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ネパール国 カトマンズ盆地における地震災害リスク

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ネパール国 カトマンズ盆地における地震災害リスク
ネパール国
カトマンズ盆地における地震災害リスクアセスメントプロジェクト
詳細計画調査結果報告書
2014 年 11 月
地球環境部
1.調査内容及び対処方針
2014 年 4 月に第一回詳細計画策定調査を実施した。同調査において、要請内容、リスク評価の
活用方針、関係省庁の役割分担の不明確さなどが判明したため、先方とのプロジェクト内容の合意
(M/M 締結)には至らなかった。
第一回詳細計画において、先方と協議した結果、再度、詳細計画調査を実施することとし、第二
回調査までに、上記事項の検討・明確化を事務所を通じてネパール側に依頼した。7 月時点まで回
答がなかったところ、再度リクエストレターという形で検討及び回答をネパール側に依頼した。
JICA が設定した回答期限は過ぎたものの、MoUD 始め関係 3 省での協議の結果が送付されたこと
から、この回答を基に調査内容の詳細を検討することとした。主要調査項目は以下の通り。
(1)公電にて依頼した議論ポイントに対するネパール側の回答を確認し、実施体制について協議
し R/D 案の作成に必要な項目(主に以下の通り)について合意を得る。
・リスク評価の目的
・実施体制(責任機関、JCC 構成、事務局担当組織等)
・技術移転対象となるワーキンググループの構成
・パイロット活動の内容(候補地域の選定も含む)
(2)協議内容を M/M( R/D 案含む)として取り纏め、ネパール側と署名を行う。
(3)本格協力の実施方法、留意事項等について確認し、計画策定結果としてとり纏める。
2.調査団員及び調査期間
第一回
名前
担当
所属
調査期間
1
米林 徳人
総括
地球環境部 防災二課
4/20~4/27
2
土井 ゆり子
計画評価
地球環境部 防災二課
4/15~4/27
3
岡野 鉄平
防災行政
株式会社 アイコンズ
4/8~4/27
4
井上 雅志
地震リスク評価
エイト日本技術開発
4/8~4/29
名前
担当
所属
1
米林 徳人
総括
地球環境部 防災第二チーム
9/20~9/24
2
土井 ゆり子
計画評価
地球環境部 防災第二チーム
9/20~9/24
第二回
調査期間
3.調査結果
第一回調査結果は以下の通り。第一回詳細計画調査において、防災行政、地震リスク評価に関す
る情報収集調査を行った。詳細は別紙 団員報告書参照。
(1)プロジェクトの位置づけ
本調査では、ネパール側の体制(中央、地方自治体、ドナー等)、キャパシティについ
ての情報は得たものの、先方が抱える課題、優先度、開発計画等における災害リスク評価
調査の位置付け等、ネパール側からの明確な方針の提示はなく、プロジェクトのスコープ
を確定するには至らなかった。国会への再提出の準備が進められている国家防災法及びそ
1
れによって創設される防災機関のマンデート、設置時期について情報収集が必要である。
仮にプロジェクト実施中に新法が承認され、新防災機関が設置された場合でもプロジェク
トが適切に位置付けられるよう、次回の調査にて先方から確約を取り付けることが必要で
ある。
一方、関係者に対するヒアリングの中で「リスク評価」に対する理解が十分とは言えず、
そのために評価結果のイメージや活用について微妙に関係者の間で誤解が生じている事
が明らかとなった。そこで関係者合同会議を通して、共通理解を形成した。
(2)プロジェクト実施体制
JICA としては、リスク評価結果が政府事業だけでなく、ドナーによる支援の基礎情報と
なること、及び資金動員の根拠となるような調査を行うべきである。そのためには省庁横
断的メンバーによる JCC の設置と財務省もしくは NPC(国内予算の調整組織)の巻き込
みが重要である。新法に基づく新体制でどのような機能を有するか見極める必要はあるが、
現行調整枠組みであるネパールリスク軽減コンソーシアム(NRRC)においてプロジェク
トの位置付けを明確にすることも重要である。
・各省庁の所掌範囲
中央政府における主要関連省庁は MoHA、MoFALD、MoUD(KVDA も含む)がある。
MoHA と MoFALD はそれぞれ District 以下(MoFALD は Municipality も含む)に直轄の支
部を持っており、それらが各ライン省庁の支部も含めて地方行政機能を担っている。ハザ
ード評価に必要な関係情報の集約(関係組織への協力要請)やリスク評価結果の活用(地
方政府との連携)については MoUD の管轄を超える部分が多いことが確認された。
地方行政組織はそれぞれ上部組織からの指示に従って業務を行う、というスタンスなの
でリスク評価成果の活用についても MoUD からではなく組織的な指示ラインを持つ MoHA
及び MoFALD の関与が必要となる。調査の中で MoUD に加え、MoHA 及び MoFALD が関
与することについて提案し、ネパール側の同意を得た。
・関連組織のキャパシティ
人材が不足していることは中央、地方の共通課題であることには変わりはない。一方で
地方政府組織の特徴として、スタッフは多くが現地採用であり、異動、転勤による人材流
出の可能性が低い、という点があげられる。特に Municipality は所管範囲が物理的にも狭
く、細やかなアウトリーチ活動が実施可能となっている点は技術移転先としてアドバンテ
ージが認められる1。ただし、District 以下、組織トップとなるチーフを選出する選挙が行
われていないため、今後選挙が行われれば、体制の変更が生じる可能性はある。
(3)関係組織の現状
中央、地方、NGO、大学/研究機関等多くの関係機関が存在しており、様々な活動が実
施されている。2002 年の開発調査は地方組織の担当者も知っており、認知度は高い。他方、
1
ラリプトール市、カトマンズ市、バクタプール市は今年からの新たな試みとしてではあるが建築許可申請者に対し、申請手続きの一
環としてセミナーを実施し、設計や施工における注意点を伝えている(開催回数は市によるが週 1~2 回)。区の防災計画作成の集まり
にも市の担当職員は参加し、支援を行っている。
2
それぞれのマンデートによってリスク評価に対する考えが異なることから、すべての関係
者のリクエストを満たす調査の実施は不可能である。
防災行政の制度としては、中央はガイドラインや枠組みを整理し、実施は MoHA と
MoFALD 傘下の地方政府が担当する。MoHA ライン地方政府は Administration を中心とし
ており、開発業務は MoFALD が担っている。Municipality も MoFALD 傘下にあり、MoFALD
ラインが制度的には実施を主として担当することになっている。実際には MoHA
(response 中心)と MoFALD(preparedness 他)双方が地方政府以下の活動に関与して
いる(新防災法の制定後には変わる可能性があり)。地方防災計画の作成は全県で終了し
ているが、ガイドラインに対して紐づいているべき実施予算の確保状況やモニタリング方
法が明確になっていない為、防災計画の実施見通しは不透明である。
前開発調査は存在は知られているが、具体的に活用はされていない。理由の一つとして、
評価結果のアップデートがされていない為、現在の開発計画に使うには古すぎるという点
があげられる。リスク評価の結果が修正されれば地方政府レベルも含め計画作りの基本デ
ータとして活用される可能性は高い。
(4)関連プロジェクト
本調査において UNDP が KVDA を CP として実施している土地利用規制プログラムの一環
として Multi Hazard Survey を行っていたことが確認された(20012 年から実施)。この調査
が対象としている災害には地震も含まれており、本調査のコンポーネントの一つである地震
Hazard 評価調査も実施されており、内容が重複することが分かった。しかしながら 2002
年の JICA 開発調査で使用されたデータを使っていない、カトマンズ盆地内の関係機関(大
学、地震局など)と調査手法や結果の共有を行っていない(WB、大学関係者、地震局とも
に本調査の存在もしくは詳細を知らなかった)など、この調査結果の妥当性については技術
的な疑問も残る。KVDA は科学的、学術的な検証を経て、土地利用計画へ反映されるべきと
いう考えを持っており、UNDP のレポートが今後どのように扱われるかは明確ではない。関
係組織との合意形成プロセスなど、本プロジェクトが教訓とすべき点は多い。
DFID は大学連携プロジェクト、WFP へのファンディング、NRRC 事務局へのコーディネ
ーター派遣等を行っており、ネパールの地震防災分野に対し、様々な形で投入を行っている。
(5)要請書の修正協議
プロジェクトの調査項目は活用できるデータの量、質、他ドナーの実施状況、ネパール
側の使用目的等に応じて検討し、必ずしもネパール側の要請どおりには実施しない場合も
あることについて合意を得た。調査スコープについての結論は出さなかったが、①ハザー
ド評価範囲、②リスク評価内容、③成果の活用の見通しの 3 点を決めることが必要。①、
②は③次第で内容が変わることから、③についての見通しを調査を始める前に関係者間で
議論をすることが非常に重要、という 2 点について繰り返し説明し、MoUD、MoHA、
MoFALD の理解を得た。
実際には①については UNDP の調査に対するネパール内での議論の結果を待つ必要が
ある。ネパール側が UNDP の調査手法と地震シナリオをよしとするのであれば、それと全
3
く異なる手法で同種の調査を同時期に実施する妥当性の整理が必要となる。また NRRC の
全国リスク調査のフェーズ 1 で検討されるオプションに対する結論も重要である。②につ
いては UNDP の調査によって相当のデータ整理はされており、データ収集に係る作業がか
なり不要となった分、細かなシミュレーションや数値化、視覚化など評価結果の取りまと
めに注力することが可能となった。③については中央政府は枠組み、ガイドライン作りの
みであり、実施は地方政府ラインとなる。従って実際のユーザーは地方政府組織となる。
District 以下 MoHA、MoFALD によるガイドラインに従って防災計画の作成を行っており、
市、県によって濃淡はあるが既に何らかの活動は行われている。特に市は規模は小さいな
がらもそれなりに機能しており、地元コミュニティとの結びつきも強い。彼らの業務計画
として整理されたものはなく、上位組織による政策次第である。
ネパールの現状を考えると、調査の活用への協力込みのプロジェクトとしない限り、ネ
パール側の自主努力によって成果が活用される、ということを期待するのは困難である。
UNDP も土地利用プログラムのためのハザード評価、という形で実施しており、開発調査
ではあるが、効力のある具体的な提言を行うためには、成果活用の体制や方法に関するパ
イロット活動とキャパビルのコンポーネントを入れる必要がある。また MoUD は繰り返し、
本開発調査によるリスク評価結果が具体的な対応策へつながるべく、具体的かつ Holistic
なリスク評価調査となるべき、と強調しており、プロジェクトによる提言に対する期待は
大きい。2002 年に前調査時よりも政府担当組織の防災への意識は強くなっており、新法を
含めた具体的な政策もとられつつあることが確認されたことから、状況は変わりつつある
と言える。
上記、第一回詳細計画調査を踏まえて行った第二回詳細計画調査における合意内容及び調査結果
は以下の通り。
(1) プロジェクトの概要
関係省庁及び機関と協議した結果、本開発調査の概要について以下の通り合意し M/M に取り纏
め署名を行った。
1) 調査期間:3 年間(今後、変更があり得る)
2) 対象:カトマンズ盆地及び盆地内地方政府
3) 実施内容:対象地域で発生可能性の高い地震をシナリオ地震として分析し、同シナリオ地震に
対する。詳細はインセプションレポート時に協議、決定する。
① シナリオ地震に対するデータ収集とハザード評価
② リスク評価(経済インパクト、社会インパクト:人的被害、建物被害、基本インフラ施設
への被害等)
③ これら評価に基づく地方パイロット地区での防災計画策定(対象地区は 3~4 市)
④ 上記活動を通じたキャパシティ・ビルディング
4
4) 実施体制:代表組織は MoUD、協力実施機関は MoHA 及び MoFALD として JCC 及び WG を
設置し、以下の体制でプロジェクの活動の実施、モニタリングを行う。
(2) プロジェクト実施における考慮事項
(1) 他関連プロジェクトとの連携
NRRC によってハザードアセスメントが実施される計画があることは、第一回調査で確認さ
れていたが、予定していたスケジュールは大幅に遅延しており、早くて 10 月末もしくは 11 月
開始となる見込みであるとのことであった。前回同様、今回も重ねて同アセスメントプロジェ
クトへの JICA の参加と、本プロジェクトで設置される JCC などとの連携が提案された。
UNDP のプロジェクトによって設置されている WG も参加省庁やメンバーが重複している
ことは確認されたが、本プロジェクトの JCC 及び WG はプロジェク活動実施そのものにかか
る調整が設置目的であり、政策的な議論を意図した NRRC とは設置目的が異なることから、同
一の委員会とすることは望ましくない旨回答した。
また UNDP が 4 月に終えたリスク評価を基にした土地利用計画の動きは大きな進捗はなく
(JICA の開発調査によって地震部分のハザード評価結果がレビューされることを期待してい
る旨、UNDP 担当者から言及)、評価結果を用いた土地利用計画についての議論ではなく、パ
イロット地域における Building Code に関する地方政府担当者への研修や基準の見直しにかか
る活動が行われているとのことであった(バクタプール市でのヒアリング情報によると概論的
なもので技術的なことはあまり含まれていない)。
ネパール側での新災害法の承認手続きについて徐々に進展がみられていることもあり、今後
関連プロジェクトが多く進められると思われる。CP 側に情報共有とプロジェクト間調整を求
めるだけでなく、本プロジェクト開始後も専門家チームが積極的に、既存の情報共有枠組みや
WS、セミナーへの関係者への参加を得て、アセスメントプロセスの共有に努める必要がある。
5
(2) パイロット地域については、ネパール政府は新設市の承認を終えたばかりである。パイロット
活動によって整理されるモデルの普及性を考慮すると、従来の市以外にもこうした新設置の市
においてもパイロット活動が試行されることが望ましい。プロジェクト開始後、人口、開発状
況、経済状況、既存データ量などを踏まえてパイロット地域の選定をすることとした。またリ
スク評価を実施するに当たっては経済被害の数字を具体的に示すことが重要であり、歴史的建
造物への被害想定を基にした観光産業へのインパクト等、被害想定のまとめ方には配慮するこ
ととする。
(3) ネパール側はハザード及びリスク評価結果の取り纏めを、可能な限り早く行うことを求めてお
り、本調査のスケジュール検討時に考慮することとする。
(4) 歴史的建造物の耐震化、保護計画等についてネパール側から要請があったが、ネパールの木造
建造物の強化手法については日本の技術(一例としては炭素繊維を使っての寺院補強の例など
はある)が適用できるかどうか現時点では判断が出来ない。また、必ずしもコンサルタントが
それらに関するノウハウを有していないことから、建物の被害想定は行うものの、耐震化につ
いては調査項目としては扱わない旨、合意した。
(5) 今後のスケジュールについては、本 MM の締結をもって、日本国内で事前評価表の決裁を行い、
続いて R/D 締結、調査チームの公示手続きに入ることとなる。ネパール側には R/D の締結に
時間を要しなければ、6 か月程度で第一回の現地調査が開始される見込み、と目途を伝えてい
る。
(6) リスク評価結果のメンテナンス、活用を考慮し、省庁横断的な WG 及び JCC の設置を行うこ
とで合意した。これらの機能を確保するためには調整業務が非常に重要となることから、専門
家チーム内にネパール側の調整機能強化の団員(もしくは総括)を指定し、各グループの設置
目的に見合った機能を確保できるよう日本側の実施体制でも配慮することとする。
4.団長所感
(1) 本調査の活用:2002 年に実施した開発調査(本件同様、カトマンズ盆地を対象としたリスク
評価)は、その後、十分な活用はされず、また社会・経済状況の変化に応じた更新も行われて
いない。リスク評価は防災対策としてだけでなく、当該地域の開発計画のベースとなる資料、
ツールとなるものであり、今回調査では有効活用のためのフレームワーク、アプローチを検討
するとともに、メカニズムを構築することが肝要。よって、今後のプロセスにおいて、財務や
計画策定官庁の関与、参画に対する工夫が必要であり。さらには、調査結果が政府内にて一定
の効力を有するようなアプローチ、工夫も肝要である。他の案件においては、調査結果を当該
地域の byelaw(条例)にするなどの事例もある。
また、他機関、ドナーによるリスク評価の動きもあるところ、調整、連携を密に行い本調査
の政府内、ドナーにおける位置付けを明確にする必要もある。この点で、NRRC が過去のリス
ク評価を取りまとめ Comprehensive な risk assessment の情報、およびカトマンズの社会・経
済状況に基づくニーズとのギャップを明確にする調査を実施するとしているところ、この動き
6
にも留意が必要である。同調査結果、特にギャップの生じている事項を、可能な範囲で本調査
に反映することが重要。NRRC から、これら作業への参画を要請されているが、時間的制約か
ら本部での対応が困難と想定されるところ、現地での対応、情報収集が不可欠である。この対
応は、今後の重複を防ぐことにも貢献しうる。
複数の調査結果が存在している状況の中、ネパール側、及び NRRC は、本調査をリスク評価
の中心に設定することを言及している。また、NRRC、UNDP からはデータの共有を求められ
ており、調査開始後、実施体制にかかるフレームワークの中で、データ共有体制の構築も必要
である。
(2) シナリオ地震:今回の開発調査で重要となるのがシナリオ地震の選択、設定と考える。過去の
開発調査では対象とするシナリオ地震を 3 種類設定していたが、その後、ネパール国内では、
研究者、観測機関により新たなシナリオ地震の研究も進んでいる。他方、新たなシナリオ地震
に対してはデータ収集(トレンチ、ボーリング)が十分ではない状況であり調査費用にも影響
する。調査開始前に有識者、乃至コンサルタントによる調査を行う、あるいは情報収集を行い、
対象とするシナリオを設定する必要がある。また、調査開始前の決定が困難な場合、調査開始
時に先方と十分な協議を経て決定するとともに、データ収集にかかる調査費用については柔軟
な対応が必要である。
(3) パイロット内容:先方から地方でのパイロット事業実施が求められている。今回、複数の都市
でパイロット事業を行うことで合意をした。現時点では、ハザード、リスク評価に基づき地方
で防災計画策定支援をすることを想定しているが、他方、地方のキャパシティは脆弱であり、
地方の状況に応じて内容を検討することが必要である。
また、地方では赤十字の活動が活発であり、地方政府とともに防災計画を策定するなどの活動
をしているところ、パイロット事業の際は、これら赤十字の活用についても視野に入れる必要
がある。
(4) 第三回国連防災世界会議:2015 年 3 月に仙台にて開催される会議に対し、JICA は、防災への
事前投資、あらゆる開発行為へのリスク評価、災害後の復興における防災の視点を組み込んだ
支援(Build Back Better)を主要なコンセプトとして発信している。ポスト 2015 開発課題でも
Resilient な都市、開発がキーワードとなっているところ、今回の調査は、これらのコンセプト
を具現化するものであり、関係者の意識の醸成が不可欠。特に、インタビューの過程を通じて、
ネパールでは Preparedness への意識が低いとの情報も入手しているところ、本調査の枠組み
を活用し、ステークホルダーに対する防災の主流化を進めるべきである。
(5) 有識者の関与:当該分野について、日本では大学、研究機関等による調査、研究活動が進んで
おり、その知見が豊富である。本調査は、コンサルタントとの契約により実施を予定している
が、シナリオ地震の分析においては有識者の関与が不可欠である。NRRC も同様の視点で、有
識者による調査を実施(結果は未確認)している。日本ではネパールを対象として研究を実施、
7
またネパール側関係機関との連携も進んでいるようであり、有識者が関与するフレームワーク
の構築を行う。
(6) キャパシティ・ビルディング:第一回調査から明らかなとおり、調査結果を活用するだけでな
く、社会・経済状況の変化に応じたリスク評価結果の更新が必要である。今回の調査では単に
リスク評価を実施するだけでなく、調査終了後もネパール側が更新を行えるようなデータ活用
体制の整備とキャパシティ・ビルディングが重要。役務提供型とならないよう、JCC といった
場を活用し、ネパール側の積極的な参画を促進していく必要がある。特に、地方自治体のキャ
パシティが低いことが想定されることから、パイロット・プロジェクトの内容は、自治体の状
況を見極めて決定することが肝要。
(7) パイロット地区選定:その選定にあたっては、クライテリアを明確にする必要がある。現時点
では、過去の災害履歴、人口、社会経済状況等となるが、政治的なバランスの考慮も必要とな
る可能性があり、上述の自治体のキャパを考慮しつつ、対象地域によって実施内容を変更する
などの対応も検討する必要がある。また、対象数についても同様で、調査の規模にも影響する
ところ、慎重に見極める必要がある。
(8) その他:NRRC から、日本の知見にかかるセミナーの要請が出されており、調査中に対応する
ことで、調査の位置付け、日本のスタンスを関係者に周知することが可能となるところ、積極
的に対応することとしたい。ただし、NRRC の事務局長が交代するとの情報も入手しており、
現事務局長は本調査への協力、連携に積極的な姿勢を示しているところ、交代の際は、その後
NRRC の方針を再確認する必要がある。
以上
別紙
第一回詳細計画調査
別添
協議議事録(MM)
団員報告書
8
ネパール国
カトマンズ盆地における
地震災害リスクアセスメントプロジェクト
詳細計画策定調査報告書
(防災行政、地震リスク評価)
平成 26 年 5 月
株式会社エイト日本技術開発
株式会社アイコンズ
調査位置図
カトマンズ
ラリトプール
バクタプール
カトマンズ盆地
ラリトプール市街地
カトマンズ市街地
ラリトプール市内の建築現場
上層階がせり出した建物
緊急時の車両通行の妨げになる障害物
市街地の狭い道路を通行する車両
市街地に多く見られる壁面の亀裂
国立地震研究所の地震観測設備
NEOC に設置された緊急用無線
KVDA が開催したワークショップ
建設許可申請者向けのセミナー
区開発委員会のキックオフミーティング
調査位置図
調査写真集
目次
略語一覧表
目次
第1章 詳細計画策定調査の概要 ......................................................................................... 1
1.1 調査の背景 ........................................................................................................... 1
1.2 調査の目的 ........................................................................................................... 2
1.3 団員構成 ............................................................................................................... 2
1.4 調査の日程 ........................................................................................................... 2
1.5 主要面談者 ........................................................................................................... 4
第2章 ネパールにおけるセクターの現状 ........................................................................... 5
2.1 行政組織 ............................................................................................................... 5
2.1.1 国家行政機構 ............................................................................................. 5
2.1.2 地方行政区分 ............................................................................................. 5
2.2 法制度・国家計画・地域計画 .............................................................................. 7
2.3 中央レベルでの防災に関する取組 ......................................................................11
2.4 地方レベルでの防災に関する取組 ..................................................................... 18
2.5 カトマンズ盆地における防災セクターの現状 .................................................. 20
第3章リスク評価及び防災対策実施体制の課題と現状 ...................................................... 22
3.1 既存のリスク評価調査について ........................................................................ 22
3.1.1 2002 年 JICA 調査 .................................................................................... 22
3.1.2 主な類似リスクアセスメント ................................................................. 23
3.2 リスク評価項目案と想定される防災対策実施主体 ........................................... 31
3.2.1 リスク評価項目案と想定される評価結果の活用策について .................. 31
3.2.2 今後実施の検討を要する項目 ................................................................. 33
3.3 防災対策実施体制の現状と課題 ........................................................................ 34
3.3.1 政策の決定............................................................................................... 34
3.3.2 予算配分の決定 ....................................................................................... 35
3.3.3 都市計画・土地利用規制の決定・履行 ................................................... 37
3.3.4 建築基準について.................................................................................... 39
3.3.5 建築許認可の現状.................................................................................... 39
第4章 本格調査の実施方法 ................................................................................................ 40
4.1 収集情報・データと本格調査の実施方針 .......................................................... 40
4.1.1 ハザード評価 ........................................................................................... 40
4.1.2 リスク評価............................................................................................... 44
4.1.3 収集データについて ................................................................................ 54
4.2 想定されるリスク評価結果のユーザー ............................................................. 54
4.3 5項目評価案 ...................................................................................................... 55
第5章 協力実施上の留意点............................................................................................... 59
5.1 KVDA/UNDP によるリスクアセスメント ..................................................... 59
5.2 NRRC による活動レビュー ............................................................................... 59
5.3 ネパール側のカウンターパートの位置付け ...................................................... 59
5.4 適切な Authority を得るための取組 ................................................................. 60
5.5 ネパールのリソースの活用 ................................................................................ 61
5.6 アップデート体制の構築 ................................................................................... 61
5.7 各種防災計画への反映に向けた支援 ................................................................. 62
5.8 リスクアセスメントに基づくアクションプランの策定 .................................... 62
別添資料-1
収集資料リスト
別添資料-2
面談記録
別添資料―3
防災関連機関一覧
略語一覧表
略語
英語名
日本語名
ADB
Asian Development Bank
アジア開発銀行
CBDRM
Community Based Disaster Risk
コミュニティ防災
Management
CBS
Central Bureau of Statistics
中央統計局
CCCM
Camp Coordination and Camp
キャンプ調整管理
Management
CDRC
Central Disaster Relief Committee
中央災害救済委員会
CDO
Chief District Officer
郡役所長(DAO の首長)
CDS
Center of Disaster Studies
トリビュバン大学工学部災害研
究センター
CoM
Council of Ministers
閣僚理事会
DAO
District Administration Office
郡役所
DEOC
District emergency Operation Centre
郡緊急オペレーションセンター
DDC
District Development Committee
郡開発委員会
DFID
Department for International
英国国際開発庁
Development
DHM
Department of Hydrology and
水文気象局(科学技術省)
Meteorology
DHS
Department of Health Services
保健サービス局 (保健人口省)
DMSP
Disaster Mitigation Support Program
ネパール自然災害軽減支援プロ
ジェクト
DoE
Department of Education
教育局(教育省)
DoI
Department of Irrigation
灌漑局(水資源省)
DoR
Department of Road
道路局(公共事業計画省)
DMG
Department of Mines and Geology
鉱山地質局(産業省)
DMA
Disaster Management Act
防災法
DDMC
District Disaster Management
郡災害管理委員会
Committee
DDRC
District Disaster Rescue Committee
郡災害救援委員会
DPNET
Disaster Preparedness Network -
ネパール防災ネットワーク
Nepal
DRM
Disaster Risk Management
防災
DOR
Department of Road
道路局(公共事業省)
DOS
Department of Survey
調査局
DUDBC
Department of Urban Development
都市開発建設局(都市開発省)
and Building Construction
DWIDP
Department of Water Induced
治水防砂局
Disaster Prevention
GDP
Gross Domestic Products
国内総生産
GFDRR
Global Facility for Disaster Reduction
防災グローバル・ファシリティ
and Recovery,
HFA
Hyogo Framework for Action
兵庫行動枠組み
ICIMOD
International Centre of Integrated
国際総合山岳開発センター
Mountain Development
IFRC
International Federation of Red Cross
国際赤十字赤新月社連盟
and Red Crescent Societies
INGO
International Non-Government
国際非政府組織
Organization
IOE
Institute of Engineering
トリビュバン大学工学部
IOM
International Organization for
国際移住期間
Migration
ISDR
International Strategy for Disaster
国際防災戦略
Reduction
JCC
Joint Coordinating Committee
合同調整委員会
JICA
Japan International Cooperation
国際協力機構
Agency
KMC
Kathmandu Metropolitan City
カトマンズ市
KUKL
Kathmandu Upatyaka Khanepani
カトマンズ盆地飲料水会社
Limited
KVDA
Kathmandu Valley Development
カトマンズ盆地開発局
Authority
LDO
Local Development Officer
地方開発委員長(DDC の首長)
LDMC
Local Disaster Management
地方災害管理委員会
Committee
LDRC
Local Disaster Relief Committee
地方災害救済員会
LDRMP
Local Disaster Risk Management Plan
地域防災リスク管理計画
LSMC
Lalitpur Sub-Metropolitan City
ラリトプール市
MoAD
Ministry of Agriculture Development
農業省
MoE
Ministry of Education
教育省
MoFALD
Ministry of Federal affair and Local
地方開発省
Development
MoHA
Ministry of Home Affaire
内務省
MoHP
Ministry of Health and Population
健康人口省
MoIC
Ministry of Information and
情報通信省
Communications
MoPPW
Ministry of Physical Planning and
公共事業計画省
Works
MoWCSW
Ministry of Women and Children and
女性子供省
Social Welfare
NBC
National Building Code
建築基準法
NCDM
National Council for Disaster
国家災害管理会議
Management
NDMA
National Disaster Management
国家災害管理庁
Agency
NDMS
National Disaster Management
国家災害管理事務局
Secretariat
NEOC
National Emergency Operation Centre
国家緊急オペレーションセンタ
ー
NDRA
National Disaster Relief Act
国家災害救援法
NEA
Nepal Electricity Authority
ネパール電力局
NGO
Non-Government Organization
非政府組織
NHRC
Nepal Health Research Council
ネパール健康調査委員会
NNGO
National Non-Governmental
ネパール国の非政府組織
Organization
NPC
National Planning Commission
国家計画委員会
NRCS
Nepal Red Cross Society
ネパール赤十字社
NRRC
Nepal Risk Reduction Consortium
ネパールリスク軽減コンソーシ
アム
NSC
National Seismic Centre
ネパール地震センター(産業省)
NSDRM
The National Strategy for Disaster
国家防災戦略
Risk Reduction
NSET
National Society for Earthquake
エヌセット(NGO)
Technology-Nepal
RDMC
Regional Disaster Management
県災害管理委員会
Committee
RDRC
Regional Disaster Relief Committee
県災害救済員会
RNCRC
Regional Natural Calamities Relief
県自然災害救援委員会
Committee
RSLUP
Risk Sensitive Land Use Plan
災害リスクを考慮した土地利用
計画
SV
Senior Volunteers
シニア海外ボランティア(JICA)
UNDP
United Nations Development
国際連合開発計画
Programme
UNFPA
United Nations Population Fund
国際連合人口基金
UNICEF
United Nations Children's Fund
国際連合児童基金
UNHABITAT
United Nations Human Settlements
国際連合人間居住計画
Programme
UNHRC
United Nations Human Rights
国際連合人権委員会
Commission
UNOCHA
United Nations Office for
国際連合人道問題調整事務所
Coordination of Humanitarian Affairs
UNSC
United Nations Security Council
国際連合安全保障理事会
USAID
United States Agency for
アメリカ合衆国国際開発庁
International Development
VDC
Village Development Committees
村落開発委員会(村役場)
WASH
Water, sanitation and hygiene
水、衛生
WB
World Bank
世界銀行
WFP
World Food Programme
世界食糧計画
WHO
World Health Organization
世界保健機関
第1章
詳細計画策定調査の概要
1.1 調査の背景
カトマンズ盆地は過去、大きな地震災害が度々発生しており、1934 年のビハール地震(M
= 8.4)では、カトマンズ盆地の建築物のうち約 20 %が破壊され、9,040 人の死者を出した。
2011 年 9 月 18 日にはインドを震源とするシッキム地震(M = 6.9)が発生、市内で 7 名の死
者、136 名の負傷者が発生し、人々に地震災害のリスクを想起させた。カトマンズ盆地は、
災害履歴から考えると近年地震発生リスクが高まっていると予測されているにもかかわら
ず、建築物の耐震化や土地利用規制、建築基準法の遵守はほとんど進んでいない。政府と
しても、法律・戦略の策定等に取り組んでいるものの、十分な実効性のある対策が講じら
れてはいない。都市部への急激な人口流入による建築ラッシュや既存の建築物への増築、
RC フレーム無補強煉瓦造りのノンエンジニアド建築による市街地の拡大なども、リスクを
増幅する大きな要因として挙げられる。JICA が、2002 年にカトマンズ盆地の地震防災計
画の立案、地震防災のためのデータベースと地震被害想定の作成を目標として実施した開
発調査「カトマンズ盆地地震防災対策計画調査」において、1934 年のビハール地震を基に
試算した被害は、大破する建物は 53,000 棟(全住宅建物の 21%)、死者数は 18,000 人(盆
地人口の 1.3%)
、重傷者は 53,000 人(盆地人口の 3.8%)となっている。その後の人口及
び建物の増加を考慮するとさらに被害が大きくなることは確実な状況にある。
このような状況の下、ネパールから我が国に対して、カトマンズ盆地の地震リスクアセ
スメントの実施、GIS データベースの整備、病院の安全性向上のための計画策定に関する
要請が提出された。それを受け、JICA は 2012 年 3 月にカトマンズ盆地地震防災情報収集・
確認調査を実施し、本プロジェクトの主要コンポーネントを以下の通り整理した。
① 2002 年に行われた開発調査以降、カトマンズ盆地内の人口及び建築物(新築だけで
はなく増改築された建築物も含む)は大きく増加している。それに伴い増加した地震災
害リスク情報の更新を行う。
②リスク評価結果として地震シミュレーションに基づいた人的被害、インフラを含めた
経済的被害を可視化し、住民の啓発活動に活用することを意識した成果物として取りま
とめる。また事前の防災投資や日常的な備えが人的・経済的な損失を防ぐこと、防災主
流化の視点を行政組織に意識させる。
③過去の事例の教訓から、相手国政府機関のプロジェクト成果の活用に対するオーナー
シップを確保するとともに、責任機関のみならず、対策の実施組織である関連省庁や地
方自治体の調査プロセスに積極的な関与を得るよう配慮した調査を行う。
本詳細計画調査において上記コンポーネントに必要な活動及び調査項目の決定に必要な
情報を収集するとともに、調査計画の概要について協議確認し、プロジェクトに関わる合
意文書締結を行う予定であり、協議状況に応じて、追加調査を行うことも検討する。
1
1.2 調査の目的
本詳細計画調査は、ネパールの災害リスク評価に係る防災行制度及び関連制度とその現
状について調査するとともに、リスク評価の結果を①誰が(ユーザーの特定)②どの様に
活用するのか(利活用の道筋)を特定することにより、リスク評価の実施方法と評価のス
コープを明らかにすることを目的として実施した。
1.3 団員構成
名前
担当
所属
調査期間
1
米林 徳人
総括
地球環境部 防災二課
4/20~4/27
2
土井 ゆり子
計画評価
地球環境部 防災二課
4/15~4/27
3
岡野 鉄平
防災行政
株式会社 アイコンズ
4/8~4/27
4
井上 雅志
地震リスク評価
エイト日本技術開発
4/8~4/29
1.4 調査の日程
本調査の日程・実績は、表 1.1 のとおりである。
表 1.1 調査実績
日付
4月8日
4月9日
時間
ヒアリング対象
担当者
00:25 羽田発⇒ バンコク⇒ 12:45 カトマンズ着(岡野、井上)
13:00-14:30
DUDBC
岡野、井上
16:00-17:00
OCHA Data Center
岡野、井上
4 月 10 日 09:15-10:45
NSET
岡野、井上
11:00-12:00
NRRC
岡野、井上
14:00-15:00
MoUD
岡野、井上
15:30-16:00
MoFALD
岡野、井上
09:15-10:15
DFID
岡野
14:30-15:30
WFP
岡野、井上
11:00-12:00
NSC/DMG
4 月 11 日
井上
4 月 12 日 11:00-14:00
カトマンズ市街地視察
4 月 13 日 10:10-10:45
MoHP
岡野
11:40-12:00
MoHA
岡野
13:00-14:00
DAO, Kathmandu
岡野
11:00-11:30
KVDA
井上
12:00-13:30
Tribhuvan University
井上
14:30-15:30
Department of Survey
井上
2
岡野、井上
4 月 14 日 全日
書類整理
岡野、井上
4 月 15 日 09:15-10:45
UNDP
岡野、井上
13:00-14:00
NRCS
岡野、井上
11:00-12:30
UNICEF
岡野、井上
4 月 16 日
4/15 17:25 羽田発⇒ バンコク⇒ 12:45 カトマンズ着(土井)
10:30-11:30
KMC
岡野
10:30-11:30
Department of Education
井上
14:30-15:30
DoR
井上
16:00-15:00
JICA ネパール事務所打合せ
土井、岡野、井上
WB
土井、岡野、井上
12:00-12:30
MOFALD
土井、岡野、井上
16:00-17:00
UNDP
土井、岡野、井上
4 月 17 日 10:00-11:00
4 月 18 日 10:30-11:30
13:30-14:00
4 月 19 日 全日
4 月 20 日
Lalitpur Municipality
土井、岡野
Nepal Telecom
井上
書類整理
岡野、井上
00:25 羽田発⇒ バンコク⇒ 12:45 カトマンズ着(米林)
10:30-12:00
KVDA
土井、岡野、井上
15:00-16:00
MoHA
米林、土井、岡野、井上
JICA ネパール事務所打合せ
米林、土井、岡野、井上
12:00-13:00
MoUD
米林、土井、岡野、井上
15:00-16:00
NRRC
米林、土井、岡野、井上
17:00-18:00
MoFALD
米林、土井、岡野、井上
Bhaktapur District
米林、土井、岡野、井上
12:00-13:00
Bhaktapur Municipality
米林、土井、岡野、井上
14:00-15:00
Bhaktapur RCS
米林、土井、岡野、井上
KVDA
米林、土井、岡野、井上
Three Ministry Meeting
米林、土井、岡野、井上
4 月 21 日 10:00-11:00
4 月 22 日 11:00-12:00
4 月 23 日 12:30-13:30
13:30-14:30
4 月 24 日 全日
書類整理
4 月 25 日 07:30-08:30
Three Ministry Meeting
岡野、井上
米林、土井、岡野、井上
12:30-13:30
MoF
土井、岡野
13:00-14:00
Japanese Embassy
米林、井上
4 月 26 日 13:30 カトマンズ発⇒ バンコク⇒ 4/27
06:55 羽田着(米林、土井、岡野)
4 月 27 日 11:00-12:00
NPC
井上
13:00-14:00
NEA
井上
KVDA Workshop 参加
井上
4 月 28 日 全日
4 月 29 日
13:30 カトマンズ発⇒ バンコク⇒ 4/30 0655
3
羽田着(井上)
1.5 主要面談者
表 1.2 主要面談者一覧
組織名
面談者(役職)
MoHA
Mr. Bamshi Kumar Acharya(Under Secretary)
MoFALD
Mr . Gopi K. Khanal(Joint Secretary)
Ms. Laxmi Pandey (Section chief, Disaster management
and
municipal planning section)
MoUD
Mr. Suresh Prakash Acharya(Joint Secretary)
KVDA
Mr. Yogeshwar Parajuli(Development Commissioner)
Mr. Karuna Ratna Shakya(M.Sc.Engineering)
DUDBC
Mr. Shira Hari Sharma (Deputy director Building Division)
Mr. Prakirna Tuladhar (Senior Divisional Engineer, Building code
section)
Mr. Ganesh Karmacharya (Engineer, Building code section)
Mr. Tulsi Ram Kharbuja (Architect, DRM section)
Mr. Pramod Krishna Karmacharya (Engineer, GIS Expert)
Mr. Chandra Kaji Gurung (Engineer, Reconstruction Unit)
MoHP
Dr. Lohani Guna Raj(Deputy Director General, Department of Health
Services)
DoS
Mr. Ganesh Prasad Bhatta(Chief Survey Officer)
NPC
Mr. Yam Lal Bhunsal(Program Director/Budget Section)
Mr. Mahesh Bhattarai(Program Director/Budget Section)
NRRC
Ms. Moira Reddick(NRRC Coordinator)
Mr. Nev Jefferies(NRRC Flagship2 Transitional Coordinator)
Ms. Kate Alley(NRRC Flagship5 DRM Advisor)
Ms. Chinatsu Endo(NRRC Flagship5 Coordinator)
NSC
Dr. Soma Nath Sapkota(Superintending Geologist, Chie
NSET
Mr. Ramesh Guragai(Deputy Executive Director)
Mr. Surya Narayan Shrestha(Deputy Executive Director)
OCHA Data
Mr. Ram Prasad Luetel (OCHA, Humanitarian Advisor)
Center
Mr. Narayan Raj Maharjan (UN,GIS Analysis and Information
Management)
UNDP
Mr. Kishna Raj Kaphle(Sr. Project Officer ILS & Mainstreaming)
Mr. Naresh Giri (Building code and risk sensitive land use planning
WB
Mr. Anil Pokhrel(Disaster Risk Management Specialist
4
第2章
ネパールにおけるセクターの現状
2.1 行政組織
2.1.1 国家行政機構
ネパールでは 1996 年よりネパール統一共産党毛沢東主義派(マオイスト)が武力闘争を
行い、政情不安定が続いていたが、2006 年に包括和平が成立し 2008 年には連邦民主共和
制への移行が宣言された。これにより、ギャネンドラ国王が退位し、約 240 年続いた王制
が廃止される事となった。その後、制憲議会での憲法策定作業が難航していたが、2013 年
11 月に憲法制定のための議会再選挙が実施され、2014 年 2 月にスシル・コイララ・ネパー
ル・コングレス党党首が首相に選出された。現在、ネパールには首相府以下、26 の省庁が
あり、各省庁の下には様々な評議会や局が設置されている。
2.1.2 地方行政区分
ネパールの行政区分は、図 2.1 の通り、東部(Eastern)
、中部(Central)、西部(Western)、
中西部(Mid-Western)、極西部(Far-Western)の5つの開発地区(Development Region)に
区分されている。全国は 14 県(Administrative Zone)に分割されており、県の下には 75
郡(District)が存在する。さらに各郡は市(Municipality)と村(Village)から構成され
ている。現在ネパール全国には 58 の市、3,915 の村が設置されている。
図 2.1 ネパール行政区分
(出所:MoHA ホームページ/http://www.moha.gov.np アクセス日:2014 年 5 月 16 日)
5
ネパールの行政区分の概要について、以下に示す。
開発地区(Development Region)
全国に 5 地区存在しており、1 地区は 2~3 県(10~15 郡)で構成され、開発地区内の
県や郡の取りまとめを行う地域単位となっている。また開発地区は国土を東西に 5 分割す
るよう区分されており、各開発地区内に山岳、丘陵、平野の 3 地域が必ず含まれることに
なっている。一方で、開発地区は中央のセクター省庁の広域開発計画単位ともなっており、
各セクター省庁の出先機関が設置されることが多い。
県 (Administrative Zone)
各約 5 郡を取りまとめる地域単位で、全国に 14 県存在している。現在、国政における役
割はほぼ無くなっている。
郡 (District)
全国に 75 郡存在し、各郡が郡議会(District Council)と郡開発委員会(DDC)を備え
ている。郡議会は郡行政に関する重要事項の決定を行う機関で、地方選挙で選出された議
員と議会が選任する非議員メンバーで構成される。また議会の下には各種委員会を設置す
ることが出来るとされている。DDC は、郡下で行われる各種事業の計画/実施/モニタリ
ングといった一連の事業サイクルの責任を担う郡行政の執行機関であり、各区の区長、自
治体の首長、DDC が選任する非議員メンバーで構成されている。郡は複数の市および村で
構成されており、郡平均 50 前後の市や村が存在している。
市 (Municipality)
全国に 58 市存在し、
郡と同様に市議会(Municipal Council)
と市委員会(Municipality)
を備えており、市委員会が市行政の執行機関となっている。市は行政規模に応じて、
Metropolitan(1 市:カトマンズ市)、Sub-Metropolitan(4 市:ラリトプール市、ポカラ
市、ビラトナガル市、ビルガンジ市)およびその他の市(53 市)に分類される。市議会の
メンバーは、住民が地方選挙で直接選出する議員(正副首長、各区長、区員)及び議会が
選任する非議員メンバーで構成される。
村(Village)
全国に 3,915 村存在する。郡、市同様に村議会(Village Council)
、村開発委員会(VDC:
Village Development Committee)といった議決機関および行政執行機関を持ち、VDC が
村行政を取り仕切ることとなっている。近年の人口増加により、村から市へ昇格する動き
も出てきている。一般的に自主財源に乏しく、財政的基盤が脆弱であるといわれている。
6
区 (Ward)
厳密には地方自治体ではなく、市と村の補助単位として認められている。市は 9 つ以上
の区で、また村は規模に関係なく一律 9 区で構成されており、区自体は複数の集落で構成
されている。区委員会(Ward Committee)が設置されており、地方自治体の開発計画策定
時には住民のニーズや要望の取り纏め単位として機能する。
2.2 法制度・国家計画・地域計画
1982 年に制定された国家災害救済法(Natural Calamity Relief Act)が、国家の防災計画
の基礎となっている。国家災害救済法は防災基本法ともいえるもので、防災に関する中央
及び地方での体制と各機関の責任等を定めている。1989 年と 1992 年に改訂が行われてお
り、自然災害に加えて、産業事故などの人的災害に関する項目が追加された。
この法律に基づき、現在のネパールの防災体制は、図 2.2 のように構成されている。内務
省(MoHA)が議長を務める中央災害救済委員会(CDRC)とそれを支える分科委員会、そ
して各行政レベルの災害救済委員会が設置されている。
図 2.2 ネパールの防災体制
(出所:A Comprehensive Country Situation Analysis/ NSET を基に調査団員が作成)
しかし、国家災害救済法が制定された 1982 年から既に 30 年以上が経過しており、この
間にネパールの社会や経済の状況は大きく変化を遂げてきた。とくに、カトマンズ盆地内
の人口増加と居住地区の拡大は顕著であり、地震災害が発生した際に、甚大な被害が発生
7
することが懸念されている。同法においては災害対応に重点が置かれており、被害軽減に
関する対策に関する記述が含まれていないため、ネパールでは 2009 年より新法となる災害
管理法(Disaster Management Act)の制定に向けた取り組みを進めてきた。国会の停止
により審議に大幅な遅れが生じているものの、2015 年から施行される見込みである。
災害管理法では、図 2.3 に示した通り、ネパール災害評議会(Nepal Disaster Council)
の下に、
MoHA が中心となった執行委員会と、
MoHA に加えて、
連邦地方開発省
(MoFALD)、
都市開発省(MoUD)を加えた、分科委員会の設置が提案されている。また、国家の防災
分野を統括する役割として国家災害管理事務局(NDMS/National Disaster Management
Secretariat)の設立が検討されており、同法が成立した際には、ネパールの防災体制が大
きく変わる可能性もある。NDMS の設置時期や、所掌業務についてもプロジェクト実施に
おいて非常に大きな要素であるため、今後も引き続き法案成立に向けた進捗を見守る必要
がある。また、プロジェクト実施中にネパールの防災体制が変わった場合でも。プロジェ
クトが適切に位置づけられるよう、次回調査においてはネパール政府から確約を取り付け
る必要がある。
図 2.3 MDA の中で提案された防災体制概念図
(出所:NRRC 専門家作成資料)
8
国家災害救済法(1982)
、災害管理法(審議中)の他、ネパールの防災分野に関連する
主な法令、戦略、枠組みを以下に記す。
建築基準法(Nepal National Building Code)1994 年
各市では、建築基準法に基づき建設許可を発行する。各市が独自の Self-Bylaw を作成し
ているケースもある。MoUD 傘下の DUDBC が、UNDP の支援により一部改訂をおこなっ
たが、耐震基準気関わる項目については支援が得られていない。近年の都市化により NBC
の重要度は増しており、MoUD は、地震災害に関する科学的根拠に基づいたリスク評価結
果を活用した NBC の改定に強い関心を持っている。
地方自治体法(Local Self Governance Act)1999 年
都市自治体の機能、義務、権限を規定する法律であり、都市開発に関する項目が規定さ
れている。各市/村は、この法律に基づいた都市開発を行っている。また、同法においては、
地方レベルの災害リスク軽減対応における、地方自治体の権限を定めている。
カトマンズ盆地開発局法(Kathmandu Valley Development Authority Act)1988 年
カトマンズ盆地開発局の設置を決めた法律である。社会、経済、文化に配慮したカトマ
ンズ盆地の開発を所掌する組織としてのカトマンズ盆地開発局の役割について定めている。
1988 年に、当時の国王と議会(国家パンチャヤット1)により承認された。同法に基づき、
2012 年にカトマンズ盆地開発局が発足した。
災害リスク管理国家戦略(NSDRM/ National Strategy for Disaster Risk Management)
2009 年
UNDP の支援を受けて NSET が作成し、2009 年に MoHA に承認された。この戦略の中
では、HFA(兵庫行動枠組み)に沿った 5 つの優先行動と、29 の戦略行動に基づいた防災
活動を進めている。また、これらの優先行動の一部をサポートする形で、後述のネパール
被害軽減コンソーシアム(NRRC)のフラッグシップ・プログラムが実施中である。NSDRM
で示された 5 つの優先行動は下の通り。
優先行動1 防災を国、地方の優先事項に位置づけ、強力な制度基盤を確保する
優先行動2 災害リスクを特定、評価、観測し、早期警報を強化する
優先行動3 全てのレベルで防災文化を構築するため、知識、技術、教育を活用する
優先行動4 潜在的なリスクリスク要因を軽減する
優先行動5 効果的な対応のための備え、事前準備を強化する
1
南アジアの政治制度で、政党の無い長老会議制。会議に権力が集中する複雑な間接民主主
義制度で、1990 年に民主化運動の高まりの中で、制度が廃止された。
9
国家災害対応枠組み(National Disaster Response Framework) 2013 年
緊急対応時の効果的な連携のために、各関連機関の役割と連携体制を定めた枠組みである。
図 2.4 に示した災害発生時の対応手順、ならびに表 2.1 に示した災害発生時の各クラスター
の主導省庁、サポート機関が定められている。
図 2.4 災害発生時の対応手順
(出所:National Disaster Response Framework / MoHA を基に調査団員が作成)
10
表 2.1 災害発生時の各クラスター担当機関
クラスター名
主導組織
共同主導組織
(政府)
(人道的救援団体)
保健
MoHP
WHO
水、衛生
MoUD
UNICEF
避難所関連
MoUD
IFRC/UNHABITAT
食糧保全
MoAD
WFP/FAO
物流
MoHA
WFP
キャンプ調整・管理
MoUD
IOM
MoE
UNICEF/SC
保護行政
MoWCSW
UNHRC/UNICEF/UNFPA
情報通信
MoIC
WFP
栄養関連
MoHP
UNICEF
MoFALD
UNDP
教育
早期復興ネットワーク
(出所:National Disaster Response Framework / MoHA を基に調査団員が作成)
2.3 中央レベルでの防災に関する取組
現在、ネパールにおいては、中央から地方各レベルで、さまざまな関係機関が防災関連
の活動を実施している。中央政府においては、MoHA、MoFALD、MoUD の三省庁が防災
分野で中心的な役割を果たしており、NRRC などの防災プラットフォームがその活動の支
援を行っている。MoHA は、国家の防災関連の調整業務を行う他、主に緊急対応を担当し、
NRRC と CDRC の議長を務めている。また、郡レベルには DAO と呼ばれる直轄の支部を
持っており、DAO の長である CDO(Chief District Officer)が郡災害救済委員会(DDRC)
の議長に任命されている。MoFALD は、郡、市、村の各レベルの地方行政を管轄しており、
被害軽減とコミュニティ防災推進の役割を担う他、郡レベルの支所である DDC の長、LDO
(Local Development Officer)が DDRC のメンバーを務める。MoUD は、特に建造物の
地震対策の担当省庁であり、主に復旧・復興に注力している。また、MoUD の外郭団体で
ある KVDA は、カトマンズ盆地の開発計画に関する法令や規則を策定する権限を持ってお
り、同じく外郭団体の DUDBC は建築基準法(NBC)の制定や法令遵守に向けた取り組み
を担当している。
11
MoHA(内務省)
ネパールの防災分野で中心的な役割を果たしているのが MoHA である。NSDRM におい
ては、
「MoHA は災害管理の調整省庁であり、県および郡レベルの災害救済委員会を通して、
救助・救援を実施する役割を負う」とされている。また、防災関連の法案や規則の草案、
国内外の調整会議を開催がその所掌業務として記載されている。実際に、NRRC の Steering
Committee の議長は MoHA の局長であり、また本調査期間中に次局長が、防災関連の国際
会議にネパールの代表として出席していること、NSDRM、NDRF の承認を行っている省
庁が MoHA であることからも、NSDRM に沿った業務が行われていることが確認された。
また、各郡には、MoHA からの直接の指示系統にあたる DAO(District Administration
Office)が設置されており、首長である CDO(Chief Administration Officer)2が、DDRC
ならびに、郡災害管理委員会(DDMC)の議長を務める。緊急時には、CDO が郡レベルの
省庁出先機関を取りまとめるとともに、軍、警察を動員する権限があり、災害発生時にお
ける重要な役割を担っている。2009 年には、防災計画作成の手引き(Guideline Note for
Disaster Preparedness and Response Planning)を作成し、全国の郡に配布しており、各
郡では CDO が中心となった DDMC において防災計画を策定、2014 年までに 75 全ての郡
において作業が完了している。
図 2.5 に示した通り、MoHA は防災関連の 3 省庁の中では唯一となる防災管理の部局を
持っており、災害調査研究課、薬物管理課、災害リスク軽減・復旧課、緊急オペレーショ
ンセンター、が設置されている。このうち、国家緊急オペレーションセンター(NEOC)
は、省庁の敷地内に独立した建屋を有し、災害発生時には災害対策本部としての機能を果
たす。現在 9 名の職員が 24 時間体制で災害の監視にあたっており、センター内には、省庁、
警察、郡、UN への連絡のための緊急無線、2000 トンの燃料の備蓄、発電機、太陽光発電
設備が備えられている。
2
MoHA からの派遣される中央政府の職員。
12
図 2.5 MoHA 組織図
(出所:MoHA ホームページを基に調査団員が作成 アクセス日:2014 年 5 月 16 日)
MoUD(都市開発省)
MoUD は本案件の要請元である。2012 年の省庁再編で、MoPPW(公共事業計画省
/Ministry of Physical Planning and Works ) か ら 、 MoUD ( Ministry of Urban
Development/ 都市開発省)へと省庁名が変更された。NSDRM における MoPPW の役割
は被害軽減であり、都市開発事業実施前のリスク分析や、安全な建物建設のための啓発活
動 を 行 う も の と さ れ て い る 。 MoUD 傘 下 の DUDBC が 策 定 す る 国 家 建 築 基 準 法
(NBC/National Building Code)を遵守した建物建設を推進することも所掌業務の一つと
なっている。ヒアリング調査において要請内容の確認を行ったところ、学校や病院のリス
ク評価は依然重要であるとの回答を得たが、それぞれ他ドナーがリスク評価、耐震化のプ
ログラムを実施しており、JICA が実施するリスク評価において、学校や病院に特化した調
査を行う必要性は確認できなかった。NSDRM に「被害軽減のためのリスク分析」が MoUD
13
の所掌業務として記載されている事、ならびに災害関連の担当省庁である MoHA と比較し
て、エンジニアリングのバックグラウンドをもつ職員が多くいる事、以上の 2 点が、MoUD
が要請元になった主な背景であると考えられる。しかしながら、MoUD には防災関連の幅
広い関係機関、セクターの調整業務を実施した経験はないことから、単独で本事業のカウ
ンターパートとなる事は、リスク評価結果の利活用の面において適切であるとは言い難い。
一方、表 2.2 に示した通り、MoUD の下には水道・都市開発関連の外郭団体が多く存在し
ている。その一つであるカトマンズ盆地開発局(KVDA/Kathmandu Valley Development
Authority)は、カトマンズ盆地に特化した都市計画、土地利用計画の策定と、条例(Bylaw)
の制定を所掌業務としており、防災に関しては減災の分野で、大きな役割を持っている。
なお、KVDA については、2.5 節において詳細に触れる。
図 2.6 MoUD 組織図
(出所:MoUD ホームページ http: http://www.moud.gov.np/ を基に調査団員が作成
アクセス日:2014 年 5 月 16 日)
14
表 2.2 MoUD 外郭団体の一覧
MoUD の外郭団体一覧

