ご便すると報告さ
いるけオしども,この方式はより長い運般を可能にし,且つ
れている。材は16~30沢(=5~9m)の間隔で,索に鈎癖}に制限されない。 .
(三井木材工業会社山林部)
で引掛けられ長材の場合は2個の吊手で両端を支える.こ
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■
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○下記ほ会員其他の委託品価絡で,御誌支に対し本会は送料の外斡旋手数料として其の一割を申誕けます。
側
【18
180
山林局魚附林の効果調(昭12)
200
200
新潟県林地多角利用に関する成績(昭ユ2)
150
150
新島善直森林保護学(帝国百科全書)
(明33)
120
大西鼎実用森爾鯏月捧(上。下)
(明41.4句
大日本山林会造株伐木蓮剃用具の新考案(昭8)
箏野昌一理論実際林産製造学(昭12)
100
4
650
650
60
1000
550
41016Ⅱロ-1101■10
i白沢保美 林学提要(大3)
;本多静六 森林学識義速記録(明鑓)
!
〃
造林学(帝国百科全書)
(明32)
;藤島信太郎 造赫学(昭7)
:土井藤平 造林学汎論(昭10)
;塩沢健 杉檜林疎伐法(明37)
i寺崎渡 実験間伐法要綱(昭4)
i河田
窓 間伐と林内簡易統計(昭16)
350
900
牧駿爽酪酸石灰製造法(大7)
50
山梨山林会椎茸栽培の理論と爽際(昭2)
100
I高知営林局 天然生林の作業法と造林地の間伐(大15)300 東京営林局栗林の経営(昭n)
鰯国穏
択伐作業論其の他(昭5)
潤葉樹用材林の撫育特に間伐に就て
i東京営林局 我国高山称に対する造泳絢取扱に就て
200
300
静岡県天竜川流域の林業(昭4)
100
鏑木徳二森休の科学知識(昭5)
田村剛森林風景計画(昭4)
-400
ユ50
200
250
|青田正男 理論森藤経理学(昭]8)
250
上原敬二樹木根廻延擶並移植法(昭2)
1000
森林放駁並採草に関する研究(大7)
;山林局
『”函口“皿曾g■ロ■"OoBg""】
100
日本林学会々員論文集(昭13,必,16,17年度).
3000
■■叩eo8g8DqQ 8■■■■■■■■&■p60BBg■88,口■■■■且■且■■■■亘■■■8008,■■■■■■ロ■B■■■■マーーー会一一一■、■■且■■■革■■■■UaQ■98■08
--且OB8■■EgE■a、画pOqpapZBU忍FBRD0D8g00■■■な■98■EQCqO■DOnB8■軍5口zQ80D88Bg8B8g
‐
-23-
、
夕
■
研究饗補助金交付鐸」酋浩示され,これにより農林省と
しての「応用研究費取扱方針」がきまり,従来の行き方と
昭和27年度
應用研究費の紹介
は全く異ってきたのである。この概略について述べると’
唾"や一季…
各部局庁からの申請課題について,農林綜合研究協議会
(林野庁研究普及課)
(委員長石黒忠篤氏,委員東畑糖一,湯河元威,平塚英吉
一…
氏等外12氏,この内林野庁からは蕊村指導部長,その他
昭和27年庭の林業技術研究補助金につい・ては,各方面
一-------
に局長,試験場長,関係課長は随時出席)が慎重癖議莚重
から熱意のこもった申請瀞鍛到して,2月末の締切には
ねて,主要課題16項目を採択し,前記8千万円のうち,
158件(9450万円)に達した。これに対して農林省全体の
5千万円がこれに充当された。この主要課題以外のもので
予算額が8千万円であったから,査定上に多大の困難があ
必要な補助金を交付する事によって,直ちに効果をあげ』
つたが,一応林野庁とじて,本年度重点林業施策に関連あ
国の施策に貢献し得ると思はれる課題115項目が採択莚ら
る項目を選択して,農林大臣官房に申請したのである。
れ,これに3千万円が充当されたのである。この内林野庁
関係としては,主要課題に,「森林保全に関する研究」,IWf
隈齋藤加工業,蚕糸業,林及び水産業に関する鐵廠試験
産物利用合理化に関する研究」の2項目が入っており′そ
昭和27年度農林漁業試験研究費補助金交付一覧表
(林野庁)
《一
然るに5月9日に,幾林省告示第194号を以て,新たに
の他課題として’「特用樹
癖入に関する試験研究」
課
題
[ 聯蕊豊,讓着省|菱御錨 ‘"鰄職れ"…
所
(一)主動要課題
8,000,0m円
4,000,0"円
銅州》報
東大地理学教室
日
林協
〃
155,000
194,500
又試認脈究の綜合性をもた
106,000
"
243,500
当に変はってきて,要望課
〃
362,咽
題の性格を繕び,研究者は
繍I
』;淵
伊457,250
晶京璽工葵
東大理工研
購蓬調
日
赫協
(250,000)
三治
1釦,0"
霊蒙 (30.,。OQ)
1",O0O
銃鞭蟻訓譲
徳太郎
、
(200'000)
寿郎
源弥
崇麿
灘
理作
’
4,00Q,O"
讓鱒篝
大
’
瀦:::
800,000
蕊
大 中村躍太郎
大 佐藤義夫
林協
大
大 犬飼哲夫
翻譲
た事である。従わて本年度
からは,従来の嫌に,単に
ある特定個人の試験研究に
対する補助金と云ふ性格で
5”,”0
3",000
300,0m
150,α刀
125,000
125,唖
650,000
200,000
200b000
<してゐる点である。
以上の様な経過で定めら
れた,林業関係の応用研究
課題,金額,研究者名は別
表の通りである。
筒この他,主要課題とし
て取上げられた,「傾斜地
利用と土壌保全に関する研
究」及び「特殊地帯対策に
