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東京都予算編成にかかる 重点要望事項 東京都市長会

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東京都予算編成にかかる 重点要望事項 東京都市長会
平成28年度
東京都予算編成にかかる
重点要望事項
東京都市長会
重
点
要
望
目
事
項
次
1
多摩地域を個性・活力・魅力ある自立都市圏とするための施策の推進
…………1
2
地方創生の推進に向けた支援について
3
社会保障・税番号制度の円滑な導入及び運営のための支援
4
地方分権の推進における都の支援
5
「東京都長期ビジョン」の実現
6
市町村総合交付金制度等総合的財政補完の充実強化
7
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会をオール東京として
開催するための施策の推進 ……………………………………………………………16
8
業務核都市及び核都市等の育成整備
…………………………………………………17
9
公共施設等修繕・保全計画への支援
…………………………………………………19
10
自然災害に対する防災体制の確立
11
防災事業の充実と財政措置等の確立
12
安全・安心な都市の実現に向けた取り組みに対する支援措置の充実
13
子育て環境の充実
14
私立幼稚園等に対する支援の充実
15
公立学校における教育環境の整備について
16
特別支援教育推進に向けた支援
17
東京都帰宅困難者対策条例施行に伴う災害時に学校に留め置く児童・生徒用の
備蓄物資整備に係る補助制度の創設 …………………………………………………32
18
学校施設等の非構造部材の耐震化に伴う補助制度の拡充及び支援期間の延長
19
東京都公立学校施設冷房化支援特別事業の推進
20
介護保険制度に係る市町村への支援策の充実
21
高齢者保健福祉に係る各種施策の充実
………………………………………………3
………………………4
……………………………………………………6
………………………………………………………8
………………………………14
……………………………………………………20
…………………………………………………22
……………24
………………………………………………………………………26
……………………………………………………28
…………………………………………29
………………………………………………………30
…33
……………………………………34
………………………………………35
………………………………………………37
22
地域包括ケアシステム構築に向けた施策の充実
……………………………………38
23
障害者総合支援法施行後の福祉施策について
24
医療保険制度の一本化に向けた取り組みについて
25
国の公費負担割合拡大について
26
医療保健政策区市町村包括補助事業の充実
27
予防接種等における支援の確立
28
公立病院に対する補助制度の充実
29
医師及び看護師等確保のための施策の充実
30
「地域医療構想」策定に際しての公立病院に対する施策について
31
多摩地域における医療体制の充実
32
地下水及び土壌、大気等の汚染対策の充実
33
横田基地等周辺の生活環境整備・騒音対策等の推進
34
廃棄物処理施設等の整備及び再資源化推進事業への財政支援等の充実
35
拡大生産者責任の強化について
36
緑の保全に対する施策の充実
37
流域下水道事業の促進と財政援助
38
地球温暖化対策における省エネルギー・新エネルギー対策への財政支援等の充実…61
39
商店街活性化事業の拡充
40
連続立体交差事業等の鉄道整備と駅周辺の総合的なまちづくりの推進
41
多摩都市モノレールの整備推進と新たな公共交通システムの検討及び
輸送サービスの向上 ……………………………………………………………………66
42
多摩の広域的な道路ネットワークの形成に資する総合的一体的な道路整備の促進…68
43
市街地開発事業にかかる補助制度の充実
44
空き家等対策についての支援
………………………………………39
…………………………………41
………………………………………………………42
…………………………………………43
………………………………………………………44
……………………………………………………45
…………………………………………47
………………48
……………………………………………………49
…………………………………………50
………………………………51
…………54
………………………………………………………55
…………………………………………………………57
……………………………………………………59
………………………………………………………………62
…………64
……………………………………………70
…………………………………………………………71
1
多摩地域を個性・活力・魅力ある自立都市圏とするための施策の推進
多摩地域の振興にあたっては、自然と共生し、地域特性を生かしながら、多摩を活力と
魅力に満ちた自立都市圏として形成していくことが重要である。
しかし、大規模事業所の相次ぐ撤退や、人口減少局面の到来等、多摩地域を取り巻く社
会経済環境は大きく変化し、大きな課題として顕在化してきている。
一方で、多摩地域は、先端技術産業や数多くの大学・研究機関の集積、豊かな自然環境
などを活かした特色ある都市づくりが可能な地域であり、多摩の持つポテンシャルを、従
来とは違った視点で捉え、新たな将来像を策定し、これから進むべき方向を明らかにする
ことが求められてきた。
こうしたことを踏まえ、都においては「新たな多摩のビジョン」で示した目指すべき多
摩の姿の実現に向け、平成 26 年3月に「新たな多摩のビジョン行動戦略」を策定するとと
もに、26 年 12 月には、
「東京都長期ビジョン」を策定し、将来にわたる東京の持続的発展
の実現に向け、多摩・島しょの振興が都市戦略として位置付けられた。また、27 年4月に
は、
「新たな多摩のビジョン行動戦略」を着実に推進し、目指すべき多摩の姿を実現するた
めの「新たな多摩のビジョン年次報告書 2014」が作成された。
これらを推進するにあたっては、市町村はもとより、民間企業やNPO等の地域の形
成・発展を担う多様な主体とも十分な連携を行うとともに、共通認識の醸成を図り、多摩
振興の取り組みを積極的に推進されたい。
以上のことを踏まえ、以下の事項について、施策の実施にあたっては、適切な進捗管理
を行うとともに、取り組みに地域格差が生じないように留意されたい。
1
新たな財政的支援の創設について
「新たな多摩のビジョン行動戦略」に基づき、市町村が実施主体となる事業について
は、これまでの事業補助金に代えて市町村の裁量により柔軟な活用ができる交付金等、
地域の実情に即した取り組みが講じられるような財政的な枠組みを積極的に創設され
たい。
2
立川広域防災基地は、南関東地域の防災拠点であり災害発生時の中継・集積拠点とし
て位置付けられており、広域防災基地へのアクセス性を高めるため、多摩川対岸の中央
高速自動車道、国道 16 号線並びに 20 号線バイパス、甲州街道及び五日市街道へ通じる
路線について、次期事業化計画との整合性を図りつつ、優先的に整備を推進されたい。
3
25 年5月に多摩・島しょ地域の特性を踏まえ、都と市町村が連携した取り組みを進め
るため、「多摩・島しょ地域の防災対策」が策定された。また、26 年7月には、多摩・
- 1 -
島しょ地域の孤立化対策などを盛り込んで「東京都地域防災計画」を修正し、同年 12
月には「東京の防災プラン」が策定された。
ついては、これらの計画等に基づき、災害に強い街づくりの推進と地域防災対策の更
なる強化を今後も積極的に推進し、地域防災力の向上を目指すとともに、地域特性を勘
案した市町村の取り組みへの支援を図られたい。
4
来年開催されるリオデジャネイロ五輪後から文化プログラムを開始するなど、2020 年
の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催までの間、多摩地域の文化を国内外
に向けて発信する絶好の機会である。ついては、多摩地域における有形・無形の伝統文
化の保全に対する支援を講じるとともに、多摩の魅力を増進するための文化振興策を推
進されたい。
- 2 -
2
地方創生の推進に向けた支援について
人口減少や超高齢化が進む中、地域の特徴を活かした個性あふれる地方の創生により、経
済の好循環の波をひろげ、各地域で若者が元気に働き、子どもを産み育て、次世代へと豊か
な暮らしをつないでいくことが重要な課題となっている。
こうした中、政府は「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、人口減少克服や地方創生
の観点から、各省庁の縦割りを排除した、これまでにない新たな支援に取り組むとしている。
今後、市町村が、各地域の活力の維持・向上を図りつつ、それぞれの特徴を活かし、自立
的で持続可能な社会を創生できるよう、以下の事項において国に対して働きかけられたい。
また、都においても、東京都版地方総合戦略を進めていく中で、市町村と連携をとり迅速な
情報提供や各種支援を講じる体制を確立されたい。
1
地域の実情に応じた、創意工夫によるきめ細かな施策を可能とするため、地方税財源の
充実を図るとともに、地方の裁量による主体的かつ弾力的な取り組みが可能となる、自由
度の高い包括的かつ恒久的な交付金制度を創設されたい。
2
人口定着促進や少子化対策として、住宅取得における税制措置等の充実を図られたい。
また、子ども・子育て支援新制度に基づく施策を進めるとともに市町村が実施する子育て
支援施策に対して、財政支援を含め、様々な支援をされたい。
3 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等を見据え、国内外からの観光客
の受入体制整備、地域の魅力発信に向けた取り組みなど、市町村が地域の特性を活かし
た積極的な観光事業を行うための各種支援をされたい。
- 3 -
3
社会保障・税番号制度の円滑な導入及び運営のための支援
社会保障・税番号制度においては、平成 28 年1月から個人番号の利用開始が予定され
ているにも関わらず、不確定な要素を含む情報が多く、実際に事務を行う自治体に必要な
情報が提供されていない。そのため、市町村は、従前より広範な業務を担うこととなって
いることに加え、セキュリティー対策を含め、万全の準備を行う必要があるが、十分に検
討を進めることが困難な状況である。また、国民の実生活が具体的にどの様に変わるのか
も十分な周知が図られていない。
これらのことから、以下の事項について、国に対して働きかけるとともに、都において
も、市町村への迅速な情報提供や技術支援を講じる体制を確立されたい。
1
本制度の利用範囲は、社会保障分野、税分野、災害対策分野と多岐にわたり、全ての
国民や法人が対象となることから、制度に対する誤解や導入にあたって混乱が生じるこ
とのないよう、十分な周知を行うことについて、引き続き責任を持って国に働きかけら
れたい。
2
社会保障・税番号制度の導入や運営等に関し、補助制度を示しているところではある
が、依然として国が想定した補助基準額と実際にかかる経費との乖離が生じている。こ
のため、補助上限額を設けず、市町村において新たな財政負担が生じないよう、国の責
任において万全の財政措置を引き続き講じられたい。財政措置にあたっては、地方交付
税によらず、全ての市町村に十分な措置がされるよう国に対し強く要望されたい。
3
都事務処理特例条例に基づき市町村が処理することとした事務において、社会保障・
税番号制度に係る事務について早期に事務処理の見直し等の内容を整理し、市町村に影
響を及ぼす範囲を示すとともに、都の責任において財政措置を講じられたい。
4
主務省令等の公表などは当初のスケジュールよりも大きく遅れている。加えて、シス
テムの整備についても、中間サーバなどの構築作業に一部遅れが生じている。今後は、
当初スケジュールに沿った進行管理を行うとともに、市町村の準備作業にも影響が生じ
ないよう、制度の詳細等必要な情報を遅滞なく示すよう国へ働きかけられたい。
また、国は、地方自治体との情報共有を目的とした「デジタルPMO」サイトを開設
しているが、ここでの各自治体からの質問に対する国の回答までに時間を要し、各自治
体でのシステム開発等に支障が生じている。これらについても迅速な対応を図るよう国
へ働きかけられたい。
5
制度の運営にあたって、市町村の窓口における業務フローの標準化を図るためのマニ
ュアル等を国の責任において早急に示すよう引き続き要望されたい。
- 4 -
6
民間事業者においては、制度開始に伴い従業員等からの番号の収集、管理及び行政機
関への申告が義務付けられ、それに対応するためのシステム改修や運用体制の構築等が
求められるが、周知不足等により各事業者での準備が遅れており、制度開始後の混乱が
予想される。事業者への制度周知についても、国と地方公共団体で協力して行うことと
しており、都においても都内事業者に混乱を生じさせないよう、制度周知や相談受付等
に積極的に取り組まれたい。
- 5 -
4
地方分権の推進における都の支援
真の地方分権を推進する上での重要な課題は、
「国と地方の役割分担の明確化」である。
このことは、広域自治体である都と基礎自治体である市町村の関係にもあてはまる。
地方分権改革にあっては、事務事業の権限と、これに見合った財源の大幅な移譲により、
地方の実情に即した各種政策を、その地域の責任と判断で実施することが必要である。
都においては、真の地方分権改革の実現に向け、国と地方の役割分担の明確化と地域が
必要なサービスを確実に提供するための確固たる税財源の移譲が実現するよう、引き続き、
市町村と連携して国への働きかけを実施されたい。
更に、事務処理特例制度により事務事業が移譲される場合は、必要な財政措置を講じる
とともに、移譲する事務の提案にあたっては、市側の意向を十分尊重されたい。また、市
側が移譲を望む場合の提案・協議方法等について、ルールづくりを図られたい。
1
都から国への働きかけについて
(1)
真の地方分権改革の実現に向け、国と地方の役割分担の明確化を図るとともに、地
方が担う事務と責任に見合う税財源配分として、当面、税源移譲による国と地方の税
源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充されたい。
また、地方自治体が行う住民生活に直結した行政サービスの財政需要の急増と多様
化に迅速かつ的確に対応できるよう、一般財源を確保するため、税源の偏在性が小さ
く、税収が安定的な地方税体系の構築及び課税自主権の拡大を図られたい。
(2)
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備
に関する法律」(第4次一括法)の施行をもって、地方分権改革推進委員会の勧告項
目については一定の対応が図られたところであるが、地方分権改革を着実に推進する
観点から以下のことに留意されたい。
①
地方分権改革の総括と展望を踏まえ、住民に最も身近な基礎自治体が地域の総合
的な行政主体としてその役割を果たしていくために、今後も、地方の意見を十分に
反映し、更なる事務・権限の移譲を行うとともに、条例委任による従うべき基準の
原則排除など、国の関与の更なる縮減を図られたい。
②
市町村に移譲される事務に係る財源措置は、これまでのような地方交付税措置に
よらず、すべての地方自治体に対し、必要な財源が措置できる方策を講じられたい。
(3)
国の平成 26 年度税制改正では、東京都及び都内市区町村の強い反対にもかかわらず、
地方間の税源の偏在性を是正するとして法人住民税の一部国税化が決定された。また、
27 年度税制改正では、地方税財政へ影響を及ぼすにもかかわらず、法人実効税率が引
- 6 -
き下げられた。
地方税は、「地域のサービス需要に見合った税収の確保」という「応益負担」の考
えに基づく地方固有の税源である。中でも法人住民税や償却資産課税については、産
業振興や企業誘致の取り組みなど、各自治体の長年の努力の成果として獲得した貴重
な自主財源であって、自治体間の税収のバランスや国の政策実現の手段として制度変
更されるべきものではない。このような、地方行財政や自治体の運営等に大きな影響
を及ぼす事項については、国が一方的に方針を決定するのではなく、自治体の意見に
耳を傾け、事前に「国と地方の協議の場」などにおいて十分な協議を行ったうえで決
定されたい。
(4)
