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北広島市高齢者の住まいの相談研修会(第2回)概要 日 時 平成 24 年 9 月 5 日 16 時 30 分~18 時 00 分 会 場 北広島市芸術文化ホール テーマ 「高齢者の自宅での住み続け 」 ~建築関係者からみたバリアフリー改修のポイント~ 講 師 恵和建築設計事務所代表 山本 明恵 氏 ( 財 団 法人 北 海道 建 築指 導 セ ンタ ー 相談 員 ) ( NPO法人 さっぽろ住まいのプラットフォーム理事長) 講演概要 はじめに 個 人 的 には 、高 齢者 向 け 住 宅 に 住み 替 える よ り 、在 宅 で でき る だけ 住 んでい た だ きた い と 考 え て お り 、ど う すれ ば 尐し で も 長 く自 宅 で住 み 続けら れ る かを 常 にテ ー マとし て い る。 「 住 み 替え 」か「 住み 続け 」で迷 う 方 がた く さんお り 、「 い つの 段 階で 」、「 いつ 決 めた ら 良 い の か」と いう 相 談が 増え て い る。様々 な 事情 で、住 み慣 れ たと こ ろに 住み 続 け るの が 難し い こ と も あ る。 特 に北 海 道 では 、 冬 のこ と を考 え ると不 安 と いう こ と が あ る。 今 日 は 、様 々 な 問題 を 取り 上 げ 、住 み 続 ける た めに 、ま た 、住 宅 改修 を 考え る 際 に何 を 基準 に 、 ど う い った 視 点で 改 修工事 を す ると 良 いか お 話 した い 。 ○尐子高齢社会における住まいの現状と多様化する暮らし ~どこで・だれと・どのように暮らす?~ ①尐子化と高齢化・・家族構成の変化・核家族・高齢者世帯・一人暮らし 超 高 齢 社 会 に 突 入 し て い る 。国 は 、今 の 高 齢 者 に 加 え 、15~ 20 年 後 の 団 塊 の 世 代 の 高齢期のことを考えて様々な施策に取り組んでいると思う。特に高齢者世帯と一人暮 ら し が 問 題 で 、孤 立 死に つ い て新 聞 紙に 載 るなど 、一 人 暮ら し の方 は 不安 に 思 って い るの で は な い かと 思 う。 ② 持 ち 家 率 の 高 さ ・・ 6 5 歳 以 上 の 約 7 割 が 持 ち 家 に 住 ん で い る 。持 ち 家 に住 み 続け た いと い う 希 望者 は 非常 に 多い。 ③ 築 30 年 以 上 の 住 宅 が 多 い ・ ・ 住 宅 ( 建 物 ) の 老 朽 化 が 進 ん で い る 昭 和 48 年 の オ イ ル シ ョ ッ ク の 頃 、 暖 か い 住 宅 を 作 ろ う と 多 く の 住 宅 が 建 て ら れ た 。 そ う し た住 宅 に住 む 方は、大 体 80 歳 を 超え て いる 。老 朽 化で 維 持管 理 費が 非 常 にか か って く る 時 期 に、 住 み手 側 の高齢 化 が 重な っ てく る 。家を ど う する か の 相 談 が非常 に 多 い。 ④地域コミュニティの希薄化 地域とのつながりが非常に尐なくなっている。住み続けていると誰か彼か 周りにいるが、 住み替えると新たなコミュニティを作らねばならない 。それは段々年を取ってくると難しく なる。女性ならまだ良いが、特に男性の一人暮らしになるとほとんど繋がりがなくなっ てい る と い う問 題 があ る 。 ⑤加齢による先行きの不安 在 宅 で 問題 な のは 、誰 が介 護 を する か 、在宅 で 暮ら し た いと い う本 人 の気持 ち を どこ ま で叶 えてあげられるのかということ。在宅での介護というものが進まない限りは、家で暮らした い と 思 って も 難し い 。 ただ、これは家族関係にも原因があり、特に北海道の場合は、家族関係が希薄と言われて いる。子供が本州の学校に行き、そのまま就職して戻ってこないという例が多い。子供と一 緒に暮らすのは諦め、自分達だけの生活を早い段階から 親は考えている。