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日本における適正農業規範( 基準) 日本における適正農業規範(GAP

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日本における適正農業規範( 基準) 日本における適正農業規範(GAP
日本における適正農業規範(GAP基準)
日本における適正農業規範(
基準)
現状と展望
田上隆一
健康と環境に関する適切な農業管理のために
農地の基盤整備、農作業の機械化、品種の改良、
化学肥料の利用、化学合成農薬の利用
農業発展
化学物質や化石エネルギーの大量使用
自然環境や生態系にダメージ
土壌肥沃度低下、硝酸態窒素で土壌・水源汚染、農薬残留
社会問題化
イギリス農林水産省、1990年
イギリ
農林水産省 1990年
「Green Code」(Code of Practice for the safe use of pesticides on farms and holdings)
「Soil Code」 (Code of Agricultural Practice for Protection of soil)
「W t Code」
「Water
C d 」 (Code
(C d off Agricultural
A i lt l Practice
P ti for
f Protection
P t ti off water)
t )
国連食糧農業機関(FAO)、1991年
農業と環境会議を開催 「持続可能な農業と農村開発(SARD)」
農業と環境会議を開催、「持続可能な農業と農村開発(SARD)」
「持続可能性」は農業発展における世界的要求事項
「持続型農業」、「循環農業」、「エコ農業」、などが農業生産の新しい形
IP(Integrated Production:統合生産)農業
農薬と化学肥料の施用量を削減し、環境的にも経済的にも持続可能な農業を
技術的基礎、
IPM(Integrated Pest Management:総合病害虫管理)
ICM(Integrated Crop Management:総合作物管理)
①
Code of Good Agricult
ural Practice
規範
実行
適正農業規範
規範(規約の体系) :
優良
農業
Code
適切な農業の実施 :
Good Agricultural Prac
農業生産実施基準 :
Practical Guide
病害虫管理、作物管理、肥培管理、
病害虫管理
作物管理 肥培管理
衛生管理、組織管理、他
IPM(Integrated Pest Management)
ICM(Integrated
(I t g t d C
Crop M
Management))
g
t))
食品の安全に関する適切な農業管理
食品流通の急激なグローバル化
BSE、O-157、鳥オンフルエンザ
認識不足、怠慢、リスク管理の欠如、虚偽、不正行為
認識不足、怠慢、リ
ク管
欠如、虚偽、不 行為
食品事件
食品の流通・加工・販売企業
FSMS:Food Safety Management System
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)GMP(Good Manufacturing Practice)
食品原材料の調達先に安全性を要求
(Code of Good Agricultural Practice)
EUREP(Euro-Retailer Produce Working Group:欧州小売業団体)1997年
商業的に利用できる統一した生産管理基準(EUREPGAP)
アメリカの小売業組合(SQF1000)基準、
オランダの企業Unileverグループ 持続可能な農業基準、
②
Code of Good Agricult
ural Practice
規範
実行
統 農場保証
統一農場保証
:
優良
農業
I
Integrated
d FFarm AAssuran
