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クボタからお客さまへの営農提案 No.3(約8MB)
省資源、 省資源・省資材で安全安心な米づくり ―新技術による省エネ・省力、 低コスト栽培の機械化提案― 国内の食料自給率向上には、 生産性の高い農業を実現し、 農業所得 の拡大と安定を図ることが重要です。 このために、 新技術の導入による省資源、 省資材で、 安全安心な農産 物を低コストで持続的に生産する機械化を提案します。 2. 省力、低コスト栽培技術―――田植機複数同時作業 1. 省エネ、省力、高精度作業栽培技術―トラクタ車速連動作業 (1)あぜ塗り…オートあぜぬり機 ●漏水防止による水温上昇で、活着 (1)側条施肥 あぜの役割 ●田植え時に根圏施肥することにより、肥料利用率 ●気象の変化による影響が少ない 初期生育の促進と畦畔雑草防止が 水が少ないと 寒いよ∼! できます。 側条施肥の概念図(断面) が向上し、施肥量を20%程度節減可能です。 深水で あったか! ●水田土壌条件に合わせた耕深(作 (2)箱施用殺菌・殺虫剤 散布、除草剤散布 ●干ばつの影響を受けにくい 田んぼは 表面がかわいても 土の中は水分たっぷり! きで、 欠株防止、 良好な植付深さ姿 ●田植え時に箱施用殺 勢になります。 菌・殺虫剤と除草剤を (3)堆厩肥や土壌改良資材施用 くりができます。 精度施用が可能で、農 ●ポジティブリストを守 り、安全安心な米づく 60 0 浅耕区(10 ㎝) 土 土 土壌が均平でないと浅植えや 浮き苗の原因となり、薬害が 発生する場合があります。 土壌正面が露出した状態では 処理層は作られず、十分な効果 が得られません。 除草剤処理層 除草剤処理層 りが可能になります。 90 70 除草剤処理層 雑草 110 100 80 水 水 雑草 5 薬の節減ができます。 有 機 物 で 土 づくりを 地力窒素発現・堆厩肥対比 ︵%︶ 胴 割 れ 発 生 率︵%︶ 10 3∼5㎝ ●箱施用剤と除草剤の高 苦し∼よ∼ 空気がない∼ 深耕と胴割れ発生率(平成17年) 除草剤は散布してから土壌 表面に均一に処理層をつく ります。 土壌表面が均平でないと 効果ムラ、薬害の原因に なります。 力を省力化できます。 力を高め、倒伏に強い健康な稲づ 作土が浅いと 胴割れが増える 田植同時処理除草剤の上手な使い方と注意 同時散布でき、散布労 ●雑草の繁茂を妨げます 2∼5㎝ 肥料 代かきはていねいに行い、土壌表面を均平に保ちましょう 均一 ●堆肥、 珪カル、 ヨウ燐等の散布で地 深耕区(15 ㎝) 3∼5㎝ ●散布労力も田植同時施肥作業で省力化できます。 作土層 (15㎝) 土層12㎝以上確保)と均平な代か 苗 田面水 (2)耕うん、代かき 15 条間(30㎝) 堆厩肥施用 浅植えや浮き苗のないよう 植付け、適正な深度を保ち ましょう 稲ワラ施用 有機物無施用 平2 3 4 5 6 年 度 7 8 9 浅植えや浮き苗は薬害の原因 になります。 有機物無施用では年々地力が低下していきます。 除草剤処理層 除草剤処理層 浅植え 浮き苗 3. 新技術導入栽培 (1) 鉄コーティング直播栽培 こんなにコストダウン (2)疎植栽培 ●落水出芽により発芽苗立の安定と雀 ●育苗箱数が40%程度節減可能 害回避が可能です。 で、資材、施設等の生産コストが ●鉄粉資材が低廉で、 育苗労力や資材が 低減できます。 不用であり、省力、低コスト栽培がで ●田植作業時間の削減と合わせて、 きます。 