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第9回 現代の増幅器の考え方 小信号高周増幅器

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第9回 現代の増幅器の考え方 小信号高周増幅器
第9回 現代の増幅器の考え方
根日屋英之 編著
講義資料は
http://amplet.tokyo/tdu
からダウンロードできます.
初版 : 2017年3月19日
ユビキタス無線工学
担当 : 根日屋 英之
2017年6月8日
1
小信号高周増幅器
2017年6月8日
2
1
MMIC高周増幅器の回路図
モノリシックマイクロ波IC
インターシル ISL55014
+5V
0.1μ
24
68p
4
68p
1,2,5
0.1μ
100nH
3
入力
2017年6月8日
68p
出力
6
ISL55014
68p
インターシル ISL55014 のデータシートから転載
3
高周増幅器の入・出力インピーダンス
インターシル ISL55014
のデータシートから転載
ISL55014の入・出力インピーダンス特性
2017年6月8日
4
2
理想的なコンデンサと実際のチップ・コンデンサ
理想的なコンデンサ
実際のチップ・コンデンサの等価回路
2017年6月8日
5
コンデンサCの容量値の決め方
インピーダンス[Ω]
周波数[Hz]
ムラタ製作所社のデータシートより転載
2017年6月8日
6
3
伝送理論の基礎 ・・・ 高周波の領域
V2
進行波
V1
終端負荷
Rs
伝送線路
Rt
RL
反射波
信号源
・ Rs = Rt = RL ならば反射は起こらない.
・ Rs = RL なので,V2=V1/2となる.
2017年6月8日
7
伝送理論の基礎
進行波:1 反射波:0 進行波:1 反射波:0.2
進行波:1 反射波:0.5 進行波:1 反射波:1
2017年6月8日
8
4
伝送理論の基礎 ・・・ 低周波の領域
進行波
終端負荷
Rs
伝送線路は
非常に短い
Rt
信号源
反射波
RL
無
⎧Rs=0Ω
⎨
⎩RL=∞
2017年6月8日
9
小信号低周増幅器
2017年6月8日
10
5
OPアンプによる低周波増幅器の設計法
ei
+
-
+
-
eo=A ei
ei
(a)
ei
eo=-A ei
(b)
eo=0
+
-
ei
+
-
-ei
(c)
eo=2A ei
(d)
同相入力
逆相入力
+
-
出力
電圧利得:A
2017年6月8日
11
OPアンプによる低周波増幅器の設計法
OPアンプの特徴
入力インピーダンス : 非常に高い
出力インピーダンス : 非常に低い
6.4
逆相入力
同相入力
-
+
+電源
出力
-電源
2017年6月8日
12
6
OPアンプによる低周波増幅器の設計法
R
同相入力
+
-
n −1
R
n
出力
nR
(n − 1) R
R
同相入力
(a) 非反転増幅器
+
-
逆相入力
R
R
+
-
逆相入力
出力
出力
n
R
n +1
nR
(b) 反転増幅器
nR
(c) 差動増幅器
電圧利得がn倍の低周波増幅器
2017年6月8日
13
伝送理論の基礎 ・・・ 低周波の領域
V2
進行波
V1
終端負荷
Rs ⇒ 0
伝送線路
Rt
RL⇒ ∞
反射波
信号源
・ 低周波の領域では,電装線路は非常に短い.
・ Rs ≠ RL で反射が起こっても定在波はたたない.
・ Rs = 0, Rs = ∞ として,V2=V1としてもよい.
2017年6月8日
14
7
高出力高周波増幅器
2017年6月8日
15
回路の設計
① 電源の加え方.
バイアス設計 ・・・ ② 真空管,トランジスタ,
FETの動作点の設定
回路の設計
インピーダンス整合 ・・・ 回路と回路を接続する
インターフェース設計
2017年6月8日
16
8
A級動作高出力増幅器 (歪は少ないが低効率)
(1) 小信号から増幅できる.
出力上限電圧 +VHO
(2) 歪みは非常に少ない.
(3) 効率は悪いので,消費電
力が大きい.
出力下限電圧 +VLO
(4) タンク回路はなくても良い.
