Comments
Description
Transcript
超酸化カリウム (KC りを用いた潜水調査船用 生命維持装置の基礎研究
海洋科学技術セ ンタ一試 験研究報告 JAMSTECTR 1 5 (1985) 超酸化カリウム (KC りを用いた潜水調査船用 生命維持装置の基礎研究(その 1) 松本文彬* 1 竹内正敏* 1 安藤久司* 1 藤森紘明 * 2 木 村 朗* 2 笠原幹夫* 3 現在「しんかい 2 0 0 0Jのライフサポート時間は8 0 時間であるが,米国の MTS(M a - r i n eTechnologyS o c i e t y )勧告では7日間となっている。乙の MTS勧告を満足 するため ,また,生命維持装置の小型軽量化を図るため ,従来の酸素 ( 02 ) ボンべに よる 酸素供給お よび水酸化リチウ ム ( LiOH)によ る炭酸ガス (C02 )除去の方式に代 るものとして,炭酸ガスを吸収し,酸素を発生する超酸化カリウム ( K02 )に着目し , 7年度から 5年計画で研究を行っている。本稿では 3年間の研究成果として, 昭和5 K 0 2 )の特性等について中間報告する o 超酸化カリウム ( Basic Study o ft h eL i f e Support System Using Potassium Superoxide ( K02 )f o r Submersible ( Part 1 ) FumiakiMat sumo t o* 4 Ma sa t o s h iTak e u c h i* 4 His a sh iAndo料 Hir o a k iFujimor i* 5 Ak i raKimura* 5 MikioKasahara* 6 h el i f e s u p p o r ttimeoft h ep r e s e n t"SHINKAI2 0 0 0 "i s8 0h ours , however, τ' MτSrecomme ndstha tt h i sbee x t e n de dto7 d a y s . 0m eett heMτ' 8 'sr e co m me ndationandtomak et h el i f e s u p p o r t I no r d e rt s y st em mor ecompa c t ,f o r 3y e a r s wehaves t u d ie d,u s i n gapotassium s u p e roxi d e(K02)l i f e s u p p o r ts y s temi np la c eoft h eO2s upplysystemo f O2bo t t l e san dofaCO2r emova ls y s t e m us i n gLiOH.( K02ha sCOzr emova l and02 g e n e r at i n gc h a r a c t e r i s t i c s . ) h i sr e po r tr e p r e s e n t st h ei n t e r i mr e p o r to fth er e s u l tsont h epa s t3 ・ τ' yea rs tudyo ft h eK02c h a r a c t e r i s t i c s . * 1 深海開発技術部 * 2 川崎重工業。 閥 * 3 川重防災工業( 株j * 4 De e pS e aTechnologyDepar t ment t d . * 5 Kawasak iHeavyI n d u s t r i e s,L ,Lt d . * 6 KawasakiSaf e t yS e r v i c e' I n d u s t r ie s 23 1 .はじめに 置は「しんか い 2 00 0 Jのライフサポート時間8 0時 潜水調査船「しんかい 2 0 0 0Jの乗員 3名は潜航 間をベースに試算すると表 1のように重量上のメ 時間の 8時間を耐圧殻内径 2 . 2m球の密閉区画内 。 、 リットが大き L で活動し ている 。 乙のため,乙 の密閉区画は?酸 潜水船への搭載機器は小型軽量化に努め る必 要 素ボンベ手動操作による酸素分圧制御,キャニス (MarineT e c h n o l o g y があることおよび米国 M TS タに詰めた水酸化リチウム (LiOH)による炭酸ガ 局部偏在防止のための 1時間に約 4回の大気循環 So c i e t y )のラ イフ サポ ー ト時間を潜航時間 +7日 間とする勧告も考え合せ,潜水船用の K02を用い た生命維持装置の研究開発を表 2のように 5年計 で環境制御をしている。 ならびに脱臭剤,除湿布j 画で行う ),炭酸ガス (C Oρの ス分圧制御および酸素 (0 2 従来から,潜水船内の環境制御はおおむね,乙 ζ ととした。 本稿では〈 昭和5 7年 59 年にかけての成果を以 の方式に よ っているが,近年米国で超酸化カ リウ 下報告する。 