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気象衛星画像の解析と利用
気 象 衛 星 画 像 の解 析 と利 用 - 航 空 気 象 編 - 平成14年3月 気 象 衛 星 セ ン タ ー 表紙の画像(ひまわりの初画像) ひ ま わ り は 、 1977 年 7 月 14 日 米 国 航 空 宇 宙 局 の ロ ケ ッ ト に よ り 打 ち 上 げ ら れ た 。 表 紙 の 写 真 は ひ ま わ り が 初 め て 撮 影 し た 画 像 で あ る ( 1977 年 9 月 8 日 03UTC 可 視 画 像 )。 画 像 で は 、沖 縄 の 南 海 上 を 北 上 中 の 台 風 第 9 号 が 捉 え ら れ て い る 。こ の 台 風 は 沖 永 良 部 台 風 と 呼 ば れ 、 同 日 00UTC に 905hPa の 最 低 気 圧 を 記 録 し て い る 。 はじめに 我 が 国 に お け る 気 象 衛 星 に よ る 観 測 も 25 年 に な ろ う と し て い る 。 1976 年 に 気 象 衛 星 課 ( 当 時 ) で 邦 訳 し た 「 予 報 と 解 析 へ の 気 象 衛 星 資 料 の 利 用 」( 原 題 : ESSA TECHNICAL REPORT NESC51 “Application of Meteorological Satellite Data in Analysis and Forecasting” Anderson et al .,1974) を 最 初 の 技 術 書 と し 、 そ の 後も様々な技術書を刊行して雲解析の手引きとして大いに利用してきた。 2000 年 3 月 に は 水 蒸 気 画 像 な ど 新 し い 画 像 の 見 方 や 最 新 の 雲 解 析 の 知 見 を ま と め た 「気象衛星画像の解析と利用」を刊行した。 気象衛星画像は台風や低気圧などスケールの大きな現象ばかりでなく、局地的な顕著 現象の把握や予測など多方面で利用されてきている。しかし、雲解析の技術は気象衛星 センターに集約され、蓄積されてきたために、必ずしも一般的な技術として共有されて いない部分もあった。 しかし、今後はそれぞれの気象官署において気象衛星の画像あるいは雲量格子点情報 などの資料を用いて、現象をリアルタイムで把握し、理解するとともに、それを天気予 報や防災などに直ちに活かしていくことが求められるようになる。 一方、航空気象の面でも気象衛星の資料はさらに一層有効に利用されることが期待さ れている資料のひとつである。航空機の運航上、広い大洋上で遭遇する晴天乱気流に関 する情報などは極めて重要であり、こうした情報を気象衛星資料から入手することは航 空関係者共通の願いである。 今回、これまでに「気象衛星センター技術報告」や「雲解析事例集」などで報告した 事 例 、あ る い は 新 た に 調 査 し て 加 え た 事 例 を 集 大 成 し て「 気 象 衛 星 画 像 の 解 析 と 利 用 ― 航空気象編 ― 」を刊行する運びとなった。 本書には執筆担当者がこれまでこつこつと資料を収集し、調査を重ねて来たものが数 多く含まれている。航空気象関係者だけでなく、全ての気象関係者にとって大変有用な 内容であり、是非一読をお薦めしたい。 本書は第1章、第2章で気象衛星による観測の基本的な解説がされており、第3章以 降で乱気流など個々の現象について詳細な解説がされている。基礎的な部分が理解でき ていれば、必ずしも章を追って読み進める必要はない。また、各章とも具体的な事例に ついて画像を多く用いて比較的平易に解説することを心がけた。必要な時に必要な項目 を再読されることもよいだろう。 気 象 衛 星 資 料 の 解 析 と 利 用 に つ い て 、航 空 気 象 の 視 点 か ら 初 め て ま と め ら れ た 本 書 が 、 航空気象に関する予報技術の向上、安全運航の確保など多方面で有効に利用されるもの と期待している。 最後に、本書の刊行に際して原稿の執筆にあたった解析課の関係者、また原稿に対し て有益なコメントをいただいた本庁予報課及び東京航空、新東京航空、関西航空の各地 方気象台の関係者、原稿の校正等に携わった関係者の労を多とするものである。 2002 年 3 月 気象衛星センター所長 福 井 徹 郎 目 第1章 次 基礎 1.1 気 象 衛 星 に よ る 観 測 1.2 画 像 の 特 性 1.3 雲 型 判 別 第2章 衛星画像で観測される雲パターンと水蒸気パターン 2.1 雲 パ タ ー ン 2.2 水 蒸 気 パ タ ー ン 第3章 1 4 7 9 18 乱 気流とウインドシヤー 3.1 高 高 度 の 晴 天 乱 気 流 (CAT) 3.1.1 衛 星 画 像 と CAT 3.1.2 浪 雲 3.1.3 CATの 指 標 と な る 雲 パ タ ー ン 3 . 1 . 4 C AT の 指 標 と な る 水 蒸 気 パ タ ー ン 3.1.5 山 岳 波 3.1.6 衛 星 画 像 に よ る CAT 発 生 の 判 別 と 事 例 27 27 29 30 45 57 63 3.2 中 ・ 下 層 の 乱 気 流 3.2 .1 バ ウ ン ダ リ ー と 対 流 雲 列 3.2.2 風 下 波 に よ る 波 状 雲 89 91 101 3.3 低 層 の 乱 気 流 と ウ ィ ン ド シ ヤ ー 3 . 3 .1 L LW S 発 生 時 の 雲 の 特 徴 3.3.2 寒 気 場 内 の 対 流 雲 列 (筋 状 雲 ) 3.3.3 山 岳 波 に 関 連 す る LLWS 3.3.4 竜 巻 、 ガ ス ト フ ロ ン ト 及 び 海 風 前 線 107 107 11 6 119 122 第4章 4.1 4.2 4.3 4.4 対 流雲(積乱雲) 画像による対流雲の判別 対流雲の発達の条件 総観規模の現象と対流雲の発達 テーパリングクラウド 第5章 127 132 132 144 地 上風の推定 5.1 地 上 風 を 推 定 す る 方 法 5.2 寒 冷 前 線 ( 対 流 雲 列 ) 5 .3 下 層 渦 153 153 164 第6章 寒気場内の現象 6.1 寒 気 場 内 の 雲 パ タ ー ン 6.2 帯 状 対 流 雲 6.3 寒 気 場 の 雲 渦 第7章 7. 1 7. 2 7. 3 7. 4 霧 衛星画像で見られる霧の特徴 内陸の霧(放射霧) 海上の霧(移流霧) 新センサーの利用 第8章 167 173 181 193 193 196 199 火山噴煙、黄砂及び大規模森林火災 8. 1 火 山 噴 煙 8. 2 黄 砂 8 .3 大 規 模 森 林 火 災 201 210 212 参考文献 2 15 索引 221 コラム TBB、 雲 頂 温 度 及 び 雲 頂 高 度 ジェット気流 「系に相対的な流線」と雲 衛星画像と変形域 C AT 予 測 の イ ン デ ッ ク ス 8 14 23 26 28 ケルビンヘルムホルツ波 雲解析事例集と気象衛星観測月報 衛星風 富士山の乱気流 捕捉された風下波とスコラ―数 35 56 62 90 11 5 MCCと 雲 ク ラ ス タ ー 大気の不安定 航空機の被雷 ドップラーレーダーが捕らえたシヤーライン ドップラーレーダーが捕らえたガストフロント 126 139 171 179 180 黒い霧 カルマン渦 航空路火山灰情報センター 192 200 207