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ガス分離

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ガス分離
【技術分類】1−13−1−1
単位操作/ガス分離・溶解/ガス分離/ストリッピング
【技術名称】1−13−1−1−1
空気吹き込み
【技術内容】
ストリッピング操作のうち、空気吹込みとはエアレーションまたは曝気と称されるガス分離の技術
であり、空気と水(液体)とを接触させ、各相中における物質の濃度分布が等しくなるようにし、各
相間で物質を移動させる操作である。その効率をあげるためには空気と水の接触面積を増加させ物質
の拡散効率を増大させることが必要であり、その方式には、水中への空気の吹き込み、水の攪拌、水の空
中散布などがある。
曝気処理には、次の効果が期待できる。
1.水中の遊離炭酸を除去して pH 値を上昇させる。
2.水に空気中の酸素を供給して、溶存している鉄の酸化を促す。
3.硫化水素などの不快な物質を除去する。
4.水中の微量有機化合物、例えばトリクロロエチレンなどの揮発性物質を除去する。
曝気処理に使用される設備として、曝気塔があり、ストリッパーとも称される。その構造は、充填
塔、段塔、スプレー塔及び通風塔などがあり、空気と接触混交させて、ガス交換を行わせることによ
り酸素が吸収され、酸化によって水中の鉄などの無機物が除かれ、有機物が分解される。また、水か
らは炭酸ガス、アンモニアが除かれる。
アンモニアストリッパーの場合、上部より流入した処理水がバッフル(邪魔板)にぶつかって水滴
化と破壊を繰返しながら下段に流下する間に、アンモニアガスが底部より送り込まれる大量の空気と
接触して、空気中に逸散する。
【図】
図
エアーストリッピング
図−10−4
アンモニアストリッパーの内部
出典:し尿処理施設の機能と管理、1980 年 7 月 15 日、桜井敏郎、松本利通、宮之原隆、白井正明著、
株式会社産業用水調査会発行、351 頁
図−10−4
アンモニアストリッパーの内部
【出典/参考資料】
「水道用語辞典」、2003 年 3 月 31 日、水道用語辞典編集委員会編、社団法人日本水道協会発行、614
−615 頁
「し尿処理施設の機能と管理」、1980 年 7 月 15 日、桜井敏郎、松本利通、宮之原隆、白井正明著、
株式会社産業用水調査会発行、350−353 頁
− 213 −
【技術分類】1−13−1−1
単位操作/ガス分離・溶解/ガス分離/ストリッピング
【技術名称】1−13−1−1−2
蒸気吹き込み
【技術内容】
ストリッピング装置は、液状の原料や製品に混入溶解しているガスや揮発性成分を除去する装置で
あるが、比揮発度が小さい場合には水蒸気蒸留の原理を応用して除去効率の向上をはかる場合がある。
これが蒸気吹込み型ストリッピングである。
ストリッピング装置には、回分式(バッチシステム)、半連続式、連続式がある。
回分式は、単缶に加熱用熱媒コイル、水蒸気吹込み管、付属設備がつき、操作条件は、油温 220∼
240℃、圧力 250∼930Pa で 4∼5h の運転である。表層部のみの効果で、飛沫同伴、過熱のおそれな
どがある。
半連続式は、脱臭設備として、広く普及している。段塔構造で各段に原料を半連続的に流し、水蒸
気吹込みを行う。バッフルあるいは充填層で飛沫同伴を押える。操作条件は、油温∼250℃、圧力数
百 Pa で各段 20∼30min の運転である。
連続式は、段塔、充填塔があり、原料は塔頂より流下し、水蒸気は底部から吹込む。圧力降下が大
きく、下部が過熱し上部が加熱不足になりやすい。構造も複雑で、滞留時間の調節も困難である。
ストリッピング操作としては、アンモニアストリッピング装置がある。液中に含まれた高濃度のア
ンモニアを蒸気または空気を吹き込んで気相に放散することにより除去する。ストリッピング塔内は
