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WINGDAILY
(1)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2538号 2012年(平成24年)2月3日(金曜日) WING DAILY
Airline & Aviation E-mail News
発行所 航空新聞社:W I N G
D A I L Y 編集部
〒1 0 7 - 0 0 5 2
東京都港区赤坂 4 - 8 - 6 赤坂余湖ビル3 階
TEL(03)3796-6647 FAX(03)3796-6643
URL=http://jwing.com [email protected]
購読料半年33,600円年間63,000円(消費税含む)
【HEADLINE NEWS】
★エアアジア・ジャパン、事業許可申請を受領
首都圏初のLCC、いよいよスタートラインに
エアアジア・ジャパンが2月2日、航空局から航空運送事業の
許可を受けた。同日午後、エアアジア・ジャパンの岩片和行社長
が、航空局の長田太航空局長から、航空運送事業認可書を受領し
た。岩片社長は長田局長との会談で「安全で、しかも安心できる
ロー・コスト・キャリアをベースとして、きちんとした会社を、
必ず確立していく」と意欲をみせた。一方、長田局長は「首都圏
で本格的に就航する最初のLCC。是非、成功を期待している。
安全運航をしながら、日本の空を世界に拓く第一歩として非常に
期待している」と、エールを送った。その上で「この事業が成功
するかどうかが、日本の航空事業にとって非常に重要」との認識
を示し、航空局としても支援をしていきたい考えを示した。
エアアジア・ジャパンは、今年8月から3機のA320を使って国
内線(成田−新千歳/福岡/那覇)の運航を開始する。10月には
国際線として、仁川および釜山に就航する計画。各路線の運航頻
度は、就航先の空港と、コスト交渉等が終了してから正式に発表
する。
長田局長との会談後、記者会見に臨んだ岩片社長は「ひとつの
節目ということだが、安心できるかというと、むしろ身が引き締
まる思い。ひとつのゴールが通れたという感想ではなくて、いよ
いよスタートラインにたって、これからやらなければならないこ
とが山のようにある課題を乗り越えていく」と、航空運送事業認
可書の受領を機に、兜の緒を締め直した。
その上で、「日本でも最も安全で、最も安心して利用できる
ローコスト航空会社として評価頂けるようにしっかりとした体制
を構築したい」と話している。
エアアジア・ジャパンは、昨年7月21日に全日空(ANA)とエ
アアジア間で設立合意してから、急ピッチで動き出す。8月31日
には会社を設立し、11月には資本金を5億円(資本準備金を合わ
せて10億円)に増強。12月27日には、成田市公津の杜に運航準
備事務局を開設していた。
なお、岩片社長はANAを1月31日付で退職した。岩片社長は
「2月1日から、エアアジア・ジャパンに身も心も捧げた。自分
自身を追い込んで、しっかりとした会社を作っていきたいという
覚悟を決めた」と、己の退路を断ってエアアジア・ジャパンを成
功に導く決意をあらためて強く固めたことを明かした。
年内4機体制、4号機で新たな国際就航地など検討
2年間で10機体制へ、その後も年5-6機ペースで増機
岩片社長によると、「12月には4号機を受領する」としてお
り、その4号機を「国際線を中心に検討したい。台湾、中国は重
要なターゲット。内際線の増便や日本の航空会社が飛んでいない
ところに就航したい」と話し、とくに国際線で新規の地点開設に
踏み切ることに、含みを持たせた。
前述の通り、エアアジア・ジャパンは年内に4機体制を構築
し、来年にも5-6機を追加してフリートを拡大。「来年末には、
おおよそ10機体制を構築する」としており、「その後も5-6機ず
長田航空局長(左)から航空運送事業認可書を
受領する岩片社長(右)
つのペースで増やしていく」考えにあることを明かした。
なお、既報の通りエアアジア・ジャパンはA330も就航1年後に
は活用していくことを明らかにしていたが、「計画に変更はな
い」と、A330導入計画に変更はないとの認識を示した。
ただ、「いま私がやらなければならないことは、短距離機材で
あるA320を使った、きちんとした基盤づくりが最優先課題。ま
ずはA320による国内・国際線の短距離モデルの事業性確立に最
大の力を置く」としており、岩片社長は、まずは就航開始当初の
A320を使ったビジネスモデルの足場固めに注力していきたい方
針。
運賃はFSCの半額〜1/3目標、GW前後に発表へ
分かりやすい運賃体系構築目指す
