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in 元町 - 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団

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in 元町 - 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団
■テーマ
在宅医療を理解するための市民講座(in 元町)
■申請者名
札幌市東区東部地区在宅医療連携協議会
(タッピーねっと)
代表
星野
豊
■助成対象年度
2014年度後期
■提出年月日
平成27年8月26日
■開催日時
平成27年6月13日(土曜日)13時~15時
■開催会場
元町まちづくりセンター(札幌市東区北20条東20丁目)
■主催
札幌市東区東部地区在宅医療連携協議会(タッピーねっと)
医療法人社団 豊生会
■後援
札幌市
■事務局
医療法人社団 豊生会本部 地域包括ケア推進部
■開催の目的
タッピ―ねっとは、平成24年度「厚生労働省の在宅医療連携拠点事業」を
受託し、超高齢社会の到来を見据え地域住民が住み慣れた地域での生活を支え
るために、地域の皆様と伴に、医療・介護に携わる多くの職種の方々と協働で
の支援体制を構築し、地域における包括的かつ継続的な在宅医療を提供するこ
とを目指しております。
今回の市民講座は、次の3点を目的に開催するものです。
1点目 一般の市民の方に「在宅医療」について理解していただきたい
(1) 市民の皆様に、「在宅での看取り」について知っていただき、最後を迎
える方にとって、また家族にとって、住み慣れた自宅や施設での看取りが、
「医療」と「介護」の連携により安心してできることをご理解いただくこ
とを目的としています。
(2) 市民の皆様に、終末期における「自分の考え方」や「終末期医療の実際」
などについてご理解いただき、最後まで自分らしく生きていくことについ
て関心を持っていただくことを目的にしています。
2点目 在宅医療をチームで提供できる体制を構築していきたい
(1)市民の皆様が出来る限り住み慣れた地域で在宅を基本として生活でき る
ように、医師・看護師・薬剤師・ケアマネ・ヘルパーなど医療・福祉の多
職種がお互いの専門的な知見を活かしながら、患者様・ご家族様ともに在
宅医療を支えるチームとして対応する体制を構築することを目的にしてい
ます。
3点目 在宅医療に対しての意識改革を進めていきたい
(1) 在宅医療について、市民の皆様を中心にして、医療・福祉及び行政等の
多くの関係者が一堂に会し、様々な立場の方の話しを聞くことにより、多
死社会を迎え、誰もが避けられない「老化」や「死」、本人の「生き方」
にしっかりと向き合う医療へと意識改革につなげることを目的にしてい
ます。
■参加人数
70名
■アンケート回収数
41名
■市民講座の内容
別紙報告書の通り
■添付資料
①在宅医療を理解するための市民講座(in 元町)プログラム
②在宅医療を理解するための市民講座(in 元町)掲載記事
介護新聞 6月25日付け
今回開催いたしました「在宅医療を理解するための市民講座(in 元町)は、「公
益財団法人在宅医療助成勇美記念財団」の助成により行いました。同財団のご厚
意に深く感謝申し上げます。
■感想
○今回の区民講座は、地域住民の要望により行った。
昨年開催した「在宅医療を理解するための市民講座」に参加した元町地区
の住民が、在宅医療について身近な問題として捉え、もっと積極的に住民自
ら考える必要があると考え、タッピーねっとに開催の要望があり、今回元町
連合町内会地区で行ったものです。
○在宅医療を進めていくためには、医療・介護の関係者の理解だけではなく、
一般住民、町内会などの理解が必要。
今回開催して、地域の住民は、「在宅医療とは何か」「最後まで自分らしく
どう生きるか(リビングウイル)
」
「どこで亡くなるのが良いのか」
「死を目前
にしたとき、残された時間をより良く生きるためにはどのような選択肢が最
善なのか」「制度・体制が分からない」・・・・・について、医療介護の専門
家と地域住民が一つのテーブルでグループワークができたことは非常に価値
があることと改めて考えました。
○地域社会では、高齢者の見守り活動が重要になってきている
地域社会においては、一人暮らしの高齢者が増加しており、見守り活動の重
要性など、様々なネットワークで、地域で安心して暮らしていきために支援し
ていくことが必要と実感されております。
○在宅医療の理解には継続が必要
在宅医療に関する理解を進めていくためには、様々な機会をとらえ、地域の
住民と医療・介護関係者がコミュニケーションをとる機会が益々必要になると
考えております。
在宅医療を理解するための
市民講座(in 元町)
■日時:平成2
7年6月1
3日(土曜日)
1
3
:
0
0∼1
5
:
0
0
■会場:元町まちづくりセンター
(札幌市東区北2
0条東2
0丁目)
■主催:タッピーねっと(札幌市東区東部地区在宅医療連携協議会)
医療法人社団 豊生会
■後援:札幌市
札幌市東区東部地区在宅医療連携協議会(タッピーねっと)
医療法人社団 豊生会
※公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の助成を受けて、今回の市民講座を開催いたしました。
開会挨拶
高齢者が安心して暮らせる街づくり
札幌市東区東部地区在宅医療連携協議会
(タッピーねっと)
代表
星野
豊
本日は土曜日の午後という大変お忙しいところご参加いただきありが
とうございます。
タッピーねっとは、札幌市の東区全体の人口の3分の1程度をエリア
とする地域(東区第2地域包括支援センターと同一区域)において、医
師・看護師・薬剤師・福祉関係者など多くの職種の皆さんがお互いの専門的な知見を活かしながら、
在宅医療を支えるチームとして対応する体制づくりを進めてきました。今年で4年目になります。
札幌市の人口は、今年度がピークで今後減少していくようですが、さらに1
0年・2
0年後には高齢
者はさらに増えると予測され、いよいよ超高齢社会に突入していくと思います。
今春発表された札幌市のアンケート結果によると、8
0%以上の方が「住み慣れた地域で、最後ま
で暮らし続けたい」
。また「最後を迎える場所として、5
5%以上の方が病院などではなく、何とか自
宅でと考える」という結果でした。
これから安心して暮らせる街づくりには、地域でのフォローが求められます。今日は在宅医療と
いうことで勉強させていただきますが、在宅医療について先駆的に積極的になさっておられます、
豊平区の旭町医院の堀元先生に基調講演をお願いします。さらに、在宅でお母様を看取られた貴重
で大切なご経験談を永井さんにお話しいただきます。
高齢者とそのご家族が安心して暮らせる街づくりを進めるために、本日は地域の町内会、老人ク
ラブをはじめ民生委員、行政など多くの方にお集まりいただきまして、在宅医療を理解するための
市民講座(in 元町)を開催したいと存じます。
(司会)
いてご理解いただき、最後まで自分らしく生きてい
くことについて関心を持っていただく。
札幌市東区東部地区
"市民の皆様が出来る限り住み慣れた地域で在宅を基
在宅医療連携協議会
本として生活できるように、医師・看護師・薬剤師・
田原
伸一
ケアマネ・ヘルパーなど医療・福祉の多職種がお互
いの専門的な知見を活かしながら、患者様・ご家族
本日の市民講座(in 元町)は、
様ともに在宅医療を支えるチームとして対応する体
次の3点を目的にして開催した
制を構築する。
#在宅医療について、市民の皆様を中心にして、医療・
いと考えております。
!市民の皆様に、
「在宅での看取り」について知ってい
福祉及び行政等の多くの関係者が一堂に会し、様々
ただき、最後を迎える方にとって、また家族にとっ
な立場の方のお話を聞くことにより、多死社会を迎
て、住み慣れた自宅や施設での看取りが、
「医療」と
え、誰もが避けられない「老化」や「死」
、本人の
「介護」の連携により安心してできることをご理解
「生き方」にしっかりと向き合う医療へと意識改革
いただくこと。また、市民の皆様に終末期における
につなげる。