地方交付税については、地方自治体が直面している医療、介護、子育て等社会保障
などの経常的行政サービスや、道路・橋梁・学校等の改修費用の増大等の財政需要を
的確に地方財政計画に反映させ、歳出特別枠及び別枠加算を堅持したうえで、必要な
地方交付税総額を確保し、地方交付税の持つ、財源調整と財源保障の両機能を強化さ
れたい。なお、地方消費税交付金が増額されることにより、地方交付税の交付額が減
額されることがないよう、十分配慮されたい。
また、27 年度に地方交付税の法定率の見直しが行われたが、なお生じる地方交付税
の不足分については、28 年度まで制度が継続されることになっている臨時財政対策債
によることなく、地方交付税の法定率の更なる引き上げなど、交付税制度の抜本的な
見直しにより対応されたい。
2
都の支援について
国庫補助負担金等の廃止に伴う各省庁の動向については、都の関係局から市町村の所
管部に迅速かつ的確に情報提供されたい。また、制度の改正により、仮に、国の補助負
担率の引き下げが行われた場合には、市町村負担が従来よりも過大になることから、都
民サービスの低下につながらぬよう、適切な支援を講じられたい。
3
「条例による事務処理特例」について
市町村が、事務・権限移譲を希望する場合の提案・協議方法に係る手続きについては、
引き続き検討・調整を行い、市町村の意見を踏まえたうえで、早期に規定等の整備を図
られたい。
- 7 -
5
「東京都長期ビジョン」の実現
平成 26 年 12 月に策定された「東京都長期ビジョン」の実現にあたっては、関連する各
種計画について、市町村の意見を反映して実施するとともに進捗状況に関する情報を提供
されたい。また、事業の実施後についても、その成果を検証し、市町村に新たな財政負担
が生じないよう十分に配慮されたい。
1
バリアフリー化推進に対する支援等
バリアフリー化推進のため市町村と連携するとともに、地域のバリアフリー化を積極
的に推進できるよう、公共施設における「東京都福祉のまちづくり条例」の努力基準な
どを満たす整備に留まらず、補助制度の拡充を図られたい。
特に、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に合わせ、より積極的に推
進できるよう、措置を講じられたい。
また、今後、外国人旅行者などの更なる増加が見込まれることから、ピクトグラム(案
内図記号)の統一がより一層必要となってくる。このため、27 年2月に改定された「国
内外旅行者のためのわかりやすい案内サイン標準化指針」の更なる普及を図られたい。
2
(1)
地域の国際化に対応した国際化施策推進のための総合的な取り組みの強化
近年、外国人相談窓口の必要性は更に高まっており、2020年東京オリンピック・パ
ラリンピック競技大会に向けた外国からの労働者が増えることが想定されるなか、多
摩地域における外国人の更なる利便性向上のため、現在、都庁舎で実施している外国
人相談窓口の多摩地域での実施、インターネットの活用による相談事業の充実、案内
標識整備等の多言語表記の推進など情報のバリアフリー化について、積極的な措置を
講じられたい。
(2)
市町村及び市民の行う日本語講座や相談事業などに対する支援を充実し、積極的な
施策展開を図られたい。特に、相談事業については、外国人が抱える相談の特殊性や
近年の社会情勢の変化もあり、少数言語などの語学ボランティアでの対応は十分な状
況ではない。東京都国際交流委員会と各自治体等が連携して実施している「在住外国
人のための無料専門家相談会」についても、負担が大きいため、市町村によっては相
談会を開催できていない状況がみられることから、市町村の枠を超えた広域的な取り
組みに対し、都による支援策の整備を検討されたい。
3
(1)
交通インフラ並びに都市計画道路の整備促進
都市間の連携を図る基幹的システムである多摩都市モノレールの次期整備路線に位
置付けられている箱根ヶ崎方面への延伸について、新青梅街道の拡幅整備事業にあわ
- 8 -
せて、早期実現に向け事業化を図られたい。あわせて、多摩センターから町田及び八
王子方面への延伸についても、市街化の進行により計画の具体化が困難にならないよ
う、早期整備を進められたい。
また、運輸政策審議会答申第 18 号に示された小田急多摩線や東京 12 号線(都営大
江戸線)等の延伸や、鉄道の連続立体化・複々線化、線増事業の整備促進を図ること
により、都市基盤整備を進め、多摩の持続的発展の基礎づくりを推進されたい。
(2)
多摩地域の道路ネットワークの整備については、多摩地域の南北主要5路線や東西
主要4路線などの幹線道路について、沿道環境に配慮しつつ、積極的な整備促進を図
られたい。「多摩地域における都市計画道路の整備方針」で示された都施行路線につ
いても、着実な整備を図られたい。また、都県境を越えるネットワークを形成して、
都市間連携の強化を図るとともに広域的な防災性を向上させる必要があることから、
道路や橋梁の重点的な整備を促進されたい。
なお、都施行路線以外の区間においても、協力、支援などの措置を講じられたい。
4
3環状道路の整備に向けた積極的な働きかけの継続
首都圏の道路交通の骨格である3環状道路の整備率は、27 年3月現在で約 70%と未
だ不十分である。
環状道路が整備されることにより、放射方向の高速道路のバイパスとなり、東京の最
大の弱点である交通渋滞が解消される。また、首都圏が一体として発展し、東京の持つ
ポテンシャルを最大限に引き出していくためにも、早期開通に向けて事業促進に努めら
れたい。
特に、東京外かく環状道路(関越道∼東名高速間)については、26 年3月に都市計画
事業承認及び認可を受け、32 年度の完成を目指して事業を進めているところであるが、
事業の進捗にあたっては、これまでの経過を踏まえ、対応の方針を確実に履行するなど、
国が責任をもって整備を進めるよう、国及び事業者に強く働きかけられたい。
5
(1)
公共施設等の耐震化及び緊急輸送道路沿道建築物の耐震化
小中学校は、災害発生時には児童生徒の安全を確保するばかりでなく、地域の避難
所として重要な機能を果たす役割を担っていることから、改築や改修等に関する補助
制度を充実されたい。併せて、保育園や児童館、学童クラブ、地域センターなどの公
共施設のほか、廃校施設を利用し普通財産として活用している施設で、学校と同様に
地域の避難所に指定している施設などについては、今後の老朽化対策としての建て替
えを含め、耐震化工事について財政支援を実施されたい。
また、25 年度に創設された非構造部材の耐震化工事に対する補助制度の支援期間を
延長するとともに、子供の安全を守るために補助対象を限定することなく、保育園な
どの公共施設についても小中学校と同様に引き続き財政支援の充実を図られたい。
- 9 -
(2)
災害発生時には、緊急輸送道路の確保が不可欠である。このため、緊急輸送道路沿
道建築物の耐震化に向けて、現在の財政支援の継続及び更なる財政支援の充実を図ら
れたい。また、国に対しても確実な財源措置を要請されたい。
(3)
震災時におけるライフラインとしての飲料水を確保するため、水道管の耐震化の整
備と緊急時の給水に係る計画に基づく整備を早急に推進されたい。
①
より効果的に断水被害を軽減できるよう、水道管路の耐震継手化を進めるなど、
早急な整備充実を図られたい。特に、震災時に重要となる避難所までの管路を早急
に耐震化されたい。
②
都の水道事業へ未統合の市では、厳しい財政状況のもと、独自財源によって事業
を行っている。このため、耐震化に対する補助要件を緩和するよう引き続き働きか
けられたい。
③
震災による長期断水等を想定し、多摩地域の給水人口に対応した給水車の配備等
を更に拡充し、安全な飲料水の供給について対応策を講じられたい。
④
多摩地域の上水道用地下水については、地盤沈下や水質の動向に十分配慮しなが
らの活用と、取水井戸の維持管理の充実を継続し、安全な飲用水の広域的な確保を
図られたい。また、地下水割合の維持と取水停止時の地下水による給水が可能とな
るよう運用の整備を図られたい。
6
避難行動要支援者対策
避難行動要支援者対策として共助の仕組みを構築するためには、名簿の更新や個別計
画を見直すなどの業務が必要となる。特に、25 年度に改正した災害対策基本法により義
務付けられた避難行動要支援者の名簿作成については、継続した管理運営が必要となる
ことから、長期にわたる財政支援の充実を図られたい。
7
都市型水害に対する安全性確保
都市化の進展に伴い、宅地開発と道路の舗装化が進んだ結果、本来自然が有する保水
機能が損なわれ、中小河川では、増水し氾濫する危険性が増している。昨今では全国各
地で記録的豪雨が頻発していることから、水害の脅威から流域住民の生命と財産を守る
ために、中小河川の早期改修整備はもとより雨水貯留浸透事業等の都市型水害対策を充
実・推進されたい。あわせて、雨水管の整備や老朽化対策に対して財政支援の充実を図
られたい。
8
土砂災害対策の更なる推進と身近な緑の保全
「土砂災害警戒区域」の指定区域の中には、住宅地開発がなされている一方で、貴重
な緑が残っている多摩川由来の崖線も含まれており、崖線の緑を保全しつつ、がけ崩れ
防止対策を行う必要がある。また、都民からは安心して生活できるよう対策工事等に関
しての支援強化を望む声がでている。そのため、都と関係市町村が連携して、国の関係
- 10 -
機関との調整を図り、開発と保全が一体となった取り組みができるよう、技術及び財政
支援を図られたい。
9
いつ起きるかもしれない危機への備え
東日本大震災や近隣諸国に端を発する新型インフルエンザ等及びPM2.5 のように、
市町村単位での対応が困難となるような、予期できない危機への対応が相次いでいる。
このような事態が発生した場合、広域での対策が有効であることから、都の主導によ
る市町村や医療機関等と連携した迅速な対応と物資や人員を支援し、情報を共有する体
制の構築を推進されたい。
10
(1)
男女共同参画推進のための総合的な取り組みの強化
市町村においては、男女共同参画社会実現のために、男女共同参画計画の策定及び
情報誌の発行や相談窓口の設置、講座やシンポジウムの開催、配偶者暴力の被害者に
対する自立支援対策等の事業を展開している。
男女共同参画施策の更なる推進にあたり、都においては引き続き情報の提供、関係
機関の連携体制の充実・強化を図り、市町村が実施するこれらの事業や増加する相談
業務に対しての支援や補助制度等の新設をされたい。
(2)
女性の雇用環境の一層の改善を図るため、事業主に対する男女雇用機会均等法の趣
旨の周知徹底、指導の更なる強化や、ポジティブ・アクションの推進等による男女間
格差の是正、女性の割合が高い非正規雇用の雇用環境の整備、ひとり親家庭等に対す
る取り組みの充実・強化を図られたい。
また、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて事業主等に対して広く意識改革の
推進や関連法制度の広報、啓発、情報提供を引き続き実施するとともに、市町村が取
り組む各種事業についても支援強化を図られたい。
(3)
東日本大震災以降、防災計画・マニュアル作りにおける男女共同参画の推進が求め
られるようになったことや、市民や職員の意識向上によって、「防災と男女共同参画」
の視点の普及、防災の取組みにおける女性参画の推進などが図られつつある。
都においても、この取り組みを推進し、市民や職員に対する研修、普及活動などに
対する積極的な補助や支援を図られたい。
11
(1)
環境負荷の少ない地域づくりに向けた施策展開
低公害車・低燃費車の導入や、生ごみを活用したバイオマスエネルギー、太陽エネ
ルギー等の活用、公共施設の高気密・高断熱化等による、地域における省エネルギー・
新エネルギー施策の展開など、「低炭素で高効率な自立分散型エネルギー社会を創出
する」ための積極的な展開を引き続き図られたい。
(2)
自転車は環境に与える負荷の少ない移動手段であることから、交通ネットワークの
一環となるよう関連施策の充実などの取り組みに対する積極的な支援を引き続き図ら
- 11 -
れたい。特に、自転車と歩行者の安全に配慮した自転車専用道については、都道にお
いて早期に整備を推進するとともに、市道における整備のための財政支援を図られた
い。あわせて市町村が行う駐輪場整備等に対しては、積極的な支援の充実を図られた
い。
(3)
24年12月に施行された「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づく、市におけ
る「低炭素まちづくり計画」の策定に対し、引き続き支援を図られたい。
12
新たな緑の創出に対する支援と緑の保全に対する施策の充実
新たな緑の創出のため、公共・民間を問わず施設の屋上、壁面等の緑化、公立小中学
校の校庭の芝生化を推進されたい。特に、芝生整備後の維持管理に対する支援を更に充
実されたい。また、無電柱化は緑のネットワークと一体的に推進する必要があることか
ら、都道における速やかな事業の促進と、市町村道における無電柱化事業推進のための
財政支援を一層図られたい。
13
広域的な産業拠点の育成
多摩地域を広域的な産業拠点として育成するためには、それぞれの地域特性を生かし
た産産・産学・産金の連携が不可欠である。
ついては、これらの連携を強化するために、都有地活用等による多摩地域に数多く立
地するものづくり中小企業と大学等の中核機能を担う産業交流拠点の整備を着実に実
施し、多摩地域における産業の育成を図られたい。
また、より実効的な多摩地域への企業の立地促進のため、企業誘致奨励制度の創設等
による支援の充実を図られたい。
14
(1)
雇用・就業機会の創出について
非正規雇用者が新たな知識や技能を習得し、再就職等に役立てられる能力を開発す
るため、東京都立職業能力開発センターでの職業訓練科目の充実や、東京しごとセン
ター多摩の就職支援講習を拡充するなど、支援の強化を図られたい。
(2)
国は35歳未満の非正規雇用を対象に人材育成・定着支援を講じているが、就職氷河
期以降に増大した非正規雇用者が今では40代に達していることから、こうした非正規
雇用者に対する雇用・就労支援策の更なる強化を図られたい。
(3)
増加を続けるひきこもり・ニート等の若者対策の雇用・就労の側面からの支援とし
て、こうした若者を就業に繋げるための相談窓口や就業支援講習等の施策の充実を図
られたい。
(4)
各市では、労働セミナーや合同就職面接会の開催等、就業促進に向けた様々な支援
策を展開している。都においては「東京都人づくり・人材確保支援事業」を創設され
たところであるが、状況に応じたより柔軟な対応ができるよう、各市が実施する雇用
就業に関する取組に対して支援の強化を引き続き図られたい。
- 12 -
15
環境問題・交通問題に配慮した郊外型広域物流拠点の形成
多摩地域での物流機能の拡大・強化は、地域の経済、社会、文化の発展、物流コスト
の低減、交通渋滞の緩和や生活環境の改善に大きく寄与するものと考えられる。一方、
既に中央道や圏央道のインターチェンジ付近においては、物流企業の進出による新たな
環境問題・交通問題の発生が危惧されている。
ついては、多摩地域の環境問題や交通問題を配慮した物流拠点形成の早期実現に向け、
都として主導的な役割を担い、積極的な推進及び更なる支援を図られたい。
16
保育サービス創出による待機児童の解消
27 年度からは子ども・子育て支援新制度が本格施行され新制度では新たな幼保連携型
認定こども園を含む幼稚園・保育所等への給付が施設型給付として体系化される。併せ
て地域型保育給付も新設され、保護者の働き方や地域の実情に応じた多様な保育の提供
体制が構築されることになる。そのため、幼稚園・保育所の認定こども園への移行支援
など、市町村子ども・子育て支援事業計画で定める取り組みへの支援を積極的に講じら
れたい。
保育所の整備については、これまでの施設整備への支援と同時に、引き続き国有地の
活用など国による支援に加え、未利用の都有地についても有効活用を推進されたい。
また、都独自の制度である認証保育所については、新制度施行後もその特色が活かさ
れた制度設計を継続するとともに、運営費の補助の拡充についても引き続き、検討され
たい。
更に、保育士の更なる処遇改善への支援と人材育成策を充実されたい。
17
地域のスポーツ活動の支援
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、地域のスポーツ活
動の気運が高まることが期待される中、子どもの体力・運動能力の向上、誰もが生涯に
わたってスポーツに親しみ、身近にスポーツを楽しむことができるハード・ソフト両面
の環境づくりが求められている。特にオリンピック・パラリンピック競技大会出場を目