格安航空(LCC)といえば、誰もが注目していることは、や
はり運賃。日本初の本格的LCCとして3月から運航を開始する
ピーチ・アビエーションが、ネットを使った販売を開始すると、
利用者からのアクセスが集中したことで繋がりにくくなり、イン
ターネット上ではシステムが批判される騒ぎまで起きた。
岩片社長は「現段階では具体的なことは申し上げられない」と
しながらも、「(利用者の反応が)期待外れの会社だった、思っ
たほど安くなかった、ということにならないようする」として、
「レガシー・キャリアと比べて半分から1/3程度を目安として考
えている」と話した。加えて、プロモーション運賃を設定して更
なる低運賃を設定していく考えを明らかにした。その期待の運賃
は、ゴールデンウィーク前後を目途に発表する見通しだ。
燃油サーチャージを徴収するか否かという点も、利用者は大い
に気になるところ。岩片社長は「(徴収するか)決めていない。
頂かないで済むのであれば、できれば設定したくない」と話す。
これまでの市場調査を通じて、消費者がLCCをどのように見
ているか、というと「本当はいくらかかるのか分からない、本当
にこんなに安くできるのか、乗ってみたら高いのではないか」と
(2)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2538号 2012年(平成24年)2月3日(金曜日) をみせた。
首都圏初の本格的LCCとして事業成功と
安全運航を誓ってがっちりと握手
いう声が挙がってきたという。
そのため、「運賃は出来る限り分かりやすくなければならな
い」とし、「消費者のなかで(LCCに対する)不安感は未だに
大きい。サーチャージを大幅な額で設定するということは、運賃
を分かりやすくしなければならない、という方向性とは逆行す
る。長距離バスに乗ってサーチャージを追加、とは言われない。
長距離バスと同じような感覚で乗って頂くということで言えば、
なるべく単純化していく」との認識を示した。
しかしながら一方で、「燃油価格があまりにも高騰すれば、何
らかの対応を取らなければならない」とも話しており、燃油市況
価格の状況によっては何らかの対応に踏み切ることに含みを持た
せた。
チケットの販売方法について岩片社長は「ウェブによる直接販
売が大原則。大部分がウェブで埋まらないと、我々は苦しくなっ
て成功できない」とし、「基本は100%ウェブ販売のBtoCにし
たい」との考えを明らかにした。
ただ、「季節変動などもあるため、(旅行会社に)お願いをし
ていく余地はあって、現在研究中。チケットの販売を5月の連休
前後を目途としているので、それに間に合うように研究を進め
る」としており、旅行会社からもアプローチがあることを明かし
た。
また、運賃の他に利用者として気になる点は、他社との差別化
だ。エアアジア・ジャパンは他のLCCを筆頭に、他社とは如何
に違うサービスを提供していくれるのか、という点は大いに気に
なる。
他社との差別化について岩片社長は「エアアジアが既に確立し
ているブランドがあるので、如何に日本の消費者、利用者に分か
りやすく伝えていくかということができれば、それ自体が差別化
に繋がる」と強調。確かに、コーポレート・カラーである“赤”
を前面押し出して、客室乗務員の髪型ひとつをとっても自由な雰
囲気に溢れたエアアジア・ブランドは、それ自体が日本で新鮮な
印象を受ける。
「エアアジアというブランドが持っているアジアの成長性で
あったり、自由な雰囲気、楽しさ、社員の風通しの良さ、という
ことは大変素晴らしいものがある。それを採り入れていくこと
が、効果的な競争力強化になる」と、岩片社長は競争の激しいア
ジア市場で急速な成長を遂げてきたエアアジア・ブランドに自信
事業成功の鍵、CASKは6円台目標に
成田に時間帯別着陸料設定を要望
LCCのビジネスモデルの根幹を支えるは、言わずもがな、如
何にコストを抑えるか、という点。コストを極力落として圧倒的
低運賃で勝負する。これこそエアアジア・ジャパンら、日本の新
興LCCたちが目指す、ローフェア・ローコスト(低運賃・低コ
スト)なビジネスモデルとなる。
運賃発表までに岩片社長らが取り組まなければならない最大の
課題は「コストを下げるということ」。「あくまできちんとコス
トを下げて、長続きする経営体制を構築して、利用者にまるでバ
スのように使っていただきたい。そういう評価を得てこそ、我々
が今後成長していく価値が出てくる」と、コスト低減に拘りを示
す。
エアアジア・ジャパンとしては、コストの指標となるCASK
(総コストを提供座席×運航距離で割ったもの)を「6円台とし
ていきたい」方針だ。
先行して低運賃戦略を日本で展開してきたスカイマークでさ
