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平成21年度版
ISSN 1882-0158
静岡市環境保健研究所年報
第25号
平成21年度版
Annual Report of Shizuoka City Institute of Environmental Sciences
and Public Health
No.25.
2009
静岡市環境保健研究所
Shizuoka City Institute of Environmental Sciences and Public Health
はじめに
静岡市環境保健研究所は、昭和 46 年 6 月、衛生試験所として発足し、今年で 39 年
目を迎えました。
この間に、行政部門からの環境大気・水質に係る依頼検査の一部民間委託や市民、
食品関係営業者等からの一般依頼検査の受付廃止など業務内容の見直しを行うととも
に、分析機器等の整備を計画的に推進してまいりました。
平成 19 年度から組織機構は、環境科学担当、生活科学担当及び微生物学担当の 3 担
当制となっておりますが、職員一同、市民の安全・安心な暮らしが確保できるよう環
境保全及び保健衛生に関する試験検査、調査研究や公衆衛生情報等の収集・提供など
に積極的に取り組んでいます。
環境科学担当では、環境大気中の有害大気汚染物質検査、公共用水域や事業場排水
等の水質検査等、生活科学担当では、食品中の食品添加物、残留農薬に係る試験検査、
家庭用品試験等、微生物学担当では、細菌やウイルスを対象にした検査、食品衛生検
査等を実施しています。
平成 21 年度を振り返りますと、新型インフルエンザが猛威を振るい、保健所のみな
らず市全体としての健康危機管理体制の構築や新型インフルエンザの対応に追われた
年であったと思います。
今後は、この経験を踏まえて、新興・再興感染症や食中毒等の健康被害の発生に備
えた対策及び発生時の迅速かつ的確な対応など健康危機管理体制をより一層充実させ、
市民の健康維持のために貢献していきたいと考えています。
また、研究所としての機能強化や人材育成など大きな課題がありますが、今後も、
産学官の研究検査機関等との交流・情報交換、共同研究などを積極的に推進するとと
もに、市民学習の場と機会を提供する開かれた環境保健研究所の建設に向けて取り組
んでいきたいと考えています。
ここに、静岡市環境保健研究所年報第 25 号平成 21 年度版を発刊することになりま
した。ご高覧いただき、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
平成 22 年 12 月
静岡市環境保健研究所
所長
平
尾
好
伸
目
Ⅰ
概
1
2
3
4
5
次
要
沿
革 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
施
設 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
組
織 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
主要備品の保有状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
歳入歳出決算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
2
3
4
6
試験検査実施状況
1 微生物検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 食品化学試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3 家庭用品試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4 医薬品試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5 環境水質試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6 環境大気試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
9
10
10
11
12
Ⅱ
Ⅲ
事業内容
1 微生物検査業務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)臨床微生物検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)食品衛生検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3)環境衛生検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)調査研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 理化学試験業務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)食品化学試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)家庭用品試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3)医薬品試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)環境水質試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(5)環境大気試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ⅳ
調査研究
性器クラミジアに対する抗原、抗体及び遺伝子検査の比較
・・・・・・
静岡市内のビブリオ属の検出状況について
・・・・・・・
管内で発生した黄色ブドウ球菌による食中毒事例について ・・・・・・・
医薬品成分を含む健康食品検査事例について
・・・・・・・
魚介類中の水銀及び金属類の含有調査について(第5報)
・・・・・・
市販ミネラルウォーター中のVOC及びTOC濃度について
・・・・・
河川水質実態調査(PFOS、PFOAの分析方法について) ・・・・・
4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)等の分析方法の検討について ・・
1
2
3
4
5
6
7
8
14
14
20
24
25
27
28
31
31
32
33
38
41
44
46
48
51
53
55
Ⅴ
資
1
2
3
4
5
6
7
料
精度管理調査実施状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
技術講演会開催状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
共同研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
学会・研究会等への発表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
定例発表会の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
講座の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
学会・研修会・会議等への参加 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
60
60
61
61
61
62
63
Ⅰ
概
要
1
1
沿
革
昭和46年6月
中央保健所検査室に南保健所検査室の理化学部門を統合し、公害試験を含め所長、
主査、職員8名の定員10名で衛生試験所が発足。
昭和60年4月
機構改革により中央保健所から分離し、衛生部直轄の独立機関として、市内小黒一
丁目の新庁舎に移転。庶務担当の事務職員2名を増員、定員22名となる。
平成元年
4月
地下水汚染の検査体制強化のため定数内で編成替えを行う。
・臨床細菌検査係
・理化学試験係
平成
5年4月
10名(内2名庶務担当)
11名
機構改革により係制を廃し担当制となる。
・所長以下22名衛生検査担当。
平成
6年4月
水道法等関係法令の改正に伴い2名を増員。所長以下24名となる。
平成
8年4月
機構改革により保健衛生部に名称変更。
平成
9年4月
機構改革により保健福祉部となり福祉行政と衛生行政が一本化される。
食品衛生法による食品衛生検査施設としての業務管理運営基準(GLP)実施。
平成10年4月
定数削減計画により1名減。所長以下23名となる。
平成13年4月
定数削減計画により1名減。所長以下22名となる。
平成15年4月
旧静岡市・清水市が合併し静岡市となる。
平成16年4月
行政改革により2名減。所長以下20名となる。
平成17年4月
静岡市が政令指定都市となる。
機構改革により保健福祉局保健衛生部衛生研究所に名称変更。定数見直しにより所
長以下19名となる。
平成19年4月
2
施
機構改革により環境局環境創造部環境保健研究所に名称変更。3担当制となる。
設
(1) 所 在 地
静岡市駿河区小黒一丁目4番7号
(2) 敷地面積
1,950.48m2
(3) 建
本
物
延1,066.17m 2
館
鉄筋コンクリート2階建(一部3階)
一
階
理化学関係試験室
507.24m 2
二
階
事務所、臨床細菌関係検査室
499.24m 2
三
階
機械室、電気室
付帯施設
190.95m
59.69m 2
2
・ボンベ保管庫(A:8.66m2 、B:5.86m2 、C(*):5.33m2 )
・薬品倉庫:15.87m 2
・器材倉庫:27.00m 2
・危険物倉庫:11.48m2 ・自転車
置場:10.40m 2 ・車庫:81.38m 2 ・倉庫:24.97m2
(4) 建設工事費
(*)平成4年度増設
185,000千円
(工事費内訳)
本体工事
95,500千円
電気工事 35,000千円
衛生工事
12,700千円
雑 工 事
空調工事
35,500千円
6,300千円
(財源内訳)
一般財源
74,000千円
市債
111,000千円
(5) 建設工事過程
鉄筋コンクリート二階建
延 1,046.10m2
昭和39年8月
旧南保健所完成
昭和59年8月
衛生試験所庁舎建設(中央保健所地下の試験所が狭隘となったため、新しい衛
生試験所庁舎として、第5次総合計画に基づき旧南保健所の施設を全面改築し
た。)
2
3
組
織
(1)環境保健研究所組織図
平成22年4月1日現在
参与兼所長(1)
環境科学担当
統括主幹(1)、庶務(1)、水質試験(2)、大気試験(2)
生活科学担当
参事兼統括主幹(1)、食品・家庭用品・医薬品試験(5)
微生物学担当
統括主幹(1)、細菌検査(3)、ウイルス検査(2)
(2)職員配置
平成22年4月1日現在
担当
職名
職員数
参与兼所長
1
職種による内訳
事務
獣医
薬剤
1
統括主幹
環境科学
主査
1
6
1
薬剤師
生活科学
4
参事兼統括主幹
1
副主幹
1
主任薬剤師
6
1
獣医師
1
薬剤師
2
統括主幹
微生物学
主任獣医師
1
6
1
獣医師
計
化学
4
19
3
1
7
8
3
4
主要備品の保有状況
平成22年3月31日現在
年度
機械装置名
メーカー・型式
53
赤外分光光度計
日本分光工業
72-3
59
クリーンベンチ
日本医科器械
VH-1300-BH-HA
ドラフトチャンバー
ダルトン
DSC-U8K
ダルトン
DSO-8K
(環)
×2台
2
自動雨水採水器
小笠原計器
3
蛍光顕微鏡
オリンパス
5
スパイラルシステム
スパイラルプレーティングインストルメント
超音波洗浄装置
国際電気エルテック
ドラフトチャンバー排ガス洗浄装置
ヤマト科学
SYS-B60S
ヤマト科学
FHP-180SAZ
ヤマト科学
FHS-180SAZ
6
ドラフトチャンバー
US-300型
BH2-RFC
2槽式
水銀測定装置
日本インスツルメント
7
原子吸光光度計
バリアン
8
ガスクロマトグラフ
島津製作所
超音波洗浄装置
スズキ(洗浄槽付き)
自動分注希釈装置
富士レビオ
重油中硫黄分測定装置
堀場製作所
SLFA-1800H
デジタル分光光度計
島津製作所
CL-770
器具洗浄水洗機
三洋電機
パルスフィールド電気泳動装置
日本バイオラッド
安全キャビネット
日本医化器械製作所
デジタル分光光度計
日立製作所
U-2001
プレハブ冷凍庫
日立製作所
19T-1010L
遠心沈澱機
コクサン
位相差顕微鏡
ニコン
DNAシーケンサー
パーキンエルマー
超遠心機
日立工機
倒立位相差顕微鏡
オリンパス
CO 2 インキュベーター
タバイエスペック
超低温フリーザー
サンヨー
電気泳動写真撮影処理
日本バイオラッド
超純水製造装置
日本ミリポア
EQB-5Lシステム
GPC前処理装置
フォス・ジャパン
AP-1000
プレハブ式冷蔵庫
日立製作所
RH2010
水銀測定装置
日本インスツルメント
ガスクロマトグラフ質量分析計
バリアン
冷却高速遠心機
コクサン
液体クロマトグラフ質量分析計
ウォーターズ
雨水自動測定記録計
紀本
9
10
11
12
13
備考
(環)
マーキュリーRA-2
SpectrAA-800
GC-14BP
FASTEC
(環)
(環)
501.504
MJW-8010
CHEF―DR3
(環)
(環)
(環)
VH-1300-BH-ⅡB
H-9R
E6F-PH-21
ABI PRISM310-10
himac
CP80β
IX70-22PH
BNA-121D
MDF-U481AT
(厚)
Insta DocⅡ + FDイメージCAP
(厚)
マーキュリーWA-3
Saturn2000
(環)
H2000B
LC/ZQ2000MS
AR-107SNA
4
(環)
15
自記分光光度計
島津製作所
ICP発光分光分析装置
バリアン
VISTA-PRO
水素化合物発生装置
バリアン
VGA-77P
ガスクロマトグラフ
島津製作所
ガスクロマトグラフ
アジレントテクノロジー
ガスクロマトグラフ(悪臭用)
島津製作所
GC-2010AF(FID、FTD)
(環)
ガスクロマトグラフ(悪臭用)
島津製作所
GC-14BPFFp(FID、FPD)
(環)
定量遺伝子増幅装置
ABI
遺伝子増幅装置
モリテックス
高速液体クロマトグラフ用検出器
島津製作所
マイクロウェーブ試料前処理装置
パーキンエルマー
崩壊試験器
富山産業
NT-20HS
溶出試験器
富山産業
NTR-6100A
過酸化水素計
セントラル科学
スーパーオリテクター モデル5
18
超低温フリーザー
日本フリーザー
CLN-35C
19
有害大気汚染物質測定装置
アジレントテクノロジー
16
17
ガスクロマトグラフ質量分析計
(GC/MS/MS)
液体クロマトグラフ質量分析計
(LC/MS/MS)
20
21
UV-2550
軸方向
(環)
GC-17A(FPD,FID)
6890N(ECD,NPD)
Prism7000
Sequence
Detection
System
RT-160C
(厚)
(厚)
SPD-M10Avp
Multiwave3000
5975C
エンテック
7100A
バリアン
300-MS
アプライドバイオシステムズ
GC-MSD
API-4000
ガスクロマトグラフ(FPD、ECD付)
アジレントテクノロジー
7890GC(FPDμECD)
ガスクロマトグラフ(FID、ECD付)
アジレントテクノロジー
7890GC(FIDμECD)
パージ&トラップ ガスクロマトグラフ質
島津製作所
量分析計
AQUA
高速液体クロマトグラフ
島津製作所
LC-20A
全有機体炭素計
島津製作所
TOC-V
有害大気キャニスター洗浄装置
エンテック
顕微鏡用画像装置
オリンパス
自動核酸抽出装置
キアゲン
自動電気泳動装置
島津製作所
病原体解析システム
日本バイオラッド
溶出試験用オートサンプラ
富山産業
器具洗浄水洗機
ミーレ・ジャパン
超低温フリーザー
三洋電機
イオンクロマトグラフ
日本ウォーターズ
遺伝子増幅装置
バイオラッドラボラトリーズ
FPD質量分析装置付ガスクロマトグラフ
アジレントテクノロジー
CO 2 ガス濃度測定装置
ヴァイサラ
固相抽出装置
ジーエルサイエンス
アクアローダーⅡ
蛍光X線分析装置
堀場製作所
XGT-5000WRシステム
高速液体クロマトグラフ
日本ウォーターズ
超純水製造装置
日本ミリポア
GCMS
PT
QP2010Plus
5000J
Entech
Plus
CPH
3100A
DP71-SET
QIAcube
9001292
MultiNA
MCE-202
(厚)
電気泳動バンドパターン解析ソフトウェア
オートサンプラW
PAS-615
G7883LAB
MDF-U53V
(厚)
Alliance 2695
DNAエンジンTetrad2
(厚)
7890AGC(FPD、MSD)
GMP343
Alliance 2695カルバメート分析システム
Milli-Q Integral 10
国庫補助金交付機器
5
SPL698
(環):環境省
(厚):厚生労働省
5
平成21年度歳入、歳出決算額
(1) 歳入
(単位
予
算
科
目
予算現額
15款 使用料及び手数料
1項 使用料
3目 衛生使用料
5節 環境保健研究所使用料
一般土地使用料
合
計
額
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
調定額
円)
収入済額
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
3,000
(2) 歳出
(単位
予
算
科
目
4款 衛生費
1項 保健衛生費
5目 環境保健研究所費
8節 報償費
9節 旅費
11節 需用費
消耗品費
食糧費
印刷製本費
光熱水費
(物)修繕料
(維)修繕料
医薬材料費
12節 役務費
13節 委託料
14節 使用料及び賃借料
18節 備品購入費
19節 負担金、補助及び交付金
合
計
額
円)
予算現額
支出済額
不用額
120,648,000
120,648,000
120,648,000
260,000
1,211,000
49,763,000
847,000
9,000
160,000
7,425,000
230,000
3,449,000
37,643,000
183,000
9,953,400
224,000
58,643,600
410,000
120,648,000
