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波崎ひかり保育園の育児の現場から

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波崎ひかり保育園の育児の現場から
NTTドコモレポート
2004.07
親子のふれあいを充実させる映像コミュニケーション
∼波崎ひかり保育園の育児の現場から∼
女性の社会進出に伴い、結婚・出産後も働く女性が増えています。その一方で、育
児の状況は、依然として女性にかかる負担が大きいのが現状であり、育児と仕事の間
で悩みを抱える女性も少なくありません。特に、小さな頃から子どもを保育園に預け、
両親共に働く家庭では、日中のコミュニケーションをとりたくてもとれないという悩
みは大きいようです。
そんな中、FOMA®のテレビ電話機能を使って新しいコミュニケーションの形を生み
出す試みが始まっています。親子が時間と場所を超えて、ふれあうことができる――。
今回のドコモレポートは、実際にFOMAを利用した映像コミュニケーションを導入し
ている茨城県鹿島郡波崎町の波崎ひかり保育園様(以下敬称略)の事例を紹介します。
働く母親が持つホンネ
FOMAのテレビ電話機能が生み出した新しい親子のコミュニケーション
● きっかけは母親の一言から
●「手にした」映像がもたらした効果
● 導入して分かった“意外な効果”と“安心”
● FOMAが充実させる親子のふれあい
働く母親が持つホンネ
母親を対象にした調査によると、専業主婦の約40%が「本当は、子育て中でもバリバリ
働きたいと思っている」一方で、約70%が「働いたら、子どもとのふれあいが少なくなり
そうで不安」※1と考えています。
また、働いている母親も「仕事と子育ての両立で大変に感じること」という問いに対し
て、約半数が「仕事のキャリアアップと子育ての両立」と答え、約60%が「子どもと過ご
す時間が少ない」※2という悩みを抱えています。
働きたい、でも、子どもと一緒に過ごしたい――この相反する2つの望みを叶えるのは
容易なことではありません。そのような望みに応えるために新しい試みを始めた保育園が
ありました。日中離れて過ごさざるを得ない親子の距離を縮め、親子のふれあいをもっと
充実させる、その鍵となったのは、離れた場所の様子をリアルタイムで見られる、FOMA
のテレビ電話機能でした。
※1:博報堂 BaBU「子育てについてのママの意識調査」2001年10月 ※2:マクロミル 「ワーキングマザーに関する調査」2002年10月
〈2〉
FOMAのテレビ電話機能が生み出した新しい親子のコミュニケーション
●きっかけは母親の一言から
茨城県鹿島郡波崎町にある波崎ひかり保育
園には、以前から日中の子どもの様子を気に
する声が、数多く寄せられていました。ある
母親からは、「Webカメラを設置して、園の様
子を外部からも確認できるようにして欲しい」
という要望がありました。それは最近テレビ
でもよく取り上げられている、Webカメラの
映像をパソコンで受信し、遠方からカメラの
関東の最東端、犬吠埼に程近いロケーションの
波崎ひかり保育園
映像をモニタリングするというものでした。
「保育目標は“太陽の子に育てよう”。太陽の
下で強い身体と豊かな心の調和を図り、創造
的な思考力を養うことを念頭においています」
波崎ひかり保育園代表 千葉和裕氏
しかし、波崎ひかり保育園の千葉和裕代表は、保育園での導入を考えた場合、Webカメ
ラは適当ではないと考えていました。Webカメラの場合、映像を受信する端末は主にイン
ターネットに繋がれたパソコンとなります。つまり、パソコンを操作できる環境にあるデ
スクワークの人、もしくは自宅にいる人しか見ることができないわけです。保育園に子ど
もを預ける保護者は共働きであることが多く、その就労環境は、工場勤務や営業で外出が
多いなどとさまざまです。そこで、“いつでもどこでも”手元で見ることができる携帯電
話で同様のシステムが構築できないかと考えた結果、FOMAのテレビ電話機能をうまく使
うことで、その思いを実現しました。
〈3〉
FOMAのテレビ電話機能が生み出した新しい親子のコミュニケーション
● 「手にした」映像がもたらした効果
FOMAを使って“いつでもどこでも”子どもの姿を気軽に確認できることから、帰宅後、
親子の間ではより活発なコミュニケーションが生まれています。子どもが昼食をとる姿は、
保護者がこれまで確認できなかったことの一つでした。「残さず食べたかどうか、行儀よ
く食べたかどうか、母親は昼間映像を見てわかっていますから、お昼時の出来事一つをと
っても、親子でいろいろな会話が生まれているようです」。さらに千葉氏は続けます。「父
親も頻繁に利用しているという声を多く聞き、驚いています。子どもと接する機会が母親
と比べて少ない分、仕事の合間に利用しているようです。仕事柄、残業・夜勤が多く子ど
もの寝顔しか目にしない父親にとっては、昼間元気に遊んでいる子どもの姿を見ることが
できるのは大きな喜びなのです」。
映像の鮮明さについても保護者の反応は上々です。思っていた以上に映像が鮮明である