指す青少年たちの環境整備には積極的な支援が必要である。
ついては、多摩地域において、既存施設や新たなスポーツ施設の整備及び機能高度化
のための大規模改修等に対し、財政支援を図るとともに、引き続き、国に対して国庫補
助の充実を要望されたい。
また、総合型地域スポーツクラブ等の設立、運営に対しての継続的な支援を図られた
い。あわせて、東京都ジュニアアスリート・トップアスリート発掘・育成事業について、
多摩地域からオリンピック・パラリンピック競技大会へ出場する選手を多数輩出できる
よう、多摩地域を拠点とした新たな事業の展開や対象競技を拡充するなどの人材育成等
について継続的な支援を図られたい。
- 13 -
6
市町村総合交付金制度等総合的財政補完の充実強化
市町村の行政水準の向上、公共施設の整備促進等を図り、震災対策、ごみ減量・リサイ
クル推進、少子高齢化対策等の緊急課題に対する市町村の財政負担に対応するため、財政
補完制度について積極的な措置を講じられたい。
また、地方自治法第 213 条において規定されている繰越明許はもとより、事故繰越制度
も含め、市町村総合交付金・都区市町村振興基金の繰越制度の創設を図られたい。
1
市町村総合交付金制度は、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進を図る目的で創設
されたもので、市町村財政にとっては重要な財政補完をなすものである。
国の経済状況は緩やかな回復基調が続いているが、市町村においては、引き続ききわめ
て厳しい財政状況が続いており、行財政改革の積極的な推進により経営健全化に努めてい
るところであるが、特別区との間で様々な施策の差が生じている。このようなことから、
引き続き長期安定的な財源の確保に向けて、より一層の総合的財政補完の増額を図られた
い。
(1)
市町村への配分にあたっては、市町村の自主性、特殊性を尊重するとともに、市町村
と十分協議し個別事情がより的確に反映できるよう努められたい。
(2)
基盤強化分 45%、振興支援分 55%という構成割合については、年度ごとの社会経済
情勢等により、基盤強化分と振興支援分の配分割合を柔軟に調整できる制度とされたい。
(3)
まちづくり振興割は、市町村の公共施設整備に要する経費の財源補完制度として設け
られ、市町村が公共施設整備を図るうえで、大きな役割を果たしている。少子高齢化、
施設の老朽化への対応や防災の観点などからも公共施設のあり方についての検討が進
められている状況の中、総量の圧縮や多機能化・複合化による有効活用、地域や人口特
性に応じた機能の再配置が求められている。今後、公共施設の統廃合等の見直しを進め
るにあたり、より一層の市の財政負担が見込まれることから、公共用地取得事業や施設
の解体費用についても対象とするよう、適用事業の拡大を図られたい。なお、算定にあ
たっては、10 月以降の事業追加や変更について一定の見直しが図られたものの、事業
間の調整などについて、引き続き柔軟に対応されたい。
(4)
経営努力割については、これまで取り組んできた経過・成果を踏まえ、市町村におけ
る行財政改革の一層の推進につながるよう、各市の取り組みが公平に反映されるような
算定方法の確立及び算定式の公表や問題点の明確化等具体的な説明を行われたい。
(5)
特別事情割については、今後、扶助費等の増加が見込まれることから、対象事業の拡
大を図るとともに、市町村の個別事情をより広範囲に反映できるよう努められたい。
- 14 -
(6)
各種事業実施にあたり、相応の事由により事業の繰越をせざるをえない事態が発生す
る。この場合、現行の制度では、市町村総合交付金の繰越は認められていないことから、
一般財源での措置に切り替えるほかなく、計画的な財政運営を行う上で、大きな障害と
なっている。特に市町村土木費補助については、繰越制度が採られていることからも、
市町村総合交付金についても、市町村個別事情もあることから、早期に実情に見合った
措置を講じられたい。
2
区市町村振興基金制度は、区市町村及び公営企業の公共施設整備事業の財源として、国
の地方債制度を補完し、公共の福祉増進に大きな役割を果たしている。
都は振興基金制度の拡大、条件緩和等を進めてきているが、以下のとおり改善に努めら
れたい。また、国に対し地方債制度における改善を働きかけられたい。
(1)
対象事業の更なる弾力化を図るとともに、投資的事業を考慮した貸付額の確保に努め
られたい。
(2)
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技施設等関連整備事業など、特別利率
貸付の対象の拡大について引き続き努められたい。また、借換えについては、平成 20
年度に一定利率以上の借入れを対象に実施されたところであるが、高利なものを対象に、
再度実施されたい。
(3)
任意の繰上償還を積極的に認められたい。また、繰上償還や借換えについて財政力指
数等の要件撤廃を図られたい。また、国に対し、地方債の補償金免除繰上償還の制度の
実施について働きかけられたい。
(4)
各種事業実施にあたり、相応の事由により事業の繰越をせざるをえない事態が発生し
ても現行の制度では区市町村振興基金の繰越は認められていないことから、一般財源で
の措置に切り替えるほかなく、計画的な財政運営を行ううえで、大きな障害となってい
る。各区市町村においては、公共施設の更新時期を迎えていることやオリンピック・パ
ラリンピックに向けた事業の実施が予定されていることから、今後も労働者不足や資材
単価の高騰などにより、多数の発注工事で繰越となることが見込まれる。区市町村振興
基金の繰越が認められていないことは認識しているが、計画的な財政運営を行うために
も、特にオリンピック・パラリンピックまでの期間、時限的に対応することなども含め、
区市町村振興基金についても繰越制度等実情に見合った措置を講じられたい。
- 15 -
7
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会をオール東京として
開催するための施策の推進
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、オール東京で取り
組むという方向性のもと、全ての市町村が大会開催に主体的に取り組めるよう、事前キャ
ンプ地及び開催期間中の練習会場の誘致をはじめ、必要な措置を講じられたい。
1
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けては、多摩地域も一翼
を担い、オール東京で一体となった「史上最高のオリンピック・パラリンピック」を実
現することが求められている。国際交流や地域振興を図るため、事前キャンプ地及び開
催期間中の練習会場を優先的に誘致できるよう、関係各方面への働きかけ等を引き続き
強力に進められたい。
また、競技会場については、多摩地域の自治体からも積極的に競技会場誘致を要請し
てきており、多摩地域における競技開催を検討されたい。
2
大会開催に向けては、国際オリンピック委員会から文化プログラムの実施が求められ
ている。東京の文化芸術を世界に一層浸透させていくためには、市町村独自の取組を行
うことが重要であり、文化イベントの実施や文化施設の整備等が不可欠になる。このた
め、都と市町村で連携を図るとともに、財政支援も含め、必要な措置を講じられたい。
3
オリンピックとパラリンピックの価値を次世代に受け継ぐという理念を実現するため
には、子ども達やスポーツ団体をはじめとしたあらゆる市民・団体が大会との関わりを
持つ必要がある。このため、アスリート育成の場としての施設整備や市民誰もが利用し
やすいスポーツ環境整備に対しての補助制度の充実に努められたい。また、大会開催に
伴う外国人をはじめとした観光客の利便性向上のための環境整備等、多摩地域としての
役割を担っていく取り組みに対して必要な支援の拡充を図られたい。特に、多摩地域の
観光施策や地域間連携による観光推進に対する取り組みが、2020 年まで継続して実施可
能となる新たな補助制度の創設を図られたい。
- 16 -
8
業務核都市及び核都市等の育成整備
多摩地域の広域的発展を図り、都市の自立性を高めるためには、首都圏整備計画におけ
る業務核都市の整備が不可欠である。
近年の少子高齢化、人口減少社会の到来等の社会経済情勢の変化を踏まえ、地域特性や
地域のポテンシャルを生かした業務核都市の育成整備を図り、自立性の高い地域を形成す
ることは、多摩地域のバランスの取れた発展による魅力ある経済活力に満ちた都市圏の再
生のためにも重要な課題である。
ついては、業務核都市及び核都市等の育成整備のため、次の事項について特段の措置を
講じられたい。
1
平成 21 年8月策定の「多摩の拠点整備基本計画」にもとづき、核都市の育成整備に向
けて具体的な支援策や事業実施の促進を図られたい。
更に、業務核都市基本構想に定めた中核的施設や業務核都市形成のための道路・交通
網等都市基盤整備の早期事業化・早期完成に向けて、整備拠点内にある都有地の積極的
な活用をはじめとした諸施策の推進を図られたい。
2
広く多摩地域の都市の魅力と活力を向上させるため、業務核都市及び核都市等を中心
として、職と住とのバランスの取れた自立性の高い拠点の育成整備と、それに必要とな
る基盤整備等について、多角的な支援を図られたい。
3
20 年5月に都が策定した「東京都西南部の流通業務施設に関する整備方針」では、圏
央道八王子西インターチェンジと圏央道青梅インターチェンジの周辺地区を物流拠点
の候補地として位置づけている。
現在、八王子市と青梅市は、都が位置づけた東京西南部物流拠点を実現できるよう、
土地区画整理組合設立認可取得に向け、地元と調整を進めているが、他県の圏央道イン
ターチェンジ周辺では、圏央道の整備効果をまちづくりに波及させるため、県が主体と
なって、先端技術産業をはじめとした企業誘致や物流機能の導入に対し、積極的な支援
を実施している。
ついては、多摩全体への経済活力の向上にもつながる東京西南部物流拠点整備事業の
早期実現を、都がけん引役となって、積極的に推進されたい。
4
多摩地域には、IT産業をはじめ、製品・部品開発型企業などの先進的な技術をもつ
企業が数多く存在する。首都東京の国際競争力を高めるには、区部を中心とした業務・
商業機能のみならず、多摩地域に存在するこれらの企業が持つ機能を有効に活用する必
要がある。
- 17 -
このことから、国家戦略特区による多摩地域の振興策を検討するにあたっては、すで
に適用を進める旨の提案を受けている観光や農業にとどまらず、多摩地域のものづく
り・IT・食品・医療など多様な産業の特性を生かせるよう、市と十分な連携を図ると
ともに、技術的支援を講じられたい。
- 18 -
9
公共施設等修繕・保全計画への支援
公共施設や、道路・橋梁などの多くは、高度成長期を中心とした 1960 年代から 70 年代
にかけて整備され、築後 40 年以上経過するものが急増している。施設等の維持更新のため
の費用が集中的に必要となることは明らかであり、既に、多くの自治体で、ストックマネ
ジメントにより公共施設等の長寿命化や効率的な運用・管理・更新を図り、財政負担を軽
減する取り組みが始まっている。
国においては、平成 25 年 11 月に「インフラ長寿命化基本計画」が決定され、また、26
年4月には、
「公共施設等総合管理計画」を策定するよう各市町村に要請がなされた。各市
町村においては、この要請に基づき、計画の策定に取り組んでいるところである。
都では、20 年から「大規模施設等の改築・改修に関する実施方針」により取り組みを行
っているところから、国の動向と歩調を合わせ、そのノウハウを活かし、各市がストック
マネジメントを取り入れた公共施設等の修繕・保全計画を策定する際の技術支援を充実さ
れたい。
また、国では、公共施設等総合管理計画の策定に要する経費についての特別交付税によ
る財政措置や公共施設等の除却に係る経費についての地方債の特例措置を講じているのに
加え、公共施設最適化事業債を新たに講じており、ファシリティマネジメントの考え方が
進められている。都においても公共施設等の大規模修繕等を推進するための財政措置を講
じられたい。
更には、各市の計画に基づく事業実施に対し、「小中学校等耐震化事業」「国体競技施設
整備事業」が一定の成果を得たことを鑑み、東京都区市町村振興基金の特別利率の適用対
象に新たに「公共施設再配置事業」を加えるなどの財政支援を講じられたい。
- 19 -
10
自然災害に対する防災体制の確立
東日本大震災の教訓や被害想定の見直しを基に、地震など大規模な災害時及び風水害や
雪害など、突発的な災害時に対応できる行政区域を越えた広域的な災害協力体制の早期構
築を検討されたい。
1
帰宅困難者対策について
(1)
帰宅者の多くが鉄道各線の駅周辺に集中することによる混乱を未然に防ぐため、速
やかに支援施設へ誘導できる体制を整える必要がある。主要駅沿線自治体が所有する
公共施設を災害有事に提供する体制を整え、帰宅支援マップの更なる周知を図るなど、
公共交通機関利用者への更なる安心確保に努められたい。
(2)
都では、帰宅困難者の一時滞在施設として、大規模集客施設等へ協力要請を進めて
いるが、帰宅困難者が集中する幹線道路沿いにおいて受け入れ可能な施設がない地域
では、帰宅困難者の滞留が想定されるため、公的な一時滞在施設等の整備に努められ
たい。
また、「災害時帰宅支援ステーション」の拡充と積極的なPRに努められたい。
(3)
東京都地域防災計画に基づいて、都が所有・管理する施設のうち帰宅困難者一時滞
在施設を増やすとともに、職員体制を強化されたい。また、訓練等による一時滞在施
設の運営マニュアルの習熟を図るとともに、水・トイレ等を十分に確保されたい。
(4)
東京都民間一時滞在施設備蓄品購入費用補助事業において、補助要件として3日分
の備蓄を求めているが、施設によっては3日分の備蓄が困難である。更なる一時滞在
施設の拡大のため、備蓄品の必要数の見直しなどの補助要件の緩和を図られたい。
2
災害時緊急対応情報の提供について
被災による非常時においては、住民や市町村が入手できる情報に限度がある。都はホ
ームページやツイッターなどによる災害情報の周知を行っているが、これらをより実効
性のあるものとし、住民への情報提供体制の強化を図られたい。また、都が保有・発信
している情報を各市町村と共有できるよう体制の更なる強化を図られたい。
3
広域的な連携体制の更なる強化について
平成24年4月に発表された東京都防災会議による首都直下地震の被害想定の見直しで
は、多摩地域がこれまで以上に大規模な被害想定に見直された。また、多摩地域特有の
土砂災害等風水害や大雪による被害への対応も必要であり、26年7月に修正した東京都
地域防災計画風水害編では風水害等による孤立対策なども改めて盛り込まれているとこ
ろから、多摩地域と区部と都の連携体制を更に強化されたい。
- 20 -
4
大雪降雪後の孤立集落対策及び市民生活早期回復のための支援について
26年2月に降った大雪では、多摩西部の山間部において、孤立集落が多数発生し住民
の生命の安全確保が問題となった。また、道路交通や公共交通の回復に時間を要し、1
週間以上にわたり市民生活に大きな混乱をきたした。
このような事態が発生した際、迅速に対応し、早期の安全確保及び市民生活の回復が
図れるよう、災害対応にあたる人的支援や国道・都道等幹線道路の早期除雪体制の整備、
除雪費用等の財政的支援など大雪時の支援対策の更なる強化を図られたい。
5
土砂災害防止法改正に伴う市町村への支援強化について
26年度に土砂災害防止法が改正され、市町村には避難体制や情報伝達体制の充実・強
化が求められている。しかし、土砂災害警戒区域等が多数指定されている市町村におい
ては、地域防災計画への避難経路や要配慮者施設等の記載のほか、ハザードマップの作
成にも苦慮している状況である。そのため、市町村への情報提供や、都で統一した方針
等を示すなどの支援及び連携体制の強化を図られたい。
- 21 -
11
防災事業の充実と財政措置等の確立
東日本大震災や平成 24 年4月に発表された首都直下地震による被害想定の見直しによ
り、防災事業の重要性が高まっているところから、防災事業の充実及び積極的な措置を図
られたい。
1
ヘリポートや備蓄倉庫等防災施設の充実に努められたい。
緊急時や災害時に孤立する恐れがある地域での救助活動や、山林火災の消火活動のた
め、災害対策用ヘリポートの設置が必要であることから、整備促進に努められたい。
また、被害想定の見直しにより備蓄物資をより多く同時に分散して保管しなければな
らない状況が想定されるが、都の寄託物資保管場所の更なる確保は困難である。ついて
