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『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果

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『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
事例報告
KIT
Progress№24
№24
KIT
Progress
『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
Effect of Original Textbook in Basic Electromagnetics Education
藤田洋司・三上明義・前田正彦・牧野 滋・中江友久
Yoji FUJITA, Akiyoshi MIKAMI, Masahiko MAEDA,
Shigeru MAKINO, Tomohisa NAKAE
電気磁気学は電気工学の専門科目を学ぶ上の重要科目である.電気系学生の電気磁
気学学習に対する意欲と達成度向上を図るため,電気磁気学や工学基礎を教える教員
.2010 年度以降,独自教
が協力して電気磁気学の独自教科書を作成した 1-4)(2010 年)
科書を用いた授業を毎年 200-300 名の学生に対して実施している.今回,学生のアン
ケート回答結果に基づき,独自教科書導入の効果を総括した.その結果,科目履修・
教材(教科書)への「満足度」及び諸学習行動目標(ガウスの法則,アンペア周回積
分の法則の習得等)に対する「達成度」共,年々向上している傾向が見られた.
「達成
度」向上の要因として,独自教科書に基礎的演習問題を多数掲載したこと,自学自習
可能な丁寧な記述としたこと,過不足無い内容が掲載され教員が教授法改善に注力で
きるようなったこと等が考えられる.今後共,この独自教科書を用いた教育を継続し
学生の意欲と達成度向上に取り組む予定である.
キーワード:電気磁気学,教科書,カリキュラム
Electromagnetics is the important base for specialized subjects in
electrical engineering. In order to achieve the deeper understanding of
the students on Electromagnetics, the original textbooks were
published in 2010. In 2010 or later, every year, the textbooks are used
for the 200 - 300 students. Based on the student questionnaire results,
the effect of usage of the original textbooks is summarized. As a result,
the level of understanding for various learning targets (Gauss's law,
Ampere's law, etc.) was improved year by year. This improvement may
be provided by the original textbooks which contain optimized contents
and proper practice questions. It is planned to continue the
improvement of the basic Electromagnetics education using original
textbooks.
Keywords: Electromagnetics, Text book, Curriculum
1.緒言
電気磁気学が電気系学科における重要な専門基礎科目であることは言を待たない.金沢工業大学(以
下本学)の電気系学科でも初年度から電気磁気学関係科目を履修させている.しかし,電気磁気現象は
目に見えないことや学習上,種々の数学的手法を使用することから,授業内容を理解するのに苦労する
学生が多い.
そのため,
学生の学習意欲を増し電気磁気学の理解を少しでも深めることができるように,
教員は授業と学生指導に工夫と努力を重ねている.
本学の電気系学科では 2009 年度以前の入学者を対象
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
223
とする電気磁気学の授業に市販教科書 5)を使用してきた.しかし,市販教科書では紙数の関係上,内容
を理解するのに必要な数学的手法の説明,自学自習を促す基礎的な演習問題が不足していた.また初学
者にとって難解な内容も含まれていることもあり,授業でどこまで踏み込むかが個々の教員の判断にゆ
だねられていた.その結果,教授内容が教員間でばらつくことがあった.そこで,これらを改善するた
めに 2010 年に著者らが本学の独自教科書を執筆した.この独自教科書を 2010 年度以降,毎年,小改訂
を加えながら一学年 200-300 名の学生を対象に電気磁気学の授業で使用している.2015 年で使用開始か
ら 5 年目が経過した.今回,各科目の最終授業時に実施される学生のアンケート回答結果に基づき,学
生の「満足度」や学生が達成すべき行動目標の「達成度」を独自教科書導入前と後で比較し,導入によ
る効果の有無を評価する.
2.電気磁気学関連科目の履修の流れと授業アンケート内容
2.1 電気磁気学関連科目の履修の流れ
本学の電気系学科における 2011 年度以前の入学者及び 2012 年度以後の入学者が受講する電磁気関連
科目の履修の流れを表 1 に示す 6-7).受講する電気磁気学関連科目名と単位数(括弧内)を示す.表 1
において 2012 年以後入学者は一年次に電気数学という科目を新た受講するようになったように見える
が,
本科目の内容は 2011 年入学以前の入門電気磁気学の中の電気磁気学に関係する数学的内容を切り出
したものである.従って,独自教科書を 2010 年に上梓して以降,2012 年に履修の流れが変更され電気
磁気学関連学科目の習開始時期が後倒しとなったが,学生が学ぶ総単位数,教授項目に変更はない.こ
の 2012 年に行われた履修科目の整理に伴い,独自教科書も分冊化されている.
