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EMC XtremIOストレージ アレイ - EMC Japan

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EMC XtremIOストレージ アレイ - EMC Japan
ホワイト ペーパー
EMC XtremIO ストレージ アレイ
(Ver. 4.0)の概要
詳細レビュー
要約
このホワイト ペーパーでは、EMC XtremIO ストレージ アレイにつ
いて説明します。システム アーキテクチャ、オペレーション原理、
各種機能について詳しく解説します。XtremIO 独自の機能(イン
ライン データ削減テクノロジー[インライン重複排除およびデー
タ圧縮を含む]、拡張性の高いパフォーマンス、データ保護など)
を使って、他のシステムでは解決できないデータ ストレージに
関する問題を解決する方法についても取り上げます。
2015 年 4 月
Copyright © 2015EMC Corporation. All rights reserved.
EMC Corporation は、この資料に記載される情報が、発行日
時点で正確であるとみなしています。この情報は予告なく変更
されることがあります。
この資料に記載される情報は、「現状有姿」の条件で提供され
ています。EMC Corporation は、この資料に記載される情報に
関する、どのような内容についても表明保証条項を設けず、
特に、商品性や特定の目的に対する適応性に対する黙示の
保証はいたしません。
この資料に記載される、いかなる EMC ソフトウェアの使用、
複製、頒布も、当該ソフトウェア ライセンスが必要です。
最新の EMC 製品名については、EMC の Web サイトの EMC
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製品についての商標は、それぞれの所有者の商標または登
録商標です。
パーツ番号 H11752.7-J(リビジョン 08)
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
2
目次
エグゼクティブ サマリー ..................................................................................... 5
概要 ................................................................................................................ 6
システム概要.................................................................................................... 7
X-Brick ............................................................................................................. 8
スケールアウト アーキテクチャ .......................................................................... 10
10TB スターターX-Brick(5TB) .................................................................................... 11
システム アーキテクチャ ................................................................................... 12
動作原理 ....................................................................................................... 14
マッピング テーブル .................................................................................................. 14
書き込み I/O フローの仕組み .................................................................................... 15
読み取り I/O フローの仕組み..................................................................................... 20
システム機能.................................................................................................. 21
シン プロビジョニング ................................................................................................ 22
インライン データ削減 ............................................................................................... 22
インライン データ重複排除..................................................................................... 22
インライン データ圧縮 ........................................................................................... 24
合計データ削減.................................................................................................... 25
XtremIO Data Protection (XDP).................................................................................. 26
XDP の仕組み ...................................................................................................... 27
静止データ暗号化 .................................................................................................... 29
スナップショット ........................................................................................................ 31
拡張性の高いパフォーマンス..................................................................................... 37
均等なデータ分散 .................................................................................................... 40
高可用性 ................................................................................................................ 41
無停止アップグレードと拡張 ...................................................................................... 43
VMware VAAI の統合 ................................................................................................ 44
XMS(XtremIO マネージメント サーバー) ............................................................. 48
システム GUI............................................................................................................ 49
コマンド ライン インターフェイス .................................................................................. 50
RESTful API .............................................................................................................. 50
LDAP/LDAPS............................................................................................................ 51
管理の容易さ ................................................................................................. 51
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
3
リモート アレイへの XtremIO のレプリケーション................................................... 52
RecoverPoint ........................................................................................................... 52
ソリューション概要 .................................................................................................... 53
XtremIO 向けの RecoverPoint ネイティブ レプリケーション.......................................... 53
XtremIO 向けの同期と CDP レプリケーション ............................................................ 55
他の EMC 製品との統合 ................................................................................... 58
システムの統合ソリューション .................................................................................... 58
Vblock ................................................................................................................ 58
VSPEX ................................................................................................................. 58
ソリューションの管理およびモニタリング...................................................................... 59
ESA(EMC Storage Analytics) ................................................................................. 59
Windows 向け ESI(EMC Storage Integrator)プラグイン ............................................. 59
Oracle VM 向け ESI(EMC Storage Integrator)プラグイン ............................................ 60
ViPR Controller ..................................................................................................... 60
ViPR SRM ............................................................................................................ 61
VMware vCenter 向け VSI(Virtual Storage Integrator)プラグイン ................................ 61
アプリケーション統合ソリューション............................................................................. 62
AppSync.............................................................................................................. 62
OEM(Oracle Enterprise Manager)プラグ イン........................................................... 62
ビジネス継続性と高可用性ソリューション .................................................................... 63
PowerPath ........................................................................................................... 63
VPLEX ................................................................................................................. 63
OpenStack の統合 .......................................................................................... 64
まとめ ............................................................................................................ 65
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
4
エグゼクティブ サマリー
フラッシュ ストレージは、データセンターで I/O パフォーマンスを上げるための魅力
的な方法です。ただし、コストが高く、拡張性、高可用性、エンタープライズ機能など
の犠牲を常に伴います。
XtremIO の 100%フラッシュ ベース型スケールアウト エンタープライズ ストレージ
アレイでは、高度なパフォーマンスやスケーラビリティだけでなく、新しいレベルの使
いやすい SAN ストレージを提供する一方で、これまで実現できなかった高度な機能
も実現します。
XtremIO の新しいオール フラッシュ アレイは、パフォーマンスを最大限に発揮してレ
スポンス タイムのレーテンシーを一貫して低く抑え、エンタープライズ クラスの高可
用性機能、コストを大幅に削減するリアルタイム インライン データ削減、高度な機能
(シン プロビジョニング、VMware との緊密な統合、スナップショット、ボリューム クロ
ーン、最高のデータ保護など)を実現するよう設計されています。
これは、所有コストを低く抑えることで達成されています。この製品のアーキテクチ
ャは、フラッシュ メディアの寿命を延ばし、フラッシュ容量の効率コストを抑えるほか、
パフォーマンスとスケーラビリティの提供、運用効率の向上、高度なストレージ アレ
イ機能の実現など、フラッシュ ベース ストレージの全要件に対応します。
このホワイト ペーパーは、XtremIO ストレージ アレイを幅広い観点から紹介し、シス
テム アーキテクチャの詳細な説明、オペレーション原理、多彩な機能についても取り
上げます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
5
概要
XtremIO は、フラッシュの優れた可能性を完全に解放し、SSD やフラッシュ メディアを
ベースにしたユニークな特性を活かすアレイ ベースの性能を実現するよう設計され
たオール フラッシュ ストレージ アレイです。
XtremIO は業界標準のコンポーネントと独自のインテリジェント ソフトウェアを使用
して、比類ないレベルのパフォーマンスを実現します。達成可能なパフォーマンスは、
IOPS で数十万から数百万に達し、1 ミリ秒以下での安定した低いレーテンシーを達
成します。 *
また、システムは、プランニングの手間を最小にするよう設計されており、アレイのプ
ロビジョニングと管理を極めて容易にするユーザー フレンドリーなインターフェイスを
備えています。
XtremIO は、次の主要な側面に価値をもたらすために、フラッシュを活用します。
•
パフォーマンス:システムの混雑状況や、ストレージ容量の使用状況にかかわ
らず、レーテンシーとスループットを一貫して予測可能な一定した状態に保ちます。
I/O 要求のアレイ内のレーテンシーは、通常 1 ミリ秒よりはるかに少なくなります。*
•
スケーラビリティ:XtremIO ストレージ システムは、スケールアウト アーキテクチャ
に基づいています。システムは、X-Brick と呼ばれる単一のビルディング ブロック
で開始されます。パフォーマンスや容量の追加が必要になると、システムは、
X-Brick を追加して拡張します。パフォーマンスが直線的に向上することで、単一
の X-Brick 構成に比べて、2 つの X-Brick であれば 2 倍の IOPS を、4 つの X-Brick
であれば 4 倍の IOPS を、6 つの X-Brick であれば 6 倍、8 つの X-Brick であれば
8 倍の IOPS を実現します。システムを拡張しても、一貫して低いレーテンシーが
保たれます。
•
効率性:コア エンジンは、コンテンツ ベースのインライン データ削減を実装します。
XtremIO ストレージ アレイは稼働中、システムにデータが到達するのに従い、
自動的にデータを削減(重複排除および圧縮)します。これはフラッシュに書き込
まれるデータの量を削減するため、メディアの寿命を延ばすとともに、コストの削
減に役立ちます。XtremIO アレイは、細かいデータ ブロックでボリュームにオン
デマンドで容量を割り当てます。ボリュームは常に、パフォーマンス低下、容量
の過剰プロビジョニング、断片化を伴わずにシン プロビジョニングされます。コン
テンツ ベースのインライン重複排除が実装されると、残りのデータはさらに圧縮
され、フラッシュ メディアに対する書き込みの量が削減されます。データ圧縮は
重複排除された(一意の)データ ブロックでインラインで実行されます。
高い割合で書き込みを行うのを避けることには次のメリットがあります。

データ削減によるパフォーマンスの向上

フラッシュ アレイの SSD の全体的な耐久性の向上
*
小さなブロック長について測定。特性上、大きなブロック I/O では、どのようなストレージ システムでも高レーテンシーが発生
します。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
6

データの格納に必要な物理容量の減少により、ストレージ アレイの効率が向
上し、GB あたりのストレージ コストが大幅に削減
•
データ保護:XtremIO はフラッシュに最適化された独自のデータ保護アルゴリズ
ム(XtremIO Data Protection または XDP)を活用します。これにより、あらゆる既
存の RAID アルゴリズムを上回るパフォーマンスを実現しています。また、XDP の
最適化によって、データ保護目的でのフラッシュ メディアへの書き込みも減ります。
•
機能:XtremIO では、高性能および設置効率の高いスナップショット、インライン
データ削減(インライン重複排除およびデータ圧縮を含む)、シン プロビジョニング、
VMware VAAI の完全統合をサポートするほか、ファイバー チャネルと iSCSI プロト
コルもサポートします。
システム概要
XtremIO ストレージ アレイは、スケールアウト アーキテクチャに基づいた、オール フ
ラッシュ システムです。システムは、X-Brick と呼ばれるビルディング ブロックを使用
します。これを、図 2 で示すように、クラスター化することで、必要に応じてパフォーマ
ンスや容量を増やすことができます。
システムの処理は、スタンドアロンの専用 Linux ベース サーバーで制御されます。
これは XMS(XtremIO マネージメント サーバー)と呼ばれます。XMS のホストは物理ま
たは仮想サーバーのいずれかを使用でき、複数の XtremIO クラスターを管理できます。
アレイは XMS から切断されても稼働し続けますが、構成や監視は実行できません。
XtremIO のアレイ アーキテクチャは、CPU、RAM、SSD、ホスト ポートなどの全リソー
スをバランスの取れた状態で直線的に拡張しながら、フラッシュの潜在的なパフォー
マンスをフルに発揮できるよう特別に設計されています。これにより、アレイは必要
などのレベルのパフォーマンスでも達成でき、さらに、予測可能なアプリケーションの
動作にとって不可欠な整合性のあるパフォーマンスを実現します。
XtremIO ストレージ システムは、長期間にわたって、システムの状態、アクセス パタ
ーンに関係なく、一貫した極めて優れたパフォーマンスを提供します。それは真のラ
ンダム I/O の設計されています。
システムのパフォーマンス レベルは、その容量使用率レベル、ボリューム数、エージ
ングなどのいかなる影響も受けません。その上、パフォーマンスは「共有キャッシュ」
アーキテクチャに基づいていないため、データセット サイズやデータ アクセス パター
ンなどの影響を受けません。
XtremIO は、コンテンツ対応ストレージ アーキテクチャにより、以下を実現します。
•
データ ブロックが分散された状況下でも、本質的に最大のパフォーマンスと最小
のフラッシュ ウェアを提供
•
分散型のメタデータにも対応
•
データやメタデータのホット スポットなし
•
構成が容易で、チューニング不要
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
7
•
インライン データ削減(重複排除およびデータ圧縮)、シン プロビジョニング、
高度なデータ保護(XDP)、スナップショットなどの先進的なストレージ機能
X-Brick
図 1 は X-Brick を示しています。
図 1:X-Brick
X-Brick は XtremIO アレイの基礎となるビルディング ブロックです。
各 X-Brick は、以下により構成されます。
•
以下を含む 2U DAE(ディスク アレイ エンクロージャ)×1:

eMLC SSD(標準 X-Brick)×25 または eMLC SSDs(10TB スターターX-Brick
[5TB])×13

冗長 PSU(電源ユニット)×2

冗長 SAS 相互接続モジュール×2
•
バッテリ バックアップ ユニット×1
•
1U ストレージ コントローラー(冗長ストレージ プロセッサ)×2
各ストレージ コントローラーの構成:

冗長 PSU(電源ユニット)×2

8 GB/秒 FC(ファイバー チャネル)ポート×2

10 GbE iSCSI ポート×2

40 Gb/秒 InfiniBand ポート×2

1 Gb/秒管理ポート×1
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
8
表 1 に、X-Brick ごとのシステム仕様の概要を示します。
表 1: システム仕様(X-Brick ごと)
機能
仕様(X-Brick ごと)
物理
• 5U
• eMLC Flash SSD(10TB スターターX-Brick [5TB])×13
• eMLC Flash SSD(標準 X-Brick)×25
高可用性
• 冗長
• ホット スワップ コンポーネント
• SPOF(単一障害点なし)なし
ホスト アクセス
対称アクティブ/アクティブ:
どのコントローラー上のどのターゲット ポートからも、均一なパフォーマンスで、
どのボリュームにも並行してアクセスできます。ALUA の必要はありません。
ホスト ポート
• 4×8 Gb/秒の FC
• 4×10 Gb/秒の Ethernet iSCSI
有効容量 *
• 10TB スターターX-Brick(5TB)タイプの場合:
- 3.26TiB(13 個の SSD、データ削減なし)
- 7.22TiB(25 個の SSD、データ削減なし)
• 10TB X-Brick タイプ:
7.58TiB(データ削減なし)
• 20TB X-Brick タイプ:
15.16TiB(データ削減なし)
• 40TB X-Brick タイプ:
30.55TiB(データ削減なし)
レーテンシ
1 ミリ秒未満 †
*
有効容量とはアレイに書き込み可能な圧縮できない一意のデータの量です。有効容量は通常、XtremIO のインライン データ
削減によって格段に大きくなります。最終的な数字は若干異なる場合があります。
†
サブミリ秒のレーテンシーは通常のブロック サイズに適用されます。小さなブロックや大きなブロックのレーテンシーは大きく
なる可能性があります。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
9
スケールアウト アーキテクチャ
XtremIO ストレージ システムには、単一の X-Brick か、複数の X-Brick のクラスター
を含めることができます。図 2 および表 2 を参照してください。
X-Brick
クラスターx8
X-Brick
クラスターx6
X-Brick
クラスター×4
X-Brick
クラスター×2
X-Brick
クラスターx1
図 2:単一の X-Brick と複数の X-Brick クラスターのシステム構成
2 つまたはそれ以上の X-Brick のクラスターでは、XtremIO は、ストレージ コントロー
ラー間のバックエンド接続性のために冗長 40 Gb/秒 QDR InfiniBand ネットワークを
使用し、高い可用性と超低レーテンシー ネットワークを確保します。InfiniBand ネット
ワークは、XtremIO アレイの完全管理型コンポーネントで、XtremIO システムの管理
者は、InfiniBand テクノロジで特殊なスキルを必要としません。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
10
単一の X-Brick クラスターの構成:
•
X-Brick×1
•
交換用バッテリ バックアップ ユニット×1
複数の X-Brick クラスターの構成:
•
2 台、4 台、6 台、8 台の X-Brick
•
InfiniBand スイッチ×2
表 2:単一の X-Brick と複数の X-Brick クラスターのシステム構成
10TB スター
ター
X-Brick(5TB)
X-Brick
クラスターx1
X-Brick
クラスター×2
X-Brick
クラスター×4
X-Brick
クラスターx6
X-brick
クラスターx8
X-Brick の数
1
1
2
4
6
8
InfiniBand
スイッチの数
0
0
2
2
2
2
交換用バッ
テリ バックア
ップ ユニット
の数
1
1
0
0
0
0
10TB スターターX-Brick(5TB)
XtremIO の 10TB スターターX-Brick(5TB)は標準 X-Brick クラスターと同一ですが、
eMLC Flash SSD は 25 個ではなく 13 個しかありません。10TB スターターX-Brick
(5TB)に 12 個の SSD を追加して標準 X-Brick に拡張することができます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
11
システム アーキテクチャ
XtremIO は他のあらゆるブロック ベース ストレージ アレイと同様に機能し、既存の
SAN との統合が可能で、ホストへの接続には 8 Gb/秒のファイバー チャネルおよび
10 Gb/秒の Ethernet iSCSI(SFP+)接続のいずれかを選択できます。
ただし、他のブロック アレイとは異なり、XtremIO は専用フラッシュ ストレージ システ
ムであり、最高のパフォーマンス、使いやすさ、高度なデータ管理サービスを提供す
るよう設計されています。XtremIO アレイ内の各ストレージ コントローラーは、ベース
プラットフォームとして特別にカスタマイズされた軽量な Linux ディストリビューション
を実行します。XIOS(XtremIO オペレーティング システム)は、図 3 のように、Linux
の上で稼働し、ストレージ コントローラー内のアクティビティをすべて処理します。
XIOS は高い I/O レートを処理し、システムの機能モジュールや InfiniBand を介した
RDMA、監視、メモリ プールなどを管理します。
図 3:X-Brick ブロックの図
XIOS は、コンテンツ対応、低いレーテンシー、高パフォーマンス ストレージ サブシス
テムなどの特定の要件を満たすように設計された専用のプロセス スケジューリング/
処理アルゴリズムを備えています。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
12
XIOS では、以下が提供されます。
•
低レーテンシー スケジューリング:サブプロセスの効果的なコンテキスト切り替え
を有効にし、スケジューリングを最適化して、待機時間を最小に抑えます
•
リニアな CPU の拡張性:マルチコア CPU を含む、すべての CPU リソースを完全
に活用できるようにします
•
制限された CPU コア間同期:サブプロセス間通信およびデータ転送を最適化し
ます
•
CPU ソケット間同期なし:異なるソケットで実行されるサブプロセス間でのタスクの
同期や依存関係を最小化します
•
キャッシュ ライン対応:レーテンシーやデータ アクセスを最適化します
各 X-Brick のストレージ コントローラーは、冗長 SAS 相互接続を通じて接続された
DAE(ディスク アレイ エンクロージャ)を所有します。また、ストレージ コントローラーは、
冗長で高可用性の InfiniBand ファブリックに接続されます。ホストからどのストレージ
コントローラーが I/O 要求を受信するかに関係なく、複数の X-Brick にある複数のスト
レージ コントローラーが協調して要求を処理します。XtremIO システムのデータ レイ
アウトでは、確実に、すべてのコンポーネントが本質的に負荷を共有し、I/O 動作に均
等に参加します。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
13
動作原理
XtremIO ストレージ アレイは、データ ブロックでデータを処理することで、システムに
データが到達するのに従い、データを自動的に削減(重複排除)します。重複排除は
(システム全体にわたって)グローバルで、常時稼働で、リアルタイムで実行されます
(後処理として実行されることはありません)。重複排除の後、データはインラインで
圧縮されてから SSD に書き込まれます。
XtremIO はグローバル メモリ キャッシュを使用します。これは重複排除済みのデー
タや、本質的にアレイ全体にデータを均等に分散するコンテンツ ベースの分散に対
応します。すべてのボリュームは X-Brick 全体、および全ストレージ アレイのホスト
ポートでアクセスできます。
システムは、高可用性のバックエンド InfiniBand ネットワーク(EMC 製)を使用します。
これは、クラスター内の全ストレージ コントローラー間で、超低レーテンシーおよび
RDMA(Remote Direct Memory Access)で、高速アクセスを提供します。RDMA を活
用することにより、XtremIO システムは本質的に、全ストレージ コントローラーに広が
る単一の共有メモリ スペースを実現します。
1 つの X-Brick の有効な論理容量は、格納されるデータセットによって異なります。
•
多くのクローンされた仮想化環境(仮想デスクトップ統合(VDI)など)でよく見られ
る重複度の高い情報では、効率的な有効容量は、使用できる物理フラッシュ容
量より格段に大きくなります。5:1~10:1 の重複排除の比率は、こうした環境で
定期的に達成されます。
•
多くのデータベースやアプリケーション データで一般的に見られる圧縮可能なデ
ータの場合、圧縮率は 2:1~3:1 の範囲内にあります。
•
データ圧縮およびデータ重複排除の両方のメリットを得ている VSI(仮想サーバー
インフラストラクチャ)などのシステムでは、一般に 6:1 の比率を実現しています。
マッピング テーブル
各ストレージ コントローラーには、SSD 上の各データ ブロックのロケーションを管理
するテーブルがあります。表 3(15 ページ)を参照してください。
テーブルは次の 2 つの部分で構成されます。
•
テーブルの最初の部分は、ホスト LBA をそのコンテンツ フィンガープリントにマッ
プします。
•
テーブルの 2 番目の部分は、コンテンツ フィンガープリントを SSD 上のロケーシ
ョンにマップします。
テーブルの 2 番目の部分を使用することで、XtremIO では、アレイ全体に均等にデ
ータを分散し、SSD の最適な場所に各ブロックを配置するというユニークな機能が提
供されます。また、システムが、非対応のドライブをスキップしたり、アレイがほぼ一
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
14
杯で、書き込める空きのストライプがなくなったときに、新しいブロックの書き込み先
を選べるようにしたりできます。
書き込み I/O フローの仕組み
一般的な書き込み処理では、入力データ ストリームがアクティブ/アクティブのストレ
ージ コントローラーのいずれかに到達し、データ ブロックに分割されます。データ ブ
ロックごとに、アレイは一意の識別子を使ってデータにフィンガープリントを作成します。
アレイは、このフィンガープリントを使ってテーブルを管理し(表 3 を参照)、着信の書
き込みがアレイ内にすでに存在するかをどうかを判断します。また、フィンガープリン
トは、データの保存場所の判別にも使用されます。コンテンツ フィンガープリント マッ
ピングに対する LBA が、ストレージ コントローラーのメモリ内で、メタデータに記録さ
れます。
表 3:マッピング テーブルの例
LBA オフ
セット
SSD オフセット/
物理的な場所
フィンガー
プリント
データ 
Address 0

20147A8

40
 データ
データ 
Address 1

AB45CB7

8
 データ

Address 2

F3AFBA3

88
 データ
データ 
Address 3

963FE7B

24
 データ
データ 
Address 4

0325F7A

64
 データ
データ 
Address 5

134F871

128
 データ
データ 
Address 6

CA38C90

516
 データ
データ 
Address 7

963FE7B
–
重複排除された
データ
–

注:
表 3 のデータ ブロックの色は、コンテンツに対応しています。一意のコンテンツが
別々の色で示され、重複するコンテンツは同一の色(赤)で示されています。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
15
システムは、フィンガープリントと、それに対応するデータ ブロックが、以前格納され
たかどうかを検証します。
フィンガープリントが新規の場合、システムは以下を実行します。
•
データを圧縮します。
•
ブロックが格納されるアレイの場所を選択する(LBA ではなく、フィンガープリント
に基づいて)。
•
「物理的な場所に対するフィンガープリント」マッピングを作成する。
•
フィンガープリントの参照回数を 1 つずつ増やす。
•
書き込みを実行する。
「重複した」書き込みの場合は、システムは新しい LBA をフィンガープリント マッピン
グに記録し、この特定のフィンガープリントの参照回数を 1 つ増やします。データは
すでにアレイ上に存在するため、物理的な場所へのフィンガープリント マッピングを
変更する必要も、SSD に書き込みを行う必要もありません。すべてのメタデータの変
更はメモリ内で実行されます。そのため、重複排除された書き込みは、最初の一意
のブロック書き込みより高速で実行されます。これは、XtremIO のインライン データ
削減の独自のメリットの 1 つで、これにより、重複排除で実際に書き込みパフォーマ
ンスが向上します。
SSD に対するデータ ブロックの実際の書き込みは、非同期で実行されます。アプリ
ケーション書き込み時に、システムはデータ ブロックを(RDMA 経由で異なるストレー
ジ コントローラーにレプリケートすることで保護されている)メモリ内書き込みバッファ
ーに配置し、直ちに ACK をホストに返します。バッファーに十分なブロックが集まると、
システムはこれらを SSD 上の XDP(XtremIO データ保護)ストライプに書き込みます。
このプロセスは、最も効率的な方法で実行されます。詳細については、XtremIO デー
タ保護ホワイト ペーパーを参照してください。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
16
書き込み I/O がアレイに発行された場合:
1. システムは着信データを分析し、それを図 4 に示すようにデータ ブロックにセグ
メント化します。
図 4:固定ブロックに分割されたデータ
2. 図 5 で示すように、アレイは、データ ブロックごとに、データに一意のフィンガー
プリントを割り当てます。
図 5:各ブロックに割り当てられたフィンガープリント
アレイではこのフィンガープリントを使ってテーブルが管理され、後続の書き込み
が表 3(15 ページ)に示すように、アレイ内にすでに存在するかどうか確認します。

システム内にデータ ブロックが存在しない場合は、データの場所を判別する
ためにフィンガープリントを使用して、他のストレージ コントローラーにブロッ
クを書き込もうとした履歴が、ストレージ コントローラーの処理により記録され
ます。

データ ブロックがシステム内にすでに存在する場合は、図 6 に示すように書
き込みは行われません。
図 6:既存/繰り返しブロックの重複排除
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
17
3. アレイはデータ ブロックごとに参照回数を増やします。
4. 整合性のある分散型マッピングを使用することで、各ブロックは関連するフィンガ
ープリントのアドレス スペースに対応するストレージ コントローラーに経路指定さ
れます。
整合性のある分散型マッピングは、コンテンツ フィンガープリントに基づいてい
ます。フィンガープリントを計算する計算プロセスの結果、フィンガープリント値は
均等に分散され、フィンガープリントマッピングは、図 7 に示すように、クラスター
内のストレージ コントローラー間に均等に分散されます。
図 7:クラスター全体に分散したデータ
注:
クラスター間のデータ転送は、図 7 に示すように、RDMA を使用して、低レーテン
シーおよび高速 InfiniBand ネットワークで実行されます。
5. システムは、ACK をホストに送信します。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
18
6. フィンガープリントの均等分散機能によって、クラスター内の各ストレージ コントロ
ーラーは、均等なデータ ブロックの分配を受け取ります。追加ブロックが届くと、
図 8 に示すようにストライプに振り分けられます。
図 8:フル ストライプに振り分けられた追加ブロック
7. システムはデータ ブロックを圧縮して、各データ ブロックのサイズをさらに削減し
ます。
8. アレイ内で一番空きの多いストライプ(またはあればフル ストライプ)を埋めるの
に十分なデータ ブロックがストレージ コントローラーに集まると、図 9 に示すよ
うに、データ ブロックがキャッシュから SSD に転送されます。
図 9:SSD にコミットされたストライプ
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
19
読み取り I/O フローの仕組み
データ ブロック読み取り処理では、システムはフィンガープリント マッピングに対する
論理アドレスを LBA で検索します。フィンガープリントが見つかると、物理マッピング
に対しそのフィンガープリントの検索を実行して、特定の物理的な場所からそのデー
タ ブロックを取得します。データはクラスターおよび SSD 全体に均等に書き込まれる
ため、読み取り負荷も均等に分散されます。
XtremIO の各ストレージ コントローラーには、メモリ ベースの読み取りキャッシュがあ
ります。
•
従来のアレイでは、読み取りキャッシュは論理アドレス別に管理されていました。
読み取られる可能性の高いアドレスにあるブロックが、読み取りキャッシュに配
置されていました。
•
XtremIO アレイでは、読み取りキャッシュはコンテンツ フィンガープリントで管理さ
れます。読み取られる可能性の高いコンテンツを持つブロック(フィンガープリント
ID によって識別)が、キャッシュに配置されます。
これにより、XtremIO の読み取りキャッシュ重複排除が機能します。つまり、比較的
小さい読み取りキャッシュが、従来の同サイズのキャッシュに比べて、格段に大きく
見えるようになります。
要求されたブロック長がデータ ブロック サイズより大きい場合は、XtremIO はクラス
ター全体で並行してデータ ブロックの読み取りを実施し、それらをアプリケーションに
返す前に、より大きなブロックに組み立てます。
圧縮されたデータ ブロックは、デリバリする前に圧縮解除されます。
読み取り I/O がアレイに発行された場合:
1. システムは、各データ ブロックごとに LBA を識別するため着信要求を分析し、
データを保持するためのバッファーを作成します。
2. 次のプロセスは、並行して実行されます。