K0 ム( 2)による方式について研究がなされている との情報がある。 2 . f くO2剤の特性調査 昭和5 7年度には主として既存 K02剤について通 気風量,温度,湿度 , CO2濃度を変え て K02反応 (02 発生,CO 2吸収)を試験調査し ,K02剤 の 特 超酸化カリウ ムは一つの薬剤で O ,か 2を発生 し っ, CO2を吸収するという極めて好ましい特性を 有している。 + す 性を把握した。 2K02+ H20→ 2KOH 02 十)2KOH+ CO 2→ K2C03 + H20 2K02+ CO2→ K2C03 2 .1 試 験 要 領 剤は既存の純度約7 供試 K0 9必?約 7m m立方体の 2 粗粒の A1剤および、 Al浄l を約 3-4mm立方体 にし + す O2 0 0g / 1回をキャニ スタに詰め, た細粒の A2剤約 4 各 2時間の通気試験を行 った。 A1剤 , A2剤の性 しかしながら , K0 2の反応が不安定で長時間の 状を表 3~乙示す。 使用に適さない等の理由で,現在は消火作業用の 個人装備呼吸保護具に使用されてい る程度である。 試験は温湿度を試験時間内一定に保持す るため, 乙れらの問題点を解決すれば, K02 を 用 い た 装 恒温恒湿室内で行い ,図 1~ζ 示す試験装置で通気 ∞ し んかい 2 O 表 1 K02方式による 「 J生命維持装置の重量試算 E s t i ma t e dwe i g h to ft h el i f esu p p o r ts y s temu s i n gpo t a s s i u m s u p e r o x i d e CK02) f o r rSHINKAI2 0 0 0J O2ボンベ 1 0 0k g Li O Hキャ ニスタ 3 2 k g + 1 3 2kg K0 O Hキャ ニス タ 2キャ ニス タ Li 67kg + 7kg 7 4kg 「しんかい 2000J の現状 K0 2、LiOHfと よる本研究装置 表 2 K02を用いた潜水船用生命維持装置の研究開発計画 S t u d ys c h e du leo ft h el i f esu pp or ts y s t e mu s i n gp o t a s s ium s u p e r o x i d e.(K02)f o rs u b m e r s i b l e 年度 2 4 研 プ~ 項 目 57 58 K02の特性調査 及び選定 59 60 61 K02、 LiOH 「 し んかい 2 0 0 0 J を模擬 制御法の検討 した密閉区画 中の性能試験 JAMSTECTR 1 5 (198 5 ) 。 。 θ。 .CO 2濃 度 計 ・CO e ns i t o m et e r 2d c o n s t a n t h u m i d i t y 恒温恒湿試験室 1 U 、 CJ 占山 x V 恥げl気a 外m '﹂︾玄ω ↓mの ↓ 刃 田. 、. testroomwithcon s t a n t temp e r a t urcand TA b﹂ e w - 湿 (︼ 匂 ∞ 切 ﹀ • 2 計m 度伊 O2濃 度 計 • O densitometer 『 • 温度計 -thermometer 弘 、 加担器 humidi f i e r • 入口側出口側サンプリング切り替え ¥、 • c hangeo v e rs w i t c hf o r 差 圧 計(n) 切り替え d i f f e r e n t i a lp r e s s u r egaug e c h ang eo v e r i n l e ts id e / o u t le ts i des ampling ノ吋ノ吹田路 byp a s sc i r c u i t 空気 Ai r 一う 流量計 flowme t e r 絞り 弁 K0 2 キャニスター KO zcanister b a l lv a l v e ペノプ一 γ V 一 /J d i f f e r e n t i a l p r e s s u r egauge 一 ゾ -門は ・ erg 弁刊 d M ﹂ 切り 替 え c h ange,o v e r ボンベ 出口側計筒 α)2 measuringc y l i n de rato u t l e ts i d e b o t tl e 図 1 K02 特性試験系統図 電 、J f l o w m e t e r , αコ 2 C J ¥ 流量計 b F e, Gwv 減戸間 E Sua 差 圧計け ) 一 〆 ノ 0 4 measuringc y l i n d e r a ti n le ts i d e , 7ノ 〆 v 入口側計測筒 S y s t e mdiagramf o rK02 c h a r a c t e r i s t i ct e s t '﹂︾豆ω ↓mの↓刃 表 4 K02特性試験の試験条件 T e