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感染対策マニュアル
感染対策マニュアル 感染性胃腸炎編( 感染性胃腸炎編(ノロウイルス対策 ノロウイルス対策) 対策) ~ みんなで取組 みんなで取組む 取組む感染対策 ~ 接触感染 飛沫感染 塵埃感染 備北地域保健対策協議会 感染症対策専門部会 目 次 Ⅰ 感染性胃腸炎について 1 ノロウイルスとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 ウイルスはこんな風に広がります ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 Ⅱ 対応について 1 平常時 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 流行期 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 患者発生時 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 職員の健康管理(有症者が発生した場合の対応) ・・・・・・・・・・ 5 対策解除 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2 3 4 5 Ⅲ 嘔吐物の処理手順 1 処理のポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 2 嘔吐物の処理手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 3 オムツの交換手順(感染性胃腸炎患者) ・・・・・・・・・・・・・・ 8 Ⅳ リネンの取扱い 1 物品を確実に準備する ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 2 リネン交換の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 Ⅴ 手洗いの手順・手指消毒法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 Ⅵ 手袋の着脱 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 Ⅶ ガウンの脱ぎ方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 Ⅷ 医療機器・機材 患者周囲の物品の消毒について ・・・・・・・・・・・ 16 Ⅸ 環境清掃について 1 物品を確実に準備する ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 2 日常清掃の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 3 感染症患者発生時の清掃方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 Ⅹ 消毒薬について 1 ノロウイルスの消毒のポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 手指衛生における80v/v%エタノール含有速乾性手指消毒薬の使用意義について ・・ 3 次亜塩素酸ナトリウムの取扱い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ◆ 応急処置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ◆ 濃度調整時の注意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ◆ 消毒時・処理時の注意事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 消毒薬の噴霧禁止について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 市販されている次亜塩素酸ナトリウム製剤 ・・・・・・・・・・・・・ 6 消毒薬(原液)の開封後と希釈溶液の有効期限 ・・・・・・・・・・・ 7 消毒液の作り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 20 20 20 21 21 21 22 22 23 XI 報告 1 感染症発生時の報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 2 医師の届出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 XII 1 2 3 4 5 ノロウイルス対策Q&A 症状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 平常時の対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 消毒について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 患者発生時の対応、対策の解除 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 27 27 28 29 Ⅰ 感染性胃腸炎について 微生物によって起こる、消化管症状を主体とした疾患です 原因微生物として挙げられるのは サルモネラ 病原性大腸菌 O‐157 カンピロバクター 黄色ブドウ球菌 CD トキシン etc. …そして、ノロウイルス! 1 ノロウイルスと ノロウイルスとは ◆ 主として冬季に感染症を起こす ◆ 嘔吐・下痢を引き起こす ◆ 感染経路は、主に経口感染(食品、糞口) ◆ 10~100 個のウイルスで感染が成立する (便 1g 中に 100 万~10 億個のウイルスが存在) ◆ 潜伏期間は 24~48 時間 ◆ 発症から 1~3 日で軽快する ◆ 症状消失から 2~3 週間は便の中に排泄されるため注意が必要 2 ウイルスはこんな ウイルスはこんな風 はこんな風に広がります ①手指などを介して感染 (接触感染) ③乾燥して埃になった ウイルスを吸入 (塵埃感染) ②嘔吐時の飛沫 (飛沫感染) 1 Ⅱ 対応について 対応について 早期発見、早期対策・感染症発生状況の把握に努める!! 1 平常時 ◆ 感染性胃腸炎はいつでも発生すると認識し対応に注意を払います。 ・ 一般的にウイルス性胃腸炎は冬場、食中毒は夏場に多発するといわれています。 『夏場にウイルス性胃腸炎が発生』、 『冬場に食中毒が発生』など、流行時期ではない からといって否定することはできません。 ◆ 患者・入所者の食事内容(間食も含む)の把握を行います。 ◆ 患者発生時における連絡体制(感染対策責任者等)について確認します。 ・ 休日や夜間の連絡体制も併せて整備します。 心 ょう。 ※ 感染症対策専門部会では、三次・庄原の定点医療施設からの感染症発生情報を週報 として関係機関に提供しています。インフルエンザ・感染性胃腸炎等の感染症発生 状況把握にご利用ください。 (感染対策を行う上で非常に有効です) ◆ 備北地域の感染症発生状況の把握に がけまし 保 心 ょう。 ◆ 調理場の衛生確 に がけまし 2 流行期 早 見 拡大防止のため、下記に示した消化器 ◆ ウイルス性胃腸炎流行期の冬場は、 期発 や感染 無 頻回に行います。 症状:嘔吐・下痢・嘔気・発熱・胃部不快・食欲不振等 症状の有 の確認を ◆ 看護師は、各勤務時間帯に最低 1 回、リハビリ職員は、必ずリハビリ前に患者・入所者 の症状の確認を行いましょう。 務 受付等)職員は、面会者・訪問者の消化器及び呼吸器症状の有無を確認します。 症状がある方の面会はお断りします。 ◆ 事 ( ・ 2 3 患者発生時 患者発生時 化器症状を呈した患者が発生した場合は、原因は何であれ、まずはノ ロウイルスによる感染を想定して、嘔吐物・排泄物の処理を速やかに行います。 (原因判明時には対策の継続または解除を行います) ◆ 下痢・嘔吐等の消 設 及び施設責任者に報告し、施設内の状況を常 ◆ 発生状況の確認後、施 の感染対策責任者 ようにします。 集団発生が疑われる場合や通常と異なる発生がある場合は、市や保健所の関係部署に に把握する ・ 報告します。 施設長・管理者 感染管理担当者 連絡・報告 嘔吐・下痢患者発生 (下剤服用後や常時下痢を呈する患者は除く ) 全例 ノロ患者対応 移動・リハビリ・入浴 禁止 次亜塩素酸ナトリウムを使用し環境整備をします。 食事 ※ ふとん・ポータブルトイレ・ベッド柵、周囲の物品、便器・尿器は 汚染されているものとして取り扱います。 ◆ 激しい嘔吐や下痢等の場合、個室収容が望ましいですが、個室収容については、施設内 の利用状況・患者および周囲の利用者の理解度・ADLを考慮しましょう。また、排泄 物・吐物の適切な処理、正しい手洗いの励行も重要です。 ※ ADL:日常生活動作(Activities of Daily Living)の略 3 大部屋で発生した場合、同室者の体調管理を厳重に行います。 ・ 最終曝露後(嘔吐・下痢)発症までの潜伏期である 48 時間以上経過するまで、症状 を呈していない同室者の観察が重要です。 ◆ う 例 ケ 毎 別 ◆ 感染対策をおこな 期間は事 ( ース) に個 に対応します。 持続する期間 患者の ADL や活動範囲 リスクの高い処置(ストーマ交換等) 周囲のハイリスク患者の有無 等 ・ 症状の ・ ・ ・ 迅 キットでの感染有無の判断は慎重に行いましょう。 ノロウイルス迅速キットは、現在のところ保険適用外で、検出感度は十分とは言えま せん(偽陰性の可能性もある) 。陰性の場合は、感染を完全に否定することはできま ◆ ノロウイルス 速 ・ せん。 外診断や感染対策解除を目的に、使用することはお勧めできません。 『陰性だからノロウイルスではない』と楽観視せず、キットの検出感度や他の細菌・ ウイルスの可能性も想定したうえで判断します。 ・ 除 4 職員の 職員の健康管理( 健康管理(有症者が 有症者が発生した 発生した場合 した場合の 場合の対応) 対応) ◆ 職員が下痢・嘔吐等、消 化器症状がある時には、すみやかに直属の上司へ報告を行い、 診察を受けます。 医師の 則 自宅療養(※)とします。 ・ 勤務状況により自宅療養が困難な場合は、感染管理担当者と協議したうえで特例的に 下記の業務を除く就業を検討します。 <ハイリスクなケア・処置・業務内容> 配膳業務・食事介助・口腔ケア・調理・注入食の取扱い 嚥下訓練・環境整備 等 ・ 症状が改善されても、病原体の排泄が 2~3 週間は続く場合があるため、流水による 手洗いを遵守します。 ・ 原 として症状消失後7日間は、 4 5 対策解除 通常 1 ~2日で改善します。嘔吐や下痢の回数、全身状態(体温等)を観察し ◆ 症状は、 判断します。 高齢者でたびたび遭遇します。 症状がある場合、ウイルス性胃腸炎 ウイルス性胃腸炎の 性胃腸炎の感染対策を行います。 ・ 嘔吐や下痢は、 目安にします。 感染性胃腸炎の疑いがある有症者の対策の解除は施設内の責任者と協議して決定して ◆ 症状消失 7 日後を ・ 下さい。 よび周囲の利用者の理解度・ADL、周囲への汚染の度合い等を勘案し、お おむね症状消失 7 日後を目安に対策解除とします。 なお、集団発生時の対策の解除は、市や保健所の関係部署と協議を行ってください。 ・ 有症者お ・ 油断しないようにします。 ◆ 対策解除後も へ 継続します。 対策解除後も、便の処理やトイレ使用後、食事前の手洗いを励行します。 ・ 糞便中 のウイルス排泄期間は、症状消失後も2~3週間は 《 本当に 本当に、感染性胃腸炎でいいの 感染性胃腸炎でいいの? でいいの? 》 ○ 嘔吐等 嘔吐等を を伴う疾患について 疾患について【 について【 嘔吐・ 嘔吐・嘔気= 嘔気=感染性胃腸炎でいいの 感染性胃腸炎でいいの? でいいの? 】 ・ 中枢神経・頭蓋内疾患(頭部外傷・髄膜炎・脳卒中など) ・ 消化器疾患(過敏性腸症候群、悪性腫瘍、虫垂炎、胆嚢炎、膵炎、胃潰瘍など) ・ 感染症(腹膜炎、肺炎、腎盂腎炎、胃腸炎など) ・ 薬剤性(抗不整脈薬、抗生物質、抗てんかん薬、ジゴキシン、鎮痛薬など) ・ 代謝性(糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症など) ・ その他(急性緑内障、心筋梗塞、尿管結石、心因性疾患、疼痛など) ○ 下痢 下痢を を伴う疾患等について 疾患等について【 について【 本当に 本当に、下痢= 下痢=感染性胃腸炎でいいの 感染性胃腸炎でいいの? でいいの? 】 ・ 化学療法後 ・ 抗菌薬投与後の腸炎(CD 腸炎・MRSA 腸炎) ・ 感染性胃腸炎 ・ 浸透圧性下痢(経管栄養剤など) ・ 薬剤性(制酸剤、NSAID、抗不整脈薬) 5 Ⅲ 嘔吐物の 嘔吐物の処理手順 1 処理の 処理のポイント 則 汚 病 無 関 ず み ・ 2人以上で、施行者・介助者に役割を分担して行います。 ◆ 汚染箇所へは、他の人物を近づけないようにします。 ◆ 防護具や手指の清潔・不潔面を常に意識し、適切に防護具の脱衣・処理を行います。 ◆ 原 として吐物・便等の 物は、 原体の有 に わら 、す やかに処理を行います。 2 嘔吐物の 嘔吐物の処理手順 < 必要物品 > 菌 ジ マ ク ビ バケツ、ビニール袋(黒 or 青) 、ペーパータオル 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液 (ゴーグル) ※ 必要時・嘔吐物が多い場合は、布切れや雑巾を用意する 嘔吐物処理セット 嘔吐物処理セット 通称 『 ノロセット 』 未滅 手袋、サー カル ス 、 ニールエプロン 洗 マ ク ビ この際、施行者のみ 施行者のみ二重に手袋を着用します。 施行者は、介助者から必要量のペーパータオルを受け取ったのち、汚染箇所をすみやか ① 手指衛生(手 い)を行った後、手袋・ ス ・ ニールエプロンを着用します。 ② にペーパータオルで覆い、嘔吐物を静かに拭き取ります。 垂 ように)その都度ビニール袋に入れます。 ③ 床等の汚染箇所は、肉眼的に嘔吐物が見えなくなるまで拭き取った後、内側の手袋や腕 等が汚染しないように、一枚目の手袋をはずし、ビニール袋に入れます。 ④ 施行者は、介助者から 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液を浸み込ませたペーパータオル・ 雑巾・布切れを受け取り、嘔吐物が付着した部分とその周囲を浸すように拭きます。 ⑤ 施行者は、手指や腕等が汚染しないように手袋をはずし、ビニール袋に入れます。 ビニールエプロンも同様に、清潔面・不潔面を意識しながら、手指や衣服等が汚染しな いようにはずし、ビニール袋に入れます。 ⑥ 施行者は、周囲の物品や環境表面に触れないようにしながら移動し、すみやかに流水・ 石鹸による手洗いを行います。 ⑦ 介助者は、ビニール袋 ビニール袋の表面( 表面(外側) 外側)が汚染しないように密閉して、感染性廃棄物として 拭き取ったものは、( れない 廃棄します。 ⑧ ⑨ 介助者は、手袋をはずして破棄し、周囲の物品や環境表面に触れないようにしながら、 すみやかに流水・石鹸による手洗いを行います。 嘔吐物の処理後は、換気を十分に行いましょう。 6 7 オムツの オムツの交換手順( 交換手順(感染性胃腸炎患者) 3 < 必要物品 > ゴ 汚 大 オムツ交換車・ワ ン、交換用のオムツ・ 物袋( ・小) ・手袋 レットペーパー・ビニールエプロン・手指消毒剤 直前微温湯で湿らせた脱脂綿 ( 必要に応じて、陰部洗浄用の容器 + 微温湯・病衣・リネン類 ) トイ え ① 新しいオムツや着替 等、必要物品を準備します。 ② 手指消毒剤で手指消毒を行います。 ビニールエプロン・未滅菌手袋を着用します。 ※ 下痢をしている患者さんのオムツ交換時等で、何枚も手袋が必要な場合は、あらかじ め必要な枚数の手袋をワゴンの上に出しておきます。 ④ 患者さんに今からオムツ交換を行うことを説明し、同意を得ます。 ⑤ 寝具・掛け物を汚染しないように足元にたたみます。 (もしくは邪魔にならないところへ置く) ⑥ 新しいオムツや着替えをすぐに着用できるよう開き、オムツを入れる際に縁が汚染しな いように、小さい汚物袋(ビニール袋) ※1を丸めて広げておきます。 ⑦ (患者さんの着用している) オムツのテープをはずし、オムツを広げます。 ⑧ 介助者が、患者さんを支えながら側臥位にし、体位を保持します。 ※ 排泄物が多い場合は、施行者が仰臥位である程度処理した後、側臥位にします。 ⑨ 施行者が、肛門周囲及び殿部に付着した排泄物をきれいに除去します。 ※ 必要があれば陰部洗浄・軟膏処置を行います。 ③ ( 陰洗ボトルは必ず介助者が取り扱い、介助者は直接排泄物に触れないようにします) ⑩ ⑪ ⑫ 汚染したオムツは、施行者が汚物を中に包むように丸めた後、周囲のリネンや寝衣を汚 さないようはずし、汚物袋 ※1に入れます。 施行者は、汚染した手袋をはずし汚物袋 ※1に入れます。 施行者は、手指消毒後 (介助者に代わり) 体位を保持し、介助者が新しいオムツを当てま す。 介助者が汚物袋 ※1を密閉します。 (介助者が) 汚物袋 ※1をオムツ交換車 or ワゴンの汚物袋(大)に入れた後、手袋をは ずして、同様に汚物袋(大)へ入れます。 (肉眼的に汚染がない場合も) 必ず一人ひとり 一人ひとり流水 ひとり流水・ 流水・石鹸による 石鹸による厳密 による厳密な 厳密な手洗いを 手洗いを行 いを行います。 え ⑬ オムツ・寝衣・寝具を整 た後、 ⑭ ⑮ 8 ◆ 注意事項 洗 ・ 1処置、1手袋、1手 いを徹底します。 ・ ・ 汚染した紙おむつは、絶対に床に置かず汚物袋に入れます。 オムツの清潔面・不潔面や、手袋、体の清潔部分・不潔部分を常に意識して、オムツ交 換を行います。 無 や 嘔吐・下痢の症状の有無によって、必ずオムツ交換の順序を考慮し、 施行者自らが感染源とならないよう留意します。 排尿パターンなどをチェックし、可能な限りオムツからの離脱をはかりましょう。 必ず 1 回/日オムツ交換車の清掃(0.1%次亜塩素酸ナトリウム液による清拭)を行 い、オムツ交換車が汚染源にならないように注意します。 ・ 感染症の有 ・ ・ 9 Ⅳ リネンの リネンの取扱い 取扱い <個人防護具> サージカルマスク 手袋 ( 汚染物が多い場合は、2 重に着用すること 着用することが望ましい ) エプロン ( 汚染が多く、前腕や肩など汚染する可能性のある場合は、長そでガウンを使用する ) ゴーグル ゴーグル ( 目に飛散が考えられるとき ) シューカバー ( 靴に飛散が考えられるとき ) ※ 汚染の 汚染の程度や 程度や患者の 患者の状態を 状態を考慮して 考慮して、 して、必要に 必要に応じて適切 じて適切な 適切な防護具を 防護具を使用します 使用します。 します。 1 物品を 物品を確実に 確実に準備する 準備する <準備物品> 準備物品> 交換する寝衣・下着 、 シーツ 、 オムツ 、 ビニール袋1~2 枚 次亜塩素酸ナトリウム液 、 ペーパータオル or 雑巾(使い捨て) 、 嘔吐物・下痢便付着時 :0.1%次亜塩素酸ナトリウム液 肉眼的に汚染がない場合 :0.02%次亜塩素酸ナトリウム液 ※上記 2 種類の濃度の消毒液作成が困難であれば、各消毒場面で 0.1%次亜塩素酸ナトリウムだけを使用しても良い。 水拭き用雑巾 ビ 器 、ワゴン ※ 何度も部屋を出入りしないで済むように、リネン交換用のワゴンに準備をしておくこと が望ましい。 