「商業的に利用できる農場保証制度」第三者認証
管理点と適合基準 :
Controll Points
i
and
d
Compliance
li
Crii
(運営 認証) 般規則 : General
(運営・認証)一般規則
G
l Regulation
R
l ti
品質管理手順 :
Quality Management System
③
農産物トレーサビリティの要件
各段階における記録
生産者から始る農産物のサプライヤーは、購入商品(製品や原料)とその仕
入先、販売商品とその販売先とを対応づけ、それらの情報を記録することが
必要である
必要である。
生産段階「適切な農場管理:GAP」のトレーサビリティ 加工段階「GMP」
遡及
事業所C
a1
A
A
種苗、農薬
種苗
農薬
肥料など
B
a2
C1
C1
b1
C2
C2
B
b2
圃場
何時、
何時
誰から、
何を、
どれだけ
受け取ったか
【購入情報】
選別・包装・出荷
何時、
何時
何時
何時、
誰から
誰に、
受け取ったものを、 何を、
どのように分割し
どのように分割し、
どれだけ
どのように結合したか受け渡したか
【処理情報】
【販売情報】
【購入情報】
【処理情報】
【販売情報】
追跡
流通段階「GDP」
階
【購入情報】
【処理情報】
【販売情報】
小売段階「GRP」
情
【購入情報】
【処理情報】
【販売情報】
消費者
農場内のトレーサビリティー
④
農産物などの「物」が存在する
農産物のトレーサビリティー記録は、二つの異
「時間」と「場所」が記録(情報)
なった側面から構成されます。
として把握されていること (1) 最終生産物と出荷先の証明。
として把握されていること。
何を、何時、誰にどれだけ受け渡したか。
(収穫記録、出荷票、荷受票)
(2) 生産段階で使用された投入物の証明。
(種子、肥料、農薬、包装材)の証明。
何時、誰から受け取ったものを、どのよ
うに分割し ど ように結合したか
うに分割し、どのように結合したか。
(施肥記録、農薬散布記録、梱包記録など)
生産段階のトレーサビリティ
圃場
出荷記録
選別・包装・出荷
事業所C
a1
A
A
種苗、農薬
肥料など
B
購入情報
荷受伝票
a2
C1
C1
b1
C2
C2
B
b2
処理情報
販売情報
日本のGAP基準事情
行政の取り組み
農林水産省・消費安全局
2004年「生鮮農産物安全性確保対策事業」を開始
2005年「食品安全のためのGAP策定 普及マニ アル」を公表
2005年「食品安全のためのGAP策定・普及マニュアル」を公表
2006年「入門GAP」を公表、農業団体の自主的に取り組むことを促進
農林水産省・生産局
2005年「農業生産活動規範事業」を開始 「農業環境規範ガイドライン」作成
2005年「農業生産活動規範事業」を開始、「農業環境規範ガイドライン」作成
2007年「農業生産工程管理手法」GAPの本格普及推進を開始、
「基礎GAP」作成、全国約2000モデル地区指定
小売企業の取り組み
日本生活協同組合連合会
2005年3月 青果物品質保証システム」生協の産直における適正農業規範発表
2005年3月「青果物品質保証システム」生協の産直における適正農業規範発表
2006年から、産地と生協で実証実験
イオン
年
GREEN EYE Good Agricultural
g
Practice」
2002年「TOPVALU
2005年「第2版」に改定
「AEON Produce Suppliers Standards」「AEON Good Distribution Practice」
2006年「EUREPGAPに小売企業として加盟
2007年「GLOBALGAP基準による生産者の農場認証実施」
⑤
GLOBALG.A.Pとの出会いと同等性認証
片山りんご園(弘前市)経営支援から
りんご価格下落・低迷、農業経営不振、後継者不
りんご価格下落・低迷
農業経営不振 後継者不
足
・1999年
1999年 EWT訪問 英国に栽培履歴書付きリンゴ
を
輸出 販売先(販売店)は、M&Sと、
SAFEWAY
