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青少年が持つ力を地域に活かす社会教育の工夫(PDF:239KB)

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青少年が持つ力を地域に活かす社会教育の工夫(PDF:239KB)
Ⅱ
青尐年が持つ力を地域に活かす社会教育の工夫
平成12年に発表された「21世紀日本の構想」懇談会報告書は、21世紀を「個人の世紀」
と定義している。すなわち、自由に自己責任で行動し、自立して自らを支えるたくまし
くしなやかな個が、自由で自発的な活動を繰り広げ社会に参画し、より成熟した協治(ガ
バナンス)を築き上げていく中で「新しい公共」が創出されてくると論じている。
ともすると、自分勝手で何を考えているのか、とらえどころがないと批判されがちな
青尐年であるが、彼らの発想や行動力をうまく受け止めることができれば、今までにな
い新しい視点からの地域づくりやまちづくりが可能となる。その意味でも彼らの可能性
をしなやかに受けとめ、育てていくための工夫が大人社会や行政の側に求められている。
そのためにも社会教育の核として地域にある公民館をはじめとする社会教育施設や、社
会教育行政が連携して彼らを育て、ともに新しい活動を地域の中に生み出していく工夫
が必要といえる。
1
社会教育の場に青尐年を招き入れること
「公民館利用に関するアンケート」に回答を寄せた公民館スタッフに、現在の青尐
年たちがどのようなことに興味・関心を持っているかについて自由回答を求めたとこ
ろ以下のような回答が寄せられた。
○学校生活や部活動に関すること
○アルバイトに関すること
○情報機器・情報取得と発信に関すること(例えば、インターネット、パソコン、
携帯電話、iPad、ブログの作り方)
○就職・仕事に関すること(例えば、景気回復、資格取得、将来への不安)
○ファッションに関すること(ネールアート)
○音楽に関すること
○個人の嗜好に関すること(例えば、歴女、山ガール、秋葉系など)
○自己の内面など自分自身に関すること
これら青尐年が興味・関心を示す内容を敏感にとらえ、事業に取り込むことで、青
尐年を社会教育の場に招き入れることも効果的であると考えられる。
従来の型にはまった青尐年健全育成の考え方では、現在の青尐年の興味や関心を惹
きつけることは難しい。青尐年のニーズに応えつつ、その活力を発揮させる機会をつ
くり出すことが必要である。
例えば、活動・発表の場を求めている学校のサークルや文化系部活動に場を提供す
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ることを通じて、公民館等をはじめとする社会教育の場へ青尐年を参加させる手立て
を工夫するということも一つの方法であろう。また、公民館で行われている小学生対
象の学習会や通学合宿の指導者・ボランティアとして、高校生や大学生の力を活用す
るといった方法もある。近年、新成人などを実行委員として成人式を実施している市
町村も多く、青尐年の持つアイデアが事業に活かされるようになってきている。
こうした青尐年の力を活かす活動を見守り、支援をする大人が参加することなどに
より、幅広い世代との交流も可能となる。
これまでに行われている良い事例を発展させながら、青尐年を取り巻く今日的課題
を青尐年自身が見つめ、解決に結び付けていけるようなプログラム開発や青尐年に事
業の企画・運営から評価まで任せることを積極的に推進していくことも必要なことで
あろう。
事例1
事 業
名 生涯学習まちづくり出前講座
主
催
八潮市市民活力推進部 市民協働推進課
生涯学習推進担当・ボランティア推進担当・自治文化担当
・平成6年度から実施している事業で、市内に在住・在勤・在学する
5人以上のグループや団体であれば、出前による講義を利用できる
制度である。
・提供される講座は、市民編・民間企業編・行政編など8部門があり、
内
容
市民編の一環として「子ども編」が平成12年から導入された。
・「子ども編」の内容は、市内在住・在学の小学生(高学年程度)、
中学生、高校生が自分の得意なことを教えるものとなっている。
具体的には、「ソフトボール体験」「ボートを漕いでみよう」「バ
ルーンアート」「折り紙教室」などの講座がある。
成
果
・高校生の参加により、活動の幅が広がった。
・ボランティア活動の啓発になった。
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事例2
事 業
名 0296(オオブクロ)
主
催 越谷市大袋公民館
連携・協力団体
2
Music
Festival
0296(オオブクロ)
事業
Music Festival 実行委員会
大袋地区自治会連合会、大袋地区青尐年指導員協議会、大袋地区青尐
年健全育成協議会、大袋地区コミュニティ推進協議会、埼玉県立大学
内
・大袋公民館の呼びかけによって集まった約60名の青尐年による実行
委員会が企画運営をしている。
・春と夏の年2回開催しており、春はコンサート形式、夏はコンテス
容
ト形式で行っている。
・地域で活動しているアマチュアミュージシャンを対象としたミュー