え、そのCASKは8.59円(2011年5月17日現在)。大手航空会社
と比べれば、圧倒的な低水準を誇るスカイマークでさえ、競争の
激しいアジア市場を席巻したエアアジア・グループの知見を採り
入れたエアアジア・ジャパンの目指すCASKとは、おおよそ2円
もの開きがあることが分かる。
岩片社長は「今の円高でエアアジアの会社と比較すると、かな
り高い。エアアジアはドルベースで、3セント台。その意味では
もっと下げていくことが必要だ」としており、6円台からの更な
るコスト引き下げにも意欲をみせた。
ただ、岩片社長は「そのままアジアと同じコストが日本で機能
するとは思わない」との認識を示している。エアアジア・ジャパ
ンは、もともとコストが高い東京・成田に拠点を構えることのほ
か、世界では例のない国内線の航空機燃料税といった公租公課の
高さ、さらに着陸料等といった空港使用料の高さもネックとな
る。
空港使用料などについては「各空港会社と交渉中」にあること
を明かしているほか、グランドハンドリング会社についても現在
選定中にあるとのことで、こうした交渉過程で、どこまで同社の
コストを抑えることができるかが、今後の事業成功・成長の鍵を
握ることになりそうだ。
運航コストを低廉化させる分かりやすい要素のひとつに、着陸
料金がある。岩片社長は「成田空港がいま現時点で満杯といわれ
ているが、使われていない時間帯というのがかなりある。例え
ば、朝の6時台、7時台の出発であるとか、あるいは昼の時間帯
にも非常に空きがある。そういった時間帯については、時間帯別
に着陸料を設定して入りやすくすることを検討して欲しいという
ことを、空港側には提案している」と、成田空港側に時間帯別の
着陸料金の設定を要望していることを明かした。
なお、拠点となる成田空港では、既存の第2ターミナルを活用
することになる模様で、国際線は既存のCIQ施設等を使用するこ
とになるが、国内線は「出来る限りローコストで、使いやすい国
内線用の場所を確保頂いて、我々が要望する条件で入居できるよ
うに交渉を行っている」として、現在は工事が進められていると
ころ。
成田空港側がLCC専用ターミナル建設構想を抱いていること
に関しては、「我々も昨年来強く要望している」として、出来る
限り早期に建設することを要望していることを明かした。
(3)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2538号 2012年(平成24年)2月3日(金曜日) 〔エアアジア・ジャパンの取締役体制〕
▼代表取締役社長(CEO)=岩片和行
▼代表取締役副社長(CFO)=窪田雅夫
▼取締役(運航管理者、オペレーション部門統括)=小田切義憲
▼取締役(機長、運航部門責任者)=富永有一
▼取締役(一等航空整備士、整備部門責任者)=宮前利宏
▼非常勤取締役(ANA取締役、オペレーション本部長)=岡田
晃
▼非常勤取締役(ANA執行役員、成田地区グループ総括)=江
塚春夫
▼非常勤取締役(エアアジア・グループCEO)=トニー・フェ
ルナンデス
▼非常勤取締役(エアアジア・グループ副CEO)=カマルディ
ン・ビン・メラヌン
▼非常勤取締役(機長、エアアジア事業開発部門責任者)=チ
ン・ニョク・サン
▼非常勤取締役(ANA企画部長)=宮川純一郎
【航空関連ニュース】
★JAL第3四半期、営業利益1616億円と高収益継続
通期業績予想では新たに1800億円に設定
JALグループは2月2日に会見を開き、平成24年3月期第3四半
期連結決算(2011年4月1日~12月31日)を発表した。それによ
ると、国際旅客の日本発旅行需要や業務需要の好調な推移によ
り、売上高が9091億5500万円となって、燃油費など各費用の削
減に加え、部門別採算制度による採算意識向上などによって営業
費用を7474億円としたことで、営業利益が1616億6100万円、経
常利益が1560億4000万円として、四半期純利益については1460
億700万円となった。
更生手続き中だった前年同期とは単純比較はできないが、前年
同期の試算では営業利益が1590億円だったとして、単純比較で
は今期営業利益は30億円弱の増加に。前回発表した通期業績予
想の1400億円を第3四半期で超え、新たに400億円を上積みした
1800億円を予想数値とした。
大西賢社長は、東大3四半期決算の評価について、東日本大震
災のインパクトから、日本発については業務渡航がかなり早く動
き出し、観光についても8月以降に円高を背景に回復傾向になっ
たものの、一方で外国発の需要については徐々に回復したが、円
高により9月以降停滞。国内線は団体・個人とも回復の程度が早
く、第3四半期にも継続して順調に推移したと、振り返り評価し
