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ビタミンDについて

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ビタミンDについて
白人よりも紫外線に当たる時間を増やす必要があります。
Seitai Mama の
オランダ育児メモ
さらに、母乳育児をしているお母さんの場合、自分のためだ
「 ビタミン D について 」 D
VITAMINE
けでなく、赤ちゃんの為に、母乳中に十分なビタミン D を確保
しなければなりません。妊婦さんも、おなかの赤ちゃんを健康
に育てるために、通常より多くのビタミン D が必要になります。
●ビタミン D の特徴
● 日光浴でビタミン D を合成する
もともと、ビタミンという名称は、微量で人体にとって大
では、十分なビタミン D を確保するために、どれくらいの
切な働きをする、体内では合成できない物質につけられたも
時間、日に当たる必要があるのでしょうか?
のです。現在ビタミンとして認められている物質は 13 種類あ
日本に住んでいる場合ですが、前述の京都大学の報告書に
り、その働きは様々ですが、そのなかでも、お日様にあたる
よれば、一日に 10 ~ 15 分の間、顔と手に日焼け止めを塗ら
機会が少なくなるこの季節に気になるのは、ビタミン D です。
ないで、外出する。これで、妊婦さんや母乳育児中のお母さ
なぜかというと、ビタミン D はほかのビタミンとは違って、
んでも、一日に必要なビタミン D は確保されるそうです。
太陽にあたることにより、紫外線の働きを借りて、皮膚内で
赤ちゃんの場合は、日陰などの柔らかな日差しに5~ 10 分
合成されるからです。食べ物から摂取すると同時に、体内で
程度あたるだけで十分だそうです。
作りだすことで必要量が満たされます。
日焼けの害が気になるお母さんでも、これくらいなら実施
ビタミン D の摂取基準は、一日あたり一般成人で 5.5 ~ 50
できそうですね。
㎍ ( マイクログラム )、妊婦 7 ~ 50㎍、授乳婦 8 ~ 50㎍、乳
● オランダのような北国に住んでいると
児 5 ~ 25㎍となっています。
ただし、紫外線の量は、赤道から離れるほどに少なくなり
● ビタミン D の働きと近年増えているビタミン D 欠乏症 ます。2013 年 9 月に発表された、国立環境研究所の研究資
ビタミン D の一番大切な働きは、カルシウムの吸収を助け
料によると 、
『紫外線の弱い冬の 12 月の正午では、那覇で 8
ることです。赤ちゃんやこどもなど、骨格が成長しつつある
分、つくばでは 22 分の日光浴で必要量のビタミン D を生成
時期にビタミン D が欠乏すると、骨の成長が妨げられ、クル
することができるものの、緯度の高い札幌では、つくばの 3
病になって脚が曲がったり、歩行障害を起こすようになりま
倍以上の 76 分日光浴をしないと必要量のビタミン D を生成
す。2004 年、当時岡山大学大学院小児科助教授であった田中
しないことが判りました。
』ということです。
弘之医師は、近年のクル病の増加について警鐘を鳴らしてい
オランダの緯度は、ちょうど札幌くらいですね。黄色人種
ます 。田中医師によれば、全乳幼児の 3 割くらいが潜在的に
である日本人は、オランダ人よりビタミン生成能力が劣ると
ビタミン D が欠乏しているのではないか、ということです。
いうハンディがあります。それに加えて、このように、緯度
また、2008 年に京都大学の依藤亨氏らが、京都市内で生ま
的にオランダはもともと紫外線量が少ない土地柄であり、冬
れた赤ちゃんを対象にした調査では、2 割以上の赤ちゃんに、
の間は曇りや雨で直接おひさまを拝む機会も少なくなります。
ビタミン D 欠乏症によって起こる頭蓋癆 ( 頭蓋骨が弱って柔
積極的にビタミン D を摂取する、場合によってはサプリメン
らかくなる ) がみられました 。
トに頼る必要性が出てくるということです。
戦後の日本では栄養状態が悪く、ビタミン D 欠乏を予防す
● サプリメント
※1
※2
るために小学校で毎日肝油が配られていました。その後食生
活が改善され、クル病は発生しなくなっていましたが、ここ
20 年ほどの間の生活環境の変化が、新たなビタミン欠乏症を
引き起こしているようです。
※3
オランダでは、新生児から 4 歳になるまでの間、および授
乳婦には、毎日ビタミン D のサプリメントを 10㎍摂取するよ
うに勧告されています。日本では乳児用ビタミンのサプリメ
ントはまだ販売されていませんので、日本で第一子を出産さ
● ビタミン D 欠乏症の原因
れたお母さんは、オランダで次の赤ちゃんを産んだ時に、新
魚などの限られた食品中にしか含まれないビタミン D を、
生児にサプリメント ( シロップ ) を与えるように言われて、
びっ
食事だけで補うことはかなり難しいのですが、それに加えて
くりしたり、不安になったりする方もいらっしゃいます。今
アレルギーやアトピーがますます増えている現代では、食べ
回の記事を読んで、安心していただけたら、と思います。
物が制限される場合も少なくありません。そのためにビタミ
ン D が欠乏するケースも増えています。
例えば、こどもの場合、卵 1 個食べると必要なビタミン D は
摂取できるのですが、卵アレルギーのあるお子さんはとても多
いですね。また、紫外線の害を恐れて、日焼けを避けるように
なったことも、ビタミン D を不足させる大きな原因となってい
ます。もともと、有色人種は白色人種より皮膚でのビタミン D
<注記>
※ 1) http://www.47news.jp/feature/medical/news/0803vitamin.html
※ 2) http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/2008/news6/080331_1.htm
※3) http://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html
<参考>
■骨とカルシウム、ビタミンの関係について
http://jsbmr.umin.jp/kotutaisha_vitaminD.html
■ビタミン D の食事摂取基準
http://www.club-bone.jp/disease_c/c2000001.html
生成能力が劣っていますから、オランダに住んでいる日本人は、
小出 久美/ Kumi Koide:助産師・保健師・看護師・IBCLC
Seitai Mama として、産後の訪問看護(クラームゾルフ)、母乳育児相談、妊娠中から産後にかけての整体、
赤ちゃんの整体、医療通訳、を行っています。
HP: https://sites.google.com/site/seitaimama/home
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02-12-13 20:39
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