「自分の考え方」や「終末期医療の実際」などにつ
よろしくお願いいたします。
2
ご来賓挨拶
●札幌市元町連合町内会長
本村
上の高齢者の増加と就業人口の減少です。
良一 氏
2
0
1
0年現在における7
5歳以上の人口は1
4
0
0万人です
が、2
0
4
0年には2
4
0
0万人まで増加した後、この規模で暫
くの間推移する一方で、就業人口が現在の規模の6千
昨年度行われた「東区第1回
在宅医療を理解するための市民
万人から4千万人台まで減少し、介護人材だけでなく、
講座」を今年度は是非元町地区
1次から3次までの産業を支えるべき就業者を十分に
で開催しようと「タッピーねっ
確保できない事態となることが、もう一つの大きな問
と」と相談し、開催することが
題です。
事実上、日本経済全体が人材不足に陥ることになる
できました。
元町にお住まいの後期高齢者である7
5歳以上の独居
訳ですから、介護人材が必要不可欠と言えども、大量
者は約3
0
0世帯(全体の世帯数は1万世帯)です。6
5歳
な人材を要する施設介護に十分な人材を配置すること
以上の高齢者では5
0
0世帯を超えると思っております。
はできないことが予想されることを考えますと、いま
昨年、独居老人の方にアンケートを行いました。
「どの
のうちから在宅医療の在り方について必要な議論をし、
ような生活をしているか?」
「ヘルパーやデイサービス
必要な施策やこれを動かす地域社会づくりを早期に進
の活用法」など色々な意見を伺いました。今回は在宅
めることが肝要なのだと思います。
医療という、私どもが期待している内容のワークショッ
本日、皆様から学んだことを自治体のチャネルで国
プです。非常に参考になると期待しておりますのでよ
にも伝え、少しでも有効な施策づくりに役立てること
ろしくお願いいたします。
ができればと考えております
*
*
●札幌市東区保健福祉部長
三上
●札幌市医師会東区支部長
修一 氏
山本
秀樹 氏
タッピーねっとの代表の星野
6月5日の報道によると今後、
首都圏では急速に高齢化が進む
先生、並びにスタッフの皆さん
結果、1
3万人の医療介護サービ
には大変お世話になっておりま
ス不足が想定されます。打開策
す。星野先生におかれましては、
として首都圏の高齢者を、北海
東苗穂病院を中核として介護医
道や沖縄などに移住させてはどうかといった提案が日
療の施設を多数展開され、われわれ札幌市医師会会員
本創生会議からなされたところです。
も大変お世話になっております。
この提案内容の是々非々は別にして、日本の人口減
只今、三上部長さんがお話しになったように、お年
少・高齢化に係る問題がそれだけ深刻なのだというこ
寄りは地方に行きなさいというお話しですけれど、地
とが読み取れるものと思います。
方にそのような受け皿が十分に整っていない場合には
実現しえないものであります。
人口の自然増減の面からみると昨年、日本全体で亡
くなった方は約1
8
0万人。これは、ほぼ青森県の人口規
行政も本格的に取り組んでおり、
「医療と介護がうま
模に匹敵するのですが、昨年1年で日本の中から一つ
く連携して、いわゆる地域包括ケアを整備しなさい」
の都道府県が消失したことになる訳です。
ということで進んでおりますので、本日の市民講座も
その一つとして皆さんのお役に立てるものとして考え
もちろん1
6
0万人の新たな命も生まれていますので、
ております。
青森県クラスの自治体が日本の中からなくなったとは
単純にはいえませんが、出生数との差である2
0万人分
今後もタッピーねっとの取り組みにつきましては、
の人口減少となり、今後、この差はどんどん拡大して
我々札幌市医師会東区支部といたしましても全面的に
まいります。
バックアップしてまいりたいと考えておりますので皆
様よろしくお願いいたします。
人口減少・高齢化のもう一つの問題は、生産年齢人
口が減少し、介護が必要な年齢の分岐点である7
5歳以
3
基調講演
基調講演というほど立派な講演ではありません。雑
学として聞いてください。
在宅医療とは人生と生活の話なのです。立派なこと
を言ってもダメです。気楽に聞きながら「そうかね、
そうではないんではないかね」と思いながら聞くのが
一番よろしい。
本題に入る前に、7月5日に沖縄から7
0人を超える
市民コーラスグループ「美らボイス」が北海道にやっ
て来ますのでPRさせていただきます。
私は沖縄の大学出身であり、家内は沖縄生まれで、
今は県の仕事をちょっとやっております。そんな関係
で(札幌公演を)受けて貰えるかと依頼され「僕らは
良いですよ」と相手に言ったのです。何で良いかと言っ
たら、沖縄の歌というと民謡というくくりがあります
けれども、ずうっと歌が生きている文化なのですね。
その中でいろんな人生だとか、親子だとか、兄弟だと
か、あるいは地域だとかを歌っている良い歌がたくさ
んあります。
コーラスだけではなく、太鼓が来たり踊りがあった
り最後は僕も含めて舞台に上がって踊れ、というんです。
お祭りみたいなもんですね。できれば見てください。
院
長
堀
元
旭
町
医
院
内
科
在
宅
診
療
看在
取宅
りに
をお
考け
える
る
在宅における看取りの話、本題に戻りましょう。
「東京でサービスを受けられない高齢者を、北海道や
沖縄などに移住させてはどうか」という提案がなされ
ていますが、そんなもんじゃなかべと思うんです。お
年寄りが多くなるの、4
0年前からわかっているんです
よ。
医療は進歩する、環境は良くなるということで、お
年寄りが多くなるのは4
0年前からわかっていたのです
よ。4
0年前からちゃんとすれば、今アタフタしなくて
良かったのに。
今から2
5年前、ゴールドプランというのが出ました
が、名前だけゴールドで中身ボロボロさ。さっぱり実
進
現されていませんね。何故かといったら、お役所の頭
氏
学生の前倣えみたいに簡単ではないっていうことです。
で計画したって、生活とか人生とはそんな簡単に、小
4
人々には暮らしへの愛着だとか、コミュニティだと
う何年間、もしくは何か月間か含めてね、その死とい
か、いろんな事があるでしょ。
うものを人生の中心に据える時期があります。ですか
そういったものを抜きのお役所仕事では、今後もダ
ら決して息引き取ったから、死ではないということで
メだなと思いますね。
す。
医療費は3
0何兆円、国家予算の一般予算の半分にな
常に死と隣り合わせで暮らしていることを
ろうとしている、それを何とかしようと「減らせ、減
想像できるか?
らせ」でね。今度検討しているのは1割に据え置かれ
ている高齢者の特例を2割にしていくとか、さまざま
人生の最終過程として、死というものをちゃんと捉
な帳尻合わせを考えておりますから、今後も制度的に
えなければ、人間の終わりである人生の死が捉えづら
は良くなる訳ないのですよ。これ仕方ないなぁという
い。
考え方なのか。
私の患者さんで9
9歳のおばあちゃんを一例にあげる
そもそも国づくりはもっと大きな思想で物を考えな
と、その、おばあちゃんが死ぬ何日か前に、僕に「ま
がら、地域にもっと密着した社会づくりをする。街を
だ生きんだべか?」って聞くのです。はっきり今でも
作って、地方を作って、国を作らなければだめだね。
僕の耳に残ってる。
そのためにはやっぱり地域の力で何ができるかを、やっ
素晴らしい言葉の9
9歳だよ。胸にずっしりときて、
ていくのがこれからの仕事だと思うので、今日みたい
あんまり生きられないと思うけれど、明日死ぬとも、
な会はとても役立ちます。
明後日死ぬとも言えないので「まあ、そうさなあ」と
言うと「まあ、生きてるも死んでるも、たいして変わ
人生の最終過程として
んない」と、おばあちゃんが言うから「そんなもんだ
死を捉える
なあ」と会話したのを覚えてます。
昭和3
0年ぐらいまで、今から5
0∼6
0年位前は自宅で
在宅医療の場合、患者の治療だけではありません。
死亡する人が8
0%以上だったのですね。僕のおばあちゃ
家庭とか親子とか人生全部、全部治療。医療は1割く
んなんかもそうでしたが「家である日亡くなった」と
らいのものでしょう。
いう感じでした。
人の一生を考えると当たり前だけど、子供の時は傍
から見ても可愛いわ。触ってみたらプチュプチュの皮
膚は舐めたくなるほど。段々大きくなってメンコクな
くなって、言う事を聞かなくなって、最終的には成年・