110,694,948
110,694,948
110,694,948
178,880
1,037,600
48,858,675
832,849
0
156,450
6,604,568
229,950
3,409,665
37,625,193
133,860
9,665,141
208,832
50,253,410
358,550
110,694,948
9,953,052
9,953,052
9,953,052
81,120
173,400
904,325
14,151
9,000
3,550
820,432
50
39,335
17,807
49,140
288,259
15,168
8,390,190
51,450
9,953,052
6
Ⅱ
試 験 検 査 実 施 状 況
7
1 微生物検査
検
査 区
分
検
体
数
項
目 数
臨床微生物検査
感染症定点検査
258
3,223
感染症細菌検査
101
101
感染症ウイルス検査
596
4,160
食中毒原因菌検査
132
1,930
食中毒原因ウイルス検査
172
564
0
0
HIV検査
580
583
梅毒検査
464
468
B型肝炎ウイルス
476
476
C型肝炎ウイルス
476
477
クラミジア(性感染症)
105
105
結核(クォンティフェロン)検査
267
300
その他の微生物検査
101
177
0
0
食品収去検査
502
1,262
器具等洗い出し・ふきとり検査
133
399
食中毒検査(食品・ふきとり等)
70
364
苦情検査(食品・ふきとり等)
1
3
その他(飲料水等)
0
0
公衆浴場水細菌検査
509
509
プール水細菌検査
146
237
おしぼり細菌検査
27
111
河川水細菌検査
0
0
環境水細菌検査
0
0
飲料水細菌検査
0
0
工場排水細菌検査
0
0
その他
15
15
5,131
15,466
結核(喀痰)検査
その他(寄生虫等)
食品衛生検査
環境衛生検査
合
計
8
2 食品化学試験
乳
適
7
魚
介
類
16
魚
介
類
加
工
品
蜂
蜜
45
7
卵
7
食
肉
類
肉
類
加
工
品
乳
製
品
乳
類
加
工
品
冷
類
穀
類
加
工
品
10
12
2
3
5
11
菓
野
菜
・
果
実
等
茶
80
野
菜
類
加
工
品
菓
子
類
29
清
涼
飲
料
水
酒
精
飲
料
5
4
冷
凍
食
品
そ
の
他
の
食
品
容
器
包
装
苦
情
食
品
等
そ
の
他
2
22
計
267
行政依頼
基準超過
計(件数)
保
1
7
存
16
45
料
33
酸 化 防 止 剤
10
漂
食
品 発
添
加 甘
物
着
防
7
7
10
12
2
3
12
2
6
5
11
80
29
26
3
22
4
268
83
16
剤
色
剤
5
味
料
13
5
10
色
料
14
3
7
び
4
6
白
か
5
1
5
15
4
24
12
17
剤
28
1
25 ( 1 )
40
プロピレングリコール
40
11
11
比
重
5
5
酸
度
5
5
分
5
5
成 無 脂 乳 固 形 分
分
残 留 農 薬
規
格 P
C
B
5
5
乳
脂
肪
260 215
10,136
10,611
5
5
動 物 用 医 薬 品 68 368 170
無機 化 合 物( 金属 類 )
7 238 300
1,151
5
15
20
有機 化 合 物( 金属 類 )
0
窒 素 化 合 物
食
品 ビ タ ミ ン
成
不揮発性アミン
分
0
そ
の
0
2
他
0
医 薬 品 成 分
そ
の 蒸 発 残 留 物
他
そ
の
他
計(項目数)
2
76
76
0
3
88 643 460
7 238 300
24
2
12
8
11 10,176
0
58
0
15
8
0
0
0
3
3
79 12,132 ( 1 )
( )内 基準超過分
調査研究・検討(件数)
2
64
10
9
7
10
82
9
4
1
8
3
200
3 家庭用品試験
繊 ー
お
し
お
め
し
カ
め
バ
適
4
4
維
中
外
製 よ
だ
れ
掛
け
下
手
く
着
衣
衣
袋
下
7
28
13
23
6
17
つ
品
家庭用化学製品
た 帽 寝 寝
び 子 衣 具
1
9
11
家
庭
用
毛
糸
7
住
宅
用
洗
浄
剤
家
庭
用
洗
浄
剤
計
130
行政 依頼
基 準超 過
0
乳 幼 児 用 製 品
ホルム ア
ルデヒ ド
4
4
7
13
13
23
4
8
9
6
7
98
(基 準超過 件数 )
上 記 以 外 の 物
0
15
2
9
1
5
32
(基 準超過 件数 )
0
漏水試 験
0
落下試 験
0
容 器
塩 酸 ・ 硫 酸
0
K O H ・ N a O H
0
デ ィ ル ド リ ン
0
項 目 数 計
130
4 医薬品試験
件数
試
験
項
目
一 般 用 医薬 品
医 療 用医 薬 品
その 他
計
0
3
0
3
性状
0
3
0
3
確認試験
0
3
0
3
純度試験
0
3
0
3
製剤 均 一性
0
3
0
3
溶出試験
0
3
0
3
定 量
0
3
0
3
崩壊試験
0
0
0
0
そ の 他
計
0
0
0
0
0
18
0
18
10
5 環境水質試験
行政依頼
公
13
13
13
47
47
47
共
項目名 検体名
用
水
取扱件数
pH
DO
BOD
COD
SS
n - ヘキサン抽出物
全窒素
全燐
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
塩素イオン
有機物等(KMnO 4消費量)
硬度
カドミウム
全シアン
鉛
六価クロム
砒素
総水銀
アルキル水銀
セレン
銅
亜鉛
クロム
鉄
マンガン
ニッケル
ほう素
溶剤(基準項目)
溶剤(その他)
農薬(基準項目)
農薬(要監視項目)
農薬(その他)
生物指標
色度
濁度
TOC
陽イオン
陰イオン
界面活性剤
透視度
化学物質
総トリハロメタン
検査項目の合計
有機溶剤(健康項目)
農薬(健康項目)
金属(健康項目)
有機溶剤(要監視項目)
農薬(要監視項目)
金属(要監視項目)
有機溶剤(その他)
その他
精
調査研究
浴
そ
場
土
壌
水
・
の
プ
ー
域
13
13
工
場
・
事
業
所
排
水
52
52
・
底
ル
375
375
他
34
23
質
4
河
そ
川
度
水
実
の
態
計
管
調
査
11
11
他
298
9
理
4
2
791
476
2
3
2
62
72
62
1
1
1
1
375
375
2
2
2
4
4
5
5
14
14
4
4
4
4
4
4
4
4
1
1
9
10
13
11
18
19
1
8
1
2
2
2
253
138
30
1
11
264
138
37
6
30
30
43
310
43
375
351
353
18
90
2,486
375
41
18
52
202
90
1,215
524
45
79
16
ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、cis-1,2-ジクロロエチレン、ベンゼン
1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、
チウラム、シマジン、チオベンカルブ
カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、アルキル水銀、セレン
クロロホルム、t-1,2-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン、p-ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、1,4-ジオキサン
イソキサチオン、ダイアジノン、フェニトロチオン、イソブロチオラン、オキシン銅、クロロタロニル、プロピザミド、EPN、ジクロルボス、
フェノブカルブ、イプロベンホス、クロルニトロフェン
ニッケル、モリブデン、アンチモン、全マンガン
ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、総トリハロメタン
残留塩素、沈殿物、蒸発残留物、陽イオン、陰イオン
11
6 大気環境試験
行政依頼
項目名 検体名
取扱件数
塩化ビニルモノマー
1,3-ブタジエン
ジクロロメタン
アクリロニトリル
クロロホルム
1,2-ジクロロエタン
ベンゼン
トリクロロエタン
テトラクロロエチレン
水銀及びその化合物
ヒ素及びその化合物
ニッケル化合物
マンガン及びその化合物
ベリリウム及びその化合物
クロム及びその化合物
ベンゾ[a]ピレン
ベンゾ[k]フルオランテン
ベンゾ[ghi]ペリレン
アセトアルデヒド
ホルムアルデヒド
浮遊粒子状物質
二酸化炭素濃度
pH
電気伝導度
塩化物イオン
硝酸イオン
硫酸イオン
ナトリウムイオン
アンモニウムイオン
カリウムイオン
カルシウムイオン
マグネシウムイオン
臭気指数
プロピオンアルデヒド
ノルマルブチルアルデヒド
イソブチルアルデヒド
ノルマルバレルアルデヒド
イソバレルアルデヒド
プロピオン酸
ノルマル酪酸
ノルマル吉草酸
イソ吉草酸
アンモニア
硫化水素
メチルメルカプタン
硫化メチル
二硫化メチル
検査項目の合計
有
検害
査大
気
120
120
120
120
120
120
120
120
120
120
120
87
87
87
87
87
87
悪
臭
検
査
23
調査研究
雨
水
調
査
52
そ
の
他
調
S
P
査
M
5
精
実環
態境
調大
査気
そ
の
他
度
9
87
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
管
理
87
87
120
120
5
9
52
52
52
52
52
52
52
52
52
52
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
23
1962
23
520
12
5
9
174
計
29
299
121
121
121
121
121
121
121
121
121
120
87
87
87
87
87
87
87
87
120
120
5
9
54
54
54
54
54
54
54
54
54
54
23
2722
Ⅲ
事
業
13
内
容
1 微生物検査業務
微生物検査業務は 6 名で担当し、保健所(保健予防課、生活衛生課、食品衛生課)を中心とした市役所各
課から依頼された、細菌またはウイルスを対象にした検査及び食品中のアレルギー物質の検出等微生物の検
査法を応用した検査を行った。その他、調査研究を行った。
平成 21 年度における検査区分別内訳を表1に、過去 6 年間の検体数及び検査項目の年度別推移を図 1 に示
した。前年度に比べ、臨床微生物検査は、新型インフルエンザの発生により、性感染症検査及びB型、C型
肝炎ウイルス検査などの検査が一時期中断し、検体数は減少したが、新型インフルエンザに係る検査により
項目数は倍増した。食品微生物に関する検体数と項目数は、収去計画に大きな変化はなかったが、食中毒原
因菌検査の依頼は、検体数、項目数ともに増加した。環境衛生検査は、検体数、項目数ともに大きな変化は
なかった。
表1 試験検査の区分別件数
試験区分
検体数
項目数
臨床微生物検査
3,728
12,564
食品衛生検査
706
2,028
環境衛生検査
697
872
検体数
系列1
項目数
系列2
18000
16000
14000
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
H16
H17
H18
H19
H20
H21
図1 行政依頼検体数・項目数の年次推移
(1)臨床微生物検査
保健所保健予防課から依頼のあった、臨床微生物関係の検体では感染症定点からの検体の他、食中毒、散
発性の腸管出血性大腸菌感染、海外旅行後の消化器系感染症、集団嘔吐下痢症原因調査、性感染症予防事業、
結核予防事業等に関する様々な検体を取扱った。
14
ア 感染症(性感染症を除く)・食中毒検査
感染症(性感染症を除く) ・食中毒からの主な分離菌株を表2に示した。
細菌性の感染症の内訳は表3のとおりで、腸管出血性大腸菌(EHEC)の散発が 8 件あった。内訳はO157 が 4
件、O145 が 2 件、O111、O121 がそれぞれ 1 件であり、件数としては例年よりやや少なかった。この内の 3
事例では、接触者からも検出された。他にはレジオネラ属菌が 1 件、海外旅行者等の赤痢菌、チフス菌、パ
ラチフス A 菌、コレラ菌の検査が合わせて 6 件あった。
ウイルス性の感染症としての検査依頼は、集団嘔吐下痢症事例が 29 件あり、内訳は保育園が 14 件、小学
校が 5 件、老人養護施設が 10 件で、検出されたウイルスは、ノロウイルスが 25 件、C 群ロタウイルスが 2
件で、原因物質不明は 2 件であった。ただしこの 2 件のうち 1 件の被験患者 6 人中 1 人からアデノウイルス 6
型が検出されたが、嘔吐下痢症との関係は不明であった。このほか集団感染事例としてはインフルエンザウ
イルスでない集団呼吸器感染事例が老人養護施設及び福祉施設でそれぞれ 1 件あり、検出されたウイルスは、
それぞれライノウイルスと RS ウイルスであった。散発事例では、麻疹検査依頼が 5 件あったが、麻疹ウイル
スの検出はなかった。なおインフルエンザウイルスの集団感染は、新型の大流行により、集団の範囲を定め
ることができないため、すべて散発例と同様に扱い、通知に基づき、全数把握として検査を開始し、次に集
団発生と思われるもののみの検査、更に重症例のみの検査に移行し、定点を除く件数は 378 件であった。こ
のうちNA遺伝子の解析が可能なものはすべて行い、新型インフルエンザウイルスでオセルタミビル耐性マ
ーカーを持つものは 6 検体(患者数は 5)あった。
食中毒等の細菌検査について表4に示した。原因物質が細菌性のものは、黄色ブドウ球菌が 1 件、カンピ
ロバクターが 2 件あった。黄色ブドウ球菌の事例は患者便などから 8 検体、保存食から 12 検体、従業員便 1
検体から黄色ブドウ球菌が検出され、食品由来株が患者由来株と毒素型、コアグラーゼ型が一致し、従業員
便由来株は患者由来株と毒素型は一致したがコアグラーゼ型は異なっていた。その他の検出された食中毒原
因菌は、ウイルスが原因物質であった事例で検出されたもの等で、原因物質とは考えられないものであった。
表2 感染症(性感染症を除く) ・食中毒からの主な分離菌株
表 2 感染 症 (性 感 染症 を 除 く) ・食 中 毒 から の 主 な分 離 菌 株 腸管出 血性大腸菌
E.coli
O157:H- VT1+2(3)、 O157:H7 VT2(2) 、
O111:H- VT1+2(1)、 O121:H19 VT2(2)、O 145: H- VT1(2)
赤痢菌
S.sonnei (2)
チ フス菌
S.Typhi (1)
パラチフス A菌
S.ParatyphiA (1)
レジオネラ 属菌
Legionella pneumophila SG6 (1)
サルモネ ラ
カンピ ロバクター
Salmonella Infantis (4) 、Salmonella Istanbul (1)
C.jejuni PennerC群 (2) 、Penner群別不能 (13)
毒素 A型コア グラーゼⅡ 型(20)、毒素 A型コ アグラーゼ Ⅳ型(4)
黄色ブドウ 球菌
S.aureus
毒素 A型コア グラーゼ型 別不能(1)、毒素B型コア グラーⅧ型(1)
ウェ ルシュ菌
エロモナス 属菌
C.perfringens エンテロト キシン陽性 (1)
A.hydorophila (1) A.caviae (1)
() 内数字は検出 数
15
表3 感染症細菌検査の内訳(性感染症を除く)
事例番号 検査依頼日
依頼項目
検体数 陽性数
9
7月21日
EHEC O157
5
10
8月3日
コレラ菌
6
11
8月10日
パラチフスA菌
2
1
12
8月12日
EHEC O157
4
1
検出菌
備考
S.sonnei
海外渡航者
Legionella pneumophila SG6
EHEC O111:H- VT1+2
EHEC O145:H- VT1
S .Typhi
海外渡航者
EHEC O157:H- VT1+2
家族から陽性1
EHEC O145:H- VT1
家族から陽性1
海外渡航者
EHEC O157:H7 VT2
海外渡航者
S .Paratyphi A
海外渡航者
EHEC O157:H- VT1+2
13
8月17日
EHEC O157
8
14
9月9日
EHEC O157
5
1
EHEC O157:H7 VT2
15
9月16日
EHEC O157
2
16
10月22日 EHEC O121
9
2
EHEC O121:H19 VT2
17
10月28日 パラチフスA菌
4
18
1月18日
EHEC O157
3
19
3月15日
赤痢菌
5
1
101
15
1
4月7日
赤痢菌
15
1
2
5月7日
レジオネラ属菌
1
1
3
6月12日
EHEC O111
2
1
4
6月19日
EHEC O145
3
1
5
6月19日
チフス菌
7
1
6
6月29日
EHEC O157
10
2
7
7月8日
EHEC O145
8
1
8
7月9日
EHEC O157
2
計
1
家族から陽性1
海外渡航者
海外渡航者
S.sonnei
海外渡航者
表4 食中毒等の細菌検査
検出数/
事 例 番 号 検査依頼日
検体数
糞便
内訳
ふきとり
食品
検出菌
その 他
依頼 項 目 数
1
6月 2日
1/3
2
6月 19日
4/21
2/12
2/8
1/3
Salmonella O4
3
0/1
C.jejuni (PennerC群):2、 A.hydrophila :1、 A.caviae :1
3
6月 30日
0/15
0/3
0/12
糞便・ふきとり:15、食品:3
4
7月 11日
1/1
1/1
5
8月 18日
0/1
0/1
6
8月 25日
21/37
9/13
7
8月 31日
0/2
0/2
8
9月 8日
0/1
0/1
9
9月 17日
13/21
13/21
10
9月 21日
0/3
0/3
15
11
9月 24日
0/1
0/1
15
12
10月 24日
0/1
0/1
15
13
11月 18日
0/4
0/4
14
12月 4日
0/5
0/1
15
12月 16日
0/12
0/12
15
16
12月 22日
0/12
0/12
12
17
12月 23日
0/2
0/2
18
12月 27日
3/21
3/21
19
12月 31日
0/2
0/2
20
