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(57)【要約】 【課題】 広範囲の光源でも光化学的使用が可能で、副作用が

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(57)【要約】 【課題】 広範囲の光源でも光化学的使用が可能で、副作用が
JP 2005-47858 A 2005.2.24
(57) 【 要 約 】
【課題】 広範囲の光源でも光化学的使用が可能で、副作用が少なく、安全に光化学的な
皮膚美容を可能とする。
【解決手段】 次式で表わされるフラーレンまたはその誘導体もしくはその誘導体の塩の
群から選ばれる少くとも1種を有効成分として含有することを特徴とする皮膚用光化学美
容組成物とする。
(化1)
Cn−Rm
(式中のCnは、n個の炭素数で構成されるフラーレンまたはナノチューブフラーレンを
示し、nは60以上の整数であり、Rは、m個のものが各々前記Cnに結合する、同一ま
たは別異の有機基および官能基のうちの少くとも1種を示し、mは、0または1以上n以
下の整数を示す。)
【選択図】なし
10
(2)
JP 2005-47858 A 2005.2.24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表わされるフラーレンまたはその誘導体もしくはその誘導体の塩のうちから選ば
れる少くとも1種を有効成分として含有することを特徴とする皮膚用光化学美容組成物。
(化1)
Cn−Rm
(式中のCnは、n個の炭素数で構成されるフラーレンまたはナノチューブフラーレンを
示し、nは60以上の整数であり、Rは、m個のものが各々前記Cnに結合する、同一ま
たは別異の有機基および官能基のうちの少くとも1種を示し、mは、0または1以上n以
下の整数を示す。)
10
【請求項2】
Rは、有機基を有していてもよいアミノ基、そのアミノ基により形成されるアミド基、
カーバメート基、またはウレア基;水酸基、その水酸基により形成されるエーテル基、も
しくは無機酸または有機酸とのエステル基、糖との配糖体基、ケトンとのケタール基また
はアルデヒドとのアセタール基;またはこれらの塩のうちの少くとも1種であることを特
徴とする請求項1の皮膚用皮化学美容組成物。
【請求項3】
Rは、次式で表わされる少くとも1種であることを特徴とする請求項1または2の皮膚
用光化学美容組成物。
(化2)
−NHkR
20
1
I
1
(式中の窒素原子Nは前記Cnに結合しており、R は、有機基または2官能基を有して
いてもよい水溶性高分子基を示し,kは0または1であり、lは1または2の整数である
。)
【請求項4】
Rは、次式で表わされる少くとも1種であることを特徴とする請求項1または2の皮膚
用光化学美容組成物。
(化3)
−OR
2
2
(式中の酸素原子Oは前記Cnに結合しており、R は、有機基または官能基を有してい
30
てもよい水溶性高分子基を示す。)
【請求項5】
水溶性高分子基は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドンおよびその他のポリエーテルまたはポリアルコール系
非イオン性水溶性合成高分子;デキストラン、プルラン、デンプン、ヒドロキシエチルデ
ンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよびその他のデンプン誘導体非イオン性水溶性高
分子;アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、キチン誘導体、およびこれらの高分子のア
ニオン性またはカチオン性誘導体の一種以上の共重合体から選択される水溶性高分子の少
くとも1種により形成されたものであることを特徴とする請求項3または4の皮膚用光化
学美容組成物。
40
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかの組成物において、フラーレンまたはその誘導体もしくは
その誘導体の塩が、水溶性高分子と複合化されていることを特徴とする皮膚用光化学美容
組成物。
【請求項7】
水溶性高分子が官能基を介して複合化されていることを特徴とする請求項6の皮膚用光
化学美容組成物。
【請求項8】
官能基がアミノ基である請求項7の皮膚用光化学美容組成物。
【請求項9】
50
(3)
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水溶性高分子が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルピロリドンおよびその他のポリエーテルまたはポリアルコール系非
イオン性水溶性合成高分子;デキストラン、プルラン、デンプン、ヒドロキシエチルデン
プン及びヒドロキシプロピルデンプンおよびその他のデンプン誘導体非イオン性水溶性高
分子;アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、キチン誘導体;並びにこれらの高分子のア
ニオン性又はカチオン性誘導体及びこれらの高分子の2成分又は3成分の共重合体から選
択される少くとも1種であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかの皮膚用光化
学美容組成物。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかの組成物であって、光触媒活性剤、光増感剤および光吸収
10
剤のうちの1種以上を含有することを特徴とする皮膚用光化学美容組成物。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかの組成物であって、100∼11000nmの範囲の波
長の光の照射によってフラーレンまたはフラーレン誘導体もしくはその塩が励起されて活
性水素が発生されることを特徴とする皮膚用光化学美容組成物。
【請求項12】
照射される光がレーザー光であることを特徴とする請求項11の皮膚用光化学美容組成
物。
【請求項13】
照射される光がパルス光であることを特徴とする請求項11の皮膚用光化学美容組成物
20
。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれかの組成物であって、皮膚の色素沈着、ニキビ、ほくろ、
いぼ、油肌、乾燥肌、脂漏症、表皮の肥厚、シワ、水虫、感染症、過角化症、皮膚過増殖
、乾癬斑、光線性角化症、ケロイド、老化、スジ、イボ、萎縮した傷跡および/または肥
大化した傷跡等の非美学的特性の改善または予防のための皮膚用光化学美容組成物。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれかの組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特徴と
する光化学的活性酸素発生剤。
【請求項16】
30
請求項1ないし13のいずれかの組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特徴と
する化粧品。
【請求項17】
請求項1ないし13のいずれかの組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特徴と
するピーリング剤。
【請求項18】
請求項1ないし13のいずれかの組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特徴と
する脱毛剤。
【請求項19】
請求項1ないし13のいずれかの組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特徴と
40
する超音波処方美容剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、フラーレン、フラーレン誘導体等による活性酸素の発生を特徴とす
る、新しい皮膚用光化学美容組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より医療現場において光化学療法が行われてきており、この方法は、紫外線または
レーザー光の照射により励起される光感受性物質の投与により病気の治療を行なう化学療
50
(4)
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法である。この方法においては、前投与された光感受性物質が集積して存在する生体の組
織部位や、光感受性物質を含む体内血液あるいは該血液を対外循環させた血流に光の照射
を施すなどにより、光感受性物質を励起して治療作用を発揮させるようにしている。
【0003】
例えば、カルボキシル基およびカルボン酸側鎖を複数個有する或る種のテトラピロール
化合物の少なくとも1個のカルボキシル基に対して、炭素数4∼10のアミノジカルボン
酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸をこれのアミノ基の所で1個またはそれ以
上のアミド結合により縮合させてなる蛍光性のテトラピロール誘導体、例えばモノ−L−
アスパルチルクロリンe6およびモノ−L−グルタミルクロリンc6あるいはそれらの塩
を光化学療法剤として腫瘍の診断および治療に用いることが提案されている(特許文献1
10
∼4)。そして、これらの提案が開示されている文献には、投与後に腫瘍組織内に集積し
た前記の蛍光性テトラピロール誘導体が強力な光の照射、例えばレーザービームの照射を
受けると励起されて腫瘍細胞に死滅作用を及ぼすことが記載されている。
【0004】
また、既に1976年には臨床での応用が為され、文献、特許も数多く出されており、
例 え ば 、 Michael J. Manyaら の 総 説 ( 非 特 許 文 献 1 ) が あ る 。 こ れ ら の 文 献 や 特 許 に よ れ
ば、これまで光化学療法剤として研究され、又、臨床応用されてきたのはポルフィリン系
化合物がほとんどで、現在日本では、日本レダリーがジヘマトポルフィリンを商品名フォ
トフリンで販売している。これらポルフィリン系化合物を用いた光化学療法については癌
患者(外科的手法を伴わない場合、原理的に皮膚癌等、体表面近傍の癌に限られる)に薬
20
剤を投与し、数日経ると正常細胞においては薬剤は大部分代謝されるのに対して、癌細胞
に取り込まれた薬剤はそのまま癌細胞内に残留したままとなる。この際、残留量の差は数
倍から数十倍である。次に、600∼700nmの光を癌細胞に照射すると、薬剤が残留
している癌細胞だけが特異的に死滅し、正常細胞は影響を受けない。これらの薬剤が癌細
胞にのみ残留する理由は十分に明らかではないが、癌細胞と正常細胞との血液状態の差、
あるいは、リンパ細胞等の免疫系の活性の差によるものと考えられている。また、光照射
によって薬剤が残留している癌細胞が死滅する理由についても十分に明らかではないが、
光照射によって触媒的に活性化された薬剤からのエネルギー移動により周辺の酸素が細胞
毒性の強い一重項酵素やヒドロキシラジカルに変化する為と考えられている。
【0005】
30
そして、一重項酸素やヒドロキシラジカルなどの活性酸素は、反応性に富み、細胞のD
NAを切断し、細胞増殖を抑制し、タンパク質分解酵素の活性を阻害するなどの細胞毒性
を示すことから、がん、ウイルス感染症、細胞内寄生性感染症、肺線維症、肝硬変、慢性
腎炎、動脈硬化、及び血管狭窄病変などの各種疾患における効果が期待される。
【0006】
また、このような活性酸素については、各種フラーレンに光を照射することにより発生
することが知られている。これらのメカニズムを利用したフラーレンの光化学療法の例と
しては、下記の特許文献5等がある。
【0007】
ここでフラーレンとは、Cn(炭素)クラスターの総称であり、nの数に応じてC60
40
、C70などの純炭素物質、または金属(もしくは金属酸化物)を内包した炭素クラスタ
ーなどの化合物があることが知られている(非特許文献2を参照)。フラーレン自体は、
水不溶性であるため、生体内への投与が困難である。
【0008】
一方、がん組織には、正常組織と比べてその組織構造の違いから、高分子物質が移行し
やすく、またがん組織に長く滞留する傾向がある。このため生体内への投与を可能とする
ように水溶性を付与するとともに、がん組織に特異的に移行し、滞留する特性を付与する
ことによって、正常組織が活性酸素の細胞毒性を破ることによる副作用を軽減するために
、各種水溶性高分子をフラーレンと結合させることが検討されている。このような水溶性
高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、デキストラン、プル
50
(5)
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ラン、デンプン誘導体、及びこれらの高分子の誘導体を用いることが提案されている(非
特許文献3、特許文献6を参照)。
【0009】
以上のような光化学療法における照射光について説明すると、可視光スペクトルまたは
近赤外線(波長400nm∼1000nm)領域で放射するレーザーは、皮膚に対して深
い貫通力を有し、主として色素タイプの生体管の障害の処置に用いられるが、皮膚の平滑
化に用いることはできない。可視光スペクトルで発光するレーザー光の例としては、管の
障害の処置用のパルス化有色レーザー光(585nm)およびそれと色素障害処理用の二
重化Nd:YAGレーザー光が挙げられる。
【0010】
10
光の照射による皮膚の臨床的、組織学的応答は、用いたレーザー光のタイプと波長によ
り大きく異なる。標的部位には多数の効果が生じる可能性があり、これらの効果は、発色
団の性質(与えられた波長の吸光系数、構造、化学組成、等)、単位表面積あたりのエネ
ルギー(または光束)および単位表面積あたりの強さ(照度)に直接依存する。生体組織
に対する放射線の相互作用を研究することにより、現われる数種のメカニズムを識別する
ことが可能となる。皮膚科学の分野では、レーザーの使用は、主として2種類のメカニズ
ム、光エネルギーが熱エネルギーに変換される熱効果と、光が衝撃波を生じさせる機械的
効果とに基づいて行われる。
【0011】
例えば下記特許文献7は、赤外線スペクトル領域(Nd:YAG、1064nm;CO
2
20