Kathmandu Valley Development Authority

Kathmandu Valley Water Supply Management Board (KVWSMB)

Kathmandu Upatyaka Khanepani Limited (KUKL)

Town Development Fund (TDF)

Nepal Water Supply Corporation (NWSC)

Melamchi Water Supply Development Board (MWSDB)

Singhdurbar Secretariat Reconstruction Committee

International Conference Hall Development Committee

High Powered Committee for Integrated Development of The Bagmati
Civilization
 National Housing Co. Ltd.
(出所:MoUD ホームページ http: http://www.moud.gov.np/ を基に調査団員が作成
アクセス日:2014 年 5 月 16 日)
MoFALD(地方開発省)
MoFALD は、郡(District)
、市(Municipality)
、村(Village)の各レベルの開発を担って
いる。防災分野においては、地域防災リスク管理計画ガイドライン(LDRMP Guideline)
を作成し、郡、市、村、全てのレベルの地方行政組織に配布し、運用の指導をしている。
MoHA 他の省庁とは異なり、VDC(Village Development Committee)まで権限を持って
おり、とくにコミュニティ防災において重要な役割を果たしている。NSDRM では、緊急
対応と被害軽減が主な役割と記載されている。郡、市、村の地方行政の各レベルに MoFALD
所属の職員が配置されており、郡レベルにおいては、MoFALD 傘下の DDC(District
Development Committee)の首長である LDO(Local Development Officer)が DDMC の
メンバーとして、防災計画の策定などに関与している。
MOFALD は、防災セクターに高い優先順位を置いており、2013 年に地方行政管理部下
に防災管理・地方行政計画課を設置した。前述の地域防災リスク管理計画ガイドラインの
運用は同課の職員 8 名が担当しているが、実情としては運用促進の指導をするのみで、郡、
市、村が計画を作成した後の活動については、特に明確なモニタリング計画を持っていな
い。一方、同課が担当する業務として、防災分野で作成、配布されたガイドラインの統一
化が進められている。現在、MoFALD が作成した、地域防災リスク管理計画ガイドライン、
および、郡防災管理ガイドライン(District Disaster Management Plan、
)
、MoHA が作成
した防災計画作成の手引きの 3 種が存在しており、これらのガイドラインを一つにまとめ
る計画である。なお、郡防災管理ガイドラインについては、今回の調査においてその目的、
使途、対象グループについて確認できなかった。
15
なお、MoFALD の防災管理・地方行政計画課は、地方行政の最下層まで所掌範囲があり、
防災管理、地方行政計画の 2 つを担当していることから、人的なキャパシティ不足が課題
となっている。
図 2.7 MoFALD 組織図
(出所:MoFALD ホームページ http: http://www.mofald.gov.np/ を基に調査団員が作成
アクセス日:2014 年 5 月 16 日)
NRRC
ネパールリスク軽減コンソーシアム(The Nepal Risk Reduction consortium, NRRC)
は 2009 年 5 月に、MoHA、国連機関、主要なドナーにより結成された。結成の目的は、①
2009 年に承認された NSDRM で特定された課題に対する中長期的な支援。②防災分野にお
ける政府機関とドナーを対象としたプラットフォームの提供。③資金の調達と防災分野の
技術的サポート。の 3 点である。5 年間の全予算は 199 億 7100 万円(195.8 百万 US ドル3)
で、具体的なプログラムとしては、5 つのフラグシップ・プログラム(①学校及び病院の安
3
1US ドル=102.2 円で計算。
(2014 年 4 月 30 日レート)
16
全、②事前準備と応急対応、③コシ川流域の洪水管理 、④コミュニティ防災、⑤災害リス
ク管理に係る政策/制度への支援)を実施している。各フラッグシップの内容と、実施機関
名は表 2.3 の通り。各フラッグシップ・プログラムはネパール側省庁に主導的役割を与え、
各ドナーが支援、調整するように設計されている。
表 2.3 NRRC フラッグシップ・プログラム
プログラム名
実施機関(政府)
パートナー
予算
(百万ドル)
フラッグ
MoE
アジア開発銀行
MoHP
世界保健機構
事前準備と応急対応
MoHA
UNOCHA
55.2
コシ川流域の洪水管理
DWIDP
世界銀行
26.2
コミュニティ防災
MoFALD
国際赤十字赤新
44.3
学校及び病院の安全
シップ1
フラッグ
57.1
シップ2
フラッグ
シップ3
フラッグ
シップ4
月社連盟
フラッグ
災害リスク管理に係る政
シップ5
策/制度への支援
MoHA
UNDP
13
合計
195.8
(出所:Nepal Risk Reduction Consortium Flagship programmes を基に調査団員が作成)
図 2.8 NRRC 体制図
(出所:聞取り調査、資料をもとに調査団員が作成)
17
NRRC では 2013 年に、各活動の中間レビューが行われ、各フラッグシップにおける目標
の達成がプロジェクト期間の 2015 年までに困難であると報告されている。しかしながら、
この結果は目標設定に適切に行われていなかったことが問題で、現状を失敗としてとらえ
るべきではないとしている。このレビュー結果を受け NRRC 運営員会は、プログラムのタ
イムラインを 2020 年まで延長し、2016 年から 2020 年の期間でフェーズ 2 を実施する事を
決定し、そのプログラムの優先事項の見直しのために全国を対象としたリスク評価の実施
を計画している。この全国リスク評価においては、リスク評価実施に向けた準備として、
既存のリスク評価に関する文献、データ、アプローチ方法などの情報整理、検証を行い、
課題の特定と今後の計画を整理する予定である。NRRC は、各活動計画策定、資金調達の
根拠となる情報として JICA のリスク評価に大きな期待をかけており、また、NRRC の全
国リスク評価に向けた情報整理のプロセスに対しても、積極的な関与を望んでいる。
2.4 地方レベルでの防災に関する取組
ネパールの防災活動において主役となるのが、郡以下の地方行政である。各地方行政組
織は、それぞれの上部組織からの指示に従い防災活動を実施している。過去の調査におい
ても繰り返し指摘されている通りキャパシティ不足が慢性的な課題であるが、NRCS を始
めとした NGO の支援により、CBDRM、学校での防災教育、啓発活動、石工を対象とした
トレーニングなど、幅広い防災活動が展開されている。また中央が作成・配布したガイド
ラインに従い、75 全ての郡で防災計画が策定されている。
郡 (District)レベル
郡には、MoHA 傘下の DAO、MoFALD 傘下の DDC、ならびに他省庁の出先機関が設置
されている。DAO は、住民カードやパスポートの発行などのアドミニストレーション業務
を行う他、災害が発生した際には他省庁の出先機関を取りまとめる機能を持ち、DDC は都
市開発やインフラ整備計画の役割を担っている。DAO、DDC、各省庁の出先機関は、業務
上の横の連携は殆どないという事であったが、今回の調査で訪問した 3 つの郡の DAO、
DDC
はそれぞれ立地的に近いことから、人的な交流は十分にあることが伺えた。
各郡では、MoHA の配布した DPRP(Disaster Preparedness and Response Planning)
Guideline に従って郡の防災計画を作成しており、計画をまとめた冊子が警察や、消防署、
学校などに配布されている。防災計画策定の過程では、DAO が中心となり、DDC、警察、
消防署などのステークホルダーが定期的に会議を開き、地域の特性や課題を話し合い、計
画の策定を行った。ファシリテーションの面では、NGO が支援を行っており、カトマンズ
郡に対しては NSET、ラリトプール郡、バクタプール郡に対しては NRCS が計画策定に協
力している。
18
一方、コミュニティ防災や啓発活動などの実際の防災活動と、建設許可発行や条例の制
定などの業務については各市が担当している。制度上、郡は市の上に存在しているが、カ
トマンズ市、ラリトプール市においては、その行政規模の大きさから、実質上は郡と並列
の関係にあるという事であった。また、ヒアリング調査において、郡と市では業務上の連
携が殆どないという意見が聞かれた。
市(Municipality)
、村(Village)レベル
中央省庁やその関連機関が都市開発計画や、土地利用計画を策定し、建設基準などの関
連する法令を発行しているのに対し、その実行機関となるのが市、もしくは村レベルであ
る。各市で、そのキャパシティや防災に取り組む優先度に違いはあるものの、カトマンズ
盆地の主な 3 市では、防災に関連する部署を設置しており、その役割も拡大傾向にあると
いう。
現在、カトマンズ市の防災管理課には1名の職員に加えて、6名のカトマンズ市警察が
サポートメンバーとして所属しており、将来的には防災管理部を設置する予定である。ラ
リトプール市では都市開発部(職員数22名)の下に、防災管理課を設置しており、職員
数5名が勤務、バクタプール市では、建設課(8 名)の下に防災関連の担当者が 1 名いるの
みである。なお、カトマンズ市の防災管理課は、建設課と同じ部屋に設置されており、他
の市の防災関連部署も建設関連の部署の下に設置されていることが分かった。
各地域の都市計画、土地利用計画において、実際に建設許可を発行するのは市であり、
各市の防災の優先的な活動の一つが建物の被害軽減であることが伺える。2014 年 4 月から
3市では、それぞれ個別に、建設許可を申請したハウスオーナーを対象としたワークショ
ップを開催している。どの市も、まだ数回の開催に留まっているものの、建設基準順守の
ために、効果的な取り組みであると考えられる。
その他、各市ともコミュニティ防災に関する啓発活動やトレーニング、学校での防災教
育を実施しており、積極的に防災に取り組む姿勢が見受けられた。とくに、ラリプトール
市は、担当職員数が多い事からも、防災活動の優先順位を高く設定している印象があった。
また、カトマンズ市では、防災に関する独自の取り組みとして、建設許可申請の過程で、
申請者から少額を出資してもらい、災害リスク基金(Disaster Risk Fund)を積み立てて
いる。現在約 1050 万円(10 百万ルピー4)が積み立てられており、防災管理課の計画と市
長の承認にて、災害時に活用される仕組みである。今回の調査期間中にカトマンズ市内で
発生した火災においても、この積立金によって、被災者の生活保障が行われたとのことで
あった。
このように、今回調査時には、各市で積極的な防災への取り組みが観察されており、JICA
のリスク評価においては、各市が最終的なユーザーとなる事が想定される。また、市職員
は、一部の上級職を除き全て現地採用であるため、異動になる機会が少ない。また、上述
4
1 ルピー=1.05 円で計算。
19
のように住民に最も近いレベルで防災活動を行っていることから、リスク評価結果活用の
ためのパイロットプロジェクトの実施を検討する際には、対象となる事が考えられる。
2.5 カトマンズ盆地における防災セクターの現状
カトマンズ盆地は、カトマンズ郡(カトマンズ市、キルティプール市と 57 村)
、ラリプ
トール郡(ラリトプール市と 41 村)、バクタプール郡(バクタプール市、マディヤプール・
ティミ市と 16 村)の3郡から構成されている。表 2.4 に示した通り、カトマンズ盆地では
近年、急速な人口増と、それに伴う居住地区の拡大が進んでおりとくに、都市部に密集し
て建てられている建物の多くが、工学的に構造安全性が検証されていないノンエンジニア
ド住宅である。2010 年 1 月に発生したハイチ地震に見られるように、建物の倒壊が原因
で多くの人命が失われていることから、カトマンズ盆地内の建物の安全性を高める取り組
みの必要性が高まってきている。こうした状況の中、2012 年 4 月に、MoUD の外郭団体と
して、KVDA が設立された。KVDA は、カトマンズ盆地に特化した都市計画や土地利用計
画、法令の制定を所掌業務としており、盆地内の郡、市、村各レベルの開発における調整
と指導を行っている。
表 2.4 カトマンズ盆地の人口推移
郡
人口
人口
人口
人口
人口密度
世帯数
1981 年
1991 年
2001 年
2011 年
2011 年
2011 年
面積
カトマンズ郡
462,281
675,341
946,569
1,744,240
4,416
436,344
395 ㎢
ラリトプール郡
199,688
257,086
331,212
468,132
1,216
109,797
385 ㎢
バクタプール郡
144,420
172,952
216,328
304,651
2,560
68,636
119 ㎢
合計
806,389 1,105,379 1,494,109
2,517,023
614,777
893 ㎢
-
(人口)
2,000,000
1,500,000
カトマンズ郡
1,000,000
ラリトプール郡
バクタプール郡
500,000
0
1981年
1991年
2001年
2011年
(出所:2011 年ネパール国勢調査を基に調査団員が作成)
20
KVDA(カトマンズ盆地開発委員会)
KVDA は 2012 年に MoUD の外郭組織として設置された5。主な所掌業務は、カトマンズ
盆地における都市計画、土地利用計画の策定と、条例(Bylaw)の制定である。また、カト
マンズ盆地内の各関連組織の調整機関としての役割を果たす。KVDA は MoUD から直接の
指示系統下にはないものの、MoUD が議長を務める Physical Development council のメン
バーによって管理され、年度予算については中央政府から MoUD を通じて配分される。本
部と 3 つの郡レベルの支所からなり、職員数は 67 名、今後の計画では、137 名まで増やす
予定とのことである。また、10 グループのコンサルタントチームが KVDA のプログラムを
実施している。KVDA は都市計画、土地利用計画、条例の制定を所掌業務としており、カ
トマンズ盆地内において調整業務を実施している実績6もあることから、JICA のリスク評
価事業における、カウンターパートとなり得る組織である。また、KVDA は Risk Sensitive
Land Use Plan の一環で、UNDP の実施したカトマンズ盆地内のリスク評価7を活用する
予定である。このリスク評価の精度には疑問が残るものの、調査過程で収集した各種デー
タは、JICA のリスク評価においても活用することが可能であると考えられる。なお、これ
らのデータの JICA への提供についても了解を得ている。
なお、前身の KVDTC の 2011/12 の予算が約 7140 万円(6800 万ルピー)8だったのに対
8
し、
KVDA の 2013/2014 の予算は約 3 億 2550 万円
(3 億 1000 万ルピー)
(財務省
:Estimates
for Expenditure for fiscal year 2013/2014)、来年度予算は 31 億 5000 万円(1,000 百万ル
ピー)8(KVDA コミッショナー談)となっており、KVDA の役割が拡大する傾向にあるこ
とが伺える。
図 2.9 KVDA 組織図
(出所:KVDA 3rd anniversary Baishak 15.2071 を基に調査団員が作成)
KVDA の前身はカトマンズ盆地開発協議会(KVTDC)
DDC、Municipality などの地方行政担当者から、KVDA と業務上の連携があるという回
答を得た。
7 2014 年 4 月 28 日のワークショップにて、公表予定。
8 1 ルピー=1.05 円で計算。
5
6
21
第3章リスク評価及び防災対策実施体制の課題と現状
3.1 既存のリスク評価調査について
3.1.1 2002 年 JICA 調査
2002 年 JICA 調査の活用状況
JICA は 2002 年、カトマンズ盆地を対象としたリスクアセスメント調査を実施してい
る(
「ネパール国カトマンズ盆地地震防災対策計画調査」)
。この 2002 年調査の結果は、本
詳細調査内に話を聞いた多くのステークホルダーから高く評価する声が聞かれた。
しかし一方で、活用という面においては、死者や建物被害棟数に関する想定結果が図表
等において参照されるかたちで活用されてはいるものの、2002 年報告書の提言の多くは実
施に至らなかった他、現在も具体の対策レベルで使われているケースは数少ない。今回の
調査において確認されたのは、MoUD 傘下の DUDBC がオープンスペースの必要量に関し
て、2002 年想定の結果を用いて算出しているという事例のみである。
2002 年の結果が活用されなかった原因は明確でないが、今回の詳細計画調査の聞き取
りにおいては、以下の2点が課題または JICA の新しい調査への要望として指摘されている。
① ネパール側の関与の不足
・
(NSET は建物のインベントリー調査に少し関わったが)2002 年調査の多くが日本の専
門家によって行われ、ネパール側の関わりが薄かったことがあるのではないか。
(NSET からの指摘)
・新たな JICA 調査について要望したいことは、幅広くさまざまな組織を巻き込んで実施し
てほしいということである。前回はほぼ日本の専門家や技術者の手によって為された印象
がある。
(調査局(Department of Survey)、KVDA からの指摘)
② アップデート体制の欠如
・2002 年から盆地内の人口や建物が大きく変わっているため、2002 年の結果は直接的な対
策検討に使えない。
(NSET からの指摘)
・カトマンズ盆地内の人口が急激に増加している中で、アセスメント結果をアップデート
することが重要である。
(UNICEF からの指摘)
2002 年 JICA 調査の技術的な課題
2002 年のリスクアセスメント調査は、限られた情報を用いて想定せざるを得ず、その結
果についても一定の精度に留まっている。
特にハザードアセスメントにおいて用いられる地盤モデルは、限られたボーリングデー
22
タを基に作成されており、また建物の情報についても人口分布を基に粗く推定されたもの
である。
これらの制約については、ネパール側の一部有識者(例えば NSET、トリプバン大学、ネ
パール地震センター(Nepal Seismological Center))にも認識されている。これらの有識者か
らは、
次がカトマンズ盆地における 2 回目のリスクアセスメントになるということからも、
さらに技術的に高く、より細かい精度での成果を期待している(または、2002 年と同程度
の評価を行っても仕方がない)という声が聞かれた。
3.1.2 主な類似リスクアセスメント
2002 年以降、各ドナーにおいてネパール全土またはカトマンズ盆地を対象とした、ハザ
ードアセスメント、又はリスクアセスメント調査が行われている。そのうち、主な調査を
以下に示す。
(1) Nepal Hazard Risk Assessment/World Bank(2011)
(2) 調査名不明(リスク評価実施前に中止が決定)/World Bank(2013)
(3) Comprehensive Study of Urban Growth Trend and Forecasting of Land Use in the
Kathmandu Valley/UNDP(2014)
(4) Nepal Humanitarian Staging Areas Project(プロジェクト実施前)/WFP
本報告書執筆時点でプロジェクト実施前である(4)の WFP の調査を除いた、各リスクア
セスメントの特徴を表 3.1 に示す。
23
表 3.1
各リスクアセスメントの特徴(調査団員作成)
JICA(2002)
World Bank(2011)
World Bank(2013)
UNDP(2014)
ステータス
実施済
実施済
実施前に中止
公開前
対象
カトマンズ盆地
ネパール全土
カトマンズ盆地
カトマンズ盆地
対象ハザード
地震
マルチハザード
地震
マルチハザード
地震動評価
シナリオ地震
ハザード評価
○
○
○
○
リスク(被害)評価
○
○
△(学校のみ)
×
実施目的
リスク分布予測と、
減災に向けた提言
確率論的地震動評 確率論的地震動評
価(※)
価(※)
リスク分布予測と、
経済被害予測に基
づく減災に向けた提
言
シナリオ地震
学校の脆弱性評価
Risk Sensitive Land
及び耐震補強や移
Use Plan を通じた土
転に伴う費用対効果
地利用規制
の計算
カウンターパート
MoHA
MoHA
MoE(=Education)
KVDA
メッシュ精度
500m×500m
不明
―
100m×100m
―
ボーリングデータと
確率モデルを用いて
地盤情報を推定して
いるため、特にボー
リングデータがない
地点を中心に精度
は低い
精度
ネパール全土を対象
限られた地盤情報、
とした評価のため、
建物情報を基に計
細かいグリッド単位
算されたため、必ず
での計算は為されて
しも精度は高くない
いない
※確率論的地震動評価
上記表中の「シナリオ地震」は震源断層を特定して地震動を予測 (一般に「確定論的地
震動予測」と呼ばれる) するのに対し、確率論的地震動評価とは、全ての地震の位置・規模・
確率に基づき、各地点がどの程度の確率でどの程度揺れるのかをまとめて計算し、その分
布を計算したものである。
各リスクアセスメントの概要は以下の通りである。
(1) Nepal Hazard Risk Assessment/World Bank 他(2011)
World Bank、
防災グローバル・ファシリティ(Global Forum for Disaster Risk Reduction)
の支援の下、アジア防災センター(Asian Disaster Preparedness Center)、ノルウェー地盤
工学協会(Norwegian Geotechnical Institute)、国際協力センター(Centre for International
Studies and Cooperation)によって実施されたリスクアセスメントであり、結果及びレポー
トが MoHA のホームページに掲載されている9。
対象はネパール全土であり、地震、洪水、干ばつ、地すべり、伝染病といったマルチハ
ザードに対して、概ね District レベルでのリスクアセスメントを実施すると共に、マクロ
9
Ministry of Home Affairs:http://www.moha.gov.np//en/resources/
24
レベルでの経済への影響を試算し、最終的に表 3.2 に示す8分野に関する提言を行っている。
表 3.2
Nepal Hazard Risk Assessment における提言
(出所:Nepal Hazard Risk Assessment Part1: Hazard Assessment を基に調査団員が作成)
1
Policy,
institutional
mandates
and
institutional
development
2
National disaster management act
3
Hazard, vulnerability and risk assessment
4
Multi-hazard early warning systems
5
Preparedness and response plans
6
The integration of DRR into development planning
7
Community-based DRM
8
Public awareness, education and training
前述したとおり、あくまで District レベル程度のマクロの評価であり、2002 年の JICA
調査のような Micro Zoning とは性格を異とするものである。
図 3.1 Nepal Hazard Risk Assessment における震度分布
(出所:Nepal Hazard Risk Assessment - Part1: Hazard Assessment)
(2)調査名不明/World Bank(2013) (※リスク評価実施前に中止が決定)
World Bank が教育省(Ministry of Education)をカウンターパートとして予定された調査
であり、学校施設を対象とした(確率論的地震動予測に基づく)リスク評価を行い、耐震化、
25
移転等に関する費用対効果を算出し、耐震補強/移転計画を作成することを目的としたも
のである。
しかし、カウンターパートである MoE のキャパシティ不足により(レッドブックに準拠
した)プロジェクトを開始させるまでに時間がかかりすぎたため、プロジェクト期間内に
完了させることが困難であると判断され、MoE、World Bank、GFDRR で協議の末、中止
が決定している。
なお、現地調査終了後、タイのコンサルティング会社 AIT Consulting から、同様のアセ
スメントを ADB ファンドで行う予定であるという情報を得ている。詳細については不明の
為、今後調査・確認する必要がある。
(3)Comprehensive Study of Urban Growth Trend and Forecasting of Land Use in the
Kathmandu Valley/UNDP(2014)
①概要
UNDP が KVDA をカウンターパートとして実施している調査であり、人口及び土地利用
の将来予測とともに、地震・洪水・地すべり・危険物施設からの火災・伝染病を対象とし
たマルチハザードの評価が為されている。このマルチハザード評価に基づき、今後 Risk
Sensitive Land Use Plan(以下、RULUP)という計画を策定し、土地利用規制が行われる予
定である。
なお、 RULUP は UNDP 及 び NSET が 2008~ 2009 年 の二か年 で Kathmandu
Metropolitan City を対象として実施されていたものであるが、明確なハザードやリスク情
報に基づいたものではなく、2012 年の「平成 23 年度カトマンズ盆地地震防災情報収集・
確認調査報告書」によると、実効ある対策は打てなかったとのことである。
2011 年から実施された今回の調査では、UNDP は KVDA をカウンターパートとして(経
緯は不明だが NSET は外されている)、ハザード評価に基づいた土地利用規制を目指してい
る。
また、同プロジェクト内では、建物・インフラ・道路施設等、多くのデータが収集され、
GIS データとして整備されている。2014 年 4 月 28 日に KVDA の創設3周年を記念して行
われた「KVDA Day」の中のプレゼンテーションでは、将来的なさらに詳細な Micro zoning
レベルでの評価と、建物被害・人的被害・経済被害に関するリスク評価を行うことが言及
されている。
26
②地震ハザード評価
地震については4種類のハザードを想定している。
表 3.3
UNDP(2014)のハザード評価におけるシナリオ地震
Scenarios
Earthquake
Magnitude
ScenarioⅠ:
1833 Sindhupalchok Earthquake
7.8
ScenarioⅡ:
1934 Nepal-Bihar Earthquake
8.4
ScenarioⅢ:
Main Boundary Thrust(MBT)
8.0
ScenarioⅣ:
Chobhar Local Earthquake
6.5
(出所:UNDP/Comprehensive Study of Urban Growth Trend and Forecasting of
Land use in the Kathmandu Valley)
地震動評価においては、図 3.1 に示す 104 個のボーリング地点における表層地盤の増
幅度を計算し、さらに地表面加速度(PGA)を計算した上で、空間統計学(Geostatistics)に基
づく空間補間によって地表面加速度の面的分布を求めている。
なお、104 個というボーリングデータの数は 2002 年の JICA 調査で用いたボーリングデ
ータと比べると少なく、空間的な分布としても狭い範囲に留まっている(図 3.2~3.3 参照)。
27
図 3.2 UNDP(2014)のハザード評価に用いられたボーリングデータ
(出所:UNDP/Comprehensive Study of Urban Growth Trend and Forecasting of
Land use in the Kathmandu Valley)
図 3.3 JICA(2002)のハザード評価に用いられたボーリングデータ
(出所:JICA/The Study on Earthquake Disaster Mitigation Vol.3)
28
図 3.4 UNDP(2014)のハザード評価に用いられた Vs(平均 S 波速度)分布
(出所:UNDP/Comprehensive Study of Urban Growth Trend and Forecasting of Land
use in the Kathmandu Valley)
図 3.5 UNDP(2014)のハザード評価結果(PGA) (出所:同上)
29
図 3.6 UNDP(2014)のハザード評価結果(震度) (出所:同上)
図 3.7 UNDP(2014)のハザード評価結果(液状化危険度) (出所:同上)
30
(4) Nepal Humanitarian Staging Areas Project (プロジェクト開始前)/WFP(2013)
2014 年 3 月に WFP が備蓄倉庫を対象としたリスクアセスメント調査に関する公示を出
している10。帰国後に把握した情報であり、聞き取り調査において WFP の担当者から本件
に関する情報は得られていない。
インターネット上で公開されている情報によれば、災害後の人道援助実施のための中間
拠点(Humanitarian Staging Areas)を設置するための調査であり、その一環で既存の備蓄
施設のリスク評価を行うというものである11。
JICA 調査と評価対象が異なることから直接的に影響を受けることはないが、どのような
ハザード評価を行うか等について、今後も進捗を把握する必要があると考えられる。
3.2 リスク評価項目案と想定される防災対策実施主体
3.2.1 リスク評価項目案と想定される評価結果の活用策について
本格調査における評価項目(案)を表 3.4 に示す。
2002 年の前回調査においては、建物・人的被害、ライフライン被害が中心だったが、新
たな調査では、災害対応に必要な物資・医療機能等についても評価を行うことを提案する。
これらは、今回の聞き取り調査において各省庁やドナーからのニーズが高かった項目であ
り、今後の防災計画の数値根拠として活用されることが期待できる。
10http://www.un.org.np/jobs/eoi-design-consultancy-services
11http://www.un.org.np/sites/default/files/Project%20Design%20EoI%20Consultant-final
.pdf
31
表 3.4 リスク評価項目案と想定される活用策
(出所:ヒアリング結果を基に調査団員が作成)
評価項目
種別
ハ
ザ
ー
ド
評
価
項目
想定される活用策
活用策
担当組織
ネパール国での今後の調査/研究への貢献
NSC/大学
(O)
地震動計算
○
震度分布の計算
○
土地利用規制、都市計画等への活用(P)
液状化
○
土地利用規制、都市計画等への活用(P)
急傾斜地
○
道路閉塞の評価。大きな住宅被害を生む恐れ
のある場所への対策(P)
揺れ
○
地震動
MoUD/地方自治体
地盤被害
建物被害 液状化
急傾斜地崩壊
学校(実施については要検討)
火災(実施については要検討)
人的被害
(死者・負傷者)
リ
ス
ク
評
価
前回2002年
想定
○
土地利用規制、建築規制、都市計画等への活
MoUD/地方自治体
用(P)
○
×
事前の耐震化(P)
応急対応計画策定(R)
MoE
(危険物施設 事前の火災予防措置(P)
のみ)
応急対応計画策定(R)
○
上水道
○
ライフライン 下水道
被害
電力
○
交通施設
被害
MoLRM(Ministry of Land
Reform and Management)
○
MoHA/地方自治体
コミュニティレベルでの対策立案(P)
減災効果の算出と啓蒙(O)
地方自治体
KuKL
耐震基準の策定/耐震対策(P)
応急対応計画立案(R)
Nepal Electric Authority
通信
○
道路
○
重要アクセス路の沿道にある建物や地すべり危
険箇所への対策(P)
道路啓開計画の策定(R)
MoUD/WFP/UNICEF
道路橋
○
道路橋の耐震補強(P)
応急対応計画策定(R)
避難者
○
オープンスペースの過不足評価(P)
避難者対応計画への反映(R)
DUDBC/MoFALD/MoHA
物資
×
備蓄の推進(P)
発災後の物資配送計画策定(R)
MoHA/WFP
医療機能(建物被
害評価については
要検討)
×
病院の耐震化・上水や電気の非常用設備の設
置(P)
MoHP/Flagship2
発災後の医療対応計画策定(R)
×
オープンスペースの過不足評価(P)
災害廃棄物のマネジメント計画策定(R)
災害弱者
×
災害弱者の避難活動支援、避難先での生活へ MoHP/UNICEF/Flagship
の支援に関する計画策定(R)
2、4
外国人/観光客
×
観光客の避難/発災後の支援に関する計画策
MoT/各ドナー
定(R)
経済被害
×
減災効果の算出と啓蒙
その他生活
支障等 廃棄物
Nepal Telecom
※「想定される活用策」のカッコ内は P=Preparedness(事前対策),
※活用組織における「地方自治体」は
32
DUDBC/MoFALD
全ステークホルダー
R=Response(応急対応), O=Other(その他)を示す
KVDA、District, Municipality, VDCsを指す
3.2.2 今後実施の検討を要する項目
火災
2002 年想定においては、一般建物からの火災は評価されておらず、危険物施設からの出
火のみを対象として評価されている。
ラリトプール市において消防体制をはじめとする行政支援を行っている古市 SV(シニア
ボランティア)によると、カトマンズ盆地の伝統建物は外壁こそレンガが使われているもの