人生後半の夫婦二 人での暮らし、一人になった時どうするかという問題を、他の県などよりも割り切って考え る の も 北海 道 人の 特 徴では な い かと 思 う。 ⑥高齢になっても住み慣れた地域で、家で暮らし続けたい希望が多い 色 々 な アン ケ ート で は、住 み 慣 れた と ころ に 住み続 け た いと い う希 望 が多い 。 1 ○住まいの選択(終の棲家) ①在宅生活の継続・・できるだけ自立した生活を長く続けたい 最 近 は 「 終 の 棲 家 」 と し て 、 最 終 的 にそ こ で住 み 続 けら れ るの か が 課題 。 ②住み替え・・今の家では住み続けられない事情もある 同居家族がいない。介護者 の高齢化。冬の暮らしが困難。健康不安。建物の老朽 化で維持 管 理 費 がか か る と い う問題 が あ る 。 例として、無落雪屋根にして除雪を軽減したいという相談がある。費用は、規模等にもよ る が 、 大体 200 万円 くら い か かる 。 年齢 に もよる が 、 あと 何 年住 む か。元 を と ろう と する と 大 変 で 、業者 に 毎年 5 万円 ず つ 除雪・ 排 雪 に支 払っ た と して も 40 年 で きる 。リ フ ォー ム にお 金をかけても、果たしてそれが必要か。何でもかんでもリフォームすれば良いというもので はない。必要に応じてやってみようと提案すると、不便なところから取り組んでみる気持ち になる。どれだけ住み続けるのか、これから先のことを どれだけ予測するかということに繋 が っ て くる 。 ③施設生活・・医療・福祉サービスを望む 最近は、サービス付き高齢者向け住宅が増えてきている。施設によっては、家族の出入り がほとんどなく、多くは介護保険を使っている方が入居し、 そこに来るのは、デイサービス の車や救急車というところもある。そういう環境が、終の住処として幸せなのか考えさせら れ る が 、特 に 札幌 で は、流 れ と して 、 そう い った 施 設 が たく さ ん建 っ て きて い る 。 年をとってから子供と一緒に暮らす事例も最近増えている。リフォーム して二世帯住宅に したいという方が尐しずつ増えてい る。昔は、息子や娘が結婚し子供ができ、住宅ローンの ことを考えると親の土地に建てた方が、土地代がかからないので二世帯住宅を建てる例が多 かった。 最 近 、尐 し変 わ って き て 、団 塊 世 代の 方 が、親が 85 歳 くら い で、親 のこ と も 心配 、子 供も 出て行って戻ってこない、自分たちも体力的に厳しくなってきた。別々に暮らす2つの家族 が、親を移動させるのではなく、子供達の方が親の方に移動し、リフォームして一緒に住む ということが増えてきた。親のことが心配で側にいたい、 時々介護もしたい、一緒に暮らし た方が便利だ。そういったリフォームが増えて いるように思う。どこに誰と住むのか、どう い う 形 で住 む のか が これか ら の 課題 と 思う 。 ○高齢期の住まいの視点・・・高齢者の特性を知る 加齢による身体的、精神的機能の変化(運動機能・感覚機能・生理機能・精神機能) 高 齢 者 や 障 が い 者 の 身 体 、 病気や障がいの進行程度、予後を 知 る 必 要 。 住 宅 改 修 は 、 建築だけでは解決できない。必ず福祉・医療関係者と連携しなければ、本当にその人のため の改修は難しい。最近では、身体や病気の状態に応じ、どういうことに気をつけなければな ら な い か考 え て取 り 組んで い る が、 そ れで も 10 人 い れ ば 10 人 様々 で 、毎 回 が 勉強 。 高齢 者 や 障 が い者 の 視点 を 把握で き な けれ ば 、よ り 良い住 宅 改 修に は 繋が ら ないと 思 っ てい る 。 ○家庭内(住宅内)事故の多発とその原因は住まいの中にある 家庭内での事故は増えている。 老朽化した、バリアフリーになっていない建物の中で、事故が 起 き て いる 。 