表1
電気磁気学関連科目の履修の流れ
2007-2011年入学者
2012年以後入学者
入門電気磁気学(4)
1年次
基礎電気磁気学(4)
電気数学(2)
電気磁気学(2)
電気磁気学Ⅰ(4)
2年次
電気磁気学Ⅱ(2)
3年次
電気磁気学Ⅲ(2)
* 括弧内の数字は単位数を示す
2.2 授業アンケート項目の内容
本学では各科目の最終授業時に授業改善を目的とし学生に対し授業アンケートを実施している 8).ア
ンケート項目は以下の二項目に大別される.
①学生の興味や,授業に対する満足度等に関する,全ての科目で共通する「共通アンケート項目」
②科目毎に定められる「学生が達成すべき行動目標」の達成度に関する項目
「共通アンケート項目」を表 2 に示す.
「共通アンケート項目」の内,教科書変更の影響が明確に現れ
ると考えられる,E「教科書・指導書の内容は理解のために適切でしたか」と,全体の満足度を反映する
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
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『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
K「授業を終えて,あなたはこの科目に満足していますか」の二項目が特に重要であると考え,これら二
項目の授業アンケート結果を 2007 年から 2014 年まで経年的に集計・評価した.
ここで,アンケート結果の評価対象科目は「基礎電気磁気学」
,
「電気磁気学Ⅰ」
,
「電気磁気学Ⅱ」の
三科目である.
これら三科目の「学生が達成すべき行動目標」を表 3 に示す.表 3 中,網掛け・アンダーラインで示
した項目に対するアンケート結果を今回評価対象とした.
表2
学生の興味や意欲,授業に対する満足度等に関する共通アンケート項目
学生の興味や意欲、授業に対する満足度に対するアンケート内容
A.受講前、この科目に興味はありましたか
B.最初の授業で学習支援計画書の説明を受けて、この授業の概要や進め方、身につく能力を理解できましたか。
C.授業を受ける際、熱意を持って受講し、理解するために努力しましたか。
D.1回の授業に対する予習・復習、課外学習活動はどの程度行いましたか。
E.教科書・指導書の内容は授業の理解のために適切でしたか。
F.課題またはレポート等は授業内容の理解を深めるのに役立ちましたか。
G.授業内容は学習支援計画書に沿っていましたか。
H.授業の進度は内容を理解するのに適切でしたか。
I.授業内容をよく理解するための、学習相談(オフィスアワー、チューターなど)は有効でしたか。
J.授業や学習相談を通して、教員の熱意を感じ取ることができましたか。
K.授業を終えて、あなたはこの科目に満足していますか。
表3
電気磁気学関連科目の学生が達成すべき行動目標
2008ー2011年度
(下線・網掛け部が今回の着目項目)
「基礎電気磁気学」
L.電界に関するクーロンの法則、ガウスの法
則を理解し、基本的な電位、電界の計算がで
きる。
M.導体系の静電容量および誘電体の電気分
極を理解し、静電容量および静電エネルギー
を求めることができる。
N.磁界に関するガウスの法則を理解し、基本
的な磁界の計算ができる。
O.電流がつくる磁界の概念を理解し、ビオ・サ
バールの法則、アンペールの法則を用いた磁
界計算ができる。
P.磁界が電流に及ぼす作用を理解し、電磁誘
導に関するファラデーの法則を用いた基本的
な計算ができる。
2013ー2014年達成度集計項目
(下線・網掛部が今回の着目項目)
「電気磁気学Ⅰ」
「電気磁気学Ⅱ」
L.電荷の性質、電荷間に作用するクーロン法
則が理解でき、静電界に関する基礎的な問題
が解ける。
M.電荷が形成する電界と電位の関係を理解
し、ガウスの法則を用いて種々の電荷分布に
対する電界と電位の基礎問題が解ける。
N.導体系の静電容量、静電エネルギー、複数
のコンデンサの直並列接続による合成容量に
関する基礎的な問題が解ける。
O.誘電体の電気分極を理解し、誘電体を含
む導体間の静電容量および静電エネルギーに
関する基礎的な問題が解ける。
L.電流とその周りの磁界の関係を理解し、ビ
オ・サバールの法則、アンペアの法則を用いて
基礎的な磁界問題が解ける。
M.磁界と電流の関係を理解し、磁界中にある
電流の流れている導線に働く電磁力を計算で
きる。
N.磁界が電流に及ぼす作用を理解し、電磁
誘導に関するファラデーの法則を用いた基本
的な計算ができる。
O.自己および相互インダクタンスについて理
解し、関連した基礎的な問題が解ける。
3.授業アンケート集計結果
以下に 2007 年から 2014 年にかけて行った授業アンケートの集計結果を示す.アンケートの母集団は
200-300 名の電気系の 1 または 2 年次の学生である.尚,以下に示す集計結果に 2012 年度の結果が含ま
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
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れないが,これは科目履修の流れの変更により当年度,アンケート対象科目が開講されていなかったた
めである(再履修者用科目は開講されていたが評価対象外とした)
.