、10.6μm)で発光し、50ns以下の発光時間を有するレーザーを用いて、人間
の皮膚から角質層の一部を切除する方法について記述している。レーザー照射前、発色団
を含有する組成物を処置対象の皮膚に塗布する。光かレーザーのいずれかを用いて、これ
らの発色団を角質層の細胞内空間の中に入れる。続いてこの皮膚の処理部分に、発色団を
イオン化する(光学破壊後)の十分なエネルギーをもったレーザー光線を照射する。上述
のように、発色団がイオン化される結果、角質層の最初の3つの細胞レベルの切除の原因
となる衝撃波(機械的効果)が形成される。この効果は衝撃波の放出に基づいているため
、処理しようとする部分に隣接する組織に好ましくない不可逆的損傷を引き起こすという
欠点がある。さらには、この処理の有効性は、発色団の角質層中への透過により空間的、
質的に制限される。
30
【0012】
また、酸化チタン等の光触媒は半導体の性質を有しているものである。その光触媒にそ
のバンドギャップエネルギー以上のエネルギーを持つ光を照射すると、価電子帯の電子は
光励起により伝導帯に遷る。その時、価電子帯では電子が抜けた正孔が生じる。これがい
わゆる電荷分離である。しかし、この状態のままではやがて電子は励起された準位からエ
ネルギーを放出して価電子帯の正孔と再結合してしまう。この光触媒は、広範囲に応用で
きる反応性を有するものであって、この反応性を利用して、例えば光エネルギーから化学
エネルギー或いは電気エネルギーへの変換、有機合成反応への利用、殺菌作用を利用した
排水処理、脱臭処理などの適用などが検討されている。
【0013】
40
しかしながら、以上のような光化学療法を酸化チタンやポルフィリン、アミノレブリン
酸などの光化学療法剤を用いた美容方法は従来から一部の美容皮膚科などで知られている
が、フラーレンを光化学療法剤として用いる美容組成物及び美容方法は知られていない。
【特許文献1】特公平6−88902号公報
【特許文献2】特公平6−89000号公報
【特許文献3】米国特許第4,675,338号明細書
【特許文献4】米国特許第4,693,885号明細書
【特許文献5】特開2002−241307号公報
【特許文献6】特開平9−235235号公報
【特許文献7】米国特許第5,423,803号明細書
50
(6)
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【 非 特 許 文 献 1 】 J. Clim. Oncology, 6, 380(1988)
【 非 特 許 文 献 2 】 化 学 , 50(6), 1995
【 非 特 許 文 献 3 】 BIO INDUSYRY, Vol.14, No.7, pp.30-37, 1997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の光化学療法特に皮膚を対象にしたものはエネルギーレベルが高く且つ照射できる
波長やレーザーの種類が限定されていたため皮膚癌等の切除や破壊などの医療用途として
は有効であるが、熱傷や他の組織への副作用などが問題となり疾患の無い通常人を対象と
した美容分野への応用には副作用が強すぎ適さないという問題があった。
10
【0015】
例えば従来の酸化チタン等に光を照射する光化学療法では、光励起により紫外線C波の
ような生体組織に極めて有害な二次光を発生することがあり美容方法として使用するには
安全性上大きな問題があった。
【0016】
また、従来のポルフィリン系化合物を用いた光化学療法の問題点は、ポルフィリン系化
合物の皮膚等における光毒性が上げられ、投与された患者はおよそ6∼8週間は日光等の
光を避ける生活が必要である。また、630nm付近の波長の組織浸達度が僅か数mmし
かなく、治療範囲の狭いことが挙げられ、これが美容分野へ応用する壁となっている。ま
たこのような狭い範囲の波長の光を照射するには特殊なレーザーなどの高額な医療器が必
20
要でありコストがかかり煩雑であるという問題があった。
【0017】
一方、特表平9−501087(特許文献8)は、表皮細胞を取り除くための方法を提
供している。即ち特定の波長の光を高度に吸収する1ミクロンの黒鉛粒子を皮膚表面に湿
布し、この黒鉛粒子を表皮細胞の間のすき間に浸潤させる。これにレーザーを照射し黒鉛
粒子を破裂させ、これによって、表面に近い表皮の皮膚細胞がはぎ取ることが記載されて
いる。
【0018】
この方法では、黒鉛粒子が巨大なために表皮細胞内に充分に取り込まれず表皮の破壊が
充分に行えないという問題があった。また、この方法では黒鉛粒子の破裂による機械的な
30
衝撃が周囲の細胞を破壊するために、強力なエネルギーのレーザー光のみでしか組織破壊
ができず周囲の細胞にレーザーによる悪影響を及ぼし治療後の副作用が甚大で長引くとい
う問題がった。高出力レーザーによる皮膚への副作用は一般に火傷症状に似た副作用が知
られており、皮膚の赤斑、ただれ、色素沈着等が知られておりこれらの副作用の問題は高
出力レーザーの使用により重大な社会問題となっていた。
【0019】
以上のような背景から、広範囲の光源でも光化学的使用方法が可能で副作用が少なく、
安全に光化学的美容法が適応できる皮膚用の光化学美容組成物の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0020】
40
この出願の発明者は、上記のような皮膚用の光化学美容組成物を開発するために鋭意研
究を行った結果、皮膚にフラーレン塗布後、光照射を行なうと、広範な領域の波長の光で
もフラーレンが介在することにより安全で有効な光化学美容組成物を行うことが可能であ
ることを見出し、この知見に基づいて発明を完成させるに至った。
【0021】
すなわち、この出願、従来の課題を解決するものとして、以下の発明を提供する。
【0022】
<1>次式で表わされるフラーレンまたはその誘導体もしくはその誘導体の塩のうちか
ら選ばれる少くとも1種を有効成分として含有することを特徴とする皮膚用光化学美容組
成物。
50
(7)
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【0023】
(化4)
Cn−Rm
(式中のCnは、n個の炭素数で構成されるフラーレンまたはナノチューブフラーレンを
示し、nは60以上の整数であり、Rは、m個のものが各々前記Cnに結合する、同一ま
たは別異有機基および官能基のうちの少くとも1種を示し、mは、0または1以上n以下
の整数を示す。)
<2>前記のRは、有機基を有していてもよいアミノ基、そのアミノ基により形成され
るアミド基、カーバメート基、またはウレア基;水酸基、その水酸基により形成されるエ
ーテル基、もしくは無機酸または有機酸とのエステル基、糖との配糖体基、ケトンとのケ
10
タール基またはアルデヒドとのアセタール基;またはこれらの塩のうちの少くとも1種で
あることを特徴とする皮膚用皮化学美容組成物。
【0024】
<3>前記のRは、次式で表わされる少くとも1種であることを特徴とする皮膚用光化
学美容組成物。
【0025】
(化5)
−NHkR
1
l
1
(式中の窒素原子Nは前記Cnに結合しており、R は、有機基または官能基を有してい
てもよい水溶性高分子基を示し,kは0またはlであり、lは1または2の整数である。
20
)
<4>前記のRは、次式で表わされる少くとも1種であることを特徴とする皮膚用光化
学美容組成物。
【0026】
(化6)
−OR
2
2
(式中の酸素原子Oは前記Cnに結合しており、R は、有機基または官能基を有してい
てもよい水溶性高分子基を示す。)
<5>水溶性高分子基は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびその他のポリエーテルまたはポリアルコ
30
ール系非イオン性水溶性合成高分子;デキストラン、プルラン、デンプン、ヒドロキシエ
チルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよびその他のデンプン誘導体非イオン性水
溶性高分子;アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、キチン誘導体、およびこれらの高分
子のアニオン性またはカチオン性誘導体の一種以上の共重合体から選択される水溶性高分
子の少くとも1種により形成されたものであることを特徴とする皮膚用光化学美容組成物
。
【0027】
<6>前記第1ないし第5のいずれかの発明の組成物において、フラーレンまたはその
誘導体もしくはその誘導体の塩が、水溶性高分子と複合化されていることを特徴とする皮
膚用光化学美容組成物。
40
【0028】
<7>前記の水溶性高分子が官能基を介して複合化されていることを特徴とする皮膚用
光化学美容組成物。
【0029】
<8>前記の官能基がアミノ基である皮膚用光化学美容組成物。
【0030】
<9>水溶性高分子が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびその他のポリエーテルまたはポリアルコー
ル系非イオン性水溶性合成高分子;デキストラン、プルラン、デンプン、ヒドロキシエチ
ルデンプン及びヒドロキシプロピルデンプンおよびその他のデンプン誘導体非イオン性水
50
(8)
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溶性高分子;アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、キチン誘導体;並びにこれらの高分
子のアニオン性又はカチオン性誘導体及びこれらの高分子の2成分又は3成分の共重合体
から選択される少くとも1種であることを特徴とする皮膚用光化学美容組成物。
【0031】
<10>前記第1ないし第9のいずれかの発明の組成物であって、光触媒活性剤、光増
感剤および光吸収剤のうちの1種以上を含有することを特徴とする皮膚用光化学美容組成
物。
【0032】
<11>100∼11000nmの範囲の波長の光の照射によってフラーレンまたはフ
ラーレン誘導体もしくはその塩が励起されて活性水素が発生されることを特徴とする皮膚
10
用光化学美容組成物。
【0033】
<12>照射される光がレーザー光であることを特徴とする皮膚用光化学美容組成物。
【0034】
<13>照射される光がパルス光であることを特徴とする皮膚用光化学美容組成物。
【0035】
<14>前記第1ないし第12のいずれかの発明の組成物であって、皮膚の色素沈着、
ニキビ、ほくろ、いぼ、油肌、乾燥肌、脂漏症、表皮の肥厚、シワ、水虫、感染症、過角
化症、皮膚過増殖、乾癬斑、光線性角化症、ケロイド、老化、スジ、イボ、萎縮した傷跡
および/または肥大化した傷跡等の非美学的特性の改善または予防のための皮膚用光化学
20
美容組成物。
【0036】
<15>前記第1ないし第13のいずれかの発明の組成物を少くとも一つの構成成分と
することを特徴とする光化学的活性酸素発生剤。
【0037】
<16>同様に前記いずれかの発明の組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特
徴とする化粧品。
【0038】
<17>前記いずれかの発明の組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特徴とす
るピーリング剤。
30
【0039】
<18>前記いずれかの発明の組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特徴とす
る脱毛剤。
【0040】
<19>前記いずれかの発明の組成物を少くとも一つの構成成分とすることを特徴とす
る超音波処方美容剤。
【発明の効果】
【0041】
以上のとおりのこの出願の発明によって、広範囲の光源でも光化学的使用が可能で、副
作用が少なく、安全に光化学的な皮膚美容が可能とされる。
40
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態につ
いて説明する。
【0043】
この出願の発明において、その原理的な特徴点は、皮膚用光化学美容組成物として、光
を照射した際にフラーレンに活性酸素を発生させ、それによって皮膚の全体または皮膚組
織の一部を破壊し皮膚のターンオーバー等の自然な再生力を利用して皮膚の美容を行うこ
とにある。
【0044】
50
(9)
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皮膚用光化学美容組成物に含有されるフラーレン類としては、光触媒活性により活性酸
素を発生することができるものであれば任意のものを使用することができ、フラーレン誘
導体や水溶性高分子と複合化したもの等を用いることもできる。
【0045】
皮膚用光化学美容組成物に含有するフラーレン類の添加量は、皮膚用光化学美容組成物
の全体量に対して0.0001∼80重量%の範囲で使用され、好ましくは0.01∼2
0重量%の範囲である。0.0001重量%より添加量が少ないと期待される美容効果が
低下し、80重量%の濃度を超えると光照射の条件にもよるが副作用が増加したり、コス
ト的に組成物が使用しにくくなる。
【0046】
10
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物に使用される有効成分としてのフラーレン類
は、フラーレンまたはその誘導体が、前記の化学式、すなわち、
Cn−Rm
(式中のCnは、n個の炭素数で構成されるフラーレンまたはナノチューブフラーレンを
示し、nは60以上の整数であり、Rは、m個のものが各々前記Cnに結合する、同一ま
たは別異の水素原子、有機基および官能基のうちの少くとも1種を示し、mは、0または
1以上n以下の整数を示す。)
で表わされるものであるか、このフラーレン誘導体の塩のいずれかであり、さらには水溶
性高分子と複合化されていてもよい。
【0047】
20
ここで、符号Rは、例えば、有機基を有していてもよいアミノ基、そのアミノ基により
形成されるアミド基、カーバメート基、またはウレア基;水酸基、その水酸基により形成
されるエーテル基、もしくは無機酸または有機酸とのエステル基、糖との配糖体基、ケト
ンとのケタール基またはアルデヒドとのアセタール基;またはこれらの塩の群のうちの少
くとも1種とすることができる。
【0048】
さらには、前記のように、符号Rについては、
−NHkR
−OR
1
l
2
1
2