の、柱や梁、窓枠等において木材が使われており、また家と家が密接しているため、地震
時に延焼火災が起きるのではないかと指摘している。
他方、現状カトマンズ盆地において、公設の消防体制、地域の消防体制ともに十分では
ない。今回の JICA のリスクアセスメントで火災の危険性について評価することで、消防体
制の充実に向けた後押しとなることが考えられる。
但し、組積造の建物が密集する地域の地震火災に関する研究またはデータは乏しく、被
害を予測するのは困難という側面があるため、アセスメントとして実施するかどうかにつ
いては方法論も含めて引き続き検討する必要がある。
学校/病院
本詳細計画調査実施前の時点で、World Bank が確率論によるハザード評価によって学校
のリスクアセスメントを行うという情報を得ていたため、当初、学校や病院の被害評価は
本アセスメント調査の対象から外れていた。
しかし、
前述の通り、
World Bank のプロジェクトは結果として頓挫している。MoUD の Joint
Secretary は学校/病院を対象としたアセスメントの必要性を口にしており、JICA 調査に
おけるアセスメント実施について検討する必要がある。
但し、学校や病院の基礎情報は World Bank によって収集されているものの、その被害関
数については明らかになっていないため、限られた時間・予算の中で学校や病院の被害評
価を実施できるか、またはすべきかは慎重に検討されなければならない。
なお、被害関数に基づく被害評価ではなく、一定震度以上の地震動や液状化に曝される
恐れのある施設数を計上する(危険な場所に位置する学校/病院の抽出)という簡易な評
価を行うという選択肢もありうる。
燃料
聞き取り調査において、NRRC のフラッグシップ2代表から、燃料に関するリスクアセス
メントの必要性を指摘されている。
ネパール国の燃料事情は厳しい。燃料供給の多くはインドに多く依存しており、カトマ
ンズ市内では連日ガソリンスタンドの前に長蛇の列が並ぶ光景が見られる。
地震発災時においては、需要が増えると同時に買い占めが起き、またインドとの陸路が
断たれた場合は供給量も激減することが想定されるため、深刻な燃料不足が発生し、災害
33
対応活動に大きな影響を与えることが懸念される。
地震シナリオにおける発災後の燃料の必要量が評価できれば、燃料確保・調達計画に資
することができるが、火災評価同様、根拠となるデータが乏しいため、引き続き情報収集、
検討が必要である。
3.3 防災対策実施体制の現状と課題
3.3.1 政策の決定
ネパールの政策の決定において、中心となる機関が NPC である。実施中の国家計画であ
る期間計画(Periodic Plan)は、現在第 13 期にあたり、同計画では省庁横断的な開発指針
(Cross-Sectorial Development Policies)の項目で、気候変動対策と共に防災の主流化を
目指している。国家計画の策定においては、各省庁、地方自治体から集められた情報を基
に、NPC が検討し、ドラフトを作成した後、関係省庁、関係機関、専門家と協議を行い、
計画を策定する流れとなっている。NPC では、期間計画の他、中期支出枠組み(Medium
Term Expenditure Framework)
、年度計画(Annual Plan)の策定を行っている。
期間計画:Periodic plan (Three-year plan)
本来5ヶ年計画であるが、政治的に移行時期にあるため、現状は3ヵ年計画となってい
る。国政の基本となる計画で、向こう3年間の予算配分予定額も記載されており、現在は
第 13 次期間計画が 2013 年 7 月から 2016 年 7 月の期間で実施されている。簡易版、詳細
版の2種類があり、詳細版はネパールの会計年度の終わりに当たる、2014 年 7 月までに承
認される見込みとなっている。
中期支出枠組み:Medium Term Expenditure Framework(MTEF)
Periodic plan (Three-year plan)に基づき作成される3ヵ年の計画で、国家、セクター
それぞれの年度目標が定められている。前年度の予算と支出に基づき、翌年度の予算配分
の概算と、翌年度以降 2 年分の予算予測が記載される。上位の期間計画と下位の年度計画
のギャップを埋め、期間計画と年度予算のミスマッチを減らす役割がある。
年度計画:Annual Plan
上位計画に基づいて作成される計画で、毎年の予算配分等の根拠となる。年度計画を作
成するために、NPC は各省庁にガイドライン(方針)を示す。
第 11 次期間計画(暫定3か年計画、2007 年 7 月~2010 年 7 月)において、気候変動対
策が項目として独立し、防災はその一部として記載されていたが、第 12 次期間計画(2010
年 7 月~2013 年 7 月)から防災に関する独立した項目が設定されている。NPC において、
防災を担当する部署は、管理課(Administration Section)であり、MoHA を始めとした、
34
防災関連の各省庁、ドナーとの調整を担当している。今回、ヒアリングを行った予算課
(Budget Section)の情報では、現在、管理課が防災に関する戦略ペーパーを作成してお
り、第 14 期期間計画の策定においては、気候変動対策と共に防災を主その軸とするための
取組が行われているとのことであった。
3.3.2 予算配分の決定
ネパールの会計年度は 7 月 15 日に始まり、翌年の 7 月 14 日に閉じる。予算配分の決定
に当たっては、各ライン省庁、ならびに地方行政からの要請に従い、NPC、MoF が中心と
なり協議を行い、予算案を作成した後、財務大臣が国会に提出し承認される手順となって
いる。会計年度における担当機関とタイムフレームについて表 3.5 に、図 3.7 に示す。
表 3.5 予算決定のタイムフレーム
月
担当機関
活動
10 月、11 月
NPC 、MoF、
 MTEF の準備と調整
内閣府、ライン
 マクロ経済フレームワークの準備
省庁
 次年度の予算のための開発計画とプログラムの決定
 プロジェクトの優先順位の決定
 歳入の可動化
 期間計画と目標の調整
11 月
NPC、内閣府
 各部門による上限予算の決定
 内閣による全体計画の承認
12 月
NPC
予算のガイドライン、部門ごとの上限予算、予算請求フ
ォーマットを含む予算通達をリリース
3 月最終週
ライン省庁
4 月、5 月
NPC、MoF、ラ 予算の協議
イン省庁
NPC と MOF に予算を提出
 NPC は開発予算の目標、計画、プログラム、戦略、目
標、指標について協議。
 MoF は経常費と資本支出の為の予算配分について協議
(予算要求を検討・交渉し、MOF、NPC と省庁間で合意
に達する。NPC が予算方針に承認を与え、MOF は資金
計画を完了させる。
)
6月
MoF
予算を確定し内閣府に提出
7 月 14 日迄
MoF
財務大臣が議会に予算案を提出
9 月 14 日迄
国会
予算を承認
(出所:Budget Formulation in Nepal / Ministry of Finance 2009 を基に調査団員が作成)
35
図 3.7 予算化プロセスの概念図
(出所:Budget Formulation in Nepal/Ministry of Finance 2009 を基に調査団員が作成)
なお、中央レベルにおいては、トップダウンの意思決定が行われており、NPC からライ
ン省庁、関連事務局、ライン出先機関というプロセスで意思決定が行われる。一方、地方
行政レベルでは、ボトムアップのアプローチが取られており、最少の行政単位である区か
ら、VDC、市、郡議会を通じて、DDC に予算化のための計画が吸い上げられる。1990 年
代までは、ほとんどの意思決定プロセスが、トップダウンで行われてきたが、現在は中央、
地方において、それぞれのアプローチが取られている。
中央レベルのトップダウンアプローチ
36
地方行政のボトムアップアプローチ
3.3.3 都市計画・土地利用規制の決定・履行
カトマンズ盆地内における都市計画・土地利用規制については、MoUD(特に DUDBC)
が定める基準に基づいて KVDA が計画を策定している。カトマンズ盆地において実施され
ている主な都市計画に関する取り組みについて以下に示す。
長期開発計画
「Long-term Development Concept」において、カトマンズ盆地の長期開発計画が策定
されている。元々、KVDA の前身であるカトマンズ盆地開発協議会(Kathmandu Valley
Town Development Committee)が 2000 年に掲げたものであるが、実効が伴っていないこ
とを KVDA の担当者は認めており、現在 2015 年の承認に向けた新たな長期開発計画を策
定しているところである。
開発計画(土地利用規制)
KVDA の mandate を定める「KVDA Act」及び「KVDA Regulation」において、
「Physical
Development Plan」と呼ばれる開発計画を策定することが定められている。
この「Physical Development Plan」においては、インフラ等を含めたカトマンズ盆地の
開発計画が記されているが、この中では「Risk Sensitive Land Use Plan」による土地利用
規制を行うことが規定されており、UNDP が支援している前述の土地利用規制はこの計画
に基づいて計画・実施されている。
区画整理
他方、
「Town Development Act」に基づき、カトマンズ盆地内では「Land Readjustment
Plan」による Land Pooling 及び区画整理が行われている。ヒアリング時においては約 10
のプロジェクトが行われていた(図 3.9~図 3.10 参照)。
都市計画
「Bylaws for Construction in Kathmandu Valley」において、カトマンズ盆地内のゾー
ニングと、ゾーンごとの建築規制(高さ規制、容積率規制等)が定められている。
37
図 3.8 Ichangu 地区における Land pooling プロジェクトの事例(計画前)
図 3.9 Ichangu 地区における Land pooling プロジェクトの事例(計画後)
38
3.3.4 建築基準について
現状の NBC(Nepal National Building Code)は、1994 年に UN-Habitat のプロジェクト
で作られたものである。その後、NBC は UNDP の支援によって改定したが、Seismic Code
の部分に該当する NBC105 については、UNDP から支援が得られなかったため、DUDBC
は JICA に対し NBC105 の改定への支援を期待している。
なお、RC 構造について規定する NBC205 の中には MRT(Mandatory Rules of Thumb)
と呼ばれる条項がある。これは、RC 建物のデザインにエンジニアが関わらないことを許容
するルールであり、Non-engineered かつ危険な建物を助長しかねない。そのため、前述の
Maskey 教授他、UNDP のレポートにおいてもこの条項を速やかに削除することが強く推
奨されている12。
また、RC 構造についてはもう1点、高層建物に関する規定が十分ではないという問題が
ある。一方で、カトマンズ盆地内においては現在進行形で多くの高層建物が建設されてい
る。そのため、一刻も早い建築基準の改定が求められている。
3.3.5 建築許認可の現状
以上の建築規制・土地利用規制、または建築基準に基づいて、各 Municipality において
建築認可が実施される。但し、人材リソースが少ないこと等の理由から、適切な認可がさ
れていないのが現状である(UNDP 担当者の情報によると、58 の Municipality のうち、
National Building Code を守ろうとしているのは3つのみ)
。
そこで、現在 UNDP は Kathmandu と Lalitpur の2つの Municipality において、
Electronic Building Permit System(以下、E-BPS)と呼ばれる自動許認可システムの構築を
行っている13。
また、NSET はカトマンズ盆地外の 24 Municipality を対象として、MoUD とともに
「Building Code Implementation Program in Municipalities of Nepal (BCIPN)」を実施
している14。これは UNDP の取り組みとは異なり、Municipality の担当者への教育など、
より Capacity Building に近い活動となっている。
Ministry of Physical Planning and Works/Recommendation for Update of Nepal
National Building Code, 2009
13 http://www.preventionweb.net/files/35258_35258automationcasestudy.pdf
14 http://www.nset.org.np/nset2012/index.php/event/eventdetail/eventid-134
12
39
第4章 本格調査の実施方法
4.1 収集情報・データと本格調査の実施方針
4.1.1 ハザード評価
ハザード評価は以下に示すように大きく3つのステップに分かれる。
地表面
③
工学的基盤
②
活断層
①
① シナリオ地震の選定⇒地震動の評価
② 工学的基盤における地震動の評価
③ 地盤モデルの構築⇒表層地盤による増幅計算
図 4.1 ハザード評価の手順(調査団員が作成)
ここで、各ステップにおいて得られた情報・データと本格調査における実施方針案につ
いて示す。
① シナリオ地震の選定⇒地震動の評価
【収集された情報・データ】
A)プレート境界型地震
ヒマラヤはインドプレートとユーラシアプレートが衝突しているところで、典型的なプ
レート衝突境界帯であり、ヒマラヤとその周辺地域は世界で有数の地震地帯となっている。
ヒマラヤでは、山脈に平行にその全域にわたって追跡できる構造線(断層)がいくつか知ら
れている。図 4.2 に示す通り、北から南へ,インダスーツァンポ縫合帯,カンマー衝上断層
(Kangmar Thrust),主中央衝上断層(Main Central Thrust,以下 MCT),主境界衝上断層
(Main Boundary Thrust,以下 MBT)および主前縁衝上断層(Main Frontal Thrust,以下
MFT)あるいはヒマラヤ前縁断層(Himalayan Frontal Fault)である。
40
図 4.2 ヒマラヤにおける断層構造(出所:Dr.Sapkota 氏提供資料)
この中で、カトマンズ周辺及びその西部地域一帯の 1000km 近い区間において、過去数
百年間にわたって巨大地震が無いことに注目されており、「中部ヒマラヤ地震ギャップ:
Central Himalayan Seismic Gap」と呼ばれている。次のヒマラヤ地域の巨大地震は、こ
のギャップで発生する可能性が極めて高いと見られており、蓄積されているひずみエネル
ギーの規模から、この巨大地震はヒマラヤの過去数百年の歴史で最大のものになる可能性
があると指摘されている15。
National Seismological Center の Dr.Sapkota は、MFT における巨大地震のメカニズム
解明に向けた調査等を実施しており、1934 年の Nepal-Bihar 地震で現れた地表地震断層を
特定し、1255 年の巨大地震も同じメカニズムで発生したものであることを明らかにしてい
る。なお、Dr.Sapkota はメカニズム解明のため、追加のトレンチ調査を行う必要性を指摘
している。
B) 活断層型地震
広島大学の中田・熊原らがネパールを対象とした航空写真判読に基づく活断層の調査を
実施していることから、本調査においても協力を仰ぐべきだと考える16。
【本格調査における実施方針】
以上を踏まえ、シナリオ地震の選定においては、MFT 及び活断層型に関する日本・ネパ
ール双方の最新の知見を反映すべく、日本・ネパールの学識合同による検討を行うことが
望ましい(例えば委員会やワーキンググループ等の形で)。
15
吉田勝・ウプレティ「中部ヒマラヤ巨大地震とカトマンズの危機」
、2006 年
熊原康博・中田高「発展途上地域における詳細活断層図の作成とその意義―ネパールを
対象として―」
、2005 年
16
41
なお、今回の調査においては、日本の学識とコンタクトを取っていない。次回調査にお
いては、日本の学識とコンタクトを取ると共に、日本・ネパール合同の検討に向けた調整
を行う必要がある。
② 工学的基盤における地震動の評価
【収集された情報・データ】
〇カトマンズ盆地の地下深部構造断面図
後述する詳細法の実施に必要な地下深部構造モデルの作成のための情報として、事務所
企画調査員から、カトマンズ盆地の地下深部構造の断面図(15 断面)(収集資料リスト
No.47) を収集した。
【本格調査における実施方針】
②工学的基盤における地震動の評価、また③表層地盤の増幅計算においては、大別して
詳細法と簡易法の2種類の手法がある(表 4.3)。
表 4.3 詳細法と簡易法の比較(調査団員が作成)
項目
詳細法
簡易法
基盤地震動(入力)
基盤波形
基盤震度
工学的基盤までの計算
統計的グリーン関数法
距離減衰式
(地下地盤構造モデルが必要)
表層地盤
地表までの計算
層モデル(各層の層厚、S 波速度、 深さ 30m までの平均 S 波速度
土質、密度)
(AVS30)
地震応答解析
AVS30 の関数で与えられる
増幅度
地表地震動(出力)
地表波形
震度
詳細法のメリットは、地震動評価において地下深部構造の影響を考慮できること、結果(地
表面地震動)を波形データとして得られることの2点にある。
一方で、詳細法に必要な地下地盤構造モデルの構築に際しては、強震観測に関する複数
地点の同時観測記録を用いた検証と改良が必要であるが、カトマンズ盆地における強震観
測点は NSC(ネパール地震研究センター)によって1か所、北海道大学によって数か所設置
されているのみであり、精度が担保されない恐れがある。(日本では地震調査研究推進本部
等による長年の研究によって改善・改良が為されてきた)
これらの制約および今回のアセスメントの活用目的等を踏まえ、今後の調査において詳
細法・簡易法の選択を行う必要がある。
42
③ 地盤モデルの構築⇒表層地盤による増幅計算
【収集された情報・データ】
〇微動観測データ
愛媛大の Y.R. Paudyal らを中心としたグループはカトマンズ盆地における地表面の微動
観測調査を実施している。今回の調査においては、DMG の Mr. Sudir Rajaure から論文デ
ータを収集した(収集資料リスト No.49,50)
。なお、微動観測データについては今後同氏を
通じて執筆者に対して提供依頼を行う必要がある。
【今後確認を要する情報】
ボーリングデータについては DUDBC、DMG、事務所企画調査員等が有していることを
確認しているが、具体的な量については把握できておらず、今後確認する必要がある。
【本格調査における実施方針】
卓越周期および Vs 速度構造を同定することで、前回 2002 年調査で用いた地盤モデルの
改良・精緻化を図ることが可能となる。
但し、図 4.3 に示すように微動観測調査は現時点においてカトマンズ盆地の中心部を対象
とした範囲で実施されているため、赤枠で囲んだ範囲について追加調査が必要である。
追加調査エリア
図 4.3 Paudyal らによる微動観測実施状況
43
図 4.4 2002 年調査における地盤モデル
(出所:JICA/The Study on Earthquake Disaster Mitigation Vol.3)
4.1.2 リスク評価
① 建物・人的被害
【収集された情報・データ】
〇2011 年国勢調査データ
人口・建物については 2011 年に行われた国勢調査の情報が重要な基礎情報となる。この
国勢調査には、建物属性情報として構造・階数・築年が、人口属性情報として世帯人数や
それに占める障害者の数を収録している。参考までに、国勢調査の調査票を表 4.4~4.5 に
示す。
なお、国勢調査データは現時点で未収集であるが、本格調査実施時に DUDBC から提供
可能であることを今回の調査において確認している。
〇建物ポリゴンデータ
UNDP が衛星写真をベースとして作成したポリゴンデータを受領済である。
〇建物の被害関数
トリブバン大学の Maskey 教授の研究室において、カトマンズ盆地の実在する住宅をパ
ターン別にモデル化し、
FEM/DEM 解析を通じて被害関数を求める研究が為されており、
今回の調査において論文を収集した(収集資料 No.40,41)。
今後の協力についても前向きな回答をいただいており、本格調査における被害関数の設
定等について有益なアドヴァイスを得ることが期待できる。
44
【今後確認を要する情報】
今後確認を要する情報として、Cadastral Map(土地台帳地図)が挙げられる。Cadastral
Map は土地利用取引等を地図上で記録したものであるが、建物の構造や人口に関する情報
を細かく有しており、複数のヒアリング対象者から Cadastral Map の活用を薦められた。
調査期間中に Cadastral Map の実物を確認することはできなかったが、Cadastral Map
のアップデートは各 District で行い、MoLRM 傘下の DoS(Department of Survey)におい
て管理されているとのことである。DoS へのヒアリングによると、政府組織等からの要請
があれば(有償にて)GIS データ化することも可能とのことなので、有効活用できる可能
性がある。
また、国勢調査における人口情報において、スラム地区に住む住民や、Squatter(不法定
住者)の情報が含まれているかどうかが未確認である。含まれていない場合、推定できる情
報があるかどうかも併せて今後確認する必要がある。
【本格調査における実施方針】
ポリゴンデータと国勢調査の属性情報とを対応付けることで、リスク評価に必要な建
物・人口データが整備される。
但し、国勢調査がどのような位置情報を持っているのかが現時点で未確認である(建物
ごとに番号が振られている、緯度経度情報を持っている等の複数の情報がある)ため、今
後の要確認事項である。
選択肢として、得られた情報をメッシュごとに按分する、もしくはインベントリー調査
を行う、等が考えられる。
なお、NSET は 2002 年 JICA 調査においてインベントリー調査に加わっており、ネパー
ル国内外で同様のインベントリー調査を実施しているため、調査においては有効なリソー
スとなり得る。
また、建物被害を算出する際に用いる被害関数については、具体の建物属性情報に基づ
いて、Maskey 教授と相談しながら設定する必要がある。
45
表 4.4 2011 年ネパール国勢調査の質問票(1/2)
(出所:JICA ネパール提供資料)
46
表 4.5 2011 年ネパール国勢調査の質問票(2/2)
(出所:JICA ネパール事務所提供資料)
47
② 道路・橋梁
【収集された情報・データ】
道路データ、橋梁データ共に、UNDP が作成した GIS データを収集済である。道路デー
タは幅員、路面材料、舗装の有無等の情報を有しており、橋梁データはスパンの他、実地
調査結果(クラックの有無、洗掘の有無、ジョイント部分の状態等の情報を有している。
【今後確認を要する情報】
未確認・未収集であるが、インフラ交通省(Ministry of Physical Infrastructure &
Transport) 傘 下 の 道 路 局 (Department of Road) の 道 路 マ ネ ジ メ ン ト 情 報 シ ス テ ム
(Highway Management Information System)が道路 GIS データ所有しているという情報
があるため、今後確認の必要がある。
また、本調査期間内に DoR の橋梁セクションとコンタクトを取ることができなかったた
め、DoR が有する橋梁諸元情報についても確認する必要がある。
【本格調査における実施方針】
〇道路
道路については、大きく斜面崩壊による道路閉塞、建物倒壊による道路閉塞の 2 種類が
考えられる。
前者については、前回 2002 年調査で採用した評価方法であり、斜面崩壊危険箇所(50 m
を超える高さの斜面)と交差する地点を道路の危険地点として抽出している。今回におい
ても同様の手法が考えられる。
後者については、建物被災率と幅員及び過去の被災事例に基づくリンク閉塞率に基づく
手法が内閣府(2013)によって示されている(図 4.5)17。同様の手法が取り得るが、リンク閉塞
率は阪神・淡路大震災の実績を踏まえて設定されたものであるため、カトマンズ盆地に対
して適用する場合に注意する必要がある。
建物被災率
道路幅員別延長
道路幅員別リンク閉塞率
道路幅員別延長による加重平均
メッシュ別道路リンク閉塞率
図 4.5 内閣府の道路閉塞想定フロー(内閣府資料を基に調査団員が作成)
17
http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/pdf/syuto_wg_butsuri.pdf
48
〇橋梁
前回 2002 年調査では、東京都防災会議(1978)により研究開発された片山の方法を用いて
橋梁の安全性が評価された。すなわち、現地調査によって各因子の点数を決定し、10 カテ
ゴリーの評価点数の積を求めて評価を行う手法である。
最新の内閣府の手法(2013)では、阪神・淡路大震災の実績を踏まえ、震度 6 強以上のエリ
アにおいて道路橋の被害が発生するとし、耐震性、耐震補強の有無及び準拠基準別被害率
に応じて被害を評価している(図 4.6)が、準拠する耐震基準が異なるため、適用には適さな
い。
震度分布
道路橋
震度6強以上エリア内の道路橋
耐震性、耐震補強の有無
準拠基準別被害率
道路橋被害箇所数
(大被害、中・小被害)
図 4.6 内閣府の道路橋被害想定フロー(内閣府資料を基に調査団員が作成)
一方、詳細の情報は不明であるが、トリブバン大学の Maskey 教授によると、カトマン
ズ盆地内の橋梁の耐震性に関して研究した論文があるということである。それらの情報も
参考にし、今後評価方法を検討する必要がある。
最後に、留意点として、別途実施予定のカトマンズ盆地における道路マスタープラン調
査において、道路防災の評価として道路閉塞や橋梁被害を想定する可能性があるため、動
向について確認する必要がある。
③ ライフライン
〇上下水道
【収集された情報・データ】
UNDP、OCHA 提供データに、水道管・下水道管 GIS データが含まれている。UNDP、
49
OCHA は同一のデータで、共に NWSC(Nepal Water Supply Corporation)から収集した
ものである。
上水道は、名前、管種、管径、設置年代等の属性情報を持っているのに対し、下水道は
それらの属性情報を持っていない。
図 4.7 上水道・下水道分布図
(収集 GIS データを基に調査団員が作成 赤色:上水道、水色:下水道)
【今後確認を要する情報】
今回の調査において、KUKL(Kathmandu Upatyaka Khanepani Limited)の中で、維
持管理データを管理する PID(Project Implementation Directorate)にコンタクトするこ
とができなかったため、今後、上記収集データの精度について確認する必要がある。
また、聞き取り調査においては、現時点でのリスクアセスメントだけでなく、現在実施
中の給水プロジェクト(メラムチプロジェクト)完成時のリスクアセスメント予測を行っ
てほしいというニーズがあった。よって、メラムチプロジェクトを管轄する PID に対し、
プロジェクト完成時のデータの有無についても今後確認する必要がある。
50
【本格調査における実施方針】
2002 年前回調査では、久保・片山(1975)および米国カリフォルニア向けに編集された
ATC-13(Applied Technology Council Vol.13)によって提案されている水道管の被害関数を
もとに、現地視察によりネパールの施工の品質が日本よりも低いという知見から、地表面
最大加速度と水道管の被害関数を設定している。
最新の日本国内の想定手法では、図 4.8 に示すように、過去の被害地震の実績(1995 年
兵庫県南部地震、2004 年新潟県中越地震、2007 年能登半島地震、2007 年新潟県中越沖地
震)に基づいて設定された管種・管径別の被害率を基に、地震動・液状化・地形・管種・
管径等に基づく補正を行って被害を算出している。
地震動分布
(地表速度)
地表速度に関する
標準被害率R(v)
液状化分布
(PL値)
液状化に関する
補正係数Cl
地形分布
地形に関する
補正係数Cg
管種・管径
管種・管径別の
補正係数Cp・Cd
給水人口
管種・管径別
被害率R
配水管
管種・管径別
延長
配水管
被害箇所数Dn
応急復旧日数
配水管
被害率x
断水率y
断水人口
図 4.8 内閣府の上水道被害想定フロー(内閣府資料を基に調査団員が作成)
前回調査と同様、日本の手法を基に、ネパールの施工の品質が日本よりも低いことから
新たな被害関数を設定する等が考えられるが、詳細については今後検討する必要がある。
〇電力
【収集された情報・データ】
OCHA の提供データにおいて、11kV 以上の高電圧線の GIS データを収集済である。
【今後確認を要する情報】
今回の調査において、ネパール電気公社(Nepal Electric Authority)の高圧部(11kv 以
上)を管理する部署にはコンタクトしたものの、低圧部(11kv 以下)を管理する部署
51
(Kathmandu Regional Division)にはコンタクトできなかった。今後、当該部署から低
圧部の電圧線のデータを収集すべく、調査を行う必要がある。
【本格調査における実施方針】
2002 年前回調査では、埼玉県、カリフォルニアの被害関数を参照しつつ、1988 年ウダヤ
プール地震の被害を基に被害関数を設定している。以降、新たな被害情報は得られていな
いため、基本的には前回と同様の被害関数を用いることが想定される。
〇通信
【収集された情報・データ】
OCHA の提供データにおいて、電話線の GIS データを収集済であるが、今回の調査の
Nepal Telecom への聞き取りにおいて、JICA からの要請があれば GIS によるデータ提供が
可能という回答を得ている。
【本格調査における実施方針】
カトマンズ盆地のほとんど全ての電話幹線は地下に埋設されている。前回 2002 年調査で
は、1995 年の阪神大震災において同一震度の地域において地下埋設ケーブルの被害は、架
空ケーブルのほぼ半分であったことから、電話線に対する被害関数は、送電線の被害関数
の半分としている。以降、新たな被害情報は得られていないため、基本的には前回と同様
の被害関数を用いることが想定される。
④ その他
〇避難者
建物を失った人口として避難者数を算出する。避難者の分布はオープンスペースの配置
の見直しや新規追加の検討材料として活用が可能である。なお、オープンスペースの場所
はインターネット上で公開されている18。
〇医療機能
病床過不足数として算出する。最新の内閣府の手法では、病床数に対して医療機関の建
物被害率、ライフラインの機能低下による医療低下率を
ここで、ライフラインの機能低下による医療低下率は、阪神・淡路大震災の事例データ
を基に、断水あるいは停電した場合において震度 6 強以上地域では医療機能の 60%が、そ
れ以外の地域では 30%がダウンするとしている。
カトマンズ盆地において同様の評価を行う場合、ライフラインの機能低下による医療低
18
https://sites.google.com/site/kathmanduopenspaces/
52
下率をそのまま使うことはできないが、何らかの数値を設定することで、ライフラインの
影響を考慮することが可能となる。それによって、給水タンクや自家発電設備の有無によ
る影響を定量的に評価することができる。
病床数
①空床率
重傷者数
医療機関に
おける死者数
②医療機関
建物被害率
要転院患者数
③ライフライン機
能低下による医療
機能低下率
入院需要
受け入れ可能病床数
病床過不足数
図 4.9 内閣府の病床過不足想定フロー(内閣府資料を基に調査団員が作成)
また、入院需要に対して平均的な必要医療従事者数を設定し、乗じることで、必要な医
療従事者数が推定することが可能である。
〇廃棄物
建物被害棟数に対して、1棟あたりの平均的な災害廃棄物発生量(構造・階層別)を設
定し、乗じることで、災害廃棄物量の概数を推定することができる。
〇災害弱者
国勢調査のデータに災害弱者(表 4.5 参照)が含まれているため、それに基づき、避難者に
含まれる災害弱者の数等について算出することを提案する。但し、個人が特定されないよ
う十分に配慮する必要がある。
〇外国人/観光客
今回の調査で確認はできなかったが、観光省(Ministry of Tourism)において外国人や観光
客に関するデータを有しているという情報がある。情報の精度にもよるが、それらのデー
タに基づき、外国人や観光客の人的被害について評価することが可能である。
53
〇経済被害
直接経済被害額として、住宅やライフラインの復旧にかかる費用を算出する。計算は基
本的に(被害数量)×(原単位)によって計算し、例えば住宅1軒あたりの平均建設コス
トを設定し、全壊棟数に乗じることで被害額を算出する。
4.1.3 収集データについて
今回の現地調査期間内において、以下の3種類のデータを収集した。
① UNDP 提供データ
3.1.2 節で前述した、UNDP が実施した「Comprehensive Study of Urban Growth Trend
and Forecasting of Land Use in the Kathmandu Valley」において作成した GIS データ並
びにテクニカルレポートを収集した。
② OCHA 提供データ
ネパール現地の OCHA Data Center は現地での人道支援実施のために、各種 GIS データ
を収集している。このうち、リスクアセスメントに関係する部分について提供を受けた。
③ KVDA 提供データ
KVDA の前身である「Kathmandu Valley Town Committee(KVTC)」が UN-Habitat の
支援によって 2008 年に実施した「Digital Land Use Map of Municipalities of Kathmandu
Valley」のデータを収集した。
データの内容及びリスクアセスメントにおける活用可能性については、別途 DVD 収録の
GIS データリストにおいてまとめている。また、GIS データごとに xml ファイルが作成さ
れており、データ作成年・概要等が確認できる。但し、GIS データの個々のフィールド(属
性)が表す内容については未確認である(フィールド名称から類推できるものもある)。
なお、UNDP によると、フィールドの内容をまとめたカタログを作成中ということだっ
たが、最終的に今回の調査期間内において提供されなかった。次回調査時において再度問
