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視線のコミュニケーションによる脳波計測と解析
平成 26 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号: 221 視線のコミュニケーションによる脳波計測と解析 D-7 Electroencephalographic measurement and analysis of line-of-sight communication 花房 美香子† 里見 啓太†† Mikako HANAFUSA † 山口 友輝†† 佐々木 寛† †† 樋田 栄揮† †† 相原 威† † Keita SATOMI Yuuki YAMAGUCHI Hiroshi SASAKI † † Eiki HIDA Takeshi AIHARA †玉川大学大学院工学研究科 Graduate School of Engineering, Tamagawa University ††玉川大学工学部 College of Engineering, Tamagawa University 1. はじめに コミュニケ-ションをするにあたって、感情は重要である。 視線が合うことはコミュニケーションのきっかけとなる。また、 コミュニケーションをする際に、人と目が合うことは非常に多 い。人と目が合った瞬間に、私達は「ハッ」としたり、「ドキッ」 とするなど一時的な感情の変化が生じる。しかし、最初にア イコンタクトした時に生じる感情の変化の実態がまだ分かっ ていない。感情の実態を解明するために、本実験では、感 情の変化を伴った脳内活動を脳波計を用いて調べる。 3. 解析方法 被験者に刺激動画を呈示し、その際に生じる事象関連 電位を加算平均することで、動画モデルの性別や表情が、 視線が合った際の脳活動にどのような影響を及ぼすかどう かを解析した。視線が合う直前の 100ms をベースラインとし、 4 つの表情で性別ごとに加算平均 70~85 回行った。情動 的覚醒の処理(刺激を認知したという処理)を行うとされる N200 に着目して、同じ被験者での男女の動画モデルを見 たときの比較、男性被験者が男女それぞれのモデルを見た ときなど同じ条件下での比較を行った。 2. 実験方法 2.1 刺激動画の撮影方法 動画は、喜び(pleasure)と怒り(anger)と無表情(neutral)と悲 しみ(sad)の 4 パターンとし、男女各2名のモデルに協力して もらい作成する。呈示刺激となるモデルの目から正面 100cm の距離にビデオカメラを設置し、正面を基準に左右 15°の範囲で視線が流れるように動画を作成する。 2.2 計測方法 脳波実験は年齢 20~23(平均 21 歳)の健常な男性 7 名 に対して行った。被験者に呈示する刺激動画の順序は、注 視点(500ms)を呈示して、次に刺激動画(5500ms)を呈示し た(図1)。刺激動画の表示に関しては、4 表情(無表情、怒り、 喜び、悲しみ)×性別(男女)の 2 グループに分けて行った。 表情の呈示順はランダムに行い、1 グループにつき合計 350(70×5)回の呈示となるように刺激動画を呈示した。 実際の脳波計測には Brain Products 社「Brain Cap」を用 いて計測した。拡張 10-20 法の電極位置に基づき、F5、 AFZ、F6、C5、FCZ、C6、P5、CPZ、P6 の計 9 箇所について 計測を行い、各チャネルごとに表情の違いなどによる応答 の変化について比較した[1]。 4. 結果・考察 図2 視線が合った後の事象関連電位 図2の波形は、男性被験者に男性の無表情、怒り、喜び、 悲しみの表情を刺激動画として呈示した時の F6 の脳波を 表したものである。男性モデル、女性モデルを見たとき、共 に情動的覚醒の処理を行うとされる N200 付近にて、視線 が合った時の処理を反映した事象関連電位が見られた。 脳の前頭部に位置する F5・F6 は視線が合った一瞬のコミ ュニケーションによって応答を示し、相手の性別や表情によ って応答が増減されることが考えられる。 5.今後の課題 今後は、共感(コミュニケーション)に関わるミラ ーニューロンとの関連を考えるため、μ波(8~13Hz)の 応答変化などに着目した実験を進めていきたい。 参考文献 [1]Marinkovic K et al.,Psyohobiology,26(4),1998 図1 刺激動画の視線の流れ -221- Copyright © 2015 IEICE