関する耐暁」は農,蚕,畜,
林,各部門の綜合研究であ
って林業関係の研究者が参
(備考)△印は前年度よりの繊凝深題
劃してゐる。
-24-
一一
はなく,風の加醐竜上必髪と
はなく,国の施策上必要と
灘鰯雲難蕊蕊
2,650,m0
東大農学部
申請者以外からも選択され
職研究者の助力を求めるか
貞児
。
竜
する応用研究に対して,一
謡船する応用研究に対して,一
良一
(二)主要課題以外のもの
■。
す鶴厳密に審査され,粗
"
日"大農学部
北
国の施策の線腫沿ふ鶴且
〃
〃
東
北
日
東
り,.特に注目されること
は,これらの碑究内容が,
〃
村田
溌溺 田
河西中平
1
,文男
博
識珊:鰯
"
223,500
〃
’
C,250,000)
ある。この各課題採捉に当
。
P
…吾…
戸誇迅や登一≦巾.…舎毛……1琿塵暉理…-1
g…睡…-1
どんな樹や草藩使ったらよいか①
倉田盆二郎 (林業試験場・農伽
曽
■===垂…『蕊琴=歩*=狸亜一 』聾二邑竜 一李一密雲==詞雷…劃…軍?冒馳…一死==e郡唾-厘コ…弓一塁展L…=垂麺=も ’
-〔禁 転 勅一
はしがき
心
第8章むすび
砂防植栽について,育苗から,効果まで“の形式で書
これに使う資料は広島営林署,砂防第二研究室(林試目
くようにすすめられたが,いづ瓢,『安く,易しく,早く緑
黒)や高島分場ら各職員の鉛協力によったものが少<ない
化する新しい砂防工法』についてまとめて皆さんのお批判
が,深く感謝の意を表したい。
種得たいと考えていたので,急でばあったが,つい簡単に
へ
砂防用樹草としての好ましい要件
お引受けしてしまった。
何分今讓で理論的な面からの考察に費す期間が多かった
今寮で砂防にはどんな樹と草が蝉つれている力違調べて
のに,肝心の実地についての体験は短く,また場所も広
・島,岡山,兵庫などの一部に限られ,従ってその効果も,
まだ途中のものが多し、ので,充分に批判の対照となる資料
とはいえない。
第
葱~酉『「
非肥料木
表(A)
(")
| 肥料木
、
アカマツ,クロマツ,
リギタマツ .
針葉樹
広葉樹
一
してもらって,あらゆる角度から検討し,更に散善しても
らいたいと思い,整然とまとまった連賊形式にするほどで
はなく,未完成ながら筆の動くまま,思いつく蓑ま,書き
ギクーオ,ブ
ナ,ラーラア
ヤギナラクー
リナコクザラン
コヤーザマナヤ
ヌワギマシヅチ
イカヌヤオミラ
鐸
ただ,今までの経過からは,一応実地に駁入れられても
効果のあがる見通しがある程度得られたので,各地で実施
1
モクマオウ
ヒメヤシヤプシ,ヤシ
ヤブシ,ヤマ‘ノ、ンノキ,
"、ンノキ,ニセアカシ
ヤ,フヂキ,エンジュ,
ハギ,ネムノキ,クズ,
アキグミ,トゲナシニ
セアカシヤ,オオバヤ
P
つづけていきたい。今回は主としてハケ山の早期復旧緑化
に重点をおいて,まづ砂防用の木の種類と草の利用の検討
シヤブシ
常緑ウバメガシ
から述べるが,なお適宜海岸砂防や崩かい地復旧にも及
ヒサカキ.
ェニシダ,アカシヤ,
ヤマモモ
び,歪きれば次の内容に従って論を進めたい。
一
第2章苗の仕立方
第3章早期復旧緑化計画の立て方
第
BF
L
表(B)
イタドリ,タ歩ニグサ,オ
ユ年生オイタドリ,ニノコログサ,
メヒシバ
第1節ハケ山はどうしてできたか
第2節地捕法
スズメノカタピ次,ヌカ鑑
2年生スズメノカタピタ,ヌカポ
一孝
第3節糊巴の作り方
落
第4節肥料の選び方
多
第5節密植と混植の理由
葉
メドハギ媒コマツ
ケグサ,ウイーピング°ラ
ブグラス
惨め
る
-25-
の
1
第3節〃〃〃〃〃〃
ッド・トップ,イタリア・
ライグラス,ペレニアル・
ライ・グラス
夛
ーム,スムース°ヴローム,
画
オオチヤード。グラス,ケ
ンタッキー31フエスク,レ
バーヅ・ブート・
トレフオイル
寺、
第7章樹と草の各論
ラララ,クサフジ,
ク種
(ザ”,マウンテン・ヴロ
緑
スズメノエンドウ
ナギ,レンリソウ,
第6章実隙の効果の説明 ・
第1節〃〃〃〃〃〃
第2節〃〃〃〃〃〃
ヵラスノエンドウ
一議
年
カワラケツメイ
オカルカヤ,ヤカルカヤ,
シパ),チカラシバ,ウシノ
第7節海岸砂地の造林法
ヤノ、ズソウ
チガヤ,オオアワガヱリ(チ
モシー),ウド,オトコヨモ
ギ,カワラヨモギ,イチゴ
ツツーギ,ト蕊シバ(バレン
第6節植え方,埋鋤方,
‘まき方
・
(草)
蘆前I~罪 肥料草。
|- ’料
第4章砂防造林法
第5章所要経菱の比較検討
1
二今
111
目次内容
第1章どんな樹や草を使ったらよ&、か
倉田:砂防造赫講座・どんな樹や草を使ったらよいか
一
まとめると,第].表のようであるが.これらのうち鍔な
2,
3種に限る.ことなく,できるだけ多くの樹種と,更に
場合に(例えば掴塗割池に)使われるものは,ヤマザクラ,
草をも使って,混交し,より合理的な認上をはかることが
オオシマザクラ,ミヅナラ(オオナラ),アブラチヤン,ヒ
大切である。(第1図)
サカキで,また痔のものは比較的最近に侭つれたものと
錐渚が推しよぅし,研究Lているものである。
第1図混値で早期緑化されたハケ山(1年4ケ月鋤
さて各為をj罐するのに次のような要件を取りあげてみ
た。
もちろん,これがそのまま正しいものとはいえないし,
な詣補足,証暦かるようになると思うが』今のところ便宜
時
るる
3.更新が易しい
いえるえ為
したえたえ
2.適応力然大きい
繍蕊
I
上これによって論を進めていきたL、。すなわち-,
一
織鋤:ヤシヤブシ,ヒメヤシヤプシ,イタチハギ,ト
ゲナシニセアカシヤ,ニゼアカシャ,アカシヤ,
I襄裳憲球種がゞ
I