1月 9日
1/14
1/14
21
2月 22日
1/5
1/5
22
3月 16日
0/1
0/1
ふきとり1検体:1、他:15
C.jejuni (PennerUT ※ )
15
15
0/10
12/14
S.aureus (SET A,コアグラーゼⅡ:20、SET A,コアグラーゼⅣ:1)
糞便等:15、ふきとり:3、食品:1
15
1
C.jejuni (PennerUT):12、 S.aureus (SET A,コアグラーゼⅣ):1
1
15
0/4
1
15
S.aureus (SET A,コアグラーゼⅣ:2、SET A,コアグラーゼUT:1)
15
15
S.aureus (SET B,コアグラーゼⅧ)
15
C.perfringens エンテロトキシン陽性
15
15
※ UT: 型 別 不 能
食中毒及び関連調査並びに有症苦情でウイルス検査を実施した事例は 20 件あり、ノロウイルス検出が 9 件
で、そのうち 8 件は 1 つの遺伝子型のみ検出され、1 件は 3 つの遺伝子型が検出された。残り 11 件はウイル
スが検出されなかったが、このうち 3 件は上記のとおり食中毒起因菌が検出されたものであった。表5に集
団発生事例のウイルス検査の状況を示した。
16
表5 集団発生事例のウイルス検査
表7 集団発生事例のウイルス検査
番 号 検 査 受 付 初 日 題 名 (診 断 名 )
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
発生地
患者数
被験者
数
検体の種類
便
吐物
咽頭拭
食品
ふきとり
人以外
陽性者
からの
数
検出
検出病原体
2009/4/28 嘔 吐 下 痢 症
小学校
10
2
2
3
1
0 RoVC
2009/6/1 嘔 吐 下 痢 症
小学校
23
9
9
5
7
0 RoVC
2009/6/26 嘔 吐 下 痢 症
養護施設
3
3
0
2009/6/20 疑 食 中 毒
飲食店
4
4
0
( C.jejuni )
2009/6/30 疑 食 中 毒
飲食店
2
2
0
2009/7/11 食 中 毒 関 連 調 査 東 京 都
1
1
0
( C.jejuni )
2009/8/13 呼 吸 器 感 染 症
老 人 ホーム
23
6
6
5
HRV
2009/8/18 食 中 毒 関 連 調 査 神 奈 川 県
1
1
0
2009/8/25 疑 食 中 毒
病院
13
12
1
0
( S.aureus )
2009/8/31 疑 食 中 毒
飲食店
2
2
0
2009/9/21 疑 食 中 毒
飲食店
3
3
0
2009/9/21 疑 食 中 毒
飲食店
1
1
0
2009/10/2 嘔 吐 下 痢 症
保育園
45
10
10
7
10
0 NoVGII/2
2009/10/7 嘔 吐 下 痢 症
小学校
19
5
5
5
4
0 NoVGII/2
2009/10/14 食 中 毒 関 連 調 査 熱 海 市
11
1
1
0
2009/10/22 嘔 吐 下 痢 症
保育園
6
6
5
1
0 AdV6
2009/10/27 嘔 吐 下 痢 症
保育園
5
5
5
5
0 NoVGII/2
2009/11/2 嘔 吐 下 痢 症
保育園
22
9
9
9
NoVGII/2・ GII/12
2009/11/5 嘔 吐 下 痢 症
保育園
27
8
8
3
7
0 NoVGII/2
2009/11/18 有 症 苦 情
宴会場
4
4
0
2009/12/16 疑 食 中 毒
飲食店
9
12
12
9
NoVGI/8
2009/12/21 嘔 吐 下 痢 症
保育園
24
9
9
3
8
0 NoVGII/3
2009/12/22 疑 食 中 毒
飲食店
37
19
19
16
NoVGII/2
2009/12/23 疑 食 中 毒
老 人 ホーム
21
21
16
9
0 NoVGII/4
2009/12/27 疑 食 中 毒
宿舎
36
26
26
11
NoVGII/2
2009/12/31 食 中 毒 関 連 調 査 大 阪 府
2
2
2
NoVGII/2
2010/1/6 嘔 吐 下 痢 症
養護施設
19
6
6
5
5
2 NoVGII/4
2010/1/6 食 中 毒 関 連 調 査 熱 海 市
12
1
1
1
NoVGII/6
2010/1/9 疑 食 中 毒
高等学校
23
50
50
8
22
0 NoVGII/4
2010/1/12 嘔 吐 下 痢 症
保育園
10
4
4
2
4
0 NoVGII/4
2010/1/12 嘔 吐 下 痢 症
保育園
15
6
6
2
4
0 NoVGII/4
2010/1/12 嘔 吐 下 痢 症
老 人 ホーム
30
6
6
3
3
2 NoVGII/4
2010/1/12 嘔 吐 下 痢 症
老 人 ホーム
14
10
10
4
9
0 NoVGII/4
2010/1/14 嘔 吐 下 痢 症
保育園
27
6
6
2
4
0 NoVGII/4・ GI/8
2010/1/14 嘔 吐 下 痢 症
保育園
33
6
5
1
3
5
0 NoVGII/4
2010/1/15 嘔 吐 下 痢 症
小学校
34
10
10
3
7
0 NoVGII/2
2010/1/15 嘔 吐 下 痢 症
小学校
21
8
8
2
7
0 NoVGII/2
2010/1/20 嘔 吐 下 痢 症
保育園
23
7
7
2
3
0 NoVGII/2・ GII/4
2010/1/20 嘔 吐 下 痢 症
保育園
25
7
7
3
7
0 NoVGII/4
2010/1/22 嘔 吐 下 痢 症
老 人 ホーム
72
10
10
3
10
1 NoVGII/4
2010/1/25 嘔 吐 下 痢 症
老 人 ホーム
31
9
9
3
8
1 NoVGII/4
2010/1/25 嘔 吐 下 痢 症
老 人 ホーム
21
6
6
3
6
1 NoVGII/4
2010/2/3 呼 吸 器 感 染 症
福祉施設
5
5
5
RSV
2010/2/9 嘔 吐 下 痢 症
老 人 ホーム
15
7
7
4
5
1 NoVGI/4
2010/2/9 嘔 吐 下 痢 症
老 人 ホーム
50
8
8
4
5
0 NoVGII/4
2010/2/22 疑 食 中 毒
飲食店
5
5
5
2
NoVGI/4・ GI/7・ GII/4
2010/2/24 嘔 吐 下 痢 症
老 人 ホーム
24
5
5
3
5
0 NoVGII/4
2010/2/24 嘔 吐 下 痢 症
保育園
19
9
9
3
8
0 NoVGII/2
2010/3/2 食 中 毒 関 連 調 査 福 岡 市
3
3
3
NoVGI/1
2010/3/5 嘔 吐 下 痢 症
保育園
15
7
7
3
4
NoVGII/4
2010/3/16 食 中 毒 関 連 調 査 東 京 都
1
1
0
RoVC: C群 ロ タ ウ イ ル ス HRV: ラ イ ノ ウ イ ル ス NoV: ノ ロ ウ イ ル ス AdV: ア デ ノ ウ イ ル ス RSV: RSウ イ ル ス
イ 結核(喀痰)検査
今年度は依頼がなかった。
ウ 結核(クォンティフェロン)検査
表6にクォンティフェロン検査状況を示した。57 の事例があり、前年度に比べ、事例数、検体数ともに増
加した。
17
表6 クォンティフェロン検査
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
検 査対象者
検査対 象者数
医 療従事者
26
家族
2
施設 職員
17
家族
1
同僚
1
ヘル パー
2
家族
3
家族
1
家族
1
デイサー ビス職員
11
友人
1
家族
1
家族
3
家族
2
家族
1
介護士
9
家族
1
学生
1
医師
1
家族
1
家族
家族
同僚
家族
介護士
家族
施設 職員
同居人
家族
ヘル パー
家族
家族
施設 職員
家族 、ヘルパ ー
家族
家族
家族
家族
医 療従事者
同 僚、友人
家族
施設 職員
家族
同 僚、友人
家族
家族
家族
家族 、施設職 員
家族
家族 、施設職 員
ヘル パー
家族
家族
家族
教師
医 療従事者
家族
合計
検体数
26
2
17
1
1
2
3
1
1
11
1
1
3
2
1
9
1
1
1
1
1
1
11
3
1
3
8
1
1
3
1
4
10
3
1
1
2
2
18
8
1
25
1
29
2
1
2
12
3
9
3
2
2
1
3
1
1
1
1
11
3
1
3
8
1
1
3
1
4
10
3
1
1
2
2
18
8
1
25
1
29
2
1
2
12
3
9
3
2
2
1
3
1
1
267
267
18
陽性 者 数 疑陽 性
1
1
3
1
1
1
5
2
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
9
19
陰性
24
2
14
1
1
1
1
1
1
6
1
1
3
2
1
9
1
1
1
1
1
1
11
3
1
3
6
1
1
3
1
4
9
3
1
1
2
0
17
8
1
24
1
27
1
1
2
12
3
8
3
1
2
0
2
0
1
239
エ 定点病原体ウイルス検査
表7に感染症定点病検体のウイルス検査状況を示した。
症状から原因の可能性のあるウイルスのうち検査可能なもの全てを対象として検査を行った。新型インフ
ルエンザの大流行により、診断名がインフルエンザの検体数が多く、その他の診断名の検体が通常より少な
かった。
インフルエンザは可能なものはすべてNA遺伝子の解析を行ったが、定点検体にはオセルタミビル耐性マ
ーカーをもつものはなかった。
表7 定点病原体ウイルス検査
診断名
検 体
検査件数
陽性検数
211
208
分離または検出されたウイルス
インフルエンザ
咽頭拭い液等
無菌性髄膜炎
髄液等
5
1
アデノ41(1)
感染性胃腸炎
便等
4
4
A群ロタAG3(2)、ノロGⅠ/8(1)、ノロGⅡ/4(1)、
ノロGⅡ/12(1)
3
2
パラインフルエンザ3(1)、ライノ(1)
1
1
ヒトメタニューモ(1)
上気道炎
インフルエンザA/H1pdm(208)
咽頭拭い液等
下気道炎
不明熱
便、髄液、
咽頭拭い液
16
3
コクサッキーA9(3)、エコー30(3)
発疹症
咽頭拭い液
1
1
ライノ(1)
その他
便、髄液、
咽頭拭い液等
17
3
ライノ(2)、アデノ5(1)、コクサッキーA10(1)
258
223
計
( )内数字は検出数
オ 性感染症及び肝炎ウイルス検査
表8に性感染症及び肝炎ウイルス検査の状況を示した。
新型インフルエンザの発生により、5月と6月の保健所でのHIV検査受付を停止し、再開後もあまり検
査件数が回復しなかったため検体数が著しく減少した。
クラミジア抗原検査は、この年度から男性の検査を取りやめ、女性のみを対象とし、検体は被験者自らが
性器から採取したものを用いた。
HIV抗体検査のイムノクロマト法が全血、そのほかは血清を検体として用いた。
HIV抗体検査は原則としてPA法で行うが、即日検査のときはイムノクロマト法で行い、この検査で陽
性となったときのみ、確認としてPA法を行うようにしているが、対象となる検体はなかった。
梅毒抗体検査は、PA法で陽性の場合、力価測定とRPR法での検査を行った。
クラミジア抗原検査とHBV抗原検査は、イムノクロマト法の結果のみで判定した。
HCV抗体検査は、PA法で陽性の場合、力価を測定した。
19
表8 性感染症及び肝炎ウイルス検査
検査項目
検体数
検査項目
PA (定 性 ) PA (力 価 測 定 )
HIV抗体
580
466
1
梅毒抗体
464
464
2
HBV抗原
476
HCV抗体
476
クラミジア抗原
105
RPR
陽性数
イムノクロマト
114
2
2
476
476
1
1
1
1
105
0
(2)食品衛生検査
保健所食品衛生課より食品衛生法に基づき検査依頼のあった、収去食品等の検査を実施した。
収去対象は管内業者の製造食品と、管内の販売食品で、収去と同時に採取した一部施設の拭き取り検体の
検査も行った。
検査は細菌学的項目のほか、アレルギー物質検査、遺伝子組み換え技術応用食品及び麻痺性と下痢性貝毒
検査を行った。
ア 規格基準等に基づく食品検査
表9に規格基準等に基づく収去食品検査の各項目に対する検体数と結果を示した。検体数は 182 検体で、
昨年度と同様であり、食肉製品で大腸菌群陽性の違反が 1 件あった。
表10に遺伝子組み換え技術応用食品の検査状況を示した。1 種類の食品で 1 項目のみ行った。
表11に食品中のアレルギー物質検査の状況を示した。ELISA 法は 2 種のキットを使用し、この検査で含有
していないとみなされる許容範囲を超えて検出されたもの、または許容範囲より低いがこれに近い値のもの
に対し、ウエスタンブロット法を行い、最終的に 2 検体が陽性と判定された。
表12に貝毒検査の状況を示した。
20
表9 収去食品検査(規格基準等)
検体名
魚
肉
練
り
製
品
牛
乳
・
加
工
乳
保
健
機
能
食
品
冷
凍
食
品
氷
菓
食
肉
製
品
清
涼
飲
料
水
生
食
用
魚
介
類
生
食
用
か
き
缶
詰
・
び
ん
詰
生
乳
食
鳥
肉
養
殖
魚
蜂
蜜
鶏
検体数
30
5
1
18
5
12
13
30
30
8
2
10
1
7
一般細菌数
25
5
18
5
大腸菌群
30
5
9
5
検査項目
計
卵
液
卵
7
3
182
3
86
30
1
13
63
E.coli
(MPN)
30
E.coli
9
不
適
検
体
数
1
30
11
20
黄色ブドウ球菌
(定量)
11
11
サルモネラ
11
クロストリジウム
1
黄色ブドウ球菌
(定性)
5
3
19
1
腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオ
(MPN)
2
30
24
56
O-157
乳酸菌
1
1
エンテロトキシン
恒温試験
8
8
細菌試験
8
8
抗生物質
項目数合計
55
10
1
38
10
不適項目数
35
13
30
84
16
2
10
1
7
7
2
10
1
7
12
27
6
330
1
1
表10 遺伝子組み換え技術応用食品検査
CP4EPSPSタンパク
食品名
大豆
検体数
3
検出 なし
検出 (許 容範囲 )
検 出(違反)
3
0
0
21
表11 食品中のアレルギー物質検査
ELISA
検
出
な
し
許
容
範
囲
内
許
容
範
囲
外
検
出
な
し
許
容
範
囲
内
許
容
範
囲
外
検
出
な
し
検
出
検
出
な
し
検
出
陽
性
検
体
数
5
13
2
6
12
2
0
2
0
2
2
卵複合抗原
食品名
パン
検体数
20
WB
卵精製抗原
卵白アルブミン オ ボ ム コ イ ド
表12 貝毒検査
検体
検体数
麻痺性貝毒
本ミル貝
1
検出せず
タイラ貝
1
殻付カキ
殻付ホタテ貝
検体
検体数
下痢性貝毒
ホッキ貝
1
検出せず
検出せず
タイラ貝
1
検出せず
1
検出せず
殻付カキ
1
検出せず
1
検出せず
殻付ホタテ貝
1
検出せず
イ 規格基準の無い食品検査
表13に規格基準の無い食品の細菌検査の実施状況を示した。計 289 検体の検査を実施した。
これらの検査は、保健所食品衛生課が市独自の衛生指標に基づき、衛生指導上特に必要な検査として実施
した。
検査の結果は、糞便系大腸菌群が調理パンの 1 検体、サルモネラおよびカンピロバクターがそれぞれ食肉
の 5 検体、黄色ブドウ球菌が集団給食・調理パンの 8 検体から検出された。黄色ブドウ球菌陽性の 1 検体か
らは毒素産生株が検出された。一般細菌数、大腸菌群数などの汚染指標菌では弁当、調理パン、生菓子、惣
菜などで汚染度が高かった。
ウ 苦情食品検査
行政依頼の苦情品の検査を 1 検体実施し、検査項目は一般細菌数、大腸菌群数、黄色ブドウ球菌であった。
カビ繁殖疑いの検体を 1 検体実施したが、確定には至らなかった。
22
表13 収去食品検査結果(規格基準なし)
検体名
15
8
7
8
4
6
2
6
24.6%
28.0%
18
42.9%
25.8%
22
72.0%
1
58
10~<104
7
5
5
104≦
8
86.7%
9
40.0%
10
3
100.0%
121
90.0%
2
66.7%
19
173
95.0%
100.0%
5
33.3%
4
10.0%
66.7%
3
289
153
1
6
29.4%
13
60.0%
陽
性
件
数
60.0%
7.1%
70.6%
5
41.7%
9
20
12
13.3%
1
12
58.3%
40.0%
64.3%
3.2%
90.8%
7.7%
(個 /g)
9
71.0%
1
59
100.0%
28.6%
20
計
)
15
(
14
)
31
57.1%
(
<10
)
25
1.4%
大
腸
菌
群
数
(
6
10 ≦
)
17
(
(個 /g)
14
73.9%
15.4%
)
10
(
6
)
300~<10
調
生
理
惣
麺
豆
食
菓
パ
菜
類
腐
肉
子
ン 率
率
率
率
率
率
(
51
84.6%
)
55
(
<300
69
)
一
般
細
菌
数
66
(
検体数
)
)
検査項目
お
集
に
団
弁
ぎ
給
当
り
食 率
率 等 率
(
(
学
校
給
食 率
1
33.3%
27
5.0%
1
1
1.5%
黄色ブドウ球菌
66
69
14
25
サルモネラ
カンピロバクター
1
糞便系大腸菌群
8
4
2
8
31
14
8
2
28
15
5
15
20
269
8
20
30
5
20
21
5
68
1
13
腸炎ビブリオ
0
O-157
6
6
O-26
6
6
62
879
検 査 実 施項 目 合 計
※
198
陽性件数(大腸菌群・一
般細菌数除く)
207
3
42
75
101
6
44
45
45
60
10
19
※ 内1件は毒素産生
エ 食品取り扱い施設の拭き取り検査
表14には食品取り扱い施設の拭き取り検査の結果を表した。
前項同様、保健所食品衛生課が衛生指導上特に必要な検査として行ったものである。
水道の蛇口コックや冷蔵庫扉の取手等で汚染度が高く、例年と同じ傾向であった。昼食弁当調理施設で黄
色ブドウ球菌の検出が 2 検体あり、1 検体から毒素産生株が検出された。また、食中毒及び苦情等で Aeromonus
hydorophila、Aeromonus caviae が1株ずつ検出された。
23
表14 食品施設拭き取り検査結果
施設名
検査項目
検体数
一
般
細
菌
数
61
32
20
48
30~<10 4
13
78.7%
21.3%
10 4≦
大
腸
数
集
団
給
食
施
設
<30
(個 /ml)
菌
群
学
校
給
食
施
設
昼