必要時廃棄物用の ニール袋 、 感染性廃棄容 2 リネン交換 リネン交換の 交換の実施 患者さんへの負担・苦痛が少なく、清潔・不潔の作業がしやすいので、基本的に2人で施行します。 ( ※汚染が少なく、ベッド柵を持って身体を支えられる患者さんの場合は 1 人での施行も可 ) ① 手指消毒後、必要な防護具を着用します。( 汚染が多い場合はあらかじめ必要な手袋をワゴンに出しておく ) 必要なペーパータオル or 雑巾を、 予め次亜塩素酸ナトリウム液に浸して準備しておきます。 汚染の 汚染の程度によって 程度によって 長袖ガウン 長袖ガウン or 袖なしエプロン なしエプロンを エプロンを使用 10 明 ② 患者さんにリネン交換の説 を行い、速やかに交換を始めます。 ③ ビニール袋の口を外側に折り返して、汚染のないところに広げておきます。 上の段には、防護具や交換用の清潔な シーツ・病衣、清掃用ペーパー等を置き 再度嘔吐や下痢による汚染が ます 飛散する可能性があるので、 作業ワゴンの上に準備します 汚染物は床に置かず、ビニール袋 に入れて下の段に置きます だ 保持します。 2人の場合は、介助者が患者を支え、側臥位で保持します。 ④ 患者さんに側臥位になっていた き、体位を 汚染した部分に触れたり広げたりしないよ うに、汚染部分を包み込みながら、寝衣・ シーツをベッド半分まで折り込みます ※ベッドマットが汚染している場合は、0.1%次亜塩素酸ナトリウム液に浸した ペーパータオル or 雑巾で汚染部分を消毒します。 重の場合は 1 枚外す)、寝衣を着用・新しいシーツを挿入し、患者 さんを支えながら反体側に向いていただき、汚染した寝衣とシーツを外します。 (この時手袋を外した手に汚染があれば、石鹸・流水手洗いを行った後で手袋を装着します) ⑤ 清潔な手袋に交換し(2 シ 病衣を半分だけ 新しい ーツ・ 反対に向いて 汚染したシーツ・ 病衣を外します 着用します シ 直 ず ビ ⑥ 交換した寝衣・ ーツは、 接床には置か 、すぐに ニールに入れます。 ビニール袋の口は折り返して置き、 内側を持って下の段に保管します 11 ベッド柵・サイドテーブル・床頭台等の周囲環境を 0.02%次亜塩酸 ⑦ 新しい手袋を装着し、 ナトリウム液に浸したペーパータオル or 雑巾で消毒を行います。 ペーパータオル or 雑巾は袋を密封して、 速やかに感染性廃棄物として処理します 消毒施行時・施行後は、 十分に換気を行います 部分の水拭きをします。 使用した防護具を適切に外し、廃棄用ビニール or 感染性廃棄容器に入れます。 流水・石鹸による手洗いを行います。 ※ 作業途中で手が汚染した場合は、その都度流水・石鹸による手洗いを行います。 すべての作業が終了したら、リネン交換用のワゴンを 0.02%次亜塩素酸ナトリウム液で清 ⑧ 次亜塩素酸ナトリウムで消毒した ⑨ ⑩ ⑪ 掃消毒を行います。 12 Ⅴ 手洗いの 手洗いの手順 いの手順・ 手順・手指消毒法 13 Ⅵ 手袋の 手袋の着脱 手袋着用時のポイント • 手袋の中にガウンの袖口を入れて着用します。 手首に近い手のひ らの部分をつまん 外す事! 手袋の脱ぎ方 手袋の外側を触らないよ うに外します。 14 Ⅶ ガウンの ガウンの脱ぎ方 ガウンの脱ぎ方 ガウンの脱ぎ方 小さく丸めて 廃棄する。 袖口の内側に手を 入れたまま、もう一 方の袖口をつまむ。 15 Ⅷ 医療機器・ 医療機器・器材 患者周囲の 患者周囲の物品の 物品の消毒について 消毒について 目 無菌・消毒・清潔の必要性に応じて物品の処理方法 使用後の物品は、その物品の使用 的が を選択して行います。 分類 対応物品 処理方法 ク リ テ ィ カ 直接体内に 直接体内に埋め込む機材、 機材、手術や 手術や創処置 ・廃棄できるものは感染性廃棄物で廃 ル 物品、 物品、カテーテルなどの カテーテルなどの血管内留置物品 などの血管内留置物品 棄する。 ( 無菌 ・滅 菌 ・周囲 周囲の の汚染防止のため 汚染防止のため 80℃ 80℃10 分の熱 が必要な物 処理か 0.1% %次亜塩素酸ナトリウム 処理か、0.1 次亜塩素酸ナトリウム ・ 鑷子、縫合・創 傷 処置物品 品) 液で 30 分浸漬後、 分浸漬後、洗浄し 洗浄し滅菌処理す 滅菌処理す る。 高水準消毒用: 高水準消毒用:歯科を 歯科を除く粘膜や 粘膜や傷のあ ・廃棄できるものは感染性廃棄物で廃 る皮膚に 棄する。 皮膚に接する物品 する物品 ・ネブライザー、呼吸器回路、喉頭鏡ブ ・周囲 周囲の の汚染防止のため 汚染防止のため 80℃ 80℃10 分の熱 レード、エアウェイその他同様の器材 処理か 1%次亜塩素酸ナトリウム 処理か、0.0.1 次亜塩素酸ナトリウム ・ 内 視 鏡 、 そ の 他 同 様 の 器 材 液で 30 分浸漬後、 分浸漬後、洗浄乾燥処理する 洗浄乾燥処理する。 する。 保管状況によっては 保管状況によっては処理後 によっては処理後に 処理後に滅菌し 滅菌し て保管する 保管する。 する。 中水準消毒用: 中水準消毒用:健康な 健康な粘膜に 粘膜に接する物品 する物品 ・廃棄できるものは感染性廃棄物で廃 直腸温計、吸引用接続チューブ、口腔ケ 棄する。 ・周囲 周囲の の汚染防止のため ア物品、吸いのみ、共用の食器類、 汚染防止のため 80℃ 80℃10 分の熱 陰洗 ボトル、 尿 道口に 直 接 あ たる 尿器 処理か 処理か、または 0.02% 0.02%次亜塩素酸ナ 次亜塩素酸ナ トリウム液 トリウム液で 60分浸漬後 60 分浸漬後に 分浸漬後に水洗いす 水洗いす る。 ノン クリティカ ル 低水準消毒 か洗浄・清拭 ( が必要な物 品) 無傷の ・物品の材質に沿った消毒方法で処理 無傷の皮膚に 皮膚に接する物品 する物品 ポータブル便器、血圧計、体温計、聴診 する。 器、テーブル表面、タンス、床頭台、ベ ・周囲の 周囲の汚染防止のため 汚染防止のため 80℃ 80℃10 分の熱 ッド柵、手すり、体温計、ガーグルベー 処理か 処理か、または 0.02% 0.02%次亜塩素酸ナ 次亜塩素酸ナ スン、吸引瓶、おもちゃ、電気コード類、 トリウム液 トリウム液で 60 分浸漬後に 分浸漬後に水洗いす 水洗いす る。 もしくは、 もしくは、0.02% 0.02%次亜塩素酸ナトリ 次亜塩素酸ナトリ ウム液 ウム液のクロスで クロスで表面を 表面を清拭する 清拭する。 する。 (できれば廃棄処分 できれば廃棄処分できるものを 廃棄処分できるものを使 できるものを使 用することが することが望ましい。 ましい。) 