老年。それこそ世間の邪魔扱いされるような、そうい
う人生ですよ。
だけど、これが人の道で生物の道なんだな。これが
お釈迦様がいう人生です。たまには病気やいろんな不
幸なことで死んじゃう人もいるけど、だいたい乳児か
ら大人まで成長して人生を送る。やがてだんだん衰え
医療機関における死亡割合の年次推移
て、もう一頑張り山を登る人、あるいはウロウロしな
国民皆保険ができたのが昭和3
6年ですから、その後
がら年とっていく人、いろいろですよね。
ボチボチ出てきた病院が、昭和4
0年位から経済の動き
1
0
0歳を超えても講演活動している日野原先生は今1
0
2
と合わせてガバガバと建ってきます。日本の国が豊か
歳。まあ、シャキッとして立派ですけれど、支えてい
になったから病院ができるようになった。
る先生から聞いたら、人前ではシャキッとしているけ
昭和5
0年以降、段々「病院で死ぬ」となっていった。
れど普段は周りが大変だそうです。何をなすべきかわ
今、家で死ぬということは特別な事。何故かといえば
かっている人は結構シャキッとしている。だから個別
在宅の医者・訪問看護に来てもらわなきゃいけない特
ですね。人間の力って。
別な事。普通、具合が悪くなったら病院に行って「残
人の死を考えるとき、いろいろありますよ。先日の
念ですけど、この薬が効かなかったらもうダメですね」
砂川で起こった、悲惨な交通事故で一家が亡くなるケー
という流れですかね。
スもあれば、病気で急にとか、年齢とともにゆっくり
「死ぬ」ということはどんなことか、やっぱり真面目
病気だとか加齢だとかで亡くなるようなこともありま
に考えなきゃダメですよ。生物学的にはボコッと心臓
す。だから人は常に死と隣り合わせで暮らしているん
止まって、呼吸止まって死ぬけれど、人生の最終段階
ですよ。ただしどこまで意識するかっていうのは、年
のポイントでもあります。死はポイントではなくて、
齢だとか状況だとか、いろんなことで違う。
その前後を含めて自分にとってみれば、その死に向か
しかし、根本的には今日・明日というニュアンスと、
5
もっと先という二つの方がいいんですが、死を意識し
う根源的なテーマなんかはドイツ文学読むとメインの
死を内なるものとして持っている人生か、持たない人
テーマです。それは自然が、シュワルツバルツ(黒き
生か、深みが違うと思うんで、自分の死だけじゃなく、
森)を背景にして人が村を作り、生活の営みをする。
自分にその意識があれば、人の死というものを受け止
その中で人生を送る。
める想像力が出てくると思っております。
そうした時に、あの黒い森の奥に何があるのか、道
在宅で死ぬ割合と病院で死ぬ割合が拮抗し始めた5
0
もない時代にあの森の奥は何なのか、それは闇なんで
何年前はどんな時代かというと、僕の住んでる豊平区
すね。
旭町も田舎でしたよ。父が開業していた診療所と自宅
たぶん生きるということは光の中に命を受けてるわ
のそばにはバラ線があってドブがありました。
けだけど、やがてどこかに帰るのであろう、という根
そのころ昭和3
2年にヒットした映画「喜びも悲しみ
源意識は人間の精神の中には宿っているのであろう。
も幾年月」は灯台守の一生、こういう映画の中で描か
沖縄では、お墓は母体
れているのは何だったのか。フィクションの中に現れ
亡くなったらお母さんの体に戻り、眠る
てくるノンフィクション。そういったものって結構人
生ありますよね。いろんなことがあったけど家族・夫
沖縄には、太陽が昇る東の方向に豊穣の国があると
婦が協力して困難を乗り越えて、子供たちがやがて育っ
いう信仰がある。太陽とともに豊かさや人の命、ない
ていって。人生さまざまな中で人が生きるってことは
しは生命のエネルギーがもたらされる。そして恵みも
どういうことかを描いている。
もたらされる。
1
0
0年も2
0
0年も前じゃない。たった5
0何年位前。こう
当たり前だけど僕たちは太陽エネルギーで生きてる
いう時代から今のように急激に日本社会が変わってき
んです。世界の宗教の中で太陽を拝むという所がいく
ました。
つかある。文化形態として。やがて、エネルギーを得
世界でトップの高齢社会、医療にしてもなんにして
て暮らす中で、今度はどこに帰っていくのかを考える
も僕ら、わかった風な治療してますが、あんまりわか
文化がある。
んない。教科書を書くだけの内容がない。正常データっ
沖縄のお墓は亀甲墓といって、考え方としては母体・
て普通の人のデータだから。1
0
0歳を超える人を5人く
お母さんの体。お母さんの体から人間は出てくる。亡
らい見てるけど、ないです。だから自分の中で調整す
くなったらお母さんの体に戻って行って眠る。こうい
るしかありません。
う考え方がある。そういうお墓があるということは死
生観、生きている、死んだあと、そういったものの一
死をもって自分以外の人に
つの文化のあり方です。また、
「清明祭」といって、お
どういうものを残していくのかを
墓で皆で弁当食べたりする。死者と生者が年1回とも
考える時期でもある
に会食して、今の世とあの世を行き来しながら祖を敬
死というものは、最近病院ではどんなふうに行われ
い、生きている自分たちを確かめるという文化は沖縄
ているかと言えば、医療技術の限界から規定される死
だけではありません。
です。
「この抗生物質、効きませんでした、この病気か
東南アジアや南洋諸島とか結構ある。日本の場合、
もしれないから、この治療をやってみたけどダメでし
ある意味型式じゃなく残っているのは沖縄。お墓は、
た…」
。医療技術を持って晩年の人を診るのが、今の病
古くは崖みたいなところに穴を掘って洞窟みたいなと
院の医療であります。しかし、歳とともにどうにもな
ころに作った。市営の墓地も崖の前を切り開いている。
らん病気だとか、歳だとかで何をやってもダメな時だっ
だから自然の中に抱かれた存在である、というような
てある訳です。そういう時は「要らん医療はするべき
考え方がベースになっている。
ではない」と僕は思うし。ただ病院には病院の役目が
人間の生き死にだね、死というもの、それがあって
あるし、だから一概には言えない。
今の生というもの、生きてる時の意味が意義付けられ
われわれがもう一つ意識しなければならないのは、
る。そのあたり、軽いにせよ重いにせよ、皆少し考え
人生の最終段階で、その死をもって自分の人生が終わ
ながら生きてるんだと思うのだけど、今は経済の力が
るんだ。死をもって自分以外の人にどういうものを残
すごく大きく、人間が粗末にされる時代。世界は経済
していくのかと、そういう事を考える時期でもある、
のエネルギーで動いている。世界中が一つの国みたい
ということが大事。
になって、経済のエネルギーで動いているために、人
人間死んだらどうなるのか、宗教とかいろいろある
間一人ひとりの価値がなかなか大事にされない。
けれど文学とか読んでいると、人間というものは何処
僕たち医療とか地域に関係する人、福祉に関係する
かに帰っていく、というのが出てくる。
人、保健に関係する人、生の人間に接する人間は割り
たとえば、人はどこから来てどこに行くのか、とい
と社会の問題を感じることが結構多い。
6
先ほど言ったドイツ文学に一つの人生観・自然観、
今は、その人間が動物的な勘を活かす機会が減って
そのあたりというのは闇と光という問題なんですけど
いるような気がします。
今日は時間がないので触れません。
看取りは、死にゆく人とそれを看てあげる人との
最後の交流
看取るということを考えれば、言葉を分ければ「看」
は看病の看、ただの見る・黙って観てるだけじゃない。
病院でお見舞いに行ったときは黙って見てることが基
本なんです。
例えば、具合が悪くなって苦しそうになった時に先
生、看護師さんがダダダって来て「家族の人、処置す
るから出てください。
」って言われて出なきゃなんない。
看 取る
↓
↓
看病 受け取る
「看取り」
どこで人生の最終段階と決めるか
これなかなか難しい
【看取りをする人に必要なもの】
・想いの共有と別れの覚悟
高齢者住宅で亡くなったご老人がいました。独居の
・人生を引き受ける意志
人でした。だけど、自分は絶対病院行きたくないとい
うことで、
「最後まで、自分が死ぬときには最後までこ
だから本当の意味で、苦しくなったり終末になった
こで居るから診てくれ」と約束したから、この人は肺
ら患者さんの側にはいられない。