は、都において備蓄物資及びその保管場所を積極的に確保されたい。
2
市町村は、災害発生時等における住民への情報伝達手段の一つとして防災行政無線を
整備しているが、地理的、地形的要件によって、全ての住民に情報を伝えることが困難
な状況となっている。この解決に向けて、防災行政無線のみならず防災メールの活用等、
情報伝達手段の多様化が求められていることから、引き続き各自治体における情報伝達
体制の構築等への支援をされたい。
3
「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が25年12月に制定され、
地方公共団体は地域防災力の充実強化を図ることが責務とされたことから、消防団、自
主防災組織が使用する施設等や、総合防災訓練、自主防災組織の育成に対する財政措置
を拡充されたい。
また、国や各種団体の助成制度に変更が生じた場合については、市町村に対し引き続
き速やかな情報提供をされたい。
4
公共建築物は災害発生時に避難所や支援物資の保管等を行う重要な施設となることか
ら、耐震改修並びに非構造部材の耐震化について積極的な支援を図られたい。
5
ヘリサイン(公共施設名称の屋上表示)整備促進に向け、補助制度を創設されたい。
6
市町村が地域防災計画を修正する際の事前調査等に対する助成制度を創設されたい。
7
指定避難所の防災備蓄品の購入について、地方交付税の算定基礎の充実を引き続き国
へ働きかけられたい。また、都による補助制度を創設されたい。
8
災害発生後の被災者の生活再建支援を迅速かつ円滑に行うため、各市町村における「り
災証明発行システム(被災者生活再建支援システム)」の導入に向けて、その費用につ
いて財政支援を図るとともに、都は国に対し補助制度の創設を働きかけられたい。
また、住民が各種支援策を受ける際に、住家被害を対象とした「り災証明書」以外の
- 22 -
証明書提出を求められることがあることから、自治体がそれぞれの判断で「被災証明書」
等を発行している状況がある。自治体間で対応に差異が出てしまう恐れがあるため、市
民に不利益が生じないよう、国に対し被災証明書の制度化を検討するよう働きかけるこ
とや、都としての発行基準の検討をされたい。
9
防災行政無線のデジタル波移行に伴う各市区町村の設備整備等について、財政的な負
担が非常に大きく、事業推進が困難なことから、その経費等について、都として補助制
度を設けるなど必要な財政措置を設けられたい。
- 23 -
12
安全・安心な都市の実現に向けた取り組みに対する支援措置の充実
400 万人の人々が暮らす多摩地域の安全な生活を維持するうえで、警察の果たす役割は
極めて重要であり、更なる犯罪防止対策の充実・強化を図られたい。また、市町村におい
ては、児童・生徒や女性・高齢者を狙った事件や無差別犯罪の発生の状況を受けて、安全
で安心して暮らせるまちを実現するための、犯罪防止施策や市民の防犯活動が活発化して
いる。これらの施策や市民活動に対する組織的・人的支援を含めた支援措置の更なる充実
を図られたい。
また、犯罪被害者等に対する支援について、身近できめ細かな支援が受けられるよう充
実を図られたい。
1
新たな市街地が形成され、大規模店舗やマンションの建設など土地利用が多様化する
中で、市民が治安に対する不安を感じることがないよう、多摩地域における治安対策と
して、警察署、交番等を増設するとともに、交番等における警察官の常駐化を図られた
い。また、駅周辺地域の環境浄化のための住民、地域団体等のパトロールへの警察官の
同行など、周辺住民の安全・安心な生活が確保できるよう治安対策活動の推進を図られ
たい。
2
児童・生徒が安心して学校生活を送れる環境を整えるための市町村の施策や、それを
支える市民活動と連携した警察官の巡回等による取り組みを強化されたい。
3
犯罪被害者を支援するための総合相談窓口を新宿区の被害者支援都民センターだけで
はなく、被害者がいつでも身近に相談できるよう、多摩地域にも早急に開設し、支援の
充実を図られたい。また、市町村職員向けの研修の実施や都の相談員の派遣による市の
相談窓口業務に対する技術支援等、身近できめ細かな支援を引き続き推進されたい。
4
地域や商店街などに設置される防犯カメラは、設置地域で発生した事件のみならず、
広域的な捜査活動にも大きな効果をあげている。ついては、都の補助事業を活用して地
域団体が設置した防犯カメラ設置後の維持経費に対する補助制度を創設するなど、継続
的な支援を図られたい。
5
安全で安心な繁華街の形成について、居酒屋等を含む客引きの悪質なつきまといを防
止するため、各市町村が実施するパトロール活動等への連携を強化されたい。
6
現在、被害が拡大している高齢者に対する「母さん助けて詐欺」等の特殊詐欺対策の
ための人員増を図るなど、安全・安心のための警察機能の更なる強化を図られたい。ま
た、迷惑電話チェッカーや、自動通話録音機などの機器を高齢者宅に設置できるよう対
策を引き続き図られたい。
- 24 -
7
(1)
DV対策等の市町村への支援、広域的対応等について
「改正DV防止法」により、市町村についても「配偶者暴力相談支援センター機能
整備」、「市町村基本計画の策定」が努力義務化されたことから、都においては、引き
続き積極的な技術支援、財政支援に取り組まれたい。
(2)
DV対策、ストーカー対策について、同一市町村内では被害者支援の対応が十分で
きず、広域的な取り組みが必要である。近年は市町村に対するDV関連の相談内容も
複雑化し、被害者の状況は多岐にわたっている。また、子どもへの影響、外国人の被
害者の支援及び加害者への対応が新たな課題となっている。
都においては、被害者の自立後の支援・見守りをはじめ、保護事業全体の更なる調
整機能の強化及び広域的な連絡体制の整備を進めるとともに、引き続き緊急時に対応
できる施策の充実を図られたい。
更には、加害者の再発防止に向け、「加害者更生プログラム」の策定への取り組み
を早期に図られるよう国に要望されたい。
- 25 -
13
子育て環境の充実
子どもが健やかに育ち、親が安心して子どもを産み育てることができるよう、市町村は
様々な子育て環境の充実のための施策を展開しているが、積極的な支援策として、次の事
項について充実強化を図られたい。
1
都から国への働きかけについて
(1)
子ども・子育て支援新制度については、制度が円滑に進められるよう、今後も国の
責任において財源を確実に確保すること。
また、施設型給付費等の支給に要する費用の交付等においては、制度や算出法を簡
素化するなど、事務負担の軽減を図ること。
(2)
国の医療制度として、乳幼児及び義務教育就学児医療費助成制度を創設すること。
(3)
地域子ども・子育て支援事業について、延長保育や、放課後児童健全育成事業等を
はじめ、対象となる 13 事業の補助を一層充実すること。
特に、ファミリー・サポート・センター事業及び子育て短期支援(ショートステイ
及びトワイライトステイ)事業については、安定的な事業運営という視点から、経費
の実態に見合った補助額となるようその算定法を見直し、補助を一層充実すること。
(4)
子ども家庭支援センターを児童福祉法施行規則第6条に基づく児童福祉司の任用資
格における指定施設にすること。
(5)
婚姻歴のないひとり親には税法上の寡婦(夫)控除の適用がなく、特定教育・保育
施設及び特定地域型保育事業に係る利用者負担額や公営住宅家賃等に差異が生じる
場合がある。こうしたひとり親家庭の自立支援、子どもの置かれた経済的に不利益な
状況の改善を図るために、婚姻歴のないひとり親にも寡婦(夫)控除を適用するよう
税の控除制度を改めること。
2
都の支援・財政措置について
(1)
平成 27 年度に施行となった子ども・子育て支援新制度を着実に実施するため、都の
財政支援の充実や、技術的支援及び広域調整等の積極的な対応を図ること。
(2)
子育て推進交付金総額の増額や子供家庭支援区市町村包括補助事業における補助率
の引上げなど、積極的な支援策を講じること。
(3)
相談機能の充実及び児童虐待への対応強化を図るため、虐待対策コーディネーター
及びワーカーの配置に係る財政支援については一層の充実を図ること。
(4)
児童虐待等に対して迅速かつ組織的に対応するため、児童相談所の職員の増員と機
能の更なる充実強化を図るとともに、保健所等と情報を共有し、児童虐待等に的確に
- 26 -
対応すること。
(5)
乳幼児・義務教育就学児医療費助成制度について、区部が所得制限を撤廃している状
況に対して、市部では義務教育就学児医療費助成制度において 20 市が所得制限を設け
ており、同じ都民でありながら、地域間格差が生じている。この事実に鑑み、東京都に
暮らす子どもに等しく福祉が行き渡るよう、都制度による所得制限の撤廃及び補助率の
引き上げ等を検討すること。
- 27 -
14
私立幼稚園等に対する支援の充実
子ども・子育て支援新制度における幼稚園・認定こども園の公定価格の見直し及び幼稚
園就園奨励費補助金の予算確保について国に要望されたい。
1
子ども・子育て支援新制度において、都内の法人立幼稚園は、国の定める公定価格では
運営費に不足が生じ、採算が取れない可能性があることへの不安等から8割弱の園が新制
度に移行しておらず、制度の導入が円滑に進んでいない状況にある。ついては、新制度へ
の移行を希望する法人立幼稚園が安心して移行できるよう公定価格の見直しを国に働き
かけられたい。
2
新制度に移行していない幼稚園について、国の幼稚園就園奨励事業の補助率は 「幼稚
園就園奨励費補助金交付要綱」に1/3以内とあるものの、国の予算不足から年々割り落と
され実質1/4以下にまで減額されており、市の財政負担が非常に大きくなっている。つい
ては、必要な予算を確保し、確実な交付をおこなうよう、国に対して強く要望されたい。
- 28 -
15
公立学校における教育環境の整備について
公立学校は、今後予想される地震等の大規模災害時において、児童・生徒の待機場所、
地域住民の避難場所として重要な役割を担うこととなる一方で、施設の老朽化が進んでお
り、改築又は大規模改修は喫緊の課題となっている。また、環境への配慮や教育環境向上
の点からも、学校施設の長寿命化及びバリアフリー化改修は重要な課題となっている。
近年では、少子化の進行により児童・生徒数が減少し、統合を迫られる市町村も存在す
る一方、共同住宅等の建設により児童・生徒数が急増し、校舎を増築して対応せざるを得
ない市町村も存在する。
学校施設の改築、改修及び増築については、国の補助制度はあるものの、都の補助制度
がないことから市町村の財政的負担は非常に大きいものがある。
そのほか、平成 27 年6月の学校教育法の改正による小中一貫教育への対応や、少人数
指導の実施への対応など、教育環境向上については、施設整備に限らず、取り組むべき様々
な課題が山積している。
このことから、次の措置を図られたい。
1
国に対して補助対象基本額(下限額)の引き下げ、補助率の拡大及び補助対象範囲の
拡充など既存の補助制度を更に充実されるよう要請されたい。
2
国の補助単価が実勢工事単価と乖離していることから、補助単価の引き上げを要請さ
れたい。また、単価の引き上げがなされるまで、都において補助制度を創設し、市町村
の費用負担軽減を図られたい。
3
27年度において不採択の事業が多数散見された状況に鑑み、学校施設環境改善交付金
については、計画的に学校施設を整備する上で非常に重要であることから、国に対して
十分な予算の確保を要請されたい。
4
少人数指導の充実に向けた教職員の配置を図るとともに、施設等の整備も含め、十分
な財政措置を講じられたい。
5
学校施設の統合について、現在、小学校同士、中学校同士を統合する場合の補助制度
はあるものの、小学校と中学校を統合する場合の補助制度はなく、今後、小中一貫教育
を推進していく上では補助制度が重要な役割を果たすこととなる。ついては、国に対し
て小中一貫教育学校としての統合に対する補助制度の創設を要請されたい。あわせて都
においても補助制度を創設されたい。
- 29 -
16
特別支援教育推進に向けた支援
特別支援教育の推進のためには、発達障害や臨床心理等の専門家の協力が不可欠である
だけでなく、特別支援教育コーディネーターの役割の重要性が増している。
また、巡回指導にあたる教員等の配置や学校施設の改修等も必要となるが、通常学級に
おいて障害のある児童生徒を支援する「特別支援教育支援員」を配置する予算を除き、専
門家や教職員等の人件費、学校施設の改修等に係る財政支援がなく、市町村の単独予算の
負担は増大している。
このため、次の措置を図られたい。
1
都教育委員会は、特別支援学校のセンター的機能を充実するため、教員の加配や講師
時数の措置を行っているが、市立学校においても特別支援教育の充実を図るため、特別
支援学校と同様に専任の特別支援教育コーディネーターや巡回指導等を行う通級指導
学級教員を配置されたい。それまでの間は、特別支援教育コーディネーターの指名を受け
た教員の授業時数の軽減を図られたい。
あわせて、小・中学校における特別支援教育コーディネーターの専任化を国へ働きか
けられたい。
2
平成28年4月の「障害者差別解消法」の施行に伴い、合理的配慮に関する合意形成に
一層の時間が必要となることを踏まえ、発達障害や臨床心理等の専門家及び巡回指導等
にあたる専門職員を配置されたい。配置されるまでの間、専門家及び専門職員を市が雇
用する場合にあっては、それに係る費用について財政支援を図られたい。
特に、専門家の支援等に係る経費については、国が「特別支援教育体制整備の推進事
業」、「インクルーシブ教育システム構築事業」等を創設したことから、都においてもこ
の制度を活用し、市町村への補助を実施されたい。
3
特別支援学級の介助員等の配置に係る費用について、地方交付税によらない財政支援
を図られたい。
4
特別支援学級(固定学級)の開設時からの指導の充実を図るため、専門性の高い非常
勤講師について、適切な講師時数を配当されたい。
5
自閉症・情緒障害特別支援学級及び情緒障害等通級指導学級では、個々の児童・生徒
によって指導目標や指導内容・方法が異なることから、十分な指導の実現のため、教員
配置定数の見直しを図られたい。
6
特別支援教室の導入時の補助のみならず、特別支援教育に必要な教室の整備及び備品
等の購入費用について、財政支援を図られたい。
- 30 -
7
28年度から小学校に順次導入される特別支援教室の導入については、巡回指導等担当
教員の配置を、1対1の個別学習だけではなく小集団指導も行えるよう、現行の情緒障
害等通級指導学級の基準に準じた配置にされたい。加えて、巡回指導教員等に助言を行
う専門家の配置にあたっては、幅広い視点を持った人材を派遣されたい。
また、発達障害等の児童・生徒の指導と支援には、集中して学習できる環境と、小集
団指導にも対応できる施設・設備の整備が必要である。整備に係る予算の充実を国に働
きかけるとともに、都においても十分な財政措置を講じられたい。
- 31 -
17
東京都帰宅困難者対策条例施行に伴う災害時に学校に留め置く児童・生徒用の
備蓄物資整備に係る補助制度の創設
東京都帰宅困難者対策条例では、事業所に留め置く従業員のための備蓄物資の確保につ
いては、3日分の水・食料・その他必要物資の備蓄が努力義務となった。都からの通知で
は、学校に留め置く児童・生徒についても対応するよう求められている。
都においては、帰宅困難者対策として、民間の一時滞在施設に配備する備蓄品の購入経
費の補助制度はあるものの、学校に留め置く児童・生徒のための備蓄物資に対する補助制
度がないことから、市町村の負担は非常に大きいものがある。
学校における児童・生徒の安全確保については、学校の設置者が行うこととなっている
が、各市町村の財政状況により、災害時における児童・生徒への対応に偏りが生じること
は望ましくない。
ついては、学校に留め置く児童・生徒用の備蓄物資の整備の重要性・緊急性に鑑みて、
市町村を対象とした補助制度を創設し、備蓄物資整備に係る財政支援を図られたい。
- 32 -
18
学校施設等の非構造部材の耐震化に伴う補助制度の拡充及び支援期間の延長
東日本大震災では、学校施設において構造体の損傷が軽微な場合でも、多くの非構造部
材の被害が発生したことから、災害時に地域の緊急避難所となる学校施設の非構造部材へ
の対策は喫緊の課題となっている。
学校における非構造部材の対策としては、天井材、照明器具、内外装材、設備器具等の
落下防止、窓ガラスの飛散防止等があげられ、主体構造以外の広い範囲の部材が対象とな
ることから、市町村の費用負担は非常に大きいものがある。
今後、耐震化を進めるうえでは、緊急性の観点から補助の充実が不可欠である。都及び
国においては、予算額の確保、補助対象基本額(下限額)の引き下げ、補助率の引き上げ