食
弁
当
調
理
施
設
15
11
6
<10
58
10~<10 4
3
95.1%
4.9%
25
7
46.9%
34.4%
18.8%
78.1%
21.9%
10 4≦
(個 /ml)
黄色ブドウ球菌
6
30.0%
10
4
50.0%
20.0%
8
40.0%
11
55.0%
1
61
32
5.0%
20
陽 性
毒素産生
食中毒起因菌等 ※1
惣
菜
屋
食
中
毒
及
び
苦
情
等
計
20
34
167
4
20.0%
11
5
30.0%
13
7
70.0%
10
100%
30
60
163
2
1
※2
96
97
2
2
1
183
45
34
5.0%
20
73
15
65.0%
(黄色ブドウ球菌を除く)
計
30.0%
25.0%
6
1
55.0%
3
60
23
23
73
472
※1 14項目実施
※2 4検体はO157のみ実施
(3)環境衛生検査
保健所生活衛生課より行政依頼のあった貸しおしぼり、浴槽水、プール水などの検査を行った。
ア 貸しおしぼり検査
貸しおしぼりは大半が飲食店等で利用されるが、5 月に市内業者を対象に行った。
表15のとおり、異臭、変色の有無、一般細菌数、大腸菌群、及び黄色ブドウ球菌の検査を行った。
その結果、メンソール臭のするものが 3 検体あった。また、おしぼりの一部分で変色を認めるものがあっ
た。細菌学的検査では、黄色ブドウ球菌や大腸菌群の検出はなかったが、一般細菌数で、基準の 1 枚あたり
105 個を超えるものが 3 検体あり、7 月に一般細菌数のみ再検査を行った。
24
表15 貸しおしぼり検査結果
検査 項 目
検査月
検 体数
5月
21
7月
6
大 腸 菌群 ( 定性 )
変色 の 有無
※
一般 細 菌数 (個 /枚 )
異 臭の 有 無
8
3
黄 色ブ ド ウ球 菌
陽性
%
< 3000
3000~ 10 5
10 5<
0
0
12
6
3
0
3
3
0
※ 検 査項 目の 内 、変 色 の有 無 及び 異 臭の 有 無は 複 数検 査 担当 に よる 官 能検 査 。数 値 は陽 性 数で ある 。
イ 浴槽水、プール水等検査
表16に環境衛生にかかわる浴槽水、プール水等の検査の状況を示した。
不特定多数の人が利用する公衆浴場の浴槽水、スイミングクラブ等のプール水は、レジオネラ属菌と大腸
菌群等の検査を行った。但し、屋外のプールについては、レジオネラ属菌の検査を実施しなかった。
浴槽水の大腸菌群検査の結果は、基準を超えた検体が 26 検体あった。
プール水の一般細菌数の結果は、基準を超えた検体が 4 検体あり、大腸菌陽性が 1 検体あり、昨年と比較
して特に変化がなかった。
レジオネラ属菌検査については、検査をした検体の 10.6%から検出され、検出された割合は昨年度より、
減少した。100CFU/100ml を超える検体の割合は昨年度と比較して減少し、全体の 2.1%であった。
また、抗酸菌患者に関連した公衆浴場施設の抗酸菌検査を 15 検体実施し、Mycobacterium fortuitum が 3
検体、Mycobacterium massiliense、Mycobacterium terrae および Mycobacterium nonchromogenicum が 1
検体から検出された。
(4)調査研究
今年度調査研究として、性器クラミジア検査のイムノクロマト法、PCR法及びELISA法を比較検討
した「性器クラミジアに対する抗原、抗体及び遺伝子検査の比較」、市内の海水、海泥、魚等のビブリオ属の
検出状況について調査した「静岡市内のビブリオ属の検出状況と検査法の比較について」を行い、厚生労働
科学研究(食の安心・安全確保推進研究事業)
「清涼飲料の口飲みおよび開封による微生物汚染に関する研究」
に研究協力者として参加した。
その他に動物園動物から検出された菌株の同定を行った。
25
表16 浴槽水・プール水等検査結果
表 15 浴槽 水 等 検 査 結 果
Legionella 属菌
検 査月
検体 種 別
大腸 菌群 等
Legionella pneumophila 血 清型 群 ※2
菌数 CFU/100ml
※1
検体 数
10未満
10~102
10 2 超
※3
1群
2群
3群
2
4
5月
浴 槽水
2
5
〃
〃
8
8
6
〃
〃
12
12
7
6月
〃
16
13
4群
2
5群 6群
1
7群 8群
9群 10群 11群 12群 13群 14群 15群 UT
大 腸菌 群
pneumophil
a 以 外の 検 体数
Legionella
1CFU/ml超
2
大腸 菌
一般 細菌 数
陽性
100CFU/ml 100CFU/ml
以下
超
0
8
12
1
2
1
※5
1
3
※6
3
1
8
〃
〃
12
9
9
〃
〃
14
12
10
〃
〃
14
14
11
〃
プー ル 水
8
8
12
7月
プー ル水 ・
浴 槽水
17
16
13
〃
〃
12
12
12
6
14
〃
プー ル 水
12
12
12
11
15
〃
プー ル水 ・
浴 槽水
13
13
13
5
16
〃
プー ル 水
1
1
17
〃
プー ル水 ・
浴 槽水
7
6
19
〃
プー ル 水
1
1
20
〃
プー ル水 ・
浴 槽水
10
9
21
〃
プー ル 水
0
22
9月
浴 槽水
5
5
23
〃
〃
7
4
※4
3
16
1
2
※7
1
1
12
14
14
8
※8
1
2
17
13
8
8
1
12
10
11
10
※5
3
3
※9
1
7
12
11
1
〃
18
16
2
26
〃
〃
8
8
8
27
〃
〃
12
12
12
28 10月
〃
12
9
29 11月
〃
14
14
30
1
1
3
1
※7
1
1
12
17
17
11
10
1
32
〃
〃
13
9
4
33
〃
〃
17
12
4
34
〃
〃
3
3
3
35
1月
〃
10
10
10
36
〃
プー ル水 ・
浴 槽水
4
4
7
6
6
39
〃
〃
計
6
3
14
〃
9
1
18
〃
〃
2
12
31 12月
浴 槽水
9
5
〃
〃
1
13
1
〃
2月
1
13
〃
38
6
1
25
37
4
1
24
〃
8
17
1
1
1
2
1
3
1
11
※10
1
1
※10
3
12
3
17
1
4
2
4
2
2
341
305
29
※10
1
1
※6
7
7
0
1
2
1
10
1
2
※ 1 浴 槽水 は 旅館 、公 衆浴 場、 福祉 施設 、 フィ ット ネス クラ ブで 採 取
※ 2 1検体 から 複数 の群 が 検出 され たも のは 、す べて の 群を 表示 した
※ 3 DDHも しく はPCRで Legionella pneumophila で ある が血 清型 別 不能
※ 4 屋 外プ ー ルは レジ オネ ラ属 菌検 査を 実 施せ ず
※ 5 Legionella sp 1 及 び L.jordanis 2
※ 6 L.anisa
※ 7 L.rubrilucens
※ 8 Legionella sp 及び L. jamestowniensis
※ 9 L.birminghamensis
※ 10 L.micdadei
26
0
0
0
1
0
0
0
0
1
9
4
6
1
2
4
2
21
376
26
1
87
4
2
理化学試験業務
理化学試験業務は生活科学担当 6 名と環境科学担当 6 名で担当し、保健所食品衛生課、生活衛生課
及び環境保全課等からの行政依頼により実施している。その業務内容は食品化学試験、家庭用品試験、
医薬品試験、環境水質試験及び環境大気試験である。
平成 21 年度の理化学試験業務の実施状況を表1に、過去 10 年間の推移を図1に示した。
表1
試験区分別件数
試 験区 分
検 体数
項 目数
食 品化 学試 験
268
12,132
家 庭用 品試 験
130
130
3
18
環 境水 質試 験
791
2,486
環 境大 気試 験
299
2,722
計
1,491
17,488
医 薬品 試験
図1
理化学試験業務件数の推移
27
(1)食品化学試験
保健所食品衛生課及び生活衛生課からの行政依頼により、食品添加物試験、成分規格試験等を計 268
検体実施した。そのうち基準を超過した検体は 1 件あり、生チョコケーキ1検体から、使用が認めら
れていない着色料(タール色素)の検出が認められた。※その他(苦情検査)参照
総試験検査 12,132 項目中、添加物は 244 項目(2.01%)、成分規格 11,807 項目(97.32%)、食品成分 2
項目(0.02%)、その他は 79 項目(0.65%)であった(表 1)。
表1
検 体数
添加物
成分規格
食品成分
その他
計
依頼検体数及び項目数の内訳
基準超過
検体数
基 準超 過 率
(%)
268
1
0.37
268
1
0.37
項 目数
割 合 (%)
244
11,807
2
79
12,132
2.01
97.32
0.02
0.65
100.00
基準 超 過
項目数
1
0
0
0
1
基 準超 過 率
(%)
0.41
0.00
0.00
0.00
0.01
ア 食品添加物試験
(ア)保存料(ソルビン酸)、人工甘味料(サッカリンナトリウム)、着色料等
魚肉練り製品、食肉製品等 111 検体について 203 項目を検査し、62 項目の検出があったが、いずれ
も基準値未満であった(表 2)。
表2 食品添加物(防かび剤を除く)の検査状況
試
験
ソ
ル
安
息
食 品 の 種 類
冷凍えび
数
ン
酸
香
酸
5
亜
亜
サ
グプ
B
B
着
H
H
色
A
T
料
リロ
硫
酸
硝
酸
カ
コピ
リ
レ
ン
ルン
ー
ビ
件
デ
ヒ
ド
ロ
酢
酸
ッ
添 加 物 名
0/5
計
0/5
魚介類加工品
魚肉練り製品
30
4/30
煮干
5
0/3
魚卵加工品
5
肉類加工品
12
乳製品・チーズ
2
油脂・マーガリ ン
3
氷菓
5
めん類
0/13
0/5
0/5
2/5
3/12
10/12
4/8
13/24
0/2
0/3
9/54
0/13
2/3
0/2
0/3
0/3
0/3
0/5
11
野菜・果実加工 品
5/11
0/12
1/3
5/11
1/8
5/11
5
0/1
2/4
漬物
19
11/17
煮豆
5
3/5
0/5
3/10
4
0/4
4/4
4/8
111
21/75
0/3
2/5
0/6
4/10
6/7
21/43
清涼飲料水
ワイン
その他加工品
計
0/6
0/2
6/24
28
12/17
4/28
5/11
0/8
0/8
14/24 62/203
(イ)防かび剤(IMZ 及び OPP、DP、TBZ)
輸入果実 10 検体について防かび剤(イマザリル(IMZ)、オルトフェニルフェノール(0PP)、ジフェニ
ル(DP)、チアベンダゾール(TBZ))の検査を実施した。7 検体から IMZ が検出されたがが、いずれも基
準値未満であった。その他についてはすべて定量下限値未満であった。
イ 成分規格等の試験
(ア)野菜・果実中の残留農薬
輸入果実 10 検体、生鮮野菜 70 検体について、ピレスロイド系農薬、有機リン系農薬、有機塩素系
農薬及び含窒素系等の農薬の残留検査を実施した。パプリカなどの生鮮野菜とレモン、グレープフル
ーツの輸入果実から検出されたが、いずれも残留基準値未満であった(表 3)。
表3
時期
H21.5
H21.6
H21.10
H22.1
H22.2
残 留 農 薬
農産物
生鮮野菜
輸入果実
生鮮野菜
生鮮野菜
生鮮野菜
農薬名
検 出 値 ( ppm)
基 準 値 ( ppm)
パプリカ
アゾキシストロビン
0.04
3
パプリカ
クロチアニジン
1.1
3
パプリカ
イミダクロプリド
0.07
3
グレープフルーツ
ピラクロストロビン
0.02
2
グレープフルーツ
フェンプロパトリン
0.03
5
グレープフルーツ
マラチオン
0.02
4.0
レモン
クロルピリホス
0.15
1
レモン
クロルピリホス
0.01
1
レモン
クロルピリホス
0.01
1
オレンジ
クロルピリホス
0.13
1
こまつな
フルフェノクスロン
0.02
10
こまつな
フルフェノクスロン
0.81
10
こまつな
フルフェノクスロン
0.75
10
かき
ビフェントリン
0.02
0.5
いちご
クレソキシムメチル
0.13
5
いちご
クレソキシムメチル
0.04
5
いちご
クレソキシムメチル
0.02
5
いちご
ミクロブタニル
0.08
1.0
いちご
ミクロブタニル
0.05
1.0
いちご
フェナリモル
0.03
1.0
いちご
フルジオキソニル
0.03
5
いちご
アゾキシストロビン
0.26
3
いちご
アゾキシストロビン
0.15
3
いちご
アゾキシストロビン
0.13
3
いちご
フルフェノクスロン
0.07
0.5
いちご
フルフェノクスロン
0.01
0.5
いちご
ボスカリド
1.6
15
ブロッコリー
シペルメトリン
0.03
1
(イ)畜水産物中の残留農薬
冷凍えび(5 検体)、うなぎ蒲焼等(5 検体)について、農薬の残留検査を実施し、すべて定量下限
値未満であった。
29
(ウ)畜水産物・食鳥肉中の残留動物用医薬品
管内産の生乳(2 検体)、鶏卵(7 検体)、管内流通品の冷凍えび(5 検体)、うなぎ蒲焼等(5 検体)、
蜂蜜(7 検体)、養殖魚(6 検体)、モモ肉(5 検体)及び鶏の腎臓(5 検体)について、動物用医薬品
の残留試験を実施し、すべて定量下限値未満であった(表 4)。
表4
生 乳
残留動物用医薬品(輸入食肉を除く)の検査状況
卵
冷 凍え び
うなぎ蒲焼
蜂 蜜
養殖魚
鶏モモ肉
鶏腎臓
計
検体数
2
7
5
5
7
6
5
5
42
動物用医薬品項目
68
238
170
170
7
198
145
155
1,151
(エ)魚介類中の PCB 及び総水銀等
a PCB
管内流通の鮮魚介類 5 検体を検査し、3 検体から検出されたが、暫定的規制値(0.4ppm)を超えた
ものはなかった(表 5)。
b 総水銀
管内流通の鮮魚介類 5 検体を検査し、5 検体とも検出されたが、暫定的規制値(遠洋沖合魚介類:
0.5ppm・内海内湾魚介類:3ppm)を超えたものはなかった(表 5)。
表5
魚介類中のPCB・総水銀等の試験結果
単位(ppm)
水揚 港又は
魚 種
漁獲水 域
検体 採取 年月
PC B
総水銀
赤イサ キ
静 岡(焼 津)
H21.4
検出し ない
0.05
オオメ ハタ( 白ムツ )
静 岡(相 良)
〃
0.02
0.17
カ マス
静 岡(用 宗)
〃
0.01
0.08
イ サキ
静 岡(焼 津)
〃
検出し ない
0.14
イ トヨリ ダイ
静 岡(焼 津)
〃
0.01
0.20
検出しない(PCB):0.01ppm 未満
(オ)牛乳等の成分規格
管内で製造された牛乳及び加工乳 5 検体の無脂乳固形分、乳脂肪分、比重及び酸度について成分規
格検査を実施したが、すべて規格基準に適合していた。
(カ)清涼飲料水の成分規格
管内で製造された清涼飲料水 5 検体について成分規格検査を実施したが、すべて規格基準に適合し
ていた。
ウ
その他の試験
苦情等により行政担当課の依頼を受けて化学検査を行ったものが 22 件あった。
(ア)健康食品中の医薬品成分の検査
健康食品(強壮剤・痩身剤)中の医薬品成分(シルデナフィル、タダラフィル等)について 19 検体の検
査を実施したが、いずれも検出されなかった。
(イ)健康食品の試験検査
管内で製造または流通された保健機能食品 3 検体中のアスコルビン酸(ビタミン C)含有量の検査を
実施し、いずれも表示どおりの値であった。
30
(ウ)その他苦情等による検査
市民等から寄せられた食品の苦情に対処するため、食品添加物、ヒスタミン成分等の検査を行い、
生チョコケーキ1検体から使用が認められていない着色料(タール色素)が検出された。また、シイ
ラ等の2検体中のヒスタミンの含有量の検査を実施したが、検出されなかった。
(2)家庭用品試験
保健所生活衛生課からの検査依頼により、繊維製品 130 検体(乳幼児用 98 検体、乳幼児用以外 32
検体)、についてホルムアルデヒドの検査を行ったが、いずれも基準値以内であった(Ⅱ試験検査実施
状況の 3 家庭用品試験を参照)。
(3)医薬品試験
保健所生活衛生課からの検査依頼により、医療用医薬品等 3 品について、日本薬局方に準拠した性
状及び溶出試験等を行い、いずれも規格(表示)どおりの値であった。
31
(4)環境水質試験
環境保全課、産業廃棄物対策課、及び保健所生活衛生課からの行政依頼により、公共用水域、事
業場排水、浴槽水、プール水等の試験及び検査を行った。件数及び項目数は表 1 のとおりである。
表1
依頼件数及び項目数
取扱件数
検査項目の合計
公共用水域
13
52
工場・事業場排水
52
202
浴槽水・プール水
375
1,215
その他
38
569
ア
公共用水域
環境保全課からの依頼により、清水区蒲原地区の河川、また興津川とその支流を中心に生活環境
項目の項目について検査を実施した。河川に設定された環境基準を超過した検体はなかった。
イ
工場・事業場排水
環境保全課からの依頼により、工場・事業場排水の生活環境項目、金属類及び農薬等の項目につ
いて検査を実施した。そのうち、排水基準を超過したものは、製紙関係事業場で BOD1件、食品関
係事業場で BOD3件、SS2件であった。
ウ
浴槽水・プール水
保健所生活衛生課からの依頼により、公営及び民営プール並びに公衆浴場の pH、濁度、過マンガ
ン酸カリウム消費量及び総トリハロメタン(プール水のみ)の項目について検査を実施した。その
うち、公衆浴場または遊泳用プールにおける水質基準を超過したものは、公衆浴場で過マンガン酸
カリウム消費量1件、遊泳用プールで pH3件であった。
エ
その他
産業廃棄物対策課からの依頼により、不法投棄現場における土壌調査として、土壌中の金属類、
溶剤及び農薬の項目ついて検査を実施した。産業廃棄物に含まれる有害物質判定基準を超過するも
のはなかった。また、環境保全課からの依頼により、地下水汚染調査として、市内 4 地区における
地下水の金属類、溶剤及び農薬の項目ついて検査を実施した。そのうち、地下水の水質汚濁に係わ
る環境基準を超過したものは、溶剤1件であった。
32
(5)環境大気試験
環境保全課からの行政依頼検査として、有害大気汚染物質、臭気指数等の検査を実施しており、平成
21 年度の検体数は 143 件であった。また、全国環境研協議会の酸性雨全国調査として 52 件(毎週 1 回
実施)、関東地方環境対策推進本部大気環境部会の浮遊粒子状物質合同調査として 5 件、そして調査研
究として多環芳香族炭化水素類調査を 87 件、大気環境実態調査を 9 件実施した。