が大きい
|鰯珪薯
第2表,第3表は主な樹と草の特性“鵬示したもの
であるが』今後の参考に供したい。
な藷,この検討を全部終ってから,私の議案による砂防
4.経演的に価値がある
万
用樹木の等級をA.B、C.D.の4階級に分け,その二・髄表
"と
5. 常緑である
ャ'マノ、ンソキ
垂
を示すこどにしたい。
冬の防風,浸蝕防止に役立つ
1.早く生長し繁茂すること
先に砂防緑化に使う樹草の第一の要件に早く生長し繁茂
・……僅…
するとと灘述べておいたが,今までは土木的工事が主にさ
れ,土砂や地盤の安定がその目的といってよいほど重点を
おいて,真の目的である緑化は軽視されていた場合が少く
7.耐閏生力副侍に強い
ない。そして植栽は劃一的で,その後の生長状態について
8.礒期的腱広く謝普できる
は無関心といって次'く,2年たっても,3年たっても,依
然として,積苗工や石職工がよく見え,数年乃至10数年
砂防樹草としての好ましい要件の検討
どん玩種頭のものがxいがは,単腫治山的な条件だけで
なく,なおその他の環境や矛踊目的などによっても,ちが
で漸く緑化すれば,満足していたような5らみがある。
礫2図) しかし浸蝕は単に雨が多いとか,勾配分急だか
らとい5理由で起るというよりも,礒接雨滴が土地を打つ
うので,ある種猿を一がいには決めにくいものである。
しかし,何といっても植物による早期緑化の要伴では,
早く生長し,繁茂することが,他の要件に先行するものと
みてよかろう。ついで適応力が大きいこと,更新力場しい
こと,経済的価値があること,常緑のものが都合よいこ
と,易しく養苗できること,耐陰性謝職いこと,時期的に
広く植栽できることな動3,砂防用樹草の種類の検討にか
なり大きな判定材料となると愚つれる。
もちろん1種で,全部の要件を充すものがないし,また
リ雛の要件を充すには,その場合に蒋殊の樹極を必要とす
ることももちろんで,このためにも砂妨用には1種または
-26-
第2図積苗工に重点をおい鍵来の工法
一
倉田;砂防浩林講庫。どんな樹や草を鐙つたちよいか
’
で浸蝕速度を増し,その大きさを増す.ことを忘れてはなら
第5図肥料木による早潮緑化(4ケ月鋤
ない。
すなわち天然林や治山治水上効果のすぐ.れた山林は,完
宙
全に地袈が樹冠や草の茎葉,落葉その他で覆われて,雨
滴の虐接落下を防ぎ,水童走らすことなく,静かに歩かせ
このために土砂流を減じ,浸透量を増し,治山治水機能を
高めている。
従って雨が比較的に多くても,またかなり傾斜が急で
も,謝上により地表が充分被覆されていることが望蓑し
く,如何に法劉をし,階段を切り,積苗工をしても,謝上
が不完全であれば,初あほ小さな浸蝕霧も,次第に大きな
~
雨裂とな',崩壌状態に夢行する場合力参いことは,現実
に見ることができ患。儲3図) このためIこ土木的工事で
第6図苗畑での樹種別生長比較
・
安這を図ることと共に,早く識こす扇生長の早い樹や草を
えらぶことが必蕊r§ある。そして,でき得れば,冬の浸蝕
一要…、
..
‐、確固F1,函涙…-戸一
一 .--
戸-‐
-
-
-
を防ぐ津》に冬も青い常緑植物を用い,-さらに植栽1-ノた春
から初夏,すなわち大雨の来る6月までに充分に緑化して
災害を予防せねばならぬ。
(第4図,第5図)
第3図階段間の雨裂の発生
す
二
第7図ハケ山での樹蔽別生長比較
-
第4図草による早掘緑化(4ケ月釣
のものが適しているかがよくわかる。
すなつち27年春霞いて,9月2日に調べた結果では次
のようである。
(A) 50Cm以上のものは
ニセアカシヤ僕鋤,トケナシニセアカシヤ(さし木),
ネムノキ,イタチハギ,フサアカシヤ,ハギ,ヤハズソウ
カワラケツメイ,メドハギ,コマツ・ナギ,ウィーピング・
〔1〕上長生長について
第4表は苗畑(第6図)とハ浅山鏡7図)での樹種別
の苗高を比較したものであるが,これによってどん涯種類
ラブ・グラス。
(B) 20cm以上のものは
-27-
一
倉田:砂防造林講座。どんな樹や草堂使ったらよいか
----
科属
第2表
一口
樹
種
ヨ
ー
画L
P一■
--一一
.一
L二』
名
和
-
=
治山用樹種の
画一=一
→
分布及び 適地
名
性
状
14鱸。
撫調蕊議職蕊蕊蝋鯛識、鶏んゞ
聯聯;~下~矛
青島トケナシニセアカシヤ
ないか
ほ全国どこでもよい
I 全国に広まりつ上ある
英国トケナシニセアカシヤ
ヤよりやや小形,花は殆んど咲かない。落葉期が'2週間
おそい。
-
-
|
トゲニセア 力シヤ
オ膨臘原産九州~北
1
マ
1
フサア
カ
シヤ
濠州原産
罐瀧議癌摺蕊§夛欝綜離織呼ある。
蕊融難謹鶴驫灘罷奪寵議鰐
ニンが多い。
ー
常緑喬木,若い枝葉には毛が多い。花期は2~10月タン
熱帯~暖帯
一一
-
モリシマアカシヤ
■
落葉半祷木,トケがない。葉は青島トケォシニセアカシ
ニンは一番多い6葉柄の密線は3つあるも
一 一一
ノ、 ナアカシヤ
)関東以南の太平鰐,
メ ラノキシ戸ン
瀬戸内海沿岸の暖地,
常緑喬木でア分シヤの中で最大,葉は平行脈の平たい仮
乾草地,酸性士墨に強い 葉,生長ぱややおそい。
。
ヌ
徽綱震灘皇顧季函琉冤
一一
;雷懲繍溌漂箇碓灘
テ言|蕊蕊懸霧寵一 溌議溌離噌痩繍壜§常態蕊:ある
デクレンスァヵシキル
ム
く
守唾旬
開
の
獅
搾
識
の,
職
ワ召。
〃る
》》
羽ン
の葎
》
織卦
ギ
ノ、
》》恥一
-舵菜蘆灌九州割上海道→|~員
チ
タ
加地ど
やセ国
よい。
窪野達
ネーイ
科
フサアカシヤに
一
九ツW、北鰯首
い〃
濃漂
鞍当
罎曙
◎の
細櫛
い芭
さ白
痙趣
小は
ズ
退輌
ク
蠅.