データ ブロックごとに、アレイは格納されたフィンガープリントを検索します。
フィンガープリントにより、X-Brick 上のデータ ブロックの場所が特定されます。
より大きな I/O(256 K など)では、複数の X-Brick により、各データ ブロックが
取得されます。

システムは、RDMA を通じ、InfiniBand を介して、要求された読み取りデータ
を処理ストレージ コントローラーに送信します。
3. システムは、完全に取り込まれたデータ バッファーをホストに戻します。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
20
システム機能
XtremIO ストレージ アレイでは、特別なライセンスがなくても常に利用できる幅広い
機能が提供されています。
システム機能には次が含まれます。
•
データ サービス機能:すべての着信書き込みで順番(次のリストのとおり)に適用
されます。

シン プロビジョニング

インライン データ削減:
− インライン データ重複排除
− インライン データ圧縮
•
•

XtremIO Data Protection (XDP)

静止データ暗号化

スナップショット
システム全体の機能:

拡張性の高いパフォーマンス

均等なデータ分散

高可用性
その他の機能:

無停止アップグレード

VMware VAAI の統合
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
21
シン プロビジョニング
XtremIO ストレージは、小さな内部ブロック長を使用してネイティブにシン プロビジョ
ニングされます。これにより、シン プロビジョニングされたスペースに対し、きめ細や
かな解決策が提供されます。
システム内の全ボリュームはシン プロビジョニングされます。つまり、システムは実
際に必要なときにのみ容量を消費します。XtremIO は、一意のデータ ブロックのフィ
ンガープリント ID を計算した後、クラスター内にそれらを物理的に配置する場所を決
定します。そのため、書き込みの前にストレージ領域の事前割り当てをしたり、シック
プロビジョニングをしたりすることは一切ありません。
XtremIO のコンテンツ対応アーキテクチャの結果、ブロックはシステムのどの場所に
でも格納でき(場所を参照する場合はメタデータだけを使用)、一意のブロックを受け
取った場合にのみデータが書き込まれます。
そのため、多くのディスク中心型アーキテクチャを使用したシン プロビジョニングとは
異なり、XtremIO では、スペース クリープやガベージ コレクションが生じることはあり
ません。さらに、時の経過とともに発生するボリュームの断片化は XtremIO には該
当せず(ブロックはランダム アクセスのアレイに分散するため)、デフラグメンテーショ
ン ツールは不要です。
XtremIO の標準で備わっているシン プロビジョニングは、システム容量の使用率や
システムへの書き込みパターンにかかわらず、ボリュームのライフサイクル全体での
一貫したパフォーマンスやデータ管理も可能にします。
インライン データ削減
XtremIO の一意のインライン データ削減は次のテクニックを活用することで達成でき
ます。
•
インライン データ重複排除
•
インライン データ圧縮
インライン データ重複排除
インライン データ重複排除では、データがフラッシュ メディアに書き込まれる前に、
冗長性を取り除きます。
XtremIO はデータがシステムに到達したとき、自動的かつ全体的に、データの重複
排除を行います。重複排除は後処理ではなく、リアルタイムで実行されます。つまり、
XtremIO ではリソースを消費するバックグラウンド プロセスや後処理に関連する追
加の読み取り/書き込みがありません。そのため、ストレージ アレイのパフォーマン
スにマイナスの影響を及ぼすことがなく、ホスト I/O に割り当てられた使用可能なリ
ソースを無駄にしたり、フラッシュ ウェア サイクルを消費したりすることはありません。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
22
XtremIO では、データ ブロックはボリューム内のユーザー レベルのアドレスではなく、
コンテンツ別に格納されます。この結果、容量とパフォーマンスの観点からシステム
内のデバイス全体で理想的なロード バランシングが行われます。データ ブロックが
変更されるたびに、システム内の任意の SSD セットにデータが配置され、システムが
ブロックのコンテンツをすでに認識している場合には、書き込みは一切行われません。
すべての SSD を均等に使用し、完全なウェア レベリングを実現することで、システム
は常にアレイ全体にデータを分散させます。ホスト コンピューターによって同一の
LBA(論理ブロック アドレス)が繰り返し書き込まれた場合でも、それぞれの書き込み
は XtremIO アレイ内の異なるロケーションに割り振られます。ホストが繰り返し何度
も同一データを書き込んだ場合は、重複排除が行われるため、フラッシュに余分な
書き込みが行われることはありません。
XtremIO は効率の高いデータ重複排除のために、コンテンツ対応の、全体的に重複
排除されたキャッシュを使用します。システムのユニークなコンテンツ対応ストレージ
アーキテクチャによって、小さい DRAM アロケーションで実質よりも大きいキャッシュ
サイズを獲得することができます。そのため、XtremIO は仮想デスクトップ(VDI)環境
などに多い「ブート ストーム」などの困難なデータ アクセス パターンに最適なソリュ
ーションと言えます。
さらに、システムはインライン データ重複排除用としてだけでなく、アレイ全体にデー
タ ブロックを均等に分散するためにもコンテンツ フィンガープリントを使用します。こ
れによって、パフォーマンスに本来備わっているロード バランシング機能を活用する
ことで、データの再書き込みや再バランシングが不要なことから、フラッシュのウェア
レベルの効率性が強化されます。
このプロセスをインラインで、かつ、アレイ全体で実行することで、SSD への書き込み
も減少します。こうして SSD の耐久性が向上し、後処理の重複排除に起因するパフ
ォーマンスの低下を防ぎます。
XtremIO のインライン データ重複排除とインテリジェントなデータ ストレージ処理によ
って、次のことが可能になります。
•
システム パフォーマンスを最大限に活用して、システム リソースの使用状況を均
等化
•
フラッシュの寿命を最大限に引き延ばす最小限のフラッシュ操作
•
均一なデータ分散により、システム全体でフラッシュ ウェアを均等に保つ
•
システム レベルでのガベージ コレクションが不要(後処理のデータ削減と逆)
•
ストレージ コストを最小化する SSD 容量のスマートな活用
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
23
インライン データ圧縮
インライン データ圧縮では、データがフラッシュ メディアに書き込まれる前に、すでに
重複排除されたデータを圧縮します。
XtremIO ではすべての重複データが取り除かれた後にデータを自動的に圧縮します。
これにより、一意のデータ ブロックに対してのみ圧縮が実行されるようになります。
データ圧縮は後処理ではなく、リアルタイムで実行されます。
データセットの特性が全体的な圧縮率を決定します。圧縮されたデータ ブロックはそ
の後、アレイに保存されます。
圧縮により、SSD に書き込まれる必要がある物理的なデータの合計量を削減します。
この削減によって SSD の WA(書き込みの増大)を最小限に抑え、フラッシュ アレイ
の耐久性が向上します。
XtremIO のインライン データ圧縮には次のメリットがあります。
•
データ圧縮は常にインラインで、後処理として実行されることはありません。よっ
てデータは常に一度だけ書き込まれます。
•
圧縮はさまざまなデータセット(データベース データ、VDI、VSI 環境など)に対応
します。
•
データ圧縮は多くの場合データ重複排除を補完します。たとえば VDI 環境の重
複排除では、クローン化されたデスクトップに必要な容量が大幅に削減されます。
そして圧縮により特定のユーザー データが削減されます。結果として単一の
X-Brick で、増加した VDI デスクトップ数を管理できるようになります。
•
圧縮によりデータ ブロックを最も効率よく保存することで、ストレージ容量を節約
します。
•
XtremIO のパワフルなスナップショット機能と組み合わせると、ペタバイト規模の
有効なアプリケーション データを簡単にサポートできるようになります。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
24
合計データ削減
XtremIO のデータ重複排除とデータ圧縮はお互いに補完しあいます。データ重複排
除では冗長データ ブロックを排除することで物理的なデータを削減します。データ圧
縮では、各データ ブロックのバイナリ レベル内でデータの冗長性を排除することで、
データの占有領域をさらに削減します。
図 10 はデータ重複排除とデータ圧縮プロセスの両方を組み合わせることの利点を
示しており、全体的なデータ削減につながります。
図 10:データの重複排除と圧縮の組み合わせ
この例では、ホストが書き込んだ 12 個のデータ ブロックはまず 4 個のデータ ブロッ
クに重複排除され、3:1 のデータ重複排除率を実現していますえ。データ圧縮プロセ
スの後、4 個のデータ ブロックはそれぞれ 2:1 の比率で圧縮されるため、合計のデ
ータ削減率は 6:1 になります。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
25
XtremIO Data Protection (XDP)
XtremIO ストレージ システムは、極めて効率の高い「自動修復型」ダブル パリティ
データ保護を備えています。
データ保護とメタデータ用スペースのために、システムには、ほんのわずかの容量
のオーバーヘッドが必要です。これらは再構築に専用のスペア ドライブを必要としま
せん。代わりに、「ホット スペース」という概念を活用し、アレイ上で空きスペースのあ
る場所はどこでも、障害の発生したドライブの再構築に使用することができます。シ
ステムは、1 台の再構築を実行するのに十分な分散容量を常時確保しています。
2 台の SSD が故障するまれなケースでは、データが全容量であっても、アレイでは
空き領域を使用してドライブのうち 1 台のデータを再構築します。故障したドライブの
うちの 1 台が交換されると、2 台目のドライブを再構築します。両方のドライブのデー
タを再構築するために十分な空き領域がある場合、同時に再構築します。
XtremIO は使用量が高くなったとしても、最小の容量オーバーヘッドでパフォーマン
スを維持します。システムにはミラーリング スキーム(および、関連する 100%の容
量オーバーヘッド)は不要です。
XtremIO では、データ保護、メタデータ ストレージ、スナップショット、スペア ドライブ、
パフォーマンスに必要なリザーブ容量が極めて少なく、ユーザー データ用のスペー
スが格段に多くなります。これにより、使用可能な GB あたりのコストを削減できます。
XtremIO ストレージ システムは、以下のことを実現します。
•
N+2 データ保護
•
わずか 8%という信じがたいほど少ないデータ保護容量オーバーヘッド
•
どんな RAID アルゴリズムの追随も許さないパフォーマンス(RAID アルゴリズム
の中でも最も書き込み効率に優れた RAID 1 は、XDP(XtremIO Data Protection)
に比べて 60%以上の書き込みが必要です)。
•
書き込み量が少なく、データが均等に分散されることから、どの RAID アルゴリズ
ムよりも優れたフラッシュの寿命
•
ドライブに障害が発生した場合には自動的に再構築を行い、従来の RAID アルゴ
リズムに比べて、再構築時間を短縮
•
システムに障害の発生したドライブが含まれていても、着信データを完璧に保護
する適応性の高いアルゴリズムのもたらす優れた堅牢性
•
同一個所の故障サポートによる管理性の向上
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
26
表 4:XtremIO Data Protection と RAID スキームの比較
データ保護
容量のオー
バーヘッド
ストライプ
更新ごとの
読み取り
従来型アル
ゴリズムの
読み取りの
デメリット
ストライ
プ更新ご
との書き
込み
従来型アル
ゴリズムの
書き込みの
デメリット
高
1 つの障害
50%
0
–
2(64%)
1.6x
RAID 5
中
1 つの障害
25%(3+1)
2(64%)
1.6x
2(64%)
1.6x
RAID 6
低
2 つの障害
20%(8+2)
3(146%)
2.4x
3(146%)
2.4x
XtremIO
XDP
RAID 1 を
60%上回る
X-Brick あたり
2 つの障害
極めて低い
8%(23+2)
1.22
–
1.22
–
アルゴリ
ズム
パフォーマ
ンス
RAID 1
XDP の仕組み
XDP(XtremIO Data Protection 護)は、フラッシュ メディア固有のプロパティと、
XtremIO のコンテンツ アドレス ストレージ アーキテクチャを活用するように設計され
ています。
XDP は、データが保存されている場所をペナルティなしで制御できるというメリットを
得ながら、RAID 1 よりも優れたパフォーマンスで高い保護レベルと低ストレージ オー
バーヘッドを達成します。またもう 1 つのメリットとして、XDP(XtremIO Data
Protection)では、従来のあらゆる RAID アルゴリズムに比べて、基盤となるフラッシ
ュ メディアの耐久性(エンタープライズ フラッシュ アレイの考慮点)も大幅に強化され
ています。
図 11:行および対角パリティ
XDP は図 11 に示すように、N+2 列および対角パリティの変化形を使用します。これ
は 1 台の SSD で同時に 2 つのエラーが発生した場合に保護を提供します。25 台の
SSD をもつアレイでは、容量のオーバーヘッドはわずか 8%になるというわけです。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
27
従来のアレイは、ディスクの物理的な同一の場所にある LBA(論理ブロック アドレス)
を更新します(これが原因でストライプの更新に高い I/O オーバーヘッドが生じます)。
XtremIO では、データは常に、最も空き容量の多いストライプに配置されます。ストラ
イプの更新ごとの読み取りおよび書き込みの I/O 動作のオーバーヘッドを効果的に
減らす、最も空き容量の多いストライプへのデータの書き込みは、XtremIO のオール
フラッシュのコンテンツ対応アーキテクチャでのみ実現可能です。このプロセスにより、
アレイが埋まっても XtremIO のパフォーマンスを均一に保ち、上書きと部分的なスト
ライプの更新が増えた時でも、長期にわたり稼働できるようになります。
さらに、XtremIO は、優れた再構築プロセスも備えています。従来の RAID 6 アレイが
1 台のディスク障害に直面した場合、RAID 5 の方式を使用して、各ストライプを読み
取り、ストライプ内の他のセルで不足しているセルを計算することによって、ディスク
を再構築します。一方、XtremIO では、不足した情報の再構築に P と Q の両方のパ
リティを使用し、次のセルの再構築に必要な情報のみを読み取る精密なアルゴリズ
ムを使用します。
表 5:障害の発生したディスクを再構築するための XDP の読み取りと、他の RAID ス
