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炊飯器の輸出 - 税関ホームページ

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炊飯器の輸出 - 税関ホームページ
炊飯器の輸出
大阪税関調査統計課
~人気上昇中、日本製の炊飯器~
平成 24 年 3 月 22 日
【はじめに】
電気を用いてご飯を炊く電気式炊飯器が誕生したのは 1955 年、それから進化を続けて半世紀が過ぎよ
うとしています。今では水蒸気の出ない炊飯器や、デザイン性のある炊飯器など多種多様な炊飯器が生
まれています。
また、日本製の炊飯器はアジアからの観光客のお土産としても人気が高く、家電量販店の外国人旅行
者向けコーナーでもよく見かけるようになりました。
今回はそんな電気式炊飯器の輸出を取り上げてみました。
※統計品目番号 8516.79-100(家庭において使用する電気がま)の輸出を集計しています。
○台数・価額推移
炊飯器の輸出は台数・価額ともに近畿圏の占める割合が高く、2011 年は台数の 98.1%、価額の 96.1%
を占めています。
輸出台数・価額は 2005 年以降、全国・近畿圏ともに増加傾向で推移しており、2011 年の輸出台数は
全国が 49 万 7 千台、近畿圏が 48 万 8 千台となりました。
また、2011 年の輸出価額は全国が 46 億 27 百万円、近畿圏が 44 億 46 百万円となりました。
全国近畿圏年別輸出推移
千台
500
全国台数
近畿圏台数
全国価額
百万円
5,000
近畿圏価額
450
4,500
400
4,000
350
3,500
300
3,000
250
2,500
200
2,000
150
1,500
100
1,000
50
500
0
0
2005
2006
2007
2008
1
2009
2010
2011
○近畿圏国別台数・価額構成比
2011 年の地域・国別構成比をみると、アジア向けと米国向けで大半を占めており、台数構成比はアジ
ア向け 57.5%、米国向け 36.4%、価額構成比はアジア向け 65.7%、米国向け 29.0%となっています。
次に、2005 年と 2011 年を比較すると、中国、香港向けが大きく伸びており、特に、価額構成比は 2005
年の中国 1.6%、香港 5.2%から、2011 年には中国 17.4%、香港 13.7%と大幅に増加しています。
一方、
米国、
台湾向けの価額構成比は 2005 年の米国 36.9%、台湾 35.5%から、
2011 年には米国 29.0%、
台湾 27.4%に減少しています。
なお、韓国向けの輸出は 2008 年以降ありません。
近畿圏国別輸出台数構成比
その他
6.1%
その他
8.0%
米国
37.6%
2005年
37万台
その他
アジア
11.5%
台湾
33.0%
台湾
26.3%
アジア
54.4%
2011年
49万台
米国
36.4%
中国
1.3%
香港
5.1%
中国
13.1%
アジア
57.5%
その他 香港
アジア 9.5%
8.5%
韓国
3.5%
近畿圏国別輸出価額構成比
その他
5.2%
その他
8.0%
台湾
35.5%
米国
36.9%
その他
アジア
9.4%
米国
29.0%
アジア
55.1%
2005年
29億円
香港
5.2%
韓国
3.4%
その他
アジア
7.3%
中国
1.6%
2
台湾
27.4%
2011年
44億円
香港
13.7%
アジア
65.7%
中国
17.4%
○近畿圏国別輸出単価推移
炊飯器の輸出の平均単価はおおむね上昇傾向で、2011 年は 9,118 円/台となりました。特に、中国、
香港向けの単価は上昇傾向が続いており、2006 年から 6 年連続で 1 万円を超えました。2011 年は中国
が 12,091 円/台、香港が 13,137 円/台となり、平均を大きく上回っています。
業界によると、米食文化のある中国、台湾などでは現地メーカーの機械式炊飯器が多く生産され、日
本から輸出されるマイコン式やIH式炊飯器は高機能の高級品として扱われるとのことです。
また、米国向けでは顧客層に日系などの東洋人だけでなく日本食好きの人々が含まれ、価格が安く抑
えられ炊飯時間の短い機械式も輸出されているそうです。
さらに、輸出されている炊飯器は炊飯方式や釜の形はほぼ同じであっても、炊きあがりやメニューな
どに各国の個性が表れるそうです。このような炊飯器の種類の違いも輸出単価に反映されているとのこ
とです。
円/台
近畿圏国別輸出単価推移
14,000
13,000
12,000
11,000
10,000
9,000
8,000
7,000
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
世界
7,890
8,683
8,871
8,788
8,702
8,797
9,118
台湾
8,506
9,203
9,873
9,423
9,322
9,067
9,473
中国
9,713
10,569
12,364
12,937
11,568
12,280
12,091
香港
7,956
11,712
11,116
10,772
12,827
12,927
13,137
米国
7,758
8,257
8,350
7,825
7,562
7,406
7,262
3
~豆知識~
・世界のコメと炊飯器
コメには大きく分けて短粒種(日本米などのジャポニカ米)と長粒種(タイ米などのインディカ米)があります。短粒種の生
産・消費地域は主に日本、朝鮮半島、中国東北部、台湾北部で、輸出を目的として米国西海岸地域でも生産されて
います。
メーカーによると、短粒種はこれらの東アジア地域では主食として食されており、調理方法は日本と同様に煮る・炊くこ
とが多いので日本の炊飯器が受け入れられたそうです。