事 故 の 例( 件 数 の 多 い順) ・浴室内での溺死 ・平面上でのスリップ・つまずき・転倒 ・家具等のぶつかり ・階段からの転落 ・屋根・バルコニーからの墜落 ・火災による焼死 浴 室 で の溺 死 が意 外 に多い 。昔の 浴 槽は、跨 ぐのが 大 変 だが 中 に入 れ ば安定 し て い た 。北 海 道 は 寒 い ため 、どん ど んユニ ッ ト バス に な り 、入りや す い が浴 槽 が大 き く 、浅 く 、横長 に 広が っ て い る 。逆に そ れが 、高齢者 は 足 が届 か ず、浮 いたよ う な 状態 に なり 滑 ってし ま う 。周 り に気 づ く 人 が い れば 良 い が 、一 人暮 ら し や、高齢 の 夫婦 で 一 人 が 2 階 に いて 気 づかな い 場 合が あ る。ヘル パ ー さ んが い る時 に お風呂 に 入 りた い とい う 方がい た 。何 か あっ た 時に 声を 出 せ ば助 け ても ら え る か ら 。特 に 持病 の ある方 は 、 心臓 麻 痺な ど で 亡く な る 方が 多 い。 そ の 次 に多 い のが 、平 面で の つ まず き、ス リッ プ事 故 。カ ー ペッ ト やコ ード 等 で つま ず き、骨 折 し 、寝た き りに な っ てし ま う 。高 齢 の方 の 家を訪 問 す ると 物 が溢 れ て いる 。な かな か 自分 で 片 2 付 け ら れず 、危 な い生 活を し て いる 。防 災 の関 係で も 、家 の 中を 尐 し片 付け て 、危 な い所 に は物 を 置 か ない よ うに 言 われ て い る 。 階段は、降りる時が危ない。骨折すると治りも悪い 。目の前に物を持って降りるのは 、慣れ て い る はず で も 非 常 に危険 で あ る。 屋 根 や バル コ ニー か らの転 落 は 、除 雪 時な ど 北海道 独 特 なの か もし れ ない。 こ う い った 家 庭内 事 故があ る こ とを 常 日頃 、 意識し て お く必 要 があ る 。 ○北海道の住まいの特徴と問題点~在宅生活の不安要素~ 住 ま い の バ リ ア と は ・ ・ 住まいの歴史と関連している。最近の家では、かなり尐ないが、築 30 年 以 上の 家 は、 ま だま だ バ リア だ らけ に なって い る 。 ①段差が多い(生活様式・伝統・寒さ防止) 段差は、日本家屋の特徴・伝統で、北海道のような寒冷地において は寒さ防止のためだっ た 。 雪 や基 礎 の 高 さ の関係 で 、 外か ら 玄関 に 入るだ け で 2~ 3 段、 傾 斜地で は 7~8 段 の階 段 を 上 が る。 1 階 が 車庫 で、 2、 3 階 が 住宅 に なって い る とこ ろ は、 高 齢にな っ た らど う する の かと不安に思う。そうした住宅で、ご主人が脳卒中などで倒れて入院し、自宅に戻る時にエ レベーターを付けた例もある。費用もかかり、なかなか難しい。敷居の小さな段差は、冷た い 風 を 防ぐ た めで も あるが 、 わ ずか 1cm から 1.5cm の とこ ろ につ ま ずいて し ま う。 「 段差 が あった方が健康に良い。」という人もいるが、外にはいくらでも段差がある ので、家には段 差 は な い方 が 安心 し て住め る と 思う 。 ②狭い(尺貫法の現存) 最近はメートル法で建てられているものもあるが、まだまだ尺貫法は抜けていない。何が 問題かというと、車椅子になった時に幅が狭い。歩行困難になった時に手すりを両側に付け ると、すれ違うのが難しい。 トイレも以前は狭かったが、最近は広くなってきており、暖か く 良 い 場所 に 作る よ うにな っ て いる 。 ③遠い(風習・習慣) ト イ レ 、お風 呂 が寝 室 や居 間 か ら遠 い 。風習 や 習慣 で 、不 浄な も のを 遠 くに 追 い やっ て いた。 家 の 一 番良 い 場所 は 、リビ ン グ やあ ま り使 わ ない座 敷 に なっ て いる 。高 齢に な る と 、玄 関 脇の ト イ レ に行 く のは 不 便であ る 。