s tc o n d i t i o n sf o rK02 c h a r a c t e r i s t i ct e s t ド ー ‘ 仁刀 ︿ -c ∞ 印 ) 57 手 口 昭 N . o Te s tN o 試験 年 昭 和 58年 度 度 1982 1983 5 7 項I t e 目 m 58 -2 - i : - 4 -s - 6 - 7 - 8 - 9 -10 -11 -12 -13 -14 区 - 2 - 3 - 4 - 5 -6 一 7 K02特 性 試 験 分 C l a s s B A 3 K0 2剤の種類 A I A2 ( 細 粒) ( 粗 Kindo fK0 g e n t 2a 通 気風量( e . / m i n ) Permeab il it y キャニスタ入口空気C~ 濃度 (紛 じ0 2 d e n s l o t y fa t i n l e ts i d eo fc a n i s t e r キャニスタ入口空気湿度 Humiditya ti nl e t( % ) s i d eo fc a n i s t e r キャニスタ入口空気温度 A i rtemp e r at u r ea t ( % ) i n l e ts i d eo fc a n i s t e r キャニスタK0 充填量 2 Amounto fKω (g) Inc a m s t e r 試験時間 T e s tt i me 25 50 100 o .7 50 0 . 4 50 1 .4 Numbero ft e st s 30 20 80 50 ⑨ 、 占 A3 (細粒、 板状、 反応 反応 ( (粗粒) 促進剤 促進剤添加) 促進剤添加) 添加) 100 25 450 O . 7 30 10 35 80 50 20 400 50 80 50 80 50 20 35 20 35 20 400 8000 10 .1 2 2 2 . 、 a (組粉 D (組粒、反応、 O .7 (hr) 試験回数 粒) C ( 4 ) KOz剤の粒度の違いによる反応の差は Oz発 生率および、 CO z吸収率とも , 粒度の小さい方が高 細粒にすると,通気抵抗が時間の経過とともに大 幅に増加し ,特に湿度の高い場合顕著である。 乙れは反応に伴い生成した潮解物が固着して, 乙れは粒度が小さい方が表面積が大きく,反応 粒 子間の隙間を塞ぐためと考えられる。 面積が広がるためと考えられる。しかし ,KO zを ,! l 1 1 1 , . 1I jill円 l 40 ..• y ー 試験ぬ 58-2 メ ' 試 験N . o58-3 , × 試 験N . o57-5 試験 N . o57-4 qυ f 司 n r o MN 切N O ﹄O 宮口 O E何 ,ー験 111111l試 おお ロ o Z 5 8 ω / 柚 , ・ ・ . il i l g a -I1 , , ・ s, 酬 剖繰 N O aE •• t ー SEE---z'a'! I ・ EE ・a a a -・ 10 -ZZEE 。 CUz吸収量 30 20 10 amounto fCOza b s o r p t i o n 図 2 CO 2 吸収量と O2発生量の関係 R e l a t i o n s h i pb e t w e e nCO2a b s o r p t i o na n d02.g e n e r a t i o n 28 JAMSTECTR , 15 (1985) o っ530 (波) nu k z z z nU • ω O ﹄ N O υ 門戸偲 O ロ ロ 。E ﹄ ザ • 仏﹄ 々て之盟主 8/ ハ U ハ ノ ﹂ )C245ω ロ&NO (叫 nU J O υ O吉ロoE勾 , へ(叫)ロO二合OB偲N s (殺) nU EJ 何 行 i I I j メイCO ーち I I 吉 I I I • I I.~ I I Iδ 5OS n u 一 8 )ρ 一 労 d仙 一(凶 m 一度引加 品﹂ 入 口 空 気 温 度 (0C) n l e t ti e m p e r a tu r ea a i rt 時 一 O 湿)刊 . 5 口問凶 。 Hr 入 、 DHU f 。 ' O υ 民一﹃醤 N 3;101-一五一 ヘtJV 35 ./ nu 2 0 1 0 2吸収量 空 空2 0卜 -f づ/ 4 I ~ !/4--11002 叫 ~; N O υ 。 仇発宇量 制民一プSNOυ 咽剖鰍判。 凶町民一司一番 醐民官邸付O υ 酬 矧 棋 NO 3 3 1 0 I I/II ~.s 。 図 3 入口空気温度および、湿度の O 2 発生量および~C02 吸収量に対する影響 (通気風量:5 0 e . /min,人口 CO 0 . 7% , K0 2 粒度:粗,試験時間 :2 hr) 2濃度 : i rtemperatureandhumiditya ti n l e t I n f l u e n c euponO2generationandCO 2absorptionthrougha e s ttime: 2hr) i z e rough,t (Permeab i l i t y: . 