16 ・便 器 ・便座の皮膚に 当 たる 部分 は ノン クリティカ ル ( 低水 準 消 毒か 洗 浄・ ・便や吐物は廃棄した後、便や吐物が な物品) ・パ ャ ・ ーツ・タオルなどリネン 0.02%次亜塩素酸ナトリウム液で清 拭する。 付 部分を拭きとり 0.1%次亜塩 素酸ナトリウム液に 30 分浸漬し水洗 着した いする。 清拭が必要 ジ マ シ 類は 80℃10 分間浸漬か 0.02%次亜塩 素酸ナトリウム液に 30 分浸漬水洗し 個別に洗濯する。 ・浴室は通常の洗剤で洗浄清掃。共同 使用では最後に入ること。 ・食器は個別使用し 80℃10 分の熱水処 理か、0.02%次亜塩素酸ナトリウム液 分間浸漬し水洗処理する。 ・体温計や血圧計はなるべく個人専用 で 30 とする。 ップや箸は私物使用であり通常洗 浄で良いが、洗浄時のスポンジは患者 専用にする。 ・水のみやガーグルベースンは 80℃10 分熱水処理か 0.02%次亜塩素酸ナト リウム液浸漬後水洗処理する。 ・コ ※ 耐熱性物品は、吐物・便は飛び散らないように有機物を落としてから 80℃10 分熱湯浸漬で消毒します。 最後は通常洗浄 ※耐水性がない物品の場合、汚染物が付着している部分をふき取った上で 0.1%次亜塩素酸ナトリ ウム液をつけて固く絞った雑巾か使い捨てペーパーで拭き、10 分後同じ部分を水拭きします。 消毒剤で拭き 10 分後水拭き 機 付 く 有 物が 着していない場合は 0.02%次亜塩素酸ナトリウム液を固 絞った雑巾か使い捨 ふく。さびないように 10 分後次亜塩素酸ナトリウムを水拭きします。 てペーパータオルで 17 Ⅸ 環境清掃について 環境清掃について <個人防護具 個人防護具> 個人防護具> サージカルマスク 手袋 ( 汚染物が多い場合は、2 重に着用すること 着用することが望ましい ) エプロン ( 汚染が多く、前腕や肩など汚染する可能性のある場合は、長そでガウンを使用する ) ゴーグル ( 目に飛散が考えられるとき ) シューカバー ( 靴に飛散が考えられるとき ) ※ 汚染の 汚染の程度や 程度や患者の 患者の状態を 状態を考慮して 考慮して、 して、必要に 必要に応じて適切 じて適切な 適切な防護具を 防護具を使用します 使用します。 します。 1 物品を 物品を確実に 確実に準備する 準備する <準備物品> 準備物品> 次亜塩素酸ナトリウム液 、 ペーパータオル or 雑巾(使い捨て) 水拭き用雑巾、感染性廃棄物入れのビニール袋 嘔吐物・下痢便付着部分 : 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液 肉眼的に汚染が見えない場合 : 0.02%次亜塩素酸ナトリウム液 ※上記 2 種類の濃度の消毒液作成が困難であれば、各消毒場面で 0.1%次亜塩素酸ナトリウムだけを使用しても良い。 涼 暗 保 可能。しかし汚染が考 えられる場合は交換すること。その都度作成するか、定期的に作り直すことが望ましい。 1 度作成した次亜塩素酸ナトリウム液は しい 所で 1 週間 存が 2 日常清掃 日常清掃の方法 袋 マ ク 着 洗 よ 荒 掃時のほこりから防御しましょう。 日常清掃は使い捨てペーパータオルか雑巾で、人 が高頻度に接触すると考えられる部分(テーブル、 床頭台、ベッド柵、ドアノブ、洗面所、水道蛇口、 ナースコール、スイッチ等)を手袋・マスクを装着 して 1 回/日、ほこりを立てないように日常洗剤で 日常洗剤で 拭き清掃します。 手 ・ ス を 用して、 剤に る手 れ・清 手袋・マスクを着用して行いましょう 18 3 感染症患者発生時の 感染症患者発生時の清掃方法 ① 嘔吐や 嘔吐や下痢患者が 下痢患者が病棟内で 病棟内で増えたり、 えたり、ノロウイルス陽性患者 ノロウイルス陽性患者がいる 陽性患者がいる時 がいる時は手袋・ 手袋・マスク・ マスク・ エプロンを エプロンを装着し、1~2回/日(朝・夕)に高頻度接触部位(テーブル、床頭台、ベッ ド柵、ドアノブ、洗面所、水道蛇口、ナースコール、スイッチ等)の患者周囲の環境を 0.02% 次亜塩素酸ナトリウム液で拭き清掃します。 手袋・マスク・ エプロンを着 用して行いま しょう さらに ② 汚染物処理を実施した場合、日常の清掃頻度に加え、そのたびに患者の周囲環境は環境 清掃用 0.02%次亜塩素酸ナトリウム液で拭き清掃します。 ③ 汚染物が付着している場合は、汚染物をふき取った後で、0.1%次亜塩素酸ナトリウム液 で拭き清掃します。 ④ さび防止のため次亜塩素酸ナトリウム液の使用後は 10 分後に水拭きで拭き取りを行うこ とが望ましい。 最後に ⑤ 手袋 手袋をはずし をはずし、 をはずし、その後 その後は流水と 流水と石鹸で 石鹸で手洗いを 手洗いを行 いを行います。 います。 ⑥ 次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウムを ナトリウムを使用する 使用する際 する際は、塩素ガス 塩素ガスが ガスが発生し 発生し呼吸器症状を 呼吸器症状を引き起こすので、 こすので、 外気を 外気を入れ換気を 換気を十分に 十分に行います。 います。 外窓を開けて 換気します 19 Ⅹ 消毒薬について 消毒薬について 1 ノロウイルスの ノロウイルスの消毒の 消毒のポイント 果 あ 加熱です。 ◆ 市販の次亜塩素酸ナトリウムは、濃度が濃いので薄めて使いましょう。 次亜塩素酸ナトリウム希釈液(0.02%・0.1%)は、使用目的に応じて使い分けましょう。 ・ 0.02% ⇒ 肉眼的に汚染のない場合 ・ 0.1% ⇒ 嘔吐物や下痢便が直接付着した場合 ◆ 加熱消毒は、熱湯(80℃以上)で 10 分間以上加熱しましょう。 ◆ 手指衛生は石けんと流水による手洗いの後、速乾性手指消毒薬を使用するか、または ポビドンヨードスクラブと流水で手洗いをしましょう。 ◆ ノロウイルスの消毒方法で効 が るのは、次亜塩素酸ナトリウムと 2 手指衛生における 手指衛生における 80v/v%エタノール 80v/v%エタノール含有速乾性手指消毒薬 エタノール含有速乾性手指消毒薬の 含有速乾性手指消毒薬の使用意義について 使用意義について ◆ 3 80v/v%エタノール含有速乾性手指消毒薬の適用 手指に付着しているノロウイルスを 10 分の 1 程度に不活性化できると推定されます。 これは、通常の手指消毒効果としては低すぎる値ですが、念入りな手洗いによりウイルス量 を100分の1程度までまず除去し、さらに速乾性手指消毒薬を適用し10分の1とすることで、 全体として 1000 分の 1 程度に減少させることができると期待されます。 このようにウイルス量をできる限り減少させて、易感染者が感染しない量までに減少させる ことが、補完的に速乾性手指消毒薬を使用する目的であると考えられます。 