あ る例 で は 、トイレ が 玄 関の す ぐ側 に あり、暖 か く しよ う と断 熱 材 を 入れ て 改修 し たが、住 ん で いる 方 にな か なか 使 っ ても ら えな か った。行 っ て みる と 、廊 下 が 寒 いた め 、結 局 、ポー タ ブ ルト イ レを 使 ってい た 。部分 だ けの 改 修で、つ な がっ て いな い と 使 っ ても ら えな い という こ と があ る 。 ④寒い(地域性・寒冷・積雪) 今 の 家 では 、断 熱材 は 100mm は 入っ て いる が 、35 年 以 上前 の 家 に は 、50mm 程 度 しか 入 って い な か った 。100mm の厚さ の と ころ に 50mm し か入 っ て いな い と、下の 方に は 溜 まっ て いる が 、 上の方はスカスカになっている。床の冷たさが特に感じやすく、断熱材が落ちて、そこに風 が 入 っ てく る 。断 熱 改修 の 事 例 は非 常 に増 え てい る 。 ま た 、 高齢 に なる と 、 積雪 で 外 出が で きな い 、 除雪 が で きな い とい う 問題が あ る 。 こうしたバリアが住み続ける時の問題にな る。一つひとつ解決できると、もう尐し長く住み続 けることができると勧めているが、 「それでは改修しよう」という方は、なかなかいない。そ れ に は 、い ろ いろ 事 情があ る 。 改造したいが課題も多い ① 費 用 が か か る ・・ ほと ん ど の方 が 年金 生 活 で、せ い ぜ い 300 万か ら 500 万 円 くら い しか 出 せ ない。もっとお金があっても不安で出せない。どれだけ生きるかと先が見えてくれば、それ だ け お 金を か けて 誰 も一緒 に 住 んで く れな い なら 、 い ず れは 住 み替 え てしま う 。 60 代 の夫 婦が 2 階 建 ての 建 物 を断 熱 改修 す る際、 使 っ てい な い部 分 の改修 を す る必 要 があ る の か と考 え、1 階だ けを 改 修 する こ とに な った。子 供 に 改 修に つ いて 相談 す る と反 対 され る 例 も あ った 。一緒 に 住んで く れ るわ け でな い のなら 、必 要な と ころ だ けを直 せ ば 良い と 思う 。 ② 改 造 の 必 要 性 と 効 果 が 分 か ら な い ・ ・ は た か ら 見 る と 家具一つ動かせばもっとスムーズ に通れるのに、住んでいる人は気づかない。慣れてしまっている のでイメージがわかないこ とがある。新築は変わるのが当たり前と思うが、リフォームの必要性は、住み続けている住 宅 に 慣 れて い るが ゆ えに、 気 づ かな い とい う ことが あ る 。 3 ③ 住 み な が ら の 工 事 ・・ 住 みな が らの 工 事 は 、ス ト レ スが 非 常に た まる。工 事の 間 の 3 週 間く らい、ウィークリーマンション等に住んだ方が、ストレスがたまらないと思う。 工事の間、2 階 に 住 むこ と もあ る と思う が 、水 が 使え な い時 もあ り 、工 事 の音 、ゴ ミ、特 に 一 人暮 ら しの 方 に と っ ては 、い ろい ろ な人 の 出 入り が 怖い と 感じ る 。一 つ の工 事 にも 設 備屋 、大 工 さん 、塗装 、 電 気 な ど、 多 くの 方 が関わ っ て いる 。 でき る だけ負 担 の 尐な い 方法 が 良いと 思 う 。 ④ ど こ に ・ だ れ に 相 談 す れ ば い い の ・ ・ 相 談の 問 題 は、 ま ず、 ど こに相 談 す れば 良 いの か 分 か ら な いと い うこ と 。(財 )北 海 道建 築 指導 セ ンタ ー は 知ら れ てき て いる が 、現地 調 査は や って い な い 。 NPO( さ っ ぽ ろ 住 ま い の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム ) で は 、 一 部 の 地 域 で 現 地 調 査 を 行 っ て い る。 