規模拡大が可能です。 ●作期分散による収穫乾燥調製施設の ●収量、品質が移植栽培と同等確 効率的利用が図れるとともに、 高温登 保できます。 熟回避による品質向上、 作業労働ピー 仕上げ焼石膏 鉄粉+焼石膏 種子 コーティング比 混合 鉄粉 0.1 0.5 1.0 0.5 2.5 5.0 0.25 0.5 焼石膏 0.05 仕上げ焼石膏 0.025 0.125 疎 植 疎 植 円/10a 肥料・農薬費 苗箱数の減少により、 種苗費・農薬費・諸材料費さらに時間短縮に よる労働費などが軽減でき、 節約になります。 これほど省力 水田単作、普通期のコシヒカリ。各区とも追肥(1回)、穂肥 (2回)を同量施用。精玄米はふるい目1.9㎜以上。坪38 株疎植少肥区は元肥を半分に設定。 0.25 14,536円 慣 行 4,635円 慣 行 疎植(株間32㎝) 慣行(株間18㎝) ※愛媛農試データより 精 玄 480 480 米 444 重 ︵ 90.4 89.0 ㎏ 87.5 / 10 登熟歩合(%) a ︶ 栽植密度 (株/坪) 50 38(元肥少) 40 ■種子5kg(播種面積10a)の コーティング比と分量(kg) 15,336円 7,110円 種苗費 ■新潟県三条市(三条農業振興事務所) ク解消で規模拡大が可能です。 疎植(株間24㎝) 慣行(株間16.5㎝) ※球磨農業改良普及センターデータより 1.54時間 1.28時間 1.21時間 0.92時間 慣 行 疎 植 播種・育苗 慣 行 疎 植 時間/10a 田植え 植える株数が少ないので苗箱数も少なく済みます。当然、苗の準備 作業や運搬作業さらに後片付け作業などが少なく済みます。 4. 機械化の具体的作業提案 ▼四隅まであぜ塗りができるオートあぜぬり機 ▼田植同時除草剤散布「こまきちゃん」 ▼パワクロによる耕うん ▲田植同時薬剤 箱処理 「箱まきちゃん」 ▲直播プラス側条施肥 ▲車速連動付パワクロによる施肥 ▲疎植田植え ▲パワクロによる代かきハロー 2 高生産性を目指した多様な米づくり ―実需者ニーズに応える『米粉』 『飼料米』 『エタノール米』 『WCS』生産の低コスト機械化提案― 水田農業の活性化を図るには、主食米生産と合わせて、生産調整水 田を活用した、多様な稲づくりが必要です。省力、低コスト、多収を 目指した多様な稲づくりの機械化を提案します。 1. 実需者ニーズに応える米づくり 2. 超多収品種の栽培技術 (1)米粉、飼料米、飼料イネ (WCS) づくり ●穀物や家畜飼料の価格高騰に (1)省力、省資材、低コスト栽培技術 WCS 用イネ 飼料米 より、生産調整水田を活用した 給与先 給与先 米粉や飼料稲・飼料米の生産が 牛 豚、ニワトリ ●超多収を目指すには、多量の施肥量が必要なことから、輪作体系によって地力 を高め、肥料の節減や散布作業 を省力します。 ●収穫、乾燥調製も立毛 注目されています。 子実型品種 茎葉型品種 ●海外輸入依存の高い穀物や家 畜飼料、バイオ燃料を水稲でま (WCS 用イネとして育成) クサホナミ 夢あおば モミロマン等 はまさり リーフスター たちすがた かなうため、省力、低コスト、超 多収栽培技術を紹介します。 乾燥や籾貯蔵等を導入 します。 (多収米として育成) ふくひびき タカリナ 北陸 193 号等 輪作体系 冬期湛水 麦わら 飼料米用品種の栽培適地 WCS イネ品種の栽培適地 (2)加工適正、 加工用途を踏まえた品種作付 きたあおば きたあおば ●米粉利用プロジェクトと微 細製粉技術を活用し、実需 べこごのみ べこごのみ べこあおば べこあおば 小麦粉消費量の10%以上を米粉に置き換える 小麦粉製品 夢あおば 北陸 193 号 (小麦粉消費量 約491万t/年)※ 重点活動 ホシアオバ ホシアオバ 環境重視型 商品の普及 米粉を 10%以上配合した 「小麦粉製品」 リーフスター モミロマン タチアオバ モミロマン 100% 米粉の配列割合 米粉を主原料とする 「米粉製品」 機能重視型 商品の普及 夢あおば クサノホシ R10プロジェクトのイメージ 者ニーズに対応します。 ふくひびき たちすがた 肥沃度修復 緑 肥 ●超多収品種と地域別適正品種 ニシアオバ 家畜ふん 飼料イネ 10% タカナリ ※ H17製粉工場実態調査(農林水産省)より (にいがた発 R10 プロジェクトより) 3. 多様なニーズに応える超多収品種の省力、低コスト栽培技術 (1) 直播栽培 (鉄コーティング、 V溝直播) けるため、 作期分散を図り、 機械 (2)稲・麦・大豆の輪作栽培 ●土地の高度利用と地力増強を 図りつつ、肥料等の節減でコ スト低減や機械施設の高度利 用を図り、多収を目指します。 独自の暗きょ施工で 優れた排水性を確保 ▲収穫後すぐにディスクハローで 21㎝のセミ反転耕をします。 ▲排水性のよい菊池さん の圃場は、水を抜いて1週間 でこの乾き。 米作日本一単収 1000 全国平均単収 単 800 収 ㎏ 600 / 10 a 400 ▲暗きょの 立上げ管 200 ②生育終盤まで稲を活かす 0 19 50 19 55 19 60 19 65 19 70 19 75 19 80 19 85 19 90 19 95 20 00 20 05 ※1949年 か ら1968年 ま で の20 年間にわたって続けられた水稲多 収穫の表彰事業 ディスクハローによる セミ反転耕を継続 1200 ) 施設の効率的利用が可能です。 ①徹底した乾土効果 ( ●主食用米と作業労働競合を避 あらゆる米の増産に 共通する多収生産技術 水稲の平均単収の推移と 「米作日本一※」 の多収記録 ●省エネ、 省力、 省資材、 低コスト 栽培ができます。 岩手県の事例 米作日本一の多収技術整理 土壌環境の改善 各種技術の集積 ■深耕・客土 ■有機物多投 ■排水改善 ■間断かんがい ■施肥:多肥 ■育苗:健苗育成 (保温折衷苗代) ■作期:早植え ■栽植密度:密植 窒素供給の維持 ❶深耕、 多肥 ❷有機物多投 (農林水産省統計データより) 堆肥は毎年施用 品種選定 ■当時の 多収品種採用 ▲あ ぜ に 積 み上 げられた堆肥。 収 穫 後 すぐ に すき込む。 土壌酸化条件 両立がポイント ③窒素成分10a当たり15㎏の施肥設計 元肥として田植え時2段ペースト施肥で施用 そして、収穫ぎりぎりまで水を入れておく ▲わらは、畜産農家の 堆肥と交換する。 ▲適 正 な 追 肥 で、稲 は 倒 伏 せ ず 「なびいている」状態。 ❶排水改善 ❷間断かんがい ▲ボリュームたっぷりの稲をコンバイン で刈取る。 4. 機械化の具体的作業提案 ▼直播作業 ▼高速コンバインによる収穫 ▲ 細断型ホールク ロップ収穫機と 自走ラップマシ ンで高品質サイ レージづくり ▲ アッパーローター による 耕起・整地作業 ▲ ▲パワクロによる プラウ深耕 ▲多目的田植機の溝切り作業 3 水田高度利用による作物づくり ― 輪 作 に よ る 稲・麦・大 豆 栽 培 の 機 械 化 提 案 ― 食料及び価格の高騰、 輸入食料の安全性への不安などから、 食料自 給率の向上が大きな課題となっています。