い合わせ、提供を要請する必要がある。
4.2 想定されるリスク評価結果のユーザー
実施されるリスク評価において想定されるユーザーは①中央省庁、②地方行政、③国際
ドナーの3つに大別される。
54
中央省庁
中央省庁はリスク評価結果を用いた防災関連の政策、フレームワークの策定や、開発指
針、法令の策定、ガイドラインの作成への活用が考えられる。このうち、MoHA、MoUD、
MoFALD が本事業のカウンターパートとなり得る省庁であるが、防災に関連する組織が幅
広い分野にまたがっているため、現時点で具体的なユーザーを特定するには至って無い。
一方、2009 年から国会審議で検討をされている災害管理法において国内の防災セクターを
統括する NDMS の設置が提案されており、同法が承認された後には NDMS が中心的なユ
ーザーとなる事が予想される。ただし、このような体制が整備されるまでには、まだ時間
が必要であり(承認は来年になる見込み/MoHA 次局長談)
、また、新法の成立と共に防災
セクターの体制が変わる可能性も考えられるため、新法に関する今後のネパール政府の動
きを把握しておく必要がある。
地方行政
地方行政においては、現時点ですべての郡において防災計画が作成されており、各市、
村においては、地域防災リスク管理計画が実施されている。これらの活動は、中央省庁が
作成したガイドラインに従い、NGO などの支援の基に実施されているが、こうした活動に
加えて、コミュニティ防災活動に活用する基礎情報としてのリスク評価結果の活用も期待
される。ただし、地方行政では、リスク評価結果を有効活用するための技術的な背景や人
員的なキャパシティが不足しているため、NSET や NRCS などの NGO やドナーの支援を
得て活用されることが、現状に即した活用方法であると考えられる。また、リスク評価結
果の活用を目的とした、パイロットプロジェクトの実施も、リスク評価結果の活用のため
に有効なプログラムとなると考えられる。
国際ドナー
ネパール国内でプログラムを実施する国際機関や NGO も、リスク評価結果のメインユー
ザーとして挙げられる。特に 2016 年からの実施を予定している NRRC のフェーズ2のプ
ログラムにおいては、その活動の根拠となる情報となる事が期待されている。
以上の通り、今回の調査においては、具体的なユーザーと明確な根拠に基づく利活用方
法の特定をすることが出来なかったため、次回の調査においては、スコープの特定と共に、
これらの点を再確認する必要がある。
4.3
5項目評価案
評価結果総括
今回の調査はコンタクトミッションとしての位置づけであり、プロジェクトの詳細を決
定するには至っていない。妥当性の評価における必要性の観点では、ネパールの国家計画
55
を策定する NPC をはじめ、防災関連の中心的な省庁である MoHA、MoUD、MoFALD の
各省庁、ならびに NRRC からのニーズが高く、プロジェクトの必要性が確認された。また、
ネパールの開発計画における課題に対する整合性と、日本の技術の優位性についても、十
分に認められている。
一方で、有効性、効率性、インパクト、持続性については、現在の想定から結論を導く
ことが困難であるが、現状の予測、見込みに基づいて評価を行った。それぞれの項目で、
課題も見られるものの、総じてネガティブな評価は認められない。ただし、これらの項目
については次回調査団派遣時に、詳細スコープを決めた後に、再度評価を行う必要がある。
評価 5 項目による事前調査の結果は以下の通り。
妥当性
本プロジェクトの妥当性は、以下の点より比較的高い。
① ネパールの国家開発課題・政策との整合性
ネパールの首都カトマンズ市ならびに、周辺都市から形成されるカトマンズ盆地は、約
70 年周期で大地震が発生すると予測されている。1934 年のビハール地震以来、カトマン
ズ市を直撃した大地震は発生していないが、2000 年以降急激に都市化が進んでおり、ひと
たび発生すれば未曾有の大惨事になることが想定されている。また、2011 年 9 月には、マ
グニチュード 6.9 のシッキム地震が発生し 7 名の死者、
136 名の負傷者が発生したことで、
防災体制強化の必要性が改めて認識されることとなった。ネパール政府は、2013 年から
2016 年までの第 13 次期開発計画の中で防災の主流化を掲げており、開発プロセスの中に
防災を含めることを国家の指針としている。科学的根拠に基づいたリスク評価結果を提供
する本プロジェクトは、ネパール政府による防災政策の策定に貢献するものであり、ネパ
ール側の政策・方針とも合致している。
ただし、現在のカトマンズ盆地、ならびに政府の方針として、社会インフラの整備が最
優先事項となっており、必ずしも本プロジェクトの成果が具体的な政策に結びつき、予算
化されるとは断言できない。そのため、次回調査以降、政府の方針を確認し、防災の主流
化をプロジェクトの中で対応するための取り組みが必要である。
② 日本の開発援助政策・戦略との整合性
我が国の対ネパール国別援助方針においては、3つの重点分野のうち、「持続可能で均衡
のとれた経済成長のための社会基盤・制度整備」の中で、「自然環境・防災に配慮した持続
可能な開発」が示されており、防災対策支援は対ネパール国別援助政策の一部に含まれて
いる。我が国は、これまでの災害の経験や教訓により培った防災に関する知識や技術を活
用し、世界の災害被害の軽減に向けた国際防災協力を積極的に進めてきている。2012 年 7
月の「世界防災閣僚会議 in 東北」では防災の主流化を具現化するとともに、防災に関する
優れた技術・ノウハウの活用を目指すことが表明されており、世界的に地震災害に最も脆
弱な都市であるカトマンズにおいて、日本の先進的な技術と経験を活用したリスク評価を
56
実施する事は、我が国の開発援助政策・戦略と一致している。
③ネパール側ニーズとの整合性
ネパールの開発政策の中で防災の優先度が高まっていることに加え、地方行政における
防災意識も向上してきている。本プロジェクトのユーザーとして想定される、中央政府、
地方行政、国際ドナーの各レベルでの計画策定や予算配分の根拠となる情報として、リス
ク評価のニーズは非常に高い。現状では、各アクターがその計画、活動の根拠としている
のは各活動の目的に特化した部分的なリスク評価結果や、過去の古いリスク評価結果を加
工した2次データが主である。国家の防災計画のベースとなり得る、科学的根拠に基づい
た確度の高いリスク評価データの提供は、ネパール側のニーズとも合致している。
有効性
本プロジェクトの有効性は、プロジェクト目標が設定されていない現時点で評価するこ
とは出来ない。次回調査時に適切なプロジェクト目標を設定し、有効性の確認を行う必要
がある。
効率性
① 既存データの活用
実施方法、体制が明確になっていないため、現時点でプロジェクトの効率性を判断する
ことはできない。しかしながら、UNDP が実施したカトマンズ盆地内のリスク評価結果や、
各省庁の保有する既存のデータを活用する事で、効率的なリスク評価の実施が可能になる
と考えられる。とくに、UNDP の調査においては、広範囲にわたるデータが整理されてお
り、これらを活用することでデータ収集に係る作業が軽減され、その分より詳細なシミュ
レーションや、数値化、視覚化に注力する事が出来るようになる。ただし、UNDP のリス
ク評価に関しては、調査結果に対するネパール内での議論の結果を待つ必要があり、仮に
UNDP の実施した手法や、評価結果が必要十分であると判断された場合には、JICA が改め
てリスク評価を行う妥当性が認められなくなる。この点については、次回調査時にネパー
ル国内の議論の趨勢を十分に確認し、プロジェクトのスコープ決定に反映させる必要があ
る。
② 省庁間の連携、ならびに情報共有
今回の調査において、MoHA、MoUD、MoFALD の 3 つの省庁を合同のカウンターパートとし
て想定したが、プロジェクト開始期から、各カウンターパートが適切な連携を取り、プロジェクトの意
義と内容の理解を高める必要がある。適切な連携による、省庁間の情報共有が行われれば、リスク
評価実施においても、効率性が高まると考えられる。
57
インパクト
前述のとおり、カトマンズ盆地は地震災害に対して非常に脆弱であり、一度大地震が発生すれ
ば、その被害は甚大なものになると予測される。第 13 次期間計画の中では、防災の主流化が掲げ
られており、第 14 次期間計画の中ではさらに防災を主軸とするための取り組みもなされている。こ
のような国家計画の策定において、適切なタイミングで、適切なリスク評価を実施する事が出来れ
ば、ネパールの防災計画に直接貢献する事が可能となり、長期的な視点から見た本プロジェクトの
潜在的なインパクトは大きくなる。リスク評価に基づいた実行計画の策定、政策の立案・予算配分
が実現されることで、効率的な防災対策の実施や、防災体制の構築が行われることが期待される。
ただし、長期的、短期的な観点からも、適切なタイミングでプロジェクトを実施する事が特に重要で
ある。2015 年に制定される見込みの防災管理法や、2016 年以降の第 14 次期間計画の策定、
2016 年から実施される NRRC の第二フェーズなど、それぞれのスケジュールに適切なタイミング
でアプローチをすることで、プロジェクトのインパクトは大きく変わってくる。
また、2002 年に実施された開発調査では、調査の過程の殆どを日本側が行い、カウンター
パートの積極的な巻き込みや、オーナーシップの醸成を促す仕組みが欠如していたことが
課題として挙げられていた。前回調査時と比べると、現在はネパール側の防災意識が高ま
っており、組織面、制度面で防災体制の整備が進んでおり、国際ドナーや、NGO の活動も
含めて、各レベルにおける防災関連の取り組みも増えていることから、調査結果の利活用
のための地盤はあると考えられる。リスク評価の実施過程で積極的なカウンターパートと
の調整を通じてオーナーシップを向上させ、一方で計画段階から MoF、NPC といった政策
決定者の巻き込み行い、JCC を設置するなど、現地側にイニシアチブを取らせる工夫を組
み込むことにより、上述のインパクトの可能性はより高まると考えられる。
持続性
ネパールの防災管理法が成立に向けて進んでおり、その内容が明確でない現時点では、持続
性の評価を行う事は非常に困難である。防災管理法が成立した時点で、ネパールの防災体制が
変わる可能性も高いため、その際にもネパールにおける本プロジェクトの位置づけが変わらない仕
組み作りが必要である。
今回の調査においては、リスク評価を実施する過程で、ネパール側の人材の活用や、リスク評価
技術の移転、アップデートを行うための仕組みに関する要望が各所で聞かれた。現在は、2002 年
に実施したリスク評価結果が最大限に活用されているとは言い難いが、その理由は、リスク評価の
過程における現地側の巻き込みの不足と、アップデートが出来ない評価結果であることが考えられ
る。次回の詳細計画策定調査時には、これらの教訓を考慮し、持続性を向上させるための体制の
構築が求められる。
58
第5章
協力実施上の留意点
5.1 KVDA/UNDP によるリスクアセスメント
3.1.2節において述べたように UNDP が KVDA をカウンターパートとして、カト
マンズ盆地を対象としたハザード評価(震度分布評価、液状化分布評価)を実施している。
このハザード評価は土地利用規制を目的としたものであり、地表面の震度分布等も精度と
しては粗く、マイクロゾーネーションに適するものではない。それについては KVDA のト
ップ並びに UNDP も理解しており、地域における詳細な土地利用規制等を実施するために
は、より詳細なアセスメントが必要であることを認識している。
なお、2014 年 4 月 28 日に KVDA の創設3周年を記念して行われた「KVDA Day」の中
のプレゼンテーションでは、今後、さらに詳細なアセスメントとともに、建物被害・人的
被害・経済被害を対象としたリスク評価を実施する予定であるという発言が為されている。
KVDA でそのようなリスク評価が行われる場合、JICA のアセスメントと多くの部分が重
複する恐れがあり、今後の KVDA の動きに注視する必要がある。
5.2 NRRC による活動レビュー
NRRC は、2014 年 7 月から 9 月にかけて、既存の地震リスク評価に関する調査結果や文
献、情報の検証を行い、ギャップの特定と今後の計画を整理する予定である。この棚卸調
査においては、ネパールにおけるこれまでの防災関連の支援の成果や、今後の支援方針に
関する提言がなされることになっているため、その提言内容は JICA のリスク評価の詳細を
決定する際に、十分に精査し、議論を行う必要がある。
また、NRRC からは、調査のプロセスにおける JICA の関与が期待されており、今後ど
のようなインプットを行うかについても検討をする。NRRC のレ調査が、どの様な体制で
行われるかについては現段階で確認できていないが、ネパール政府関係者を巻き込んだ実
施体制になるのであれば、JICA の事業実施においても活用し得る、有意義な結果が期待で
きる。そのため、今後も引き続き NRRC の調査に関する情報を適時に把握できるよう、
NRRC との連携を継続していく事が重要となる。
5.3
ネパール側のカウンターパートの位置付け
本計画の要請元は都市開発省(MoUD / Ministry of Urban Development)であるが、防
災対策実施には多くの関係機関が関与する体制が必要となるため、MoUD が単独でカウン
ターパート機関となる事は考え難い。とくに、リスク評価実施後の利活用を考慮すると、
関係機関の調整ができるカウンターパートの存在は考慮するべきである。現在、ネパール
において防災関連で中心的な役割を果たしている省庁は MoHA であり、MoUD ならびに
MoFALD もそれぞれの所掌業務の範囲において、本調査に巻き込むべき存在であると考え
59
られる。MoUD はネパールの地震災害においてとくに課題とされている建物被害を管轄す
る省庁であり、MoFALD はユーザーの一つとして想定される、地方行政について、最下層
の VDC までラインを持っている。これらの省庁を合同のカウンターパートとすることが、
現状で最適な体制であると考えられる。ただし、それぞれの省庁がリスク評価の実施に積
極的に関与し、かつ各省庁がお互いに適切な連携を取れるようインプットを行う工夫が必
要である。また、2012 年に新設された KVDA は、カトマンズ盆地に特化して土地利用計画
や、法令の制定を所掌業務としており、郡、市レベルの地方行政との連携もあることから、
カウンターパートの一つとして検討する余地がある。
一方、2012 年、2013 年の情報収集・確認調査において繰り返し指摘されているように、
相手国政府の技術的、知識的、人材的なキャパシティは決して十分とは言えない。そのた
め、次回調査において具体的なリスク評価項目を検討していく中で、ネパール政府のキャ
パシティが不十分であると判断された場合に、ネパール政府の高官が評議会のメンバーを
務める NRRC をカウンターパートとして検討する事も考えられる。なお、NRRC は 2014
年~2015 年にかけて既存の情報の整理を行い、その結果に基づいた提言を行う計画がある
ことから、JICA の調査においても、NRRC との連携・調整を念頭に置きながら進めて行く
必要がある。
5.4 適切な Authority を得るための取組
日本でもそうであるが、リスクアセスメントの結果は、将来における対象地域のあらゆ
る計画の基礎情報となりうるものであるため、その内容、手法、精度、活用法等について
は幅広いステークホルダーによる議論と合意が不可欠である。
その議論の過程は、リスクアセスメントの結果の信頼性を高めるだけでなく、結果に対
する社会的合意が得られ、オーソリティが付与されることを意味する。
しかし、これまでの調査で把握した限りでは、カトマンズ盆地においてこのような議論・
合意プロセスに基づいて作成されたアセスメント調査はない。
よって、適切な議論・合意プロセスに基づいて進めることで、他の類似アセスメント調
査との差別化が図られると共に、本調査の結果が将来のカトマンズ盆地におけるベースマ
ップとして活用されることが期待される。
オーソリティを得るための手段として、1つは検討委員会の設置が挙げられる。議論さ
れるべき項目の例を以下に挙げる。
① 最新の知見に基づくシナリオ地震の選定
② 活用目的に応じたリスクアセスメント項目および手法の選定
③ リスクアセスメント結果に関する妥当性・精度の検証
④ リスクアセスメント結果の具体的な活用方策
60
委員会の参加メンバーについては、日本の自治体においてリスクアセスメントを実施し、
委員会を組む場合、通常、対象地域における地震学分野の権威を委員長として招くととも
に、数名の学識、各省庁の代表者、ライフライン事業者等によって構成される。
ネパールの状況は日本とは異なるため、誰を(またはどこを)委員長とするか、誰を委員会
のメンバーとするかは検討する必要があるが、主に以下のステークホルダーが参画する必
要があると考えらえる。
また、すべてのメンバーが毎回の会議に参加する必要はないため、必要に応じて「ハザ
ード評価ワーキンググループ」「リスク評価ワーキンググループ」「結果活用ワーキンググ
ループ」等のワーキンググループを組織することが望ましい。以下に参加者の例を示す。
・各省庁の代表者
・KVDA(Kathmandu Valley Development Authority)の代表者
・National Seismological Center、トリプバン大学等の学識
・ネパールで研究を行う日本の学識
・NSET
・ライフライン事業者
・ドナー代表(NRRC=Nepal Risk Reduction Consortium)
5.5 ネパールのリソースの活用
2002 年以降ネパールの技術力は年々高まっており、地震観測や地質調査、盆地内の伝統
建物の被害メカニズムに関する研究、カトマンズ盆地における地すべりの研究等、多くの
知識が蓄積されている。また、前述の通り、NSET が District/Municipality とともに建
物のインベントリー調査を行うなど、キャパシティは確実に高まっている。
アセスメントの実施体制においてネパールのリソースをできるだけ活用すべきである。
5.6 アップデート体制の構築
現在進行形で人口や建物が急増し、郊外への開発も進められている中で、数年後にはま
ったくちがうリスク状況になっている恐れがあるため、ネパール国内のアップデート体制
を構築することが必要である。
リスクアセスメントのうち、ハザード評価については専門家を中心とした討議が必要で
あるため頻繁にアップデートすることは難しいが、人的被害・建物被害等のリスク評価に
ついては、エクセル上でグリッド毎の人口や建物棟数を修正することで、比較的簡易にア
ップデートすることが可能である。
あとは、誰がどのようなタイミングで、何のデータを基にアップデートを行うのか、そ
の体制の構築に向けた取り組みが必要である。
61
5.7 各種防災計画への反映に向けた支援
「各種防災計画へのリスク情報の反映」は新たなアセスメントが目指すべきもう重要な
成果である。
リスク情報に基づいて防災計画を作成することで、より地域の特性に応じた適切な計画
が策定されることが期待できる。しかし、現状、ネパール国内において存在する防災計画
はリスク情報を基に作成されていない。
そのため、リスクアセスメント結果を、中央から地方の各レベルの防災計画に反映し、
それに基づいた計画が定められるよう、必要な支援を行っていくことが求められる。
5.8 リスクアセスメントに基づくアクションプランの策定
リスクアセスメントそのものはゴールではなく、リスク評価結果をどのように実際の防
災・減災対策につなげ、減災マネジメントサイクルへと昇華させるかが重要である。
防災行政のプロセス
①リスク
アセスメント
②計画作成
地震によって
・どこで、
・どのような被害が
・どの程度起こるか
を計算
③対策実施
発災前の事前対策、
発災後の応急対策
について、対策の
内容と量を検討。
対策の実施
④評価
(進捗・効果)
対策の進捗・効
果を評価し、必
要に応じて計画
を修正。
図 5.1 防災行政のプロセス(調査団員が作成)
図 5.1 は理想的な防災行政のプロセスを表したものである。すなわち、①リスクアセスメ
ントの結果を基に、②計画作成及び③対策実施し、④評価(進捗・効果)を定期的に実施し、
②計画の修正を行うというものである。しかし、防災において多くはこの通り行われない。
その原因として以下の3つが挙げられる。
・ 自治体の全体予算における優先順位が低く、毎年の予算に左右される
・ 防災対策事業の outcome(事業効果)は目に見えにくく、評価し難い
・ 防災対策が各部局でバラバラに行われている。
1つ目は、いつ発生するかわからない地震に対する防災対策事業は、その不確実性から、
自治体の全体予算において必然的に優先順位が低くなってしまい、その結果、その予算は
毎年の全体予算の大小に左右されてしまう点にある。このような状況では、防災対策事業
の継続的・効果的な実施は難しい。
62
また、2つ目として、適切な被害軽減効果の評価と進捗状況の把握に基づく計画修正が
為されず、適切なマネジメントの下で防災対策事業が実施されていない点も課題として挙
げられる。
3つ目として、防災は非常に多くのステークホルダーが関わる中で、防災対策がバラバ
ラに行われており、包括的なマネジメントが為されていないことが多い。
これらの課題の根底には、そもそも防災対策事業の outcome(事業効果)が目に見えにくく、
評価し難いということが原因としてある。ネパール政府においても、限られた予算の中で
防災対策事業の事業効果と評価基準が明確に説明されない限り、全体予算における優先順
位を高め、継続的に予算を確保して事業を実施していくこと、そして適切な評価を基にし
たマネジメントを行うことは難しい。
このような状況の中で近年日本においても策定されはじめている、
「地震防災戦略(アクシ
ョンプラン)」が効果的だと考えられる。
「地震防災戦略(アクションプラン)」とは、ある一定期間(例えば 10 年間)の減災目標(死
者を半減、経済被害額を半減等)を定め、それを実現させるための対策・事業を体系的に取
りまとめると共に、減災目標達成のために必要な対策の「数値目標」を設定し(10 年後に耐
震化率を○%にする等)、具体的な減災効果を明示するものである(図 5.2)。
防災行政のプロセス
①リスク
アセスメント
地震によって
・どこで、
・どのような被害が
・どの程度起こるか
を計算
②計画作成
③対策実施
発災前の事前対策、
発災後の応急対策
について、対策の
内容と量を検討。
対策の実施
④評価
(進捗・効果)
対策の進捗・効
果を評価し、必
要に応じて計画
を修正。
地震防災戦略(アクションプラン)
1.減災のための対策・事業を立案し、体系的に整理
2.事業実施による効果を評価(死者、建物被害棟数の減少等)
3.一定期間(例えば10年間)の被害軽減の目標(=減災目標)を設定
4.実施状況を踏まえて、数年毎に計画の見直しを実施
図 5.2 防災行政のプロセスと地震防災戦略(調査団員が作成)
63
この地震防災戦略によって、継続的な事業効果・事業評価基準を明示することで、地震
被害想定に基づいて検討・立案された各種防災対策事業の妥当性が説明されると共に、数
年毎に計画を見直すことで、先の図における「評価→計画修正」というサイクルを担保す
る、マネジメントツールとしての重要な役割を果たすことが期待される。
ドナー側にとっては本アクションプランにおける数値目標および減災効果は、新たな投
資に対する根拠及びきっかけとなりうるものである。
64
別添資料-1 収集資料リスト
資料名(英)
資料名(和)
発行年
言語
資料の種類
入手先・出典
2011 英語
電子データ
NRRC
2 NRRC Flagship 1 Hospitals copy
NRRC フラッグシップ1(学校)
概要簡易版
NRRC フラッグシップ1(病院)
概要簡易版
2011 英語
電子データ
NRRC
3 NRRC Flagship 2
NRRC フラッグシップ2概要簡易版
2011 英語
電子データ
NRRC
4 NRRC Flagship 3
NRRC フラッグシップ3概要簡易版
2011 英語
電子データ
NRRC
5 NRRC Flagship 4
NRRC フラッグシップ4概要簡易版
2011 英語
電子データ
NRRC
6 NRRC Flagship 5
NRRC フラッグシップ5概要簡易版
2011 英語
電子データ
NRRC
7 NRRC One Paper
NRRC概要簡易版
2011 英語
電子データ
NRRC
8 NRRC Flagship Programmes
NRRC概要詳細版
2013 英語
電子データ
NRRC
9 Terms of Reference Risk assessment
NRRCリスク評価 TOR
2013 英語
電子データ
NRRC
10 Review of the NRRC Final Report
NRRC 中間評価報告書
2013 英語
電子データ
NRRC
11 Cluster Contact
緊急対応クラスター別
コンタクトリスト
2013 英語
電子データ
UN ネパール事務所
12 Local Self Governance Act
地方自治体法
1999 英語
電子データ
FAO データベース
13 Act
カトマンズ盆地開発局法
1988 英語
電子データ
FAO データベース
14 Natural Calamity Act
国家災害救済法
1982 英語
電子データ
FAO データベース
災害リスク管理国家戦略
2009 英語
電子データ
内務省(MoHA)
16 Report
ネパールハザード評価 最終報告書
(世界銀行)
2011 英語
電子データ
世界銀行
17 An Approach Paper to the Thirteenth Plan
第13次 国会計画 アプローチペーパー
2013 英語
電子データ
国家計画委員会
(NPC)
会計年度2013/2014歳出概算書
2013 英語
電子データ
財務省(MoF)
19 (English)
国家災害対応枠組み
2013 英語
電子データ
内務省(MoHA)
20 List of Act
法律リスト
英語
電子データ
ネパール法律委員会
(NLC)
21 Nepal Disaster Report 2011
ネパール災害報告書2011
2011 英語
電子データ
内務省(MoHA)
22 Nepal Disaster Report 2013
ネパール災害報告書2013
2013 英語
電子データ
内務省(MoHA)
23 Response Planning
防災計画ガイドライン
2011 英語
電子データ
内務省(MoHA)
24 E-building Permits System
オンライン建設許可システムについ
て
2013 英語
電子データ
UNDP
25 Safer Society NSET Report
NSET 活動報告書
2013 英語
電子データ
NSET
市の災害と防災活動
2014 英語
電子データ
ラリトプール市
27 Census 2011) to CBS
2011年国勢調査生データ提供依頼書
2013 英語
電子データ
杉村企画専門調査員
28 Seismic microzonation of KV
カトマンズ盆地における地震マイクロゾー
ネーション
2012 英語
電子データ
Mr.Sudhir Rajaure
29 Basement topography of the KV
カトマンズ盆地の基本地形
2013 英語
電子データ
Mr.Sudhir Rajaure
30 Ichangu L P II Presentation
Ichangu地区プレゼンテーション資料
英語
電子データ
KVDA
Dr.Sapkota
1 NRRC Flagship 1 Schools online
Kathmandu Valley Development Authority
National Strategy for Disaster Risk
15 Management
Nepal Hazard Risk Assessment Final
Estimates of Expenditure for Fiscal Year
18 2013/2014
National Disaster Response Framework
Guidance Note Disaster Preparedness and
Municipal Hazard and Preparedness
26 Activities
Request Letter of Raw Data (National P&H
不明
不明
2010-10-19-Presentation-Nepal-
ネパール地震センタープレゼンテーショ
ン資料
2010 英語
電子データ
Local Disaster Risk Management Planning
地域防災リスク管理計画ガイドライ
ン
2011 英語
連邦地方開発省
印刷物
/電子データ (MoFALD)
33 School in Nepal(DPSS)
2010 英語
ネパール赤十字社/
印刷物
/電子データ バクタプール
34
2011 英語
ネパール赤十字社/
印刷物
/電子データ バクタプール
2014 英語
印刷物
KVDA
/電子データ
2012 英語
電子データ
31 Sesmological-Center
32 Guideline
35
36
Pamphlet of Disaster Preparedness for Safer 安全な学校づくりのための防災活動 パ
ンフレット
Pamphlet of Disaster Preparedness for Safer 安全な学校づくりのための防災活動 パ
ンフレット
School in Nepal 2 (DPSS2)
Kathmandu Valley Development Authority - カトマンズ盆地開発局-3周年を記念し
て
3rd Anniversary
(地下水および地下深部構造断面図収
To JICA SoW Mission
録データ)
1-1
杉村企画専門調査員
別添資料-1 収集資料リスト
資料名(英)
Digital Land Use Map of Municipalities of
資料名(和)
37 Kathmandu Valley
カトマンズ盆地のMunicipalityにおける電
子土地利用地図
38 UNOCHA_GISData
UNOCHA提供GISデータ
39 UNDP_CDRMP_Data
UNDP_包括的リスクマネジメントプラン
データ
40
41
42
UNDP Comprehensive study of Urban
Growth Trend and Forecasting of Land use
in the Kathmandu Valley Final Report
(Draft ) ①~⑤
Lalitpur Disaster Preparedness and
Response Plan
Bhaktapur Disaster Preparedness and
Response Plan
43 Kathmandu Valley's Earthquake Scenario
User's Manual on Operation of Electric-
44 Building Permit System
45
Concept Note for Dissemination workshop
on study findings of Urban Growth
Trend,Multi-Hazard Risk and Future
Growth of Kathmandu Valley
46 Sixth Anniversary Report
Seismic Vulnerability Assessment of
47 Unreinforced Brick Masonry Buildings of
48
49
Nepal
Disaster Risk Management for the Historic
City of Patan,Nepal
Final Report of the Kathmandu Research
Project
DEM-Based Analysis of EarthquakeInduced Shallow Landslide Susceptibility
Earthquake-Induced Landslides in the
言語
資料の種類
入手先・出典
2008 英語
電子データ
KVDA(発行元は
KVTDC)
-
英語
電子データ
OCHA
-
英語
電子データ
UNDP・KVDA
UNDP プロジェクトの 最終報告書
本文 (ドラフト)①~⑤
2013 英語
印刷物
UNDP
ラリトプール郡防災計画
2012
ネパール語
印刷物
ラリトプール郡
バクタプール郡防災計画
2012
ネパール語
印刷物
バクタプール郡
カトマンズ盆地の地震災害シナリオ
2007 英語
印刷物
NSET
建築許可申請システムマニュアル
2013 英語
印刷物
UNDP
カトマンズ盆地の開発トレンド、マルチハ
ザードリスク、将来の発展に関するワーク
ショップの概念
2014 英語
印刷物
KVDA
6周年報告書
2013 英語
印刷物
KUKL
ネパールの無補強レンガ建造物の脆弱
性評価
2012 英語
印刷物
Mr.Prem Nath
Maskey
ネパール・パタンの旧市街における災害
リスクマネジメント 最終報告書
2012 英語
印刷物
Mr.Prem Nath
Maskey
DEMに基づく地震地すべりの発生危険
度分析
2008 英語
印刷物
Mr. Ranjan Kumar
Dahal
2013 英語
印刷物
Mr. Ranjan Kumar
Dahal
2011年9月18日の地震によって発生し
50 Roadside Slopes of East Nepal After Recent た、道路に面する急斜面での地すべりに
September 18,2011 Earthquake(Draft )
発行年
ついて(ドラフト)
1-2
別添-2 面談記録
1
1. 日時
2014 年 4 月 9 日 13:00~14:30
2. 場所
DUDBC Office
3. 面談先
DUDBC
Mr. Shira Hari Sharma (Deputy director Building Division)
Mr. Prakirna Tuladhar
( Senior Divisional Engineer, Building code section)
Mr. Ganesh Karmacharya (Engineer, Building code section)
Mr. Tulsi Ram Kharbuja (Architect, DRM section)
Mr. Pramod Krishna Karmacharya(Engineer, GIS Expert)
Mr. Chandra Kaji Gurung (Engineer, Reconstruction Unit)
4. 出席者
杉村淑人(JICA 企画調査員)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<被害想定の活用状況/新たな被害想定に期待すること>

