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官民協働による地域ポータルサイトの 運営に関する
プ ロ ジェクト 紹 介 Project File 地域サイト運営におけるヒントを提示する 官民協働による地域ポータルサイトの 運営に関する調査研究業務 財団法人 地方自治情報センター(LASDEC)/2008 年度 ヒアリング調査を実施した。これらの事例におい ●地域サイトによる情報発信・情報交流への期待 ては、既存の民間サイトを行政が公認することで 現在、ほとんどの自治体でホームページを設置 負担を抑えながら地域サイトを構築したり、図書 し、情報発信を行っているが、それだけでは自治 予約等の日常的なサービスと組み合わせることで 体からの行政情報の発信のみに限られてしまう場 利用者のベースを構築するなど、さまざまな運営 合も多い。地域の社会・経済の活性化のためには、 上の工夫がなされている(図表) 。これらの工夫 行政だけでなく、住民や地域企業等の民間も運営 を、前述の運営の要素ごとに集約することで、運 主体や情報源としてかかわり、一体となって地域 営におけるヒントとして整理した。 情報を集約していく「地域サイト」による情報発 信・情報交流が期待されている。全国各地でこの ●運営に関する情報の連携へ ような地域サイトが立ち上がっているが、運営費 地域サイトの運営は簡単なものではなく、運営 の問題をかかえるサイトや、コンテンツが十分更 手法に悩みをかかえることは少なくないだろう。 新されないサイトも見受けられる。そこで、本プ 単純なまねではうまくいかない場合でも、他地域 ロジェクトでは、官民協働による地域サイト運営 におけるさまざまな運営上の工夫、ヒントを知る のヒントを検討した。 ことが、新たなアイデアにつながることも考えら れる。本プロジェクトが、そのような運営に関す る情報の交流・連携の 1 つのきっかけとなること ●さまざまな運営上の工夫を集約 本プロジェクトでは、地域サイト運営の要素を を期待したい。 「目的・期待効果」 「運営体制」 「運営費」 「システ ム等」 「企画・編集」 「情報源」に切り分け、それぞ れの実態を全国の自治体を対象としたアンケート 調査で把握するとともに、特徴的な事例に関する 図表 ● お問い合わせ 地域経営研究本部 研究員 森崎千雅 TEL: 03-3277-0733 E-mail: [email protected] 調査対象事例の一覧および各事例における運営上の工夫の例 調査対象事例 青森県八戸市「はちみーつ」 群馬県草津町「湯 Love 草津」 千葉県木更津市「木更 CoN」 運営上の工 夫 の 例 特産品のアピールばかりでなく、 「まずは"ファン"をつくる」という認識で、住民・生産者とコミュニティを形成 小さな変化でも頻繁に更新することで、リピーター等に対して高い満足度を実現 「定住促進」のテーマであれば住宅メーカー等、Win-Winの関係になれる企業からの協賛金を活用して運営 東京都墨田区「いっしょにネッと」 行政がイベント交流等を積極的にコーディネートし、ネット上の交流とフェイス・トゥ・フェイスの交流の相乗効果を促進 神奈川県厚木市「マイタウンクラブ」 図書予約等、日常的に利用するサービスを提供することで会員登録を促し、情報交流のための基盤を構築 神奈川県川崎市「まいぷれ」 「川崎タウン」 地域にすでに存在する民間サイトを行政が公認し、行政情報を提供することで、初期コスト等の負担を最小限 「Bizloop かわさき」 「田園都市ドットコム」 に抑えながら、官民の情報発信・交流が可能な地域サイトを実現 長野県須坂市「いけいけすざか」 NPO 法人が運営主体になることで、新しいサービスや機能にも身軽にチャレンジできる自由度の高い運営を実現 和歌山県北山村「村ぶろ」 村長自身がブログやイベントレポートを執筆する等、行政が積極的かつこまめに関与することでサイトを活性化 長崎県新上五島町「みっか」 住民参加型の地域サイト構築により、合併後の地域住民の交流が促進され、いち早く一体感を醸成 資料:本プロジェクト報告書をもとに三菱総合研究所作成 40 自治体チャンネル No. 116 2010 プロジェクト紹 介 Project File 文化財行政とまちづくり行政の協働で歴史まちづくりを推進する 歴史的風致の維持及び向上に資する施策検討調査 国土交通省/2008 年度 網羅したガイドブック案の作成支援を行った。法 ●「歴史まちづくり法」の施行 「地域における歴史的風致の維持及び向上に関 する法律」 (以下、 「歴史まちづくり法」 )が、2008 律が定める「歴史的風致」の概念について実例を交 えて解説したり、すでに計画が認定された事例を もとに計画策定上のポイントを紹介している。 年 11月に施行された。この法律は、近年失われつ つある歴史的価値の高い建造物や歴史や伝統を反 ●歴史まちづくり法の活用に向けて 映した人々の生活を維持・向上させ、良好な環境 近年、所有者の高齢化や相続、人口減少による を後世に継承することを目的として制定されたも 担い手不足などの要因により、全国各地で歴史的 のである。これまでも多くの都市で地域固有の歴 建造物が急速に滅失し、良好な歴史的景観が失わ 史資産を活用したまちづくりは進められてきた れつつある。