のものであってよく、なかでも、−NH−R や−OR が、ポリエチレングリコール、ポ
30
リプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびその他の
ポリエーテルまたはポリアルコール系非イオン性水溶性合成高分子;デキストラン、プル
ラン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよびその他
のデンプン誘導体非イオン性水溶性高分子;アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、キチ
ン誘導体、およびこれらの高分子のアニオン性またはカチオン性誘導体の一種以上の共重
合体から選択される水溶性高分子の少くとも1種により形成されたものであることを好適
な形態の一つとしている。
【0049】
例えば、具体的な例としてはC60フラーレンに、片端にアミノ基を有し、もう一方の
端にメトキシ基を有するポリエチレングリコールを結合させたものが使用できる。フラー
40
レン:Cnに結合できるその他の官能基としては、例えば、置換基を有していてもよいア
ミノ基または置換基を有していてもよいアルコキシル基でもよく、このアルコキシル基に
は、炭素数1乃至10の(ポリ)メチレンであってもよい。
【0050】
フラーレン:Cnに結合できるその他の官能基としては、置換基を有していてもよい鎖
状もしくは環状アルキルアミノ基、置換基を有していてもよい環式アミノ基、または置換
基を有していてもよい鎖状もしくは環状アルコキシル基であってもよい。さらにその他の
官能基としては、モルホリノ基、アルコキシカルボニル(水酸基を有する)アルキルアミ
ノ基、水酸基を有するアルキルアミノ基、水酸基を有していてもよいピペリジノ基、水酸
基を有していてもよいアルコキシアルキルアミノ基、スルホン酸基を有するアルキルアミ
50
(10)
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ノ基、ジアルキルアミノ基を有するアルキルアミノ基、フェニル基及び水酸基を有するア
ルキルアミノ基、水酸基を有するアルキルアミノカルボニル(フェニル基及び水酸基を有
する)アルキルアミノ基(水酸基及びアルコキシカルボニル基を有する)アルキルアミノ
カルボニル(フェニル基及び水酸基を有する)アルキルアミノ基、グルコサミノ基、(ア
ルコキシカルボニル基、フェニル基及び水酸基を有する)アルキルアミノ基、アルキル基
を有していてもよいピペラジノ基、アミノ基又は水酸基を有する抗生物質残基、アルコキ
シル基、アルコキシポリアルキレングリコールアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキル
アミノ基、モルホリノ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ
基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ
基、メトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシメトキシ基、プロポキシプロポ
10
キシ基、ブトキシエトキシ基、ブトキシブトキシ基等が挙げられる。又、スルホン酸基を
有する(C1−C4)アルコキシル基、リン酸基を有する(C1−C4)アルコキシル基
も挙げられ、具体的にはスルホエトキシ基、スルホブトキシ基、ホスホノエトキシ基、ホ
スホノブトキシ基、2−ヒドロキシ−1−メトキシカルボニルエチルアミノ基、1−エト
キシカルボニル−2−ヒドロキシエチルアミノ基、2−ヒドロキシ−1−メトキシカルボ
ニル−プロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミ
ノ基、4−ヒドロキシブチルアミノ基、2−ヒドロキシプロピルアミノ基、1−イソブチ
ル−2−ヒドロキシエチルアミノ基、1−エチル−2−ヒドロキシエチルアミノ基、2,
3−ジヒドロキシエチルアミノ基、ピペリジノ基、3−ヒドロキシピペリジノ基、4−ヒ
ドロキシピペリジノ基等、2−メトキシエチルアミノ基、2−エトキシエチルアミノ基、
20
3−メトキシプロピルアミノ基、3−プロポキシプロピルアミノ基、2−(2−ヒドロキ
シエトキシ)エチルアミノ基、3−(3−ヒドロキシプロポキシ)プロピルアミノ基、ス
ルホメチルアミノ基、スルホエチルアミノ基、2−ジメチルアミノエチルアミノ基、2−
ジエチルアミノエチルアミノ基、3−ジメチルアミノプロピルアミノ基、3−ジエチルア
ミノプロピルアミノ基等、1−ヒドロキシ−2,3−ジフェニルプロピルアミノ基、1−
ベンジル−2−(2,3−ジヒドロキシプロピルアミノカルボニル)−2−ヒドロキシエ
チルアミノ基、1−ベンジル−2−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシ−1−メトキシカ
ルボニル)エチルアミノ基等、メトキシポリエチレングリコールアミノ基、メチルアミノ
基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ
基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロペンチ
30
ルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n
−プロピル)アミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジイソブ
チルアミノ基、ジ(t−ブチル)アミノ基、メトキシカルボニルメチルアミノ基、メトキ
シカルボニルエチルアミノ基、メトキシカルボニルブチルアミノ基、エトキシカルボニル
メチルアミノ基、エトキシカルボニルプロピルアミノ基、エトキシカルボニルブチルアミ
ノ基、カルボキシメチルアミノ基、カルボキシエチルアミノ基、カルボキシブチルアミノ
基、カルボキシメチルアミノ基、カルボキシプロピルアミノ基、カルボキシブチルアミノ
基、ホスホノメチルアミノ基、ホスホノエチルアミノ基、ホスホノブチルアミノ基、ホス
ホノメチルアミノ基、ホスホノプロピルアミノ基、ホスホノブチルアミノ基、グルコサミ
ノ基、ガラクトサミノ基、マンノサミノ基等が挙げられる。
40
【0051】
フラーレン:Cnに結合できるその他の官能基としては、糖類残基も挙げられ、具体的
には例えば、グルコース残基、ガラクトース残基、マンノース残基、マンニトール残基、
グルシトール残基等であってもよい。
【0052】
フラーレン:Cnに結合できるその他の官能基としては、前記のとおり、置換基を有し
ていてもよいアミン化合物または置換基を有していてもよいアルコール化合物と脱水縮合
反応させることによって生成する化合物であってもよい。
【0053】
この出願の発明のフラーレン及びその誘導体は、その安全性上許容しうる塩であっても
50
(11)
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よく、その具体的な例としては、分子内の電荷を中和するのに必要なアニオン又はカチオ
ンとの塩である。カチオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリ
ウムイオン、リチウムイオン)、無機又は有機アンモニウムイオン(例、トリエチルアン
モニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン)、及びピリジニウムイオン等が挙げ
られる。又、アルキルアミン(例、メチルアミン)、アミノアルコール(例、エタノール
アミン)及びアミノ酸類(例、グリシンメチルエステル、セリンエチルエステル)等のア
ミン類のアンモニウムイオンも挙げることができる。アニオンの場合、アニオンは1価、
2価どちらでも良い。1価のアニオンとしては、例えば有機酸1価アニオン、無機1価ア
ニオン等が挙げられる。有機酸1価アニオンとしては、例えば酢酸イオン、乳酸イオン、
トルフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハ
10
ク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、
トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン
酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベン
ゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン
などの有機スルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸
イオン等の有機ホウ酸イオン等が挙げられる。無機1価アニオンとしては、例えば水酸化
物イオン、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、
チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオ
ン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、
タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオ
20
ン等が挙げられる。
【0054】
2価のアニオンとしては、例えばナフタレン−1,5−ジスルホン酸、R酸、G酸,H
酸、ベンゾイルH酸、p−クロルベンゾイルH酸、p−トルエンスルホニルH酸、カルボ
ニルJ酸、4,4′−ジアミノスチルベン−2,2′−ジスルホン酸、ジJ酸、ナフタル
酸、ナフタリン−2,3−ジカルボン酸、ジフェン酸、スチルベン−4,4′−ジカルボ
ン酸、6−スルホ−2−オキシ−3−ナフトエ酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン
酸、1,6−ジアミノアントラキノン−2,7−ジスルホン酸等の2価の有機酸のイオン
が挙げられる。これらのカチオンあるいはアニオンとの塩のうち好ましいものとしては、
薬学的に許容しうるカチオンあるいはアニオンとの塩であって、例えば塩酸塩、硝酸塩、
30
リン酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の塩や、ナトリウム、カリウム等の
アルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、メチルアミン、エチレンジアミン
等の有機塩基との塩及びグルシンメチルエステル、セリンエチルエステル等のアミノ酸類
との塩が挙げられる。
【0055】
そしてまた、この出願の発明においては、フラーレンまたはその誘導体もしくはその誘
導体の塩が、水溶性高分子と複合化されていることも好適な形態として例示される。
【0056】
水溶性高分子と複合化されたフラーレン類は、本来水に不溶性であるフラーレン等を、
水溶性高分子と化学結合、又は分子間力による物理的結合により複合化したものであり、
40
水溶性高分子と複合化させることによって水溶性を付与することもできる。
【0057】
水溶性を付与するために複合化される水溶性高分子としてはその種類が特に限定される
ものではなく、市販されている各種水溶性高分子を使用することができる。なかでも、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドンのような非イオン性水溶性合成高分子;デキストラン、プルラン、デンプン、
ヒドロキシエチルデンプン及びヒドロキシプロピルデンプンのようなデンプン誘導体を含
む非イオン性水溶性高分子;アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、キチン誘導体;並び
にこれらの高分子のアニオン性またはカチオン性誘導体、及びこれらの高分子の2成分又
は3成分の共重合体を用いることができる。なかでもフラーレンと共通溶媒を持ち、フラ
50
(12)
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ーレンとの複合化反応に関与する官能基が分子末端のみにあり、化学結合様式が単純であ
るなどの理由から、ポリエチレングリコールを好ましく用いることができる。
【0058】
これらの水溶性高分子の分子量は、特に限定されるものではないが、1,000∼1,
000,000のもの、好ましくは5,000∼50,000のものを用いることができ
る。
【0059】
水溶性高分子としては、分子量1,000∼1,000,000、特に5,000∼1
5,000のポリエチレングリコールを用いるのが特に好ましい。
【0060】
10
皮膚用光化学美容組成物において複合化させるために使用しうる水溶性高分子は、複合
化させるための官能基を有しており、水溶性高分子は、官能基を介してフラーレン類と複
合化している。このような官能基としては、フラーレン類との複合化を可能とするような
いかなる官能基も用いることができ、アミノ基、水酸基、シアノ基、カルボキシル基など
の求核置換反応性を有する官能基を挙げることができる。なかでもアミノ基を好ましく使
用することができる。例えばアミノ基を用いてフラーレンを化学結合により水溶性高分子
と結合させる場合は、フラーレンの二重結合へのアミノ基の付加反応により、フラーレン
が水溶性高分子と結合する。このような官能基は、フラーレンとの複合化に適した箇所で
あれば水溶性高分子の分子内のいかなる箇所に存在してもよいが、複合化のしやすさを考
慮して、水溶性高分子の末端に位置するのが好ましい。このような官能基を有しない水溶
20
性高分子を用いる場合には、フラーレンとの複合化の前にまず官能基を導入しておくこと
が必要である。また、フラーレンと複合化させるために使用しうる水溶性高分子は、アミ
ノ基などの官能基に加えて、フラーレンと反応しない官能基、なかでもメトキシのような
C1−6アルコキシ基を更に有しているのが望ましい。水溶性高分子の片端にアミノ基の
ような官能基がある場合、もう一方の末端にもフラーレンと結合する官能基が存在すると
、水溶性高分子の両端がフラーレンと複合化することにより、フラーレンと水溶性高分子
の集合体が生成してしまうが、このような集合体は、分子量が大きくなるために十分な水