炎で死にましたけど、
「自分が悪くなったときは寿命な
だけど、家ではどうか。居たくなくても居たくても、
んだから何もするな」となって何もせず施設で亡くなっ
居るんだ、家族が。だから看るんだ。これが看取りの
た。
「看」なんだ。
僕はそうやってちゃんとお約束しとけば、相談しと
「取る」とはなんだ。こいつ財産あるからちょっと取
けばだいたい看られるような気がします。
るか、という財産じゃない。
7
0歳位の女性患者さんの場合、ある日だんだん食べ
その人の人生を受け取ることの「取る」なんだな、
られなくなって数日たってだいぶ弱ってきた。僕が往
これは。
診に行ったら「昨日お父さんと二人でいい物作った」
看取りの意味というものをあえて定義づければ、死
という。葬儀に使う自分の思い出写真集を作った。葬
にゆく人とそれを看てあげる人の、人間としての最後
儀にこれがあれば後は何も要らんと。立派なもんでし
の交流なんだ。
たねえ。
片一方じゃない、交流なんだ。言葉があるなし、関
亡くなるということは、つまり出処進退の「退」だ
係ない交流なんだ。そして、何かを貰うんでしょうね、
な。これは難しいんですよ。出ていくのは勢いとかい
多分。死んでいく人は消え去るわけだから、残ってい
ろいろあれば出来る。出処進退の「退」
、退いてく時に
る人は何かを貰うんだな。
は人格が問われるし、人への配慮、いろんなものが問
だから看取りに必要な場は病院では難しいですよね。
われます。
自宅であったり、環境的には本当は自宅で看取ってあ
一昨日、死亡診断書を書いた患者さんのことをお話
げたいのだけれど、家族介護力がなさ過ぎるというこ
しましょう。普通の場合、白血球は4
0
0
0台とかですが、
とで、施設で看取るということもあります。
これ1月に4
0
0
0、5月に5
0
0
0、この人は6月になったら
僕が施設の看取りをしょっちゅうやっているという
骨折しました。9
5歳くらいだったかな。骨折してです
のはそういう意味です。やはり人がいなければだめだ
ね、整形外科を受診させました。
な、家族とか在宅にかかわる人がちゃんといないとダ
しかし、これは処置の適応じゃないということで、
メだ、という話。
そのまま折れた骨が着くのを待って、うまく着けば良
昔はこういうのは何もない。ある朝死んでた。
「いや
いだろう、着かない場合はいろいろ起るのだろうな。
あ、まあ、いい人生だったんでねえか。
」それで、終わっ
家族もみんな納得して帰ってきて、発熱4
0℃近く出て、
たでしょう。というのは、日々「ばあさんそろそろ歳
9
0何歳で3
9℃くらい出ることは凄いことですね。白血
だから」
、意識するかしないか判らないが「そろそろ歳
球9万なんて普通の病態じゃあり得ない。それはやっ
だから、やがて死ぬべなあ」というのを感じ取る力は
ぱり骨折ですね。骨髄に絡む感染その他があったんで
あったんですよ。
しょ。
7
それはどういう事かといえば、病院だったら当然で
かなというのが僕の感じであります。
すが抗生物質使いますよ。しかし、この年齢でこうい
医療・保健・福祉、国の制度というのはある程度間
う状態だったら、これは「死に病」と判断しなきゃな
に合わせだからね。福祉にお金まわすと言って消費税
んない。あまりとんでもないから翌日も診ました。5
上げるわけでしょう。今の計算で賄うためには2
5%以
万くらいありました。同じです。9万も5万も同じで
上の税が必要でしょうね。それが5%から8%上げて、
す。千単位の世界が1
0万近いのは異常ですから。
上げた分を全部回しますと言って、実際数値見たらほ
それから何日間かはアイスとかゼリーをちょっとず
とんど回ってませんね。ですから、税金が上がったら
つ食べさせてあげて、最後の1日2日は水を浸す氷く
それがどこに行ってるかとか、彼らが言ったこと本当
らいかな。それで一昨日亡くなりましたけど。
に守っているかとか、見なきゃいけないと思うんです
在宅の看取りとはどこからが「看取り」なのか、ど
よね、僕たち市民は。
こで人生の最終段階と決めるか、これなかなか難しい。
結論的には、トップダウンではなく、われわれで何
血液検査は判断の材料になることもあるんだが、その
とか自分たちの力を集める地域力を考えたい。何故か
ベースとして、血液検査で決めるのではなくて、やっ
というと、人と人がつながるという事。人は困った時、
ぱり大きく診て、その人はどれくらいの人生の段階な
助けを求めます。遠くの親戚より隣の人ですよ。これ
のかを医者側も看護側も家族もみておく必要があると
はすごい大事なことです。それが生きているのが社会
思います。
ですから。その社会を大事にしましょう。伸ばしましょ
ちゃんと周りが看て、そこに適するケアができれば
う。大きくしましょう。
在宅医療・看取りはできる。
看取るというのは、人の死に立ち会う事だけではな
まとめると、必要なものとして「想い」は共有でき
く、死にゆく人に別れを告げて、また、その人から何
ていなきゃダメなんですね。自分がこれから引き受け
らかの、何かを貰うのではないかな。生きている人間
ていくという覚悟を持ちながら、
「想い」を共有できて
は、自分だけ生きているんじゃないんじゃないかな。
なきゃいけない。
沖縄の話をしましたけど、沖縄では地上戦でたくさ
んの人が亡くなり、一家全滅とかたくさんありますよ
「死生観」
ね。僕はお年寄りといろんな話をしに毎月行きます。
人はどこから来てどこに行くのか
彼らが言うのは、
「自分が生きているのは自分の一つ
今現在、在宅医療はどんなふうになっているのか。
の命と、僕の中に何人もの友達と家族の人が生きてる。
一所懸命がんばっているのですけれど、半分以上はボ
死者との約束。あの戦争で死んだ人は全部自分の中で
ランティアですね。診療報酬にしても何にしても、簡
生きてるんだ。だから私は今こういう行動をしなきゃ
単に言うと「やってられん」というところがすごく多
なんないんだ」
いです。
人間というのはそうやって繋がっていくものであり、
約2
0年、国は在宅医療をやってくださいと言ってか
自分の命はたった一つの命のような気がするけど、そ
ら経つんです。ある程度看取りはできるようになった
れ以上のものを持っているんじゃないかなと思うし、
んだけども、問題はたくさんある。
死というものはおそらく、亡くなる方は去っていきま
国民は「悪くなったら病院へ」という発想ではなく
すけど、生き残る方が心に何らかのバトンタッチを受
て、もっと人生をみた方がいいんじゃないか、人間と
けてなすべきことと、未来へつなぐ力があるのではな
いうのはやがて死ぬんだから、
「人間」という視点から
いかと、僕は臨床しながら思っとるという話です。以
もう一度医療を考えなおした方がいいんじゃないか、
上で雑談を終わります。
というのが出てきた。
「死生観」
。人はどこから来てどこに行くのか、とい
うのが一つのテーマでありますが、人生を考える眼と
いうのが今後もすごく大事なことだと思います。
ところが、去年診療報酬の改定があった。また来年
4月にありますけど、おそらく「在宅だ。在宅だ。
」と
言いながら、医者とか訪問看護、それから施設、巧妙
にお金がうまく出てこないようになって変化しており
ます。中医協という所で相談するんですけど、僕に入っ
てくる情報によれば、僕にしてみれば段々悪くなって
いる。
だから、もう国に頼っていたら出来ないんじゃない
8
「看取りを経験した
たぶん、カレーライスだったと思いますが、一口二口
患者家族の立場から」
いただきました。とても可愛い顔をして「おいしい」
と言った母の顔は忘れられません。自分の家に帰って
97歳の母を
グループホームで
看取っていただきました
きたような気持ちで食べたのだろうと私は強く思いま
して、何とか「すぎの子」で看取りをしていただきた
いと考えるようになりました。
それで、ホーム長にお願いをいたしましたら、その
永井
良子 氏
頃は「うちでは看取りをしていません。そういう最期
の時に、若いスタッフが当たったら、別の施設ですが、
若いスタッフに辞められた」という話を聞かされました。
母は5年前に9
7歳でグループホーム「すぎの子」で
看取っていただきました。その体験談をお話します。
私もいろいろ考えました。段々、高齢社会になりま
母は8
5歳くらいから、老健ひまわりのディケアに1週
すと、家族も少ないし、家で世話をする人も、とって