キームの読み取り方法の比較
アルゴリズム
K 幅の障害のあるディスク ストライ
プを再構築するための読み取り
従来のアルゴリズムのデメリット
XtremIO XDP
3K/4
–
RAID 1
1
なし
RAID 5
K
33%
RAID 6
K
33%
注:
XDP の詳細については、XtremIO Data Protection のホワイト ペーパーを参照してく
ださい。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
28
静止データ暗号化
静止データ暗号化(DARE)では、メディアがアレイから取り外された場合でも重要な
データの安全性を確保するソリューションが提供されています。XtremIO アレイは高
パフォーマンスのインライン暗号化技術を採用しており、SSD メディアが取り外された
場合、アレイに格納されているすべてのデータが利用できなくなります。これにより、
盗難や輸送中の紛失などで不正アクセスを防ぐことができ、機密データを含む障害
コンポーネントを元に戻すまたは取り替えることができます。
DARE は多くの業界で確立されている必須の要件で、これには医療(患者の記録を
厳重に守る必要がある)、銀行(財務データの安全が極めて重要)、数々の行政機
関が含まれます。
XtremIO の DARE ソリューションの中心となっているのが、自己暗号化ドライブ(SED)
技術の使用です。SED には、SSD でデータの書き込みや読み取りを行う際に暗号化
および復号を行う専用のハードウェアがあります。暗号化のタスクを SSD にオフロー
ドすることにより、XtremIO はアレイで暗号化が有効または無効になるときに同じソフ
トウェア アーキテクチャを維持することができます。インライン データ削減、XtremIO
Data Protection(XDP)、シン プロビジョニング、スナップショットを始めとする XtremIO
のすべての機能やサービスは、暗号化されたクラスターで提供されます(非暗号化
クラスターでも提供)。
固有のデータ暗号化キー(DEK)がドライブ製造プロセスで作成されます。このキー
はドライブから離れることはありません。DEK を消去または変更することはできます
が、ドライブのデータは読み取れなくなり、DEK を回復させるオプションは提供されま
せん。権限のあるホストだけが SED のデータにアクセスできるようにするために、
DEK は認証キー(AK)によって保護されています。このキーがなければ、DEK は暗号
化されたままで、データの暗号化または復号には使用できません。
図 12:ロック解除された SED
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
29
SED はロックが解除された状態で出荷されます。つまり、どのホストでもドライブ デー
タにアクセスできます。ロックが解除されたドライブでは、データは必ず暗号化されて
います。しかし、DEK は必ず復号され、認証は必要ありません。
ドライブのロックは、デフォルト ドライブの AK を新しいプライベート AK に変更し、起
動後または電源障害後(SSD がアレイから取り外された場合など)でもロックされた
ままになるよう SED 設定を変更することで実現しています。SSD がアレイから取り外
されると、オフになり、起動時に AK が必要になります。正しい AK がない限り、SSD
のデータは読み取り不可で安全です。
データにアクセスするには、ホストは正しい AK を提供する必要があります。これは、
ドライブの「取得」または「所有化」とも呼ばれ、DEK のロックを解除し、データへのア
クセスを可能にします。
ドライブの取得は起動時にのみ行われ、アレイが作動している限り SED はロック解
除されたままになります。どの場合でも、データは暗号化または復号のハードウェア
を通過するため、SED のロック時にパフォーマンス インパクトはありません。
図 13:SED のオペレーション モード
XtremIO All-Flash Array は次の SSD でデータを暗号化します。
•
データ SSD:すべてのユーザー データが格納されている場所
•
ストレージ コントローラーSSD:ユーザー データ ジャーナル ダンプが含まれてい
る場合がある
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
30
スナップショット
スナップショットは、特定の時点におけるボリュームのデータの状態を算出することで
作成されるので、ユーザーはソース ボリュームが変化したとしても、必要に応じてデ
ータにアクセスできます。XtremIO スナップショットは本質的に書き込み可能ですが、
不変性を確保するために読み取り専用として作成することもできます。ソースまたは
ソース ボリュームに属する任意のスナップショットのいずれかからスナップショットを
取得できます。
スナップショットは次に示すように、多様な事例で使用できます。
•
論理的な破損の保護
XtremIO ではスナップショット(目的の RPO インターバルで実行可能)を頻繁に作
成でき、論理データ破損からのリカバリにそれらを使用することができます。スナ
ップショットは、必要である限りシステムに保持することができます。論理データ
の破損が起きた場合は、既知のポイント イン タイムまでアプリケーションをリカバ
リするために、以前のアプリケーションの状態のスナップショット(論理データの破
損の前)を使用できます。
•
バックアップ
バックアップ サーバー/エージェント用のスナップショットを作成できます。これは、
本番サーバーからバックアップ プロセスをオフロードするために使用できます。
•
開発とテスト
システムはユーザーが本番データのスナップショットを作成し、本番システムの
(設置率の高い、高パフォーマンスな)コピーを複数作成して、それを開発やテス
ト目的で使用することを可能にします。
•
クローン
XtremIO では、データ保全の書き込み可能スナップショットを使い、クローンのよ
うに使用することもできます。複数のサーバーの本番ボリュームのクローンとして
使用できます。クローンのパフォーマンスは、本番ボリュームのパフォーマンスと
まったく同じです。
•
オフライン処理
スナップショットを、本番サーバーからデータの処理をオフロードする手段として
使用することもできます。たとえば、データに対して(本番サーバーのパフォーマ
ンスに影響を与えるほど)重いプロセスを実行する必要がある場合、スナップシ
ョットを使用して本番データの最新コピーを作成し、それを別のサーバーにマウ
ントできます。こうすることで、プロセスは本番サーバーのリソースを消費すること
なく、(別のサーバーで)実行されます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
31
XtremIO では、スナップショットを管理し、操作性を最適化するために次の効率的な
ツールを提供しています。
•
コンシステンシー グループ
CG(コンシステンシー グループ)を使用すると、データベースなどの単一アプリケ
ーションによって通常使用される一連のボリュームの整合性のとれたイメージを
作成できます。XtremIO の CG を使用して、1 つのコマンドでグループ内のすべて
のボリュームのスナップショットを作成できます。これにより、すべてのボリューム
を同時に作成できます。1 つのボリュームに適用される多数の操作は、CG にも
適用できます。
•
スナップショット セット
スナップショット セットは、1 つのコマンドで作成したスナップショット グループで、
グループのポイント イン タイムを示します。スナップショット セットは、手動で選択し
た一連のボリューム、別のスナップショット セット、CG で取得されたスナップショット
からなります。スナップショット セットでは、作成元の親との関係が保持されます。
•
読み取り専用スナップショット
設計上、XtremIO のスナップショットは標準ボリュームで、書き込み可能なスナッ
プショットとして作成されます。ローカルのバックアップと不変のコピーの必要性を
満たすため、読み取り専用スナップショットを作成するオプションがあります。読み
取り専用スナップショットは、バックアップ アプリケーションなどの外部ホストにマッ
ピングできますが、書き込みはできません。
•
Scheduler
Scheduler はローカル保護の用途で使用できます。ボリューム、CG、スナップショ
ット セットに適用できます。各 Scheduler は、秒、分、時間のインターバルで実行
するように定義できます。または、1 日または週の特定の時間に実行するように
設定できます。各 Scheduler には、お客様が保持するコピー数や最も古いスナッ
プショットの保存期間に基づいた保存ポリシーがあります。
•
リストア
1 つのコマンドで、子のスナップショット セットのいずれかから本番ボリュームや
CG をリストアできます。本番ボリュームの SCSI 面は、ホスト アプリケーションを
再スキャンし、新しいボリュームを再検出することなく、必要なスナップショット セ
ットのスナップショットに移動できます。
•
更新
refresh コマンドは、テスト/開発環境とオフライン処理に使用できる強力なツール
です。1 つのコマンドで、本番ボリュームや CG のスナップショットを作成し、テスト/
開発アプリケーションにマッピングされたボリュームの SCSI 面をそこに移動させ
ます。これによりテスト/開発アプリケーションでは、データをコピーしたり再スキャ
ンしたりすることなく、現在のデータで作業できるようになります。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
32
XtremIO のスナップショット テクノロジーは、システムのコンテンツ対応性(インライン
データ削減)を活用して実装され、データの正しいタイム スタンプに I/O を誘導するユ
ニークなメタデータ ツリー構造で、SSD メディア用に最適化されます。これにより、高い
パフォーマンスを持続できる効率的なスナップショットが可能になる一方で、複数のス
ナップショットを作成する手段として、また、スナップショットがサポートできる I/O 量の
両方で、メディアの寿命を最大限に引き延ばします。
スナップショットの作成時に、システムは(システム内の実際のデータの)親メタデー
タへのポインターを生成します。このため、スナップショットの作成は非常に簡単な操
作で、システムに影響を及ぼすことはありません。また、容量は一切消費しません。
スナップショットの容量の消費は、変更で新しい一意のブロックの書き込みが必要に
なった場合にのみ発生します。
スナップショットの作成では、そのメタデータは、親ボリュームのメタデータとまったく
同じになります。新しいブロックが親に書き込まれると、新しい書き込みを反映する
ために親ボリュームのメタデータが更新されます(そして、標準の書き込みフロー プ
ロセスを使用して、ブロックがシステムに格納されます)。このブロックは、スナップシ
ョットと親ボリュームの間で共有されている限り、書き込みの後でシステムから削除
されることはありません。これは、ボリューム上の新しい場所への書き込み(未使用
の LBA への書き込み)と、すでに書き込まれている場所での再書き込みの両方に適
用されます。
スナップショットのメタデータと親のメタデータは、ツリー構造で管理されます。スナッ
プショットと親ボリュームは、図 14 で示すように、この構造の葉として表現されてい
ます。
図 14:メタデータ ツリー構造
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
33
メタデータは、(スナップショットの元の親から)変更されていない全スナップショット ブ
ロック間で共有されます。スナップショットは、データブロックがその親と異なる LBA
のみの一意のメタデータを保持します。このメタデータの管理方法は経済的です。
新しいスナップショットが作成されると、システムは常に、スナップショットを作成したエ
ンティティから"2 枚の葉"(2 つの子エンティティ)を作成します。これらの葉の 1 枚は
スナップショットを、もう 1 枚はソース エンティティを表します。スナップショットが作成
されたエンティティは、それ以降直接使用されることはなくなりますが、メタデータの管
理目的でのみ維持されます。
図 15:スナップショットの作成
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
34
図 15 は、XtremIO システムの 16 ブロックのボリュームを示します。1 行目(A(t0)/S(t0)
とマークされた)は、最初のスナップショットが取得されたときのボリュームを示します
(t0)。t0 では、親(A(t0))とスナップショット(S(t0))が同じデータとメタデータを持ってい
ます。これは、S(t0)が A(t0)の読み取り専用スナップショットであるためです(親と同じ
データを持っている)。
注:
16 個あるブロックのうち、使用されているのは 8 ブロックのみです。ブロック 0 とブロ
ック 4 は、重複排除の結果、物理容量の 1 ブロック分のみしか消費しません。空白
のドット地のブロックは、シン プロビジョニングされたブロックを表しています。これは、
物理容量は一切消費しません。
図 15 では、S(t1)にスナップショットを作成する前に、2 つの新しいブロックが P に書き
込まれています。
•
H8 は H2 を上書きしています。
•
H2 はブロック D に書き込まれます。しかし、A(t0)のブロック 3 に格納された H2 と
同じであるため、物理容量はほとんど消費しません。(t0)のブロック 3 に格納さ
れた H2 と同じなので、物理容量はほとんどとりません。
S(t1)は、読み取り/書き込みスナップショットです。これには、親とは異なる 2 つの追
加ブロック(2 と 3)が含まれます。
(変更されたブロックや各スナップのメタデータの全コピーに専用のスペースの確保
が必要であった)従来のスナップショットとは異なり、XtremIO ではスナップショットに
専用スペースを確保する必要はなく、メタデータの「膨張」も起こりません。
XtremIO のスナップショットは、どんなときにも、スナップショットの親エンティティと共
有されていないブロックにのみ使用される一意のメタデータのみを消費します。これ
により、システムは、動的でエンティティの変更量に比例した極めて小さいストレージ
オーバーヘッドを使用し、大量のスナップショットを効率的に管理できます。
たとえば、t2 の時点では、ブロック 0、3、4、6、8、A、B、D、F は親エンティティと共有
されています。ブロック 5 のみがこのスナップショットで一意です。そのため、XtremIO
の消費するメタデータ ユニットは 1 つだけです。残りのブロックは親と共有され、正
確なボリューム データと構造をコンパイルするために、親のデータ構造を使用します。
システムは、ボリューム セットでのスナップショットの作成をサポートしています。セッ
ト内のボリュームから取得した全スナップショットは、相互に一貫性があり、全ボリュ
ームの厳密に同一時点の情報を含みます。これは、スナップショットを作成するボリュ
ーム セットを選択するか、ボリュームをコンシステンシ グループ コンテナーに配置し、
コンシステンシ グループのスナップショットを作成することで、手動で作成できます。
スナップショットの作成中、システム パフォーマンスや全体的なシステム レーテンシ
ーに影響が及ぶことはありません(パフォーマンスは維持されます)。これは、システ
ム内のスナップショット数やスナップショット ツリーのサイズに左右されるものではあ