ア
雨水調査
全国環境研協議会酸性雨全国調査により年間を通じて実施した。降水量、pH、導電率、硫酸イオン、
硝酸イオン、塩化物イオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイ
オン及びマグネシウムイオンを検査した。各項目の月平均値を表 1 に示す。
表1
月
降水量
pH
mm
導電率
平成 21 年度 雨水調査結果
SO 42-
NO 3-
Cl -
μ S/cm
NH 4+
Na +
K+
Ca 2+
Mg 2+
mg/L
4
170.5
4.91
10.22
1.09
0.65
0.59
0.19
0.36
0.05
0.15
0.05
5
195.8
4.73
19.42
1.50
1.03
1.98
0.28
1.17
0.07
0.17
0.15
6
370.7
4.76
12.16
1.22
0.85
0.33
0.18
0.21
0.05
0.11
0.03
7
454.6
4.89
10.02
1.16
0.60
0.41
0.08
0.31
0.02
0.09
0.05
8
129.2
4.80
13.45
1.20
1.03
0.80
0.21
0.46
0.05
0.13
0.07
9
32.0
4.36
34.72
3.52
2.95
1.77
0.62
1.27
0.18
0.73
0.19
10
275.2
4.59
33.03
1.79
0.96
7.49
0.11
4.17
0.16
0.25
0.50
11
210.6
4.97
12.84
1.03
0.74
1.52
0.10
0.96
0.07
0.12
0.13
12
97.1
4.85
13.39
1.23
0.95
0.60
0.19
0.32
0.04
0.14
0.07
1
58.1
4.79
16.35
1.72
1.29
1.01
0.30
0.63
0.08
0.35
0.10
2
249.0
4.88
13.00
1.07
0.95
0.95
0.13
0.57
0.04
0.14
0.08
3
397.2
5.01
14.67
1.44
1.11
1.24
0.23
0.80
0.07
0.31
0.12
2639.9
4.82
15.36
1.32
0.91
1.58
0.17
0.94
0.06
0.18
0.13
加重平均※
※降水量は年間総雨量
イ
悪臭検査
平成 19 年度より市内全域で導入された悪臭防止法による臭気指数規制に対し、環境保全課からの行
政依頼検査として、魚腸骨処理場及び製肥事業場において臭気測定を 23 件実施した。
ウ
有害大気汚染物質検査
毎月 1 回、検体数 120 件、項目数 1,962 項目を実施した。
市内 6 ヶ所の測定局(服織小学校、長田南中学校、常磐公園、自排神明、清水三保第一小学校及び蒲
原支所)において、VOC(塩化ビニルモノマー、1,3-ブタジエン、ジクロロメタン、アクリロニトリル、
クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレン)をキ
ャニスター採取-GC/MS 法により、水銀を金アマルガム法により、ホルムアルデヒド及びアセトアルデ
ヒドを固相捕集-HPLC 法により分析した。
また、市内 4 ヶ所の測定局(服織小学校、長田南中学校、清水三保第一小学校及び蒲原支所)におい
て、ハイボリウムエアサンプラで捕集した浮遊粉塵中のヒ素及びベリリウムを原子吸光法により、マン
ガン、ニッケル及びクロムを ICP 発光分光分析法により、ベンゾ[a]ピレンを HPLC 法により分析した。
測定結果を表 2 に、地点別の測定結果をグラフ化したもの(環境基準値又は指針値が設定されている
項目のみ)を図 1 に示す。
33
表2
平成 21 年度 有害大気汚染物質検査結果
服織小学校
塩化ビニルモノマー
(μ g/m3)
1,3-ブタジエン
(μ g/m3)
ジクロロメタン
(μ g/m3)
アクリロニトリル
(μ g/m3)
クロロホルム
(μ g/m3)
ベンゼン
(μ g/m3)
1,2-ジクロロエタン
(μ g/m3)
トリク ロロエチレン
(μ g/m3)
テトラクロロエチレン
(μ g/m3)
水銀
(ng/m 3)
ホルムアルデヒド
(μ g/m3)
アセトアルデヒド
(μ g/m3)
ベンゾ [a]ピレン
3
(ng/m )
ヒ素及びその化合物
(ng/m 3)
マンガン及びその化合物
(ng/m 3)
ニッケル化合物
(ng/m 3)
ベリリウム及びその化合物
(ng/m 3)
クロム及びその化合物
(ng/m 3)
長田南中学校
常磐公園
自排神明
清水三保第一
小学校
蒲原支所
年平均
0.016
0.018
0.015
0.020
0.025
0.019
最小
0.015
0.015
0.015
0.015
0.015
0.015
最大
0.032
0.040
0.015
0.076
0.13
0.054
年平均
0.063
0.095
0.10
0.20
0.078
0.068
最小
0.021
0.042
0.025
0.059
0.032
0.018
0.12
最大
0.14
0.28
0.26
0.36
0.17
年平均
1.2
1.5
1.6
1.3
1.6
1.7
最小
0.30
0.30
0.79
0.30
0.30
0.30
最大
2.2
3.2
2.5
1.9
3.8
3.4
年平均
0.069
0.11
0.054
0.079
0.066
0.11
最小
0.015
0.034
0.015
0.015
0.015
0.015
0.22
最大
0.19
0.24
0.097
0.16
0.17
年平均
0.12
0.11
0.89
0.13
0.12
0.14
最小
0.024
0.028
0.19
0.048
0.049
0.056
0.26
最大
0.21
0.20
2.1
0.24
0.20
年平均
0.96
1.0
1.1
1.4
1.1
1.1
最小
0.39
0.43
0.58
0.80
0.25
0.21
最大
1.7
1.6
1.9
2.4
1.8
1.9
年平均
0.11
0.11
0.11
0.11
0.11
0.12
最小
0.060
0.050
0.061
0.057
0.055
0.048
最大
0.18
0.18
0.19
0.20
0.20
0.22
年平均
0.21
0.31
0.25
0.21
0.19
0.24
最小
0.15
0.15
0.15
0.15
0.15
0.15
最大
0.74
0.78
0.88
0.57
0.38
0.66
年平均
0.15
0.15
0.20
0.15
0.18
0.15
最小
0.15
0.15
0.15
0.15
0.15
0.15
最大
0.15
0.15
0.47
0.15
0.54
0.15
年平均
1.3
1.8
1.8
2.0
2.1
1.9
最小
1.1
1.3
1.4
1.4
1.8
1.6
最大
1.8
2.1
2.4
2.4
2.4
2.4
年平均
1.3
1.8
1.8
2.0
2.8
2.8
最小
0.15
0.72
0.61
1.2
1.2
1.2
最大
2.3
3.5
3.1
3.4
6.3
8.1
年平均
1.6
1.5
2.4
2.6
3.2
4.3
最小
0.64
0.80
0.92
1.7
1.5
1.3
最大
6.5
2.4
8.3
4.2
6.3
16
年平均
0.11
0.10
-
-
0.11
1.0
最小
0.0014
0.018
-
-
0.015
0.021
最大
0.25
0.2
-
-
0.21
2.8
年平均
0.58
0.52
-
-
0.58
0.70
最小
0.011
0.011
-
-
0.011
0.011
最大
1.6
1.7
-
-
1.8
1.9
年平均
18
16
-
-
20
9.4
最小
3.1
3.6
-
-
3.9
1.1
最大
90
34
-
-
42
22
年平均
2.4
2.9
-
-
3.9
4.7
最小
0.83
1.0
-
-
1.3
2.6
最大
6.8
7.3
-
-
9.8
11
年平均
0.034
0.015
-
-
0.021
0.018
最小
0.0019
0.0019
-
-
0.0041
0.0040
最大
0.22
0.041
-
-
0.053
0.032
年平均
3.5
7.3
-
-
3.9
3.7
最小
0.99
0.82
-
-
0.91
1.9
最大
7.0
44
-
-
8.9
5.8
34
環境基準値
又は指針値※
10※
2.5※
150
2※
18※
3
1.6※
200
200
40※
25※
図1
平成 21 年度 有害大気汚染物質検査結果
35
36
Ⅳ
調 査
37
研 究
性器クラミジアに対する抗原、抗体及び遺伝子検査の比較
塩野正義 井手忍
川島美昭 村田正春
【はじめに】
Chlamydia trachomatis を原因とする性器クラミジア感染症は、日本において最も頻度の高い性感染症で
あり、特に近年は若年女性における増加が著しい。主な症状として、男性は尿道炎・精管炎及び精巣上体炎
等、女性は子宮頸管炎・卵管炎及び骨盤内炎症等が挙げられる。これらから不妊症の原因となり、また産道
感染により新生児肺炎や結膜炎を引き起こす可能性もある。
本市保健所では、エイズ等の性感染症の検査を行う際、希望する被験者にはクラミジア抗原検査も行って
いる。本検査は、被験者が自分で採取した初尿(男性の場合で、昨年度まで実施)または子宮頸管擦過物(女
性の場合)を検体として、イムノクロマトグラフィーで行っているが、迅速な反面結果が不安定であり、実
際の感染者を見逃しているあるいは擬陽性となっている可能性がある。
そこで、上記の検体を用いて PCR によるクラミジア遺伝子の検出を、また同一被験者の血清を用いて
ELISA による抗 Chlamydia trachomatis 抗体の検出を併せて行い、これらの結果を比較することによって
若干の知見を得たので報告する。
【目的】
イムノクロマトグラフィー、PCR 及び ELISA の結果を比較することによって、現行の抗原検査の精度を
調査し、今後のクラミジア検査について検討する。
【材料および方法】
2007 年 4 月から 2009 年 3 月までにクラミジア抗原検査のため搬入された初尿(363 人分)及び子宮頸管
を擦過した綿棒(以下子宮頸管擦過物、274 人分)を検体として、クラミジア抗原検出キット(クリアビュ
ークラミジア, インバネスメディカルジャパン)を用いて抗原の抽出及びイムノクロマトグラフィーによる
検出を行った。
また、-80℃で凍結保存しておいた上記の抗原抽出液を解凍し、DNA 抽出キット(QIAamp DNA Mini Kit,
キアゲン)により DNA 抽出を行い、表 1 のプライマー及び条件でクラミジアの PCR を行った。電気泳動は、
マイクロチップ電気泳動装置(MultiNA MCE-202,島津製作所)で行い、目的とするバンドサイズ付近に PCR
産物が 10 ng/µl 以上の濃度で検出されたものを検出陽性とした。
そして、-80℃で凍結保存しておいた血清(抗原検査と同一被験者のもの)を検体とし、抗 Chlamydia
trachomatis 抗体測定キット(ペプタイド クラミジア IgA「明乳」及び IgG「明乳」, 明治乳業)を用いて、
ELISA により IgA 抗体及び IgG 抗体の検出を行った。
38
表1 プライマー及び PCR 条件
プライマー名
塩基配列
CTM1
5'-TTGCGATCCTTGCACCACTT-3'
1st
増幅産物
条件
94℃20 秒
750bp
PCR
Nested
55℃20 秒
CTM8
5'-GCTCGAGACCATTTAACTCC-3'
72℃30 秒 (35 回)
CTM4
5'-GGTGACTTTGTTTTCGACCG-3'
94℃20 秒
CTM7
5'-CTCCAATGTAGGGAGTGAAC-3'
680bp
PCR
55℃20 秒
72℃30 秒 (25 回)
【結果】
抗原検査において、初尿では 19 検体、子宮頸管擦過物では 6 検体が陽性で、PCR において、初尿では 8
検体、子宮頸管擦過物では 26 検体が検出陽性だった(表2)
。
抗原検査と遺伝子検査の結果、抗原が検出されたが PCR で遺伝子が検出されなかったものが初尿 363 検
体中で 18 検体あったが、子宮頸管擦過物 274 検体中では全くなかった(表3)。
抗体検査の結果、PCR で遺伝子が検出されなかった 603 検体の中では IgA・IgG ともに陰性だったものが
67.7%(408 検体)と最も多く、PCR で検出陽性だった 34 検体の中では IgA・IgG ともに陽性だったものが
55.9%(19 検体)と最も多かった(表4)
。
表2 抗原及び遺伝子検査における検出陽性検体数
抗原検査
RCR
初尿
19
8
子宮頸管擦過物
6
26
計
25
34
表3 抗原検査と遺伝子検査の比較
(初尿検体)
(子宮頸管擦過物)
抗原検査
-
+
計
-
337
18
355
+
7
1
8
計
344
19
363
PCR
PCR
抗原検査
39
-
+
計
-
248
0
248
+
20
6
26
計
268
6
274
表4 抗体検査と遺伝子検査の比較
抗体検査
PCR
-
+
IgA (-)
IgA (+)
IgA (-)
IgA (+)
IgG (-)
IgG (-)
IgG (+)
IgG (+)
408
35
79
81
(67.7%)
(5.8%)
(13.1%)
(13.4%)
5
1
9
19
(14.7%)
(2.9%)
(26.5%)
(55.9%)
413
36
88
100
計
計
603
34
637
【考察】
初尿において、抗原陽性数(19 検体)が PCR 検出陽性数(8 検体)を上回ったのは、クリアビューで陽
性と判定され PCR で遺伝子が検出されなかったものが 18 検体あったことに起因していた。子宮頸管擦過物
では、PCR で遺伝子が検出されなかった 248 検体全てから抗原が検出されず、PCR 検出陽性検体には全て
の抗原陽性検体が含まれていたことから、抗原検査の正しさ及び PCR の検出感度の高さが示唆された。また、
PCR 検出陽性数(26 検体)に比べて抗原陽性数(6 検体)が少なかったのは、子宮頸管擦過物中に充分な抗
原量が存在しなかった、あるいは被験者自身による検体の採取がうまくいっておらず、抗原検査では検出で
きなかった可能性が考えられた。
抗体検査において、PCR で遺伝子が検出されなかった検体の中では IgA・IgG ともに陰性だったものが最
も多く、PCR で検出陽性だった検体の中では IgA・IgG ともに陽性だったものが最も多かったことは、クラ
ミジア遺伝子の存在と抗体の産生状況の傾向がある程度一致していることを表している。しかし、IgA・IgG
ともに陰性だったが PCR で検出陽性だったものが 5 検体あったことは、クラミジア感染により血清中に抗ク
ラミジア抗体が産生されると仮定すれば、クラミジアの感染初期であると推察された。
以上のことから現行の抗原検査は、子宮頸管擦過物を検体として用いた場合、検体の採取の仕方によって
は感染を見逃す可能性があるが、被験者の感染状況を知る有効な手段であると思われた。しかし初尿を検体
として用いた場合は、擬陽性となる可能性があるため、抗原検査で陽性が出た際には PCR による確認検査を
行う必要があると考えられた。
40
静岡市内のビブリオ属の検出状況と検査法の比較について
金澤裕司 古田将也 富田敦子
【はじめに】
腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus 以下 V.p)やビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus 以
下 V.v)は世界中の沿岸海水中や魚介類などに生育しており、その菌数は水温が上昇する夏季に増加する。
ここ数年件数は減少しているものの、V.p による食中毒は海産魚介類を介して発生し、夏場の食中毒の主要
なものである。V.v は報告件数こそ限られているが、肝機能不全などの基礎疾患のある人に感染した場合は
死の転帰をとることもある。これらの菌の静岡市付近の海水、魚、海泥などにおける動向を調査し、若干の
知見を得たので報告する。
【材料】
2009 年 5 月から 11 月にかけて、静岡市清水海釣り公
巴川
海釣公園
表層水
園(A 地点)の表層水、中層水(水深 6m)
、深層水(水深
中層水
12m)、A 地点付近で採取された魚および折戸湾(O 地点)
深層水
の海水および海泥を月に一回採取し、検体とした(図 1)
。
魚
三保半島
折戸湾
海水
海泥
【方法】
1
培養による MPN 値の算出
図1
海水、海泥、魚の内臓の菌数は MPN 法(3 本法)により測定した。
固形試料は 25g 秤量し、V.p は 2%NaCl 加アルカリペプトン水(以下 APW)で 10 倍量にした後ストマッキン
グし、V.v は APW で 10 倍量にした後ストマッキングしたものを試料とした。作成したストマッキング液 10ml
はそのまま培養し、1ml 以下では V.p は 2%NaCl 加 APW に、V.v は APW に添加し培養した。
海水試料は V.p は 100ml から、V.v は 10ml から MPN 法を実施した。100ml には APW 粉末を 2g 添加し、10ml
では 2 倍濃度 APW に添加し培養した。1ml 以下では固形試料と同様に添加し培養した。
V.p は 2%NaCl 加 APW による 37℃、18 時間の 1 次増菌後、食塩ポリミキシンブイヨン(以下 SPB)で 37℃、
18 時間の 2 次増菌、37℃、6 時間の 3 次増菌を行い、TCBS 及びクロモアガービブリオ(以下 CV)で分離培養
した。典型的なコロニーを釣菌し、生化学的試験を行い、V.p の性状を呈した株を方法 3 に示した PCR を実
施し、MPN 値を算出した。一部の検体では 2 次増菌液からも菌分離および MPN 値の算出を実施した。
V.v は APW で 37℃、18 時間増菌後、CV で分離培養した。典型的な青色のコロニーを釣菌し、生化学的試験
を行い、V.v の性状を呈した株を方法 3 に示した PCR を実施し、MPN 値を算出した。
2 増菌液 PCR 法による MPN 値の算出
培養法で増菌した培養液 1ml(V.p は 1 次増菌液)を遠心集菌後、1ml の生理食塩水で沈渣を浮遊し、再度
遠心した。沈渣に 25mM NaOH を 50μl 加え、混和後、100℃で 10 分間加熱した後、2/25M Tris-HCl(pH7.0)