入力
ドレイン出力
-Vg +Vd
出力
ドレイン
出力観測点
入力上限電圧 -VHI
出力
バイアス電圧 -Vg
入力
グラウンド
(=0V)
入力下限電圧 -VLI
抵抗負荷
(RL)
2017年6月8日
17
B級動作高出力増幅器
(1) 入力した信号の上半分
(または下半分)だけを増幅
出力上限電圧 +VHO
(2) 線形増幅
(3) 効率はAB級とC級の間
出力下限電圧 +VLO
ドレイン出力
入力
-Vg +Vd
ドレイン
出力観測点
入力上限電圧 -VHI
出力
出力
入力下限電圧 -VLI
入力
グラウンド
(=0V)
=バイアス電圧 -Vg
抵抗負荷
(RL)
2017年6月8日
18
9
C級動作高出力増幅器 (歪は多いが高効率)
ドレイン出力
(1) 小信号は増幅できない.
出力上限電圧 +VHO
(2) 歪みは多い.
(3) 効率は良い.
出力下限電圧 +VLO
出力
-Vg +Vd
ドレイン
出力観測点
入力
入力上限電圧 -VHI
出力
入力
グラウンド
入力下限電圧 -VLI
(=0V)
バイアス電圧 -Vg
抵抗負荷
(RL)
2017年6月8日
19
タンク回路とは
共振回路
入力
タンク回路
出力
長さ
ブランコ
l
タンク回路の動作の微分方程式がブランコの単振動
動作と同じように表現される.ブランコは,押す人の前
にブランコが振れてきたときに,ブランコに乗っている
人の背中をちょっと押すだけで周期 T で揺れ続ける.
この動作と同じような振る舞いをする電気回路が,タン
ク回路(バンドパスフィルタなどの共振回路)である.
タンク回路の共振回路と同じ周波数の交流信号の一
部をタンク回路に入力すると,出力には交流信号が全
周期で再生され出力される.
2017年6月8日
g
周期
T = 2π
l
g
重力加速度
20
10
タンク回路とは
入力波形
出力波形
入力 出力
出力波形
L
C
入力波形
タンク回路のQが低いとき
出力波形
LC共振回路
タンク回路のQが高いとき
2017年6月8日
21
アンプの動作
入力
出力
全周期を増幅
A級 アンプ 入力
出力
B級 アンプ 半周期を増幅
タンク回路
(共振回路)
全周期を再生
出力
入力
C級 アンプ 信号の一部
を出力する.
2017年6月8日
タンク回路
(共振回路)
全周期を再生
22
11
OFDMを時間軸で見た波形
・・・ そこには技術面での大問題が存在する
電力
振幅
OFDM
実効平均電圧
時間
OFDM
周波数
時間変化による振幅変化が大きい.
増幅器に線形性が要求される.
増幅器の効率が低下 モバイルでは消費電力で大問題 ! 2017年6月8日
23
送信高出力増幅器の問題点
バックオフ > PAR
例 : OFDM ・・・ PAR ≒ 10dB
π/4シフトQPSK ・・・ PAR ≒ 3dB
振幅
ピーク電圧
実効平均電圧
時間
出力電力
送信ハイパワー増幅器
の入・出力特性
OFDM
飽和電力
● PAR ・・・ Peak Average Ratio
バックオフ
入・出力振幅特性
使用範囲
入・出力位相特性
入力電力
2017年6月8日
(ピーク電圧)
ピーク電力
=
実効平均電力 (実効平均電圧)2
2
PAR =
● バックオフ
ハイパワー増幅器の実用範囲における
最大出力電力と飽和電力の差.バックオフ
が大きいほど線形性は良くなるが,増幅器
の効率は低くなる.
24
12
送信高出力増幅器のEVM
64QAM
QPSK
EVM(Error Vector
Magnitude) ディジタ
ル変調信号の品質を
表すパラメータ.送信
ハイパワー増幅器で
いうと飽和具合を理
想的な線形性で正規
化した値.