土地利用規制において2002年のJICA被害想定結果(液状化発生箇所等)を活用
した実績がある。UNDPがRisk Sensitive Mapを作成し、液状化評価を行ったが、
精度がよくないと感じている。

避難場所の必要量に関して、現時点においても2002年想定の結果を用いて決定し
ている。新たな被害想定において避難者の人数が出るならば、避難場所の過不足に
ついて評価できるだろう。

JICAの被害想定に期待したいことはマイクロゾーネーションへの適用。それに基づき土
地利用規制等につなげていきたい。

震災で発生する廃棄物の処理についてもDUDBCの管轄になっているが、どれくらい発
生して、それをどのようなシステムで処理するかが決まっていないことが困っている点であ
る。
<データの保有状況>

Building dataについては国勢調査データとなるため、CBS(Central Bureau of
Statistics)にデータ提供を依頼した。但し、生データのため、加工する必要がある。

避難場所に関する情報を持っている。避難場所はInternational Organization
for migrationが把握しているオープンスペースの情報を踏まえ、選定。オープンスペー
スにおけるキャンプレイアウトのデザイン等も実施(次の月曜日にキャンプレイアウトマネ
ジメントについて政府でプレゼンテーションを実施)。カトマンズValleyで計83か所のオ
ープンスペースが存在する。

面積および収容可能人数に関するデータはあり、Google map上で公開している。
URL:https://sites.google.com/site/kathmanduopenspaces/
2-1
別添-2 面談記録
<Building Code について>

Building CodeはUNDPの支援によって改定したが、Seismic Codeの部分について
はUNDPから支援が得られなかった。JICAにはその部分での支援を期待したい。

Building codeの存在自体を知らない人が多く、その周知が必要であり、そのためにも
Masonへのトレーニングの実施が非常に重要だと考えている。トレーニングセンターは現
在Hetaudaにあるが、不便なところにあるため、十分に活用されていない。
<都市計画に基づく土地利用規制について>

BUBDCが定める都市計画に基づき、KVDAおよび各MunicipalityがBylawを作
り、土地利用をコントロールすることになっている。
<その他>

発災後、避難場所に指定されているオープンスペースに、竹とカーボンシートを用いてキ
ャンプを作成することになっている。

GIS Sectionはメンバー2人。使っているソフトはArcGIS。
質問票の回答および英語で記された組織図、及び被害想定関連で提供いただけるデータ
については、追ってメールにてご送付いただくことになった。
(以上)
2
1. 日時
2014 年 4 月 9 日 16:00~17:00
2. 場所
OCHA Office
3. 面談先
OCHA data center
Mr. Ram Prasad Luetel (OCHA, Humanitarian Advisor)
Mr. Narayan Raj Maharjan
(UN,GIS Analysis and Information Management)
4. 出席者
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
5. 面談内容

2002年のJICAの被害想定結果については、Cluster Contingency Planにおける
シナリオ作成等に活用している。

但し、2002年以降についてはJICAのプレゼンスが弱まったという印象がある。

ネパールの防災については新しいステージを迎えていると感じており、各ドナーが行う支
援のベースとして、JICAの成果が活用されることを期待している。

OCHAの機能としては、AIMTGTM(Association of International NGOs
Task Group for Disaster Management)において、技術的サポートを行う役割
2-2
別添-2 面談記録
を担っている。

OCHAが持っているデータは一次データではなく、加工された二次データである。

Ministry of Urban Developmentのデータは、人道支援目的であれば、活用でき
ることとなった。

衛星によるデータ観測は日本が行うのであれば、比較的安価かつ簡単にできるのでは
ないかと期待している。

詳細調査の結果についてデブリーフィングする機会があれば、参加させてほしい。結果
をシェアした上で、インプットをすることでよりよいものにしていきたいと考えている。
なお、リスクアセスメント関連のデータについては CD にて提供していただけることになり、後日
準備ができ次第、受け取りに伺うこととなった。
(以上)
3
1. 日時
2014 年 4 月 10 日 9:15~10:45
2. 場所
NSET Office
3. 面談先
NSET
Mr. Ramesh Guragai(Deputy Executive Director)
Mr. Surya Narayan Shrestha(Deputy Executive Director)
4. 出席者
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<NSET活動概要>

NSETの職員は約90名。

USAIDと毎年1~2のプログラムを実施しているほか、UNDP/WHO/UNICEF
/UNESCO/HABITAT/UN JENEVA等、多くの機関とプロジェクトを実施。
WBやADBからダイレクトにFundingを受けている。

OXFAM等のINGOともFundプログラム実施。

ネパール政府(MoUD)とも歴史建造物のアセスメントと補強に関するプロジェクトを
少額ながら実施している。

パイロットプロジェクトを実施しているが、大規模での実施が求められるとともに、その際
のクオリティの維持が課題だと述べている。

大規模プロジェクトとしては、Building code implementation programを
MoUDとともに24 Municipalityを対象として実施中。(但し、Kathmanduは対象
外)

3つのコンポーネントからなるPPP(Public Private Partnership)を実施。
1つは国内30~40のラジオ局と連携して防災に関する番組を放映。2つ目はセメント
やスチール等のprivate sectorと共同出資して広告を掲載。そこに防災関連の標語
を入れている。3つ目は20~30くらいの建物の区画を対象としたUrban
2-3
別添-2 面談記録
Regeneration Program(いったんそこの区画を取り壊して再開発)。
<リスクアセスメントについて>

2002年の建物インベントリー調査にRamesh氏は参加。JICAのアセスメント結果は
啓蒙や政府等への説得材料・根拠付けとして役立っている。

一方で、アセスメント結果に基づく計画策定という部分ではうまくいっていない。その原
因として、(NSETは少し関わったが)アセスメントの多くが日本の専門家によって行わ
れ、ネパール側の関わりが薄かったことがあるのではないか。

前回想定は500mグリッドで、建物の情報も非常に粗いもので、地盤情報も限られて
いた。新しい想定ではより詳細なものが必要であろう。

例えば、NSETはバングラデシュでアセスメントを実施しているが、50,000棟のインベン
トリー調査を行い、建物に関するGISデータを作成した上で行っている。カトマンズで新
たなアセスメントをやるならばそのレベルのものが求められる。そのレベルになって実際の
計画(土地利用規制、発災後の応急対応等)に反映されるのではないか。

2002年アセスメントでは結果をアップデートする枠組みがなく、活用されなかった側面
がある。次のアセスメントではネパールの誰がどうアップデートするかの枠組みが必要。そ
うすれば、よりJICAアセスメントが将来的に活用されるものになるだろう。
(NSETは2002年結果を基に犠牲者数等について独自のアップデートを実施)

NSETは建物の被害関数を実験やAEMに基づいて算出。

将来のアップデートのためにも、地表面での揺れのアウトプットはPGA、PGVだけでな
く、スペクトルも含まれることが望ましい。

建物のGISデータはMunicipalityが持っている可能性がある。

ライフライン、例えばElectric service stationについてはこれまでリスク評価を為され
たことがないため、可能であれば評価されるのが望ましい。
なお、質問票については後日メールにてご回答いただくこととなった。
(以上)
4
1. 日時
2014 年 4 月 10 日 11:00~12:00
2. 場所
NRRC office
3. 面談先
NRRC
Ms. Moira Reddick(NRRC Coordinator)
Mr. Nev Jefferies(NRRC Flagship2 Transitional Coordinator)
Ms. Kate Alley(NRRC Flagship5 DRM Advisor)
Ms. Chinatsu Endo(NRRC Flagship5 Coordinator)
4. 出席者
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
2-4
別添-2 面談記録
5. 面談内容

将来のファンディングの根拠となり、活動のベースとなるものを求めている。その意味で
JICAのアセスメントが大きな助けになると考えている。

(フラッグシップ2代表)大きなリスクとして考えているのが、国内外からカトマンズ盆地
にアクセスできるかというリスクである。

異なるドナーが異なる情報を持って活動しており、意思決定における基礎的な情報を
共有していないことを問題として捉えている。

アセスメントを行い、情報のギャップを埋めることとともに、その先のフェーズとして、アセス
メントの結果をエビデンスとして用いながら、政策プロセスの中でネパール政府と今後の
投資先の優先順位について話し合うことが重要である。その意味で、NRRCとJICAの
タイムフレームがconsecutiveである必要がある。但し、2017年までに最終成果とし
てまとまらなくても、JICAの持つ情報はその時々の政策プロセスに対して貢献することが
できるだろう。

2002年の想定は非常に有名であり、特に防災に対する意識を刺激する上で活用さ
れている。ただし、ドナーの投資に関する証拠としてはこれまでのところ使われていない。
次の想定ではそのようなかたちで活用される必要があると考えている。

現在on-goingで実施されているインフラプロジェクト(例えば橋梁や上水道のメラメチ
プロジェクト)は完成し供与された場合には新たなリスクとなりうるが、それをどのように被
害想定の枠組みに反映させるのか?(←あくまでも現時点でのストックに関するリスク
評価となり、将来のフローに関する評価は難しい。ただし、現時点でのデータだけでな
く、将来のデータがあるのであれば、リスク評価に組み込むことも可能だろうと調査団より
回答)

カトマンズ盆地には多くの観光客が滞在しているが、そのリスク評価は可能か?(←外
国人の滞在人数に関するデータが手に入れば、評価は可能と調査団より回答)

空港に関するリスクアセスメントはすでに実施済(USArmy&WFP)

Fuel(燃料)に関するリスク評価は可能か?(←検討させてほしいと調査団より回
答)

病院の人的資源に関するリスク評価が可能であればやってほしい。その際、これまで行
われている調査データを提供することも可能である。
以上のようにNRRCとしてはJICAのアセスメントに高い興味を示しており、今後も継続的
に協議をしたいという希望を示していた。
(以上)
2-5
別添-2 面談記録
5
1. 日時
2014 年 4 月 10 日 14:00~15:00
2. 場所
MoUD Office
3. 面談先
MoUD
Mr. Suresh Prakash Acharya(Joint Secretary)
Ms. Shakuntala(ポジションについては後日確認)
4. 出席者
有馬朋宏(JICA ネパール事務所)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

DUDBC と DWSS(Department of Water Supply and Sewerage/上下
水道、衛生管理)の 2 つの中心的なデパートメントに加え、KVDA が MOUD の実施
機関である。KVDA は、カトマンズ盆地の都市計画に関しての権限を持っており、政
策や条例を作成している。また、DUDBC が BNC の中心的な実施機関である。

事前防災(Mitigation)と復旧(Recovery)が MOUD の管轄であり、Safe
building construction guidelines の作成や、石工、エンジニア向け研修を行って
いる。

NBC に関しては、オーナーに対する啓発活動が重要であると考えている。

MOUD では、Building bylaw の作成と啓発活動に 2002 年のリスクアセスメントを
活用した。
<病院、学校に関するリスクアセスメントの必要性>

MOHP は技術的な背景がないので、設計部分について協力をしている。DFID の支
援で耐震化の調査が行われ、4 つの病院で調査が完了。政府予算で 1 つのコミュニテ
ィー病院の耐震化が進んでいる。新しい病院の建設については、NBC を遵守する。

Private Hospital の耐震化については、啓発活動を行っている。(ネパールの病院
には Government Hospital と Private Hospital の 2 種類があるとのこと)

多くの病院の耐震化が資金不足により、進んでいない。アセスメントが実施されれば、
耐震化のための資金計画を立てることが出来る。

学校については MOE が ADB の支援により、40~50 校の耐震化を完了させたが、
詳細については関係省庁を訪問して状況を確認してほしい。
<リスクアセスメントのニーズについて>

政府機関の庁舎、事務所の安全性が特に重要であると考えている。

ビジネスグループが災害に備えることも重要であるため、ビジネスグループの防災意識向
上につながる情報が必要であると考えている。その他に、病院、学校および、市街地の
2-6
別添-2 面談記録
リスク評価も必要。

盆地内外のアクセス道路、盆地内のオープンスペース等の重要施設へのアクセス道路
のリスクについて評価をしてもらいたい。
今後の調査の方針について説明を行い、質問票は後日メールにてご回答いただくこととなっ
た。
(以上)
6
1. 日時
2014 年 4 月 10 日 15:30~16:00
2. 場所
MOFALD, Kathmandu
3. 面談先
MOFALD, Disaster management and municipal planning section
Ms. Laxmi Pandey (Section chief, Disaster management and municipal
planning section)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<MOFALD の所掌業務について>

MOFALD は、防災セクターに高い優先順位を置いており、6 か月前に Disaster
Management and Municipal Planning section が設置された。

Mitigation と Preparedness を MoHA、Response を MOFALD、Recovery
MoUD が担当している。

Disaster Management
and Municipal Planning section は 、 Local
disaster management に注力しており、NRRC の Flagship4(CBDRM)と
連携している。
<MOFALD,DM セクションの活動について>

CBDRM においては、Social Mobilizer、コミュニティーを対象とした研修を実施してい
る。(Social Mobilizer とは、草の根レベルで住民に対する啓発活動をおこなう、ソー
シャルワーカーのような存在とのこと)

デブリマネジメントガイドライン(震災廃棄物管理ガイドライン)を作成しており、現在
最終ドラフトの段階にある。(メール添付にてドラフト提供依頼済み。廃棄物管理に
ついては DUDBC も関心を持っている。)

Local Disaster Risk Management Planning (LDRMP)は現在実施段階
に入っている。対象は全ての郡(75)、市(58)、VDC(3958)

LDRMP の進捗状況は、現在約 20 パーセント程度。
<その他>
2-7
別添-2 面談記録

Ms. Laxmi Pandey は、New leader capacity development programme
にて、本邦研修に参加しており、彼女の担当する防災分野での取り組みについても、
高いモティベーションを持っているように見受けられた。

LDRMP Guideline(ネパール語、英語)を入手済み。
( Ms. Laxmi Pandey が、急遽省内の予算会議への出席することになり、ミーティング
は途中で終了。質問票は未回答の為メール添付にて再依頼。4/16 日までに回答予定。
その際に組織図についても、併せて送ってもらう予定。必要に応じて再度ミーティングを設定
予定)
7
1. 日時
2014 年 4 月 11 日 9:15~10:15
2. 場所
DFID
3. 面談先
DFID
Ms. Pratima Ranjit (Programme Manager Resilience and Results Team)
Ms. Bidushi Rou(Programme Support Officer)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化担当コンサルタント)
5. 面談内容
<DFID の役割について>

DFID は NRRC の中で Flagship1,2,4,5を担当している。

特に防災( preparedness)について、力を入れて おり、多くの Implementing
partner の活動を支援している。主なパートナーと活動は以下の通り。
 WHO :病院の耐震に関するリスクアセスメント
 OXFAM:コミュニティ防災、早期警報システムの構築/活動地:キルティプ
ール、ナール、カラディ、カチャンプ、ポカラ
 UNDP:防災制度関連の活動、30 か所の EOC のサポート
 Save the children:コミュニティ防災、学校の耐震化
 WFP:空港の防災

病院の耐震化に関するリスクアセスメントについては、事前調査で 20 の病院を計画して
いたが、その後対象病院を 6 か所に変更し、現在 full structural assessment がほ
ぼ完了している。耐震化、もしくは建て替えについては、誰が資金を提供し、実施するか
を検討中。

DUDBC と Structure Management の研修を実施中。

2012 年~15 年防災セクターの予算は 21 百万ドル。
2-8
別添-2 面談記録
<JICA の 2002 年リスクアセスメントについて>

JICA のリスクアセスメントが唯一のデータであり、Implementing partner が実施する
プログラムの多くで参照している。また、NSET が JICA アセスメントを参照して作成したド
ュメントも使うことがある。