を 50μl 加え、混和して、遠心した上清を PCR 用テンプレートとした。テンプレートを方法 3 に示した PCR
を実施し、MPN 値を算出した。
3 PCR 法
V.p、V.v の性状を呈した株および増菌液テンプレートは、Panicker ら 1)の方法に従い PCR を行い、表1
に示したプライマーを用いた。V.p は種共通の tlh と病原性株が保有する毒素遺伝子などの tdh、trh、ORF8
を標的とし、V.v は種共通の vvh と病原性株が保有する viuB を標的としたマルチプレックス PCR をそれぞれ
実施した。増幅条件は 94℃3 分加熱した後、94℃1 分、V.p は 55℃1 分、V.v は 65℃1 分、72℃1 分を 30 サイ
クル行い、最後に 72℃5 分加熱を行った。PCR の増幅産物はマイクロチップ自動電気泳動装置(MCE-202
MultiNA、島津製作所)を用いて泳動、検出を行った。
41
病原体
標的 遺 伝 子
tlh
tdh
V.parahaemolyticus
trh
ORF8
vvh
V.vulnificus
viuB
表 1 プ ラ イ マー
塩 基 配列
AAA GCG GAT TAT GCA GAA GCA CTG
GCT ACT TTC TAG CAT TTT CTC TGC
GTA AAG GTC TCT GAC TTT TGG AC
TGG AAT AGA ACC TTC ATC TTC ACC
TTG GCT TCG ATA TTT TCA GTA TCT
CAT AAC AAA CAT ATG CCC ATT TCC G
AGG ACG CAG TTA CGC TTG ATG
CTA ACG CAT TGT CCC TTT GTA G
TTC CAA CTT CAA ACC GAA CTA TGA C
ATT CCA GTC GAT GCG AAT ACG TTG
GGT TGG GCA CTA AAG GCA GAT ATA
CGG CAG TGG ACT AAT ACG CAG C
増幅 産 物 bp
450
269
500
369
205
504
表 2 V. p お よ び V. v の 検 出 状 況 ( MP N / 10 0 ml ・ 10 0 g )
V.p
採取月
増 菌 液 P C R法
V .p 総 菌 数
t lh
V .v
vi u B
vv h
vi u B
3次 増 菌
保有菌数
総菌数
保有菌数
保有菌数
保有菌数
9 .2
24
9 .2
38
15
43
2400
2 4 00
1 5 0 00
4 3 00
< 30
< 30
0.36
0 . 36
9 .2
9 .3
0.36
0 . 92
2 40
2 40
4300
4 3 00
11 0 00 0 0
11 0 00 0 0
2 40
2 40
4 .3
4 .3
15
15
9 30
9 30
9300
9 3 00
魚 ( コシ ョ ウ ダイ )
74
74
A地 点 表 層 水
NT
2 4 00
A地 点 中 層 水
NT
43
A地 点 深 層 水
NT
43
O地 点 海 水
NT
9 30
O地 点 海 泥
NT
7 5 00
魚(イシモチ)
NT
2 30
A地 点 表 層 水
NT
NT
A地 点 中 層 水
NT
NT
A地 点 深 層 水
NT
15
O地 点 海 水
NT
NT
O地 点 海 泥
NT
2 4 00
魚(イシモチ)
NT
< 30
A地 点 表 層 水
NT
2
A地 点 中 層 水
NT
15
A地 点 深 層 水
NT
4 .3
O地 点 海 水
NT
2 4 00
O地 点 海 泥
NT
2 30
魚(イシモチ)
NT
< 30
A地 点 表 層 水
NT
4 .3
A地 点 中 層 水
NT
23
A地 点 深 層 水
NT
23
O地 点 海 水
NT
74
O地 点 海 泥
NT
4 30
魚(マエソ)
NT
36
NT : No t te s te d
24
38
43
24 0 0
2 40 0 0
<3 0
1. 5
9. 2
9. 2
24 0
43 0 0
1 1 00 0 0 0
43 0
4. 3
21
93 0
93 0 0
15 0
24 0 0
43
43
93 0
75 0 0
93 0
NT
NT
93
NT
24 0 0
<3 0
7. 5
29
46
24 0 0
23 0
<3 0
4. 3
24
24
43 0
43 0
9 30 0 0 0
<3
<3
3.6
3
<30
<30
<3
<3
3.6
30
36
<30
20
<3
<3
6.1
210
<30
15
11
430
92
300
62
NT
NT
<3
NT
<30
<30
3
3.6
<3
3
<30
29 0 0 00
<3
<3
<3
11
<30
<30
<3
<3
<3
<3
<30
<30
<3
<3
<3
<3
<30
<30
<3
<3
<3
<3
<30
<30
<3
<3
30
30
300
<30
NT
NT
<3
NT
<30
<30
<3
3.6
<3
<3
<30
1100
<3
<3
<3
<3
<30
<30
7 .4
9 .2
3 .6
43
36
< 30
<3
<3
3 .6
4 60
36
< 30
9 30
<3
<3
9 30
9 30
< 30
9 30
93
4 30
1 1 00 0
4300
2400
NT
NT
23
NT
2 30
< 30
7 .4
23
3 .6
4 30
36
> 11 0 0 00 0
<3
<3
<3
93
< 30
< 30
<3
<3
<3
3 .6
< 30
< 30
<3
<3
<3
<3
< 30
< 30
<3
<3
<3
11
< 30
< 30
7 .2
<3
38
2 80
3 00
< 30
NT
NT
3 .6
NT
< 30
< 30
7 .2
23
3 .6
23
< 30
1 4 00 0
<3
<3
<3
3 .6
< 30
< 30
2次 増 菌
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
V .v
培養法
検体名
A地 点 表 層 水
A地 点 中 層 水
A地 点 深 層 水
O地 点 海 水
O地 点 海 泥
魚(ハモ)
A地 点 表 層 水
A地 点 中 層 水
A地 点 深 層 水
O地 点 海 水
O地 点 海 泥
魚(イシモチ)
A地 点 表 層 水
A地 点 中 層 水
A地 点 深 層 水
O地 点 海 水
O地 点 海 泥
42
培養法
増 菌 液 P C R法
【結果および考察】
海水などの環境には非常に多くの細菌が生息しており、今回検出を試みた V.p や V.v に似た性状の細菌も
多い。V.p、V.v ともに希釈段階が低い検体では他の細菌の増殖が著しく、コロニーを分離し難い傾向があり、
再分離が必要なこともあった。表 2 に V.p および V.v の培養法と増菌液 PCR 法の結果について示した。
V.p は海水および海泥では全ての検体から検出されたが、魚の内臓では検出されないものもあった。今回
搬入された魚は A 地点採水日に水揚げされたものであったが、V.p が検出されるか否かは、生育環境のみな
らず、その魚の食性などにも影響を受けると思われた。
5 月から 7 月までの検体で 2 次増菌法と 3 次増菌法を並行して行ったが、3 次増菌法で比較的高い MPN 値が
得られた(図 2)。SPB により増菌を繰り返すことにより、より選択性が高まり、検出感度が上がったものと
考えられる。
V.p の培養法と増菌液 PCR 法による tlh 遺伝子の MPN 値を比較すると、多くの検体でほぼ同等か、増菌液
PCR 法の MPN 値が若干上回っていたが、11 月の魚では増菌液 PCR 法の MPN 値が大きく上回っていた(図 3)。
全ての増菌液および分離検出株から病原因子の検出はなかった。
V.v は培養法、増菌液 PCR 法ともに、V.p に比較すると低い MPN 値を示し、一部で病原因子遺伝子が検出さ
れた。増菌液 PCR 法で遺伝子が検出されても、分離平板では典型的なコロニーが全く見られないことも多く、
培養では検出されないことも多かった。また、培養法で検出された場合でも、その MPN 値は増菌液 PCR 法と
比較すると低い値が多く、増菌液 PCR 法の 1/10 以下の値を示すものも多く見られた(図 4、5)
。
PCR 法では死菌由来遺伝子の検出や非特異的反応もあるため、V.p、V.v ともにその点を考慮しなければな
らないと思われる。また、培養法、増菌液 PCR 法で MPN 値の差が大きい検体が多かった V.v では、増菌培地
として APW を使用したが、効率よく分離するには分離・増菌培地等の有用な選択培地や培養条件の検討が必
要だと思われる。
最後に検体と情報を提供していただいた静岡市保健所食品衛生課の担当職員の方々に深謝いたします。
図3 培養法と増菌液PCR法のMPN値の比較( tlh)
図2 2次増菌法と3次増菌法のMPN値の比較
5%
22%
培 養≧ PCR× 10
15%
3次増菌×10>2次増菌≧ 3
次増菌× 2
3次増菌×2> 2次増 菌> 3
次増菌
2次増菌=3次増菌
6%
図4
PCR×10>培 養≧ PCR×2
PCR×2>培 養> PCR
培 養= PCR
2次増菌<3次増菌<2次 増
菌× 2
2次増菌×2≦ 3次増 菌< 2
次増菌× 10
2次増菌×10≦3次増菌
67%
培 養< PCR< 培養×2
15%
59%
図5 培養法と増菌液PCR法のMPN値の比較(viuB)
3%
培 養≧PCR× 10
培 養≧PCR×10
15%
43%
PCR×10>培 養≧PCR×2
PCR×10>培養≧ PCR×2
PCR×2>培 養>PCR
PCR×2>培 養> PCR
13%
培 養=PCR
培 養=PCR
培 養<PCR< 培養× 2
26%
培 養<PCR<培養×2
培 養×2≦PCR<培養 ×10
8%
培 養× 2≦PCR< 培養 ×10
培 養× 10≦ PCR
培養法と増菌液PCR法のMPN値の比較( vvh)
23%
3%
8%
2次増菌≧3次増菌×10
69%
培 養×10≦ PCR
培 養×2≦PCR< 培養×10
培 養×10≦ PCR
【文献】
1) Panicker et al: Detection of Pathogenic Vibrio spp. in Shellfish by Using Multiplex PCR and DNA
Microarrays Appl Environ Microbiol 2004 Dec;70(12):7436-44.
43
管内で発生した黄色ブドウ球菌による食中毒事例について
富田敦子 古田将也 金澤裕司
【はじめに】
食中毒発生時における原因調査において、原因物質は判明しても原因食品の特定にまでは至れない
事例が多い。今年度、管内で発生した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を原因とする食中
毒事例において原因食品の特定に至ったので報告する。
【事例の概要】
平成 21 年 8 月 24 日に、市内の市立 S 病院内のスタッフ数名が嘔吐・下痢症状を呈した。共通食は
病院内にある外来食堂で供された食品であったので、患者便、患者嘔吐物、保存されていた食品およ
び調理従事者便の細菌検査を実施した。
【方法】
患者便 7 検体、患者嘔吐物 1 検体および調理従事者 5 検体は、卵黄加マンニット食塩寒天培地に直
接塗抹したものと、7%食塩 1%マンニット加ブレインハートインフュージョン(食塩マンニット加
BHI)培地で 36℃24 時間培養後、卵黄加マンニット食塩寒天培地に塗抹し、36℃48 時間培養した。
保存食品 14 検体は、10 倍段階希釈し各希釈段階の試料液について、それぞれ 3 本の食塩マンニッ
ト加 BHI に 1ml 接種し、36℃24 時間培養後、卵黄加マンニット食塩寒天培地に接種したものを、36℃
48 時間培養し、黄色ブドウ球菌の検出された食塩マンニット加 BHI の数により MPN 値から食品 1g
中の菌数を求めた。また、10 倍段階希釈し各希釈液 0.1ml をマンニット食塩寒天培地にコンラージ
棒で直接塗抹し 36℃48 時間培養後、典型的なコロニーを黄色ブドウ球菌として菌数測定を行った。
分離した典型的なコロニーは N-ID SP-18 テスト(日水製薬)で同定を行い、コアグラーゼ型別用
免疫血清「生研」および細菌毒素検出キット SET-RPLA「生研」(いずれもデンカ生研)を用いコア
グラーゼ型別およびエンテロトキシンの検出を行った。また、右田らの方法に準拠し、制限酵素とし
て SmaⅠ(TAKARA-BIO)を用いてパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法を実施した。
【結果】
患者便 7 検体、患者嘔吐物 1 検体および保存食品 12 検体から黄色ブドウ球菌 エンテロトキシン A
型、コアグラーゼⅡ型が検出された。調理従事者便 1 検体からは黄色ブドウ球菌 エンテロトキシン
A 型、コアグラーゼⅣ型が検出された。保存食品の菌数は MPN 法では 3.0 未満~2.4×107 個/g、
直接塗抹法では 100 未満~2.1×107 個/g であった。患者便、患者嘔吐物および保存食品分離株の
PFGE 法による DNA 切断パターンは、同一泳動パターンを示した。
【考察】
黄色ブドウ球菌は健康な人の喉や鼻の中、皮膚、毛髪、腸管などにも存在している表在細菌のひと
つであり、菌体外に産生する蛋白質コアグラーゼと、増殖する際に産生する菌体外毒素であるエンテ
ロトキシンとで型別される。食品がこの菌に汚染されると、食品中で増殖する時にエンテロトキシン
を産出し、このエンテロトキシンを食品と一緒に摂取することにより、食中毒を引き起こす。今回、
44
患者、食品および調理従事者から黄色ブドウ球菌 エンテロトキシンA型が検出されたが、患者およ
び食品由来株と調理従事者由来株ではコアグラーゼ型が異なることから、この調理従事者と今回の集
団発生の関係は認められない。患者および食品からの分離菌株はコアグラーゼ型およびエンテロトキ
シン型に加え PFGE 泳動パターンが一致したことから、すべて同一由来と考えられた。
食品における菌数は、白あえ(2.4×107 個/g)が最も多く、次いでポテトサラダ(6.4×105 個/g)
であった。また、当該食堂で供された食品のうち、白あえのみを喫食し発症した患者がいたことから、
原因食品は白あえと考えられた。
45
医薬品成分を含む健康食品検査事例について
石川和子 伊藤
誠 小田真也
稲葉彰乃 中野昌枝 本澤 聡
【はじめに】
近年、いわゆる「健康食品」への医薬品成分の混入事例が多数報告されている。平成 19 年度より、
強壮効果を謳う健康食品から血糖降下剤が検出され、健康被害を引き起こしている事例が国内でも発生
している。いずれも性機能改善薬シルデナフィルとスルホニル尿素系血糖降下剤グリベンクラミドでの
検出であった。平成 21 年 2 月、静岡市内でも同様の事例が発生したので報告する。
【経緯】
平成 21 年 2 月、低血糖による意識障害を起こした人が入院中であり、直前に喫食した健康食品につ
いての調査依頼があった。
【方法】
1 試験用液の調整および分析方法
強壮剤:平成 17 年 8 月 25 日付け
薬食監麻発第 0825002 号による迅速分析法
グリベンクラミド:広島県報告(薬学雑誌 129(1)163-172(2009))参照
2 装置
LC/MS(Waters 製 ZQ2000MS)
LC/MSMS(ABI 製 API4000)
HPLC(島津製 LC-10Avp)
【結果】
LC/MS 及び PDA によるスクリーニング検査を行った。強壮剤は既存の医薬品成分を化学修飾した新
規化合物が混入された事例が多く報告されている。このことからより多くの化合物を分析できるように、
通常の検査より分析時間を延長させ、移動相のアセトニトリル濃度を 70%から 90%まで上げて分析を
行った。
PDA
UV spectra
TIC
図1
錠剤のクロマトグラム
UV spectra
ESIMS spectra
図2
9.1 分付近の UV スペクトル及び
マススペクトル
ESIMS spectra
図3
23.5 分付近の UV スペクトル及び
マススペクトル
その結果、
9.1 分及び 23.5 分付近にピークを認めた(図1)。
9.1 分付近のピークは 227nm 及び 293nm
付近に極大吸収を持ち、マススペクトルではポジティブモードにおいて m/z475 のイオンピークを認め
46
た(図2)。これはシルデナフィルの極大吸収データと一致し、m/z475 は(M+H)+に由来する分子イオ
ンピークと考えられることから含有が示唆された。また、23.5 分付近のピークはこれまでに報告されて
いるシルデナフィル類似体とは異なっていた。患者が低血糖を起こしていること、また近年強壮効果を
謳う健康食品から血糖降下剤が検出されていることからこれらの含有が疑われた。調査した結果、UV
スペクトル及びマススペクトルがグリベンクラミドのデータと類似していることがわかった。UV スペ
クトルでは 229nm 及び 300nm 付近に極大吸収を持ち、マススペクトルではポジティブモードにおいて
m/z494 は(M+H)+に由来する分子イオンピーク、m/z369 はアミノヘキシル部分が脱離したフラグメン
トイオンと考えられた(図3)
。
そこで、確認のため標準品との比較を行うことにした。シルデナフィルについては標準品を所持して
いたが、グリベンクラミドは標準品を所持しておらず、確保に時間を要するため代用として即時入手可
能な医療用医薬品を用いることとした。
グリベンクラミド標準品
494.1/369.2
シルデナフィル標準品
475.2/58.2
494.1/169.0
検体
図4
475.2/100.1
検体
LC/MSMS による標準品との比較
測定条件
LC/MS カラム:Mightysil RP-18 GP 150-2.0(3μm)
カラ ム温度: 40℃ 移 動相: A)H2O B)1% HCOOH
C)CH3CN グ ラ ジ エ ン ト 条 件 : A:B:C=70:10:20 →
30:10:60(20min) → 0:10:90(25min) → 70:10:20(30min)
流速:0.2 ml/min 注入量:5μl イオン化モード:ESI(+)
HPLC カラム:Wakosil-Ⅱ 5C18HG 150-4.6(5μm) カ
ラム温度:40℃ 移動相:A) CH 3CN
B)25mmol/L
NaH2PO4 aq.