このため、水田の高度利 用による生産性向上を図る機械化を提案します。 2. 水田の高度利用のための開発技術 1. 水田の高度利用への期待 ●食料自給率向上には日本の農業生産の 中心となる水田における稲・麦・大豆の 175 生産性を上げることが鍵となります。 150 ●農水省では10年後に自給率50%を達 成するためには新規需要米 (飼料米・米 粉) 76万t、 小麦180万t (水田裏作を含 む) 、 大豆50万tの生産が必要だとして います。 小麦・大豆の生産量の推移と 10年後の生産目標 200 生 産 量 ︵ 万 ト ン ︶ ●わが国の小麦・大豆の品種は古いも 目標 180万トン 主な麦・大豆新品種の適地 のが多く倒れやすく、病気に弱く、収 北海道 量性も不十分でした。 <めん用小麦> きたもえ ●新しい小麦・大豆の品種は耐倒伏性、 125 小麦 100 75 50 に組み入れやすくなっています。 25 1965 1975 1985 1995 2005 10 年後 種を水田輪作に 導入することで 3. 新品種、新技術で水田輪作の生産性向上 生産性を向上さ せることが可能 ●これまでの水田輪作では麦・大豆の作付けで地力が低下してもなかなか回復させるこ とができませんでしたが、 飼料米等の多収水稲は多肥で栽培される上、 残渣や大きな根 系を残すため、 土壌の窒素肥沃度を回復させることが可能になります。 ●多収水稲では大きな根系を十分発達させて養分吸 <大豆> ユキホマレ ユキシズカ トヨハルカ ●新しい麦・大豆品 1955 はるひ の で キタノカオリ す。小麦では早生化も進み、水田輪作 目標 50万トン 大豆 0 1945 <パン用小麦> 耐病性、収穫性、品質が向上していま 東 北 <めん用小麦> ネ バリゴシ きぬ あ ずま 北信越 <めん用小麦> <大豆> <パン用小麦> キヌヒメ ユメセイキ フウセツ アヤコガネ つぶほまれ ハ ル イブキ ゆきちから <大豆> な地域が増えて <パン用小麦> います。 はるひ の で キタノカオリ おおすず あやこがね ふくいぶき すずかおり これまでの水田輪作 収を高めるため深耕が必要で、 それにより後作の 九 州 小麦、 大豆の根系もよく発達するようになります。 関東・東海 <めん用小麦> <めん用小麦> イワイノダイチ ●これらの結果、多収水稲の後に作られる麦、大豆 あ や ひ かり イワイノダイチ <パン用小麦> の生育が旺盛になるため、多収で、倒伏しにくい ニシノカオリ ミナミニカオリ 品種が必要になります。 <大豆> 多収水稲導入による根系拡大で収量向上 クロダマル ●多収水稲は鉄コーティング直播、乾田直播などで <醤油・中華麺用> 近畿・中国・四国 <めん用小麦> <パン用小麦> <大豆> ニシノカオリ キヌヒメ ふくさ や か ミナミニカオリ つやほまれ 低コスト生産が可能です。 ●乾田直播では代かきをしないため土壌の透水性が タマ イズミ <大豆> ◆品種の主な用途 サチユタカ 高まり、 後作の麦、 大豆の栽培が容易になります。 4. 収益性の高い水田輪作 ▼排水性向上で発芽のそろった麦圃場 ●水田輪作における大豆や麦の収益性は意外に高く、平 ■転作大豆・小麦の米との比較収支例 均的な収量が得られれば水稲の収益性を上回ると試算 小麦 大豆 米 51,325 円 58,066 円 46,246 円 販売収入 21,949 円 20,128 円 109,602 円 固定払相当 27,000 円 20,000 円 ̶ 成績払相当 6,972 円 7,242 円 ̶ 水田等有効活用促進交付金 35,000 円 35,000 円 ̶ 生産費 32,855 円 31,018 円 63,356 円 されています。 