りません。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
35
スナップショットの削除は軽量で、エンティティ間の変更済みブロックの量にのみ比
例します。システムはコンテンツ対応性能により、スナップショットの削除を処理します。
各データ ブロックには、システム内の対象のブロックのインスタンス数を示すカウン
ターが付いています。ブロックが削除されると、カウンターの値は 1 つずつ減少します。
このカウンター値がゼロのブロック(システムのボリュームまたはスナップショット全
体に、このブロックを参照する LBA(論理ブロック アドレス)が存在しないことを意味し
ます)は、新しい一意のデータがシステムに入ってきた時点で、XDP によって上書きさ
れます。
子孫を持たない子の削除には、システムによる追加的な処理は必要ありません。
ツリーの中にあるスナップショットを削除すると、非同期処理がトリガーされます。
このプロセスは、削除されたエンティティの子のメタデータと、親の親のメタデータを
マージします。これにより、ツリー構造が断片化されることがなくなります。
XtremIO では、ブロックの削除が必要になると直ちに解放済みとしてマークされます。
そのため、ガベージ コレクションは不要で、孤立ブロックを見つけ出し、削除するた
めにシステムがスキャン プロセスを実行する必要はありません。さらに、XtremIO で
は、スナップショットの削除がシステムのパフォーマンスや SSD メディアの寿命に影
響を与えることはありません。
スナップショットの実装は完全にメタデータ中心で行われ、アレイのインライン データ
削減を活用するため、データがアレイ内にコピーされることはありません。こうして、
多くのスナップショットの維持が可能になります。
XtremIO のスナップショットの特徴は、以下のとおりです。
•
専用のスナップショット スペースは不要。
•
ソース ボリュームの不変コピー/書き込み可能クローンの作成が可能。
•
瞬時に作成。
•
ソース ボリュームやスナップショット自体へのパフォーマンスの影響はほとんど
なし。
注:
スナップショットの詳細については、XtremIO のスナップショットのホワイト ペーパー
を参照してください。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
36
拡張性の高いパフォーマンス
XtremIO は、新しいアプリケーションだけでなく、すでに導入されているアプリケーショ
ンについても、将来的なパフォーマンスや容量のニーズに対応するためスケールア
ウトできるよう設計されています。XtremIO のアーキテクチャにより、管理の一元化や
システム全体のリソースのバランスを維持しながら、ビルディング ブロック(X-Brick)
を追加することで、パフォーマンスや容量を向上させることができます。
スケールアウトは、XtremIO のアーキテクチャにおける本質的な部分であり、既存の
ハードウェアを大掛かりにアップグレードしたり、長期間にわたるデータ転送をしなく
ても実行できます。
XtremIO ストレージ システムは、パフォーマンスや容量の追加が必要になったときに、
X-Brick を追加することによってスケールアウトできます。複数の X-Brick は、可用性
の高い、超低レスポンス タイムの冗長 InfiniBand ネットワークを介して結合されます。
システムが拡張してもリソースはバランスの取れた状態で維持され、アレイのデータ
はすべての X-Brick に分散されます。これによって、均一なパフォーマンスとバランス
の取れたフラッシュ ウェア レベルが保たれます。
システムの拡張には、ボリュームの構成や手作業でのボリュームの移動は不要です。
XtremIO では、再マッピングを最小限に抑える一貫したフィンガープリント アルゴリズ
ムが使用されます。内部ロード バランシング スキームに新しい X-Brick が追加され、
既存の関連データのみが新しい DAE に転送されます。
ストレージの容量やパフォーマンスは、単一の X-Brick 構成に対して、2 つの X-Brick
であれば 2 倍の IOPS を、4 つの X-Brick であれば 4 倍の IOPS を、6 つの X-Brick
であれば 6 倍の IOPS を、8 つの X-Brick であれば 8 倍の IOPS を供給するなどのよ
うに、直線的に拡張します。ただし、レーテンシーは図 16 に示すように、システムが
拡張されても一貫して低い状態(1 ミリ秒以下)が保たれます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
37
図 16:一貫した低レーテンシーと直線的なパフォーマンス スケーラビリティ
XtremIO はそのスケーラビリティに特化して開発されたため、そのソフトウェアにはク
ラスター サイズに対する制限が元々ありません。 *システム アーキテクチャは、レー
テンシーについても最も効率的な方法で対処します。ソフトウェア設計は、モジュラー
式が採用されています。すべてのストレージ コントローラーでは、さまざまな組み合
わせのモジュールが実行され、負荷全体を共有します。このような分散型ソフトウェ
ア モジュール(異なるストレージ コントローラー上にある)は、個別の I/O 動作を処
理し、これはクラスターを通過します。XtremIO は、単一の X-Brick システムか複数
の X-Brick クラスターかに関係なく、2 つのソフトウェア モジュール(2 ホップ)で、各
I/O 要求を処理します。そのため、クラスターのサイズにかかわらず、レーテンシー
は常に一定に保たれます。
注:
サブミリ秒のレーテンシーは、実際のテスト結果に基づいて、また、最悪の条件下で
のシナリオを想定して検証されています。 †
*
最大のクラスター サイズは、現在テストおよびサポートされている設定に基づきます。
サブミリ秒のレーテンシーは通常のブロック サイズに適用されます。小さなブロックや大きなブロックのレーテンシーは大きく
なる可能性があります。
†
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
38
InfiniBand は、XtremIO のアーキテクチャで重要な役割を担っています。XtremIO は、
InfiniBand バックプレーンで、次の 2 種類の通信を使用します。制御メッセージ用
RPC(リモート プロシージャ コール)およびデータ ブロック移動用 RDMA(Remote
Direct Memory Access)。
InfiniBand は相互接続テクノロジで最高レベルの帯域幅(1 つの QDR 接続で
40 Gb/秒)であるだけでなく、極めて低いレーテンシーも誇ります。2 台の XtremIO
ストレージ コントローラー間でのデータ ブロックの RDMA 転送における往復時間は
7 マイクロ秒で、XtremIO の各 I/O に対するレーテンシー許容値である 500 マイクロ
秒と比較すると、ほぼ無視できる程度と言えます。これによって、I/O を受信するスト
レージ コントローラーがローカルかリモート(InfiniBand 経由)かに関係なく、ソフトウ
ェアで必要なストレージ コントローラーや SSD のリソースを選択できるようになります。
XtremIO のエンタープライズ機能(インライン データ削減、スナップショット、XDP、
高可用性など) は、スケールアウト アーキテクチャの一部として開発されています。
すべてのデータおよびメタデータは、クラスター全体に均等に分散されます。SAN ゾ
ーンやマルチパスを使用して、あらゆるホスト ポートを通じて、I/O をアレイに収納で
きます。そのため、すべてのワークロードがコントローラーと SSD に均等に分散され
るので、システムのどこであってもパフォーマンス ボトルネックが発生することが事
実上ありません。
XtremIO の機能は次のとおりです。
•
プロセッサ、RAM、SSD および接続ポートがともに拡張するため、最高のバランス
でスケーラブルなパフォーマンスが実現されます。
•
内部通信は、高可用性 QDR(40 Gb/秒)InfiniBand 内部ファブリックを経由して
実行されます。
•
クラスターは N 方向にアクティブであり、どのボリュームにも、あらゆる X-Brick の
あらゆるストレージ コントローラー上のどのホスト ポートからも、同等のパフォー
マンスでアクセスできます。
•
RDMA のゼロコピー データ アクセスによって、クラスター サイズに関係なく、ロー
カル SSD でもリモート SSD でも I/O が同等になります。
•
データは、システムの拡張に伴い、すべての X-Brick でバランスの取れた状態が
維持されます。
•
より高い水準の冗長性を実現し、クラスターはハードウェアやソフトウェアの障害
に対し、より高い耐性を実現します。N 方向のアクティブ スケールアウト クラスタ
ーでは、1 台のストレージ コントローラーに障害が起きても、システムが失うのは
全体的なパフォーマンスのわずか 1/N に留まります。
•
従来のデュアル コントローラー システムとは異なり、システムのアップグレードが
容易なため、XtremIO のスケールアウト モデルを使用することで、小規模に開始し、
ワークロードが増大するにつれてストレージ容量とパフォーマンスの両方を増やす
ことが可能になります。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
39
均等なデータ分散
外部のアプリケーションから見ると、XtremIO は一見、標準的なブロック ストレージ
アレイのように見え、またそのように動作します。しかし、そのユニークなアーキテク
チャにより、内部データの整理に採用されているアプローチは根本的に異なります。
XtremIO では、論理アドレスを使用するのではなく、ブロック コンテンツを使用して、
データ ブロックを配置する場所を特定します。
XtremIO は、内部的にデータ ブロックを使用します。書き込み処理では、ネイティブ
ブロック長より大きいデータ チャンクは、アレイに到達した段階ですべて標準のブロ
ックに分割されます。システムは、特殊な計算アルゴリズムを使って、着信データ ブ
ロックごとに一意のフィンガープリントを計算します。
この一意の ID は、次の 2 つの主要な目的で使用されます。
•
アレイ内のどこにデータ ブロックを配置するかを特定する
•
インライン データ削減(22 ページを参照)
フィンガープリント アルゴリズムの持つ性質上、ID は完全にランダムで、フィンガープリ
ント値として使用できる範囲内に均等に分散されます。この結果、データ ブロックはクラ
スター全体と、アレイ内のすべての SSD に均等に分散されます。言い換えれば、
XtremIO を使用すると、さまざまな SSD のスペース使用水準を確認したり、すべての
SSD に対するデータ書き込みが均等に行われるように管理したりする必要が一切なく
なります。XtremIO は一意の ID に基づいてブロックを配置することで、本質的に均等な
データの分散を実現します(18 ページの 図 7 を参照)。
XtremIO は、次のメタデータを保持します。
•
フィンガープリント ID マッピングに対する論理アドレス(LBA)
•
物理的な場所マッピングに対するフィンガープリント ID
•
各フィンガープリント ID の参照回数
システムはこれらすべてのメタデータをストレージ コントローラーのメモリに保持し、
RDMA を経由してさまざまなストレージ コントローラー間の変更記録をミラーリングす
ることでこの情報を保護します。また、これらの情報は定期的に SSD に保存されます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
40
すべてのメタデータをメモリに格納することで、XtremIO では次のユニークなメリット
が提供されます。
•
SSD 検索が不要
SSD 検索を回避することで、ホストの操作に使用できる I/O の数が増えます。
•
インスタント スナップショット
スナップショット操作は、スナップショット取得プロセスがアレイ メモリ内だけで行
われるため、即時に実行されます(ページ 31 を参照)。
•
瞬時の VM クローン作成
インライン データ削減と VAAI を、インメモリ メタデータと組み合わせることにより、
XtremIO はメモリ操作のみで 1 つの VM のクローンを作成できます。
•
安定したパフォーマンス
データの物理的な場所、大きいボリューム、広範な LBA 範囲は、システムのパフ
ォーマンスに何の影響も及ぼしません。
高可用性
データ消失の回避と障害の複数発生時におけるサービスの維持は、XtremIO のオ
ール フラッシュ ストレージ アレイのアーキテクチャのコアとなる機能の 1 つです。
ハードウェアの観点から言うと、単一障害点となるコンポーネントは存在しません。
システム上の各ストレージ コントローラー、DAE、InfiniBand スイッチには、デュアル電
源装置が装備されています。さらに、システムにはデュアル バッテリ バックアップ ユニ
ット、デュアル ネットワーク、データ ポートも装備されています(ストレージ コントローラ
ーごと)。2 つの InfiniBand スイッチは相互接続され、デュアル データ ファブリックを形
成します。両方の電力入力ライン、およびさまざまなデータ パスは常時監視され、何ら
かの障害が生じた場合には、リカバリまたはフェイルオーバーが試行されます。
ソフトウェア アーキテクチャも同様の方法で構築されています。SSD にコミットされて
いないすべての情報は、ジャーナルと呼ばれる複数のロケーションに格納されます。
それぞれのソフトウェア モジュールは、ストレージ コントローラーとは別の場所に独
自のジャーナルを持っているため、不測の障害が起きた場合にも、これを使用して
データを復元できます。ジャーナルは特に重要なコンポーネントとみなされ、バッテリ
ーでバックアップされている電源を備えたストレージ コントローラーに常備されてい
ます。バッテリ バックアップ ユニットに問題が生じた場合には、ジャーナルは、別の
ストレージ コントローラーにフェイルオーバーします。大規模な電源障害の際には、
バッテリ バックアップ ユニットにより、全ジャーナルをストレージ コントローラーのヴォ
ールト ドライブに書き込んで、システムの電源をオフにすることができます。
また、スケールアウト型のデザインと XDP データ保護アルゴリズムにより、各
X-Brick は 1 つの冗長性グループとして事前設定されます。このため、冗長性グルー
プの選択、構成、チューニングは不要です。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
41
XtremIO のアクティブ/アクティブ アーキテクチャは、最大のパフォーマンスと一貫し
たレスポンス タイムを確保するように設計されています。システムは、どのような障
害からも復旧し、完全な機能での再開を試みる自動修復メカニズムを備えています。
障害の生じたコンポーネントでは、フェイルオーバー アクションの前に、再起動が試
みられます。ストレージ コントローラーのフェイルオーバーは、最終手段として実行さ
れます。障害の種類を基に、システムは関連するソフトウェア コンポーネントのフェイ
ルオーバーを試みながら、他のコンポーネントの動作を継続します。そのため、パフ
ォーマンスの影響は最小限に留められます。ストレージ コントローラー全体のフェイ
ルオーバーは、復旧の試みが成功しなかった場合、または、システムがデータ消失
を防止するために最善策を講じなくてはならない場合にのみ実行されます。
一時的に使用不能状態に陥ったコンポーネントが復旧した場合は、フェイルバックが
