Comments
Description
Transcript
網もち病に
網もち病に対する各種殺菌剤の防除効果と秋期体系防除法 分類 普及情報 〔要約〕網もち病に対しては,スコア顆粒水和剤,オンリーワンFの効果が高い。これらの 殺菌剤を秋期防除体系に用いた場合,萌芽∼1葉期の散布からの散布間隔を従来より長く設 定すると高い防除効果がある。 茶業部大隅分場・環境研究室 連絡先 0993-83-2811 〔背景・ねらい〕 網もち病は,秋整枝後に発生し,一番茶への影響が大きい病害である。これまでその発生は 主に中山間地域に限られていたが,近年平坦地での発生も多く,被害の大きい茶園も見られて いる。本病は,炭疽病などよりも感染期間が長く,既存の秋期防除体系では効果が十分ではな く,効率的な防除体系の確立が望まれている。そこで,各種殺菌剤の網もち病に対する防除効 果および秋季の体系防除法について明らかにする。 〔成果の内容・特徴〕 1 網もち病に対しては,スコア顆粒水和剤,オンリーワンFの防除効果が高い(表1)。 2 秋芽防除体系において,網もち病に関しては1回目の予防剤の散布から2回目の治療剤の 散布間隔を10日より17日に設定した場合の効果が高い(表2,表3)。 〔成果の活用面・留意点〕 1 普及対象地域は,県内の網もち病発生地域である。 2 秋芽防除体系での炭疽病および網もち病に関して,オンリーワンFは2回散布体系で十分 な防除効果があるが,スコア顆粒水和剤では炭疽病の,インダーFでは網もち病の防除効果 が十分ではないことから,ダコニール1000Fやドイツボルドーの追加散布をすると効果的で ある(表2,3)。 3 表2,3の殺菌剤の使用濃度はアミスター20F ア顆粒水和剤 F 4 2,000倍 , オ ン リ ー ワ ン F 5,000倍,ドイツボルドー 2,000倍,フリントF25 2,000倍 , ダ コ ニ ー ル 1000F 2,000倍,スコ 700倍 , イ ン ダ ー 500倍で200L/10a相当量散布である。 網もち病に対して散布間隔を空けた場合の効果が高いのは,感染期間が長いためと考えら れる。また,スコア顆粒水和剤で炭疽病の効果が低いのは治療効果がインダーFやオンリー ワンFに比べて低いことが要因と考えられる。 〔具体的なデータ〕 表 1 各 種 殺 菌 剤 の 網 も ち 病 に 対 す る 防 除 効 果 ( 平 成 17年 度 ) 供試殺菌剤 倍率 発 病 葉 数 (枚 /区 ) 防除率 (倍 ) Ⅰ Ⅱ 平均 (% ) スコア顆粒水和剤 2,000 1 0 0.5 99.7 オンリーワンF 2,000 3 5 4.0 97.6 ベフドー水和剤 500 14 18 16.0 90.5 バイレトン水和剤 3,000 27 17 22.0 87.0 コサイドボルドー 500 33 14 23.5 86.1 ダ コ ニ ー ル 1000F 1,000 33 31 32.0 81.1 インダーF 5,000 60 33 46.5 72.5 無散布 217 121 169.0 注)8月23日および8月30日に薬剤散布。 表2 秋 芽 防 除 体 系 の 炭 疽 病 お よ び 網 も ち 病 に 対 す る 防 除 効 果 ( 平 成 17年 度 ) 散布時期 炭疽病 網もち病 萌芽∼1葉 3葉期 4∼5葉期 発 病 葉 数 防除率 発 病 葉 数 防除率 期 (+10日 ) (+17日 ) (+23日 ) (枚 /区 ) (% ) (枚 /区 ) (% ) アミスター スコア顆粒 ダコニール − 1.3 99.2 1.7 98.2 アミスター スコア顆粒 − − 6.3 96.2 4.7 94.9 アミスター − スコア顆粒 ダコニール 38.0 77.5 0.0 100.0 アミスター − スコア顆粒 − 31.0 81.6 0.7 99.3 フリント オンリー ダコニール − 0.0 100.0 0.3 99.6 フリント オンリー − − 0.0 100.0 9.0 90.3 フリント − オンリー ダコニール 0.3 99.8 0.0 100.0 フリント − オンリー − 0.3 99.8 0.7 99.3 − − − − 168.7 92.3 注)三番茶摘採「するがわせ」3反復での試験で,萌芽∼1葉期が8月8日。 表3 秋 芽 防 除 体 系 の 炭 疽 病 お よ び 網 も ち 病 に 対 す る 防 除 効 果 ( 平 成 16年 度 ) 散布時期 炭疽病 網もち病 萌芽∼1葉 3葉期 4∼5葉期 発 病 葉 数 防除率 発 病 葉 数 防除率 期 (+10日 ) (+17日 ) (+24日 ) (枚 /区 ) (% ) (枚 /区 ) (% ) アミスター インダー ドイツ − 9.7 88.3 18.3 65.6 アミスター インダー − − 48.3 41.3 18.1 23.8 アミスター − インダー ドイツ 1.7 98.0 7.3 86.3 アミスター − インダー − 1.3 98.4 22.0 58.8 フリント オンリー ドイツ − 6.3 92.3 10.7 80.0 フリント オンリー − − 12.3 85.0 17.3 67.5 フリント − オンリー ドイツ 0.0 100.0 5.0 90.6 フリント − オンリー − 0.7 99.2 12.3 76.9 − − − − 82.3 53.3 注)二番茶後深刈り「するがわせ」3反復での試験で,萌芽∼1葉期が8月10日。網掛け は降雨の影響があった。 〔その他〕 研究課題名:環境にやさしい防除技術確立事業 予 算 区 分:特定 研 究 期 間:平成17年度(平成16∼17年度) 発表論文等:平成16,17年 茶業試験場新農薬に関する試験成績書