3.1 共通アンケート項目とその集計結果
3.1.1 質問「教科書・指導書の内容は授業の理解のために適切でしたか.
」集計結果
この質問に対する回答選択肢は「1.適切だった」
,
「2.まあ適切だった」
,
「3.あまり適切ではなかっ
た」
,
「4.適切ではなかった」の四つである.回答選択肢毎の人数比率(パーセント)を求め,回答「1」
,
「2」
,
「3」
,
「4」の人数比率にそれぞれ 2,1,-1,-2 を掛けた数値の総和を求めた.この値はアンケー
トの質問内容に対する積極的賛同の度合と考えることができ,本稿では「ポジティブ指標(%)
」と称し
て評価した.例えば,全員が「2.まあ適切だった」と回答したとすると,その場合の「ポジティブ指
標」は 100%である.
「教科書・指導書の内容は授業の理解のために適切でしたか.
」という質問に対する「ポジティブ指標」
の経年変化を図 1 に示す.2010 年度以降,独自教科書を用いている.市販教科書を使用していた 2009
年度以前の「ポジティブ指標」が 60%程度であったのに対し,独自教科書導入初年度 2010 年度の「ポ
ジティブ指標」は前年度の値に比較し少し増大したことがわかる.さらに, 2011 年度以降では 80%を
越えている.独自教科書がより授業理解のために適切であるとの評価を受けているとの結果である.さ
らに 2013,2014 年度と年々「ポジティブ指標」が大きくなっていることも注目される.回答する学生が
毎年異なるので,2011 年以前のデータと直接比較することに慎重にならざるを得ないが,年々「ポジテ
ィブ指標」が増加していることから独自教科書作成・導入が本学学生の授業理解促進にとって良い活動
であったと考えられる.
120
ポジティブ指標
100
質問:「教科書・指導書
の内容は授業の理解の
ために適切でしたか。」
80
60
40
20
0
2006
市販教科書
2008
独自教科書使用
2010
2012
2014
2016
年度
図 1 質問「教科書・指導書の内容は授業の理解のために適切でしたか.
」
に対する「ポジティブ指標」の経年変動
3.1.2 質問「授業を終えて,あなたはこの科目に満足していますか.
」集計結果
「授業を終えて,あなたはこの科目に満足していますか.
」という質問に対する「ポジティブ指標」の
の経年変化を図 2 に示す.独自教科書導入初年度(2010 年)の「ポジティブ指標」は,その前年(2009
年度)
の値に比較すると増大しているが 2007,2008 年度の値よりも小さい値で効果があったといい難い.
しかし,2011 年度以降では「ポジティブ指標」が増加し 100%を越え,高い科目満足度を得ていること
がわかる.さらに,2013,2014 年度と年々「ポジティブ指標」が大きくなっている.年々,値が増加し
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
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『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
ていることから独自教科書作成・導入が本学生の学習上の満足度向上にとって良い活動であったと考え
ている.