など、補助制度の充実を図られたい。
また、都の補助制度については、平成 27 年度までを支援期間としているが、非構造部
材が多岐に渡ることや建設費の高騰、技術職員の不足等の諸事情により、支援期間内の耐
震化完了が困難であることから、支援期間の延長を強く要望する。
- 33 -
19
東京都公立学校施設冷房化支援特別事業の推進
平成 26 年度から実施されている「東京都公立学校施設冷房化支援特別事業」により、
冷房化の取り組みが進むことが予想されるが、児童・生徒が使用する全ての教室の冷房化
が望まれている。
気温が 35 度を超える日も近年多くなっており、より良い教育環境を整備するためにも、
事業の対象を全ての特別教室等にひろげるとともに、普通教室についても、児童・生徒数
が増加している自治体が散見されることから、教室増に対応するため、補助対象とされた
い。また、老朽化した空調機の更新についても補助対象とされたい。
あわせて、多額の設置者負担が生じていることから、補助率の引き上げや 30 年度まで
となっている時限措置の撤廃等、補助の拡充をされたい。
- 34 -
20
介護保険制度に係る市町村への支援策の充実
都においては、介護保険制度に係る以下の課題解決等に向けて、市町村と調整し、国に
対して積極的に働きかけを行うとともに、都独自の施策展開を図るほか、市町村が行う諸
施策について、継続的に財政的、技術的支援策を講じられたい。
1
都から国への働きかけについて
(1)
制度の運営に関する事項
①
被保険者の範囲の拡大及び障害者施策との統合については、十分に議論を尽くし、
保険者の意見も反映するよう働きかけること。
②
低所得者対策として、利用者負担の軽減措置を充実させるなど、低所得者対策の
抜本的な検討と見直しを、国の責任において実施するよう積極的に働きかけること。
③
介護保険料の算定の基礎が合計所得金額であるため、分離課税所得に係る特別控
除及び損失の繰越控除適用前の金額を算定の基礎とすることとなっている。よって、
介護保険法施行令を見直し、介護保険料の賦課において、分離課税所得に係る特別
控除及び損失の繰越控除を適用し、国民健康保険税・後期高齢者医療保険料との整
合性を図ること。
④
介護保険制度の充実に向けて、市町村間の介護保険料の不均衡を解消するため、
積極的に働きかけること。
⑤
次期介護報酬改定においては、地域区分の設定について、事業所の健全な運営、
介護従事者の処遇改善を踏まえた適正な単価設定を行うとともに、診療報酬におけ
る対象地域の設定の考え方を踏襲することなく、大都市における人件費、物件費の
高さなどを考慮し、実態に即したものとするよう積極的に働きかけること。
⑥
税制改正を行い、保険料の納付方法(年金天引きと口座振替)による税負担の不
均衡を解決するよう積極的に働きかけること。
⑦
地域包括支援センターの地域支援事業に係る経費については、地域の実態に見合
った適切な人員を確保するため、必要な費用を国・都道府県・保険者において負担
する仕組みに改め、また、介護予防支援事業に係る介護報酬の見直しを行うよう積
極的に働きかけること。
⑧
高額医療合算介護(介護予防)サービス費の時効の取扱いについて、医療保険者
と同様に、勧奨した日を起算日とするよう介護保険者の時効の取扱いを見直すよう
積極的に働きかけること。
(2)
財政支援に関する事項
- 35 -
①
安定的な介護保険事業運営を阻害しないよう、財政調整交付金については、国の
法定分について確実に交付し、法定負担分と別枠で設置するよう積極的に働きかけ
ること。
②
地域支援事業を円滑に実施するため、十分な財源を確保するよう積極的に国に働
きかけること。
2
(1)
都独自の支援策について
生計困難者等に対する介護サービス利用者負担額軽減事業については、サービス範
囲の拡大だけでなく、都独自の所得基準等を設け対象者の拡大を図ること。
(2)
主治医意見書の記載内容は、介護サービスの有無、在宅サービスの上限等に影響を
与えるものであり、診療経過や処方内容だけでなく、介護の手間の記載を正確に行う
よう医師会等を通じて注意喚起を図られたい。
(3)
訪問介護員は介護サービスの提供にあたり多くの専門知識や経験が求められる一方
で、約8割は非常勤の職員が占めている。しかし、現在実施している介護員スキルア
ップ研修は、これらの職員が対象外となることから、研修の対象者及び定員の拡大を
図ること。
また、訪問介護員が不足している状況にあることから、人材確保策を講じられたい。
- 36 -
21
高齢者保健福祉に係る各種施策の充実
介護保険法の改正により新予防給付や地域支援事業等が創設され、介護保険制度は介護
と介護予防が一体となった総合的な仕組みへと転換され、一貫性・連続性のある包括的な
支援が可能となった。また、地方分権推進の観点から、各種高齢者保健福祉施策が一般財
源化となったが、一方で様々な課題も発生している。
都は課題解決に向け、市町村に対する都独自の財政的、技術的な支援を図られたい。
1
地域福祉推進区市町村包括補助事業の補助基準額増額、補助率引上げ等、一層の充実
を図ること。とりわけ成年後見活用あんしん生活創造事業については、補助基準額を増
額し、後見人等候補者養成への取り組みを促進すること。
2
老人クラブ運営費補助金の充実を図るとともに、報告書の様式を、高齢者に分かりや
すい様式に変更し、報告項目の簡略化を図ること。
3
東京都シルバーパス事業について、高齢者がより円滑な手続きができ、市町村の事務
負担が軽減できるよう、新規対象者に対し周知の強化を図るとともに、発行の際に必要
な所得証明書類も明確に周知する等、一般社団法人東京バス協会に働きかけられたい。
また、一般の定期券と同様に購入日から1年間の通年対応とする措置を講じるよう、働
きかけられたい。
- 37 -
22
地域包括ケアシステム構築に向けた施策の充実
地域包括ケアシステムを構築するにあたり不可欠となる、地域密着型サービスの整備促
進に係る施策の充実を図られたい。
1
地域包括ケアシステム構築にあたり、地域密着型サービスの十分な整備促進が必要と
されている。しかしながら、土地購入、初期投資に係る負担が大きいことが、地域密着
型特養、小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護の施設整備が計画通
りに進まない要因の一つである。
ついては、これらに対する初期投資、設備投資及び維持管理等の補助の増額等を講じ
られたい。
2
平成24年度に新設された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、地域包括ケアシ
ステムを支える中心的なサービスとして位置づけられており、高齢化率の高い地域に必
要不可欠である。しかし、高齢化率が高く特にサービスを必要とする大規模開発団地等
においては、建築基準法上の用途制限により整備できないなど、十分に設置が進んでい
ない状況である。
ついては、高齢化率の高い大規模開発団地等に「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」
整備を可能とするため、関係省庁をまたいだ調整を図るよう、国に働きかけられたい。
- 38 -
23
障害者総合支援法施行後の福祉施策について
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」
のもとにおいて、市区町村の役割と財政負担が更に大きくなっている。市区町村の障害福
祉施策の安定的な運営のため、以下のとおり支援を図られたい。
1
地域生活支援事業については、意思疎通支援の強化が求められるなど事業メニューが
増えていることから、本来の3/4の補助率に近づけるため、事業の拡大に対応した予算
を確保するよう引き続き国に対して働きかけられたい。
2
地域生活支援事業で必須メニューとなっている移動支援事業については、通学等への
利用に対し十分に支給されることが強く望まれている。教育を受ける権利保障に係わる
支援は、国の責務として実施すべきであり、新たな仕組みの構築についても引き続き国
に働きかけられたい。
3
訪問系サービスにかかる費用については、政令で国庫負担基準額の上限を定めている
ことから、重度訪問介護等の訪問系サービスを長時間利用する重度障害者が多数居住し
ている市においては、実態として過大な負担が生じている。ついては、都は国に対して、
重度障害者の地域での自立生活を保障するために、これらの市町村が超過負担を強いら
れることのないよう、適切な措置を講じるよう働きかけられたい。
4
日中活動系サービス事業所の施設整備を促進するために、国庫補助事業の財源を拡充
するよう引き続き国に働きかけるとともに、「通所施設等整備費補助」において賃貸借
既存建物の改修のみならず創設施設も補助対象に加えるなど、都における支援策も充実
されたい。
また、施設整備にかかる用地確保策として、幅広く支援策を講じられたい。
5
障害者やその家族の高齢化が進む中で、地域で安心して暮らしていくためには、介護
者の緊急時や介護からの休息をとるための短期入所施設が大変重要な役割を果たして
いるが、施設数が十分ではなく、特に医療的ケアを必要としている重症心身障害者(児)
が利用できる短期入所施設は限られている。
都においては、府中療育センターの建て替えにあたり、日常的に利用できる短期入所
枠を十分確保するとともに、事業者となり得る医療機関への働きかけを積極的に行い、
短期入所施設数の拡大に努められたい。
6
障害福祉サービス等の基本報酬が改定され、相談支援事業所には新たな加算が創設さ
れるなどの報酬の見直しがされたが、未だ十分な措置がなされていないため、引き続き
国に対し、報酬単価の引き上げ等、事業者が相談支援専門員を安定的に配置できる仕組
- 39 -
みに改めるよう働きかけられたい。
また、相談支援専門員従事者研修については、実施規模等を拡充するなど支援の充実
を図られたい。
更に、施設入所者に対する計画相談支援導入を進めるため、都もしくは都が管理運営
を委託している施設運営法人自らが相談支援事業者の指定を受け、都が運営する施設
(都外施設含む)入所者への計画相談支援導入に取り組まれたい。
7
居宅介護、グループホーム、日中活動系サービス等の障害福祉サービス事業所では、
常に人員・人材が不足している状況であり、サービスの質の低下や障害者虐待につなが
ることが懸念されることから、障害福祉サービスの人材確保に向けた対策を検討された
い。
- 40 -
24
医療保険制度の一本化に向けた取り組みについて
各種医療保険制度の負担と給付の公平化を推進するため、平成 26 年 11 月 20 日の国保
制度改善強化全国大会では医療保険制度の一本化の早期実現が決議されている。
一方、平成 25 年 12 月に「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等
の一部を改正する法律」が成立し、国保の運営については、30 年度から都道府県が財政運
営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保等について中心的な役
割を担うこととし、制度の安定化を図ることとされた。
今回の国民健康保険法等の改正は、国保の広域化と基盤強化に一定の役割を果たす一方
で、32 年には団塊の世代がすべて 70 歳を超え、医療費の急増により国保財政はさらに厳
しくなることが予想される。
都においては、今後も市と協議を重ねつつ、円滑な制度改正に向けて計画的かつ積極的
に取り組まれるとともに、最終的に医療保険制度の一本化が図られることを、国に対し一
層強く働きかけられたい。
- 41 -
25
国の公費負担割合拡大について
国民皆保険体制の中核をなす国保にあっては、中高年齢の被保険者が多いことなどから
医療費の増加を招いている一方、高年齢者や失業者などの低所得者が多く、収入が得られ
にくいことから、多額の繰入金等によらざるを得ない厳しい運営を強いられている。
国は公費により、平成 27 年度から低所得者対策の強化のため保険者支援制度を拡充(約
1,700 億円)し、29 年度以降更に約 1,700 億円を投入するとしているが、市町村国保の運
営には一定の効果があるものの、更なる財政支援策が必要である。
ついては、30 年度に国民健康保険の財政運営の責任主体が都道府県となるまでの間、市
町村国保の安定的かつ持続的運営ができるよう、国に対し現行の国庫負担金割合(療養給
付費等負担金 32%、調整交付金9%)の引き上げを要望されたい。
- 42 -
26
医療保健政策区市町村包括補助事業の充実
医療保健政策区市町村包括補助事業は、市町村が主体的に実施する医療・保健サービス
事業に対し支援を行い、その向上を目的に実施されている事業であり、医療・保健サービ
スの充実に一定の成果をあげている。
しかし、市町村が担う医療・保健サービスは年々多様化していることから、各分野のサ
ービスの充実を主体的に行う市町村を支援するため、医療保健政策区市町村包括補助事業
の更なる充実強化を図られたい。
1
補助基準額及び総上限ポイントの引上げを行うこと。
2
補助対象となる内容及び条件等をより明確化し、市町村との事前協議が整った補助事
業については、確実に財源措置を講じること。
3
災害医療計画策定支援事業に関しては、緊急医療救護所は対象となるが、その他の医
療救護所は対象外であるなど、事業によっては制約が多いことから、市町村の実情に沿
った柔軟な運用を図ること。
- 43 -
27
予防接種等における支援の確立
感染症に対して集団防疫や疾病予防の観点から有効な対策である各種予防接種につい
て、その実効性の向上のため、国に対し市町村への支援を強く働きかけるとともに、都に
おいても市町村に対する財政支援の拡充等、希望者が時機を逸することなく接種を受けら
れる環境づくりについて適切な支援策を講じられたい。
1
予防接種制度の幅広い見直しがなされ、平成26年度までに水痘及び肺炎球菌を含む5
ワクチンが定期化されており、接種にかかる費用について交付税措置されているものの、
市の負担は増える一方である。ついては、円滑な事業実施ができるよう、交付税単価の
引き上げなど一層の財政支援を国に対して働きかけられたい。
2
おたふくかぜ、B型肝炎、ロタウイルスについては、今後定期化の方向で検討されて
おり、円滑な事業実施ができるよう、地方交付税によらずに実態に応じた恒久的な財政
措置を講じるよう国に働きかけられたい。また、都においても定期予防接種化までの補
完として助成制度を拡充されたい。
3
定期予防接種、任意予防接種を問わず、各種予防接種ワクチンについて安定的にワク
チン供給が図られ、また、定期予防接種化にあたっては十分な情報提供と準備期間が与
えられるよう、国に働きかけられたい。
4
接種ワクチンの急増に伴う複雑化や、ワクチンの安全性への関心の高まりに、市や医
療現場が混乱なく適切に対応できるよう、特に子宮頸がん予防ワクチンについては、客
観的データを基に幅広い情報を提供するよう、国に働きかけられたい。
- 44 -
28
公立病院に対する補助制度の充実
多摩島しょの市・町・組合立の病院は、都立病院の補完的役割を担いつつ、地域住民の
期待に応えるべく、それぞれの地域に必要な医療を公平・公正に提供し、住民の生命と健
康を守り、地域の健全な発展に貢献している。
しかしながら、平成 26 年度の診療報酬の実質マイナス改定、消費税率の改正、医療法
等関連法令の改正等を契機とした医療制度の大改革により、病院経営はこれまで以上に厳
しい状況にある。更に、都道府県単位で策定される「地域医療構想」と併せ、
「新公立病院
改革プラン」を策定する必要があるなど、更なる経営改革が求められている。また、救急
受入れ体制の維持や施設整備等も併せ、以前にも増して医療機関の負担が大きくなってい
る。
ついては、公立病院の役割と実情に応じた適正な支援をするよう国に要請するとともに、
併せて都単独の補助制度を継続し支援を図るなど、適切な地域医療提供体制を確保するた
め、特段の措置を講じられたい。
1
公立病院運営事業補助制度の充実
公立病院運営事業補助制度の 28 年度見直しに当たっては、公立病院の地域での役割
や経営状況、消費税の増税による影響及び各病院の経営努力を評価すること。
また、算定基礎となる病床数については許可病床数を基礎とすること。
更に、病床基礎額の増額、地域の状況に応じた対策及び経営評価指数の適用緩和など、
公立病院の役割が適切に反映できるよう市町村他関係機関等と検討を行い、公立病院の
運営費に対する補助制度の大幅な充実を図ること。
2
(1)
施設整備事業等に対する補助制度の拡充
公立病院施設整備事業費償還補助金の補助率を引き上げるとともに、補助額算出の