間に1度くらい通わせていただきましたが、9
0歳を過
も少ないので何とか、ホーム長さんに無理を言いまし
ぎましたら通うのも難儀になりましたので、どこかグ
て「いよいよ手が掛かるようになったら、私、2
4時間、
ループホームにお願いできないかなと思っていました
ここに泊って、一緒に看させていただきたい。いかが
ら、運よくグループホーム「すぎの子」に入れていた
でしょうか」とお願いをしました。ホーム長さんから
だきました。
「やってみましょうか」とお返事をいただきました。
母は5
0歳ぐらいから糖尿病がずいぶん悪くて、絶え
まだ、母はちゃんと食事をしていましたので全然、亡
ず2
0
0∼3
0
0の血糖値をいつもキープしていたものです
くなるような状態ではなかったのですが。数か月たち
から、すぎの子では食事の面で、ずいぶん皆さんにお
まして、母は、突然、亡くなりました。突然と言いま
世話になりました。なかなか言うことを聞いてくれま
しても、年齢ですから当たり前かもしれませんが。
せんし、甘いものが好きでした。コーヒー牛乳が一番
1月7日でした。寒い冬です。ずいぶん雪が降って
好きで、数えてみると1
0
0
0本ではきかない。1l入りの
いた年でした。亡くなる前日に行きましたら、
「すぎの
を2
0
0
0本ぐらい飲んだのではないかと思います。好き
子」でシャワーに入れていただき、さっぱりしていい
なメーカー以外の物を買っていくとあまりいい顔をし
顔をしていました。新しいパジャマを着せていただき
ない。自分の好きなメーカーの物を買っていくと「お
ました。次の日に行きますと、たんぽぽクリニックの
いしいね∼」と必ず言っていました。
看護師さんにいろいろ手当をしていただいておりまし
「すぎの子」にも慣れてきて、レクリエーションなど
て、
「せっかく来たのだから、体を拭きましょうか?」
にも参加するようになりました。カルタを好んで昔の
と言われました。昨日、シャワーを入れていただいた
子供のようにカルタ取りをしていました。母は片方の
ので、
「今日は、よろしいじゃないでしょうか」と言い
耳が中耳炎で聴力が全然なく、補聴器をかけてようや
ましたが、温かいお湯で少しでも体を拭きましょうと
く聞こえるような感じでした。カルタを取ることが
言われ、拭いていただき、母はさっぱりしていました。
ちょっと難しいものですから、読み手の方に回りまし
8時頃、家に帰りまして、ご飯を食べて、そろそろ
た。グループホームに会いに行った時、母がカルタを
休もうと思っていましたら、
「亡くなりました」という
とても上手に良い声で読んでいて、私より上手じゃな
電話をいただきました。当直の方のお話しですと、見
いかと思いました。私と妹が行くと「これ読んでいる
回り時刻の際は、寝ていたとのことでした。
「ウンもス
んだ」とにっこり。
ンもなく息を引き取った」ような状態でした。うちの
母は、若い時から、滑稽な人で、人を笑わすことが大
大正生まれの母を俳句に詠みましたので、恥ずかし
好きでしたから、母のやり方だと思いました。
いんですがご披露します。
私の友達もよく言いますが「在宅で在宅で」と言わ
「歌カルタ 母は大正の 声をはる」
れると「自分の家で、自分の家で」と頭にあるんです
が、グループホームでそういうケアをしていただくも
食べ物の前で母はとってもニッコリしていました。
のも、ひっくるめて在宅と思います。
量は食べませんが、目で食べる訳ですね。そうしてい
るうちに軽い狭心症を起こして東苗穂病院に搬送され
母は、本当に安らかだったと思います。自分の家で
て2週間位お世話になりました。退院してグループホー
息を引き取ったような顔を、今でも、母の安らかな顔
ムに戻らせていただきました。その時は、ちょうど昼
を思い浮かべることができます。本当にありがとうご
過ぎで「すぎの子」で昼ご飯を出していただきました。
ざいました。
9
グループワーク発表「最後まで在宅で暮らすために必要なこと」
(第1グループ)
(第2グループ)
アイン薬局(夕張店)メロンネット
薬剤師
小島
札幌市東区民生児童委員
多加志さん
金子
守治さん
医療介護従事者からの意見よ
普段診察して貰う近隣の病院
りも、一般市民の方々からの意
に在宅医療の医師がいるとは限
見として、核家族化にて家族が
らず、自宅での看取りとなると
周囲にいないことで在宅での看
難しい。在宅医療に取り組む医
取りは無理ではないか。高齢者人口に比して地域包括
師も少なく、急変時は救急受入れ可能な総合病院へ搬
支援センターが少なく、現在市内に2
7カ所しかなく在
送して病院で亡くなるケースが多い。東区も例外では
宅医療、ケアの相談支援は困難ではないか。
なく、独居高齢者や同じ東区でも親子が別々に住んで
また、家族が介護する場合に肉体的、経済的、精神
いる方も多い。
的に不安があるといった否定的な意見や質問が多く出
最期まで在宅で、亡くなるまでどう生きるかを本人・
されました。
家族と共に考えることが求められる。住み慣れた自宅
しかし堀元先生のように地域在宅での看取りを実践
や施設での看取りの選択肢があることを普及させる。
しておられる事例、また、お母様の看取りを在宅でご
告知しない方が良いのか、胃ろうをした方が良いのか、
経験された永井さんのお話をお聞きしたことで、地域
どこで亡くなるのが良いのか、本人にとっての最善策
に在宅を支える医療、福祉的資源が存在することを認
を皆で共有する必要がある。
識できたと思います。
在宅医療の普及は、多死社会における地域医療や社
在宅での看取を安心して行えるためには、地域の医
会保障の諸問題を解決する鍵。死を目前にした時、残
療介護の仕組みや環境を整備する必要があると痛感い
された時間をより良く生きるためにどのような選択肢
たしました。
が家族にとって最善なのか、そのことを本人と向き合っ
て考える医療が必要になってくる。老いや死をしっか
【提言された内容】
りと見据え、最期までどうより良く生きるかを考えて
〔医療について〕●訪問診療、医療(訪問)
、看護師、
いくことが必要であると思われる。
(記:笹木 英俊さん)
看護、薬の管理、薬の効果、副作用。不足する訪問診
療医をいかに増やしていくべきか。●IC、ムンテラ、
【提言された内容】
リハビリ。医療・介護だけではなく調剤薬局による服
〔自己管理が重要〕●在宅で看取ることが最終目標では
薬管理支援。●家族で看取る方法、在宅医療の医師の
ない。
(過程が重要)病院で死ぬことは悪くはない。病
確保と訪問看護の看護師の確保〔コミュニティ(地域)
気になると本人は自分が弱いと思う。病気になると家
について〕●在宅での最期を支える医療、福祉的資源
族が一番頼りになり安心感がある。
〔家族・知人の協力〕
が地域に存在すること(訪問・往診医や訪問看護師、
●家の事情に合わせた協力体制(自宅、家族構成にこ
ヘルパーなど)
。必要な時に誰かが来てくれる環境、家
だわらない)●個人状況に合わせたケアプランの作成、
族が少ないので手がかかるようになったら自宅は少し
実施すること●介護力(家族など)●基幹病院と在宅
無理と思う。●他人とのネットワーク、地域包括支援
医との連携●介護サービスを利用すること(必須では
センターの増設と活動水準のレベルアップ(現在市内
ないが…)●医療介護の連携●地域のつながり●町内
には2
7か所、この数では在宅医療ケアの相談支援は行
会・近隣の協力●夫婦ともに元気でいたいがどちらが
き届かない)●財力〔介護について〕●食事、体に合
最期を看取るかが問題●在宅介護は家族に大変負担が
う食事。孤独でないこと。楽しみ、家族の同意・介護
かかる●入院したほうが良いと思う。
〔経済的な余裕〕
力(肉体的、精神的、経済的)があること●お風呂(入
●経済面の協力〔医療・介護職種の確保〕●医師・看
浴)
:家族が必要、元気な人が必要、ケアマネ、医療・
護師・介護者などが緊急時に対応できる体制●看取っ
福祉の知識、ヘルパー●本人が在宅での最期を望むこ
てくれる医師がいること(できることならかかりつけ
と
医)●主治医、かかりつけの病院●介護保険サービス
の利用●介護保険サービスの利用(訪問介護、訪問看
護、訪問診療など)●家が暮らしやすい環境であるこ
と●昭和2
0年代に父と兄をなくし、自宅から火葬場に
家族で送ったので私も最後は自宅で死ねれば●死とは
なにか?深くは考えていない、自然にゆだねる