・2001年 AGICの生鮮農産物履歴DB(Web)を活用
・2002年 EWT社より2005年までにEUREPGAP取得
を要求される。
・2003年 EUREPGAP認証審査不合格
EU各国を回 てEUREPGAP 実態を学ぶ
EU各国を回ってEUREPGAPの実態を学ぶ
・2004年 EUREPGAP認証審査合格(日本初)
野菜生産者でも認証取得(JGAPの開発開始)
EWT再々訪問 欧州各国GAP実践地域訪問
・2005年 フルーツロジスティカ(ベルリンメッ
セ)に
出展(Eur pGAP農場として多様な商談)
⑥
JGAPがEUREPGAPの同等性認証を取得
JGAPの国際標準化
JGAP
国際標準化
2007年8月10日
The Chairman of JGAI,
y
Mr. Hisanobu Katayama
パリ国際会議でJGAP紹介2005年
国際会議 J
紹介
年 同等性認証
同等性認証に向け合意2006年
向け合意
年
Secretary EurepGAP,
Dr. Kristian Moeller
中国GAPとの交流
2005年5月
2006年1月
2006年4月
2006年5月
EurepGAPベンチマークに関する覚書
ChinaGAP国内発表
EurepGAPベンチマーク申請
EurepGAP
ンチ
ク申請
第三者認証開始
所有機関(CNCA)認定機関(CNAS)認証機関(CCIC CQC BAC AQSIQ OFDC)
導 推進機関(国務院 農業部 商務部)
導入推進機関(国務院
民間の導入指導機関(SINOFUDA)が導入コンサルティング
JapanGAP、ChinaGAP
(2006年1月10日
月18日)
)
情報交換会
2006年10
日本GAP協会
中国国家認証認可
監督管理委員会
⑦
GAPの世界標準化
国際的な安全水準を満たしていることを国際社会に証明
JGAPのCPCC(管理点と適合基準)による審査で、
JGAP認証並びにEUREPGAP認証を受け取ることができる。
①国内消費者・食品販売企業への信頼確保
②農産物の輸出に当たって強力な安全証明
③輸入農産物に対する国産品の対抗要件として力を発
揮
日本農業の再生(2007農政:GAPの本格普及)
農産物の安全性確保
農
物 安 性確保
持続的農業生産システム確立
⑧
GAP普及センターによるグループ学習
○GAP委員会による集合研修
効果的な学習、導入経費の削減
導入後の継続実施の実現
○営農指導員による説明会を開催
○10 20農場(人)程度でグル プを結成、
○10~20農場(人)程度でグループを結成
その中の1~2農場をモデルとして、
GAP導入指導(演習とトレーニング)を行う。
○参加者は研修で体験するリスク検討項目
を、それぞれ自分の農場に置き換えて実感
することでGAPを身に付けます。
実施内容
1 GAPと品質管理の基本を学ぶ
2 リスク検討の実際を体験する
3 現状の問題点を明らかにする
4 問題改善の項目と方法を決める
問 改善
目
法
5 品質管理手順の継続的な実施
⑨
農産物取引の構造変化
小売・外食ビジネスの大変革
これまでの農産物商流モデル
これまでの農産物商流
デル
生 産 者
出荷団体
卸売市場
荷受会社
買参
人
仲卸会
社
集荷業者
一般小売店
量販店・生
協
食品加工
外食・中食
JAの売り先は市場任せ(委託販売)
出荷時には単価未定。せりにおいて単価確定
精算は後付け、市場が代金支払
算
仲卸業者は、必要に応じ市場にて調達
経済主体の垂直的なコーディネーションが急速進
各主体による流通(調達・販売)チャネル管理
経営成果を大きく規定する。
卸売市場法[・食糧法]の改正
卸売市場法[
食糧法]の改正
市場内に現物を搬入せずに卸売ができる。
委託販売ではなく生産者からの買付集荷ができる
買受人ではない第三者と直接取引ができる。
平成21年4月から卸売手数料自由化
食品安全への関心の高まり
農薬取締法の改正・食品衛生法の改正・JAS法改正
小売店ビジネスの変革により相対取引にシフト
GAPの本格的普及・食品トレーサビリティ法
しかし、JAは旧市場システムを活用(帳合など)