溶性を有しなくなる。したがって、フラーレンと複合化させるために使用しうる水溶性高
分子は、アミノ基などの官能基に加えて、メトキシのようなフラーレンと反応しない官能
基を更に有しているのが望ましい。また、両端にアミノ基などの官能基を有するポリエチ
30
レングリコールであっても、生成されるフラーレンと水溶性高分子の集合体が、十分な水
溶性を有する場合であれば、使用することができる。
【0061】
水溶性高分子は増感剤としての性格を有しており、皮膚用光化学美容組成物に増感剤と
して含まれる水溶性高分子と複合化したフラーレン類は、生体への投与が可能な程度の水
溶性を有していればよい。水溶性が低い場合、水溶性高分子と複合化したフラーレンは、
凝集塊を形成するが、その塊の粒径は、がんなどの組織への移行と集積のし易さを考慮す
ると、400nm以下である必要があるため、これ以上の凝集塊を形成しない程度の水溶
性を有する必要がある。このような溶解度を達成するために必要なフラーレン:水溶性高
分子の配合モル比は、用いる水溶性高分子の種類、水溶性高分子中のアミノ基などの官能
40
基の含有率によっても異なる。例えば1分子当たり1個のアミノ基を有する分子量5,0
00∼15,000のポリエチレングリコールを用いる場合には1:0.1∼1:150
の範囲であるのが好ましい。なかでも良好な水溶性を得るためには、1:50∼1:15
0のモル比が特に好ましい。
【0062】
皮膚用光化学美容組成物に含有することのできるフラーレン:Cnとしては、その種類
は特に限定されるものではなく、活性酸素を発生するものであればいかなる種類のものも
使用できるが、n=60の純炭素物質C60フラーレンをはじめ、C70フラーレン、や
はり純炭素物質であるナノチューブフラーレン、そして各種高次フラーレンなどを用いる
ことができる。なかでも供給及び取り扱いの容易さの点から、ナノチューブ及びC60フ
50
(13)
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ラーレンを用いるのが好ましい。特に、従来の炭素線維よりも細く、ほぼ完全にグラファ
イト化し(グラファイトの各層が入れ子構造的に積層している)、先端部は五員環が入る
ことにより閉じており、それぞれの層は、螺旋構造を有しているナノチューブ(フラーレ
ンの化学と物理、篠原他著、名古屋大学出版界)を好ましく使用することができる。これ
らの各種フラーレンは、市販されており、例えば本荘ケミカル、三菱商事、東京化成工業
などから入手可能である(商品名:C60フラーレン、C70フラーレン、マルチウオー
ルナノチューブ、シングルウオールチューブなど)。
【0063】
もちろん使用できるフラーレン類とは、C60、C70、C72、C80などの炭素同
素体、及び該炭素同素体に他の元素を導入したものでもよい。
10
【0064】
そして、この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物には、フラーレン類以外の光触媒で
あるMo〔IV〕O(tpp)等の金属酸化物やメソ多孔体を添加して光触媒活性を高め
ることもできる。メソ多孔体とは、1∼100nmの細孔を有する多孔質物質であり、F
SM−16、MCM−41等の層状のSiO2、Al2O3などが挙げられる。FSM−1
6とは、株式会社豊田中央研究所の商品名であり、結晶性層状ケイ酸塩の板状のシート層
が複数積層し、該結合点の間においては拡幅して微孔を形成しているハニカム状多孔構造
の層状シリカ多孔体であって、該結晶性層状ケイ酸塩中に含まれるアルカリ金属イオンの
2
含有量が0.2重量%でかつ比表面積が1000m /g以上である特徴を有している。
【0065】
20
Mo〔IV〕O(tpp)とは、4価のモリブデンに酸素とtppが配位した錯体であ
り、Mo〔IV〕O(tpp)とは、4価のモリブデンに酸素とttpが配位した錯体で
ある。ここで、tppは、5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリネートジア
ニオンを示し,ttpは5,10,15,20−テトラ−p−トルイルポルフィリネート
ジアニオンを示す。
【0066】
この出願の発明のフラーレン類による活性酸素の作用による皮膚組織の破壊は1ミクロ
ンという巨大な黒鉛粒子の破壊によらないために高出力レーザーを必要とせず、周囲の皮
膚に対して最小限の副作用で効果的な作用を及ぼすことができる。
【0067】
30
そして、皮膚用光化学美容組成物には、薬学的、毒性学的に人体に許容しうる担体であ
ればいずれの物質も附加することができる。この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物は
光化学的活性酸素発生剤であってもよい。
【0068】
皮膚用光化学美容組成物にはフラーレン類の他に、前記のような光触媒活性剤、光増感
剤、光吸収剤のうちいずれか1つ以上を光触媒活性の活性増殖剤として添加することもで
きる。
【0069】
添加可能な光触媒活性剤、光増感剤、光吸収剤の量は、皮膚用光化学美容組成物の全体
量に対して0.0001∼80重量%の範囲で使用され、好ましくは0.01∼20重量
40
%の範囲である。0.0001重量%より添加量が少ないと期待される光触媒活性の増加
作用が低下し、80重量%を超える濃度であると光照射の条件にもよるが副作用が増加し
たり、コスト的に組成物が使用しにくくなる。
【0070】
使用できる光増感剤としては、ポルフィリン及びポルフィリン誘導体、水溶性高分子結
合したポルフィリン誘導体等を考慮することができる。また、光吸収剤としては、カーボ
ンブラック、グラファイト、鉄黒、ベンガラなどの無機発色団およびメラニン、インドシ
アニングリーン、染料、またはその他の特定波長において、十分な光吸収性を有する不活
性化学物質などの有機発色団から選ばれる光吸収剤を使用することができる。
【0071】
50
(14)
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光触媒活性剤としては、さらに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タングステン、
酸化鉛、チタン酸鉄、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ニッケル、ガリウム燐、炭化珪
素などが挙げられる。
【0072】
光増感剤としても、各種ポルフィリン誘導体のほか、従来光増感剤として使用されてい
る、アクリジン、ローズベンガル、アクリジンオレンジ、硫酸ベルペリン、フルオレセイ
ン、テトラサイクリン、エオシンY、NTS、プロラレン、ボネリン、フェオフォルミド
、クロリンe6、メソテトラ(ヒドロキシフェニル)クロリン、フタロシアニン、プリプ
リン、5−アミノレブリン酸(ALA)、HAT−DO1(マグネシウム塩素−塩素二量
体)など各種の光増感剤を挙げることができる。
10
【0073】
光増感剤としてのポルフィリン誘導体については、ポルフィマーナトリウム(フォトフ
リン(登録商標))ヘマトポルフィリン、メタロポルフィリン、硫酸テトラフェニルポル
フィリン、プロトプルフィリン、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン、ジヘマトポル
フィリンエーテル(DHE)、ベンゾポリフィリン(BPS)、ATX−70(ガリウム
− プ ロ フ ィ リ ン 錯 体 ) 、 A T X − S 1 0 (four-formyloximethylidene-3-hydroxy-2-vinyl
-deuterio porphynyl(IX)-6-7-bisaspartic acid)な ど を 挙 げ る こ と が で き る 。 各 種 ポ リ
フィリン誘導体のなかでも、特にポルフィマーナトリウムを好ましく使用することができ
る。
【0074】
20
なお、ポルフィリン誘導体とはポルフィリン化合物を配位子に持つ錯体化合物であり、
ポルフィリン化合物は、ポリフィリン骨格を有する限り特に制限されずその側鎖の種類も
任意に選択することができる。また、ポルフィリン骨格の側鎖に結合する順次により位置
異性体(I)∼(IV)が存在するが、いずれの異性体であってもよい。ポリフィリン化
合物の好ましい具体例としては、4個のフェニル基で装飾されたポルフィリンであるテト
ラフェニルポルフィリン、4個のトリメチルフェニル基で装飾されたポルフィリンである
テトラ(トリメチルフェニル)ポルフィリンなどが挙げられ、これらの合成方法は、例え
ば 、 J. Chem. Soc., Chem. Commun., (1993)1436、 Chem. Lett., (1988)257な ど に 記 載 さ
れている。
【0075】
30
また、この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物においては、多孔質物質の担体を添加
してフラーレンの分散性を高めてもよい。多孔質物質としては、特に制限されないが、代
表的には、チャバサイト、モルデナイト、エイオナイト、ホージャサイト、クリノプチロ
ライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、L型ゼオライト、オメガ型
ゼオライトなどの天然または合成のゼオライトが挙げられる。なお、ゼオライトの商品と
しては、VPI−5、ALPO−5,MCM−41などがある。多孔質物質は、多くの細
孔を持つが、本発明の選択酸化光触媒の担体に用いる多孔物質の細孔の内径に制限はなく
、ミクロ細孔(内径1nm以下)、メソ細孔(内径1∼100nm)及びマクロ細孔(内
径100∼数百nm)が使用でき、内径100nm以下が好ましく、内径1∼100nm
がさらに好ましく、内径10∼100nmが最も好ましい。本発明の選択酸化光触媒にお
40
いて、担体にフラーレン類および/またはポルフィリン錯体を担持する方法としては、公
知の方法を用いることができる。例えば、減圧条件下に加熱処理する方法で好適に行うこ
とができる。この方法の条件としては、例えば約1×10
- 5
mmHgの減圧下、担体とフ
ラーレンおよび/またはポルフィリン錯体とを封管して、約300℃で加熱すればよい。
【0076】
皮膚用光化学美容組成物には、光吸収剤などを添加することができる。例えばこれらの
光吸収剤の役割は、これらを含む組成物にレーザーの発光波長において、皮膚中に透過し
た光エネルギーが好ましくない不可逆的組織損傷あるいは細胞損傷を生じさせないような
吸光度を付与するような光吸収剤となる。使用できる光吸収剤の具体例としては、カーボ
ンブラック、グラファイト、鉄黒、ベンガラなどの無機発色団や、メラニン、インドシア
50
(15)
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ニングリーン、染料、その他問題に対する波長において十分な吸光度を有する不活性化学
物質(たとえば1064nmにおいては、ケイ素誘導体、コレステロール誘導体、リン酸
塩、硫酸塩など)などの有機発色団の使用などが考えられる。これらの光吸収剤は、油性
および/または水性支持体(エマルジョン、ゲル、軟膏、ポリマーを分散した物、泡状物
、エアゾール、懸濁物などが液体媒質中に含まれた形態で、成膜性を有してもよく、エア
ゾールの形態で存在していてもよい)中に分散させるまたは任意のタイプの生理学的に許
容可能なキャリヤー中に溶解させることができる。
【0077】
この出願の発明においては、皮膚用光化学美容組成物における有効成分がフラーレン類
であって、なかでも、このフラーレンは、フラーレン:Cnに水溶性高分子を結合してい
10
るもの、あるいはフラーレン類:Cn−Rmが水溶性高分子と複合化されたものを好まし
い形態としている。ここで、水溶性高分子は、水溶性を確保する役割を果たしている。さ
らには光増感剤としての機能の発明も可能としている。
【0078】
このような皮膚用光化学美容組成物を製造するには、遮光条件下にて、所望の溶解度を
達成するのに必要なモル比のフラーレン及び官能基を有する水溶性高分子を、有機溶媒に
溶解し、攪拌し、フラーレン:Cnと水溶性高分子を官能基を介して結合させることによ
って得ることができる。有機溶媒としては、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、テトラヒ
ドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドなど、なかでもベンゼンを好ましく用いるこ
とができる。反応温度は、約4∼40℃、好ましくは約25℃であり、反応時間は、約6
20
∼48時間、好ましくは約24時間である。得られた反応生成物は、疎水性又はアフィニ
ティクロマトグラフィーなどによる精製後、凍結乾燥することにより回収することができ
る。もちろん、この場合の反応原料は、フラーレン:Cnそのものでもよいし、フラーレ
ンまたはその誘導体:Cn−Rmでもよい。
【0079】
また、水溶性高分子と分子間力により物理的に結合したフラーレンを含有する皮膚用光
化学美容組成物を製造するには、所望の溶解度を達成するのに必要なモル比のフラーレン
及び官能基を有する水溶性高分子を混合すればよい。この場合も混合することにより得ら
れた凝集塊は、組織への移行のし易さなどの点から、400nm以下の粒径を有している
のが望ましい。
30
【0080】
皮膚用光化学美容組成物を製造するために使用する水溶性高分子は、前記のとおり、フ
ラーレンまたはその誘導体との複合化を可能とするように、アミノ基などの官能基を有し
ていることが望ましい。官能基を有しない水溶性高分子を用いる場合には、フラーレンと
の複合化の前にまず官能基を導入することが望ましい。例えば水酸基のみを有する水溶性
高分子にアミノ基を導入するには、過ヨウ素酸酸化法、塩化シアヌル法、臭化シアン法、
又はエピクロロヒドリン法などにより水溶性高分子の水酸基と、アルキルジアミン、リシ
ン、リシンのエステル化合物のような一分子中にアミノ基を2個以上有するアミノ化合物
との間に化学結合を形成させ、高分子側鎖にアミノ基を導入する。またカルボキシル基を
有する水溶性高分子においては、N−ヒドロキシスクシンイミド・カルボジイミド、カル
40
ボジイミド、クロロ炭酸エチルなどを用いたカルボキシル基とアミノ化合物との間の結合
反応によりアミノ基を高分子側鎖に導入する。例えばポリエチレングリコールにアミノ基