5 0e . /min,CO e h s it yati n l e t:O .7%,K~ grains 2d qJ 設 AK 。 1 0 0と 〉 ハ u O2発生量 ζ 内 m w ﹄3号制 OOM。告。E )C2三 ︿叫 ロω切NO}O百 ロOEの )CO二宮ω (叫 ハU 〆 、 ー 、 句 f 0. 』 O ( / ) .D 。 C 司 ¥ ム ネ ' ¥ -~- /gr ス~CO~ 吸収量 / O ・ i 11 量 -I‘風 -気 回通 11llI-FhJ 1 内/﹂ 。 1 0 0 min) ( . e/ i n ) p e a r m e a b i l i t y(R,/m .同 ~ ! : " : 50S O2発生量 100~ jj C I l 〉 、 t 5 . o ~唱 。・、 oυ d J 〉 ちち 2 0 + > c g = s ; . , > ( ; 0 EE 。 ω 。 ' Q 唱 ~ 。 唱 。 υ t 可 r o 50; 色 手 酬輔 1 0 時出一gNOυ CO 2 吸収率 ご 二。 3 0 c 2芭 . . . 52 f 司 時 出-gNOυ 目 / 一 old- n u ( 叫 ) 醐 区MENOυ ( 叫 ) 醐 川 司 献 NO こー」一一一 一三. _ , 仁 』 白身 制。 E 五 棋室長 δさ 。 。 . 7 0 . 40 02濃 度 入 口C . 1 4 。 〈労〉 C02 d e n s i t ya ti n l e t 図 4 通気風量および、入口 C02 濃度の02 発生量および~C02 吸収量に対する影響 (入口空気温度:2 0oC,入口湿度:5 0% , K02粒度:粗,試験時間 :1 h r ) I n f l u e n c euponO2generationandCO2absorptionthroughpermeabilityandCO n l e t 2densityati oC. h umiditya ti n l e t:5 0% , K02g rains i z e :rough,t e s ttime:1 h r ) (Airtemperaturea ti n l e t :2 0 JAMSTECTR 15 ( 1985) 29 3 . 改良 1 くO2剤の特性調査および選定 7年度の試験結果に基づき,昭和5 8年度に 昭和5 は , K0 2の反応効率を向上させ,かっ ,K02キャ ニスタの通気抵抗を低減させるため,改良 K0 2を 製作し,その特性を試験調査した。また昭和5 7年 8年度の成果を踏え,潜水船の生命維持装 および5 種類選定し, 1 0時間の試験を行っ 置用の K0 2を 1 て,その性能を確認した。- 0 時間の試験の 1 0 時間というのは, なお , 1 r しん 00 0Jの潜航時間 8時間の 1潜航分を配慮 し かい 2 ( 図 6参照)。 02吸 収 流 量 は約 5と 乙の時の O2発生流量 /C なり,人間の 0 2摂取流量/C0 2排出流量に比べ, 大幅に O 2過多となる。 ( 2 ) 触媒有板状 K0 2の通気抵抗は小さくなり, C02吸収流量および、 O2発生流量は図 5および図 6ζ示すよう,粗粒 A3とほとんど同じである。 , ただし,通気湿度の高い場合, O2発生流量は試 i急激に高くなり,時期の経過とともに低 験初期ζ 下する。試験後の外観では一部潮解している 。 0 時間用 K0 たととおよび 1 2キャニスタを開発すれ ば,それより長時間用 としては乙のキャニスタを 0時間用としては 8 複数個所要量持ち(たとえば8 3 . 3 I くO2剤の選定 以上の試験結果を検討した結果,本装置用の 潜水船用生命維持装置の開発そのものであるとと K02剤 としては,通気温湿度等に対し最も安定し た反応をする粗粒 A3剤を選定した。 ( 1 ) 粗 粒 A2剤や触媒添加の Bおよび C剤は湿度の による。 影響を大きく受け,反応が急激に進行したり通気 個 入 カ トリッジのように取り替え使用すればよく, 3 .1 改良 K0 2 の特性試験要領 供 試 K02は,反応を促進するため触媒を添加し, 抵抗が大幅に増加するため,船内 02および CO 2 濃度の制御上好ましくなく,かっ,通気ファンの かっ,薬剤の内部まで反応がスム ーズに進展する 馬力が大きくなる乙とが考えられ,採用 し難い。 ように,成型圧力を従来の%とした約 7 mmの立方 ( 2 ) 板状 D剤は組粒 A 3程 度 の 性 能 を 有 す る が, --4mm立方体の C剤(細 体の B剤(粗粒〉および 3 振動および衝撃に極めて弱く取り扱いに難点があ 粒),ならびに反応表面積を広くし,かっ,内部ま ることおよびキャニスタへの充てん率が粗粒より で反応させるため簿い板状とし触媒を添加した D 悪く,キャニスタが大きくなるデメリ ッ トがあ る。 剤とした。