開始されます。このプロセスは、ソフトウェア コンポーネントまたはストレージ コントロ
ーラー レベルで実行されます。システムでは、バウンス防止メカニズムにより、不安
定なコンポーネントやメンテナンス中のコンポーネントが原因で発生する障害を防止
できます。
コモディティ ハードウェアに組み込むことで、XtremIO は、ハードウェア ベースのエラ
ー検出のみに依存することなく、破損した領域の検出、修正、マーク付けを行う専用
アルゴリズムを備えています。SSD ハードウェアによって自動的に処理されないあら
ゆるデータ破損シナリオは、アレイ上の XDP メカニズムや、ジャーナルに保存された
複数のコピーで対処します。サイレントなデータ破損によるエラーを回避するために、
読み取り処理中は安全で信頼できるデータ整合性メカニズムとしてコンテンツ フィン
ガープリントが使用されます。措定されたフィンガープリントに不整合が見つかった場
合は、アレイは再度読み取るか、XDP 冗長性グループから再構築を試みることで、
データを復旧します。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
42
無停止アップグレードと拡張
XtremIO オペレーティング システムの NDU(無停止アップグレード)中は、システム
はライブ クラスター上でアップグレード手順を実行し、クラスター内の全ストレージ コ
ントローラーを更新し、プロセスのアプリケーションを再起動します。この処理は 10
秒未満で行われます。基盤となる Linux カーネルはアップグレード プロセス中もアク
ティブであるため、ホストがアプリケーションの再起動中にパスの切断を検出するこ
とはありません。
Linux のカーネルやファームウェアのアップグレードなど稀なケースでも、サービスの
中断やデータ消失の危険性なく、XtremIO のオール フラッシュ アレイをアップグレー
ドすることが可能です。NDU プロシージャは、XtremIO マネージメント サーバーから
起動し、XtremIO のソフトウェアや基盤となるオペレーティング システム、ファームウ
ェアのアップグレードを実行できます。
Linux/ファームウェアの NDU 実行中、システムは自動的にコンポーネントをフェイル
オーバーし、ソフトウェアをアップグレードします。アップグレードの完了とコンポーネ
ントの稼働状態の検証後、システムはフェイルバックし、そのプロセスは他のコンポ
ーネントで繰り返されます。システムが完全にアクセス可能なアップグレード プロセ
ス中、データの消失はなく、パフォーマンスへの影響は最小限に抑えられます。
37 ページの「拡張性の高いパフォーマンス」で説明しているように、無停止での拡張
によってコンピューターとストレージの両方のリソースを追加できます。システムの拡
張には、ボリュームの構成や手作業でのボリュームの移動は不要です。XtremIO で
は、再マッピングを最小限に抑える一貫したフィンガープリント アルゴリズムが使用
されます。内部ロード バランシング スキームに新しい X-Brick が追加され、既存の関
連データのみが新しい DAE に転送されます。ストレージの容量やパフォーマンスは、
単一の X-Brick 構成に対して、2 つの X-Brick であれば 2 倍の IOPS を、4 つの
X-Brick であれば 4 倍の IOPS を、6 つの X-Brick であれば 6 倍の IOPS を、8 つの
X-Brick であれば 8 倍の IOPS を供給するなどのように、直線的に拡張します。
ただし、レーテンシーは図 16 に示すように、システムが拡張されても一貫して低い
状態(1 ミリ秒以下)が保たれます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
43
VMware VAAI の統合
VAAI(vSphere Storage APIs for Array Integration)は、ホスト ベースの VM クローン
作成の改善策として導入されました。VAAI を使用しないですべての VM クローンを
作成するには、ホストは各データ ブロックを読み取り、それをクローンの VM が常駐
する新しいアドレスに書き込む必要があります。図 17 を参照してください。これは、
ホスト、アレイ、SAN(ストレージ エリア ネットワーク)をロードするコストのかかる操作
です。
図 17:VAAI を使用しないフル コピー
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
44
VAAI を使用すると、VM のクローン作成のワークロードは、ストレージ アレイにオフロ
ードされます。ホストは X-copy コマンドを発行する必要があるだけで、図 18 に示す
ように、アレイは、データ ブロックを新しい VM アドレスにコピーします。このプロセス
によって、ホストとネットワークのリソースが節約されます。ただし、ストレージ アレイ
のリソースは依然消費されます。
図 18:VAAI を使用したフル コピー
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
45
XtremIO は VAAI に完全に対応しており、これによりアレイは、vSphere と直接通信し
たり、高速化されたストレージの vMotion、VM プロビジョニング、シン プロビジョニン
グを提供することができます。
また、XtremIO と VAAI との統合によって、全操作をメタデータ主導型にすることで、
X-copy の効率はさらに高まります。XtremIO では、インライン データ削減とインメモリ
メタデータのために、X-copy コマンドの実行中に実際のデータ ブロックがコピーされ
ることはありません。システムは既存のデータへの新しいポインターを作成するだ
けで、図 19 で示すように、プロセス全体はストレージ コントローラーのメモリで実行さ
れます。そのため、ストレージ アレイのリソースは消費されず、システム パフォーマン
スに影響を与えません。
たとえば、VM イメージは、XtremIO で即時にクローン化することができます(複数回
可能)。
図 19:XtremIO を使用したフル コピー
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
46
これは、XtremIO のインメモリ メタデータとインライン データ削減でのみ可能です。
VAAI を実装するものの、インライン データ削減機能を備えていない他のフラッシュ
製品は、フラッシュに X-COPY を書き込み、後で重複排除を実行する必要があります。
インメモリ メタデータを持たないアレイは、X-COPY を実行するために SSD で検索を
実行する必要があります。これは、既存のアクティブな VM の I/O にマイナスの影
響を及ぼします。XtremIO を使用した場合にのみ、この処理は SSD への書き込みな
しで、既存の VM の I/O に影響を与えることなく、素早く完了できます。
VAAI 用 XtremIO 機能では、以下がサポートされます。
•
ゼロ ブロック/Write Same
ディスク領域のゼロ化操作に使用(VMware 用語:HardwareAcceleratedInit)。
この機能では、高速化されたボリュームのフォーマット化を実行できます。
•
クローン ブロック/フル コピー/XCOPY
同一物理アレイ内のデータのコピーや移行に使用(VMware 用語:
HardwareAcceleratedMove)。
XtremIO では、アクティブな VM 上のユーザーI/O に影響を与えることなく、ほぼ
瞬時に VM クローン作成を実行できます。
•
レコード ベースのロック/ATS(Atomic Test & Set)
VMFS ボリューム上でのファイルの作成やロック時(VM の電源投入や電源切断
時など)に使用します
(VMware 用語:HardwareAcceleratedLocking)。
競合なしで、ボリュームや ESX クラスターの増加に対応できます。
•
ブロックの削除/UNMAP/TRIM
SCSI UNMAP 機能を使用して、未使用のスペースを再利用できます(Vmware
用語:BlockDelete。vSphere 5.x のみ)。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
47
XMS(XtremIO マネージメント サーバー)
XMS によって、次に示すように、システムを制御および管理できます。
•
新しいシステムの形成、開始、フォーマット
•
システムの稼働状態とイベントのモニタリング
•
システム パフォーマンスのモニタリング
•
パフォーマンス統計履歴データベースの管理(XMS では最大 2 年分の履歴デー
タを保存し、豊富なレポート作成機能を提供します)
•
クライアントに GUI および CLI サービスを提供する
•
ボリューム管理およびデータ保護グループの操作ロジックを実装する
•
システムの管理(停止、開始、再始動)
XMS は、CLI や GUI、RESTful API インターフェイスとともにプリインストールされてい
ます。XMS は、データセンター内の専用物理サーバーにインストールすることも、
VMware 上の仮想マシンとしてインストールすることも可能です。
XMS は X-Brick ストレージ コントローラーのすべての管理ポートにアクセスする必要
があり、どの GUI/CLI クライアント ホスト マシンからもアクセスできる必要があります。
すべての通信に標準の TCP/IP 接続が使用されるため、XMS は前述の接続要件を
満たす場所であればどこにでも配置できます。
XMS はデータ パスに存在しないため、I/O に影響を及ぼすことなく XtremIO クラスタ
ーから切断できます。XMS の障害はモニタリング、ボリュームの作成や削除などの
構成アクティビティにのみ影響を与えます。ただし、仮想 XMS トポロジーの使用時
には、VMware vSphere 高可用性機能を利用して、そうした障害を簡単に克服するこ
とができます。
1 台の XMS で、複数のクラスターを管理できます *。XMS ではさまざまなサイズ、
モデル、XtremIO バージョン番号のクラスターを管理できます。複数のクラスター管
理の主なメリットは次のとおりです。
•
管理の観点から、管理者は「単一コンソール」から複数のクラスターをすべて管
理できます。
•
導入の観点から、複数のクラスターを管理するために必要な XMS サーバーは 1
つのみになります。
経時的に、導入済みの XMS に別のクラスターを追加できます。また、クラスターは
XMS 間で簡単に移動させることができます。すべての管理インターフェイス
(REST/GUI/CLI)では、固有のマルチ クラスター管理機能を使用できます。複数クラ
スターの管理は、バージョン 4.0 以降でサポートされています。
*システム バージョン 4.0 では、特定のサイトで XMS によって管理される最大 8 個のクラスターをサポートします。この数値は、
今後の XtremIO オペレーティング システムのリリースで引き続き増加する予定です。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
48
システム GUI
図 20 は、システム GUI と他のネットワーク コンポーネント間の関係を示しています。
図 20:GUI と他のネットワーク コンポーネントの関係
システム GUI は、Java クライアントを使用して実装されます。GUI クライアント ソフト
ウェアは、標準の TCP/IP プロトコルを使用して、XMS と通信します。また、クライア
ントが XMS にアクセスできる場所であればどこでも使用できます。
GUI は、ほとんどのシステム操作を実行するための使いやすいツールを備えてい
ます(一部の管理操作は、CLI を使用して実行する必要があります)。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
49
図 21 に、ユーザーがシステムのストレージ、パフォーマンス、アラート、ハードウェア
のステータスを監視できる GUI のダッシュボードを示します。
図 21:GUI を使用してシステムをモニタリングする
コマンド ライン インターフェイス
システムの CLI(コマンド ライン インターフェイス)を使用することで、管理者や他のシ
ステム ユーザーは、サポートされた管理操作を実行できます。CLI は、XMS にプリイ
ンストールされ、標準の SSH プロトコルを使用してアクセスできます。
リモート ホストからのスクリプト作成を容易にするために、スクリプトにパスワードを
保存する必要がなく、CLI のリモート アクセスを許可する鍵ベースの SSH ユーザー
アクセスを定義できます。
RESTful API
XtremIO の RESTful API は、システムの自動化、オーケストレーション、クエリー、プロ
ビジョニングに HTTPS ベースのインタフェースを使用できるようにします。API を使用
すると、サード パーティ アプリケーションで、アレイを完全に制御および管理できます。
そのため、XtremIO アレイ用に拡張性の高い管理ソリューションを開発できます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
50
LDAP/LDAPS
XtremIO ストレージ アレイは、CLI および GUI ユーザーの両方で LDAP ユーザー認証
をサポートしています。LDAP 認証用に構成すると、XMS はユーザーの認証を構成
済みの LDAP または AD(Active Directory)サーバーにリダイレクトし、認証済みのユ
ーザーだけがアクセスできるようにします。ユーザーの XMS 権限は、ユーザーの
LDAP/AD グループと XMS の役割間のマッピングを基に定義されます。
XMS サーバーLDAP 構成機能では、XMS サーバーにログインする外部ユーザーを
単一または複数のサーバーを使用して認証できます。
LDAP 操作は、外部ユーザーの資格情報を使用して XMS サーバーにログインする
際に、一度実行されます。XMS サーバーは LDAP クライアントとして動作し、外部サ
ーバーで実行中の LDAP サービスに接続します。事前構成済み LDAP 構成プロファ
イルと外部ユーザー ログイン資格情報を使用して、LDAP 検索を実行します。
認証に成功すると、外部ユーザーは XMS サーバーにログインして、完全または限定
的な XMS サーバー機能にアクセスします(LDAP ユーザーのグループに割り当てら
れた XMS 役割に応じて)。
XtremIO ストレージ アレイは安全な認証のために LDAPS もサポートします。
管理の容易さ
XtremIO は、極めてシンプルに構成および管理することが可能で、チューニングや広
範な計画は不要です。
ユーザーは XtremIO を使用することで、システムの最適化のために、さまざまな
RAID オプションから選ぶ必要がなくなります。システムが開始すると、XDP(26 ペー
ジを参照)はすでに、単一の冗長性グループとして構成されています。すべてのユー
ザー データは、X-Brick 全体に分散されます。また、階層化やパフォーマンス チュー
ニングは不要です。I/O データはすべて同等に処理されます。作成時、すべてのボリ
ュームは全ポート(FC と iSCSI)にマップされ、アレイでストレージが階層化されること
はありません。この特徴により、手作業によるパフォーマンス チューニングや最適化
設定が不要になるため、システムの管理、構成、使用が容易になります。
XtremIO の特徴
•
•
最低限のプランニング