た。しかし「第4四半期までに200億円弱ほど積み上げなくては
ならないため、これからも需給状況を見ながら対応したい」と年
度末に向けて予断を許さない姿勢を示した。
稲盛和夫会長は、震災とそれに伴う放射能問題によって、外国
人旅客の足が止まり、東北への国内旅行者も大幅に減ったことか
ら、「危機的状況だと思った。4月には赤字に転落した」と述べ
つつ、各部門スタッフの努力によって回復に向かったことを評価
した。特に東北地方への臨時便の運航を高く評価し、旅客への利
便性向上や災害対応支援として、収益につなげられたと説明。一
方で部門別採算制度を2011年1月から採用したことによって、多
くのスタッフが「危機感を持って非常に細かい経営を行ってくれ
た」として、スタッフの努力によって危機的状況を脱し、上ぶれ
となったことを強調した。
連結財政状況について、第3四半期末の総資産が前期連結決算
より1600億8500万円の圧縮となった1兆464億3200万円となっ
た。これは主に流動資産における現金および預金の項目で、
1110億8300万円減少した2418億300万円となったためで、借入
金の大幅な返済を行ったことによるもの。
純資産については1430億1400万円改善となる3612億4800万
円になり、自己資本比率が15.8ポイント改善した32.3%となっ
た。有利子負債としては2532億円改善した2308億円、固定負債
の長期借入金が2190億6200万円減少した313億6400万円と、返
済を進めている。また利益は積み上がったものの、利益剰余金に
ついては1459億6600万円改善したが209億4400万円となって、
現時点では依然累積損失が残った状態。
通期予想で収入・利益とも前回より400億円上積み
良い経営状況をキープ、安心して出資できる環境を
平成24年3月通期(2011年4月1日~2012年3月31日)の連結
業績予想としては、第2四半期決算発表時の予想に比べ、収入・
利益とも400億円増とする、売上高が1兆1900億円、営業利益が
1800億円、経常利益が1700億円、当期純利益が1600億円と予想
した。これは、第3四半期において国際旅客が円高による日本発
観光需要が好調なほか、業務需要が堅調に推移したとし、国内旅
客では特便割引の利便性向上、先得割引の期間延長などにより、
それぞれ収入が想定を上回ったとし、営業費用については徹底し
た費用削減や、部門別採算制度の活用によって前回想定値に止
まったことから、同様の傾向が継続されると見込んだため。
今後は電力の問題や世界経済不安などマイナス要因が多い中
で、今年度業績見通しを上積みした理由として、大西社長は3月
の予約状況などを見ながら考慮したとして、現状では日本発の業
務需要自体は欧州などの経済不安要素の影響を受けていないこと
や、円高による日本発旅行需要の好調などを理由に挙げた。
稲盛会長は今後の情勢不安が現在好調な業務渡航に影響する懸
念について、確かに円高や燃油の上昇によって、各企業の業績は
低迷しているが、「ここへきて、海外のバリエーションをもっと
活発にしていこうというのが主ではないかと思っている」とし
て、業績は非常に悪くても業務渡航については収縮減少する傾向
ではなく、若干の強含みで推移しているとの見方を示した。
また稲盛会長は再上場に向けて、3500億円という国から注入
された資金を回収するために上場を行うと改めて説明。上場とな
ると会社の業績、投資が帰ってくるのかなどが、投資家にとって
は関心事であるとして、「経営陣としては当面の経営状況を良い
状態で維持していく。将来にわたって維持できることが分かって
いただかなくては、誰も投資をしてくれない」と述べた。さらに
「無理して収益を上げているわけではない」とも話し、大きな変
動がない限り現状を維持して、安心して出資できる環境をつくっ
ていかなくてはいけないとした。
航空運送の営業利益は1494億円に
国際旅客収入2889億円、国内は3672億円に
当第3四半期決算における航空運送事業セグメントとしては、
売上高が8169億円、営業利益が1494億円となった。そのうち国
際線旅客は27.4%減少の497万1071人で、供給面では継続的な投
入機材見直しや、需給適合による収益性改善、事業変化に対する
対応力強化に努め、例えば需要の伸びが著しいデリー線を増便す
るなど、ビジネス需要の取込みを図ったほか、回復基調にある日
本発観光需要の獲得のためホノルル線の機材を大型化するなど、
需要変動に即応した。そのため有効座席キロが21.2%減少した
320億5934万5千座席キロとなった。需要については、円高効果
などから夏以来回復している日本発観光需要の取込みとして、期