また,昭和5 7年度の デ ータと比較する ( 3 ) 粗 粒 A3は細粒または板状に比べると反応は ため,純度を若干アップした点を除けば A1 剤 相 ゆっく り しているが,長時間使用 の場合は安定 し 0 0g /l 当の A3剤を用いた。乙れらの K0 2剤 約 4 た反応が得られ,十分能力を発揮すると考えられ 回をキャニスタに詰め,各 2時間の試験を行った。 るO C示す試験装置で,通気風量 2 5e . /min, CO 図 1{ 2 0 濃度 0 . 7%,温度2 0および3 5C,湿度 5 0および8 0 9 ちの入口空気条件で各 1回の試験を行い,昭和5 7 年度と 同項目の計測を行った(詳細は表 4参照)。 3 . 2 改良 1 くO2の特性 試 験 結 果 お よび考察 7年度との比較で次の乙とが 試験結果から昭和5 3 . 4 選定 K0 2剰の性能試験 A3剤 8kgをキャニスタに詰め, 選 定 した K0 2・ 図 1の装置で通気風量 4 5 0 e . /min,温度2 00 C, 湿 度 50%, CO . 7%として 1 0時間連続性能試 2濃度 0 験を行った。 ただ し, 6時間経過時点で通気抵抗が試験開始 時の値の約 6倍以上(約 4 0 0m m H 20) となりブロ 言える。 ワの能力を超えたため,通気風量を減らして試験 の Bおよび C剤について, ( 1 ) 触媒有の粒状 K0 2・ を続行した。 CO2 吸収率は高くなる(図 5参照)。 ただい通気湿度の高い場合,通気抵抗が大幅 に増加する 。 乙れは触媒有 K0 2 の潮解が激しく ,潮解物固着 で粒子 間が閉鎖するためと考えられる 。 また , O2発生流量も高くなる。しかし ,通気湿 度が高い場合,試験初期に急激に O2 を発生する 3 0 試験結果を関?に示す。 との結果次の乙とが言 える 。 ( 1 ) O2発生流量 /C02吸収流量は約 1 .2で 、 K0 2 の反応は比較的安定していた。 O2発生量 , CO2吸収量は試験開始後 6時間 で理論反応量に対する 75 ~ぢ 81%となり ,K 02剤 ( 2 ) の大部分が反応したら JAMSTECTR 15 (1985) ( 3 ) 試験後の K0 0m m 2剤の外観は空気入口側約 3 の厚さの層がモルタノレ状に潮解 し固着していた。 1 0 0I ー I ーベ入_ - れる。 ___uーυ ーυ - V__^~^_ . . ! .ー ハ 二____ 三,,=:::.1:......_^---____ 1 ひ - 0 - 0 __ -φ I J f . r '--1-・"'Lt-・ 4 ←- ~ ープヤ ・- ""'- _ Oー ー0___ I _ 、o 一小一色、 A 一 一 骨 骨で す 本辛叫司 主主 君 宅 地 58-5J (D 剤) 試 験N . o58-1 ( A3剤〉 nu FO nU dq 三 ﹄OBMωNOυ (波﹀去 三一 ENOυ (波 )間町民-M 8 0 - 乙れが大幅に通気抵抗を増加させた原因と考えら 2 0 。 3 0 9 0 6 0 1 2 0 経過時間(分) t i mee l a p s e d(mi n ) 図 5 CO 2剤種類の影 響 2 吸収率に対する K0 I n f l u e n c eu p o nk i n do fK02 a g e n tw i t ha b s o r p t i v i t y 1 .3 」ど人, ' r ーーー一 一 ーー / r~', ペ l i : : J i J J 7 J 二 泌 。 , . 、 ロ ぞ1. 0 常時 、 J 局 、、 F てR C : えJ2 e 時_. 」ノ'" L‘ < l . l I J J J J 咽 5 .O C 堤前 制 』 305 】 。:; 紙 ('J . . . 可 : O 長 JiL T c : r . . 一二.L... _ 。 試験 N o . 58-5 (D剤) 30 60 90 120 経過時間(分) t i mee l a p s e d( min) l対する反応促進剤の影響 図 6 O2発生流量ζ I n f l u e n c eu p o nr e a c t i o na c c e l e r a t o ra g a i n s tf l o wr a t eo fO2 g e n e r a t i o n JAMSTECTR 15 (1985) 3 1 " " '" " '500 余ロ "¥ヘ 二 E4 0 0 、、 、 J 縦二300 ¥ E 童 三 阪否 2 0 0 f 現 司 、 圃 . v ε 包1 0 0 L_ 」 ー 1 0 0 8 0 s ω O2発 生 流 護 = > , 号 梯 争 1 ' 、 CO 2吸収流露 〉 . . . . . ET40 0 0 弓 υδ u 2 0 3 5 4 6 7 8 9 HU 2 l 。 