ための基準面積を大幅に引き上げること。
(2)
災害拠点病院である公立病院としての役割を果たすためには、災害時における医薬
品、資機材等の整備は急務となっているが、災害時に多数の患者に対応できる食料・
飲料水の備蓄は不足している状況にある。
ついては、拠点病院に対する備蓄食料・飲料水等の災害対応配備品等の整備に係る
費用補助制度を新設するなど、震災対策措置に係る補助の充実強化を図られたい。
(3)
地域における災害医療体制の一層の強化を推進するためには、市町村と災害拠点病
院との連携協力が不可欠である。しかし、災害時に設置され、緊急医療救護所におけ
る医薬品の供給元となる災害薬事センターは、多摩島しょ地域において体制整備が進
- 45 -
んでいないのが現状である。
ついては、災害薬事センターに必要となる医薬品の備蓄等に対する財政的支援を講
じられたい。
3
救命救急センター、周産期母子医療センター及び二次救急医療機関等に係る財政支援
の見直し
(1)
救命救急センター及び特殊診療部門の運営費補助については、公立病院運営事業補助
基準額の単価の見直しが一部あったものの、依然として不採算状態が解消されていない。
ついては、地域の実情に応じた人員配置と設備を整備するため、公立病院運営事業補助
における補助基準の拡充等支援制度の充実を図ること。
(2)
現行の救急医療に関する補助制度に加え、東京ルールに恒常的に参画するため、医
師確保や処遇改善など当該医療機関の救急体制を維持できるよう、二次救急医療及び
周産期母子医療に関する休日勤務手当補助基準額の増額等さらなる拡充を図られた
い。
また、東京ルールの地域内調整担当医師確保料の単価の大幅な引き上げを図られた
い。
4
「地域医療介護総合確保計画」の着実な実施等
(1)
今日の救急医療現場の課題(医師不足、過剰勤務等)を踏まえ、救急医療機関勤務
医師確保事業の対象に救命救急センターを加えるとともに、現在同事業において規定
されている休日に土曜日を加えるなど、事業の充実を図られたい。
(2)
医師勤務環境改善事業について、院内保育所整備費及び運営費補助の充実並びに医
師事務補助者の配置経費を新たに補助対象とするなど、事業の充実を図られたい。
その他「地域医療介護総合確保計画」に位置づけられた諸事業について、各病院の
実情に応じた事業形態とするなど、柔軟な事業実施に努められたい。
5
地域包括ケアシステムにおける医療連携の充実に向けた支援制度の充実
地域包括ケアシステムの構築に向け、「地域完結型医療」を推進することは公立病院
の役割である。しかし、多摩地域の公立病院の多くは、急性期治療を終えた患者の療養
型病院等への転院にあたり、調整に苦慮している現状がある。
都においては、「転院支援情報システム」を運用しているが、十分に機能していると
は言えない。ついては、それぞれの病院機能・施設機能を活かした地域医療連携ネット
ワーク構築のための「転院支援情報システム」の更なる機能の向上を図られたい。
また、医療連携に関わる社会福祉士の配置を促進するための補助制度を創設されたい。
- 46 -
29
医師及び看護師等確保のための施策の充実
多摩島しょにおける公立病院の安定した医療体制の確保を可能とするため、医師及び看
護師等の医療従事者確保に向けて、特段の措置を講じられたい。
1
産科・小児科・麻酔科等の医師確保策について
(1)
都においては、「東京都地域医療支援センター」の設置や医師奨学金制度の創設等、
様々な医師確保対策を推進しているものの、依然として産科・小児科・麻酔科等の医
師不足は極めて深刻な状況にあり、公立病院として安定した事業運営に困難をきたし
ている。ついては、都としても引き続き医師確保策や育成事業等を講じられたい。
(2)
都は「東京都地域医療支援ドクター事業」により、多摩島しょの公立病院に対し医
師派遣を行っているが、依然として医師が充足している状況ではない。
ついては、都における医師養成機関である「東京都医師アカデミー」と連動した医
師派遣支援制度を確立し、多摩島しょの公立病院に、より多くの医師を派遣できるよ
う講じられたい。
2
看護師等の確保策について
近年、多摩島しょの公立病院では、看護師が定員割れを起こすなど、事業運営に支障
をきたしている。病院の看護師等医療従事者の確保を図るため、中学・高校生等の若年
層に対する看護師等医療従事者の魅力を発信する機会を設けるとともに、免許を有する
未就業者の地元医療機関への就業を促進するための看護職員等医療従事者の人材確保
策を図られたい。
- 47 -
30
「地域医療構想」策定に際しての公立病院に対する施策について
「地域医療構想」の策定にあたっては、将来のあるべき医療提供体制の実現に向け、公
立病院の将来像と方向性を明確化するとともに、構想区域の設定等については公立病院の
意見を反映できるよう配慮すること。また、病床機能分化・連携を進めるにあたり、公立
病院としての役割を果たすための支援策を推進されたい。
1
公立病院の明確な将来像の提示
地域医療構想の策定にあたっては、東京都として都立病院に限らず都内の公立病院の
機能を十分に活用し、全都民の生命と健康を守るための公立病院の将来あるべき姿、方
向性を明確に示した上で策定し、具体的施策の実施を図られたい。
2
公立病院の意見の反映
地域医療構想の策定に際し、構想区域や必要病床数の設定にあたっては、「東京都地域
医療構想策定部会」等の協議において、データに基づき、二次医療圏を基にしつつ、画一
的な設定とはせず、公立病院の位置づけ、役割を踏まえ、地域の特異性に配慮した設定と
すること。
また、
「地域医療構想調整会議」の運営については、都が責任を持って対応すること。
3
病床機能分化・転換にかかる支援
病床機能報告に基づく、構想区域毎の病床機能分化及び転換を進めるにあたっては、
医療機関相互の合意を得ることなく病床数の削減や病床転換指導等を行わないこと。
また、病床の転換に際し、地域包括ケア病床導入にあたっては、理学療法士等の新た
な人的医療資源の確保が必要となっている。ついては、助成制度の創設等、人材確保策
を図られたい。
4
在宅医療等移行促進のための支援
地域医療構想策定にあたり、病院の機能別役割の明確化策として、急性期病院に対す
る在院日数の適正化を推進しているところであるが、一方では、患者の高齢化、独居老
人の増加、親族との疎遠など、転院、退院を拒む患者と家族が増加している。ついては、
患者の在宅医療等への移行促進策の検討を国に働きかけられたい。
- 48 -
31
多摩地域における医療体制の充実
多摩地域における医療機関の体制等の充実を図るために、人的・財政的支援等特段の措
置を講じられたい。
1
多摩地域における小児・周産期医療体制の機能を強化するために最大限の人的・財政
的支援等を講じられたい。
(1)
周産期母子医療センター及び周産期連携病院の整備並びに機能強化を図ること。
(2)
都立小児総合医療センターと地域の中核病院との連携で必要となる小児用ドクター
カーの運行について、継続的支援を行うこと。
(3)
NICU(新生児集中治療室)整備促進を図るため、NICU設置の見込みのある
病院に対し働きかけを行うとともに、人的・財政的支援を行うこと。
2
災害時にはクリニックなどの医療施設においても、透析や産科医療等の医療活動に対
応する必要があり、非常時に対応した施設・設備の機能強化が求められている。ついて
は、自家発電設備及び古い医療機器のバッテリー内蔵機種への更新並びにナースコール
などの非常配電系統への変更等、施設・設備の機能強化に幅広く適用できる補助制度を
創設されたい。
3
平成26年度に「休日・全夜間診療事業実施要綱」が改正され、二次救急医療機関の体
制確保料に受入れ実績が加味される加算制度の導入が図られたことにより、救急患者の
受入れの少ない医療機関に対する補助額は改正前に比べ大きく減少した。しかし、少数
の救急患者の受け入れに留まる医療機関も地域で重要な役割を果たしており、ついては、
救急対応に意欲のあるこれらの医療機関に対し財政支援を拡充されたい。
4
温室効果ガス排出総量削減義務及び排出量取引制度において、新たな削減義務率によ
る第2計画期間が27年度から開始した。「始動期」の第1計画期間に対し、「より大幅な
削減を定着・展開する期間」として位置付けた第2計画期間の削減義務率は、第1計画
期間の8%・6%が17%・15%にそれぞれ引き上げられるとともに、緩和措置が図られ、
医療施設や老人福祉・介護施設のように生命・身体の安全に不可欠な施設等においては
4%緩和され13%・11%とされた。
温室効果ガスの削減は、病院施設においても例外ではなく、新たに定められた基準排
出量を達成すべく取り組んでいくものであるが、病院によっては削減義務率の緩和措置
が適用されても自らでの達成が難しく、排出量取引が負担となる病院もある。
ついては、24 時間昼夜稼動し、体力・免疫力が劣る入院患者を抱え、高度精密医療機
器を多く配置し、常に一定条件の温湿度管理が重要となる病院施設の実情等を考慮し、
削減義務率の更なる緩和を図られたい。
- 49 -
32
地下水及び土壌、大気等の汚染対策の充実
環境保全の取り組みとしては、現状把握に努めたうえで、その変化を読み取り、迅速に
対応することが重要である。加えて、市民の健康を確保する意味においても、一般環境大
気、道路交通騒音・振動及び水質等の調査の必要度が増し、各市が実施する調査項目も増加
している。このような状況にもかかわらず、調査実施に係る経費は全て市の負担となってお
り、増加の一途をたどっている。
これらのことから、次の事項について特段の措置を講じられたい。
1
地下水の広域的汚染対策の充実
地下水の汚染を広範囲に拡散させないためには、早期の発見と対策が不可欠であるが、
これまでの国や都などによる調査において、テトラクロロエチレン等の有害物質の環境基
準超過地点が多く見られるなど、汚染が継続している状況が明らかとなっている。
ついては、地下水実態調査地点数の拡大とともに、平成 21 年に環境基準項目となった
1.4−ジオキサン調査等による地下水脈流調査を含め、総合的かつ広域的視点から汚染実
態の究明に努め、一層の対策を講じられたい。
2
大気汚染対策の強化
(1)
健康への悪影響が懸念されているPM2.5 について、地域大気浄化システムの技術開
発等、局地的な対策を図るとともに、大気中の濃度や成分の測定、発生源や生成の仕組
みなどの調査研究、シミュレーション等を継続し、都内の実態解明を進め、対策を講じ
られたい。
また、都における注意喚起体制が整備されたところであるが、より迅速な都民への周
知体制を構築されたい。
(2)
大気汚染に関する監視体制については、多摩地域の一般環境大気測定局 19 か所全て
において、光化学スモッグの測定ができるよう整備されたい。
(3)
低公害車等の普及を促進させるために、電気自動車の急速充電設備に対する補助金の
復活など、補助制度の充実を図られたい。
また、有害な光化学オキシダント発生の一因であるVOC排出抑制のため、排出規制
の対象とならない事業者への自主的な取り組みが図られるよう、より一層の施策の推進
を講じられたい。
3
調査、対策支援の充実
各市区町村から提供される各種調査データの集積によって都全体の環境状況が把握で
き、対策につながることから、都においては、実務説明会をはじめとする一層の技術支援
とともに、調査及び汚染対策に係る財政支援を講じられたい。
- 50 -
33
横田基地等周辺の生活環境整備・騒音対策等の推進
横田基地等の周辺自治体のまちづくり等に係る援助、多摩サービス補助施設の返還及び
共同利用の促進、航空機騒音調査・騒音対策の充実並びに生活環境整備等の施策を講じら
れたい。
1
横田基地周辺自治体のまちづくり等に係る援助施策
横田基地は、市街化された住宅密集地にあり、また周辺自治体の行政区域を分断する
形で広大な面積を占めており、これまで周辺自治体が、航空機騒音等により、まちづく
りや生活環境面で受けてきた影響は計り知れないものがある。
また、在日米軍再編や航空自衛隊航空総隊司令部移転に係る横田基地の態様の変化は、
基地周辺自治体に多大な影響を及ぼすものである。
ついては、都において、基地対策の一環として周辺自治体のまちづくりの支援に一層
努めるとともに、周辺自治体と連携し、情報の入手と提供に努められたい。
2
航空自衛隊航空総隊司令部の横田基地移転
米軍再編に伴い、航空自衛隊航空総隊司令部の横田基地への移転が平成 24 年3月 26
日に完了し、運用が開始され3年が経過している。航空機の飛来については周辺の平穏
な生活に配慮し、必要最小限の飛行に止めるよう引き続き働きかけられたい。また、航
空自衛隊航空総隊司令部の運用及び基地の運営に際しては、周辺住民の不安及び基地周
辺環境への影響を最小限に止めるため、適時、適切な情報提供に努めるとともに、基地
機能を強化しないよう働きかけられたい。
3
垂直離着陸輸送機オスプレイへの対応
27 年5月 12 日、防衛省及び外務省は、米国政府より 33 年までに計 10 機のCV-22
オスプレイを横田基地に配備し、そのうち最初の3機を 29 年の後半に配備するとの通報
があったと公表した。更に同月 18 日にハワイ州ベローズ空軍基地でMV-22 オスプレイ
が着陸に失敗し、死亡者及び多数の負傷者を出す事故を起こしたことから、基地周辺の
住民のオスプレイの配備及びその安全性への懸念が大きくなっている。
このような状況であることから、基地周辺自治体と連携し、引き続き国及び米国に対
して、地元自治体や周辺住民に具体的な説明や迅速かつ正確な情報提供を行い、徹底し
た安全対策及び周辺住民の安全性への懸念の払拭並びに環境への配慮を講ずるよう働
きかけられたい。
4
(1)
住民の安全確保のための対策
横田基地所属C-130 輸送機については、部品紛失事故が繰り返し発生している。原
- 51 -
因として考えられる部品等の落下は人命に関わる重大な事故につながりかねず、多く
の住民に不安を与えるものである。ついては、事故の経緯を明らかにし、原因究明を
行い、再発防止を図るよう働きかけられたい。また、航空機の点検整備を強化し、安
全確保の徹底を図るとともに、安全性が確認できるまではC-130 輸送機の運用を停止
するよう働きかけられたい。
(2)
厚木基地は都外に所在していることから、特に部品落下等の事故や配備情報につい
ては、市に情報が到達するまでに時間がかかっているため、都においては、積極的な
情報収集、情報提供に努められたい。
(3)
市街地上空での飛行訓練は、騒音被害はもとより大惨事にもつながりかねないため、
航空機やヘリコプターの低空での訓練飛行、夜間飛行訓練、艦載機による飛行訓練等
の中止を引き続き国に強く要請されたい。
5
多摩サービス補助施設の返還及び共同利用の促進
多摩サービス補助施設は、米軍のゴルフ場やキャンプ等野外レクリエーション施設と
して利用されている。永年にわたり地元としては、全面返還を求めてきたところである
が、未だ実現には至らず、施設の一部利用が認められているものの、ごく限られたもの
となっている。ついては、同施設返還に向けた取り組みを強化するとともに、返還まで
の当面の対応として、利用の要件緩和と米軍との更なる共同利用が可能となるよう、都
において、関係機関に対し強く要請されたい。
また、返還後の使用については、貴重な自然を保全した公園整備等、地元市の要望を
踏まえて、十分に協議されたい。
6
航空機騒音調査及び騒音対策の充実
(1)
都内及び周辺基地に配備されている自衛隊機及び米軍機について、航空法で定めら
れている最低安全高度が遵守されていないと思われる状態が散見されるため、遵守す
るよう要望されたい。また、高度測定等実態調査の実施を検討されたい。
(2)
基地の航空機騒音について、騒音の全容把握と課題解決に向けて以下の措置を講じ
られたい。
①
航空機離発着コース直下の自治体において、都は固定調査・分布調査を行い、騒
音の実態調査を行っているが、軍用機の飛行コース、飛行時間は不規則であること
から、訓練時の旋回飛行コースを含め、騒音の全容把握に、より一層努められたい。
②
25 年4月から、航空機騒音に係る環境基準が、WECPNL から Lden に変更されたこ
とにより、騒音測定に関する機器の購入及びリース料金、委託経費等、関係市には
新たな費用負担が生じている。更に、Lden による評価は「地上騒音」も評価の対象
となることから、離着陸に伴うエンジン音とエンジンテストの音の判別などが必要
となり、職員の業務量も増加している。今後もこのような負担が引き続き見込まれ
- 52 -
ることから、財政支援を国に要請されたい。都においても、市町村が実施する騒音
測定について、各種助成制度を創設されたい。