化月
常緑潅木,3う
蔵
シ
蝉桐
二二
4る
のす
つ生
エ
3誇
1
繍雄
'、 雫 (ヤー'、詞|鍍萎群嘩鬮に蕊|瀞遮懸樅韻鍵議硯認鰐も
一
’
¥撫擁土壌にたえ
|綴?多年生木' 3校の'j藻からなる。蔓"~7米にの
る。
ウ
1111
}
一一
藷F謡辮謹畷
--
噸馴嗣‐
シl
l九州~本州中南部
!
|
でが地。一
な高く
簿幾
窪陣坤嘩
マ
キ
陵ツ諜蕊撫地並湿地
Iヤマハンノキは高冷地
灘
ク
謹慾雲鎮繊聡撫窪錬謬腫難
落蕊麓木状,葉は互生長卵形,花ほ4月上旬葉あ出ない
内に咲く。側根が拡がり,細根が密生,毬果は多数集る
露蕊宰蕎木"葉は2列に互生し長卵形,裏に毛が烹毒
溌叢震盗難製癩議亨卵形‘裏に識§ある。
~■一一一
ア.シ|j嘉灘擬f螢…鳳一空|落葉喬木,葉がヤシヤプシより大きく,毬果は'個。
オ
'|"'捌繍総鯉獣"舞侭,鍛通塵…い,跡に、
--●P--
常緑喬木,葉は互生し,長倒,彫,花{謡~4月葉腋につ
マ
く。
「、ゞ
|′
プ
オバヤシヤ
モヤ
オウ科モモ科 グミ科
モクマヤマ
’
ヤ
ノ
リ
ー
オ
ン
〃
シ
シ
キ
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ゲ
〃、
一
一
ヤマ
ヤ
ノ
ン
ハー
Ⅱ■0110ⅡJpIⅡIlIlⅡI6IIIIIⅡ111■■Ⅱ0111Ⅱ.
カバノキ
ノ、
(アギグ
、)|"'I-獅薗癖"|鯵蕊鮴欝臆鈎織臓犀吾燕壼嘉
-28-
奎二
倉田;砂防造科講座・どんな樹や草を使ったらよいか
、
一考
一一備
一期
一’
一種
一採
率
一ij
升
匁
-のl
一函釧
一I
播
一斌勤
一種岬
法
一殖
性状一臆表(未完)
---
強酸性
弱
に弱
極強
4
殆んど結実しな
い。
〃
〃
〃
実生,さし木心
奥
〃
弱
一
〃
I
〃
1
〃
I
〃
6万
発芽偲僅
6万’ 293
(80・の湯
に30~60
-
分)して
実生,株別け,
発芽して
10万
〃
L
12万
弱
〃
5勺
350
3勺
3月下旬
~4月下旬
150
1合
〃
実生,さし木, 3月下旬
株分け
120
〃
|農”
実生,さ
〃|錨け,縁
2~3勺
釘 瀧潔<’
I
鱗 |稽弱
鱗 ’ 実生,さし木
強
含有愛-50”§
部とる
賞用樹
器具,
禦歎僻溌謬′
10月中旬
9月下旬エ0月上旬鰕畔I木‘燃料'曲物
10月~n月
|飼,肥料木
撫防辮雪鯛
6月
2-3勺
飼,肥料木,食用,薬用,
10月~P旬
クズ布,戸,-プ
1
I
戸
万6
万
2
1
1
~5月上旬
タンニン原瞬(タンニン
ら2~3日
以内に全
儘
弱 |蕊認弓溌
まき
木,桶,樽,箱,用材,
4C0
|密
強
路樹,薪炭,パルプ,土
サヤが開
き始めた
一-
4月中旬
5
弱 |実生
r
飼,肥料木,庇蔭樹,街
密源樹,・切花,生花,観
万
》酔帳
中
デヨイ
ー
唾一癖
一日
PIf5
5月下旬
~6月下旬
精強|ノ
〃
370
6万
える。
〃
360
一
さし木(困難) から200
埋根(困蝿
粒位にう
〃
7月下旬
250
6月下旬’7月上旬
、111~
強
P1週~5
デョイ
3勺
3月下旬
譲'濯根'っ ~4月下旬
〃
i鮮鞍鰯
-
-丁--一
‘勺~,含’
24万
飼,
125
蝋鱸灘炎鑛
10月
器,
塗料,聴皮用(タンニン)
6勺~L合
4月上旬
53万
〃
〃
実生,
〃
(110)
〃
一
涯いうちに匙る
100
一
ノ
肥料木
毬果が黒くなら _薪材,染料(タンニン)
一
間引する
| ,
9月上旬~10月
上旬
一
6~7回
90
潔謬譲霧
10月~F"旬
》
弓
繕
’
シキワラ
する。
唾一鞆
繍
南
地部
中蝿
一弱
強〃
〃
さし木(請困鯛
眞鑿 | ,9万
110
飼,肥料木,用材,薪炭
材,染料(タシニン)
鱗|,, |錘|爽生,癖("|銅臓| ,蝶万’
6月上旬~
|肥料木,食用,薪材,染
料,タンニン原料,薬用
6月下旬
'|”|“ |熱…|
‘"1百 ”6 | 』。”
-29-
’
|…食罵庭園蓉一
倉田:砂防i齢イ講座・どんな樹韓を使ったらよいか
第3表
種
名
名
俗
治
ひ
し
し
ぱ
ば
’
ば
281
く・ さ
150
ど
は
し
■
やはずえんどう,いらら
からすのえんどう
め
みち
ちから
360
は
ぎ
I4e
き
ん. えのころ
価
在来種
ひ
し
むらさきえのころ
385
ゆ
ち
く
さ
く
さ
和
む
こ
ず
52
36Q
16
78
ひや5,ひやうな
385
330
18
ふじだか,こ茨のひざ
1
ヨ
3
じ。 く
さ
なつのちやひきぐさ,ひなぐ
さ,からすむぎ
385
こ
385
42
74
440
21
53
160
63
つ
な
ぎ
おわりけつめい,こうぽ5ちや,
ねむおや,はまちや,きしまめ
えのころ
ひめむかしよもぎ
ねこじやらし,えのこく.さ
めいじさう,てつだうく。さ,
ごいつしん〈・さ
う
ぎんしさ う
く
しのけ
ぐ