ただし、DFID は Implementing partner が、どの情報をどの活動に使っているかなど
のテクニカルな情報はわからない。 そのため、直接 Implementing partner に聞くこと
が好ましいのではないか。

リスクアセスメントのニーズについて、具体的な情報が必要であれば再度ミーティングをセッ
トし、Mr. Sam ROSE(DFID/Technical Resilience Advisor)と話してもらうのが
良い。
<防災セクターの課題について>

防災セクターには多くのアクターがいるので、各組織間の調整は簡単ではない。このような
調整は、DFID が資金提供をしている実施組織の中でも難しい。NRRC の調整に関して
は定期ミーティングを確実に実施する事が好ましい。

ただし、郡レベルのコーディネーションは非常にうまくいっていると考えている。 VDC レベル
では、5%程の予算を防災に使っており、郡、コミュニティ、市などの活動がうまく融合され
ている。例えば、OXFAM の活動している郡では、毎週金曜日に NBC の順守のためのス
ポットチェックをしている。これは LDO(Local development officer)のリーダーシップ
と、OXFAM やコミュニティのサポートの成果であると考えられる。ただし、NBC については、
違法建築に対する罰則がないので、アドバイスしかできない。

OXFAM の意見では、中央レベルよりも、郡レベル方が有効な活動が可能とのことであ
る。郡は人が集めやすいが、中央レベルでは人が集まらず、活動が停滞することが多い。
一方、郡レベルの防災に関するオーナーシップ意識は高い。
<関連省庁との連携>

MoHA が Main Partner であるが、基本的には NRRC を通じて調整をしている。現在
政府に対する、直接的な資金提供ははしていない。また、病院については MOHP、学校
についてはMOEの管轄だが、すべて MoHA を通して実施している。

数年前とは違い、政府の能力が向上している。とくに郡レベルに行くと、CBDRM が活性
化してきており、防災分野のオーナーシップ意識は高まってきている。

NSET も防災分野での中心的なアクターであるため、アセスメントの結果を活用する組織
として適しているのではないか。
(DFID ネパール事務所の報告書等は Web からダウンロード可能とのこと。また、質問票
への回答を再依頼。来週中ごろまでにメール添付で回答予定。)
2-9
別添-2 面談記録
8
1. 日時
2014 年 4 月 11 日 14:30~15:30
2. 場所
WFP office
3. 面談先
WFP
Mr. Harmesh Kapoor (Head of Logistics and Procurement)
Mr. Rajendra Kumer Lal (Focal point Logistics Cluster)
4. 出席者
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<WFP の所掌業務>

WFP は NRRC の Flagship2に取り組んでいる。

緊急対応(Response)の際には、NDRF のクラスターシステムの中で、ロジスティッ
ク(クラスターリーダー:MOHA)、食糧保全(クラスターリーダー:MOAD、パート
ナー:FAO)通信(クラスターリーダー:MOIC)を担当している。

地域プラン、国別プランに基づき活動計画を策定し、自己資金、もしくは DFID からの
資金を使ってプロジェクトを実施している。
<WFP のプログラムに関連する情報>

カトマンズ盆地の物流は、空港に頼っており、災害時の空港の役割は非常に大きい。
NSET のデータを用いて、USAID が空港のリスクアセスメントを行った。

インドとの国境付近に倉庫にあるが、その食糧倉庫のリスクアセスメントは行われておら
ず、災害時の倉庫の安全性についての予測は何もない。

政府の緊急対応に関する、物流、通信に関する能力強化支援を行っている。

緊急対応のクラスターシステムによって、各関連機関のプログラムが重複しないようにし
ている。各クラスターは省庁がリーダーとして決められている。クラスターごとのミーティング
は 2~3 か月に一度程度の頻度で実施されている。

クラスターのウェブサイトを確認すれば、緊急時対応策の詳細を確認することが出来
る。
<JICAのリスクアセスメントに期待する事>

道路のリスク評価をして欲しい。その中で道路周辺の建物の耐震性の情報も重要とな
る。

新しい国勢調査のデータがあるので、新しいリスクアセスメントを実施する際には、それ
を反映させて欲しい。

現在 82~85 か所あるオープンスペースの安全性に関する調査をしてもらいたい。
<その他>

NSET は JICA の 2002 年のアセスメントを基に、震災関連のデータ資料等を作成し、
多くの団体がそれらを活用している模様。

WFP は NSET がキープレイヤーであると考えている。
2-10
別添-2 面談記録
(質問票未回答であったため、ソフトコピーを提供の上、回答を再依頼。メール添付にて回
答予定。追加情報が必要な際はメールにて依頼する。)
9
1. 日時
2014 年 4 月 11 日 11:00~12:00
2. 場所
National Seismological Centre (NSC)
3. 面談先
National Seismological Centre
Dr. Soma Nath Sapkota(Superintending Geologist, Chief)
4. 出席者
杉村淑人(JICA 企画調査員)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

強震観測はネパール国内で21か所(うちカトマンズ盆地はNSCの1か所)、GPS
観測は7か所。その他北海道大学が数か所で観測。2011年のシッキム地震のカトマ
ンズにおける強震観測も得られている。

Dr.Sapkotaは前回2002年のハザード評価にも関与。2002年以降新たに判明し
た知見として、Main Fault Thrust(MFT)がMega Earthquakeを起こす恐れがあ
る。その揺れ方によって2つ3つのシナリオが考えられるため、今回のシナリオ地震はそ
れらでよいのではないか。

特にネパール中央部において、Seismic Gapと呼ばれる、長い間地震が発生していな
い地域があり、そこが危険と考えているが、その活動度等についてもっと議論する必要
があり、議論するための調査も行う必要がある。

NSCとトリプバン大学は折り合いが悪いのか、ハザード評価のために両者が協力する可
能性については、拒否感を示していた。これまで大学からNSCにやってきた人もいないと
のこと。

リアルタイム地震観測及び通報については、発災後各MinistryとEmergency
Operation Center(EOC)に送られ、EOCから各Districtに情報が伝達されるとのこ
と。

手段はE-mail、FAX、Telephone等。なお、2011年のシッキム地震では電話がつ
ながらなくなり、混乱が発生した事例がある。

提供する情報は震源、日時、マグニチュードであるが、地震波については提供していな
い。

NSCにはJICAの本邦研修に参加した職員が多くいるが、ネパール側に十分な調査機
材が無いため、帰国後に研修の成果を発揮しきれていない。
以上に加え、強震観測データ、地すべり関連データの提供に関する合意を得た上で、調
査を終了した。
(以上)
2-11
別添-2 面談記録
10
1. 日時
2014 年 4 月 13 日 10:10~10:45
2. 場所
MoHP
3. 面談先
MoHP
Dr. Lohani Guna Raj(Deputy Director General, Department of Health
Services)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容

災害時のResearch and Rescue がMOHPの主な役割であり、災害時のprotocol
(Clinical guideline)を準備している。

病院のリスク評価はDFIDが6つの主な病院に対して行い、政府の資金によりパタン病
院(Under Patan Academy of Health Science)の耐震化が進んでいる。その
他の病院の耐震化については、Funding partnerを探している。

MOHP庁舎の脇に、HEOC(Health Emergency Operation Center)がある。
HEOCには、ネパール全国の医療セクターの人材情報と、Health centerのGISデー
タが集められ、災害時には関連組織が情報を参照することが出来るようになっている。
またHEOCは災害時のため医療品の保管倉庫としての機能もある。

MOHPのメインパートナーは、DIFDとOXFAM。OXFAMには災害対応計画の策定で
支援を受けている。その際に参照したデータ等について、Dr. Maskeyは把握していな
いため、Working Group Coordinatorに質問をして欲しいとのこと。

DFIDの支援でリスク評価が出来なかった病院の中に、老朽化が進んでいる病院もあ
り、これらのリスク評価が必要。

日本のように災害発生時のボランティアの登録者リストを作ることが出来たら有効である
と考えている。

HIMS(Health Information Management System)で、村落レベルの医療
情報を管理している。詳細については、HIMSセクションに聞いて欲しい。
なお、質問票については Working Group Coordinator の Mr.トゥルシ・ダールにメールを
送付し、19 日までにご回答いただくこととなった。今後、必要に応じて HEOC、HIMS セク
ションへのコンタクトを検討する。
(以上)
2-12
別添-2 面談記録
11
1. 日時
2014 年 4 月 13 日 11:40~12:00
2. 場所
MoHA office
3. 面談先
MoHA
Mr. Bamshi Kumar Acharya(Under Secretary)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容
(Under Secretary の到着が遅れたため、短時間のヒアリングとなった。)
<要請の背景について>

2002 年の JICA のリスクアセスメントは現時点においても参照されている。ただし、当
時とは人口や建物の数も増えているので、被害想定も変わっている。現時点で、どのよ
うな災害リスクがあり、どのような対策を取らなければいけないかを明確にしたい。

カトマンズには古い建物が多く災害時には大きな被害が想定される。 JICA のリスク評
価に基づき、カトマンズの resilience を高めたい。その為、MOHA は MOUD と協議
の上、JICA に要請を出した。

2002 年には MOUD は存在しなかった。現在、BNC implementation とオープンス
ペース管理は MOUD が管轄している。今回、MOUD が JICA に対して要請を出した
が、それは「Does not make any difference(ちがいはない)」といのこと。コーディ
ネーションについては、MOHA がサポートする予定。
<全体調整の課題について>

コミュニケーションバリアがあり、情報伝達にタイムラグが生じることがある。例えば
DUDBC の最新の活動内容を把握するのに半月から 1 か月かかることがある。ただし、
頻繁にコミュニケーションを取ることで、問題は解消されると考えている。

NRRC については、4 か月の定期ミーティングで情報共有を行っており、十分なコーディ
ネーションが行われている。
<JICA のリスクアセスメントに期待する事>

新しいセンサスを用いた被害想定のアップデート。

2002 年のリスクアセスメント提言と現状の比較
(以上)
2-13
別添-2 面談記録
12
1. 日時
2014 年 4 月 13 日 13:00~14:00
2. 場所
Kathmandu District Office
3. 面談先
Kathmandu District Office
Mr. Govinda Mani Bhurtel(Assistant Chief District Officer)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容

郡レベルでは、MOHA管轄下のDAO(District Administration Office)の長で
ある、CDO(Chief District Officer)が最も強い権限を持っている。MOFALD管
轄下のDDC(District Development Authority)の長はLDO(Local
Development Officer)と呼ばれており、DDRC(District Disaster Relief
Committee)のメンバーでもある。

カトマンズ郡では、(Mr.Bhurtelの意見として)After Disasterに重点を置いてい
る。

災害時には、警察や、VDCからの情報に基づき、DDRCが対応策を決定する。
DDRCの主なメンバーは CDO、LDO(Local Development officer)、郡レベ
ルの各省庁のChief, 市長、村長、NRCS(Nepal Red Cross Society)等。

災害時には、DDRCのChair PersonであるCDOが郡レベルのLine Agencyを統括
する。

DPRPはNRCSのファシリテーションの協力を受け作成済み。DPRPは郡にとって「new
phenomenon」で、まだ慣れない部分がある。

MOFALDのLDRMP(Local Disaster Risk Management Planning)

郡内の防災に関するメインパートナーは、NRCS。その他、OXFAMなどの多くのNGO
が、防災関連の活動を行っている。

DPRP作成の際に参照した情報や、DPRPの更新については、担当者から質問票を
通して回答する。

NBCの順守は非常に重要であると考えている。KMC(Kathmandu
Metropolitan City)が、Building Permissionを出す際にコンサルタントを使うと
いう話を聞いているが、はっきりしたことはわからない。
(以上)
2-14
別添-2 面談記録
13
1. 日時
2014 年 4 月 13 日 11:00~11:30
2. 場所
3. 面談先
KVDA(Kathmandu Valley Development Authority)
Mr. Yogeshwar K. Parajuh(Development Commissioner)
Ms. Ritu Shrestha(Executive Secretary)a
4. 出席者
杉村淑人(JICA 企画調査員)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

KVDAは最近(約1年前?)できたばかりの組織。Mandateについても現在ドキュ
メントを作成しているところ(ドラフトを受領)。

JICAのアセスメントにおいてマイクロゾーネーションマップのようなものが作られるのであれ
ば、土地利用規制に活用したい。

Building PermitにおけるKVDAの役割としては、BUBDCの作成するNBCに従って
Bylaw(施行令)を作成する。実際のPermissionについては各District/
Municipalityが行う。なお、Building Permitについては、大きくBuilding
Permit(建築構造部分)とPlanning Permit(土地利用部分)の2つに分かれる。

Districtレベルにおいて、Cadastral Mapと呼ばれる建物1棟1棟の情報を調査した
地図を持っている可能性がある。デジタルデータにはなってないと思うが、今回の調査に
役立つのではないか。

JICAのアセスメントに要望したいこととして、前回想定はほとんどが日本の専門家が日
本で行ったという印象がある。今回はよりネパール側の関与を増やしてほしい。

現在のところGISセクションを有していないが、将来的に作りたいと考えている。
KVDAのオフィスが移転していたため、移転先を探すのに時間がかかり、ヒアリングが当初予
定よりも45分遅れでスタートすることとなった。今回は、調査概要と最低限のヒアリングを行
い、再度4/20(日)10時半から調査票の回収とともにヒアリングをさせていただくようアポイン
トを取った。
(以上)
14
1. 日時
2014 年 4 月 13 日 12:00~13:30
2. 場所
Institute of Engineering, Tribhuvan University
3. 面談先
Institute of Engineering, Tribhuvan University
Dr. Prem Nath Maskey
4. 出席者
杉村淑人(JICA 企画調査員)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
2-15
別添-2 面談記録
5. 面談内容

地質データ関連で所有しているものはあるが、基本的には非公開データであるので、
DMGやNSCにデータ提供依頼をしてほしい。

2002年のJICA想定は限られた情報で作成されたものであるため、アップデートするこ
とには非常に意味がある。できるだけ協力、貢献したい。

新しい想定においては、工学的基盤の深さをはじめとする、各種地盤情報の更新が
必要。

また、建物についてもできるだけ詳細に評価することが望ましい。NSETがインベントリー
調査を実施している他、Kathmandu, Lalitpur, Bachtapurの3つの
Municipalityについては、GISデータではないが、インベントリー調査を行っているの
で、本調査の役に立つと思う。

現状のNBC(Nepal Building Code)は、1990年代のはじめにUN-Habitatのプロ
ジェクトで作られたものである。この際、ネパール全土のアセスメントを実施しているが、
多くの間違いが存在している。今回の想定は、カトマンズ盆地のみを対象としている
が、今後ほかの地域への波及効果を含め、大きな助けとなるだろう。

これまで長い間にわたって、NBCからMRT(注:MRT=Mandatory Rules of
Thumb:NBC205において、RC建物のデザインにエンジニアが関わらないことを許容
するルール)を削除すべきだとDUDBCに訴えてきているが、削除されていないのが現状
である。JICA等外部からの圧力があるとよいのではないか。

さまざまなデータを蓄積し、研究・研修を行うセンター(機関)の必要性を強く感じてい
る。データの問い合わせに対して適切な範囲で提供をする機関があれば、今回の
JICAの調査のように各関係機関に問い合わせる労力は減ずるのではないか。
なお、建物の被害関数に関する文献を提供いただいた他、地すべりや地盤データに関す
る研究者についてご紹介いただいた。(但し、当該文献に記されている被害関数について
は、今後さらに更新していく必要があるということだった)
また、橋梁に関する研究の文献リストに関して後日提供下さることとなった。
(以上)
15
1. 日時
2014 年 4 月 13 日 14:30~15:30
2. 場所
Department of Survey
3. 面談先
Department of Survey
Mr. Ganesh Prasad Bhatta(Chief Survey Officer)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

Department of Surveyが持つデータの多くはこの10年以上更新されていない。

1:25000の地形図(GIS)はあるが、2000年以降更新されていない。また、航空
2-16
別添-2 面談記録
写真(1998年)等を所有している。WEB上で申請することで利用可能。

急傾斜地の場所については、20mコンターで確認可能。

各Districtに最低1つSurvey Officeがあり、建物データについてはそこが所有してい
る可能性がある。

OSM(Open Street Map)上で病院に関する情報がまとめられているので、役に立つ
だろう。

新たなリスクアセスメントについて要望したいこととして、幅広くさまざまな組織を巻き込
んで実施してほしい。

JICAの今回のリスクアセスメント評価のカウンターパートはMoUDではなく、NRDCのほ
うがよいのではないか。MoUDの場合、関与する組織が狭まってしまうことを懸念する。
(以上)
16
1. 日時
2014 年 4 月 15 日 09:15~10:45
2. 場所
UNDP office
3. 面談先
UNDP
Mr. Kishna Raj Kaphle(Sr. Project Officer ILS & Mainstreaming)
Mr. Naresh Giri (Building code and risk sensitive land use planning)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

UNDPは Comprehensive disaster risk management programme の中
で、カトマンズ盆地のRisk Sensitive Land usage plan (RSLUP)のために
Vulnerable Assessmentを既に実施している。ただし、Damage Assessmentは
行っていない。

1990年より、防災関連の小規模なプログラムを実施してきたが、2009年にネパール
政府と協議の上、 6つの活動から成るCDRMPを開始した。①防災法制度整備、②
メインストリーミング、③気候変動適応、④CBDRM、⑤応急対応、⑥早期復旧

UNDPの脆弱性評価の中で、建物のvisual Investigation と、各戸へのアンケート
調査を実施している。

上の脆弱性評価を含む「 Comprehensive Study of Urban Growth Trend
and Forecasting of Land Use in Kathmandu Valley」(報告書5種入手済
み)は、来年ファイナライズされる。

2003年より、UNDPの支援で導入されたオンラインソフトウェア、Desinventarで、
1971年からの災害情報を参照できる。NSETもこれを使っている。
http://online.desinventar.org/

カトマンズ盆地内330,000ある建物のうち、UNDPは15,000の建物データ(所有
2-17
別添-2 面談記録
者、位置情報、脆弱性など)を持っている。

カトマンズ市、ラリトプール市にて建築許可発行の手続きをオンライン化した、
E-building Permit System(E-bps)を試験的に導入している。
http://202.45.144.174

BNCに係る組織はMoHA傘下のDOAと、MoUD傘下のDUDBC。E-Bpsを導入
は、19回の議論を経て実施に至った。

UNDPのアセスメントに係る技術的な情報に関して、担当した専門家から話を聞くこと
は可能。

UNDPが既にハザード評価を行っているが、その際のC/PはMoUDであった。2種のハ
ザード評価が存在することは避けなければならない。JICAが実施するアセスメントに
UNDPのデータを利用することは全く問題ない。
(以上)
17
1. 日時
2014 年 4 月 15 日 15:00~16:00
2. 場所
Nepal Red Cross Society, National Headquarters
3. 面談先
Nepal Red Cross Society, Disaster Management Department
Mr. Dharma Raj Pandey(Deputy Director)
Mr. Prajwal Acharya(Senior Officer)
4. 出席者
岡野鉄平(防災行政能力評価コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

Nepal Red Cross Society(以下NRCS)は災害マネジメントサイクル(予防⇒対
応⇒復旧⇒復興)のあらゆる部分に携わっている。

現在はより予防に力を入れており、community based disaster preparedness
planの策定支援等を行っている。

災害対応に関しては、ネパール国内で12の倉庫に36,000世帯分の救援物資を保
管している。

また、MoUDと協力し、MunicipalityレベルにおけるBuilding codeの実施に関する
支援を行っている。

Vulnerability and Capacity Assessmentと呼ばれる、住民参加に基づくハザー
ド・リスク評価を地域において実施し、community based disaster
preparedness planを作成している。
NRCSが作成を支援しているコミュニティ防災計画において、JICAリスクアセスメント結果を
反映するとより信頼性が高まるのではないか?という話をしたものの、担当者はあまりそのよう
なアプローチをやったことがないためか、前向きではないという印象を受けた。
(以上)
2-18
別添-2 面談記録
18
1. 日時
2014 年 4 月 15 日 11:00~12:30
2. 場所
UNICEF
3. 面談先
UNICEF
Ms. Sunita Kayastha
(Chief/Emergency Specialist/Emergency Programme Unit)
Ms. Arinita Maskey Shrestha(Emergency WASH Specialist)
Mr. Asim Shrestha(Emergency Officer/Emergency Programme Unit)
4. 出席者
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

UNICEF自体はデータを作るというよりも、他の組織が作成したデータを参照または二
次利用する。例えば、OCHAの作成したシナリオを基にPreparednessの検討を行う
など。

2008~2009年のSchool Emergency Response Cluster Coordination
Programの実施の際、2002年のJICA想定結果やNSETの想定を主に活用した。

UNICEFはすべてのクラスターに参加しており、多くのステークホルダーと関係しながら活
動をしている。特に、発災後の緊急対応においては、密接な連携を取るMinistryや
Department、特にMOHA/MOUD/MOFALDと連携して、応急対応に焦点を当
てた準備を行っている。例えば、オープンスペースへの水の配給や、Emergency Unit
の派遣等。

他の機関と連携してネパール国内のリスクアセスメントを行い、どこが危険で、対策をと
る必要があるのかをDistrictレベルで把握している。

MoUDと連携して、2011~2012年に750か所のDeepwell等の地下水の位置や
災害時に利用可能かどうかを評価している。

液状化や上水道に関するリスク評価は、オープンスペースや病院等の活動にクリティカ
ルな影響を与えるため、そのような情報があると非常に有効である。

地域においてリスクに晒される人がどれくらいいるのかを把握することは、各種対策を立
案するために必要な情報であり、今回の想定でその数字で評価されるのであればあり
がたい。

カトマンズ盆地において急激に人口が増加している中で、アセスメント結果をアップデー
トすることが重要である。

遺体の処理は災害後の課題の1つであるため、今回の想定において触れられるとよい
かもしれない。

JICAのリスクアセスメント評価のカウンターパートについて。テクニカルな面を重視するな
らMoUDがよいが、全体のコーディネーションを重視するならMoHAが適任だと思う。
人的被害、物的被害等をメッシュごとに算出すること、ライフラインや道路の評価を行うこと
等について、UNICEF側は高い関心を示しており、想定結果を積極的に計画に活用してい
2-19
別添-2 面談記録
きたいという意向が見られた。
なお、質問票については概ね4月20日を目途に返送して下さることとなった。
(以上)
19
1. 日時
2014 年 4 月 16 日 10:30~11:30
2. 場所
KMC office
3. 面談先
KMC(Kathmandu Metropolitan City)
Mr. Bir Bahadur Khadka(Disaster Management Section)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容
<人員体制>

KMCのDisaster management Sectionの人数は、現在1名(その他6名の
KMC警察がサポートメンバー)。将来的には、Divisionを設置する予定。
<カトマンズ市の防災関連活動について>

KMCが特に重視しているのは、住民の意識向上と、災害後の対策。

カトマンズ市では、既存建物の地震に対する脆弱性を特に問題視している。

市内の建物倒壊リスクが増加するのを防ぐために、違法建設を止めるための啓発活動
を実施している。また、NSETの技術的サポートの下、市内の建物の脆弱性をカテゴラ
イズし、場合によっては取り壊すことを計画している。

数週間前にKKCの庁舎の耐震化を実施する事が決定した。

建設許可の過程で、申請者から少額を出資してもらい、Disaster Risk Fundを積
み立てている。現在10百万ルピーがプールされており、Disaster management
Sectionの計画と市長の承認にて、災害時に活用される。2週間前にカトマンズ市で
発生した火災においても、この積立金が活用された。
<建築許可について>

建設許可の発行について、UNDPの支援でEBPSが一部で導入されている。現在は
カトマンズ市下、7つのワードで運用がされており、将来的には35ワード全てで運用する
計画である。尚、建設許可申請は、15~20件/1日。

3週間前から、全ての建設許可の過程に第三者であるコンサルタントを活用している。
オーナーが許可申請をしてから、建設が完了するまでの過程をコンサルタントが監視す
ることで、建設基準の順守を行う。現在5者のコンサルタントがいるが、将来的にはそ
の数を増やしていく。コンサルタントの報酬は市が負担する。
<市が保持している情報>

カデストラルマップ(建物1棟1棟の情報を調査した地図)について、市では保持して
ない。市が持っているのは土地情報のみ。カデストラルマップが必要となったときには、市
からDOSに申請をして、入手しなければならない。UNDPがRSLUPを実施しており、そ
2-20
別添-2 面談記録
こから情報を得ることが出来るのではないか。

DORの持っていない小さな道の情報(ハードコピー)は市が管理している。また、建
物のデータに関しては棟数と、建設許可を与えた人の名前のみ管理している。(建設
許可を与えた後に、建て増しで階数が増えるケースがあり、各建物の詳細情報につい
ては管理できない。)
<2002年JICAリスク評価、及びデータのニーズについて>

災害時の建物倒壊リスク軽減が一番の課題。Engineering Geology Data があ
れば、土地の脆弱性が判るので将来の建設デザインに活かせるのではないか。

市が使うデータは、主に2002年のJICAリスク評価を加工した2次データである。現時
点で最も信頼のできるデータは、JICAのリスク評価ではないかと考えている。
<他の市、郡などとの関係>

他市との連携は、防災関連のプログラムを通じて集まることがある程度。

郡との連携は必要に応じて行うが、あまりフォーカスしていない。

KVDAとは、土地利用について調整を行う事が多い。KVDAは土地利用のBylawを
作るが、建設許可発行する権限は市にある。

市の防災計画は、基本的にMOFALDの配布しているLDRMPに従う。(ただし、
LDRMP Guidelineを用いた具体的な防災計画は策定していない模様)
(以上)
20
1. 日時
2014 年 4 月 16 日 10:30~11:30
2. 場所
Department of Education room
3. 面談先
Department of Education, Ministry of Education
Mr. Bir Bahadur Khadka(Disaster Management Section)
4. 出席者
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

World Bankが検討していた学校のリスクアセスメントについては現状ストップしている
状況である。Ministry of Educationとしては進めたい意向があり、コンサルタントから
提案書も集めている状況であるが、World Bankからは資金援助に関する話が止まっ
ている。他の国において、同様のプロジェクトが行われているが、大きな成果が上がって
いないことが原因ではないか。

すでにWorld Bankでは学校に関する情報を集めており、Open Street Map上でま
とめられている。当初の考えとしてはそれらの情報を基に、Probabilistic Seismic
Hazard(確率論的ハザード評価)によって各学校のリスク評価を行い、移転や耐震補
強の費用対効果を計算し、将来の計画を作成する予定だった。

現状の学校のリスク評価については、UN-HABITATのSchool&Hospital Safty
Toolkitを活用している。エクセルベースで必要な情報を入力すると、各学校のリスク
評価が出力されるものである。
2-21
別添-2 面談記録

防災教育の面では、学校に対するマニュアル、教師に対する教育マニュアル等は充実
しているが、通常のカリキュラムに用いるマテリアルが不足していると感じる(但し、回答
者は教育プログラムの担当ではなく、正確なことはわからないと前置きした上での発言
である)

ネパール国内にはCommunity School(公立)とPrivate School(私立)があり、対
策はどうしても前者が先行してしまうが、より危険なのは後者であるため、対策が必要
だと考えている。

JICAのリスクアセスメントとは積極的に連携、協力をしたいと考えており、今後ともコンタ
クトを取りたいと思う。
質問票の回答については20日を目途に送付いただくよう依頼した。
(以上)
21
1. 日時
2014 年 4 月 16 日 14:30~15:30
2. 場所
Department of Road, Foreign Co-operation Branch room
3. 面談先
Department of Road, Foreign Co-operation Branch room
Mr. Keshab Kumar Sharma(Deputy Director General)
Mr. Rupak Rajbhandari(Senior Divisional Engineer)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

点検マニュアルは道路(ネパール語、英語)、橋梁(英語のみ)それぞれ存在する。

災害に関して担当するセクションはなく、発災後の応急対応マニュアルについては有し
ていない。

道路のデータはインターネット上の情報を確認してほしい。もしくはHIMS(Highway
Information Management System)Unitにおいて購入が可能。

橋梁のデータについては、位置情報だけでなく、構造や建築年等の情報がまとめられて
いると思うが、具体は担当者に確認してほしい。
以上のヒアリングを基に、後日、橋梁の担当者を訪ねることとなった。
(以上)
2-22
別添-2 面談記録
22
1. 日時
2014 年 4 月 17 日 10:00~11:00
2. 場所
World Bank office
3. 面談先
World Bank
Mr. Anil Pokhrel(Disaster Risk Management Specialist)
4. 出席者
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容
<学校のリスク評価について>

WBが計画していた学校を対象としたリスク評価は中止された。
経緯:C/P である教育省のキャパシティ不足により(レッドブックに準拠した)プロジェ
クトを開始させるまでに時間がかかりすぎた。カトマンズ市内の全ての学校を対象とした
6つの地質調査を行うための期間は 15~16 カ月を予定していたが、リスク評価を請
け負うコンサルタントの調達に想定以上の時間を要し、プロジェクト期間内に完了させ
ることが困難であるため、DoE、WB、GFDRR で協議の末、中止を決定した。現在、
残りの期間でリソースをどのように活用するかを検討中。

リスク評価は中止になったが学校に関するデータセットは既にできている。クラウドソーシ
ングを使い、学校の情報(学校の位置、建物の階数、面積、生徒数、職員数)を
誰でも使えるオープンソースにし、他の機関が再び同じ調査する無駄をなくすための仕
組みづくりを計画している。
<UNDP のリスク評価について>

WB は UNDP の実施したカトマンズ盆地のリスク評価について知らなかった。多くの政
府機関や、ドナーが防災関連の活動をする中で、プログラムの重複を避け、一つのテー
ブルで情報をシェアできるような仕組み作りがネパールの防災セクターの課題の一つ。
<防災セクターのコーディネーションについて>

(今回の詳細設計調査の最後に MOHA,MOUD,MOFALD の三者ミーティングを開
催予定、リスク評価においてどの省庁がコーディネーションチェアとして適切と思うか?)
現時点では NDMA( National Disaster Management Authority)が設置
されていないので、MOHA と MOUD のジョイントチェアが最もふさわしいのではないか。
MOUD 下の DUDBC と、KVDA もキーアクター。MOHA のアンブレラコミッティーと、個
別のリスク評価項目に関連するサブコミッティーの設置が良いかもしれない。
<その他>

追って学校リスク評価のTOR,ならびにデータセットを送って頂く事になった。
2-23
別添-2 面談記録
23
1. 日時
2014 年 4 月 17 日 12:00~12:30
2. 場所
MOFALD office
3. 面談先
MOFALD, Disaster management and municipal planning section
Ms. Laxmi Pandey (Section chief, Disaster management and municipal
planning section)
4. 出席者
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容
<MOFALD Disaster Management section について>

MOFALD は中央からローカルレベルまでのラインを持っており、地方の防災を担当する
機 関 に 適 し て い る こ と か ら 、 キ ャ ビ ネ ッ ト の 決 定 で 、 Municipal Management
Division 下に Disaster management and municipal planning section を
設置した。現在職員は 8 名。(前身は Municipal Planning Section、その当時の
職員は 6 名。)

Ms.Pandey は DRM セ ク シ ョ ン が 設 置 さ れ る 前 に は 、 Municipal planning
section の Chief だった。(その前が Remote Area Development committee?)

8 名の職員で Disaster と Planning の両方を担当している。Planning のパート
では、BNC と道路拡張などの業務がある。
<防災計画、予算、業務について>

14step planning cycle を使い、ローカルレベル(郡、市、村)の計画策定のメ
インストリーミングを行っている。

政府が予算の5%を防災に使うことを決定した。ローカルレベルにおいても全体予算の
5%が MOFALD から、郡、市、村に分配される。

LDRMP Guideline は Environmental Management Section が作成した。ど
この機関が支援をしたのかは不明(OXFAM?CARE?)