住 ま い の相 談 の問 題 は、建 築 だ けで な く福 祉 の問題 な ど 様々 な もの が あり 、た らい 回 し にさ れ 、 な かな か 解決 に 繋がら な い とい う こと 。 逆に 多 様 な メン バ ーを 揃 えれば い い じゃ な いか 。 そ う い う目 標 で NPO を立ち 上 げ た 。皆 さ んに 利 用し て も らい 、ど れか 一 つず つ で も ア ド バイ ス し て 解 決で き ると 、 もっと 早 く やれ ば 良か っ たとい う 声 がほ と んど で ある。 ○高齢期の住まいの目的と基本性能 ①生活の豊かさ(自分らしく、普通の暮らし) 特 別 な 生活 で なく 普 通の生 活 。自分 ら しく 暮 らす 。今 ま で やっ て きた こ とが継 続 で きる よ うに 。 ②移動を楽に(行きたいときに、行きたいところへ安全に行ける) 物 が 一 杯で 歩 きに く い場合 、片 付け る だけ で も、移 動 の 確保 が でき る 。改修 せ ず に、工 夫や ア イ デ ィア で 解決 で きない か 考 えて い る。 改 修には 、 お 金も か か り 、 ストレ ス も たま る 。 例 と し て 、手 す りを つ ける 時 、同 居家 族 の邪 魔 にな る 場 合も あ る が 、食 卓テ ー ブ ルや ソファ ー 等 を 利用 す れば 、ち ょう ど 良 い高 さ で 、手 す りの 代 わ りに な り 、移 動 が楽 に な る 。こ のこと は 、保 健 婦さ ん から 教 えて も ら った 。そ うい っ た提 案 を する と 、そん な に変 え な くて 済 む場合 も あ る 。あ ま り大 幅 に変え る の では な く、 「 ちょこ っ と リフ ォ ーム 」 と呼ん で い る。 行 き た い時 に 、行き た いと こ ろ へ安 全 に行 け る 。理 学 療 法士 の 先生 に 言われ た の は 、「 心 が 動 く リ フォ ー ム」。心 が動 き 、生活 意 欲が 湧 くリフ ォ ー ムに つ なげ て い くと い う こと 。家の 中 で 自 由 に移 動 でき る ように な る と、 次 は外 に 出てみ た く な る 。 ③暮らし全般の安心と安全(防災・防犯・避難) 東 日 本 大震 災 を契 機 として 関 心 が高 ま った 。も ちろ ん 耐 震改 修 も必 要 だが、家 の 中 にい る と は 限 ら ない 。ま ずは 自 分の 身 を 守る 。生 き延 び ると い う こと 。逃 げら れ れば い い とい う ことに ポ イ ン トを 置 いて 、 家を直 す 時 も防 災 、防 犯 に配慮 す る 。 北 海 道 の家 は 高断 熱・高気 密 な ので 、窓 もペ ア ガラ ス に なっ て いる 。い ざと な っ たら 避難で き る よ うに 、1 箇 所だ けで も 、引 き 戸に し てお くと 良 い と思 う 。引 き戸 は大 き く なる と 重い が 、 荷 物 の 搬入 に も便 利 である 。 ④快適と健康(寒さ、暑さの解消・通風・日照・採光・使い易さ・色) 意 外 と 気づ か ない の が、寒 さ 暑 さの 解 消 や 風 通し。今 年 のよ う に暑 さ が続く と 、北海 道 の家 は 、冬 に備 え 、窓 が 尐なく 小 さ い た め 、南 北 に風が 通 ら ない と 、熱 が こも り 、熱 中症 に なっ て し ま う 。北側 に 小さ く ても 窓 が ある と 風通 し が良 く な る 。これ か らは 本 州並 み の 夏が 来 る可 能 性 も あ るの で 、 配 慮 する必 要 が ある 。 ⑤生活の継続(意欲的で自立した暮らし) 尐しでも自立した気持ちになれる、次のステップに進める住宅改修に持っていく。 ○安心・安全な住まいと暮らしやすい環境づくりをめざして ① 住 宅 改 修 に は き っ か け が あ る ・ ・ ガ イ ド ブッ ク は 数 多 く あ る が 、リフ ォ ー ム の 手 順 が 分か ら な い。