10
(第3グループ)
(第4グループ)
ツクイ札幌東(入浴サービス)
介護福祉士
谷
訪問看護ステーションポット東
慎治さん
理学療法士
本人が家族の負担を考え、病
岡田 しげひこさん
「リビングウィルのこと」「経
院にいたほうが良いのではとい
済力のこと」
「支援体制のこと」
う場合もあり、本人が自宅で終
「地域力のこと」
「支援する立場
末期をと思っているのかわから
のこと」
)の5つのテーマを話し
ない場合もある。本人と家族が普段からの話し合いや
合った。各テーマの根幹である「リビングウィル」を
エンディングノート等を活用し何気ない一言を聞き家
選び、その内容を箇条書きした。◎支援する側も、本
族で判断する。在宅で家族が負担と感じた場合は無理
人の意思が明確でないとどうしたらよいのか判断がつ
せず他の方法も相談し、考えることも必要。
かない◎地域の中で「単身者」が多く、本人の意思を
在宅での方向性を定めていけば、医療や介護の従事
知る手だてがない◎本人の意思をどうやって知ったら
者も手助けの方向性を決めることができる。家族の一
良いのか?◎地域の活動の中で、
「自分史」や「エンディ
員として自宅ではなくても医療施設や介護施設でも、
ングノート」のことを告知、個々に書いていただく機
その場にいてあげることが大切。親族や近隣の方々の
会をつくる(行政主催で行っている地域がある)◎本
理解も必要と思われる。
人の意思が確認できる地域、その意思を反映させられ
なぜ病院にいれなかったのか、他の方々から疑問が
る地域を作ることが求められる◎所感:専門職のみの
あがる場合もある。病院で治療を受けるほうが良いと
グループワークであり、支援する立場の意見となった。
か、延命治療が美徳と思う方もいる。親類や近隣の方
ここに当事者の住民の意見が入ると、どうなったのだ
とのコミュニケーションをとり、お互いにサポートす
ろうか?次回が楽しみである。
ることが大切だと思います。
【提言された内容】
【提言された内容】
〔地域力、まちづくりについて〕●地域の中での見守り、
〔患者さんの意向〕本人の思い、本人の在宅生活への思
連絡、集うなどのネットワーク●家族だけでは支えら
いと家族の受け止め〔家族の負担軽減〕家族の負担、
れない。気にかけてくれる近所の人の助けも必要●本
家族の思いと覚悟、家族の理解(生活状態、多々条件
人の意思を尊重する地域の医療・福祉。保健のネット
はある)
。家族の負担をいかに軽減して負担なく支える
ワーク〔支援する立場から〕●見送る人(家族)の気
か仕組みづくり。容態が急変した時の覚悟(見守り)、
持ちをわかる心●普段から信頼感の積み重ね〔本人の
親類の方々の理解、地域の方の理解、住宅などの環境
意思を尊重する体制について〕●気持ちは在宅で生活
状態〔患者の立場からの講演を聞いて介護施設(最後
する●本人、家族と共通の死生観を共有できる●どう
まで看取ってくれる)
〕2
4時間看護・介護の確立、排せ
最期を迎えるか日頃から考え、誰かに伝えておく。死
つ、食事、褥瘡などの介護、在宅で母を看取って7年
ぬということについて心づもりしておくこと●一人で
になる。6か月間、在宅で主人と私、娘とで最期を看
自宅で死ぬという決意●リビングウイル、エンディン
取った。母が亡くなって母についての満足感がある。
グノート●人生の引き際で自分がどう生きてきたか問
われる。今から人生観を考えることが必要。
〔お金のこ
と〕●暮らすための費用●お金(金銭的)のゆとりが
必要〔支援体制について〕●(リハ職)在宅で看取る
ことになれば最後の時間をご家族とともに豊かに暮ら
せる環境づくりをする(人的、物的)●医療介護など
の具体的な支援体制、支える仕組み●状況に応じた福
祉サービス●医療との連携●介護やともに生活するた
めの時間●家族の中での協力●マンパワー、手伝って
くださる人●人手が必要
11
グループワーク発表「最後まで在宅で暮らすために必要なこと」
(第5グループ)
(第6グループ)
ピースデイサービスなごみ
介護福祉士
林
訪問看護ステーションポット東
拓哉さん
看護師
押田
美和子さん
最後まで在宅で暮らすために
「在宅医療とは何か、制度・体
必要なこととして「家族の覚悟」
制がわからない」
「支える具体的
を挙げた。
システム」
「本人・家族の思いや
生前、高齢者の方のほとんど
家族の受け入れ」
「施設体制」の
は延命治療を望まず、自然に逝きたいと思っている。
4つのテーマを話し合い、
「在宅医療」とは何かという
しかし、家族の半数以上が延命治療を希望されて、医
根本的な部分の議論となった。●訪問診療医から在宅
師もその思いを無視することはできず、結局は「本人
医療についての説明がなされたが、在宅医療の推進と
の思い」や「尊厳の尊重」が守られていないのが実状。
言われ国でも勧めているが、現状では住民まで伝わっ
そういった家族のほとんどが別居されており、看取
ていない。急性期病院に入院しても、次の療養病床を
りの準備ができていないことが原因だと考えられる。
勧められ、在宅という選択肢が提示されない現状であ
今後、こういった家族を減らすためには「看取りは亡
る●在宅介護は介護負担も大きい等、大変なイメージ
くなるときに立ち会うことだけではなく、それまでの
で経済的負担も病院に比べてリーズナブルでもない●自
過程すべてを含めたものである」ということをきちん
分の希望は自然死を望む、リビングウイルを書いて置
と理解する必要がある。十分に話し合い、自分たちに
いてあるなど自分の希望はあるが、療養の場の選択が
何ができて、どういったことが困難なのかを理解した
できるだけの資料が現段階ではない。現状では在宅ター
上で、本人の「自宅で最期を迎えたい」という望みを
ミナルは家族の希望が大きい●在宅医療が必要なもの
受け入れる「家族の覚悟」が必要であると考えた。
という共有はあるものの、その方向性や現状での在宅
医療のPR活動に対しての疑問視があった。
【提言された内容】
〔お金〕
〔速やかに医療が受けられること〕●看取りを
【提言された内容】
してくれる医師●施設の協力。病院や介護施設を利用
〔体制が分かりにくい〕●在宅医療を受けるためにどの
しながらご家族様の負担を軽減する〔生活が支えられ
ような手続きを取ればよいのか●在宅医療の現状が皆
ること(福祉)制度と制度以外〕●個人に負担がかか
さんに知られていない●入院と在宅での医療費用の違
り過ぎないための社会保障制度〔自宅か施設か〕●地
い●具体的にどの位のお金がいるのか〔思いを支える
域の人たちの協力、交流を目的にしたものからお手伝
システム〕●家族や関わる人たちの覚悟●本人・家族・
いなどを行うことで在宅を続けていく●家族の協力。
医師・看護師・ケアに係わる人の思いを話し合い思い
家族の方が本人と話し合いお互いの思いを理解する●定
を一致させること●医師を探すのが大変●支えてくれ
期的に状況を確認してくれる医師・行政・ご近所〔家
る人たち●ご家族や本人の意思がしっかりしているほ
族の覚悟(介護者)
〕●家族の関係が大事●自身の尊厳
うが良い●本人や家族の気持ち●本人・家族の希望が
を保てること●ご本人・家族の気持ちを支えられるこ
はっきりしていること●ご家族の受け入れ●家の者に
と(支えてもらうこと)●延命治療はいらない。迷惑
迷惑をかけたくない、自分はこれからのことは書いて
をかけるのは嫌、なんでも自分でやりたい●看取りは
あります〔介護施設の職員の死生観や体制の充実〕
プロセスであることの理解●常日頃の健康管理●在宅
に必要なこと(本人の姿勢が大事、どうしたいのか、
それにはどうすればよいのか。はっきりとした考えを
持つこと。
12
(第7グループ)
(第8グループ)
特別養護老人ホーム藤苑
社会福祉士
鈴木
札幌市元町まちづくりセンター
健さん
谷口
勲さん
「本人・家族の思い」
「医療」
本人の意思及び家族の覚悟を
「経済力」
「介護」
「見守り」の
生前に話し合い決めておくこと
5つのテーマを検討し、
「見守
が一番大事なことである。
り」について具体的な方法を話
在宅医療をするためには何が
し合った。在宅での看取りを希望される方の中にも「独
必要なのか医師などの医療機関、ケアマネジャーなど
居の方」
「高齢者夫婦世帯」
「認知症の方」への対応が
の介護施設等の人的資源、資金的な裏付け、居住環境