また、騒音レベルはこれまでと変わらないものの、評価値に影響が出ている場所
がある。特に飛行コース直下においては、WECPNL の評価値と Lden の評価値で大き
な差が確認されているため、その評価の違いを検証するよう、国に要請されたい。
③
厚木及び入間飛行場周辺地域では、航空機による騒音が常態化している。ついては、
通常コース以外の旋回飛行等を含めた飛行実態を十分に把握し、騒音の全容を把握で
きるよう、固定測定点の増設を図られたい。
④
航空機騒音の評価・測定は都や関係市町村が実施しているが、その評価方法などに
ばらつきがみられることから、都が中心になり、研修会などを開催するとともに、測
定・評価に係る助言を行うよう努められたい。
⑤ 26 年 11 月に、立川飛行場周辺が環境基準を適用する地域として設定され、都にお
いて固定調査・分布調査が開始されたが、騒音測定結果等、環境基準の達成状況につ
いて情報提供等を適宜実施されたい。
⑥
市街地の中心に存在する立川飛行場及び朝霞駐屯地について、ヘリコプターの基地
間移動時の飛行経路に偏りがあるため、飛行回数が集中する場合の騒音・振動の軽減
を図るよう国に要請されたい。
⑦ 26 年までに完了するとされていた厚木基地から岩国飛行場への空母艦載機の移駐
が、29 年頃に延期の見込みとなったが、多摩地域の航空機騒音の一因となっている
ことから、早期かつ着実に移駐等を実施することを国に要請されたい。
7
生活環境整備対策
都は、基地周辺自治体の生活環境整備対策を推進するため、今後も関係自治体との連
携・協議を強化するとともに、国に対して、国防政策上の対策であるという観点に立ち、
各種の被害防止対策や財政措置の充実強化について要請されたい。特に、ヘリコプター
を含む航空機の排ガスによる環境汚染調査を実施されたい。また、航空機騒音等による
基地周辺住民の健康調査を実施し、実態の把握をされたい。
更に、米兵及び軍属による事件の再発防止と綱紀粛正の強化について、都は各基地司
令官に対し引き続き要請されたい。
- 53 -
34
廃棄物処理施設等の整備及び再資源化推進事業への財政支援等の充実
廃棄物処理施設等を新設、更新する際は、管理棟、搬入道路及び余熱利用施設等周辺環
境整備等の建設事業費が必要であるが、国の交付金対象にはなっていない。
また、施設更新時及び大規模災害時に安定的なごみ処理を行っていくうえでは、広域支
援処理が不可欠なものとなり、その際の各市町村の財政負担は大きなものとなる。
一方、廃棄物処理施設等は、広く環境学習の場を市民の方々に提供し、環境保全啓発活
動に大きく寄与している。資源循環型社会構築に向けて、環境保全対策や再資源化事業を
継続実施し、市民の方々の理解を一層深めていくことが重要となってくる。
しかしながら、バイオマスを利用した再資源化事業については、堆肥化や活性炭化等、
新たな技術が登場しているものの、未だ事業化の確立に至っていない現状がある。
このことから、次の事項について特段の措置を講じられたい。
1
廃棄物処理施設等の整備に係る財政措置の充実について
循環型社会形成推進交付金において、施設の新設、増設に要する費用の交付率の限度
額が 1/3 の事業については、限度額の 1/2 への引上げを国へ要請されたい。
また、交付対象外の施設周辺環境整備事業、安定稼働に必要な主要設備の補修・更新、
延命化につながる機能回復事業及び広域化等により廃止される焼却施設の解体工事(解
体跡地の条件緩和)への補助を要請されたい。
更には、循環型社会形成において重要な再資源化施設・粗大ごみ処理施設等について
も基幹的設備改良事業の交付対象とされたい。
2
広域支援及び災害支援等に必要な体制整備に係る財政支援について
多摩地域の各市が安定的にごみ処理を行っていくうえで、施設更新時の広域支援処理
による対応は不可欠なものである。また、大規模災害時に発生したごみ処理においても
広域支援が必要である。
ついては、これらに対応する施設整備及び処理委託費の軽減等が図られるよう、交付
金制度の充実及び拡大について、引き続き国に要請されたい。あわせて、都において広
域支援に係る経費への財政援助及び広域処理体制の拡充を図られたい。
3
再資源化事業及び啓発活動に係る技術的・財政的支援について
再資源化事業の推進のための設備導入や広域的な利用拡大に向けた技術的、財政的支
援及び啓発活動の充実に係る経費の助成等を講じられたい。
- 54 -
35
拡大生産者責任の強化について
製品に対する生産者の責任を製品の使用後の段階まで拡大させるという、拡大生産者責
任の考え方に基づき、EPR(生産者責任)法の整備による事業者責任の拡大及び市町村
に対する財政的支援等、特段の措置を講じられたい。
1
EPR(生産者責任)法の整備による事業者責任の拡大について
容器包装プラスチックや小型家電など各種リサイクル法では、リサイクル経費の大半
を占める収集運搬費、圧縮・梱包等の中間処理及び容器回収に係る消費者・住民に対す
る周知啓発等についての費用が市町村負担となっているため、各市町村の財政状況を圧
迫している。
また、蛍光管や乾電池のように有害物質を含むものが不法投棄された場合、製造販売
業者等に何の責務を課されず、社会に市民生活を脅かすような商品が拡散し、その処理
責任が市町村に課せられている。
これらの問題を解決し、持続可能な循環型社会を構築するために、あらゆる商品及び
容器包装等について、製造販売事業者に対して「消費→販売→製造」という消費の逆ル
ートで廃棄後の回収と発生抑制・再使用・再生利用することを義務付け、製造販売業者
によって回収されない商品の販売を禁止等する法律、いわゆる「EPR(生産者責任)
法」の整備を国に要請されたい。
2
在宅医療廃棄物の適正処理の推進について
感染症の危険がある使用済み注射針等の在宅医療廃棄物については、多摩地域全域で
薬局回収を行っているが十分ではなく、普通ごみ・資源物への混入はあとをたたない状
況であり、再資源化に支障をきたしている。生産者である製薬メーカーが薬剤師会等と
連携し、排出者宅へ広報・周知し、回収する仕組みづくりについて、国や製薬メーカー
に積極的に働きかけられたい。
3
使用済小型家電のリサイクルシステム維持のための財政的支援等について
「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」の施行から2年が経過し、
収集・リサイクルに取り組む市町村が増加する一方、本制度に対する課題も明らかにな
ってきた。
特に、各市町村が負担する収集経費及び収集後の使用済小型家電等の保管場所確保が
課題となっている。
現在、都が行っている「区市町村との連携による地域環境力活性化事業」では、小型
電子機器等のリサイクルに係る体制整備のために必要な経費のみを対象としており、リ
- 55 -
サイクルを推進する取り組みに対するランニングコストについては補助対象外となっ
ている。
ついては、多摩地域の複数市町村にまたがる広域的なリサイクルシステムの構築及び
リサイクルを推進する取り組みに対するランニングコストへの補助拡大等、都と市町村
が連携できる取り組みの推進を図られたい。
- 56 -
36
緑の保全に対する施策の充実
平成 22 年5月に示された「緑確保の総合的な方針」の中にあるとおり、都市の緑とし
て重要な機能を担っている民有地の緑の保全には困難が伴う。
多摩地域に残されている貴重な緑(緑地・森林)を保全するため、次の事項について、
引き続き積極的な措置を講じられたい。
1
自然保護条例による保全地域
(1)
多摩地域には、市街地に近接した多様な生物が生息する貴重な自然環境である谷戸、
湧水、雑木林及び多摩川沿いなどの河川段丘崖に見られる樹林が一体化しているエリ
アがある。これらのエリアは、里山として人々の生活に密着した歴史的・文化的に貴
重な存在であるとともに、都市のエコロジカルネットワークの向上など、多様な機能
を有していることから、引き続き積極的に保全地域として指定されたい。
(2)
緑地の保全は、地球温暖化対策としての二酸化炭素吸収源、防災及び広域的な都民
の憩いの場として重要であることから、市町村の条例等により保存樹林などに指定し
保全に努めているところであるが、より一層施策を推進するため財政措置の充実強化
を図られたい。
2
特別緑地保全地区
(1) 「東京都長期ビジョン」にも掲げられた特別緑地保全地区の指定拡大の推進のため、
特別緑地保全地区指定促進補助金の一市町村一地区という制限を撤廃のうえ、恒久的
な制度として財源措置を講じられたい。
(2)
特別緑地保全地区は、農地や屋敷林、丘陵部の樹林地などを民有地のまま保全する
という公民協働による施策として、積極的に活用すべき制度である。指定された土地
所有者からの買い取り申し出があった場合は、市町村が買い取り、公有地化する必要
があるが、その時期は所有者の事情に左右されることから、機動的な買い取りが可能
となるような制度の創設を検討されたい。
(3)
特別緑地保全地区の指定の促進のため、更なる税制優遇措置や買収に係る財政支援
の拡充を、国に対し引き続き要望されたい。
3
都市計画公園・緑地等
都市計画公園で街区公園、特殊公園の整備事業については、市町村の財政負担が伴う
ことから、今後とも積極的な用地買収等の整備促進を図るため、都補助の更なる予算拡
充を図るとともに、公有地化後に必要となる維持管理費用等について、新たな支援を検
討されたい。
- 57 -
4
景観法に基づく良好な景観の維持
景観法に規定する景観計画に基づき、都と市町村が協力して行うべき都の管理する公
共施設(道路、河川、公園等)とその周辺の景観形成事業については、都の支援策を講
じられたい。
- 58 -
37
流域下水道事業の促進と財政援助
下水道の整備は、多摩地域の公衆衛生の向上及び公共用水域の水質の保全に資する重要
な行政課題である。ついては、流域下水道事業の促進等を図るため、次の事項について特
段の措置を講じられたい。
1
流域下水道事業建設負担金の支出にあたっては、流域下水道事業債を起債し、公的資
金を借り入れたため、現在でも高金利の残債がある。公的資金補償金免除繰上償還制度
については、平成19年度から24年度まで実施されたところであるが、この制度の再開と
要件の見直しをあわせて国に強く要望されたい。
2
流域下水道事業は処理区域が複数市町にわたり、公共用水域の水質の保全に資するな
ど広域事業そのものである。関係市町も事業の進捗に伴い、建設に要する経費の一部を
負担しているが、各市町財政にとって大きな負担となっていることから、流域下水道事
業に伴う市町の財政負担の縮減及び事業費の平準化を図られたい。
3
閉鎖性水域の水質保全のための下水の高度処理及び流域下水道事業の維持管理に要す
る経費について、関係市町の負担軽減を図られたい。
その上で、市町村維持管理負担金の残額が発生した場合は、剰余金として積み立てる
のではなく、翌年度で精算されたい。
また、特に汚水排除の出所特定ができない不明水の処理にあたっては、複数の市町の
終末処理であること、また、流域下水道管きょにおける不明水侵入も考えられることか
ら、その処理経費については都でも負担されたい。
4
流域下水道水再生センターの周辺市町は、地域対策として周辺環境整備に鋭意努めて
いるが、対策には多大な経費を必要としているのが実情である。
ついては、流域下水道事業の広域性に鑑み、周辺環境整備に係る財政援助措置の拡大
を講じられたい。
5
局地的集中豪雨等による浸水被害は、今後も増加が予想されることから、浸水被害を
未然に防ぎ、住民が安全で安心な生活を確保できるよう、流域下水道雨水幹線の早期整
備に努められたい。
また、公共下水道のうち、複数市にまたがる雨水排除幹線については、効率的な運営
及び事業のスケールメリットを発揮させるための手段として、流域公共下水道事業の位
置付けをされたい。
6
単独処理区の流域下水道への編入は、東京湾の水質改善と多摩地域の高度防災都市づ
くり及び下水道事業経営の効率化を図ることを目的としており、広域的見地から施策を
- 59 -
推進することが重要である。
近年では、立川市、八王子市が相次いで都との基本協定を締結したが、この二市に三
鷹市を加えた三市では、編入に向けて施設の再構築などの課題整理を行っているところ
である。この編入には諸課題の解決や多大な経費が必要となることから、技術支援及び
財政支援が図られるよう、強く要望する。
- 60 -
38
地球温暖化対策における省エネルギー・新エネルギー対策への財政支援等の充実
地球温暖化対策の更なる推進のためには、地域の特性に応じた対策に市区町村が率先して
取り組む必要がある。このことから、市区町村が推進する省エネルギー・新エネルギー対策
に対して、一層の財政支援等の充実を図られたい。
1
「東京都長期ビジョン」に掲げる「スマートエネルギー都市の創造」を実現するには、
都の施策に加え、各市区町村が展開する地域特性に応じた省エネルギー・新エネルギー対
策を更に充実・促進させていくことが必要である。
そこで、家庭における省エネルギー設備等の補助等、市区町村が進める地球温暖化対策
の取り組みについて、「区市町村との連携による地域環境力活性化事業」の拡大・拡充等
の柔軟な支援を実施されたい。
また、基礎自治体レベルでの地球温暖化対策充実のため、再生可能エネルギー導入等へ
の直接補助又は間接補助の充実を図るよう国に働きかけられたい。
2
東日本大震災を経て、節電や省エネルギー、再生可能エネルギー等への意識が定着しつ
つある中、市町村が推奨する次の事業等に対して、積極的かつ継続的な財政及び技術支援、
情報提供を講じられたい。
(1)
LED等による照明機器の高効率化、空調機のインバータ化等による建築物の省エネ
ルギー性能を高める事業
(2)
太陽光発電・太陽熱利用、風力発電等の自然エネルギーや未利用エネルギーの活用の
ための普及事業及び燃料電池等の設備導入
(3)
ヒートアイランド現象防止や夏期の省エネに効果が高いとされている屋上・壁面緑
化等の緑化事業
- 61 -
39
商店街活性化事業の拡充
地域の商店街や零細企業に対する活性化対策に寄与している「新・元気を出せ!商店街
事業」について、次のとおり支援の拡充を図られたい。
1
「新・元気を出せ!商店街事業」は、商店街の振興に効果的な施策であるが、対象事
業が商店街のみまたはNPOや企業との共催により実施される事業に限定されており、
自治会やPTA等といった地域に根ざした活動を続ける団体との共催事業については
対象外とされている。
平成 25 年に策定された「新たな多摩のビジョン」では、目指すべき姿で「魅力にあ
ふれ、活力に満ち、安全・安心が確保された多摩」とあり、地域で活動する様々な主体
が、多様な分野で重層的・複合的に連携を図り、「つながり」を形成していくことが重
要とされている。また、商店街には「地域コミュニティの核」という役割が期待されて
いることもあり、商店街イベントは、地域の「つながり」を生みだす「きっかけ」にも
なっている。
ついては、商店街の行う自治会やPTA等との共催事業が、地域コミュニティの醸成
を図る上で果たしている役割を十分考慮するとともに、それらの取り組みが商店街の活
性化にも有効であると考えられることから、共催相手に関する要件の緩和を図り、対象
事業として認められたい。
2
地元商店街の活性化を図り、足元から地域経済を盛り上げることは、地域の発展にと
って不可欠である。しかし、電気料金や消費税率の引き上げにより、商店街の景況は依
然として厳しく、商店街街路灯の維持ですら苦慮している商店街が多い。
特に、アーチや街路灯、アーケード照明のLEDランプ・照明への交換事業について
は、環境対策、エネルギー対策としても緊急性のある社会的課題でもあることから、補
助要件である構築物の経過年数について、社会情勢や機器の開発状況、商店街の状況等
を踏まえ、更新期限を5年程度とするなど要件の緩和を図られたい。
3
「新・元気を出せ!商店街事業」は、補助金申請時期が年度当初であることから、事
業計画や予算などの申請に必要な事項が、総会などでの承認に間に合わないために申請
ができない商店街がある。
このことから、補助金の申請時期については、商店街の実施計画にあわせ、無理のな
い効果的な事業が実施できるよう段階的に募集時期を設定するなど、年度途中での申請
も可能となるよう検討されたい。
4
「新・元気を出せ!商店街事業」は、台風等でイベント自体が中止となった場合、イ
- 62 -
ベントに関連する経費は補助対象外となっている。
イベントの実施にあたっては準備の段階ですでに多くの経費を費やしていることか
ら、荒天であっても実施を強行する場合が散見される。しかし、ゲリラ豪雨や台風の大
型化など異常気象が増えており、イベントの中止をためらって無理に事業を実施するこ
とにより危険事態が生じる場合が考えられる。