ジックフェスティバルである。
成
・青尐年のニーズに合わせた事業を行うことで、「自らやっている」と
いう達成感を感じることができた。
果
・青尐年が中心となって企画運営を行うことにより、地域事業に対す
る青尐年の意識が高まった。
多様な社会体験活動の促進
今日の社会では若者のニート、フリーターの増加が見られ、正規雇用者として働き
場所を求める多くの青尐年の姿も数多く見受けられる。また、青尐年には他者や社会
に貢献しようとする姿勢が欠如しているとの指摘もある。ボランティア活動のみなら
ず、就業体験や子育て体験など早い段階で社会体験をすることは、青尐年が自分の将
来を考えたり、他者との交流や思いやりの気持ちを持てるなど、様々な面での効果が
期待できる。このことから、社会教育行政としても、学校や地域、企業などとの連携
を通じて、青尐年に対して多様な社会参加の窓口を用意し、青尐年の就業前の段階で
の社会体験活動を支援することが必要である。
そのためにも、社会教育施設は施設ごとに「学び」や「交流」の場、あるいは「居
場所」として特色ある事業を企画・実施・展開していくことが必要となる。
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事例3
事 業
名 川口市青尐年ボランティアスクール
主
川口市青尐年ボランティア育成委員会
催( 事務局:かわぐち市民パートナーステーション
かわぐちボランティアセンター
連携・協力団体
内
図書館、児童センター、保育所、病院、介護施設、青年会議所、
市民団体、NPO
など
・次代を担う青尐年のボランティアへの関心と活動を高めることを目
的に、川口市と社会福祉法人川口市社会福祉協議会が協働で実施す
るボランティア育成事業の一つである。
容 ・川口市内在住・在学の中学生・高校生・短大生・専門学校生・大学
生等25歳位までの若者が対象となっている。
・市内の様々な施設、団体がボランティア体験希望者を受け入れてお
り、平成 22 年度は 64 種類の体験コースが設置されている。
成
・7/24(土)~8/22(日)の体験期間で548人もの参加があった。
・8/30(月)に川口総合文化センターリリアで青尐年ボランティア
果
大会を実施し、521人が参加した。大会は、夏期ボランティアプロ
グラムの修了式を兼ね、青尐年の活動体験発表などを行った。
事例4
事 業
名 むさし100㎞徒歩の旅
主
催 むさし100㎞徒歩の旅実行委員会
連携・協力団体
社団法人狭山青年会議所、有限責任事業組合プラスエイム、
全国 100 ㎞徒歩の旅推進協議会
内
・小学校4~6年生を対象とした事業で、合計100㎞のコースを4泊
5日をかけて、最後まで歩き抜くことで『生きる力』を育むことを
目的としている。
容 ・地域内外の大学から30名~40名の大学生を募り、学生スタッフとし
て事業の企画運営のすべてを行っている。
・学生スタッフは、4月末から毎週日曜日、200時間を超える研修を
行い、事業をとおし自らの生きる力や社会人基礎力を身に付ける。
成
・大学生は、多くの子どもたちの命を預かるという大きな事業をやり
遂げることで、自分に自信を持ち、将来の目標の明確化や就職活動
などのキャリア開発につながった。
果 ・学生スタッフへの感謝や憧れから、参加した小学生が中学生となり
学生スタッフ研修生として参加している。
・小・中・高・大学生、保護者、地域の大人など、様々な世代間の交
流が図られている。
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3
青尐年の意見を県政やまちづくりに反映する場の設置
多くの青尐年は、このような世の中にしたいという純粋な夢や希望を持っていた
り、ボランティアなどの体験活動を通じて、地域社会に根ざす課題についても鋭い意
見を持っている。しかし、青尐年がまちづくりについて意見を表明する機会が尐ない
のが現状である。そこで、行政は、青尐年がまちづくりについて意見を述べる場を積
極的に設け、県政やまちづくりへの青尐年の参加を促進する工夫が求められる。
事例5
事 業
名
越谷市学生議会
主
催
越谷市議会
連携・協力団体
越谷市、越谷市教育委員会
内
・平成22年5月、初の試みとして市内在住・在学の大学生・大学院
生31名が参加して開催した。
・学生議員が市政に関して自分の興味・関心のあるテーマから一般
質問を行い、市議会議員が答弁に立つという模擬議会という形式
で行われた。
・質問は、駅周辺の開発問題から国際交流、福祉、男女共同参画、
救急医療、平和、教育、就業支援などの問題まで大変幅広いもの
だった。
容
・参加した学生の市政に対する意識を高めることができた。
*参考(学生の感想)
成
果
・「市政を身近に感じる良い機会となった」
・「議会というと閉ざされたイメージがあったが今回のことで多
くを知った」
・「自分たちのような学生の小さな意見に議員が耳を傾けてくれ
て嬉しかった」
・「市から事前の情報提供があり自分の生きた学びとすることが
できた」
・「今後はパブリック・コメントなどの方法でも市政に参加した
い」
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