間限定運賃の設定など海外旅行需要喚起を図ったが、供給減の影
響から有償旅客キロが27.5%減少の220億6750万6千旅客キロと
(4)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2538号 2012年(平成24年)2月3日(金曜日) なり、有償座席利用率としては6ポイントダウンの68.8%となっ
た。しかしこれは、第1四半期に11ポイント悪化したことが主な
影響となっており、直近の第2・3四半期では約3ポイントの悪化
に留めている。またアメリカン航空との共同事業を積極的に推進
して、対象地域を中国−日本−米国に拡大を行ったほか、カナダ
国内線においてウエストジェット航空とのコードシェア開始な
ど、収入の極大化を図り旅客収入は2889億7800万円となった。
国内旅客は17.5%減少した2183万9478人となって、供給につ
いては国際線同様、需給適合など収益性の改善を継続的に図り、
夏期以降の国内線需要回復にあわせて、路線によって機材大型化
や増便などを実施した。有効座席キロは供給減による17.7%減少
の264億7290万8千座席キロだった。需要については自治体や企
業と連携した地域活性化策を展開、新運賃制度の対象路線拡大な
ど需要喚起を図り、有償旅客キロが16.9%減少した167億4857万
8千旅客キロ、有償座席利用率は夏以降の国内線需要回復により
0.7ポイントアップした63.3%となった。旅客収入については
3672億7500万円だった。
国際貨物については、継続して御子あっている供給減によって
国際有償貨物トンキロが44.2%減少した9億8262万0千トンキ
ロ、収入については406億1300万円となった。国内貨物は震災に
よる、航空輸送への代替などの需要に対応したが、機材のダウン
サイジングによる供給の大幅縮小により有償貨物トンキロが13.8
%減少した2億7305万8千トンキロで、収入が191億9500万円
だった。
ジャルパックは供給減少により取扱人数減少
その他事業セグメントにおいて、ジャルパックの海外旅行で
は、円高効果によってハワイ・欧州が好調に推移したが、タイの
洪水の影響などによる供給座席減少の影響を受けたとして、全体
で前年を下回った。国内旅行ではウェブ商品のダイナミックパッ
ケージが好調に推移したが、その推移が途上であったことや、供
給座席数減少の影響から取扱人数が前年を下回った。これらによ
りジャルパックの売上高が1151億円となった。
ジャルカードでは約4年ぶりの新規カードの発行やデザインの
リニューアルなどによって積極的に会員獲得活動を展開したこと
から、会員数が約12万人増の261万3000人となり、売上高が118
億円になった。
★JAL、ネットワークの定時到着率第1位で授与式
大西社長「グループ全体で成し遂げた賞」
JALは2月2日、Conducive Technology社が発行する
「FlightStats」で、2011年の国内・国際線のJALネットワーク
の定時到着率評価が1位に認定されたことから、本社においてト
ロフィーの授与式が行われた。
この度JALが選定された「MajorInternationalAirlinesOperatedandCodeshareFlights」は今回から新設された部門で、
JAL便名が付された全41万9060便では定時到着率が86.33%とな
り、各大手航空会社39社中第1位だった。
また日本エアコミューター(JAC)でも、アジア・リージョナ
ル部門で定時到着率92.6%、航空会社15社中第1位となった。こ
れは2010年のジェイエア、2009年のジャルエクスプレスに続い
ての受賞となり、1位から4位まで同グループで独占していると
して、高い定時到着立を維持している。
JALの大西賢社長は、「JALグループ全体で成し遂げた賞」と
述べ、さらに昨年は震災による臨時便運航という環境にある中で
の受賞に、現場の従業員の力と、乗客理解の賜だと評価。「航空
会社にとって定時運航は貴重な基本品質の1つ」と述べ喜びの意
左からJALの稲盛会長、JALの大西社長、Conducive
Technology社のジェフリー・ケネディー社長、JACの安嶋新
社長
を示した。
★NAAリテイリング、関連リテイリング会社を吸収合併
成田空港で免税小売業を展開するNAAリテイリングは2月2
日、NAA&ANAデューティーフリーとNAA&JAL-DFSを吸収合
併する、と発表した。合併予定日は4月1日。
同種の免税小売業を展開する3社が合併することで、仕入・店
舗・販売を一元管理する体制を構築し、効率的かつ機動的な組織
体制をつくる。
店舗のブランドは、一部を除き、NAAリテイリングの店舗ブ