間 違っ た 進め 方 で 失 敗 して い る方 が たくさ ん い る の で、こ の冊 子で リ フ ォー ム の流 れ 等 に つ いて 解 説し て い る。何 を 選択 す るの か、優先 順 位 をつ け るの か は、住 み 手 側の 問 題。リ フ ォ ー ムの 目 的を 持 つ必要 が あ る。きっ か け として 、ご主 人 の退 職 や 両親の 高 齢 化 、自分 達 が 何 か 身 体的 に 弱く な った 、 障 害 が出 て きた 、 屋根の 雪 が 落ち な くな っ た 等が あ る 。 ② 自 分 流 の 暮 ら し を イ メ ー ジ す る・・無 理 の ない 自 分 の暮 ら しの イ メージ を 持 つ と い うこ と 。 ③ 今 後 の 予 測 と 準 備 、予 防 は 早 め に ・・ 障 害を 持 っ てか ら では な く、家 庭 内 での 事 故な ど は 、 も う 尐 し先 に 準備 し ておけ ば 防 げた の かも し れない と い うこ と があ る 。 4 ④ 情 報 の 収 集 ( 福 祉 用 具 ・ 支 援 サ ー ビ ス の 活 用 も 視 野 に 入 れ て ) ・ ・ 福 祉用 具 にも い ろい ろ種類がある。住宅改修だけで全て解決できるものではなく、人的サービスや福祉用具の活 用 を 並 行し て 考え る 必要が あ る 。 ⑤ 地 域 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・ 助 け 合 い ・ 人 付 き 合 い ・ ・ マンションの多い地域では、ほと んど町内会に加盟していないところもあり、時々、一人暮らしの方が亡くなっていることが ある。一歩踏み出して外に出れば 、人付き合い、コミュニケーションをとれるが、なかなか できない人はいる。それをどうしていくか。「地域で」と皆さん言うが、なかなか難しい。 家族もあまり来てくれない。コミュニケーションを積極的にとっていかないと住み続けるの は 難 し い。 ○『北海道の住まいのリフォームガイドブック』について リ フ ォ ー ム の種 類 (大 きく 5 つ に分 類 ) ①現状の住まいの障害を解消したい ・ ・ 春先になると、冬の間大変だったので、屋根や外壁の 張 替・塗 替 の 相 談 が増 える 。日頃 か ら 問 題 箇所 を 拾 い 出 し、メモ し てお くと 、有効 な リフ ォ ー ム に つ なが る 。 ② 長 く 住 み 続け た い ③より使いやすく住みたい ・ ・ ライフサイクルの変化(例:子供がいなくなったので趣味の部 屋 に 。 一部 屋 潰し て 水回り を 充 実 す る 等) ④より快適に住みたい・ ・ 暖かく省エネに。最近相談が多いのは、オール電化の家。ここ数年 急 激 に 増え た が、原発 の問 題 も あ っ て 、深 夜 電力 が ど うな る か 、 関心 のあ る 方 が増 え てい る。 ⑤ よ り 安 全 ・安 心 に 住みた い ・ ・ 耐 震 改修 や バリ ア フ リー リ フ ォ ー ム の手 順 ① イ メ ー ジ を固 め る 自 分 達 の暮 ら しの イ メージ が 固 ま ら な いう ち に業者 に 相 談し 、業 者 の提 案の ま ま 頼ん で しま い 、出来 上 がっ て もイ メー ジ と 違う と いう 例 が多い 。家族 と 話し 合 い 、何を 目 的 とす る か、き っ ち り まと め る。 ま た、 住 ま い の点 検 や、 こ れまで の 家 の修 繕 等の 記 録を整 理 し てみ る 。 ②情報収集 最 近 は 、イン タ ー ネッ トで も い ろい ろ な情 報 が見ら れ る よう に なっ た 。他に も 雑 誌を 見 たり 、 展 示 場 や、 シ ョー ル ームに 行 っ て選 ぶ 。わ か らなく な っ たら 相 談窓 口 を利用 し て みる 。 ③契約前に 業 者 の 選定 は 非常 に 難しい 。ほと ん どの ト ラブ ルは 、業者 と のト ラ ブル が圧 倒 的 に多 い。い く つ か のポ イ ント が ある。 施 工 能力 、 施工 実 績を調 べ る 。自 分 達の 気 づかな い 提 案が あ るか 、 提 案 力 を試 す 。立 派 な会社 だ か らと い って 相 性も あ る の で、 コ ミュ ニ ケーシ ョ ン も大 事 。 ④見積 同 じ 条 件で 、同じ 内 容で 伝 え な いと 、何社 か ら見積 も っ ても ら って も 決めら れ な い 。見 積方 法 も「 一式 」で 数量・材料 が 書 いて い ない と 、何を 根 拠 に見 積 もっ た のか分 か ら ない 。後か ら 変 更 し たく て もど こ を変更 す れ ばよ い か分 か らない 。 予 算 オ ーバ ー した 時 に削れ る よ うに 見 積を 分 けても ら う と良 い 。部屋 ご とに 見 積 を出 し ても ら う と 、優先 度 に応 じ て必 要 な 工事 を 頼む こ ともで き る 。業者 は 大変 で ある が 、頼 めば や って も ら え ると 思 う。 そ うする と 、 比較 し やす い 。 ⑤ 契 約 は 一 番大 事 約 款 が つい て いな い 契約書 も た くさ ん あっ た。10 万 や 20 万円 の 工事 を する の に 契約 を 交わ さ な い 例も あ る 。口 約 束で も 契 約は 成 立す る が 、後 で 何 かあ っ た時 に 証明す る も のが な く 、困 っ て し まう 。 ⑥ 工 事 中 の 確認 現 場 を 見る の が 何 か 悪い気 が し て 、見 て いな か った と い う例 が ある 。ず っと 付 い てい な くて も 、後 で トラ ブ ルに な らな い よ う 要 所 で確 か めるべ き 。ま た、変 更す る 時は 早 め に言 う 必要 が あ る 。 言う 相 手も 職 人さん で は なく 、 責任 者 に 話す べ き 。 工 事 が 完了 し て 手 直 しがあ る の に 、お 金 を全 部 支払 っ て しま っ たら 、来 なく な っ た 例 が ある。 5 ○『住宅リフォーム事例集』について よ く あ るリ フ ォー ム で 、高 い の か安 い のか 目 安が欲 し い とい う こと で 作成し た も の 。状 況 、地 域 、 業 者に よ って 違 う ので 、 あ くま で も参 考 程度と し て ほし い 。 さいごに 高 齢 者 や障 害 を持 っ た時に 、住 み続 け るた め にどん な リ フォ ー ムが あ るか、尐 し でも 知 って お く と 役 立つ と 思う 。頑張っ て 今 の家 に 一日 も 長く住 み 、簡単 に 住み 替 えを考 え な いて ほ しい と 個 人 的 に 思っ て いる 。せっか く 建 てた 家 を大 事 にし て 住 み 続け よ うと い うこと で 、お話 を させ て い た だ い た。 あ りが と うござ い ま した 。 (質疑) Q 家を長持ちさせるために、最 低 限ど ん なこ とを す れ ば良 い か、住宅 の診 断 を する よ うな 機 関は あ る で しょ う か? A 基本的には、第 三 者機 関 的 なと こ ろに 診 断して も ら う の が 公平 で ある と 思 う。い きな り 業者 に 相 談 す ると 、 どん ど ん直す と こ ろが 加 算さ れ て しま う こ とが あ る。 今 修繕す る 必 要が あ るの か 、 あ と 何 年も つ か 診 て ほしい と い う方 も いる 。 診断を 実 施 する 機 関も あ るので 診 て もら っ てか ら 、 何 を や るか 決 めて 、業者を 探 す のが 良 いと 思 う。NPO 法 人さ っ ぽろ 住 まいの プ ラ ット フ ォー ム で も 現 地 調査 を して い る。相 談 し ても ら えた ら と思う 。 6