必要であり、介護保険サービスの導入である程度の見
等の物的資源の3つの資源が別々に動くのではなく協
守りは可能だが不足している部分を地域(近隣)の住
調して動くようにコーディネイトする機関と本人の意
民の協力が必要との意見が民生委員などから出た。
思、家族の覚悟との情報の共有化を図ることが必要で
具体的には、見守りが必要になる前から近隣の住民
ある。
や町内会の情報を発信し関係づくりをする。近隣の方
情報過多な現代で本人の意思を決め家族の覚悟ゆる
は異変を発見した時に関係者へ報告するという流れを
ぎないものとするようにエンディングノートなどに記
作る。話し合いでは民生委員さんは「民生委員だけで
載し残していくことが後から後悔を生まないために必
は…」
、医療・介護の各職種も「医療や介護サービスだ
要である。
けでは…」という意見で、両者の連携と地域住民の協
力が必要と感じた。
【提言された内容】
〔人的〕●かかりつけ医、相談ができる医者●覚悟を持
【提言された内容】
つための医療側から話す内容。選択肢を少なく、家族
〔見守り(特に独居老人の町内会による見守り、独居の
を迷わせない、罪悪感を持たせない等の誘導をするこ
場合は見守り体制)
〕●誰が→民生委員(近隣住民、向
とも大事●医療で出来ること在宅では1割もない。介
こう三軒両隣、近隣住民、町内会の人→福祉担当、福
護がメインになることを知ってもらう●在宅介護に理
まち)●誰を→独居の方、高齢夫婦、認知症のある方
解のある医療機関●支えてくれる家族や専門職がいる
●どのように→本人、家族から発信で関係づくりをし
こと●ケースワーカー、ケアマネジャーさん●生活に
ておく、介護保険サービスでの見守り、近隣が異変を
必要な食事や入浴ができること●保険制度を教えてく
発見→関係者へ報告●支援者・関係者は近隣住民とも
れる人●本人だけではなく家族も含めて心のケアは大
連携〔本人・家族の思い〕●自宅で死亡→家族での意
事●何か困ったときに対応してくれるネットワーク●遠
見の一致●本人の意思と家族の意見の比較度は?●本
くの身内より近くの他人・介護者〔お金〕●保険で出
人が望んでいることの理解●介護される人(本人)と
来る部分とか●不安なく過ごせる経済状況●資金的な
介護する人(家族)の考え方の一致●本人の思い、認
裏付け〔物的〕●ゆったりと過ごせる住環境〔思い・
知症の場合などは事前確認が必要●本人の気持ち、家
覚悟〕●死に向き合うことができる(本人・家族も)
族の理解●家族の支援●生前の本人の意思を聞いてお
●その人(本人)の思いをまず知る、家族の思いはど
くこと〔医療〕●介護・医療関係者間の情報の共有●医
こにあるのかを知っておく●本人や家族を支える介護
療体制、病歴・薬剤の情報●医療・看護、いつでも来
力の確保〔人的・物的・資金的コーディネイト〕
てくれる、相談できる●自宅で死亡→検視されるのか
●看取るとき、死亡時に診断書を書く医師は見つけ出
せるか●自宅で死亡→かかりつけ医を見つけるには、
色々な相談窓口が必要〔介護(家族・支援)
〕●家族の
不安・気持ちのサポート●家族の介護力●自分の健康
を壊す●家族の協力を得る●介護や医療に関する知識
●家族以外のフォーマルな支援体制●介護をする人と
協力者〔環境〕●看取る家屋内の設備が必要●在宅(自
宅)の環境●介護(トイレ・入浴・食事)●在宅の設
備(バリアフリー、手すり、トイレ、お風呂など)●住
宅の環境の整備〔経済力〕●金銭的な余裕
13
グループワーク発表「最後まで在宅で暮らすために必要なこと」
(第9グループ)
【講 評】
訪問看護ステーションアシスト
看護師
小寺
札幌市東区保健福祉部
しのぶさん
保健福祉課保健支援担当
課長
齋藤
芳子 氏
困ったときの相談相手、会話
ができる相手、家族、サロン、
基調講演をされた堀元先生は、
町内会、友人、体の鍛錬、筋力
私が豊平区勤務の際、現在のよ
をつける、思い出、生きがい、
うな「かかりつけ医」が普及し
思いの共有のキーワードから地域の役割について話し
ていない時に往診を数多くご依頼する等、本当にお世
合った。◎田舎に住んでいて、子供の住む都会に引っ
話になりました。在宅医療は人生と生活の話、看取る
越して行っても、元気だったのにすぐ病気で亡くなっ
とは傍に寄り添って見守ること、
『人生のバトンタッチ』
てしまう人がいた。遠くの子供より田舎に住んで近所
と、心に響く言葉がありました。数多くの看取りを経
の人に助けられながら暮らすのもいいのではないか?
験されている先生ならではのお話しでした。
◎昔は子供が親を看るものと思われていたが今は子供
お母様の看取りを経験された永井さん。施設の中で
の迷惑にならないように施設に入りたいと思う。迷惑
のお母さんの生活の様子、ご家族として最期の時は、
をかけないで自分でけりをつけたい。家で死ねたら本
施設の職員にお任せする覚悟を感じることができまし
望だけど、家族に迷惑をかけられない。そんな時家族
た。
以外の地域の人や近所の人に助言をもらうことはあり
グループワークでは、在宅で看取ることへの近隣の
がたい。老人クラブの人やゲートボール仲間、友人に
住人、町内会の理解などの見守り活動、看取りとして
助言を受けたり、助けてもらえるような地域づくりを
リビィングウィル、本人の思いと家族の思い、生前の
することが重要ではないか。
共有、生活史を作っていくこと、支える体制としては、
介護者の負担の軽減、かかりつけ医の存在、資金的・
【提言された内容】
人的・物的コーディネーターの必要性が出されていま
〔医療の受け方〕●お医者さん、在宅で看取るのは無理?
した。
終活。看護師、かかりつけ医(いなかったら在宅で亡
厚生労働省の調査で、在宅死を諦める理由として5
くなるのは無理)
、薬、訪問看護、訪問介護、ヘルパー、
つの要因を挙げています。1位は介護してくれる家族
施設を終の棲家にしたくない、管は付けたくない、病
に負担が掛かる(8割)
。2位は症状が悪化した時の対
院(入院)のほうが安い
応が自分も家族も不安(5割)
。3位は経済的負担が大
〔町内会・コミュニケーション〕●生きがいづくり、会
きい(3割)
。4位は往診に来てくれるかかりつけ医が
話できる仲間、好きなこと、友人、困ったときの相談
いない(3割)
。5位は病状悪化の際すぐに病院に入院
相手、地域の見守り(友人、サロン、町内会等)
、家族、
できるか不安(3割)という結果になっています。
思い出、思いの共有、体の鍛錬、筋力をつける、気を
最後まで自分らしく生きるということと、家族・身
まぎらわせる(趣味、歌等)家族の協力、顔の見える
内として1日でも長く生きさせてやりたいという気持
街、食事、食事の世話〔お金〕
〔覚悟〕●どうやって死
ちは、生き方にもつながってきますが、在宅での看取
ぬか
りには、ご本人とそれを支えるご家族や医師・看護師、
介護を行うスタッフとのコミュニケーションとバック
アップ体制が不可欠です。
本人の容体が急変した時にどう対応するかが在宅医
療で難しい判断になるかと思います。
救急車を呼んで病院で延命措置をしていただくのか、
見守るのか、在宅医がすぐに駆けつけられない場合も
自宅で見守る覚悟があるのか。自宅での看取りは、厚
生労働省でも推進しておりますが、可能な限り住み慣
れた地域で生活を継続することができるように本人・
家族の選択と心構え、介護・医療・予防の専門サービ
スとその前提として住まいと生活支援が相互に連携し
ながら、在宅生活を支える体制づくりとしての地域包
括ケアシステムの構築が課題となっております。
14
学んだ内容はどの程度記憶に残るかという調査では、 【講 評】
グループディスカッションは5
0%というデータがあり
医療法人社団豊生会
東苗穂たんぽぽクリニック
ます。本日は限られた時間でのグループワークとなり
院長
ましたが、皆さんの記憶に残り、今後の地域活動にお
いての指標となりますことを祈念いたしまして、私の
兼重
裕 氏
堀元先生が飄々というかサラ
講評とさせていただきます。
サラとお話しをされておりまし
たが、実は堀元先生のお話が非
常に素晴しい内容でした。またとても奥の深い素晴ら
行政として把握している元町地区の概要情報
しいお話しでした。
昭和6
3年に地下鉄東豊線が開通後、中高層マンショ
制度として在宅医療が認められるようになるずっと
ンが増加。高齢化率は今年の4月現在で2
0.