ランドである「Fa-So-La」に統一する方針だ。
★関空、上海で大阪の魅力発信
東アジア・大阪魅力発信キャンペーン第一弾
大阪府と関西国際空港が設置した、大阪メディアプロモーショ
ン事業実行委員会は協力して、「東アジア・大阪魅力発信キャン
ペーン」を実施する。第一弾は、中国・上海においてプロモー
ション活動を展開する計画だ。プロモーション活動には、大阪府
の松井一郎知事が参加。都市魅力創造局長の新井純局長も加わ
る。関空会社からは、住田弘之執行役員が参加する。
大阪メディアプロモーション事業は、関西・大阪の知名度向上
や昨年3月の東日本大震災の影響で減少した、訪日外国人旅客の
回復・増加を図ることを目的としたもの。東アジアを対象地域と
した、大阪のPR映像などのコンテンツを制作している。
2月10日には、上海でプロモーション活動を展開。十戒をモ
チーフとした「大阪十戒ゾーン」を設けて、福娘、福笹、縁日を
再現し、参加者には食前酒を振る舞い、上海で大阪を体験するこ
とができるようにする。
★JTA/RAC、那覇−宮古線で4月に値下げ
スーパー先得は2900円、離島割引も9800円
日本トランスオーシャン航空(JTA)と琉球エアコミューター
(RAC)は、4月1日~4月26日搭乗分の那覇−宮古線の各種割
引運賃を値下げした。搭乗55日前までに予約することができる
「スーパー先得」は、2900円に値下げした。離島割引も9800円
に値下げされた。
なお、今回値下げされた各種運賃は以下の通り。
(5)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2538号 2012年(平成24年)2月3日(金曜日) ▼スーパー先得=2900円
▼先得割引タイプB=3000円
▼先得割引タイプA=3100円
▼特便割引3=4200円
▼特便割引1=5200~9200円
▼離島割引=9800円
【航空工業/宇宙関連ニュース】
★新明和工業、新3ヵ年方針「N C
50」を策定
飛行艇の民転受注など目標に営業利益50億目指す
新明和工業はこのほど、2012年度以降3ヵ年の
経営施策の軸となる考え方を集約した「NewChallenge50」
を策定した。この中には航空機事業の重点施策として、飛行艇事
業で「水陸両用飛行艇SS-3(防衛省運用時の型式名称US-2)
で、国内初となる民間転用機体の受注獲得」を掲げた点が注目さ
れる。また、経営組織として、経営判断の迅速化のため2012年
4月より「事業部制」を敷く、としている。新明和工業では事業
部制は2010年度に一旦廃止され、営業部門などを全社的に統合
するなどの改革が行われ、2011年からは統括本部とコーポレー
ト部門による体制で事業展開しているが、再び各機能を主要事業
毎にまとめる事業部制となる。
「NewChallenge50」の50は営業利益50億円を意味し、早期
に50億円以上の営業利益を安定して計上できる企業グループを
志向するするとの思いを表現したとしている。目標値としては、
計画最終年度の2014年度末までにグループ売上高1500億円以
上、グループ営業利益50億円以上、セグメント営業利益5%以上
を目指すことにしている。
活動方針としては、「航空機」、「特装車」、「パーキングシ
ステム」、「流体機器」の四事業を収益創出事業と位置づけ、こ
れら基盤事業の国内強化による収益の拡大と、コア技術の深化に
よるグローバル製品競争力強化による海外市場展開を図る、とし
ている。
航空機事業では飛行艇の民転受注獲得とともに、民間機事業で
はボーイング777、787型機の増産計画対応と収益拡大、さらに
海外民間航空機製造で習得した技術力を糧に新たな開発プログラ
ムの受注を目指すとしている。
また、特装車事業では東急車輌製造から買収する東急車輌特装
(現社名)を4月より子会社として協業成果の刈り取りを図る。
東急車輌特装は原発事故の放水活動で活躍した自衛隊向けの大型
消防車や空自のペトリオット関連車両などの防衛需要も扱ってい
る会社。
★新明和工業2011年度第3四半期決算、純損失21億円に
航空機部門は売上高173億、利益約2億に
新明和工業がこのほど発表した2011年度第3四半期の連結決算
は売上高が前年同期比1.9%減の742億円、営業利益が同54.3%
減の3億円、経常利益が同67.9%減の6600万円、四半期純損益は
21億円の純損失となった。損失となった理由の一部として、同
期に連結子会社明和工務店の損害賠償請求訴訟についての和解金
見込額9億円を特別損失として計上していることと、法人税率の
変更に伴い繰延税金資産8億円を取り崩し、法人税等調整額とし
て計上したことなどがある。2011年度通期の連結業績予想は、