また、長粒種はその他のアジア圏全域で生産・消費されており、パスタなどと同じように茹でたものが野菜として食され
ています。しかし、最近では茹でることにより栄養分の多くが流出することから、煮炊きする動きもみられるとのことです。
なお、各国で食されているお米も違えば、「おいしい」と感じる硬さ・匂いも異なることから、現地スタッフの意見も取り入
れながら各国向けの炊飯器を開発しているとのことです。
・炊飯方法による電気式炊飯器の違い
炊飯器には大きく分けて 4 種類の炊飯方法があります。
1.機械式炊飯器(1955~)
電熱ヒーターで内釜を直接加熱し炊飯するもっとも古くからある電気式炊飯器です。現在、生産の中心は中国、
台湾などのメーカーになっており安価なものがほとんどです。
2.マイコン式炊飯器(1979~)
加熱方法は機械式と同様ですが、制御方法は現在に繋がるマイコン式になりました。輸出される炊飯器のうち
多くを占めています。
3.IH式炊飯器(1988~)
加熱方法が電磁誘導に変わり、内釜の加熱可能面積が拡大したことでより高い火力が使用可能となりました。
日本国内でも数多く販売されており、海外では「日本製」が売りとなり高級品として扱われています。
4.高機能型IH式炊飯器
IH式の高機能型で、加熱時に釜内を高圧に保ったり、内釜の素材を工夫し「かまど」で炊いたご飯の味に近づ
けようとするなど各メーカーが最新技術を競っています。価格も高く店頭小売価格が 10 万円を超えるものも登場
しています。
4
○炊飯器の輸入について
輸入される炊飯器は輸出に比べて平均単価が低くなっています。業界によると、低単価の輸入炊飯器
にはマイコン式のものが多く、内釜の容量も小さいものが主流だそうです。
全国輸出入単価推移
円/台
輸入単価
10,000
輸出単価
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
※輸入については統計品目番号 8516.79-010(家庭において使用する電気がま)です。
○今後の展望
業界によると、日本製のIH式炊飯器は、高品質・高価格のブランドとして認知されているとのこと
です。
メーカーでは、米食文化のあるアジア圏の経済発展に伴い、今後も日本製炊飯器の購入可能な層が広
がると考えており、中国、台湾に留まらず、各国市場を開拓していくとのことです。
※本資料を他に転載するときは、大阪税関の資料に基づく旨を注記してください。
本資料に関する問い合わせは、大阪税関調査部調査統計課まで。
(電話 06-6966-5385)
※大阪税関ホームページ(http://www.customs.go.jp/osaka/)
5
【データ集】
【年別推移】
年
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
千台
373
375
394
431
400
443
488
近畿圏
数量
前年比 全国比 百万円
107.2% 98.7% 2,943
100.7% 98.8% 3,260
104.9% 97.9% 3,493
109.5% 98.6% 3,791
92.6% 98.9% 3,478
110.8% 99.2% 3,894
110.2% 98.1% 4,446
全国
価額
数量
価額
前年比 全国比 千台 前年比 百万円 前年比
113.5% 97.8%
378 106.7% 3,007 112.6%
110.8% 97.9%
380 100.6% 3,329 110.7%
107.2% 96.7%
402 105.8% 3,613 108.5%
108.5% 97.4%
437 108.7% 3,893 107.7%
91.7% 98.2%
404 92.4% 3,543 91.0%
112.0% 98.6%
446 110.4% 3,951 111.5%
114.2% 96.1%
497 111.4% 4,627 117.1%
【近畿圏主要仕向国別推移】
米国
年
数量
価額
千台 前年比 百万円 前年比
2005
140 126.0% 1,087 131.0%
2006
159 113.3% 1,310 120.6%
2007
161 101.5% 1,345 102.7%
2008
167 103.5% 1,305 97.0%
2009
131 78.3%
988 75.7%
2010
177 135.8% 1,314 133.0%
2011
178 100.2% 1,291 98.2%
中国
数量
価額
千台 前年比 百万円 前年比
5 88.8%
46 106.3%
7 139.8%
70 152.2%
10 146.1%
120 170.9%
14 144.4%
182 151.1%
19 135.2%
220 120.9%
42 222.7%
520 236.4%
64 151.4%
775 149.1%
台湾
数量
価額
千台 前年比 百万円 前年比
123 102.1% 1,045 111.2%
139 113.3% 1,282 122.6%
112 80.7% 1,110 86.6%
137 122.3% 1,295 116.7%
123 89.2% 1,143 88.2%
108 88.0%
978 85.6%
128 119.0% 1,216 124.4%
香港
数量
価額
千台 前年比 百万円 前年比
19 84.0%
153 94.5%
14 74.9%
168 110.2%
20 139.0%
222 132.0%
26 132.3%
285 128.3%
30 112.0%
380 133.3%
34 114.1%
437 115.0%
46 137.2%
609 139.4%
年
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
6
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