次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウムの ナトリウムの取扱い 取扱い ◆ 応急処置 ・ 目に入った時 った時 失明の恐れがあります。こすらず直ちに大量の流水で15分以上洗い流します。 痛みや異常がなくても直後に必ず眼科医に受診して下さい。 ・ 飲み込んだ時 んだ時 吐かずにすぐ口をすすぎ、コップ1~2杯の牛乳か水を飲む等の処置を行い、直ちに 医師の診察を受けて下さい。 ・ 皮膚につい 皮膚についた についた時 すぐに水で十分洗い流しましょう。 異常が残る場合は皮膚科医の診察を受けてください。 ・ 目にしみたり・ にしみたり・せき込 せき込んだり・ んだり・気分が 気分が悪くなった時 くなった時 使用をやめてその場を離れ、洗眼・うがい等をして下さい。 20 ◆ 濃度調整時 濃度調整時の の注意事項 ・ 原液が皮膚又は衣類に付いた場合は、直ちに水で洗い流しましょう。 ・ 混ぜると危険です。他の強酸性薬剤(トイレ洗浄剤・漂白剤等)と混ざると塩素ガス を発生し危険ですので注意しましょう。 ・ 原液の保管は、冷暗所で子供の手の届かない場所にしましょう。 ・ 希釈した製剤は、時間が経つと効果が落ちることがあるため、保存せずにその都度使 い切りましょう。 ・ 合併浄化槽の施設はそのまま消毒液を流すと、浄化槽の中の有益な微生物を殺してし まうことになりますので、十分に希釈して流しましょう。 ・ 希釈濃度は実用濃度で使用しましょう。 高濃度 ⇒ 皮膚刺激や肌荒れの副作用、及び金属への腐食作用を起こします。 低濃度 ⇒ 微生物汚染を招く原因となります。 ・ 容器としてペットボトルを使用する時は、誤飲につながりますので十分ご注意くださ い。 計 際 ペットボトルキャップ1杯が約 5ml に相当します。その他、普段 使用する計量カップには、あらかじめ必要量のところに線を引いておくと便利です。 ・ 原液を り取る 、 ◆ 消毒時・ 消毒時・処理時の 処理時の注意事項 ・ ・ ・ ・ 4 ◆ 袋 マスク・ガウンなどの防護具を着用し、必要に応じてゴーグル・フ ェイスシールド等も使用しましょう。 塩素ガスが粘膜を刺激するので、換気をしながら作業を行いましょう。 消毒部分は10分程度放置後に水拭きしましょう。また、金属への腐食作用があるた め、鉄製品・メッキ部分に使用した時は念入りに行いましょう。 嘔吐物・下痢便等の湿性物質の処理をする場合は、0.1%次亜塩素酸ナトリウムをしみ 込ませた不織布で汚染部分を拭き取ります。二度拭きすると消毒効果が確実です。 消毒時は、手 ・ 消毒薬の 消毒薬の噴霧禁止について 噴霧禁止について 次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウム希釈液 ナトリウム希釈液の 希釈液の噴霧 作業者の吸入毒性が問題となります。また、噴霧法では十分に消毒薬が接触しない(ムラ ができる)可能性があるため、効果が不確実です。室内噴霧は毒性の面から行うべきでは ありません。 また、患者ケア領域で習慣的な目的での消毒薬噴霧もやめましょう。 21 5 市販されている 市販されている次亜塩素酸 されている次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウム製剤 ナトリウム製剤 濃度 1% 5% 6% 12% 6 商 品 名 ミルトン ルトン、ピュリファ ュリファン ファンS、ミルクポ ルクポン ヤクラックス ラックスD クスD液 1%、次亜塩 %、次亜塩 1% ハイター、ジアノック、ブリーチ リーチ ピューラッ ューラックス ラックス、 クス、次亜塩 6%、テ %、テキサント、 サント、アサヒラック ヒラック 6%、ハ %、ハイポライト ポライトM イトM6 アサヒラック ヒラック 12%、 12%、ハ %、ハイポライト ポライトM イトM12 消毒薬( 消毒薬(原液) 原液)の開封後と 開封後と希釈溶液の 希釈溶液の有効期限 ヵ月程度で使い切るのが目安となります。 ・ 希釈した製剤では、1週間以内に使い切ることが目安となります。 ・ 次亜塩素酸ナトリウム製剤は、室温の高い場所や直射日光の当る場所に保管した場合、 有効塩素濃度が低下することも考えられます。 また、容器の継ぎ口などに手指が触れた場合にも細菌汚染が生じますので、可能な限り 各施設で決められた期限内で使い切りましょう。 ・ 消毒薬(原液)開封後は、1~3 22 7 消毒液の 消毒液の作り方 < 消毒液の 消毒液 の 作 り 方① > 1 % 次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウム製剤 ナトリウム製剤( 製剤( 原液) 原液) ミルトン、 ミルトン 、ピュリファンS、 ピュリファン S、ミルクポン S、 ミルクポン、 ミルクポン、 ヤクラックスD ヤクラックスD 液1%、次亜塩 %、次亜塩1 次亜塩 1% ●0 .02% 02% ⇒ 肉眼的に 肉眼的に 汚染のない 汚染 のない場合 のない場合 ●0 .1 % ⇒ 嘔吐物や 嘔吐物や 下痢便が 下痢便が 直接付着した 直接付着した場合 した場合 ●原液10 原液10ミリリットル 10ミリリットルを ミリリットル を用 いて溶液 いて 溶液を 溶液 を作ります。 ります 。 希釈濃度 原液の 水の 量 原液 の量 0. 02% 10ml 水 を加 えて500 02 % 10 ml えて 500ml 500 ml 0 .1% 10ml 水 を加 えて100 10 ml えて 100ml 100 ml ● 全体で 全体 で3 リットルの リットル の溶液を 溶液 を作 ります。( ります。(原液 。(原液+ 原液+水 =3 リットル) リットル ) 希釈濃度 原液の 水の 量 原液 の量 0. 02% 60ml 水 を加 えて3 02 % 60 ml えて 3L 0 .1% 300ml 水 を加 えて3 300 ml えて 3L < 消毒液の 消毒液 の作 り方② > 5%次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウム製剤 ナトリウム製剤( 製剤(原液) 原液) ハイター、 ハイター 、ジアノック、 ジアノック、ブリーチ ● 0.02% 02% ⇒ 肉眼的に 肉眼的に 汚染のない 汚染のない場合 のない場合 ● 0.1% ⇒ 嘔吐物や 嘔吐物や 下痢便が 下痢便が 直接付着した 直接付着した場合 した場合 ●原液10 原液10ミリリットル 10ミリリットルを ミリリットルを用いて溶液 いて溶液を 溶液 を作ります。 