グ ラ ジ エ ン ト 条 件 : A:B =40:60 →
40:60(5min)→60:40(15min)→60:40(20min)
流速:1.0
ml/min 注入量:10μl 測定波長:230nm
LC/MSMS カラム:Atlantis T3 150-2.1(3μm) カラム
温度:40℃ 移動相:A) 2mM CHOONH4 0.05% HCOOH
aq. B)MeOH グ ラ ジ エ ン ト 条 件 : A:B =80:20 →
80:20(1min)→10:90(12min)→10:90(20min) 流速:0.2
ml/min 注入量:1μl イオン化モード:ESI(+) 測定モ
ード:MRM イオンソース温度:400℃ イオンスプレー電
圧:5500V
シルデナフィル、グリベンクラミドともに
LC/MSMS により感度よく確認することができた
(図4)。また、LC/MS ではポジティブ・ネガテ
ィブ測定による確認を行い、それぞれ(M+H)+ 、
(M-H)-が検出され、これらは分子量を支持する結
果であった。それぞれについて定量した結果、1
錠中からシルデナフィル 34mg、グリベンクラミ
ド 74mg が検出された。ただし、検体量が少ない
ことや標準品が定量用標準品でないため概算値で
あるが、グリベンクラミドの含有量ははるかに常
用量(最大 10mg)を超えるものであった。
【まとめ】
今回のように含有成分が不明である場合、既存の医薬品成分を化学修飾した新規化合物や他の医薬品
成分が含まれていることを念頭におき、充分な条件で測定を行うことが必要である。また、今回の検査
では他の国内報告事例と同様の医薬品成分であったため、試験方法などの情報収集を迅速に行うことが
できた。しかし、海外では他のスルホニル尿素系血糖降下剤の検出事例もあり、注意が必要である。
47
魚介類中の水銀及び金属類の含有調査について(静岡近海鮮魚及び市内流通加工品)―第 5 報―
伊藤誠
武田美穂
石川和子
稲葉彰乃
齋藤直樹
松田智治
【はじめに】
魚介類は、良質なたんぱく質や高度不飽和脂肪酸を多く含み、ミネラル等も豊富で健康を維持する上
で非常に優れた食品である。しかし、自然界に存在する水銀を体内に蓄積するため、一部の魚介類につ
いては水銀濃度が他の魚介類と比較して高いものも見受けられる。そこで、昭和 48 年に厚生省から出さ
れた通知により、魚介類の水銀の暫定的規制値が設定された(総水銀 0.4ppm 以下)。また、胎児に対す
る影響の可能性を懸念する報告があり、平成 17 年に厚生労働省で妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する
注意事項の見直しがされている。
実際、当所における平成 17 年度、18 年度の行政検査において、メイゴ、カマス、赤カレイから暫定
的規制値を超える水銀が検出された。このようなことから、静岡市近海の鮮魚及び市内に流通する魚介
加工品について水銀量を測定し本海域の実態を調査することは、食の安全安心の観点から有意義である
と考えられる。
【調査目的】
静岡市は駿河湾に面しており、黒潮からの回遊魚や深海性、磯物などの多種多様の魚介類が水揚げさ
れ、四季折々様々な魚介類が楽しめる。そのため、水産物を扱う業者数も多く、地場産物品の実態調査
を行うことは静岡市の研究所としての責務と考えられる。そこで、静岡市近海の鮮魚及び市内流通魚介
加工品について、水銀量、及びその他の金属類の量についても測定し、その含有量を把握することを目
的とし、平成 17 年度から継続して調査を行っている。今回、平成 21 年度分として行った調査結果を第
5 報として報告する。
【検査方法】
市内にて静岡近海魚及び加工品を購入し、検体として用いた。各検体をフードプロセッサーなどを用
いて均一な状態にし、その 1g を採取、硝酸、過酸化水素を用いてマイクロウェーブにて分解後、水銀測
定装置及びICP発光分光分析装置で測定を行った(Fig. 1)。
検体採取量
1g
硝酸 10ml
過酸化水素水 3ml
マイクロウェーブ分解
20ml にメスアップ
2ml 分取
10ml 分取
(1+20)硫酸で
20ml にメスアップ
水銀測定装置
Fig. 1
イットリウム 1ml
(1+26)硝酸で 20ml にメスアップ
ICP 発光分光分析装置
水銀、金属測定方法
【調査結果及び考察】
測定結果は、Table 2 のとおりとなった。
水銀については、暫定的規制値を超えた検体はなかった。水銀含有量に夏と冬で差は認められなかっ
た。魚の体重及び体長と水銀含有量との関連性が示唆された。
その他の金属類については、シラスなどの小魚や桜エビにカルシウムが多く存在した。貝類に鉄が、
甲殻類や頭足類、貝類からヒ素が多く検出された。また、前年度検出されなかったカドミウムが、貝類
48
と桜エビから検出された。従来から、カドミウムは甲殻類や軟体動物に、鉄は貝類に、亜鉛や銅、ヒ素
は甲殻類や軟体動物に多いことがいわれており、今回の調査もこれらに準じた結果となっている。
調査結果の金属濃度について、JECFA で定めている暫定耐容週間摂取量等と比較して健康上問題のな
い値であると考えられる。
【まとめ】
過去の調査と同様に、本調査で測定した静岡市近海の魚介類及び魚介類加工品から水銀及びその他金
属に汚染が疑われるものはなかった。しかし、食の安全安心が注目されている中、日本有数の水揚げ港
をもつ静岡市の研究所として今後も調査を続け、データを蓄積することは大切であると考える。
Table 2
金属含有量の測定結果(μg/g)
49
・単位は体長 cm、体重 g である。
・アジ*はアジを全量処理したものである。
50
市販ミネラルウォーター中のVOC及びTOC濃度について
齋藤直樹
杉山直子
髙木俊輔
木下恵美子
【はじめに】
近年、都市部を中心に飲料水の安全志向が高まり、ボトル入り「水」(以後ミネラルウォーターと記)
が一般的に飲用されるようになってきている。また生活環境の無臭化により嗅覚が悪臭に対して敏感に
なっていると言われている。2008年頃からミネラルウォーターに対する異臭味が原因とされる製品
苦情が発生し、大規模な製品回収事例にまで波及している。
当該の回収事例はメーカーの広報等によると輸送・容器・梱包等の塗料等に含まれる有機溶剤成分が
製品容器(多くはペットボトル)を透過し、内部の水に移行した事が原因としている。
このような状況を踏まえ、静岡市内に
流通していたミネラルウォーター8種類
(表 1 に製品ラベル情報を記載)につい
て異臭味苦情の原因とされた有機溶剤等
の揮発性有機化合物(VOC成分)と有
機物汚染指標として用いられる全有機体
炭素(TOC)及び過マンガン酸カリウ
ム消費量(KMnO 4 消費量)について
調査を行ったので報告する。
表1
ミネラルウォーター製品情報
【検査方法】
(1)VOC成分測定方法
JIS K0125の5.1によるパージアンドトラップ質量分析装置(島津製作所製GCMS-QP
2020Plus
TekmarAQUAPT5000Jシステム)にてVOC23成分について測定
を行った。
(2)TOC及びKMnO 4 消費量測定方法
JIS K0102の22.1による全有機体炭素濃度計(島津製作所製TOC-V
CSHシステ
ム)及び厚生労働省告示第二百六十一号別表第四十五に定める方法による有機物等(滴定法による過マ
ンガン酸カリウム消費量)にて測定を行った。
【VOC測定結果】
Sample
基準値等
S社
S社
O社
A社
K社
C社
S社
K社
1,1-ジクロロエチレン
ジクロロメタン
トランス-1,2-ジクロロエチレン
シス-1,2-ジクロロエチレン
クロロホルム
1,1,1-トリクロロエタン
四塩化炭素
1,2-ジクロロエタン
ベンゼン
トリクロロエチレン
1,2-ジクロロプロパン
ブロモジクロロメタン
シス1,3-ジクロロプロパン
トルエン
トランス-1,3-ジクロロプロパン
1,1,2-トリクロロエタン
テトラクロロエチレン
ジブロモクロロメタン
m,p-キシレン
o-キシレン
ブロモホルム
1,4-ジクロロベンゼン
総トリハロメタン
MAX
MIN
AVE
0.1
0.02
0.04
0.00302
0.00004
0.00005
0.00090
0.00003
0.00003
0.00002
0.00002
0.00218
0.00014
0.00008
0.00005
0.00002
0.00139
0.00049
0.00004
0.00015
0.00008
0.00302
0.00002
0.00051
0.00181
0.00004
0.00005
0.00002
0.00097
0.00009
0.00002
0.00003
0.00002
0.00179
0.00014
0.00003
0.00005
0.00099
0.00025
0.00004
0.00046
0.00016
0.00181
0.00002
0.00040
0.00171
0.00015
0.00009
0.00365
0.00089
0.00019
0.00005
0.00002
0.00002
0.00509
0.00005
0.00007
0.00004
0.00003
0.00596
0.00503
0.00006
0.00036
0.00020
0.00596
0.00002
0.00130
0.00100
0.00006
0.00007
0.00004
0.00078
0.00006
0.00005
0.00003
0.00003
0.00160
0.00008
0.00005
0.00005
0.00003
0.00097
0.00045
0.00004
0.00008
0.00017
0.00160
0.00003
0.00030
0.00113
0.00000
0.00010
0.00088
0.00003
0.00072
0.00003
0.00002
0.00003
0.00003
0.00160
0.00012
0.00006
0.00012
0.00005
0.00101
0.00034
0.00004
0.00009
0.00022
0.00160
0.00000
0.00034
0.00105
0.00001
0.00009
0.00002
0.00075
0.00004
0.00002
0.00003
0.00002
0.00139
0.00000
0.00005
0.00007
0.00004
0.00083
0.00021
0.00003
0.00019
0.00018
0.00139
0.00000
0.00027
0.00092
0.00000
0.00035
0.00003
0.00075
0.00004
0.00002
0.00004
0.00002
0.00179
0.00005
0.00004
0.00004
0.00006
0.00089
0.00026
0.00003
0.00008
0.00048
0.00179
0.00000
0.00030
0.00100
0.00005
0.00011
0.00004
0.00071
0.00008
0.00003
0.00002
0.00136
0.00007
0.00003
0.00005
0.00083
0.00023
0.00004
0.00046
0.00019
0.00136
0.00002
0.00032
0.06
0.3
0.004
0.01
0.03
0.03
0.2
0.006
0.01
0.1
0.4
0.09
0.1
表2
HPLC用
蒸留水
0.00063
0.00094
0.00017
0.00220
0.00006
0.00074
0.00220
0.00003
0.00003
0.00002
0.00132
0.00009
0.00003
0.00003
0.00003
0.00080
0.00024
0.00003
0.00009
0.00228
0.00220
0.00002
0.00051
milliQ水
0.00046
0.00002
0.00006
0.00003
0.00066
0.00004
0.00002
0.00002
0.00002
0.00127
0.00011
0.00007
0.00003
0.00002
0.00080
0.00020
0.00005
0.00005
0.00015
0.00127
0.00002
0.00022
V O C 測 定 結 果 表 ( 単 位 :mg/ℓ)
研究所
水道水
0.00044
0.00650
0.00002
0.00073
0.00007
0.00003
0.00624
0.00002
0.00189
0.00011
0.00007
0.00004
0.00659
0.00159
0.00046
0.00135
0.00007
0.02068
0.00659
0.00002
0.00154
グラフ1
51
VOC測定結果グラフ
VOC測定結果を表2及びグラフ1に示す。今回の調査ではミネラルウォーター8種と共に、対照と
して試験検査用水「HPLC用蒸留水」、超純水製造装置による「ミリQ水」、当研究所給水栓水「研究
所水道水」について測定を行った。
現状では製品としてのミネラルウォーターにはVOC成分の基準が存在せず、原料水について水道水、
または清涼飲料水の原水基準に適合する事となっている。清涼飲料水の原水基準についてもVOC成分
の基準は存在しないため、ミネラルウォーターは水道水を原料としていなければVOC成分については
全くの未規制ということになる。 表2では便宜上、水道水の基準値及び指針値を記載した。
No3のサンプルでは「1,2-ジクロロエタン」「トルエン」「キシレン」等が高値を示した。これ
らは塗料や印刷インキの有機溶剤として使用される物質である。研究所水道水では「クロロホルム」
「ブ
ロモジクロロメタン」
「ジブロモクロロメタン」等が高値を示した。これらの物質は水道水の塩素滅菌に
起因する消毒副生成物(トリハロメタン)である。
今回の調査においては水道水質基準に照らし合わせても特に問題のある値は無かった。
【TOC・KMnO 4 消費量測定結果】
測定項目 基準値等
TOC
3
KMnO4 3
S社
0.12
0.11
表3
S社
0.36
0.16
O社
1.07
1.14
A社
0.15
0.10
K社
0.15
-
C社
0.14
-
S社
0.12
-
K社 HPLC用蒸留水 mil iQ 水 研究所水道水
0.33
0.03
0.0 2
0.0 6
0.19
0.17
-
T O C 及 び K M n O 4 消 費 量 測 定 結 果 表 ( 単 位 :m g/ℓ)
TOC及びKMnO 4 消費量測定結果を表3及びグラフ2に
示す。表中の基準値等についてはVOCと同様に水道水の基準
値及び指針値を記載した。
TOC及びKMnO 4 消費量共にNo3のサンプルが高値を
示した。No3と同様にVOC測定で高値を示した研究所水道
水だがTOC及びKMnO 4 消費量については共に低値を示した。
グラフ2
T O C ・ K M n O 4グ ラ フ
今回の調査においては水道水質基準に照らし合わせても特に問
題のある値は無かった。
【まとめ】
相関係数
V O C /T O C
0.4676
T O C /K M n O 4
0.9528
表4
V O C /T O C /K M n O 4 相 関 係 数
グラフ3
V O C /T O C 回 帰 分 析 ( 中 央 )
グラフ4
T O C /K M n O 4 回 帰 分 析 ( 右 )
VOC/TOC及びTOC/KMnO4 消費量について相関係数を求め回帰分析を行った。VOC/TO
Cの間には相関は認められなかったが、TOC/KMnO 4 の間には高い相関が認められた。
ミネラルウォーター中にはKMnO 4 消費量に影響を及ぼす窒素化合物・硫黄化合物の含有量が低か
ったためTOC/KMnO4 の間に高い相関を持ったものと考えられる。排水・環境水・飲用温泉水等で
あれば数値に差が出る可能性がある。
VOC/TOCの相関が低かった要因としては各種VOC成分としては物質により内在している炭素
量に差があるためであると考えられる。(例:キシレン C 8 H 10 に対しクロロホルム CHCl3 )
VOC濃度が高値を示したサンプルは人によっては臭気として感じられる可能性がある。また、この
サンプルについては水質分析用ブランク水として用いることは好ましくないといえる。
同一製品であってもメーカー側が言っているように、製造・輸送・保管時に容器や梱包からの汚染が
あると考えれば、季節ごとや製造ロットごとの定期的な調査が必要であると思われる。
52
河川水質実態調査
-PFOS・PFOA の分析方法について-
木下恵美子 後藤直見
【はじめに】
ペルフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロオクタン酸(以下 PFOS・PFOA と略す)を代表的とする有
機フッ素系化合物は、強い撥水性・撥油性、化学的安定性や熱安定性などの性質を併せ持ち、その高い利便
性から撥水剤、表面コーティング剤、界面活性剤等として世界各国で幅広い用途に用いられている。
しかし、近年 PFOS 類の環境水や野生動物での検出事例が報告されており、その環境挙動、生物への蓄積性、
毒性等が注目されている。また、他の自治体や研究施設において検出事例も報告されていることから、静岡
市内河川水の PFOS 類による汚染の実態調査を行うこととした。
【採水地点】
市内一級河川である安倍川水系において、平成 21 年 3 月 11 日と 11 月 10 日の 2 回、計 11 地点の調査を実
施した。
【分析方法】
水質試料 1000mL を、固相カラムを用いて 1000 倍濃縮しメタノールで 1mL に定容した。その後、LC/MS/MS
にて測定を行った。(図 1 及び図 2)
水質試料 1000mL
機種:ABI 社製 API4000
↓
<LC 条件>
OASIS HLB Plus
カラム:Inertsil ODS-sp
↓10mL/min 100min
流量:0.2mL/min
↓
A:2mM 酢酸アンモニウム溶液
↓40%メタノール
5mL
B:アセトニトリル
↓100%メタノール
10mL
0min
B 40%
↓
10min B 100%
↓N2 パージ
注入量:10μL
↓
<MS/MS 条件>
1mL 定容(メタノール)
ESI
Negative モード
↓
PFOS:499.00→80.00
LC/MS/MS 分析