また、伝統的なまちなみにそぐわな が、この法律により、よりいっそう強力に進める い電線類や高層建築物の存在、細街路への通過交 ことが可能になった。 通による安全性の阻害など、歴史的な環境を取り 巻く課題は大きいものがある。歴史まちづくり法 ●歴史まちづくり法ガイドブックの作成 を活用することによって、歴史的資産を核とした 歴史まちづくり法は、市町村が歴史的風致維持 まちづくりに対し手厚い支援を受けられるように 向上計画を策定し、国の認定を受けることによっ なったことから、歴史的資産を活かして中心市街 て、法律上の特例措置や各種事業による支援等を 地の活性化を図るなど、地方都市の再生を図るう 受けることができる制度であり、2009 年 11 月末 えでの有力な処方箋となることが期待される。 日時点で 12団体の計画が認定されている。本プロ ジェクトでは、これから計画を策定しようとする お問い合わせ 市町村向けに歴史まちづくり法の趣旨、計画策定 社会システム研究本部 主任研究員 椿 幹夫 の考え方、先進的な事例、最新の支援措置などを TEL: 03-3277-0710 E-mail: [email protected] 図表 ●「歴史的風致」の概念 歴史上重要な建造物および周辺の市街地と人々の営みが一体となった 「歴史的風致」→ 計画対象 →維持および向上により個性豊かな地域社会の実現 都市の健全な発展と文化の向上に寄与 歴史と伝統を反映した人々の営み、 生活、活動のある地域 歴史上価値の高い建造物および その周辺の市街地 資料:国土交通省資料をもとに三菱総合研究所作成 プロジェクト紹 介 自治体チャンネル No. 116 2010 41 Project File 今後の効果的な介護予防事業の実施方策を検討する 介護予防事業のあり方に関する調査研究 社団法人 日本公衆衛生協会/2008 年度 があげられた。これらの課題を解決するために必 ●介護予防事業の実態と課題 要な制度改正の議論を厚生労働省・顧客・研究者 2006 年度の介護保険法の改正により、「介護予 等と重ね、より効果的な介護予防事業を実施する 防」の概念が確立し、現在、さまざまな介護予防事 ための国のモデル事業「介護予防実態調査分析支 業が全国の自治体で行われている。介護予防とは、 援事業」の事業設計・評価スキーム等を検討し、事 業実施マニュアルの骨子を作成した。 「要介護状態の発生をできる限り防ぐ (遅らせる) 」 および「要介護状態にあってもその悪化をできる ●より効果的な介護予防事業の実施に向けて 限り防ぐ」ことであり、前者は地域支援事業、後 「介護予防実態調査分析支援事業」は、第 5期介 者は予防給付により実施されるが、とくに前者に ついてはその現状や課題が把握されていなかった。 護保険事業計画が開始される 2012 年度からの効 そこで、全国の介護予防事業の実態および課題を 果的な介護予防事業の導入のために、2009∼2011 把握し、今後の介護予防事業の方向性を議論する 年度の 3 カ年にわたり実施される。事業の内容は ためのエビデンスの蓄積を目的として、本プロ システム面を工夫したモデル 2 種類とプログラム ジェクトを実施することとなった。 の内容を工夫したモデル 2種類の計 4種類があり、 市町村が種類を選択できる。現在 28 都道府県 35 市町村で開始されており、当該市町村の取り組み ●みえてきた課題を踏まえた解決策の検討 結果をもとに、さらに効果的・効率的な介護予防 本プロジェクトでは、全国の自治体に介護予防 事業のあり方が検討されることとなる。 事業に関する調査を行い、その現状や課題等を初 めて明らかにした。98 .9%の自治体から回答が得 られ、当該事業の実施状況を把握するとともに、 お問い合わせ 関連する課題、たとえば参加率向上対策として普 人間・生活研究本部 研究員 八巻心太郎 TEL: 03-3277-0569 E-mail: [email protected] 及啓発体制の強化や、プログラム内容の見直し等 図表 ●「介護予防実態調査分析支援事業」実施に至る本プロジェクトの流れ 自治体調査の実施 ・全国 1,805 市町村(特別区を含む)を対象、回答率は98.9% ○特定高齢者把握と施策参加者の状況(高齢者人口に占める割合) 結果(平均) 29.4% 目標 値 40-60% 特定高齢者候補者割合 5.8% 10-15% 特定高齢者割合 3.1% 8-12% 特定高齢者施策参加割合 0.4% 5% 基本チェックリスト実施者割合 ○その他、各要因と参加率との関連を分析(多変量解析) ○普及啓発体制の強化 等 ○プログラム内容のさらなる工夫 調査結果 参加率 向上対策 介護予防実態調査分析支援事業 モデル事業スキームの構築 A: 介護予防事業のシステム面を 強化したモデル(2 種類) B:より効果が見込まれる介護予防 プログラムを実施するモデル(2 種類) ﹁介護予防実態調査分析支援事業﹂の開始 本プロジェクト(介護予防事業のあり方に関する調査研究) 事業実施マニュアル骨子の作成 資料:本プロジェクト報告書をもとに三菱総合研究所作成 42 自治体チャンネル No. 116 2010 プロジェクト紹 介