はまえん
さ
さ
ど
20
&
28
弓
61
34
←5
31
45
0
261
13
463
一_画‐
グ
パ戸ズ・ブート。トレフオイル
400
131
80
▽
こ
ケンタッキー。、31.フェスク
奇
ぬかぐさ
180
524
蹟の草
100
27
90
45
85
●
クリムソン・ク戸一ハー
37q
がや
ウイーピン〃・ラブ・グラス
しだれかぜくさ
トール・オート・グラス
お鐺かにつりぐさ
:
51
“~
’
外来種
.リード・キヤラナイ・グラス
く
さ
よ
し
マウンテン。プローム
3”
180
スムース・プローム
100l
チーモシー
溝おあわ跡えり
"。l
ベレニアル・ライ・グラス
ほ
そむぎ
ヘヤリー・ペツチ
360
’
58
77
59
98
88
79
09
0
8
かも
50
.0
00
1
10
861
236
オーチヤード
33
レツド。,トップ
クロタう り
煙
一
11
かわらけつめい
9
3
9
すずめのえんどぅ
ま
一
の
も
~
430
つるふじぱがま
か
13
3470 5
の
みち
38
77
80
50
6
2
153
ぜ
ひ
I
しば
か
い
めしぱ,、ぢしばり,はたかり
ば
1
q
め
一
町当り播種麓
(升う
9
8
36
1
ぎ
200
819鑓62 2
ら
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-.--
庫さ(匁)|蝉(万)
61111
お
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用
| Z升当,の
|
ち
山
》”
種鎮I
一一‐
一
一
唱ポンド
(10)
33義ンド
(2.4)
ヤ
-30-
一
1
倉田:砂防造林講座・どんな樹や草を使ったらよいか
ザ
秋~春
5
月
零
9月乾地に強い,根張が強い。
9月陽向,乾地に強い。
’ 5~6月まきひげが,他物にまいてのびる,飼料。
10月根株ほ木化,直立性と潮伏状のものがある。
10月 ノ1露ド
9月鶴野勢弾灘霞典うに分ケツして伸
10月陽草,荒地。
9月 ノ11岸,河原砂地,薦土性。
9月強松,ピケW艮籏出して地に強く張る。分歩ツ密。
9月水辺の湿地
9月直立性,枝は疎
9月半陰地及び陽草地
9月蔓性,地下茎も水平に伸びる。
6~7月荒地,強性,稗の基部は短かく検に訴れて伸びる。
5~6月まきピケで他物にからむ。飼料,根は繊細。
10月陽草,乾地,草状潅木,根も木獅こして郷、。
| ” 淘鼠‘“鍵臓頚剛。
9月野'稗の基部は横から卿て細榎を濃し斜艇伸び
,月灘造'1謡I獺物'強性'荒地。績浪深くてピケ
6~7月乾地,高山,
奎二=一二一三毛且柔=↓!
寒暖
酸性
寒暖
酸性
寒暖
寒暖
寒暖
暖
A
I
詞伏性,晩夏生長,根瘤菌をつけ成熟不揃採種困難。
、
畷箪皐6~7月河床に特によい,繁植力大,砂防用として良好。
|多年生‘~7月暖地耀生長良‘瀧地濯良成長,耐陰罐。
多年生' 5~6月暖地向(秋播)直立性,耐蔭性。 .
犬
’鍵‘~7月瀧薩職強,チモシーより耐暴性,品種多い。
砂地
耐寒
小
|蕊‘-,,,………垂“
6月砂防用にすくれている。
|臺麓,
‘~;:擁鴎………‘
|参隼隻i 6~’周 一ンテャー種憾職洲…防系篤方議参'。
耐アルカリ性草,発芽溌そい。砂防上応用狭い°護
耐寒
|
多年生
小
辮地
耐寒
~9月
酸性
寒暖
寒
粘土質
寒暖
中~上
暖鯛
寒暖
9~10月
生生生生生生生生生生生生生 生j生j生生生生生
秋~春
秋~春
懸懸蓉鐸岼呼塞
秋~春
備
I多年生’
地
・秋淨-春
年年年識年年年年年年年年年年
秋~春
■■■6日、■U■■■ⅡⅡ960078日日ⅡDJO0q114Ⅱ各01FⅡⅡⅡⅡⅡ7申0ⅡIFIIlllllIlllⅡIIIIIIIIIII
秋~春
|轤子成熟|
'5~6月海顔沙地,地下茎でも繁殖,茎は横に広がる。
:辮大
や
秋~春
111-く多多111多11多多
〆
地
砂
秋へJ春
砂
秋~春
生長鰯
~王~霊~’
1111
秋~春
-
|
鍵大大中大犬犬大夫大中中喰中大中大大大大大地
一
力
(秋)~春
湿湿湿湿
乾諏燕鋤榊乾乾“
識輌
乾湿乾
乾乾乾乾
秋~春
’
力
11
啓一
童
|
温暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖暖
応気。寒寒暖寒寒寒寒寒寒寒寒,寒寒寒寒寒寒
一
’
011141011101?0119↓111hIP1IJ0■IIlIlIb1IIlI口01回Ⅱ010096日gT1l日40818I011IPIIIIIIOIIIllIlIIl0lII
一春春秋帰春暮春春》春春春《蓉糯秋峰癖毒癖》癖・’
播種期
乾一乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾乾
’
表味完)
適湿湿湿涯湿湿湿湿湿湿湿湿湿湿
覧
中~上
鮮地
砂地
多年生.