多孔板とダウンカマーで構成され、液はダウンカマーを通って上段より流下し、一方、蒸気は下段よ
り上段に流れ、多孔板上に堰止められた液中を上昇し、液中の溶解アンモニアが蒸気側に移行して除
去される。
【図】
図
蒸気ストリッピング塔概略図
アンモニア
原水
ストリッピング塔
処理水
蒸気
出典:本標準技術集のために作成
【出典/参考資料】
「改訂二版化学装置便覧」、1989 年 3 月 30 日、社団法人化学工学教会編、丸善株式会社発行、690
−691 頁
「三菱化工機ホームページ」、アンモニアストリッピング装置
http://www.siset.or.jp/setsubi/f440/440_2_1.htm
− 214 −
【技術分類】1−13−1−1
単位操作/ガス分離・溶解/ガス分離/ストリッピング
【技術名称】1−13−1−1−3
脱酸素
【技術内容】
水は大気中より溶け込んだ酸素を含んでいる。この酸素を含んだ水は、機器・配管等の鉄材と接触
すると錆の原因となる。気液両相を接触させて放置しておくと、両相は平衡状態に達する。気体が液
体に溶ける場合、液中への溶解はヘンリーの法則に従う。
水が接触している気相を窒素に変え(すなわち、酸素を低下させ)ると溶存酸素が低下する。これ
が脱酸素法の基本原理である。
効率的な脱酸素処理を行うには、水と窒素の接触効率を向上させる必要がある。
その方法として、次の二つの方式が提案されている。
1.静止型リアクター方式
多孔板を螺旋状に配置したミキシングエレメントを使用し、上部より脱酸素処理前の水を流下さ
せ、下部より窒素を供給する。原水は左右捻りのミキシングエレメントを流下する間に微細な水滴
となり、気液の接触効率は飛躍的に増大し、短時間で水の脱酸素処理が可能となる。
2.エアレーター方式
水中にインペラーを設置し、高速で回転させるとインペラー背面に負圧が生じ、吸気管より気体
(窒素ガス)を吸引する。吸引された気体窒素はインペラーの高速回転により発生するうず流とイン
ペラーのせん断力により微細化され水中に微細気泡として分散する。これにより、気液接触効率が
増大する。
窒素式脱酸素法は、ノンケミカルであること、適用温度が高い(90℃まで可能)、懸濁物質を含
む水に対しても適用可能などの特徴を持つ。
【図】
図
脱酸素システムフロー
出典:窒素式脱酸素装置の紹介、工業用水 第 556 号、2005 年 1 月 20 日、濱口徹也著、社団法人日
本工業用水協会発行、33 頁
図 4 リアクター方式システムフロー、図 5
エアレーター方式
システムフロー
【出典/参考資料】
「工業用水」
、2005 年 1 月 20 日、濱口徹也著、社団法人日本工業用水協会発行、第 556 号
頁
− 215 −
31−34
【技術分類】1−13−1−2
単位操作/ガス分離・溶解/ガス分離/真空脱気
【技術名称】1−13−1−2−1
真空脱気
【技術内容】
真空脱気装置は、液体を真空環境に投じて液体中の気体の分離を行う装置であり、一般にディアレー
ターと呼ばれ、脱酸素に加え脱気・脱泡機能を併せ持つ。構造が簡素でサニタリー性に優れているが、
欠点として真空によるフレーバー逸散がある。
食品を変質・劣化させる原因として微生物腐敗が代表的であるが、空気中の酸素が原因となる酸化
はこれと同等に重要な問題である。この酸化による弊害に対し、添加物(酸化防止剤等)に依存しな
い脱酸素装置の有効性が現在注目されて来ている。
真空脱気装置は、基本的に次の方式がある。
1.原水を真空槽の内壁を薄膜状態で流下させ、薄膜表面から含有気体を蒸発させる。
2.真空槽内に、気体のみ通過する疎水膜の片側に液体、反対側を減圧状態で窒素を注気する事で酸
素除去を行う方式。
3.真空槽内部の縦状並列チューブに処理水を薄膜流下させ、気体接触面積を増やして脱気する。
装置は、真空脱気槽と供給ポンプ、真空ポンプ、排出ポンプにより構成されており、基本的には真