また、イベントの準備はそれ自体がすでに会員同士の連携を強めるなどの商店街の振
興につながるものであり、たとえ台風等により当日のイベントが中止になった場合でも、
補助金の趣旨に合致するものであると考えられる。
安全なイベント実施の観点も踏まえて、台風等により中止になった場合にも、チラシ
の作成や配布などといったイベント準備段階に要した事前経費については補助対象と
なるよう要件の緩和を図られたい。
- 63 -
40
連続立体交差事業等の鉄道整備と駅周辺の総合的なまちづくりの推進
鉄道など公共交通システムの整備は、多摩新時代の創造のために欠くことのできない基
幹的な事業であり、特に連続立体交差事業等については、駅周辺の基盤整備等と一体とな
って、多摩の魅力を創造する総合的なまちづくりの一環として、大きな効果を上げている。
今後とも、これら事業の実施とあわせた総合的なまちづくりが実現されるよう、以下の
事業の積極的な促進と、各事業者等に対する働きかけを強化されたい。
1
(1)
連続立体交差事業と周辺まちづくり
連続立体交差事業は、踏切の除去だけでなく、鉄道によって分断されている地域の
一体的なまちづくりも推進できるよう、市街地開発事業等の周辺整備と連動して実施
している。このため、各自治体においてはその促進に向けた地元との調整に加え、財
源の確保が不可欠となっている。
このことから、都の補助制度の充実を図るとともに、国庫補助等の拡充を働きかけ
られたい。
(2)
首都圏の主要な幹線鉄道であるJR中央線については、連続立体交差事業が平成 25
年度をもって事業完了したものの、都市計画決定されている複々線化が、12 年の運輸
政策審議会答申において「目標年次(2015 年)までに整備着手することが適当である
路線」に位置付けられているにも関わらず、未だ事業化に関する具体的な動きが無い
状況となっている。ついては、対象路線の周辺自治体との連絡調整体制を整え、調査
及び具体的な事業スキームの検討に着手するとともに、運輸政策審議会答申第 18 号
に代わる交通政策審議会の次期答申を踏まえて鉄道事業者との積極的な協議を進め、
輸送サービス向上の観点から早期事業化を図られたい。
また、「踏切対策基本方針」において「鉄道立体化の検討対象区間」に位置づけら
れているJR青梅線立川∼東中神駅付近の連続立体交差についても事業化を検討さ
れたい。
(3)
京王線(笹塚駅∼つつじヶ丘駅間)においては、交通渋滞の慢性的な発生や生活道
路への車両の流入等が地域問題となっていることとあわせ、沿線の住宅開発等による
乗降客数の増加に合わせた輸送力の増強も喫緊の課題であり、連続立体交差化及び
複々線化を見据えた都市計画変更が行われたことから、事業の早期完了に向け進めら
れたい。
一方で、連続立体交差化の都市計画があるにもかかわらず、事業化の目処が立って
いないつつじヶ丘駅、柴崎駅付近には開かずの踏切が5箇所点在しており、地域住民
- 64 -
の社会経済活動の妨げとなっているため、鉄道立体化の検討対象区間への格上げを図
られたい。
(4)
東村山駅付近の西武新宿線、国分寺線及び西武園線の連続立体交差化については、
26 年度に事業及び工事説明会が開催され工事に着手したことから、引き続き着実な推
進を図られたい。
また、西武新宿線の他区間及び西武池袋線大泉学園以西の早期事業化も検討された
い。
2
連続立体交差事業により創出された空間のまちづくりへの有効活用
連続立体交差事業と周辺市街地開発事業による一体的なまちづくりは、誘客効果の拡
大など、鉄道事業者にも多くの利益をもたらすことが期待できることから、事業により
創出された高架下及び地上部の利用については、周辺の面整備と調和した総合的なまち
づくりを実現するため、公租公課分はもとより、鉄道事業者分についても、地元自治体
の意向を尊重した利用とするよう鉄道事業者側へ働きかけられたい。
3
公共交通と連携したまちづくり
自転車等の集中する駅周辺においては、歩行者の安全確保と駐輪秩序の維持等の観点
から、自転車等の放置を規制するとともに、放置規制区域内における自転車の撤去や応
益負担の原則を踏まえた駐輪場の提供等、様々な施策を自治体の負担において実施して
いる。
これらの施策は、駅という広域集客施設における課題解決であることから、鉄道事業
者等が応分の責任を負ってしかるべきものである。
ついては、都として、鉄道事業者等への働きかけの強化をされたい。また、都有地の
無償貸与や補助制度の拡充など、引き続き自転車等駐輪施策への支援を図られたい。
加えて、自動二輪車の違法駐車も問題となっていることから、適切な対策を講じられ
たい。
4
ホームドア(可動式ホーム柵)の設置
鉄道駅の安全対策の向上と駅施設のバリアフリー化の観点から、ホームドア(可動式
ホーム柵)の設置を促進するよう継続して働きかけられたい。特に、首都圏の主要な幹
線鉄道であるJR中央線については、優先的に整備されるよう強く働きかけられたい。
あわせて、鉄道事業者に対する支援を積極的に講じられたい。
- 65 -
41
多摩都市モノレールの整備推進と新たな公共交通システムの検討及び
輸送サービスの向上
都市間の連携を図る基幹的システムとして、多摩地域の自立都市圏形成に寄与している
多摩都市モノレールの整備推進や、多摩地域における公共交通の新設・線増、改良事業等
による輸送サービスの向上について、特段の措置を講じられたい。
首都東京の競争力強化には、区部のみならず多摩地域の活力向上が不可欠であり、2020
年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けて検討が行われる鉄道網の整備とあわせ、
リニア中央新幹線事業の早期供用開始に向けて働きかけられたい。
1
多摩都市モノレールとまちづくり
多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面延伸については、平成 12 年の運輸政策審議会答
申において「目標年次(2015 年)までに整備着手することが適当である路線」に位置付
けられているにも関わらず、未だ事業化に関する具体的な動きが無い状況である。
多摩都市モノレールの次期整備路線として位置づけられている武蔵村山市・瑞穂町等
の地域については、当該地域に鉄道系交通がないことから、以前より延伸の実現が求め
られており、早期実現のための都市計画決定とその事業化を図られたい。
あわせて、モノレールの導入空間となる道路は、適正な幅員が確保される必要がある
が、市街化の進行によりその整備も困難となることが想定されるため、予め整備を行う
など適時適正な対応を図られたい。
また、多摩センター∼八王子・町田方面への延伸については、今後整備について検討
すべき路線に位置づけられているが、検討に留まっている状況である。多摩南部の交通
結束点として、機能充実が求められていることから、国及び鉄道事業者との積極的な協
議を進め、早期事業化を図られたい。
更に、構想路線については、「核都市」整備や「業務核都市」整備と整合の取れた路
線として延長し、既存の鉄道と接続させるなど、公共交通システムのネットワーク化を
検討されたい。
2
(1)
その他路線の新設・線増・改良等による輸送サービスの向上
西武線及びJR武蔵野線の朝夕ラッシュ時等の混雑を緩和するため、運行本数の増等
の輸送サービスの改善を図られるよう、鉄道事業者等へ働きかけられたい。
(2)
JR武蔵野線(南線)の府中本町駅以南の旅客化について、国及びJRに働きかけ
られたい。
(3)
JR八高線(八王子∼高麗川間)の複線化事業を国及びJRに積極的に働きかけら
れたい。
- 66 -
(4)
多摩南部地域については、運政審の答申に示された小田急多摩線(唐木田駅∼JR
上溝駅まで)の延伸について、国及びJRに働きかけられたい。
(5)
多摩西部地域については、豊かな自然を求めて多くの観光客が訪れることから、休
日における交通渋滞等、住民生活に障害が生じている。こういった渋滞を緩和し、鉄
道利用を促すため、27 年3月のダイヤ改正において大幅な削減を行った青梅線及び五
日市線の運転本数を従前の水準に戻し、輸送サービスの向上が図られるよう、国及び
JRに働きかけられたい。
(6)
運政審の答申において整備着手が適当であると示されている都営地下鉄大江戸線の
武蔵野線方面への延伸については、地元要望が強いことから早期事業化を図られたい。
(7)
今後、新交通等のネットワークを形成するうえで必要となる道路幅員の確保等、基
盤整備のあり方について検討されたい。
(8)
リニア中央新幹線事業は、多摩地域においても産業・経済・観光等への大きな波及
効果が期待されるものである。
多摩地域における産業競争力強化と観光客誘致効果を向上させるため、リニア中央
新幹線事業の早期供用に向けて働きかけるとともに、神奈川県橋本駅付近に予定され
ている新駅との接続の利便性を向上させるための輸送力強化等の施策を検討された
い。
- 67 -
42
多摩の広域的な道路ネットワークの形成に資する総合的一体的な道路整備の促進
多摩地域においては、重要な都市基盤施設である道路網の拡充整備が、依然として著し
く立ち遅れており、慢性的な交通渋滞や、幹線道路の未整備による生活道路への交通流入
が市民生活に多大な影響を与えている。これらの問題を解決するためにも、幹線道路の整
備を積極的に推進する必要がある。
一方で、地域の基盤となる準幹線道路や生活道路の整備については、各自治体により鋭
意進捗に努めているが、財源不足等により、十分に対応できていない状況である。
都市の骨格となり、まちづくりの根幹をなすこれらの道路整備を促進するため、都によ
る積極的な都道の整備と、市による市道の整備、更には防災性・安全性の強化につながる
橋梁等の既存インフラの修繕に向けた財政的な支援を求めるとともに、国庫補助等財源の
更なる確保等、総合的な施策を講じられたい。
1
多摩南北主要5路線の整備については、すでに全線開通している府中清瀬線に続いて、
平成27年8月に調布保谷線が一部事業中の区間を残すものの全線開通したところであ
る。また、府中所沢線についても一部区間を残し事業が進められていることから、引き
続き多摩南北主要5路線等の南北縦貫道路網の早期整備について積極的に努めるとと
もに、多摩東西主要4路線の早期整備についても積極的に努められたい。
これらの道路整備は、多摩地域の広域的な都市間連携に大きな効果が期待されている
ことから、この効果をより高めるため、災害時にも寄与し広域防災拠点とのアクセス性
向上が図られるよう、ボトルネックとなる多摩川架橋の整備・改修や、放射方向の幹線
道路整備についても検討されたい。また、整備にあたっては情報公開や住民との対話の
場を積極的に設けるよう努められたい。
2
道路整備にあたっては、ユニバーサルデザインや防災性の向上、沿道市街地の住環境、
景観への配慮はもちろんのこと、地点名案内標識の整備に努め、歩道が未設置または狭
いために危険な場所については早急な改善措置を講じ、街路樹等による緑化の推進など
魅力ある歩道の設置も促進されたい。
3
市町村土木費補助については、補助率の引き上げを図るとともに、補助対象を新設事
業に限定せず、橋梁やトンネル、舗装、法面・盛土・擁壁、道路附属物等の修繕事業に
も拡充し、より柔軟で機動的な補助制度となるよう検討されたい。
4
円滑な交通を確保するため、バス停の改良と停車帯を確保されたい。
5
踏切対策基本方針に基づき、踏切道の拡幅等の改善を早期に実現されたい。
6
第三次交差点すいすいプランについては、事業効果が極めて高い事業である。
- 68 -
このことから、交差点の渋滞緩和と円滑な区域交通の実現を目指して事業の着実な執
行を図られたい。また、具体的な事業計画を示されたい。
7
新みちづくり・まちづくりパートナー事業については、道路整備の促進につながる効
果が極めて高い事業であり、地域のまちづくりや地域の交通の円滑化を図るためには、
新規路線採択を可能とした事業の継続が必要である。
このことから、事業中路線の早期完成を含め、計画期間終了後の 28 年度以降も、新
規路線を含め事業を継続し、早期完成に向けて計画的に事業を推進するための積極的な
予算確保に努めるとともに、事務費の引き上げなどにより市町村の負担軽減を図られた
い。
8
都市計画道路以外の一般都道において、概成区間として整備が行われてきていない区
間についても、狭小歩道の拡幅による歩行者の安全性向上、渋滞の緩和等の効果が認め
られる改良事業については、優先度の高低にかかわらず積極的な事業化を図られたい。
9
多摩地域における基地跡地利用計画や今後の大型商業施設の建設等による周辺の交通
に与える影響について、広域的な交通網整備の観点から、周辺道路の早期整備を検討さ
れたい。
10
自転車専用レーンの設置について、交通事故防止の観点から早期の整備充実を図られ
たい。
11
安全で快適な商業地区・住宅地区の環境確保のため、架空線の地中化事業を促進し、
あわせて電線共同溝の補助制度の拡充を図られたい。また、関係企業等に対する指導等
を強化されたい。
- 69 -
43
市街地開発事業にかかる補助制度の充実
市街地開発事業にかかる事業費補助の充実及び国制度を補完する補助制度を創設され
たい。
1
土地区画整理事業
都市計画の基盤をなす土地区画整理事業は、公共施設の整備改善及び宅地の利用促進
を図る面的整備事業として極めて効果的な事業である。
しかし、土地区画整理事業に対する国庫補助金及び都補助金は、公共事業費削減の影
響による減額から未だ回復せず、その影響が市財政を圧迫している。また、新市街地に
おける国庫補助金が原則採択されない状態が続いており、事業を進めるうえで大きな影
響が出てきている。更に、長らく続いた地価の下落傾向によって、事業施行の財源とし
て見込んだ補助金額が想定額を割り込むようになり、また、保留地が当初の計画どおり
の価格で売れなくなるなどの理由から、事業資金の確保が困難となって、土地区画整理
事業の運営が極めて厳しい状況にある。
ついては、土地区画整理事業の推進を図る見地から、次の事項について必要な措置を
講じられたい。
(1)
公共団体等区画整理事業(組合施行を含む)の施行認可のための測量及び事業計画
の策定等の認可前費用に対し、国の採択要件に適合しない要素について、都の補助制
度を創設されたい。
(2)
土地区画整理事業で設置する国の補助対象道路整備について、市町村土木補助事業
(道路)の補助対象とするなど、補助制度の拡充を図られたい。
(3)
都の用地費単価が国の用地費単価を下回る場合は、国の用地費単価に同一となるよ
う、都の定める土地区画整理事業補助金用地評価額算定要領の改定を検討されたい。
2
市街地再開発事業
東京都市街地再開発事業補助金については、社会資本整備総合交付金と同様に、計画
内において交付金の事業間及び年度間の調整ができる柔軟な仕組みとなるよう再構築
を図られたい。
- 70 -
44
空き家等対策についての支援
「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成 26 年法律第 127 号。以下「法」という。)」
が本年5月に全面施行され、各市町村は地域の実態に合わせた空家等対策計画を定めるこ
とができることとなった。
市民の暮らしにとって重要な住環境に係る政策は関連分野が幅広く、また時勢の流れに
敏感なことから、その展開にあたっては総合的できめ細かな検討を行うことが求められて
いる。また、空き家等問題への対策は多摩地域の広域的発展を考慮しながら、市町村全体
で取り組むべき課題であることから、法に基づく関連情報や技術的助言の提供をはじめ、
市町村連絡会の設立などの支援や、対策計画の策定に向けた調査及び計画事業に対する財
政的支援を積極的に講じられたい。
1
関連情報や技術的助言の提供及び市町村連絡会の設立
市町村に対し、空き家等についての情報提供や意見交換の場の設定をすることにより、
担当者相互の意識・知識の向上を図り、多摩地域全体における住環境に係る施策の向上
促進を図られたい。
2
(1)
対策計画の策定に伴う調査や計画事業に係る財政支援の充実
空き家等の実態を把握するためには、建物の状態や居住者の有無、所有者情報の把
握をはじめ、所有者の空き家等に対する意向に至るまで様々な調査が必要である。ま
た、日々変わるこれらの状況を把握するには、一定期間において継続的な調査が必要
となるため、これらに対しての財政支援を図られたい。
(2)
空き家等対策については、「利活用」の面だけでなく「発生又は増加の抑制策」「除
去等」と総合的な施策が必要となるため、これらの施策に対して、それぞれ財政支援
を図られたい。
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