を導入するには、両末端COOHを有するポリエチレングリコールをpH5.0のリン酸
緩衝液(10重量%)に溶解させ、そこへ水溶性カルボジイミドをCOOHに対して3倍
モル量投入し、室温で1時間攪拌することにより、カルボキシル基を活性化する。その後
、エチレンジアミンをCOOHに対して10倍モル量加え、更に室温で6時間反応させる
。得られた反応液を水に対して透析することにより両末端にアミノ基が導入されたポリエ
チレングリコールを得ることができる。また、片端にアミノ基が、もう一方の片端にメト
キシ基が導入されたポリエチレングリコールは、日本油脂株式会社から入手可能である。
【0081】
50
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上記のようにして得られた光増感剤としての水溶性高分子を結合した、もしくは複合化
したフラーレン類を含有する皮膚用光化学美容組成物は、フラーレンが水溶性高分子と複
合化しているため、生体に投与するのに十分な水溶性を有すると共に、がん組織や炎症組
織への高い移行性、滞留性を有する。
【0082】
フラーレン類とこのような光増感剤は、生体への投与を可能とする程度の水溶性を有し
ているが、水溶性高分子と複合化したフラーレン以外のフラーレンと光増感剤も、必要に
応じて水溶性高分子と結合させることによって、がん組織や炎症組織への移行性、滞留性
を高めることができる。この場合は、フラーレンと複合化させた水溶性高分子について例
示したのと同じ各種水溶性高分子を使用することができる。これらのフラーレンと光増感
10
剤は、有機化学の分野において従来使用されている方法で水溶性高分子と結合させること
ができる。
【0083】
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物では、光照射により惹起されたソルミネッセ
ンスによって発生する光により水性媒体中で一重項酸素などの活性酸素を発生させること
により細胞毒性を示すため、がんを含む各種疾患の治療に使用することができる。照射す
る光の具体例としては、周波数約100KHz∼20MHz、特に約1∼3MHzのもの
2
を好ましく使用することができる。照射は、約0.1∼5Watt/cm 、なかでも約
2
2 W a t t / c m の 出 力 で 行 う こ と も で き る 。 Duty cycleは 、 約 1 ∼ 1 0 0 % 、 好 ま し
くは約10%でもよい。照射時間は、用いる周波数、照射出力によっても異なるが、約5
20
∼300秒、好ましくは約30∼120秒であってもよい。
【0084】
レーザーの発光波長に吸光度をもったこの組成物とその塗布厚は、皮膚中に透過する光
エネルギーにより好ましくない不可逆的な組織損傷あるいは組織損傷を生じさせないよう
なものであることが好ましい。
【0085】
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物により活性酸素で組織が破壊されると、より
若々しい、および/または優美さに欠ける点の改善された新生の皮膚の形成が可能となり
、このことは皮膚を滑らかにすることに相当する。さらに具体的にいうと、この組成物は
、皮膚の非美的特性、たとえば皮膚の色素沈着、ニキビ、ほくろ、いぼ、油肌、乾燥肌、
30
脂漏症、表皮の肥厚、シワ、水虫、感染症、過角化症、皮膚過増殖、乾癬斑、光線性角化
症、ケロイド、老化、スジ、イボ、萎縮した傷跡および/または肥大化した傷跡等の非美
的特定の美容方法、もしくはその補完法として使用することができる。
【0086】
さらにまた、美容的処置法、特にシワやスジを減少させる美容的処置法であって、(1
)生理学的に許容可能なキャリヤー中に1つ以上の発色団を含有する組成物を上記皮膚表
面に塗布し、その際、この組成物および同組成物の塗布厚が、レーザーの発光波長におい
て、皮膚中に透過した光エネルギーが組織や細胞に好ましくない不可逆的損傷を生じさせ
ないような吸光度を有するものであり、(2)レーザー放射線が上記皮膚表面に照射され
、同レーザーにより生じた照射により、光エネルギーの熱エネルギーへの変換が塗布され
40
た組成物において局所的に達成されることを可能にし、かつこの熱エネルギーにより、上
記表面の下にある皮膚部分の組織切除を達成することを可能にすることを特徴とする美容
的処置法にも使用される。
【0087】
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物に使用する光は、100∼11000nmの
波長の光、より好ましくは400∼1100nm、さらに好ましくは可視領域から赤外線
領域の400∼1100nmものが安全でフラーレンの光触媒活性を短時間で発現できる
ため好ましい。これらの光は光化学的にフラーレンを励起させて活性酸素を発生させ古い
皮膚組織を破壊することができる。皮膚用光化学美容組成物に使用する光は、レーザー光
であっても無くともよく、又、パルス光であってもよいが、レーザー光は、光の照射範囲
50
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や強度を精密に特定できるので望ましく、またパルス光は、最小限のエネルギーで最大限
の効果を引き出し痛みや副作用を軽減するためにも望ましい。有効成分としてのフラーレ
ン類の投与量と、光の照射の回数との組合せは、フラーレンの光触媒活性を発現させるの
に十分な程度であればよい。パルス光の場合は、1パルス幅が1ns(ナノ秒)以上1秒
以下、1パルス当たり30mJ/平方センチメートル以上で、ショット回数は1∼100
00回であるのが望ましい。
【0088】
投与量は年齢、体重、病態、治療効果、投与方法、投与時期、投与日数、投与期間によ
り異なるが、通常1回10∼1000mgを2ないし4週間毎に、3∼6回、好ましくは
、100∼500mgを4週間毎に5回投与する。
10
【0089】
投与方法は、外用であり、通常、液剤、ゲル剤、乳剤等の外用製剤として皮膚表面に塗
布する。
【0090】
利用できる光源としては、有効成分としてのフラーレン類において光触媒活性を発現す
ることができれば特に限定されず太陽光や一般の可視光ランプを使用することもでき、白
熱灯、蛍光灯、ブラックランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、又はキセノン
ランプ、紫外線蛍光灯、発光ダイオード、ケミカルライト等も使用することができ極めて
簡便である。
【0091】
20
用いられる光は、前記のように、レーザー光でもよく、好適なレーザ光は特に限定され
ないが、パルス化色素レーザー、アレクサンドライトレーザー、Ti:サイファイヤレー
ザーおよびGa:Asダイオードレーザー等の半導体レーザー、CO2レーザー、Er:
YAGレーザー、Ho:YAGレーザー、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー光でも
よい。この出願の発明でレーザー光は、脱毛用途のように高い光触媒活性を発揮させ組織
を完全に破壊したいときや皮膚の局部に光触媒活性を限定させたいときなどに使用するこ
とができる。
【0092】
本発明で使用できるレーザーとしてより具体的には、例えば、可視光線スペクトル領域
で発光するレーザーにはパルス化色素レーザー(585nm)、ルビーレーザー(694
30
nm)および二重Nd:YAGレーザー(532nm)があり、赤外線スペクトル領域で
発光するレーザーとしては、CO2(10.6μm)、Er:YAG(2.94μm)、
Hc:YAG(2.12μm)、Nd:YAG(1.06μm)レーザーなどがあるがこ
れらに限定されることはない。
【0093】
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物の塗布後の光照射までの時間は、フラーレン
と光増感剤の分布の時間変化などによって異なるが、一般的には塗布直後に光照射を行う
のが好ましい。もちろん、これに限定されることはない。ヒトに照射するには、前述した
ような周波数の光を、前述したような出力、時間で照射する。したがって、投与量、及び
投与/照射の頻度、回数などは、患者の年令、体重、性別、疾患の種類及び状態などに応
40
じて決定することができる。
【0094】
また、水溶性高分子と複合化又は結合していないフラーレンと光増感剤を含有する皮膚
用光化学美容組成物の場合には、特異的に移行、蓄積されるわけではないが、目標とする
組織や細胞へ皮膚用光化学美容組成物を送達する任意の方法、例えばドラッグデリバリー
システムにより特異的に送達する方法を用いることにより、目標とする組織や細胞でその
細胞毒性作用を示させることが可能である。このような方法としては、目標とする組織や
細胞に対する抗体、レクチン、細胞接着因子、糖鎖などの細胞認識因子をフラーレンに結
合させ本発明の皮膚用光化学美容組成物を塗布する方法などを挙げることができる。また
、本発明の皮膚用光化学美容組成物に塗布後、フラーレン類と光増感剤に活性酸素を発生
50
(18)
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させたい箇所のみに光照射をすることにより、所望の箇所でのみ活性酸素を発生させて細
胞毒性を示させることもできる。また、光をフォーカシングすることによって、細胞毒性
発現部位の選択性を向上させることも可能である。
【0095】
2
照射される光は、熱効果が好ましくは放射照0.001∼1000W/cm であれば
よい。より好ましくは0.001∼0.3J/平方センチメートルであればよい。患部を
冷却するために冷却ガス、または冷却空気あるいは冷却水を発生させる装置もしくはペル
チェ素子を具備してもよい。患部の冷却方法として冷却ジェル等を表皮に塗布して冷却し
てもよいし、前述冷却装置と併用してもよい。
【0096】
10
この出願の発明に用いられる光源には干渉フィルタ等のフィルタを用いて光源の特徴を
変化させた光を用いることもできる。通過帯域特性として、400nmを中心として38
0乃至420nmの波長域を採用してもよい。また、フィルタの通過帯域特性として、例
えば440乃至700nmの通過波長を有するロングパスカラーフィルタ又はダイクロイ
ックカラーフィルタのイエロータイプ、あるいは600乃至700nmの通過波長域を有
するロングパスカラーフィルタ又はダイクロイックカラーフィルタのレッドタイプを採用
することもできる。このようなカラーフィルタは、比較的安価で入手することができる。
【0097】
さらにまた、光源には、様々な反射ミラー、レンズや光ファイバーを使用して照射部位
の集中化や特定化を行うこともでき、レンズの位置を変えることによって投撮像の拡大率
20
を変えることもでき又照射位置を素早く変化させたりトレースすることもできる。
【0098】
光の照射量は、フラーレンが活性酸素を発生する強度であれば特に限定されないが、標
的の種類、状態、年齢、性別、体重、体質及び用いた化合物の種類等により異なるが、例
2
えば10∼500J/cm の範囲で用ることもできる。また、照射光は、単一の波長又
は波長帯のもの1種のみ用いてもよいが、異なる波長又は異なる波長帯の2種以上を用い
てもよい。
【0099】
この出願の発明の組成物が脱毛に利用される場合は、880∼930nmの波長を有す
るレーザー光が望ましい。その理由は、この波長の光が、フラーレンを光触媒的に活性化
30
させ活性酸素を放出させるだけではなく、血液、血液成分、及び、メラニンによる最小限
の吸収だけで皮膚を通過し、全色の毛の主な成分であるタンパク質ケラチンによって容易
に吸収されるためである。この波長のレーザー光においては、ケラチンによる光エネルギ
ーの吸収は熱を生成させ、この熱は毛幹及び毛根に損傷を与え、乳頭状突起物を囲う血管
及び組織を光凝固させ、結果として毛を末梢させ、毛の再成長を防止させるためである。
光を毛穴に伝達するために毛布のプローブを使用することもできる。
【0100】
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物の対象とする疾患等は、皮膚の色素沈着症、
ニ キ ビ 、 ほ く ろ 、 い ぼ 、 脂 漏 症 、 表 皮 の 肥 厚 、 シ ワ 、 腫 瘍 、 感 染 症 、 鼻 咽 腫 (rhinophymal
)、 過 角 化 症 、 皮 膚 過 増 殖 、 乾 癬 斑 、 皮 膚 癌 、 光 線 性 角 化 症 、 ケ ロ イ ド な ど の 皮 膚 疾 患 の
40
治療及び老化、スジ、イボ、萎縮した傷跡および/または肥大化した傷跡等の非美学的特
性の治療方法であるのが望ましい。またこの出願の発明の皮膚用光化学美容組成物は、脱
毛に対しても効果を有する。
【0101】
この出願の発明における組成物の使用方法としては、組成物有効成分を透明性の高いグ
リセリンやオイルなどの基材に0.001%∼90%重量の範囲で分散させ使用する皮膚
の全体又は一部に塗布することもできる。
【0102】
2
塗布後、好ましくは1cm につき0.01∼10wで作動する音波又は光ユニットに
よって拡散浸透させることもできる。具体的には、ナノケア社のソニックナノケアやヒュ
50
(19)
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ーレットパッカード社のモデル3325Aパルス発生器およびモデルA5525パラメー
ター変換器を使用してもよい。これらの器具により音波又は光浸透処理を行うことによっ
て、多量のフラーレン類が皮膚に浸透しやすくなる。
【0103】
さらには、化粧品あるいは医薬品、特に皮膚科学的活性薬剤の浸透を増大させることを
可能にする。この場合、照射後かつ新生皮膚の完全形成前に、1種類以上の活性薬剤を含
有する化粧品または医薬品組成物を塗布することもできる。活性薬剤の実例としては、局
所および/または全身投与を目的とした医薬品として経皮的に使用される活性薬剤、特に
、レチノイン酸、同酸誘導体(レチノイド類)、過酸化ベンゾイル、抗生物質、コルチコ
ステロイド、抗菌剤、ビタミンD3、D2およびその誘導体が挙げられる。
10
【0104】
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物には通常の化粧品、医薬部外品、医薬品に添