経過時間(時) h r ) t i m ee l a p s e d( 図 7 K0 2 性能試験結果 T e s tr e s u l t so fK02p e r f o r m a n c e くO2剤を用いた生命維持装置の 4 . f 制御方法の研究 K02の反応は人間の呼吸商から考えて酸素過多 2剤を用いた生命維持装置では, となるので, K0 2を正として考えれば,別途水酸化リチウム 発生O (LiOH)等で CO2を除去し船内の O2お よ び:C02 分圧を正常に制御する必要がある。 年度には K0 昭和5 9 2と LiOH兼用時のこれらの 制御方法について検討した。 K02キャニスタへ通気し ,O2濃 度 が 設 定 値 以 上になれば , K02キャニスタへの通気風量を減ら し , LiOHキャニスタへ通気して CO 2を除去する C02濃度の制御をするため 2および; 乙とで船内 O の基礎データを試験結果として得る乙とができた。 2キャニスタの形状は通気抵抗を下げ また, K0 るため通気面積を増やし,かっ,通過距離を短縮 する構造のものとし,良好な試験結果を得ること ができた。 4 .1 試 験 要 領 試験装置は図 8に示すよう,従来装置の K0 2キ ャニスタに LiOHキャニスタを分岐付加したもの とし,通気温度2 0oC,湿度50%, λ口 C02濃 度 0 . 7%,通気風量 3 5 0 t / m i nおよび 8 7 0 t / m i r i 0+2 32 で1 0時間連続試験を行った(詳細は表 5参照)。 ( 1 ) 供 試 K0 2剤 は ん と し , 量 は 船 内 環 境 状 態 の C, 中で反応が最も低下すると考えられる温度 6o 湿度 1 0 0%の場合において,乗員 3名の O2摂取量 2 6 t / h r manおよび CO2発生量2 2 t / h r man を処理 ・ ・ できる約 6 k gとした。 ( 2 ) K02キャニスタへの通気風量は 5 8年度の 1 0時 関連続性能試験におけるキャニスタ内空気通過時 間と同じになるよう, 3 3 0 t / m i nとした。 4 . 2 試験結果および考察 ( 1 ) K02キャニスタのみへ通気風量 3 30t/min を 1 0時間連続流した場合の試験結果を図 9,乙示す。 図 9から, O 2 発生流量および~C02 吸収流量は 乗員 3名用としては十分であるが, O2 は 過 多 で ある乙とカ三わかる。 ( 2 ) K02キャニスタのみへ 3 3 0 t / m i n,2時間通 気後, K02キャニスタへ 8 0e . /min,LiOHキャニ スタへ 2 5 0t / m I n,6時間通気し,その後, K02キ ャニスタのみへ 3 3 0 t / m i n,2時間通気した試験結 果を図 1 0 'と示す。 乙の試験結果に基づき,船内 O2 および~C02 濃 度の推定をしたのが図 1 1の予想曲線である。通気 風量の変化に伴い, O2濃度がオーバーシュート, JAMSTECTR 15 85) ( 19 2 0 アンダーシュートする ζ となく推移する乙とがわ ( 3 ) K0 2 キャニスタの通気抵抗はほとんど約 かる。 H20以下と非常に低い所で安定している。 また 試験後 K02の外観も,潮解固着現象はほとんどな 阻 なお , K02 キャニスタへの通気風量を絞り, Li OHキャニスタへ通気しない場合は C02 濃度が 約 3.5%まで上昇する。 く,均一な良好な反応をしていた。 nUMHAU nu 山 Mdu 4 京3 ト ト 2 0 0ト ︿ 40 2 ﹄ ∞吸 収 蹴y 二三ゴ二二ごi 二二て仁二づ二 二 2 0 ‘ qd i 、 乗員 (3 名)のCO2 発生盤 • 2 3 一 上 4 }) Ia・-司会 'trtl 2 。 ﹄ MEN00 3 02帽﹄﹀﹀O- 問符民一﹃ ﹄ B 司 刷υ EEMaO 。 ( 総) (決) 6 0 CO二仏﹄。帥門戸冊判υ OUM司﹂EO 。 ﹄ 一 ﹄ 4 叫 ) ロ O 一剖司﹄むEUWN O 80 (余¥噌)創出品 川相叡判。 measuringl o c a t i o n 一measur i . ngc y l i n d e rNo.2 COt吸収怒 (市中¥ご綱出品川司被制O υ 。測定筒所…計測筒 -2 叫﹀ gg¥ 1 0 0 1 0 0 (gg¥ ︿ 口 一 口 、 ご と 一 一DSEua (余¥叫)稲盛 絞 沼 500 ¥乗員 (3名〉のO2消費髭 I 6I 一 一7 5 9 8 1 0 経過時間〈時) t i m ee l ap s e d (h r) o . 5 9- 1 ) 図 9 K02制御方法の研究試験結果(試験 N T e s tN o .5 9- 1 ) T e s tr e s u l t so b t a i n e dfromc o n t r o l l e dr e a c t i o nt e s to fK02 ( 宗主 』 ー ー ー ・_ .