LDRMP Guideline を使った計画策定は実施プロセスにある。セクションはファシリテー
トをするだけで、郡、市、村が計画を作成した後の活動についても、レビューとモニタリン
グするだけ。ただし、特に明確なモニタリング計画はない。

現 在 DPRP 、 LDRMP 、 DDMP ( District Disaster Management Plan,
MOFALD)の 3 種のガイドラインが存在しているが、今年の 7 月を目途に、MOHA
と協働で 1 つのガイドラインに纏める予定。
2-24
別添-2 面談記録
24
1. 日時
2014 年 4 月 17日 16:00~17:00
2. 場所
UNDP Office
3. 面談先
UNDP
Mr. Naresh Giri (Building code and risk sensitive land use planning)
Mr. Anish Joshi(Managing Director, GENESIS Consultancy (P) LTD)
4. 出席者
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

UNDPのアセスメントはRisk sensitive land use planのためにKVDAをカウンターパ
ートとして実施されたものであり、2020年~2030年代における土地利用の基礎とな
るものである。地震だけでなく、水害やLandslide、危険物施設からの出火等のハザ
ードも対象としている。今後、このアセスメントの提言に基づいてbylawが更新されるこ
とを期待している。

UNDPアセスメントは2012年に開始され、2013年のはじめにはマルチハザード評価は
終え、9月にレポートをKVDAに提出。最終ワークショップが4月28日に行われる予定
で、その後一般に公表される。

UNDPアセスメント実施の過程で、JICA調査の対象となる項目の多くの情報が収集
され、GISデータとしてまとめられている。例えば、カトマンズ盆地の建物を衛星画像から
ポリゴンデータ化し、そのうち10,400棟についてはインベントリー調査に基づく建物構造
や所有データ等を所有している。また、27の橋の写真や構造等も取りまとめてデータベ
ース化したほか、約45の学校、20以上の病院のデータの情報を収集済み。
Landslide potential mapも作成済。

MFTがもっとも危険な地震といわれているが、その震源、規模については研究途上であ
り不確定のため、1934年のビハール地震を代表させた。その選定については、Dr.
Rama Mohan(現・東京大学ポスドク)が担当。

ボーリングデータについてはDMG、DUDBCから集めたものを活用。確率モデルを用い
て、盆地内の分布を計算。

レポート及びデータについては、KVDAの許可が必要。20日(日)10時半からの
KVDAミーティングにUNDPのコンサルタント(GENESIS)も出席するので、詳しくはそこ
で話し合われることになるだろう。
(以上)
2-25
別添-2 面談記録
25
1. 日時
2014 年 4 月 18 日 10:30~11:30
2. 場所
Lalitpur Sub-metropolitan city(LSMC)office
3. 面談先
Lalitpur Sub-metropolitan city (LSMC)
Mr. Rudna Pd Gautam (Head of Urban Development Division)
Mr. Prabin Shrestha (Head of Public works Division)
Mr. Ram.K.Dhahel (Engineer)
Mr. Sainik Raj Singh (Head of section)
Mr. Nobuyoshi Furuich (JICA SV)
4. 出席者
土井ゆり子 (JICA 地球環境部 水資源・防災グループ防災二課)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容

ラリトプール市では Urban Development Division(職員数22 名)の下に、防
災を担当する Disaster Management Section(職員数5名)を設置している。
<MOUD(DUDBC と KVDA)との関係>

LSMC は MOFALD 傘下の組織。MOUD 傘下の DUDBC、KVDA との連携はある
が、同一の指示系統ではない。DUDBC,KVDA は、NBC や Land Use policy、
Bylaw、programme を作り、MLSC はそれらを実施する機関となる。例えば、Land
use についてはガイドラインで市内が 9 つに分類されており、各カテゴリーの土地利用規
則に従い、LSMC が土地の利用計画を策定している。
<市の防災計画について>

ガイドラインに従い市の 5 ヵ年計画を策定し、その中で防災計画を立てている。

LSMC では、MOFALD の LDRMP ガイドラインに従い、を Ward Committee を作っ
ている。現在、22 の Ward のうち、20 の Ward で Committee が設置されている。

Ward Committee では、月に 2 回のミーティングが開催されており、LSMC の防災セ
クションの担当者が、直接ミーティングに参加し、ファシリテートしている。ミーティングの主
な議題は、コミュニティーの防災計画について。
<市の防災活動について>

市が認識している課題は、耐震化していない建物、適切に設置されていない電線、住
宅地にあるガソリンスタンド、市内の電波塔、プロパンガスの保管庫の安全性など。

NRCS や OXFAM のサポートで、住民(Ward,コミュニティー、学校が対象)に対す
るトレーニングを実施している。トレーニング内容は1.First Aid、2.School First
Aid 、 3.Peer Education 、 4.CADRE (Community action for disaster
response) Training

その他の主な活動は以下の通り、1.IEC Material Publication &Distribution,2.
2-26
別添-2 面談記録
Hotline Service on Earthquake Safe Building Construction, 3.Mobile
Camp on NBC, 4.Video Presentation, 5.Earthquake Simulation on
community

市では随時研修やワークショップが行われており、毎週金曜日には建設許可申請をし
たハウスオーナーを対象としたワークショップが開催されている。これは LSMC 独自の取り
組とのことである。

LSMC がプレゼンテーションに使用した GIS データ地図などは、IMO から入手している。
また、LSMC には GIS セクションが設置されている。

LSMC 職員は、コミュニティーの防災意識は徐々に高まってきていると感じている。
(LSMC でのヒアリングの後、14:00~ 建設許可を申請したハウスオーナー向けの研
修/参加者 38 名に参加、15:00~Ward Committee のキックオフミーティング/参
加者 11 名を視察。)
26
1. 日時
2014 年 4 月 18 日 13:30~14:00
2. 場所
Nepal Telecom Office
3. 面談先
Nepal Telecom
Mr. Vijay Kumar Thakur(Manager)
Ms. Minu Pradhan(Deputy Manager)
4. 出席者
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

タワー、電線、電柱の情報はあるが、すべて紙地図で保有している。JICAから公式文
書が送られれば、できるだけGISデータに加工して提供したい。但し、機密情報なの
で、取扱いに注意してほしい。

電話の利用者数は、カトマンズ市内を7つに分けたエリアレベルでは把握しているが、
それ以上細かいデータは把握できていない。・

過去、地震によって建物にクラックが入ったということはあるが、通話サービスに影響が出
るほどの被害を受けたことはない。
(以上)
27
1. 日時
2014 年 4 月 20 日 10:30~12:00
2. 場所
KVDA (Kathmandu District Development Authority)office
3. 面談先
KVDA
Mr. Yogeshwar Parajuli(Development Commissioner)
2-27
別添-2 面談記録
Mr. Karuna Ratna Shakya(M.Sc.Engineering)
Mr. Anish Joshi (Managing Director, GENESIS CONSULTANCY (P)LTD)
4. 出席者
土井ゆり子 (JICA 地球環境部 水資源・防災グループ防災二課)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容
<KVDA の概要>

KVDA の主な所掌業務は、カトマンズ盆地における都市計画、土地利用計画の策
定と、条例(Bylaw)の制定。また、カトマンズ盆地内の各関連組織の調整機関と
しての役割を果たす。

KVDA は MOUD 直 下 の 組 織 で は な く 、 MOUD が チ ェ ア を 務 め る Physical
Development council のメンバーによって管理される。カウンシルのメンバーは、7 名
のセクレタリ-と 3 名のミニスターから構成される。ただし、年度予算については、中央
政府から MOUD を通じて、配分される。

KVDA は、本部と 3 つの郡レベルの支所からなり、職員数は 67 名。今後の計画で
は、137 名まで増やす予定。また、10 グループのコンサルタントチームが、KVDA のプロ
グラムを実施中。(実施中のプログラムについては資料の提供を依頼した。)

次の会計年度には 10 億 ルピーの政府予算、6400 万ルピーのローン予算が計上さ
れる予定とのこと。

KVDA は発足してから 2 年しか経っておらず、現在は防災関連のセクションはないが、
土地利用計画や、盆地内の各機関の調整業務を担当していることから、盆地内の防
災において特に重要な組織であると認識している。

将来的に GIS セクションを設置予定。ただし、人員もスキルも不足しているため、サポ
ートが欲しい。

カトマンズ盆地内において、KVDA が調整機関としての役割を果たすことで、土地利
用などに関する盆地内の各組織の関係を最適化したいと考えている。
<UNDP のリスク評価について>

4 月 28 日に開催予定のワークショップは、UNDP のハザードアセスメントを発表するた
めのセレモニーのようなものになる予定。招待者は、KVDA のマネジメントボード、
MOUD、MOFALD、DMG、専門家、その他のステークホルダー。このワークショップの
後に、改めて学識者を招いたミーティングを開催したいとのこと。

ワークショップに JICA の調査団員が参加することは歓迎する。

土地利用計画は、政治的、経済的、社会的に大きなインパクトを与えるものである。
その為、十分な科学的な根拠のある調査結果が欲しい。UNDP のコンサルタントの調
査を JICA に検証してもらえたら、より精度の高いデータになると考えている。検証の結
果、再調査となったとしても、KVDA は構わない。
2-28
別添-2 面談記録

Risk sensitive land use plan の準備は、UNDP の調査結果に基づいて今年の 7
月までに開始する。

(コンサルタント/GENESIS の意見)包括的な都市計画のためには、より詳細な調
査が必要と考えている。ただし GENESIS は UNDP との契約が完了したので、
KVDA に対して提言を行うのみ。

UNDP の調査では、3 名の学識者のコンサルテーションを受けている。また、これまでス
テークホルダーや学生を対象としたトレーニングを 2 回実施している。
<UNDP 調査のデータについて>

JICA より正式文書にて要請を出せば、KVDA より全てのデータを提供することは可
能。ただし、報告書を含むフルセットは 4 月 28 日以降。
28
1. 日時
2014 年 4 月 20 日 15:00~16:00
2. 場所
Ministry of Home Affairs office
3. 面談先
Ministry of Home Affairs
Mr. Lakshmi Prasad Dhakal
(Joint Secretary, Disaster Management Division)
4. 出席者
米林徳人(地球環境部 防災二課)
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<ネパールにおける優先実施5項目>
現在、29の対策項目から優先実施すべき項目として以下の5つを選んでいる。

1つ目は耐震性の低い病院、学校の耐震補強。

2つ目は緊急対応(Emergency Preparedness)。NEOC(National
Emergency Operation Center)を設置した他、各Districtに1つずつ、計75の
EOC(Emergency Operation Center)がある。また、カトマンズ盆地内に83オープ
ンスペースがあり、水供給等も含めたデザインを実施。各Regionに1つずつ、計5か
所の備蓄倉庫を設置。

3つ目は洪水であり、洪水に関するマネジメントプランを現在必要としている。

4つ目はコミュニティ防災であり、トレーニング及び設備の充実を図っている。

5つ目は災害に対するInstitution及びPolicyの充実。
<ドナーとの協力体制>

11のドナーが集まるNRRC(Nepal Risk Reduction Consortium)が立ち上げら
れ、その枠組みの中でドナーが活動を行っている。
2-29
別添-2 面談記録

学校はMoE(Ministry of Education)+ADBが実施し、350の学校の耐震補強を
実施。

病院はMoHP(Ministry of Health and Population)+WHO。60の病院がアセ
スメントされたが、補強ははじまったばかり。

緊急対応(Emergency Preparedness)はMoHAが主導。USAIDによる空港のア
セスメントが行われている。
<JICAのリスクアセスメントの必要性>

前回リスクアセスメントを行った2002年と比べて、人口が急激に増加しており、現状の
リスク状況を把握するために、新しいリスクアセスメントの実施が必要。

提言が活かされなかった前回調査(2002年)との状況のちがいとして、当時各省庁は
Responseのみを対象としていたが、今はPreparednessも含めた防災対策を対象
としている。また、政府もNew actトッププライオリティ

各エリアにおいて、どこに避難すべきかを明確にする必要がある。また、脆弱な地域を把
握することで、Building Code実施の実効性を高めていくことにつなげていきたい。
<JICAのカウンターパートについて>

ネパールのDisaster Risk Managementにおいて、もっとも重要な役割を担っている
のはMoHAである。すべての省庁のコーディネーションの役割を担っているため、JICAの
調査終了後の活用を考えると、MoHAがカウンターパートとして適切だと考える。
<3省会議について>

4/22又は23に実施される予定の3省会議にはJoint Secretaryは出席できない
が、代わりにUnder Secretaryが出席し、責任を持って当たる。
(以上)
29
1. 日時
2014 年 4 月 21 日 12:00~13:00
2. 場所
MoUD office
3. 面談先
MoUD
Mr. Suresh Prakash Acharya(Joint Secretary)
Ms. Shakuntala(Disaster Management Section)
4. 出席者
米林徳人(地球環境部 防災二課)
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
有馬朋宏(JICA ネパール事務所)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
2-30
別添-2 面談記録
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

MoUD は建物ならびに、水・衛生にフォーカスするために 2 年前に設置された。建設に
関しては、BNC や Bylaw、Norm の策定に権限を持つ。防災分野において、復旧、
ならびに被害軽減を重視している。

カトマンズ盆地のリスク評価を実施するにあたり、多くの関係機関が巻き込まれるよう
な、コーディネーションが必要であると認識している。また、地方のリーダーが災害リスクを
認識する事も必要と考えている。

MoUD の防災に関する所掌業務は、Building Construction、Settlement、
Water Supply、Recovery である。NSDRM に MoUD のリスク評価に関する記載
があるが、具体的な業務は実施していない。

MoUD はリスク評価の結果を、その所掌業務の中で活用し、担当するクラスターの中
でリーダーになり得る技術的背景があるが、リスク評価自体をカウンターパートとして実
施するだけの技術が不足している、という事を確認した。

Settlement については、Urban Planning Section に担当職員がおり、Town
Development Act(都市開発法)も有るが、具体的な計画は無い。MoUD は、
Settlement ガイドラン を作成したいと考えている。

建物の安全性について、MoUD が建設基準法や、土地利用法などの法令を管理
し、地方行政が実際の実施機関となっている。

他の省庁や、地方行政と比べて MoUD は技術的な背景があるので、MoUD がカウン
ターパートとして最適であると考えている。

昨年から財務省が防災分野の予算費目を作り、DUDBC でその予算が使われてい
る。また、緊急対応の予算は MoHA、コミュニティー防災の予算は MoFALD
<JICA のリスク評価に期待する事>

リスク評価の技術は進歩しているので、そのような技術を活用した調査の実施、ならび
にそのようなリスク評価の技術(とくに建物のリスク評価)を MoUD 職員が習得できる
ような支援を JICA に期待したい。

カトマンズ盆地の建物は地震他に対して非常に脆弱であるため、都市計画の策定
や、都市のリジェネレーションのコンセプトの改善に活用したい。

リスク評価の結果を活用について、他の省庁の関与も重要であることから MoUD、
MoHA、MoFALD の三省会議について提案し、了承を得た。

プロジェクトのカウンターパートを、MoUD を責任機関とし、MoHA、MoFALD を副責
任機関とすることについては、JICA のリスクア評価のなかで何を重視するのかで、責任
機関を決めれば良いのではないかという意見。ただし、JS はカトマンズの地震災害にお
いて、建物の安全性が最も重要であると考えている。

ネパールの防災分野における課題は、災害リスク管理を行う担当機関がないことであ
2-31
別添-2 面談記録
る。現在は MoHA がフォーカルポイントだが、MoHA の優先事項は緊急対応であるた
め、MoUD の優先事項(建物の安全性)についても考慮する必要がある。

リスク評価の中で、優先順位を決めるのは JICA ではなく、ネパール側であることを説明
し、理解いただいた。
(三省会議については、4 月 23 日の 15:00 以降で調整予定)
30
1. 日時
2014 年 4 月 21 日 15:00~16:00
2. 場所
NRRC office
3. 面談先
NRRC
Ms. Moira Reddick(NRRC Coordinator)
4. 出席者
米林徳人(地球環境部 防災二課)
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

類似のリスクアセスメントは数多くあるが、そのいずれもがオーソライズされておらず、政策
決定の材料として使われたものもない。UNDPのレポートについてもカウンターパートで
あるKVDA以外については使われないのではないか。

リスクアセスメントはMinistry of FinanceやNepal Planning Commission等をは
じめとして、ステークホルダーに幅広く認知され、政策決定等の基礎資料として活用さ
れるのが重要。

NRRCの課題として成果を評価するためのベースライン(基礎資料)がないこと。そのた
め、まず、最初に3ヶ月程度、リスクアセスメントのStock taking(実績調査)を行う。
6月末から始まる予定。JICAにもそのStock takingのプロセスに参加すべく、専門家
等を派遣してほしい。

Stock takingの最後には、現状のギャップと今後必要な情報に関して、専門家から
の提案が為される。今後行われるNRRCの第2フェーズでは、それらのギャップを埋める
ための活動が行われる。そこで、JICAのリスクアセスメント調査が活用されるとよいと考
えている。

JICAのリスクアセスメントに求めているものは、今後の政策・投資におけるエビデンスと
将来予測である。

2015年3月の仙台における国際会議においてNRRCはSide meetingを行うことを
日本大使館と合意している。そこで、リスクアセスメントのFinding(知見)を共有できた
らよいと考えている。
(以上)
2-32
別添-2 面談記録
31
1. 日時
2014 年 4 月 21 日 17:00~18:00
2. 場所
MoFALD office
3. 面談先
MoFALD
Mr. Gopi K. Khanal(Joint Secretary)
Ms. Laxmi Pandey
4. 出席者
米林徳人
土井ゆり子
有馬朋宏(JICA ネパール事務所)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<MoFALD の所掌業務>

MoFALD の防災分野に関する優先事項は被害軽減である。また、地方行政を管轄
するのが MoFALD であり、防災に関する取組みにおいても必要に応じたコーディネーシ
ョンを行う。その他の省庁については、MoHA がリーダーとなり、MoUD が復旧を担当し
ている。

被害軽減においては、地震災害が最も優先度が高いが、火災、洪水、地滑りなどへ
の対策も必要である。

防災については、クロスカッティングな省庁間の関係が必要であると考えている。
<防災関連の活動>

地方行政に向けた LDRMP(Local Disaster Risk Management Planning)
ガイドラインを作成し、各郡、市、VDC が防災計画を作成する支援をしている。

ワードレベルのコミュニティーへの啓蒙活動や NBC のトレーニングを実施するために、他
の省庁との調整、支援業務も行っている。

防災に関する国家計画と、その中で 4 年間の活動計画を作成中である。どのような政
策が必要で、どの様な政策を改訂し、どの様な活動を実施するかについて、国内の
NGO も含めて検討している。
<JICA に期待する事>

1934 年のビハール地震の時とは、カトマンズ盆地の状況は大きく変わっており、防災に
必要性は高い。現在は、数年前と比べて、各レベルでの防災に対する意識も向上し
てきている。JICA にはリスク評価のみならず、技術的なサポートにも期待をしている。

コミュニティーの人々は、震災時の火災を心配している。しかしながら、消防署の建物も
地震に対して脆弱であり、設備も十分ではない。その分野で JICA、もしくは日本政府
からの支援があればありがたい。
2-33
別添-2 面談記録

リスク評価を行うのであれば、主なユーザーは地方行政になるのではないか。以前は、
省庁間のコーディネーションがうまくいっていなかったが、現在は良好な調整が行われて
おり、MoHA、MoUD、MoFALD が中心となってプラットフォームを作っている。
(三省会議については MoFALD の JS が参加できない為、Under Secretary の
Ms.Pandey が参加予定。
32
1. 日時
2014 年 4 月 22 日 10:30~10:45
2. 場所
Bhaktapur District Administration Office
3. 面談先
Bhaktapur District Administration Office
Mr. Rajaram Basnet(Administrative Officer)
4. 出席者
米林徳人(地球環境部 防災二課)
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
有馬朋宏(JICA ネパール事務所)
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<防災計画について>

防災計画(DPRP/Disaster Preparedness and Response Plan)は、District
Administration Office ( DAO ) 、 District Development Committee
(DDC)、ネパール赤十字社が中心になって作成した。

作成部数は 1000 部、学校や警察、郡、NGO 等に配布している。

防災計画を作成した後の具体的な活動としては防災セミナーの開催をしている。

建設許可などの建物の管理は、市と VDC が行っている。(DAO は通常の主な業務
として市民カードやパスポートの発行等と行っている。)
33
1. 日時
2014 年 4 月 22 日 11:15~12:50
2. 場所
Bhaktapur Municipality
3. 面談先
Bhaktapur Municipality
Mr. Ram Mani Bhattrai(Executive Officer)
Mr. Krishna Gopal Prajapati(Senior Architect, Heritage Section)
Mr. Ram Govinda Shregtha(Heritage Section)
4. 出席者
米林徳人(地球環境部 防災二課)米林徳人
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)土井ゆり子
2-34
別添-2 面談記録
有馬朋宏(JICA ネパール事務所)有馬朋宏
Mr. Ram Prasad Bhandari (JICA Nepal, Associate Program Manager)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

建物の殆どは、セメントコンクリートと、レンガ、アルミニウム、木でできており地震に対し
て、脆弱である。また、観光資源である世界遺産の寺院や宮殿を、どの様に災害から
守るかが課題である。

建設基準のために、NBC に加えて、Self-Bylaw を作り、柱の太さや、距離を決めて
いる。また、大きな建物については構造分析も行う。

NBC は、これまでの経験を基に作成されているので、十分に使えるものであると考えて
いる。(Mr.Shregtha)

建設許可を与える最終段階で、ハウスオーナーに対するセミナーを開催している。

建設許可の申請件数は、30-60/月。建設許可の申請から承認までは、建物の大
きさや隣人との関係にもよるが、概ね 20-30 日かかる。行政担当者(ワード、市、
中央の技術者)が現場を視察する回数は最少で 5 回。

ネパール赤十字社と共同で、16 ワード中 9 つのワードの学校で防災教育を実施して
いる。内容は、被害軽減のための事前準備と、災害発生時の財産の守り方。

バクタプールの開発計画では地震災害リスクについても考慮されている。

カデストラルマップは Ministry of Land Reform and Management, Survey
Department が持っており、情報の更新も行っている。

KVDA は、市の監督機関になるので、KVDA の策定した Bylaw に従う必要がある。

職員数は約 300 名で、清掃人が約半分。

Building section に、防災関連のフォーカルパーソンが 1 名いる。
section の職員数は 8 名。
34
1. 日時
2014 年 4 月 22 日 14:00~15:00
2. 場所
Bhaktapur Red Cross Society Office
3. 面談先
Bhaktapur Red Cross Society
Mr. Krishna Gopal Lageju(Secretary)
Mr. Snatosh Neupane(Program Officer)
Mr. Bhakta Ram Kajo (Community Trainer)
Mr. Mawish Raj Timsina(Technical Supervisor)
4. 出席者
米林徳人(地球環境部 防災二課)
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
2-35
Building
別添-2 面談記録
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<ネパール赤十字社バクタプール支部の活動>

ネパール赤十字社はカトマンズ盆地の 66 のコミュニティーのサポートをしている。バ
クタプール郡では 20 のコミュニティーにおいて、CBDRM(コミュニティー防災)の
取り組みをしている。19 の学校での防災教育、コミュニティーを対象とした
CADRE(Community Action for Disaster Response)とファーストエイ
ドのトレーニングを提供している。今月からは高速道路の安全プログラム(ベルギ
ー赤十字社がサポート)を開始した。

40 の学校で、避難計画の策定をサポートする計画がある。その他、ビデオ教材
を 使 っ た 啓 発 活 動 を 実 施 し て い る 。 ま た 、 コ ミ ュ ニ テ ィ ー に 対 し て 、 IEC
(Information, Education and Communication)マテリアルや、オリエン
テーションを提供している。学校の避難計画に使われる地図は、ネパール赤十字
社の技術者が作成したものを使っている。

ネパール赤十字社は、コミュニティーレベルで多くの防災活動を展開している。バク
タプール支部の活動は、DIFD、英国赤十字社、アメリカ赤十字社、NSET が主
なパートナーである。

学校の防災プログラム(DPSS program/Disaster Preparedness for
Safer School)は 2 年前から始め、現在では全ての生徒が地震災害について
の知識を持っている。対象の学校を選ぶ際には、生徒の数が多い学校、政府系
の学校を優先している。この活動のパートナーは NSET で、NSET は主に、教材
等のマテリアルの提供を行っている。また、技術的なサポートをしている。
<リスク評価について>

DPSS プログラムの中で、「リスクアセスメント」を実施しているが、これは地域の関
係者へのインタビュー内容を分析したものである。(リスクアセスメントという言葉
の認識に違いがある。)

ネパール赤十字社バクタプール支部では、古い建物や、狭い道などの危険な場
所を関係者で話し合いながら、地図に落としていく活動をしている(コミュニティー
参加型リスク評価)。科学的なアプローチによるリスク評価の重要さは理解して
いるが、現時点でネパール赤十字バクタプール支部に、科学的データを扱うだけ
のキャパシティがない、という認識がある。
<防災計画の策定>

郡の防災計画の策定に当たっては、CDO が中心となり、郡の 8 つのクラスター
(緊急対応、コーディネーション、食糧保全など)が、それぞれミーティングを行
い、計画を作成した。ネパール赤十字社は、中央政府の指示で、郡に対する技
2-36
別添-2 面談記録
術的なサポートを行った。
郡の防災計画は 2 年で見直しが行われる。バクタプールでは 1 年後に更新を行

う予定。
計画策定の際に参照したデータは、郡の過去の災害履歴と中央政府が提供し

たハザードマップなど。
35
1. 日時
2014 年 4 月 23 日 12:30~13:30
2. 場所
KVDA Office
3. 面談先
KVDA
Mr. Karuna Ratna Shakya (Senior Divisional Engineer)
4. 出席者
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

KVDAのmandateを定める「KVDA Act」及び「KVDA Regulation」において、
「Physical Development Plan」と呼ばれる開発計画を策定することが定められて
いる。この「Physical Development Plan」の中で、「Risk Sensitive Land Use
Plan」による土地利用規制を行うことが規定されており、UNDPが支援している前述の
土地利用規制はこの計画に基づいて計画・実施される。

「Town Development Act(都市計画法)」に基づき、カトマンズ盆地内では「Land
Readjustment Plan」によるLand Pooling及び区画整理が行われている。現在、
約10のプロジェクトが行われている。

Bylaws for Construction in Kathmandu Valleyにおいて、カトマンズ盆地内の
ゾーニングと、ゾーンごとの建築規制(高さ規制、容積率規制等)が定められている。

「Long-term Development Concept」において、カトマンズ盆地の長期開発計
画が策定されている。元々、KVDAの前身であるKVTDC(カトマンズ盆地開発協議
会)が2000年に作ったが、実効が伴わなかった。現在2015年の承認に向けた新たな
長期開発計画を策定している。
(以上)
36
1. 日時
2014 年 4 月 23 日 11:00~11:30
2. 場所
Lalitpur District Administration Office
3. 面談先
Lalitpur District Administration Office
Mr. Ganesh Prasad Aryal (Administration Officer)
4. 出席者
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容
<ラリトプール郡 DAO の組織体制>

ラリトプール郡 DAO(District Administration Office)の職員数は 35 名。
2-37
別添-2 面談記録
全てフルタイムの職員で、MoHA に所属している。主な所掌業務は、住民カードや
パスポートの発行などのアドミニストレーション業務である。

ラリトプール郡 DAO で、防災を担当しているのは Administration section で、
担当者は 1 名(Mr.Aryal)。
<ラリトプール郡の防災計画>

防災計画の策定においては、 MoHA のガイドラインに従い、DAO の CDO
(Chief District Officer)が中心になり、ラリトプール DDC、ネパール赤十字
社、警察、消防署が定期的にミーティングを行い作成した。防災は複数のセクター
にまたがるため、それぞれのセクター分科委員会をつくった。例えば緊急対応につい
ては、消防署がリーダーとしての役割を担った。

ラリトプール郡では防災計画の策定に、3~4か月を要した。

防災計画は 300 冊を製本し、学校や区、警察などのステークホルダーに配布して
いる。

郡では、防災計画を作成した後、具体的な活動はしていないが、2 年後に防災計
画を更新する予定。
<ラリトプール市との関係>

ラリトプール市との、業務上の連携はほとんどない。コミュニティー防災などは、市や
村のレベルで行われており、郡はとくに活動をしていない。(ただし、災害時には、
DAOの長であるCDOがDDRCの議長として重要な役割を果たす。)

ラリトプール市の防災活動については、あまり把握していない。
37
1. 日時
2014 年 4 月 23 日 11:30~12:50
2. 場所
Lalitpur District Development Committee Office
3. 面談先
Lalitpur District Development Committee
Mr. Rom Bahadur Mahat (Planning Officer)
4. 出席者
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容
<ラリトプール郡 DDC の組織体制>

ラリトプール郡 DDC(District Development Committee)の職員数は 50
名。DDC の首長である LDO(Local Development Officer)は、MoFALD
の職員で、残りのスタッフは殆どが直接採用とのこと。

ラリトプール郡 DDC は、道路計画、都市計画、衛生改善、人材開発など、郡の
開発計画を所掌している。
2-38
別添-2 面談記録

防 災 の フ ォ ー カ ル パ ー ソ ン は 1 名 ( Mr. Sarita Mhraji / 携 帯 電 話
9841379500、訪問時には不在)。

ラリトプール郡の下には 41 の村(VDC)と 1 つの市がある。(ただし、ラリトプール
市は Sub-Metropolitan で規模が大きく、直接の指示系統にはない。)
<ラリトプール郡の防災計画>

防災計画の策定においては、 ラリトプール郡の回答とほぼ同一。(MoHA のガイ
ドラインに従い、CDO が中心になり、DDC の LDO、ネパール赤十字社、警察、消
防署が定期的にミーティングを行い作成した。防災計画の策定には、3~4か月を
要し、完成した 300 冊を製本の上、ステークホルダーに配布した。更新は 2 年後を
予定している。)
<KVDA との関係>

ラリトプール郡DDCは、郡の開発計画を担当しているため、定期的にKVDAとミー
ティングを行っている。毎月開催。(ただし、これまでの開催回数、参加者について
は未確認)。KVDAが計画や、法令を作り、DDCはそれに従い業務を行っている
とのこと。
<カデストラルマップについて>

カデストラルマップについてはDDCで保持していない。DDCにはデータ管理セクション
があるが、基本的にはソフトコピーのデータ扱っている。
38
1. 日時
2014 年 4 月 23 日 15:00~16:00
2. 場所
MoUD Office
3. 面談先
Ministry of Home Affairs, Ministry of Federal Affairs and Local
Development and Ministry of Urban Development (このうち、MoFALD は
急なアポイントが入ったため欠席)
Mr. Suresh Prakash Acharya(MoUD:Joint Secretary)
Ms. Shakuntala(MoUD)
Mr. Pradip K Koirala (MoHA:Under Secretary)
4. 出席者
米林徳人(地球環境部 防災二課)
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
冒頭、コンサルタント2人からリスクアセスメントに関するプレゼンテーションを行い、その後リス
2-39
別添-2 面談記録
クアセスメントについて以下のような意見が参加者からあった。

新しいリスクアセスメントにおいては、ボーリングデータ等の活用によって、カトマンズ盆地
の地理状況をできるだけ反映したものにしてほしい。

New Act(Disaster Management Act)が承認された後、防災に関する新しい
組織(National Disaster Management Secretary)が発足される。新しい組織
において、JICAのリスクアセスメントの結果を活用することは疑いがない。MoHAもでき
るだけのサポートをしたい。

病院や学校の建物は地震に強くなければならないが、現状は脆弱である。リスクアセス
メントで脆弱性を評価し、補強の重要性を明らかにしてほしい。

リスクアセスメントは被害を予測するだけでは十分ではなく、被害に対する戦略を立案
し、包括的なマネージメント体制を構築することが必要。

組織メカニズム(Institutional Mechanism)等、ソフト面の評価をすることも重要。

アセスメントの結果やカトマンズの脆弱性をどのように住民の啓蒙につなげ、理解しても
らうかが重要。
この日は時間内に結論が出なかったため、後日(4月25日7:30~)再度ミーティングを実
施することとなった。
(以上)
39
1. 日時
2014 年 4 月 25 日 7:30~8:30
2. 場所
Everest Hotel
3. 面談先
Ministry of Home Affairs, Ministry of Federal Affairs and Local
Development and Ministry of Urban Development
Mr. Suresh Prakash Acharya(MoUD:Joint Secretary)
Ms. Shakuntala(MoUD)
Mr. Pradip K Koirala (MoHA)
Mr. Gopi K. Khanal(MoFALD:Joint Secretary)
4. 出席者
米林徳人(地球環境部 防災二課)
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容
<MMの修正について>

MMのサインはJoint Secretaryでよいが、サインをするためにはSecretaryの事前承
認が必要である。

表紙に記載するMinistryの表記順はネパール語におけるアルファベット順(MoHA→
2-40
別添-2 面談記録
MoFALD→MoUD)とし、その旨注釈を加えてほしい。

2枚目の “National Disaster Management Act”ではなく、“Disaster
Management Act”に修正する。また、“Disaster Division” ではなく、“National
Disaster Division”に修正する。
<リスクアセスメントの内容について>

リスクアセスメントの目的を「Resilient City(災害に対し強靭な都市)」にすることとし、
MMにも明確に記載してほしい。

リスクアセスメントにどのくらいの期間、費用がかかるのか教えてほしい。
⇒内容やボリュームにもよるが、平均として1~2年かかり、1年目はデータ収集、2年目
はリスクアセスメントとレポートの作成。予算は1億円以上。大きくなると5億。