10a 当たり所得 (粗利益̶生産費) ●水田輪作の麦、 大豆の栽培で最も大切なことは水田の排 高うね 水性の確保です。明きょを掘り、弾丸暗きょを施工しま す。 水稲の乾田直播も透水性改善に効果的です。 ●麦ではそれぞれの地域に適合した品種を選択し、播種 小暗きょ(排水溝) 適期を守り、うね立て栽培、高うね栽培などを実施すれ ば、平均以上の収量を実現できます。 ●大豆でも地域に適合した品種を選択し、 「大豆300A」 技 術を活用することで、 全国平均以上の収量を確保するこ とは充分可能です。 (東北農政局資料) ●水田輪作こそ収益性向上の鍵です。 ▲高畦・浅耕栽培法 ▲ 5. 機械化の具体的作業提案 ▼レーザーレベラーによる均平作業 サブソイラで土壌の 透排水性、通気性を高めます ▼汎用コンバインでの麦刈り作業 ▼堆肥散布による土づくり ▲ ▲ 溝堀機による 明きょ排水 高性能コンバイン による稲刈り作業 ▲鉄コーティング直播 5 肥料高騰に対応した野菜づくり ―畦内局所施肥による減肥栽培の機械化提案― 世界的な資源価格の高騰により、 肥料代が値上がりし、 施肥量の節 減が強く求められています。そのため、 生産コスト低減のための技 術として、 「畦内施肥技術」 が注目を集めています。 2. 作物が吸収できる割合 1. 肥料高騰に対して国からの支援 ●施肥成分のうち作物が吸収できる割合は、 窒 ●施設園芸用燃料消費量や化学肥料施肥量の一定以上の低減を行う農業者グルー プに対して燃料費や肥料費の増加分の一部の支援を行っています。 ●肥料コストを低減するための新しい施肥技術体系への転換実証等への支援を 行っています。 素30∼60%、リン酸10∼20%、カリ40∼ 畦内施肥法は、溶脱を 60%と言われています(土地条件によって 受けにくく、肥料成分 異なります) 。 の吸収率を高めること ができ、減肥が可能な ●肥料の利用効率が低いのは、 土壌や生物によ 肥料 地域における取組支援 実証年度肥料費 化学肥料の施肥量等 の20%削減 増加分 助成額 (増加分の7/10) に吸収されない肥料成分があるためです。 施肥技術体系の例 ●土壌診断による施肥設計の 見直し ●局所施肥技術の導入 ●堆肥の活用 作物別「窒素」の吸収量・余剰量(ha 当たり) セルリー 前年度肥料費 226 キャベツ 支援対象の例 ●土壌診断経費 ●局所施肥、堆肥の活用など 転換実証に必要な経費 ●局所施肥機、単肥配合機などの 必要な施設・機械の整備 732 217 ハクサイ 130 タマネギ 93 121 185 155 ■ 吸収量(㎏) スイカ 72 89 バレイショ 74 82 20肥料年度 (H20.7∼) の肥料費 19肥料年度の肥料費 施肥技術です。 る吸着・固定、溶脱、脱窒などによって、作物 20%削減分 0 ■ 余剰量(㎏) 200 400 600 1000 800 1200 (日本土壌肥料科学雑誌 第72巻 (2001) 西尾 道徳) より作成 4. データに見る畦内施肥効果 3. 畦内施肥方法 ①畦内全層施肥 ●畦内局所施肥で慣行の80%施用でも、 生育・収量に大きな差異は見られません うねの中だけに肥料を施用する方 法ですが、作物の根から離れた位置 にも施肥されるので、肥料の利用率 が低いという欠点があります。 