ー 「 400 - : : ; .E( 3 3 0 ) 心~ 3 0 0 2 ぎ - コ 」 2 0 0 崎 支黒 1 0 0 仁一一一 淘 E ( 8 0 〉 邑 0 ﹄ ﹄ ﹄ 一 υ υ 032Eo-﹄ (55¥ ご cgHa02時 間O υ NO O υ 医N 2 40 t (余¥ご剖明記幅. 乗員 (3名)の O2t 肉質量 ﹄ 。 、 州 W当 ﹄B 帽 向 。 hZ﹀2aO マ3 ︿ (田駅﹀ (淡﹀悶 6 0 (余¥ご昭総剣山陣 CO2吸収 $ の 4 0 M円 凋句 80 Sg¥ 国 ) ロ O ニ司﹄曲CU出 N O032EO げ 2 - nn ド ' o α sy mM αc . 1 σ, 。 ゆ1huv σ a 畑 山 -nElnH 所・川削 節制闘 m 油川市 淀抑制 1 0 0 一一 2 0 ・ーー一一 。 2 . 3 4 5 経過時間 6 7 8 9 1 0 〈時) r) t i m ee l a p s e d (h o .5 9-2) 図1 0 K02制御方法の研究試験結果(試験N T e s tNO. 5 9 -2) T e s tr e s u l t so b t a i n e dfromc o n t r o l l e dr e a c t i o nt e s to fK02 ( 34 JAMSTECTR 15 ( 19 85) O2 糧~& ︿ a 向 日 2キャニス タ通気風撤 K0 4)) (LiOHキャニスタ の 内 が無いと した的 ∞ j 3 U 'L ∞ CO2濃度 。 。 l ω 1 2 0 1 8 0 2 4 0 ∞ 3 印 3 4 : : > . 0 5 4 0 4 8 0 門司 令 作 : r o hmM nv n U A d 内 の 4 m 鑓NO M υ (決﹀去一的E u N O υ 44 CO2濃度 (余¥同﹀削刺頃 ぽ桐明 1 5 ︿川駅﹀ 58 ¥噌﹀﹄ど回一 cgNOv-z苦 O﹄去と一一五伺ugu仏 gu to ︿田駅) ご一 (柏駅) 泌 総δ 2 5 ぽx l 時間(分〉 . !ime (mIn) 図1 1 船内 O2および、 CO2濃度変化(予想 )C試 験 N . o5 を基に算出〕 9- 2 O2 andCO2d e n s i t yv h i pC a r i a t i o ni ns P r e d i c t i o nc a l cul a t e db a s e donT o .59-2) e s tN 表 5 K02 制御方法の研究試験条件 T e s tc o n d i t i o nswithc o n t r o l l e dr e a c t i o nt e s to fK02 N . o N . o 験 試 e s t キャニスタ 通気風量 ( K02 U m i n ) c a n i s t e rp e r m e a b i l i ty K02 . e ! m i n ) L iOHキャニスタ通気風量 ( an i s t e rp e r m e a b i l it y LiOHc 全 体 通 気風 59-1 59-2 330 330→ 80→ 330 一 0→ 250→ O U m i n ) 量( 330 O v e ra l lp e r m e a b i l i ty ロ C 02濃 度 (% ) 入 O .7 C02d e n s i t ya ti n l e t 入 ( OC ) 冶m τ pe r a t u r ea n l e t ti 入 口 温 度 口 湿 度 〈必) 20 50 H u m i d i t ya ti n l e t KOz 最 (kg) 6 Amounto fK02 LiOH 量 (kg ) Amounto fL i OH 試 験 時 間 ( h r) Te s tt i me 試 験 回 O . 6 一 10 • 数 (回) Numbero ft e s t s JAMSTEC TR 15 ( 19 85) 3 5 表 6 K0 2 を用いた生命維持装置の仕様 S p e c i f i c a t i o no fl i f e s u p p o r te q u i p m e n tu s i n gK0 2 目 項 N o . I tem 循 n 内 仕- C o n t e n t 回 環 ノ て イノマス K02 キャニスタ戸山 路 循 E c i r c u l a t i o ndiagram ( ) ) 環 . . _ , L 、 ノE 〉 n n 、 o ロ 循 環 風 量 フロワ 色- 2 . ~同 スぉ ーロ アど . ~司 3 i 品 仁J 〉 、 7 ( ) ) 弘 γ+ ω , ; . ス 濃 度 5 U3 量 。 