RAID 構成不要

クローン作成およびスナップショットのサイズ設定を最小化
階層化なし

•
単一階層、オール フラッシュ アレイ
パフォーマンス チューニング不要

独立した I/O アクセス パターン、キャッシュ ヒット率、階層化の決定など
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
51
リモート アレイへの XtremIO のレプリケーション
RecoverPoint
EMC RecoverPoint ファミリーは、コスト パフォーマンスに優れたローカル CDP(継続
的データ保護)、CRR(継続的リモート レプリケーション)、CLR(継続的ローカル/リモ
ート レプリケーション)を提供します。これらのソリューションを使用すると、任意のポ
イント イン タイム データをリカバリできます。またローカルやリモートのレプリケーシ
ョンで新しい「スナップおよびレプリケート」メカニズム(XRP)が提供されます。これに
より、高パフォーマンスで低レーテンシーのアプリケーションでレプリケーションを実
行できます。RecoverPoint/EX は、EMC Symmetrix ® VMAX™ 10K、Symmetrix VMAX
20K、Summetrix VMAX 40K、VPLEX™、XtremIO(VPLEX による仮想化時の VPLEX ス
プリッターやネイティブの RecoverPoint サポート)、VNX シリーズ、CLARiX CX3 また
は CX4 アレイのローカルおよびリモート レプリケーションをサポートしています。
この製品では、お客様のデータ保護管理を一元化および合理化でき、ローカル デー
タ保護および継続的なデータ保護機能や、リモート レプリケーション機能を利用でき
ます。
•
XtremIO のネイティブ レプリケーション サポート
XtremIO のネイティブ レプリケーション サポートは、1 分未満の低い目標復旧時
点と即時の RTO を提供する高パフォーマンスと低レーテンシーのアプリケーショ
ン向けに設計されています。
次のようなメリットがあります。
•

ブロック レベルのリモートまたはローカルのレプリケーション

非同期のローカル/リモート レプリケーション

目的の RPO や RTO を確保しながら、ストレージ リソースやネットワーク リソ
ースを最適化できるポリシー ベースのレプリケーション

アプリケーション対応型の統合
VPLEX を使用するスプリッター ベースのレプリケーション
RecoverPoint のスプリッター ベースのレプリケーションでは、同期レプリケーショ
ン、細かいリカバリ精度(ジャーナル ベース)での継続的なレプリケーション、アク
ティブ/アクティブのデータセンターにおけるレプリケーションを提供します。
次のようなメリットがあります。

ブロック レベルのリモートまたはローカルのレプリケーション

動的な同期、同期または非同期によるリモート レプリケーション

目的の RPO や RTO を確保しながら、ストレージ リソースやネットワーク リソ
ースを最適化できるポリシー ベースのレプリケーション

アプリケーション対応型の統合
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
52
•
RecoverPoint for VMs
RecoverPoint for VMs は、完全に仮想化されたハイパーバイザー ベースのレプ
リケーション ソリューションで、完全に仮想化された EMC RecoverPoint エンジン
を元に作成されています。
次のようなメリットがあります。