120
ポジティブ指標
100
質問:「授業を終えて、
あなたはこの科目に満
足していますか。」
80
60
40
20
0
2006
市販教科書
2008
独自教科書使用
2010
2012
2014
2016
年度
図 2 質問「授業を終えて,あなたはこの科目に満足していますか.
」に対する
「ポジティブ指標」の経年変動
3.2 「学生が達成すべき行動目標」の達成度に対する授業アンケート集計結果
金沢工業大学では「学生が達成すべき行動目標」が全科目に設定されており,科目最終授業時にその
行動目標に対する達成度を学生が「1-100%」
,
「2-80%」
,
「3-60%」
,
「4-40%」
,
「5-20%」
,
「6-0%」
の 6 つ選択肢から回答する.選択肢「1」
,
「2」
,
「3」
,
「4」
,
「5」
,
「6」の各人数比率(パーセント)に,
それぞれ 1,0.8,0.6,0.4,0.2,0 を掛けた数値の総和を各アンケート項目の内容に対する「達成度(%)
」
として評価した.例えば,全員が「2-80%」の選択肢を選んだとすると,
「達成度」は 80%となる.
3.2.1 達成度(1)
質問「ガウスの法則を理解し,関連した基礎的な問題を解くことができる.
」集計結果
静電界に関する「ガウスの法則」の物理的な意味を理解し運用できることは電気磁気学学習の中で重
要な行動目標の一つである.この項目に対する学生の回答に基づく「達成度」の経年変化を図 3 に示す.
図 2 に示した「授業を終えて,あなたはこの科目に満足していますか.
」に対する「ポジティブ指標」の
経年変化と同様の傾向が見られ 2010 年度(独自教科書導入初年度)を除き,2011,2013,2014 年と「達
成度」の値が大きくなり,ガウスの法則に対する学生の達成度が独自教科書導入により向上したものと
考えられる.
3.2.2 達成度(2)
質問「導体系の静電容量および誘電体の電気分極を理解し,静電容量および静電
エネルギーを求めることができる.
」集計結果
「静電容量・静電エネルギー」
,
「誘電体の電気分極」に対する学生の「達成度」の経年変化を図 4 に
示す.本項目に対しても 2010 年度(独自教科書導入初年度)を除き,2011,2013,2014 年の「達成度」
が 2009 年度以前の値よりも大きい.
独自教科書の導入により学生の静電容量や誘電体の分極に対する達
成度が向上したものと考えられる.
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
227
%
70
達成度
80
60
質問:「ガウスの法則を
理解し、関連した基礎
的な問題を解くことがで
きる。」
市販教科書
50
2006
2008
独自教科書使用
2010
2012
2014
2016
年度
図 3 質問「ガウスの法則を理解し,関連した基礎的な問題を解くことができる.
」
に対する「達成度」の経年変動
80
%
70
達成度
質問:「導体系の静電容量および誘電体の電気分極を理解
し,静電容量および静電エネルギーを求めることができる。
60
市販教科書
50
2006
2008
独自教科書使用
2010
2012
2014
2016
年度
図 4 質問「導体系の静電容量および誘電体の電気分極を理解し,静電容量および
静電エネルギーを求めることができる.
」に対する「達成度」の経年変動
3.2.3 達成度(3)
質問「電流がつくる磁界の概念を理解し,アンペアの法則,ビオ・サバールの法則を
用いた磁界計算ができる.
」集計結果
「アンペア(周回積分)の法則」
,
「ビオ・サバールの法則」の両法則は定常電流が作る磁束密度を求
めるための重要法則である.この項目に対する学生の回答に基づく「達成度」の経年変化を評価した.
その結果を図 5 に示す.本項目に対しても 2010 年度(独自教科書導入初年度)を除き,2011,2013,2014
年の「達成度」が 2009 年度以前のものよりも大きい.アンペアの法則等に対する学生の達成度が独自教
科書導入により向上したものと考えられる.
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
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『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
80
%
70
達成度
質問:「電流がつくる磁界の概念を理解
し,アンペアの法則,ビオ・サバールの法
則を用いた磁界計算ができる。」
60
市販教科書
50
2006
2008
独自教科書使用
2010
2012
2014
2016
年度
図 5 質問「電流がつくる磁界の概念を理解し,アンペアの法則,ビオ・サバール
」に対する「達成度」の経年変動
の法則を用いた磁界計算ができる.