加できる副剤を添加して分散性、使用感、安定性等の物性を良好に改善することができる
。
【0105】
例えばこの出願の発明に使用できる副剤の分散剤としては、例えば水、生理食塩水、5
%ブドウ糖又はマンニトール液、水溶性有機溶媒、グリセリン、エタノール、ジメチルス
ルホキシド、N−メチルピロリドン、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ク
レモフォア等及びそれらの混合液、並びに水と該水溶性有機溶媒の混合液等が挙げられる
。
20
【0106】
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物は、常法に従い、上記の各成分を通常の皮膚
用光化学美容組成物として知られる種々の形態の基剤に配合して調製することができる。
例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、オイル、ネイルケアプロダクト、リ
ップクリーム、育毛剤、養毛剤、入浴剤、制汗剤等の基礎化粧料、シャンプー、リンス等
の洗顔料や全身洗浄料、ファンデーション、白粉、メーキャップ用下地等のメーキャップ
化粧料、軟膏、分散液等の外用医薬品等とすることができ、液状、多層状、乳液状、ペー
スト状、ゲル状、固形状、粉末状、顆粒状等種々の形態を選択することができる。
【0107】
また、上記各成分以外に、発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品
30
、外用医薬品等の製剤に使用される成分、すなわち水(精製水、温泉水、深層水等)、油
剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形
成剤、樹脂、包接化合物、保湿剤、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、
動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン類、細
胞賦活剤、血行促進剤、収歛剤、抗脂漏剤、活性酸素消去剤、角質溶解剤、酵素等を適宜
一種又は二種以上を0.001から90%重量の範囲でさらに好ましくは0.01から5
0%重量の範囲で添加することができる。
【0108】
油剤としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、天然系油であるか、合成油で
あるか、或いは、固体、半固体、液体であるか等の性状は問わず、炭化水素類、ロウ類、
40
脂肪酸類、高級アルコール類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油類等、いずれの
油剤も使用することができる。例えば、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシ
ン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン
、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素類、ミツロウ、カルナウバロウ
、キャンデリラロウ、鯨ロウ等のロウ類、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、硬化油、タ
ートル油、豚脂、馬脂、ミンク油、肝油、卵黄油等の動物油、ラノリン、液状ラノリン、
還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソ
プロピル、リン脂質、ホスファジルコリン、POEラノリンアルコールエーテル、POE
ラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添
加ラノリンアルコールエーテル等のラノリン誘導体、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
50
(20)
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チン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキド
ン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリ
ン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ラウリルアルコール、ミリスチルア
ルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサ
デシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノ
ール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール−2−デシルテトラデシノール
、コレステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、POEコレス
テロールエーテル、モノステアリルギリセリンエーテル(バチルアルコール)等の高級ア
ルコール、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2
−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン
10
酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン
酸エチレングリコール−2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリ
メチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸
セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデ
シル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、
コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソ
セチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキ
シル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチ
ルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、
12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、
20
ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデ
シル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル
、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸2−オクチルドデシルエステ
ル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油、アセトグリセライド、トリイソオクタン
酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライ
ド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2
−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等のグリセライド
油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポ
リシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサ
ン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテ
30
トラシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪
酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコンゴム、シリコーンレジン等のシリコーン油
、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素
系油剤が挙げられる。
【0109】
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤があるが
、非イオン界面活性剤が好適に使用できる。
【0110】
但し、保存安定化剤やキレート効果を有する有機酸またはその塩類が配合された場合は
、アニオン性、カチオン性、及び両性の活性剤を0.01から10%の範囲で使用するこ
40
とができる。このとき使用できるアニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウ
ムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン
酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケ
ンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキ
ルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二
級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸
エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の
硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン
酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等;カチオン性界面活性剤としては
、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アル
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(21)
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キル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩
等;非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エス
テル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチ
レングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタ
ノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコ
10
レスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレ
ン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシ
ロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等;両性界面活性剤としては、ベ
タイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられるがこれらに限定されな
い。
【0111】
金属セッケンとしては、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、
ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシ
ウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等が挙げられ
20
る。
【0112】
ゲル化剤としては、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミ
ン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸
エステル、デキストリン2−エチルヘキ酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸
エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸
エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトー
ルのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレ
ー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー等の有機変性粘土鉱物
等が挙げられる。
30
【0113】
粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状
、等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず
、いずれのものも使用することができ、例えば、無機粉体としては、酸化マグネシウム、
硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
、タルク、合成雲母、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲
母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウ
ム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸スト
ロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジ
ライト、モンモリロナイト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム
40
、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体としては、ポリ
アミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダ
ー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベン
ゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパ
ウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、
スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿
素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、微結晶繊維粉体、ラウロイルリジン等;有色顔料とし
ては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、
黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マ
50
(22)
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ンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロ
ム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料
、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を
複合化した複合粉体等・パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイ
カ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、
魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末材料としては、アルミニウムパウダー、カ
ッパーパウダー、ステンレスパウダー等;タール色素としては、赤色3号、赤色104号
、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色22
0号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色
505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色40
10
1号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑
色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号
、橙色207号;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリ
ン、クロシン等から選ばれる粉体で、これらの粉体を複合化したり、油剤やシリコーン、
又はフッ素化合物で表面を処理を行なった粉体でもよい。
【0114】
アルコール類としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリ
ン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソ
ルビトール、エリスリトール、マルチトール、マルトース、キシリトール、キシロース、
20
トレハロース、イノシトール、グルコース、マンニトール、ポリエチレングリコール等の
多価アルコール等がある。
【0115】
水溶性高分子としては、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムチン、デルマタン硫酸
、ヘパリン及びケラタン硫酸から選ばれるムコ多糖類及びその塩、アラビアゴム、トラガ
カント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン
、寒天、クインスシード、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラ
クトマンナン等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクノグルカン、プル
ラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分
子、デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデン
30
プン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリ
ウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメ
チルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等の
ビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリ
ルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト
、ラポナイト、ヘクトライト等の無機系水溶性高分子等がある。また、この中には、ポリ
40
ビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0116】
抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、
ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサ
クロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド
、感光素、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ペンタジオール、アイチュリ
ン、サーファクチン、ポリグリシン、エタノール、フェノキシエタノール、イソプロピル
メチルフェノール等が挙げられる。
【0117】
PH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、
50
(23)
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炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、清涼剤としては、L−メ
ントール、カンフル等が挙げられる。
【0118】
動物由来及び微生物由来の抽出物としては、例えば、ブタ、ウシ等の血液抽出液、血清
除蛋白抽出物、脾臓抽出物、トリの卵成分、鶏冠抽出物、魚肉抽出部、イカスミ、キチン
、キトサン、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解
物又はそれらの誘導体、ヘモグロビン又はその分解物、牛乳、カゼイン及びその誘導体又
はそれらの分解物、ラクトフェリン又はその分解物、コラーゲン及びその誘導体又はそれ
らの加水分解物、エラスチン及びその誘導体又はそれらの加水分解物、ケラチン及びその
誘導体又はそれらの分解物等、哺乳類、鳥類、魚類、軟体動物類、甲殻類、貝類、昆虫類
10
等の動物由来抽出物;酵母代謝物、醗酵代謝産物、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズ
ス菌抽出物等の微生物由来の抽出物が挙げられる。
【0119】
外用剤に添加可能な天然抽出物としては、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、
イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、胎盤抽出物、カロチノイド類及
びこれらを含有する動植物抽出物、ネオアガロビオース、アガロースオリゴサッカライド
、アスパラガス抽出物、イブキトラノオ抽出物、エンドウ豆抽出物、エイジツ抽出物、オ
ウゴン抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、キイチゴ抽出物、クジン抽出物、ケイケッ
トウ抽出物、ゴカヒ抽出物、リノール酸を含有する植物油、サイシン抽出物、サンザシ抽
出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウ
20
ハクヒ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、
ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、フローデマニータ抽出物、ホップ抽出物、マイカイ
カ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物及び羅漢果抽出物、アス
パラガス、アカネ、アカブドウ、アカメガシワ、アケビ、アサ、アサガオ、アズキ、アセ
ンヤク、アマチャ、アマチャヅル、イタドリ、イチジク、イチョウ、イランイラン、ウツ
ボグサ、ウメ、ウワウルシ、ウンシュウミカン、エゾウコギ、エビスグサ、エンジュ、エ
ンドウ、オオバコ、オクラ、オグルマ、オニグルミ、オミナエシ、オランダイチゴ、カキ
、カキドウシ、カシュウ、カシュー、カノコソウ、カラスウリ、カリン、ガラナ、キキョ
ウ、キク、キササゲ、ギシギシ、ギムネマ・シルベスタ、キンミズヒキ、グアバ、クコ、
クズ、クスノキ、クリ、ケイケットウ、ゲッケイジュ、ケイヒ、ゴショイチゴ、コショウ
30
、コーヒー、ゴマノハグサ、コロンボ、サザンカ、サンショウ、サフラン、サクラ、ザク
ロ、サンズコン、サンペンズ、シオン、ショウブ、スイカ、ステビア、スモモ、セイヨウ
キズタ、セイヨウナシ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウネズ、セイヨウワサビ、セキシ
ョウ、セリ、セネガ、センナ、ダイオウ、ダイダイ、タマリンド、タラノキ、タンポポ、
チコリ、チョウジ、チョウセンゴミシ、チョレイ、ツキミソウ、ツボクサ、ツユクサ、ツ
ルナ、テウチグルミ、トウガン、トチュウ、トロロアオイ、ナズナ、ナツミカン、ナンテ
ン、ニガキ、ノゴギリソウ、パイナップル、ハイビスカス、パパイヤ、バジル、ハス、ハ
ダカムギ、ヒオウギ、ピーナツ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒバ、ヒメマツタケ、
ビャクシ、ビワ、フキタンポポ、フシノキ、フジバカマ、ブルーベリー、ボウフウ、ホオ
ズキ、ホオノキ、ボケ、マイカイ、マオウ、マンゴー、マンネンタケ、ミシマサイコ、ミ
40
ソハギ、ミツバ、ミモザ、メリロート、メロン、モクレン、モモルディカ・グロスベノリ
ィ、モロヘイヤ、モヤシ、ヤクチ、ヤクモソウ、ガグルマソウ、ヤシ、ヤシャジツ、ヤド
リギ、ヤナギタデ、ヤマゴボウ、ヤマモモ、ユズリハ、ヨモギ、ライムギ、ラン、リュウ
ガン、リンゴ、レイシ、レンギョウ等が挙げられる。
【0120】
ビタミン類としては、リノレン酸及びその誘導体等のビタミンF類;フィトナジオン、
メナキノン、メナジオン、メナジオール等のビタミンK類;エリオシトリン、ヘスペリジ
ン等のビタミンP類;その他、ビオチン、カルチニン、フェルラ酸等が挙げられる。
【0121】
アミノ酸類としては、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニ
50
(24)
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ン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒドロキシリ
ジン、アルギニン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒ
ドロキシプロリン、オルチニン、シトルリン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体
並びにそれらの塩、あるいはピロリドンカルボン酸等のアミノ酸誘導体またはその誘導体
等が挙げられる。核酸関連物質としては、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リ
ン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン一リン酸から選ばれるアデニル酸誘導体及びそれ
らの塩、リボ核酸及びその塩、サイクリックAMP、サイクリックGMP、フラビンアデ
ニンヌクレオチド、グアニン、アデニン、シトシン、チミン、キサンチン及びそれらの誘
導体であるカフェイン、デオフィリン並びにそれらの塩、ホルモンとしては、エストラジ
オール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。酵素としては、リパーゼ、パパイン
10
等が挙げられる。
【0122】
血行促進剤としては、ノニル酸ワレニルアミド、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリ
スチンキ、イクタモール、α−ボルネオール、イノシトールヘキサニコチネート、シクラ
ンデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、バラパミル、セファランチン
、γ−オリザノール等、皮膚収斂剤としては、タンニン酸等が挙げられ、抗脂漏剤として
は、イオウ、チアントロール等が挙げられる。
【0123】
そこで、以下に実施例を示し、皮膚用光化学美容組成物の製造方法、及びその美容効果
等について具体的に説明する。もちろんこれら例によって発明が限定されることはない。
20
【実施例1】
【0124】
<製造例1>
この出願の発明の皮膚用光化学美容組成物を、一端にアミノ基、他端にメトキシ基を有
するポリエチレングリコール(以下、PEG−NH2と記載する(分子量約5,000、
日本油脂製)とC60フラーレン(東京化成工業製)とにより調製した。すなわち、0.
