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世界で初めてプラスチック基板上で カーボンナノチューブ集積回路の動作
世界で初めてプラスチック基板上で カーボンナノチューブ集積回路の動作に成功 -簡単なプロセスで高性能なフレキシブルデバイスの作製が可能に- 簡単なプ 高性能な キシブ デバイ 作製が 能 NEDO産業技術研究助成事業 (平成20年度採択課題、プロジェクトID: :08E51005a) 大野 雄高 名古屋大学大学院 工学研究科 量子工学専攻 量子ナノデバイス工学研究グループ http://qed63.qd.nuqe.nagoya‐u.ac.jp/public‐j/ 研究開発の成果 1. プラスチック基板上にカーボンナノチューブ薄膜を簡単 かつ高速に作製する技術を開発 2. 世界最高性能のカーボンナノチューブ薄膜トランジスタ を実現 3. 世界で初めて透明で柔軟なプラスチック基板上でカー ボンナノチュ ブ集積回路の動作に成功 ボンナノチューブ集積回路の動作に成功 研究チーム 名古屋大学 フィンランド アールト大学 大野 雄高(准教授) エスコ・カウピネン(教授) 孫 東明(博士研究員) アルバート・ナシブリン(講師) トランジスタ・集積回路の作製・評価 ランジ タ 集積回路 作製 評価 カーボンナノチューブの成長 ボンナ チ 成長 新エネルギー・産業技術総合開発機構 新エネルギ ・産業技術総合開発機構 平成20年度産業技術研究助成事業 研究開発の成果 この成果は2月6日付の英国の科学雑誌ネイチャー ナノテクノロジー誌(注1)(電子版)に掲載されました。 (注1)ナノテクノロジー分野の専門誌として国際的にトップクラスの学術誌 (インパクト・ファクター=26 (インパクト ファクタ =26.3) 3) http://www.nature.com/nnano/index.html フレキシブルエレクトロニクス ‐よりスマートなユビキタス情報社会へ‐ よりスマ トなユビキタス情報社会へ シリコン:硬い・脆い シリコン:硬い 脆い プラスチック:柔らかい・弾性的 プラスチック:柔らかい 弾性的 Nokia k Hewlett‐Packard 極限的に安く作製できれば大規模導入が可能 ⇒ 紙ベースの媒体(新聞、雑誌、本、広告) から 電子媒体へ ⇒ 製造や搬送にかかるエネルギーや二酸化炭素排出量の削減にも貢献 ギ フレキシブルエレクトロニクスに向けた 材料・デバイスへの要求 プラスチック基板上に作製できること 低温プロセス 大面積に低コストで作製できること 大気圧プロセス 高速印刷法 ロール・ツー・ロール法 各種薄膜 ラ ジ タ( ) 比較 各種薄膜トランジスタ(TFT)の比較 材料 移動度 ( 2/Vs) (cm /V ) 製膜方法 (温度) 柔軟性 大面積 製造コスト 化学的 安定性 多結晶シリコン 30~300 化学気相成長法 (500°C) ☓ △ ☓ ◎ 非晶質シリコン 0.5~1 化学気相成長法 (> 200°C) (> 200 C) △ △ ☓ ◎ 酸化物 (InGaZnO) 1~10 スパッタ法 (室温~200°C) (室温 200 C) ○ △ △ ◎ 有機半導体 0.01~10 溶液法、昇華法等 (室温) ○ ◎ ◎ ☓ カーボンナノ チューブ薄膜 1 ~200 溶液法、転写法等 (室温) ◎ ◎ ◎ ◎ カーボンナノチューブ薄膜の特徴 • 高い伝導度 • 柔軟・強靱 • 透明 • 簡単・高速に形成可能 簡単 高速に形成可能 (工夫次第) これまでの溶液プロセスでは 期待される性能は得られていない • 分散プロセスにより短尺化 • 表面張力で凝集(バンドル化、不均一化) 表面張力で凝集(バンドル化 不均 化) • 残留分散剤 • 接合抵抗が増大 • オフ電流が増加 • しきい値の制御が不能 本研究の方針 • 分散剤を用いない • 表面張力のない環境で薄膜を作る • 成長した状態の長尺で清浄なCNTを使う • 溶液プロセスより更に簡単で高速なプロセス 気相ろ過・転写によるカーボンナノチューブ薄膜形成 ‐ 簡単・高速に高性能薄膜を実現 簡単 高速に高性能薄膜を実現 ‐ 1.浮遊触媒 1 浮遊触媒・化学気相成長法 化学気相成長法 触媒ガスと原料ガスを供給 大気圧・連続成長 2.気相ろ過・薄膜形成 フィルタによりCNTをろ過・薄膜形成 気相プロセス プ 堆積時間は数秒: 高速 長尺で清浄なCNT 3.転写 予め電極を形成した基板にCNT薄膜 を転写 室温プロセス ⇒ 任意の基板に転写可能 アールト大学 名古屋大学 世界最高性能のカーボンナノチューブTFT ‐ 高移動度と高オン/オフ比を同時に実現 ‐ 移動度: 35 cm2/Vs オン/オフ 6 106 オン/オフ: 6x10 ノーマリーオフ型 リ オフ型 ⇒ しきい値はドーピングにより制御可能 透明で柔軟なプラスチック基板上に ナ ナノチューブ集積回路を作製 ブ集積回路を作製 *高速な印刷技術との親和性を考慮し 素子サイズを100ミクロンとして設計 *高速な印刷技術との親和性を考慮し、素子サイズを100ミクロンとして設計 機能集積回路に必要な基本論理素子の動作を実現 現在の集積回路はNORとNANDの組み合わせで構成されている。 NOR NAND 世界で初めてカーボンナノチューブを用いた 順序回路の動作に成功 D‐フリップ・フロップ: 1ビットの情報を保持する論理回路:計算機に必須の基本回路 X: Don’t care, *: No change ’ * h Master latch Slave latch 組合せ回路: 現在の入力のみで出力が決まる 順序回路: 現在の入力と回路に記憶した過去の 入力で出力が決まる 動作速度:100kHz級動作に目処 リング発振器: 反転器をリング状に接続した発振器 信号の伝播遅延により発振周波数が決まる ⇒ 論理ゲートの動作速度を評価 反転器21段と出力バッファ:TFT 44個を集積 反転器1段あたりの遅延時間: 12 マイクロ秒 ⇒ 83 キロヘルツ 印刷可能な100ミクロンの大きさのTFTにおいて、100kHz級の回路動作に目処 ロール・ツー・ロール法への展開が可能 大気圧・連続成長 大気圧 連続成長 高速成膜 今回開発した技術 室温プロセス 任意の基板 高性能フレキシ ブル集積回路 今後導入する技術