5月バンガリアン種淫ヤセ地向。
癖用,発芽促進,肥料になってよい。400~600系
1年生9~10月
---..---一
-
-31-
I
統がある。
I
倉田:砂防淘*講座・どんな樹や草を使ったらよいか
クズ′エニシ顔′モクマオウ,クララ,レッド・ドツフ○
(i)苗木年令2年(蔵霞によ為)
イタチハギ,エニシjfb
ケンタッキー。31・フエスク。
(ii)苗木年令2年
(C)20cm以下のものは
アカマツ’クロマツ’ヒメャシャブシ,ヤシヤプシ,ヤ
ヒメャシャプシ
e
すなわちニセアカシヤ,フサアカシヤは植え℃1年6ケ
マグ、ンノキ,少、ンノキ,グミ,ヤマモモ。
以上の誌果から早く上に伸びるものは,木ではニセアカ
シヤ,アカシヤ′イタチジ、ギであるが’草ではメドハギ,
月で約5Inで′おどろくほど生長が早く,早期緑イ噸の王
者といえよう。
しかしイタチハギ’トケナシニセアカシヤの直鋳苗も,
カワラ.ケツメイなどである。
このように卿嘩としてあま'り関心が弧:つれなかった草種
これにつぎヤマハンノキ’ヤシヤプシも,2年目の筆晨ほ
でも’少し肥料を与えると′よく伸びるもので,アメリカ
か露ミり犬きい。特にヤシヤプシは,年目にくらべて,第2
などで栽培,利用しているのも理解できるが,今後は日本
年目の生霊がはるかに多いことは注目に価する。
以上のことから早期緑化轍として:-
でも′もつと課溌の眼を向けるべきであろう。
(イ)植付当年ずばらしい生長をするもの
なお2年生(樹木)では次のようである。
=
(木)イタチハギ,ニセアカシヤ,フサアカシヤ,ハギ
(A) 2m以上のもの
I、ケナシニセアカシヤ。
ニセアカシヤ(実勤, イタチハギ,ハ蕊
偉)ウィーピング。ラブ。クzラス, コマツナギ,カワ
(B) 1m以上のもの
ヤシヤプシ’ヤマハノキ,ニセアカシヤ(トゲナシ)エ
ラケツメ.イ’ヤノ、ズソウ。
(戸)植付翌年からすばらしい生長窪するもの
ニシダ。
(木)ヤシヤプシ,ヤマハンノキ, I、ケナシニセアカシ
(C) 1m以下のもの
ヤ。(薩薗雷苗)
アカマツ,ヒメヤシヤプシ,ノ、ンノキ,グミ。
またハケ山での諏査(呉市治山舞易)によると第5表の
偉)ケンタッキー・3,.プエスク
大体以上のようであるが,全長の点からは従来,主に使わ
8月の高さは次のようである。
れていたマツ類やヒメヤシヤプシは甚だよくない部類に属
('f)50cm以上のもの
牛ることに留意すべきであろう。
ヤマハンノキ,イタチハギ,ニセアカシヤ,フ.サアカシ
I
11
如くであって,1年生苗を3月10日に植付け,その年の
すなわちマツ’ハケシバリは,どちらかといえば生長が
おそく’少くとも早期緑化の点からはとりあげる価値は極
ヤ。
めて少い°礎8図) そしてイタチハギ,エニシもダ,ニセ
(P)50cm以下のもの
(i)苗木年令,年のもの(すなわち山地に直猫したも
第8図植えて4年後のマツ
の)
《凶
ニセアカシャ,トゲナシニセァカシャ,エニシダ。
(ii)苗木年令2年のもの
●
ヒメャシャプシ,ヤシャブシ。
すなわやヤマハンノギ,イタチハギ,ニセアカシヤ,フ
サアカシヤ侭植付当年にどれもが1mを越すし,また山地
に根の一部’または枝幹の一部(約4寸)を埋めても,40
cmを越して’ヒヌヤシャプシ,ヤシャヂシより苗木年令
が1森くても,これよりまさって,早鰯調上樹としては
最もすぐれたものといえる。
なおその後1ケ年経過したもので獣次の通りである。
アカシヤ,プサアカシヤなどの肥料木と,その他豆科の草
("r) 3m以上のもの
類がこれに代ってとりあげる価値のあることを明示してい
ニセアカシヤ,フサアヵシャ。
(") 2.m以上のもの
私マハンノキ,ヤシヤプシ,イタチハギ,1、ゲナシニセ
る。もちろん早期緑化に役立っても生長量の多い点や,そ
の他の利用の目的については,治山治水の目的から一応切
アカシヤ(i顛粛苗)
離して,別に考えるべきで,その目的を達する上からは初
(ハ) 2m以下のもの
めの3ケ月~1年は早くなくても,順次2~3年目から生
一.32-
倉田:砂防造林講座・どんな樹や草を使ったらよいか
、
-一一一一
第4表樹種別生長比較
(目黒林試苗畑)
1年生 (27~年まき)
2年生(26年まき)
-
根
系
!深さ(cm)張り(cm)
「
苗高(。"|株鷺
I
一一『言「-Zg-
鍵
3 1
13
|
’
120
11
98
200
210
217
130
1I
1300
銅“妬
90
38
57
06
5
2
58
24
84
03
6
3
88
92
G2
3
9
11
’I
’
84
120
”沌釧兎誌麩
I
鍋調四拓如“
l
銅如沌だ
I
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1
夕
第5表樹種別生長比較娯治山現場)
胃月日、 ’
ニセアカシヤ鯉・御
ヤマ
ノ、
ン
ノ
キ
hII■IトーⅡ8011
一
ー
昭
和26年8
樹高(m)|根元直径(cm)
ロ砺刺26年3月10日植付,埋幹根.