3.2.4 達成度(4)
質問「磁界が電流に及ぼす作用を理解し,電磁誘導に関するファラデーの
法則を用いた基本的な計算ができる.
」集計結果
「磁界中の電流が受ける力(ローレンツ力)
」
,
「ファラデー(ノイマン)の法則」に対する学生の「達
成度」の経年変化を図 6 に示す.本項目に対しても 2010 年度(独自教科書導入初年度)を除き,2011,
2013,2014 年の「達成度」が 2009 年度以前のものよりも大きく,ファラデーの法則等に対する学生の
達成度が独自教科書導入により向上したのではないかと考えられる.
80
%
70
達成度
質問:「磁界が電流に及ぼす作用を理解
し,電磁誘導に関するファラデーの法則
を用いた基本的な計算ができる。」
60
市販教科書
50
2006
2008
独自教科書使用
2010
2012
2014
2016
年度
図 6 質問「磁界が電流に及ぼす作用を理解し,電磁誘導に関するファラデーの
法則を用いた基本的な計算ができる.
」に対する「達成度」の経年変動
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
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4.結語
市販の教科書を用いて電気磁気学の基礎を教育する際に教員が感じていた「初歩的な数学的手法の説
明不足」
,
「基礎的演習問題の不足」
,
「難易度の高い内容が混在」といった問題点を改善するために電気
磁気学の独自教科書を 2010 年に執筆した.今回,授業アンケート回答結果に基づき,学生の「満足度」
や学生が授業の「達成すべき行動目標」に対する「達成度」を独自教科書導入前と後で比較し,導入に
よる効果の有無を評価した.
その結果,授業に対する学生の「満足度」
,
「達成すべき行動目標」に対する「達成度」とも独自教科
書導入の初年度である 2010 年度を除き,2011,2013,2014 年とも 2009 年度以前よりも大きくなったこ
とが確認できた.このことから,独自教科書導入が基礎的な電気磁気学に対する学生の「満足度」
「達成
度」向上に貢献していると思われる.今後共,この独自教科書を用いた教育を継続し学生の「満足度」
「達成度」向上に取り組む予定である.
参考文献
1) 中江友久,三上明義,前田正彦,牧野滋,青木克比古:金沢工業大学:
「基礎電気磁気学Ⅰ」
,
金沢工業大学(2012)
2) 中江友久,三上明義,前田正彦,牧野滋,青木克比古:金沢工業大学:
「基礎電気磁気学Ⅱ」
,
金沢工業大学(2012)
3) 中江友久,三上明義,前田正彦,牧野滋,青木克比古:金沢工業大学:
「基礎電気磁気学Ⅲ」
,
金沢工業大学(2012)
4) 中江友久,三上明義,前田正彦,牧野滋,青木克比古:金沢工業大学:
「基礎電気数学」
,
金沢工業大学(2012)
5) 山口昌一郎:
「基礎電気磁気学 改訂版」
,ISBN4-88686-229-2,株式会社オーム社(2008)
6) 金沢工業大学:
「Curriculum Guide Book 2011」, 金沢工業大学(2011)
7) 金沢工業大学:
「Curriculum Guide Book 2012」 ,金沢工業大学(2012)
8) 金沢工業大学:「平成 24 年度授業調査報告書」,
http://www.kanazawa-it.ac.jp/about_kit/24jugyou.pdf,金沢工業大学 (2014)
[受理 平成 27 年 8 月 31 日]
藤田 洋司
教授・博士(工学)
工学部 電気系
電気電子工学科
前田 正彦
教授・工学博士
工学部 電気系
電子情報通信工学科
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
230
『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
こちらに
写真の挿入を
忘れずに!!
三上 明義
教授・工学博士
工学部 電気系
電子情報通信工学科
牧野 滋
教授・博士(工学)
工学部 電気系
電子情報通信工学科
中江 友久
准教授・博士(工学)
基礎教育部 数理基礎教育課程
基礎電気磁気学教育における独自教科書活用の効果
『基礎電気磁気学』教育における独自教科書活用の効果
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