EVM < 10%
EVM < 2.5%
2017年6月8日
25
高周波高効率増幅器
出力電力
位相
16QAM
16QAM
AM / AM 特性
増幅
AM / PM 特性
入力電力
FET増幅器入力 FET増幅器出力
入・出力振幅特性 : AM / AM特性
入・出力位相特性 : AM / PM特性
2017年6月8日
26
13
高出力増幅器の飽和歪の測定方法
信号発生器
f1
バイアス電圧 電源電圧
-Vg +Vd
測定器
+
FET
増幅器
信号発生器
f2
オシロスコープ
スペクトラムアナライザ
2017年6月8日
27
高出力増幅器の飽和歪の測定方法
3次歪
5次歪
7次歪
・・・・
3次歪
5次歪
7次歪
3次歪
・・・・
3次歪
飽和歪
飽和歪
OFDMでは,変調信号への障害となる.
2017年6月8日
28
14
高出力増幅器の飽和歪の測定方法
直線性
が良好
オシロスコープ スペクトラムアナライザ
飽和
状態
オシロスコープ スペクトラムアナライザ
2017年6月8日
29
高出力増幅器のクロスオーバ歪の測定方法
直線性
が良好
オシロスコープ スペクトラムアナライザ
クロス
オーバ歪
オシロスコープ スペクトラムアナライザ
2017年6月8日
30
15
送信高出力増幅器の技術課題
① 増幅器自体が高効率であること
② 増幅器の歪を抑圧すること
2017年6月8日
31
低歪増幅器
2017年6月8日
32
16
低歪・高出力増幅器
・ フィードバック型,フィードフォーワード型,プリディストーション型などがある.
・ 原理的に増幅器で発生する歪を逆の極性で打ち消す.
・ プリディストーション型では,完全な逆極性の歪を作ることは難しいので,増幅
器の歪そのものを用いて打ち消す他の二方式よりは効果は低い.
フィードバック型
フィードフォワード型
プリディストーション型 (ディジタル)
プリディストーション型 (アナログ)
歪補償量 広帯域特性 高効率化 小型化
~30dB
△
◎
◎
~30dB
○
△
△
~20dB
○
○
○
~10dB
◎
○
○
2017年6月8日
33
フィードバック型増幅器
増幅器
利得 A(>>k)
原理
入力
Vi (t )
歪
+
+
+
+
+
-
d (t )
A + k ≒A とすると,
出力
Vo(t )
Vo(t ) = k ⋅ Vi(t ) +
k
d (t )
A
1/k
・ 変調信号の振幅,位相変化に追従できる高
速なフィードバック回路が必要.
・ 制御回路は不要.
・ 系の安定性を考えると,広帯域化が難しい.
・ 高効率化,小型化には適する.
・ 歪補償量 ・・・ 30dB
2017年6月8日
34
17
フィードフォワード型増幅器
可変
位相器
大信号
増幅器
可変
ATT
入力
出力
遅延線
歪抽出ループ
ATT
歪キャンセルループ
-
可変
位相器
可変
ATT
歪発生
増幅器
+
+
遅延線
・ 歪補償特性は優れている.
・ 広帯域通信にも対応できる.
・ 高効率化はあまり期待できない.
2017年6月8日
35
プリディストーション型増幅器
出力電力
可変
位相器
可変
ATT
大信号
増幅器
入・出力振幅特性
入力
出力
プリディストータ
入・出力位相特性
入力電力
出力電力
入・出力振幅特性
出力電力
飽和電力
入・出力振幅特性
入・出力位相特性
入力電力
入・出力位相特性
入力電力
・ 増幅器のメモリ効果(AM/AM変換,AM/PM変換に周波数依存性がある)を補償 する必要がある.
・ フィードバック回路が無いので系が安定しており,広帯域通信にも対応できる.
2017年6月8日
36
18
ディジタルプリディストーション型増幅器
LUT : Look Up Table (補正係数が記入されている)
入力
LUT
DAC
×
ADC
×
大信号
増幅器
出力
LUT
収束回路
遅延
-
+
+
ADPD : Adaptive Digital Pre - Distortion
・ 入力の振幅,または(I,Q)の値をインデックスとする.
・ 演算回路,ADC,DACは,変調速度よりも高速である必要がある.
2017年6月8日
37
アナログプリディストーション型増幅器
歪発生
小信号
増幅器 ATT
+
可変
位相器
可変
ATT
+
-
入力
ATT
小信号
増幅器
-
可変
位相器
可変
ATT
+
+
出力
大信号
増幅器
・ ダイナミックレンジが広い範囲で歪補償ができる.
・ 広帯域通信にも対応できる.
2017年6月8日
38
19
Fly UP