昭和27年8月21日
月
樹高(m)|根元儲|枝張b(m)
枝張り(m)
一
0.40
0.46
0.29
1.66
2.7
0.93
1.5
0.80
2.15
2.8
1 .40
0.36
0.65.
0.33
1.48
1.8
1.08
〃
ヒ
メヤシヤプシ
1.31
畳
シ
0.44
0,67
0.42
2.25
3.9
1.85
トケナシニセアカシヤ鯉翰
0.37
0.85
0.25
2.21
3.2
1.06
イタチハギ(埋翰
0.72.
O等8
0℃51
1.82
1.7
9.7
二
セ
ア
カ
シヤ
1.48
1.8
0.82
5.25
5.5
4.25
ブ
サア
カ
シヤ
1.41
1.9
0.78
4.86
5. 1
3.62
0.70
2.00
2.4
1.24
O、34
1.85
1.6 '
l、07
ャ
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エ
シ, ヤ
タ
毛
チ
ブ
ハ
ギ
シダ(さし木)
・
1.09
、 1.12
0.46
0.35
や
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づ
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-33-
ー
倉田:砂防造林講座・どんな樹や草麹使ったらよいか
’
長量の多い樹も混植すべき篭ある。このような観点からは
っても樹高も,枝張りも‘他の樹に比べては,ほとんど増
ヤマハ、ソノキ,ヤシヤプシ,トゲナシニセアカシヤ….な
加することがなく,年に2~3回宛伐っても同じ位である
どが適し′更に鋒,10数年後に生長量の多い木,例えば
から,できるだけ利用(飼料,肥料)するか,または刈取
ヤマモモなどもよかろうし,また場所によってほスギ,ヒ
った枝葉を被擾や土地②肥培に使った方が得策である。
ノキ,マツなどを適宜混植することがあってよかろう。
〔3〕根系について
なお地上部だけ、噂なく,憶狼が伸びて,土砂の安達厚役
〔2〕枝張り,株張りについて
雨による浸蝕防止の点からは,上に伸びるよりも1日も
早く土壌表面を被覆することが,より重要であることはい
5ま.でもない。実際には草は別として,樹では上長生長の
立ち,或は広く根系が伸びて,地表面を緊密にし,雨裂の
発生を防ぎ,土蕊浸蝕を防ぐ;に役立つようにもすべきであ
る。
磯んなiものが'相関IM碓横に拡がることも早い。第4表で
クズ,ハギ,ネムなどは黒く地中に根を下し,ニセアカ
、も明かなように,クズは例外として,凡そ坐農の早いもの
シヤ,アカシヤ類は地表面に広く張る力が強い。嘩4詞
この場合傾斜地では榎は上方に伸びず,下方に向い,植栽
力職の拡がりも大きい傾向がみとめられる。
当年に2mの伸長も珍らしくない。礫9図)
一]
次Wご苗畑に於ける1年生苗で調査した識果を示すと:_‐
(イ)枝(銅張り稽径が60cm以上のもの
第9図ハケ山で1年に2m50cmに為
伸びたトケナシニセアカシヤの根
(木)ネムノキ.卜夢ナシニセアカシヤ,アカシヤ,ク
タ
ズも
蝉)カワラ歩ツメイ,ケンタッキー。3,.フエスク,
ウィーピング・ラブ。、ケラス,コマツナギ。
(ロ)桟渡り直径が10cm以上のもの
(水)ハンノキ,ハギ,イタチハギ,モクマオウ,ヤマ
モモ,エニシダ。
(草)ヤハズソウ,メドハギ,クララ,レッド・ドツプ
(ハ)梗浪り直経が10cm以下のもの
(木)アカマッ′クロマッ,ヒメャシャプシ,ヤシャプ
シ,グミ。
次にハ涙山に繼儀(轤俄当年)可_,たものでは次のまうで
ある。
.
〈イ)枝張り喧経が50cm以上のもの
一一
ヤマハンノキ,イタチハギ,ニセアガシヤ,ブサアカシ
ヤ。
(戸)枝張り直径が50cm以下のもの
(i) 1蟻苗ヒメヤシヤプシ,ヤシヤブシ。
(ii) 1雛苗 トケナシニセアカシヤ,ニセアカシヤ,
エニシダ。
また繼畿後1年6ケ月を経たものでは次のようである。
(イ)枝張りi霊が3m以上のもの
・噸高技官)
なおマツぱ初めはおそいが,年々直根を深く下して,地
・盤保護の侭肋§大きいのが艤長である。
要するに地表下を広く根張るものと,地中深く根を下す
・ものとの組合せで,根系による充分な土地保全を構ずるこ
ニセアカシャ,ブサアカシャ
(ロ)椀握り澄径が3m以下のもの
とは合目的点である。
ヤマ"、ンノキ,ヒメヤシヤプシ,ヤシヤプシ,イタチハ
ギ,エニシ桑
、以上によって枝(銅張りが大きくて,“程度のよい
ものは’雁鍼当年にはヤマハンノキ,イタチハギ,ニセア
カシヤ’ブサアカシヤ’クズなどであり,翌年も犬きくて
よいの縦ニセアカシャ,ブサアヵシャ,ク万などである。
特にイタチハギは祇鯉は格別早いが,その代り年数軽
-34-
皆
.
