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28 子宮頸がんとヒトパピローマウイルス (2011.1.4)pdf
=医療協力部門情報= 2011.1.4 No.28 JA静岡厚生連 清水厚生病院医療協力部門 子宮頸癌とHPV(ヒトパピローマウイルス) 日本では毎年約 15,000 人の女性が子宮頸癌 にかかり、そのうち約 3,500 人が死亡しています。 子宮頸癌のほぼ全てがハイリスクHPV(ヒトパピ ローマウイルス)感染であることが解明されています。 HPVは主に性行為で感染します。HPV感染の多く はほとんど気づかないうちに消えてしまいますが、ご くまれに持続感染といって、ウイルスが体内に長く住 み着くことがあります。 その結果、感染した細胞が子宮頸癌に進行する 可能性が出てきます。 また、HPVは子宮頸癌の他に、肛門癌、性器癌、頭頚部癌および良性の性器疣を男女と もに引き起こすと言われています。 HPVは、皮膚および粘膜に感 染するDNAウイルスで、現在HPV には 100 種類以上の型があります が、そのうち 13 種あるいは 15 種 のHPVが癌を引き起こします。 子宮頸癌に関与の強いHPVの 型別は、16 型と 18 型です。 子宮癌の細胞 正常な細胞が子宮頸癌になるまで 性体験のある女性の 8 割は、生涯に 1 度はHPVに感染しますが、ほとんどは免疫力によっ て排除され、消失します。ごく 1 部だけが癌になりますが、HPV感染から癌になるまでは 5 年 以上かかります。その間に検診を受ければ、癌になる前に発見することが可能です。 最近話題のHPVワクチンについて 子宮頸癌の原因となる HPV の感染予防を目的としたHPVワクチンは、すでに世界 100 カ国 以上で使用されており、日本でも2009年に承認されました。ただし現在のワクチンは、子宮 頸癌の約70%を引き起こすとされる遺伝子型16型、18型の感染予防を目的としており、す べての子宮頸癌を予防できるわけではありません。 HPV感染経験のない11歳∼14歳の女児に接種することが最も効果的です。通常は 3 回 接種することで十分な予防効果が期待できるので、きちんと接種することが重要です。 国の補正予算成立に伴い、静岡市もワクチンの公費助成への予算案を可決しました。今年 の2月から実施する方針で進めています。 かつて子宮頸癌は60代の女性がかかりやすい癌でしたが、現在では30代がピークです。 20代、30代の女性で、もっともかかりやすい癌になっています。 子宮頸癌になった約75%のひとが、癌検診を受けていないといわれており、定期的に検診を 受けることをおすすめします。 *当医院の婦人科は、毎週金曜日に完全予約制で検診の受付をしております。 編集者:JA静岡厚生連清水厚生病院 臨床検査科