54mMC60フラーレンのベンゼン溶液10mlに、0∼108mMのPEG−NH2
を含むベンゼン溶液10mlを加え、遮光条件下、25℃で24時間攪拌することによっ
てフラーレンをPEG−NH2と結合させて、フラーレン−PEG−NH2結合体を得た。
反応終了後、反応溶液を凍結乾燥し、フラーレン濃度が0.27mMとなるようにフラー
30
レン−PEG−NH2結合体をベンゼンに溶解し、等量の蒸留水と混合し、25℃で48
時間放置することにより、フラーレン−PEG−NH2結合体を水で抽出し、ドライヤー
で乾燥して黒色粉末を得た。以下ここで得られた水溶性フラーレンを製造例1のフラーレ
ンと記す。
<実施例1>
製造例1のフラーレン1gをグリセリン99gに良く分散させ、これを皮膚表面に0.
01g/平方cmのになるように皮膚の色素沈着、ニキビ、ほくろ、いぼ、油肌、乾燥肌
、脂漏症、表皮の肥厚、シワで悩む19才から54才の女性18人、男性7人に塗布した
。その後フラーレンを塗布した皮膚表面に、1.06μmの周波数で、0.1J/cm
2
のNd:YAGレーザーパルスを照射した。パルス周波数は5Hzで各区域が、1Hzの
40
周波数のパルスを受けるよう光線を走査した。50日後にそれらの症状が改善したかどう
かをデジタルカメラによる処置前後の撮影写真で確認したところ、処置前に比較し50日
後の写真では明らかに皮膚の色素沈着、ニキビ、ほくろ、いぼ、油肌、乾燥肌、脂漏症、
表皮の肥厚、シワが改善されていた。
<実施例2>
製造例1のフラーレン1g、平均粒子系300nmの酸化アルミ粉末5gをグリセリン
94gに良く分散させ、これを皮膚の色素沈着、ニキビ、シワ、シミで悩む31才から4
2
2才の女性5名に顔面左半分に皮膚表面に0.001g/平方cm のになるように良く
すり込みながら塗布した。
【0125】
50
(25)
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塗布後、二重化Nd:YAGレーザー(532nm)を用いて、放射照度は50W/c
2
2
m 、光束10J/cm で照射した。30日後、皮膚は、瘢跡形成により再生された。3
0日後にそれらの症状が改善したかどうかをデジタルカメラによる処置前後の撮影写真で
確認したところ、処置前に比較し30日後の写真では明らかに皮膚の色素沈着、ニキビ、
シワ、シミが改善していた。又、フラーレンを塗布した左半分は塗布しなかった右半分に
比較し明らかに改善されていた。
<試験例:活性酵素発生試験>
-
チトクローム法により、活性酸素(スーパーオキシドアニオン,O2 )発生量を測定し
た 。 チ ト ク ロ ー ム C 3 0 μ M を 含 有 す る ハ ン ク ス 液 ( H B S S 、 p H = 7 . 4 、 Life Tec
hnologies Oriental, Inc., 東 京 ) 8 0 0 μ l を 、 製 造 例 1 で 得 た フ ラ ー レ ン の H B S S
10
溶液200μlと混合して、結合体の最終濃度を2.5μg/mlとした。この溶液に6
2
0 秒 間 光 照 射 し た ( 出 力 : 2 W / c m 、 周 波 数 : 1 M H z 、 duty cycle: 1 0 % ) 。 2
3℃で5分間放置した後、溶液の吸光度を550nmで測定した。各操作は、暗所で行な
-
い、製造例1のフラーレン存在下及び非存在下で光照射を行なった後のO2 発生量を測定
-
した結果、製造例の1のフラーレンと光照射を行なった場合のみ、有意なO2 発生が観察
された。製造例1のフラーレンのみで光照射を行なわなかった場合、及び製造例1のフラ
-
ーレン非存在下で光照射を行なった場合はいずれも、O2 は検出されなかった。
<製造例2>
水性ゲルを次の組成によって構成した。以下数字は重量%で表示。
【0126】
20
製造例1のフラーレン 3%、キサンタンガム 0.1%、プロピレングリコール 2
%、グリセリン 5%、ポリアクリル酸Na 0.1%、水 残分。
<製造例3>
軟膏を次の組成によって構成した。
【0127】
製 造 例 1 の フ ラ ー レ ン 2 . 5 % 、 Polysynlane( N O F ) 1 9 . 4 % 、 ホ ホ バ オ イ ル
40%、ポリアクリル酸Na 0.3%、グリセリン 10%、水
残分。
<製造例4>
皮膜形成性溶液を次の組成によって構成した。
30
【0128】
製 造 例 1 の フ ラ ー レ ン 1 . 2 % 、 Eudragit N E 3 0 % 、 D (Rohm & Haas) 3 4 .
7%、水 50%。
<皮膚のピーリング>
製造例2のフラーレンを含有するゲルを、皮膚の色素沈着、ニキビ、ほくろ、いぼ、油
肌、乾燥肌、脂漏症、表皮の肥厚、シワ、水虫、感染症、過角化症、皮膚過増殖、乾癬斑
、光線性角化症、ケロイド、老化、スジ、イボ、萎縮した傷跡および/または肥大化した
傷跡のいずれか一つ以上を有する21∼72才の女性76名にそれぞれ顔面全体に0.1
g/平方cmの濃度になるように均一に塗布し、二重化Nd:YAGレーザー(532n
2
m)を用いて、放射照度は10W/cm で光照射した。
40
【0129】
皮膚の色素沈着、ニキビ、ほくろ、いぼ、油肌、乾燥肌、脂漏症、表皮の肥厚、シワ、
水虫、感染症、過角化症、皮膚過増殖、乾癬斑、光線性角化症、ケロイド、老化、スジ、
イボ、萎縮した傷跡および/または肥大化した傷跡のいずれか一つ以上を有する21∼7
2才の女性76名のうち67名が10∼30日後にそれぞれの皮膚は、癜痕形成により再
生され、皮膚の色素沈着、ニキビ、ほくろ、いぼ、油肌、乾燥肌、脂漏症、表皮の肥厚、
シワ、水虫、感染症、過角化症、皮膚過増殖、乾癬斑、光線性角化症、ケロイド、老化、
スジ、イボ、萎縮した傷跡および/または肥大化した傷跡が照射前より第三者の目視観察
により明らかに改善された。
【産業上の利用可能性】
50
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【0130】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、皮膚表面に塗布されたフラーレ
ン含有組成物に光照射することにより活性酸素を発生させ皮膚の古い組織、炎症細胞や細
菌を破壊し、皮膚のターンオーバーを促進させ新たな皮膚を再生して皮膚の様々な美容、
及び老化防止に用いることができる。
(27)
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フロントページの続き
7
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K
7/00
N
A61K
7/00
W
A61K
7/00
X
A61K
7/00
Y
A61K
7/00
Z
A61K
7/155
Fターム(参考) 4C083 AA122 AB131 AB222 AC061 AC122 AC171 AC331 AC521 AC641 AC681
AD041 AD042 AD071 AD092 AD111 AD211 AD241 AD301 AD321 AD331
AD352 AD391 BB60 CC02 CC18 CC31 DD22 DD23 DD31 DD41
DD50 EE07 EE10 EE12 EE13 EE14 EE16 EE17 EE21
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