畦内全層施肥 キャベツの畦内施肥栽培における施肥量と生育、結球重(2001年) 畦内局所施肥 施肥法 窒素 施肥量 ㎏(㎏) ②畦内局所施肥 草丈 最大環幅 葉色値 結球重 収穫 最盛期 g 月日 株張り 最大環幅 葉色値 ㎝ ㎝ ㎝ ㎝ 17.2 5.9 58 54.5 26.4 65 1,411 12.18 (慣行)全面施肥32 (100) 17.4 6.3 55 53.7 25.9 64 1,408 12.18 全面+畦内施肥26 (80) 地中の作物根圏のみに肥料を施用 することで、肥料の利用率が高く、 肥料費の低減につながります。ま た、土壌の表面に肥料がないので、 雑草の発生を抑えられます。 10月23日 9月25日 注) 1.品種は ‘YR錦秋強力152’、2001年9月13日定植。 2.施肥は、全面全層施肥10㎏/10a(作畦前に硫加燐安48(16-16-16))と畦内局所施肥16㎏ /10a(エムコートS404(14-10-14)速効性50%溶出期間40日)。慣行施肥は元肥全面全層施 肥22㎏+追肥5㎏+追肥5㎏。 3.( )内の数字は慣行を100とした相対比。 ③畦内部分施肥 作物の植え位置に、土壌の表面も含 めて帯状に施肥する方法。施肥量は 減りますが、局所施肥に比べるとや や多くなります。 福岡県農業総合試験場データより 畦内部分施肥 全層施肥+局所施肥 ●畦内全層施肥により、30%減肥した場合の1ha当りのタマネギの肥料削減額 根付け肥 (活着用) ④全層施肥+局所施肥 ①と②の組合せ。全層施肥は根付け 肥(活着用)と初期生育を確保。局所 施肥は中・後期生育促進用として施 します。 肥料代(1ha当り) 3割削減分 マルチ栽培 336,820円 101,046円 露地栽培 (タマネギ有機) 453,300円 135,990円 露地栽培 (タマネギエース) 450,380円 135,114円 栽培法 佐賀県 タマネギ施肥設計より (H20年11月28日現在の小売参考価格 (税込) をもとに作成) 5. 機械化の具体的作業提案 畦内2条局所施肥機(畦内局所施肥) 管理機用畦内施肥マルチ(畦内全層施肥) ■適応うね形状 ●作物に合わせて、施肥位置 を深さ8 ∼ 13㎝に調整で のムダがなくなり肥 料代も節約できま す! きます。 ●旋回等のロータリ上昇時で も、施肥部は平行に保たれ 施肥繰り出し部は自動停止 するので、肥 料こぼれがな く無駄撒きもありません。 ※施肥位置はイメージです 45∼120㎝ 施肥位置 ●うね内に必要量が施 肥 で き る の で、肥 料 10・15・20・ 25・30㎝ ※マルチ被覆装置とマルチフィルムは オプションです。 8∼13㎝ 63∼140㎝ 適応マルチシート幅:95∼180㎝ ■適応うね形状 ※うね肩・うねすその最小∼最大値はうね の高さにより異なります 施肥位置 ※イラストはイメージです 6 [注意]: 生育を安定させるために、速効性 肥料の全面全層施肥と、緩効性肥 料の畦内局所施肥を組み合わせ るのが望ましいやり方です。 にんじん収穫機 キャロベスタPro ●コンテナ約10 箱 分 の (20 0 ㎏)が 一度に収 納できます。 ●フレコン降ろしが簡単 です。 家庭菜園で楽しい野菜づくり ―良い苗づくりと土づくりの機械化提案― 苗半作といわれ、 良い野菜苗を肥沃で排水の良い土壌条件で植付け することが大切です。