7%、東
前から、本日参加されている鈴木先生も同じですが、
区全体の2
3%と比べて高くない。持家割合が3
3%、
堀元先生は制度に関係なく、死がその人の最後のプロ
賃貸共同住宅割合が6
4%で転入者が多く、高齢者の
セスであるとは、最後の瞬間であるというだけではな
単身世帯は6%で、町内会の加入率は7
5%。
く、ご家族との橋渡し役をする大事なものであるとし
H2
0年∼まちづくりセンターが自主運営となり、ま
て、それを実現するのが在宅医療なのだという信念に
ちづくり協議会が作られた。高齢者に関する意識調
基づいて実践されてきた先生です。私の場合は、制度
査では「悩み事の相談相手として地域の人を選んだ
としての訪問診療の時代からの関わりですので恥ずか
割合は」東区全体が2
0%、元町地区は8%、近所と
しいのですが、今日学んだことを診療に生かしていき
の交流は東区全体が3
6%、元町地区は2
8%。古くか
たいと思っております。
ら居住している住民と新しく転入してきた人々との
永井さんは看取り体験を淡々とお話しされていまし
地域コミュニティをどう作り上げていくかが今後の
たが、施設で看取りをするという覚悟に対して敬意を
課題になると思う。いきいき健康づくり事業の中の
表します。私は永井さんのお母さんを診させていただ
ウォーキングが高齢者サロンとして機能しており、
きましたが、本当にお疲れ様でした。
今回の市民講座を主催 の 豊 生 会 さ ん が 開 設 し た
「CoCo元町」のディサービスも盛況であるなど、地
域ニーズに対応していると思う。
【閉会の辞】
みきファミリークリニック
平均寿命は男性が8
0歳、女性が8
7歳。自立した生
院長
活ができる健康寿命は1
0歳の差がある。そのために
はご自身の健康管理に主体的に取組む健康力・予防
三木
敏嗣 氏
私は年間1
0名弱の看取りをさ
力を向上することも必要。介護者が仕事に従事して
せていただいております。病院
いると介護と仕事の両立が必要不可欠な状態だが、
で亡くなられた方を含めると年
今後「介護離職」を防止する企業の体制・あり方も
間1
5名位になりますが、一例一例ご本人やご家族の皆
不可欠になってくると思う。
さんの思いから教えていただくことが多くございます。
ご本人やご家族を、少しでも自分の居たい場所で生き
生きと過ごさせてあげたいなと思っております。その
ためには、ご本人やご家族の思いを医療介護の従事者
が感じ取ってあげて、進めてあげられればと思ってお
ります。
看取りをするたびに「また勉強になる、ずっと患者
さんに教えられる」という思いをしております。これ
からも頑張っていこうと思っております。
今日は町内会や民生委員の方々もいらしていただい
ております。いつもは医療介護の中での話し合いです
が、町内会の方々、民生委員の皆様と情報共有や話し合
いができたことは非常に良いことだと思っております。
これが今年から始まる地域ケア会議に生きていけばい
いなと思っております。これからもタッピーねっと、
医療介護の関係者との連携よろしくお願いいたします。
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在宅医療を理解するための市民講座(in 元町)
参加者名簿
グループワーク ファシリテーター
長井 巻子
グループ1
グループ6
堀元 進 医師・旭町医院院長
池田 慎一郎 医師・元町ひまわりクリニック院長
小島 多加志 薬剤師・アイン薬局(夕張店)メロンネット
押田 美和子 保健師・訪問看護ステーションポット東
高津 淳子 ケアマネ・ひまわりネットワーク
大島 哲哉 ケアマネ・(社福)三草会
三上 修一 札幌市東区保健福祉部長
村山 文彦 社会福祉士・札幌市東区第2地域包括支援センター長
永井 良子 伏古本町連合町内会
照井 道子 札幌市元町地区民生児童委員
出口 福子 札幌市元町地区民生児童委員
松貝 美子 札幌市元町連合町内会
本村 良一 札幌市元町連合町内会長
グループ7
グループ2
松村 芳明 歯科医師・松村歯科医院院長
鈴木 眞一郎 医師・鈴木内科循環器クリニック院長
西野 登志子 看護師・訪問看護ステーションなごみ
山形 麻旗 薬剤師・アイン薬局(夕張店)メロンネット
鈴木 健 社会福祉士・特別養護老人ホーム藤苑
笹木 英俊 ケアマネ・ひまわりネットワーク
石谷 夕子 保健師・札幌市東区第2地域包括支援センター
金子 守治 札幌市東区民生児童委員
筒渕 美允 札幌市元町地区民生児童委員
上野 昌晴 札幌市元町地区民生児童委員
金子 正晴 札幌市元町連合町内会
岡部 文男 札幌市元町連合町内会
グループ8
グループ3
川口 敬秋 薬剤師・伏古ひまわり薬局
三木 敏嗣 医師・みきファミリークリニック院長
天野 友子 看護師・東苗穂たんぽぽクリニック
五十嵐 利幸 薬剤師・㈲いがらし薬局
伊熊 かおる 保健師・札幌市東区第2地域包括支援センター
谷
谷口 勲 札幌市元町まちづくりセンター長
慎治 介護福祉士・ツクイ札幌東(入浴サービス)
齋藤 芳子
高橋 雅子
保健師・札幌市東区保健福祉部
保健福祉課保健支援担当課長
札幌市元町地区民生児童委員
脇坂 久美子 介護福祉士・ツクイ札幌東(ヘルパーサービス)
山川 きよの 札幌市元町連合町内会
山口 宏子 札幌市元町連合町内会
グループ9
グループ4
秋元 次夫 薬剤師・ノースウエイ薬局札苗店
星野 豊 医師・東苗穂病院院長
小寺 しのぶ 看護師・訪問看護ステーションアシスト
岡田 しげひこ 理学療法士・訪問看護ステーションポット東
篠原 千栄 ケアマネ・札幌市東区第2地域包括支援センター
飯田 功一 介護支援専門員・藤苑居宅介護支援事業所
小関 礼嘉 札幌市伏古本町まちづくりセンター長
佐藤 純子 保健師・札幌市東区保健福祉部
溝口 志麿男 札幌市元町地区民生児童委員
林
森村 鐵雄 札幌市元町連合町内会
正子 札幌市元町地区民生児童委員
山本 スミ子 札幌市元町連合町内会
在宅医療を理解するための市民講座(in 元町)
発行日:平成2
7年8月2
4日
発 行:タッピーねっと
(札幌市東区東部地区在宅医療連携協議会)
(事務局:医療法人社団 豊生会)
〒0
0
7―0
8
6
6 札幌市東区伏古6条4丁目1―8
TEL0
1
1―7
8
9―8
8
0
0
FAX0
1
1―7
8
9―0
0
3
3
制 作:
(株)
北海道医療新聞社
TEL0
1
1―2
2
1―7
7
7
7
グループ5
兼重 裕 医師・東苗穂たんぽぽクリニック院長
理学療法士・元町ひまわりクリニック
千葉 一男 通所リハビリテーション
林
拓哉 介護福祉士・ピースデイサービスなごみ
幅! 久子 ケアマネ・札幌市(社協)東事業所長
齋藤 朋子 札幌市元町地区民生児童委員
後藤 洋子 札幌市元町連合町内会
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在宅医療を理解するための市民講座(in 元町)
■日時 平成27年6月13日(土曜日) 13:00~15:00
■会場 元町まちづくりセンター
(東区北20条東20丁目)
12:30
開 場
13:00
開 会
挨 拶
札幌市東区東部地区在宅医療連携協議会
(タッピーねっと) 代表 星野 豊 氏
来賓挨拶
元町連合町内会長 本 村 良 一 氏
札幌市東区保健福祉部長 三 上 修 一 氏
札幌市医師会東区支部長 山 本 秀 樹 氏 13:10
基調講演
「在宅における看取りを考える」
講 師
堀元 進 氏
内科 在宅診療 旭町医院 院長
13:50
報告
「看取りを経験した患者家族の立場から」
永 井 良 子 氏
14:05
グループワーク 10グループ(30分)
●テーマの例(最後まで自宅で暮らすために必要なこと)
・在宅と施設での暮らし方を考える
・地域包括ケアを進めるための地域社会と医療・介護の連携を考える
・高齢者の独り暮らしを支える地域社会を考える
14:35
発表
グループ発表(15分)
14:50
講評
札幌市東区保健福祉部保健福祉課保健支援担当課長
齋 藤 芳 子 氏
医療法人社団豊生会 たんぽぽクリニック院長
兼 重 裕 氏
15:00
閉会
みきファミリークリニック院長
三 木 敏 嗣 氏
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