空脱気槽の本体は上部が円筒形、下部が円錐形の密閉タンクである。原水は供給ポンプにより連続的
に本体に供給され、真空ポンプにより常時一定の真空度に維持されており、原水は短時間で脱気され
る。
【図】
図
真空脱気装置
含気原液
脱気缶
真空ポンプ
脱気脱泡液
出典:本標準技術集のために作成
【出典/参考資料】
「野村マイクロ・サイエンス株式会社」
http://www.nomura-nms.co.jp/product/p_gas.html
「株式会社イズミフードマシナリ」
http://www.izumifood.shi.co.jp/seihin/s_dakki/index.html
− 216 −
【技術分類】1−13−1−3
単位操作/ガス分離・溶解/ガス分離/脱気膜
【技術名称】1−13−1−3−1
脱気膜
【技術内容】
脱気膜とは、気体は通すが液体は通さない膜と定義されるが、特定の物質またはイオンを多く透過
する性質をもつ膜である選択透過性膜の一種であるとも言える。特に、ガスを高選択性で透過させる
膜が脱気膜である。
脱気膜は、ガス成分を選択的に透過するフォローファイバー型のメンブレンで構成される。
水中に溶存するガスは中空糸膜の内外間のガス濃度をドライビングフォースとして、非多孔質膜を
透過して除去される。膜の内外間にガス濃度を生じさせるには、膜を隔てた一方の空間を真空状態に
する方法が有効である。このことにより気体の分圧平衡のバランスが崩れ、溶解しているガス成分が
気相へ拡散し、水中のガス成分が除去される。
脱気膜は、超純水の製造プロセスの重要な要素機能であり、そのプロセスの一例を示すと次のよう
になる。
一次純水システムで不純物を除去した後、紫外線を照射して微量の有機物を酸化分解してイオン性
有機物もしくは炭酸に改質し、脱気膜装置により溶存ガスを除去する。その後、イオン交換樹脂塔に
よりイオン性有機物、微量イオンの除去を行った後、限外ろ過膜(UF 膜)でろ過する。
超純水は、半導体産業、液晶産業、高圧ボイラー、火力発電、原子力発電、注射液等の薬品、食肉
加工、ミニチュアベアリング製作、フィルム製造など広範な産業に適用され、これらの産業の発展に
寄与している。
【図】
図
脱気膜の構造およびメカニズム
出典:半導体産業における超純水製造技術とその特性、防錆管理
2000−9 号、2000 年 9 月 1 日、
大見忠弘、横井生憲、阿部俊和著、社団法人日本防錆技術協会発行、15 頁
図5
脱気膜の構
造およびメカニズム
【出典/参考資料】
「防錆管理」
、2000 年 9 月 1 日、2000−9 号、大見忠弘、横井生憲、阿部俊和著、社団法人日本防錆
技術協会発行、13−17 頁
「三菱レイヨン・エンジニアリング株式会社メンブレン部カタログ」、三菱レイヨン・エンジニアリン
グ株式会社著、三菱レイヨン・エンジニアリング株式会社発行、カタログ
− 217 −
【技術分類】1−13−1−3
単位操作/ガス分離・溶解/ガス分離/脱気膜
【技術名称】1−13−1−3−2
透過気化膜
【技術内容】
透過気化膜とは、膜により液相から気相に変化させて透過分離する方式で、パーべ一パレーション
として一般に知られている。
パーべ一パレーションは、膜を通して液体を蒸発させるという、いわば逆浸透法とガス分離法の中
間のような膜分離法である。浸透気化法とも呼ばれる。
膜式蒸留システムは、膜透過係数に差があれば、共沸点があっても分離できるのが特徴である。
蒸発という相変化をともなう点が他の膜分離法と異なる点である。
一般に、使用する膜は孔のない高分子膜ないし、分子レベルの微細孔をもつ無機膜である。有機膜
は、ポリオレフィン系の既存の膜(中空系膜や平膜)に電子線などの電離放射線を作用させて、あら
かじめ反応活性種を膜内に捕捉させたのち、親水基や錯体生成基などを有する反応性モノマーと接触
させて、官能基を膜に化学結合させ、高性能の浸透気化膜を製造する。