家庭菜園の土づくりの機械化を提案します。 2. 良い苗の条件とは 1.「苗半作」の重要性 ●強健な苗であること。 野菜栽培では、昔から苗半作といわれ、苗の ●光合成作用を活発におこなっている苗であること。 よしあしが苗の植え付け後の生育に影響しま ●果菜類では、適当な節位に充実した花芽をつけていること。 す。苗づくりは、きわめて重要な作業です。 ●葉茎菜類では、花芽ができていないこと。 実をとる果菜類では、苗を育てている期間中 に花芽分化という花のもとができはじめ、徐々 良い苗 に生育していきます。 ■適期苗の苗令 (例) 野菜 葉の色が淡い 本葉 6∼7 枚 茎が細く、節間が長い 茎が太い節間が短い 野菜 適期 ナス 悪い苗 葉の色が濃い 病害虫に侵されていない 葉が分厚い 病斑がついている 適期 かいわれ葉 オクラ 虫に食害されている 子葉がしっかりしている トマト 本葉 7∼8 枚 キャベツ 本葉 5 枚前後 キュウリ 本葉 3.5∼4 枚 ブロッコリー 本葉 5 枚前後 えだまめ 本葉 1.5 枚 レタス類 本葉 5 枚前後 インゲン 本葉の出始め 子葉が痛んだり、 落ちてなくなったりしている (鉢から取り出してみた場合) 根鉢が大きい (鉢から取り出してみた場合) 根鉢が小さい 根が根鉢の周りを取り巻いている 根の色が黄褐色 白い根が出ている 4. 肥料の種類と特長 3. 良い土とは 水はけ、水もちが良く、堆肥のような有機物を含んでいる土です。 ●作物の生育には、炭素、酸 全国の耕地には、粘土を多く含んだ重い土から砂のようにさらさらし 素、水素、窒素、リン酸、カ た感じの軽い土まで、いろいろな土があります。重くもなく軽くもな リ、 カルシウム、 マグネシウ い中間の土を「壌土」といい、野菜づくりに比較的適した土です。 ムの8要素が関係します。 肥料4要素の働き 実肥P 葉肥N 花や果実の生長に 必要なリン酸肥料 根や葉をつくる 窒素肥料 ●肥料や土壌改良資材は、 健康な作物は健全な土に育つ 窒素・リン酸・カリの3要 太陽エネルギー 素にカルシウム、マグネ シウムを加えた5要素が 必要です。 炭酸ガス 炭酸ガス ●一般に、肥料に使われるの は、窒素・リン酸・カリの3 呼吸酸素 光合成 要素です。 ●カルシウムとマグネシウ 健全な土 酸素 病気や 虫がない ムは石灰質資材として、土 水分 の酸性度の調整に使われ ます。 養分 Ca 根肥K 土を適正な酸度に するとともに根の 発育をよくする石 灰肥料 根を丈夫にする カリ肥料 有機物 5. 家庭菜園の機械を提案 TMB 250 畑の大きさでおすすめする(1坪=3.3㎡) TMA 350 ●約8∼30坪ほどの小さな所は「ニューミディ」 ●約120坪くらいの菜園なら軽快に使える「菜ビ」 ●約270坪ほどになるとパワーや耕幅が大きく、 直進性に優れた本格派「陽菜」 10 m 5m 25㎡(約8坪) 30m 20 m 10 m 5m 20 m 100㎡(約30坪) 価格と馬力でおすすめする 30 m 400㎡(約120坪) 900㎡(約270坪) 野菜づくりとミニ耕うん機の使用例 春夏野菜 陽菜 (月) 1 トマト きゅうり なす ミニ耕うん機使用 秋冬野菜 菜ビ 葉物野菜 車軸耕うん ロータリ耕うん うね立て 3 5 6 4 7 ほうれんそう ねぎ こまつな ミニ耕うん機使用 8 9 10 11 12 移植 消毒 収穫 うねくずし・耕うん・うね立て 施肥 整地 だいこん はくさい にんじん ミニ耕うん機使用 ニュー ミディ 2 施肥 整地 播種 収穫 うねくずし・耕うん・うね立て 通 年 栽 培 うねくずし・耕うん・うね立て ※野菜づくりとミニ耕うん機の使用タイミングの一例です。 