売上高が前年度比1.7%増の1090億円、営業利益が同5.9%減の
15億円、経常利益が同1.6%減の13億円、当期純損益は9億円の
純損失を見込んでいる。去る10月25日公表の予想でに比べ、売
上高は据え置き、営業利益は5億円増、経常利益も5億円増だ
が、当期純損益は5億円の純利益から9億円の純損失へと14億円
減少する予想で、これは特別損失計上や繰延税金資産取り崩しな
どによるもの。
航空機セグメントの業績は、受注高が前年同期比6.2%増の
108億円、売上高が同8.5%増の173億円となった。セグメント利
益は1億9900万円と前年同期より4億3400万円減少した。この
内、防衛省向けは、P-1哨戒機の量産品計上がなくなり受注が減
少したが、US-2救難飛行艇の製造作業、US-1A救難飛行艇の修
理作業が増加したため売上は増加した。一方、民需関係では、
ボーイング社777型機向け「翼胴フェアリング」の納入機数が増
加したことにより、受注、売上とも増加している。なお、航空旅
客搭乗橋「パックスウェイ」は、海外大口案件が寄与した前年同
期に比べ売上が減少した。
【防衛関連ニュース】
★防衛省業務適正化委員会を開催
沖縄防衛局長問題で急遽設置
沖縄防衛局の真部朗局長が宜野湾市市長選挙について職員を集
めて講話した問題について、防衛省は公務員として中立性・公正
性に疑いを持たれるような事案を踏まえ、防衛省として隊員の業
務の遂行をより一層適正なものとするための調査および施策の検
討を行うため「業務適正化委員会」を設置し、第1回会合を2日
夕方開催した。
委員長は田中直紀防衛大臣自らが務め、委員長代行に渡辺周防
衛副大臣、委員長代理に下条みつ防衛大臣政務官、副委員長に神
風正男防衛大臣政務官、委員には事務次官、官房長以下各局長、
各幕僚長、情報本部長、技術研究本部長、装備施設本部長、防衛
監察監を指名して全省的に対応を図る。今後、必要に応じて政務
三役の招集で委員会を開催する。
★米海軍艦載機部隊移転で岩国に整備施設建設
40棟、3.1万平米建設を日米合同委員会で承認
日米安保条約の地位協定に関する日米合同委員会は2月2日、
厚木基地からの米海軍艦載機部隊移転に関連した岩国基地の整備
施設、補給施設、生活関連施設の整備について承認した。その内
容は整備場4棟、補給倉庫1棟ほか付帯施設など合計40棟、のべ
面積3万1000平方メートルを建設するもの。最大の整備場は2階
建で約1万9000平方メートルとなっている。
【海外メーカーニュース】
★エアバス、スピリットがA320を75機正式発注
A320は45機受注
エアバスは1 日(現地時間)、スピリット航空が4 5機の
A320neoを含むA320ファミリーを合計で75機正式に発注した、
と発表した。この発注は、2011年ドバイ航空ショーにて交わさ
れた覚書に基づくもの。エンジンの選定は今後行われる。
発注された新造機はスピリット航空のアメリカ合衆国国内、カ
リブ海、中南米におけるサービス拡充のため運航される。
(6)
WING DAILY(毎週月−金曜発行、祝日休刊) 2538号 2012年(平成24年)2月3日(金曜日) 【海外エアラインニュース】
★ユナイテッドHD2011年Ă純利益13億ドルĂ旅客収入9.2%増
第4四半期営業収入5.5%増、旅客収入8.2%増
ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングスがまとめた
2011年通年決算によると、ユナイテッド航空(UAL)とコンチ
ネンタル航空(COA)の合併関連費用など(=4億8300万ド
ル)を除く当該期の純利益は13億ドルを計上した。通年連結旅
客数は1億4200万人。連結旅客収入はプロフォーマ・ベースで前
年比9.0%増、通年有効座席マイルあたりの連結旅客収入は9.2%
増を計上した。
第4四半期の営業収入は、前年同期比5.5%増の89億ドルを計
上。連結旅客収入は5.6%増の78億ドルだった。連結有償旅客マ
イルは3.2%減だったが、座席供給量も2.5%減少、連結搭乗率は
81.5%だった。連結イールドは9.0%上昇。連結旅客収入は8.2%
増だった。
第4四半期の、日本路線を含む太平洋路線の旅客収入は1.7%増
の11億1000万ドル、連結旅客収入は1.1%増、イールドは4.5%
増、有効座席マイルは0.6%増だった。
★UALĂ関空―サンフランシスコ線デイリー運航再開
3月25日からの夏期スケ、週2便追加
ユナイテッド航空(UAL)は、冬期スケジュールで週5便に減
便していた関空—サンフランシスコ線において、3月25日よりデ
イリー運航を再開すると発表した。現在の同路線にはファースト
12席、ビジネス49席、エコノミークラス197席のB777型機を投