、J
市
活 (帳合
)
有機農産物 特別栽培農産物等の改定
有機農産物、特別栽培農産物等の改定
産地の販売力をつけ、流通コストを圧縮させる「新たなスキーム」へ
の移行
一般小売店
消費地コーディネー
消費地コ
ディネ
ター
(卸売会社)
産地開発型MD支援
量販店 生協
量販店・生協
費
輸入業者
卸 売 市 場
荷受会社・仲卸会社
小売側が産地指定で調達
指
調
(品質と数量と時間)
消
海外産地
産地コーディネー
ター
JA営農部
生産者団体
集出荷業者
安全で安心できる農産物の安定供給
農
供給
者
生 産 者
小売側の要求に応じた
計画的な作付け・出荷
食品加工
外食・中食
単価は契約時か出荷時に確定
G
GAP・GMPに基づくリスク管理、差別化した生産・販売計画で販路開拓
拓
⑩
農薬に関する法規制
改正前
生産
現場
農薬取締法
(農林水産省)農薬取扱に関する規定
改正後
使用者にも適用・罰則強化
使用者
も適用 罰則強化
出荷停止・回収、罰則
農薬の製造・販売者が対象
農薬
製造 販売者が対象
販売
時点
食品衛生法
(厚生労働省)食品安全に関する規定
残留基準の設定がないものは
流通規制なし
残留基準の設定があるものは
基準を超えたら販売禁止
農薬登録保留基準
(環境省)環境負荷に基づく告示
作物残留、土壌残留
水質汚濁、水産動植物
国内産の農作物のみに適用
残留農薬ポジティブリスト制
全ての農薬に残留基準を
設定
残留基準を超えて
農薬が残留する食品は
食品衛生法違反
出荷停止、
出荷済み商品の回収
行政罰の可能性
⑪
多様な販売チャネルへの対応
産地 消費地 直結型
産地・消費地
農産物流通モデル
実需者・小売 外食
販売先との契
約
栽培基準
リスク管理
商品検査
商 品 開発
作付け
プロデュースデータ
サポート 管理
作付計 画
生産者
産地コーディネーターの機能
GAPの実施と管理
発注
与信管理
受注
商談
輸送
販促支援
売場管理
商 品企画
*小売店向けサポート例
産地配置企画
52週企画
支払
配送
代金回収
リテール
サポート
消費地コーディネーターの機能
⑫
食品の安全性確保とトレーサビリティ適正農業規範(GAP)・適正製造規範(GMP)・適正流通規範
適正農業規範(GAP)
適正製造規範(GMP) 適正流通規範
(GDP)
安心担保のための流通経路履歴
消
生産者
小売
輸送・卸売(加工)会社
外食・中食等
トレーサビリティ
生産者
GAP
卸売(加工)業
GMP
輸送会社
販売店
GRP
GDP
費
生産履歴
栽培・飼育・農薬
飼料・添加物 等
保管・取扱履歴
(HACCP)検品結果
ライン・倉庫データ
輸送履歴
陳列履歴
輸送温度
保管温度 等
安全確保のための安全確認履歴
陳列日時
温度管理 等
GAP普及の課題
1 JGAPを初めとする日本のGAP基準は、青果物と穀物だけである。
GLOBALGAPやCHINAGAPのように、牛、豚、鶏、酪農などの畜産、飼料作物、
お茶、花卉などの鑑賞植物などのGAP基準を作らなければならない。
2 上記の基準を作成する場合の国際標準化をどのように推進するか。
記の基準を作成する場合の国際標準化を のよう 推進する 。
商業世界のIFA(統一農場保証)と、農業振興としての持続的農業生産システ
ムの確立について、行政との関係性を明らかにし、実効性のある活動をしなけ
ればならない。
ればならない
3 農業団体の組織力が低下して、産地を統率する力量がなくなっている。
特に 高齢化 零細化 兼業化が進んでいる地域に対して 産地全体として管
特に、高齢化、零細化、兼業化が進んでいる地域に対して、産地全体として管
理できる農産物品質管理方式を構築しなければならない。
4 低コストでできる第三者認証の仕組みが必要である。
低 ストでできる第三者認証の仕組みが必要である
5 ますます増加する輸入農産物に対するGAP基準の要求を進めていかなければ
ならない。
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