一九五三年版
林業手帳
一層内容の整備を図り、目下印刷中です
来年も日林協の熾蛾宗手帳が皆様の日常の什鬘にどん
なにか役立つことでせう。
(衿奔窪雍鈍砕堯砕轄嶬誕呼津彊)
各部門のエキスパートに委蛎して蒐集した炎
編集;本会が林壁厩林業試験場、大学等の夫々の
料によって編集したものです。
内容:世界及び日本の各種林業統計、気象・土蕊・
土木・砂防等の参考篇、称業官庁・試験場・
造林・撫育・養苗・保継・経営・作業・利用
容豊富な附録を持つ日誌であります。
学校・団体其の他材穣表・度危衡換算表等内
順です。
外形:ポケット型、鉛筆付、布クロースの堅牢な装
し,比較的因習に捉はれた森林所有者を直接の対象として
10月26日から28日に至る3日間,各都道府県から選
林業技術の普及溌透左図る此の仕事は仲盈容易の事業では
ばれた96名の林業地区技術普及員が東京に参集し,此の
制度が創始登られてから以来3ヶ年に亘るその実演を発表
する大会秘嚇野庁指導部研究普及課の主催によって挙行せ
ない。而かも林業の如く長期を要する生産業にあってはそ
至は数十年もの将来のことであろう。然し之等林業の第一
られた。
線に日夜活躍する戦士のたゆまない努力が今日発表された
その第1日は東大農学部教室に於て6班に分れ各ブロッ
の事業の効果が現実の数字として現はれて来るのは数年乃
嫌な顕箸な実績を着為として挙げつ坐あることは吾為称業
ク別に発表会が行はれ,その結果各班から2名宛の入選者
人として誠に心強い限りと謂はなければならない。諸君の
を選出した。
熱意はやがて日本全土をくまなく覆い,日本の林業復興に
第2日は全国町村会館講堂腰於て柴田長官はじめ林野庁
主脳部並に来賓として在京の林業関係諸名士が多数臨席の
下に,選ばれた’2名の選士が交盈型上に立って再び実績
最も大きな役割を果すであろうことを期待して満腔の敬意
(松原)
を表せずには居られない。
編集室より
発表が行はれた。藤村指導部長を審査長とする10名の審
--
査員に依って審査の結果次の通り入笈者を決宝,引続いて
◇試験場の倉田氏にお願して本号から砂防造林の連載講座
表彰式が行はれた。
を開謝した。同氏としても畢世の仕事として此の講座をま
とめ上げたいと言って居られる。吾国の林地改良や荒廃地
第3回は五反田の星薬科大学の識堂に於て糊演を聴き午
--_
後は林業試験場を見学して此の意義深い大会を終了した。
入選者
農林大臣賞
埼玉県
の復旧に貢献するところ甚大であろうと確信する◇東大の
平井氏にも木材利用識座(?)をお願して居る力漸年忌あ
関本三治君
たりから連載の見込,大いに期待して頂きたい。◇林業手
林野庁長官賞静岡県長田高士君
帳は内容もうんと充実し,目下大童の印刷中,恐らく11月
奈良県今中
弘君
岡山県築岡太郎君
下旬頃から予約者にお届けできる予定です。◇本号の発行
が遅延したことをお詫びし議すb
(松原)
宮城県梅津末一君
;
賞外入選者
熊本県江藤茂徳君
昭和27年10月5日印刷
頒価40門
福岡県藤野昭一君
昭和27年10月10日発行
G誉糾狗
広島県
島津江勇甦君
群馬県佐藤武雄君
石川県前田伊三郎君
北海道
山上正七君
京都府井上藤治君
筒本会では上記のス選者’2名に対して副賞として粗品
を贈呈してその労に報いた。
(私見)林業地区技術普及員が夫燕相当広大な地域詮担当
~
林
業
技.術
第128号
(改題第35号・発行部数11,600部)
編集発行人松
原
茂
印刷人山名 冨哉
印刷所合同印刷株式会社
一一一一一
発行所
肚團法人日本林業技術協会
東京都千代田区六番町七番魂
電話(33)7627番・振替東京60狸8番
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全国林業地区技術普及員実績発表大会
識燕舞騨評靜騨鯉駒器(毎月一回十日発行)林業技術第三八魏
TheRingyoGijitsu(ForestTeChnics)No.128
PUblishedby
NipponRmgyoGijitsuKyOkai(JapanForestTechnicalAssociation)
9
Coo新刊案内。。。
日本林業技術協會の新刊書は
毎月此の頁で紹介致します
一林業技術叢書一
環u輯農博・理博舘脇操著樹木の形態嫡木学第'猟)
A5版。96頁・図版65.定価125B(会員110円)〒16R
20有余年に亘る北大林学科に於ける森林植物学の講義を基として樹木学としてまとめた第
1編である。樹木学の根底をなす樹木の形態に関し,研究並に実際上に役立ち,かつ野外に
於ても容易に,しかも科学的に自然に接するように特に配慮せられたもので,出来る丈け図
解を入れて用語の解釈に意を注いで居る。
林業家が此の様厳知識を身につけて森林に接するならば吾が国の林業は著しく躍進出来るで
あろう。森林樹木に関する絶好の基礎資料。
Q
・ヘハーツ、~、林業普及シリーズ---,-、~
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~=一
永井行夫著
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緬'00阜儲90円)
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第48冊
村山醸遥著
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Tl
…
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価650円〒65円
B5版・上製函入。211頁・写真ユ08X(原色版16\)
限定版であるが極く僅少ながら余部があるので,御希望の方は至急御申込下さい。現在の
処増版の計画はありません。
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B5版・上製本函入・ 250頁余・定価550円。〒65円
著者が昭和3年東大卒業以来20有余年に豆って専心研究を続けた成果を駁纏めたのもで
一
ある。第1綴はスギ,ヒノキ,デカマツの栄菱に関する研究,第2編は森林土壌の肥沃度を
左右する主要な土壌性賛の究明,第3編はスギ,ヒノキの人工林二f錐の究明の3編から成っ
て居る。吾が国森林土壌の肥沃度の根底をなす-各因子の把握と之に立脚する肥培法な攻究す
る上の基礎資料となるべき大著である。
、
(興林こだま敦題第三十五量
東大教授芝
本書は著者力嚇野庁に対し出された報告書であって特に当局の許可と篝者の承諾を得て本
会は極少部数のみ希望者に頒布するものである。
林業用度量衡換算表
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山林局・日棚編
ポケット型(A6版)。230頁・上製・良質用紙使用・定価150円(会員135円)・〒16R
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会は今旋林野庁の認可を得て此の資料の上に更に最近必要性を加えて来たヤード,ポンド法
の換算表を作製増補した。長さ・面積・立積・重逓その他の計遼について尺貫法・メー1、ル
法及びヤ戸ド,拳ンド法夫誹目互の換算表を最も役に立つように見易く作ったものである。
譽京藥穂密,瀞亨潔日本林業技術協會鬘驫0塁8篝
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