control 計 測 濃 4 3 度判 制 御 o tJ 9 K02 トー 約 45Oe ./min 330e . /min ( 0 2濃度を上昇させる場合) 80+25Oe . /mi n(02濃度を低下させる場合) K02キャニスタ のみに通気 t / m i n : 2 5 0t / m i n K02キキニユスタ : 8 0 LiOH キ 守 ニ スタ K02キャニスタの通気風量の増減による制御 C02センサによる連続自動計測および手動 ロ ω m easurement によるサンプリング計測の併設 - +c a ム 船内よ 測 制 御 〉 、 o 計 N 2 C02・ 2 フ- u- 8 LiOH キャニスタ 考 02センサ 3個の平均値による計測方式 ロ1 easurement 02: 右 御 g 6 風 気 p e r m e a b i l i t y 5 リ 告 ゆ c i r c u l a t i n gf l o wr a t e 通 イ 蒲 c o n tr o l 形 状 s h a p e LiOHキャニスタへの通気による制御 円筒充てん形 キ』 K02充 て ん 量 1 0 fK02 ャ ・c 5 s amounto ( ) ) 6kg 4 U 4 1 1 1 u 一 一 g通 N ス ヌ止~ 風 量 p e r m e a b i l it Y 1 2 タ 1 3 LiOH 形 330e . /min(02濃度を上昇させる場合) 8O e . / r n i n (02濃度を低下させる場合) 状 円柱状充てん形 s h a p e キ』 ω LiOH 充 て ん 量 1 4 ャE C S amolll1to fLiOH ー- u 4 U 4 3 ス国 通 1 5 タQ ト 」 1 6 安 3 6 全 気 風 0 . 6kg 量 2 5 0e . /min p e r m e a b il i t y 対 策 K02 キャニスタを利用した自力呼吸回路を 設ける u JAMSTECTR 1 5 (19 8 5 ) 制御装置 cont r olequ ipment τ _...J 「ーー一一 L ー 一 ー ー ー 一寸 l v 〆 一 -L-4 I 計語 I J間 . πleaSunn . R 'c Yl In a e rI 応 i f J S 羽 E 注i 丘r E 2 叫一一 -一- : P0 2計 測 装 置! ! P02i n s trument ιーー ー ー ・ 圃 ----' , LiOH K02 キャ ニス タ キャニスタ LiOH K02 canlster camste r ,,~ 電磁弁 電磁弁 s o l e n o i dv a l v e オリフィ ス o r i f i c e >1< ー 咽. バイパス回路 by一 阿 部 c i r c u i t ー 唾 . _ 通気 ライン v e n t i lat i o nl i n e 一ーー ブロワ b l o w e r 一ーー 計i l l Jライン measuringl i n e 制御ラ イ ン c o n t r o ll i n e 図1 2K02を用いた生命維持装置概略系統図 S chematicdiagramo fl i f e s uppo r tequipmen tu s i n gK02 5 . 潜水船用生命維持装置全体 船内 O2濃度の制御は 0 2濃度が設定上限に達し 2キャニスタ系電磁弁を閉じて80t/ min た所で、 K0 システムの検討 9 年度の研究成果に基づき, K02を用いた 昭和 5 を K02キャニスタ ζ i通気し, 02濃度が設定下限 「しんかい 2 0 0 0J用生命維持装置全体システムに 30t/minを K02 に達すれば同電磁弁を開いて, 3 ついて検討した。その結果は所要装置の系統を図 キャニスタに通気させる。また ,船内 COz濃度の 12~と,また,装置の仕様を表 6 R : :示す。 2濃度が設定上限になれば, LiOHキャ 制御は C0 9 年度の試験装置 ( 1 0時間を超す場合は, 装置は 5 ニスタ系電磁弁を「関Jとして LiOHキャニスタに キャニスタをカートリッジ方式で換装)に,潜水 通気し,設定下限になれば「鎖」として,L iOHキ 船 内換気所要風量の不足分を補うバイパス換気回 ャニスタへの通気 を零として行う 。 路を付加したものとなる 。 JAMSTECTR 1 5 (19 85 ) 37 6 . あ と カt き 本試験研究により, 吸 K02剤の 02発 生, CO 2 収反応の特性および、 O O2濃 度 の 制 御 2 ならびに C 法に 関する基礎 データを得 る乙 とができ ,ま た , 文 献 ( 1 ) 池田玉治ほか刊通気式炭酸ガス吸収装置の関 9 7 2 発",日本高気圧環境医学会雑誌 7, 1 ( 2 ) 池田玉治ほか 趨酸化カリウム (K02) の 特 H 潜水船用生命維持装置の概要もつかむ乙とがで き 性試験についてう日本高気圧環境医学会雑誌 た 。 今後,詳細な検討を進めると ともに,潜水船 1 9,1 9 8 4 相当の密 閉区画内で,乗員 3名の呼気条件をモデ 02剤 を用いた ィファイした確認、試験等を行い ,K (原稿受理: 1 9 8 5 年 4月1 9日) 生命維持装置の性能,信頼性および安全性を研究 確認し て いく予定である。 38 JAMSTECTR 1 5 (1985)