8 消毒・ 追肥 耕作放棄地の再生と利活用 ―環境を守り、人と農業の活性化を目指す機械化提案― クボタでは、平成20年度からクボタeプロジェクトとして各地の耕作 放棄地の再生に向けた支援活動に取組んでいます。耕作放棄地は地形、 地目、 地質、放棄年数や活用目的など様々な条件下にありますが、 農業 機械を活用して再生する基本的な方法を紹介します。 2. 整備後の利活用 1. 耕作放棄地の現状調査確認 (1)地目、地質を確認 放棄地は、水田、畑地、樹園地、牧草地等 ❶水田活用 の前歴を把握し、土質や地下水位、排水 飼料米、 飼料稲、 わら工芸用稲、 加 条件を確認することが大切です。また、 工利用米等 道路の事情も併せて確認しておきます。 (2)雑草発生状況を確認 灌木類の発生や発生量、密度、大きさと わら工芸用稲でしめ縄づくり (千葉県) 発生雑草の草種「草木雑草」 「茎葉雑草」 「地下茎雑草」等を把握確認します。 棚田で酒造好適米づくり (新潟県) ❷畑地活用 現場での状況確認 なたね、 そば、 ひま 山間地の放棄地(灌木、 ススキ、 クズが繁茂) わり、 えごま、 コス モス、 れんげ等 典型的な谷津田の 放棄地 (排水不良でヨシの 群落が見られる) 耕作放棄地を減らしてソバを栽培 (宮崎県) 山菜、 ソバの栽培方法の確立 (長野県) ❸多面的活用 学童食育、市民農 園、草地放牧等 (3)準備する機械、機材を決定 都市近郊の浜辺の放棄地 (草の種類は単調で、 再生も割合容易) 大型∼小型、使用機種、乗用又は歩行、 使用台数、必要日数等 菜の花プロジェクト 地元の小学生と交流 (新潟県) 焼酎の原料さつまいも確保のための 畑を再生 (鹿児島県) 3. 実施事例の紹介 耕作放棄地の飼料作物栽培 菜の花栽培やバイオ作物への活用 安全安心な有機大豆で味噌づくり 地場産小麦の生産拡大 篠南集落営農組合(愛媛県) 深萱・菜の花・大楽校(岐阜県) 合鴨家族古野農場(福岡県) 上石小麦生産 組合(福島県) 耕作放棄地の解消・ 活用のため、飼料作 物を新規に導入し 食用油やバイオ燃 料など、 収穫菜種の 利活用を目指す。 連 作障害対策が必要 な場合は、 ソバの栽 培も行います。 安全安心でつくった 有機大豆で味噌づく り教室を開催し安全 な素材での味噌づく 地場産小麦の生産 りを体験。 地産地消を目指し ます。 を 拡 大 し、 郡山市 内の食堂やラーメ ン店への販売等、 ます。 4. 機械化の具体的作業提案 雑草刈り 大 型 機 械 化 体 系 中 、 小 型 機 械 化 体 系 傾斜がない場合 法面がある場合 抜 根 明きょ 灌木など危険物の多い場所 圃場の乾きを早める 耕起・整地 耕うん、施肥、播種 雑草発生抑制 ツインモアー スライドモアー ●障害物越しの法面刈り ●ツル性の雑草刈り ●傾斜地・法面刈り ●背の高い雑草刈り フレールモーア サイドカッター ●パワクロと草刈機で 雑草を高速細断 ●特殊な刃で親指程度の 太さの雑草も細断 耕うんして砕土率を高める バックホーで灌木の抜根 溝切機で額縁明きょ作業 プラウで耕起作業 刈払機 畦畔草刈機 土壌改良材資材を散布 雑草刈機 サブソイラでクズの根の除去 ●斜面も自由自在 法面草刈機 刈払機 雑草刈車 溝掘機 バーチカルハローで 表層を砕土・整地する シーダーを用いた施肥作業 9