新しいリスクアセスメントにおいては、2002年の提言と比べてどこが変わったのかを明確
にしてほしい。そして、どのエリアが活用すべきか、活用に関するリコメンデーションを入れ
るべき。

すべての活動は提言に基づいて計画・実施されるため、JICAによる提言は非常に重
要だと考えている。JICAのアセスメントレポートは今後の盆地のマスタープランとすべきで
ある。

前回のJICA調査のリポートはただの参考資料として使われていたが、新しいアセスメン
トのレポートはすべての組織がFollowするものとすべきである。Environment
Impact Assessmentのように、Disaster Impact Assessmentを行うべき。

リスクアセスメントにおいて、2011年の国勢調査、ICIIMODが持つインフラデータが基
礎データとして有効。また、National Emergency Operation Centerまたは
WFPのウェブサイトにおいて、オープンスペース等の災害対応に必要なリソースに関する
情報が掲載されているため、参考になるだろう。

数年間でカトマンズ盆地の状況は大きく変わるため、将来予測が必要。
<その他>

これまでのネパール側の議論において、MoUDが本プロジェクトをリードし、MoHA、
MoFALDが補佐するという形を考えている。

2015年以降、NDMSは政府とドナーのコーディネーションを実施する。NRRCを排除
するつもりはなく、Reference Groupとして位置付ける予定。
本ミーティングにおいて、

NRRCがリスクアセスメントに関するレビューを行い、現状のギャップと今後の活動に必
要なものが特定される予定であり、その結果を待ってJICAは具体のスコープを決めるた
めの調査団を派遣。

新しい防災法が承認され、新しい組織(NDMS)が作られるまでは、3省共同でリ
スクアセスメントプロジェクトに取り組むこと

ネパール政府側は、リスクアセスメントに必要なデータを提供するものとすること。
2-41
別添-2 面談記録
について合意をし、各省のSecretaryの承認をもってMMを締結することとなった。
(以上)
40
1. 日時
2014 年 4 月 25 日 12:00~13:00
2. 場所
Ministry of Finance Office
3. 面談先
Ministry of Finance
Mr. Hari Prasad Pandey(Under Secretary)
4. 出席者
土井ゆり子(地球環境部 防災二課)
岡野鉄平(防災行政能力強化コンサルタント)
5. 面談内容
<MoF について>

国内の予算を管理しているのは、Budget and Programme Division、国外か
ら の 予 算 を 管 理 す る の は 、 International Economic Cooperation and
Coordination Division である。

ネパールの予算配分において、他の開発セクター予算と比較すると、防災管理の
優先順位は決して高くない。

NPC の役割は、Periodical Plan などの National Plan を作成することで、MoF
はそれに対して、予算の分配を行う。
<予算決定のプロセス>

各省庁の予算は MoF と NPC(National Planning Commission)により、上限
額が検討、決定される。Budget and Programme Division は予算計画策定
のガイドラインを作成し、各省庁に配布。それに基づき、各省庁が予算計画を策定
した上で、プロポーザルを Budget and Programme Division に提出し、MoF
内で検討される。

MoF は、各省庁、各セクターのポリシーや、戦略を踏まえた上で、予算を決定す
る。必要に応じて、各省庁の担当者とミーティングを持ち、予算内容を精査する。
<JICA プロジェクトにおける MoF の位置づけ>

今回のプロジェクトにおいて、R/D の署名に MoF を呼ぶ必要はない。MoF の役目
は、MoHA、MoFALD、MoUD が同意したプロジェクトに、最終的な予算の分配
を行うことである。

プロジェクトの進捗報告や、アウトプット活用のために、JCC に MoF や NPC といった
政策決定者が関わる事の重要性は理解するが、基本的には防災関連の省庁が
参加するべきだと考える。MoF が JCC に参加することについては、検討したい。
2-42
別添-2 面談記録
<KVDA の予算増加について>

KVDA の予算は、前年に比べて大幅に増加しているが、それは道路拡大などのプ
ロジェクトが多くあるため。プロジェクトが多ければ、その分予算は増える。国家予算
の分配の優先順位については、NPC と MoF が協議して決定する。
(今回ヒアリングを行ったのは、MoF の、International Economic Cooperation
and Coordination Division の Under Secretary であり、防災に関する話はあま
り聞くことは出来なかった。NRRC についても知らない様子であった。)
41
1. 日時
2014 年 4 月 27 日 11:00~12:00
2. 場所
National Planning Commission office
3. 面談先
National Planning Commission
Mr. Yam Lal Bhunsal(Program Director/Budget Section)
Mr. Mahesh Bhattarai(Program Director/Budget Section)
4. 出席者
5. 面談内容
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
今回インタビューを行ったのはNPC内のBudget Section。DRMについては
Administration Sectionが担当しており、NRRCとのやり取りもそこで行われているのでは
ないかとのことだった。Budget SectionではNRRCとの関わりがないとのことで、NRRCに関
する情報は得られなかった。
<NPCで策定する計画>
上位の計画から順に以下の3種類の計画を策定する。
・Periodic plan(Three-year plan):本来5ヶ年計画であるが、政治的に移行時
期にあるため、現状は3ヵ年計画となっている。すべての基本となる計画で、向こう3
年間の予算配分予定額も記載。現在は第13期。簡易版、詳細版の2種類があり、
詳細版を年度内にオーソライズする予定。
・Medium Term Expenditure Framework(MTEF):Three-year plan(本来
はFive-year plan)に基づき作成する3ヵ年の計画。
・Annual Plan:上位計画に基づいて作成。毎年の予算配分等の根拠となる計画。
作成においてはNPC各省庁にガイドライン(方針)が示される。
・Periodic Planについては、各省庁・地方自治体から情報を集め、NPC内で検討し、ドラ
フトを作成。ドラフトを基に各Line ministry、ドナー、専門家と協議を行うという流れ。
・第13期のPeriodic PlanはClimate Changeを大きな課題として設定している。昨年に
は、UNDP等のClimate change Budget codeを策定。これらは2012年のリオ・サミ
ットがきっかけとなっている。
2-43
別添-2 面談記録
<NPCが作成する計画における防災の位置づけ>
・第11期からClimate Managementが項目として独立し(DRMはClimate
Managementの一部という位置づけ)、第12期からDRMが独立した。
・現在、DRMに関する新しいStrategy paperを作成している(Administration
section担当から聞いた情報だとのことで、名前や具体に何を示しているかは不明)。
それを基に、新たに作成する第14期のPeriodic Planでは各分野においてDRM、
CRMを軸としたいと考えている。
・NPCにおけるDRM関連のセクション(Administration Section)が、DRMのLeading
AgencyであるMoHAをはじめ、各Line Ministry、ドナーを含めたコーディネーションを行
っている。
<予算配分決定までの流れ>
・新年度の6か月前に各セクターへの予算限度が示され、それに基づき各Ministryはプロ
グラムや活動を組み立て、NPCにプロポーザルを提出する。NPCはプロポーザルを検討
し、どのプログラムを実施するか否かを決定。その後、実施プログラムを基に、Ministry of
Financeによって最終的な予算配分額が決定される。
・同時に、プログラムごとに予算をつけるProgram Budgetの枠組みも有する。
<JICAアセスメント結果の活用について>
・2002年のJICAの提言が活用されなかったのは、当時のPeriodic PlanにDRMに関する
項目がなかったこともあるのではないか。今は項目として独立しており、2002年当時よりも
重要視しているため、JICAの提言を(必ずしもすべてではないが)反映できると思う。
・但し一方で、DRMは分野横断的であるため、DRMに関する項目が独立するだけでは不
十分で、あらゆる分野にDRMを踏まえたプログラムを形成してもらうことが重要だと考えて
いる。
・現在のPeriodic(Three-year) Planが2016年までなので、それまでに結果が出れば第
14期のPeriodic Planに反映することも可能だろう。
・Consultation等の形で、NPCがJICAのリスクアセスメントのプロセスに関わるのはよいアイ
デアだと思う。JICAのプロセスとNPCの政策をincorporateすることが重要。
(以上)
2-44
別添-2 面談記録
42
1. 日時
2014 年 4 月 27 日 13:00~14:00
2. 場所
Nepal Electric Authority Office
3. 面談先
Nepal Electric Authority
Mr. Ritesh Gupta(Assistant Manager)
4. 出席者
井上雅志 (地震災害リスク評価コンサルタント)
5. 面談内容

ネパール国内の発電は基本的に水力発電でまかない、ピーク時等電力調整の際に火
力発電を一部使用している。

電線は高架のほか、地中にも電線が存在している。

カトマンズ盆地内において132のグリッドに分けて配電している。

災害発生後の緊急対応計画等は存在していない。

高圧電線や電柱のデータはGISで所有しているが、地域の低圧電線のデータは
Kathmandu Regional Divisionが管理している。
当初のヒアリング対象者が急なご不幸のために不在だったため、エンジニアリング部門の方に
ご対応いただいた。なお、ヒアリング内で紹介していただいたKathmandu Regional
Divisionについては、調査期間中に担当者がアポイントを取ることができなかったため、話を
伺うことはできなかった。
(以上)
2-45
別添資料‐3 防災関連機関一覧
MoHA
(内務省)
防災担当部署
災害管理部の下に
災害調査研究課、
薬物管理課、
災害リスク軽減・復旧課、
緊急オペレーションセンター
(職員数:9名)
所掌業務
国家における災害管理行政の責任機関。防災管理の部局
を持っており、災害調査研究課、薬物管理課、災害リス
ク軽減・復旧課、緊急オペレーションセンターが設置さ
れている。
NRRCの評議委員会の議長、ならびに、CDRC(国家災
害管理委員会)の議長はMoHAが務める。また、新しい
防災関連の法律である災害管理法の審議においては、
MoHAの提案により新しい防災体制の検討が行われてい
る。
ネパールの防災分野における中心的な省庁の一つで、主
に被害軽減を担当。郡、市、村各レベルの地方行政が
MoFALDの直接の指示系統下にあるため、地方の防災を
所掌している。防災セクターに高い優先順位を置いてお
り、2013年に防災管理・地方行政計画課(Disaster
Management and Municipal Planning section) が設
置された。
実施中の活動
現在、NRRCのフラッグシップモデルの中で①緊急
対応②災害に対する法制度の整備。の2つを担当して
いる。緊急対応については、75の郡全てに緊急オペ
レーションセンターを設置、83か所のオープンス
ペースを整備、各開発地区に1か所づつ、計5か所の
備蓄倉庫を設置した。
また、全国の郡を対象に防災計画ガイドラインを作
成、配布し、郡の防災計画の策定を指導した。防災
計画策定は75全ての郡で完了している。
CBDRM(コミュニティー防災)においては、ソー
シャルワーカー、コミュニティーを対象とした研修
を実施。
郡、市、村を対象とした、地域防災リスク管理計画
の策定を推進中。
また、デブリマネジメントガイドライン(震災廃棄
物管理ガイドライン)を作成しており、現在最終ド
ラフトの段階にある。
計画している活動
現在国会審議中の災害管理法において、Exective
Committee(執行委員会)ならびに、NDMS(国家
災害管理事務局)を、MoHAが主導することを提案
している。新法が成立した後には、MoHAの調整機
関としての役割が増加する事が想定される。
住民移転について、Town Development Act(都市
開発法)という法律が存在しているが、その内容は
具体的ではないため、MoUDの都市計画課にて「住
民移転ガイドラン 」を作成したいと考えている。
その他
MoHA次局長は、JICAの調査終了後
の活用の観点から、MoHAがカウン
ターパートとして適切だと考えてい
る。
MoFALD
(連邦地方開発省)
防災管理・地方行政計画課
(職員数:8名)
MoUD
(都市開発省)
防災管理課
都市部における建築ならびに、水・衛生に関わるインフ
ラ開発を所掌する省庁として2012年に設置された。建設
に関しては、建築基準法、条例、基準の策定において権
限を持つ。防災分野では、復旧、ならびに被害軽減を重
視している。MoUDには、建築関連でエンジニアリング
のバックグラウンドをもつ職員が多く所属しているが、
複数にまたがる防災セクターの調整を行った経験がな
い。
建物の安全性に関しては、MoUDが建設基準法や土
地利用法などの法令を管理し、地方行政が実際の実
施機関となっている。また、病院などを対象に建物
耐震化の為の啓発活動を実施している。
国家防災戦略において、MoUDがリスク評価を実施
する旨の記載があるが、具体的な業務は実施してい
ない。
MoHP
(保健人口省)
保健緊急オペレーションセン
ター
災害時のResearch and Rescue がMoHPの主な役割であ
り、NRRCのフラッグシッププログラムでは、フラッグ
シップ1(病院)を担当。
災害時の対応のために、クリニックガイドラインを
MoHP庁舎の脇に、保健緊急オペレーションセン
ター(Health Emergency Operation Center)があり、 準備している。また、パタン病院の耐震化のため
災害時にはネパール全国の医療セクターの人材情報 の、資金提供パートナーを探している。
と、各地のヘルスセンターのGISデータが集められ、
関連組織が情報を参照することが出来るようになっ
ている。また同センターは災害時のため医療品の保
管倉庫としての機能もある。また、病院のリスク評
価はDFIDが6つの主な病院に対して行い、政府の資
金によりパタン病院の耐震化が進んでいる。
NRRCのフラッグシッププログラムでは、フラッグシッ
プ1(学校)を担当。防災教育と学校校舎の耐震化が、
MoEの主な担当業務。
DIFDの支援で学校の耐震化を進めている。一方、
WBをパートナーとした学校のリスク評価プロジェク
トは中止となった。
ネパール国内には公立と私立の学校が
あり、防災対策は公立の学校が先行して
しまう事が多い。しかしより危険なのは私
立の学校であるため、対策が必要だと考
えている。
国家予算の配分、決定が所掌業務。NPCと協議の上、開発
計画の中での、各省庁の予算を決定する。国内の予算を
管理するのが、予算・プログラム部、国外からの予算を
管理するのが、国際経済協力・調整部である。
各省庁の予算はMoFとNPC(National Planning
Commission)により上限額が検討、決定される。予
算・プログラム部は予算計画策定のガイドラインを
作成し、各省庁に配布。それに基づき、各省庁が予
算計画を策定した上で、プロポーザルを同部署に提
出し、MoF内で検討される。MoFは、各省庁、各セ
クターのポリシーや、戦略を踏まえた上で、予算を
決定する。また、必要に応じて、各省庁の担当者と
ミーティングを持ち、予算内容を精査する。
JICAプロジェクトにおいて、MoFがJCCに
参加するか否かは、MoF内で検討を要
する。
MoE
(教育省)
-
MoF
(財務省)
-
3-1
2014年7月を目途に、DPRP(郡防災計画/MoHA作
成)、LDRMP(地域災害リスク管理計画/
MoFALD作成)、DDMP(郡災害管理計画/
MOFALD作成)の3種のガイドラインをMOHAと協
働で1つに纏める予定。
また、防災に関する4年間の活動計画を作成中。国内
のNGOを交えて計画の内容検討している。
別添資料‐3 防災関連機関一覧
防災担当部署
NPC
(国家計画委員会)
KVDA
(カトマンズ盆地開
発局)
DUDBC
(都市開発建設局)
NSC
(ネパール地震セン
ター)
所掌業務
ネパールの政策の決定において、中心となる機関。国家
計画の上位計画から順に期間計画(Periodic Plan)、中
期支出枠組み(Medium Term Expenditure Framework)、
年度計画(Annual Plan)の策定を行っている。
実施中の活動
NPCにおける防災関連のセクションは管理課
(Administration Section)であり、MoHAをはじ
め、各関連省庁、ドナーを含めた調整を行ってい
る。
計画策定に当たっては、新年度の6か月前に各セク
ターへの予算限度が示され、それに基づき各省庁が
プログラムや活動を組み立て、NPCにプロポーザル
を提出する。NPCはプロポーザルを検討し、どのプ
ログラムを実施するかを決定。その後、実施プログ
ラムを基に、MoFによって最終的な予算配分額が決
定される。また、プログラムごとに予算をつけるプ
ログラム予算の枠組みも有する。
職員数67名
KVDAの主な所掌業務は、カトマンズ盆地における都市 KVDAが契約する10グループのコンサルタントチー
計画、土地利用計画の策定と、条例の制定。また、カト
ムが都市開発に関わるプログラムを実施している。
(将来的には、137名まで増
マンズ盆地内の各関連組織の調整機関としての役割を果
また、KVDAはUNDPのカウンターパートとして、
加する予定)
たす。KVDAはMoUD直下の組織ではなく、MoUDが
カトマンズ盆地のリスク評価を実施した。
チェアを務めるPhysical Development councilのメンバー
によって管理される。カウンシルのメンバーは、7名の局
長と3名の大臣から構成される。ただし、年度予算につい
ては、中央政府からMoUDを通じて、配分される。
Disaster Risk Management 24 の支所(5か所のAクラス支所、19か所のBクラス支
UNDPの支援により、建設基準(National Building
所)を全国に持ち、主な所掌業務は、都市計画の策定、 Code)の改定を実施。
Section
建築基準の施行と整備、地方政府の能力構築など。
また、耐震化建築を推進するため、石工へのトレー
(職員数:780名/全体)
DUDBCの定める都市計画に基づき、KVDAおよび各市、 ニングを提供している。
村が条例を作り、土地利用を管理することになってい
災害発生時に活用される、オープンスペース(83か
る。
所)のキャンプレイアウトデザインも担当した。
8名(カトマンズ支所)
DOS
(調査局)
カトマンズ郡DAO
-
石工に対するライセンスシステムの導入を検討中。
GISセクションがあり、データの管
理を行っている。
使用しているソフトウェアはArc GIS
Superintending
Geologist
の
Dr.Sapkotaは前回2002年のハザード
評価にも関与した。
ネパール国内のデータ管理
1:25000 の 地 形 図 ( GIS ) は あ る
が、2000年以降更新されていない。
DoSが持つデータの多くはこの10年
以上更新されていないとのことで
あった。また、航空写真(1998年)等
を所有しており、WEB上で申請する
ことで利用可能。
災害に関するセクションはなく、防災分野での活動も実
施していない。
-
2013/2014の予算が約3億2550万円(3億1000万ル
ピー)(財務省:Estimates for Expenditure for
fiscal year 2013/2014)、来年度予算は31億5000万
円(1,000百万ルピー)8(KVDAコミッショナー
談)となっており、KVDAの役割が拡大する傾向に
ある。
ネパール国内の地震の観測が主な業務。 強震観測拠点は ネパール国内の地震観測を実施。地震に関する情報
ネパール国内で21か所(うちカトマンズ盆地はNSCの をホームページに公開している。また、リアルタイ
ム地震観測及び警報については、発災後各省庁と緊
1か所)、GPS観測は7か所。
急オペレーションセンターに送られ、その後、各郡
に情伝達されるとのこと。
-
DOR
(道路局)
計画している活動
その他
第11期の期間計画から気候変動管理(Climate
Management)が項目として独立し(防災管理は気候
変動管理の一部という位置づけ)、第12期から防災管
理が独立した。・現在、防災管理に関する新しい戦
略ペーパーを作成している(具体に何を示しているか
は不明)。それを基に、新たに作成する第14期の期間
計画では各分野において防災管理、気候変動管理を
軸としたいと考えている。
道路の点検マニュアル(英語、ネパール語)を作成
しているが、災害の対応マニュアルは準備していな
い。
道路のデータはインターネット、も
しくはHIMS(Highway Information
Management System)Unitにおいて
購入が可能。
DAOは、住民カードやパスポートの発行などのアドミニ カトマンズ郡では災害の事後対応に重点を置いてい 2年後に防災計画を見直し、必要に応じた修正を加え CDO な ど の 上 級 職 は 、 中 央
ストレーション業務を行う。また、DAOの首長である
る。2012年には、MoHAのガイドラインに基づ る。
(MoHA)から派遣されている。
CDOがDDMC, DDRCの議長を務める。災害時には、警 き、郡の防災計画を策定した。
察や、VDCからの情報に基づき、DDRCが対応策を決定
する。DDRCの主なメンバーは CDO、LDO(Local
Development officer)、郡レベルの各省庁のChief, 市
長、村長、NRCS(Nepal Red Cross Society)※カトマ
ンズ盆地内3郡共通。
3-2
別添資料‐3 防災関連機関一覧
カトマンズ市
ラリトプール市
防災担当部署
Disaster management
Section(職員数:1名/そ
の他6名のKMC警察がサ
ポートメンバー)
所掌業務
中央省庁やその関連機関が策定した都市開発計画や、土
地利用計画を、実際に実施する事が市の役割。建設許可
の発行も市の所掌業務の一つ。
また、コミュニティ防災に関する啓発活動やトレーニン
グ、学校での防災教育など、コミュニティーに近い位置
から防災活動を実施している。
Urban Development
Division(職員数:22名)
下のDisaster Management
Section(職員数:5名)
中央省庁やその関連機関が策定した都市開発計画や、土
地利用計画を実行する実施主体。建設許可の発行も市の
所掌業務の一つ。また、コミュニティ防災に関する啓発
活動やトレーニング、学校での防災教育など、コミュニ
ティーに近い位置から防災活動を実施している。
-
DAOは、住民カードやパスポートの発行などのアドミニ
ストレーション業務を行う。また、DAOの首長である
CDOがDDMC, DDRCの議長を務める。災害時には、警
察や、VDCからの情報に基づき、DDRCが対応策を決定
する。DDRCの主なメンバーは CDO、LDO(Local
Development officer)、郡レベルの各省庁のChief, 市
長、村長、NRCS(Nepal Red Cross Society)
バクタプール郡DAO
バクタプール市
実施中の活動
KMCが特に重視しているのは、住民の意識向上と、
災害後の対策。市内の建物倒壊リスクが増加するの
を防ぐために、違法建設を止めるための啓発活動を
実施している。建設許可の過程で、申請者から少額
を出資してもらい、Disaster Risk Fundを積み立て
ている。現在10百万ルピーがプールされており、災
害時に活用される。2014年4月から全ての建設許可発
行の為の現地視察にコンサルタントを活用してい
る。現在5者のコンサルタントがおり、将来的には
その数を増やしていく。コンサルタントの報酬は市
MOFALDのLDRMPガイドラインに従い、20の区で
Word Committeeを設置した。月2回のミーティング
を開催し、LSMC防災セクションの担当者が直接
ミーティングに参加している。
また、NRCSやOXFAMのサポートで、住民に対する
トレーニングを実施している、毎週金曜日には建設
許可申請をしたハウスオーナーを対象としたワーク
ショップを開催している。
郡の防災計画を作成し、学校や警察、郡、NGO等に 2年後に防災計画を見直し、必要に応じた修正を加
える。
配布している。製本した防災計画の数は1000冊。
防災計画を作成した後の具体的な活動としては防災
セミナーの開催をしている。
Building Sectionに防災担当 中央省庁やその関連機関が策定した都市開発計画や、土
地利用計画を、実際に実施する事が市の役割。建設許可
者1名 (300名/全体)
の発行も市の所掌業務の一つ。
また、コミュニティ防災に関する啓発活動やトレーニン
グ、学校での防災教育など、コミュニティーに近い位置
から防災活動を実施している。
ラリトプール郡DAO
建設基準のために、建設基準法に加えて、自主的な
基準を定めており、柱の太さや、距離を決めてい
る。また、大きな建物については構造分析も行う。
建設許可を与える最終段階では、ハウスオーナーに
対するセミナーを開催している。
また、ネパール赤十字社と共同で、16ワード中9つの
ワードの学校で防災教育を実施している。内容は、
被害軽減のための事前準備と、災害発生時の財産の
守り方。
Administration sectionに防 DAOは、住民カードやパスポートの発行などのアドミニ 防災計画の策定においては、 MoHAのガイドライン
災担当者1名(35名/全体) ストレーション業務を行う。また、DAOの首長である
に従い、DAOのCDO(Chief District Officer)が中
CDOがDDMC, DDRCの議長を務める。災害時には、警 心になり、ラリトプールDDC、ネパール赤十字社、
察や、VDCからの情報に基づき、DDRCが対応策を決定 警察、消防署が定期的にミーティングを行い作成し
た。防災は複数のセクターにまたがるため、それぞ
する。DDRCの主なメンバーは CDO、LDO(Local
Development officer)、郡レベルの各省庁のChief, 市 れのセクター分科委員会をつくった。例えば緊急対
応については、消防署がリーダーとしての役割を
長、村長、NRCS(Nepal Red Cross Society)
担った。防災計画は300冊を製本し、学校や区、警察
などのステークホルダーに配布している。
ラリトプール郡DDC
防災担当者1名
ラリトプール郡DDCは、道路計画、都市計画、衛生改
善、人材開発など、郡の開発計画を所掌している。
KVDAと月次ミーティングを開催し、KVDAの定めた計
画、方針に従い都市開発を行う。
計画している活動
その他
数週間前にKKCの庁舎の耐震化を実施する事が決定
した。
NSETの技術的サポートの下、市内の建物の脆弱性を
カテゴライズし、場合によっては取り壊すことを計
画している
建設許可の発行について、UNDPの支援でEBPSが一
部で導入されている。現在はカトマンズ市下、7つの
ワードで運用がされており、将来的には35ワード全
てで運用する計画である。尚、建設許可申請は、15
~20件/1日。
MoFALDのガイドラインに従い5ヵ年計画を作成して LSMCがプレゼンテーション等に使
おり、その中で定められた防災計画を実施していく 用するGISデータ地図などは、IMO
予定。
から入手している。また、LSMCに
はGISセクションが設置されてい
る。
LSMC職員は、コミュニティーの防
災意識は徐々に高まってきていると
感じている。
2年後に防災計画を見直し、必要に応じた修正を加
える。
2年後に防災計画を見直し、必要に応じた修正を加
える。
2年後に防災計画を見直し、必要に応じた修正を加
郡の防災計画は、MoHAのガイドラインに従い、
CDO、DDC、ネパール赤十字社、警察、消防署が定 える。
期的にミーティングを行い作成した。防災計画の策
定には、3~4か月を要し、完成した300冊を製本の
上、ステークホルダーに配布した。更新は2年後を予
定している。
3-3
観光資源である世界遺産の寺院や宮
殿を、どの様に災害から守るかが課
題である。
別添資料‐3 防災関連機関一覧
防災担当部署
NRRC
(ネパールリスク軽
減コンソーシアム)
-
DFID
(英国国際開発庁)
-
WFP
(国連世界食糧計
画)
-
UNDP
(国連開発計画)
所掌業務
2009年5月に、MoHA、国連機関、主要なドナーにより結
成された。結成の目的は、①2009年に承認された国家防
災戦略で特定された課題に対する中長期的な支援。②防
災分野における政府機関とドナーを対象としたプラット
フォームの提供。③資金の調達と防災分野の技術的サ
ポート。の3点。
-
WB
(世界銀行)
-
計画している活動
2016年から2020年の期間でフェーズ2を実施する予
定。そのプログラムの優先事項の見直しのために全
国を対象としたリスク評価の実施を計画している。
この全国リスク評価においては、既存のリスク評価
に関する文献、データ、アプローチ方法などの情報
整理、検証を行う予定。
NRRCフラッグシッププログラムにおいて、1、2、4、5 WHOと病院の耐震に関するリスク評価、OXFAMと
を担当。NRRC事務局へのコーディネーター(Ms.Moira コミュニティ防災、早期警報システムの構築(活動
地:キルティプール、ナール、カラディ、カチャン
Reddick)の派遣を行っている。
プ、ポカラ)、UNDPと防災制度関連の活動、30か
所のEOCのサポート、Save the childrenとコミュニ
ティ防災、学校の耐震化、WFPと空港の防災
DUDBCと建物の構造管理研修を実施中。
地域プラン、国別プランに基づき活動計画を策定
し、自己資金、もしくはDFIDからの資金を使ってプ
ロジェクトを実施している。政府の緊急対応に関す
る、物流、通信に関する能力強化支援を行ってい
る。緊急対応のクラスターシステムによって、各関
連機関のプログラムが重複しないようにしている。
インドとの国境付近に倉庫にあるが、その食糧倉庫
のリスク評価は行われておらず、災害時の倉庫の安
全性についての予測は何もない。
2014年に物資倉庫のリスク評価を実施予定。
NRRCフラッグシップ5を担当。
1990年より、防災関連の小規模なプログラムを実施
してきたが、2009年にネパール政府と協議の上、 6
つの活動から成るCDRMP(Comprehensive disaster
risk management programme)を開始した。①防災
法制度整備、②メインストリーミング、③気候変動
適応、④CBDRM、⑤応急対応、⑥早期復旧。このプ
ログラム の中で、カトマンズ盆地のRisk Sensitive
Land usage plan (RSLUP)のために脆弱性評価を
既に実施している。
また、カトマンズ市、ラリトプール市にて建築許可
発行の手続きをオンライン化した、E-building
Permit System(E-bps)を試験的に導入している。
MoUDと連携して、2011~2012年に750か所の
Deepwell等の地下水の位置や災害時に利用可能かど
うかを評価している。
脆弱性評価を含む「 Comprehensive Study of Urban
Growth Trend and Forecasting of Land Use in
Kathmandu Valley」(報告書5種入手済み)は、2
015年に最終版として公表される。
学校に関するリスク評価は、C/Pである教育省のキャ
パシティ不足により、プロジェクト期間内に完了さ
せることが困難であるため、MoE、WB、GFDRRで
協議の末、中止を決定した。現在、残りの期間でリ
ソースをどのように活用するかを検討中。
学校に関するリスク評価は中止となったが、データ
セットは既にできている。クラウドソーシングを使
い、学校の情報(学校の位置、建物の階数、面積、
生徒数、職員数)を誰でも使えるオープンソースに
し、他の機関が再び同じ調査する無駄をなくすため
の仕組みづくりを計画している。
UNICEFはNNRCが実施する全てのクラスターに参加し
ており、多くのステークホルダーと関係しながら活動を
している。特に、発災後の緊急対応においては、特に
MoHA,MoUD, MoFALDと連携して、応急対応に焦点を
当てた準備を行っている。例えば、オープンスペースへ
の水の配給や、緊急対応ユニットの派遣等。
NRRCフラッグシッププログラムでは、フラッグシップ
3を担当。地震災害に関しては、2011年に全国のリスク
評価を実施、2013年には学校を対象としたリスク評価の
実施を計画していた。
3-4
その他
国連組織を含む防災関連のアクター
の調整については、課題も見受けら
れる。
DIFDの2012年~15年防災セクター
の予算は2,100万ドル。
今回ヒアリング時には不在であった
が 、 Disaster Resilient Adviser の
Mr.Sam Rose が 、 DIFDの 防 災 専 門
家とのこと。
NRRCフラッグシップ2を担当。緊急対応時には、緊急
対応(Response)の際には、NDRFのクラスターシステ
ムの中で、ロジスティック(クラスターリーダー:
MOHA)、食糧保全(クラスターリーダー:MOAD、
パートナー:FAO)通信(クラスターリーダー:
MOIC)を担当している。
-
UNICEF
(国連児童基金)
実施中の活動
5つのフラグシップ・プログラム①学校及び病院の安
全、②事前準備と応急対応、③コシ川流域の洪水管
理 、④コミュニティ防災、⑤災害リスク管理に係る
政策/制度への支援)を実施している。
物資倉庫のリスク評価については、
調査団が帰国後に情報を入手した。
別添資料‐3 防災関連機関一覧
防災担当部署
OCHA
(国連人道問題調整
事務所)
-
トリブバン大学
所掌業務
OCHAは、AIMTGTM(Association of International
NGOs Task Group for Disaster Management)におい
て、技術的サポートを行う役割を担っている。OCHAが
持っているデータは一次データではなく、加工された二
次データである。
実施中の活動
計画している活動
ネパールで唯一、地震に関する学科を持つ大学
同じく地震の研究を行うNSCとの交
流、連携はほとんどない。
NSET
職員数;90名
ネパールの防災において、幅広い分野で活動を展開する
NGO。NGOではあるが、コンサルタントとしての機能
と、能力がある。USAIDと毎年1~2のプログラムを実
施している他、UNDP/WHO/UNICEF/UNESCO/
HABITAT/UN等、多くの関係機関とプロジェクトを実
施。 WBやADBから直接資金提供を受けている。
その他
3つのコンポーネントからなるPPP(Public Private
Partnership)を実施中。①国内30~40のラジオ局と
連携して防災に関する番組を放映。②セメントやス
チール等の民間企業と共同出資して防災関連の広告
を掲載。③20~30の建物の区画を対象とした都市再
生計画。(区画を取り壊しての再開発)。
3-5
Fly UP