入している。
3月25日以降の運航スケジュールは以下の通り。
■関空—サンフランシスコ線(デイリー運航)
▼UA886=関空17時10分発—サンフランシスコ10時45分着
▼UA885=サンフランシスコ11時12分発—関空(翌日)15時
15分着
★独LCCエアベルリンĂ3月20日にワンワールド加盟
ドイツのLCCエアベルリンは、3月20日にワンワールド・アラ
イアンスに正式加盟すると発表した。エアベルリングループであ
る、オーストラリアのニキ航空も同日加盟する。
エアベルリンはベルリンテーゲル、デュッセルドルフ、パル
マ・デ・マジョルカをハブ空港とし、現在40カ国162地域に運航
している。ワンワールドのハブであるヘルシンキ、ロサンゼル
ス、マドリッド、マイアミ、モスクワ、ニューヨークにも運航し
ている。
【旅行関連ニュース】
★JATA再提案Ă取消料「90日前-61日前まで5%」
約款検討委Ă例外規定ăクルーズ規定取り下げ
観光庁は2月2日、標準旅行約款の見直しに関する5回目の検討
委員会を開催、旅行業界、JATA(日本旅行業協会)側から海外
募集型企画旅行の取消料率を前回までの「90日前以降61日前ま
で=10%」を「90日前以降61日前まで=5%」「60日前以降41
日前まで=10%」に変更して再提案した。
また、前回まで提案していた海外募集型企画旅行の「例外規
定」の新設、「フライ&クルーズ規定」の見直しを取り下げた。
さらに、消費者側から要望があった海外募集型企画旅行の催行
判断期限を早めることについて、現行の23日前(ピーク時33日
前)から30日前(ピーク時40日前)に1週間早めることを提案し
た。
これらに対して、消費者庁、消費者団体側は、再提案や提案取
り下げに対して、「前回までの検討会は何だったのか」「90日
前の説明の根拠が乏しい」「現行法で個別約款で対応すればいい
のではないか」との意見が続出した。
JATA側は取消料の「率」について、「LCCの台頭を考慮しつ
つ、IT運賃/PEX運賃の利用の割合を予測し平均化した結果、5
%(90日前~60日前まで」が妥当」とした。
90日前から取消料率を徴収する根拠が前回までは、PEX運賃
が全体の25%まで普及し今後も増え続けること、販管費の対価
だったが、今回は販管費が理由から消えた。また、唐突に
「LCCの台頭」が理由に盛り込まれた。
また、前回まで提案していた海外募集型企画旅行の例外規定の
新設と、「フライ&クルーズ規定」の見直しを取り下げた理由に
ついて、JATA側は「取消料表の改定の効果や実態を踏まえた改
定の必要を見定める」とした。
海外募集型企画旅行の「例外規定」についてJATAは「旅行者
にとって魅力ある旅行を企画するためには、サービス提供業者の
取消料等を『旅行を取り消した人』が負担する仕組みが必要」と
して「例外規定」の新設を要望した。
とくに、募集型企画旅行の場合は、「特別な入場チケット、需
要の高いホテル等は約款の取消料率では賄えず、キャンセルリス
クがあるため、魅力ある企画旅行の阻害要因」とし、「明示する
場合は、入場チケットだけでなく、等がツアーに掛かるホテル・
航空機など付随する旅行サービスにかかる取消料の合計額(取消
時期は関係ない)」の例外規定の新設を要望していた。
消費者側は、今まで検討してきたことを取り下げることに対す
る驚きと困惑感を隠せず、「しばらく様子を見たい」との空気が
広がっているようだ。
一方で、JATA側は海外・国内受注型企画旅行の取消料につい
て、取消料表は現行通りとして、ホテルの取消料等に「例外規
定」の導入を要望した。要望案は約款第十六条に「(なお、別途
あらかじめ契約書面に、運送又は宿泊サービスが提供するものが
定める取消料その他の金額を明示して契約する場合は、その合計
額とします。)」を追加するというもの。
次に、海外募集型企画旅行の催行判断期限を現行の23日前
(ピーク時33日前)から30日前(ピーク時40日前)に1週間早め
ることについて、JATA側は「催行判断の期限を早くすると、旅
行が催行される確率が下がり、消費者の選択の機会を奪うことに
なる。間際に催行中止になった場合代替の旅行に申し込む機会が
減る」とした。
これに対して、消費者側の委員から一般消費者からアンケート
を取るなどして、時系列に募集、催行判断、催行のタイミングに
ついて、消費者の意見を参考にしたらどうかの提案が出された。
次回の検討委員会は3月上旬の予定で、JATA側は消費者側か
ら出された意見、提案について答えていくとともに、消費者側も
これまでの議論を踏まえて検討する。
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