ります。 希釈濃度 原液の 水 の量 原液の量 0 .02% 02% 10ml 10ml 水 を加えて2 えて2.5 L 0.1% 10ml 水を加えて500 10ml えて500ml 500ml ●全体で 全体で 3リットルの リットルの溶液を 溶液を作ります。( ります。(原液 。( 原液+ 原液+水 =3リットル) リットル) 希釈濃度 原液の 水 の量 原液の量 0 .02% 12ml 水 を加えて3 02% 12ml えて3 L 0.1% 60ml 水 を加えて3 60ml えて3 L 23 < 消毒液の 消毒液の作 り方 ③ > 6%次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウム製剤 ナトリウム製剤( 製剤(原液) 原液 ) ピューラックス、 ピューラックス、次亜塩6 次亜塩 6%、テキサント %、 テキサント、 テキサント、 アサヒラック6 アサヒラック6%、ハイポライト %、 ハイポライトM ハイポライトM6 ●0. 02% 02% ⇒ 肉眼的に 肉眼的 に汚染のない 汚染のない場合 のない場合 ●0. 1% ⇒ 嘔吐物や 嘔吐物 や下痢便が 下痢便が 直接付着した 直接付着した場合 した場合 ● 原液10 原液 10ミリリットル 10ミリリットルを ミリリットルを 用いて溶液 いて溶液を 溶液を 作ります。 ります。 希釈濃度 原液の 水の 量 原液の 量 0. 02% 10ml 水を 加えて3 02% 10ml えて 3L 0 . 1% 10ml 水を 加えて600 10ml えて 600ml 600 ml ● 全体で 全体で 3リットルの リットルの 溶液を 溶液を 作ります。( ります。(原液 。(原液+ 原液 +水= 3リットル) リットル ) 希釈濃度 原液の 水の 量 原液の 量 0. 02% 02% 10ml 10ml 水を 加えて3 えて 3L 0 . 1% 50ml 水を 加えて3 50ml えて 3L < 消毒液の 消毒液の 作 り 方 ④ > 12 %次 亜塩素 酸ナ 酸 ナ トリウ ム製 ム 製 剤( 剤( 原液) 原液) アサヒラック12 アサヒラック12%、 12%、ハイポライト %、ハイポライトM ハイポライトM12 ●0.02% 02% ⇒ 肉眼的に 肉眼的に汚染のない 汚染のない場合 のない場合 ●0.1% ⇒ 嘔吐物や 嘔吐物や下痢便が 下痢便が直接付着した 直接付着した場合 した場合 ●原液5 原液5ミリリットルを ミリリットル を用いて溶液 いて溶液を 溶液を作ります。 ります。 希釈濃度 原液の 水 の量 原液の量 0. 02% 5ml 水を加えて3 02% えて3L 0 .1% 5ml 水を加えて600 えて 600ml 600ml ● 全体で 全体で3リットルの リットルの溶液を 溶液を作 ります。( ります。(原液 。(原液+ 原液+水=3リットル) リットル) 希釈濃度 原液の 水 の量 原液の量 0. 02% 5ml 水を加えて3 02% えて3L 0 .1% 25ml 水を加えて3 25ml えて3L 24 25 XI 報告 1 感染症発生時の 感染症発生時の報告( 報告(社会福祉施設等) 社会福祉施設等) 施 設 <報告が 報告が必要な 必要な場合> 場合> ◆ 死亡者・重篤者が 1 週間に2名以上 ◆ 感染症が疑われる者が10名/入所者の 半分以上(ある時点において) ◆ 通常の発生動向を上回り、必要な場合 三次市 0824(62)6111 庄原市 0824(73)1111 北部保健所 0824(63)5181 (社会福祉施設等主管課) <報告すべきこと 報告すべきこと> すべきこと> ◆ 施設の状況 名称 所在地 電話番号 責任者 担当者 利用者数 ◆ 内 容 人数・症状・対応状況 経時的な発生状況等 ◆ 原因究明に参考となる事項 2 医師の 医師の届出 感染症法又は食品衛生法の届出基準に基づき 医 師 届 出 26 保健所 XII ノロウイルス対策 ノロウイルス対策Q&A 対策Q&A 研修会等で出された質問をQ&Aとしてまとめました。 各施設の状況に応じて、対応や対策の参考としてお役立てください。 1 症 状 Q1 主な症状はどのように出ますか?前兆はないのですか? A1 嘔吐下痢が主な症状です。普段より活気がない(元気がない)とか、食欲が落ちる (食欲がない)というような状況が目安になります。周りに、嘔吐している人とか 下痢をしている人が 1 人出たら注意しましょう。 2 平常時の 平常時の対応 Q2 平常時は、どんなことに注意が必要ですか? A2 次の点に気をつけるよう心がけてみてください。 ・ 適切な手洗いの実施(入所者・デイサービス利用者・面会者も含む) ・ 入所者・スタッフ全員(各勤)の消化器症状をチェックし、有症者の早期発見・早期 対応(すぐにノロ対応) ・ 問題発生時の連絡・報告体制の確立 ・ 手袋・マスク・エプロン等、感染防護具着用の遵守 ・ 洗面所やトイレ・手すり等、高頻度接触面の定期的な環境整備(清拭) 地域の流行状況を把握しておくのも良いかもしれません。1 例目をどう処置するかが重要 となります。 Q3 デイサービス通所者の体調に変化があった時、早期に対応を図りたいが、軟便か下 痢か判別できないときがあります。判別はどうしたらよいですか? A3 日頃の便の状態から判断したらよいと思います。ノロの便の特徴は、水様便ですが 軟便程度でもノロウイルスが検出されることもあるようです。その他の症状として 人によっては熱が出る人もいるようです。 3 消毒について 消毒について Q4 消毒液は、嘔吐物や排泄物に直接かけたほうが消毒効果があると思いますが? A4 嘔吐物に、直接次亜塩素酸ナトリウム液をかけても効果はありません。有機物の存在 27 により消毒効果は失活します。汚物(有機物)の除去(洗浄)を確実に行った上で、 液を十分に浸した布でしっかり清拭消毒を行ってください。 Q5 スリッパ裏の消毒濃度はどのくらいですか? A5 直接、吐物等を踏んだのであれば、0.1%で消毒されたらよいと思います。それ以外 は、消毒の必要はないと考えます。洗浄を確実に行なうことが大切です Q6 患者発生時の共用部分、共用部分以外の 1 日の消毒回数の目安を教えてください。 A6 患者さんが触れる可能性のある部分は、朝・夕2回、0.02%次亜塩で消毒。それ以外は 通常の清掃(消毒なし)でよいと思われます。 Q7 床を次亜塩素酸ナトリウム液(600 倍)で噴霧し、その後、拭きとっているが消毒方法 として適切ですか? A7 次亜塩は吸入毒性があるので、いかなる場合でも噴霧はしないで下さい。