この方法の特徴は汎用の膜に高付加価値を付けて高機能化すること、放射線照射プラントと合成プ
ラントが分離分業化できること、製品のモジュール化が容易なためコンパクトな分離プロセスが可能
なことなどにある。
膜の供給側に混合溶液を流し、透過側を真空に保つことで膜を通して供給液体を一部蒸発させる。
現在実用化されている膜では、有機溶媒と比較して水の透過速度が著しく速く、アルコール等有機
溶媒からの脱水に用いられている。その他、熱で変化しやすい醸造食品や医薬・生体の濃縮精製など、
エネルギー消費の少ない分離技術として期待されている。
パーべーパレーション法は蒸留法に代わる分離法として期待されているが、膜分離法としては最近
のものなので実用例は多くない。工業分野で有機溶媒からの水成分の除去に用いられている。例えば
エタノール水溶液からエタノール成分の分離、炭化水素の分離への応用が期待されている。
【図】
図
浸透気化膜分離法
出典:造水技術ハンドブック、2004 年 11 月 25 日、造水技術ハンドブック編集企画委員会編、財団
法人造水促進センター発行、117 頁
図.基Ⅰ−13.27
透過気化膜による分離法
【出典/参考資料】
「造水技術ハンドブック」、2004 年 11 月 25 日、造水技術ハンドブック編集企画委員会編、財団法人
造水促進センター発行、117 頁
− 218 −
【技術分類】1−13−1−4
単位操作/ガス分離・溶解/ガス分離/触媒樹脂
【技術名称】1−13−1−4−1
触媒樹脂
【技術内容】
溶存酸素などの除去には、脱気器により機械的に脱酸素する方法と溶存酸素を化学的に還元する脱
酸素剤を注入する方法がある。
脱気器は水の沸点において溶存ガスの溶解度がゼロになる原理の応用であり、化学的に還元するた
めの脱酸素剤としては、ヒドラジン(N2H4)および亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)が用いられる。
その他の方法として、イオン交換樹脂にパラジウム(Pd)を担持させた触媒樹脂を利用する方法が
開発されている。
触媒樹脂は、ポリスチレン系の強塩基性アニオン交換樹脂の表面にパラジウムを付加した触媒樹脂
であり、水素ガスの添加により常温下で溶存酸素を還元処理できる。
ポリスチレンを母体としたイオン交換樹脂、とりわけアニオン交換樹脂は、物理的に安定で、水に
不溶であり、触媒としての要求を満たしている。アニオン交換樹脂は、還元状態では化学的に非常に
安定であり、一方樹脂がもつ官能基によりイオン交換できるという点でも特色がある。
触媒樹脂の水処理への適用として、溶存酸素、過酸化水素、ヒドラジンの除去がある。
1.溶存酸素の除去;溶存酸素は、触媒樹脂の表面に担持されたパラジウムの触媒作用により水素と
反応し水を生成する。触媒樹脂脱酸素装置は、触媒樹脂を充填した触媒樹脂充填塔に計量制御され
た原水と水素を混合して注入して、反応後のガスを抽出する。
2.過酸化水素の除去;触媒樹脂による過酸化水素の除去は、過酸化水素が触媒樹脂に接触して分解
する反応を利用したものである。
3.ヒドラジンの除去;ヒドラジンと過酸化水素は常温では反応しないが、触媒樹脂の接触下では急
激に反応することを利用して、ヒドラジン含有水に過酸化水素を注入して除去する。
【図】
図
溶存酸素除去例
出典:水処理における触媒樹脂の利用、化学工業
Vol.36
No.7、1985 年 7 月 1 日、矢部江一、佐
藤重明、岡崎、稔、B.Martinola 著、株式会社化学工業社発行、69 頁
図 5 溶存酸素除去の
実施例
【出典/参考資料】
「化学工業」
、1985 年 7 月 1 日、矢部江一、佐藤重明、岡崎、稔、B.Martinola 著、株式会社化学工
業社発行、66−71 頁
− 219 −
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