ため、まるで間近から見ているようによくわかる、と導入当初から驚きの声が上がってい
たほどでした。
保育園室内に設置されたカメラの映像
(イメージ)
子どもの様子をFOMAで「手にする」
(イメージ)
子どもの体調があまりよくない時、保育園に預けながらも子どもの様子が気になること
はよくあります。また、産休後まもなく職場に復帰しなければならない母親は、預けた子
どもが小さいだけに、とりわけ保育園での子どもの様子が気にかかるといいます。そんな
場合でも、今ではちょっとした空き時間に様子を確認できるので、安心することができる
という声も寄せられています。
保育園では“お遊戯”発表会が年1回開催されます。従来、保護者は発表会当日まで子
どもの“お遊戯”を目にすることができませんでしたが、現在では仕事の合間に練習の過
程から見ることができるようになりました。毎日の練習についての会話が親子で交わされ
るとともに、普段我が子が一生懸命練習している姿を見ている分、発表会当日に受ける保
護者の感激はひとしおです。
〈4〉
FOMAのテレビ電話機能が生み出した新しい親子のコミュニケーション
■ FOMAからEIZO AirView®につながるしくみ
1. 呼び出し
NTTドコモ
FOMAネットワーク
EIZO AirView
2. 保育園映像を受信
FOMA
また、この試みが成功した背景には保護者の年齢層も深く関係しています。保育園に子
どもを預ける母親の平均年齢は33.4歳(父親は35.6歳)※1、波崎ひかり保育園の場合も保
護者の多くは30代です。また、全国的に見た携帯電話の利用率は30代で82.5%と、20代の
84.7%に次ぐ高い数値を表しています※2。これら統計が示すように、保育園に子どもを預
ける親の世代は、携帯電話への親和性が高く、FOMAの導入も無理なく受け入れられたの
だと考えられます。
※1:内閣府「保育サービス市場の実証研究6『保育サービスの利用は女性労働供給を
どの程度刺激するか?−ミクロデータによる検証』」2004年3月
※2:総務省「情報通信利用動向調査」2003年
〈5〉
FOMAのテレビ電話機能が生み出した新しい親子のコミュニケーション
●導入してわかった“意外な効果”と“安心”
保育士と保護者の関係にもよい効果が現れ始め
ています。従来、子どもの様子については連絡帳
を通じて保護者との情報共有を図ってきました
が、今では保育士がどのような保育を行っている
かを実際に目で見て確認できるようになりまし
た。保護者はより安心して子どもを預けることが
でき、その結果、保育士とのコミュニケーション
も増えています。保護者から常に見られているこ
設置されたカメラ:面倒な配線などは不要で、
電源さえあれば手軽に設置できる。
とで保育士の気も引き締まり、保育の質も向上す
るという予想外の相乗効果も生まれています。
映像配信システム設置を広く一般に告知:
波崎ひかり保育園では、FOMAを利用した映像
配信システムを導入していることをポスターや
リーフレットで広く地域に周知している。
千葉氏は“意外な効果”を続けます。「保育園では、県からの指導のもと、月に1回、避
難訓練を行っています。火災や地震への備えに加え、最近では不審者の侵入から身を守る
ことも大きな目的になっています。現在、園内の様子がFOMAで常に確認できることをポ
スターやリーフレットでもアピールしており、地域では“カメラのついた保育園”として
有名です。不審者対策にも一役買っているといえます」。想定していなかったこととはい
え、この仕組みを導入したことで保護者が最も求める“安心”を提供しているといえるで
しょう。
〈6〉
FOMAのテレビ電話機能が生み出した新しい親子のコミュニケーション
●FOMAが充実させる親子のふれあい
この仕組みを導入したことで、保護者に安心感を与え、親子が日中離れていてもふれあ
えるさまざまなヒントを得た、と千葉氏は言います。家庭でのコミュニケーションが活発
化したことで園児も明るく元気になり、保育園全体の雰囲気が明るくなりました。FOMA
のテレビ電話機能が保育園と外との接点となり、保育園の雰囲気や保育士の意識にいい影
響をもたらしたのです。今後、波崎ひかり保育園では、月に1度開催される誕生会に参加
できない保護者に、あとからでも映像を見ていただける取り組みや、メーリングリストに
よる新たなコミュニケーションの場を提供するなど、親子の時間と距離を埋め、ふれあい
を深めるサービスを展開していくそうです。これからも様々なコミュニケーションのアイ
ディアが保育園の現場から生まれてくることでしょう。
働く母親の望みである「働きながら子どもとのコミュニケーションを充実させること」。
離れた場所の様子を、いつでもどこでも手軽に確認することができるFOMAならではのテ
レビ電話機能が、この思いに応えたといえます。FOMAは、親子のふれあいをより充実さ
せ、新たなコミュニケーションスタイルを創造しつつあるといえるのではないでしょうか。
※「EIZO AirView」は株式会社ナナオの登録商標です。
※「FOMA/フォーマ」は株式会社NTTドコモの登録商標です。
〈7〉
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