クロスなど で拭き取り消毒し、床は吐物等での汚染がない限り、消毒の必要はないと思われます。 (噴霧は粒子が周囲に飛び散り、確実な消毒ができているかわかりません。) Q8 衣類など感染者が使用した物はすべて、毎回、次亜塩素酸ナトリウム液(1000 倍)で 1 時間つけて洗濯しています。嘔吐、下痢が止まっている時も消毒は必要ですか? A8 隔離期間中は消毒が必要と思われます。 80℃10分の浸漬、もしくは0.02%次亜塩(吐物がついている場合は0.1%)に30分浸漬 後、個別に洗濯してください。 Q9 感染者が使用した物などは、嘔吐、下痢が止まった後も消毒は必要ですか? A9 ノロウイルスは、下痢などの症状が消失してから通常では1週間程度ウイルスの排出 が続くので、個々の体調にもよりますが、少なくとも1週間から10日間は感染者対 応をするのが望ましいと思われます。 4 患者発生時の 患者発生時の対応、 対応、対策の 対策の解除 Q10 濃厚接触者や同室者の症状を観察する期間はどれくらいを目安にすべきですか? A10 ノロウイルス感染の潜伏期は数時間~数日(平均 1~2 日)です。そのため、周囲又は 同室患者の症状をチェックする期間は最終曝露(主に嘔吐)から 48 時間までと考えら れます。その間は、症状の有無についてまめなチェックが必要と思われます。 ※ 嘔吐の場合は広い周囲への拡散(嘔吐物の処理が不十分な場合は空気感染の恐れも) が考えられ、観察する期間は長めとなりますが、下痢の場合は、基本的に周囲への 拡散は低いもの(オムツに限局)と考え、嘔吐の場合ほど期間を長めには設定しな くてもよいと言う考えもあります。 28 Q11 患者発生時の隔離の必要性や方法を知りたい? A11 隔離については、施設の状況により判断が異なると思います。可能であれば発症者隔 離すべきだと思いますが、当然のことながら、発症者本人の対応、同室者の対応、環 境清掃、嘔吐物の処理等の感染対策も同時に行うことが重要と思われます。 (隔離対策は感染対策の一部に過ぎません) Q12 隔離期間の目安を知りたい? A12 症状は、通常は 1 ~ 2 日で改善し、ウイルスの排泄期間 は、 症状消失後 1 ~ 2 週間と言われています。隔離期間(感染対策期間)としては、最低でも症状の持続す る間と考えられますが、状況により(患者の ADL や活動範囲、患者に対するリスクの 高い処置(ストーマ交換等)、周囲のハイリスク患者の有無等)を勘案して期間は考慮 しなければなりません。症状消失後 1 週間は対策をとるようにし、患者の理解度(ト イレ後、食事前後の手洗いを遵守できる等)によっては期間の短縮も検討してはいか がでしょうか。 Q13 患者が発生した場合、食堂は閉鎖すべきですか? A13 食堂閉鎖の必要はないですが、濃厚接触者のみは個別で食事をとっていただくのが望 ましいと思われます。その他の方については、発症の徴候がないか十分に注意して、 食堂で食べていただいてください。 Q14 対応する職員が不足した場合、清掃などの応援を他部署(階が違う、棟が違う)から 行ってもよいか? A14 応援体制をとる場合は、手洗いなど感染対策の徹底を図ってください。 Q15 夜間など、職員配置が少ない場合、入所者の介助やオムツ交換などの業務を優先すべ きか、消毒が優先か? A15 状況によりますが、まずは介助が優先されると思います。汚染が拡大しそうな場合は、 消毒を先に行う場合も起こりうると思います。 5 その他 その他 Q16 面会者のトイレを限定する必要がありますか? A16 患者さん使用後に、適切な消毒ができていれば限定する必要はないと思います。そう でない場合は、限定されたほうが良いのではないでしょうか。 Q17 患者が食堂で嘔吐した。テーブルにいた人、嘔吐した人の隔離はどうしたらよいか? A17 半径2m以内にいた方は、原則48時間は個室隔離して様子を見られたほうが良いと思 います。嘔吐した人についても、やはり隔離されるべきだと思われます。 29 Q18 ノロ流行期には次亜塩ガーゼで手を拭き手袋をしている。適当ですか? A18 次亜塩は通常、生体には用いません。ノロ感染対策は、流水・石鹸での手洗いが基本 です。 Q19 手あれ対策としてハンドローションをみんなで使っている。個別に使うようにした方 がよいですか? A19 ポンプタイプのハンドローションなら共用でも良いと思いますが、そうでないのなら 個別にされたほうがよいと思います。 Q20 感染者が使用した食器類の消毒はどのようにしたらよいですか? A20 施設の厨房等多人数の食事の調理、配食等をする部署へ感染者の使用した食器類や吐 ぶつが付着した食器類を下膳する場合、注意が必要です。可能であれば食器等は、厨房 に戻す前、食後すぐに次亜塩素酸ナトリウム液に十分浸し、消毒します。 また、食器等の下洗いや嘔吐後にうがいをした場所等も次亜塩素酸ナトリウム※(塩 素濃度約 200ppm)で消毒後、洗剤を使って掃除をするようにしてください。 (※ 厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&Aより引用) 《 参考 》 ※ 厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html 30 《 参考文献等 》 ・社会福祉施設・事業者のためのノロウイルス対応標準マニュアル東京都福祉保健局編 出版社: 東京都社会福祉協議会 ・新訂 食水系感染症と細菌性食中毒 坂崎利一編 出版社:中央法規出版株式会社 ・ノロウイルスの消毒 -エタノールの使い方を中心に- 吉田製薬 Y‘s Letter Vol.2 No.20 Published online 2007 ・小林寬伊 他:改定2版 エビデンスに基づいた感染制御 第1集 ー 基礎編 メヂカルフレンド社 東京 2003 ・医療現場における消毒・滅菌のための CDC ガイドライン 2008 ・神谷 晃 他:消毒剤の選び方と使用上の留意点 薬事日報社 東京 1998、p139 ・浅野俊雄 食品工業の洗浄と殺菌 日本衛生技術研究会 1978 p.217. ・高齢者介護施設における感染対策マニュアル(厚生労働省科学特別研究事業) ・厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A 《 編 集 》 備北地域感染症対策専門部会 ワーキンググループ 病院 庄原赤十字病院 総合 辻 隆弘 山根 啓幸 山本 明子 市立 三次中央病院 三苫 真理恵 須々井 尚子 山口 伸二 備北地域感染症対策専門部会