低い TCO で RPO/RTO を VMware 環境で最適化します。

OR と DR を合理化し、ビジネスの俊敏性の向上させます。

IT またはサービス プロバイダーにクラウド対応データ保護を提供して、プライ
ベート、パブリック、ハイブリッド クラウドにサービスとしての災害復旧を可能
にします。
ソリューション概要
XtremIO 向けの RecoverPoint ネイティブ レプリケーション
XtremIO 向けの RecoverPoint ネイティブ レプリケーションは「スナップおよびレプリケ
ート」オプションを使用する、高パフォーマンス、低レーテンシーの環境向けのレプリ
ケーション ソリューションです。RecoverPoint と XtremIO の両方の長所を活用し、
負荷の高いワークロード用のレプリケーションを低 RPO で提供します。
このソリューションは、すべての XtremIO ワークロードをサポートするように開発され、
スターターX-Brick からのすべてのクラスター タイプ、最大 8 個の X-Brick クラスター
をサポートし、XtremIO のスケールアウト オプションで拡張できます。
RecoverPoint ネイティブ レプリケーション テクノロジーは、XtremIO のコンテンツ対応
機能を活用して実装されています。これにより、前回のサイクルからの変更のみをレ
プリケートすることで、レプリケーションを効率の良く実行できます。さらに、成熟度が
高く効率的な RecoverPoint の帯域幅管理のみを活用し、レプリケーションでサポー
トできる I/O の量を最大限にします。
RecoverPoint のレプリケーションが開始すると、データはリモート サイトに完全にレ
プリケートされます。RecoverPoint では、ソースでスナップショットを作成し、リモート
サイトに転送します。最初のレプリケーションは、ローカルとリモート コピー間の署名
をまず一致させ、一致した場合に限り必要なデータをターゲット コピーにレプリケート
します。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
53
スナップショットは、RecoverPoint
によってターゲット側に転送され、
ターゲット アレイに保存されます。
ホスト
RPA
RPA
最初のスナッ
プショット
最初の初期化スナ
ップショット
図 22:RecoverPoint「スナップおよびレプリケート」オプション:最初のレプリケーション
後続のすべてのサイクルでは、新しいスナップショットが作成されると、RecoverPoint
はターゲット コピーへのスナップショット間における変更のみをレプリケートし、ターゲ
ット サイトで新しいスナップショットへの変更を保存します。
RecoverPoint では、ターゲット サイ
トへのスナップショット間の変更の
みを同期し、変更をターゲット サイ
トで新しいスナップショットとして保
存します。
ホスト
DIFF
RPA
RPA
最初のスナッ
プショット
新しいスナッ
プショット
最初の初期化ス
ナップショット
図 23:RecoverPoint の「スナップおよびレプリケート」オプション:後続のレプリケー
ション
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
54
ターゲットのスナップショットは保存ポリシーに従って保存され、DR テストやターゲット
コピーへのフェイルオーバー用に使用できます。
XtremIO 向けのネイティブ RecoverPoint レプリケーションには、次のような独自の素
晴らしい価値があります。
•
すべての災害復旧オペレーション
•
EMC と VMware エコシステムとの完全統合
•
XtremIO のフル スケールとパフォーマンスのサポート
•
12 年以上の実績がある RecoverPoint による利点
•
単一のコンソールからのシンプルな管理と構成
•
即時 RTO でフェイルオーバーとテストを実行する機能
•
スペースの効率性と XtremIO の軽量スナップショットを活用した高速データ同期
XtremIO レプリケーションにより、同じサイト内やサイト全体でデータ保護と災害復旧
が有効になります。
•
ファン イン/ファン アウト
•
双方向レプリケーション
•
XtremIO から XtremIO
•
XtremIO と VPLEX、VMAX と VNX アレイ間での異機種混在レプリケーション
XtremIO 向けの同期と CDP レプリケーション
同期レプリケーションと CDP は、VPLEX スプリッター ソリューションでサポートされます。
PowerPath、VPLEX、RecoverPoint、XtremIO を統合することにより、 *強力かつ堅牢で
高性能なブロック ストレージ ソリューションを実現します。
*
•
PowerPath:パス フェイルオーバー、ロード バランシング、パフォーマンス最適化
などの VPLEX エンジンを提供するために、ホストにインストールされます(または、
VPLEX を使用しない場合は XtremIO アレイに直接インストール)。
•
VPLEX Metro:分散された仮想ボリューム全体でストレージ サービスを共有でき
るようにし、Metro サイトやアレイの境界を越えて同時読み取りおよび書き込みア
クセスを実行できるようにします。
•
VPLEX Local:ターゲット サイトで使用され、EMC と EMC 以外のストレージ デバイ
スの両方を仮想化して、資産の使用効率を向上させます。
•
RecoverPoint/EX:VPLEX によってカプセル化されたすべてのデバイス(XtremIO
を含む)は、非同期、同期または動的な同期データ レプリケーションに
RecoverPoint サービスを使用できます。
RPQ 承認が必要です。EMC 担当者にお問い合わせください。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
55
例:
ある組織は図 24 に示すように、NJ(ニュー ジャージー)、NYC(ニューヨーク シティ)、
IA(アイオワ)の 3 か所のデータセンターを所有しています。
図 24:XtremIO、PowerPath、VPLEX、RecoverPoint を使用した統合ソリューション
NJ および NYC サイト間に Oracle RAC および VMware 高可用性ノードが分散され、
データは全サイト間を頻繁に移動します。
組織は、ストレージ インフラストラクチャにマルチベンダー戦略を導入しました。
•
XtremIO ストレージは、組織の VDI とその他の高性能アプリケーションに使用し
ます。
•
VPLEX Metro は、NJ と NYC の両方のサイトでデータ移動とアクセスを促進するた
めに使用されます。VPLEX Metro は、Access-Anywhere(場所を問わないアクセス)
機能を組織に提供します。これにより、両方のサイトの読み取り/書き込みで、
仮想の分散ボリュームにアクセスすることができます。
•
災害復旧ソリューションは、Metro サイトと IA サイト間で、非同期の継続的なリモ
ート レプリケーションに RecoverPoint を使用することによって実装されます。
•
VPLEX Metro は、EMC や EMC 以外のストレージのレプリケーションを実行できる
ようにしながら、資産やリソースの使用率を改善するために、IA サイトで使用され
ています。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
56
EMC ソリューション(前述)は、次に示すようなユニークで優れた価値を提供します。
•
高性能ストレージ環境における高可用性および複数パスのパフォーマンスの最
適化
•
低レーテンシーと高スループットで数十万の IOPS をサポートする高パフォーマン
スのコンテンツ対応型オール フラッシュ ストレージ
•
ゼロ RPO で地理的に分散したクラスター
•
ほぼゼロの RTO で自動化された復旧
•
VPLEX Metro データセンター内、または、VPLEX Metro データセンター間での高可
用性
•
ワークロードに応じてサイト間で共有できる優れたパフォーマンス
•
XtremIO システムの継続的なリモート レプリケーション(または、CDP または CLR)
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
57
他の EMC 製品との統合
XtremIO は、他の EMC 製品との統合にも適しています。統合ポイントは、EMC のお
客様にさらなる価値を提供するために、XtremIO の将来のリリースで引き続き拡大さ
れます。
システムの統合ソリューション
Vblock
Vblock は、ストレージ、コンピューティング、ネットワークのリソースを 1 つの製品に
組み合わせたコンバージド インフラストラクチャ プラットフォームです。技術革新のパ
スをリードする Vblock 540 では、高パフォーマンスで混在ワークロードに対応する
業界初のオール フラッシュ ベースの統合インフラストラクチャ システムです。市場を
リードする EMC の XtremIO AFA(オール フラッシュ アレイ)、次世代型 Cisco Unified
Computing System、Cisco Nexus ACI 対応ネットワークを活用するシステムでは、
極めて低いレーテンシー、優れた柔軟性と運用性でスケールアウト パフォーマンス
を提供します。
Vblock 540 は EMC Isilon ストレージの VCE テクノロジー拡張機能と組み合わせるこ
とで、ビッグデータ(ビジネス分析)やエンド ユーザー コンピューティングなどのミッシ
ョン クリティカルで、新しい第 3 のプラットフォーム アプリケーションに最適です。
VSPEX
VSPEX の実証済みインフラストラクチャでは、XtremIO を使用したプライベート クラウ
ドと VDI ソリューションの導入を促進します。優れた仮想化、サーバー、ネットワーク、
ストレージ、バックアップを使用して構築された VSPEX は、よりシンプルかつ迅速に
導入でき、幅広い選択肢を備えているほか、効率性に優れ、リスクも軽減します。
EMC による妥当性検査によって、予測可能なパフォーマンスが保証されるだけでなく、
お客様は既存の IT インフラストラクチャを活用する製品を選択し、プランニング、サ
イズ設定、構成に伴う負荷も同時に解消できます。
VSPEX ソリューションの詳細については、
https://support.emc.com/products/30224_VSPEX を参照してください。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
58
ソリューションの管理およびモニタリング
ESA(EMC Storage Analytics)
ESA は、ストレージのために vR OPs Manager(VMware vRealize Operations
Manager)と EMC アダプターをリンクします。vR OPs Manager は、次の手順でアダプ
ターから提供されるデータに基づいて、ストレージ システムのパフォーマンスと容量
に関するメトリックを表示します。
•
ストレージ システム リソースに接続してデータを収集する
•
vC Ops Manager が処理可能な形式にデータを変換する
•
vR OPs Manager Collector にデータを渡す
vR OPs Manager は、集計されたデータを、アラート、ダッシュボード、エンド ユーザ
ーが簡単に理解できる定義済みレポートを通じて表示します。EMC アダプターは、
vR OPs Manager 管理ユーザー インターフェースにインストールされています。ESA は、
VMware の管理パック認定要件に準拠し、VMware Ready 認定を受けています。
ESA の詳細については、
https://support.emc.com/products/30680_Storage-Analytics を参照してください。
Windows 向け ESI(EMC Storage Integrator)プラグイン
ESI(EMC Storage Integrator)for Windows Suite は、MS Windows および Microsoft
アプリケーション管理者用のツール セットです。ESI プラグインは MMC(Microsoft 管
理コンソール)に基づいており、スタンドアロン ツールとして、または Windows コンピ
ューターで MMC スナップインの一部として実行します。XtremIO アレイからストレー
ジを表示、プロビジョニング、管理する機能を提供します。
Windows 向け ESI プラグインのその他の機能は次のとおりです。
•
ESI PowerShell Toolkit では、ESI ストレージのプロビジョニングと対応する
PowerShell コマンドレットでの証拠開示機能を提供します。
•
また ESI では物理環境のほか、Microsoft Hyper-V、VMware vSphere、vCenter で
実行する Windows 仮想マシンのストレージ プロビジョニングや検出もサポートし
ます。
•
Microsoft System Center Operations Manager 用の ESI SCOM Management
Pack では、統合されたシンプルなダッシュボードを提供することで、SCOM で
XtremIO アレイが管理できるようになります。
•
ESI Exchange Integration により、ユーザーは各自の Exchange の展開と統合で
きます。
•
ESI SQL Server アダプターでは、Microsoft SQL Server のインスタンスとデータベ
ースをローカルやリモートで表示できます。また、EMC ストレージにデータベース
をマッピングできます。ESI は、SQL Server 2012 と 2014 の Always On をサポー
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
59
トします。この機能によりユーザーはプライマリ SQL Server のレプリカと最大 4 つ
のセカンダリ レプリカを表示できます。
Windows 向けの ESI プラグインは無料ソフトウェアで、
https://support.emc.com/products/17404_ESI-for-Windows-Suite からダウンロー
ドできます。
Oracle VM 向け ESI(EMC Storage Integrator)プラグイン
Oracle VM は、Oracle Corporation から提供されるサーバーの仮想化です。エンター
プライズ アプリケーションの迅速な導入に役立ちます。ESI(EMC Storage Integrator)
for Oracle VM は EMC のプラグインで、Oracle VM で XtremIO からのストレージを検
出し、プロビジョニングができます。ESI プラグ インは、Oracle Storage Connect のフ
レームワークと連携して機能するように構築されています。フレームワークは、
Oracle 環境でストレージ デバイスの管理とプロビジョニングの機能を強化する一連
のストレージ検出とプロビジョニングの API を提供します。
Oracle VM と Storage Connect API は、EMC Storage Integrator と連携し、仮想インフ
ラストラクチャを管理するための IT 運用を強化します。これにより、Oracle VM 管理
者は次のことができるようになります。
•
アレイからストレージ デバイス作成し、追加する。
•
これらのデバイスのスナップショットを作成する。
•
接続するストレージで VVM のクローンを作成する。
Oracle VM 向け ESI プラグインは無料ソフトウェアで、
https://support.emc.com/products/37222_Storage-Integrator-for-Oracle-VMStorage-Connect からダウンロードできます。
ViPR Controller
EMC ViPR Controller は、データセンターの基盤となる物理ストレージ インフラストラク
チャを抽象化、プール化、自動化する、ソフトウェア デファインドのストレージ プラット
フォームです。これにより、データセンター管理者には、異機種混在ストレージ シス
テムにおいて単一のコントロール プレーンが提供されます。
ViPR により、以下の機能が提供され、ソフトウェア デファインドのデータセンターが実
現します。
•
マルチベンダー ブロックおよびファイル ストレージ環境のストレージ自動化機能
•
異なる場所にある複数のデータセンターの管理。任意のデータセンターから、
シングル サインオン データ アクセスを使用します
•
より高いレベルのコンピューティングおよびネットワーク オーケストレーションを可
能にする VMware および Microsoft のコンピューティング スタックとの統合
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
60
•
包括的でカスタマイズ可能なプラットフォーム レポート機能。内蔵の ViPR
SolutionPack を使用した、容量測定、チャージバック、パフォーマンス監視などが
あります
ViPR Controller の詳細については、
https://support.emc.com/products/32034_ViPR-Controller を参照してください。
ViPR SRM
EMC ViPR SRM は、異機種の混在するブロック、ファイル、仮想化のいずれのストレ
ージ環境に対しても、包括的なモニタリング、レポート作成、分析機能を提供します。
これによってユーザーは、ストレージの依存関係にアプリケーションを可視化、構成
および容量拡大の分析ができるようになります。また環境を最適化して、投資収益
率を向上できます。
仮想化により、あらゆる規模のビジネスで管理の合理化、コストの抑制、アップタイ
ムの保証が可能になります。ただし仮想化環境は IT インフラストラクチャの複雑性
が増して可視性が損なわれ、ストレージ リソース管理を煩雑なものにする可能性が
あります。ViPR SRM では、物理環境と仮想環境の関係性における可視性を提供し、
一貫したサービス レベルを保証することで、こうした階層化を解決します。
ViPR SRM の詳細については、
https://support.emc.com/products/34247_ViPR-SRM を参照してください。
VMware vCenter 向け VSI(Virtual Storage Integrator)プラグイン
VSI プラグインは無料の vSphere Web クライアント プラグインで、VMware 管理者は
ESX/ESXi サーバーのストレージを表示、管理、最適化できます。VSI はグラフィカル
ユーザー インターフェイスと、XtremIO アレイとの通信およびアクセスを可能にする
EMC SIS(EMC Solutions Integration Service)で構成されています。
VSI プラグインにより、ユーザーは vCenter の観点から XtremIO アレイとやり取りで
きます。たとえばユーザーは、VMFS データストアや RDM ボリュームのプロビジョニ
ング、XtremIO スナップショットを使用した完全クローンの作成、データストアと RDM
ボリュームのプロパティの表示、データストアの容量拡大、データストアと RDM ボリ
ュームの一括プロビジョニングが実行できます。
さらに、VSI プラグインでは XtremIO で次の作業を実行できます。
•
マルチパス、ディスク キューの深さ、最大 I/O サイズ、その他の設定を含むホス
ト パラメーターを推奨値に設定する。必要な場合、こうした設定はクラスター レベ
ルでも実行できます。
•
VAAI やその他の ESX 操作の設定を最適化する。
•
データストア レベルでのスペース再利用。スペース再利用処理を指定した時間
に実行するようにスケジュールできます。
•
VMware Horizon View と Citrix XenDesktop の統合。
•
VMware と XtremIO の観点から消費容量のレポートを作成する。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
61
VSI プラグインは、
https://support.emc.com/products/32161_VSI-Plugin-Series-for-VMware-vCenter
からダウンロードできます。
アプリケーション統合ソリューション
AppSync
EMC AppSync は、XtremIO 環境向けのシンプルな SLA(Service Level Agreement)指
向のセルフ サービス データ保護アプローチです。AppSync を使用すると、1 回のク
リックですべての重要なアプリケーションを保護でき、適切なサービス レベルにダイ
ヤル インします。アプリケーション所有者はより適切に保護できるようになります。
AppSync は通常、テスト/開発のデータ転用、スナップショットを使用するバックアップ
の高速化、オペレーション リカバリなどのコピー管理アクティビティに役立ちます。
AppSync により、アプリケーション管理者はアプリケーションの観点から、XtremIO の
スナップショットを管理できます。つまり、「アプリケーションに対応」する方法でスナッ
プショットの管理アクティビティをスケジュールできます。また、事前定義したスケジュ
ールに従い、「サービス プラン」にアプリケーションをサブスクライブしてアプリケーシ
ョン コンシステント スナップショットを作成(削除)できます。AppSync では、VMware、
Oracle、SQL Server、Exchange 環境との統合を提供します。
AppSync の詳細については、
www.japan.emc.com/AppSync を参照してください。
OEM(Oracle Enterprise Manager)プラグ イン
EMC Storage Plug-in for Oracle Enterprise Manager 12c は、XtremIO アレイの包括
的な可用性、パフォーマンス、構成情報を提供します。このプラグ インにより、
XtremIO と Oracle テクノロジーに依存するアプリケーションを管理する複雑性とコス
トを低減できます。
アプリケーション管理者は、監視情報を Oracle Enterprise Manager 内に統合し、包
括的な根本原因分析が実行できるようになりました。ストレージ管理者とデータベー
ス管理者は、XtremIO をプロアクティブにモニタリングし、ストレージ パフォーマンス
の問題がエンド ユーザーのサービスに与えるインパクトを特定して、取り組み内容と
ビジネス ニーズの適合性を高めることができます。
OEM プラグインは無料ソフトウェアで、
https://support.emc.com/products/38391_Storage-Plug-in-for-Oracle-EnterpriseManager-12c からダウンロードできます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
62
ビジネス継続性と高可用性ソリューション
PowerPath
EMC PowerPath はホスト ベースのソフトウェアで、物理環境および仮想環境に導入さ
れた異機種混在のサーバー、ネットワーク、およびストレージのために自動化された
データ パス管理およびロード バランシング機能を提供します。この特徴により、ユー
ザーは高性能アプリケーションの可用性とパフォーマンスを備えたサービス レベルを
満たせるようになります。PowerPath は、エラーや障害の発生時、高可用性のために
パス フェイルオーバーや復旧を自動化し、複数のパスに I/O を負荷分散することで、
パフォーマンスの最適化を図ります。XtremIO は、直接的に、また、VPLEX を使用して
XtremIO システムを仮想化することにより、PowerPath でサポートされています。
VPLEX
EMC VPLEX ファミリは、データセンター内、データセンター全体、データセンター間で
データ移動とアクセスを提供するための次世代ソリューションです。このプラットフォ
ームは、ローカル フェデレーションと分散フェデレーションに対応しています。
•
ローカル フェデレーションは、1 つのサイト内にある複数の物理エレメントを透過
的に連携させる機能です。
•
分散フェデレーションは、2 つのサイト間のアクセスを遠距離まで拡大する機能
です。
VPLEX によって物理的な障壁が取り除かれ、さまざまな場所からキャッシュの整合
性のとれた、一貫したデータのコピーにアクセスでき、仮想ホスト クラスターまたは
物理ホスト クラスターを地理的に分散させることができます。この結果、計画的なイ
ベントを見越した、サイト間での柔軟な負荷の再配置が提供されると同時に、複数の
サイト間での透過的な負荷分散が可能になります。さらに、データセンターの 1 つを
停止させる可能性のある計画外のイベントが発生した場合は、障害が発生したサー
ビスを他の正常なサイトで再開できます。
VPLEX は、Local と Metro の 2 つのシステム構成をサポートしています。VPLEX
Metro をオプションの VPLEX Witness や交差接続構成で使用した場合、アプリケー
ションは、中断やダウンタイムが生じることなく、障害が発生していないサイトで処理
を続行できます。VPLEX によって仮想化されたストレージ リソースは、スタックを通じ
て協調して機能させることができ、地理的な違いやサービス プロバイダーを超えて、
動的にアプリケーションやデータを移動できる機能も備えています。
XtremIO は、VPLEX Local または Metro クラスター内では高性能プールとして使用で
きます。XtremIO を VPLEX と併用すると、ホスト オペレーティング システム サポート、
データの移動、データの保護、レプリケーション、ワークロード リロケーションなど、
VPLEX のデータ サービスをすべて活用できます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
63
OpenStack の統合
OpenStack は、プライベートおよびパブリック クラウドを管理するためのオープン プ
ラットフォームです。ストレージ リソースをクラウドの任意の場所に置き、オンデマン
ドで使用することを可能にします。Cinder は、OpenStack のブロック ストレージ サー
ビスです。
XtremIO Cinder ドライバーを使うと、OpenStack クラウドは XtremIO ストレージにアク
セスできます。XtremIO Cinder 管理ドライバーは XtremIO アレイでのボリュームの作
成と削除を管理し、OpenStack が作成したインスタンス/VM に対してボリュームを接
続/分離します。ドライバーは、ボリュームへのイニシエーター マッピングの作成を自
動化します。これらのマッピングは OpenStack インスタンスを実行して XtremIO スト
レージにアクセスするのを可能にします。これらすべては OpenStack クラウド要件に
基づいてオン デマンドで行われます。
OpenStack XtremIO Cinder ドライバーは XtremIO RESTful API を利用して、
OpenStack の管理リクエストを XtremIO アレイに伝えます。
OpenStack クラウドは iSCSI またはファイバー チャネル プロトコルを使用して
XtremIO にアクセスできます。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
64
まとめ
XtremIO では、高度な革新的アーキテクチャが開発されました。このアーキテクチ
ャは、すべての SSD エンタープライズ ストレージ サブシステム用に最適化されてい
ます。XtremIO は SSD メディアの機能を活用および最適化する充実した機能セット
を備え、エンタープライズ環境のお客様のニーズと要件に優れたソリューションを提
供するよう特別に設計されています。
XtremIO の機能には、真の拡張性を備えたソリューション(必要に応じて、追加の
容量やパフォーマンスを購入可能)、数十万の IOPS に対応する高パフォーマンス、
安定したサブミリ秒の低レーテンシー、コンテンツ対応のインライン データ削減、
高可用性、シン プロビジョニング、スナップショット、VAAI サポートなどがあります。
また、XtremIO は、SSD メディアの特徴を活用することで、効率的かつ強力なデータ
保護メカニズムを提供する独自の特許取得済みのスキームも備えています。これに
より、2 件の障害が同時に発生したり、複数の障害が連続して発生した際にデータを
保護することができます。
さらに、XtremIO には、GUI とコマンド ライン モードの両方を備えた、包括的かつ
直観的でユーザー フレンドリーなインターフェイスも組み込まれています。これは、
使いやすさを追求して設計され、効率的なシステム管理を実現します。
XtremIO は、全 SSD エンタープライズ SAN ストレージに卓越したソリューションを提
供すると同時に、お客様に優れた総所有コストのソリューションを提供します。
EMC XtremIO ストレージ アレイの概要
65
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