PFOA:413.04→368.90
図1 分析方法
図2 測定条件
【結果】
第1次調査結果(平成 21 年 3 月 11 日)
狩野橋
牧ヶ谷橋
安倍川橋
安倍川河口
丸子川河口
PFOS(ng/L)
<0.1
<0.1
<0.1
2.6
1.4
PFOA(ng/L)
<0.2
0.37
0.37
21
3.4
第2次調査結果(平成 21 年 11 月 10 日)
野郎島
安倍川
安倍川河口
安倍川河口
ぺったん
丸子川
橋
橋
①
②
橋
河口
0.15
0.28
0.26
3.2
2.2
2.3
2.3
1.6
5.2
13
52
48
5.2
9.3
曙橋
辰起川
産女
PFOS(ng/L)
<0.1
0.16
PFOA(ng/L)
13
2.8
53
【考察】
安倍川水系のほとんどの地点で PFOS 類が検出されたことより、静岡市内においても PFOS 類の存在が懸念
される。また、上流域と比較し、河口付近では高めに検出される傾向にあった。測定結果により、安倍川水
系は概ね人為的汚染の少ない河川であると考えられる。
【今後の検討課題】
安倍川水系の季節変動、採水地点なども考慮しながら、データの集積を行う。また、PFOS 類分析用の新た
な固相カラムやブランク水等の検討もふまえ、かつ精度の向上を図るためにも分析方法の更なる検討を実施
する。
なお、他の自治体からの検出事例も報告されていることから、今後は安倍川水系のみでなく、静岡市内の
他の河川・水域についても実態調査を行い、データ集積を行っていく方針である。
【参考】
米国における飲用水規制等※1)
US
EPA
期日
対象
規制値(ng/L)
2006.11
PFOA
500
排出事業者が飲用水を
確保
ノースカロライナ
2006.2
PFOA
2000
暫定的許容レベル
2007.1
PFOA
1000
健康ベースの勧告値
PFOS
600
PFOA
40
州
ミネソタ州
ニュージャージー
2007.2
暫定的飲用水指針値
州
河川水評価の目安※1
1ng/L 以下: きれいな河川
1~10ng/L: 人為的汚染がわずかにみられる河川
数十 ng/L: 下水などの影響がある河川
数百~数十万 ng/L: 近くに汚染源がある河川
※1)出典:有機フッ素系化合物による環境汚染(齋藤憲光、佐々木和明、八重樫香ら 岩手県環境保健研究
センター ぶんせき 2009.8)
地域別平均値※2)
PFOS の海域・湖沼等での検出事例※2)
PFOS(ng/L)
東京湾:8~59ng/L
PFOA(ng/L)
北海道~東北
1.19
0.97
大阪湾:4 未満~21ng/L
関東
3.69
2.84
琵琶湖:4 未満~7.4ng/L
中部
1.08
2.50
有明海:9 未満~11ng/L
近畿
5.73
21.5
中国
1.00
1.51
九州~四国
0.89
1.93
最高値は 67,000ng/L(大阪 安威川)
※2)出典:新規追加 POPs 類の環境中存在実態について
柴田康行、高澤嘉一 水環境学会誌 Vol.32 No.11(2009)
54
4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)等の分析方法の検討について
木下恵美子
杉山直子
【はじめに】
静岡市の工場跡地及びその周辺の民有地の土壌中に農薬等を埋設したままにしているとの情報が寄せられ
た。周辺の地下水の調査を行ったところ、当該地点近くの河川護岸の浸出水(以下、浸出水)より農薬およ
び 4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(以下、MBOCA)が検出された。その測定方法について検討を行
い、良好な結果を得たので報告する。
【GC/MS による農薬の一斉スクリーニング】
(1)方法
当該工場の製造品目より、農薬類の汚染が考えられたため、浸出水の GC/MS での一斉スクリーニングを行
った。前処理として固相カラムを用い 1000 倍濃縮し、GC/MS にて解析を行った。分析方法を図1に、測定条
件を図2に示す。
(2)結果
16 地点のスクリーニングの結果、1 地点において nist ライブラリーより MBOCA を含有していることが推測
された。結果を図3に示す。後日入手した標準品ともリテンションは一致し、MBOCA の定量値は 0.11mg/L であ
った。その他にも同検体より有機塩素系農薬なども検出され、0.003mg/L であった。日を改めて再度採水し、
分析することとなった。
なお、スクリーニングの結果を受けて、それぞれ分析方法の異なる MBOCA と有機塩素系農薬の同時試験を
目指し、分析方法の検討も合わせて行った。
<農薬スクリーニング方法>
試料 1000mL
↓
固相カラム(PS-2)
↓
ジクロロメタン溶出
↓
1mL 定容(アセトン転溶)
↓
GC/MS
〔図1
分析方法〕
<GC/MS 測定条件>
機種:Saturn2000
MBOC
I.T.:260℃
Valve:285℃
He Flow:1.2mL/min
Pulse:40psi
0-1.5min
検体
Oven:50(1min)-25/min
-125(0min)-10/min
-300(6.5min)
Column:VF-5(EZ-Guard 付)
30m×0.25mmφ×0.25μm
Scan 範囲:60~450
〔図2
測定条件〕
標準品
〔図3 スクリーニング結果〕
【MBOCA と有機塩素系農薬の同時試験法の検討】
(1)方法
要調査項目等調査マニュアル(平成 14 年 3 月)における MBOCA の分析方法によると、ジクロロメタンで抽
出後、脱水濃縮し、N-メチルビストリフルオロアセトアミド(MBTFA)により TFA 化を行い、GC/MS で定量す
ることとなっている。しかし、今回の MBOCA の定量において先の分析方法では感度が不十分であった。そこ
55
で、GC/ECD にて検討を行ったが、MBOCA のピークはまったく確認できなかった。GC による測定では、低濃度
においては温度条件により MBOCA の分解が促進されてしまったと予想されたため、分析は LC/MS(図4)に
て行うこととした。また、MBOCA は少量のヘキサンやメタノールに溶けにくい傾向が見られたため、フロリ
ジル精製を省略し、メスアップにはアセトン及びアセトニトリルを使用することとした。分析方法は図5に
示す。
なお、有機塩素系農薬の分析は、農薬等の環境残留実態調査分析法によりヘキサンで抽出後、フロリジル
精製を行い、GC/ECD で定量することとした(図5)
。
<LC/MS 測定条件>
<有機塩素系農薬と MBOCA の分析フロー>
機種:Waters ZQ
試料 100mL
Column:Mightysil RP18 MS
↓ヘキサン抽出
150mm×2.0mmφ(5μm)
↓脱水・減圧濃縮
Flow:0.2mL
アセトン2mL
Solvent:メタノール/酢酸アンモニウム Buffer
↓
Oven:40℃
1mL 分取
1mL 分取
Ion Mode:ES+
↓ヘキサン転溶
Mass:267.10(M+H)
↓フロリジル CC
Cone Voltage:40V
0.5mL(GC/ECD)
Dwell:0.5s
<有機塩素系農薬>
〔図4
MBOCA 測定条件〕
アセトニトリル転溶
0.5mL(LC/MS)
<MBOCA>
〔図5 分析方法〕
(2)結果
上記の分析方法、測定条件により有機塩素系農薬と MBOCA の同時分析を行うことが可能であった。分析結
果として浸出水より MBOCA が 0.006mg/L、有機塩素系農薬が 0.002mg/L 検出された。結果は図6、図7に示
す。MBOCA、有機塩素系農薬ともに一次調査よりも低い値であったが、これは浸出水が降雨などの影響を受け
ているためと考えられる。
検体
MBOC
標準品
〔図6
LC/MS 結果〕
56
検体
標準品
〔図7 MBOCA の MS スペクトル〕
【まとめ】
工場跡地周辺の浸出水より MBOCA 及び有機塩素系農薬を検出した。MBOCA は LC/MS にて低濃度の分析が可
能であった。検出項目が MBOCA と有機塩素系農薬であったため、試験法に違いがあり、測定を行うためには
本来なら2回の濃縮操作を行う必要があった。しかし今回検討した同時試験法では、一回の濃縮操作で測定
まで行うことができ、分析操作の効率を向上させ迅速に結果を報告することが可能であった。
また、MBOCA は GC/MS にて測定する際、高温では分解してしまうことがわかり、温度負荷の少ない LC/MS
での分析方法を検討した。
【参考】
MBOCA(3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン
CAS 番号 101-14-4)は化学物質審査規制法で
は第二種監視化学物質とされ、製造数量または輸入数量などを届け出なければならない物質である。また、
PRTR 法では第一種指定化学物質に指定されている。PRTR データによると、ウレタン樹脂の硬化剤として用い
られ、国内では年間 4000t(2001 年)が製造されている。物理的性質は無色の固体、200℃以上で分解され、環
境中生物濃縮性はなく、難分解性であり、毒性遺伝毒性・発ガン性が認められている。
57
Ⅴ
資
料
59
1 精度管理調査実施状況
(1)外部精度管理調査参加状況
実施機関及び名称
実施年月
試料
測定項目等
静岡県環境保全協会
第89回水質クロスチェック
H21.7
模擬排水試料
pH、SS、COD、BOD
第90回水質クロスチェック
H21.11
模擬排水試料
pH、SS、COD、BOD
H21.9
模擬水質試料
COD、全窒素、硝酸性窒素
模擬廃棄物試料
鉛、銅
模擬大気試料
ベンゼン、1,3-ブタジエン、トリクロ
(財)日本環境衛生センター
環境測定分析統一精度管理調査
ロエチレン、テトラクロロエチレン、
ジクロロメタン、アクリロニトリル、塩
化ビニルモノマー、クロロホルム、
1,2-ジクロロエタン
酸性雨測定分析精度管理調査
H21.11
模擬降水試料
pH、EC、SO42-、NO3-、Cl-
Na+、Ca2+、K+、Mg2+、NH4+
(財)食品薬品安全センター
H21.6
漬物
着色料
(酸性タール色素、許可色素)
食品衛生外部精度管理調査
(2)内部精度管理実施状況
実施年月
試 料
H21.6
ハンバーグ
大腸菌群検査
H21.7
寒天状基材
一般細菌数測定検査
H21.7
しょう油
安息香酸
H21.8
マッシュポテト
黄色ブドウ球菌検査
H21.10
とうもろこし
クロルピリホス、フェニトロチオン
H21.10
液卵
サルモネラ属菌検査
H21.10
にんじんペースト
チオベンカルブ、マラチオン、クロルピリホス
H21.11
ハンバーグ
E.coli検査
H21.11
鶏肉ペースト
スルファジミジン
測定項目等
分析者数
H22.2
牛乳
一般細菌数
3
H22.3
ワイン
ソルビン酸
4
2 技術講演会開催状況
実施年月日
H21.11.20
演
題
講
師
静岡県立大学 食品栄養科学部
食を通して、生を衛る(まもる)
准教授 増田 修一
60
3 共同研究
研究テーマ
事業主体
浮遊粒子状物質合同調査(PM2.5 調査)
浮遊粒子状物質調査会議
清涼飲料水中の汚染原因物質に関する研究
国立医薬品食品衛生研究所
共同研究機関
東京都、横浜市他 14 自治体
三井農林株式会社食品総合研
究所
他 7 団体
4 学会・研究会等への発表
(1)地場農産品(いちご)の残留農薬実態調査
全国衛生化学技術協議会(H21.11.12 盛岡市)
(2)4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)等の分析方法の検討について
静岡県公衆衛生研究会(H22.1.27 静岡市)
(3)性器クラミジアに対する抗原、抗体及び遺伝子検査の比較
静岡県公衆衛生研究会(H22.1.27 静岡市)
(4)静岡市内のビブリオ属の検出状況について
静岡県公衆衛生研究会(H22.1.27 静岡市)
(5)医薬品成分を含む健康食品検査事例について
静岡県公衆衛生研究会(H22.1.27 静岡市)
(6)清涼飲料水中の汚染原因物質に関する研究
厚生労働省科学研究費補助金報告書
5 定例発表会の開催
調査研究等で得られた成果、情報等の8テーマについて関係課職員を対象に発表を行った。
(H22.2.17 静岡市薬剤師会館)
(1)二酸化炭素環境調査(市街地と山間地の実態調査)
(2)過マンガン酸カリウム消費量とTOCの関連性について
(3)河川水質実態調査(PFOS、PFOAの分析方法について)
(4)市販ミネラルウォーター中のVOC及びTOC濃度について
(5)魚介類中の水銀及び金属類の含有調査について(第5報)
(6)平成21年度における苦情対応等の取組について
(7)管内で発生した黄色ブドウ球菌による食中毒事例について
(8)クラミジア検査法の比較~Chlamydia trachomatis に対する抗原、抗体及び遺伝子検査~
61
6 講座の開催
(1)夏休み講座
開催日
講座名
開催場所
対象者・人数
講師
H21.7.30
親子で学ぶ食の安全
環境保健研究所他
小学生高学年 49 人
生活科学担当
H21.8.6
におい博士にチャレンジ
環境保健研究所
小学生高学年 11 人
H21.8.6
環境科学担当
ミクロの世界をのぞいてみよう
微生物学担当
(2)食の安全教室
開催日
講座名
開催場所
対象者・人数
講師
H21.6.2
食品の科学検査を理解しよう
清水和田島小学校
小学 5~6 年生 18 人
生活科学担当
H21.6.12
食品の科学検査を理解しよう
千代田小学校
小学 6 年生 134 人
生活科学担当
H21.6.16
食品の科学検査を理解しよう
井宮小学校
小学 6 年生 93 人
生活科学担当
H21.6.17
食品の科学検査を理解しよう
清水第七中学校
中学 2 年生 69 人
生活科学担当
(3)その他の講座
開催日
講座名
開催場所
H21.8.6
食品添加物って大丈夫?
江尻生涯学習交流館
62
対象者・人数
一般市民(女性)
35 人
講師
生活科学担当
7 学会・研修会・会議等への参加
年 月 日
H21. 5.14~15
6.4
6.4
6.5
6.17
7.10
7.9~10
7.10
7.15
7.15
7.29
8.24
8.26~28
8.27~28
8.28~9.1
9.8
9.9
9.14
9.17~18
9.25
10.5~6
10.8~9
10.20
10.20~21
10.23
10.23
10.26
10.27~28
10.29~30
11.6
11.11
11.12~13
11.20
11.25~12.10
12.3~4
12.10
12.17
H22. 1.15
1.25
1.25
2.4~5
2.5
2.9
2.18
2.19
2.23~24
2.24
2.24
2.25
2.25
2.25~26
2.26
名 称
第97回日本食品衛生学会学術講演会
平成21年度食品安全行政講習会
平成21年度地衛研全国協議会臨時総会
清涼飲料水中の汚染原因物質に関する研究会議
平成21年度第1回浮遊粒子状物質調査会議
平成21年度第1回静岡県残留農薬分析法検討会
衛生微生物技術協議会第30回研究会
東海地区環境試験研究機関所長・総務課長等会議
第63回地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部総会
器具・容器包装に残存する化学物質に関する研究会議
環境測定分析統一精度管理ブロック会議(全環研関東甲信静支部)
平成21年度食品衛生検査施設信頼性確保部門責任者等研修会
ガスクロマトグラフ研修/アジレント・テクノロジー
平成21年度指定都市衛生研究所長会議
抗酸菌検査実習コース(応用)
平成21年度全国環境研協議会関東甲信静支部 大気専門部会
平成21年度地域保健総合推進事業 関東甲信静ブロック会議
平成21年度地域保健総合推進事業 東海北陸ブロック会議
第50回大気環境学会年会
平成21年度第2回浮遊粒子状物質調査会議
平成21年度地衛研全国協議会関東甲信静支部 ウィルス研究部会
地域保健総合推進事業 東海北陸ブロック微生物部門専門家会議
第60回地衛研全国協議会総会
日本食品微生物学会30周年記念学術総会
平成21年度全国環境研協議会関東甲信静支部 水質専門部会
地域保健総合推進事業 関東甲信静ブロック微生物部門専門家会議
平成21年度東海地区環境試験研究機関会議 大気・騒音分科会
ウォーターズLC/MS基礎概論研修
地域保健総合推進事業 東海北陸ブロック理化学部門専門家会議
平成21年度第2回静岡県残留農薬分析法検討会
ウォーターズLC/MS基礎概論研修
第46回全国衛生化学技術協議会年会
平成21年度東海地区環境試験研究機関会議・水質分科会
水質分析研修 環境調査研修所
先進都市、産廃処理施設視察
平成21年度東海地区環境試験研究機関会議・化学物質分科会
平成21年度第3回浮遊粒子状物質調査会議
地域保健総合推進事業 関東甲信静ブロック理化学部門専門家会議
平成21年度地域保健総合推進事業 第2回地域ブロック会議
器具・容器包装に残存する化学物質に関する研究会議
平成21年度地衛研全国協議会関東甲信静支部 細菌研究部会
平成21年度第3回静岡県残留農薬分析法検討会
LC/MS/MS(API4000)中級定量トレーニング
清涼飲料水中の汚染原因物質に関する研究会議
平成21年度地衛研全国協議会関東甲信静支部 理化学研究部会総会
ウォーターズEmpower TM2基礎コース
しずおか環境調査研究推進連絡会議
特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会
平成21年度第4回浮遊粒子状物質調査会議
平成21年度全国環境研協議会総会
平成21年度希少感染症診断技術研修会
平成21年度地方公共団体環境試験研究機関等所長会議
63
場
所
東京都
和光市
東京都
東京都
東京都
静岡市
堺市
浜松市
茅ヶ崎市
東京都
川崎市
東京都
横浜市
札幌市
東京都清瀬市
甲府市
横浜市
名古屋市
横浜市
東京都
東京都
名古屋市
奈良市
東京都
宇都宮市
笛吹市
東京都
東京都
名古屋市
浜松市
東京都
盛岡市
浜松市
所沢市
福岡市他
静岡市
東京都
宇都宮市
横浜市
東京都
前橋市
静岡市
東京都
東京都
千葉市
東京都
浜松市
静岡市
東京都
東京都
東京都
東京都
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